?「チッ、見つかりましたか・・・」ビャッ 男「あ、ちょっと!」(30)

むかしむかしあるところに、男と、その家族がおりました

しかし・・・

男「ぱぱー」

父「 」チーン

男「ままー」

母「 」チーン

幼いときに両親を亡くしてしまいました

そこで

隣人「おやおや坊やかわいそうに・・・」ナデナデ

男「うぅ・・・」グスグス

身寄りのない男を、隣人は養い、育てることにしました

それから数年経ち・・・

男「サイン、コサイン、タンジェント」ペラペラ

男は、別段道を逸れる事もなく成長しました

ということで

男「隣人さん。俺、三角関数で頂点目指してくるよ」

隣人「立派になりなさいよ!」

男は家を出て、自分で生計を立てるべく、働き出しました

しかし・・・

男「なぜだ・・・!」

男「三角関数を極めた俺に、何故嫁ができないっ・・・!」

男には中々妻ができません

隣人「あの子、頑張って三角関数を極めたんだけど、お嫁さんができないのよ・・・」

隣人の隣人「あらぁ・・・微分積分もやらせたらよかったわねぇ・・・」

男の現状を知った隣人達は、皆、男を不憫に思いました

なので

隣人「お婿さんにどうですかー?」

女「んー微妙・・・」

隣人の隣人「三角関数の達人ですよー」

ギャル「ベクトル極めないと話にならんし→wwwww」

男「お嬢さん、どうですか?」

お嬢さん「私、三角関係なんてごめん被りますわ!」ピシャリ

散々募りましたが、相手にしてくれません

その間にも

後輩「あ、先輩!朝早くからお疲れっす!」

男「ああ、おはよう」

後輩「先輩偉いっすよねぇ。朝早くから夜遅くまで働いて」

後輩「これでモテない方がおかしいっすよ」

男「いや・・・あははは、そうかな」

男は、昼夜懸命に仕事に精を出していました

後輩「いっその事、俺なんて・・・どうっすか?」

男「えっ・・・」

そんな毎日を暮らしていたある日

男「ふう、疲れた。帰ったらひとっぷろ浴びるかぁ」

男「・・・ん?」

男は仕事先からの帰り道に

たにし「・・・」

男「!?」

すんごく大きいたにしを見つけました

月の光りに照らされ黒光りするそのたにしを見て、男は腰を抜かしましたが

男「・・・」

たにし「・・・」

男(これは・・・これはもしかして・・・)

男(数学の神様かもしれない・・・)

そう思い

男「バケツバケツ・・・よいしょ」

ガコッ

なんとテイクアウトしてしまいました

そのままたにしを飼育すること10数日

何やら男の身に不思議なことが起きはじめます

ある日、いつもの様に男が帰ってくると・・・

男「ん?家の明かりがついてる?」

男「まさか泥棒!?」ダッ

ガチャッ

男「えっ・・・?」

そこには一人分の夕餉が作られていました

それに

男「お風呂も沸いてるんですけど・・・」

さらに洗濯まで済んでいたのです

しかもその日だけではありません

ガチャッ

男「また・・・」

あの日から一日も空く事なく、夕餉がセッティングされています

男「これはまさか・・・」

男「隣人さんが中々お嫁さんがもらえない俺を気遣かってくれてるのだろうか・・・」

そう思い

若干の憤りをおぼえながらも、気遣いに感謝した男は

隣人にお礼を言いに行きました

かくかくしかじか

男は最近自分の身に起こった事を全て隣人に話しました

すると隣人は

隣人「私はアンタのお夕飯作りに行くほどお節介じゃないわよぉ」

隣人「だから私がお礼言われる筋合いはないの」

男「はぁ、そうなんですか?」

隣人「ま、そういうことよ」

と言います

そこで男はこう思いました

男(ひょっとして、隣人さんはこっそりやってるのがばれたくないからああいったんじゃ・・・)



しかし、それから数日経っても状況は変わりません

なので男は念押しに、もう一回隣人を尋ねました

すると隣人は笑ってこう言います

隣人「あはは!もうっ、男ちゃん、居るなら居るって言えばいいじゃないのぉ」

男「え?」

隣人「もう家に居るんでしょ?カ・ノ・ジ・ョ」

男「できてもないのに居るわけないじゃないですか」

隣人「そんなはずないわよぉ」

隣人「お部屋にこっそり入れて、ご飯作ってもらってるんでしょ?」ニヤニヤ

隣人「それを私がつくっただなんて・・・かわいい嘘をつくのねぇ」ニヤニヤ

男「もういいです!!」

隣人「あらやだ、いじりすぎちゃったわぁ」

拗ねて帰宅した男は、一計を思いつきました

男(! そうだ、俺が居ない時に家に入るんだから)

男(明日は有給休暇とって、家の中を見張っとこう!)

そう思いついた男は、会社に有給休暇を申請し、翌日休み

朝早く出勤するフリをして、そのまま隣のビルの屋上へ移動

ターゲットを狙うゴルゴ13さながらの姿勢で、望遠鏡を使い、家の中を見張りました

すると・・・

男「・・・!」

なんと玄関に祀っていた大きめのポリバケツの中から

?「よい・・・しょっと」

一人の少女が出てきたではありませんか

男「野郎・・・おいでなすったか・・・!」

男はそう一人ごちるとそのままそこから引き払い、玄関をこっそり開けました

するとそこには

男「なるほどなぁ・・・」

男「アンタがホシってわけかい、数学神さんよぉ」

ポリバケツと、その中にある大きいたにしの殻しか見当たりません

そこで男は物音のする台所へ向かいました

?「もう、ご飯粒こんなにくっつけて」ゴシゴシ

?「全部食べないと勿体ないです」ゴシゴシ バシャバシャ

そこでは少女が今朝使った食器を丁寧に洗っています

そこで男は声をかけました

男「そこの数学神!」

?「ひゃっ!?」ビクッ ポチャン

男「ようやくわかったよ・・・今まで炊事洗濯家事親父」

男「全てこなしてくれてたのが数学神だって事・・・!」

?「・・・くっ」

?「チッ、見つかりましたか・・・」ビャッ

男「あ、ちょっと!」

少女は玄関の方へ逃げます

しかし

ドンガラガッシャーン!

?「くうぅ・・・」

ポリバケツに盛大に突っ込んでしまいました

男「観念することだ」パシッ

?「うぅ・・・捕まってしまいました・・・」

男「数学神、お前が誰かとは聞かない」

男「なぜならお前は、俺にメネラウス・チェバ・トレミーの定理を授けに来たんだからな」

?「違いますよ!」

そういう男に少女は反論します

?「私は・・・私は、女神なんです!」

男「女神?ということは数学の女神か。失礼」

女神「ちがいますよ!私は天の川の女神なんです!」

なんと、少女は数学神ではなく女神だったのです

それも数学ではなく天の川の女神だったのです

男「そん・・・な・・・」

男は脳震盪を起こすほど殴られたようなショックを受けました

女神「ふぅ、いいですか?」

天の川(笑)の女神がここに来た説明をしようとしています

女神「・・・」ジーッ

おや、おかしいですね。何やら視線を感じますよ?

女神「・・・コホン、ここに来た理由を言いますから!」

女神「言いますから・・・」

女神「え~っと・・・」ゴソゴソ

ピラッ

女神「わ、私は神様にここに拾われるようn」

おやおや、それしきの文章も記憶できないのでしょうか(笑)。天の川(笑)の、女神が、ですよ?(苦笑)

女神「そ、それから、神さまに言われたとおりに・・・」フルフル

女神「言われたとおりにぃ・・・」グスグス

女神「小さい頃から可哀相・・・なっ・・・男さんのお役にっ・・・たってこいってぇ・・・」グスグス

男「・・・」

女神「男さんの・・・お嫁さんが・・・あと10年で見つかるから・・・それまで・・・」グスグス

10年は長すぎますねぇ(苦笑)

女神「もう帰る」スタスタ

男「あ、待って!」

ガシッ

女神「! 離してください!」

男「そうは言っても・・・」

女神「どの道帰らなきゃいけなかったんです!」

男「え・・・?」

女神「・・・見られた以上、私はもうここには残れない決まりなんです」

女神「ですから・・・その手を離してください・・・」

男「・・・できないよ」

女神「・・・?」

男「まだ・・・お礼を言ってないから・・・」

女神「男さん・・・」

男「ここ数日、俺の身の回りの世話をしてくれてありがとう」

男「・・・それだけ」

パッ

女神「・・・」

ゴソゴソ ピラッ

女神「え、え~と」

男「?」

女神「きっと、私が去ったあと、暮らしは良くなるでしょう」

女神「今まで通り、真面目にお仕事に・・・」ピラッ

女神「・・・励んでください。殻は残していきます。これで食べ物には困らないでしょう」

女神「・・・それでは」ペコリ

ヒュンッ

そういい残すと、女神は去っていきました

殻「 」ザザザァァ-

玄関を米まみれにするたにしの殻をのこして・・・

その後

後輩「おいっすー、先輩今日もイケメンっすねー」

男「お前に言われたら怖い」

後輩「あはは、僕もう彼氏見つけちゃいましたから!」

男「ほっ・・・」

後輩「ほら、あそこに居る上司さんっすよ」

上司「///」

男「 」

なんとか仕事を続け

コトッ

男「・・・」パンパン

男「明日も冴えますように・・・」

数学神の神棚の隣に天の川の女神を祀った

そして後輩の魔の手が伸びるより早く

男「一生大事にします」

妻「よろしくお願いしますね・・・?」

無事に結婚

それからは出世し、子供ももうけ

それはそれは幸せに暮らしましたとさ





殻「 」ザザザァァ-

☆めでたしめでたし☆

元ネタは漢文の「白水素女」です

ザザザァァ-

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