ケッコンカッコカリノカリ・他 (52)
このSSは前作「叢雲「拒否…ですって?」 提督「拒否…だと?」 大和「はい、拒否です」」の外伝的な物になります。
叢雲「拒否…ですって?」 提督「拒否…だと?」 大和「はい、拒否です」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415878009/)
前作とのストーリー的な繋がりはありませんが設定的にはかなり繋がっているため、読んでいただけるとそれなりに楽しめると思います。
二本ありますが二本には直接的な繋がりはありません。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1418391866
1.ケッコンカッコカリノカリ
「ただいま~」
横須賀鎮守府、宿舎の自分の部屋に入る。
俺しかいない部屋な訳で、俺以外の誰かがいればそれは大事なのだが、やはり帰ってきたらぼそりとでもただいまをいうのは俺の癖みたいなものだ、うん。
しかし…結婚か、そういや考えたことも無かった。
しかし俺もそろそろ30、結婚の一つぐらい考え初めてもいい年なのかもしれん。
話は数時間前…
「ところでだ、今回君を呼んだのは二つ、理由がある。一つ目は…君、ケッコンする気は無いか?」
「な、何かと思えば…確かに俺はそろそろ30だし、結婚も考えるべきかもしれませんが…第一海将の娘さんは…」
「馬鹿、誰が独身男性に既婚女性を紹介するんだ…艦娘人権法、は知って居るだろ?」
「あ、はい。艦娘にも人権、あるいは準人権なる物を与えて法律による保護・あるいは処罰を与えれるようにする、ですね?」
「艦娘人権法の成立、交付を世の中に知らしめるために、広告塔が必要なのだよ。艦娘と人間と同じように、恋愛し結婚する。というな」
「まさか艦娘に人権がある事を知らせるために艦娘を逮捕するわけには行かないだろう?」
「いや、おっしゃる事は分かりますが…」
「君は艦娘の信頼も厚いと聞く、どうだ?考えて見ては?まあ、君の人生に大きくかかわることだ、そういう選択肢もある。と言う事を覚えて置いてくれ」
回想終わり
艦娘との結婚、か。
確かにこんな職場では女性と知り合うことも少ない。同期や同僚の中には積極的に合コンとかそういう出会いを求めている奴も居るらしい、婚活、というのだろうか。
「俺には、無理だなぁ…」
自然と言葉が口から漏れた。
小さい男の子には無いだろうか?女の子と仲良くするのは恥ずかしい、という良くわからない感情が。俺は結構それが強いタイプだったらしい。
小学生のころ、なぜか俺を好きだと言ってくれた女の子に冷たい言葉をぶつけて追い返した事がある。
カッコ良い良い方をすれば硬派、となるのだろうか。とにかく学生生活の間、女性とは必要最低限の話ししかしていない。当然彼女がいた事も無い。
ぶっちゃけ今までの人生で親密になった女性と言えば母を除けば艦娘ぐらいだ。
艦娘との結婚、確かに魅力的ではある。料理も家事も出来るし、国から金が支給されてるし、何より可愛い。
しかし、艦娘と結婚するとして誰と結婚するか。
那覇で一緒だった叢雲・摩耶・瑞鳳…
摩耶、そうだ、摩耶と結婚するのが良い。
あの三人の中で一番の大人だし、スタイルも良い。口が悪い?いや、あれでも結構仲間思いだし、やさしい所もあるんだぜ?
なにより、話していて一番疲れない。夫婦生活を送るにしてもそれは重要だろ?
「ただいまー」
「おかえり、提督」
仕事を終え我が家に帰りドアを開けると、エプロンをつけた妻が出迎えてくれた。
「おいおい、提督は無いだろ?」
「あっ…えーと、その…おかえりなさい、あなた…///」
「ふふ、ただいま、摩耶」
「あっ、いまご飯作ってるから、ちょっと待っててくれよ」
「ああ、わかったよ」
いい、恥ずかしがる妻、とてもいい。
そうだよ、こういうのだよ、最近のラノベヒロインみたいな主人公と見ればすぐ抱きついて胸を押し付けてくるような女じゃなくてさ、これぐらいの方が良いんだよ。
服を着替えてリビングに行くと妻がキッチンに立って料理をしている。
いいなぁ、こういうの、それに…時々聞こえる鼻歌がとても可愛い、そしてリズムに合わせてゆれる腰が…
「なぁ、摩耶…」
気がつくと俺は妻の後ろに立ってやさしく抱き締めていた。
「なっ…///なんだよ、いま料理中だって///」
「いや…摩耶が魅力的過ぎて」
そのまま両手を上に持っていく。しっかりとした重みと柔らかさを両手に感じる
「だ、ダメだって…///せっかく早く帰ってくるって言うから、作りたての料理食べて欲しかったのに…こう言うのは後で…な?」
「いや…俺は今、摩耶を食べたくなった」
あぁ…いい、良いなこう言うの。
摩耶となら良い家庭を築けそうだ…
「ただいまー」
「お帰りなさい、あなた」「おかえりなさいパパ~」
「はっはっは、ただいま、学校はどうだった?」
「今日はね、とってもカーニバルだったよ!」
「ん?あ、そうか、カーニバルか、とってもカーニバルしたのかい?」
「えーっとね、タカオちゃんとカーニバルしかけたの、そしてカーニバルしたんだけどママがタカオちゃんにカーニバルしたからカーニバルだよ!!」
「…ちょっと待ちなさい、もしもし、義理姉さん?あ、いや、今回は提督としてではなくてですね、えぇ、すみません。はい…」
「摩耶…なんで子供の喧嘩に…それも止めるんじゃなくて娘に一方的に味方するとかさ…タカオちゃん、泣いて家に帰ったらしいじゃないか…」
「だって…あれはタカオの方が悪かったし…」
あれ?
家をでて鎮守府に向う。
すると近くのゴミステーションで会話をする主婦の一団が目に付いた、近所の奥様達だ、挨拶はしないとな。
「おはようございます」
「あら、おはようございます、摩耶さんの旦那様」
「いつも妻がお世話になっております」「いえいえこちらこそうちの旦那が」
「あ、これから仕事ですので失礼します」
…
「しってる?あそこの奥さん…元ヤンって噂…」
「私も聞いた事あるわ、近所の暴走族があそこの奥さんを様付けで呼んで頭下げてるの見たわよ」
「うちの子供たちもよく遊んでもらっているから悪い事は言えないけど…あの人、言葉遣いが悪いのよ、クソとかウザイとか…子供が覚えちゃってちょっと困っちゃうわ…」
あれ?あれれ?
うん、摩耶は悪く無い、たぶん悪く無い。でもこういった世間体というか…そういうのは少し、心に来るな…
うん、摩耶との結婚…悪くは無いが、周囲の誤解に晒されまくりそうだ、それはかなりの心理的負担になる…
愛さえあれば…とはいうが、それだけでどうにかなるなら世間の離婚回数はもっと少ない、こう言うのは実際小さくない問題で…
摩耶はダメだ、いや、駄目とはいわないが…いろいろと問題がおおい。
瑞鳳はどうだろう?料理も上手だし、摩耶とは正反対でお淑やかだ。え、スタイル?愛の前にそんなの不要だよ。
「ただいまー」
「おかえりなさーい、あ・な・た♪」
仕事を終え我が家に帰りドアを開けると、エプロンをつけた妻が出迎えてくれた。
そのまま妻と抱き合い、軽く口付けをする。
「えへへ…///晩御飯、出来てるよ、今日の玉子焼きは自信作なの…食べてくれる?」
「食べりゅ~」
あぁ、こんなのも良いなぁ…積極的に甘えてくれる妻、良いものだ。
「はい、あなた、あ~ん」
「あ~んっ瑞鳳の玉子焼きはホント美味しいよ」
「ホント!?よかったぁ…」
君の料理が美味しく無いわけあるものかよ。
「すいません一佐!今日は早退します!!」
「まったく騒がしいな君は…いいぞ、でも名付け親は私な」
「断る!!」
病院からの電話を受け、冗談を言う一佐に文句を言いながら鎮守府を飛び出す。
あぁ、陸上勤務で本当に良かった、これが護衛艦勤務とかだと何かあっても一ヶ月以上妻に会え無いとかザラだ。
原子力潜水艦の乗組員などは一度出港すれば半年は陸地に戻れず、電話すら出来ない、そのうえ出港先は秘密と言う条件が重なり一回の出港のたびに数組みのカップル・夫婦が分かれるとか…
わが国に原潜がなくて本当に良かった。
「ヘイ!タクシー!!自衛隊病院まで!飛ばしてくれ!」
「はいよ、安全運転で行くねー」
急げといってるだろうが!
病院につき、妻の待つ部屋に飛び込む。
愛しの妻が生まれたばかりの赤子を抱いてベッドに横になっていた。
「瑞鳳!」
「あ…来てくれたんだ…ほら、みてあなた、元気な女の子だよ…」
「あぁ…あぁ…良く頑張ったな瑞鳳…」
「私、身体小さいからお医者さんやみんなに迷惑かけたけど…ちゃんと出来たよ…」
「あぁ、偉いぞ、瑞鳳…」
衰弱した妻の頭をやさしく撫でる。赤ん坊は瑞鳳の胸に抱かれすやすやと寝息を立てている。
「それで、ね、この子の名前なんだけど…」
「あっ…そうだな…まったく…色々この子のために頑張ってたはずなのに、すっかり名前を考えてなかった…」
「それでね、この子の名前なんだけど…彩雲、とかどうかな…」
あれ?
「あれ、可愛い名前だと思うんだけど…じゃあ桜花とか…銀河とかはだめ…?流星とか」
だめだ、子供にそんな名前をつけるような女と結婚したら…俺だって反対するし、子供の名づけで夫婦喧嘩とかしゃれにならん。
いやまて、瑞鳳も常識人だ、幾ら飛行機マニアでもこんなことするような…
『九九艦爆は足が可愛いのよ、足が』
『ホラ見てていとくぅ…彗星の機首のこの空気取り入れ口の形…可愛いです!』
『流星…いつ見ても綺麗な機体…まるで過去か未来から来た幻の鳥みたい…いいなぁ、私も流星みたいに綺麗になりたいなぁ…』
いや、するかもしれない
瑞鳳は駄目だ、いや、駄目とは言わないが、数少ない欠点が致命的過ぎる。
叢雲?そうだ、確かに俺が艦娘の指揮を任されてから、ずっと叢雲と仕事をしてきた。
叢雲は俺のパートナーだし、一番俺の事を理解してくれている…
「ただいまー」
仕事を終え我が家に帰りドアを開けると、怒りの表情をした妻が出迎えてくれた。
「アンタ…海将から連絡があったわよ、重要書類なのにミスが何点かあったって」
「げっ!あの野郎…俺に直接連絡してくれたら良かったのに…」
「そしたらアンタが反省しないでしょ!」
…うん、これ結婚とかそれ以前の問題や。
やはり俺には艦娘との結婚は難しい、そもそも艦娘が俺と結婚してくれる事も無いだろうしな。
うん、今日は寝ようか。
2.広報ビデオ。艦娘について。(未編集・未公開品)
「―このビデオは昔、北大東沖事件と呼ばれる事件の前に広報任務の一環として撮影されたものと思われる。
当時広報の一環として小~高校生向けに艦娘への理解を深めるために製作されたもと思われるが、内容が必要以上に濃過ぎる。市民の反対が予想される。等の理由で大幅な再編集が予定された。
しかし直後に艦娘の不祥事が発生した事によりビデオの公開自体がお蔵入りしていたもの、と思われる。旧日本国防衛省庁舎を解体するさい資料室内で発見」―発見時、データディスクに付属していた資料より。
この資料はかつて存在した艦娘についての貴重な資料として一部が公開された。
広報ビデオ。艦娘について。
製作・防衛省
(子供向け番組のようなセット、左右から成人男性と少女が出てくる。この少女が艦娘?)
提督「やあ、よいこのみんな、元気かな?提督のお兄さんだよ、そしてこっちは艦娘の叢雲」
叢雲「あんた、お兄さんって年かしら?あぁ、私は叢雲よ、よろしく」
提督「くっ…さて、今日はみんなに艦娘についてお話しようと思うんだ」
叢雲「私達に関することだから、覚えてくれると嬉しいわ。私たちの事知らないなんていったら、モグリと思われるわよ?」
提督「なぁ、最近の子供はもぐり、ってわからないんじゃ無いか?」
叢雲「…」
STEP1―艦娘とは
提督「艦娘とはなにか…か、また難しい話しになるな」
叢雲「あんた自身が理解できて無い事を教えるってどうなのよ」
提督「しょうがねぇだろ?上が教えろって言うんだから…」
提督「さて、艦娘とは何か、ここに居る叢雲を見てほしいんだ」
(叢雲をアップするカメラ)
提督「さて、さっきも言ったとおりこの叢雲は艦娘何だけど…どうだい?普通の可愛い女の子だろう?」
叢雲「あの…なんかものすごい恥ずかしいんだけど…ちょっと、なに顔をアップにしてるのよ!?」
(叢雲の顔のアップ、ゆれるカメラ、横になる画面)
提督「どうどう…このように、艦娘は見た目は僕たち人間の女の子と大差無いが…実は艦娘は人間では無いんだ」
叢雲「えーと…そう、ね。私たちは船なの、昔に存在した船が人の形をしたもの、なのよ」
(白黒写真・吹雪型駆逐艦五番艦「叢雲」の注意書き有り)
叢雲「これが船の時の私の写真よ、真の姿…とか、昔の姿、だと思って欲しいわ」
提督「ゴジラザウルス(ぼそっ)」
叢雲「何か言った?」
提督「いや、みんなは九十九神、って知っているかな?人や動物…生き物以外の物でも、人が愛着を持って使っていたものは意思や魂を持つ。というものだ」
叢雲「大事にしていた鏡とかが意思を持って恩返ししてくれる。なんて昔話、聞いたこと無いかしら?」
提督「艦娘はそれと似たようなものだ。過去の船の魂が人の形になった物。それが艦娘なんだよ」
提督「(なあ、こんな説明で良いか?)」
叢雲「(70点…と言いたいけど、これ以上説明したらこのビデオだけじゃ終わらないわ…まあ、及第点ね)」
STEP2―艦娘と人間の違い
提督「無いっ!」
叢雲「ちょっと、それだけじゃわからないわよ」
提督「でも、そうだろ?このビデオを見て居るみんなだって、この艦娘叢雲と人間の女の子の違いがわかるかい?」
叢雲「…まあ、私自身も人間との違う所と言われてもなかなか答えれないわね、私たちも食事はするし、寝るし、疲れるし。怪我をする事もあれば病気になる事もあるわ」
提督「そうだな、人間に出来て艦娘に出来ない事は殆ど無いし、艦娘に出来て人間に出来ない事も殆ど無い…だから、艦娘も人並み外れた力を持つ、って訳じゃ無いんだ…えーと、おーい、摩耶!」
(スタジオセット右から歩いてくる少女、この少女も艦娘?)
摩耶「おー、提督じゃん、こんなところで何しているんだ?」
提督「あー、この摩耶も艦娘だが…艦娘が人間と大差無い、という所をみんなに見せよう。艦娘の力も人間と大差無いんだ…摩耶!俺と腕相撲しよう!」
摩耶「え?まぁ、いいけど…」
(どこからかスタッフが運んでくる椅子と机)
叢雲「じゃあ二人とも準備は良い?…ファイッ!」
摩耶「オラァ!!」
提督「がッ!?」
提督「…こ、このように、艦娘の力も、人間とは、大差なくて、だな…」
摩耶「提督…説得力ねぇよ」
叢雲「…デスクワーク続きだったものね…」
摩耶「ま、まぁアタシは鍛えてるってだけで、普通の人より少し強いってぐらいだから、すごい人間には勝てねぇよ、まぁ艦娘もその程度、と言う事を覚えてくれたら嬉しいぜ」
叢雲「(何であんた勝ってんの!?台本と違うじゃない!?)」
摩耶「(い、いや、わざと負けるのもアレだからギリギリ負けようと…)」
叢雲「(人間と艦娘の腕力はほぼ同じって話しなんだからあんたが簡単に負けないとダメなのよ!)」
摩耶「(アタシだって提督がこんなに弱いとは思って無かったよ!)」
提督「(…叢雲が最初からやってくれればこんな問題は…)」
叢雲「(いやよ、第一アンタと私が腕相撲したら子供を苛める大人の図じゃない)」
提督「あー…艦娘と人間のハッキリした違いは、この制服と艤装、が装備できることだな…」
叢雲「そうね、この二つが決定的な違いだと言えるわ。制服はただの服でしか無いから逆を言えば艤装が無ければ艦娘も人間となんの変わりも無いのよ」
提督「艤装については次のステップで話すぞ、みんなついてこれるかなぁ?」
提督(いや、ホントは色々違いはあるんだ、遺伝子レベルとか、法的な扱いとか、な)
(セットから出ていく摩耶)
STEP3―艤装って?
提督「艤装、というのは艦娘の武器だな」
叢雲「私たち艦娘は艤装を装備する事で軍艦並みの戦闘力を発揮できるわ。また、艤装の機関の出力を使うことで私たちも高い能力を得る事が出来る…」
(資料映像・艦娘叢雲、艤装装備の様子、艤装装備状態に置ける航行・砲撃・雷撃訓練の様子)
提督「艦娘はこの艤装を装備して海に出て、戦って居ると言うわけだ。ところで叢雲…」
叢雲「なに?」
提督「俺も艤装をつけたら艦娘並みに戦えるようになるかなぁ?」
叢雲「残念ながら無理、艤装についている各機能を使うには艤装と接続する必要があるけど…艦娘以外にはその接続が出来ないのよ」
叢雲「この接続は私たち艦娘の魂によって艤装の全機能をコントロールする、と言うものだから、提督は艤装をつけること自体は出来ても動かす事も出来ないわ。たぶん立つことも出来ないでしょうね」
提督「なーんだ、てーとくがっかりー」
叢雲「まあ、私たち艦娘も艤装を装備した時は艤装の出力で行動しているから、装備中に機関が停止してしまったら私たちも動けなくなるわ、それが海の上だったら…考えたく無いわね」
提督「みんなも艦娘の艤装を見つけたら丁寧に扱ってくれよ!」
叢雲「(民間人が艦娘の擬装を触る機会なんてあるの?)」
提督「(多分無い)」
STEP4―なぜ艦娘なのか
叢雲「ところで思ったんだけど…」
提督「なんだい叢雲」
叢雲「なぜ、今になって私たち艦娘を呼び始めたの?」
提督「そうだな…それについては深海凄艦についても説明しなくてはいけないな」
(カラー写真・深海凄艦「駆逐イ級」の注意書き有り)
提督「これが深海凄艦だ。数年前、何の前触れもなく出現した深海凄艦は我々人類に攻撃をしかけてきた。深海凄艦に客船や貨物船が襲われた。というニュース、みんなも聞いた事はあるんじゃ無いかな?」
提督「深海凄艦は太平洋・北大西洋上に出現している。おかげで日本とアメリカを結ぶ海路はほぼ壊滅。幸い南大西洋まではまだ進出していないから、アメリカとの交易は大西洋周りで行っているんだ」
叢雲「この深海凄艦を倒すために艦娘が必要って訳ね…でもなんで艦娘なの?自衛隊でもいいじゃない?イージス艦とかもあるんでしょ?」
提督「じつはそうも行かないんだ、深海凄艦ってのは…」
叢雲「提督下がって!」
(セット右から現れる駆逐イ級、提督を庇おうとする叢雲)
提督「あー、これは人形だよ叢雲、等身大のな」
叢雲「…等身大?これで?そんなに大きく無いじゃない」
提督「そうだ、深海凄艦ってな、人間とそこまで大きさが変わらないんだ。これが、自衛隊の船ではなくて艦娘が深海凄艦と戦える理由の一つでもある」
叢雲「…どう言う事なの?」
(セット中央に出現するスクリーン、原始的な二次元レーダーの画面?)
提督「海上自衛隊…いや、世界中の船はレーダーを使って相手を探して、そこにミサイルを撃ち込む、と言う戦い方が中心なんだ。でも深海凄艦はそのサイズから、レーダーに殆ど映らない」
叢雲「レーダーに映らないなら近づいて目で見れば良いじゃない」
提督「それもその通りなんだが…深海凄艦はさっきも行った通り大型タンカーも沈める事が出来る攻撃力を持っているんだ、そして今の船はミサイルで戦う事が中心なんだが…近づくとミサイルが使えなってしまう」
叢雲「…つまり、近づいたら自衛隊の船やイージス艦は…主兵装のミサイルが使えないまま深海凄艦と戦う事になるのね」
提督「そうだ、自分より小さくて攻撃があたらない。なのに攻撃力が高い敵と接近戦をする。かなり不利な戦いになってしまうのは想像できるだろう?」
叢雲「そこで、私たちの出番ってわけね!」
提督「そうだ、艦娘は深海凄艦と同じサイズで攻撃力・防御力も互角だからな、深海凄艦と戦うには艦娘が一番なんだよ」
提督「そういう訳で、艦娘達は今日も海の平和を守るために戦っているのさ」
叢雲「私たち艦娘の事、少しはわかってくれたかしら?街や海で見かけたとき、応援してくれると嬉しいわ」
(セットの照明が落ち、赤い照明が照らされる)
スピーカー「緊急警報!緊急警報!鎮守府沖合いで民間船が深海凄艦に襲われているとの情報があります!艦娘は直ちに出動してください!」
提督「なに!?敵の襲撃だと…!?深海凄艦め、俺達がみんなに説明しているときに現れるなんて…」
叢雲「提督、出撃するわ、命令を!」
提督「よし…行くぞ叢雲!出動だ!!」
叢雲「了解!暁の水平線に勝利を刻むわよ!」
(セットから走って去っていく提督と叢雲、右下に「終わり」の文字)
(セットに歩いて戻ってくる提督と叢雲)
提督「撮影は終わりだな、お疲れ、叢雲」
叢雲「もう…私にこんな事させるなんて…なんで判りきった事を提督に質問しなきゃならないのよ、私が馬鹿みたいじゃない」
提督「これも任務だ、嫌な顔するなよ。それに似合ってたぞ」
叢雲(そんな事で褒められても嬉しく無いわ…)
製作 防衛省・自衛隊
協力 海上自衛隊・艦娘艦隊
沖縄基地隊
那覇鎮守府
注・他にも『艦娘密着取材・摩耶』『瑞鳳先生の艦娘講座』等の文字コードを含むデータが発見されたが、劣化が激しく映像の入手は出来なかった。
非常に旧式のデータ形式でエンコードされているようで、データ復元には相当の期間とコストがかかる物と想定される。
撮影日時は不明、カラー映像である事と白黒映像もある事から、白黒とカラーの過渡期である欧州・アジア・太平洋動乱後であると推定されている。
現在、艦娘の動画・肉声両方が収録された資料は本資料しか発掘されていない。
以上になります。
ではHTML化依頼を出してきます
このSSまとめへのコメント
作者は偽者