七尾百合子「そうやって…」 (70)

ミリマスのキャラで某将棋バトル漫画をなぞった掌編を書いていくssです

漫画の方の元ネタは知らなくても全く問題ありません

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『そうやって…』




善澤「えぇと、今回私が取材できるのは、結局そちらの二人ということになったのかな…?」

P「すいません。他の三人は予定が合わなくて…」

善澤「いやいや、無理を言ったのはこっちの方さ。二人とも、僕の急な取材に応じてくれてすまないね」

翼「へーきへーき! なんでも聞いてくださいね!」

百合子「…………」

善澤「改めて言うが、今回僕が取り組もうと思ってるテーマはだね、」

善澤「つい先日、765プロのPSL企画が全体の半分を消化したわけだけど、振り返りも兼ねて1stに臨んでいた君たちに話を」

百合子「ちょっと待ってください!!」

善澤「!」

翼「へ?」

P「百合子?」

百合子「お話を始める前に、一つだけ言っておきたいことがあるんです!」

善澤「な、なんだい?」

百合子「翼!!」

翼「私?」

百合子「翼は、その……そ、そ、…」

翼「??」

百合子「私の前で、プロデューサーさんと腕を組むのはやめなさい!!」

翼「えぇー? いいじゃん、別に…」

百合子「よくないわよ!」

翼「えぇー?」

百合子「私だって……」

百合子「私だって、プロデューサーさんと腕を組んで、肩に寄りかかって、それで……」

百合子「できることなら、そうやって…一緒に……」



百合子「海辺を歩きたい…!!」



百合子「…でも、今の私にはそんなこと……」

百合子「夢物語なのに…」

翼「百合子ちゃんもやればいいじゃん」

百合子「はぁっ!!?」

翼「空いてるよ、Pの右側(そっち)」

百合子「そ、そんな…!!」



百合子「…………!」



百合子「…………!」



百合子「…………っ」

百合子「ぷ、プロデューサーさん……」

P「……」

百合子「わ、私…今から……、その…」

P「……」

百合子「ぷ、プロデューサーさんの右側に回って……!!」

P「……」

百合子「腕を、く、組んでも…?」

P「好きにしろよ」

翼「♡」

P「……」

百合子「////」



善澤「…………」






善澤「マジメに話を聞いてくれよ…」



育「みてみて、美也さん!」

美也「どうしたんで……おや? 将棋ですか~?」

育「美也さん、しょうぎ得意なんでしょ? 私の考えたじん形、どう!?」

美也「こ、これは…!」

美也「将棋初心者の一部がなぜかたどり着くという噂の、通称…」





┃├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤┃
┃│歩│歩│歩│歩│歩│歩│歩│歩│歩│┃
┃├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤┃
┃│ │角│ │銀│飛│銀│ │ │ │┃
┃├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤┃
┃│香│桂│ │金│王│金│ │桂│香│┃
┃└─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘┃





美也「『無敵囲い』」

育「『無敵』ぃーーーーっ!! 美也さんもそう思う!?」

美也「あ、あの~…」

育「わたし社長さんと一局指してくるね! それで勝ったら、次は美也さんだよ?」

美也「育ちゃん、聞いてくださ…」

育「行ってクル!」

美也「…………」

社長「王手」パチ

育「…………」パチ

社長「む? その手にはこれで私の勝ち、かな?」パチ

育「……ぅぅ」

社長「中谷君、気が向いたらまたおいで。将棋ならいつでも付き合うよ」

育「…………」グスッ

無敵囲いは弱かった。

中央に戦力を集めすぎてしまうため、飛車先を簡単に突破されてしまうのだ。




 飛車先



┃├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤┃
┃│歩│歩│歩│歩│歩│歩│歩│歩│歩│┃
┃├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤┃
┃│ │角│ │銀│飛│銀│ │ │ │┃
┃├─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┼─┤┃
┃│香│桂│ │金│王│金│ │桂│香│┃
┃└─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘┃





無敵囲いに組むのを最優先した育は、あっという間に左辺を制圧されてなす術もなく社長に敗れたのだ…。

育「負けちゃったよ美也さん…。ぜんぜん無敵なんかじゃなかったよ……」

美也「育ちゃん…。『無敵』というのは愛がこもった皮肉なんですよ~」

育「美也さん…」

美也「大丈夫です。私が育ちゃんに、『無敵囲い』をパワーアップさせた作戦を教えてあげますから~!」

育「!」

美也「いいですか、育ちゃん? 『無敵囲い』は守りじゃなくて攻めに使う陣形なんですよ~?」

育「そうなの?」

美也「まず囲いを作ったら、5筋の『歩』を一つ進ませて『銀』の通り道を作り、二つの『銀』で相手を攻めていきます」パチ、パチ

育「……」

美也「相手の飛車先は、6筋の『金』を上げて受けます」パチン

美也「受けるだけでなく、端歩を突いて『角』の通り道を空けて5筋もにらんでいきますよ~」パチ

育「……!」

美也「育ちゃん。今、あなたががちょっとずつパワ~アップしていくのが分かりますか~?」

育「うん!」

美也「これこそが『無敵囲い』の第二形態…」

美也「『カニカニ銀』です~!」

育「カニーーーッ!!?」





~~~~~~~~~~~





育「というわけで社長さん! 一局指して!」

社長「はっはっは。中谷君は相変わらず元気があっていいねぇ」

育「それでは、おねがいします!」ペコッ

社長「お願いします」ペコリ

育の新必殺技、カニカニ銀は……。



育「……」

社長「……」



大……。



育「……!」

社長「…………!」



大、炸裂した!!!!!!


社長「……やっぱり、君くらい小さい子は成長が速いね…」パチ

育「ちっちゃいのは関係なーーーーーーい!!」パチン!

社長「うむ。参った」

育「!?」

社長「私の負けだよ」

育「……っ!」






育「やったぁーーーーーーーーっっ!!!!!!!」





育、初勝利!!!!!



『…プロデューサー! 秋月プロデューサー!』


律子「どうしたの? ウチを辞めたアンタが、こうして挨拶に来るなんて…」


『私、今度結婚するんです! プロデューサーにはお世話になったし、他の誰よりも早く伝えたくて…』


律子「そう…。まったく、泣かせること言ってくれるじゃないの~!」


『えへへ…。ありがとうございました、プロデューサー!』

『秋月さん!』


律子「聞いたわよ、〇〇。例の俳優さんと結婚するんでしょ?」


『はい! もう知ってるとは思ってたんですけど、やっぱり秋月さんには自分の口から伝えたくて…』


律子「そう言ってもらえると嬉しいわ。あなたも、私が手塩にかけて育てたカワイイ子の一人だもの」


『ほんとですか!? …秋月さん、本当に今までお世話になりました!!』

『す、すいません、秋月プロデューサー……』


律子「バレちゃったもんはしょうがないわよ…。くれぐれも、あなたからこれ以上のことを口に出したりするんじゃないわよ?」


『うぅ……。恋愛沙汰はダメだってしつこく言われてたのに、私…』


律子「それでも、好きになっちゃったものはしょうがないわ。反省はきっちりしなさいよ?」


『はい…。申し訳ありませんでした、秋月プロデューサー…』

律子「今日もまた一人、私の育てた子の結婚が決まっていくわね…」

律子「あの子達がアイドルを辞めるのは辛いけど……それでも、幸せな道を往ってくれるならそれもいいのかしらね」

律子「嬉しさ半分、さみしさ半分ってとこかしら」

律子「……はぁ」



『律子さーん!!』



律子「…ん?」

『ほらほら! アナタも早く来て♪』


P「……」


律子「!! ぷろでゅ……!」



『律子さん! わたし、この人と結婚しま(バキィッ!!)



律子「この人とは私が結婚します!!!!!!」


P「……」


律子「あーーーあああああああ!!!」ガバッ!






律子「完ペキな夢だわ!!!!!!」




志保「…あなたが仕組んだことなの?」


静香「………………」


志保「…マトモな人は、ひとりもいないの!」

志保「…すみません。帰ります」


静香「志保…っ! …志保、ごめんなさい…」

志保(私にないしょで何かやってると思ったらあんな下らないこと…なんでできるのよ?)


志保(成功の見通しなんてぜんぜん立ってないのに、どうしてあの人達は真剣にできないの!?)


志保(こんなんじゃ、私たちのプラチナスターライブなんて…。…どうすればいいの?)


志保(…もしかして、私の方が間違ってるっていうの? だとしたら、私は…)


志保「……ハァ」

可奈「あっ、志保ちゃん!」

志保「! …可奈……」

可奈「ねえねえ志保ちゃん! さっきまで、舞台の方から楽しそうな笑い声が聞こえてきてたんだけど、クレシェンドブルーの皆で何やってたの?」

志保「…知らない」

可奈「え? それってどういうこと?」

志保「…知らない! そんなに気になるなら、自分で見てくればいいじゃない!」

可奈「えぇ…!?」

志保「悪いけど、私、今から帰る所なの。どうしても知りたいんだったら、可奈が自分で確かめに行きなさいよ」

可奈「なんでなんで!? 志保ちゃん、どこか具合悪いの? 今から風花さんかトレーナーさんを呼んで…」

志保「私に構わないで! 帰るって言ってるのよ!」

可奈「ちょ、ちょっと! 私を置いて歩き出さないでよ!」

志保「……」タッタッタ...

可奈「し、志保ちゃーん!!」

志保「……」スタスタスタスタ...

可奈「待ってよ志保ちゃーん! 何かあったなら相談してよ~!」タッタッタ..

志保「ついてこないでよ! 私のことは放っておいて!」スタスタスタスタ...

可奈「やだよ! 放ってなんかおけないよ!」スタスタスタ...

志保「……っ!」タタタタタ...

可奈「! 志保ちゃーん!! どうして走り出すの~!?」

可奈「ま、負けてたまるか~! 超音速ヤブキダ~~~~ッシュ!!!」



(ダダダダダダダダ……!!!)



可奈「志保ちゃ~~ん!! 待ってってば~~!!!」ダダダダダ....


志保「!!? まだ私のことを追って…?」


可奈「志保ちゃん! つ~かま~え…」


(ガッ)


可奈「!? つまづい…」

志保「ちょっ…!」






(ガッシャーーーーーーーーーンンッ!!!!!!!)




志保(痛っ…!? 可奈ったら、私に頭から突っ込んできて…)

可奈「うぅ~…。志保ちゃ~ん…」

志保「……ふざけないでよ、このバカ!!!」



(バシッ!)



可奈「……?」

可奈「……あ、」

可奈「あぁぁ……!」

可奈「うわあぁぁぁ~…! 志保ちゃんが、ぶった~…!!」グスッ

志保「…あなたのせいでしょ…! 何泣いて…!」

可奈「うわぁぁぁ~~~…!!」

志保「……!」

可奈「うわぁ~~ん……!」

志保「……」

可奈「うぁぁぁ~~~…!」

志保「……」


志保(…なんなのよ、静香も、可奈も。どうなってるっていうのよ…)

志保(どうして、私の周りでばかりこういうことが起こるの? 私が何か悪いことでもした?)


志保「……っ」ズキッ


志保(あの激突のせいであちこちが痛いし…。…可奈の、ばか……)

志保(ばか。ばか。ばか、ばか、ばか、ばか…)

志保(……うぅ…!)

志保「…っぅぅぅ~~!!」


可奈「わぁぁぁ~~ん…!」


志保「うっ…、ぐすっ……」


志保「ぅぅぅ~…!」


可奈「うわあああ~~ん…!」


志保「くぅっ…。ぐすっ…、……ひぅぅぅぅぅ~~~!!」


可奈「うわぁぁぁ~~ん…!!」

志保「ぅぅ…。ぐずっ……」

可奈「うぅ……、ぅ…」

志保「ぅぅ…」

可奈「…ねぇ、志保ちゃん」

志保「……なに?」

可奈「どうして泣いてるの?」

志保「…そっちこそ。泣いてる、じゃない」

可奈「…うん」

志保「……」グスッ

可奈「私、これからラーメン食べに行こうと思ってるんだけど…」

志保「…ラーメン?」

可奈「前に、貴音さんにね。美味しいお店教えてもらったんだ」

志保「…ラーメン…」

可奈「…お金、ある? 一緒に食べに行かない?」

志保「…………」




可奈「美味しいねっ♪」



志保「……うんっ」





(秋葉原にて)



P「……ついに…」

亜利沙「ついに手に入れましたねっ」

P「超、希少!」

亜利沙「チョー激、レア!」




「「『日高舞直筆サイン入りアイドルプロモーションカード』!!!!!!」」





P「夢にまで見た…」ポロポロ

P「ってバカ!! 涙で濡らすなよ!!!!」

亜利沙「プロデューサーさんのですよぉ!」

P「くっ…! とにかく、早く持ち帰ってスリープに保存しないと…」

亜利沙「プロデューサーさん、前! 前!」

P「へt?」


(ガッ)


P「あたっ。……すいません、ちょっとよそ見を…」


『ぁあ~~ん?』

『おいおい兄ちゃん。「ながらスマホ」は危ないぜ?』

『スマホじゃねえよ。カードかなんかだよ、コイツが持ってるの』

『へぇ~……』


P「…?」


亜利沙(うう…。なんだか、嫌な予感がするヨウナ……)

『おい兄ちゃん。それよこせよ』


P「は?」


『なんか大事そ~に抱えてるそのカード、俺らにくんねぇ?』


P「いやいや…遊戯王のレアカードとかじゃないっすよ。とっくの昔に引退したアイドルのカードとか、要らんでしょ別に」


『いいからよこせよ!』

『つか、ぶつかられた慰謝料? 的な?』


P「……」

P(こんな奴らにカードを渡せるはずもない)


P「亜利沙、ザンガード(※)呼んでくれ」

亜利沙「来る前にカード取られちゃいますよぅ…」


『とっととよこせよ、ボケ!』

『つか女連れとかムカツかね?』

『あと5秒な! よーん…、さーん…、』

亜利沙「どうするんですか、プロデューサーさぁん…!」

P「…どうするもこうするもない。こうなったら…」



P「大事なモン脇に抱えて」



P「走れ!」



P「月まで!!!」ダッ!

自転車「シャーーーーーーーーーッ」



P「!!」



(ドガッッッッッ!!!!)



P「っっっっっっっ…」

『ちょっとちょっとヤダ、アンタが急に飛び出してきたのが悪いんだからね!? 聞いてる?』

P「」



亜利沙「ちょっとおばさん! プロデューサーさんを轢いておいて何言ってるんですかぁ!」



『なによぉ、アタシの方が迷惑よ』

『やだわホント。やだやだ…』



亜利沙「あーーーっ!! どこ行くんですかーーーーっ!?」


P「」



『どーするよコレ…』

『俺知らね…』

『…逃げるか?』

『『…だな!』』



亜利沙「ちょっとーーーっ!! 目撃者のあなた方まで逃げてどうするんですかぁーーーっ!!」

P「……だ」

亜利沙「! プロデューサー…!」

P「…カードは、守った…」



P「軽傷だ」



亜利沙「!!! プロデュゥサ…っ!」ポロポロ..

P「……な、み……」






P「涙で濡らすなよ」




(カポーン……)


P「……ふぅ」


P「……」ザブ..


P「……ふぁぅ…」


P「…………はぁぁ…」

P「…………」



『わぁっ! なんだ、なんだぁ!?』


『は…? …うわぁっっ! 逃げろ、逃げろー!』


『なんだよあの血走った目!? 化けもんか何かだぁ!』


『幽霊! 幽霊だーーーっ!!』



P「…………?」

『警察! 警察呼んでくれーーっ!』


『バカ警察でどうにかなるか! 相手は霊だぞ!』


『幽霊……真っ白な服着た、髪の長い女の幽霊が…!!』



P「……??」

P「…ったくなんだよ。人が気持ちよくまどろんでる最ちゅ…」


幽霊「」


P「う…に……」

P(…………!?)


幽霊「…………」ヒタ、ヒタ...


P(………………)


幽霊「…………」ヒタ...


P「…………」


幽霊「…………」チャプン...

P(…俺の隣に……)


幽霊「…………」ザプ..


P「…………」


幽霊「…………」


P「…………」


幽霊「…………」




P「紗代子か?」


幽霊「…………」


幽霊「…………(前髪を分ける)」


幽霊「…………(コンタクトを外す)」


幽霊「…………(Pの方を向く)」





紗代子「凄いでしょう、このメイク! 手伝ってくれた恵美の腕あっての物です!」



P「そうか……」







紗代子「いい湯加減ですね…」



P「…ああ」


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