男「今年から本気出す」 妹「応援します」 (19)


男「今日から高校二年生だ!」

妹「私も、今日から兄さんと同じ学校ですね」

男「そろそろ本気出すか!」

妹「具体的にはどうするつもりですか?」

男「本気で青春を楽しむ! 目標はモテる男になって彼女をつくることだ」

妹「協力してもいいですよ。女子の情報は、女子である私が収集に適していますし」

男「サンキュー、頼りになるぜ」

妹「私はいつでも兄さんの味方です」


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男「久しぶりの登校だ」

妹「登校といえば、一人目の攻略対象である幼馴染さんと遭遇しますね」

男「え、あいつも女子に含まれてたのか。付き合いが長すぎて、お互い恋愛感情なんて無いと思うぞ」

妹「そう思っているのは兄さんだけかもしれません。仮に兄さんの言うとおりだとしても、現時点では好感度が高いと推測できますので、どちらにせよ、攻略し易い女子ですね

男「そういうものかな。直面聞いてみよう」

妹「行動力は評価しますが、私はオススメできません」

幼馴染「おはよー」

男「丁度良いタイミングでエンカウントしたぜ。おーい幼馴染。俺のこと好きか?」

妹「聞いてないですね」


幼馴染「えっ、それはもちろんすっ、好きだけど……」

男「俺の恋人になってくれるほど好き?」

幼馴染「そ、そんなの急に言われても分からないよ! じゃあね!」

妹「やはり逃げられてしまいましたね。はぐらかされるよりはマシですけども」

男「女心ってむつかしい」

妹「考えたこともないくせに悟らないで下さい」

男「すまんこ」


妹「学校では、休み時間以外はサポートできませんので、自力で頑張って下さい」

男「おう。じゃあ、放課後に一度情報交換しないか?」

妹「いいですよ。放課後にこちらから迎えに行きますので、教室で待っていて下さい」

@

・始業式を終えて

男(クラス内で比較的交流がある女子は四人いる)

男(一人は幼馴染。でも今はこいつにちょっかいを出すのはやめておこう)

男(あとの三人はそれぞれ一年生の時から知り合いの友人、お金持ちのお嬢様、クラス委員の委員長だ。まずは最も距離が近い友人に話しかけよう)


男「おはよう友人。久しぶりだな」

友人「おはよう。……なんだか今日の君の目はギラギラしているな。心境の変化でもあったのかい?」

男「ああ。目標ができたからな」

友人「ふふ、適当に生きている人間の君にしては珍しいね。何の目標かは知らないけど、影ながら応援しているよ」

男(……少なからずお前も巻き込んでるんだけどね)

・そして放課後

委員長「新学期早々悪いのだけど、図書委員の仕事があるわよ」

男(すぐに帰れないのか。妹にはメールでその旨を伝えよう)


委員長「仕事と言っても簡単よ。春休みに貸し出した本が返却されているかどうかを確認するだけだから」

男「へー」

委員長「それじゃ、私は失礼するわ」

男「え、手伝ってくれないの?」

委員長「クラス委員の仕事じゃないもの」

男「……」

男(クールなやつだ)


先輩「来たのね、男」

男(先輩は図書委員会の先輩。寡黙な不思議ちゃんである)

男「先輩も仕事を頼まれたんですね。他の図書委員は?」

先輩「今日は、私と男だけ。……かもしれない」

男「わー、先輩と二人きりなんて、ドキドキしちゃうなー」

先輩「照れる」

男(仕事は三十分程度で終わった。その後、先輩がお茶奢ってくれた。可愛がられてるな、俺)


男「さっさと帰ろう」

後輩「センパーイ!」

男(後輩は中学生の時、部活の後輩だった女の子。そこそこ懐かれている気がする。犬っぽくて可愛い)

男「やあ後輩くん。今年からまた同じ学校だね」

後輩「はい!先輩と同じ学校に入れるように頑張りました!」

男「わー可愛い。撫で撫でしちゃう」

後輩「子ども扱いしないで下さーい!」


男(後輩と途中まで一緒に下校した)

男「ただいまー。今日は悪かったな」

妹「おかえりなさい。図書委員会の件については気にしてませんよ。それよりも何か変わったことはありましたか?」

男「とくにないけど、自分なりに女の子の情報を振り返ったぞ」

妹「ふむふむ。私も独自の調査で、女子の兄さんに対する好感度をノートにまとめて見たのですが、見ますか?」

男「是非頼む」

妹「それでは……」


<幼馴染>[******]
<友人>[****]
<委員長>[*]
<お嬢様>[**]
<先輩>[***]
<後輩>[*****]
<妹>[********]

妹「こんな感じですね。*が多いほど好感度が高いということです」

男「なんでさりげなくお前が混じっているんだ」

妹「妹である前に女子です。攻略対象になって然るべきです」

男「女子である前に妹だろ」

妹「私には爆弾は発生しませんし、例え他の女子の爆弾が爆発しても、私の好感度は下がりませんよ」

男「なんの話をしているんだ」


妹「そんなことよりも、見てください。幼馴染さんの好感度は私の次に高いです。昨日の兄さんの直球な発言も考慮すれば、彼女なってくれるかもしれません」

男「どう考慮したんだそれは」

妹「だらだら友達以上恋人未満の関係を続けてきた兄さん達でしたが、直球を投じることで、改めて二人の関係を見直すきっかけを作ったのではないかと」

男「理屈は分かるけど、それがプラスに働くとは限らないだろ」

妹「兄さん次第ですよ。連続攻撃で畳み掛けて、無理矢理にでも"恋愛感情"を芽生えさせるのです。とにかく明日、行動に移るための作戦会議をしましょう」

男「妹がノリノリだ……」

妹「いいですか、まずは……」


・次の日

男「よう幼馴染」

幼馴染「お、おはよう。あの、今日は日直だから……」

妹「それは嘘です」ボソッ

男(なぜ知っている。まあいいか)

男「そういう嘘ついて避けようとするなんて、俺のこと嫌いなの?」

幼馴染「えぇ!? そういうつもりじゃなくて、その、気まずいというか」

男「昨日はいきなりあんなこと言って悪かったな。でも幼馴染みたいな可愛い女相手だと期待しちゃうよ」

幼馴染「か、可愛いって。私そういうつもりで男と接してなかった……わけでもないかもしれないけど」

男「つまりどういうことだってばよ!」

幼馴染「あなたのこと少しは男として気にしてるってことだよ鈍感! じゃあね!」

男「なんか怒ってたぞ」

妹「照れ隠しだと思います」


・昼休み

男「おーい幼馴染。一緒に飯食おうぜ」

幼馴染「うん」

男「ちなみに俺の弁当は妹の手作りだ」

幼馴染「さすが妹ちゃんだね」

男「おっしゃる通りだ。ところでお前の弁当、美味そうだな」

幼馴染「そう? じゃあ卵焼きあげる」

男「サンキュー。……モグッ……おお美味いぞ」

幼馴染「えへ、そうかなぁ。でも妹ちゃんには敵わないかも」

男「妹の料理が超美味しいのは事実だけど、幼馴染だって負けてないぞ。」

幼馴染「妹ちゃんって器用だよね、なんでも出来るし。弱点あるのかなぁ」

男(俺の言うことならほぼ聞いてくれる……ていうのは弱点とは違う気がするし、ゲスいから黙っておこう)

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