昔あるところに、男がいました
しかしこの男、妻を持っているのに働かず、遊び呆け、酒におぼれる始末でした
妻「あなた…もうお金はありませんよ」
男「常用対数…自然対数…」ブツブツ
妻「あなた…」
男「うるせぇ!」
バンッ
今や家には親の遺産さえも残っておりません
それでも男は対数・指数を極めているにもかかわらず、働こうとしませんでした
その後もサラ金や友人達にお金を借りやり過ごしていましたが
いろんな方々「「「あなたはもう信用できません。無理」」」
男「……」
結局いい加減なことにしか使わない男に、愛想(?)を尽かして去って行きました
いい加減業界のブラックリストにも名を連ねてしまったらしく、ヤミ金の融資を断られた男は
とある公園に立ち寄りました
男「クソ…何とかなってくだろうと思ってたのに、これじゃ…」
?「そこのお方」
男「?」
声をかける人がいます
風貌から見て…ホームレスだと思われる老人が一人
老人は立ったまま、男に話しかけます
老人「お前さん、何をそんなに途方に暮れておるんじゃ?」
男「……」
老人「長くなっても構わん、最近は日が長いからのう」
老人「どっこいしょ、隣に座らせてもらうよ」
男「……」
それから男は、嫌にしつこく絡む老人に今の心境をぶちまけました
老人「ほうほう、まぁ要するに」
老人「金に困っておる、と」
男「あの親戚共のせいだ、クソが…」
憤りを隠せない男に、老人は訪ねました
老人「幾らあったら気が済むかね?」
男「は?」
老人「幾らあったら気が済むかと言っている」
男は老人を見ると笑って言います
男「はは…累乗根も知らなさそうなアンタが俺に金を恵むのか?」
老人「まぁ、こんな身なりではなぁ」
老人はそういうと遠くを指さし
老人「あそこを見ろ」
男「?」
老人「丘に木が植わっておるじゃろう」
老人「あの木の根元に金が埋まっているから、まぁ好きに使いなさい」
男「お、おう…それは本当なんだよな?」クルッ
男が振り返ると、そこには既に老人の影も形もありませんでした
男は何かうすら寒い物を感じつつも、丘に登り、木の根元を掘ってみます
ザクッザクッ…カツン
男「…!」
なんとそこには銀光するアタッシュケースが埋まっており
男「おい…3000万もあるぞ…」
大金が詰まっておりました
男は、それは自分のものだと臆病心を抑えながら自宅に持って帰りました
ザザザァァー
芥川か
それから大金持ちになった男は、また財産が尽きる前と同じ暮らしを始めました
しかし、男は一度痛い目にあっています、そこで
男「またああやって金が尽きるのはごめんだ…」
男「! そうだ、株やら土地やらで上手く稼いでやればいい」
男「これでもっと金が増える…そう…累乗していくかのごとくな…」
株、土地などに手を出しました
しかし、1年、2年するうちにもらった金も尽き、株も土地も失敗
元の木阿弥です
男「はぁ、クソッ…あそこで売っちまってれば…」
男は重い足取りで家に帰る途中
またあの公園へ立ち寄りました
老人「おお!お前さんか!どうだね?そこそこいい暮らしができておるだろう」
そこへ、軽く酔った老人がねっとり絡んできました
男「うるせぇ、あっちいってろ」
老人「なんじゃ、またしょぼくれておるなぁ」
老人「金がないのか、よしよし、金遣いの荒い子じゃのう」ヨシヨシ
男「うるせぇっつってんだろ!!」
男は、自分のふがいなさと老人の圧倒的にウザい絡みからくるストレスの爆発でマジギレしました
老人「おおおぅ」
男「そうだよ!金がねぇンだよ!わりぃのかよ!」
老人「荒れておるなぁ」
老人「それじゃあ、また恵んでやるとするか」
そういうと老人はおもむろに遠くを指さし、言いました
老人「この前根元を掘った木があるじゃろう」
老人「あの木の反対側を掘りなさいな」
老人「ではの」スタ
ガッシ
男「待てよ」
男は去ろうとする老人の腕を掴みます
老人「…なんじゃ」
男「お前は何者なんだよ」
老人「……」
男「碌でもジジイかと思ってたけどさ、何も無しに3000万なんて渡す奴いねぇよ」
老人「……」
男「何やってんのか言ったら離してやるよ」
老人「…知りたいのか」
男「教えろっつってんだろ」
老人「…なら、ついてきなさい」
老人はそういうと、腕を掴まれたまま男を先導して歩いて行きます
男はまるで、平方根の答えを算出するかのごとく胸を高ぶらせながら老人について行きました
ヤバいこれ長い
>>8
この辺まで芥川さん仕様で
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