アムロ「アレックスは伊達じゃない!」 (1000)
以前書いていたスレ『アムロ「これが……ガンダムNT-1……」』(未完)のリブート作品です。
前作は勢いで書いていた為、まとまりがなく収拾がつかなくなってしまったので、再構成と相成りました。
前スレ「これが……ガンダムNT-1……」
アムロ「これが……ガンダムNT-1……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405919313/)
注意
・ >>1 オリジナルメカ(名前と見た目だけ原作通りの別物含む)がいくつか登場します。
・ >>1 独自の世界観解釈が多分に含まれます。
(原作だけでなく、MSV、THE ORIGIN、トミノメモ、その他準公式作品などの設定を部分的に取り入れている点もあります)
・雑談は構いませんが、関係ない話や別スレについてのお話はご遠慮ください。
・特定のメカ・キャラsageはご遠慮ください。
参考資料
・皆河有伽『総解説 ガンダム事典 Ver. 1.5』講談社、2009年
・塚田正晃『機動戦士ガンダムMS大全集2013 [+線画設定集]』アスキー・メディアワークス、2012年
・岡崎昭行『データガンダム キャラクター列伝 [宇宙世紀編Ⅰ]』角川書店、2010年
・フリー百科事典 Wikipedia、各対応項目
など。
以上をご了解ください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1415824895
<BGM:http://youtu.be/8lbd3V9bSj8>
人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が過ぎていた。
地球の周りの巨大な人工都市は人類の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった。
宇宙世紀0079年。
地球から最も遠い宇宙都市・サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。
開戦から一ヶ月あまりの戦いは、地球圏の総人口のおよそ半数を死に至らしめたと言われる。
──人々は、みずからの行いに恐怖した──。
──宇宙世紀0079年11月27日
──南米・アマゾン川流域上空、ホワイトベース、ブリッジ
キッカ「わあっ!」
レツ「すっげー、ちょうちょだ!」
ハロ「チョウチョ、チョウチョ、チョウチョ!」
カツ「ちょうちょ、いっぱいだ~」
フラウ「まぁ、きれい……!」
ブライト「総員、間もなく連邦軍本部ジャブローだ。着陸態勢に入る!」
カイ「つってもどこにあるのか、さっぱりだな」
ハヤト「! カイさん、あれ……!」
カイ「お、おぉ~っ……テーブルマウンテンの頂上に入口があるとは、こりゃ参ったぜ」
アムロ「……いよいよですね……」
ブライト「嫌かね?」
アムロ「はは、まさか」
──同刻、アマゾン川
──マッドアングラー級マッドアングラー、ブリッジ
シャア「木馬は?」
マリガン「待ってください……おっ。反応が消えました」
シャア「消えたか! じゃあ、そのポイントを重点的に探索しよう」
シャア「とうとう秘密のヴェールに包まれていたジャブローの御開帳というわけだ……フフフ、アッガイ隊で上陸、徹底的に調べ上げるぞ!」
マリガン「は!」
『アレックス、大地に立つ』
<BGM:http://youtu.be/yyy_crmOAow>
──ジャブロー基地・宇宙艦ドック
カラス「しかし……報告以上に傷んでいるな」
ウッディ「ええ、連邦軍で最も過酷な戦いを潜り抜けてきた艦ですからね……」
カラス「そうだな……。各員点検に入れ!」
ブライト「アントニオ・カラス少佐でありますか」
カラス「おう、ブライト少尉、ご苦労だったな。詳しい話は明日でいいとゴップ提督から連絡があった。今日は防疫・身体検査ののち、各員割り当てられた部屋で休みたまえ」
ブライト「はっ!」
カラス「あっ、ガンダムのパイロットはどこに? アムロ・レイとか言う名前だと聞いている」
ブライト「アムロですか? おい、アムロ! ちょっとこっちに!」
アムロ「はい、お呼びですか……えーっと……」
カラス「こ、こんな少年が……。……ああ、すまない。アントニオ・カラス少佐だ」
アムロ「カラス少佐。何か御用ですか?」
ウッディ「なあに、一度ホワイトベースの英雄の御尊顔を拝見しておこうとね」
アムロ「やめてくださいよ。僕はただ生きるために必死だっただけです」
ウッディ「はは、すまないな。きみのことはマチルダからよく聞いていたものでね」
アムロ「マチルダさんから……」
ウッディ「おっと、すまない。ここからは仕事だな。……ではカラス少佐、整備は我々にお任せを」
カラス「うむ。クルーの諸君はこちらへ。検査を受けてもらうよ」
ブライト「みんな、こっちだ! 行くぞ!」
──ジャブロー・検査施設
アムロ「ありがとうございました」
ハヤト「おかえり。長かったな?」
アムロ「ん? みんなこんなもんだろ? 違うのかい?」
カイ「アムロちゃんは人一倍長かったぜ。何なに、病気かい?」
アムロ「いや、脳波とかは何度も見てましたけど……健康だって」
ハヤト「マチルダさんがエスパーとか言ってたし、そういう検査なんじゃない?」
カイ「ああ~、そんなことも言ってたな……。ま、健康なら上等上等ってね」
アムロ「マチルダさん、か」
マチルダ『あなたの戦いがなければ私達もやられていたわ、ありがとう。あなたはエスパーかもしれない。……頑張って』
アムロ(…………)
──夜
──ジャブロー基地・宇宙艦ドック
ウッディ「……うん、ではそのように」
整備兵「はっ!」
コツ……
ウッディ「……ン? おっと、アムロくんか。どうした?」
アムロ「ぁ……すみません、ウッディ大尉。マチルダさんとはどういう御関係だったのか、気になってしまったもので……」
ウッディ「ハハハ、彼女はホワイトベースの少年達に人気があったとセキ大尉も言っていたな」
アムロ「ええ、まぁ……」
ウッディ「彼女──マチルダとは、戦争が終わったら結婚をしようと言っていたんだ」
アムロ「! ……ご婚約を……」
ウッディ「ああ。……おい、よせよ。きみが気に病むことじゃない。お互い軍属なんだから、覚悟はしていた」
アムロ「でも、ぼくがもっとうまくガンダムを使えていれば、マチルダさんは死なずに──」
ウッディ「おい、自惚れるなよ! 戦争ってのは、きみ一人の活躍でどうにかなるもんじゃない! マチルダが無駄死にだったと言うつもりか?」
アムロ「!! いえっ、そんなつもりじゃ」
ウッディ「──なら、きみはきみのできるベストを尽くすんだ」
アムロ「ぼくの……ベスト……」
ウッディ「ぼくは、ホワイトベースの修理に全力を注いでいる。それがぼくの仕事だからでもあるし、彼女が愛した艦を守ってやりたいという、妙な愛情からでもあるのさ」
アムロ「マチルダさんが、愛した艦……」
ウッディ「技術屋には技術屋なりの戦い方があるのさ。パイロットとは違った、ね」
アムロ「それぞれの、戦い方」
ウッディ「そうだ。だから、きみは今は休みたまえ」
アムロ「……はいっ、ありがとうございます!」
ウッディ「よく休むこと、それが今のきみの仕事だ。おやすみ」
マチルダ『素敵な恋人探してね、カイくん?』
マチルダ『戦争という破壊の中でただひとつ、物を作っていく事ができるから、かしらね。戦いは破壊だけでも、人間ってそれだけでは生きていられないと私には思えたからよ』
マチルダ『ブライトさんの言う通りよ。寝るのもパイロットの仕事のうちですよ、アムロくん』
アムロ(……マチルダさん……)
──翌日
──ジャブロー基地・連邦軍本部
ゴップ「結論から言うと、ホワイトベース隊は変わらず任務についてもらう。それに併せて補充兵と新兵器もいくつか配備されることになる」
ブライト「そうですか……。ところで、艦長にはどなたが?」
ゴップ「おい、何を言ってるんだね。艦長はきみだよ、ブライト・ノア大尉」
ブライト「お、おれ……いや、自分が、た、大尉……!?」
ゴップ「正式な辞令は後程下される。各員を集めておきたまえ」
ブライト「……はっ」
──朝
──ジャブロー基地、モビルスーツ工廠
ウッディ「アムロくん、来たか」
アムロ「ウッディ大尉、おはようございます。急にどうしたんです?」
ウッディ「うん、おはよう。……これを」
カッ!
アムロ「うっ、スポットライトになっているっ……? はっ……こ、これはっ!!」
ウッディ「詳しい話は、あとで。だが、こいつが今回ホワイトベースに配備されることが決定した」
アムロ「新しい、ガンダム?」
???「ええ、RX-78 NT-1……ガンダムよ」
アムロ「女の人? ……あ、あなたは?」
クリス「クリスチーナ・マッケンジー。この子……アレックスのテストパイロットを務めていたわ」
ウッディ「マッケンジー中尉は、きみがこいつを受領するまでの間、様々なコンピュータ・シュミレーションを用いて教育型コンピュータを育てていたんだ」
クリス「あなたほどに戦うことはできないけど、基本的なことは教えられたはずよ」
アムロ「ど、どうも」
????「おまえさん用の調整がまったく済んでないんでな、データ採りにガンダムを借りている」
アムロ「ガンダムを……そうなんですか」
ウッディ「ムルンバ技師」
ムルンバ「どうも、大尉殿。アムロくん、すまんがガンダムはしばらく戻せないぞ」
アムロ「はい。……これが、新しいガンダム……」
クリス「うまく使ってあげてね」
──宇宙世紀0079年11月29日、早朝
──アマゾン川、マッドアングラー、ブリッジ
ロメオ『おう、赤い彗星!』
シャア「おお、ガルシア・ロメオ少将!」
ロメオ『待たせたな! 俺の軍なしでは潜入できんと聞いて、全速で向かっておるところだ!』
シャア「はは、それはありがたい。……して、どれほどで到着なさる?」
ロメオ『うむ。一度中米で給油せにゃならんから、一日はかかりそうだな』
シャア「そうですか、ではこちらは暫し待機します」
ロメオ『おう、それまで待っておれ。またすぐ連絡を入れる』
シャア「はっ」
──宇宙世紀0079年11月30日
──地球連邦軍本部・南米ジャブロー基地
ブライト「きをつけえっ! アントニオ・カラス少佐にぃ~……敬礼っ!」
ザッ、バッ!
カラス「うむ。直ってくれ」
ブライト「なおれえっ! やすめっ!」
バッ!
カラス「……では、辞令だ。ホワイトベース隊は現行のまま、第13独立部隊として単独任務を行ってもらう」
ザワザワ
カラス「静粛に! これについては後程詳しく話す。では次に、各員に階級を申し渡す。ブライト・ノア大尉」
ブライト「は」
カラス「ミライ・ヤシマ曹長」
ミライ「はい」
カラス「アムロ・レイ准尉」
アムロ「はい」
カラス「カイ・シデン軍曹」
カイ「はい」
カラス「ハヤト・コバヤシ軍曹」
ハヤト「は、はいっ」
カラス「セイラ・マス軍曹」
セイラ「はい」
カラス「ジョブ・ジョン准尉」
ジョブ・ジョン「はっ」
カラス「フラウ・ボゥ上等兵」
フラウ「は、はい」
アムロ(准尉、か。いつの間にか軍属なんかになっちゃって……)
カラス「なお、戦死したラウル中尉、ホセイ曹長、キム伍長はそれぞれ二階級特進とする」
アムロ「! ……それだけ、なんだ……」
カラス「どうした、アムロ・レイ准尉?」
アムロ「あっ、いえ、すみません。何でもありません」
カラス「……気持ちはわかるがな、軍としても各地で戦死者が相次ぐ中、今すぐにどうしようということもできんのだよ」
アムロ「……そう、ですよね。すみません、少佐」
カラス「うん、寒い時代だよな。……それでは続いて、ホワイトベースへの増員を発表する」
ブライト「増員、ですか」
カラス「そうだ。スレッガー・ロウ中尉、クリスチーナ・マッケンジー中尉、イ・ウンジュ少尉、タカアキ・ヤジマ少尉、エトゥル・ベオルバッチェ曹長、ミカエル・ロドリゴ軍曹、ウォン・チャン伍長、ダニエル・シェーンベルグ兵長、ディック・ムルンバ技師。以上を新規にホワイトベースの配属とする。入れ」
スレッガー「スレッガー・ロウ中尉以下、九名。入ります」
プシュッ
スレッガー「どうも、大尉。よろしく頼むぜ」
ブライト「スレッガー中尉。噂はかねがね」
スレッガー「へっ、どんな噂だか知らないけどさ、悪い噂だとや~よ、ぼく」
カラス「では、全員揃ったところで作戦を通達する。第13独立部隊はジャブローを出立し、陽動を行いながら宇宙要塞ソロモンへと向かえ」
ブライト「では、連邦軍は宇宙での反攻作戦に転じるのですね」
カラス「そういうことだ。陽動の詳しい内容だが──」
ズズンッ……!
ブライト「!! 敵襲ですか!」
スレッガー「落ち着けよ、艦長」
クリス「いつもの定期便、ですね」
カラス「そのようだな」
グラグラッ……!
カラス「……いつもよりは頑張っているようだが。さて、話の続きだ──」
寝てた。
お待ちいただいていた方々、お待たせいたしやした。
思ったより第一話が早く書き上がったので、早めに投稿。
今回はパソコンで投稿するので、夕方以降の投稿が増えるかと思います。
というわけで今朝はここまで。
また夜にでも!
乙
待ってた
にしても前作からだいぶ変わってるなw
本編より配備が早い設定か
0080だとアムロに届ける為にサイド6に移送したけどこれだとジャブローに届いてるから、
ジオン側は新型ガンダムの存在を知らん訳か…
あれ?もしかして大佐が原作通りズゴック搭乗だとヤバいんじゃない?
──同刻、ジャブロー上空
ロメオ『シャア! 先遣隊が空爆を開始した。騒ぎに乗じて貴様はスペースポートの“フタ”を開けろ!』
シャア「……了解。ではジャブロー強襲作戦を決行します」
ロメオ『おう! 俺も空中要塞アッザムで出る!』
シャア(ふふ、そんなコケオドシで何ができるというのだ。相手は地下要塞なのだぞ)
シャア「ようし、アカハナ隊! ボラスキニフ隊! 用意しておけ!」
アカハナ「はっ!」
ボラスキニフ「了解しやした」
──同刻、ジャブロー基地指令室
ゴップ「定期便か。いや……いつもより多いかな?」
ジャミトフ「ホワイトベース、尾けられましたな」
バスク「永遠の厄介者でありましょうな……まったく」
ゴップ「む? ……これは……!! 防空大隊、迎撃用意! また、地底湖の警戒を厳に!」
士官「はっ!」
バスク「閣下?」
ゴップ「見てわからんか! ガウで攻撃しているのは囮だ!」
ジャミトフ「何ですと……。なるほど、水陸両用モビルスーツでの潜入作戦ですか」
ゴップ「どうやらできる奴がおるらしいな……。ホワイトベース隊にも連絡、準備させい!」
士官「はっ!」
──ジャブロー、水中洞窟
シャア「アカハナ、その先はどうか」
アカハナ「通れそうです。アッグを使うまでもありませんな」
シャア「うん、あれは振動でバレるしな。なるべく使いたくない」
??????「では、大佐。我々も特務を開始します」
シャア「シュタイナー大尉。うん、そっちは任せよう」
シュタイナー「はっ。サイクロプス、行くぞ」
ゴポポポ……
シャア「サイクロプス……。フフ、一つ目の巨人か、なかなか皮肉めいた名前を使う」
二階級特進の件で無駄に突っかからない辺りアムロが原作より大人だな
──地底湖・湖畔
ボヤァ……
連邦兵A「ん? なんだ……?」
連邦兵B「どうした?」
連邦兵A「いや、今水面が光ったような……」
連邦兵B「疲れてるんだろ。地底湖が光るわけ──」
ザバアッ!
連邦兵A「いっ……!?」
ブオォン……
連邦兵B「ジ、ジ、ジ……ジオンだあ~っ!!!!」
グシャッ
──数分後
──モビルスーツ工廠
シュタイナー「……おかしい。報告ではここにあるはずだが」
連邦兵C「誰だ!」
ガルシア「……まずい」
シュタイナー「一人ずつモビルスーツに戻れ。俺は時間を稼ぐ」
ミーシャ「了解……」
シュタイナー「すいません、こっちに配属されたばっかりで道に迷っちまって!」
連邦兵C「ったく、ボーっとしてんじゃねえぞ、オッサン」
シュタイナー「ははは、失礼失礼。新しく配備されたとかいうガンダムを一目見ようとウロウロしてたら迷子になっちまいましてね」
連邦兵C「ああ、それならホワイトベースに運ばれたって聞いたな」
シュタイナー「ああ、そうだったんですか……もう見られないかな……」
連邦兵C「そうだな。まぁ諦めるこった。で、オッサン、階級と所属は?」
シュタイナー「所属ですか? ……ハーディ・シュタイナー大尉……特務サイクロプスの隊長だ」
カチャ
連邦兵C「!! ……クソったれ、ジオンの犬め……」
パァンッ!
シュタイナー「サイクロプス、ムーヴ!」
──宇宙艦ドック
ブライト「ウッディ大尉!」
ウッディ「ゴップ提督から聞いている! 気密処理と装甲材の補修作業は完了しているが、艦はまだ動かせないぞ!」
ブライト「とりあえずモビルスーツだけでも出せますか?」
ウッディ「それなら可能だ!」
ブライト「ってことだ、アムロ、カイ、ハヤト! モビルスーツで宇宙艦ドックを防衛する! セイラとフラウ・ボゥは通信席へ!」
セイラ「了解! 行きましょ、フラウ・ボゥ」
フラウ「はい!」
ハヤト「了解ですっ!」
スレッガー「艦長さんよ、スレッガー隊も自前のモビルスーツで出るぜ?」
ブライト「頼みます! 相手は宇宙艦ドックから侵入してくるかもしれん! 警戒しておけっ!」
──ホワイトベース、モビルスーツデッキ
アムロ「ぼくのガンダムは……あっ、そういえば」
ムルンバ『調整がまったく済んでないんでな、データ採りにガンダムを借りている』
ムルンバ『アムロくん、すまんがガンダムはしばらく戻せないぞ」
アムロ(……使えないのか、ガンダム)
オムル「カイ、ハヤト! キャノンはいつでも出せるからな!」
カイ「おう!」
ハヤト「はいっ!」
アムロ「オムルさんっ、ぼくは何を使えば!?」
オムル「お前には、あれがあるでしょ!!」
ムルンバ「アムロっ! アレックスなら動けるはずだ!」
アムロ「……アレックス……!?」
カイ「アムロ、おれ達ゃ先に出て、ホワイトベースの裏手の防御に入る。そっちは頼むぜ!」
アムロ「! は、はい!」
パシュッ……ウィーン
ピコンッ……ピコンッ……
アムロ「こいつ……動く……ぞ……!!」
アムロ(……すごい、七倍ものエネルギーゲインがある……。これだけ容量があれば、大型戦艦クラスのメガ粒子砲も扱えるんじゃ……)
<BGM:http://youtu.be/zf3_MqBrpgU>
ゴゥンゴゥンゴゥン…………
ズォームッ……ググッ!
ブシュゥーッ!
アムロ「──よし! アムロ、行きまあっす!!」
ピキィーンッ!
──ジャブロー、宇宙艦デッキ
アンディ「!! 目標を発見……なに、もう動いているのかっ!」
シュタイナー「何っ!? グリナス・ヘッドが動いているだと?」
アンディ「相手はまだ慣れていないみたいだ! ……作戦を強行します!」
グイッ!!
シュタイナー「おい待て、俺達が合流するまで──」
アムロ「っ!! 来る……武器は……これか!」
首を動かして、NT-1の頭部バルカンが火を噴く。
ヂュヂュヂュンッ! バチバチッ!
アンディ「うっ!! モノアイが潰された! よ、予備カメラにっ──」
アムロ「……これでっ!」
ゴオッ!!
アンディ「……ぅ、ぅわぁぁーっ!!!」
アッガイの腹部を、ビームサーベルが刺し貫く。
淡いプラズマ光が迸って、アンディ・ストロース少尉の乗機は爆発した。
シュタイナー「!? おい、アンディっ? ……応答ナシ……くっ!」
ミーシャ「クソっ! よくもアンディを……!」
シュタイナー「情報と違う! ……キリングめ、謀ったな……」
ガルシア「だが、アッガイの爆発でアイツも無事じゃ済まない筈だ……!」
しかし、爆煙の中に緑の双眸が煌めくのに、ガブリレル・ラミレス・ガルシア軍曹は気付いた。
ガルシア「っ! マジかよ!?」
煙の中からビームサーベルが投擲され、ガルシア機の左胸を貫く。
ズガアッ!
ガルシア「グアッ!!? なんて化け物だ、アイツ……!!」
ミーシャ「退け、ガルシア!」
バシュッ!バシュッ!
ミハイル・カミンスキー中尉のズゴックが間に割って入り、メガ粒子砲を応射するも、煙のせいで狙いは定まらない。
ミーシャ「チッ、ロックオンが出来ねえ! ……まずい、こっちに来るぞ!」
ガルシア「クソ……どうします、隊長!?」
シュタイナー「くっ……、撤退する……作戦失敗だ!」
ガルシア「り、了解! ジミー、退路は確保できてるな!?」
ホワン「出来てます! ……ってうわあっ!? て、敵襲!」
スレッガー「アムロ准尉! こちらスレッガー隊だ、援護に入る!」
アムロ「スレッガー中尉! 助かります!」
スレッガー「な~に、ぼくちゃんにお任せあれってね! ミカエル、エトゥル、ウォン! フォーメーションBだ!」
スレッガー隊「「「了解!」」」
アムロ「アレックスも攻撃を継続します!」
シュタイナー「く、来る……! ガルシア、ミーシャはジミーの援護に! 俺はこの≪グリナス・ヘッド≫をやる……!」
ガルシア「了解!」
ミーシャ「へいよ、大将!」
アムロ「この首ナシ、来るのか……? ええい、やってやるさ!」
──サイクロプス隊、全滅。
これぞまさに、鬼に金棒というべきか。
アムロが得た新しい力は、鬼のサイクロプス隊をも退けるものだった。
しかしもう一つの影がアレックスへとにじり寄る。
機動戦士ガンダム 次回、『ジャブローに散る!』
君は、生き延びることができるか?
というわけで、第一話『アレックス、大地に立つ』はここまで。
一話ずつ書きためている状況ですので、また少ししたら投下します。
どうしてもBGMを指定したくて文中に動画を挟んでみたんですか、どうなんでしょう。
生粋のガンダムファンなら、永井一郎ナレーションと『人工の大地』、鈴置洋孝ボイスと『サブタイトル』、ガンダムの初回起動シーンのSEと『悲愴、そして決然と』はセットで流れるとは思うんですがw
>>17
大分変わりましたね。
でもこれで話がスムーズになればいいな、と(願望)
>>21
そうですね、原作シリーズより開発完成が早いです。
同じセカンドロットのガンダム4~6号機がこの時期にジャブローにあるので、それならオーガスタガンダムもいてもおかしくないかなとw
>>25
というより、カラス少佐が理解あるから、アムロも収まった……という感。
もちろんアムロも原作より少し大人になってますかね。
多分ウッディ(とマチルダ)の言葉が効いてる。
【追加資料】現在(ジャブロー戦)の戦力
ホワイトベース隊
RX-78 NT-1 ガンダムNT-1 (アムロ)【非装備】
RX-77 ガンキャノン (カイ)【WB裏】
RX-77 ガンキャノン (ハヤト)【WB裏】
RGM-79 ジム (ウンジュ)【ジャブロー工廠より出撃中】
RGM-79 ジム (タカアキ)【ジャブロー工廠より出撃中】
スレッガー隊【地底湖・湖畔】
RGM-79 ジム指揮官機 (スレッガー)
RGM-79 ジム (エトゥル)
RGM-79 ジム (ミカエル)
RGM-79 ジム (ウォン)
サイクロプス隊【全滅】
MSM-07S ズゴック後期型 (ハーディ)
MSM-07 ズゴック (ミーシャ)
MSM-04 アッガイ (アンディ)
MSM-04 アッガイ (ガルシア)
MSM-04 アッガイ (ジェームズ)
マッドアングラー隊
MSM-07S ズゴック後期型 (シャア)
MSM-010 ゾック (ボラスキニフ)
MSM-03 ゴッグ ×2 (ボラスキニフ隊)
MSM-04 アッガイ (アカハナ)
MSM-04 アッガイ ×5 (アカハナ隊)
この時点では当然っちゃ当然だが
サイクロプスもズゴEやハイゴッグじゃないんだな
まぁもしそっちに乗ってたとしても
全滅は免れそうにない状況ではあるが…
クリスも乗り換えになるんだろうけど
NT-1からだとどう感じるんだろうな
鈍くてストレス溜まるのか
逆に扱いやすくなって良かったなのか
アレックスってMCスゲーってイメージあるんだけど一年戦争中にジムにMC施した人っているの?
>>38
時期的にも、潜入対象的にも。
そもそもオデッサ以後キャリフォルニア前後(地上負け決定的状況)に水陸両用機のマイナーチェンジ開発祭りとかバカみたいなこと、普通やらねえだろうし中止するだろ、と思うんですけどね……
>>38-40
データガンダムの記述『宇宙戦闘機のパイロットとしての適正が認められて~戦技研究隊に~シューフィッターとして~』のあたりから、優秀なパイロットだという解釈。
フォルドはじめ、テストパイロットはみんなスーパーエースですしね。
>>41
戦時中にマグネットコーティング施された機体としては、
ガンダム、G3、アレックス、アクトザクあたりしか認識してない。
セカンドロット系のガンダム四号機、五号機も対象だったかも。
イメージしてもらいやすいように、モビルスーツの設定やらは都度細かく提示できたらと思ってます。
今は疑問あっても、もう少し溜めておいてもらえたら、幸いですw
今日は第二話を推敲するので、投下は期待しないでくださいね。
今気づいた。
>>21でガルシアのフルネーム打ち間違えてる。
? ガブリレル・ラミレス・ガルシア
↓
〇 ガブリエル・ラミレス・ガルシア
>>31やな。せやな……。
お茶濁し的Tips
【メカニックのイメージ ①】
ガンダム
→ http://i.imgur.com/0D8fg8t.jpg
→ http://i.imgur.com/cc13ITg.jpg
The ORIGIN版(初期型)
ビームライフルはアニメ版と同様で。
ホワイトベース
→ http://i.imgur.com/p5s7NWt.jpg
→ http://i.imgur.com/0kKFCPh.jpg
→ http://i.imgur.com/k7xhAX5.jpg
The ORIGIN版
大気圏内飛行時は羽を広げる(一枚目)
ザク
→ http://i.imgur.com/3nwx9bW.jpg
The ORIGIN版
武装はアニメ版。ランドセルはORIGIN版後期型(≒アニメ版)
ドム(リックドム)
→ http://i.imgur.com/zuIWKcS.jpg
The ORIGIN版
アッザム
→ http://i.imgur.com/5VLqrVV.jpg
The ORIGIN版(≒ガンダム戦記版)
ガウ & ドップ
→ http://i.imgur.com/d4KUfvj.jpg
→ http://i.imgur.com/7pFiJRH.jpg
→ http://i.imgur.com/qrqMpbX.jpg
→ http://i.imgur.com/nFqY3Fq.jpg
The ORIGIN版
お茶濁し的なTips
【キャラクター設定①】
アムロ・レイ(CV. 古谷徹)
身長168cm、UC.0063年11月4日生
主人公。
原作通り、天才的戦闘センスを持つニュータイプ。
軍属である父テムとともに宇宙都市サイド7で暮らしていたが、ジオンが襲撃してきた時に偶然乗り込んだモビルスーツ・ガンダムを駆って戦う。
本作では専用に開発されたニュー・ガンダム、アレックスを受領した。
「アムロ、いきまあっす!」
シャア・アズナブル(CV. 池田秀一)
身長180cm、AB型、UC.0059年生
出生名:キャスバル・レム・ダイクン
ジオンのトップガン、『赤い彗星のシャア』。先のルウム戦役において赤い機体を駆り、戦艦・巡洋艦併せて5隻を単機で撃沈した姿が彗星のようだったことから。
赤いパーソナルカラーで塗られた専用モビルスーツを駆る。
ジオン公国の前身・ムンゾ共和国の建国者、ジオン・ズム・ダイクンの遺児。
「ええい、冗談ではない!」
セイラ・マス(CV.井上瑤)
UC.0062年9月12日生
出生名:アルテイシア・ソム・ダイクン
サイド7で暮らす女性。資産家テアボロ・マスの養子として育つ。
ボランティア活動などに従事するうちに医学を志し、勉学に励んでいる才女。
サイド7が襲撃されてからはホワイトベースに乗り込み、オペレーターや戦闘機パイロットとしてアムロ達とともに戦う。
ジオン公国軍のエース、シャア・アズナブルの実妹。
「兄は鬼子です……」
ブライト・ノア(CV. 鈴置洋孝)
UC.0056年生
地球連邦軍の中尉。ホワイトベースの臨時艦長として、ルナⅡからジャブローへとたどりついた。
アムロら少年達と度々対立しつつも、クルー一同の助けもありホワイトベースをとりまとめてきた。
ジャブローにて大尉任官とともに、ホワイトベースの正式な艦長となった。
「弾幕薄いよ、何やってんの!」
ミライ・ヤシマ(CV. 白石冬美)
UC. 0062年生
ヤシマ財閥の令嬢。父シュウとサイド7の視察に来ていたところ襲撃事件に巻き込まれ、父を喪う。
スペースグライダーの免許を持っており、ホワイトベースが輸送船に艤装していたため操縦系統が似ていたことから、操縦士役を買って出る。
「ブライト、少し休んでもよくってよ」
お茶濁し的なTips
【キャラクター紹介②】
カイ・シデン(CV. 古川登志夫)
UC.0061年生
いつもへらへらと斜に構えた態度を取る、ニヒル気取りの少年。ガンキャノンのパイロット。
その態度に対してセイラが取った対応から、今でもセイラを苦手としている。
ガンキャノンのパイロットとして活躍する。
戦いの恐怖から逃れようとしていたが、ベルファストでミハル・ラトキエを亡くし、ジオンとの戦いに再度身を投じる覚悟を決めた。
「にゃはは。そーゆーの、キライじゃないゼ」
ハヤト・コバヤシ(CV. 鈴木清信)
UC.0064年生
日本人の少年。小柄ながら、柔道二段の腕前。
ベルファスト基地でガンタンクの砲手からガンキャノンのパイロットへと転向した。
幼馴染のフラウ・ボゥに恋心を抱いており、世話を焼かせるアムロに嫉妬している。
「アムロにできるんだ、ぼくだって!」
フラウ・ボゥ(CV. 鵜飼るみ子)
UC.0064年生
アムロのお隣さん。
ハヤトやカイとはハイスクールの同級生で、世話焼きのおてんば娘。
サイド7襲撃事件で家族を亡くし、アムロに促されてホワイトベースへ避難、雑務や通信士として活躍した。
自分から遠ざかっていくアムロに対し、不安定な気持ちを隠せないでいる様子。
「んもうっ! アムロったら!」
ハロ(CV. 井上瑤)
SUN社製の球形ペットロボット。
本来は簡単な会話ができる程度のものだったが、アムロによって改造が施され、多機能化している。
簡単な人工知能を搭載し、ホワイトベースでは子供達と一緒にムードメーカーとして定着している。
「ハロ、ハロハロ」
カツ・ハウィン (CV. 白石冬美)
レツ・コ・ファン(CV. 鵜飼るみ子)
キッカ・キタモト(CV. 井上瑤)
サイド7で襲撃事件に巻き込まれ、家族を失った孤児三人組。
ホワイトベースのムードメーカーとして愛されており、本人らもホワイトベースに愛着がある様子。
「そこ右っ!」
「まっすぐー!」
「いっくよー、さんっ、にいっ、いちっ!」
「「「ゼロぉっ!!」」」
お茶濁し的なTips
【キャラクター紹介③】
スレッガー・ロウ(CV. 井上真樹夫)
地球連邦軍中尉。エース部隊・スレッガー隊の隊長。
軽薄そうな女誑しの白人男性。
リュウ亡き後のホワイトベースにとって貴重な年長者。
おちゃらけているが、パイロットとしての技量は確か。
「なぁ~んてお上手なんでしょ、ぼ・く!」
クリスチーナ・マッケンジー(CV. 林原めぐみ)
UC.0058生
地球連邦軍中尉。サイド6・リボーコロニー出身の女性兵士。
士官学校で優秀な成績を残し、戦闘機・モビルスーツパイロットとしての適性を見出された。
アレックスのシューフィッターとしてアムロに引き渡す直前までコンピュータの教育を行った後、ホワイトベースに配属された。
「私だって、連邦軍のパイロットなんだから!」
ハーディ・シュタイナー(CV. 秋元羊介)
UC.0054年生
大尉。ジオン公国軍特務『サイクロプス』の隊長。
鬼のサイクロプスとして活躍したが、連邦軍の新ガンダム開発計画襲撃作戦『ルビコン作戦』に際し、既に起動していたアレックスと戦闘に入る。
部下のアンディを失い、退路を絶たれて突撃したが、乗機のズゴックとともにジャブローに散った。
「俺は≪グリナス・ヘッド≫をやる!」
ミハイル・カミンスキー(CV. 島香裕)
中尉。ロシア系の中年パイロット。
愛称はミーシャ。
サイクロプスの一員としてジャブローに潜入したが、アレックスと合流したスレッガー隊によって壊滅した。
「へいよ、大将!」
アンディ・ストロース(CV. 星野充昭)
少尉。
愛称はアンディ。
破壊対象であるアレックスが起動しているのを最初に発見し先制攻撃を仕掛けたが、一瞬で返り討ちに遭い戦死する。
「作戦を強行します!」
ジェームス・ホワン(CV. 古川登志夫)☆
曹長。愛称はジミー。
退路を確保するためアッガイで待機していたところ、スレッガー隊に襲撃されて戦死する。
「うわあ、敵襲っ!?」
ガブリエル・ラミレス・ガルシア(CV. 島田敏)
軍曹。銃器や工作活動のスペシャリスト。
愛称はガルシア。
アレックスによりアッガイが小破、その後スレッガー隊に殲滅された。
「なんて化け物だ、アイツ……!」
なかなか話が上がらないからもうちょっと待って(´・ω・`)
CVは原作通り(声優設定がないキャラはイメージとして。横に☆つけてます)だけど、イメージし易いように書いていきます。
>>34
訂正
これぞまさに、鬼に金棒というべきか。
アムロが得た新しい力は、鬼のサイクロプス隊をも退けるものだった。
そんなとき、ホワイトベースの小さな仲間の行方がしれなくなってしまう。
機動戦士ガンダム 次回、『小さな防衛線』
君は、生き延びることができるか?
──宇宙艦デッキ
アムロ「ホワイトベース、聞こえますか?」
オスカー「はい、こちらホワイトベース」
アムロ「敵の潜入部隊をひとつ撃破しました。──って、なんでオスカーが?」
オスカー「実は、カツ・レツ・キッカの三人がいなくなったらしくて。今、女性三人ともいないんだ」
アムロ「この戦闘中にっ?」
オスカー「もし見かけたら保護してあげてほしいって」
アムロ「え、了解。……戦闘中に気付けだなんて、そんなの無茶だろうに……」
『小さな防衛線』
<BGM:http://youtu.be/yyy_crmOAow>
──ジャブロー・モビルスーツ工廠区画
アカハナ「よし、ここで待機。指示があったら即座に工作を行うぞ」
ラムジ「了解。戦闘中に警戒が緩まってるところを全部ドカン! ですね」
アカハナ「そういうこった! 大佐もなかなかえげつないことを考えなさる」
イワノフ「製造中のモビルスーツと設備だけじゃなく、技術者まで巻き込む……恐ろしいお人だぜ」
アカハナ「まったくだ!」
──ジャブロー・未開発区画
カツ「ね、ねェェ~……戻ろうよォ~……」
レツ「このタマナシっ! あんなトコロにいるくらいなら、ま、ま、迷子になる方がマシだろっ!?」
キッカ「タマナシってなにー?」
レツ「オクビョーな奴のことだって、カイにいちゃんが言ってたぜ!」
キッカ「オクビョーってなに?」
レツ「……」
カツ「……」
キッカ「……ありゃ?」
ツルッ!
レツ「うわっと、ここ滑るぞ、気をつけろ」
カツ「まだ進むんだ……」
ビゴンッ……
レツ「ん? ……気のせいか?」
カツ「レツ?」
レツ「いや、行こうぜ」
イワノフ「……ヒヤヒヤさせやがる。しかし、なんでこんなところに子供が……」
──ジャブロー・モビルスーツ工廠
キッカ「つかれた!」
カツ「ほら、戻ったほうがいいよ~キッカもこう言ってるし……」
キッカ「もどらない!」
レツ「だってよ」
カツ「もうっ」
キッカ「やすむ~!」
カツ「まったくもう……」
レツ「なんだ~ここ?」
キッカ「そぉ~っと、ノックしてもしもーし! ……誰もいにゃい?」
カツ「や、やめなよ。勝手に入ったら怒られるって~……」
レツ「全然『そぉ~っと』じゃないし」
キッカ「なんか、くしゃいね」
カツ「ほんとだ。ホワイトベースのデッキと同じにおいがする」
キッカ「んにゃ? ……うわーっ! ガンダムがいっぱ~い!!」
レツ「え? ……うわあ、すっげぇ!」
カツ「本当だ、ガンダムがたくさん」
キッカ「でも、なぁ~んか違うね」
レツ「ほんとだ。顔がマヌケ~」
カツ「色も違う!」
キッカ「あーるじーえむ……ななじゅーきゅー?」
レツ「それ、カタシキバンゴーって奴じゃないの?」
キッカ「にゃにそれ?」
レツ「……なんだっけ」
カツ「……こっち見るなよ」
アカハナ「……なんだ、ありゃあ」
ラムジ「こっちが聞きたいですようっ」
アカハナ「くそ、気は進まんが、ガキどもをひっ捕らえろ。申し訳ないが、一緒に爆弾で吹き飛んでもらうしかあるまい」
イワノフ「……了解」
──ジャブロー基地・宇宙艦ドック
シャア「フフ……スペースゲートを開けるついでに整備中のホワイトベースに爆弾を仕掛け、中のガンダムごと始末してくれよう」
ボラスキニフ「まずは空からの援軍を招き入れなくては」
シャア「ボラスキニフ隊に任せた。私の服じゃ目立ち過ぎるからな」
ボラスキニフ「ははは。なら、このスニーキング・スーツを着てほしかったものです」
シャア「それは私の主義に反するな」
ボラスキニフ「わかりませんなあ。では任務に」
シャア「うん」
ジオン兵「た、大佐!」
シャア「どうした?」
ジオン兵「サイクロプス隊が、ガンダムにヤられたと」
シャア「何……もうホワイトベースは動いているのか! ボラスキニフ、作戦変更だ。モビルスーツでアカハナ隊と合流、別のスペースゲートを開けて撤収だ」
ボラスキニフ「了解です」
シャア「私はもう少し様子を見てから戻る。先に準備しておけ」
ジオン兵「はっ」
セイラ「キッカ~! カツ~! どこなの~!」
シャア「あ、あれは……」
ザッ
セイラ「!!」
シャア「! やはり、アルテイシア……!?」
セイラ「えっ……うそ、兄さん……? やっぱり、キャスバル兄さんなの?」
シャア「やさしいお前が、まさか軍属に……」
セイラ「そんな兄さんこそ、まだ軍人なんて続けて!」
パンッ!
セイラ「!」
シャア「!!」
ミライ「セイラ、逃げて!」
シャア「チッ……。いいか、アルテイシア。軍から身を引いてくれ。わかるな?」
バッ……
セイラ「に、兄さんっ……!」
ミライ「セイラ、大丈夫?」
セイラ「……え、えぇ」
ミライ「……兄さんって?」
セイラ「……え……?」
ミライ「あなた、ジオンの人なの?」
セイラ「…………」
ミライ「……ごめんなさい、詮索が過ぎたわね。今のことは誰にも言わないでおくから安心して」
セイラ「……ありがとう、ミライ……」
──ジャブロー、モビルスーツ工廠
キッカ「ング~ッ!」
イワノフ「おとなしくしててくれ。誰かが見つけたら助けてくれるから、な? な?」
カツ「ンン~ッ……ン~……!」
アカハナ「悪く思うなよ、小僧ども」
ラムジ「少尉、準備終わりました!」
アカハナ「よぉ~っし、手筈は整った! 撤収だ!」
…………
……
…
レツ「……ぷはっ!! ……ガジガジガジガジッ! ンギーッ! ……どうだっ!」
キッカ「……ぷは~。レツしゅごい! どやったの?」
カツ「縄を噛み千切ったの? どんな歯してるのさ……。そんなことより、爆弾どうにかしないと!」
キッカ「そうだった! たいへんたいへん~!」
レツ「あ~っ、あった!」
キッカ「こっちにも!」
カツ「こっちもみつけた!」
レツ「で、でもこれどうしよう」
キッカ「車で運ぶ~?」
カツ「でも大人じゃないと……」
レツ「お、おれが動かす」
カツ「で、できるの?」
レツ「……ど、どうにかする!」
カツ「えぇ~……」
キッカ「がんばれ~!」
──ジャブロー、未開発区画
アムロ「こことか、敵のモビルスーツが潜んでいそうだけど……ンッ?」
ブロロロ……
アムロ「あれは……カツ、レツ、キッカ?」
アムロ『カツ、レツ、キッカ! 何してるんだ!』
カツ「うわあ、ガンダム! アムロにいちゃん?」
キッカ「でもなんかちが~う!」
アムロ『だから、何してるんだって!』
キッカ「あのね、これバクダン! ガンダムの工場にジオンがくっつけてったの!」
アムロ『!? レツ、車を停めろ! 後は、ぼくがどうにかするから』
レツ「停め方わかんないんだよ~っ!!」
アムロ『えぇっ! えっと……、左だ! 左側のペダルを踏むんだ!』
レツ「こ、これか!?」
グイッ!!
キキィィィ~~ッ!!
キッカ「にゃ~!!」
カツ「うわあ! いてっ」
レツ「ふぎゃっ」
アムロ『だ、大丈夫か? 手に乗って、コクピットに入れてあげるから、おとなしくするんだぞ』
キッカ「あ~い!」
アムロ「ホワイトベース、聞こえますか」
オスカー「どうした?」
アムロ「ブライトさんに代わってもらえますか? ちび達を保護しました」
ブライト「おお、アムロ! 三人は無事か」
キッカ「元気~!!」
アムロ「うわっ」
レツ「こら、静かにしてろ」
キッカ「ぶ~」
カツ「……酔った……」
アムロ「……ごらんのとおりです」
ブライト「はは……そうか、よかった」
アムロ「それで、この三人がジオンの諜報員がジムの工場に仕掛けた爆弾をエレカに乗せて運んでたんです」
ブライト「なにっ? よくやった三人とも!」
アムロ「時限式で、残りは30分ほど。……結構余裕あります」
ブライト「わかった。カラス少佐に聞いてみよう。少し待ってろ」
ブライト「そこから行った先に、まだ工事が終わってなくて何もない断崖があるらしい。そこで爆破処理を行ってほしいとのことだ」
アムロ「了解。じゃあ、処理が終わったら報告します」
ブライト「うん、頼むぞ。マップデータを送信しておく」
アムロ「ここか?」
カツ「そうみたい」
アムロ「よぉ~っし!」
キッカ「そ~れ、いっけ~!」
アムロ「それっ!」
斜面を転がるエレカを、頭部バルカンで破壊する。
火花や爆発に巻き込まれて、時限爆弾もすべて爆発した。
キッカ「わぁ、しゅごい!」
レツ「きたねー花火だぜ!」
カツ「どこから覚えてきたのそんな言葉」
レツ「カイにいちゃん」
アムロ「……後で怒っとこう」
アムロ「ブライトさん、爆弾の処理完了しました」
ブライト「よくやった! カラス少佐には連絡しておく」
アムロ「それと、一度そちらに戻って子供達を降ろしますね」
ブライト「おう。セイラとフラウ、ミライにも伝えておく」
──ホワイトベース、モビルスーツデッキ
フラウ「三人ともっ!」
カツ「おね~ちゃんっ!」
レツ「おねえちゃん!」
キッカ「おねーちゃん!」
ミライ「無事でよかったわね……」
セイラ「ええ。でもジオンの兵士に捕まったとかって聞いたわ?」
キッカ「なんかね、モジモジくんで鼻が赤かった!」
セイラ「……そ、そう。……モジモジくん……?」
ハロ「アカハナ! アカハナ!」
フラウ「それじゃあトナカイじゃない!」
ミライ「ルドルフさんね」
アカハナ「へっくし!!」
イワノフ「どうしました?」
アカハナ「い、いや……風邪か?」
オムル「アムロ! とりあえずジム用だが、火器だ!」
アムロ「ありがとう、オムルさん」
オムル「そのマシンガン、ビームライフルと取り回し違うからな! 気をつけろ!」
アムロ「了解! では、アレックス出ます!」
E:90mmブルパップマシンガン、シールド(ジム・コマンド用)
Peep!
カラス「アムロ准尉!」
アムロ「しょ、少佐?」
カラス「E-52スペースポートのゲートがジオンの工作員によって開放されたようだ! そこからジオンのモビルスーツが侵入している。そちらへ向かい、迎撃にあたってくれ!」
アムロ「了解です!」
ブライト「アムロ! タカアキ・ヤジマ少尉とイ・ウンジュ少尉を向かわせる! 合流しろ!」
スレッガー「スレッガー隊、到着! 先に戦闘行動に移行する!」
ブライト「了解だ! ホワイトベースの守りには、カイとハヤトのキャノン、シェーンベルグ兵長とジョブ・ジョンのタンクが当たっている。こっちは大丈夫だからな」
アムロ「はい!」
タカアキ「准尉、待たせた!」
ウンジュ「じゃあ、道案内は任せてくれ。ついてこい!」
アムロ「はい!」
スレッガー「ンッ!? なんだ、あいつは……速い……!?」
エトゥル「う、うわ、うわああっ!? 中尉、助け……スレッガー中尉ィィィ!!!!!」
ミカエル「な、なんだ!? あのモビルスーツ、速……アッ」
ウォン「ク、クソ、なんなんだ!? あの……“赤いモビルスーツ”……!!!」
スレッガー「おい、お前ら!? ク、クソ……! って、やべえ!!! う、うおぉっ!」
アムロ「!?」
ウンジュ「な、なんだ今の」
タカアキ「……え……?」
ブライト「おい、何が起きた!?」
マーカー「スレッガー隊、全機反応消失!」
ブライト「何!? パイロットは?」
マーカー「…………バイタルサイン、全部途絶えました」
ブライト「何……だと……? “ジャブローの荒鷲”が……、一瞬で?」
アムロ「……奴だ」
ブライト「なに?」
アムロ「“奴”が来たんだ……!!」
ブォン……
シャア「フフフ……連邦の新モビルスーツ、どれほどかと思ったが……大したことはないようだな」
三人の小さな力が、連邦軍の基地を守った。
託児施設に預ける話も出ていたが、これで誰にもそんなことは言わせないだろう。
しかし、安心も束の間。
あの“赤いモビルスーツ”がホワイトベース隊を強襲する!
機動戦士ガンダム 次回、『ジャブローに散る!』
君は、生き延びることができるか?
突然サブタイトル変更してごめんなさい。
便宜上順番を変えました。
というわけで、次回は赤い彗星強襲!
また暫くかかると思うので、一週間くらい空くと思ってください。
シャアは、生き延びることができるか?
乙
シャアは生き恥を晒すなら誰にも引けをとらないから…
あとスレッガーさんの生死が気になるところ
この時点で完成してるアレックスとか無双にも程があるレベルじゃね
そういやチョバムはついてるんだろうか
早く出来そうなので、このあと1時頃から投下します。
ネクストコナンズヒーント
『>>1はシャアが大好き』
>>72
シャアは殺すに惜しいキャラですよね。
スレッガー隊、ジ・オリジンではジブラルタルで壊滅しましたからね……可哀想に()
>>74
現在の装備
通常形態・90mmブルパップマシンガン、シールド
チョバムはつけてません
──五分前
──スペースポート E-52
スレッガー「スレッガー隊、到着!」
ウンジュ「敵さんウヨウヨしてますよ」
ミカエル「ちゃっちゃと片付ければいいでしょ!」
エトゥル「へへ、スレッガー隊倒したいならこれの倍はもってこいってね」
スレッガー「緒戦一発で決め科白をとるぞ!」
スレッガー機が一歩前へ進む。
スレッガー「ジム乗りが見たけりゃ、スレッガー小隊を見ろってな!」
スレッガー隊「「「おうッ!」」」
ミカエル「しかし、首ナシに頭デッカチ、スカート付き……見たことないモビルスーツばかりだ……ジオンの新型ですかね?」
スレッガー「ああ。アムロ准尉なら知ってそうな奴もいくつかいるんじゃないかね。あとで聞くか」
ウォン「ですね。でも、まずはこいつらだ」
ササササッ!
スレッガー「ンッ!? 今の赤い首ナシ……!」
エトゥル「えっ? どれです?」
スレッガー「おい、エトゥル、出過ぎだぞ!」
その刹那だった。
赤い“首ナシ”が躍り出て──
エトゥル「う、うわ、うわああっ!?」
スレッガー「エトゥル!!!?」
スレッガーがマシンガンを構えた時には遅く──
エトゥル「中尉、助け──! ス、スレッガーちゅ──」
エトゥル・ベオルバッチェ曹長の乗るジムの腹を、鋭利なアイアン・クローで貫いていた。
ボゴォッ!!!
スレッガー「エトゥルが……!」
貫通したジムの腹越しに、“赤いモビルスーツ”はビームを放ち、ミカエル・ロドリゴ軍曹のジムを狙い撃った。
ミカエル「な、なんだ!? あのモビルスーツ、速──アッ」
閃光はミカエル機の腹部を正確に刺し貫いていた。
ウォン「ク、クソ! なんなんだ!? あの──“赤いモビルスーツ”──あああ!?」
一瞬間の後に、ウォン・チャン伍長のジムはミサイルの雨に焼かれていた。
スレッガー「おい、お前ら!? ク、クソ! 一瞬で、そんなバカな!!」
“赤いモビルスーツ”がスレッガー機へと立ち向かう。
スレッガー「──って、やべえ!!! う、うおぉぉっ!!!!?」
シャア「フフフ……連邦の新モビルスーツ、どれほどかと思ったが──」
シャアのモビルスーツ『ズゴック』がゆっくりと立ち上がる。
シャア「どうということはないようだな」
ブオォーン……
シャア「このモビルスーツ『ズゴック』を前にしては、敵ではないということか!」
『ジャブローに散る!』
<BGM:http://youtu.be/yyy_crmOAow>
テケテーン、テケテン。
寝落ち。
また投下はじめます
──スレッガー隊壊滅から五分後
──スペースポート E-52
アムロ「……ウンジュ少尉、タカアキ少尉。スレッガー小隊を単機で壊滅させた敵のエース……おそらく、シャアです」
ウンジュ「シャア!? “赤い彗星のシャア”!?」
タカアキ「う、嘘だろ……こんなとこで」
アムロ「ぼくが単機で奴をヤります。だから、お二人はスレッガー隊の救援と、増援が来るまでの戦線維持を」
タカアキ「えっ……いや、でも、さすがに単機じゃ」
アムロ「ぼくは、今まで何度もシャアと戦ってきたんです。ぼく以外にだれがやれるっていうんです」
ウンジュ「……わかった」
タカアキ「ウンジュ!?」
ウンジュ「現状じゃ、アムロくんが適任だっていうの! なら任せるしかないでしょうが」
タカアキ「だが! ──わかった。でも、死ぬなよ」
アムロ「無茶を言ってくれちゃって。いきますよ!」
シャア「! 来たか、ガンダム!!」
ボラスキニフ「データと違います!」
シャア「うん。あれが、サイクロプス隊が追っていたっていう新ガンダムだろうよ!」
アカハナ「鬼のサイクロプスが失敗するとは……! とっとと囲んでフクロにしちまいましょう、大佐!」
シャア「アッガイでは力不足だ! ボラスキニフ隊と一緒に援護射撃を頼む!」
アカハナ「ぐぬぬ……了解でありますっ!」
ボラスキニフ「はっ! グラムスとコマンチ、交互に撃って射撃を絶やすな!」
ボラスキニフ隊「「了解!」」
ゾックと二機のゴッグ、五機のアッガイがアレックスに向け砲火を集中する。
しかし、それはもはやアムロにとって脅威ではなかった。
アムロ「見える! どんな大口径ビームでも、当たらなければなんてことないじゃないか!」
ボラスキニフ「ええい、なんでだ?」
アカハナ「ロックオンはできているはずだっ」
シャア「ふ、ふふ……! さらにできるようになったな、ガンダム!」
アムロ「やっぱり、シャアだ! この動き!」
シャア「だが、新型とはいえこれはどうだ!?」
ズゴックの頭部に備えられたロケット・ランチャーから、上方に向かってロケット弾が放たれる。
それはおおよそアレックスの頭上で岩盤を砕き、落盤を招いた。
アムロ「姑息な真似を! シャア、おれを怖れているのかあっ!!」
瞬発力を発揮してズゴックへと体当たりを見舞い、マシンガンを突きつける。
シャア「うわっ! ええい、バランサーがイカれたか!?」
アムロ「迂闊な奴め!!」
シャア「ロックオンされたか! だがビーム・ライフルなんて手数の少ない武器では──」
キュババババッ!!
シャア「何っ!? マシンガンだと!」
アムロ「シャアめ、油断したな!」
シャア「ちいっ、メインカメラをやられるとは!」
アレックスがマシンガンを投げつける。
シャア「うおおっ!」
そして、ビーム・サーベルを抜き放ち、大きく振りかぶった。
アムロ「シャア、覚悟!!」
ヒュボボボボッ!!
突如、戦場に複数の有線ミサイルが割り込んだ。
アムロ「うっ? なんだ?」
シャア「た、助けられたというのか!」
ウッディ「ガンダムを、やらせはせんぞ!!」
アムロ「ホバークラフト!? 無理ですよ、ウッディ大尉!」
ウッディ「うおぉーっ!!」
ヒュボボッ!!
赤いズゴックの肩にミサイルが当たるも、装甲に煤がついた程度の損傷。
かえってシャアを逆上させることになった。
シャア「そんなビークルで、このズゴックに立ちはだかろうなど!」
ズゴックの右腕が振り下ろされ、ミサイルホバークラフト・ファンファンのコクピットがひしゃげる。
アムロ「!!! ウッディ大尉!?」
シャア「邪魔をして! ……退くぞ、援護しろ!」
ボラスキニフ「了解!」
アカハナ「了解であります」
ウッディの死の最中、アムロの脳内をマチルダの死が駆け抜けた。
瞬間、アレックスは猛進していた。
アムロ「このデカブツっ、退けええっ! シャアを討たせろ!!」
ボラスキニフ「ああっ!?」
ゾックの、特徴的な黄緑色の胴体が横に一閃される。
そしてその断面を踏み台に、アレックスは撤収するズゴックに追いついてみせた。
シャア「ええい、冗談ではない! ゾックを踏み台にしただと!?」
アムロ「推力ならこちらが──」
アカハナ「大佐をヤらせるものかよ!!」
アッガイがアレックスへと、ラグビーのタックルのようにしてしがみ付く。
しかし気にも留めず、アレックスはブースターを吹かし続けた。
アカハナ「引きずるっていうのかあ~!?」
アレックスがビーム・サーベルを投擲した、それと同時だった。
シャア「マリガンッ!」
マリガン「はいっ!!」
ズゴックの左腕を刎ねたものの、それで撃墜とはいかず。
テーブル・マウンテンに穿った横穴からズゴックが勢いよく抜け出し、タイミングを合わせてドダイに飛び乗った。
シャア「アカハナっ、逃げろっ!」
アカハナ「そ、そんなこと言ったって──、う、うわぁあ!!」
アムロ「邪魔をしたなあっ、この頭でっかちめ! あと少しで、シャアを討てたというんだぞ!」
アレックスのビーム・サーベルが、まとわりついていたままだったアッガイを強引に切り払う。
アカハナ「あああああっ!!!」
ばらばらになったアッガイの残骸を振り払って、アムロは独りごちた。
アムロ「あれはシャアだ。間違いない。奴は、こんなところまでぼくたちを追ってきたのか……?」
──横穴付近。一時間後
タカアキ「アムロ准尉!」
アムロ「タカアキ少尉、ウンジュ少尉。 スレッガー小隊はっ?」
ウンジュ「スレッガー中尉以外は……」
アムロ「……中尉だけでも無事だったんですね、よかった……」
スレッガー「だ~れが死んでるかと思ったってのよ!?」
アムロ「! スレッガー中尉!」
スレッガー「よう、ガンダムちゃん。お前さんのおかげでこっちは助かった。ありがとうな」
アムロ「!! ……いえ、ご無事で何よりです。戦闘も終結したようですし、ホワイトベースに戻りましょう」
スレッガー「そうしてくれ。俺は一度ジャブローの病院で治療を受けるから、そっちとの合流はまた遅れそうだ」
アムロ「了解。早い快復を」
スレッガー「おう、ありがとよ!」
ウッディ『おい、自惚れるなよ! 戦争ってのは、きみ一人の活躍でどうにかなるもんじゃない! マチルダが無駄死にだったと言うつもりか?』
ウッディ『──なら、きみはきみのできるベストを尽くすんだ』
アムロ「……ウッディ大尉。ぼくは、ひとりでも多く助けることができました……。でも、あなたがあんな無茶をしちゃあ、いけないでしょう……!」
フラウ「アムロ、聞こえて?」
アムロ「! フラウ。聞こえてるよ」
フラウ「基地内の戦いは大分片付いたみたい。ジオンは壊滅したけど、こっちも相当の被害だって」
アムロ「……そうだろうな。とりあえず、そっちに戻るよ」
フラウ「ええ、みんな待ってるからね」
──ホワイトベース、ブリッジ
アムロ「戻りました」
ブライト「よくやった、アムロ。スレッガー隊、まだ一度しか顔合わせしていなかったが……惜しいパイロットたちを亡くしたな」
ハヤト「ええ。でも、スレッガー中尉が無事だっただけでも……」
ブライト「そうだな……。それもアムロが単機で敵を撃退してくれたおかげだ。ありがとう」
カイ「ほんと、アムロちゃんどうしちゃったわけよ? 最近神がかり的でお兄さんびっくりしちゃうぜ」
アムロ「やめてください、アレックスのパワーが優れているだけですよ。……それより、あの……ウッディ大尉のことですけど」
ミライ「そういえばさっきから姿を見ていないわ」
アムロ「……戦死、されました」
フラウ「えっ、ウッディ大尉が?」
ブライト「なに!?」
アムロ「シャアと戦っているときに、ホバークラフトで飛び出してきて……シャアに……」
ブライト「シャア? シャアだと!?」
アムロ「はい、赤い彗星のシャアです」
セイラ「見たの?」
アムロ「戦いました。新型のモビルスーツでしたけど、赤く塗っていたし、何より──あの動きは、間違いない。赤い彗星のシャアです」
セイラ「……!」
ブライト「奴が、戻ってきたのか……!」
アムロ「ええ。……≪赤い彗星のシャア≫が……」
スレッガー・ロウは生きていた。しかし、シャアの復活──少しの間忘れていた脅威が、再び迫っていることにホワイトベースのクルーは動揺する。
そして、ホワイトベースは、宇宙(そら)へあがる。
機動戦士ガンダム 次回、『宇宙(そら)へ』
君は、生き延びることができるか?
数の上では明らかに劣勢だし最新型のガンダムに傷付けられる訳にもいかんから、
ウッディさんが出てくるのもしゃーないよなあ…
お前ら、無駄死にのことウッディって言うのやめろよ!
ウッディがあまりに無駄死に過ぎたので、
>>97ってことにしておいてください……
お茶濁し的なTips
【メカニックのイメージ②】
アレックス
→ http://i.imgur.com/9niWVq0.png
アニメ版とほぼ同一。
腕ガトリングがないので、カバーの可動部をなくした程度
ジム
→ http://i.imgur.com/MM3vQyP.png
→ http://i.imgur.com/ZJksLIb.png (スレッガー仕様)
オリジン版から顎と脛の姿勢制御バーニアをひとつ削ったくらい。
スレッガー機はコクピットハッチの上面にパーソナルエンブレム(Sと剣)、左肩に部隊章(Sと鷲)が入ります。
ガンキャノン
→ http://i.imgur.com/ewUcVA6.jpg
オリジン版
コアファイター
→ http://i.imgur.com/tnuAjLn.jpg
オリジン版
ズゴック
→ http://i.imgur.com/Sj9o7YO.jpg
手描きで失礼。
ベースはオリジン版。主に下半身のデザインと、プロポーションをいじってあります。
シャア専用は暗めの赤。一般機は赤い部分が灰色。(ズゴックEのイメージ)
ゾック
→ http://i.imgur.com/a7pviTP.jpg
オリジン版
アッガイ
→ http://i.imgur.com/xhrWJxQ.png
オリジン版
ゴッグ
→ http://i.imgur.com/cBCCTAt.jpg
オリジン版
ウッディ大尉のいらんことした感感なくしたいので、こんなん即興で。
>>28の後
ブライト「アムロ、カイ、ハヤト! ──」
ウッディ「整備班、作業を一時中断とする! 非戦闘員には避難命令が出ている、シェルターで解除を待て!」
整備兵「大尉はどうなさるんです!」
ウッディ「自分の仕事をする!」
整備兵「仕事って」
ウッディ「忘れたか? 僕は大尉なんだぞ!」
整備兵「あっ、行っちまった。……あんたは技術大尉でしょうに」
ウッディ大尉のいらんことした感感なくしたいので、こんなん即興で。
>>28の後
ブライト「アムロ、カイ、ハヤト! ──」
ウッディ「整備班、作業を一時中断とする! 非戦闘員には避難命令が出ている、シェルターで解除を待て!」
整備兵「大尉はどうなさるんです!」
ウッディ「自分の仕事をする!」
整備兵「仕事って」
ウッディ「忘れたか? 僕は大尉なんだぞ!」
整備兵「あっ、行っちまった。……あんたは技術大尉でしょうに」
─第七指揮室
カラス「ガンタンク隊を展開しておけ!」
ウッディ「失礼します。カラス少佐、ホワイトベースの防衛はどうなっているんでしょうか」
カラス「ホワイトベースについては自分らでなんとかできるとのことだから、任せてある」
ウッディ「な、なんですって。これだけガンタンクとジム、戦車がありながら、ホワイトベースの護衛にはつけない、と?」
カラス「そんな余裕はない!」
ウッディ「ですが、あれはジオンに執拗に狙われています! いくらガンダムがいても、守り切れるかどうか」
カラス「あちらの戦力だけで、ガンダムだけじゃなく、ジムと改良型のガンキャノンが数機、ガンタンクも五台ほどあると言うじゃないか。十分だよ」
ウッディ「ですがっ。……いえ、わかりました。失礼しました」
カラス「? やけに聞き分けがいいな……」
─ビークル格納庫
ウッディ「ガンタンクは残ってるか?」
整備士「いえっ、すべて出払っておりまぁすっ!」
ウッディ「ならば、六一式は?」
整備士「それもすべて!」
ウッディ「なんと。なら、出せるものはないのか?」
整備士「あれなら……どうでありましょうか」
ウッディ「! ミサイルホバークラフトか!」
整備士「燃料も入っております。ミサイルと機銃も装填済みです」
ウッディ「ありがとう。これを借りるよ」
整備士「は!」
─スペースポート、ホワイトベース前
ウッディ「ブライト大尉、聞こえるか」
ブライト「えっ、ウッディ大尉っ?」
ウッディ「ぼくもホワイトベースの援護に──うんっ?」
アムロ「ザザッ──!──大口径ビーム──ザザザッ──当たれば──ザザーッ──!!」
ウッディ「アムロくんっ!?」
ブライト「アムロっ!?」
ウッディ「アムロくんはどこに!」
ブライト「E-52スペースポートです! スレッガー隊もヤられて……!」
ウッディ「なんだって!? くそっ、援護しにいく!」
ブライト「ええっ? お、お願いします!」
ウッディ「待っていろよ、アムロくんっ……!」
──E-52スペースポート
ウッディ「なんだ、これは……」
ジムのかばねが山のように折り重なっている様は、正に死屍累々。
擱坐したガンタンクや六一式も数多転がっている。
タカアキ「ウンジュ、そっちは!」
ウンジュ「……だめだ。ウォン・チャン伍長、戦死確認」
タカアキ「……そうか。こっちは体すら残ってない。ミカエル・ベオルバッチェ曹長、戦死確認」
ウンジュ「ン? あのホバークラフトは?」
タカアキ「知らん。……あれウッディ大尉じゃ?」
ウンジュ「まさか──」
ウッディ「君たち、アムロくんはっ?」
ウンジュ「大尉っ!? シャアの相手をする、って単機で──」
タカアキ「我々にはヤられた奴らの救助を、と」
ウッディ「あっちか?」
タカアキ「え、はい。増援の要請はしたんですがなかなか。大尉からもお願いします」
ウッディ「わかった」
タカアキ「行っちまった。大尉のホワイトベースへの入れ込みは相当だな」
ウンジュ「ああ、まったくだよ。 ──あっ、スレッガー中尉、生きてるっ?」
タカアキ「なにっ? ハッチ空かないのか!」
ウンジュ「ヒン曲がってやがる! ジムもってこい!」
タカアキ「おう!」
ウッディ「カラス少佐! 聞こえますか!」
カラス「大尉!? どうした」
ウッディ「E-52スペースポートに敵のエースパイロットがいるらしい。アムロ准尉もうまくやってるようですが、死傷者多数! 救援隊を!」
カラス「了解した。きみは現場の確認・指揮を──」
ウッディ「!! あれは、赤いモビルスーツ?」
カラス「おい、大尉!?」
シャア「これならどうだ!?」
赤いモビルスーツの頭部からロケットが放たれ、アレックスの頭上で炸裂、岩盤を砕いた。
アムロ「シャアめ、姑息な真似を!」
ウッディ「い、いかん!」
気付いた時には突進していた。
立場も忘れ、ただアムロ少年とガンダム、ホワイトベースを守りたい一心が彼を突き動かていた。
ウッディ「マチルダが守った少年を、死なせるものかよ……!」
カラス「大尉、何を──」
ウッディ「これでも食らえ!」
操縦桿のトリガーを引き絞る。
放たれたミサイルの雨は、切迫するアレックスとズゴックの間に割って入った。
アムロ「うっ、なんだ?」
シャア「た、助けられたというのか!」
ウッディ「ガンダムを、やらせはせんぞ!!」
アムロ「ホバークラフト!?」
ウッディ「下がれ、アムロくん!」
アムロ「無理ですよ、ウッディ大尉!」
ウッディ「うおぉーっ!!」
再びトリガーを引き絞り、残った全てのミサイルがズゴックを襲う。
しかし、対戦車・対人兵器であるミサイルホバークラフトのミサイルでは、ジオンの新モビルスーツにダメージを与えるには至らなかった。
ましてや、水陸両用として海底の高水圧にも耐えうる重装甲を備えたズゴックには、部が悪かった。
シャア「そんな対人ビークルで、このズゴックに立ちはだかろうなどと!」
ズゴックの右腕──丸みを帯びていて先端にはツメがついている──が高く振り上げられた。
ウッディ「ああっ!!」
カラス「大尉! 大尉!?」
『蛇に睨まれた蛙』とはよく言ったもので、巨大な脅威が前に立ちはだかってみると体がうんともすんとも言わないものなのだ、とウッディ・マルデンは体感した。
ウッディ「っ──!」
死の間際というのは、今までの人生の記憶が走馬灯のように脳裏を駆け抜けるという。
しかし、ウッディの心を駆け巡ったのは、先に逝った婚約者マチルダ・アジャンとの思い出ばかりだった。
アムロ「!!! ウッディ大尉!?」
機動戦士ガンダム外伝『死に急いだ男』、完
ウッディ『すまない、アムロくん。あとは頼むよ』
ガンタンクもオリジン版のMSじゃなくMBTなやつなんかな
外見的にはTV版よりオリジン版や08の量産型が好きなんだが
強襲型やタンクⅡになると微妙に感じるのは何故なのか
自分でもよく分からん
>>118
ガンタンクはMBT扱いですね。
ビジュアルは量産型タンクとオリジンタンクの合いの子を適当にイメージしてもらえるとw
まぁもう出番もおそらくないし……
そういえばガルシアロメオの存在忘れてた……
ガンダムエースの編集長はワニのエサになりました……(´・ω・`)
ロメオ「ア、アッザムがぁーーっ!!」
シャア(それ見たことか)
少し筆が止まってます。
私情ですが、セレッソ大阪がJ1残留決めるまでは落ち着かんのや……。降格なんてせえへんねや……。
Gレコ面白すぎてつらい。セリフ繰りの参考にもなります。
BFTはなんというか安定の見易さでホッとしますね。
ちゃんと続き出すので、もうしばらくお待ちください。
ようやく宇宙あがるはずだから……。
ちなみに時間軸としては
サイド7襲撃(ガンダム大地に立つ)
↓
ルナⅡ
↓
大気圏突入
↓
北米・シアトル(ガルマ散る)
↓
アジア・タクラマカン砂漠
↓
ヨーロッパ・黒海沿岸
↓
オデッサデイ
↓
ベルファスト(大西洋血に染めて)
↓
ジャブロー←いまココ
今のところアニメ版通りの進行になってます。
オリジンだとジャブローのあとにオデッサ攻めますけどね。
マ・クベの最期はオリジン版の方が好きだな
>>124
マクベ戦死済みと迷ったんですけど、あれくらい潔いマクベを書くつもりなので待っててくださいw
(オデッサ逃げた時点で潔くないとか禁止)
セレッソの降格も決まってしまったんで心切り替えて、さっさと書いて明日の夜にでも投下します……
──南米・ジャブロー基地、スペースポート
ブライト「スレッガー中尉のことだが、昨晩、隊の編成から外れることが通達された」
アムロ「そうですか……でも怪我も軽いみたいで、よかったです」
ブライト「そうだな。それもアムロ、お前が頑張ったからだ」
カイ「そうだぜ、アムロちゃんよう。お前さんの新しいおべべがイカしてるからだぜ」
アムロ「やめてくださいよ、二人とも」
?????「よう、ブライト大尉はいるかい?」
セイラ「あら……? ブライト、お呼びよ」
ブライト「んっ、私ならここに……えっ!」
スレッガー「スレッガー・ロウ中尉だ。改めて、今日付けでこっちへ転属になった」
ミライ「お怪我は大丈夫なの?」
スレッガー「っはは、ぼくちゃん頑丈なもんでね! しかし俺もツイてきたな。こんな綺麗なお嬢さんにご心配いただけるなんて、ネ」
ミライ「あら、お上手なのね」
スレッガー「ははは、改めてヨロシク、ミライ曹長」
ミライ「ええ、よろしくお願いします、中尉」
スレッガー「んっ? ……」
カイ「…………」
ハヤト「……どーしたんです、二人して顔を見合わせて?」
カイ「へへへへへっ」
スレッガー「へへへへへっ」
ハヤト「なんなんです? もう」
セイラ「中尉、お元気そうでなによりです」
スレッガー「どうも。ん? なんだ? あんた、男のことで悩んでる相が出てるぜ」
セイラ「えっ?」
アムロ「そうなんです?」
セイラ「えっ……いえ? ……そんなことは……」
スレッガー「なんてな。ははははっ」
スレッガー「──よお、俺のねぐら、どこ?」
『宇宙(そら)へ』
<BGM:http://youtu.be/yyy_crmOAow>
──宇宙世紀0079年12月2日
レビル『大いなる戦いの第一歩は、諸君らの勇気ある行動にかかっている』
レビル『この戦いに我が地球連邦軍が勝利した暁には、今日という日は偉大な一日として全地球市民に記憶されるであろう!』
レビル『全将兵の健闘を祈る次第である。これより──』
ホワイトベースの大型ディスプレイに映し出された、ヨハン・エイブラムス・レビル将軍の精悍な表情。
かつて「ジオンに兵無し」の演説を行った宇宙艦隊将軍は、全軍を司る総司令官として、今大戦の収拾を図っているところであった。
そして、発動されたのが──
レビル『星一号作戦を、発動する』
一大反攻作戦、『星一号』である。
──ホワイトベース、ブリッジ
ブライト「よぉーっし! ホワイトベースに火を入れろぉっ!」
アダムス「アイアイ!! 火を入れろお~っ!!」
カラス「進路クリアー! スペースゲート、開放!」
ゴゴゴゴ…………
カラス「ホワイトベース、発進せよ!」
ブライト「ホワイトベース、発進!!」
ミライ「ホワイトベース、発進!」
ゴウン……ゴウン……ゴウン……
キィキィキィ! バサバサバサッ!!
キッカ「うわー、とりだあ!」
カツ「きれー……」
ブライト「手の空いている者は左舷を見ろ。フラミンゴの群れだ」
フラウ「すごいわ、夕焼けの中を悠然と……」
マーカー「ビデオに撮っておきます」
ブライト「うん、許可する」
カラス「続いて第16独立艦隊も発進する。進路に気を付けぇえーぃ!」
ブライト「了解! オスカー、マーカー。レーダーしっかり確認頼むぞ」
オスカー、マーカー「「了解!」」
アムロ「あれは……ホワイトベース?」
ブライト「ん? 本当だ。艦名照合できるか?」
オスカー「はい。……えーっと」
マーカー「あ、出ました。ペガサス級強襲揚陸艦四番艦・サラブレッドです」
オスカー「艦長は……キルスティン・ロンバート中佐ですね」
ブライト「ロンバート中佐だと!? 通信繋げるか?」
オスカー「は、はい。繋ぎます」
ブライト「ロンバート中佐、お久しぶりです!」
ロンバート「おお……ブライトくんじゃないか」
ブライト「士官学校ではお世話になりました。現場復帰されていたんですね?」
ロンバート「ああ。まぁ年寄りなりに思うところがあってな。きみの噂も聞いておるよ」
ブライト「! そ、そんな……」
ロンバート「謙遜が下手だな。相変わらずだ、フフフ」
ブライト「は、はぁ……」
ロンバート「おや、そちらは?」
アムロ「えっ? あ、アムロ・レイ准尉です」
ロンバート「アムロ・レイ……噂のガンダムのパイロットか。まだ顔立ちは幼いが……そうか、きみのような若者に頼らねばならんか、我が軍も」
アムロ「え、えぇ……?」
ロンバート「すまん、老人の独り言だ。──では、ブライト・ノア艦長。武運を祈る!」
ブライト「キルスティン・ロンバート艦長殿、そちらこそご武運をお祈り致します!」
マーカー「通信、終わりました」
ブライト「……ふぅ~……まさか現場復帰されていたとは」
アムロ「士官学校時代の?」
ブライト「そうだ。俺の担当教官だったんだが、出来の悪い俺を辛抱強く指導してくださった、恩師なんだ」
アムロ「ブライトさんが、出来が悪い? ならリード中尉はどうなるんです?」
カイ「……おいおい、よせよアムロちゃん。それはマジでタブーだぜ、タ・ブ・ウ」
ブライト「……あれと、比べんでくれ」
カイ「わ~お、言うじゃないのカンチョーさん」
セイラ「ブライトも言うのね、そんなこと」
カイ「ヒヒヒ、本性が出てきたのサ」
セイラ「おやめなさい、そんな下卑た笑い」
カイ「へ、へぇ~い……」
アムロ「ふふふっ」
──宇宙世紀0079年12月3日、アルゼンチン沖
──マッドアングラー、ブリッジ
シャア「キャリフォルニアまでどれ程か」
マリガン「あと二日は……」
シャア「ええい、悠長にしていられるか、キャリフォルニア・ベースが陥落してしまう」
マリガン「そうなれば、キンバライドかキリマンジャロ、バイコヌールへ向かうしか……」
シャア「手負いの我が隊で、艦を降りての長距離移動は避けたいな」
マリガン「同感であります。最大速度でキャリフォルニア・ベースへ向かいます」
シャア「そうしてくれ。私は少し休ませてもらう。何かあれば呼んでくれ」
マリガン「はっ」
──同刻、衛星軌道上
──ムサイ級ファルメル、ブリッジ
ドレン「おい、連邦の艦の反応があったのはこのあたりなんだな?」
副官「はい、大尉」
ドレン「ううん、確かにミノフスキー粒子濃度高まっているな」
副官「はい。戦闘濃度とまではいいませんが、残留粒子というには多すぎます」
ドレン「おう、目視での警戒厳に! フラシィのドムはまだ戻らんのか?」
副官「まだ──おっ、見えました。フラシィです」
ゴインッ
ドレン「うおぉっ。接触回線開くときは、ブリッジを揺らすなって言っておけ! まったく」
フラシィ「すいません、大尉。でも、見つけましたよ」
ドレン「何をだ」
フラシィ「木馬です」
ドレン「ん? 木馬って?」
フラシィ「木馬ですよお! 木馬!」
ドレン「…………も、木馬だとおっ!? シャア少佐は討ち漏らしたっていうのか!」
フラシィ「それはわかりません。同型艦かもしれませんけど、単艦です」
副官「……大尉。叩くなら、今では」
ドレン「そうだな……よおっし、キャメルとスワメルにも伝えろ! 木馬を発見、これより奇襲攻撃を仕掛ける、と!」
フラシィ「アイ、サー!」
その時、閃光が奔った。
ドレン「!?」
右舷側を航行していたスワメルの機関に直撃し、爆発する。
ドレン「め、メガ粒子砲を当てたというのか!?」
副官「目視戦闘距離ではありません!!」
ドレン「く、くそお! モビルスーツ部隊全部出せ! 木馬へ吶喊攻撃を仕掛ける!」
──同刻、ホワイトベース
スレッガー「なあ~んってお上手なんでしょ、ボ・ク♪」
ブライト「み、見事だ。中尉……!」
アムロ「……すごい……!」
スレッガー「病み上がりで、モビルスーツの操縦は無理かもしれないが、砲撃の名手なんだぜ、俺ってばよ!」
ブライト「よおし、火蓋はこちらから切って落としてやった! モビルスーツ隊展開しろ!」
アムロ「あの、ブライトさん!」
ブライト「どうした、アムロ?」
アムロ「実は、アレックスで──」
オスカー「ECM、レーザーサーチャー最大稼働。ミノフスキー粒子、戦闘濃度散布!」
ブライト「総員、艦隊戦用意! モビルスーツ隊の発進準備急げよ!」
マーカー「目標、モビルスーツ隊を展開。Fラインを通過しました! スカートつきが九機!」
ブライト「よし、キャノンとジムを出せ! ムサイへは牽制砲撃だけでいい!」
フラウ「モビルスーツ隊、発進用意願います!」
ブライト「ミライ、回避運動任せる!」
ミライ「ええ!」
オスカー「カタパルト、挙動確認! ハッチ開放! いつでも出られます、マッケンジー中尉!」
クリス「了解。モビルスーツ隊、順次発進します!」
──モビルスーツデッキ
クリス「聞いてたわね? 今回はスレッガー中尉に代わって私がモビルスーツ部隊の指揮を執ります!」
カイ「ヒュ~、美人な上に仕事もできるなんて。素敵なお姉様だねえ、アムロ氏?」
アムロ「ええ、マチルダさんを思い出しますよね」
カイ「スタイルがいいところと、赤毛なのもな」
オムル「カイ。キャノンの推力が上がってるから、扱いに気をつけろよ」
カイ「おっと。はいはい~っと」
オムル「戦果を期待してるぜ」
カイ「お~ぅ、任されて~」
オムル「メカマン、退避急げ! 黒焦げになるか、さもなくば外に放り出されるぞ!」
メカマン「こいつ、指揮官用なんで出力違いますからね。スペック通りに動くと思わないでくださいよ!」
クリス「わかってるって言ってるでしょ? 離れないと吹き飛ばされるわよ!」
フラウ「発進どうぞ!」
クリス「クリスチーナ・マッケンジー、102(ヒトマルニ)出ます!」
カイ「108、出るぜ~!」
ハヤト「109、いきまあすっ!」
ジョブ・ジョン「103、出るぞ!」
タカアキ「104、出します!」
ウンジュ「105、出る!」
ダニエル「107、発進します!」
セイラ「106、行きます!」
ブライト「クリス! キャノンは本艦の直掩に回してくれ!」
クリス「了解! 聞こえたわね、J・J、カイくん、ハヤトくん、ダニエル? そっちはJ・Jに任せるわ」
ジョブ・ジョン「了解、中尉!」
ダニエル「了解ッス!」
カイ「はいよ!」
ハヤト「了解っ!」
>>139 訂正。 オムルとメカマンの台詞を修正。
──モビルスーツデッキ
クリス「聞いてたわね? 今回はスレッガー中尉に代わって私がモビルスーツ部隊の指揮を執ります!」
カイ「ヒュ~、美人な上に仕事もできるなんて。素敵なお姉様だねえ、アムロ氏?」
アムロ「ええ、マチルダさんを思い出しますよね」
カイ「スタイルがいいところと、赤毛なのもな」
オムル「カイ。キャノンの推力が上がってるから、扱いに気をつけろよ」
カイ「おっと。はいはい~っと」
オムル「戦果を期待してるぜ」
カイ「お~ぅ、任されて~」
オムル「メカマン、退避急げ! 黒焦げになるか、ともすれば外に放り出されるぞ!」
メカマン「こいつ、指揮官用なんで出力違いますからね。スペックそのままだと思わないでくださいよ!」
クリス「わかってるって言ってるでしょ? 離れないと吹き飛ばされるわよ!」
フラウ「発進どうぞ!」
クリス「クリスチーナ・マッケンジー、102(ヒトマルニ)出ます!」
カイ「108、出るぜ~!」
ハヤト「109、いきまあすっ!」
ジョブ・ジョン「103、出るぞ!」
タカアキ「104、出します!」
ウンジュ「105、出る!」
ダニエル「107、発進します!」
セイラ「106、行きます!」
ブライト「クリス! キャノンは本艦の直掩に回してくれ!」
クリス「了解! 聞こえたわね、J・J、カイくん、ハヤトくん、ダニエル? そっちはJ・Jに任せるわ」
ジョブ・ジョン「了解、中尉!」
ダニエル「了解ッス!」
カイ「はいよ!」
ハヤト「了解っ!」
アムロ「宇宙(そら)か……」
フラウ「アムロ、いつでも!」
アムロ「わかった」
操縦桿を握りしめる。
ハッチから覗く虚空を見つめて、一息。
アムロ「アムロ、行きまぁ~す!!」
クリス「彼我距離詰まってるわよ、戦闘用意っ!」
ウンジュ「うっ……この距離なら、どうだっ!!」
ビシュンッ! ビシュンッ!
<BGM:http://youtu.be/jqFEFCdIojY>
クリス「ウンジュ少尉っ? 早い、早すぎるわっ!!」
イ・ウンジュの早すぎた先制攻撃により、九機のリック・ドムが散開してしまう。
クリス「チィ、そこ! よし!」
タカアキ「うまい!」
まずはクリス機が一機仕留める。
しかし、それでも戦力比は一対二。早々に突出してしまったウンジュのジムが囲まれようとしている。
タカアキ「うっ……こういう時、慌てた方が負けなんだよなあ……!」
ウンジュ「うわああーっ!!」
ウンジュのジムに、ジャイアント・バズの砲弾が直撃し、盾が砕け散る。
タカアキ「ウンジュ、迂闊だぞっ!」
タカアキ・ヤジマの放ったビーム・ガンがドムを捉え、火球に変えた。
タカアキ「まずは一つ! って、うおおっ!?」
セイラ「たあっ! 一機撃破!」
タカアキ「お嬢、助かった!」
セイラ「どうしたしまして……ああっ! 突破された!」
クリス「チイッ、ガンダムはまだ? こっちはみんな宇宙は不慣れだし……これじゃあ持たないっ!」
──ホワイトベース、甲板
ジョブ・ジョン「来たか!」
カイ「ハヤト! ダニー! おいでなすったぜ!」
ハヤト「うわあっ、四機もいるじゃないですかあっ!」
ジョブ・ジョン「一人一機ずつ。それで──」
スレッガー「そこっ!」
主砲が直撃してドムが二機、炎に飲み込まれた。
ジョブ・ジョン「──予定変更。僕とハヤトで一機、もう一機はカイさんとダニーよろしく!」
カイ「はいよ!」
ダニエル「了解! そこだ!!」
──ホワイトベース、ブリッジ
マーカー「うぐっ! 第6ブロック、被弾!」
ブライト「ええい、左舷弾幕薄いぞ! 奴さんは動いてくれるんだ、下手に狙わずに弾幕張って!!」
オスカー「アレックス、間もなくポイント・Aに到達……!」
ブライト「もうすぐだ、持たせろぉっ!!」
──ファルメル、ブリッジ
ドレン「おいドム隊! 砲撃の邪魔だ、道を開けろ!!」
副官「白い奴が……」
ドレン「なんだあっ、聞こえん!」
副官「白い奴、ガンダムがいないそうです! ガンダムモドキが四機だけって!」
ドレン「なにいっ? そのドムは!」
副官「フラシィのです! 奴は見ていないって言っています!」
ドレン「そんなはずはない、よおおおおっく探せえ!! 絶対にいるはずだ!」
──アレックス、コクピット内
ハア……、ハア……
全天周モニターを星々が廻る。
ハア……、ハア……
まるで自分が虚空に放り出されているかのようで、孤独感が募る。
ハア……、ハア……
暫く忘れていたけれど、この感覚が『宇宙(そら)』ってことなんだろう。
ハア……、ハア……
ピピピピピ…………
カチッ、カチッ、カチッ!
<BGM:http://youtu.be/3fS1T9sOlhs>
──ファルメル、ブリッジ
ドレン「くそ、不気味だ! 作業用のザクも出せ! マシンガンでもレーザートーチでもいい、何でも武器にしろ!」
副官「んっ? 高熱源接近。キャメルに──」
ドレン「なんだああっ!!?」
ドゴォオッ!!!
強烈なビームの嵐が降り注ぎ、左舷を航行していたキャメルが一瞬で宇宙の藻屑と成り果てた。
ドレン「う、う、上だ! ガ、ガ、ガンダムかああああっ!!!」
副官「げ、迎撃! 迎撃しろお!!」
迎え撃つドムとザクの脇をすり抜け、すれ違いざまにビーム・ライフルを当てて次々と火球を生み出す。
ドレン「ぐうっ、化け物め! なんとしてもアレを止めろおっ!!」
その姿はまさに──
フラシィ「白い、悪魔……!! ああっ?」
副官「モビルスーツ全機、反応消失!!」
ドレン「なにいっ!! ……こ、こんなにも、パワーアップしたっていうのかああーっ!!!」
副官「総員、退艦! 退艦を──」
ドレン「──申し訳ありません、シャア少佐……!! ぬわぁぁぁぁっ!!!!!」
艦橋に一射目が、続いて全砲門と機関部、コムサイに光が突き刺さり、瞬く間に燃え尽きた。
もし生き残った人が伝えるとすれば、これぞ悪魔。
流星の如き疾さで駆け抜ける、戦場の白い悪魔であったろう。
アムロ「ムサイ級二隻、撃沈。敵残存戦力ゼロ、帰投します」
クリス「お疲れ様、アムロくん! さすがね!」
アムロ「おだてないでください……」
クリス「本当のことよ。自信を持って?」
アムロ「……あの、ありがとうございます」
クリス「それでヨシ!」
ブライト「みんなよくやった! では作戦通り、これより我が隊はサイド5宙域・テキサスコロニーへと向かう!」
セイラ「……テキサス、コロニー……」
セイラ(……兄さん……)
ミライ(……)
軌道上で待ち受けていたパトロール艦隊を見事に仕留め、アレックスの異次元な性能を見せつけたアムロ。
しかし、パトロール艦隊の脅威を退けたホワイトベースに、新たな敵が迫る!
機動戦士ガンダム 次回、『強行突破作戦』
君は、生き延びることができるか?
お待たせをいたしまして……
アムロの撃墜スコアーがどんどんかさんでいきますね。
シャアが宇宙に上がれない可能性が微レ存。
ではまた!
めぐりあいのOPは凄かったな
http://youtu.be/txS0Gl8iY7E
>>154
これかっこいいですよね!
当時感動したなぁ。
今回の投下は主に PS2『めぐりあい宇宙』のオープニングムービーを参考にしてます。
セリフと演出はほとんどそのまんまですね……。
アムロがアレックスに乗り換えたのと、ガンキャノンとコアブースター二機じゃなくってジム四機に、ムサイが三隻、ドムが九つになってるくらいの変更かな。
【登場モビルスーツ紹介①】
RX-78 NT-1 ガンダムNT-1 <アレックス>
→http://i.imgur.com/4vZXOhR.png
パイロット:アムロ・レイ
地球連邦軍オーガスタ研究所にて開発された、オーガスタ・ガンダムの1号機。
ニュータイプ(アムロ・レイ)の反応速度にも十分に対応できるように設計された為、サイコミュが装備されているわけではない。
クリスチーナ・マッケンジー中尉がシューフィッターとして調整し、ジャブローにてアムロ・レイ准尉に託された。
ガンダムを上回る出力に推力、火力を併せ持つ。
RX-78-02 ガンダム2号機
→http://i.imgur.com/U5jLOjt.jpg
パイロット:不在
サイド7で建造されたRX・モビルスーツの一機。
アムロ・レイ少年が偶然乗り込み、ジャブローまで戦い抜いた。
史上初めて、ビーム・ライフルを実用化しており、また堅牢な装甲はザク・マシンガンの砲弾を受け付けない。
アムロ・レイがガンダムNT-1に乗り換えた為、現在はホワイトベースの格納庫で眠っている。
RGM-79 ジム
→http://i.imgur.com/BODvhqX.png
→http://i.imgur.com/TwKG2K8.png
→http://i.imgur.com/NBeqJKv.png
→http://i.imgur.com/gnNG3Gd.png
パイロット:クリスチーナ・マッケンジー、セイラ・マス、タカアキ・ヤジマ、イ・ウンジュ
RX計画により建造されたガンダムをベースとして建造された、地球連邦軍の量産型モビルスーツ。
試作機が実験部隊によってオデッサ攻略に投入され、所定の戦果を挙げている。
ジャブローに到着したホワイトベースおよびガンダムの運用データをもとに調整され、一斉に52機がロールアウトされた。(内、7機がジャブロー防衛戦にて消失)
ホワイトベース隊には8機が配備された。(内、4機(スレッガー隊)は消失)
RX-77-03 ガンキャノン
→http://i.imgur.com/W8FItZ8.jpg
パイロット:カイ・シデン、ハヤト・コバヤシ、ダニエル・シェーンベルグ、ジョブ・ジョン
連邦軍の量産型モビルスーツ。一年戦争以前にザクに対抗するよう開発されたが、所定の性能を示せず、開戦にあたって改良が加えられた。
ホワイトベース隊には6機(予備機含む)が配備されており、ジャブローにて近代化改修を受け、推力や火力が強化された。
両肩にガンキャノン砲を搭載し、高出力のビーム・ライフルを使用する。
【登場モビルスーツ紹介②】
MS-06F ザク
→http://i.imgur.com/QYzOCWL.png
ジオン公国軍の量産型モビルスーツ。
大戦を通じて一線で戦った名機。
さまざまなバリエーションを生んだ、始祖でもある。
MS-09/MS-09R ドム/リック・ドム
→http://i.imgur.com/7x57eym.png
ジオン公国軍の量産型モビルスーツ。
重モビルスーツながらホバークラフトを装備しており俊敏に行動できる。
宇宙型のリック・ドムも見た目にそぐわぬ俊敏性と重装甲で連邦の脅威として立ちはだかる。
MS-09R-2 リック・ドムⅡ(ツヴァイ)
→http://i.imgur.com/S939sTT.png
リック・ドムを再設計した機体。
余剰装備を取り払い、ゲルググ・タイプと共用のコンソールを採用した結果、生産性の向上に達成した。
出力・推力も向上しており、熟練したパイロットに優先的に配備されている。
あ、オリジナルというか設定改変入ってます。
アレックスやリックドム2は推力がネオジオン戦争クラスなので、一年戦争レベルに変更してます。
今晩投下予定
──宇宙世紀0079年12月5日、キャリフォルニア・ベース司令室
シャア「失礼、こちらの指揮官はいらっしゃるか?」
キリー「私だが──はっ! シャア・アズナブル大佐でありますか?」
シャア「そうだが、君は?」
キリー「キリー・ギャレット少佐です。連絡があってから、お待ちしておりました」
シャア「キリー・ギャレット……ああっ、“ハーピー”か! モビルスーツ乗りが指揮官とは、切迫しているようだが」
キリー「ええ。ガルシア・ロメオ少将が帰還なさらなかったので……」
シャア「ああ……。打ち上げの用意は?」
キリー「はい。ザンジバルが一隻と、HLVが七基残っています。万事滞りなく」
シャア「ありがたい。HLVでいいから、乗せてもらえると助かる」
キリー「いえ、大佐にはザンジバルの指揮をお願いしたく」
シャア「……なるほど、そうきたか。任せてもらおう」
キリー「ありがとうございます」
通信兵「少佐、大佐! 連邦軍の大部隊がセンサーにかかりました!」
キリー「何ですって? 数と方角は?」
通信兵「……南東から陸上戦艦が四隻!」
キリー「ビッグ・トレーか!? 戦闘部隊用意して! 私もザクで出るわ」
シャア「使える機体はあるか? 私も出よう」
キリー「なら、第三格納庫にある機体を!」
シャア「わかった」
『強行突破作戦』
<BGM:http://youtu.be/yyy_crmOAow>
──同刻、衛星軌道上
──ホワイトベース、ブリッジ
ブライト「キャリフォルニア・ベース奪還作戦が開始されたようだな」
クリス「エイガーくん、マドロックで参戦するとかって言ってたわね……」
スレッガー「あの小僧が? えらくなったもんだねえ」
アムロ「マドロック?」
クリス「ガンダム6号機の愛称よ。キャノン・ガンダムとも言われていたわ」
アムロ「そんなにガンダムがあるんですか? すごいな」
ブライト「お前が活躍したからこそ、だろうな」
アムロ「ブライトさん、やめてくださいって」
クリス「でも、本当のことよ」
アムロ「……ありがとうございます」
ブライト「クリス中尉にはやけに素直なんだな?」
アムロ「そ、そういうわけじゃあ……!」
フラウ「む~っ……!」
スレッガー「おや、嫉妬かい? わかるわかる、俺もクリスちゃんに相手してもらいたいけどあの調子でョ」
フラウ「ち、ちがいますっ!」
スレッガー「あら、そう? 残念」
マーカー「……んっ? レーダーに感あり」
ブライト「敵か?」
マーカー「艦影照合……チベ級と思しき未確認艦です」
オスカー「このままの速度・進路だと、40分後に戦闘距離に入ります」
スレッガー「40分!? えらく気が長いね、おい?」
ブライト「どう思う、中尉」
クリス「そうですね……。おそらく相手も今頃気付いたでしょう、少し様子を見て、こちらに近づいてくるようなら叩くのがいいかと」
スレッガー「ま、無暗に喧嘩しかけても、こっちが疲れちまうからな」
ブライト「そうだな。オスカー、マーカー。警戒よろしく」
オスカー「了解」
マーカー「了解」
──キャリフォルニア・ベース、第三格納庫
シャア「ええい、まともな機体がないな。飛行型のグフなんて、誰が使うんだ」
イアン「あ、シャア大佐。イアン・グレーデン少尉であります。こちらへ」
シャア「うん?」
イアン「キリー少佐はあくまでパイロットだもんで、この基地のことを全部把握できてるわけじゃあないんですよ。大佐なら使いこなせそうなのが、こっちに」
シャア「なるほどな。案内を頼む」
イアン「ええ。勿論。……ここです」
シャア「第四格納庫?」
イアン「はい。ここなら──コイツがある」
シャア「これは……戦車か?」
イアン「いえ、YMS-16M ザメルです」
シャア「試作機か」
イアン「ええ。大佐なら使いこなせると」
シャア「これなら陸上戦艦にも火力負けしなさそうだが。守りは任せていいのか?」
イアン「お供しますよ」
シャア「ああ、頼む」
──キャリフォルニア・ベース、前線
キリー「ここを守って、HLVを全部打ち上げるのよ! みんな力を貸して!」
アルフレディーノ「姐さん、HLVが二基上がった!」
パパパパッ!
ドンッ!ドンッ!
キリー「じゃあ、あと五基か……!」
ズンッ……!!
ドンッ!ドンッ!
アルフレディーノ「くっ……61式ってバカにできないよなあっ!!」
ドドドドッ!!
ヒュルルル……
ズズンッ!!
アルフレディーノ「何だ!?」
シャア「HLVが全基射出されるまで、ここはこのザメルが食い止めて見せよう」
キリー「試作機を!」
アルフレディーノ「待ってました!」
シャア「海のヒマラヤ級とU型潜水艦は、マッドアングラー隊に任せてもらおう」
キリー「助かります!」
シャア「そこだ!」
ドンッ!!
アルフレディーノ「……すげぇ、ビッグ・トレーのブリッジに直撃した!」
イアン「大佐、援護は任せてください」
シャア「ああ。頼む、少尉」
──数分後、衛星軌道
──ホワイトベース・艦橋
ブライト「チベはどうか?」
オスカー「わずかに転進。接触予測が20分後に変更されます」
マーカー「速度上がりました! 奴さん、やる気です!」
クリス「来たわね……!」
ブライト「よおっし! 第二戦闘配備! 敵の戦力はわからん、モビルスーツ隊スタンバっておけぇい!!」
クリス「了解!」
スレッガー「主砲、用意しとくぜ」
ブライト「ああ、頼みます!」
──同刻、ティベ級重巡洋艦・艦橋
コンスコン「── 大尉、本当に切り離した後に離脱していいのか?」
トクワン「ええ、閣下。自分のビグロと、デミトリーのザクレロがあれば問題ありません」
コンスコン「だが、万一ということもある。戦力は出し惜しみせず、面で制圧してこそだ」
トクワン「閣下のおっしゃることもわかりますが。今はどうか、このトクワンをご信頼いただきたい。それに、キシリア閣下の顔に泥を塗りたくはないのです」
コンスコン「……わかった。援護にツヴァイを二機つける。ビグロで牽引してくれ」
トクワン「そこが妥協点でしょうな。了解しました。では!」
カツコツ……、プシューッ。
コンスコン「……フン、大尉風情が偉そうに。相手は木馬だというに、出し惜しみをしおって。貴重なツヴァイを二機もつけて、ヤられたら笑えん冗談だぞ、キシリア奴(め)」
副官「間もなく戦闘空域です」
コンスコン「キシリア直属とはいえ、命令では仕方あるまい。中途半端な状態で木馬と戦うのは危険だ。予定通り、ビグロとザクレロ、およびリック・ドムを二機出撃させた後、転進しソロモンへ帰還する!」
副官「アイ・サー! ビグロ、ザクレロおよびリック・ドム二機を出撃用意!」
──ホワイトベース・艦橋
<BGM:http://youtu.be/-hRePmkvQLE>
オスカー「チベ級から敵影4! 戦闘機……? モビルスーツのスピードじゃないです!」
マーカー「通常型のザクと比較したところ、およそ七倍! 驚異的です!」
ブライト「なんだと!? 宇宙戦闘機か? モビルスーツ隊、発進急げ!」
フラウ「アムロ、先行して出られる? うん、お願い!」
ブライト「アムロが出たら、キャノン隊を先に出させろおっ! ジムは最後でいい!」
フラウ「は、はいっ」
──アレックス、コクピット
ブライト「敵は機種不明の高速物体。宇宙戦闘機の類だと思われる!」
アムロ「宇宙戦闘機? 新型か……?」
フラウ「発進どうぞ!」
アムロ「よし、行きます!」
ヒュゴォォォッ!!
アムロ「ンッ? 速いぞ……あれは、ベルファストで見た……? “カモノハシ”……?」
ゴゴゴゴゴ……!
ブライト「アムロ、すまないが先行して索敵および迎撃を頼む! 艦砲で支援する!」
アムロ「ちぇっ、仕方ないか! 了解っ」
寝落ちしてたし、バイト行かないといけない時間なのでとりあえずここまで。
この続きなんだけども、なんか悪い意味で自分らしくないもの書いてる。深夜のテンション怖い。
ちなみにキリー・ギャレットは『ハーピー』のパーソナルエンブレムを描いた陸戦型ザクを駆る女性将校、アルフレディーノ・ラムはザク・キャノンのパイロットだよ!
詳しくは知らないので詳しくは聞かないでね!
『キャリフォルニアにいたらしいキャラ』をチョイ出ししただけで『ジオン兵』と大して変わりません。
コンスコンって初代のアニメしか見てないと単なるアホなオッサンだけど、
実際は結構有能なんだよな後代の後付け設定ではあるけど
ギレンの野望でも優秀な指揮官でかなり使える艦長だし
ガンダム戦記のキャリフォルニアベースのザンジバル防衛ミッションが好きだったな
BD1号機が出てくるときのユウキのセリフが良い
「正体不明の敵モビルスーツが接近中!速い…!あれはまるで…蒼い…死神…!」みたいな
BGMも専用のに変わるしとにかくアツかった
ビシューッ!!
ビシューッ!!
メガ粒子砲がアレックスの脇を掠めて、敵の戦隊へ殺到した。
アムロ「砲手はスレッガー中尉か? 正確で助かるっ……!」
トクワン「ふんっ、艦砲なんぞ怖くもなんともないわぁぁーっ!!」
アムロ「接敵! ……わかったぞ、あれがモビルアーマーっていうやつだな……!」
トクワン「そしてぇーっ、このビグロを前に、白いの単騎とはなあっ!!!!」
迫る巨大な爪を、アレックスがひらりと躱す。
トクワン「何とっ!! ならば、これはどうだ!?」
ミサイル・ランチャーから数多のスプレッド・ミサイルが散布され、アレックスのいる空間を押しつぶさんばかりに迫った。
アムロ「拡散型ミサイルを積んでいるのかっ? ちっ、面倒な!」
モビルアーマー・ビグロから放たれた無数のミサイルを、舞うような鮮やかさで避け続けるアレックス。
トクワン大尉からすれば、挑発を受けているかのようだった。
デミトリー「た、大尉~っ、コイツ、モビルアーマーをばかにしているに違いありませんぜっ!」
トクワン「ああっ、俺達を少しナメすぎたようだ! 痛い目に遭わせてやる!」
デミトリー「モビルアーマー乗りを、なめるなあっ!」
実際MA乗りって耐G能力的にすごいのかね
一年戦争だとリニアシートとかあったっけ?
トクワン「デミトリー! 二面攻撃をしかける!」
デミトリー「ハッ!」
ビグロとザクレロ、二機の高機動モビルアーマーが同時にアレックスへと肉薄し、眼前で左右に分かれてビーム砲の嵐を見舞った。
アムロ「ええい、しつこいな!」
回避したところへ、今度はリック・ドムⅡが二機、執拗に迫る。
アムロ「チィッ、落ちろ!」
ヒート・サーベルで斬りかかってきたところ、体を入れ替えて蹴り飛ばし、ビーム・ライフルを的中させる。
貫通したビーム弾は真後ろに重なってしまったドムをも巻き込み、一瞬で宇宙の藻屑になった。
アムロ「迂闊な奴め!」
トクワン「バ、バカな!!」
一瞬で新型のドムがヤられた。
それどころか、今目の前で──
アムロ「そこ!!」
デミトリー「う、うわあああ!!!?」
ザクレロも火球へと姿を変えた。
トクワン「くそっ、ば、バケモノかよ! だがこれならどうだ!?」
これほどの加速力でロール運動を行えば、パイロットの体は多くの場合バラバラになってしまう。
しかし、コクピットの周りにショック・アブソーバー・システムを搭載したこのビグロならば、アレックスのような高機動のモビルスーツとも互角に戦える。
トクワン「ビグロをナメるからよォォーッ!!」
アレックスにビッグ・クローが迫った瞬間。
しかし、淡くも潰える。
真横から殺到したメガ粒子砲の奔流にビグロが貫かれたのだ。
トクワン「艦砲射撃だと!! この、接近戦をしているところに! ぐわあぁーっ!!」
アムロは誘っていたのだ。スレッガーが狙い易い位置へと。
そしてスレッガーはそれを見事射抜いてみせた。
スレッガー「いつまでも坊やに任せてるのも性に合わないんでな。艦長、敵は片付いたぜ!」
──ホワイトベース、ブリッジ
スレッガー「片付いたぜ!」
ブライト「よし、チベはどうか?」
マーカー「さっきの小隊を射出してから、どんどん遠ざかってますね。進路からして、ソロモンへ向かっているのかと」
オスカー「チベ級、戦闘空域から完全離脱しました」
ブライト「ふむ。捨て駒だったとみるべきか」
ミライ「でもブライト。見たところ新型兵器だったわ。あれを捨て駒にするかしら?」
ブライト「うむ、それもそうだが……まずは奴さんが遠ざかったことを考えるよ」
スレッガー「そうそう、あまり気にしてたらブライト大尉も若ハゲにやられるぜ」
ブライト「“も”ってなんです、“も”って?」
スレッガー「にははは、なぁ~んちゃってネ」
ミライ「もう、中尉ったら」
スレッガー「はぁ~、しかしよ、砲手のお仕事ってのは肩が凝っていかんぜ」
ブライト「サンマロとマサキがどうしても駄目だと言うもので。テキサスコロニーで作戦行動を終えたら、一度精密検査をし直しましょう」
スレッガー「了解。さっさと僕ちゃんもお仕事しないとね」
フラウ「アムロ、お疲れ様! みんな待ってるわ、戻ってきて」
アムロ「了解。帰還する」
──キャリフォルニア・ベース
キリー「くっ、さすがに敵が多いわね」
アルフレディーノ「61式とガンタンクだけならまだしも、新型を投入してきやがるとはね……」
イアン「泣き言言っても、仕方ないでしょっ!」
アルフレディーノ「仰る通りで!」
ドンッ! ガガガガッ!
パパパパパッ!!
チュチュチュンッ!
ドゴォッ!!
ジオン兵A「ザザザッ──! ……くっ、なんだこの青いモビルスーツは……!」
ジオン兵B「た、隊長ッ! 下がって!」
ジオン兵A「逃げろ、ヴィンセント! ここは俺が食い止め……ザザザザッ……」
ジオン兵B「隊長ォーッ!!」
シャア「今の声は、シュナイド大尉か……? 彼もこの基地にいたとは……」
通信士「大佐! 急速に接近するモビルスーツを確認! マルコシアス隊がやられた模様」
シャア「何だと……詳細わかるか?」
通信士「待ってください……第53観測所の映像データ入りました! これは……まるで青い死神……!」
ジオン兵「ザザッ……グライスナー曹長、たっ……助けてくださいっ! 青い奴が……青いモビルスーツが──アアアァァア!! ……ザザザザザ……」
通信士「し、信号途絶……」
シャア「……ガンダムと同等の化け物とみるべきか!」
アルフレディーノ「ちょっと、そんな化け物! この基地の戦力じゃあ!」
シャア「だから私がいる! ザメルで狙撃を試みる!」
ドォンッ!ドォンッ!
グンッ……!
シャア「!? 避け……っ!?」
キリー「あの速度で動けば、パイロットだって……!」
イアン「うっ……なんだ、このざわつきは……!?」
<BGM: http://youtu.be/JJbeIUaR7vg >
ドォンッ!
ユウ「…………!」
グイッ
ユウ「……う、がはっ!」
アルフ「お、おい! ユウ、無茶はするな! お前はニムバスを倒さなきゃならないだろ、そんなところでくたばったら──!」
フィリップ「そうだぜェ~、ユウ。お前さんの任務をよォ、忘れちゃァならねえだろうが」
ユウ「……いや、心配は要らない」
モーリン「少尉……?」
ユウ「……奴は自分から出てくるさ」
ゴウン……
????『EXAM SYSTEM STAND BY......』
ユウ「……来たか」
ゴゴゴゴゴ……
ニムバス「シャア・アズナブル大佐! ここはこのニムバス・シュターゼンにお任せを」
シャア「ニムバス・シュターゼン? ……上官殺しのニムバスか!」
ニムバス「フンッ……。確かに、それについて申し開きもいたしますまい。だが、今の私は義に拠って立っているのです。どうか、お任せ願いたい」
シャア「ならば聞きたい。あれはなんだ?」
ニムバス「……彼奴は、我が愛機・イフリート改と同じOSを搭載した実験機……。連邦へ亡命したクルスト・モーゼス博士の妄執の産物であります」
シャア「なるほど、そういう事情か。……わかった、そちらは貴公に任せよう」
ニムバス「ありがたい!」
ジャキン!
ニムバス「さぁ、ブルーよ……! 誇り高きジオンの騎士であるこの私が、貴様を成敗してくれる! フフフフ、ハァーッハハハハハ!!」
ユウ「……この因縁に、カタをつける……! EXAM、俺に力を貸せ……!」
ニムバス「オォオオオーッ!!!!」
ユウ「…………ッ!!」
───────
─────
───
─
── 一時間後
通信士「大佐、ニムバス機の反応消失! 青いモビルスーツも同じく、です……!」
シャア「相討ちか……? 大尉と通信は」
通信士「いえ、無線封鎖している模様……だめです」
シャア「ええい、戦線を放棄しようというのだぞ!」
<BGM:http://youtu.be/giOwhJy3EXE>
イアン「……大佐、行ってください。弾切れのザメルなんてただの的ですよ」
シャア「だが──」
イアン「ザンジバルを、頼みます」
シャア「──……ああ。貴様も後で合流しろ!」
イアン「了解」
イアン「──できたら、ですけどね」
──キャリフォルニア・ベース、塹壕
ババババババッ!!
チュンッ! チュチュチュンッ!
ゴゴゴゴ……!
イアン「す、すごい攻撃だ……本当にこのままじゃ……!」
キリー「う、……イアン……?」
イアン「少佐……! な、なんです?」
キリー「シャア大佐は……?」
イアン「今、兵をまとめてザンジバルへ」
アルフレディーノ「お前も行け」
イアン「で、でも!」
アルフレディーノ「少佐はもう動けん。俺もコクピット・ハッチが歪んでて出られんのだ」
イアン「なら俺がザクの手で──」
アルフレディーノ「敵の足止めはする。だから、生きろ」
イアン「……少佐、アル……」
キリー「イアン。生きなさい」
イアン「……姐さん……、今までありがとう……!」
アルフレディーノ「なあ、姐さん……」
キリー「……なに……、アル……」
アルフレディーノ「一発……ヤらせてもらえませんかね。景気付けに」
キリー「……下半身不随の私で良かったら……生きて……帰れたら考えてあげる……」
アルフレディーノ「はは、やったぜ。……じゃあ、気合い入れねえとな! ……そら、連邦のサノバビッチども! かかってきやガッ──」
ズドンッ……
キリー「……もう、無茶して……っ!」
ズシム……ズシム……
キリー「……ああ……」
ゴインッ……
キリー「まるで……荒野の死神ね……」
ヂュヂュヂュヂュヂュンッ!!!!
ズドンッ……!!!
エイガー「ふん、手負いばかりか。マドロックの初陣には弱すぎたな……」
──数分後
──キャリフォルニア・ベース、マス・ドライバー
マリガン「ザンジバル、発進準備ヨロシ!」
シャア「……ザンジバル、発進」
マリガン「アイ・サー! ザンジバル、発進ッ!」
操舵手「アイ・サー! 宜ォ~候ォ~!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
通信士「ああっ! 連邦軍の戦闘機部隊が進路上にいますっ!」
シャア「何だと! 対空砲、砲門開け! 強行突破するぞ!」
マリガン「アイ・サー! 迎撃用意!」
砲雷長「アイ・サー! 迎撃用ォォォー意!!!」
シャア「何としてでも……突破しろ!!!」
──ザンジバル級、船倉
グラグラ……
ザワザワ……
ラジオ『今日の放送もそろそろお終いだ。……それじゃ、今日という日を旧世紀のクラシック・ナンバーで締めよう。聞いてくれ、“Hotel California”』
<BGM:http://youtu.be/_p4JbbcfmX8>
♪~……
イアン「あ。この曲……」
ジオン兵「……ふん、皮肉ってやがるんだろ。連邦様ようこそってな」
イアン「なるほどね、ホテル・キャリフォルニア・ベースへようこそってことか」
イアン「♪Welcome to the Hotel California(ようこそ、ホテル・カリフォルニアへ)」
イアン「♪Such a lovely place(まったく、最高な所さ)」
イアン「♪Such a lovely face(ほら、見かけは素敵だろ)」
イアン「♪They’re livin’ it up at the Hotel California(彼らはホテル・カリフォルニアで大いに楽しんでいらっしゃるよ)」
イアン「♪What a nice surprise(なんて素敵なサプライズだ)」
イアン「♪Bring your alibis(ぜひお越しください。口実を作って、ね)」
イアン「フンフフフ~ン……♪」
ラジオ『ガガッ……ピピッ……ザザザザー……』
イアン「……あれ。電波届かなくなったのかな」
イアン「ちぇっ……あばよ、ホテル・キャリフォルニア」
イアン「……結局見つからなかったナ……“カリフォルニア州立精神病院”……ふふっ」
ジオン兵「あん?」
イアン「……何でも。……気にしないで」
傷病兵A「うぅ……悪魔が……」
傷病兵B「へへへ……へへへへへへ……見える、俺も見えるぜ……へへへへ」
イアン「……いや、あの戦場こそが“ホテル・カリフォルニア”だったのかな? ……なんてね」
ジオン兵「……なんだそりゃ」
イアン「こっちの話、サ」
イアン「アディオス、キャリフォルニア……」
キャリフォルニア・ベースからの脱出に成功するシャア。多くの傷病兵を抱え、一路ソロモンへと向かう。
一方、ホワイトベースはかつて放棄された観光用コロニー、テキサスへと進む。
戦略的に重要ではないコロニーへと向かう理由とは……。
機動戦士ガンダム 次回、『テキサスの攻防』
君は、生き延びることができるか?
なんか自分らしくないクサイものを書いたので
次回はおしゃれにいきたい所存。
しかも今回は本題
『アムロがアレックス受領しちゃったら強いんじゃね?』
から大きく外れてしまったので……反省。
>>186
ビグロとかあの巨体で戦闘機以上のスピード出してるからワケわかんないね
>>179
しまった、コンスコン関係で入れたかったシーンを抜かしてしまった。待て次回。
>>183
というわけでゲストでユウとニムバスとユウキらしき台詞のオペ子が出ました。
では、また。
流石にシャアでも実弾を長距離狙撃で当てるのは難しいだろうな、BDに
よっぽど相手の動きを制限できる状況じゃないと
実弾だと散弾になるだろうけど、有効範囲=やべええな状況だな
シャアの読みがマリオン以上になるしかないけど無理ゲー
そういう射撃特化で接近されたら死ぬ系の機体として
全身に粒子砲をつけて
どっから突撃されても消し飛ばせるサイコガンダムの設計ってのは正解だったのかもな
>>211
囮になる捨て駒クンが3人と、行動が限られる空間(ex. デブリ帯、市街地etc...)が必要かなーって……
>>212
シャア「見える、見えるぞ! 私にも敵が見えr」
マリオン「だが遅い」
>>213
サイコはまともなパイロットが扱えれば……きっと……
明日投下は無理そうなので、週半ばぐらいになるかな?
次回は、オリジン版のそれとはまた少し違った高潔なマ・クベを提供できればいいな。
あとキャリフォルニアで『哀戦士』ねじ込んだのは、ジャブロー編ですっかり入れるの忘れてた為(´・ω・`)
き、今日の夜くらいに投下したい(願望)
この世界に与える改変はただ少なければ少ないほど説得力が増すのです。(?)
アレックス投入だけで十分すぎる改変ですしね。
本音を言えば、前回みたくエタるので、余計なことはしたくないw
今宵にでもマクベ准将に活躍して貰いたいところですが、なかなか納得いくマクベが出てこない。
期待せずに待っておいてください(´・ω・`)
──宇宙世紀0079年12月6日未明、衛星軌道上
──サンジバル級、ブリッジ
シャア「マリガン。近い空域に我が軍の艦艇は?」
マリガン「チベ級が一隻。それ以外は全く……」
シャア「呼びかけてみてくれ」
通信士「はっ」
マリガン「それと、大佐。先に打ち上げたHLVなんですが、二機が確認できず……」
シャア「……仕方あるまい。非武装のロケットだけで脱出できたのを奇跡だとさえ思う」
マリガン「……ええ。それと、無事だった五機の内、二機が機関損傷によりこれ以上の航行不可、と」
シャア「ならば、このザンジバルで牽引しよう。作業に使えるモビルスーツはあるか?」
マリガン「ええ、地上用のザクが幾つか。作業用にと積んであります」
シャア「ならばそれを、総出で作業してくれ。宇宙で動ける奴は空域警戒だ」
マリガン「了解」
通信士「大佐、繋がりました。モニターに出します」
コンスコン「うん? シャア・アズナブルか」
シャア「これはコンスコン少将! お久しぶりです」
コンスコン「久しいな。しかし、貴様が宇宙に上がっているとは初耳だが?」
シャア「さもありなん。キャリフォルニア・ベースが陥落、たった今落ち延びてきたところです」
コンスコン「何と! では、残る大拠点はキリマンジャロのみか……」
シャア「ええ。それで、なのですが」
コンスコン「傷病兵の一部収容と、ソロモンへの護衛だろう? 構わん、任せたまえ」
シャア「話が早い。ありがとうございます」
コンスコン「なあに、木馬と少しやりあってわかったのさ。貴様のような経験を持つ男が、我が軍には欠かせんということよ」
シャア「……木馬と?」
コンスコン「ウム。貴様の腹心だったドレン艦隊からの救難信号を受け取って空域へ向かったが、最早跡形もなく。キシリア配下のモビルアーマー隊だけ出撃させたが、それも一瞬であった」
シャア「ドレン……。くっ」
コンスコン「ソロモンもじきに戦場になろう。貴様も、そのザンジバルも、ソロモンを守る為に戦ってもらうぞ」
シャア「もちろん。今は木馬に固執している場合ではないことくらい、理解できます」
コンスコン「それでいい。現在そちらに向かっているから、移動の用意を進めておけ」
シャア「はっ!」
シャア「木馬討伐にはまだ時間がかかりそうだが……やむを得まい。これより本艦は、コンスコン閣下の護衛のもと、ソロモンへと向かう!」
『テキサスの攻防』
<BGM:http://youtu.be/yyy_crmOAow>
──宇宙世紀0079年12月7日、サイド5宙域『ルウム』テキサス・ゾーン
──グワジン級大型戦艦5番艦『アサルム』、ブリッジ
<BGM:http://youtu.be/BEKwTzbrAZQ>
ウラガン「マ・クベ閣下」
マ・クベ「どうした」
ウラガン「偵察隊から報告が。暗号ですか、これは」
マ・クベ「うん、私直々にいくつか用意させたな。読み上げろ」
ウラガン「“本日天気晴朗ナレドモ浪高シ”……と」
マ・クベ「ん。親衛隊用意せよ!」
ウラガン「えっ?」
マ・クベ「サネユキ・アキヤマを知らんのか。貴様は戦史を学びなおすべきだな」
ウラガン「サネユキ・アキヤマって……200年近く前でありましょう?」
マ・クベ「うむ、日露戦争においてロシア・バルチック艦隊をニホン連合艦隊が打破した戦いにおける、連合艦隊出動の打電の結びがこれだったと言う」
ウラガン「はあ」
マ・クベ「……この洒落がわからんのか」
ウラガン「ええ、まあ……」
マ・クベ「……まったく貴様は……。ああ、ギャンも用意しておけ」
ウラガン「出撃なさるので」
マ・クベ「言わねばわからんのか?」
ウラガン「ええ、まあ」
マ・クベ「……はあ。いいから行け。作戦通りにな」
──同刻、サイド5『ルウム』宙域
──ホワイトベース、ブリッジ
アムロ「すごい……これが、戦場跡……」
ブライト「そうだ。たった数か月前の出来事だが、まるで太古の戦場だな」
セイラ「ここで、シャアが五艘跳びを……」
スレッガー「ここは俺ら連邦軍にとっちゃ、墓場みたいなものよ」
マーカー「うわっ、急に前方に艦影!」
オスカー「ムサイ級巡洋艦です!」
ブライト「何っ!? 幽霊船じゃないな!?」
スレッガー「デブリでレーダーが機能してなかったのか!」
マーカー「ムサイ級、転進! 間違いなく本物です! テキサス・コロニーの方角へいきます!」
ブライト「くっ、逃がすか! 追え!」
スレッガー「危険だ!」
ブライト「……では、ジムを二機偵察で出しましょう」
スレッガー「まあ、それならいざって時もどうにかなるだろうが……」
ブライト「ホワイトベースは距離を置いて追跡。いいですね?」
スレッガー「……艦長はあんただ、任せておくさ」
アムロ「アレックスも準備しておきます」
ブライト「いやいい。今回はアムロには休んでもらうつもりだ」
アムロ「え? 了解……」
クリス「では、私とイ・ウンジュ少尉のジムで追跡を」
ブライト「ああ。そうしてくれ」
──アサルム、ブリッジ
マ・クベ「どうだ、バロム大佐」
バロム「二機のモビルスーツで偵察を行っている模様です」
マ・クベ「指揮官は若いな。戦力の分散は愚策だよ」
バロム「木馬を叩こうと?」
マ・クベ「それは親衛隊にやらせる。私はモビルスーツ・ギャンでガンダムと一騎討ちを行うまでよ」
バロム「……騎士道精神、ですか? 酔狂な」
マ・クベ「なかなかに言う……。勝手な真似をすればこのマ・クベ、バロム大佐とて容赦せぬ。予定通り、レジスタンスの拠点を叩け」
バロム「……はっ」
──ルウム戦場跡、デブリ帯
ウンジュ「……あのムサイ、テキサス・コロニーのスペースポートに向かってますね。ぐっ……!?」
クリス「ブライト大尉に伝えないと……。私はここをキープするから、ウンジュはホワイトベースへ──どうかした?」
ウンジュ「がっ……ぁ……あ……ああ……中尉……逃げ……」
クリス「……ウン……ジュ……!?」
クリスチーナが振り返った時には、ウンジュのジムは背後から煌々と輝く刃に貫かれていた。
ウラガン「フ……フフフ……マ・クベ中将の戦術通りにやれば、我々ジオン軍は常勝無敗よ……!」
銀色に塗られたグフが姿を見せる。
クリスチーナ・マッケンジーは戦慄した。
クリス「このグフ……、ずっと私達を待ち伏せていたの……? じゃあ──」
ウラガン「親衛隊、作戦を開始する!!」
クリス「──私達は相手の術中にあるというの!?」
【登場モビルスーツ紹介③】
RX-79[BD] ブルーディスティニー
→http://i.imgur.com/j7em2Zb.png
パイロット:ユウ・カジマ
地球連邦軍の試作モビルスーツ。
ジムタイプやガンダムタイプの部品を使用している為、高性能に仕上がっている。
ニュータイプ抹殺システム・EXAMを搭載しており、鬼神の如き戦闘性能を持つ。
FA-78 NT-1 ガンダムNT-1 フルアーマー・ウェポン装備
→http://i.imgur.com/r8LhNPQ.png
パイロット:アムロ・レイ
ガンダムNT-1に試験型増加装甲を搭載した姿。
ビーム兵装を多く搭載する為、エネルギー効率が悪い。
また、推進剤の積載量が減っている為スラスター推力をデチューンせざるを得ない、という弊害も。
【登場モビルスーツ紹介④】
MSM-07 ズゴック
→http://i.imgur.com/MZmJPFe.png(シャア専用機)
→http://i.imgur.com/ggunECA.png(一般仕様機)
パイロット:シャア・アズナブル、ハーディ・シュタイナー、ミハイル・カミンスキー、一般兵
ジオン公国軍の水陸両用モビルスーツ
高水準のスペックを持ち、陸戦用としても十分に戦える名機。
ジャブロー攻略作戦に42機が投入されたが、帰還したのは3機のみであった。
YMS-16 ザメル
→http://i.imgur.com/OjLldh8.png
パイロット:シャア・アズナブル
キャリフォルニア・ベースで開発された試作モビルスーツ。
砲撃戦用の局地戦機で、大口径のカノン砲が外観にも大きく影響している。
3機の製造が確認されたが、うち1機はキャリフォルニアで擱座していた以外行方が知れない。
YMA-04 ザクレロ
→http://i.imgur.com/MdV08Hg.jpg
パイロット:デミトリー
ジオン公国軍の試作モビルアーマー。
宇宙におけるヒット・アンド・アウェイ戦法に主眼を置いて開発されたが、満足な性能を得られず採用されなかった。
ホワイトベース隊との交戦において試作機のうち1機が消失している。
MA-05 ビグロ
→http://i.imgur.com/xA6kMnG.gif
パイロット:トクワン
ジオン公国軍のモビルアーマー。
高い運動性能と推力、火力を誇り、宇宙戦闘機として運用される。
ホワイトベース隊との交戦において先行生産機の1機が消失している。
YMS-15 ギャン
→http://i.imgur.com/ejRxn1f.png
パイロット:マ・クベ
ジオン公国軍のマ・クベ准将専用モビルスーツ。
正しくは、次期主力機を争って敗北した機体を利用して再設計されている。
ビーム・フルールやウェポン・シールドを持つ騎士然とした見た目はマ・クベ准将の趣味。
MS-07R 宇宙用グフ(マ・クベ親衛隊仕様)
→http://i.imgur.com/K7FRnx2.png
パイロット:ウラガン、マ・クベ親衛隊員
宇宙用にチューンされたグフ。
マ・クベ准将のギャンと同じく銀色の塗装。
親衛隊専用としてグワジン級アサルムには12機が配備されている。
寝てた……。また落ち着いた時間に投下します
>>233
あれっ?間違えてた
准将のつもり。以後は間違いないはずです
>>232
乙
こうしてスペック見ると、MAを単機で撃墜しまくってるアムロはどこかオカシイ
ポケ戦の機体はズゴックでもそうだけど、異常な高さだな
>>235
このズゴック、デザインはE型ですけどスペックは普通のズゴック準拠です。
ポケ戦MSは全部下方修正してます。
今回は大して強くないMSに策略負けしてるアムロくん。
今晩か明晩には投下しまうす
乙
汎用性が高くないグフをわざわざ宇宙用に改造して使うあたりマらしい
普通なら高機動型ザクとかゲルググのほうが都合が良さそうだし
>>237-238
ウラガン「グフ……で、ありますか」
マ「うん」コクン
ウラガン「宇宙用のドムではなく?」
マ「うん」コクン
ウラガン「失礼ながら、なぜ旧式機のグフなのかわかりかねます」
マ「貴様は三ヶ月前に開発されたばかりのものを旧式機と言うのか?」
ウラガン「……であれば、汎用性に欠けるかと」
マ「フィンガーバルカンのことか」
ウラガン「はい」
マ「ライフルより口径が小さく、銃身の短さから小回りが利く。確かにメンテナンス性や信頼性には劣るが、長所を第一に考えよ」
ウラガン「はっ……おそれいります」
マ「なにより、ドムは私の趣味ではないよ。エレガントでない」
ウラガン「……エレガント、ですか」
マ「そうだ。この壺のようにな。……ああ、いい音色だ」チンッ♪
ウラガン「……はあ」
マ「まったく、芸術を解さぬ男よ」ヤレヤレ
ウラガン「…………」イラッ
──ホワイトベース、ブリッジ
オスカー「っ! イ・ウンジュ機の信号途絶!」
ブライト「んなっ!? な、何だって!」
マーカー「マッケンジー機から救難信号!」
スレッガー「わ、罠だ……! 俺達はハメられちまったのか!」
アムロ「……アレックス、出ます!」
ブライト「アムロ、休めと──」
アムロ「戦力の温存・逐次投入は愚策って、ブライトさんでも知ってるでしょ」
ブライト「そ、そりゃあそうだが!」
スレッガー「坊主の言う通りだ! 俺が乗れるのないんだろ、主砲へ向かう!」
タカアキ「くっ、モビルスーツ隊は自分が指揮します!」
ブライト「……くっ、頼む!」
ミライ「ホワイトベースはどうするの?」
ブライト「ちいっ……モビルスーツと共に移動する。ここに留まっては危険だ」
ミライ「了解」
──ルウム戦場跡、デブリ帯
クリス「く……ううっ……!!」
ウラガン「まさかパイロットが女だったとは。フフフ、木馬を沈めたら存分に楽しませてもらうとしよう」
ウラガン「親衛隊、木馬が接近したら機雷原へ誘い込むぞ! マ・クベ閣下の作戦通りだ!」
親衛隊「「「応ッ!!」」」
──ホワイトベース、カタパルト
オムル「アムロ、その装備は推力のサポートが少ない。ただし、お前なら全てに対応できるはずだ!」
アムロ「買い被りすぎでしょ?」
オムル「お前ならできるって信じてるんだよ! 頼むぞ」
アムロ「任されて。タカアキ少尉、僕が先行します」
タカアキ「すまないけど、頼む!」
ジョブ・ジョン「キャノン隊はそれぞれホワイトベースの甲板で応射態勢、いいな!」
ダニエル「はい!」
カイ「あいよ!」
ハヤト「了解ですっ」
アムロ「フルアーマー・アレックス、行きまあすっ!」
タカアキ「104、出る!」
ダニエル「107、出ます!」
ジョブ・ジョン「103、発進!」
セイラ「106、行きます!」
カイ「108、出るぜえっ!」
ハヤト「109、行きますっ!」
タカアキ「セイラさん、俺達はアムロくんのアレックスに追随する。デルタ・フォーメーションで行こう」
セイラ「了解」
アムロ「マッケンジー中尉を、助けないと……!」
タカアキ「無茶はするなよ、アムロくん?」
アムロ「えっと、善処します」
タカアキ「大人びたこと言って……」
セイラ「んっ……。レーダーに感あり」
タカアキ「本当だ。何だ、誘っているのか……?」
アムロ「……マッケンジー中尉……死なせは、しない」
セイラ「アムロ、落ち着いて」
タカアキ「慎重に進むぞ」
アムロ「……はい」
──ルウム戦場跡、デブリ帯
親衛隊員「大尉。マ・クベ閣下のギャンからビーコン発信されました!」
ウラガン「始まったか! ククク、貴様らは既にマ・クベ閣下の術中に落ちているのだよ!」
クリス(……こいつ、私にマル聞こえなの忘れてないかしらね。でも、連絡手段を絶たれてしまった……!)
ウラガン「フッフッフッフ……モビルスーツと木馬を誘い込め……機雷原はすぐそこだぞぉ……」
クリス(くっ……どうにかして、ホワイトベースに連絡を……!)
ウラガン「もう少し……フフフフ……そうだ……来い、来い、来い……!」
クリス(屈辱だわ……、ジムを達磨にされるだなんて……!!)
ウラガン「そしてすべてが終われば、この女兵士(ウェーブ)をドロッドロに……ヘッヘッヘッヘッヘッ」
クリス(……コイツ、絶対殺す……!)
──ルウム戦場跡
マ・クベ(木馬の指揮官も無能ではないか)
マ・クベ(うまくやれよ、ウラガン)
マ・クベ「はたして、うまく持ちこたえられるかな。奴が」
──ルウム戦場跡、デブリ帯
アムロ「……たくさんの悪意を感じる?」
タカアキ「悪意?」
セイラ「嫌ね……ざわざわする」
タカアキ「俺は何も……」
アムロ「あっ……これは……! ブライトさん、聞こえますか?」
ブライト『アムロか、どうした?』
アムロ「機雷が複数散布されています。それに、……敵意を感じるんです。複数の」
ブライト『機雷か。掃海作業を──敵意だって?』
アムロ「ええ。おそらくモビルスーツ隊……。待ち伏せだと思います」
ブライト『……やれるか?』
アムロ「……任せろよ、“オトッツァン”。機雷も戦闘中に潰します。残りを掃海よろしく」
ブライト『よせよ、その言い方……。任せた、頼む!』
アムロ「了解! アレックス、先行して囮になります。タカアキ少尉、あとよろしく」
タカアキ「マジかよ!? くっそ。J・J、聞こえるか?」
ジョブ・ジョン「タカ、どうすればいい?」
タカアキ「キャノンはこちらに追随。アレックスの援護を行う」
ジョブ・ジョン「オーライ、合流する」
セイラ「気を付けて、アムロ!」
アムロ「ええ、言われなくても」
──ルウム戦場跡、機雷原
アムロ「出てこい……邪気……!」
アレックスが機雷原の中心で佇む。別にマシン・トラブルでもないが、まるで『機雷に気付いて足を止めた』風を装って……。
するとアムロの狙い通り、銀色のグフが12機躍り出た。
アムロ「出たな!」
ショルダー・キャノンでまず1機。
ウラガン「なっ、トマーシュがヤられた! 誘われたのか!?」
アムロ「まだまだ!」
連装ビーム・ガンで同時に2機。
ウラガン「ヘンリー!? ああっ、ジェイマスもかぁっ!?」
爆散したグフの爆風に煽られて、機雷が相互にぶつかり合い誘爆する。
今度はその爆発に飲まれて、グフが1機消えた。
ウラガン「ぬおっ、ペーターもやられたのか! だが、この爆発では、貴様とて無事では済むまい!」
フルアーマー・アレックスが爆炎に飲み込まれるのをウラガンは満面の笑みで見送る。
親衛隊の連携で白い悪魔を沈めたとあらば、その指揮官であるウラガンはジオン十字勲章ものの評価を受けるであろう。
クリスマスまでにソロモン戦を終えたかった
年明けと同時に一年戦争を集結させたかった
年賀状は25日までに全部出しておきたかった
そんな皆さんメリークリウス
FAアレックスってかなり昔だけど似たようなのを、
電撃ホビーでギレンの野望コラボ企画?みたいなので見た事あるな
肩キャノン無いけど右腕に固定の2連ビームキャノンと、
左腕にZ以降多くなった内蔵ビームサーベル持ちで
関節とか部分的にチョバム付けて機動性落とさないようにしたタイプ
しかしそれは、かつてのニホンの言葉で『とらぬ狸の皮算用』と言った。
アムロ「おおっ!!」
爆炎の中から、アレックスが飛び出す。V・アンテナはひしゃげ、追加装甲もほとんどが壊れ落ちてはいるが、殆ど平時通りの瞬発力と、殆ど平時通りの金剛力を以てウラガンのグフを一刀両断に付した。
ウラガン「ああっ……もはやここまでか! 後はお願いいたします、マ・クベ閣下ァァァーッ!!!!」
アムロ「姑息な奴らめ……!」
さすがのアレックスも、無数の機雷の誘爆で傷んでいるらしく、左腕の機能が停止する。
アムロ「うっ、関節がいかれたか……?」
親衛隊員「ウラガン大尉~っ!! ……くそっ、ガンダムを囲め!! 電流攻撃だ!!」
アムロ「ま、まずい。ああっ!!」
動きが鈍くなったアレックスに、親衛隊のグフが次々と殺到しヒート・ロッドを巻きつける。
アムロ「う……うわああああああああああっ!!!!」
高圧電流が全体に流され、各所から火花が散る。左肘のモーターが爆発し、右脚も機能を停止しようとしていた。
カイ「や、やらせるかよ!! それっ」
ビーム・ライフルによる狙撃がグフを貫く。
親衛隊員「あぁーっ!!」
カイ「やりいっ! って、うおわっ」
しかし機雷原、少し動くだけで誘爆の炎に巻き込まれてモビルスーツはその機能を失ってしまう。
ハヤト「カイさんっ!? うわっ、うわああっ」
ジョブ・ジョン「ハヤトまで! ダニエル、ハヤトを頼……うううっ!!」
ダニエル「少尉っ!? くそ、当たれえっ!」
ジョブ・ジョン「大丈夫、キャノンの装甲ならっ……! 行け、タカ!」
タカアキ「おう! セイラさん、行くぞ!」
セイラ「はいっ!」
セイラとタカアキのジムが吶喊し、ビーム・サーベルでヒート・ロッドを切り裂いた。
しかし同時に、セイラのジムの頭部がヒート・ソードで刎ねられてしまう。
セイラ「ううっ! サブ・カメラ……見える、よし……!」
タカアキ「うおおっ……! セイラさんはアムロを!」
セイラ「ええ! アムロ、無事!?」
セイラのジムがアレックスを救助し、ホワイトベースへと曳航する。
その間に、ホワイトベースの主砲がグフを射止めた。
スレッガー「そらそら、この程度じゃあないでしょうよ!」
タカアキ「そこだっ! うぐっ、やるなあっ!!」
グフが次々と撃墜され、爆炎でデブリ帯が赤く照らされた。
ブライト「アムロは無事かあっ!?」
セイラ「機体はボロボロで、再出撃は不能! アムロは目立った外傷はないけど、電流に晒されているわ!」
オムル「アレックスの修理、フィールドモーター系の交換だけじゃ済まないんで……突貫でも二日はかかります!」
ブライト「くそっ……どうする、俺……!」
タカアキ「敵モビルスーツ隊、撃滅! マッケンジー中尉も、今は意識を失っているようですけど、無事です!」
ブライト「……よくやった! モビルスーツ隊回収後、掃海艇で機雷を片付けろ!」
──ホワイトベース、医務室
クリス「助かりました。……みんな、ごめんなさい……私達のせいでモビルスーツが全部……」
スレッガー「……なあに、生きてりゃそれでいいのサ」
ブライト「ええ、中尉が無事で何よりだ。女性が減ると野郎の士気も下がるからな」
ミライ「んっ!?」
カイ「にはははっ、アムロちゃんの、だろ?」
ブライト「まぁ、それも多分に含まれるかな」
ジョブ・ジョン「お? 艦長が冗談を……明日は宇宙磁場嵐か?」
ブライト「よせよ、ジョブ・ジョン」
ハヤト「なんです、ウチュウジバアラシって」
ダニエル「ああ、SFでよくある」
ハヤト「へえ~っ。『宇宙戦争』とか?」
ダニエル「そうそう、そういうのにさ」
クリス「あら? これは戦後、軍事法廷にて性差別発言として──」
ブライト「ええっ? か、勘弁してくださいっ!」
タカアキ「……こりゃ一本取られたな」
ジョブ・ジョン「はははは! 慣れないこと言うからでしょ!」
クリス「……」
ジョブ・ジョン「どうしたんです、今は無事を」
クリス「……でも、ウンジュが……」
ジョブ・ジョン「……そう、だったな。これが現実だ」
タカアキ「……ウンジュ……」
ブライト「……だが、それどころじゃないぞ。敵のムサイはどうしている? 場合によっては、ダニエルのキャノン以外のモビルスーツすべてを損じた状態で戦わねば……!」
タカアキ「そうか……まだ敵は……!」
ジョブ・ジョン「マズイな……」
ダニエル「え、俺一人?」
カイ「頼むぜ、ヘイチョ」
ダニエル「おお、神よ……」
──ルウム戦場跡
<BGM:http://youtu.be/eA28IEW4NKE>
マ・クベ「……ウラガンがやられたか。奴が逸ったというより、連中が一枚上手だったと思いたいな」
バロム『閣下……どうなさいます』
マ・クベ「バロム大佐。任務は放棄して構わん、ソロモンへ向かえ」
バロム『仰る意味が、よく……』
マ・クベ「私が殿を務める。撤退し、ドズル中将の指揮下に入れ」
バロム『か、閣下っ!?』
マ・クベ「貴殿のような情に厚い指揮官が必要なのだよ、ジオンには」
バロム『閣下を失うことの方が我が軍には手痛く──』
マ・クベ「買い被ってくれるな。私は地球を愛していただけなのでな。だから宇宙での戦いに意味を見出せん」
バロム『──はあ』
マ・クベ『キシリア・ザビは地球を資源基地として見ていなかった」
バロム『……ザビズム……ですな。スペースノイド至上主義……』
マ・クベ「地球に住むエリートを撲滅し、我らジオン国国民こそが新なる人類であると知らしめる。そして宇宙を地球圏の中心とする……」
バロム『別名、新・ニュータイプ論……』
マ・クベ「……ジオン・ダイクンが語ったのは、いつまでも地球を食い物にしていてはならんと、そう言っていたのだ。本来の宇宙移民計画の通り、人類は皆地球から巣立つべきだと!」
バロム『……確かに。移民の発端はそうだった』
マ・クベ「そしてニュータイプは、そういう生活に適応した新しい人間であるという話だった。キシリアが研究させているのは、ただのエスパーだよ」
バロム『閣下、エスパーなんていうものが実際にいると──』
マ・クベ「正しくは“脳をすべて使うようになった人”というべきだろうな。今まで人類の頭脳は7割~8割ほどしか機能的に活動していなかったというから、それを解き放たれた人々……だとは思えんかね」
バロム『なるほど……脳のリミッターが外れた人々、だと』
マ・クベ「そうだ。勿論、門外漢の私が聞きかじった話を整理しただけに過ぎないがね」
バロム『は、はぁ』
マ・クベ「……私はザビズムを許容できん。あの母なる美しき大地に、我らの故郷スペース・コロニーを落とすなどと、なんと愚かな」
バロム『……叛逆的な発言、ですな』
マ・クベ「ガンダム相手に生き残れるとは思っておらん。好きに報告しろ」
バロム『……心中、お察し致します』
マ・クベ「ふ、貴殿こそ生き残るのにそんなことを言っていいのか」
バロム『皆の気持ちを代弁したまでに過ぎません。我がバロム隊はダイクン派が多く集まっております』
マ・クベ「そうだったか。……私は、ジオンだのザビだの、くだらない思想争いなどどうでもいいのだよ」
バロム『はい』
マ・クベ「そんなくだらん思想、私にとっては白磁の壺ひとつにも値しない。ただの言葉遊びだ」
バロム『ははは、痛烈だ』
マ・クベ「私の船室やサイド3の私邸にある骨董は、いつか地球に返してやってほしい。こんな空しい世界で朽ち果てるには忍びない」
バロム『……はい、閣下』
マ・クベ「ありがとう、バロム。我が友よ」
バロム『……総員、マ・クベ准将に敬礼。本艦はこれより転進、宇宙要塞ソロモンへ向かう。バロメルにも伝えよ! 閣下……御武運を』
マ・クベ「ああ、さらばだ」
ギャンがデブリに膝を付き、コクピットを開く。
マ・クベ「……寒いな。ここは」
マ・クベ「愚かな戦いだ。こんなもの、早く終えねばならんのだよ……」
マ・クベ「白磁の騎士よ。おれに、ただ一度力を貸しておくれ」
テキサス・ゾーンでウラガン隊の待ち伏せを乗り越えたホワイトベース。
しかし、イ・ウンジュの死を嘆く暇もなく、マ・クベ准将の新モビルスーツ・ギャンが襲い来る。
アムロを欠いた部隊は、なんとしてもここを突破せねばならぬのだが。
機動戦士ガンダム、次回、『マ・クベ、特攻!』
君は、生き延びることができるか?
マクベを引っ張る。
次回は少し『アレックスつえええ』から外れます(またかよ)
>>253
なにそれ、画像かなにかありませんか!?
ガンダム占いがアレックスな俺には見逃せない
>>261
ガレージキットがあるから画像検索で出るよ
作中ではまだクリスマス前ですが……
新年、あけましておめでとうございます。
今年も変わらず、かっこいいマ・クベを書き続けたいと思います(?)
次回投下は相変わらず未定ですが、なるべく早く投下しますので、書き初めはそれに代えさせて頂きたく思います。
http://i.imgur.com/CispoLj.jpg
以下、「字が汚い」「色ムラがひどい」「腰アーマー手抜き過ぎ」「字が下手」は受け付けません。
>>266
絵がかっこいいマさんじゃない
>>263
それらしきものは見当たらず……情弱無念
>>267
はいかっこいいマさんだよほらこれでいいか!
http://i.imgur.com/dlDAB9s.jpg
マ(>>267よ……貴様の脳内に直接語りかけている……無茶ぶりをするのはやめたまえ……よいか……無茶ぶりをするでないぞ……)
思い描く智将マ・クベは僕の画力では表現できなかったんですが、ジ・オリジンのマ・クベをイメージしてくれれば、98%くらい合致してます。
明日投下予定。
>>1の描くマ・クベはアニメ版マ・クベとは120度ほどキャラクターが違います。(?)
ようやくスレッガーも活躍できそう。お楽しみに!
明日投下予定(投下するとは言っていない)
今日こそは投下しますごめんなさい(´・ω・`)
何か文中でわかりにくいことあれば、いくらでもレスつけてください。
自分で考察している分や調べられる分には回答します。
それと、自分の中でブレそうなので、マ・クベのキャラ設定
マ・クベ准将(cv 塩沢兼人)
40代半ば、身長185cmほど、痩せ型
ジオン公国軍地球方面軍司令。
地球文化をこよなく愛しており、地球にコロニーを落としたザビ家(特にキシリア)を憎んでいる。
地球を保全する為の宇宙移民には賛同しており、それを棄民政策へと転換した連邦政府への復讐の為の戦争として自らを納得させている。
地球の文化財を守る為に蒐集していたが、やはり地球にあるべきとも考えており、戦いが落ち着けば地球に返そうと考えている。
開戦時は中将だったが、オデッサ陥落による地球軍敗退により、降格処分とされた。
モビルスーツ乗りとしては凖エース級の腕前で、MS-17ガルバルディのフレームを流用した専用モビルスーツ・ギャンを製作させ、愛機としている。
──ホワイトベース、医務室
アムロ「う……」
フラウ「よかった、目が覚めたのね!」
アムロ「あれ……僕は……」
フラウ「戦闘中に敵の電流を受けて意識を……」
アムロ「ああ……宇宙用のグフか……。戦いは? ブリッジへ──うっ」
フラウ「ああっ、だめよ、起きちゃ! 外傷はないけど、脳や神経へのダメージがあるかもしれないわ。意識が戻れば治療カプセルにもう一度入れって、サンマロさんが」
アムロ「……わかった。でも、状況を教えてくれよ。クリスチーナ中尉は?」
クリス「呼んだかしら?」
アムロ「あっ、中尉! 無事だったんですね!?」
クリス「ええっ。おかげさまで・ネ」チュッ
フラウ「!!?!?!!?!!?」
アムロ「へっ!?」
クリス「ありがとう、アムロ。それと、クリスって呼んで」
アムロ「ク、クリスさん」
クリス「そう、よくできました。……じゃあ、またね」プシューッ
アムロ「……行っちゃった……」
フラウ「…………」プクーッ!
アムロ「……むくれちゃって、どうしたのさ」
フラウ「ほっぺにチューされて、鼻の下伸ばしちゃって!」
アムロ「伸ばしてないよ」
フラウ「アムロのばかっ!」
アムロ「な、何だって……言うんだ……?」
ウラガン『マ・クベ閣下。ウラガン大尉であります! 閣下の下で地球侵攻に携われるとは、感激しております!』
ガルマ『ほう、マ・クベ中将も地球の文化に興味を。実は私もそうなのです。ジャパニーズ・テンプルに特に興味が──』
ラル『マ・クベ閣下にお伝え願いたい。このランバ・ラル、必ずや木馬を討ってみせると』
マ・クベ「我が親衛隊と、かつて私の想いに賛同してくださったガルマ様の──そして戦いに忠を尽くしたランバ・ラルの弔いをするとしようか」
マ・クベ「往くぞ、ギャン。我が白磁の騎士よ」
『マ・クベ、特攻!』
<BGM:http://youtu.be/yyy_crmOAow>
──ホワイトベース、ブリッジ
オスカー「うわっ、レーダーに感! グワジン級大型戦艦とムサイ級軽巡洋艦が一隻ずつ!」
マーカー「ムサイは先程のものと一致! どうします!?」
ブライト「くそ、見逃してはくれないか! 総員、第一種戦闘配置! モビルスーツが一機しかないんだ、死ぬ気でいろ!」
ダニエル「クソったれ。出撃用意します!」
ブライト「頼む!」
ダニエル「戻ってきたら美女がお出迎えしてくれるんでしょうね!」
フラウ「わたしでよかったら!」
ダニエル「やったぜ。セイラさんとミライさんとクリスチーナ中尉もお願いしますっ!」
フラウ「わたしひとりじゃ不満だっていうんです? 兵長なんてしりません!」
ダニエル「ひえ~っ!」
ブライト「いいから行けっ!」
オスカー「……あれ? グワジン、転進。続いてムサイも転進。ソロモンの方角へ向かいますね」
ダニエル「ほっ……実は不安だったんですよね、へへへ……」
マーカー「モビルスーツの反応拾いました! ……い、一機だけ……?」
スレッガー「……単騎で殿かよ。度胸あるじゃないの」
ブライト「距離遠いが、機種わかるか」
マーカー「……シルエットは……ガンダム? ……いや、似てるけど違う。データーにありません!」
スレッガー「新型か? ダニーだけで倒せるとは思えんな……」
ダニエル「ちくしょう、やってみせますよ。ナメんじゃないですよ俺を!」
スレッガー「頼むぜ」
ダニエル「はいっ!」
──スペース・デブリ
マ・クベ「ウラガンがうまくやっていれば、今頃敵の戦力は手薄だろう。ガンダムさえ引っ張りだせば、後のことはどうでもよい」
マ・クベ「……ああ、しまった。バロム大佐に言伝を頼めばよかったか」
マ・クベ「死を目前とすると、言い残したこと、やり残したことが急に思い当たるものだな」
マ・クベ「……ドズル中将にただ一言。“後は頼む”と、伝えてもらえばよかった──」
──ホワイトベース、カタパルト
オムル「今、ジムの無事なパーツをツギハギしてる! せめてそれまでは持たせてくれよな」
ダニエル「やってみせりゃあいいんでしょ!」
オムル「そういうこと!」
オムルに背中を叩かれて、ガンキャノン107番機のコクピットに乗り込む。
マーカー「進路クリアー、システムオールグリーン!」
フラウ「ダニエル兵長、いつでもどうぞ!」
ダニエル「すうっ……はああっ。……了解!」
カラカラに渇いた喉をゴクリと鳴らし、目を見開く。
重モビルスーツ・ガンキャノンをリニア・カタパルトに進めて、声を張り上げた。
ダニエル「ダニエル・シェーンベルグ。ガンキャノン、出ます!」
カタパルトから射出されたガンキャノンが、漂流する岩石に着陸する。
ダニエル「いざってなったら、このビーム・ライフルで狙撃すりゃ──おわああっ!」
突如、着陸したばかりの岩石が爆発し、その衝撃で機体が吹き飛ばされる。
ダニエル「し、姿勢制御! スラスター少ないから、コイツぅっ!?」
マ・クベ「よもや、貴様だけとは言うまいな!?」
ダニエル「うわあああっ!! かっ、甲冑!?」
姿勢制御に苦しむ最中、突如として眼前に迫った白銀のモビルスーツに、ダニエルは戦慄した。
ギャンの機体性能のお陰なのが大きいと思うが、
格闘戦はアムロとも良い線でやり合ってたマさんにダニーだけじゃ勝てんやろ
アムロがジムか格納庫に眠ってるガンダム2号機で助けに来る展開?
ダニエル「ホワイトベース、聞こえるか! 銀色の新型モビルスーツと遭遇! ま、まるで甲冑だ!」
ブライト『──ザザザッ、ザザッ──ザザーッ、応戦し──ザザッ──』
ダニエル「くそっ、聞こえない! ……うおおっ!?」
マ・クベ「無駄だ! ミノフスキー粒子を散布してあるのでな!」
“お肌の触れ合い通信”でマ・クベがダニエルに語りかける。
ダニエル「話しかけてきた!?」
マ・クベ「名乗れ、ガンキャノンのパイロット! わが名はマ・クベ」
ダニエル「お、俺は……ダニエル・シェーンベルグ、兵長。あんた、単騎で何のつもりだ……?」
マ・クベ「何のつもり、だと? 兵長、状況から考えてみたまえ」
ダニエル「教授気取りかよ……!」
マ・クベ「ええい、聞かんか。グワジンとムサイを逃がして、私が単騎残った。つまりは?」
ダニエル「……身代わり……囮……?」
マ・クベ「よろしい。自ら名乗るのも憚られるが──この智将マ・クベに対して、言葉遊びでイニシアティヴを取れると思うなよ、兵長」
ダニエル「……智将マ・クベ……? あっ……地球方面軍総司令、マ・クベ准将か……っ!!」
マ・クベ「あまりに察するが遅いな……。貴様は一度、士官学校から出直して来るといい!!」
ギャンのハイキックがガンキャノンの顔面を蹴り抜く。
そんな衝撃を加えられることを考慮していない頸部がもげ、バイザーは砕け散った。
ダニエル「メイン・カメラがああっ!!? パ、パワーが段違いだあっ!」
マ・クベ「地球の暮らしは素晴らしかった! 残念ながら、四季をすべて体験するには時間が少なかったが、それでも刺激に溢れていた!」
ギャンのビーム・フルールが突き出され、ガンキャノンの左砲を削り取る。
マ・クベ「ハンティングも体験した! 黒海沿岸は未だに肥沃でな、ウサギやオオカミ、ヘラジカも狩った! コロニーでは出来ぬ体験だよ!」
再び、ビーム・フルールが突き出され、今度は右肩を撥ね飛ばす。
マ・クベ「だが、北米とシベリアのコロニーが落ちた跡を視察した時……私は戦慄した。我が軍がこれほどのことをやってしまったのか、と。終ぞシドニーを視察するには至らなかったが、これほどの大悪を冒してしまったのだ。我々は! ジオンは!!」
三度、ビーム・フルールが突き出された。コクピットの横を掠め、機関部を停止させる。
ダニエル「う、動けよ……おいっ……」
操縦桿を乱暴に動かすが、ガンキャノンはうんともすんとも言わず。
ダニエル・シェーンベルクに死の恐怖が立ちはだかった。
ダニエル「あ……あぁぁ……た、助けて……ブライトさん……アムロ……スレッガー中尉……!」
マ・クベ「おれは、地球を愛しておる! だがおれは、死にかけの地球が再生する過程を見ぬままに死んでゆくのだ! だからこそ、せめてこの目に、一度でも焼き付けたかった! この地球を! 我らが碧き星を!!」
ダニエル「うぐ……うぐぅっ……!」
マ・クベ「おれは、ガンダムに感謝しているんだ……! オデッサで核を止めてくれたろ? 戦術上必要だったとはいえ、おれは二度と地球を傷つけたくなかったのだ。だから、感謝している」
ダニエル「し、知るか……クソったれ……!」
マ・クベ「“クソったれ”! 素晴らしい! それはアメリカ英語か? イギリス英語か? それともカナダ訛り? ああ、オーストラリアか!? どこだ、君はどこの出身で、それはどこの英語だ? おれはジオンの言葉しか、知らんのだ!」
ダニエル「てめえらが滅ぼした、シドニーの言葉だ……チクショウめ」
マ・クベ「……シドニー……か……。ならば、オーストラリア訛り……なのだな……」
ダニエル「だったら、どうした……クソったれの、チクショウの、人殺しの親玉め……!」
マ・クベ「人殺し……だと」
ダニエル「ああ、そうだ! てめえらは史上最低の殺戮者だよ!! クソったれ!!」
吐き捨てるように言い放つ。
俺の故郷を焼いたのは誰だ、と怒りを露わに。
マ・クベ「…………おれを……」
ダニエル「あぁ!?」
マ・クベ「……おれをぉぉ……」
ダニエル「なんだよ、言ってみろ! コロニーを落としたチクショウ豚野郎!!!」
マ・クベ「…………おれをおっ! キシリアのような下衆と、一緒にするなあああっ!!!!」
ギャンのマニュピレーターがガンキャノンの胴を掴み、その細い機体からは想像もつかない金剛力で引き千切らんとする。
ダニエル「うわあああ!? なんだよ、なんなんだよ、クソ! クソ! クソ! クソ! クソ!」
ミシ、ミシミシミシミシ……!
ダニエル「やめ、やめてくれ! マ・クベ准将! 俺が悪かった、俺があんたを愚弄したことは、謝るから!! だから!!」
バギッ!
バチバチッ!
マ・クベ「キシリア・ザビのようなああっ!! 下衆とおおおおっ!!!!」
ダニエル「あ」
グシャッ
露出したコクピットを左手で一握りに潰す。
装甲に覆われていないコクピット・ブロックは、火花ひとつあげず圧潰した。
マ・クベ「一緒にぃぃ……するなぁぁぁぁ……!!」
コクピットで頭を掻き抱き、力無く叫ぶ。
マ・クベ「あああ……あぁぁぁあ……っ!! あぁあーっ!!」
──ホワイトベース、ブリッジ
オスカー「ダ、ダニエル機……ロスト」
ブライト「……なんだって……」
セイラ「ブ、ブライト……私がジムで」
タカアキ「いや、俺が」
ブライト「だ、だめだ。ダニーのキャノンがやられたんだ。不完全なジムで当たっても、勝ち目なんて……!」
ミライ「ブライト!」
フラウ「ブライトさん!」
クリス「ブライト大尉!」
マーカー「ブライトさん!」
ブライト「…………ぁ」
ブライト「……ア、アムロは……アレックスは……」
アムロ「……ここに、います」
フラウ「アムロ!?」
クリス「アムロくん!?」
アムロ「あのひとが……泣いているんだ……。……それに……ぼくが……戦わないと……みんなが……」
フラッ……
クリス「ああっ、アムロくんっ! だめよ、そんなんじゃ」
ガシッ!
アムロ「……クリス……さん……。大丈夫……ぼくは、もう……」
クリス「でも、まだ内臓が傷んでいるのよ! 大丈夫なわけないでしょ!」
ビーッビーッビーッ!
フラウ「はい、こちらブリッジ……なんですってっ? ……ええっ? ガンダムが?」
ブライト「!? ど、どうしたんだ」
フラウ「ガンダムが、動いているそうです……」
ブライト「何だと!? おい、誰が乗ってる!?」
スレッガー『よォ、皆さんお揃いで』
ブライト「ス、スレッガー中尉!?」
スレッガー『けがはもういいみたいだ。サンマロの確認も得た』
ブライト「病み上がりに単騎じゃあ!」
スレッガー『主役は遅れてやってくるもんさ。そうだろ?』
ブライト「マーカー、オスカー! 出撃させるな! ガンダム単騎で戦ってどうにかなる相手じゃないっ!」
マーカー「……スレッガー中尉。進路クリアー。い、……いつでも!」
オスカー「て、敵はモビルスーツ一機。新型機のようです、注意して」
スレッガー『話が早いじゃないか、オペレーターコンビ。……行ってくるぜ』
フラウ「……絶対、帰ってきてください。スレッガー機、いつでもどうぞ!」
スレッガー『ヒュ~ッ♪ ボクちゃんったら、愛されちゃって! スレッガー・ロウ。RX-78-02ガンダム、出るぜ!』
ブライト「おい! お前達、勝手な……!」
ミライ「ブライト」
ブライト「……ミライ、君からも何か言ってやってくれ。これじゃあ──」
ミライ「あなたが取り乱しては、士気に関わるわ。そうでしょう?」
ブライト「……ああ、そうだな。……すまない」
ミライ「艦長、指示を」
ブライト「ホワイトベースは現状を維持。主砲及び副砲での支援を行う。砲手は誰だ!」
カイ『あいよ~。任されて!』
ジョブ・ジョン『どうも』
ハヤト『やってみせますよ……ダニエルの仇』
ブライト「……よぉーっし! スレッガーに当てるなよ!! 撃えっ!!!」
──ルウム、戦場
飛来したメガ粒子砲を回避し、その発端から放たれたもう一つの敵意を睨み付ける。
マ・クベ「来い!! おれを殺しに──!!」
RX-78-02 ガンダム。白い奴のパイロットは凄腕のエースだ。
だからこそ、このマ・クベ。戦士の血が滾るというもの。
さあ、来い。おれを殺してくれ。罪深きジオンの男を殺してくれよ、ガンダム。
おれを討て!
マ・クベ「さぁ、ロマン派が生んだ名曲をバックにおれと踊ろうじゃあないか」
マ・クベ「おれに、生の実感を与えてくれ! 最期だけでいい!!」
マ・クベ「最高の数分間にしよう、ガンダム!!」
<BGM:http://youtu.be/ONfSjfTWJJU>
スレッガー「視えた。当たれよォ!」
スレッガーがトリガーを引き絞る。ビーム弾が二発、ギャンの立つデブリを貫いて爆発を引き起こした。
スレッガー「どうだ、やったか!?」
マ・クベ「全然、足りていない!!」
爆炎の中から数多のニードル・ミサイルが飛び出す。
咄嗟にガンダム・シールドを構えるも、その“槍”はルナ・チタニウム合金製の複合防盾に深々と突き刺さり、ガンダムがシールドを投げ捨てると同じくして爆発を起こした。
スレッガー「なんて破壊力だよ、あいつは!」
マ・クベ「こんなものではなかろうよ!!」
ガンダムの動きに応えるようにして、ギャンがシールドを投げ捨てた。
ビーム・フルールを右手に、フェンサーの如く斜に構えてガンダムを見据える。
マ・クベ「聞こえるか、ガンダムのパイロット」
スレッガー「おっと? いつの間にワイヤーを繋いだ?」
マ・クベ「ミサイルとともにな」
スレッガー「はっ、手際のいいことで。なんだい、壺のモビルスーツよ?」
マ・クベ「壺? 壺か! ハッハハハハ!! 確かに、そうだ。この機体は白磁のようだな。ハクジと名付けるべきだったか?」
スレッガー「軽口叩く為に話しかけてるのかい、ええ?」
マ・クベは一頻り笑い終えると、ヘルメットを脱いで微笑んだ。
マ・クベ「貴様がガンダムのパイロットか。名前を何と?」
スレッガー「スレッガー・ロウ中尉。あんたも名乗りな」
マ・クベ「おっと、すまない。マ・クベ准将だ」
スレッガー「地球方面軍の総大将じゃあないか。何だってこんなところで──いや、よそう」
マ・クベ「察しが良くて助かるよ、中尉」
スレッガー「それと残念なお知らせだ」
マ・クベ「うん?」
スレッガー「俺はこいつの臨時パイロットでな。こいつのパイロットは今頃、あんたの部下にやられた傷で寝込んでるさ」
マ・クベ「……そうか、ウラガンはうまくやったのだな……」
スレッガー「ウラカンだかマシンガンだか知らねえが、手を焼かされたよ」
マ・クベ「ふふ……そうかね。ならば、貴様からガンダムのパイロットに伝えてほしい」
スレッガー「あん?」
マ・クベ「オデッサで核を止めてくれたこと、感謝する──と」
スレッガー「……わかった。事情は知らんが──」
マ・クベ「ああ、いや。すまんが、これも伝えてくれ。“私は地球を愛していた。しかし戦術上、止む無く核を使った。それを止めてくれて、更なる地球汚染を阻止してくれた貴君に、敵ながら感謝する”……と」
スレッガー「……ああ。音声ログも保管した。任せておきな、閣下」
マ・クベ「ありがとう、中尉。……では」
ビーム・フルールがワイヤーを切断する。
スレッガー「悲しいけど、これって戦争なのよね」
マ・クベ「寒い時代だ。中尉とは、パブで酒でも飲みながら出会いたかった」
ビーム・フルールとビーム・サーベルが激突する。
I・フィールドが反発し合い、プラズマ・スパークが辺りを明るく照らし出す。
光刃がぶつかる度、ルウムの戦場に華が開く。
スレッガー「アムロ坊やならもっとうまくやれたのかね、まったく!!」
マ・クベ「正規のパイロットが乗っていれば、既におれは死んでいたかもしれんな!」
何度、ビームが交錯しただろう。三十は下らぬだろうという時。
ギャンの左手が炎を上げて吹き飛んだ。
マ・クベ「なっ!? フィールド・モーターがイカれたのか!」
スレッガー「……なんだか知らんが、好機は逃すべからずってな!!」
マ・クベ「このギャンが、何故……はっ!!」
マ・クベの脳裏を過ったのは、ダニエル・シェーンベルグのガンキャノンを引き千切った事だった。
スレッガー「もらったァ!!」
マ・クベ「……なるほど、な。うぐっ!!」
戦意を喪ったギャンの腹部に、ビーム・サーベルが深々と突き刺さる。
マ・クベ「うっ……、スレッガー中尉……」
スレッガー「……なんだい、准将」
マ・クベ「ガンダムのパイロット……年の頃は……!?」
スレッガー「この間16になったと言っていた」
マ・クベ「な、なんと……! ……ぐっ、嫌な時代だ……ハイスクールの一年生ではないか……」
スレッガー「ああ。かわいいガールフレンドもいるぜ」
マ・クベ「はは……それは一度……どこかで……会ってみたかった……」
スレッガー「……ああ。そうだな」
マ・クベ「スレッガー、あの言葉必ずや少年に届けてくれよ! おれの遺志を!」
スレッガー「ああ、アムロ・レイ准尉に必ず伝える……!」
マ・クベ「アムロ、と云うのか……ああっ!!」
ビーム・サーベルを引き抜き、後ずさる。
マ・クベ「ワルキューレよ、おれを……ヴァルハラへ導いてくれ……」
──ホワイトベース、ブリッジ
スレッガー「奴さんは、地球方面軍司令マ・クベ准将だった」
ブライト「マ・クベ准将だと? 何故将軍がこんな僻地に……」
スレッガー「それは知らんが、アムロ准尉に言伝を預かってきた」
クリス「アムロに? どういうことです?」
スレッガー「……これは、本人にだけ伝えておくとするよ。マ・クベ閣下のためにな」
ブライト「……中尉がそうすべきだと思ったなら、そうしてください」
スレッガー「すまんね。つまらない義理立てって奴よ」
クリス「男の人って、こうだから」
──ホワイトベース、医務室
スレッガー「よう、アムロ」
アムロ「う……んん? スレッガー中尉?」
スレッガー「相手のパイロットから伝言だ」
アムロ「……泣いていた人から……」
スレッガー「オデッサの司令官だった。マ・クベ准将と言う」
アムロ「マ・クベ准将……」
スレッガー「お前さん、オデッサで核攻撃を止めたんだってな?」
アムロ「ええ。ミサイル・シップを撃墜して……」
スレッガー「それのことで、感謝したいってよ。……ほら、これが音声データだ」
マ・クベ『──伝えてくれ。“私は地球を愛していた。しかし戦術上、止む無く核を使った。それを止めてくれて、更なる地球汚染を阻止してくれたことに、敵ながら感謝する”──』
アムロ「……彼は?」
スレッガー「散ったよ」
アムロ「そう……ですか。ありがとうございます、中尉」
スレッガー「確かに伝えたぜ」
アムロ「ええ。……はじめて、好意を向けられたのかな」
スレッガー「戦争だってんのに、義理堅い人だったぜ。そして、高潔な人だった」
アムロ「……ありがとうございます」
スレッガー「礼を言いたいのはこっちだぜ。お前さんが核を止めてくれたから、地球の寿命が少し延びたんだろ」
アムロ「大袈裟ですよ。ぼくがやらなかったら、誰かがやっていました」
スレッガー「それをお前さんがやったんだろ。誇っていいと思うぜ」
アムロ「……はいっ」
スレッガー「じゃあな。あまり医務室に長居すると、サンマロに見つかっちま──」
サンマロ「ぼくが、なんですって?」
スレッガー「あっ」
サンマロ「あのねえ、スレッガー中尉!! けが人は!! おとなしく!! してろって!! 言ってんでしょ!!」
スレッガー「し、しかたねえだろ!? ダニーもヤられちまったんだし!」
サンマロ「だとしても、です! 他にも手の打ち様はあったでしょうに!」
スレッガー「勘弁してくれ、けがに響く!」
サンマロ「あっ、ごめんなさ──って、やっぱりけがしてるんなら医療カプセルに入りなさいって!!」
スレッガー「しまった! あばよ、アムロ!!」
アムロ「あははは……」
サンマロ「こらっ、待ちなさいって! アムロ、きみもよく休むこと! ……いいね?」
アムロ「あっ、ハイ」
スレッガー・ロウが奮起し、智将マ・クベ将軍を破ったホワイトベース。
一行は補給と修理の為、テキサス・コロニーのゲリラと合流する。
荒れ果てたコロニーでの出会いとは?
機動戦士ガンダム、次回、『宿命の出会い』
君は、生き延びることができるか?
ようやくマ・クベ回終わった
もう少し散り際の美学ってものを出したかったけど、俺の表現力では限界が。
毎回音楽を何かしら入れたがるのは趣味です。
今回はマ・クベのキャラ付けの為にもロマン派の王道、リヒャルト・ワーグナーの『ワルキューレの騎行』をば。
初演は1870年なので、宇宙世紀0079年(西暦2124年)からしたら250年前のクラシック音楽ですネ。
>>280
レスありがとう。予想は惜しかった!
ダニーは死んだうえに、真打はスレッガーさんでした。
ここのマさん熱くていいな
アニメ版より戦力増強されたホワイトベース隊でもここまででダニー(とガンキャノン)、ウンジュ(とジム)に、
スレッガー隊の三人(スレッガーさん無事だったがジム4機喪失)を失ってるんだよなぁ~
たったMS3機と戦闘機2機(ソロモン戦で1機喪失)で終戦まで戦い抜いたアニメ版が如何に異常なのかが分かる
(尺の問題やら動かす人数多いとセル画の数大変だとか大人の事情も含めて)
RX-78-02ッてことはオリジンが元か
>>297
少しグレイフォックスとぶりぶりざえもんが混ざっちゃってますけど、こんな感じのマクベ閣下もアリかなーって思います。
マクベ「お助け料、北宋の壺」
>>298
ただの再編だとジ・オリジンと変わらないので、ホワイトベースには『HARDモード』を体験してもらってますw
>>299
登場メカについては
>>159 >>160 >>231 >>232
を御参照ください。
今晩第8話投下予定。第9話も粗方書けてるので、近日中にサイド6を旅立つはず……はず……。
──宇宙世紀0079年12月8日
──宇宙要塞ソロモン、スペースポート
ドズル「おう、バロム大佐! 長旅ご苦労だった!」
バロム「これは、ドズル閣下自らお出迎えを……恐縮であります」
ドズル「そんなことは気にせず、楽にしてくれ。ところで、姿が見えんがマ・クベの小父貴(おじき)はどうした?」
バロム「マ・クベ閣下は……アサルムを逃がす為に殿軍としてホワイトベースと交戦──戦死なさいました」
ドズル「死んだ……? ジオンいちの名将、マ・クベが……?」
シャア「バロム大佐、お久しぶりです──ドズル閣下、どうなさった?」
バロム「シャア大佐……」
ドズル「……マ・クベが、死んだそうだ……」
シャア「な……何ですと? ……あのマ・クベ閣下が? まさか、そんな?」
バロム「ガンダムと交戦し……戦死……なさいました」
シャア「また……ガンダムか……! ええい、私が北米で取り逃さなければ……」
ドズル「……過ぎたことを悔いても仕方あるまい! ティアンムの艦隊が攻めてくるのは間違いないのだ、まずはそっちの対策を練らねばならんだろう」
バロム「おっしゃる通りです、閣下」
ドズル「ラコック、佐官クラスから将軍まで全員呼べ! 緊急会議を招集する!」
ラコック「はっ!」
シャア「はっ」
バロム「は!」
──同刻
──テキサス・コロニー、オアシス湖畔
少女「綺麗ね。ここが荒れ果てたところだなんて、誰が信じるかしら」
男「逆だよ。ここがこんなに豊かなどと、誰が信じるだろうか」
少女「でも、ここは観光用コロニーなのでしょう?」
男「ああ。だが、ルウム戦役でミラーが故障して、万年砂漠のような気候になってしまっているんだ。観光用だったのは戦前の話さ」
少女「そう……むつかしい話をするのね。大人って」
男「そんなに難しかったかい?」
少女「えぇ。もっと簡単でいいのに」
男「簡単、ねえ……」
少女「……あっ。綺麗な瞳の男の子が来るわ」
男「……?」
『宿命の出会い』
<BGM:http://youtu.be/yyy_crmOAow>
──宇宙世紀0079年12月8日、未明
──テキサス・ゾーン
ブライト「こちら地球連邦宇宙軍第十三独立機動部隊、ホワイトベースです。聞こえますか」
ロジェ『通信感度良好。こちらはテキサス・コロニー・レジスタンス、ロジェ・アズナブルです』
セイラ「!!」
ミライ「……?」
ブライト「……アズナブル……?」
ロジェ『……お気付きか。ジオン公国軍のシャア・アズナブルは、私の倅です』
ブライト「なんと……」
ロジェ『貴艦の状況は見張りから聞いています。さぁ、スペースポートへ』
ブライト「助かります」
セイラ「…………」
ミライ(セイラ……?)
カイ「っへぇ~……シャアの親父さんが、レジスタンスのリーダーとはねえ」
ハヤト「変な話ですよね」
ジョブ・ジョン「好きで送り出したわけじゃない、ってことかなあ」
タカアキ「あー。俺も志願した時には親父にブン殴られたな~」
クリス「そんなことがあったの? あぁ、だから入学式の時にほっぺ腫らしてたのね」
タカアキ「ちょ、なんでそんなこと覚えてるんです!?」
ジョブ・ジョン「ああ、あれは傑作だった。みんな話題にしてたんだぜ」
タカアキ「そんな!?」
スレッガー「お前サンたち、同期か」
クリス「ええ、そうなんです。私は配属がまったく違ったから、ここで久々に話せて」
タカアキ「クリスったら、かわいい女の子だけど成績は誰よりも良かったんですよ」
スレッガー「っへえ~。見た目じゃわからねえもんだな」
カイ「アムロちゃんだって見た目はナヨナヨだぜ?」
スレッガー「おっと、それもそうだ」
ハヤト「あいつは特別ですよ、特別」
クリス「あら。彼だって普通の男の子よ?」
カイ「お? 中尉、アムロちゃんと何かあったりなかったり?」
クリス「バカいってんじゃないの。さ、入港作業に入りましょ」
カイ「へいへ~い」
スレッガー「おや、何かあったのかい?」
クリス「別に何も。詮索するの、やめません?」
スレッガー「へっへっへ、すまんね。女好きが災いしちまったようだ」
クリス「もう!」
ハロ「ンモウ! ンモウ!」
クリス「ハロ、うるっさい!!」
ガッ!
ハロ「ワァ~ッ!」
スレッガー「おー、こわっ」
──テキサス・コロニー、スペースポート
ロジェ「ブライト艦長。お会い出来て光栄です」
ブライト「ロジェさん、どうも。本当に補給を?」
ロジェ「ええ。できることは限られますが。……それと、ひとつ条件が」
ブライト「ありがたい。条件とは?」
ロジェ「我々をサイド6まで運んでほしいのです」
ブライト「……それは……」
ロジェ「どちらにせよ、あなたがたも一度ちゃんと補給を受ける必要がある。もちろん軍隊だから、上層部から許可が出なければそれで構いません。最低限の補給だけは行います」
ブライト「……わかりました。難民として保護しましょう。武装解除後、船内へ案内します」
ロジェ「助かった! ありがとう、ありがとう!」
ブライト「いや……ただし、船室は限られますから、狭い思いをさせますよ」
ロジェ「なに、そんなの、荒野の暮らしに比べれば。本当にありがとう、艦長」
ブライト「いえ……。我々も少し観光をしても?」
ロジェ「ええ。荒野とはいえ、アメリカ南西部の自然そのものだ。どうぞ」
ブライト「ありがとうございます。クリスチーナ中尉、セイラたち観光の許可が出た、と。アムロも動けそうなら連れ出してやってくれ」
クリス「了解。伝えてきます」
ロジェ「……あのう、今、セイラと?」
ブライト「ええ。何か?」
ロジェ「もしやその方は、セイラ・マスという名前では……」
セイラ「そう。お久しぶりです、おじ様」
ロジェ「お……おぉ……セイラさん……なのか……」
ブライト「え? ええ? あの?」
セイラ「ブライトには言ってなかったかしら。開戦の直後まで、私はテキサスで暮らしていたの」
ブライト「そ、そうだったのか」
セイラ「彼のお子さんとも、知り合いだったわ」
ロジェ「……シャア……」
ブライト「……積もる話もあるだろうから、おれは席を外すよ。何かあったら呼んでくれ。艦橋か部屋にいるから」
セイラ「ありがとう、ブライト」
──テキサス・コロニー、荒野
アムロ「すごい景色ですね……」
クリス「ええ。本当のアメリカ中西部は全部こんなってわけじゃないけれど、これはこれで宇宙生まれの人々には感動モノよね」
ジョブ・ジョン「は~、年中夕方になっちまって、こんなに荒れても、動物は生きてるんだなあ」
アムロ「……どうしたんです、急に」
ジョブ・ジョン「……おい。俺が感動しちゃあいけないっていうの!?」
アムロ「そういうわけじゃあ、ないですけどォ……」
ジョブ・ジョン「じゃあなんだっていうの、このっ、このっ!!」
アムロ「わあっ、やめてくださいよっ。いたいいたいっ! ちょっと!」
クリス「ふふっ、まるで兄弟みたいよ、二人とも」
ジョブ・ジョン「こんなやつと? 冗談はよせやい!」
アムロ「ジョブ・ジョンさんと? 勘弁してください!」
ジョブ・ジョン「なんだって、俺じゃあ不服かあっ?」
アムロ「そっちこそ!」
ジョブ・ジョン「うぎぎぎぎ!」
アムロ「むぐぐぐぐ!」
マサキ「はいはい、やめやめ。アムロもけがのこと考えて自制してよ、もちろん少尉も!」
クリス「それに、女性の目の前で喧嘩だなんて、みっともないわよ」
ジョブ・ジョン「喧嘩じゃあ」
アムロ「ありませんよっ!」
クリス「……いい加減に、しなさいっ!」
げん
こつ!
アムロ「ごめんなさい……」
ジョブ・ジョン「すみませんでした……」
クリス「わかればよろしい」
マサキ(旦那を尻に敷くタイプだ……!)
──テキサス・コロニー、オアシス
アムロ「……あ、あそこ。オアシスがある」
クリス「本当だわ。……ああ、ガイドブックには載ってないけれど」
ジョブ・ジョン「俺は頭殴られて痛いし、ここで休んでるよ」
クリス「あら。ごめんあそばせ」
ジョブ・ジョン「まったくだぜ」
クリス「何か仰って?」
ジョブ・ジョン「いえ何も」
アムロ「じゃあ、先に行きますね」
マサキ「ちょっと! まぁいいけど」
クリス「アムロくんも、ちょっと内気なところが直ればね」
ジョブ・ジョン「まぁ、アイツはあれでいいのかも」
クリス「どういうこと?」
ジョブ・ジョン「あれで外交的だったら、モブの立つ瀬ナイっしょ」
クリス「え、どういうこと?」
マサキ「メタな……」
クリス「?」
アムロ「すごい。荒野の真ん中とは思えない……あっ、鷲が……?」
オアシスの上を飛んでいたハクトウワシが徐々に力を失い、湖面に墜落する。
ボチャッ……
少女「かわいそうな鳥……」
アムロ「? ……あっ」
少女「…………」
アムロ「ごめん、脅かすつもりはなかったんだ」
少女「…………」
アムロ「う……えっと……あの鳥、好きだったのかい」
少女「綺麗なものが、嫌いな人がいるのかしら?」
アムロ「いや、そりゃそうですけど……」
少女「それが年老いて死んでいくのを見るなんて、とても悲しいことだわ。違って?」
アムロ「そうだけど……。僕はそういうことを聞いているんじゃあ……」
褐色の肌の少女が、初めてアムロの方を向く。
少女「……綺麗な目をしているのね」
アムロ「そ、そう?」
クリス「アムロ~、どこにいったの? ブライト艦長から帰投命令が出たわ! 戻ってきて!」
アムロ「あっ。今行きます! ごめんね、騒がしくって。さようなら」
少女「さようなら、アムロ」
アムロ「! ……最後に、君の名前を聞かせてもらってもいい?」
ララァ「私はララァ。ララァ・スン」
アムロ「ララァ。素敵な名前だ。……お邪魔しました。さようなら!」
──ホワイトベース、食堂
ロジェ「さあ、テクス・メクス料理を召し上がれ!」
タムラ「いやあ、まさか宇宙でタコスが食べられるなんて……ムシャムシャ」
フラウ「喋りながら食べるなんて、お行儀悪いですよぅ」
レツ「うめえー!」
キッカ「からいぃぃ!!!」
フラウ「もう、チリコンカンなんて辛いもの、キッカには無理よっ! お水飲んで!」
カツ「チリコンカン、おいしいのに」
レツ「な。キッカこどもだから」
キッカ「た―べーるー!!」
フラウ「無理ようっ!」
カイ「ニヒヒ、まるで保母さんだナ」
ハヤト「ええ、優しい子ですから」
カイ「ほほう、惚れてますな~」
ハヤト「ちっ、違いますよっ!」
スレッガー「戦場じゃあいつ死ぬかわからないんだ。想いくらい伝えておいて、いいんじゃあないの」
ハヤト「スレッガーさんまで!」
マクシミリアン「そうだぜ、ハヤト。ほら、告れよ!」
ハヤト「ああ、もうっ。こういうノリ苦手なんですよっ!」
フムラウ「ははは! まぁ、冗談半分だけどさ、中尉の言う通り、想いは伝えておいたほうがいいよ」
カイ「そうそう。俺みたいに先に亡くしちまう前にな。違うか、ハヤト?」
ハヤト「……急に真面目になるの、ずるいですよう……」
カイ「ニハハハハッ! まっ、真面目に考えておくんだナ」
ハワド「そうそう。カイさんじゃないけど、いつどっちか死んじゃうかもわからないんだぜ」
ハヤト「……はあい」
>>312
アムロ「すごい。荒野の真ん中とは思えない……あっ、白鳥が……?」
オアシスの上を飛んでいた白鳥が徐々に力を失い、湖面に墜落する。
ボチャッ……
少女「かわいそうな鳥……」
アムロ「? ……あっ」
少女「…………」
アムロ「ごめん、脅かすつもりはなかったんだ」
少女「…………」
アムロ「う……えっと……あの鳥、好きだったのかい」
少女「綺麗なものが、嫌いな人がいるのかしら?」
アムロ「いや、そりゃそうですけど……」
少女「それが年老いて死んでいくのを見るなんて、とても悲しいことだわ。違って?」
アムロ「そうだけど……。僕はそういうことを聞いているんじゃあ……」
さすがにワシはジャナイ感強すぎたので訂正。
テキサスにした弊害がここに。
アニメだとジャブローから打ち上げ後はグラナダ行くと見せかけた陽動でシャアを引き付けて、
中立コロニーのサイド6寄ってソロモンだったがこのSSだとルウム宙域のテキサスコロニーにいって
MS隊がマさんにボロボロにされたしソロモン戦は間に合わんとか? まさかなぁ…赤い人もソロモンにいるのに
そういや『本物のシャア・アズナブル』はもう故人で、
それをキャスバル坊やが替え玉になってジオン公国軍入りしたんだっけか?
アムロ「か、からいっ……」
クリス「あら、アムロは辛いの苦手?」
アムロ「そういうわけじゃあ、ないんですけど……これ、チリ利き過ぎでしょ……」
クリス「うーん、確かに辛いけれど。ブリートってこんなものでしょう?」
ジョブ・ジョン「ですね。チャイナ料理の辛さには全然及ばないし、これくらいでヒイヒイ言ってたらクリスに呆れられちゃうぜ……って、ひいっ、辛いな! これチレ・レイェーノか!」
クリス「ちゃんと確認しなさいよ……」
アムロ「どれが辛くない具なんです?」
ジョブ・ジョン「バルバコアとか。バーベキュー風味でおいしいぜ」
クリス「フリホレス・レフリトスが入ってるやつもおいしいわ。これ、食べてみて」
アムロ「フリホ……なんですって? あ、おいしい。あまり辛くないんですね」
ジョブ・ジョン「そうそう。具を選べる楽しさがあるから、いろいろ食べてみるといいよ」
アムロ「へえ~っ。少しチリが利いてて、なかなか……」
ロジェ「みんな楽しんでくれているようで何よりだ」
ブライト「ありがとうございます、ロジェさん。みんな気を詰めていたので、リラックスできたようです」
ロジェ「いや、これくらいはさせてもらわないと。サイド6までとはいえ、居候の身ですから」
アムロ「そういえば、テキサスに白鳥って……」
クリス「うん?」
アムロ「いえ、何でも。ちょっと考え事してて」
クリス「へぇ? ……わかった、女の子のことでしょ」
アムロ「えっ!」
クリス「図星ね。フラウ・ボゥ? それともセイラ? あら、もしかして私?」
ジョブ・ジョン「“女の子”の定義って曖昧だよな、カイ」
カイ「え? そ、そうねェ……?」
クリス「目にチリぶち込むわよ」
ジョブ・ジョン「すみませんちょっと失言」
──同刻
──サイド6、研究所
博士「困ったな」
助手「ええ。マ・クベ准将が“荷物”を回収する手立てだったのですが」
博士「死んだんだって?」
助手「はい。キシリア様から、そう」
博士「ふん、キシリアめ。だから自らの配下の者にやらせろと」
助手「……どうします、被験体L・Sは。最終調整が終わっていないのに……」
博士「それが、だな。現地のレジスタンスのリーダーと連絡がついている。大金とサイド6での暮らしを保証してやったよ」
助手「さすがです、フラナガン博士!」
フラナガン「ふふふ……私にぬかりはないさ。追って連絡が来たら私に知らせてくれ、シムスくん」
シムス「はい、博士」
──宇宙世紀0079年12月9日
──テキサス・コロニー、スペースポート
ブライト「準備はよろしいですか?」
ロジェ「ええ。コロニーの管理は私の使命でしたが、もはや維持もできますまい」
ブライト「……野生動物はどうなるのでしょう」
ロジェ「……それを思うと心苦しいものですが、仕方ない……そう、自らを納得させるしか」
ブライト「そう、ですね。……ではホワイトベース、発進!」
ミライ「ホワイトベース、発進!」
ブライト「行き先はサイド6。まずは連邦軍本部と連絡を取り、補給を要請する!」
アムロ「う……? なんだ、この感覚……?」
ブライト「どうした?」
アムロ「……いえ、多分、気のせいだと」
ブライト「今はお前の勘にも頼らないといけない。何かあったら言ってくれよ、アムロ」
アムロ「ニュータイプはエスパーなんかじゃないですって。でも、わかりました」
ロジェ「ニュータイプ……?」
アムロ「ちょっと勘がいいだけですよ」
──ホワイトベース、船室
セイラ「まさか、あなたが反ジオン活動に身を投じているなんて」
ロジェ「それはこちらのせりふだ。まさかきみが連邦軍の軍曹になっているとは……」
セイラ「シャア・アズナブルとは?」
ロジェ「家を出て行ったあの日から会っていない。お兄さんも事故でお亡くなりになって、親しかったシャアとも会えず、寂しかったろう」
セイラ「シャアは、私の兄です」
ロジェ「……は?」
セイラ「サイド7とジャブローで会ったんです。あれは兄でした。私の素性を知り、軍を抜けろと忠告してきた」
ロジェ「まさか……そんな……じゃあ、死んだのは倅で、エドワウ・マスは生き残っていた……?」
セイラ「……彼らは瓜二つでしたから……おそらく、入れ替わったのだと」
ロジェ「なんということだ……だが、納得がいく。息子は決して逞しい男ではなかったし、機械や馬の扱いも得意ではなかった。それと比べて、エドワウは馬術に体術に、息子よりも優れた才を発揮していたように記憶している……!」
セイラ「兄は……きっとザビ家への復讐を……」
ロジェ「そう、だったのか……」
ガチャ
ララァ「おじさま? このひとは?」
ロジェ「ああ、ララァさん。彼女は地球連邦軍の兵隊さんだよ」
セイラ「セイラ・マスです。短い間ですけど、どうぞよろしく」
ララァ「……シャアの、妹……」
ロジェ「!?」
セイラ「えっ!?」
ララァ「……何かしら、ごめんなさい。頭が痛くて……」
セイラ「い、いえ……」
ロジェ「あ、ああ。じゃあ薬を飲みなさい」
ララァ「どうもありがとう」
セイラ「……今の方は?」
ロジェ「ララァ・スン。身寄りがないっていうんで、預かっていたんです。サイド6の知人が引き取ってくださるそうで、それで」
セイラ「そう。……彼女は、エスパーかもしれない……」
ロジェ「…………」
テキサス・コロニーにて再会したロジェ・アズナブルとセイラ・マス。
昔話に花が咲く一方で、二人にとっての最大の懸案材料はシャア・アズナブルであった。
所変わってサイド6では、何やら不穏な空気が漂って……。
機動戦士ガンダム、次回、『平和の国』
君は、生き延びることができるか?
今日はここまで。
出会ってしまった2人……。
次回次次回でサイド6やりましょうね。
マ「待て、次回」
>>317
ヒント:史実でいけばソロモン海戦まであと17日
もちろん、史実通りに事は運びませんがw
気になる引きをする……!
それにしてもクリスって理想のお姉さんだよな
>>326
このスレでは意識してアムロにとって話しやすい『理想のお姉さん』であるように描いているつもりではあります。
とはいえ、元からクリスは理想の『となりのお姉さん』ですよねw
ifだけどアムロとクリスがくっついたらベルトーチカとチェーンは完全にイラン子だわな
クリスは配属でテストパイロットになったけど本来はOS技師だったはずだし
九話は明日くらいに投下予定。
早くて今日の深夜。
セイラさんと話すキャラはみんな口調が丁寧語になっちゃう不具合が発生してるのでもう少し待ってください。
週2投下(週末・週中の2回)が今年の目標。
>>330
クリスにはバーニィがいるでしょ(?)
──ホワイトベース、格納庫
オムル「どうだ、ハワド」
ハワド「ムルンバ技師いわく、アレックスは一度本格的にオーバーホールしないとダメらしいです。電気系統が完全にやられてるとか」
オムル「さすがにそこはジムのパーツじゃ補えないしな……仕方ない」
ハワド「それと、ダニエルのキャノンとウンジュのジムが回収できたので、パーツはある程度流用できました。クリスチーナ中尉とタカアキ少尉のジムは出せます」
オムル「こっちも、ジョブ・ジョンとカイのキャノンは復旧できた。ハヤトには砲手でもやってもらうしかないな」
ハワド「ですね。あと、ガンダムなんですが」
オムル「うん」
ハワド「装甲表面とフィールドモーターに少しダメージはありましたけど、当分は使えそうです」
オムル「確認ありがとサン。ガンダムはスレッガー中尉に任せた方がいいかな」
ハワド「ええ、アレックスの性能に慣れてきたアムロに、今旧式を任せたら辛いと思いますし、インターフェースもだいぶ違いますからね」
オムル「よしわかった。艦長にはそう進言しとく」
ハワド「お願いします」
オムル「じゃあ、整備を続けてくれ。カル、バロ! あと頼むぞ!」
ハワド「はい!」
カル「はいよ!」
バロ「了解!」
──ホワイトベース、ブリッジ
オムル「艦長、ちょっといいですか」
ブライト「オムルか、何だ?」
オムル「モビルスーツの状況についてなんですが」
ブライト「ああ、聞かせてくれ」
オムル「いや、いいんです? 民間人のロジェさんに聞かれたらまずいでしょう」
ブライト「ん? ああ、すまん。疲れてるようだ……失礼ですが、ロジェさん」
アズナブル「ええ、こちらこそ、図々しくブリッジにお邪魔して。船室に戻っていますね」
ブライト「ええ。お願いします。……それで、オムル?」
オムル「はい。まず、アレックスなんですが、電気系統がいかれてるっていうんで、オーバーホールしないと動かないそうです。ムルンバ技師に診て貰ったんで、間違いないと」
ブライト「そうか。ジムとキャノンはどうだ?」
オムル「ええ、クリスチーナ中尉とタカアキ少尉の分は確保できました。キャノンはジョブ・ジョン少尉とカイ軍曹の分は」
ブライト「ん? スレッガーはどうなる?」
オムル「それなんですが、ガンダムのパイロットとしてモビルスーツ隊を率いて貰ってはどうかと」
ブライト「何っ? アムロはどうするんだ」
オムル「アレックスに慣れ始めたアムロに、ジムと性能の大差ないガンダムじゃあ負担が大きすぎます。それに操作系統も違いますし」
ブライト「ううむ……わかった。そこまで言うなら、そうしよう。パイロットへは俺から伝えておく」
オムル「ええ、お願いします。では、作業に戻ります」
ブライト「ああ、頼む」
『平和の国』
<BGM:http://youtu.be/yyy_crmOAow>
フラウ「アムロ、降ろされちゃうんですか?」
ブライト「いや、違う。アレックスが修理できるまで休んでもらうだけさ」
フラウ「疲れてますものね、アムロも」
ブライト「ああ。一足早いクリスマス休暇みたいなものよ」
ミライ「私にもクリスマス休暇いただけますかしら?」
ブライト「バンマスに操舵代わらせるか?」
ミライ「あら、優しいのね?」
ブライト「よせよ。おい、バンマス」
バンマス「はい、聞いてましたよ。ミライさんはどうぞ休んで」
ミライ「本当にいいの? ありがとう、二人とも」
バンマス「ブライトさんだってカッコつけたいんですョ」
ブライト「バンマス、後で俺の部屋に来い」
バンマス「げえっ、冗談ですって!!」
ミライ「ふふ。じゃあ、サイド6に着いたら呼んでくださるかしら? 私の名前を出せば多少の無理は利くはずです」
ブライト「君の家名に頼らざるを得んとはな。すまん、その時は頼むよ」
──宇宙世紀0079年12月10日
──サイド6宙域
ブライト「こちら地球連邦宇宙軍第13独立部隊、ホワイトベース。そちらへの入港許可を求めます」
カムラン『こちらはサイド6出入管理局、カムラン・ブルーム監察官です』
ミライ「カムラン?」
カムラン『えっ、ミライなのかい?』
ミライ「ええ、ミライ・ヤシマです。どういった手続きが必要なのか、手短に説明願えますか?」
カムラン『えっ、えっ?』
ミライ「手早く。そちらで入港させてもらえないなら、行き先を変えなければなりません」
カムラン『あ、ああ。えっと、三点あります。まず第一に入港目的の説明。第二に武装の封印。第三にそれらに関する書類の記入が必要です』
ブライト「そちらで補給を受けることは?」
カムラン『できかねます』
ブライト「濁す物言いだ」
カムラン『正式には行えない、ということです。そういった企業や組織はありますけど、我々は関与していません、わかりますね?』
ブライト「……なるほど。あと、上層部と連絡を取りたいので通信施設をお借りしたいのですが」
カムラン『それは許可できません。自前の通信装備を使ってください』
ブライト「わかりました。ああ、それと難民の受け入れをお願いしたいのですが。サイド5宙域で収容した難民が大勢おりまして」
カムラン『難民? 上と相談しますので、それについてはまた後で』
ミライ「お願いね、カムラン」
カムラン『あ、ああ』
ブライト「さすがはヤシマ家のお嬢様だな……本当に助かった」
ミライ「父ももういないのだから、家名がどれだけ役に立つかわかったものじゃないけれど」
ブライト「でも、今はきみの家名のおかげでスムーズに事が運んだ」
ミライ「違うわ。カムラン、私の婚約者なんです」
ブライト「え?」
ミライ「親同士が決めたことだけれど、悪い人じゃないの」
ブライト「はあ」
ミライ「まっ、戦争が始まった途端サイド6に逃げ込んで、うまくやっているようだけれど」
ブライト「そ、そうですか」
ミライ「……あら、ブライト。妬いてるの?」
ブライト「よ、よせよ。そういうのじゃあないって」
──1時間後
──サイド6、スペースポート
カムラン「これにて、ホワイトベースの全武装の封印が完了しました」
ブライト「はい」
カムラン「もしこれが破られるようなことがあると──」
ブライト「わかっています。罰金の支払いが命じられる」
カムラン「現在、ジオンの軍艦も一隻停泊していますが、勿論これとの諍いも処罰の対象です」
ブライト「わかっています。クルーには徹底させています」
カムラン「結構。コロニー内では軍服を脱いで、私服での行動をお願いします。軍属を嫌う住民も多いので」
ブライト「はい、それもクルーに徹底させましょう」
カムラン「ええ、よろしく。では、何かあればまた連絡しますので」
ブライト「はい、どうも」
カムラン「あと、私情で申し訳ないんですが……ミライ・ヤシマと少し話をしても」
ブライト「……ええ、構いませんよ。今はまだブリッジにいるはずです」
カムラン「どうもありがとう」
──ホワイトベース、ブリッジ
スレッガー「俺がガンダムのパイロットですってよ」
ミライ「聞いたわ。でも、正式な決定はここで精密検査を受けてからになるんでしょう?」
スレッガー「まぁ、そりゃあそうだが」
ミライ「何もないよう、祈っています」
スレッガー「! ああもう治った。全部治ったね、俺ぁ」
ミライ「あら、本当かしらね」
カムラン「失礼、ミライ・ヤシマはいますか?」
フムラウ「ん? ミライさん、お客さんですよ」
ミライ「あ……カムラン」
スレッガー「ああ、例の婚約者。お邪魔だろうから席を外すよ。いこうぜ、フムラウ」
フムラウ「あ、はい」
カムラン「生きていてくれたんだね、ミライ。サイド7が襲撃を受けたと聞いて、心配していたんだ」
ミライ「あなたこそ、よく御無事で」
カムラン「君の父上も亡くなったと聞いているし、本当に心配だった。どうして連絡をくれなかったんだい?」
ミライ「忙しくて、そこまで気が回らなかったのよ」
カムラン「君の消息を掴む為に僕は必死だったというのに」
ミライ「……必死で?」
カムラン「ああ。必死で捜させたよ。いくら費用がかかったか知れないが、君が無事でよかった」
ミライ「なぜ、ご自分で捜してくださらなかったの?」
カムラン「仕事で忙しかったし、誰かがここで君を待っている必要があると思って」
ミライ「……そう。結局、親同士が決めた結婚だったということよね」
カムラン「待って、ミライ。それは違うよ、君の誤解だ!」
ミライ「誤解だって言われても、わたしにはスレッガー中尉やブライトの方が素敵な殿方に思えるわ」
カムラン「そ、そんな言い方ないじゃないか。そうだ、今から僕の家に来ないか? 父も喜ぶ」
ミライ「え? でも」
カムラン「悪いようにはしないよ。ミライ、君の無事を祝ってパーティを──」
スレッガー「ハイハイ、うちのお店ではお触りはNGですよ、お客サン」
カムラン「な、なんなんです。急に胸ぐらを掴んで」
ミライ「ス、スレッガー中尉!?」
スレッガー「聞いちゃいられねえよ」
カムラン「うぐっ……離しなさいって」
スレッガー「いくら婚約者だからって、俺達の艦で操舵手を務める女性にヨ、下手なちょっかい出してもらいたくないもんだね」
ミライ「中尉。い、いいのよ、止して」
スレッガー「本当ですかい? ふぅん……」
カムラン「げほっ、げほげほっ」
スレッガー「へっ、悪いな。ヤサオトコ」
ミライ「カムラン、大丈夫?」
カムラン「あ、ああ。なに、女性の口説き方がまずいってことさ。そうでしょ、中尉?」
スレッガー「ま、そんなところかね」
カムラン「今回は出直します。次はもっとうまく誘ってみせるよ、ミライ」
ミライ「……ええ、そうして」
スレッガー「…………」
──サイド6・リボー、市街地
アムロ「久々のコロニーだなあ……」
クリス「そっか、サイド7を出てからずっと地球だったんだっけ」
アムロ「はい。テキサスはちょっと特殊でしたし」
クリス「そうね。あそこは荒野だったし」
カイ「それにしてもクリスチーナ中尉、素敵なお洋服で!」
ジョブ・ジョン「クリスはスタイルいいから、モデルみたいだよな」
クリス「褒めても何も出ないわよ、二人とも」
ハヤト「カイさん下心見えすぎですよ」
カイ「ば、ばかやろう。そういうんじゃあねえよ! な、アムロ?」
アムロ「え、ええ? 僕に振らないでくださいよ」
クリス「そういえばアムロ。あなた、私服それしか持ってないんじゃない?」
アムロ「え? ええ。……おかしいですか?」
クリス「おかしくはないけれど、男の子なんだから、もっとおしゃれに気を遣ったらいいのに」
カイ「そーそー。ぼくちゃんみたいにサ。ね、中尉」
クリス「カイくんは……まあ、ええ、そうね」
ハヤト「ぷぷっ、なんです、今の間?」
カイ「てめ、ハヤトこんにゃろうめ!」
ハヤト「うわわっ、暴力反対!」
金髪の青年「なんだ? 騒がしい連中だな……修学旅行生か何かか」
中年の男「おい、バーナード。ああいう赤毛の姉ちゃんが好みなのか?」
バーニィ「えっ? ちょっと、適当なこというのやめません?」
男「悪い悪い、ハッハッハ!」
バーニィ「まったく。勘弁してくださいよ、バタシャム少尉」
バタシャム「なに、この小休憩が終われば、俺達も戦場行きなんだ。少しくらい羽目を外そうじゃあないの」
バーニィ「……それも、そうですね」
クリス「せっかくの非番だし、私たちは休暇を満喫しましょう」
ジョブ・ジョン「おう。バーでも行くかい」
アムロ「じゃあ、僕らは別行動ですかね」
タカアキ「そうなるな」
ジョブ・ジョン「ああ。ウンジュとダニエルに捧げよう」
タカアキ「そりゃいい」
クリス「じゃあ、私の知ってるお店でいいわよね?」
タカアキ「おう。じゃ、坊や達はここから別行動ってことで」
カイ「マジかよ? 仕方ねえな」
アムロ「了解です。飲みすぎたらいけませんよ?」
ジョブ・ジョン「大丈夫! 最悪、クリスの家に泊めてもらうって」
クリス「嫌よ。年頃の娘が酔っぱらって男二人連れ帰ったら問題でしょ」
タカアキ「ははっ、違いねえ!」
ハヤト「大丈夫かなあ」
アムロ「あはは……僕たちも食事でも取りましょう」
カイ「おう。さっきバーガーショップがあったな」
ハヤト「じゃあそこでいいんじゃないか?」
アムロ「うん、そうしよう」
──バーガーショップ
カイ「このバーガー、なかなかどうして、イケるぜ」
ハヤト「本当だ。フラウも呼べばよかったな、アムロ」
アムロ「うん、ハワドやフムラウも今仕事かな。パイロットが優先的に休めるのはいいけど」
カイ「当然っちゃ当然だろ。ま、スレッガー中尉は病院で検査らしいがよ」
アムロ「まぁ、ここ最近激戦続きでしたからね」
ハヤト「ああ。……銀色のグフ連中、つよかったな」
カイ「もうあんな奴ら、ゴメンだね、俺ぁ」
ハヤト「僕もですよ。本当に手強かった。アムロがヤられるなんて」
アムロ「僕が迂闊だっただけさ。もうヤられない。みんなを死なせないさ」
カイ「おっほ、心強いな。ニュータイプさまさまってね」
ハヤト「ちょっとカイさん」
アムロ「気にしないで。僕だって、自分がニュータイプだとすれば納得がいくことだってある」
カイ「……?」
ハヤト「……よくわからないけれど、お前は特別だよ、アムロ」
アムロ「よせよ、ハヤト。──んっ!?」
ハヤト「どうした?」
アムロ「……あれ……」
カイ「あん? 痩せこけたオッサンがどうし──あっ!?」
ハヤト「あれ、アムロの親父サンじゃあ……!?」
アムロ「先にホワイトベースに戻っておいてくれ!」
ハヤト「おい、アムロ!」
カイ「行っちまいやがった。……まさか、親父サンが生きてたりなんて、な?」
ハヤト「ま、まさか。……でも、もし本人だったら……」
カイ「……とりあえず食って、ホワイトベースに戻ろうぜ」
ハヤト「アムロめ、全部食べてからいけよな」
カイ「じゃあ俺がもーらい」
ハヤト「あっ、ズルイですよ!」
──バス停
中年の男「…………」
アムロ「……あのォ」
中年の男「はい、なんです? ……もしかして、アムロか?」
アムロ「え、ええ。やっぱり、父さんなんですか?」
テム「そう、そうだ、テム・レイだ。……そうか、お前も無事だったか」
アムロ「はい、何とか。父さん、無事で何より」
テム「二か月も経つ、まさか生きているとは」
アムロ「え、ええ……三か月、ですけど」
テム「うん? そうだったか? いや、暫く入院していたようでね」
アムロ「入院……ともかく、無事でよかった」
ブロロロ……キキッ
テム「バスが着た。乗りなさい。私の住まいで話をしよう」
──スクラップヤード・アパートメント
アムロ「こんなところに……?」
テム「ああ。ジャンク屋組合に身を置いている。酸素欠乏症にかかったとはいえ、だいぶ回復しているからな」
アムロ「酸素欠乏症に……」
テム「うん、サイド7から放り出されてしばらく──数日かな。漂流していたのだ。軍人じゃあないからドッグタグもつけていなくて身元がわからんでな」
アムロ「それで、こんなところに?」
テム「ガンダムは無事のようだったしな。それより、お前は今何を?」
アムロ「……機密なんですけど、ホワイトベースの乗員をしています」
テム「何っ? パオロ艦長とブライト中尉はお元気か?」
アムロ「パオロ・カシアス中佐は戦死、ブライト・ノア大尉が現在艦長を」
テム「何と……ガンダムは?」
アムロ「今はジャブローで合流したパイロットが乗っています」
テム「そうかそうか。お前はどういう仕事をしているんだ?」
アムロ「新型ガンダムのパイロットを」
テム「……何? ──もしや、サイド7でガンダムを動かしたのは……」
アムロ「そう、僕です」
テム「……そうか。そうだったのか」
アムロ「結果として父さんを危険にしたことは謝ります。でも、やるしかなかった」
テム「そうだな。お前のおかげで、ホワイトベースもガンダムも無事なんだったら、それでいいよ」
アムロ「……ありがとう、父さん」
テム「ホワイトベースに戻るのか?」
アムロ「はい。そろそろ戻らないと、ブライトさんに叱られてしまうし」
テム「ははは……彼は堅物だからな」
アムロ「そうだ、父さん。地球で母さんと会ったよ」
テム「なに? カマリアと?」
アムロ「少しだけ話して、別れを告げた。母さんは昔の僕しか見えてないから……」
テム「……そうか。彼女も無事だったんだな」
アムロ「心配、していたのかい?」
テム「いつも心の隅では考えていた。……まぁ、ガンダム開発中は忘れていたかもしれんが」
アムロ「これだから、技術者って」
テム「ははは。……お前が無事でよかった。行きなさい」
アムロ「はい。戦争が終わったら、また会いに来るよ」
テム「うん、それがいい」
アムロ「二人でまた食事でも。きっと戦後手当が僕にも出るだろうし」
テム「じゃあ私は申請すれば、傷病兵手当でも貰えるかな」
アムロ「ははは。高級レストランで食事ができる。……じゃあ、また」
テム「ああ。またな、アムロ」
──フラナガン研究所
シムス「博士。連絡が」
フラナガン「来たかね。L・Sが」
シムス「はい。協力者と間もなく到着する、と」
フラナガン「……噂をすれば」
職員「博士、お客様です」
フラナガン「ああ、そろそろ来ると思っていたよ。通してくれ」
プシュッ
職員「どうぞ」
フラナガン「よく、無事で仕事をしてくれた」
シムス「ご協力に感謝しますよ、ロジェ・アズナブル氏」
ロジェ「…………」
ララァ「ありがとう、おじさま。お久しぶりです、博士」
ロジェ「博士、約束は」
フラナガン「勿論。今から政府に取り次ごう。リボーでの暮らしは無理だろうが、ユピテル辺りで暮らせるように打診しておいてやろう」
ロジェ「それだけじゃない、報酬金は?」
フラナガン「ああ。この紙に記された口座から引き落としなさい」
ロジェ「……どうも」
フラナガン「用は済んだ。ご退散願いたいな」
ロジェ「言われずとも、ええ」
プシュッ
フラナガン「ふん、下衆め」
シムス「では、最終調整を行いましょう。ララァ・スン、こちらへ」
ララァ「はい」
故郷に戻り、羽を伸ばすクリスチーナ。
ホワイトベースの面々は平和の国でささやかな休日を得る。
サイド6を発つ時、それぞれが抱く想いは。
機動戦士ガンダム、次回、『ポケットの中の世界』
君は、生き延びることができるか?
乙
戦闘は起こらないか…な?
シャアとキシリアの関係って、どうなっているんだろうか?
マッドアングラーにいるけど、ドズルとの関係は良好みたいだし。
ロジェ、ララァの流れもシャアの関連でだろうけど、
フラナガン機関が絡んでいると、キシリアが出てくるし。
マ「悲しいケド、それ、本当は私の仕事なのだよね」
次回は日曜日~火曜日あたりに投下予定。
>>351
戦闘は次々回までない予定。
>>354
シャアとドズルの関係ですが、シャアが身を呈して北米の敗残兵をまとめて宇宙に上げたことで認め直したので良好、という感じでお願いします。
細かいところは、もちろん今後明らかにされる予定。
火曜日には投下すると言ったな? あれは(ry
すっかり遅くなってゴメンナサイ。
なんだかうまく書き進まないのと、私情も相俟って未だに上がっていません。
この土日には投下したいところなんですが、どうだろう。
なお、アレックスはマさん(の愉快な仲間達)にボロッボロにされたのでパワーアップして帰ってくる予定です。多分次々回くらい。
♪キャ~スバル退治に使~命をあげて~、燃~え~る~宇宙(そら)に~後わ~ずか~
♪轟く砲声(さけび)を耳にして~
♪帰ってきたぞ~、帰ってきたぞ~、ア~レ~ェック~ス~
(土下座)
また書きなおしとかはやめてくれよ-
>>358
次々回の話をすることで俺は自分を追い込んでいるッ……!
もう書き直しはしないので、そこは安心してくださいw
要らんを心配かけさせて、ゴメンナサイ。
マ「今晩投下予定なのだよ」
──宇宙世紀0079年12月11日、0時52分
──マッケンジー家
クリス「たっだいま~♪」
クリスの父「クリス、遅かったじゃないか。もっと早く帰ってくるって──」
タカアキ「ど、どうも……お邪魔します……」
クリスの父「!!?!?」
クリス「ちょっとォ、タカ、アンタどこ触って……Zzzz……」
タカアキ「……こんな感じで……」
クリスの父「……娘がご迷惑を……」
タカアキ「──では自分はこれで」
クリスの父「外は寒いだろう。何か温かい飲み物を出すから、休んでいきなさい」
タカアキ「いえ、外で連れが待ってるので」
クリスの父「お急ぎかな? 急がないなら、お連れさんも上がって上がって。冬はコロニーも寒くしているからね」
タカアキ「本当にいいんです? じゃあ、お言葉に甘えて……」
区切りミスった。
投下し直す
──宇宙世紀0079年12月11日、0時52分
──マッケンジー家
クリス「たっだいま~♪」
クリスの父「お、その声は! クリス、遅かったじゃないか。もっと早く帰ってくるって──」
クリス「ごっめ~ん……ちょっとぉ、お酒飲ん……Zzzzzzz……」
タカアキ「ど、どうも……お邪魔します……」
クリスの父「!!?!?」
クリス「ちょっとぉ~、タカぁ、アンタどこ触ってぇ~……Zzzz……ムニャ……ンン~……」
タカアキ「……こんな感じで……」
クリスの父「……娘がご迷惑を……」
クリス「何よぉ~、私が何だって言うのよぉ~!」
タカアキ「──では自分はこれで」
クリスの父「外は寒いだろう。何か温かい飲み物を出すから、休んでいきなさい」
タカアキ「いえ、外で連れが待ってるので」
クリスの父「お急ぎかな? 急がないなら、お連れさんも上がって上がって。冬はコロニーも寒くしているからね」
タカアキ「本当にいいんです? じゃあ、お言葉に甘えて……」
ジョブ・ジョン「だからあ、クリスをモノにしたいんだったら、ベタベタな手で行くんだよ!」
バーニィ「それってどういう……」
ジョブ・ジョン「乙女心をくすぐるんだよ! 壁ドンとか! 花束をプレゼントするとか!」
バーニィ「な、なるほど」
ジョブ・ジョン「あいつは長く軍隊暮らしが続いてんだ、正攻法が最も効くんだよ!」
バーニィ「そ、そういうことか」
タカアキ「……何やってんのお前ら……」
クリスの父「ははは、寒いだろう。どうぞ、上がって」
タカアキ「すいません、お父さん。お邪魔しちゃって」
クリスの父「いやいや。君たちは娘の同僚かな?」
クリスの母「どうぞ、ホット・ココアよ」
ジョブ・ジョン「あ、どうも。はい、学校からの同期で」
タカアキ「最近久々に会って、それで飲んでたら……はは」
バーニィ「俺……いや、自分はたまたま酒場で三人と出会っただけなんですけど、馬が合って」
ジョブ・ジョン「そうなんですよ。コイツ、サイド3の出身らしくて、ジオン訛りもすごいし」
クリスの父「……ジオンの軍人かね?」
バーニィ「……いえ、違います。戦争になるっていうから、避難先を探してこっちに。ユピテルかフランチェスカに行こうかと」
タカアキ「…………」
クリスの父「おお、そうかね。よかったよかった。娘は連邦の軍人だから、仲良くなれるか心配だったんだよ」
バーニィ「あはは、どうも……」
ジョブ・ジョン「……まぁ、俺達はこの寒さで酔いも醒めたんですけど……」
クリス「あついビートっひかれ~よあけの~しゅーてぃーんすたー♪」
タカアキ「クリスだけこの調子で……」
クリスの父「はははは、娘は昔から酒癖が悪いんだ。ビンタされたりしてないかね?」
バーニィ「二発食らいました……」
タカアキ「俺達は一発ずつ」
マッケンジー「はっはっは、気に入られたようだね、バーニィ」
ジョブ・ジョン「へえ?」
クリスの父「娘は気を許した相手にはちょっと雑になってしまうらしい。……やれやれ、結婚も遠のくわけだ」
バーニィ「なんです、それ……」
タカアキ「お前、両頬真っ赤になっちまってるもんな。気持ちはわかるぜ」
『ポケットの中の世界』
<BGM:http://youtu.be/yyy_crmOAow>
──翌朝
──ホワイトベース、ブリッジ
ブライト「ペルガミノ・ボートリペア?」
カムラン「ええ。浮きドックを持っている、宇宙船修理業者です。あくまでサイド6政府公認の組織ではないので、私からでも紹介はできます。……非公式に、ですが」
ブライト「なるほど。じゃあ一度出港し、そちらで修理を受けます。再度入港しても?」
カムラン「ええ、それは構いません。再度手続きが必要にはなりますが」
ブライト「わかりました。……では、一度出港しますので、退艦を」
カムラン「ええ。出入港の旨、港湾作業員に伝えます」
ブライト「よろしく」
──スペースポート、チベ級ティベ型重巡洋艦グラーフ・ツェッペリン
フォン・ヘルシング「フラナガン博士はまだか? 明日にも出港し、ソロモンへ向かうのだぞ」
副官「はあ、それがまだ何も。被験体は到着したそうなので、あとは受領するだけのはずなんですが」
フォン・ヘルシング「ええい、これだから研究者というのは好きになれん。我々は軍機で動いているんだ、連邦の木馬が真横にいるなんていう状況、あってはならんのだぞ」
副官「文句なら、艦長が言ってくださいよ。あの“トリガラ野郎”に」
フォン・ヘルシング「フン、今頃自室で大いびきだろ。キリング特務中佐殿は」
副官「ですけど。艦長もお休みになっては? クルーの休暇も明日で終わりですし」
フォン・ヘルシング「うん、そうさせてもらうかな。すまんが後を頼む」
副官「アイアイ。良い夢を」
フォン・ヘルシング「……おい待て。木馬が動いているのか?」
副官「え? 本当だ。出港しますね」
フォン・ヘルシング「チッ、休みは返上だ。しばらく監視するぞ」
副官「アイアイ」
──1時間後
──ホワイトベース、ブリッジ
ブライト「どうです、ペルガミノさん」
ペルガミノ「問題ありません。うちの浮きドックで直せるでしょう」
ブライト「助かります。ルナⅡの宇宙軍本部に連絡しますので、お代はそちらから……ということでいいですか?」
ペルガミノ「勿論。戦時中の軍船に大金があるとも思えないですから。ただ、こちらの書類にサインを頂けますかな?」
ブライト「……ふむ、なるほど……。──これでいいですか?」
ペルガミノ「ええ、確かに」
ブライト「それと、通信施設をお借りしたいのですが」
ペルガミノ「ふむ。いいでしょう」
ブライト「ルナⅡに繋げますか? 代金の件も相談しなければ」
ペルガミノ「わかりました。融通します」
ブライト「ありがたい」
──同刻
──グラーフ・ツェッペリン、ブリッジ
フォン・ヘルシング「浮きドックに入っていくな……」
副官「ハイ。結構な手負いのようでしたからね……」
フォン・ヘルシング「ここで争っても損でしかない、フラナガン機関からの連絡があるまで待機だ」
副官「アイアイ」
──ルナⅡ・指令室
通信士「司令、サイド6から通信です」
ワッケイン「サイド6だと? 誰からだ」
通信士「発信者はペルガミノ・ボートリペアっていう民間修理会社ですが──」
ワッケイン「なんだそりゃあ。繋がなくて──」
通信士「ブライト・ノア大尉と名乗っています」
ワッケイン「何だと!? すぐに繋げ!!」
通信士「ハッ!」
ブライト『繋がった! 司令、お久しぶりです』
ワッケイン「久しいな、ブライトくん。息災なようで。大尉になったんだって?」
ブライト『おかげさまで。ところで、急で申し訳ありませんがお願いが』
ワッケイン「聞こう。なんだね?」
ブライト『補給のお願いなんですが。ガンダムNT-1が大破、ジムとガンキャノンも多くが中破しており、戦力の補充・修復が必要なのです。ホワイトベースも傷んでいて……』
ワッケイン「なに、アムロくんがやられたっていうのか? パイロットは無事なのか?」
ブライト『ええ。マ・クベ准将の策によって。……幸い、被害の割には戦死者は少なく。アムロも無事ですが、現状では作戦行動は限られると』
ワッケイン「マ・クベか……! それで、貴様らは今どこに?」
ブライト『サイド6のリボーコロニーに寄港しています。ペルガミノ・ボートリペアの浮きドックで修復を受けようとしているところです』
ワッケイン「なるほど、その費用と補給の要請ってことだな?」
ブライト『はい。不躾で申し訳──』
ワッケイン「よせ、皆まで言うな。俺はあの時、ホワイトベースを追い出すことしか出来なかった自分を恥じているんだよ……。だから、できることはやってみせるさ」
ブライト『閣下……!』
ワッケイン「俺ももうじきルナⅡを発つ予定だった。戦艦の護衛付きでそちらへ行こうじゃないか」
ブライト『助かります!』
ワッケイン「ホワイトベースは我が艦隊と合流後、チェンバロ作戦へと取り掛かる。備えておきたまえよ」
ブライト『はっ!』
──サイド6・リボーコロニー、マッケンジー家
クリス「う~……頭痛ぁ……私いつの間に家に帰ったのかしら」
ガチャッ
クリス「うわっ、タカ? J・J? それにバーナードくんまで……どうしたの?」
ジョブ・ジョン「よう、眠り姫」
タカアキ「どうしたの? じゃねーよ」
バーニィ「あ。おはようございます、クリスチーナさん」
クリスの父「おお、起きたかい」
クリスの母「おはよう、クリス」
クリス「……?? おはよう……?」
タカアキ「ホワイトベースから帰投時刻の指示が来たぜ」
クリス「えーっ、もう!?」
ジョブ・ジョン「明日の夜までに帰れってさ。お前はもう少し家でゆっくりしていけよ」
クリス「結構余裕持ってんのね……」
タカアキ「俺達は用事もあるから、そろそろ行くけど」
クリス「そう……ね。わかった!」
ジョブ・ジョン「じゃあまた後でな」
バーニィ「あ、じゃあ自分もこれで」
クリス「あ、バーナードくん……」
バーニィ「……はい?」
タカアキ「バーニィ、俺ら先に行ってるからな」
バーニィ「え、ああ、わかった」
クリス「……また、会えるかしら」
バーニィ「えっ? ……暫く、リボーを離れるので……また会えるかどうかは、わからないです」
クリス「はっきりと言うのね」
バーニィ「クリスチーナさんみたいな綺麗な人と出会えて良かったです。また機会があればリボーまで来ますから」
クリス「……クリスでいいわ。リボーに来たときは連絡ちょうだい」
バーニィ「じゃあ、俺もバーニィって呼んでください。勿論、またこっちに来たら」
クリス「待って!」
バーニィ「えっ?」
チュッ
バーニィ「あっ……? ええっ?」
クリス「後悔しないように、私のキモチよ」
バーニィ「……ははは、敵わないや」
クリス「バイバイ、バーニィ。また会いましょ!」
バーニィ「うん。また会おう、……クリス。へへっ」
タカアキ「よっ、色男」
バーニィ「げえっ、見てたのか?」
ジョブ・ジョン「この双眼鏡でバッチリと」
バーニィ「うっわ、悪趣味な奴」
タカアキ「あいつ、意外とかわいいとこあるっしょ」
バーニィ「あ……タカアキ、フラれたクチだろ?」
タカアキ「うわっ、お前のそういう察しの良さ、キライだわ!」
ジョブ・ジョン「はははは! 実を言うと俺もだし、この間戦死したウンジュって奴もそうだった」
タカアキ「つまり、クリスは攻略難度の高い宇宙要塞ってことだ」
バーニィ「なるほどね……ルナⅡ攻略作戦ってわけか」
ジョブ・ジョン「そーゆーこと。……ま、戦争が終わってお互い生きてたら……酒でも飲みに行こうや」
タカアキ「クリス抜きでな」
バーニィ「ははは、そりゃいい」
ジョブ・ジョン「もうビンタはゴメンだもんな」
バーニィ「なあ、何も聞かないんだな、アンタら」
ジョブ・ジョン「お前、下士官だろ? ほとんど何も知らないお前に聞いたところでな」
バーニィ「そうだけどさぁ……」
タカアキ「ここを出たら、ソロモンに行くんだろ? 激戦になるぜ」
バーニィ「……ああ」
ジョブ・ジョン「死ぬなよ」
バーニィ「そっちこそ」
タカアキ「ビームでコクピット貫かれたら、ミンチよりひでえんだからな」
バーニィ「……なんだよ、それ……」
──スペースポート
タカアキ「あばよ、バーニィ」
ジョブ・ジョン「じゃあな。また会おうぜ」
バーニィ「ああ。二人とも、元気で」
少年1「すっげー! 連邦の軍艦とジオンのチベだー!」
少年2「ジオンは悪い奴だってママが言ってたぜ」
少年3「お前のママが全部正しいわけじゃないんだぜ。なぁ、アル」
アル「そうだよ、テルコット」
テルコット「でも……」
少年3「おれの兄貴もああいう船に乗ってるんだろうなー。すっげーな、羨ましいぜ」
テルコット「それ、本当に本当かよ、チェイ?」
アル「そうだよ、本当にお兄さん、連邦のパイロットなの?」
チェイ「お、おれが嘘つくわけねーだろ! 前に階級章も見せたじゃん!」
テルコット「でも、おもちゃ屋さんで同じやつ見かけたよ」
チェイ「!! ……本物とおもちゃの見分けも付かないのか?」
アル「やめなよ、二人とも。……あ、あれ連邦の軍人かな」
テルコット「あ、本当だ」
チェイ「あっちはジオンじゃないか?」
アル「うわー、ここで戦争起きたらどうしよう!」
チェイ「嬉しそうだぜ、お前」
テルコット「ないない。サイド6の宙域は戦っちゃいけないんだって、ママが言ってた」
アル「……あっそ」
──ホワイトベース、船室
アムロ「父さん……元気そうでよかった……」
コンコンッ
アムロ「誰だ、こんな時間に……? どうぞ」
プシューッ
ブライト「よう」
アムロ「ブライトさん。どうしたんです」
ブライト「ホワイトベースのこれからしばらくの予定が決まったんでな。まずはお前に知らせるべきだと思った」
ブライト「明朝、ホワイトベースはサイド6・リボーコロニーを発つ。ペルガミノ・ボートリペアの協力である程度の復旧は出来たから、連邦艦隊と合流し完全な補給を受ける予定だ」
アムロ「艦隊と……それって」
ブライト「ああ。ソロモン攻めが始まる」
アムロ「とうとう、大きな戦いが始まるんですね」
ブライト「ああ。そこでアムロには、暫く休んでもらいたい」
アムロ「ええ?」
ブライト「アレックスは現状、電気系統の異常で使えんと言ったな?」
アムロ「ええ、テキサスを発った頃に聞きました」
ブライト「艦隊と合流するまでアレックスの修理は不可能なんだ。だから──」
アムロ「なるほど。ガンダムはスレッガー中尉に任せて、それでぼくは暫く休めってことなんですね」
ブライト「ああ。すまんが、ガンダムは今のお前には鈍すぎるってオムルとムルンバ技師が判断したらしい」
アムロ「確かに、アレックスのパワーを考えたらガンダムをうまく扱えるか、自信はありません」
ブライト「わかってくれてよかったよ。こちとら、ガンキャノン2台がなんとか稼働可能、ジムも2台使えそうってだけで、あとはコアファイターを出すしかない程切迫してるんでね……早くワッケイン艦隊と合流しないと」
アムロ「ワッケイン准将? ルナⅡの……」
ブライト「ああ。将軍自ら支援物資を運んできてくれるってんだ。ありがたく使わせてもらおうぜ」
アムロ「へへ、ブライトさんがそういう物の言い方するの、珍しいじゃないですか」
ブライト「なんだよ、悪かったな」
──グラーフ・ツェッペリン、船室
バーニィ「……死ぬわけないだろ。たといソロモンで大きな戦があって、俺がそこに駆り出されても……」
コンコン、プシューッ
バタシャム「よう、新米。あの女とはうまくいったか?」
バーニィ「少尉。そりゃもう。戦争が終わったらまたリボーで会おうって」
バタシャム「連絡先は聞いたのか?」
バーニィ「ええ、勿論」
バタシャム「はは、なかなかやるじゃないか」
バーニィ「酒癖が悪かったんで、自宅まで送っていきましたけど、いい子でしたよ。親御さんもいい人たちでしたし」
バタシャム「え、親御さんと顔合わせしたっていうのかよ? ……ヒュ~、お前思ってたよりヤリ手だな」
バーニィ「やめてくれます、そういう言い方」
バタシャム「怒るなよ。ここからが勝負どころだ、クールにいこうぜ」
バーニィ「……はいっ!」
バタシャム「その意気だ!」
──グラーフ・ツェッペリン、ブリッジ
フラナガン「長らくお待たせいたしまして」
キリング「フン、まったくだ。それで、調整は万全なんだろうな」
シムス「それは勿論。ララァ・スンのニュータイプ能力は我が研究所の総力です」
キリング「それが嘘でなけりゃいいがね、シムス中尉」
シムス「我々をお疑いか」
キリング「口を慎め、中尉。私はキシリア・ザビ少将の名代だぞ」
フォン・ヘルシング「…………」
フラナガン「モビルアーマー=ブラウ・ブロも確かにお引渡ししましたね」
フォン・ヘルシング「ああ。格納庫を圧迫してくれているが、確かに性能の高さには整備班も驚いていた。ララァ・スン少尉、あれは使いこなせるんだな?」
ララァ「ええ、勿論」
フォン・ヘルシング「ベテラン揃いのバタシャム小隊を護衛につける。有事の際は出撃を命ずるが、よろしいな、キリング特務中佐殿?」
キリング「好きにしたまえ。ただ、壊せばどうなるか……わかっているね、大佐?」
フォン・ヘルシング「そうなってる時には、俺も貴殿もこの艦もろとも宇宙(そら)の藻屑だろうさ」
ララァ「私やってみせます、大佐」
フォン・ヘルシング「それでいいんだ、少尉。頼むぞ」
ララァ「……はい……」
サイド6を出港したホワイトベース。
補給を受ける為ワッケイン艦隊との合流を目指すが、
そこにジオンのモビルアーマーが襲来して──。
機動戦士ガンダム、次回、『ニュータイプ、ララァ・スン』
君は、生き延びることができるか?
お待たせしまして。
これでバーニィのフラグも立てたし、ララァも動きますね
また次回
セイラなら普通のNTが乗ったブラウブロを強化ジムで相討ちに持ち込んだから
機体が良ければどうにか
>>383
現状その『良い機体』がマさんのグフ軍団襲撃で使えないからなぁ~
オリジン準拠だとガンダム2号機とジムが性能面で大差無いし動かせる手持ちの機体考えると、
現状でセイラさんがララァを追っ払うのは無理あるよな…
シムスナⅡ+セイラさんの練度がア・バオア・クー戦時くらいないと厳しい
サッサと脳疲労の頭痛で帰ってくれるのを願うしかない
それと後の時代だけどZガンダムですらハンブラビのウミヘビでかなりやられたし
MSがどんだけ時代経っても(少なくとも宇宙世紀ガンダムでは)操縦の基幹が電気系統なんだから、
ヒートロッド系って対MS攻撃にかなり有効だと思うけど扱いが難しいのか廃れたよなぁ~
自分でもララァ倒せないから書き進まないというトラブルが発生してるんですよね。不思議なもので。
>>383
オリジンではシムス中尉はNTパイロットでしたね。
このスレでは弱NT適性のある技術中尉という想定です。(ヤバイ)
>>384
ヒートロッド系は実際有用なんですけど、イマイチ普及しませんでしたね。
アッザムリーダー、プラズマリーダー、ウミヘビと例外なく効果的だったのに……。
こういってはなんだがそれ当てられるなら普通の武器当てたら撃墜出来んじゃね?ってとこがあるのが問題なのでは……
>>388
真理だった
今日は投下できません。
もうしばらくお待ちを。
今日投下するので、備えてageちゃう。
──宇宙世紀0079年12月13日
──サイド6、スペースポート
カムラン「行ってしまうのかい、ミライ」
ミライ「ええ、残念だけれど」
カムラン「考え直してみてはもらえないだろうか。父の力を借りれば、君がサイド6に住むことだって簡単に──」
ミライ「そういうことじゃないのよ、カムラン。わかって頂戴」
カムラン「どうしてなんだ。何が満足できないんだい」
ミライ「満足だのそうじゃないだのっていうことじゃないのよ。ホワイトベースを離れる私に、あなたは何をしてくださるの?」
カムラン「だから、父に頼んでサイド6の市民権を──」
ミライ「……それでは、私はホワイトベースを離れるわけにはいかないわ」
カムラン「ミ、ミライ。昔はそんなことをいう君じゃなかった」
ミライ「昔の私は、今ここにいる私とは違ってよ」
カムラン「そりゃあそうだけれど」
ミライ「戦争の時代の中で、人間っていうのは変わりゆくものでしょう?」
カムラン「君を愛する気持ちはずっと変わっていないよ」
ミライ「それはありがとう。素直にうれしく思うわ。……でも、ごめんなさい」
カムラン「ミライ、待ってくれ! どうして!」
ミライ「カムラン、ホワイトベースは私の帰る場所なのよ。わかって」
カムラン「ミライ……」
『ニュータイプ、ララァ・スン』
<BGM:http://youtu.be/yyy_crmOAow>
──ホワイトベース、ブリッジ
ブライト「良かったのかい?」
ミライ「何が?」
ブライト「婚約者ってんだろう、あの監察官」
スレッガー「それに、結構なオカネモチなんでしょ?」
ミライ「そうだけれど……」
ブライト「下船したいっていうんなら、引き留めはしないよ。優秀な操舵手を失うのは痛いが……君は本来一般人なんだしな」
ミライ「優秀な操舵手? ……ブライトは、私のことをどう思っていらっしゃるの」
ブライト「えっ?」
カイ「おぉ?」
ミライ「優秀な操舵手で、お金持ちの御令嬢? ヤシマ家の娘? 私は、私は──」
ピシャッ!
スレッガー「バッキャロウ!!」
ブライト「あ」
カイ「あら?」
オスカー「うわっ」
マーカー「わあっ」
ミライ「ううっ……? ち、中尉?」
スレッガー「この人は本気なんだよ、わかる?! あんただって二十歳にもならない娘さんでしょ! 大尉はあんたの幸せを思えばこそ、こうやって最後通告してくれてんじゃないの!」
ブライト「ち、中尉」
スレッガー「この先は今までとは比にならない激戦になるかもしれないんだ、あんたに婚約者がいるって知ってるからこそ、あんたの無事を考えてくれてるんだろうよ!」
カイ「わ~お……」
スレッガー「大尉、あんたもあんただぜ! あんだけグダグダ言われて、な~んで黙ってるのよ! 何かビシっと言ってやれってんだ!」
ブライト「な、なにも、ぶつことは……」
スレッガー「本当に大事なら、必要な時にはこうやって怒れるものさ。あんたも分かるだろ?」
ブライト「さ、さぁ……そういうもんですかね」
スレッガー「そういうもんさ。それで、少尉」
ミライ「え、ええ。あの、ブライト……私は、ホワイトベースに残るわ」
ブライト「そうか。……激しい戦いになる。いいんだな?」
ミライ「元からそのつもりです」
ブライト「わかった。これからも頼むぞ」
ミライ「ええ」
スレッガー「へへへへっ、それでいいのさ」
カイ「何やってんだか」
スレッガー「ははは、お前さんも大人になんねーとな」
カイ「いやいや。ぼかァじゅうぶん、大人ですヨ。じゅうぶんね」
カムラン『ホワイトベース、聞こえますか』
ブライト「カムラン監察官。なにか」
カムラン『先日出港した、ジオンのチベ級重巡なんですが、今朝から姿が見えません。それに、出港時に積荷がえらく増えていたんです。もしかしたら新兵器かもしれない』
ブライト「! ……わざわざありがとう。サイド6の官吏である貴方がそんな口利きを」
カムラン『ミライを守ることに繋がると信じてるから。これくらいはさせてください』
ブライト「改めて感謝します。……それと、ミライ・ヤシマをお預かりします」
カムラン『!! ……ああ、お願いします。では』
ミライ「ちょっとブライト?」
ブライト「男ってのは単純なもんで、ああ言えば気も収まるのさ」
ミライ「……男の人ってこれだから、もう」
マーカー「サイド6領海、出ます」
オスカー「レーダー警戒厳に!」
ブライト「よおし、合流予定ポイントまで飛ばすぞ!」
ミライ「了解! 面舵一杯、合流ポイントに向けて前進します!」
──ブラウ・ブロ、コクピット
シムス「ララァ・スン、準備はよいか」
ララァ「ええ、中尉」
シムス「では、ブラウ・ブロ発進します。艦長、出撃許可を」
フォン・ヘルシング『暫し待て。ホワイトベースはまだサイド6の領海に近い。それに──』
シムス「なんですって? サイド6に近かったら、国際問題になるっていう!」
フォン・ヘルシング『落ち着け、中尉。話は最後まで──』
シムス「今すぐ木馬を叩けば、この戦隊はジオン十字勲章……いや、金柏葉・剣・ダイヤモンド付ジオン十字勲章ものでありましょう! 大佐は何をおびえて──」
キリング『構わん、出撃させろ』
フォン・ヘルシング『何だと!? 特務中佐殿、貴殿は状況がお分かりか!?』
キリング『構わん、と言っている。出せ』
シムス「……とのことですが、艦長?」
フォン・ヘルシング『……よし、出撃せよ。俺はどうなっても知らんぞ』
ララァ「……了解」
コワル「出力安定。中尉、いつでも出せます!」
シムス「よし、モビルアーマー=ブラウ・ブロ、発進!」
ララァ「出撃します……!」
シムス「バタシャム隊、遅れるなよ」
バタシャム『言われずとも。新型リック・ドムの推力をナメんでいただきたい!』
バタシャム『行くぞ! バーナード、遅れるな!』
バーニィ『り、了解! リック・ドムⅡ、発進します!』
──ホワイトベース、士官用個室
……
…………
………………
……………………ティキリリィン!
アムロ「…………はっ!!」
セイラ「う、んん……? ……アムロ? どうかして?」
アムロ「誰かが……来る……?」
セイラ「えっ?」
アムロ「この感覚……、なんだ……!?」
ダッ!!
セイラ「アムロっ!?」
──ホワイトベース、ブリッジ
ダッ!
ブライト「んっ? どうしたんだアムロ、せめて服くらい、ちゃんと──」
アムロ「ブ、ブライトっ!! 何かが……“なにか”が来る!!」
ブライト「なっ……!! ……だ、第二戦闘配置を発令っ! 総員、配置につけっ!」
ミライ「えっ、ブライト!?」
ブライト「アムロの勘はこういう時……当たるんだよっ!!」
アムロ「デカいのが来る……! きっと、モビルアーマーだ!」
ブライト「モビルスーツ隊、発進用意だあっ!! 各砲座準備しておけよおっ!」
ポポロンポポロンポポロンポポロンポポロン……
クリス「なに、警報音!?」
スレッガー「第二戦闘配置だ! 急げ!」
カイ「くそ、もう少しで中尉を脱がせられそうってのに!」
ジョブ・ジョン「お前パンツ一丁じゃねーか、脱ぎポーカーはお前にゃ無理だって!」
タカアキ「クリスはベレー帽置いただけだもんな……カイ、諦めろよ」
カイ「くっそ~っ!」
クリス「いいから走る!」
タカアキ「ところでカイ、パンツ一丁でパイロットスーツ着るのか?」
カイ「ああーっ! せめてインナーシャツだけでも着とかねぇと!」
クリス「いいから! 走る!!」
カイ「ひい~っ!」
──ホワイトベース、格納庫
オムル「だからっ、お前が乗れる機体はないって!」
アムロ「相手はジオンのモビルアーマーなんですよ!」
オムル「だ~か~ら~!!」
スレッガー「どうしたの、曹長!」
オムル「アムロがジムで出るって聞かないんです!」
アムロ「中尉、中尉ならわかってもらえますか!?」
スレッガー「あのなあっ、こちとら軍隊なの! お前の機体は修理がまだ! わかるっ!?」
アムロ「でも、勝たないと……」
スレッガー「自惚れもいい加減にしておけよ! お前さん一人で勝てるほど戦いは甘くないだろっ、ちがうかっ!?」
アムロ「はっ!!」
ウッディ『おい、自惚れるなよ! 戦争ってのは、きみ一人の活躍でどうにかなるもんじゃない!』
ウッディ『なら、きみはきみのベストを尽くすんだ』
アムロ「……主砲に行きます! スレッガー中尉、気を付けて!」
スレッガー「よし! 任されて!」
オムル「助かりました、中尉」
スレッガー「ったく、アイツは前しか見えねえ癖に勘だけいいからな。ところで、ガンキャノンは俺の注文通りにしてくれてるかい?」
オムル「はい。足回りを強化して、継戦能力よりも推力に焦点を当ててます」
スレッガー「上等! ガンダムやジムと協働するには、ちょっと鈍足だったからな。ありがとよ!」
カイ「本当にキャノンも前まで行くのかい、少尉?」
ジョブ・ジョン「おう。ジム用のシールドを装備すりゃ、どうにかなるって」
カイ「ほ、本当かよォ~」
タカアキ「覚悟しとけ。俺達は仲間を守る為に前で戦わなきゃならねえんだ」
カイ「……へっ、そんな難しいこと言われてもね」
オスカー「ECM、レーザーサーチャー最大稼働。出力は80%ですが、実用圏です。ミノフスキー粒子戦闘濃度散布!」
ブライト「レーザーサーチ、警戒厳に! 何が来るか、わからないぞ!」
マーカー「視えました! 大型のバトルシップかモビルアーマーです! ドムと思われるモビルスーツが6機付随!」
ブライト「ドムだけでも、こっちより多いのか! 各砲座、牽制射はじめ!」
マーカー「敵の母艦は見えません。おそらく、あのチベ級重巡!」
ブライト「わかった! 敵のモビルアーマーの火力は不明だ、主砲で先制攻撃を加える!」
アムロ『了解!』
ブライト「アムロぉっ!? な、なにやってんの!」
アムロ『僕ができるベストを考えた結果です。主砲、撃ちます!』
ブライト「まったく……! アムロ、細かいタイミングは任せる! 撃えっ!」
ビュオッ!! ビュオーッ!
ララァ「!! 嫌ッ!!」
シムス「ハッ!! 回避運動ォー!!」
バーニィ『うわっ!!?』
バタシャム『なっ!? 急に──』
ブラウ・ブロが急にロール運動を行い、殺到したメガ粒子砲弾を回避する。
シムス「う、うぐ……っ!」
コワル「く、首がっ……!」
ララァ「木馬……怖い!!」
ララァがトリガーを引き絞ると、四方に枝のように伸びた砲門からビームが放たれる。
勿論、この距離では巡洋艦の主砲に満たない火力のビーム砲ではホワイトベースにダメージを与えるに敵わず、第二射を受けるに至った。
ララァ「ああっ、避けられない!!」
ブラウ・ブロは三つのブロックで構成された特殊なモビルアーマーである。
サイコミュ・コクピットと上下のビーム砲を備えた中央コア・ブロック、それぞれ一門ずつのビーム砲を備えた左右ブースター・ブロック。
それぞれのブロックにコクピットを持ち、分離しての戦闘行動を想定して設計されている。
コワル「うぐっ、左ブロック被弾!?」
そして今、アムロの砲撃により左ブースター・ブロックにホワイトベースの主砲が直撃し、大ダメージを与えるに至った。
シムス「なんと!! ソロモン防衛の要であるブラウ・ブロ一号機が、こうも易々と!?」
コワル「ボ、ボルトアウトしますか!」
シムス「バカ言うんじゃない! 航行に影響なし! これよりオールレンジ・アタックに入る!」
ララァ「オールレンジ……動け、サイコミュ!」
四基の有線ビーム砲が独立稼働し、ブラウ・ブロの周囲に展開する。
シムス「よし……いけるわ! 本体の火器管制はコワルが、操縦は私が行う。少尉はオールレンジ・アタックに集中なさい!」
ララァ「わかっています……当たれ!」
コワル「主砲展開、攻撃を開始します!」
シムス「ふふ……ふふふふっ! ソロモンに着く前に、ここで木馬は宇宙の藻屑となるのよ!!!」
ブラウ・ブロがホワイトベースに向かって増速をかけた時だった。
ズギューーーンッ!!
スレッガー「な~に勝手なことしてくれちゃってんの!」
管制モニターに映し出されたのは、白いモビルスーツ。
スレッガー「スレッガー機、交戦開始! クリスチーナ、タカアキは俺に続け! ジョブ・ジョンとカイはサポートに回れ!」
WB隊「「「了解!!」」」
ガンダムを中心に、四機のモビルスーツが展開する。
シムス「なっ……モビルスーツ、いつの間に! バタシャム隊は何をしているか!」
バタシャム『そちらのロール運動でドムが二機行動不能になった。信用ならん友軍に付随はできん!』
シムス「生意気をぉ~~っ!! コワルっ、対空砲火!」
コワル「はっ、対空砲火~っ!!」
ブラウ・ブロの左右ブースター・ブロックから拡散ミサイルが放たれ、辺り一面を爆撃する。
バタシャム『何をするかーっ! こちらのドムが被弾したぞ!!』
シムス「う、うるさいうるさいうるさいいーっ!!」
ララァ「中尉、声が大きいです……イメージができない……サイコミュ……!」
シムス・アル・バハロフがヒステリーを起こすとほぼ同じくしてララァの集中は途切れ、ひとつの有線ビーム砲台が宇宙デブリと衝突して爆散した。
スレッガー「へっへ~ん、奴さんはうまく使いこなせていないと見たぜ! ジョブ・ジョン、カイ! ビーム砲台を今のうちに叩き潰せ!」
カイ「あいよ!」
ジョブ・ジョン「了解! そこだ!」
スレッガー「敵のドム隊はどうやら戦意を喪失しているな。……大型モビルアーマーに攻撃を集中しろ!」
クリス「了解!」
タカアキ「ショルダー・キャンン、当たれっ!」
ドンッ!
ララァ「ああっ!!」
シムス「うぐううっ!!」
コワル「ダ、ダメージ甚大! ダメージコントロール、不能!」
コワル「……ま、まずいぞ! シムス中尉、早く離脱行動を!」
シムス「うるさい!! わたしはニュータイプなんだぞ!」
コワル「んなこたわかってます! だから落ち着いて!!」
ララァ「くっ、コントロールを私に!」
コワル「クソっ! ……ユーハブ・コントロール! 対空砲火張り続けます、操縦よろしく!」
ララァ「退避行動っ! うううっ!!」
シムス「うああっ!!」
スレッガー「逃がすかよ! 当たれっ!」
ビーム・ライフルの銃弾が左ブースター・ブロックを貫く。
コワル「うわ~!?」
ララァ「ううっ、ガンダム、強い……!!」
シムス「ええい、なぜみんなあたしを無視するんだあっ!! 死んでしまえ!!」
ガタッ、ダッ!
コワル「ええっ!? シムス中尉、ちょっと、どこ行くんですって!」
ララァ「うっ!? まさか──」
コワル「な、なんなんだ!?」
突如、ブラウ・ブロの右ブースター・ブロックがボルトアウトし、独立して機動を始める。
コワル「なっ!? 右舷をボルトアウトしたっていうのォ!?」
ララァ「機体のバランスが……! コワル少尉、操縦補助を……ああっ!!」
コワル「うおおっ!!」
ララァ「ハッ!! だめ、シムス中尉っ!!」
シムスの邪念をララァが敏感に感じ取る。
邪念が放たれた瞬間、独立していた右舷ブロックが砲弾に貫かれ、爆散した。
スレッガー「ヒュ~♪ やるじゃあないの、アムロちゃん!」
ガンダムがビーム・ライフルをブラウ・ブロへと向け引鉄を引くが、巨体の割に俊敏な機動がそれを寸でのところで躱し続ける。
クリス「くっ、キリがない!!」
カイ「なんなんだよ、コイツ!!」
タカアキ「くそ、相手のドムが戻ってきたか!!」
ジョブ・ジョン「ちょこまかと!!」
──グラーフ・ツェッペリン、ブリッジ
キリング「えぇ~い……ニュータイプ・パイロットは何をやってるか……!!」
フォン・ヘルシング「だから進言しただろう。サイド6の周辺で戦闘は向かんと」
キリング「なんだと!?」
フォン・ヘルシング「貴殿は文官のようだな。総帥府の特務だから当然だが」
キリング「だったらば、どうだっていう!」
フォン・ヘルシング「いくさは武官に任せていただきたいものだ」
フォン・ヘルシング「サイドの周辺は宇宙デブリが溜まっているのだ。そこにティベを紛れ込ませていたというのに、そこで戦闘をしては元も子もあるまいよ。兵器と兵士は用途に併せて必要数を展開せよ、基本でありましょう?」
キリング「ぬぐ……ぐぬぬぬっ……! フ、フラナガン! どうなってるんだ、貴様のところのモビルアーマーは!! まるで役立たずだ!」
フラナガン「そ、そういわれましても……フォン・ヘルシング大佐の仰る通りで……モビルアーマー=ブラウ・ブロは高速戦闘を目的として開発しておりますから」
キリング「ならば高速戦闘をしろ!!」
フォン・ヘルシング「だから言っているだろう。用途に併せろと。デブリ帯で高速戦闘を行うには、ブラウ・ブロは聊か大きすぎるのだ」
キリング「!!」
フォン・ヘルシング「これがいくさだよ、文官奴(め)」
キリング「くっ……くぅっ……!!」
フォン・ヘルシング「ソロモンまで生きて辿り着くことができれば、このことはギレン閣下に報告させていただく。いいな」
キリング「き、貴様~っ!!」
スッ、ジャコッ!
フラナガン「ひ、ひぃ~っ!!」
副官「!! キリング中佐、何を!!」
フォン・ヘルシング「艦橋で艦長に銃口を向けるとは、貴殿は状況判断力に欠けると見える。俺を殺して、貴殿が指揮を執るか? それでホワイトベースから生き延びることができるかな」
カチッ!
キリング「……ほ、ほぉおお~、貴様は自分を過大評価しすぎではないかなぁああ~!!?」
フォン・ヘルシング「そう苛々するなよ。一つ問おうか? ティベの全長はいくつだ、キリング」
キリング「知るか! そんなことがどうしたっていうのだ!!」
フォン・ヘルシング「全長は250メートル、全高は89メートル。重量は16,700トンだ。これは同級チベ型とは異なる。わかったか?」
キリング「だから、それがどうしたっていっているのだ!!」
フォン・ヘルシング「乗艦の寸法もわからずして、艦長が務まるものか。入れぬ港も分からんのに宇宙の海に出る愚か者は貴様くらいだろうよ、この素人奴(め)」
キリング「ぐ、ぐぐぐぐ……コケにしやがって!! し、死ねぇ~いっ!!」
パンッ!!!
キリング「あ……がが……わ、わたしの……手がぁ……!!」
フォン・ヘルシング「…………ふん」
副官「……そこまでです、中佐」
キリング「う、うぐ……貴様ぁぁ~っ、上官を射撃したのかぁぁ~っ!!」
ジオン兵A「艦長、ご無事ですか!」
フォン・ヘルシング「おう。早かったな」
ジオン兵B「副長に鍛えられましたから」
副官「軽口はいい、キリング特務中佐殿はご乱心だ。即刻、船室にて拘禁せよ」
ジオン兵A「はっ」
ジオン兵B「中佐、こちらへ」
キリング「な、何をする……!」
フォン・ヘルシング「そんなことも知らんのか。軍艦内では艦長に警察権がある。あとは、わかるな?」
副官「補足させてもらいますが、大抵の軍艦には艦内の警察を呼ぶシステムくらい、あります」
キリング「く、く、くそぉ~~っ!!」
フォン・ヘルシング「全く……。砲雷長、撤退信号! 通信長、レーザー通信用意! 通信の用意整えば、デブリから浮上しろ!」
砲雷長「はっ!」
通信長「はっ!」
航海士「はっ!」
キリング「はっ!? レーザー通信なんて使ったら、木馬に聞かれてしまうだろう!!」
フォン・ヘルシング「貴様は黙っていろ!」
通信長「いつでもどうぞ、艦長」
航海士「浮上しまあすっ!」
フォン・ヘルシング「うむ。……こちらはチベ級ティベ型重巡、グラーフ・ツェッペリン。ホワイトベース、聞こえるか」
キリング「な、な、何ぃ~~っ!!」
──ホワイトベース、ブリッジ
フォン・ヘルシング『──ホワイトベース、聞こえるか』
ブライト「な、なんだ!?」
マーカー「敵のチベからのレーザー通信です! お、応答しますか!?」
ブライト「……応答しよう」
フォン・ヘルシング『再度呼び掛ける。こちらはチベ級ティベ型重巡──』
ブライト「こちらはホワイトベース級ホワイトベース。グラーフ・ツェッペリンへ。聞こえていますか」
フォン・ヘルシング『感度良好。私は艦長のフリードリヒ・フォン・ヘルシング大佐だ。今しがた、こちらの隊に撤退を命じた次第だ。信じてもらえるとは思わんが、こちらも状況が差し迫っていてな』
ブライト「どういう訳かはわかりかねますが、フォン・ヘルシング大佐。貴方を信じていいと?」
フォン・ヘルシング『信じろとは言えん。だが、信じてほしい。……貴殿の名前は?』
ブライト「失礼を。艦長のブライト・ノア大尉です。……こちらも軍を引きます。もし、継戦の意向が見えれば撃沈します」
フォン・ヘルシング『……いいだろう。こちらは180度回頭し、ソロモンへと向かう。そちらも一旦は距離を取られたい』
ブライト「了解しました。では……無事の航海を」
フォン・ヘルシング『ふん、敵の将にそんな言葉をかけるとは、青いな。ではな、大尉』
ブライト「……ぶっはぁ~っ!! 声だけでわかるぞ、大佐なんて低い階級にいるのが信じられん豪胆さだ……!」
オスカー「ま、まさか直接レーザー通信を繋いでくるとは……」
マーカー「あっ、グラーフ・ツェッペリン、180度回頭しました。最大速度で現宙域を離れていきます」
ブライト「信じていいんだな、大佐。……ホワイトベース、モビルスーツ隊を収容次第、180度回頭。その後合流ポイントへ向かう!」
ミライ「了解、180度回頭します!」
フラウ「モビルスーツ隊は後部甲板に着艦後、相対速度合わせ前甲板に移動してください!」
ブライト「……ふぅ。アムロ、よくやってくれた」
アムロ『いえ、僕はできることをやっただけで……』
ブライト「だから、よくやったっていってんでしょ。ありがとう」
アムロ『……へへへ』
ブライト「しっかり休んでくれ」
アムロ『はいっ』
──グラーフ・ツェッペリン、格納庫
フォン・ヘルシング「おい、ブラウ・ブロのパイロットは」
整備士「あっ、艦長。あっちです」
フォン・ヘルシング「うむ。……ララァ少尉、コワル少尉。ご苦労だった」
コワル「か、艦長。申し訳ありません……!」
ララァ「う、うう……っ」
フォン・ヘルシング「おい、無理して立たなくていい。今医療班を呼んでいるから、楽にしろ」
ララァ「す、すみません……」
フォン・ヘルシング「何はともあれ、貴様らが無事でよかった。シムス中尉が独断行動に出た結果と聞いている」
コワル「……はい」
フォン・ヘルシング「バタシャム隊との確執は解消してもらいたいもんだが。……で、ララァ少尉」
ララァ「はい……?」
フォン・ヘルシング「実戦に出て、どうだった」
ララァ「実戦に出て? そう、……とても──」
ララァ「──とても、興奮しました……ウフフ……」
ゾワッ!!
フォン・ヘルシング(…………!!)
コワル(…………!?)
迫る新兵器を撃退したホワイトベースは、心許無い戦力でルナⅡ艦隊との合流を図る。
一方で、目覚めつつあるニュータイプ少女はソロモンで赤い彗星と邂逅する。
機動戦士ガンダム、次回、『運命の少女』
君は、生き延びることができるか?
お待たせしまして……
気が付いたら半日寝てるんだもの、たまげたなぁ。
無能キリングが無能ったせいでホワイトベースはほぼほぼ無傷で乗り切りました。
文中で忘れてたけど、カイのガンキャノンは脚に被弾しました。
ブラウブロのロール運動で吹き飛ばされたのは、バーニィです。
次回はとうとう久々のシャア。待て、次回。
乙
バーニィ……まぁ、予想通りだけど
>>423
>無能キリングが無能ったせいでホワイトベースはほぼほぼ無傷で乗り切りました。
乙!作者氏の苦心が伺えますわww
ブラウ・ブロの性能生かせる障害物の無い宙域帯の上にララァ搭乗でアムロ無しだったらどう考えてもWB隊壊滅やもんな
オリジンだとシムスもNT要素あった設定だけどギレンの野望だと最低ランク間違い無しだろうな~
それにジーンやスレンダーよりステ低いから大した事無いんだけど、
ギレンの野望のゲーム特性上、こんなヘッポコNTでも覚醒してれば
Hi-νやナイチンゲールのファンネルすらも使えるという… 何か納得いかねー
そういやブラウ・ブロとエルメスってすんごいでっかいんだよな
ビグ・ザムとか写ってる比較画像見てびびった記憶がある
NT達の自爆で乗り切ったか
確かに複座型を動かしてる作品はなかったな別の人間の意志が入るのを嫌がるだろうし
>>424
し、死んでない!死んでないからな!
>>425
シムスは今回、ララァへの嫉妬と周囲からの無期待にヒステリーを起こして暴走、結果増大した邪気をアムロに捉えられて撃墜されました。
オリジン版ではニュータイプ隊の隊長を任されるだけあって、そこそこの技量はあったんだと推察しています。
>>427
エルメスめちゃめちゃでかいんですよね。
今作ではモビルアーマーは総じて小さめに設定してます。
次回用と併せて、ブラウブロの画像も>>232みたく提示しますね。
>>428
ビグザムやブラウブロは複座の設定がありながら、それを長短活かせてなかったので……
こういうのもアリかなってところですね。
──宇宙世紀0079年12月15日、夕刻
──宇宙要塞ソロモン、司令室
ドズル「おう、シャア」
シャア「ドズル閣下、お呼びで」
ドズル「ああ。正式に貴様に辞令が下りた。キシリア配下の突撃機動軍から、再び俺の宇宙攻撃軍に配置換えだ」
シャア「ようやくですか。ありがとうございます」
ドズル「それと貴様の部隊だが、主にキャリフォルニアからの合流兵で組織される」
シャア「歴戦の強者揃いですな。……新型は配備されると考えていて?」
ドズル「うむ、さすがにお前には新しいドムを任せようと思うが、部隊全体にいきわたるとは思わんでくれ」
シャア「はっ、了解しました」
シャア(ふん、私は体のいい捨て駒ということか)
『運命の少女』
<BGM:http://youtu.be/yyy_crmOAow>
シン「聞いたぞ、シャア。宇宙攻撃軍に戻ってきたとか。部隊も再編されるって?」
シャア「シン。どうも、私の隊は捨て駒に近いらしい。キャリフォルニアからの帰還兵が主だとさ」
シン「だが、歴戦の兵士だろう。そこらの新兵よりは使い物になるさ」
シャア「うむ……。だが、新型のドムは数機しか配備されんらしいからな。どうなるかね」
シン「はは、要は使い様だろ。お前がうまく使いこなしてみせろ」
シャア「簡単に言う。貴様のところも突撃娘をうまく使いこなすのだな」
シン「おっと、オルガのことか? ははは、これは一本取られたか。ではな、赤い彗星」
シャア「ああ。次の訓練はよろしく頼む、白狼」
──宇宙世紀0079年12月16日
──宇宙要塞ソロモン、スペースポート
ドズル「おう、フォン・ヘルシング大佐! ご苦労!」
フォン・ヘルシング「これはこれは。ドズル閣下直々にお出迎えとは、恐縮です」
ドズル「こっちはシン・マツナガ少佐と、シャア・アズナブル大佐。それと俺の副官のラコック中佐だ。ラコックは知っているな」
フォン・ヘルシング「おや、コンスコン少将は?」
ドズル「俺の名代としてサイド3の式典に参列していてな。明後日には戻るだろう」
フォン・ヘルシング「そうでしたか。どうぞよろしく、お二方。ラコック中佐はお久しぶりですな」
シャア「どうも、よろしく」
シン「よろしくお願いします」
ラコック「ええ、お久しぶりです」
フォン・ヘルシング「それとドズル閣下。総帥府からの特務を拘束しているので、引き継ぎ願いたい」
ドズル「何ぃ?」
フォン・ヘルシング「子細はまた後で。ギレン閣下への報告も必要ですので」
ドズル「うん、わかった。とりあえずグラーフ・ツェッペリンの乗員はみなしっかり休んでくれ」
フォン・ヘルシング「お心遣い痛み入ります。……それと、皆様にお引き合わせを。ララァ・スン少尉。こちらへ」
シャア「!!」
ティキリリリィン!!
ララァ「っ!」
フォン・ヘルシング「どうした、少尉?」
ララァ「! ……いえ。ララァ・スン少尉です。お見知りおきを」
フラナガン「フラナガンです、どうぞよろしく」
フォン・ヘルシング「彼らを運んできた次第であります」
シャア(ハッ……このプレッシャー……。これがニュータイプというのか! ならば、ガンダムのパイロットも……!)
ララァ(この人が……シャア・アズナブルなんだわ)
シャア(この娘がいれば、ガンダムを倒せる……!)
──サイド3・1バンチ
──ズムシティ、総帥執務室
セシリア「閣下、ソロモンから通信です」
ギレン「うん? 繋げ」
フォン・ヘルシング『閣下、お久し振りです』
ギレン「ん、フォン・ヘルシング大佐か。密命の報告はキリングから受ける予定だが?」
フォン・ヘルシング『そのキリング特務中佐についてのご報告です。もちろん、任務についてもご報告致しますが』
ギレン「キリングについて? 詳しく聞かせろ」
フォン・ヘルシング『はっ。サイド6にてフラナガン研究所のニュータイプ専用モビルアーマー=ブラウ・ブロ、およびニュータイプ兵士ララァ・スン少尉とシムス・アル・バハロフ中尉、コワル・カタル技術少尉、フラナガン博士を乗船させ、現在はソロモンに到着しております。その過程で連邦軍と戦闘になったのです』
ギレン「……何だと? キリングには、戦闘は避けてなるべく早くソロモンに向かうよう命じたはずだがな」
フォン・ヘルシング『な……それは初耳です。……サイド6でたまたま連邦軍の新造艦ホワイトベースと出くわしまして。我々船乗りは慣れているので、お互い刺激せぬようにうまく仕事を終えたのですが……』
ギレン「木馬だと? ……ほう。続きを」
フォン・ヘルシング『サイド6領海を出てすぐ、シムス中尉とキリング中佐がブラウ・ブロの実力を見せると言い出しましてな。キリング中佐の命令で発進したのです。その際は私も新型を損ずるわけには、と艦載のドム小隊を護衛に』
ギレン「…………」
フォン・ヘルシング『ところが、宇宙コロニーサイドの周辺は多くがデブリ宙域なのは、閣下もご存知と思います。味方であるドム隊を薙ぎ倒しながら木馬との交戦を強行した結果、ブラウ・ブロは中破。ニュータイプ・パイロットのシムス・アル・バハロフ中尉も戦死しました』
ギレン「何……だと……?」
フォン・ヘルシング『幸い、ブラウ・ブロも全壊はしておらず、ソロモンの防衛任務には参加可能だと考えておりますが。……その際、キリング中佐を諭そうとしたところ……彼は艦橋で私に拳銃を突き付けましてな。警察権を行使し、拘束した次第であります』
ギレン「ええい……虚栄心ばかり強い男とは思っていたが。すまない、フォン・ヘルシング大佐。私の人選が誤っていたと言わざるを得ない」
フォン・ヘルシング『なっ!? か、閣下が謝ることなど……!!』
ギレン「私の采配ミスだよ。君が無事でよかった」
フォン・ヘルシング『……ありがとうございます、閣下』
ギレン「ドズルはいるか?」
フォン・ヘルシング『お急ぎで?』
ギレン「ああ。今後のことだ。貴様も聞いておいてほしい」
フォン・ヘルシング『では、司令室より再度ご連絡します』
ギレン「すまんが、頼むよ。……セシリア、飲み物を」
セシリア「ダージリンで?」
ギレン「ん……いや、アッサムがいいかな」
セシリア「ふふ、かしこまりました」
──十分後
──宇宙要塞ソロモン、司令室
フォン・ヘルシング「お待たせを」
ドズル「何用だ、兄者。増援の話か?」
ギレン『ああ、そうだ。すまん、こちらからも増援は出したのだが……』
ドズル「うん?」
ギレン『資源も不足しているし、何より人が足りん。モビルスーツのドローン・システムは開発させているが、年明けに間に合うかどうかもわからん』
ドズル「ついに追い詰められてきたな」
ギレン『うむ。……シャアを呼んでもらえるか。特殊任務を任せたい』
ドズル「俺たちも同席していいのか?」
ギレン『ああ。ソロモンの防衛にも関わる話だ』
ドズル「わかった。暫し待ってくれ」
寝てサッカー見て寝てた。
今日の昼か明日に続き投下します。
明日!明日投下します!
シャアを呼び出すギレン。IQ200の頭脳は何を考えるのか。
テケテーーーンッ、テケテンッ!ヒャア!!(アイキャッチ)
──同刻
──ホワイトベース、ブリッジ
オスカー「2時の方角に艦影。改マゼラン級戦艦が7隻と改サラミス級巡洋艦が13隻、レパント級ミサイルフリゲート艦が10隻、アンティータム級宇宙空母が5隻にコロンブス級補給艦が6隻! それと……バーミンガム級大型戦艦です!」
ブライト「なにいっ!? ルナⅡで3隻が建造されただけっていう、艦隊司令艦か!」
スレッガー「ヒュ~♪ すごい大艦隊じゃないの」
タカアキ「ルナⅡの主力艦隊だぜ、ありゃあ……」
クリス「主力艦隊を回してくれるだなんて……!」
ブライト「張り合いが出るってもんだよ……!」
フラウ「バーミンガム級三番艦・ルザルから通信です。あっ、ワッケイン准将です!」
ブライト「とうとう合流できるんだな……! 繋いでくれ!」
フラウ「はいっ。正面モニターに出します!」
ワッケイン『よう、ブライト大尉。ボロボロの木馬にプレゼントを持ってきたぞ』
ブライト「ありがとうございます、ワッケイン准将!」
ワッケイン『間もなく合流できるから、合流次第作業を行う。』
ブライト「はっ!」
ワッケイン『ガンダムの修理も行う。コロンブス2隻で挟むから、技術士官の指示に従ってくれ』
ブライト「伝えておきます!」
ワッケイン『それから、これからのことについて話がある。連絡艇でルザルへ頼む』
ブライト「了解しました!」
ワッケイン『いい返事だ。ではな』
──宇宙要塞ソロモン、司令室
シャア「シャア・アズナブル大佐、入ります」
ドズル「おう。入れ」
シャア「お呼びでしょうか、ドズル閣下」
ギレン『やあ。私が呼ばせたのだよ』
シャア「!! ……これはこれは、ギレン閣下直々に私をご指名とは」
ギレン『これよりシャア・アズナブル大佐に特務を言い渡す』
ドズル「…………」
フォン・ヘルシング「…………」
ゴクリッ!
ギレン『フォン・ヘルシング大佐と共に木馬討伐隊を結成し、ソロモン防衛戦で遊撃任務にあたり、これを撃滅せよ』
フォン・ヘルシング「なっ!!!?」
ドズル「なんとっ!」
ギレン『ニュータイプ兵士は貴様に任せる。ララァ・スン少尉は優秀なニュータイプ兵だと聞いている。うまく使え』
シャア「……で、では……補充を受けたいものです。我が隊は現在、キャリフォルニア・ベースからの敗残兵がほとんどですので」
ギレン『フォン・ヘルシングの部隊をそのまま受け継げ。細かいことは貴様に任せる』
フォン・ヘルシング「なんと……!」
シャア「……それでも、足りませんな」
ギレン『ほう?』
シャア「ララァ・スン少尉のブラウ・ブロは先の戦闘で中破……いや、大破といっても過言ではないダメージを負っていると聞いています。彼女の才を活かすなら、補充が欲しいものです」
ドズル「お、おい、シャア!」
ギレン『ククク……気に入ったよ、シャア。よかろう、ソロモンへの補充はコンスコンに任せてある。そこに追いつかせよう』
シャア「ありがとうございます、ギレン閣下」
ギレン『しくじるなよ、赤い彗星』
フォン・ヘルシング「か、閣下? 自分は……」
ドズル「……細かい話はこちらで決める。兄貴、それでいいな?」
ギレン『ああ、任せる。ではな』
ドズル「兄者め、なんてことを言いやがる」
シャア「フム……フォン・ヘルシング大佐の隊を受け継ぐ、と言っても」
ドズル「いかにシャアが優れていようと、再三に木馬に敗れているんだぞ! フォン・ヘルシングの隊をそのまま貴様に預けるわけにはいかん!」
フォン・ヘルシング「ですが、木馬との戦いで生き延びている経験がある、ということでしょう」
ドズル「むう。コンスコンも同じようなことを言っていたが……」
シャア「ドズル閣下。ソロモンを守るには、もはやガンダムの存在は捨て置けません。撃墜はできなくとも彼奴めを足止めできれば、友軍の助けになると信じております」
ドズル「フンッ、言いおる! わかった。フォン・ヘルシング、貴様のグラーフ・ツェッペリンと、ムサイ二隻で戦隊を組ませる……いいな?」
フォン・ヘルシング「ええ。赤い彗星と共に戦えるとは思ってもみなかった」
シャア「よろしく頼みます、フォン・ヘルシング大佐」
フォン・ヘルシング「ああ、どうぞよろしく。では、細かい事を詰めよう」
シャア「了解です。グラーフ・ツェッペリンを一度見ておきたいのですが、よいか?」
フォン・ヘルシング「勿論。ではドズル閣下。我々はこれで」
ドズル「おう。詳しいことが決まったらまた知らせい。兄者に伝える」
シャア「ハッ!」
ドズル「フン、シャアめ。弟を見殺しにしたことを忘れてはおらんぞ……」
ゼナ「……ですが、あなた。シャア大佐でなければ、勝てないともお思いなのでしょう?」
ドズル「ゼナ!? 聞いていたのか」
ゼナ「ごめんなさい。花瓶の水を替えていたら、お話が始まっていて……」
ドズル「……そうだな。俺はシャアを未だ信じておる。士官学校時代、お前を口車に乗せたあの男を」
ゼナ「おやめくださいまし。私は弟君……ガルマ様に賛同したのです」
ドズル「フン。……あいつには、木馬を足止めしてもらわねばならん」
ゼナ「シャア・アズナブル……彼は、士官学校時代から不思議な男性(ひと)でした」
ドズル「ああ。奴は不思議とカリスマがある。ガルマを煽ったのもあいつだったな」
ゼナ「素敵な男性(ひと)ですけれど、少し怖くもあるわ」
ドズル「ははは。……あいつは、シャア・アズナブルではないのかもしれん」
ゼナ「えっ?」
ドズル「……いや、なんでもない。それより、ミネバは?」
ゼナ「よく寝ていますわ。毎日すくすくと育って。この間なんて、ママ、ママって」
ドズル「おおっ!? お、俺のことは!?」
ゼナ「な~んにも。……今度、遊んであげてくださいな」
ドズル「……がっくりだ」
ゼナ「ふふふ、あの子、あなたによく似ているんですよ」
ドズル「なあっ!? そ、それはいかん。ゼナに似ていないと!」
ゼナ「前髪が、くるんって」
ドズル「そ、そこかよ!?」
ゼナ「うふふ……焦っちゃって。まさか私に手玉に取られているとは、兵も思わないでしょうね」
ドズル「おいおい……からかってくれるなよ……」
宇宙世紀0079年12月16日。
地球連邦宇宙軍のソロモン侵攻まで、あと──。
ギレン・ザビが告げたのは、木馬討伐作戦。
シャア・アズナブルとフリードリヒ・フォン・ヘルシングの二人を指揮官に、
討伐部隊が結成される。
機動戦士ガンダム、次回、『木馬討伐隊』
君は、生き延びることができるか?
待て、次回。
シャアとフォンヘルシングの率いる特戦隊、結成!
大分if要素が強まっています。
今更ですが、フォンヘルシング大佐のファーストネームはオリジナルです。
富野ガンダムではファーストネーム呼びが普通なのですが、流石に誰かわからないので作中では苗字呼びにしてますけども。
書き忘れた補足!
バーミンガム級は本来、戦後の軍備増強計画で就役した戦艦です。(初出・0083スターダストメモリー)
今回は3隻が戦前に設計され戦時中(ルウム以後)に就役した、ということにしてあります。
バーミンガム級一番艦・バーミンガム
バーミンガム級二番艦・タイタン
バーミンガム級三番艦・ルザル
一番艦と三番艦の仕様は0083に登場したバーミンガム級と異なり、甲板に防空機を10機ほど係留。
その改装の為、タイタンが最初に就航。(UC0079年9月25日)
続いてバーミンガム、ルザルが11月7日に就航。
350m級の弩級戦艦で、連装大型メガ粒子砲が5基、単装大型メガ粒子砲1基、単装メガ粒子砲4基、対空レーザー砲12基、12連装ミサイルランチャー2基を備える最強の戦艦。
ジオン軍のグワジン級大型戦艦と正面から撃ち合えるだけの火力を持ちます。
(なお、グワジン級大型戦艦は294m。一番艦グレート・デギンのみ340m、グワジン級超大型戦艦扱いとする)
ビンソン計画の発動により、建造途中だった新鋭戦艦の建造を完了。ルウム戦役の敗戦により、ミノフスキー粒子散布下における戦闘に適応して完成された。
……という設定改変。
乙
敵役にこういう描写があると辛いモノがある
バーミンガムってギレンの野望だと宙域のみでMS搭載出来ないけど、
火力はグリプス戦争時代の戦艦(アレキサンドラ、ドゴス・ギア、アーガマ等)を圧倒してるから、
一年戦争時に配備されたらザンジバルどころかグワジンも楽に沈めるチート戦艦だわなあ
>>448
ドズルは特に泣かせにきますよね
ミネバを守る為に、と
>>449
グワジン級は何隻も生産されてるし、チベ級重巡も戦艦並の戦力ありますからね……
何より、単艦戦力ならまだしも、MS艦載能力もあると思うと、マゼランとサラミスだけではなかなか対等には思えなくて。
気が付いたらルナⅡ艦隊がやたらと増強されてました。
まぁジオンが負けるんだからいいでしょ(暴論)
えっ!?
ジオン、負ける前提なの??
>>452
このスレタイでジオンの勝利が見えていたのか
>>450
>ルナⅡ艦隊がやたらと増強されてました
ハゲ「総帥、ルナ2攻略作戦の提案に参りました」
眉無し「ルナ2?あんな辺境の小惑星基地に何の価値がある?捨ておけ、貴君も任務に戻りたまえ」
ハゲ「は、はぁ…」(あそこ次々新型開発してるしヤバいんだけどなぁ~)
~その頃のルナ2~
技術士官「よーし、WB隊の戦闘データをフィードバックした新型MSの開発を急げ!」
技術士官「砲戦能力のあるバーミンガムだけじゃなく高性能のMS母艦も開発しろ!」
技術士官「ゴップ大将のお墨付きだ、金と資源なら幾らでも使って構わん!」
開発技士・整備兵・作業員「「「おーーーーーっ!!!」」」
ジムコマンド重装型がロールアウトしました!
ジムコマンド高機動型がロールアウトしました!
ジム指揮官仕様改良型(ジム・カスタム)がロールアウトしました!
ジムキャノン改良型(ビームキャノン一門搭載、キャノンⅡの前身)がロールアウトしました!
ガンダム試作7号機(GP01の前身)がロールアウトしました!
グレイファントムが竣工しました!
アルビオンが竣工しました!
バーミンガム級にMS搭載能力をもたせた4番艦(仮名ドゴス・ギア)の開発に着手します!
眉無し「あわわわわわわわ」
ハゲ「だから言ったのに…」
やたら行数多くてワロタ
(あまりメカを増やすつもりは)ないです。
今日の深夜、本編ではなく登場兵器紹介を投稿予定です。
今回は軍艦についてが主です。
特に戦艦バーミンガムについては設定改変が多いので詳しく書きたい所存。
本編は週中くらいに出せると思いますー。
報告
投下用意中に寝落ち
本日中の投下は絶望的
明日に延期します(土下座)
【登場兵器紹介⑤】
ムサイ級軽巡洋艦
→http://i.imgur.com/JRjDPvZ.jpg
ジオン公国軍のモビルスーツ運用艦。大戦以前から使用されている輸送艦を改造したもので、単艦火力はサラミスに劣る。
モビルスーツの運用にあたり、最も重要な『戦地までモビルスーツを運用・支援する戦術的役割』を担う。
艦首には宇宙往還シャトル『コムサイ』を搭載しており、こちらにもモビルスーツを二機搭載することができる。(逐一切り離さなければならないので、通常は搭載しない)
主な同型艦は『キャメル』、『スワメル』、『バロメル』など。
チベ級高速重巡洋艦
→http://i.imgur.com/JwuvGmv.jpg
輸送艦を改造したムサイ級と異なり、ムンゾ国防軍の軍艦として建造された重巡洋艦。
連邦軍のマゼラン級宇宙戦艦に匹敵する火力を持ち、モビルスーツ運用能力も高い。
推力も高く、ペガサス級強襲揚陸艦と同等クラスのパワーを誇る。
主な同型艦は『チベ』、『チェーホフ』。
チベ級ティベ型高速重巡
→http://i.imgur.com/QGlHPDi.gif
チベ級の改修型。建造数は少ないが、主に特務やエリート戦隊に配備されている。
問題点をすべて解消した重巡洋艦で、完全な上位互換として開発された。
主な同型艦は『グラーフ・ツェッペリン』。
ザンジバル級機動巡洋艦
→http://i.imgur.com/yNdG7RQ.jpg
大気圏内外で活動可能な唯一のジオン国籍艦種。
ジオン公国軍の地球侵攻作戦を支え、また地球脱出に際しても多くの兵を宇宙へと揚げた。
大気圏内での飛行時はジェット燃料を使用する。
主な同型艦は『マダガスカル』、『ラグナレク』、『キマイラ』。
グワジン級大型宇宙戦艦
→http://i.imgur.com/HN4ObFs.png
ザビ家や上級将官が使用する為に開発された大型戦艦。
大気圏内活動能力を持てるよう設計されたが、ルウム戦役後の試験中に2番艦『グワメル』が空中分解を起こした為断念、全艦が改修された。翼はその名残である。
全8隻が運用されている。
1番艦『グワジン』、3番艦『グワラン』、4番艦『グワデン』、5番艦『アサルム』、6番艦『グワリブ』、7番艦『グワバン』、8番艦『グワザン』、9番艦『ガンドワ』
超グワジン級宇宙戦艦“グレート・デギン”
→http://i.imgur.com/PROp0oZ.png
ジオン公国軍公王デギン・ソド・ザビ専用に設計された、超グワジン級の唯一無二の艦。
グワジンを二回りほど大きくした巨体はまさに砦である。
主に観艦式などの式典に用いられており、戦闘に参加したとされる記録はない。
【登場兵器紹介⑥】
サラミス級宇宙巡洋艦
→http://i.imgur.com/1MiVIAR.jpg
地球連邦宇宙軍の主力巡洋艦。
宇宙世紀0068年に建造が開始され、0069年から0073年までで124隻が建造された。
一週間戦争およびルウム戦役だけで半数以上79隻が撃沈・もしくは行方不明となっている。
ビンソン計画によって宇宙艦隊が再編された際に15隻が新たに建造され、全60隻が宇宙軍の戦力として従事している。
V作戦に伴い、モビルスーツを上甲板に係留できるよう改造が施された艦もあり、そちらは改サラミス級と呼称される。
主な同型艦は『ネルソン』、『ハンプトン』、『ポートビル』、『マリアナ』などがある。
レパント級ミサイルフリゲート艦
→http://i.imgur.com/duT1wct.jpg
地球連邦宇宙軍が多数運用するフリゲート艦。現在91隻が現存している。
メガ粒子砲を一門しか装備しないが、小型故の機動性の高さとミサイル主体の戦闘でルウム戦役からこれまで、宇宙軍の主力として戦ってきた。
モビルスーツ運用能力はないが、モビルスーツやモビルポッドを搭載したサラミスと共に作戦行動を行い、戦果を挙げている。
主な同型艦は『レパント』、『アクティウム』、『ダンノウラ』、『アルマダ』など。
マゼラン級宇宙戦艦
→http://i.imgur.com/ZAI1BNF.jpg
地球連邦宇宙軍の主力戦艦。
サラミス級巡洋艦と同じく、大戦初期に多くが損失され現在は18隻のみとなる。ビンソン計画により3隻が加えられた。
こちらも一部の艦がV作戦によりモビルスーツ運用能力を付加されており、通称・改マゼラン級となる。
主な同型艦は『マゼラン』、『アナンケ』、『ネレイド』、『ハイペリオン』など。
コロンブス級宇宙輸送艦
→http://i.imgur.com/zkz88j7.jpg
地球連邦宇宙軍の輸送艦。武装を持たない。
宇宙世紀0069年にクラスシップが就役しており、10年間に亘って運用されている。
主に物資輸送に用いられるが、大戦中期からは病院船として用いられるケースも見られた。
主な同型艦は『コロンブス』、『サンパウロ』、『ワトソン』、『ナイチンゲール』など。
アンティータム級宇宙空母
→http://i.imgur.com/XV8JN8V.jpg
地球連邦宇宙軍の宇宙空母。
コロンブス級12番艦・アンティータムを改造し戦闘機母艦としたもの。
大戦初期にはトラファルガー級宇宙空母と共に多くが展開されたが、そのほとんどがジオン公国軍のモビルスーツによって撃沈された。
主な同型艦は『アンティータム』、『イオージマ』、『ワーテルロー』、『レッドクリフ』など。
トラファルガー級宇宙空母
→http://i.imgur.com/1X5LMFQ.jpg
地球連邦宇宙軍の主力宇宙空母。
マゼラン級を設計ベースに用いて、両舷に大型の飛行甲板を備えた大型艦。
ルウム戦役後、モビルスーツ運用母艦として改修・増産され、当面は戦闘機・モビルポッド母艦として運用されていた。
主な同型艦は『トラファルガー』、『カディス』、『エクノモス』、『イツクシマ』などがある。
バーミンガム級宇宙戦艦
→(1番艦)http://i.imgur.com/hQzVaNS.jpg , http://i.imgur.com/66KvACP.jpg
→(2番艦)http://i.imgur.com/TGTbFcm.jpg
→(3番艦)http://i.imgur.com/Db0FBZH.jpg , http://i.imgur.com/3qGBswW.jpg
地球連邦宇宙軍の新鋭宇宙戦艦。
各方面軍の旗艦として設計され、大戦後期にルナⅡで3隻が建造された。
1番艦『バーミンガム』と3番艦『ルザル』はJ・A・レビル大将とW・ワッケイン准将の強い要望でモビルスーツ搭載能力が付加された。
図示のように上甲板・下甲板にそれぞれ同数ずつ係留される。(図では上甲板のみ)
結果として2番艦『タイタン』が一足先に就役することになった。(『タイタン』はUC0079年09月25日、『バーミンガム』、『ルザル』はUC0079年11月07日)
これまでの主力戦艦マゼランを大きく凌駕する戦闘能力を持ち、艦隊旗艦として申し分ない威容・戦力を誇る。
開戦直前の設計だったがルウム戦役での敗戦を踏まえビンソン計画にて再設計された。その為、ミノフスキー粒子散布下における戦闘にも適応されている。
単艦戦力は一年戦争中でもトップクラスであり、単艦同士の砲撃戦において太刀打ちできる艦はおそらく超グワジン級大型宇宙戦艦グレート・デギンのみであろう。
ホワイトベース級強襲揚陸艦
→http://i.imgur.com/Yy0CdGr.gif
地球連邦軍のモビルスーツ運用を前提とした強襲揚陸艦。
大戦中には6隻が建造され、各方面で活躍した。2番艦以降の艦名には馬にまつわる名前が用いられた。
1番艦『ホワイトベース』、2番艦『ペガサス』、3番艦『スレイプニル』、4番艦『セキトバ』、5番艦『サラブレッド』、6番艦『トロイホース』
というわけで今回の投下はこれだけですゴメンチャイ。
主にバーミンガムクラスなどの連邦宇宙軍の軍艦について、覚え書きも兼ねています。
ご覧の通り、サラミスやマゼランの状況を見るに結構連邦も戦力が足りていません。
だからこその一点集中・一点突破作戦に出るのでしょうね。
艦名についてはある程度の法則性を出しているつもりです。気づいたら「あー、なるほどね」って程度の。
※あくまでこのスレのオリジナル設定です。各艦の寸法から何から、公式設定とは異なる部分も多いのでご了承ください。
あと一応。
硬派な内容ではありますが、気になったら構わずレスしてください喜びます。
ハロみたいに跳ねて喜びます。
某雑談スレで少し相談しアドバイス頂いた有難い考察がありまして。
この先のif展開で参考にしていきます。
あちらで書くと宣伝みたいになってしまうので、こちらで御礼申し上げます。
読んでくれてたら嬉しいな、という意味も込めて。
ハロ、ハロハロ。
ハロー、ミンナ。元気カ?
>>1、脳波レベル、オチテル。
後程推敲して投下します。暫しお待ちを。
──宇宙世紀0079年12月16日
──チベ級ティベ型3番艦『グラーフ・ツェッペリン』、ブリーフィングルーム
ヘルシング「諸君、傾注!」
シャア「此度、新たに第102モビルスーツ中隊の指揮官として着任した、シャア・アズナブル大佐だ。フリードリヒ・ヘルシング大佐と共に特殊任務にあたるべく任命された。よろしく頼む」
ザワッ……!
「赤い彗星だ」
「特殊任務ってなんだ……?」
「赤い軍服って……」
ヘルシング「静粛に!」
シャア「諸君が気になっていることは概ねわかる。なぜ、私が特務の指揮官として着任したか。何を目的とした特務なのか」
ヘルシング「シャア、それは……」
シャア「いや、今言うべきでしょう、ヘルシング卿。後から言っても、混乱を招く」
ヘルシング「だが……。いや、分かった。君に任せよう」
シャア「ありがとう。……我々の任務は、木馬の討伐だ」
『木馬討伐隊』
<BGM:http://youtu.be/yyy_crmOAow>
バーニィ「た、大佐殿! 質問をよろしいでしょうかあっ!」
バタシャム「おい、バーナード!?」
シャア「うん、よかろう。だが、官姓名を名乗ってもらおうか」
バーニィ「しっ、失礼しましたあっ! 自分は、バーナード・ワイズマン伍長であります!」
シャア「伍長? 学徒兵か。それで、なんだ?」
バーニィ「は、はいっ。木馬討伐、とは……あの“ホワイトベース”を討つ……ということで相違ないでしょうか……!?」
シャア「ああ、そうだ。昨今、木馬型戦艦が各地で目撃されているようだが──我々が狙うのはただ一隻。ホワイトベースだ」
ザワ……ザワ……!
シャア「我々がやらねば、ソロモンは落ちる。……そういっても過言ではないよ」
ヘルシング「実際、我々の多くはサイド6近海でホワイトベースと交戦し、事実上敗北している。しかし、赤い彗星の率いたマッドアングラー隊の生き残りが我々に合流するということだから、今や我々以上に適任はいないだろう」
シャア「ああ。諸君らは木馬と戦い、一度生き延びているのだ。違うかね?」
バタシャム「そうだぜ。俺達がやらにゃあ、誰がやるんだ!」
「そ、そうだそうだ!」
「いいぞ、バタシャム!」
シャア「君、名前は」
バタシャム「! バタシャム・ラシャン少尉でありますっ!」
シャア「覚えた。よろしく頼むよ、少尉」
バタシャム「はっ!!」
──グラーフ・ツェッペリン、司令室
ヘルシング「見事ですな」
シャア「やめてください」
ヘルシング「さすがのカリスマだ。……悪い男だよ、貴様は」
シャア「ははは、否定はしません」
ヘルシング「ところで、マッドアングラーからは全員を?」
シャア「いや、一部にしましょう。それと、訓練中に目についた連中を」
ヘルシング「ほう、もう決めてあるのか?」
シャア「ええ。このリストを」
パサッ
ヘルシング「今時紙媒体とは珍しいな。どれ……」
シャア「極秘書類はこうすべきだ。燃やせばなかったことにできるのだから」
ヘルシング「道理だな。……どれどれ……ふむ、なるほど」
シャア「一度模擬戦で戦って、スジがいいと感じた連中です」
ヘルシング「シャアが認めたとあらば、断る道理もあるまい。ドズル閣下に申請しよう」
シャア「じゃあ、そちらはお願いしても? 私はモビルスーツ隊との模擬訓練を行いますので」
ヘルシング「くくっ、貴様はつくづく、モビルスーツ馬鹿らしい」
シャア「どうも。では」
──グラーフ・ツェッペリン、談話室
バタシャム「しっかし、驚いたぜなあ?」
バーニィ「ええ。まったく……急に木馬だなんて」
シャア「不満か?」
バタシャム「いッ!?」
バーニィ「いや、不満ってこたぁないですけど……死にたくはないし」
バタシャム「バーナード……うしろ、うしろ……!」
バーニィ「え? なんです? ……って、うおわああっ!!?」
シャア「私の顔は怖いか?」
バーニィ「いや驚きますって!!」
シャア「死にたくないならば、私と模擬訓練を行ってもらいたい。付き合ってくれるか?」
バタシャム「……ぜひ!」
バーニィ「同じく!!」
シャア「いい返事だ、伍長。バタシャム少尉、モビルスーツ隊を揃えて、Sゾーン1区に集合」
バタシャム「ハッ!」
──宇宙要塞ソロモン宙域、Sゾーン1区
シャア「うん……流石にこのザクじゃあ、ガンダムには勝てそうにないが……奴らはどうかな」
バタシャム『大佐、お待ちしておりました!』
シャア「待たせた! では、バタシャム隊と私で、6対1の模擬戦闘を行う」
バタシャム『えっ!? 6対1で、ありますか!?』
シャア「ああ。私にとって、ガンダムはドム6機よりも恐ろしいということだ。ザクでもそれを捌けるようにならねば、勝てる気は起きん。……これより5キロメートルの戦闘距離をあける。合図は赤色信号弾で行う。いいな?」
バタシャム『……了解であります!』
バタシャム「ちいっ、ナメやがって! 俺達雑兵は旧式のザク一機で十分ってえのか!」
ゲルト「やってやりましょう、少尉!」
バーニィ「赤色信号弾きた……!」
バタシャム「おう、やるぞ! バタシャム隊、行く!!」
「「「「「おうっ!!」」」」」
バタシャム「バルト、上! ユルゲン、下! ゲルトは右! ヴァンスは左を警戒! 相手は赤い彗星だ、油断だけはするな!」
バーニィ「了解……って、あっ!」
バタシャム「なんだっ」
バーニィ「レーダーに感、正面!!」
ユルゲン「なあっ!? さ、三倍のスピードでジグザグに接近するザク……!」
ゲルト「“シャアの五艘飛び”か……!」
バタシャム「よし、各機散開! 迎撃に入る!」
ヴァンス「了解!」
バルト「んッ!? ロックオンされたッ!?」
バタシャム「落ち着け、この距離では──」
ピピピピピ……ビビーッ!!
バルト「げ、撃墜判定……?」
バタシャム「なにっ!」
シャア『甘いぞ! こちらの武装も確認せず、距離があるからと油断するとはな!』
バーニィ「対艦ライフルだ!!」
バタシャム「し、しまった!! 止まるな、動き続けろォッ!!」
シャア『だが、最初に散開させたのは評価しよう。ビーム砲ならば一網打尽だったな』
ビビーッ!!
ユルゲン「ええっ!?」
シャア『──まぁ、いつまでもつかは見ものだが!』
中断
<アイキャッチ:http://youtu.be/7LrE3-At39I>
135mm対艦ライフルを構え、リック・ドムⅡをロックオン……トリガーを引く。
ヴァンス『や、やられたっ!』
シャア「さあ、どうするバタシャム! 旧式のザク相手でこれでは、ガンダム相手では十秒ともたんぞ!」
ピピピ……ビビーッ!
突如鳴り響く被弾警報。
シャア「なにっ!? ……左腕に当たったというのか!?」
バーニィ『……よしっ!!』
シャア「なんだと……!?」
赤い彗星はコクピットの中でほくそ笑んだ。
白い悪魔に匹敵する才能を見つけ出した、と。
シャア「くくっ……。いや、冗談ではない!」
擬似的に左腕が機能を停止したことを告げるモニターを睨み付け、吠える。
バタシャム『うおおっ……旧式のザクなんかにいっ!!』
ジャイアント・バズの砲口がこちらを捉える。
その時、シャアは直感的に回避行動を取っていた。
シャア「ハッ……私にも敵の動きが解る!」
ザクの操縦桿を握りしめ、シャア・アズナブルは呟いた。
シャア「あのニュータイプの少女、ララァ・スンと出会ってから……こうも感覚が研ぎ澄まされるというのか!」
バタシャム『そんな馬鹿な! 死角を取ったんだぞ、俺はぁーっ!!』
バタシャムが咆哮し、ヒート・サーベルを引き抜いてザクに迫る。
シャア「遅い!」
対艦ライフルを手放し、腰からザク・マシンガンを引き抜いた。
それとほぼ同時に、バタシャム機に撃墜ランプが灯る。
バタシャム『なんとおーっ!!』
シャア「こんなものでは、木馬を沈めることはできんな!?」
ゲルト『うおおおーっ!!』
バタシャム機の背後からリック・ドムⅡがもう一機飛び出し、胸部ビーム砲を放った。
ビビーッ!!
ゲルト『や、やったか!?』
シャア「残念だったな」
ザクの飛び蹴りがゲルト機を襲い、直後に被弾判定。
バタシャム『ぜ、全滅……たった1分で……リック・ドムⅡの一個小隊が……』
シャア「……いや」
バーニィ『まだだあっ!!』
バーナード・ワイズマン伍長のドムが突進し、マシンガンを猛射する。
弾幕は難なく避けてみせるが、左腕が使えない以上AMBACが正常に機能しない。
シャア「見せてもらおうか……バーナード伍長、君の力を」
ザク・マシンガンを手放し、ヒート・ホークを取り出す。
バーニィもそれに倣って、ヒート・ソードを引き抜いた。
シャア「うん……思い切りの良さも彼に似ている」
バーニィ『行きますッ!!』
シャア「来い!」
──グラーフ・ツェッペリン、格納庫
シャア「バタシャム少尉」
バタシャム「大佐。お疲れ様でした」
シャア「いい訓練になったよ、ありがとう」
バタシャム「いえ……自分ら如きでは、息抜きにもならんでしょう」
シャア「……いや、そうでもないよ。特に……」チラッ
バタシャム「? ……ああ」チラッ
バーニィ「……ん? なんです?」
シャア「伍長、ご苦労だった。君との模擬戦はガンダムとの戦いのように白熱させられたよ」
バーニィ「まさか、そんな。俺はやられちまいましたよ」
シャア「だがバタシャム隊で私のザクに致命的ダメージを浴びせたのは、君だけだ」
バーニィ「……左腕と頭部を破壊しただけですよ。撃破したとは、とても」
バタシャム「だがバーナード。お前の攻撃だけは大佐に有効だったんだ。ガンダムだって倒せるかもな」
バーニィ「まさか。そんな?」
シャア「期待しているよ、バーニィ」
バーニィ「……! はいっ!!」
ヘルシング「シャア、ここにいたか」
シャア「ヘルシング卿。転属願いは?」
ヘルシング「ああ、そのことだ。無事に受理されそうだよ」
シャア「よかった。バタシャム隊も優秀ですし、これならどうにかなるかも……」
ヘルシング「貴様でも不安が?」
シャア「私とて、二十歳の若者です。そこまで大胆にはなれない」
ヘルシング「……貴様は十分、大胆不敵だよ」
シャア「フフ、お褒めの言葉として受け取ろう」
──宇宙世紀0079年12月18日
──グラーフ・ツェッペリン、ブリーフィングルーム
シャア「待たせた」
ヘルシング「遅い。では、転属してきた兵を諸君に紹介しよう、入りたまえ」
イリーナ「イリーナ・レスコ大尉以下6名、入ります!」
ヘルシング「イリーナ・レスコ大尉、アポリー・ベイ中尉、ロベルト・ヴェガ中尉、イアン・グレーデン少尉、ラカン・ダカラン曹長、ジェラルド・シンクレア軍曹、ジョルジョ・ミゲル伍長だ」
シャア「私の配下のエース部隊として、木馬討伐に挑むことになる。バタシャム隊とも協同で事にあたることになろう。宜しく頼む」
バタシャム「ハッ!」
イリーナ「よろしくお願いします、シャア大佐」
イアン「大佐、お久しぶりです。お呼び頂いて光栄に思います」
シャア「ああ、諸君よろしく」
ブーッ! ブーッ! ブーッ!
マリガン「ん? 入港警報?」
ヘルシング「コンスコン少将のお帰りかな」
シャア「もうそんな時間か。よし、解散する。各員休息を取ってくれ」
ヘルシング「シャア、我々は出迎えに」
シャア「ええ、卿。マリガン、艦のことは任せる」
マリガン「急にですかあっ!? ……まったく!了解です!」
バタシャム「自分がサポートしましょう。中尉、こちらへ」
マリガン「助かります」
──宇宙要塞ソロモン、スペースポート
ドズル「おう、コンスコンの小父貴、ご苦労だったな!」
コンスコン「ドズル閣下、その呼び方は兵の前ではよせと……」
ドズル「ガハハハッ、そうだったな。それで、遅かったじゃないか?」
コンスコン「本国とア・バオア・クーから追加物資が送られたってんで、それで遅く」
ドズル「ほう? そちらは後で受領確認をする」
シャア「コンスコン少将。遅いお帰りで」
コンスコン「おう、シャア。貴様の隊への荷物を受け取っていたんだ、ありがたく思え」
シャア「ははは、それはどうもご迷惑を!」
ヘルシング「お久しぶりです、コンスコン少将」
コンスコン「おお、フリードリヒ・ヘルシング大佐か! 久しいな。息災か?」
ヘルシング「御覧の通り。今はシャア大佐と二人で仲良くしていますよ」
コンスコン「は? シャアと? どういうことだ?」
ドズル「兄貴からの命でな、シャアを木馬討伐に当てるらしい。それにあたって、旗艦の艦長にヘルシング卿を」
コンスコン「はあ、なるほど。確かに木馬討伐が目的なら、こやつほど適した人材もおりますまい」
ドズル「うん。それで、シャアの隊に補給物資が多く届いたというわけだ」
コンスコン「なるほど。後でちゃんと送りつけてやる、感謝しろよ」
シャア「ありがたく頂戴します」
──グラーフ・ツェッペリン、格納庫
バタシャム「こ、これは──」
バーニィ「なんです、これ? 新型のようですけど」
バタシャム「俺も詳しくは知らん。だがシャア大佐の機体になるんだろうさ」
ロベルト「へえっ、新型の先行タイプか。シャア大佐の機体かね?」
バタシャム「ロベルト中尉。シャア大佐用だと思います、まだ赤くはないですけど」
ロベルト「はははっ! はじめて赤いザクを見た時は驚いたぜ、なあ?」
アポリー「全くだ。あんな目立つのに乗るバカ、どこにいるんだって思ったら──」
アポリー&ロベルト「俺らがそこに配属されるとはな!」
イリーナ「笑えないわよ、それ……」
アポリー「あれ? そうです?」
イリーナ「どこに上官をイジる奴がいるのよ」
ロベルト「へへ、そりゃあそうだ」
イリーナ「追加物資については後で大佐が確認に来るわ。あまり無駄話してると、聞かれるわよ」
アポリー「おっといけねえ。バタシャム少尉、俺らのねぐら、どこ?」
バタシャム「……なんだか気が抜けるなあ。どうぞ、こっちです」
ロベルト「どうも。ではイリーナ大尉、俺らはこれで失礼します!」
イリーナ「……ソロモンいちのおちゃらけコンビって聞いてたけど……あれはソロモンいちじゃなくて、宇宙いちでしょ……」
バーニィ「……ははは……」
ついに木馬討伐隊の一同が揃い、新型も補充された。
一方のホワイトベースでも、眠り続けるアレックスに再び焔が灯り──。
ソロモン開戦へと時が迫る。
機動戦士ガンダム、次回、『G・アーマー』
君は、生き延びることができるか?
今日ハ、ココマデ!ココマデ!
<ハロ、うるっさい!
ワァ~!
次回、ようやく主人公が戻ってきます。
しばらくシャアが主人公だったから……。
シャアが乗ってたのは専用のC型ザクです。倉庫にずっと眠っていたのをメカマンが見つけてきたらしい。
結構赤い人もバケモノになってきた。アムロ頑張れ。
バーニィの才能が目覚めようとしていますな。
あとロベルトとアポリーはこっちが本名ということにします。
イリーナちゃんはCDAのキャラですが、正直あまり覚えてないので、名前借りただけのキャラになる予定。
ではまた次回!
赤い彗星、ララァ、白狼、アポリーにロベルトだけじゃなくラカンもいるのかよww
ジオン側も随分と骨っぽいMS乗り揃えたな
ソロモン戦だし更にガトーやケリィとかもいるだろうし、
如何にアムロ&アレックスでもしんどいなこりゃ
マニングスのおっさんも連れてこよう
乙
シンクレアとかマニアックなところを出してきたなあ
>>490
ララァのブラウ・ブロは中破してるから……ま、多少はね?
ラカン・ダカラン兄貴もこの頃はヒヨッコ新兵ですしw
>>492
大塚明夫ばっかりだな(?)
>>493
ジェラルドもジョルジョ・ミゲルも、イリーナと同じで名前を借りただけに近いです。CDAは読んでたけど、単行本も持ってないし。
ザクは青い瞳に出てきたモノをイメージしてもらって間違いないです。
間もなく投下します
──宇宙世紀0079年12月18日
──ホワイトベース級強襲揚陸艦“ホワイトベース”、ブリッジ
ブライト「ありがとうございました、ワッケイン准将」
ワッケイン『なに、戦いの趨勢は貴様らにかかってるって言っても過言じゃないからな』
ブライト「買い被りすぎでは?」
ワッケイン『レビル将軍も、ティアンム提督もそう思っているさ。だからアムロくんにG・アーマーを任せた』
ブライト「G・アーマー……」
ワッケイン『あれを使いこなせれば、連邦の勝利は手堅いものになるだろうよ』
ブライト「そう、うまくいきますかね……」
『G・アーマー』
──二日前、宇宙世紀0079年12月16日
──バーミンガム級宇宙戦艦“ルザル”、ブリッジ
ブライト「ブライト・ノア大尉、入ります!」
ワッケイン「久しいな、ブライト」
ブライト「ワッケイン准将、お変わりなく」
ワッケイン「君たちが宇宙に上がってからというもの、ルナⅡへの小規模パトロールも鳴りを潜めちまってな。退屈していたところさ」
ブライト「どういうことです?」
ワッケイン「ジオンのお偉方は、お前たちを脅威と認識している。だからソロモンやア・バオア・クーの防護に戦力を大幅に割かざるを得ないんだ」
ブライト「なるほど。──それで、今後の話とは?」
ワッケイン「うん。ソロモン攻略作戦“チェンバロ作戦”の決行が決定された」
ブライト「…………!!」
ワッケイン「日時は、12月20日06時00分。我々ルナⅡ第三宇宙艦隊と、ティアンム提督の第二宇宙艦隊で攻める。制圧後、レビル将軍の第一宇宙艦隊が合流し、連合艦隊を結成する予定だ」
ブライト「我々は、第三艦隊と行動を?」
ワッケイン「そうなるな。作戦開始と同時に戦略兵器でソロモンそのものに攻撃を行う。それから、だ。詳しくはまた連絡するが、これは作戦開始まで最重要機密扱いになる。気安く話すなよ」
ブライト「はっ」
ワッケイン「……で、どう思う。ブライト大尉?」
ブライト「はっ?」
ワッケイン「バーミンガム級はいい艦だ。どうだい」
ブライト「え……少々、大きすぎるように思います」
ワッケイン「! はっはっは……本当に貴様は本音で喋る。出世できんぜ」
ブライト「い、今の階級で満足ですよ」
ワッケイン「嘘を吐くのも下手だ」
ブライト「……むう」
ワッケイン「からかっただけだよ、すまん。もう戻ってくれて構わない」
ブライト「はっ!」
──ホワイトベース、格納庫
オムル「なんです、これ!?」
モスク・ハン「マグネット・コーティングを施すための機材です」
オムル「……マグネット・コーティング?」
ムルンバ「聞いたことがある。関節部に何らかのコーティング処理を施すことで、飛躍的に操縦性が向上し関節部の負担も下がると」
モスク・ハン「おお、これはこれは。ディック・ムルンバ技師」
ムルンバ「モスク・ハン博士……お久し振りです」
オムル「お知り合いで?」
ムルンバ「ジャブローにいた頃、ちょっとな」
モスク・ハン「RX-78-02ガンダムと、RGM-79ジムにコーティング処理を施すよう命令されているんですが、よろしいか?」
オムル「よろしいも何も、ないんでしょ? こっちの整備も楽になるってんなら、是非お願いしますよ」
モスク・ハン「よろしい」
ムルンバ「オムル兵長、俺はアレックスの方に付きっきりになる。そっちは頼むぜ」
オムル「了解です、ムルンバ技師!」
セキ「それは第二格納庫へ。こっちの荷はモビルスーツデッキでいいそうです」
ハワド「そっちの荷は何が?」
セキ「新型のガンキャノン……RX-77-03 ガンキャノン改です」
ハワド「っはー、何機納入されるんですか?」
セキ「一応、予備機も含めて4機の予定です」
ハワド「へえ。じゃあうちのパイロットに完全に行き渡ります」
セキ「そのつもりで、本部も用意してるはずですからね」
ハワド「それと……あの荷には、何が?」
セキ「G・アーマーです」
ハワド「G……アーマー……?」
──現在
──宇宙要塞ソロモン、ドズル夫妻の居室
ドズル「ゼナよ」
ゼナ「何ですか?」
ドズル「明日の朝、ムサイを一隻用意する。ミネバを連れてア・バオア・クーまで下がってほしい」
ゼナ「……どういうことです」
ドズル「総力戦になる。要塞内にいても安全とは言い切れない」
ゼナ「それは、ソロモンが落ちるって──」
ドズル「違う。ソロモンは落ちん。だが、お前とミネバにもしものことがあっちゃならないんだ」
ゼナ「あなた……」
ドズル「ミネバとお前に、強く生きていてもらいたい」
ゼナ「……わかりました。あなたがそう望むならば」
ドズル「ありがとう」
ドズル「……できるなら、アクシズに逃れてもらいたいんだ。あそこなら戦火も及ばんし、マハラジャが取り仕切っているからマレーネも気が楽になるだろう」
ゼナ「でも、あなたとお話しもできませんわ」
ドズル「……ああ。今生の別れになるやもしれん」
ゼナ「嗚呼……こんなことになるなんて」
ドズル「親父と兄貴はまだしも、キシリアは加減ってものを知らぬ」
ゼナ「キシリア様が?」
ドズル「ああ。己の面子を気にして、こっちに増援も寄越さないときた。……このままだと近い将来、ジオンは滅ぶだろう」
ゼナ「……あなたは、辛くないのですか?」
ドズル「辛いさ。愛しいお前を、こんな世界に引きずり込んでしまった」
ゼナ「……ふふ、あなたはお優しいのですね」
ドズル「よせよ。……おやすみ、ゼナ」
ゼナ「……ええ、おやすみなさい」
──同刻
──ホワイトベース、モビルスーツデッキ
アムロ「……すごいや。アレックスのパワーを大きく上回っている」
セイラ「どうなの、アムロ? G・アーマーは?」
アムロ「セイラさん。これがあったら、シャアも敵じゃないですよ!」
セイラ「……そう」
アムロ「どうしたんです、セイラさん?」
セイラ「なんでもないわ。それより、この後──暇かしら」
アムロ「え? 暇ですけど……──ああ。いいですよ」
セイラ「ごめんなさい。最近、妙にざわついて──不安定なの。マサキ軍曹から安定剤は処方してもらってるのだけれど……」
アムロ「僕だって戦いが続くと不安になります」
セイラ「あなたに依存しているのかもしれないわね、気を付けないとって思うのだけど」
アムロ「そういうこと、ありますよ。セイラさんだって人間なんですから」
セイラ「あら。そういう大人びた言い方は好きじゃないわ」
アムロ「女を抱いたら大人だって、スレッガー中尉が言ってましたから」
セイラ「それもそうだけど」
アムロ「僕にはそんなこと、よくわからないですけどね」
セイラ「ふうん……ニュータイプって、そういうものなのかしら」
アムロ「さあ? ……終わりました。行きましょう」
セイラ「あら、早いのね」
アムロ「女性を待たせるもんじゃないって」
セイラ「あら、それも中尉から?」
アムロ「これは、クリスさんから」
セイラ「へえ? 妬けちゃうわね」
アムロ「セイラさんが? ふふっ」
セイラ「何、おかしくって? 私だって女だわ」
アムロ「いえ、おかしいとか、そういうわけじゃあないです」
セイラ「もう、アムロったら……いじわるね」
──宇宙世紀0079年12月19日
──宇宙要塞ソロモン、中央指揮所
ドズル「ええい、ティアンム艦隊の動向はつかめんのか?」
士官「は、ミノフスキー粒子濃度の高いポイントを重点的に探っているのですが、ダミーが多く……」
ドズル「それが戦争ってもんだろうが! もういい、下がれ」
士官「はっ……」
ドズル「うむむ……。ラコック、ビグ・ザムの用意を急がせい。あれならば艦隊を中央突破し、一方的に蹂躙し得る」
ラコック「はい。現状で組み立ては80%完了していると聞いています」
ドズル「それは重畳。あれは最終兵器ともなる。一点のミスも許されん、と重々伝えておけ」
ラコック「は、そのように」
マイヤー「失礼します。閣下……バロメルの用意が」
ドズル「ん? おう。今行く。ラコック、暫く頼む」
ラコック「はっ」
──宇宙要塞ソロモン、スペースポート
ドズル「すまん、待たせた」
ゼナ「ああ、あなた」
ミネバ「ぁ……、パパ……パパ……?」
ドズル「っ!!」
ゼナ「あ、あなた……いま、ミネバが!」
ドズル「ああ、こいつめ、泣かせやがる。パパだぞ~」
ミネバ「きゃ~♪」
マイヤー「閣下、そろそろ……」
ドズル「……そうだったな。すまんが、シン。ゼナを頼むぞ」
シン「……閣下。自分だけでも残るわけには──」
ドズル「くどい。マイヤー中尉とオルガ少尉を信用していないわけじゃあないが、ミネバとゼナの警護は万全を尽くしたいのだ」
シン「……はっ、了解しました」
マレーネ「さぁ、奥様」
ゼナ「ありがとう、マレーネ」
ドズル「マレーネ、頼むぞ」
マレーネ「はい、ドズル様」
シン「シン・マツナガ、マイヤー・ビッテンバーグ、オルガ・ドラグノフ。以上、ドズル・ザビ親衛隊、これよりミネバ・ザビ殿下の護衛任務に就きます」
ドズル「うむ。任せたぞ、シン・マツナガ少佐!」
シン「は! では、ソロモン防衛隊の武運を祈ります」
ドズル「ああ。……達者でな、シン」
シン「あなたこそ。……死ぬなよ」
ドズル「おう」
アムロとセイラはお互いを慰め合い、
子を想う気持ちはドズルの決意を固める。
さまざまな感情が絡まり合い、とうとう戦いの火蓋が切って落とされる。
機動戦士ガンダム、次回『ソロモン攻略戦』
君は、生き延びることができるか?
今日はここまで。
次回の書きためもできてるので、近日中に投下します。
セイラとアムロの肉体関係、それとなく前から仄めかすような描写はしてたつもりですが、お気づきでしょうか……?
今更ですが、フォンヘルシングのフォンは貴族の称号とのことで
セリフ表記は ヘルシング「」に固定、三人称も 大佐 や 卿 をつける場合はヘルシングと記載しています。
どうでもいいこだわり。
乙です
Gアーマーって本来は単なるガンダム輸送用戦闘機だけど、
ここ(ソロモン戦)でわざわざ戦力になると言ってるんだからその程度のシロモノじゃないよな…
デンドロ? まさか…
乙
Gファイターて防御機構がないくせに胴長過ぎて的にしか見えない
MAだから足は早いんだろうけど
乙
Gアーマー事態がガンダムを中核にした戦術システムの研究、または
ガンダム用多目的拡張武装群、ガンダム数体分か1体分か判らんけど
敵が神経質になってるガンダムを攪乱目的~強襲などで運用出来る様になるのは大きい
原作でも言ってたが、こんなMA1機(ビグ・ザム)送る位なら、ドムの10機も送ってくれれば良いものを!
戦いは数だよ!!兄貴! ソロモンでも参戦してるMSてのは意外に少ないのかもしれない
それ以前に木馬が宇宙にきてから、コンスコン艦隊、ドレン艦隊合せて戦艦5隻、リックドム20機弱
ザク10機↑犠牲になっているけど
レス返し。本日の投下はナシ。
>>510
もう少しで詳細を明らかにしたい所存
>>511
MAやなくて、重戦闘爆撃機ですやで
なお、この世界にGファイターは存在しない模様
>>512
原作の援軍は流石に少なすぎますよね。
本作では、青葉区からコンスコンがドロワと艦載機いくらかを持ち帰っています。
また、コンスコン隊やラグナレク隊の損害もないので、結果的にソロモンは三割増くらいで充実していますね、多分。
(未来の)エースたくさんいるし。
午前2時頃に設定投下予定。
G・アーマーの詳細はまだ明かせません……(決して詳細が決まっていないわけじゃな……い……)
うまく書き上がれば続きも投下します。
あと、今更ですが >>501 のセキ大尉のセリフ、おかしいですね。
今納入してるモビルスーツを4機納入される予定です、って……(´・ω・`)
【登場兵器紹介⑦】
RX-78-02 ガンダム2号機
→http://i.imgur.com/aZxREin.jpg
パイロット:スレッガー・ロウ
ガンダム2号機を全面改修した機体。マグネット・コーテイング加工が施され、操縦性が改善されている。
スペック面では新型のジムと大差なく、性能でのアドバンテージは失われつつある。
全面改修にあたり、トリコロール塗装を廃止、スレッガー中尉の希望により旧世紀の戦闘機風の塗装が施された。
RX-77-03 ガンキャノン改
→http://i.imgur.com/zdY1fwg.png
パイロット:カイ・シデン、ハヤト・コバヤシ、ジョブ・ジョン
地球連邦軍の旧式モビルスーツを近代化改修したもの。
火力と推力が向上し、また燃料の積載量増加により継戦能力も高まっている。
通常、左手にシールドを装備して運用される。
RGM-79 ジム(ホワイトベース隊仕様)
→http://i.imgur.com/jMyugZZ.png
パイロット:クリスチーナ・マッケンジー、タカアキ・ヤジマ、セイラ・マス
連邦軍の最新鋭モビルスーツ。
ホワイトベース隊に新しく配備された4機は全て指揮官仕様の高性能型。
さらにマグネット・コーティング加工が施された為、操縦性も向上している。
RX-78 NT-1 ガンダム・アレックス(最終決戦仕様)
→http://i.imgur.com/xOZ2LzD.png
パイロット:アムロ・レイ
中破したアレックスを改修した姿。
マグネット・コーティングの施工、および余剰装備の削減が行われた。
また、追加装備『G・アーマー』を使用できるよう各所にハードポイントが用意された。
大きな変更点はないものの、より完成度が高められている。
RGM-79 ジム(連邦宇宙軍仕様)
→http://i.imgur.com/26ZVcfw.png
地球連邦宇宙軍がソロモン攻略戦に投入したモビルスーツ。
塗装は戦闘機風の塗装パターンとされた。
仕様はジャブローで生産された機体と同一。
【登場兵器紹介⑧】
YMS-14 ゲルググ(シャア専用機)
→http://i.imgur.com/4As07C8.png
パイロット:シャア・アズナブル
ジオン公国軍の最新鋭モビルスーツ。
赤い彗星シャア・アズナブルに真っ先に届けられた。
マ・クベ准将とコンスコン少将が提案した統合整備計画により、機体制御や火器管制といったインターフェースが統一された為、操縦性が非常に高い。
MAN-03X ブラウ・ブロ
→http://i.imgur.com/67bqqTW.png
パイロット:ララァ・スン、シムス・アル・バハロフ、コワル・カタル
ジオン公国軍のニュータイプ専用モビルアーマーの試作機。
3機に分離し、三位一体の攻撃を仕掛けることを想定して設計されたが、設計上の問題からその達成には至っていない。
特殊なレーザー砲を備えた砲台を4つ装備し、サイコミュでの遠隔操作によりオールレンジ・アタックを行う。
サイド6海域戦にて中破。
MS-06F ザク(後期生産型)
→http://i.imgur.com/zd4H7JO.png
ジオン公国軍の量産型モビルスーツ。
統合整備計画で再設計されたシステムを採用しており、最新鋭のゲルググタイプと同様の火器管制・操縦システムを搭載している。
性能向上も図られており、旧型のリック・ドムとほぼ同格の性能を引き出せるようになった。
午前2時とは何だったのか。
本日深夜に本編投下します。
乙
ガンダムがWD隊カラーみたいになっててかっこいい
しかしなぜ盾は塗らなかったのか
あとザクがF型とは名ばかりのFZだこれ!
シールドはジム系と一緒に使い回すオプションみたいな物だから
塗り替えていない方がUC系ガンダム的にはリアルな気がする
ゲルググ武装盛りすぎだろw
>>520
ザクの後期生産型なら型式変える必要ねーな、くらいの軽い気持ち
>>521
ご明察の通り、ジムと同じ装備なので。
カラーピックしてもらえばわかりますが、ジムの本体カラーと同じ色使ってます。どうでもいい拘り。
>>522
むしろ今まで全ての機体の武装を使えて然るべきだと思うんだ……。
いやごめん、ゲルググの武装は量産型(未登場)の使い回しだから、シャアゲルが使うのは限られてるんだよ……
まさかここまでツッコミが来るとはw
というわけで投下
──宇宙世紀0079年12月20日、早朝
ワッケイン『第三艦隊に告ぐ』
ワッケイン『これより我が艦隊は、ジオン公国軍・宇宙要塞ソロモン攻略作戦を開始する』
ワッケイン『作戦は正攻法。突撃艇パブリク部隊によりビーム攪乱幕を形成、要塞からのビーム砲撃を無効化し、揚陸作戦を行う』
ワッケイン『なお、開戦後まもなく、ティアンム提督率いる第二艦隊が対要塞戦略兵器を使用する。突出しないよう留意せよ』
ワッケイン『間もなく、第三戦闘距離に突入する』
ワッケイン『サイド4の残骸を抜ければ、我が艦隊とソロモンの間に一切の大型遮蔽物は存在しない』
ワッケイン『各員の健闘を祈る』
ワッケイン『全艦、正面より進攻する! 攻撃開始マイナス8秒』
ワッケイン『……3、2、1……パブリク隊、発進せよ! これより作戦行動を開始、全艦ミノフスキー粒子戦闘濃度散布せよ!』
『ソロモン攻略戦』
──宇宙要塞ソロモン、中央指揮所
ドズル「……ついに来たか」
ラコック「敵の戦力は、戦艦が8隻、巡洋艦が24隻、砲艦が53隻、他に空母と思しき艦影が29隻確認されています……!」
ドズル「は……とんだ大軍だな。それだけこのソロモンを危険と見做している……光栄と思うべきかな」
コンスコン「そんな冗談も言っていられる状況じゃあ、なさそうですな」
ドズル「……こちらの戦力は?」
コンスコン「グワジンが1隻、チベが8隻、ティベが1隻、ムサイが46隻、ザンジバルが3隻。引っ張ってきたドロワの用意が整えば、移動要塞として戦力に計上できますな」
ラコック「現状出撃が可能なモビルスーツは100機足らず、モビルアーマーは15機がなんとか……」
ドズル「ビグ・ザムはどうか」
ラコック「間もなく、最終点検が終わると言っています」
ドズル「準備が整えば、俺がビグ・ザムで出撃する」
ラコック「えっ……!? 閣下、今なんと」
ドズル「二度も言わせるな。俺とてモビルスーツパイロットの端くれと自負している」
ラコック「それはそうですが……」
ドズル「前線で指揮を執れば、兵の士気も上がろうというもの」
ラコック「……了解しました」
ドズル「その代わり、中央指揮所はコンスコン少将。貴様に任せる」
コンスコン「了解しました、閣下」
ドズル「頼むぞ、小父貴」
コンスコン「はっ」
──ムサイ級軽巡洋艦“バロメル”
ゼナ「ああ……シン。なぜこのようなことになってしまったのでしょう」
シン「……私には、わかりませんよ」
ゼナ「ミネバ……この子の為にも、私達は生きねばなりません」
オルガ「…………」
ゼナ「みんな、頼みます……」
シン「……お任せください、ゼナ様」
──ホワイトベース級強襲揚陸艦“ホワイトベース”
フラウ「時計合わせ! 3……2……1……作戦開始です!」
ブライト「よおしっ!! パブリク隊の作戦行動が終わったら、モビルスーツ隊を展開、進撃する!」
スレッガー「へっへっへ、こりゃあえらい戦いになりそうだ」
クリス「でも楽しそうにしてるわ」
スレッガー「武者震いってやつよ」
カイ「怯えてるだけだったりして」
スレッガー「ああん?」
カイ「うっ!? な、なあ~んちゃって……ニシシ……」
ハヤト「……余計なこと言うから」
──RX-78 NT-1 アレックス、コクピット内
セイラ「……アムロ、無茶しないでね」
アムロ「わかってますって。僕だって死にたくはないし……セイラさんを喪いたくもない」
セイラ「急に言うようになったわね、もう」
アムロ「セイラさんがそうさせたんですよ」
ブライト『アムロ、いるか?』
アムロ「ブライトさん? 何ですか?」
ブライト『“それ”にとっては初の実戦だ。何らかのエラーが発生するかもしれん……そうなったら、勿体ないが破棄することも厭うな』
アムロ「G・アーマーですか? 了解です」
ブライト『……それと、間もなく出撃だ。英雄色を好むっていうが、程々にしておけよ』
アムロ「おっと……」
セイラ「……ふふっ、怒られちゃったわね」
アムロ「怒られちゃいましたね」
セイラ「私もジムに戻るわ」
アムロ「はい。じゃあ、また後で」
セイラ「ええ、またね」
──宇宙要塞ソロモン、中央指揮所
士官「大型ミサイル、ソロモン地上300mほどで炸裂! 敵の攻撃は失敗しました」
コンスコン「たわけ! あれは強力なビーム攪乱幕だ!」
コンスコン「リック・ドム、ザクの部隊は敵の侵攻に備え出撃用意!」
ラコック「出撃させないので?」
コンスコン「敵が何をしてくるかわからん。もし敵が戦術兵器を使うなら、あっちも戦闘機やモビルスーツは出さんだろう」
ラコック「なるほど……。核を使う可能性がある、と」
コンスコン「それはわからんが、あり得る。敵のモビルスーツの接近を確認したら出撃させい。それまでは砲座で凌ぐんだ!」
ラコック「はっ」
コンスコン「ビームは通らん! ミサイル攻撃に切り替えるのだ!」
士官「は!」
コンスコン「ミルヴァ艦隊は左翼に展開! ワッケイン艦隊を牽制せい!」
ラコック「聞こえているな、ミルヴァ大佐! ワッケインをつつけ!」
コンスコン「ハーバート隊、後方を動くな。ティアンムの主力艦隊は別の方角から来る、警戒しろ!」
ヘルシング『特戦隊はいかがしましょうか』
コンスコン「別命あるまで待機だ。木馬はおそらくワッケイン艦隊に交じっている、近寄るまでは出るな!」
ヘルシング『了解しました、閣下』
──MA-08 ビグ・ザム、コクピット内
ドズル「くくく、コンスコンに任せて正解だな」
兵士「出力安定、出撃用意整いました」
ドズル「うむ、コンスコンからの指示を待とう」
兵士「は!」
ドズル「コンスコン、ビグ・ザムも出撃準備整った! いつでも使ってくれ!」
コンスコン『了解であります!』
──第二艦隊旗艦、バーミンガム級戦艦“タイタン”
ティアンム「ワッケインの艦隊が動いたか。ミラーの展開まであと?」
副官「は、あと4分ほどであります」
ティアンム「ん。そろそろ、ソロモンもこちらに気付くぞ……」
副官「それまでには終えられるかと」
ティアンム「それでいい」
──第三艦隊旗艦、バーミンガム級戦艦“ルザル”
ワッケイン「第二艦隊、まだか……!?」
士官「間もなく整うようです。ミラー展開率85%を超えています」
ワッケイン「ええい。さすがにこの艦隊だけではもたんぞ……!」
士官「ソロモンからの対空砲火、きます!!」
ワッケイン「ええい、あんなもんそうそう当たらん! ミサイルだけだ、撃墜しろ!!」
士官「サラミス級ベオグラード、信号途絶!」
ワッケイン「何だと? 間抜けめ、何をやっているか……!」
士官「敵の小艦隊が迫っています!」
ワッケイン「ルザルとマゼラン級の集中砲火で仕留めろ!!」
士官「ムサイ級、撃沈!」
ワッケイン「ようし!」
──宇宙要塞ソロモン、中央指揮所
士官「ミルヴァ艦隊、損害率60%!」
コンスコン「ええい、戦艦相手では手も足も出んか……!」
ラコック「少将、各所からもう待てないと……!」
コンスコン「待て! まだだ……機が熟するまで……」
士官「ん? ……なんだ、あれ……?」
ラコック「なんだ!?」
士官「中佐、あれを」
ラコック「ん……板、デブリか?」
士官「一つのデブリにしては大きすぎます。60キロメートル四方はあります」
コンスコン「連邦の新型兵器か……!?」
ラコック「まさか──」
コンスコン「気を抜くな……戦場に絶対はない! ハーバート隊、威力偵察を行え! 敵が潜んでるかもしれん、気をつけろ!」
ハーバート『は!!』
──第二艦隊、“タイタン”
副官「ミラー配置完了」
管制官「姿勢制御バーニア、連動システムOK」
ティアンム「ソーラ・システム。目標、宇宙要塞ソロモン右翼スペースゲート!」
管制官「軸合わせ10秒前……」
副官「あっ……迎撃機接近! 各艦注意!」
ティアンム「ええい、構うな! 焦点合わせ急げっ」
管制官「……3……2……、照準入ります」
カッ!!!!!
ティアンム「これぞインドラの矢だ……! 食らえ、ジオンめ……!」
──宇宙要塞ソロモン、中央指揮所
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!!
コンスコン「ううおッ!? 何だ!!!?」
ラコック「う、うううっ!!!」
士官「て、敵の攻撃です!!」
コンスコン「んなこたあ、わかっておる! 被害状況知らせ!!」
士官「6番から9番ゲート、完全に消滅! 周囲の対空砲座やゲートも使用不能です!」
コンスコン「戦力はどうか!」
士官「ムサイが2隻座礁! ザンジバルが信号途絶しています。それから、ハーバート隊の識別信号……全ロスト……!」
コンスコン「くっ……ハーバートには悪いことをした。だが、読みが当たったな……!」
ラコック「ええ、損害は軽微です!」
コンスコン「敵の攻撃はなんだ、核か?」
士官「各種センサーに反応なし、エネルギー反応もありません!」
コンスコン「どういうことだ……?」
ラコック「……あれは……巨大な鏡……?」
コンスコン「!! ……なるほど理解した。ありゃあ虫眼鏡だ……!」
ラコック「では、今の攻撃は太陽光線を集束させた、と……!?」
コンスコン「ちいっ、やってくれたなティアンム! だが、公国の名将と呼ばれたこの俺が、ここでへばると思うな!」
ドズル『戦力は無事か!?』
ラコック「スペースゲートが損壊した程度で、戦力に大きな被害は出ていません!」
コンスコン「閣下、ビグ・ザムの出撃を! ティアンム艦隊は今、身動きが取れないはずです!」
ドズル『了解した!!』
コンスコン「全軍に告ぐ! これより、敵主力艦隊との要塞防衛戦に突入する!! 敵の攻城兵器がソロモンに直撃したが、大した被害は出ていない!」
コンスコン「ここ、ソロモンを抜かれればもう後はない! 諸君らの親兄弟、妻子を守る為にも……全身全霊を捧げよ!!」
ラコック「防衛作戦開始!!」
士官「あっ!! 木馬です!!」
ラコック「どこか!」
士官「左翼! ワッケイン艦隊の最右翼にいます!」
コンスコン「よし!! フォン・ヘルシング、木馬をワッケイン艦隊に確認した! 最右翼だ、行動開始せよ!」
ヘルシング『は! シャア艦隊、出るぞ!』
──ホワイトベース、ブリッジ
ブライト「あれが、要塞兵器っていうやつか……!」
フラウ「す、すごい……!」
オスカー「敵艦隊、来ます!」
マーカー「ソロモンから多数の艦影! 戦力を温存していた模様です!」
ブライト「ドズル中将か……相手は厄介だぞ。モビルスーツ隊、全機出撃せよ!」
オスカー「モビルスーツ発進用意! いつでもどうぞ、中尉!」
スレッガー『あいよ!』
ブライト「進路そのまま! 全速前進!」
ミライ「了解、全速前進!」
ブライト「全員で生きて帰るぞ!」
──ホワイトベース、カタパルト
スレッガー「ようし。みんな出遅れるなよ。俺に続け!!」
クリス「クリスチーナ・マッケンジー、ジム行きます!」
タカアキ「俺も続く! 行くぞ!」
カイ「ガンキャノン、出るぜい!」
ハヤト「ハヤト、出ます!」
ジョブ・ジョン「ガンキャノン、出る!」
セイラ「セイラ・マス。ジム、行きます!」
フラウ『アムロ、あなたの番よ。発進どうぞ!』
アムロ「了解」
グイッ
アムロ「……アーマード・アレックス。アムロ、行きまあす!!!」
ゴオオオオォォッ!!!
宇宙世紀0079年12月20日世界標準時6時11分。
宇宙要塞ソロモン攻防戦、開始。
名将コンスコンの守るソロモンは一筋縄ではいかない。
猛将ドズルの駆るモビルアーマー=ビグ・ザムが動き出し、戦場は悪夢へと変わる。
機動戦士ガンダム、次回、『恐怖! 機動ビグ・ザム』
君は、生き延びることができるか?
今回はここまで。
名将コンスコンの手にかかれば、ソーラーシステムもコワクナイ。
ガチの総力戦が始まる。
前のスレでもそうでしたけど、>>1はアレックスに何か着せるのが大好きです(照れ)
乙です。続き楽しみ
コンスコンさん籠城時の用兵上手いね
体調不良が続いてるのでしばらくお休み。
というか、全く続きが思い浮かばないのです……来週までにはドーンとお届けしたい。
>>546
これが実際の用兵術で正しいのか、さっぱり見当もつかないんですけどねw
一度でいいから、コンスコンを有能っぽく描きたかった。
お久しぶりです。
体調はすっかり良くなったので、もうじき再開します。
今度はJリーグ開幕と新年度で忙しくなってきましたがw
アーマードアレックスの構想が固まっていないのが中断の一因でしたが、もう少しで完成しそうです。
前スレで最後の方に出てきたアレックスの強化仕様とはまた違った感じにしたい。
シャアとの最終決戦まで、このスレ内でいけたらいいな。(遠い目)
>>548
いや、良い感じですよコンスコンさんの籠城術は
ガンダム世界での宇宙要塞戦は攻める方は小惑星なりコロニーに取り付いて敵を壊滅させるか潰走させて勝利だから、
ジオン側は自分らに地の利があるから相手の出方を見つつ優位な箇所から攻撃するのが常道
それにまだソロモンの後ろにア・バオア・クーとグラナダがズム・シティへの進入を阻む砦として健在だから、
戦力温存させつつ穴熊決め込んだ方が良い 退路もその二つの方面にあるし何より更なる援軍があれば連邦軍を挟撃可能
問題はキシリアがドズルに非協力的な事なのだけど…
>>553
レスありがとう。
なるほど、勉強になります。
原作より有能なギレン(40)と、より猛々しいドズル(37)。
どうもきな臭いキシリア(33)は悪役に徹してもらいます。
申し訳ないですが、投下はもうしばらくお待ちを。少しはペースあげたいけど、なかなか。
空からアクシズ落ちてこない限り待ってるから心配スンナ
>>555
それは暗にアクシズショックまでやれという(ry
そう言ってくれると嬉しいです、ありがとうございマス。テアボロ・マス。
お待たせしました。
明日?今日?
4月7日午後、投下します。
『恐怖! 機動ビグ・ザム』
ここから勢いを取り戻したい。
毎回3000~4000文字くらいで収めるようにしてるので、筆が進むと予定より話数が増える罠。
予定では原作通りビグ・ザム轟沈まで進むはずだったんや……(意味深)
遅くなったけど、これ投下するのよね
──宇宙要塞ソロモン沖、戦場
アムロ「ブライトさん、予定通りアレックスは単独での作戦行動に入ります!」
ブライト『ああ! お前にばかり負担をかけてすまないが、戦端を切り開く嚆矢はお前が放て!』
アムロ「了解! アレックス、吶喊します!」
ペダルを踏み込み、スロットルを上げる。アーマード・アレックスは追加装備“G・アーマー”の助けを得て、今やジオン公国軍の宇宙攻撃機ビグロを上回る直進性能を獲得していた。
アムロ「うっ、ぐぐ……! すごい加速性能だ! このリニア・シートを搭載していなければ体がもたなかった!」
多くのマゼラン級戦艦やサラミス級巡洋艦とすれ違い、最前線へと機体を走らせる。
艦(ふね)の森を抜けた先に開けた光景は、金平糖のような小惑星とその周囲に展開するジオンの大軍だった。
ティキリリリンッ!!
アムロ(!! ……感じるッ! このプレッシャーは、奴だッ! 赤い彗星のシャアだッ!!)
アムロ(でも……!! それよりも大きなプレッシャーを感じるッ? 鬼神のような……? なんだ、この凄み……どこからッ!?)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!!
『恐怖! 機動ビグ・ザム』
──宇宙要塞ソロモン
ドズル「ビグ・ザム、発進する!」
ガトー「閣下、第302哨戒中隊がお供します!」
ドズル「おう、頼むぞガトー大尉!」
ガトー「ハッ!」
カリウス「大尉。第302哨戒中隊、発進用意整っております」
ガトー「応。待機せよ」
カリウス「は!」
ガトー「ドズル閣下のビグ・ザムが出る、進路を開けえい!」
ドズル「シンには妻子を預けた。貴様にはこのドズルの露払いを任せる!」
ガトー「はっ、お任せを!」
ドズル「コンスコン司令、ティアンムはどこかわかったか!」
コンスコン『はっ、Fポイントと思われます!』
ドズル「Fか……なるほどな、貴様の読みは悉く当たっているようだ」
コンスコン『恐縮です。ティアンムの艦隊が身動きを取れないとはいえ、大艦隊に違いありません。無理はなさらぬよう』
ドズル「言うな、コンスコン。俺はジオンを守る為ならば粉骨砕身の覚悟でおるのだ!」
コンスコン『ジオンを思えばこそ、あなたのような将は──』
ドズル「小父貴、くどいぞ! ガルマは死に、マ・クベも死んだ。もはや先の短い戦いだ、兄者はまだしもキシリアは腹の中で何を考えているかわかったもんじゃあない。……悔いのないように祖国を守る……俺はそう誓ったのだ」
コンスコン『ふっ、相も変わらず強情な男よ……。わかった、後はすべてわしに任せ。……好きにやれ、ドズル』
ドズル「おう、任せた! ……ふん、オープン回線で臭い話をしてしまった。ドズル・ザビはビグ・ザム、戦場を蹂躙するぞ!」
ガトー(なんという義侠心……やはりドズル閣下は命を捧げるに値する武将だ……!)
カリウス「大尉、我々も」
ガトー「応よ。これよりドズル・ザビ閣下のビグ・ザム直掩任務に就く! 第302哨戒中隊はアナベル・ガトーに続けィ!」
──宇宙要塞ソロモン沖、“ポイントF”
ティアンム「ソーラー・システム、第二射はどうか?」
技術士官「は、破損しているミラーの交換に時間がかかりますので……」
ティアンム「わかってはいたが、やはり無理か。回収作業を行え!」
副官「はっ!」
管制官「閣下、コンペイトウから高速に接近する物体! データ照合不可、サイズからおそらく衛星ミサイルかと思われます」
ティアンム「来たか。各艦、ビーム砲で迎撃せよ」
管制官「は!」
副官「迎撃!」
モビルアーマー=ビグ・ザムは、円盤のような胴体に細長い2本の脚が生えた形状をしている。それは奇しくも両軍がよく用いる衛星ミサイルに似たシルエットを生み出していた。
ドズル「新造艦か!? ……あれぞティアンム提督の座乗艦に違いあるまい!」
ガトー「不倶戴天の憎しみ、いざ宇宙の塵としてくれる!」
ドズル「待てガトー! 敵砲撃来るぞ! モビルスーツ、ビグ・ザムの傘に入れ!」
数隻のマゼラン級、そしてバーミンガム級大型戦艦“タイタン”のビーム砲がビグ・ザムへと殺到する。
たかが衛星ミサイルといえど、艦に直撃すれば周囲を巻き込んでの大爆発は避けられない。ビーム砲で迅速に処分してしまうのが好ましかった。
ビーム砲が着弾する直前、居合わせた連邦の将校すべてが『余計なあがきを』と嘲笑したことだろう。
しかし直後、マクファティ・ティアンム提督は目を疑った。
ドズル「I・フィールド!! ぐわはははっ、長距離ビームがこのビグ・ザムに効くものかよ!!」
ビームが湾曲し、ビグ・ザムへの直撃を避けたのである。
ティアンム「!! い、いかん! ミサイルだ、ミサイルで迎撃だ!」
副官「こ、高熱源接近!! 閣下、ノーマルスーツを!」
ティアンム「ば、馬鹿な……!! このタイタンが……!」
副官「閣下、今からでも、宇宙服をぉ!!」
ティアンム「……もう、遅い……!」
MA-08 ビグ・ザムの胴体中央部にある大口径メガ粒子砲。
放たれた一筋の矢は、巨人を貫き、特大の火球を生む。
栄光ある地球連邦宇宙軍第二艦隊の象徴たる新鋭大型宇宙戦艦は、一瞬間の内に宇宙の藻屑と成り果てた。
モビルアーマー=ビグ・ザムはここに歴史を刻んだ。
ジオン公国軍宇宙要塞ソロモン提督にして宇宙攻撃軍中将ドズル・ザビ。
闘将は新兵器による特攻をかけ、地球連邦宇宙軍提督マクファティ・ティアンム中将の座乗艦タイタンを撃沈。
宇宙戦力の1/3を保有する連邦第二艦隊をものの30分で撃滅したのである。
後に、この鬼神の如き活躍は戦史教本に次のように記されることになる。
『ソロモンの戦鬼 ドズル・ザビ』、と──。
──30分前、第二艦隊がビグ・ザムの襲撃を受けた頃
──第三艦隊旗艦ルザル、艦橋
ワッケイン「……ンッ!? おい、なんだあの光は!! ティアンム提督の第二艦隊が展開する宙域ではないのか!?」
管制官「確かに火球が……火球が見えます……!」
通信士「ミノフスキー粒子濃度高く、状況不明!」
副官「第二艦隊が襲撃を受けたのか! 敵将め、対応が早い……!」
通信士「あっ……!! た、タイタンからの信号が完全に途絶! ミノフスキー粒子の影響ではなく……轟沈したものと思われます……!!」
ワッケイン「な、なんだと……!!?」
副官「提督が……!?」
ワッケイン「核か!? いや、たといジオンといえど条約破りはするまい……新型兵器……なのか……!」
副官「拡大映像出せるか!」
管制官「ミノフスキー粒子の影響大きく、なかなか……あっ、映像出ます!」
バーミンガム級大型戦艦“ルザル”の艦橋に備えられた大型の戦術ディスプレイ。そこに映し出されたのは、煌々と炎を上げるバーミンガム級大型戦艦“タイタン”を背にした悪鬼の姿だった。
ワッケイン「なんだ……なんだあれは!!」
副官「おい、結構近いぞ!?」
管制官「いえッ! ……正確な値はすぐには出せませんが、す……推定50メートル級の大型機動兵器と思われますッ……!」
副官「ご、50メートルゥ……!?」
ワッケイン「何ィ……!? え、ええい……どうする……!」
副官「そ、そうだ……ホワイトベース隊を当ててみては……?」
ワッケイン「ば、ばか言え。彼らには先駆けとしてソロモン上陸の橋頭堡を築いて貰わねば──」
副官「ですが、有効策はそれしか!」
ワッケイン「……うむ……」
副官「ワッケイン司令! ご決断を!」
ワッケイン「已むを得ん! ホワイトベースと通信は繋がるか!」
通信士「ミノフスキー粒子を戦闘濃度で散布している為、繋がりません!」
ワッケイン「ならばランチを用意させい。ムービーを保存したチップを運ばせる!」
副官「了解」
通信士「あっ! 第二艦隊から長距離レーザー通信にて電報! “タイタン・フォール”!」
ワッケイン「くっ……やはり、沈められたというのか……!!」
副官「伝令、用意整いました!」
ワッケイン「……後は、ホワイトベース隊に託すのみだ……!」
──二分後
──ホワイトベース、艦橋
フラウ「ブライトさん、スペース・ランチが収容許可を求めています」
ブライト「どこの艦の所属だ?」
フラウ「ルザルから、ワッケイン司令の特命とのことです!」
ブライト「なに? 急ぎ収容しろ!」
フラウ「はいっ! こちらホワイトベース、第二カタパルトより着艦してください!」
リード「失礼する!」
ブライト「んっ? おお、リード中尉! お久し振りです」
リード「ブライト大尉、久し振りだな。マーカー伍長、ワッケイン司令からの特命が収められたムービーだ、これを」
マーカー「ビデオ・チップですか。映像、モニターに出します」
ワッケイン『ブライト大尉。たった今、第二艦隊が壊滅状態に追い込まれている。ティアンム提督の乗艦タイタンが沈んだようだ』
ブライト「なんだって!?」
ワッケイン『事前の作戦(はなし)では、ホワイトベース隊は先行し、第三艦隊(われわれ)がソロモンに取りつく橋頭堡を築いてもらう予定だったが、状況が変わった』
ワッケイン『ホワイトベース隊に命じる。第二艦隊を救援せよ。ソロモン上陸の先駆けは他の隊に任せることにする』
ワッケイン『第二艦隊と交戦しているのは、大型の機動兵器だ。映像を解析した結果、おおよそ50メートル前後の戦闘艇クラスのサイズと思われる』
ワッケイン『新造戦艦であるタイタンがあっさり沈められるとは尋常ではない。だからこそエース部隊である貴様らを頼らざるを得ないのだ……すまない』
ワッケイン『……以上だ。リード中尉は、ブライト大尉の作戦計画を確認し帰投せよ』
ブライト「リード中尉、これは……」
リード「残念ながら事実だ。第二艦隊から“タイタン・フォール”の打電も入っている。……アムロくんのガンダムだけでも、向かわせてほしい。少なくとも敵の新兵器を足止めせねば、我々の勝利は……」
ブライト「くっ……、了解しました。アムロを向かわせます。あいつにはG・アーマーがある……きっとやってくれますよ」
リード「ああ、頼む。……いや、頼みます、ブライト大尉」
ブライト「スレッガー小隊にも伝達し、アムロだけで苦戦するようなら支援するようにさせます。ワッケイン司令にお伝えください」
リード「了解。では失礼!」
オスカー「なんか変わりましたね、あの人」
マーカー「怪我の治り早いんだなあ……」
ブライト「悠長なこと言ってる場合か! 周囲の艦に知らせろ、特務につき隊列を離れると!」
マーカー「り、了解です!」
オスカー「光信号で知らせます!」
ミライ「第二艦隊に舵を取るのね?」
ブライト「ああ、頼む。それとフラウ!」
フラウ「はい!」
ブライト「マクシミリアン軍曹に予備機のジムで伝令させる。用意させてくれ」
フラウ「マクシミリアン軍曹ですね。わかりましたっ」
ブライト「……さて……うまくいくといいけどな」
──現在(ホワイトベース隊に連絡が入ってから25分の後)
──ポイントF
ドズル「ぐわははは……ハァーッハッハッハッ!!!」
スペース・デブリが漂う空間に敢然と屹立し、モノアイを巡らせる。
ドズル「見たか!! このビグ・ザムが量産の暁は、連邦なぞあっという間に叩いてみせるわあっ!!! ぐわはははははは!!!」
兵士「ん……!? 高速に接近する敵影!」
ドズル「何いっ!? ワッケインの艦隊から飛んできたってのか!」
兵士「……これは……ガンダムです!!」
ドズル「くくく……、ぐわはははっ! ワッケインめ、堪えきれずにガンダムを当て馬にしたか!」
モニターに映し出された機影を睨み付け、ドズル・ザビは嘲笑した。
ワッケインは打つ手なく、ガンダムを捨て駒にしたと考えたのだ。
ドズル「たかが1機のモビルスーツでこの俺を足止めしようとは、舐められたものよ!」
ガトー「閣下、援護します!」
ドズル「いや、いい。貴様らは残敵の掃討に当たれ!」
ガトー「ハッ、了解しました!」
兵士「接敵します!!」
ドズル「見せてもらおうか! 噂の白いモビルスーツが、このビグ・ザムを相手にどれだけできるものか!!」
しかし、ドズル・ザビは知ることになる。
たった1機の白いモビルスーツ──、RX-78 NT-1 ガンダム・アレックスの真の性能というものを。
マクファティ・ティアンムは戦場に散り、ジオンの猛反撃が始まろうとしていた。
その狼煙を上げたソロモンの鬼神を前に、新人類(ニュータイプ)の少年が躍動する。
機動戦士ガンダム、次回、『ビーム・シャワーを抜け出して』
君は、生き延びることができるか?
ここまで。
次回タイトルが少しGレコ風に。Gレコロスに苦しんでいます。
原作よりビグザムが強いな……?
【登場兵器紹介⑨】
MA-08 ビグ・ザム
→http://i.imgur.com/UWKniwI.jpg
パイロット:ドズル・ザビ
ジオン公国軍の新造モビルアーマー。
ジャブロー攻撃用に設計されていたが、戦局の悪化に伴いソロモン防衛に配備された。
通常は核融合炉の制御に用いられるI・フィールド・ジェネレーターを対ビーム防御用に装備し、中・長距離のビーム砲撃を物ともしない。
また、非常に堅牢な装甲は少々の攻撃を寄せ付けず、まさに機動要塞と化す。
巨大な機体からは想像できない機動性を持ち、その体当たりを食らえばマゼランとて無事では済まないだろう。
YMS-14 ゲルググ(シャア専用機)
→http://i.imgur.com/ZAClWNw.png
パイロット:シャア・アズナブル
前掲の訂正版。武装盛り過ぎって言われたから……。
なお、装備可能武装というだけで使用するかは別の話である。
MS-09R-2 リック・ドムⅡ(ガトー専用機)
→http://i.imgur.com/f4x2vgx.png
パイロット:アナベル・ガトー
ソロモン第302哨戒中隊隊長アナベル・ガトー大尉専用にチューニングされたリック・ドムⅡ。
青いパーソナル・カラーに塗装され、新型のビーム・バズーカを装備する。
ゲルググタイプやザク最終型と同様の操縦系統を持つ為、現場の評価は高い。
MS-06K ザク・キャノン
→http://i.imgur.com/8EfjZ6l.png
ジオン公国軍の量産型モビルスーツ。
地上用の対空攻撃用モビルスーツだったが、ドズル中将が要塞防衛用にと調達させた。
ソロモン地表に馴染むよう、ダーク・グレー系のロービジ迷彩が施されている。
MA-05 ビグロ(正式採用型)
→http://i.imgur.com/EtEAzKZ.png
ジオン公国軍の量産型モビルアーマー。
宇宙攻撃機として運用される。
試作型と比べて、一回り小型化に成功、軽量化した為に推力比も向上している。
クローの基部にビーム砲が装備された。
乙!
久しぶり、待っていたぜ!
外野の意見は、参考程度でいいと思うぞ
>>571
乙、ビグザムは本当は強いんだ、本来ならダメになる
20分間を暴れ続けられたのに、股間への特攻、変態に襲われたのが運の尽
アムロが護衛とかでなんとかなると考えていたのか?…それこそが幻想だ
おまえらビグザム好きすぎんだろ(動揺)
>>573
ありがとう。外野の意見はたまに取り入れてる(BD1とか)けど、そこまでストーリーには影響させないから大丈夫。
>>574
そういえばビグザムは20分が限界か……
すでに30分戦っちゃったよ……
>>579
白い悪魔「その幻想をぶち壊す」
次回投下は未定なれど、気分が乗っている内に投下したい。
強化アレックスも早く出せたらいいんだけど、うーん?
リックドムがビグザムにしがみ付いて弾幕を張ればOKだな
リードってサラミス艦長のおっさんだっけか
有能っぽくなってるな
腕なんて飾りですよ
http://i.imgur.com/zNY4Jcg.jpg
お久しぶりです。
思ったよりリアル生活がままならなかった!
時系列無視の小話だけ投下して、お茶を濁します。
暫くして落ち着いたら、また投下再開しますね。
>>581
ドズル「ふははは、これで白い奴にもやられはせんぞう」チュド-ン
>>582
ブライトの方が上官になってしまったので、態度を改めているようです。
有能っぽく見えたなら失敗。
オスカマーカーは気づいてないけど、ブライトの目には汚い大人に映っているのです。
>>584
サキオカ「脚なんて……あっ」
ドズル「おう、なんか言ったか」
サキオカ「ヒエッ……」
酉忘れ。間違いなく1です(´・ω・`)
【リード中尉の憂鬱】
──いつぞやのホワイトベース
リード「ガンダムはどうしたあっ? 何故ガンダムを出さないっ!」
ブライト「ですから、アムロが──」
リード「じゃあ誰でもいいっ!! ガンダムを出せっ!!」
ええい、この無能な小僧め。いいから上官である私の指示を聞いていればいいのだ。
私は地球連邦宇宙軍、ルナツー第63パトロール隊指揮官のブラームス・リード中尉。
訳あって新造戦艦ホワイトベースの指揮官代理をしている。
ブライト「ええい、弾幕薄いぞ! 敵はやってくるんだ、狙わずに弾幕を張ればいいっ!」
この小僧は士官学校を出たばかりのヒヨッコ、ブライト・ノア少尉。
艦長であるパオロ・カシアス大佐が負傷してから、指揮を代理しているという。
リード「馬鹿モンッ、狙って撃たんか! 弾は無限ではないのだぞっ!!」
全く、これだから戦場に出たことのない小僧は!
ブライト「ですからっ、我々は新兵や少年兵だらけで、まともに狙って戦うだけの技量はないんですっ!」
リード「口応えするのかあっ! 少尉風情でっ!」
ブライト「この艦の現状の責任者は自分ですっ!」
リード「ならば貴様は上官を無碍にして、それでいいんだなっ!」
ブライト「くっ……」
ふふん、それでいいのだ。
エリートコース、出世街道を逸れたくなければ、そうして黙って、ついでにニコニコしていりゃあいい。
せっかく士官学校を出たのだ、ゆくゆくは将軍になって一軍を率いるのが望ましい。
ブライト少尉はそうは思わないのかもしれないが。
カイ「っお~、やだやだ……」
ブライト「カイっ、何やってんの! 君はキャノンで待機だろうっ」
カイ「それなんだがよ、アムロが出られない状況でどうすりゃあいいのサ」
リード「ガンキャノンの操縦士か! 早く出撃して、敵の陸戦部隊を──」
ブライト「余計な!! 口出しを!! しないでいただきたいっっ!!!」
リード「!」
ハロ「クチダシ! クチダシ!」
ブライト「ハロうるさいっ! フラウ達何やってんのっ!」
フラウ「ご、ごめんなさいっ!」
キッカ「ふえっ!!」
カツ「ご、ごめんなさい~」
レツ「ご、ごめんなさい」
ブライト「はあっ、はあっ……」
ミライ「ブ、ブライト?」
ブライト「なんだっ、ミライ!?」
ミライ「その……少し落ち着くべきだと思うわ……」
ブライト「っ!! ……すまない、少し気が立っていたようだ」
カイ「へェ~……? あれで"少し"だってサ」
セイラ「カイ。無駄口叩いていないで、デッキに行った方がいいんじゃないかしら?」
カイ「ひぇっ!? へ、へぇ~いっ……へへへっ」
……全く、こんな子供ばかりの乗員に最新鋭の新造戦艦を任せるとは、我が軍はどうかしているぞ……!
先程はブライト少尉の剣幕に圧されて黙りこくってしまった……。
つい先日まで候補生だったような小僧に! このリード中尉が気圧されるとは!
リード「ンンッ、ブライト少尉」
ブライト「なんです、中尉」
リード「ガンダムが駄目なら、タンクとキャノンだけでも出動させてはどうかね」
ブライト「今やってんでしょう」
えらく反抗的な口を利かれた。これは減点だ。
リード「そ、そうだが。敵に対しての有効打とはなっておらん」
ブライト「そりゃあ、急ごしらえのモビルスーツ小隊にできることなんて、砲座と変わりませんよ」
リード「そ、そりゃあそうだが……」
ブライト「他に、何か?」
この東洋系の小さな目で睨まれるのはどうも落ち着かない。白目が小さいから、気色悪く感じるのだろうか。
ハイスクールで私をイジメ……いや、からかってきた生徒達は多くが東洋系だった──気がする。
ブライト「中尉?」
リード「い、いや。それならば現状の最善を尽くしてくれたまえ、うん。それがいい」
ブライト「はっ」
仰々しく敬礼をしたブライト少尉の顔には、私に対する侮蔑の表情が浮かんでいたように思う。
私は何も言えなくなってしまい、宛てがわれた船室に引っ込むのであった。
──それから二ヶ月余り。
肩の脱臼も治り、ルナⅡへと戻った私は、ワッケイン司令の乗艦『ルザル』の士官として乗務していた。
目指すは宇宙要塞ソロモン。
猛将ドズル・ザビが指揮する宇宙攻撃軍の根城だ。
彼奴らを撃滅し、敵本拠地サイド3への攻撃ルートを開拓する魂胆である。
うーん、このいかにもなクズ上司ぶり
嫌いじゃないわ
──宇宙世紀0079年12月16日
──バーミンガム級大型宇宙戦艦『ルザル』
ワッケイン「よう、ブライト大尉。ボロボロの木馬にプレゼントさ」
ホワイトベースめ、相変わらずの厄介者なのだな……って、なに?
ブライト、大尉???
ワッケイン「──いい返事だ。ではな」
リード「し……司令、ブライト・ノア少尉は昇進したのですか」
ワッケイン「ああ、貴様が扱き下ろしていたブライトも大尉だそうだ」
リード、ショック。
ワッケイン「まぁ奴は優秀だったし、うまくやれば若くして将軍なんて異例の大出世もあるかもしれんな」
ダブルパンチを喰らった気分だ。
いや、実際に喰らったことは──よくよく考えればハイスクール時代にあった気がするが。
このブラームス・リード、47歳──。
目の前におられるウォルフガング・ワッケイン准将は何と42歳にしてこの地位に就かれた。
年下の上司が増え続ける。
ハッ──!? これはもしや、窓際族!?
世が世なら、私はクビになっているのでは……?
……まぁこの歳で独身だし、未だに実家暮らし(ルナⅡ勤務になってから帰れていないが)なわけで……。
それに、もはや地位の向上も望めまい。
それでも、このブラームス・リード……。
年下であろうと上官に尻尾を振り続ける。
私を笑うか? 笑えばいいさ。
これが私の処世術だ。
──戦争が終わったら、ママンのアップルパイを食べたいなァ。
──宇宙世紀0079年、12月20日
──ドズル・ザビ、モビルアーマー=ビグ・ザム起動後
ワッケイン「中尉。君はホワイトベースの連中とは面識もあるだろうから、この大役は貴様に任せる」
リード「ハッ、たとい命に替えても!」
ワッケイン「護衛にジムを付ける。案ずるな」
リード「有難うございます!では、行ってまいります!」
ワッケイン「頼むぞ……ホワイトベース……!」
このブリッジに入るのはおよそ2ヶ月ぶりだろうか。
やはり最初から媚び諂うのは躊躇われる──知己であり、年上であることを活かそう……第一声は決まっている、『久しぶりだな、ブライトくん!』……これだ!
リード「失礼する!」
ブライトが驚き、こちらを振り返る。
ブライト「おお、リード中尉! お久しぶりです!」
リード「久しぶりだな、ブライト大尉」
階級をつけるつもりはなかったのに、いやに意識していたようだ。
自分が情けないよ、全く……。
リード「マーカー伍長、ワッケイン司令からの──」
だが、二十代(はたち)そこそこにして大尉とは、よほど優秀と判断されたのだろう。
ならば、それに厄介になるのも……悪くない。
ブライト「──きっとやってくれますよ」
リード「ああ、頼む」
いや。
リード「頼みます、ブライト大尉」
【リード中尉の憂鬱・了】
即席でとりあえず小短編でした。
リード中尉嫌いじゃないよ。
ギレンの野望で敵に対して「軍法会議ものだぞ!」とか意味わからんキレ方するリード中尉、嫌いじゃないよ。
>>593-595
典型的ですよね。
まぁ良くも悪くも無能軍人。腐敗し始めた連邦政府の象徴的存在。
生存報告。
最近かけていませんが、投げたわけじゃないです。
ほら、ジロ・デ・イタリアとかUEFAチャンピオンズリーグとかあるじゃないですかァ……(土下座)
もうじき新しいお話出せると思いますので、また暫くお待ちを……。
待ってまふ
事情があるなら仕方ないね(生暖かい目)
乙、待ってるよ
コンタドールのマリアローザ姿が今年最後かも知れないと思うと何か来るものがあるねぇ
カンチェといいウィギンスといいビッグネームの引退が続きそうで悲しい
>>601
ありがとうございます。
>>602
わ、わあ、優しいなあ……(震え声)
>>603
ありがとうございます。
実はロードレースは今回が初めてで。
今日の落車が影響しないといいんですが……。
ソロモン戦自体は粗方書き終わってはいるのですが、何かすごく淡白になってる気がして。
何か入れ忘れたネタはないか、とか。
この間めぐりあい宇宙を見直す機会があったんですが、台詞集を読むだけと実際の映像を見るのでは結構違うものですね……。
ドズルって思ったよりテンション低い!
おひさしぶりです。今晩投下予定ですので、一度age。
おまたせ。投下します
──第三艦隊、尖峰モビルスーツ部隊
アムロ「スレッガー中尉、これよりアレックスは敵艦隊を強行突破、穴を開けます」
スレッガー「あいよ、じゃあスレッガー隊は援護行動に入る。うまくやれよ」
アムロ「了解……」
アムロ「前方にはチベ級が4隻とムサイ級が8隻……。ミサイル1番から4番でやれるか……? いやっ、やるんだ!」
アレックスが加速し、シールド裏に装備したミサイル・ランチャーを前へ突き出す。
アムロ「撃っ!!」
4基のランチャーから次々とミサイルが放たれ、敵艦隊へと殺到。
小型のミサイルを対空砲火が容易に撃ち落とせるわけもなく、3隻のムサイと1隻のチベに火球が起こった。
アムロ「ミサイル・ランチャー1から4、パージ。沈める!」
ペダルを踏み込み、よりスロットルを上げる。
殺人的加速性能をリニアシートで飲み込み、アレックスは咆哮を上げた。
アムロ「ひとつ! ……ふたぁーつ! みっつ! よっつうっ! いつつっ!!」
座礁した敵艦にとどめを刺し、沈む前にと慌てふためき飛び出してきたモビルスーツを次々と撃破する。
ようやく追い付いてきたスレッガー隊と、連邦モビルスーツ部隊が共に攻撃を開始。
ジオン公国宇宙攻撃軍ミルヴァ艦隊は一瞬にして壊滅状態へと追い込まれた。
アムロ「よし! 揚陸作戦に移行し──」
マクシミリアン「アムロ! 聞こえるか!」
アムロ「え? マックス?」
近寄ってきたジムがアレックスの肩を触れ、接触回線を開く。
状況を見たスレッガーのガンダムもそこに近寄り、接触回線に合流した。
マクシミリアン「伝令! ティアンム提督の第二艦隊が攻撃を受けている! 敵の新型モビルアーマーが確認された! アレックス単機で急行し、威力偵察! 可能ならば敵を撃滅せよ! ……だってよ」
アムロ「えっ、ティアンム提督って……この作戦の総司令官じゃなかったっけ?」
マクシミリアン「まさしくその通りだ! それがヤバイってんだ。俺はこのままスレッガー隊に加わるから、アムロはそっちを頼む!」
アムロ「わ、わかった。スレッガーさん、聞こえてました?」
スレッガー「おーう。ちゃちゃっと提督助けて、勲章貰ってこい!」
アムロ「はいっ。アムロ・レイ、戦列を離れます!」
『ビーム・シャワーを抜け出して』
乙
あっさりと描写されてたから見逃しそうになったがミルヴァ艦隊壊滅って
どんだけヤバいんだこいつら……
乙
アムロがロレックスの自慢する話かと思ったら見間違いだった
寝落ち寝落ち。
今日も夜に投下します。
アーマード・アレックスは背中に大型のブースターパックを背負い、両腕にシールドを装備している状態です。
胸部と前腰部、脚部前面には追加装甲を装着し、激戦に備えています。
シールド裏にはミサイルランチャーを装備。(サンダーボルト版FAガンダムをイメージ)
詳細情報は追々出せるかと。
「G・アーマー(拡張兵装)を装備した(アーマード)アレックス」です。
いわゆるフルアーマー・ガンダムです(?)
>>612
???「連邦のモビルスーツは化け物かっ!」
でも、ガンタム世界において軍艦は結構脆い存在ですよね。
>>613
何それ面白そう書いて
──20分後
──第二艦隊展開宙域
アムロ「あっ……あああっ……あの強烈なプレッシャー……あいつだったんだ……!!」
望遠映像で映し出された悪鬼のようなモビルアーマーに、アムロ・レイは戦慄した。
アムロ「あれをやらなきゃ……ティアンム提督は──」
そして望遠映像はもう一つ情報を捉える。
画面表示には『シグナル・ロスト』の文字。
アムロ「……バーミンガム級大型戦艦2番艦“タイタン”……信号途絶……?」
アムロ「──や、やられたっていうのかっ? 連邦の最新鋭戦艦が」
ビビーッ!!
アムロ「接近警報……来るっ!?」
至近距離で爆発が起こり、アムロは咄嗟に機体を翻らせた。
アムロ「ぐっ……! 青い、ドム!?」
ガトー「彼奴がランバ・ラル大尉をやったというモビルスーツか!」
カリウス「大尉、援護します!」
ガトー「応! 小隊散開せよ! 波状戦法で行く!」
302中隊「「「了解!」」」
アムロ「ううっ!? 一瞬で展開した!」
リック・ドムの編隊が次々と接近し、四方からバズーカを発砲しながら迫る。
一定の距離を保ちつつ、6機のドムが次々と攻撃を仕掛けてくるのだ。
特に青と緑に塗装されたエース機と、その護衛らしき機体は動きがいい。
アムロ「なんて波状攻撃だ! だけど、ここで負けるわけにはっ!」
頭部バルカンで砲弾を撃ち落としながら、ヒート・サーベルと斬り結ぶ。
1機のドムを両断し、もう1機も右腕と頭を刎ね飛ばした。
アムロ「よし!」
カリウス「なんと!」
ガトー「ええい、小癪な! 手負いは退けい!」
カリウス「……我ら2機のみとなります」
ガトー「構わんッ。 フォーメーションBで行く!」
カリウス「はっ!!」
アムロ「く、来るっ!?
ガトー「チェストォオオオッ!!」
アムロ「重いっ!!」
振りかぶったヒート・サーベルと、ビーム・サーベルが激突し、スパークする。
ガトー「今だ、カリウス!」
カリウス「はっ! 食らえェエーイ!!」
アムロとガトーが競り合う中、カリウス軍曹のドムが猛進、ガンダムを討ち取らんとヒート・サーベルを突き出した。
アムロ「シールド・パージッ!」
ガトー「何とォッ!?」
カリウス「うわああっ!!!?」
右腕に装着していたシールドを打ち捨て、右脚でカリウス機に向けて蹴り飛ばす。
アムロ「冗談じゃない! お前たちと戦っている暇はないんだ!」
鍔迫り合いを続けていたサーベルを強引に押し戻し、青いドムを吹き飛ばす。
アムロ「大人しく、してろおっ!!」
両脚と両腕を寸断し、漂っていたデブリに叩きつける。
青いリック・ドムは達磨のようになって瓦礫に埋まり、戦闘不能に陥った。
中の人の厄介さを考えたら討ち取ってしまいたいとこだけど……
偉いさんの救出に向かわないといけないのが辛いとこだな
中の人のプライドの高さを考えると狂人あるいは廃人になりそうで怖いww
ごめん、また寝落ちしました。
夜中に投下すんのやめた方が良さそうですねえ……。
ガトー大尉には早期退場願いました。
元々は予定に入れ忘れていて、書きながら強引に捩じ込んだものでして、へへへ……。
>>623
ガトー大尉を討ち取ってしまったら、未来が大きく変わってしまうじゃないですか(意味深)
>>624
狂人ガトー「く、くくくく……ガンダム……久しいなガンダムうう!! 会いたかったぞ! 実に三年も待ったのだ! この臥薪嘗胆の念、今晴らさでおくべかぁぁあああ!!! 抱き締めたいなああっ、ガンダムううう!!!」(生身でGP02Aに抱きつく)
ニナ「いやあああああっ、アタシのガンダムうううう!!!!?」
コウ「……え……っと……これがほんとうの地獄か……(錯乱)」
キース「なあ、コウ……行こうぜ。あれ絶対ヤバイ人だよ……」
オービル「……こりゃ今の内に寝返った方が良さそうだな……」
廃人ガトー「う……う……ガン……ダム……白い……悪魔……あああっ、来るっ、来るううっ!!? はっ!! はあっ……はあっ……」
カリウス「大尉……おいたわしや……ぐすんっ」
デラーズ「ガトーよ……今は耐えるのだ……」
どっちもやめといた方が良さそうですね?
カリウス(ま、まさかッ!? あの一瞬で大尉のドムを達磨にしたっていうのか!)
ガトー「くうっ!!」
ドズル『ガトーよ、聞こえるか!』
ガトー「ドズル閣下っ?」
ドズル『退けい、ガトー! あとは俺がその化け物を成敗してくれる』
ガトー「で、ですが!」
ドズル『これより大型メガ粒子砲で砲撃を行う。貴様らはそれを合図にソロモンへ戻れ! 射角に入るなよ!』
ガトー「閣下!」
ドズル『手負いの貴様に何ができるか! 退け!』
カリウス「大尉、今お助け致します!」
ガトー「……くっ、この臥薪嘗胆の念、いつか晴らしてくれようぞ! 申し訳ありません、ドズル閣下……!」
突如、長距離からのビーム砲撃を察知し、機体にロール運動をとらせる。
アムロ「うわあっ!!?」
アムロ「なんだ、今の威力は!!」
宇宙空間において、ビームは減衰しない。
とはいえ、無重力空間に漂う多数の塵を巻き込んで少しずつ威力が落ちていくのが通常である。
しかし、モビルアーマー=ビグ・ザムの大型メガ粒子砲は違った。
そのあまりの火力に、如何ほどの塵もその進路を阻むことは出来ぬ。
あえて形容するならば、その破壊光線は最強の砲と言える。
アムロ・レイはその事実を瞬時に理解し、戦慄した。
アムロ「どれだけのエネルギーゲインがあれば、あんな砲を搭載できるんだ……!」
この砲を相手に、遠距離を保てば周囲の被害も免れない。
ならば、肉薄するのが得策と考えるのは自然。
アムロ「青いドムは戦闘不能……護衛も手負いだし、戦闘の意思はない、か」
よし、と呟いて機体を大型モビルアーマーに正対させる。
アムロ「そうと決まれば、吶喊する!」
ドズル「ふん、接近するつもりか? だがそううまくいくものかよ!」
再び大型ビームを放つ。機体の角度を変えれば、薙ぎ払うようにビームが撃てるのも艦隊にとっては脅威だった。
ドズル「ゲルト、トマス。前方のメガ粒子砲放て!」
兵士「「 はっ! 」」
ビグ・ザムには中央の大型メガ粒子砲以外にも、そこを中心として機体の周囲360度を囲うメガ粒子砲を搭載している。
中央の大型砲と比べると小口径に思われるが、それでも59メートルの巨体に装備されたメガ粒子砲は戦艦グワジンと同等クラスのものだ。
その威力は、モビルスーツであれば擦過するだけでも中破を免れないほど。
対要塞戦用として開発されたこのモビルアーマーは、奇しくも艦隊戦に最適化された装備を備えていた。
ドズル・ザビはその特性を最大限活用し、第二艦隊を全滅させたのである。
そして、今その火砲の全てはアレックス……単機のモビルスーツへと注がれんとしていた。
アムロ「うっ! 大口径ビーム以外にも、まだあるのか!」
角度を変えながら自機へ殺到するビームを、寸でのところで躱し続ける。
その出力は想像がつかないが、直撃すれば命がないことは勿論、掠るだけでも命の保証はないだろうことは直感的に理解していた。
アムロ(見える……次の砲撃が見える! 僕は次にあっちに飛べばいい)
クイ、とレバーを軽く捻り、ビームを躱し続ける。
アムロ(……これが、人類の革新だっていうのか? 戦うための能力じゃないか? そんなことって、悲しすぎるじゃないか!!)
ビーム砲撃の合間を縫って、じわりじわりとビグ・ザムに接近するアレックス。
ドズル・ザビは焦燥を隠せないでいた。
ドズル「な、何故当たらんのだ! このビグ・ザムのビームは掠るだけでも戦艦を沈められるというに! 何故、何故ガンダムは墜ちない!?」
兵士「閣下、対空機銃を使います!」
ドズル「そちらの管制任せる! 俺はビーム攻撃に集中する!」
対空機銃とビーム砲、持てる攻撃すべてを注いでいるのに、ガンダムは墜ちない。
まるで全てを見透かされているかのよう。
その考えに至った瞬間、ドズル・ザビの脳裡にある言葉が過った。
ドズル(はっ……ニュータイプ……!!!!!)
まるでシャワーのようにビームを浴びせているのに、その一雫が明確に捉えられ、回避されている。
これはもはや、ニュータイプと思わねば納得がいくまい。
しかしドズルは、そこで思考停止する武将ではない。
ニュータイプと言えど人間、こちらが粘れば焦りも生まれる。
闘将ドズルは、自らが最も好まない持久戦に切り替えることを余儀なくされ、内心毒づいた。
アムロ「くっ、なかなか接近できない! でもこの距離なら、ビーム・ライフルでも相当のダメージになるはずだ!」
アレックスがビーム・ライフルをビグ・ザムへと向け、トリガーを引く。
数々のモビルスーツ、戦艦を沈めてきた閃光がビグ・ザムへと到達した。
しかし。
バシュッ!!
アムロ「なっ!? 掻き消されたのか!?」
大型戦艦クラスの中距離ビームさえ逸らすI・フィールドにとって、長距離からのライフル射撃程度は脅威ではない。
ガンダムのビーム・ライフルは『戦艦の主砲並みの火力を持つ』とされる。
しかし、小銃一丁如きに通常からそれほどの火力を持たせることは不可能で、最大火力で放った場合のみ、それほどの火力を発揮できる。
通常射撃においてはサラミス級の主砲とさして違わぬ程度の威力であるからして、ビグ・ザムの鉄壁を前にしては無力であった。
ビームが効かないことを理解したアムロは、左腕に残された4基のミサイル・ランチャーから全てのミサイルを解き放った。
1番から4番には対艦ミサイルを搭載していたが、5番から8番には拡散ミサイルを搭載している。
これは面制圧用で、本来ビグ・ザムのような単機のモビルアーマーに使うものではない。
それでも、現状では最も有効な策であるとアムロは判断していた。
面でビグ・ザムへと殺到するミサイルは、ビームのシャワーに巻き込まれて次々と誘爆する。
ドズル「馬鹿め! 効かんわっ!」
そして一面を炎が覆い尽くした時、アムロはアレックスのスロットル・レバーを最大まで押し倒した。
兵士「か、閣下! 敵MSがセンサーから一瞬でロストしました!」
ドズル「何っ? 今の誘爆に巻き込まれ……いや、その筈はない」
アムロ「おおおッ!」
ドズル「め、目くらましか!! 全ビーム砲門撃てるか!」
兵士「砲身融解! 威力35%まで低下します!」
ドズル「撃ち過ぎたか!? 構わん、撃てい!!」
正面から無闇矢鱈に放たれたビームを、ビーム・コーティングが施されたシールドで強引に受け流す。
アムロ「う……おぉおおおおおおっ!!!」
アムロはずっと考えていた。
あのモビルアーマーのどこが弱点なのか。
おそらく、あのバリアーのようなものは脚にまでは及んでいない。
だが、脚を切り落としたところで撃破には及ばないだろう。
ならば、どこだ。
爆炎を抜けた先、眼前に迫ったモビルアーマー。
ドズル「下か!? 対空防御!」
ビグ・ザムの爪先からクロー・ミサイルが放たれ、左腕に残ったシールドと、背負ったブースターユニットを刺し貫く。
アムロ「まだまだあっ!!」
クローが刺さったパーツをパージし、さらに加速を増す。
相手の弱点は、おそらく下方だろう。
クローが対空防御になっているとは度胆を抜かされたが、なくなってしまえば爪のない足など怖くない。
ビグ・ザムの股が視界に入る。
大型のロケット・ブースター。……これを磁界で覆っているとは、考えられない。
それに、至近距離のビームなら磁界を貫けるはずだ。
アムロは咄嗟にG・アーマーを脱ぎ捨て、ビグ・ザムの大口径メガ粒子砲へと突撃させた。
慌てるように放たれたビームがG・アーマーを破壊し、大きな爆発が両者のセンサーカメラを機能不全に陥らせる。
アムロ「やったなあっ!? それでもっ、そこだあ!!」
アムロは確信をもってビグ・ザムの股下に潜り込んでいた。
カメラは復旧していないが、本能的に察知したと言ってもいい。
その股下、大型のロケット・ブースターにビーム・ライフルの銃口を向けた。
──────
────
──
─
復旧したセンサーカメラが捉えたのは、内部機構からプラズマ光を吐き出すビグ・ザムの姿だった。
擱座しようとも大型メガ粒子砲を虚空へ噴き上げているのを見れば、放置しても危険であることは明白だった。
アムロはビグ・ザムにとどめを刺すべく、機体上方へ飛翔。
モノ・アイの真下を狙い、ビーム・サーベルを突き立てた。
アムロ「これで終わりだ……! んっ!?」
ビーム・サーベルを深々と突き入れたアレックスの前に、ノーマルスーツを着た男が飛び出す。
コクピット・ハッチを開ければ言葉が交わせる距離で、男は合金の壁越しにアムロを睨み、自動小銃を腰溜めに構えた。
ドズル「やられはせん……!」
ドズル「たかが1機のモビルスーツに、このビグ・ザムがやられるものか……!!」
ドズル「やられはせんっ、やられはせんぞ! 貴様如きモビルスーツにぃぃ、やられはせんぞぉぉおおおおっ!!!」
ババババッ!!
アムロ「な、なんだ……!? パイロットが外に飛び出て!?」
ドズル「俺の部下達を、俺の妻子を、……ミネバの未来をおおっ……やらせはせん、やらせはせん!!」
ドズル「やらせはせんぞおっ、白い悪魔あああ!!!!」
自動小銃を乱射する男から、執念のようにオーラが巻き上がる。
やがてそれは亡霊のように男を絡め捕り、同じくしてビグ・ザムは内部機構が完全に破壊、ダクトから炎を上げ、男の姿を塵と消した。
アムロ「な……何者……なんだ?」
──宇宙要塞ソロモン、中央指揮所
管制官「ビグ・ザムの信号、途絶!!」
ラコック「な、なんだと!?」
コンスコン「ええい、やられたというのか! 第302中隊が付いてたはずだ!」
管制官「ミノフスキー粒子の影響大きく、確認は取れませんが……敵の大部隊に包囲されたものと思われます!」
コンスコン「望遠映像は出せないか!」
管制官「先程の敵戦術兵器により、多くの観測機器が損傷。……また、敵の攻撃激しく、他地点からも確認取れません!」
ラコック「ええい……閣下がティアンムの艦隊を潰したというのに、まだ別働隊がいたのか……」
コンスコン「こりゃあ、ティアンムとワッケインだけじゃあないな。おそらく参謀本部のモニカ・ハンフリー大佐も一枚かんでいると見た」
ラコック「“魔女”ですか……!」
コンスコン「うむ。……ミルヴァ隊はどうか?」
ミルヴァ『現在、残存戦力は18%! ……ぞ、増援を……! うわあああっ!!』
コンスコン「ミルヴァ大佐! おい、返事を! ……くっ!」
ラコック「ワッケイン艦隊には木馬も……」
コンスコン「ちいっ、手に負えんか!? フォン・ヘルシングは何をやってる!」
ヘルシング『こちらシャア艦隊。木馬とガンダムが見当たりません。敵部隊を押しのけようにも、敵が多すぎます!』
コンスコン「なんだと!? 木馬はワッケイン艦隊にいたはずだ!」
ヘルシング『確認できません!』
コンスコン「ええい、どうなっている……!!」
ラコック「ドロワが出られるとのこと!」
コンスコン「出すな! 今あんなデカイのを出したら蜂の巣だ……!」
ラコック「ですが……!」
管制官「あっ……映像来ました! ポイントFから戻った、第302中隊のものです!」
ガトー『302中隊、アナベル・ガトー大尉であります。中隊は壊滅、ドズル閣下が殿として戦っておられました』
コンスコン「何があった、大尉! 敵の別働隊か!?」
ガトー『自機のカメラログを送信しました。ご確認を……』
コンスコン「今見ておるが……おい? あれは、ガンダムじゃないか?」
ガトー『は。当初、我ら302中隊が交戦したものの、一瞬で崩され壊滅。その後閣下の掩護あってようやくこちらまで落ち延びた次第……』
コンスコン「ドズルの阿呆め、ビグ・ザムはモビルスーツとの戦闘には向かんというのに!」
ラコック「何と……」
コンスコン「ガトー大尉。ご苦労だった。貴官らはドロワに撤収せよ」
ガトー『はっ!』
ラコック「ビグ・ザムを沈めたのはガンダム……ということは……!? ヘルシング大佐! ポイントFに──」
コンスコン「待て。大佐、ガンダムを確認した。しかし、そちらの戦線を維持しろ」
ヘルシング『はい。シャア大佐だけでもポイントFへ送りますか?』
コンスコン「いや、ミルヴァ艦隊が壊滅した今、そこは貴様らが生命線だ。暫く持たせてくれ」
ヘルシング『……了解』
【次回予告】
モビルアーマー=ビグ・ザムは墜ちた。
ミルヴァ艦隊も壊滅し、ソロモン海戦の趨勢は決したと見える。
そんな中、最前線で赤い彗星と再び会い見える1羽の鳥がいた。
機動戦士ガンダム、次回、『ジャブローの荒鷲』
というわけでここまで。
途中カッコが抜けるミスあったけど、キニシナイキニシナイ。
ミノ粉散布下でこんなに通信できるのかって思うけど、原作でもそんな感じだしキニシナイキニシナイ!
次回。
悲しいけど、これ、戦争なのよね。
やはりアーマーパージアタックは最高だな
乙
戦闘シーンってだるくなって流し読みする事が多いんだけどここのは熟読してしまう
乙
ビグザム戦で死ななかったから生存ルートかと思ったけど
次回予告がそれってことはスレッガーさん…
乙
ジオン軍は無念だろうなというのがひしひしと伝わってくる
そしてドズルの気迫と執念……と単純に言っていいのかは分からないが、の恐ろしさよ
長々とレス返し。
流石に全レスはしていませんが、嬉しいところに気付いてくれたものとかだけでもお返しできたらと思っております、はい。
次は週明けくらいに投下したい。
早くア・バオア・クーまで行こうな。
ララァとシャアも空気になってるしだな。
>>645
ロマンですよね。
シールドパージで一度使った手だし何回もやるのはなあ、とも思ったのですが。
……やっちゃいました。
ついでに言えば、ソロモンで強化パーツ出すのは普通に早すぎたな、と後悔しております。
先に立たず。
>>646
ありがとう。
戦闘シーンの描写って難しいですよね。
あまり文章で動きを限定し過ぎないようにはしています。
>>647
悲しいけど戦争なのよね。
でも考えてみてほしい。ミライとのフラグ立ては行われていない!
>>648
原作ではドズルはもっとサラッと死ぬんですが
なんかビグザムには絶望感を持たせてアムロを苦しめることで初めてドズルの
『たった一機のモビルスーツに』
という言葉が活きてくるように思うんですね。
ちなみに >>632 の
>アムロ「どれだけのエネルギーゲインがあれば、あんな砲を搭載できるんだ……!」
に関しての補足。
エネルギーゲインとは、電気工学用語の『利得(ゲイン)』に由来し、電気回路における入出力比を意味します。
電力利得や電流利得という使われ方をするようで、英語のまま用いる場合もあるそう。
ガンダムはジェネレーター出力の5倍もの電力利得があるモビルスーツ、ということです。
常にジェネレーター出力の5倍もの電力を機体に溜め置けることを意味します。
このセリフに関しては、単純に言えばアムロがビグザムの火力に驚愕しただけのことですが、電気工学に明るいアムロ少年は独り言でもこんなことを言っちゃいました。
電気工学は全くの専門外なので、細かい間違いは悪しからず……。
ネットで簡単に調べただけでここまでの話をでっち上げることができる……寒い時代とは思わんかね?【了】
やっと追いついた
ドロスってジ・オリジンだとマゼランを一方的にボコってたよな
最初から浮かべて砲台にしておけよと
投下予告は意味を為さない。
週末投下します(震え)
>>651
ありがとう。アバオアクーまで付き合ってね。
>>652
ドロワには積荷があったから出すに出せなかった状況。
オリジンのドロス級空母はムサイを何隻を格納できるサイズの移動要塞だから、今更出してもマジでただの的だよね。
ドズル亡き今、コンスコンはソロモンと命運を共にするんだろうか
ア・バオア・クーに有能コンスコンがいれば、
ドズル麾下の部隊が有効に運用されるんだがなぁ
今晩投下予定(投下するとは言っていない(投下しないとも言っていない))。
>>654
そうなったら、少なくとも青葉区はもう少し長持ちしそうですね。
そういうの、やりづらいんだよなあ!
眠たいけど、これ投下なのよね。
──同刻
──ワッケイン艦隊、先鋒
スレッガー「あー、やだやだ! 折角アムロちゃんが前で楽できちゃうと思ったのによお!」
カイ「おいおい……スレッガーさんよ、そりゃないでしょ~」
ハヤト「そうですよっ」
スレッガー「何言ってんだ。戦いってぇ~のはね、如何に効率良く手を抜くか、なのよね」
ジョブ・ジョン「そうそう。中尉みたいにうまくやるのが生き残るコツだってこと」
スレッガー「へへへっ、な~んてお上手なんでしょ、ボク!」
ビーム・サーベルでドムを裂きながら、スレッガーは笑う。
スレッガー「へへ……戦いに感情なんて持ち込まなくていいのサ。そんなの、やり辛くってしょうがない」
セイラ「中尉の言うことも一理あるわ。……戦いに私情は禁物。そうでしょ?」
クリス「そうよ、カイくん、ハヤトくん。戦場では冷静であることが命を分けるわ」
カイ「そ、そうですけどぉ……」
ジョブ・ジョン「ホワイトベースが誇る美女二人にこう言われちゃあ、何も言えねえよな」
タカアキ「まあ、クリスはほとんど実戦経験ないんだけど」
クリス「ちょっと、タカ」
タカアキ「おーっと、失言。前言を撤回」
セイラ「あら、ジョブ・ジョン、褒めても何も出ないわよ」
クリス「私はキスくらいしてあげてもいいけどね。タカ以外」
ジョブ・ジョン「ぜひよろしく!」
スレッガー「俺にも是非お願いしたいもんだ」
タカアキ「おいおい……」
『ジャブローの荒鷲』
──グラーフ・ツェッペリン、艦橋
ヘルシング「ララァ少尉。戦況をどう考える」
ララァ「……この戦い、負けます」
ヘルシング「ほう?」
ララァ「コンスコン少将が悪いとか、そういうことじゃありません。……ただ、“彼”が強すぎるんだわ……」
ヘルシング「“彼”……ガンダムのパイロットか」
ララァ「大佐は鋭いのですね」
ヘルシング「誰だってわかる。今の話の流れならな。なあ、マリガン中尉」
マリガン「ええ? そりゃ、まあ」
ヘルシング「だろ? な。シャアをあちらへ送るべきだと思うか」
ララァ「……いいえ。シャアが死んでしまうわ」
へへへ、とヘルシングは己の口から声が漏れるのを聞いた。
平時では発さないような、下卑た笑いだったと自覚する。
ヘルシング「そうかい……それほどかい? そいつは怖ぇや……」
──ミルヴァ艦隊、展開宙域
シャア「ええい、冗談ではない!」
ジムを切り捨て、シャアは叫ぶ。
シャア「ガンダムはおらぬ、敵は予想を遥かに上回る大戦力……! コンスコン少将の読みがこうも外れるとは!!」
バーニィ「大佐、大丈夫ですか!」
シャア「バーニィか。私は無事だが、ミルヴァ大佐の艦隊はやられたようだ。もはやここも持つまい」
バーニィ「くっそぉ……連邦がこんなに多いなんて!」
ゴツン、とバーナードのドムの肩に手を触れる。
シャア「誤算だったな。……バーニィ、撤退戦の用意だ。艦長とバタシャムに伝えろ」
バーニィ「!? ……了解っ」
ピピピッ!
センサーが何かを捉え、警告音を発した。
シャア「ンッ!! ……あれは!」
バーニィ「あ、あれは、ガンダム!?」
シャア「色が違うが……行け、バーニィ! あれは私が仕留める!」
バーニィ「はい!」
──宇宙要塞ソロモン、中央指揮所
コンスコン「……致し方あるまいな」
ラコック「?」
コンスコン「ドロワにありったけの物資を積み込め! 機密情報の処分も準備しろ!」
ラコック「閣下!?」
コンスコン「ラコック中佐よ。……もはや手遅れだ」
ラコック「で、ですが」
コンスコン「戦力を見誤ったのだ。まさかティアンム艦隊が2割ほどしか戦力を持たず、戦術兵器の運用に特化しておったということだ!」
ダン、と拳で机を叩く。
コンスコン「そんなことはあり得ぬと高を括っていた! わしの采配の誤りだ……!!」
兵士「閣下……」
コンスコン「諸君! これより、我々ソロモン防衛軍は撤退戦に入る! 遺憾ながら、宇宙要塞ソロモンを放棄する!!」
ラコック「コンスコン少将!」
コンスコン「ガンダムの存在もイレギュラーだ。まさか単機でビグ・ザムを沈めるとは想定できん」
ラコック「ですが、撤退には早すぎるかと」
コンスコン「早く撤退せねば、多くの将兵の命が塵と消える! 判断を早めねば、我らは真の意味で負ける!」
ラコック「……了解しました」
コンスコン「すまんな、中佐。アサルムを殿として撤退戦を行う」
ラコック「……聴いての通りだ! 各員、ノーマルスーツを着用。我々は最後までここに残り、撤退準備が完了次第、共にアサルムへ向かう! いいな!」
「「「「はっ!!」」」」
コンスコン「撤退指令は全隊には出すな! ミルヴァ艦隊の残党にもはや航行能力はない。……切り捨てる」
ラコック「!!」
コンスコン「わしは、より多くの兵を生かさねばならん。……非道と思うか」
ラコック「……いえ」
コンスコン「ハッ、貴様は嘘が吐けんな……」
クリスさん俺にもお願いします
乙
コンスコンが青葉区までソロモンの敗残兵をまとめて引き上げても、
指揮権上それ運用するのがギレン(というかキシリア)だからなあ…
仮にア・バオア・クーを勝ったとしても逆転するのはほぼ不可能
ドズルの言ってた数や物量を体現してくるし
乙
この状況ナメプとか言ってられないとは思うが……どう転ぶか
ここは閣下が南斗最強の拳を以って先陣に立つしかあるまいよ
ねてた。
今晩こそは……今晩こそは……
>>669
原作アニメでは宇宙軍のほぼ全戦力を星一号作戦に投入していたはずなので、アバオアクーを守り抜けばジオンの勝利は固いかと。
もぬけの殻となった、ルナツーとコンペイトウの確保に成功さえすれば、今度こそ制宙権を完全に得られますからね。
>>670
↑の続きになりますが、だからこそギレンはソーラレイによりレビルら主力を削ったことにより勝利を確信していた故の
『圧倒的だな、我軍は』
だと考えています。
IQ300とも言われる天才であるが故に相手を軽んじていた、と。
>>671
聖帝が乗れるモビルスーツが……ハッ、ジオング……!!
>>672
あれ全戦力だけ?ビンソン計画で再建した主力艦隊だったと記憶してたが
仮にルナツーとコンペイトウを確保し制空権を取れたとしても、ブリティッシュ作戦の様に
超短期決戦でないと補給線が拡大しすぎて維持できない
最終防衛ラインたるア・バオア・クーにまで攻められた時点で勝っても戦争が長引き
ジオンは勝てない、素人などの人材不足、マさんが稼いだ物資の不足、etc・・・
ただ連邦も尊大な被害を被るから、原作よりもジオン側に良い条件で停戦になる可能性も高い
もしかするとギレンはそれを狙ってた可能性もある
あの時点での再編した宇宙艦隊全てを星一号作戦に投入したのは間違いない気がする
アニメじゃティアンムやレビルが死んで連邦の佐官以上でロクな人材がいなかった
(後付けで今はナンボでも人材がいたことになってるが)
青葉区さえ凌げば連邦はまた軍の再編に時間がかかるし、
更なる泥沼化を嫌ってある程度ジオン側に配慮した停戦講和がなされたかも
ま、その後は問題の先延ばしで形を変えた0083みたいな流れになっただけだろうけど
コパアメリカで寝不足なんや……
今日こそ投下する。日付が変わる頃を予定。
>>675
連邦の主力艦隊には主要将校の多くが配属されていますし、仮に星一号作戦を退ければ連邦宇宙軍の将官は多くが戦死するでしょう。
ルナツーに残存する艦隊はおそらくモビルスーツ運用力に欠く戦隊や、練度の低い兵士が大半を占めるでしょう。
コンペイトウには多少の戦力は残りましょうが、ソーラレイで主力艦隊の1/3を損した宇宙軍の増援としてアバオアクーに向かっていると考えられます。
少なくともジオンにはグラナダの艦隊とサイド3の艦隊がありますから、短期決戦ならどうにかならなくもないとは思っていたのですが……、補給線の拡大やその後の地上攻撃の困難さからするに、やはり戦勝とまでは厳しそうですね。
参考にさせていただきます、ありがとう。
>>676
再編してガンダム開発計画に向かうのか……
???「ヒトは同じ過ちを繰り返す。まったく……!」
──ミルヴァ艦隊展開宙域
スレッガー「おや……あれは」
タカアキ「どうか?」
スレッガー「厄介な奴を見つけちまった。俺はここで奴を食い止める。全隊、揚陸戦用意!」
タカアキ「ええっ!?」
クリス「……赤いモビルスーツ? ジョニー・ライデン……いや、シャア・アズナブルか」
スレッガー「そういうこと。俺のガンダムなら奴と張り合えるでしょ!」
クリス(? ……RX-78-02のスペックは、通常型のジムと同等のはず……指揮官用のジムに劣る部分もあるのに?)
スレッガー「味方のジムが皆殺しにされてんの、見てらんないじゃないの!」
グイ、と踏み込んで増速する。
タカアキ「あっ! 中尉!?」
クリス「……行くわよ、タカ。ホワイトベース隊の指揮は私が受け継ぎます!」
セイラ「……一人じゃ危険だわ。私が援護します。みんなは行って!」
クリス「ちょっと!? ……ああもうっ! 各機、つづけ!」
セイラ機が隊列を離れるのを確認して、クリスは部隊を前へと進める。
クリス(セイラ……何を焦っているの)
シャア「ふふふ、ガンダムのパイロットは乗り換えたはずだから……あれに乗っているのはそれに準ずるエースということか」
銀色の仮面の下で口角を歪める。
目にあたる部位には半透明のバイザーがあり、その仮面越しには青年の表情は窺えなかった。
シャア「ならば、相手にとって不足なし。貴様を倒して、撤退の準備をさせてもらおう!」
しかし、その声色は不敵に笑う。
シャア・アズナブルは嗤っていた。
シャア「フフフ……がっかりさせないでくれよ。……ん?」
ふと、左肩に刻まれたエンブレムが目に留まった。
シャア「……あの紋章、どこかで?」
ここ数週間の中で、同じようなエンブレムをどこかで見たはずだ。
そう思い、シャアは思考を巡らせる。
シャア「ああ……そうか」
ニイィィッ!
シャア「フフフ、ハハハハッ! 貴様、生きていたか!」
画面上には弾薬切れを示す警告が出ている。
装弾数100発のマシンガンだが、多くのジムと交戦する内に、弾薬数を確認するのを怠っていた。
悪態をつきながらマシンガンを投げ捨て、ビーム・ナギナタを引き抜く。
シャア「是非見せて貰おうか、ジャブローの荒鷲の本領とやらをな」
抜刀し突進してくるガンダムをいなし、腰にマウントしていたシュツルム・ファウストを放つ。
頭部バルカンで撃ち落とされたその爆炎の向こうから、ビーム・ライフルが飛び出してくるのは想定内だった。
ビーム・ナギナタを振り、エネルギーを打ち消す。
シャア「奴とは違って、実に正攻法で戦う。あの時より腕は良くなったかな?」
コクピットの中で不気味に笑う男を因縁の相手と、スレッガー・ロウは再度突進した。
スレッガー「い、今っ! 確かにビームを打ち消した。タイミングも完璧だが──あのビーム剣、なんていう出力だ……!」
たじろぎはしたが、ここで戦いをやめるわけにはいかない。
ミカエル、エトゥル、ウォンの命を奪った、赤いモビルスーツを赦すわけにはいかない。
スレッガー「これならどうだい!」
右で振り下ろしたビーム・サーベルとは別に、左手で新たにビーム・サーベルを抜き放ち、逆手で逆袈裟に斬りあげる。
いわば教科書通りな自分の戦い方において、通常なら絶対に選択しない方法だった。
しかし、スレッガーは確信を持っている。
奴を倒すには、尋常では駄目だと。
シャア「なっ……!!」
切り結んだナギナタを強引に前に押しやってガンダムの体勢を崩しにかかるが、ビーム刃はまさに目の前まで迫る。
シャア「ま、まずい!!」
ま、まずい!
今日はここまで。
>>680 ちょっと訂正。
大筋変わってないけど。
次回の投下は暫く先になります。
スレッガーは呆然とした。
あの赤いモビルスーツは、ビーム・ライフルを打ち消して見せたのだ。
スレッガー「い、今っ! 確かにビームを打ち消した。タイミングも完璧だが──あのビーム剣、なんていう出力だ……!」
たじろぎはしたが、ここで戦いをやめるわけにはいかない。
ミカエル、エトゥル、ウォンの命を奪った、赤いモビルスーツを赦すわけにはいかない。
コクピットの中で不気味に笑う男を因縁の相手と、スレッガー・ロウは再度突進した。
スレッガー「それでも! おりゃああああっ!!」
右手でビーム・サーベルを振りおろしながら、左に構えたシールドを投げ捨てた。
案の定、ビーム・サーベルは受け止められ、新モビルスーツ・ゲルググの膂力で以て押し返されそうになる。
スレッガー「まだまだあっ!!」
右で振り下ろしたビーム・サーベルとは別に、空いた左手で新たにビーム・サーベルを抜き放ち、逆手で逆袈裟に斬りあげる。
いわば教科書通りな自分の戦い方において、通常なら絶対に選択しない方法だった。
しかし、スレッガーは確信を持っている。
奴を倒すには、尋常では駄目だと。
そして、スレッガーは確信した。
獲った、と。
シャア「なっ……!!」
切り結んだナギナタを強引に前に押しやってガンダムの体勢を崩しにかかるが、ビーム刃はまさに目の前まで迫る。
シャア「ま、まずい!!」
3週間ほど空けましたが、書き溜めていたわけではないィーーーッ(ジャンピング土下座)
ツールドフランス開幕したし、多少はね?
今日の夜、アズナブルくんとスレッガー中尉の生死を明らかにする為投下予定。
終着点が未だ不透明なので、そこさえまとまれば一気に方を付けます。他に書きたいネタもあったまってきてるし。
というわけで、予告age。
乙です、楽しみにしてます
久々の日本人0は寂しいけど、マイヨジョーヌが入れ替わるのは楽しい
ボーナスタイム復活は案外正解かも知れん
GCBでアムレックス使ってたから懐かしい気分になるわ
どうなることやら
今日の夜 #とは
ごめんなさい、寝落ちした挙句パソコン調子悪かったので、木曜日に投下します……。
「うおおおおおおっ!!!!」
ガゴンッ!!!
スレッガー「うがああっ!?」
獲ったと思った。
確信を持っていた。
しかし、現実はそうもいかなかった。
ガンダムの機体姿勢が乱れていることをコンピュータが警告する。
姿勢制御バーニアがオートマティックで作動し、警告音が鳴り止むまでスレッガーは茫然としていた。
スレッガー「へ、へへへっ。やってくれるじゃあないの……」
バーニィ「はっ……はっ……ぜっ……はあっ……!」
シャア「伍長……!?」
バーニィ「すみません大佐……遅くなりましたっ!」
バーナード・ワイズマン伍長は乗機のドムでガンダムに体当たりを試み、シャアの命を救ってみせた。
シャア「すまない、助かった! だが、ヘルシング大佐へは?」
バーニィ「伝達済みです。バタシャム少尉を捕まえて、引き継ぎました」
シャア「全く……貴様がやり遂げねばならんだろうに」
バーニィ「結果オーライ、でしょ!」
シャア「ふっ……言うようになった。伍長、やれるな!」
バーニィ「はい!」
スレッガー「…………まさか、新手が来るとはねえ」
画面に表示されている情報を確認する。
スレッガー「ははっ、エネルギー残量20%ときたか」
スレッガー「ビーム・サーベルを無理に使い過ぎたかしらね、っと……」
水のチューブを取り出し、グッと握る。
漏れ出した液体は球状を保ってコクピット内を漂い始めた。
スレッガー「エア漏れは無さそうだな。……ふうっ」
ヘルメットのバイザーを開けて、深く息を吐く。
それからようやく、ヘルメットを脱ぎ捨ててシートの後ろに押し込んだ。
水を宙に漂わせてエア漏れをチェックするのは、昔からやる験担ぎのようなものだった。
70年前の旧式宇宙戦闘機ならまだしも、新型の機動兵器にエア漏れを告げる警報が搭載されていないわけがない。
スレッガー・ロウは見かけによらず敬虔なキリスト教徒だし、女癖も悪くない。
生まれ育ったアメリカの地は荒れ果てているが、いつかきっとカウボーイ・スタイルで草原を疾走できる日が戻ると信じてやまない懐古主義者であった。
命の危機に置かれると、それが危機的であればあるほど思考はクリアに近づいていく。
すると、自然と頭の中は哲学に満たされていくのだ。
たとえば、スレッガーは女を口説く時に決まったような文句しか吐けない男が嫌いだ。
それは自分でも知らぬ内に戦闘を放棄している気がしてならない。
いつだって諦めず、思考を動かし続け、常識を超える必要があるのだと考えている。
スレッガー「なーんて、どうでもいいこと考えちゃったりして」
へへへ、と力無く笑い、操縦桿を握りなおした。
スレッガー「いけねえよなあ。やりづらくってさ!」
ブースターを蒸かし、ムサイ級軽巡洋艦の残骸に姿を隠す。
水を飲んで、スレッガーは隊員の顔を思い浮かべた。
スレッガー「……カイ軍曹にはあんなコト言ったけどよお。……これ、仇(あだ)討ちなのよね!」
──先刻
──グラーフ・ツェッペリン艦橋
ヘルシング「ん? おい、あのドムは誰のだ」
マリガン「バタシャムです! 光信号です!」
ヘルシング「何て言ってる!」
マリガン「シャアタイサヨリ、テッタイシジ……撤退?」
ヘルシング「シャアから撤退指示? ……潮時かな」
マリガン「ですね。ソロモンもあわただしくなってきました。おそらく我々にここをキープさせて、全体の撤退を支援させる腹かと」
ヘルシング「そりゃあ吝かではないがねえ、コンスコン少将……。よし、撤退用意始め!」
マリガン「全艦、撤退用意! 僚艦には光信号で伝えい!」
オペレーター「は!」
ヘルシング「シャア隊を拾えばさっさとトンズラするぞ!」
マリガン「了解!」
ララァ(……シャア……。無事で……)
【次回予告】
シャアと互角に戦ってみせるスレッガー・ロウ。
しかし、助太刀に入った若きエースと共に、シャアは勢いを取り戻す。
再び窮地に陥ったスレッガーに、勝利の女神は微笑むのか。
機動戦士ガンダム、次回、『ソロモンの荒鷲』
君は、生き延びることができるか?
はい。
ようやく区切りがつきました。
次回でスレッガーさんが[ピー]ます!
次回投下ハ未定ナレド、我投下ノ意志アリ。
ドウゾヨロシク。
>>689
ジーロもそうだったんですが、ツールも初観戦なんですよね。
こっちが遅くなりすぎないようにだけ気をつけますので、どうぞ引き続きよろしく。
>>690
カードビルダーとやらは全く触ったことありませんが、アレックスをより一層愛してあげてくださいね!
久々の更新乙
あぁ、やっぱりスレッガーさんは…
でもそうなるとコアブースター(またはGファイター)じゃなくガンダム2号機失うのか
まぁオリジン基準だと装甲が純正ルナ・チタニウムな以外は、
カスタム仕様のジムにも劣る2号機だからあんまし関係無いか
(補充でジムスナⅡ貰えば戦力増強だし 但し、スレッガーさん程の腕利きパイロット喪失は痛い)
乙
「ようやく次回でスレッガーさんが」と空目して思わず吹いてしまった事は内緒だ
待て
sagaがついてるのに修正になってるという事はつまり……?
ありがとう、そしてありがとう。簡単に目に付いたものにレス返しだけします。
このスレ中に終われそうになくなってきました(案の定)。キリよく終わりたいなあ。
>>702
ガンダム、スペック低いんですよねえ。
ジムスナイパーIIは存在しない設定です。たった1年間の戦時中にバカスカ新兵器開発できないですって……!
>>704
ようやく次回でスレッガーさんが[ピー]ます本当に……
>>705
そこに気付くとは……
あくまでノーコメントでw
>>706
バカスカと言うが、それ言ったらジオンもだな
連邦と違ってマさんが稼いだ資源でだし
ゲルググでやっとジオニック、ツィマッド、MIPの3社が結束して開発だし
現実でも戦争中の技術進歩はすごいものあるしな
軍事費うなぎ登りだし妥当っちゃ妥当
開発・製造技術がかなり進んでる宇宙世紀ならあまり不思議でもないのかな
なかなか書き進まないので息抜きレス返し
来週半ばくらいに出したい
>>707
勿論ジオンもですけど、ジオンは開戦前から開発している経緯があるので連邦よりは。
それとナチドイツや日帝のように追い詰められると新兵器をやたらと作る例はあるかなと。
>>708
連邦は開発が79年初頭開始のはずなので、70年代初頭から開発しているジオンよりはノウハウがないんじゃ、という感じ。
まぁ本編に大きく係わるところではないので、これ以降はあまり突っ込まないでお願いしますw
明日投下予定。
筆(筆じゃないけど)が進む時に書き溜めておくのが一番賢いんだろうなぁ。
おつです、待ってます
ツール終わりますね、あっと言う間でした
そしてひと月後はブエルタが待ってますよ
──12年前
──、ハイスクール
スレッガー「なんだって、俺が落第ィ!?」
教師「当たり前だ、スレッガー! お前、フィジカル・エデュケーション以外の科目がほとんど全部欠点なんだぞ!」
スレッガー「なに!? みんなの人気者、フットボール部のエースの俺がっ!?」
教師「どんだけ人気者でも、こんなに点を落としてたら受からせようがない!」
スレッガー「ちきしょー! こうなったら辞めてやるぜ!」
教師「なんだってーッ!? 中退してどうするつもりだ!」
スレッガー「カウボーイになるのさ!」
教師「は? 冗談はよせ……」
スレッガー「おいおい、先公よ。俺ァちっともイカれちゃあいないぜ」
教師「あのな……このご時世、カウボーイなんて観光産業は大学出ないと絶対無理なんだぞ」
スレッガー「えっ」
『ソロモンの荒鷲』
──宇宙世紀0079年12月21日
スレッガー「へへっ、懐かしいな……進路のことで先公とは……何度となくケンカしたっけか……」
スレッガーは笑った。
自分がハイスクールで青春を謳歌していた日々──今年で29になったから、12年前か──あの頃のことを思い出す。
バイタルサインを表示するディスプレイが真っ赤に染まっているのが霞んでいく視界に入る。
体は全く動かない。
かつてフットボールをやっていた頃にも経験した、意識が遠のいていく感覚。
あの時は頭に相手選手のショルダーが直撃してしまっただけだったから、ただの脳震盪だったわけだけれども……。
ぐああ、と呻く声が漏れる。
それが自分の声だと認識するまでに、ひどく時間がかかったような気がする。
少なくとも、走馬燈が廻り始めた自分は、そう長く持たないことだろうと察している。
シャアに手傷を負わせただけでも、値千金じゃないか。
そう思えば自然と心も報われた。
一瞬のことだった。
スレッガー・ロウは、赤い彗星に敗れた。
──5分前
スレッガー「カイ軍曹にはあんなこと言ったけどよお。これ仇討ちなのよね!」
スレッガー「俺達ゃ軍人だ。戦死は免れることのできねえ結果だ……」
思い浮かべるのは、部下たちの笑顔。
スレッガー「だから、せめて死ぬ時に納得だけはしていたい」
スレッガー「だがなあ、死んでいった部下がその時、ついぞ納得なんざできていたとは思えなくってよお~。だからさ……仕返しをしないと気が済まないよなあ、赤い彗星!!!」
デブリの影から躍り出て、一直線にゲルググへと突っ込む。
ヘッド・バルカンが火を噴き、ビーム・サーベルの刃がゲルググへと迫った時。
バーニィ「させるか!」
ジャイアント・バズの砲弾がガンダムへと切迫し、スレッガーは強制的に進路を変え、減速せざるを得なくなった。
スレッガー「チッ、あのスカートつき、できる!」
バーニィ「くっ……うまく避ける!」
鳴り響く警告音。
それと同時に画面に表示される、パワーダウンの文字。
スレッガー「あんだとおっ!?」
スレッガー「ちいっ、冗談じゃねえぜ!」
直接的な傷は少ないが、シャアのゲルググとの交戦や、それまでの戦闘で蓄積されたダメージが思っていたより重かった。
今やRX-78-02は悲鳴をあげ、偶然にもとどめの一撃をさしたのは、バーナード・ワイズマン伍長の援護射撃だった、というわけである。
スレッガー「くそったれめ! だが、そうはいかねえんだ……よおっ!!」
これが、後にも先にもただ一度見せる輝きだと言わんばかりの──猛禽の一撃。
その途中、左脚にバズーカ砲弾が命中し、両脚を失ったと画面表示が告げる。
スレッガー「うわあっ! ま、まだまだああーっ!!!!」
スレッガー「どおっりゃああああああ~っ!!」
最後の力を振り絞った突撃は赤いモビルスーツの右肩を勢い良く撥ね上げ、そこでガンダムは光を失った。
スレッガー「──はは……。悲しいけど……これ……戦争なのよねぇ……」
画面に最低限表示された情報が、機体の機能が著しく低下していることを告げる。
直後、激しい振動と共に火花が弾けた。
本日はここまで。
なんでスレッガーさんすぐ死んでしまうん?
※まだ死んでない
>>712
いつもレスありがとうございますw
最終日を見逃す痛恨のミスで凹んでます。
乙です
アムローッ!早く来てくれーっ!!
乙
大学出ないとカウボーイになれないなんて……せちがらい世の中だ
乙でした
最期の台詞が俺の好きなTV版の発音っぽくて嬉しい
え、まだ?セイラさんが間に合うか、ララァいないけどナギナタ大丈夫かな
お待たせしておりマス。
HGUCガンダム(リニューアル版)は自分の求めていたガンダムと違いました。
無事に夏休み入った(留年しないとは言っていない)ので、書き進めたい……近日投下予定……とだけ……。
感謝のレス返し。
勿論全部読んでます、ご容赦あれ。
>>721
セイラさんの方が早く来そう!
でもアムロ来てくれー!
>>723
小ネタにレスありがとう
観光産業って、そんなもんな気もしますw
近未来世界の荒廃した地球では希少職業なのかな、と。
>>724
言われてみれば、言い方とか結構違ってましたねw
劇場版の井上真樹夫さんとテレビ版の玄田哲章さんではなかなかどうして違うもんです。
玄田「悲しいけど、これ戦争なのよね……」
井上「悲しいけど、これ戦争なのよネッ」
みたいな。
乙
>>709
英国面や米帝も忘れてもらっては困る。
追い詰められても追い詰められなくても、戦争となればそれに乗じたトンデモ兵器は作られる時代だったのだ
どうも長らくお待たせしております、申し訳ない。
もうすぐ1ヶ月になる、冗談ではない……。
というわけで、投下宣言age。
決意のageである。
短くなるかもしれませんが。
今晩の予告
マス無双(を予定)
>>729,730
よく考えたらどの国もオカシかったですね……
期待
ついにエドワウが無双するんですね
期待
>>731
乙です
今日からブエルタですね
放送時間が遅い短いの少し不満な編成ですが…
シャア「ええいっ! ガンダムめ、いつも私を煩わせる!」
左足でガンダムを蹴りつけ、コクピット内で悪態を吐く。
バーニィ「大佐、無事でっ!」
シャア「なんとかな。バーニィ……いや、伍長も無事か」
バーニィ「はい、おかげさまで。……ん? ……もう一機来ます!!」
シャア「チイッ、こちらとて無事ではないんだぞ!」
新手が接近していることをコンピューターが警告する。
識別信号は連邦軍のもの、間違いなく敵機である。
シャア「ンッ……!!!」
ティキィーン!!
シャア「なんだ、私はパイロットを知っているというのか!?」
ヘルメットを脱ぎ、マスクを外す。
額に浮かんだ冷や汗を拭い、画面を睨み付けた。
シャア「いや……まさか、な! すぐに墜として、退かせてもらおう!」
セイラ「……シャアっ……!」
セイラ「いえ、間違いなくあの男は兄さん……!」
セイラ・マスは、本名をアルテイシア・ソム・ダイクンという。
今は亡きムンゾ共和国議長ジオン・ズム・ダイクンの遺児であり、ジオン公国軍突撃機動軍のエースパイロット シャア・アズナブル大佐の実妹でもある。
ジャブローでシャアと邂逅した時、間違いなくシャア・アズナブルが兄キャスバルであると確信を得た。
その確信は今や、兄への敵意へと変わりつつある。
セイラ「優しかった、あのキャスバル兄さんが……何故っ」
ビーム・ガンの狙いを定め、赤いモビルスーツを狙う。
セイラ「復讐だなんて、させるものですか」
ビシュンッ! ビシューンッ!
光弾が暗澹たる虚空を駆け抜け、赤く塗られた機体へと迫った。
シャア「命中(あた)るものか!」
無事な左腕でビーム・ナギナタを持ち直す。
このプレッシャー、相手はエースだろうか。
自分がニュータイプ兵士であるという自覚はあったが、その感覚は未だ研ぎ澄まされていない。
プレッシャーに種類があるかは知らぬが、『嫌な感じ』しか感じられない。
これは『ガンダムのパイロット』以外の感じ方であるとは認識できているが……どうにも、それ以外の見極めが効かぬ。
シャア「だとすれば、ここで消えて貰う!」
グオオォッ!!
ナギナタを突き出しながら間合いを詰める。
セイラ「くっ、距離を詰めてきたっ? 相手は手負い、火器の装備もない……やる!!」
シールドを正面に構え、ビーム・ガンを連射した。
突撃してくる相手に取れる唯一の対処であるとも言えるだろう。
セイラ「嘘ッ、変わらず突っ込んでくる!」
被弾を怖れて回避するものではないのか。
セイラ・マスは恐怖した。
これがトップガンの戦いなのか、と。
セイラ「彼は──アムロは──、こんな男を相手取っていたというの!」
セイラ・マスは戦慄した。
あの優しかったキャスバル兄は何を背負いここまで捨て身になれるのか、と。
直後、衝撃が走った。
反射的に機体を引いた為、刎ね飛ばされたのは合金複合防盾だけで済んだが、しかしセイラに与えた動揺の大きさは計り知れない。
セイラ「うううっ!! シャアは──」
──兄は、妹(わたし)を殺す気で在る。
ティキィーン!
シャア「ぐううっ、なんだっ? ……相手の動揺が私にまで伝わってきた!?」
一瞬たじろいだ瞬間に、ビーム・ガンが隙を突かんと射撃される。
シャア「!!! 邪魔だ!」
ビーム・ナギナタで打ち払い、ビーム・ガンを蹴り上げる。
シャア「獲った!」
高出力のビーム刃がジムの肩口を刎ね飛ばし、返す刀で対の肩も斬り落とす。
明確な殺意を以て、シャア・アズナブルはナギナタを振り上げた。
シャア「私と出会った不幸を呪うがいい!」
セイラ「ああっ……兄さん……っ!」
ティキリリィーン!!
ズギュゥーーーンッッ!!
鋭敏に感じ取り、ビーム発射されると同時に回避行動を取った。
ニヤリ、と口角を上げながら──不遜な心持ちで虚空を見つめる。
目の前で行動不能に陥ったジムのことなど、もはや頭にはなかった。
シャア「来たか……ッ」
明確な敵意を感じ取り、総毛立つ。
私は、この感覚に歓びを感じている。
アムロ「シャア!」
傷ついた赤い邪鬼に立ち向かわんと現れた、煤に塗れた白き天馬。
シャア「来い……ガンダム!」
アムロ「──覚悟っ!!!」
【次回予告】
スレッガー・ロウは赤鬼に敗れた。
スレッガー、そして実妹セイラを圧倒したシャア。
彼らを救わんと、白い流星が疾る。
機動戦士ガンダム、次回、『撤退戦』
君は、生き延びることができるか?
こんな感じになりました。
本日はここまで!
>>732,733
ありがとう!
>>734
vsスレッガー
vsセイラ
の二つしか戦ってないけど、それまでに雑魚を三枚下ろしにしてるのでご勘弁……!
適当な予告するもんじゃないですねw
>>735
サッカーはじめ他のスポーツもオンシーズンなので、仕方ないのかもしれないですね。
何はともあれ、ラロハを着るのは誰になるか楽しみです。
乙です
乙です
強敵が慣れない力に戸惑っているこれは伸びる
乙
実妹殺しに至らずに済んで良かったと言うべきなのか……
あとセイラさんの認識にちょっと笑った
そりゃ顔も見えないのに妹だからとかないですよと
すんげー今更なんですけど
>>6 で唐突にウッディ出てくるし自己紹介しないしカラス喋らないし。
読み直すと結構粗多いですね……。
今晩投下予定です。
>>744-746
乙あり!
>>745
原作アニメでは、シャアはニュータイプのなり損ない。
完全には目覚められなかった男でした。
こっちではどうでしょうね?
>>746
自分は相手の顔も素性もわかってるのに、相手は自分の顔も素性も皆目わからない。
だからこそセイラは躊躇するし、シャアは躊躇いなく殺そうとする。
こんなに怖いことってないですよね。
むしろNTの出来損ないだから気付かない
アニメでもララアが気付いて止める事でうん!?アルテイシアか!となるし
相手にNTであることを当然のように求めるのはNTの悪い癖だと思うんですよ!(半ギレ)
すっかり予定よりお待たせしてしまいました。
投下します。
俺は、どうなっちまったんだ?
死んだか?
へっ、故郷においてきたおふくろに顔向けできねえや。
くっそ、ツイてねえ……。
ガゴンッ。
あ?
何の音だ……?
セイラ「中尉! スレッガー中尉、無事ですか!」
誰だ……?
視界が霞んで、よく見えねえが……。
へへ、戦場で死んだ戦士の魂を天界に連れて行くっていう戦乙女は本当にいたんだな。
セイラ「中尉、わたしです、セイラ・マスです! 意識はありますか!」
ヴァルキリーよ、俺をヴァルハラに……。
セイラ「意識をはっきりなさい、このっ……軟弱者っ!!」
ピシャンッ!
スレッガー「いてッ!! ……おお、セイラ軍曹か……?」
セイラ「手当てします! 気を確かに!」
スレッガー「へへへ、そりゃあどうも……」
『撤退戦』
既に戦いは収束に向かっているソロモン宙域において、唯一激戦を繰り広げているポイントがある。
そこには、後の戦史教本に名を遺すエースパイロットが揃い踏みしていた。
『白い流星』アムロ・レイ、『赤い彗星』シャア・アズナブル、『ジャブローの荒鷲』スレッガー・ロウ。
そしてセイラ・マスと、後のエースパイロットであるバーナード・ワイズマン。
セイラとスレッガーは既に撃墜され、アムロ・レイ単機でふたりのエースを相手取る激戦場となった。
アムロ「セイラさんは無事だ。スレッガー中尉も息があるようだし、僕がここでふたりを守らなければならない!」
不用意に接近してきたザクをライフルで沈め、赤いゲルググに牽制のバルカンを放つ。
シャア「ちっ、近寄らせないつもりか!」
たとい最新鋭の重モビルスーツ・ゲルググといえど、被弾し続ければ機能不全が生じるのは当然。
まして、スレッガー・ロウのガンダムによって右腕は切断され、推進剤も心許無い。
バーニィ「大佐、撤退を! 殿は俺が」
シャア「駄目だ! いくら貴様とて、奴と戦って助かる保証はない!」
バーニィ「でも!」
バーニィ「~~~っ! くそっ、どうすりゃいい!」
バーナードのドムから放たれる砲弾は全て撃墜され、気を抜けばビーム・ライフルの光弾が迫る。
未だかつてない戦いに、バーナードは疲弊していた。
バーニィ(か、考えろッ……どうすればふたりとも助かって、コイツを撃退できる!?)
バーニィ(だ、駄目だッ……何も浮かばない! 大佐はまだしも、俺が助かるヴィジョンは……無いッ……!!)
ゴクリ、と唾を飲む。
コンスコン『全軍に通達する。ドズル・ザビ閣下が戦死なされた。また全戦力の60%を欠いた現状、宇宙要塞ソロモンの維持は困難である』
コンスコン『遺憾ながら、我が軍は宇宙要塞ソロモンを放棄し、宇宙要塞ア・バオア・クーまで撤退する!』
コンスコン『各員、ドロワに続け! 撤退戦を行う!』
突如コクピット内に鳴り響いた声に、バーナードは我に返った。
バーニィ「た、大佐」
シャア「いよいよだ。イリーナ大尉らと合流し、撤退する」
バーニィ「ですが、大佐。ガンダムからどうやって!」
シャア「──やぁ、遅かったな」
バーニィ「えっ?」
スレッガーさんがまだまだ俺のステージは終わらないぜ!と主張しておられるww
イリーナ「大佐、お待たせしました! ララァ少尉、イアン少尉!」
イアン「了解。そこ!!」
ララァ「当たって!」
ビィーッ!! ビィーッ!!
バーニィ「ブ、ブラウ・ブロ!!?」
シャア「イリーナ大尉と合流しよう、と言っただろ」
イリーナ「ふふ、撤退を!」
バーニィ「了解っ!」
アムロ「んっ……当たるか!!」
ブラウ・ブロから放たれたレーザーがレパント級の残骸を熱し、爆発が起こる。
その爆発を推進力に、アムロは突進した。
アムロ「あれはあの時のモビルアーマー! まだ生きてたんだな!」
アムロ「だが! まずはシャア、貴様を撃墜とす!」
シャア「ええいっ、やられん! バーニィ、援護を!」
バーニィ「り、了解!」
ビーム・サーベルとビーム・ナギナタが交錯し、エネルギーが弾ける。
バーニィ「くっ、援護射撃!」
アムロ「なにっ!?」
バズーカを撃ち込み、胸部ビームで強引に爆発させる。
アレックスの反応速度ならば撃墜は容易と踏んでのことだ。
爆風はアレックスの体勢を煽り、ゲルググが逃れる余裕を持たせた。
アムロ「ううっ! やったなあっ!」
シャア「ぐおおっ!?」
一瞬でゲルググのビーム・ナギナタを中央から両断し蹴りを見舞う。
そして、左手に持ったビーム・ライフルの銃口がリック・ドムを捉えた。
バーニィ(あっ……! ……ク、クリス……!!)
死を覚悟し、脳裏に赤毛の美女を思い浮かべた瞬間だった。
イアン「させるかよ!」
ブラウ・ブロのハイ・レーザー砲がアレックスのビーム・ライフルを貫く。
その爆発にアレックスが再び体制を崩した。
バーニィ「イアン少尉っ!」
イリーナ「退くぞ! 乗って!」
ララァ「大佐! 早くっ!」
シャア「次はやらせんぞ、ガンダム!! さらばだ!」
ブラウ・ブロが高速で突撃し、左舷ブロックを切り離す。
イリーナ「左舷、ボルトアウトする!」
ララァ「行って!」
サイコミュ・コントロールにより、左舷ブースター・ブロックが増速した。
それは、体勢が崩れたアレックスへと吶喊する。
アムロ「!!! ま、まず──アアアッ!!!」
姿勢を立て直したばかりのアレックスに、30m四方はあろうかという巨大な鉄塊が激突する。
アムロ「くっ、重いッ!!」
傷んだ機体で鉄塊を受け止め、シャアが飛び去った方を見やる。
アムロ「くそっ、逃がした……またッ!」
悪態を吐いて、アームレストを叩いた。
ジャブローの時だけじゃなく、またしても逃げられた。
どちらも追い詰めていただけに、自分の鈍さにはあきれてしまう。
アムロ「次は──」
セイラ「アムロ! 助かったわ、ありがとう」
アムロ「……セイラさんが救難信号を出してたから、駆けつけることが出来たんです。それより、スレッガー中尉は?」
スレッガー「……よお、また助けられちまったな……へへへ」
アムロ「良かった……無事だったんですね」
スレッガー「へへ、お生憎様、頑丈なもんで死ねないのよね~」
セイラ「……わたしが手当てしなければ危険だったのよ、減らず口叩いて!」
スレッガー「あ痛ッ、叩くなって!」
アムロ「ホワイトベースに曳航します。補給後、僕は戦線復帰しますね」
セイラ「了解。お願いします」
スレッガー「悪いね、アムロ准尉」
シャア艦隊が立ち去ってから、事態は一瞬で片付いた。
最後まで抵抗を続けていた部隊をホワイトベース隊が打破し、要塞中枢を制圧。
この時、宇宙世紀0079年12月21日世界標準時06:27。
ウォルフガング・ワッケイン艦隊司令が勝利宣言をしたのは、戦闘が始まってから実に24時間後のことであった。
──宇宙世紀0079年12月21日、13:05
──ソロモン内、式典場
ワッケイン「我々連合艦隊は、敵宇宙要塞ソロモンの制圧に成功した。これは、敵軍総司令官ドズル・ザビ中将の駆る新型モビルアーマーを単機で撃破した、アムロ・レイ准尉、およびホワイトベース隊の功績を捨て置いて語ることはできない勝利である!」
ワッケイン「しかし、宇宙軍一の智将と謳われたマクファティ・ティアンム提督の戦死、ここでは名を上げることはできないが、この戦いが大勢の将兵の屍(かばね)の上に立った勝利であることを、忘れてはならない。全員、一分間の黙祷を捧げる!」
リード「黙祷おっ!!」
リード「続いて、本作戦の功労者への表彰・受勲に入る!」
リード「ホワイトベース艦長、ブライト・ノア大尉! およびホワイトベース隊、アムロ・レイ准尉!」
ブライト「はっ」
アムロ「はいっ」
リード「セキトバ所属第1小隊隊長、テネス・A・ユング大尉!」
ユング「は」
リード「エンデバー所属第4小隊隊長、サウス・バニング中尉!」
バニング「はっ」
リード「スレイプニル艦長、エイパー・シナプス中佐!」
シナプス「はっ」
リード「ハイペリオン所属第三小隊、フランシス・バックマイヤー少尉!」
バックマイヤー「は!」
リード「オーウエル所属第一小隊隊長、シャルル・キッシンガム大尉!」
シャルル「はッ!」
・・・・・・・
・・・・・
・・・
ワッケイン「貴公らの活躍によって、本作戦の成功が決まったと断言するわけではない。だがしかし、貴公らの活躍が多くの将兵を奮起させ、本作戦を成功へ導いた一因であると断言できるだろう」
ワッケイン「ブライト・ノア大尉、前へ」
ブライト「はっ」
ワッケイン「ホワイトベース所属部隊の活躍を鑑み、指揮官である貴公を一階級昇進、少佐とする」
ブライト「拝命します!」
ワッケイン「続いて、アムロ・レイ准尉、前へ」
アムロ「はいっ」
ワッケイン「ドズル・ザビ中将撃破、およびシャア・アズナブル大佐撃退など諸々の功績を踏まえ、貴公を二階級昇進、中尉とする」
アムロ「えっ……!」
ブライト「アムロっ」
アムロ「あっ……拝命します」
ワッケイン「他のホワイトベース隊員については、後程追って通達する」
ブライト「はっ」
リード「下がってよし」
ワッケイン「次、テネス・A・ユング大尉、前へ!」
ユング「は!」
ワッケイン「艦船7隻、モビルスーツ29機撃墜の功績から、一階級昇進、少佐とする」
ユング「拝命します」
リード「下がってよし」
ワッケイン「次、サウス・バニング中尉──」
リード(若造め……少佐って完全に上官じゃないの……それにあの小僧も中尉って……)
リード(はあ……寒い時代だよ……)
リード「──下がってよし」
ワッケイン「次、エイパー・シナプス中佐、前へ!」
シナプス「は」
【次回予告】
無事にセイラとスレッガーを救ったアムロ。
その功績により中尉となり、一人前のエースパイロットと注目を集める。
一方、再び命拾いをしたシャアはついにキシリアからの招集を受ける。
機動戦士ガンダム、次回、『月の魔女』
君は、生き延びることができるか?
というわけでここまで!
ようやくソロモン陥落。ちと粗はありますがご勘弁!
次回投下前にまたage告知します。
>>748
そう、結局なり損ないなんですよね。
ジオングに乗ってる時がおそらく一番能力の冴えてる時ですし、Z時代もイマイチ。
多分アムロと戦わないと冴えないんでしょうw
>>749
どうして判らないっ!
とか言われてもねぇ……
>>758
なんだかんだ死ななかったので、まだスレッガーさんワンチャンある
乙
まさかハードモードでスレッガーさん生きてるとは… 1'stで一番好きなキャラだから何気に嬉しい
それと、後付け設定だとやっぱガンダム2号機はスペック的にしんどいね
外伝やら派生作やらで量産型でもグリプス戦役時並のMSがどんどん出てくる
リアルタイム放送時は制作側も何も後先考えてなかったから後半はアムロが2号機で無双してたけど、
仮に後付けの設定も含めてアムロはアニメと同じくらい無双してたってんならもう化物どころか戦神ですわ
乙
イアン少尉いい仕事した!
乙でした
シャアとバーニィの協力と対比やセイラさんとスレッガーさんのやり取り好きな描写だ
ところでアレックスボロボロじゃね?その、活躍じゃなくて修理の方なんだけど大丈夫かな?
特進と同時に環境周りも優遇されたりはしないかな
お久しぶりです。
早くて今晩、もしくは明日投下予定。
>>774
確かにスペックはキツイですが、ジムがハイスペック機説あるのでどっこいかな、と。
あと今のところ、リックドム2とアレックスはスペック調整してますw
本編に関わるようなことでもないですが。
>>775
彼はニュータイプ説あるので使っちゃいました有線レーザー。
>>776
今回は外装は傷んでますが内部機構には大きな損傷はない状態ですかね。
今後それについても書きましょう。
>>777
さて、どうなるでしょうw
──宇宙世紀0079年12月21日、06:28
──チベ級ティベ型重巡洋艦『グラーフ・ツェッペリン』、艦橋
ワッケイン『私は、地球連邦宇宙軍ルナツー艦隊総司令──ウォルフガング・ワッケイン准将である。この映像はオープン・ラインにて全地球圏に放映されている』
シャア「チイッ……」
ワッケイン『我々地球連邦宇宙軍ルナツー艦隊は、ジオン公国軍宇宙要塞ソロモンの制圧を完了したことを宣言する。同時に、ソロモン要塞の名をコンペイ島と改めることを決定した』
イリーナ「……」
ワッケイン『およそ24時間に及んだ戦闘の最中、我が軍の智将マクファティ・ティアンム中将が戦死したものの、ジオン公国軍の闘将ドズル・ザビの討伐を果たした』
ヘルシング「映像消せ! 不愉快だ!」
副官「はっ……」
ワッケイン『この勝利により、ジオン公国軍の残る拠点は月面基地グラナダ、宇宙要塞ア・バオア・クー、そして本拠点サイド3のみと──』
ブツッ!
シャア「全く不愉快だ。ワッケイン奴(め)」
ヘルシング「フン、連邦の蛮人ども……いい気になりやがって」
シャア「士気が下がる。……ア・バオア・クーまで持てばいいが」
ヘルシング「その心配には及ばん。俺のクルーはそこまでヤワじゃない」
副官「そういうことです」
マリガン「実際すごいもんですよ、シャア大佐。この艦(ふね)のクルーの練度は」
シャア「へぇ、それほどだったか。素晴らしい」
ヘルシング「今更だな?」
シャア「フフ……」
ピーッピーッ!
副官「ん? どうした」
通信士「月から……グラナダから通信です」
ヘルシング「キシリア・ザビか」
シャア「来たか……話が終わり次第コンスコン閣下にこちらの動向を伝えろ」
通信士「はっ。メインビジョンに出します」
キシリア『やぁ……久しぶりだな、シャア?』
『月の魔女』
──宇宙世紀0079年12月22日、08:15
──宇宙要塞コンペイ島、第7談話室
アムロ「ええ、セイラさんにそんなこと言われたんですか」
カイ「ひでえ話だろ? それでよぉ~──」
????「おっ、ありゃウワサの英雄サマ方じゃあねーか。あんなガキンチョが、ねぇ……」
????「俺の方が新型ガンダムとやらのパイロットには相応しいんじゃないのかい」
???「やめてください、モンシア少尉。僻みはカッコ悪いですって」
モンシア「何をおう!? アデルちゃんよォ、この俺……ベルナルド・モンシア様があんな小僧を僻んでるってえのかあっ」
アデル「違うって言うんですか? 相手は年下で、上官ですよ」
モンシア「じょッ……!!」
???「おいアデルよせ、いくらモンシアが万年少尉だからってよぉ……」
モンシア「……おいベイトぉ、てめェ……なんつったあっ!!?」
ベイト「聞こえなかったのかぁ~? ベルナルド・モンシア万年少尉殿?」
モンシア「あンだとコラアッ!!!? てめェだって万年少尉だろうがってんだい!!」
ベイト「ああッ!? やんのかゴルァ!!」
アデル「ちょ……モンシア少尉、ベイト少尉!」
ベイト「止めんな、アデル!!」
バニング「おいテメェら!! 何やってる!!!」
アデル「た、大尉」
モンシア「げ、ゲェー、バニング大尉!」
バニング「ゲェーとは何だおいモンシア言ってみやがれ!!」
モンシア「なんでもありましぇん!!!」
連邦兵A「ま~た始まったぜ」
連邦兵B「アイツらも飽きねえよなあ……」
連邦兵A「いつもあの調子で談話室やオープン回線で騒ぎまくり──」
連邦兵B「戦場では乗機をボロボロにしても必ず生きて帰ってくる……」
連邦兵A「付いたあだ名は『不死身の第4小隊』……っへ! お似合いだぜ、良くも悪くもな」
連邦兵B「おいよせよ。聞こえるぜ」
カイ「……あ~やだやだ……他行こうぜ」
アムロ「そうですね……」
ハヤト「ホワイトベースに戻りましょうよ、カイさん」
カイ「ええ~?」
ハヤト「ホワイトベース隊の連中はみんな、絡まれてるらしいです。セイラさんやクリスチーナさんもセクハラ紛いのことされてるって」
アムロ「なんだって?」
ハヤト「特にあのモンシア少尉ってのはしつこくてヒドイって──」
モンシア「ああ~ん!? この俺がなんだって、チビ助ジャップ!?」
ベイト「おいバカっ、それはよせって!」
ハヤト「ぼ、僕に言ってるんですか」
モンシア「他に誰がいるってんだ、おいジャップ! お前ジャップだろお? それともチャイニ~ズか? コリア~ンか?」
ハヤト「アジア系だからって愚弄してるのかあっ!?」
アムロ「落ち着けよハヤト!」
ハヤト「止めてくれるなアムロっ、僕はコバヤシ家の長男だぞおっ!」
アムロ「ハヤト曹長っ!」
ハヤト「っ!!!」
アムロ「モンシア少尉も落ち着いてください。……引き下がってもらえます、ね?」
ジロッ……
モンシア「!? ……へ、へい……」
ベイト「ほ、ほら行くぞバカ! どうもすいやせん、アムロ中尉!」
アデル「うちのバカが失礼を……お詫びします」
バニング「アデル曹長、ふたりを捕まえておいてくれ」
アデル「折檻ですね、了解です。ではホワイトベース隊の皆さん、失礼いたします」
バニング「皆さん。こんな場とはいえ、ご迷惑をおかけして申し訳ない」
アムロ「バニング大尉、ですよね。こちらこそ目立つ真似をしてすみません」
バニング「中尉が謝るようなことでは……」
ハヤト「くっ……アムロ。僕たちは先にホワイトベースに戻るよ」
アムロ「ああ、ブライトさんには報告しなくていいから」
カイ「了~解、『中尉』」
バニング「お連れには悪いことをした……。中尉もすぐ?」
アムロ「ええ、そのつもりです」
バニング「そうですか。戦場で会ったらどうぞよろしくお願いします」
アムロ「その、僕は年下ですし階級も下なんですから……」
バニング「いや、こりゃあ迷惑をかけてしまった側としての礼儀みたいなもんですよ。では、あのバカを2、3発はブン殴らねえといけないので、これにて失礼します」
アムロ「そう、ですか。……では」
連邦兵A「……ぞっとしねえな」
連邦兵B「あの狂犬モンシアを目で黙らせたぜ、あの坊や……」
連邦兵A「あの『闘将』ドズル・ザビと『赤い彗星』シャアを片付けたってぇのも、あながち嘘じゃなさそうだな……」
連邦兵B「しかも、『青い巨星』と『黒い三連星』もヤったらしい。ガルマ・ザビもガンダムがヤったとか……」
連邦兵A「マジかよ。なんてこった……」
連邦兵B「ありゃあエースっていうよりか──」
連邦兵A「モンスターだ……」
──宇宙世紀0079年12月22日、16:33
──月面基地グラナダ、執務室
秘書「閣下、シャア・アズナブル大佐とフリードリヒ・ヘルシング大佐がいらっしゃいました」
キシリア「ん、通せ」
シャア「失礼します」
ヘルシング「シャア・アズナブル、フリードリヒ・ヘルシング、入ります」
キシリア「うん、ソファに座りなさい」
ヘルシング「は、失礼して」
シャア「して、お話とは」
キシリア「聞くまでもなかろ? まずひとつ、ララァ・スンの感触はどうか」
ヘルシング「恐ろしい娘です。味方としては非常に心強いですが」
シャア「同意見ですな。ヘルシング卿より近くで戦っている身としては、非常に心強いことこの上なく感じます」
キシリア「それはよかった。貴様が拾ってきた娼婦にあれほどの価値があろうとはな」
ヘルシング(娼婦? 拾ってきた? シャアが??)
シャア「……どうも」
キシリア「単刀直入に聞こう。シャアよ、何を考えておる?」
シャア「ジオンの勝利の為に、ガンダムを討たんと」
キシリア「嘘はいい。……いや、あながち嘘でもないのか」
ヘルシング「キシリア閣下……? 何を……?」
キシリア「私が聞いておるのは──お前の打倒ザビ家の行動が変わったのは何故か?」
シャア「私の? 打倒ザビ家? ……閣下、お戯れを」
キシリア「冗談を言う女か、私は」
ギロリ
シャア「っ……いえ、私こそ戯れが過ぎました」
ヘルシング(…………っ!?)
キシリア「私は4歳ごろのキャスバル坊やと遊んであげたことがあるんだよ。お忘れか?」
シャア「……フ、フフフ……。キシリア様に呼ばれた時から、こうなるだろうことは思っておりましたが……」
ヘルシング(キャス……バル……?)
シャア「いざとなると怖いものです、手の震えが止まりません……」
キシリア「私だってそうさ。お前の素性を知った時にはな」
ヘルシング「か、閣下……シャアの……素性……とは……?」
キシリア「ヘルシング卿には悪いことをしたな。貴様にこの話が理解できるとは思えぬ」
ヘルシング(……理解できるかどうかじゃ、なかろうに)
シャア「閣下……どうしてまた」
キシリア「ララァ・スンだ。貴様はインドであの娘を見つけたと言ったな?」
シャア「ええ」
キシリア「奴の先読みする能力に気付いて、フラナガンに徹底的に調べさせたわけだ。そして『ニュータイプ』の存在を信じるようになった」
キシリア「──お父上の提唱した、な」
ヘルシング(……『お父上』……! やはり間違いないのだ……シャアは……!!)
キシリア「それで考えるようになったのだ、打倒ザビ家以上のことを」
シャア「……閣下の思い違いです。それ以上でもそれ以下でもありません」
ヘルシング(シャアは……──!!!)
キシリア「…………」
ヘルシング「…………っ」
シャア「…………」
キシリア「……その仮面があると、表情が読めんな」
シャア「閣下こそ、マスクでいまひとつ計り知れませぬ」
キシリア「ふんっ、わかった。今はお前の言葉を信ずるとしよう」
シャア「ありがとうございます、閣下はお優しい」
キシリア「気色の悪いことを言うな。……もうじきレビルの艦隊がソロモンに入城するようだ、合流してア・バオア・クーに向かうと見た」
シャア「グラナダを後回しにすると?」
キシリア「そうなるだろう」
ヘルシング「──では、我々もア・バオア・クーへ」
キシリア「いや、お前たちの本分を忘れたか? 木馬討伐であるぞ」
ヘルシング「ですが──?」
キシリア「うむ、ア・バオア・クーへはグラナダの5割の戦力を送る。私も行こう」
シャア「なんと、こちらを留守にされるので」
キシリア「ああ。ここにはルーゲンス司令がいるからな、あたしが出ようとも影響すまい。特戦隊も備えてある」
ヘルシング「なるほど。であれば──……我々は遊撃に出ると」
キシリア「そうだ、貴様らに木馬つぶしをやらせたい。決してしくじるでないぞ」
シャア「はっ。お任せを」
キシリア「じゃあ、下がってよい。補給については別途連絡をよこしなさい」
ヘルシング「はっ。では失礼いたします」
キシリア「キャスバル坊や、私はお前を信じてよいのだな」
シャア「……さぁ、どうでしょうな。では失礼」
キシリア「ふん……、相変わらず可愛くない坊やだ……」
──チベ級ティベ型重巡洋艦『グラーフ・ツェッペリン』、艦長室
ヘルシング「……シャア」
シャア「卿、お察しの通りだ」
ヘルシング「じゃあやはり──あんたは──いや──あなたは」
シャア「そう、私の真名はキャスバル・レム・ダイクン」
ヘルシング「っ!」
シャア「父を殺され祖国を追われ、ただひとつ報復心を胸に立ち戻った男だ」
【次回予告】
ついに本名を明かしたシャア。
キシリアからは木馬討伐の厳命が下る。
一方のホワイトベースも補給を終え次の戦いへ繰り出そうとしていた。
機動戦士ガンダム、次回、『木馬追撃命令』
君は、生き延びることができるか?
というわけでここまで
少しだけ挟むつもりのモンシアが少し冗長になってしまいました
周りからはこんな扱いになるでしょうね、ってところです
シルバーウィークは東京観光に行くのでシルバーウィークまでに投下できなければ、次回は連休明けてからになります
ご了承ください
乙
東京観光楽しんでいってね!
しかしそれにしてもモンシアェ……平常運転ではある気がするけど
同じ戦場で活躍を見てデレるモンシア
まで見えた
バニングさんの階級上がったのを忘れて突っ込む所だったorz
──宇宙世紀0079年12月23日、13:30
──月面基地グラナダ、宇宙ゲート
シャア「マリガン、総員乗艦済んだか」
マリガン「はい、シャア大佐。あとは我々だけです」
ヘルシング「行くぞ、シャア。俺達は為さねばならん」
シャア「ああ。木馬を討つ」
ヘルシング「ようし、出港だ!」
シャア(──そう、木馬を討たねばならんのだ……!)
『木馬追撃命令』
──宇宙要塞コンペイ島、作戦司令本部
ブライト「ブライト・ノア少佐、はいりまあす!」
ハンフリー「初めまして、ブライト・ノア少佐。私は総合参謀本部第三局次長、モニカ・ハンフリー大佐です」
ワッケイン「これより、ホワイトベース隊の今後の作戦行動について指示する」
ハンフリー「ホワイトベース隊は補給が完了次第、月へ進路を取りなさい」
ブライト「……月、ですか」
ハンフリー「ええ。グラナダへ牽制を掛けるのです」
ワッケイン「通常単艦もしくは小艦隊では行わないミッションだが、ホワイトベース隊なら成し遂げるだろうと判断した」
ブライト「ホワイトベース単艦で、ですか」
ワッケイン「そうだ。RX-78 NT-1、およびG・アーマーの修復も完全に終えたと聞いている」
ハンフリー「グラナダへの牽制攻撃が完了すれば、ア・バオア・クー合流を目論むグラナダ艦隊も下手に動けないでしょう」
ブライト「もし敵が数で押し切ろうとしてきたら、我々は捨て駒になれと?」
ハンフリー「……ええ、そうね」
ブライト「!」
ワッケイン「タダで、とは言わせない。第16独立機動艦隊も月周辺で陽動任務を行っている。いざという時は急行させよう」
ブライト「……了解しました」
ワッケイン「すまんな、ブライト。だが貴様らの陽動任務の成否が、我々の勝敗を左右することになるかもしれんのだ」
ブライト「そう言っていただけると、クルーも救われます」
ハンフリー「……ワッケイン司令。そういうお話は個人的になさった方がよろしいわ」
ワッケイン「……これは、失礼。じゃあブライト少佐、戦いが終わったらまた話そうじゃないか」
ブライト「はい、是非。……では、失礼します」
ブライト「作戦司令部も一枚岩じゃなさそうだな……やれやれ」
──ホワイトベース、格納庫
アムロ「すごい、反応速度の向上に成功してるんだ」
ムルンバ「ああ、このソロモン──いや、コンペイ島か? ここの生産設備で発見された部品が良好でな。ジオン製だが、使えるものは使っておかないと」
アムロ「相性はどうなんです?」
ムルンバ「うーん、実際のところはぶっつけ本番って感じだが……少なくとも数値上は過去最高のデータが出てる。実機試験も良好だ」
アムロ「信じていいんですよね?」
クリス「あたしが何度も試運転したんだから、信じてほしいわね」
アムロ「わ、クリスさん?」
クリス「やっ、アムロ中~尉」
アムロ「や……やめてくださいよ」
ムルンバ「えらくなったもんだよ、本当に」
クリス「16歳の坊やが中尉なんだもの、アムロがどれだけ優れているのかってことよ」
アムロ「僕は、好きで軍人になったわけじゃあ……」
クリス「でも、そうしてあたし達を助けてくれてる。それだけでいいじゃない?」
アムロ「……僕は、みんなを助けられてるんでしょうか」
クリス「ふふ、当たり前でしょ。スレッガー中尉が何回助かったか、忘れた?」
ムルンバ「まぁ、あの小僧も今度こそは復帰できそうもないようだが」
クリス「まぁ……最初は下半身不随の怖れもあるって言ってましたからね。動けるようになっただけ良かったです」
ムルンバ「本当にあの男は悪運の強いやつだよ」
クリス「セイラの処置がよかったからだって、ハサン軍医も褒めてましたから」
ムルンバ「へえ、あのお嬢さんが」
クリス「なんでも、元は医者の卵だとか」
クリス「とにかく。アムロ? あなたは立派よ」
アムロ「あはは……そっか、僕は……今はこれで……」
ムルンバ「……今は迷うな。悔やむのはもっと後でいい。今迷う方が後悔を増やすことになる」
クリス「フラウ・ボゥやカツ、レツ、キッカを守る。それだけでいいのよ」
アムロ「いや」
クリス「?」
アムロ「僕はホワイトベースのみんなを守ってみせる」
ムルンバ「ん?」
アムロ「フラウも、カツ、レツ、キッカ、もちろんブライトだって、カイやハヤトもそうだ」
クリス「アムロ……?」
アムロ「もちろんセイラだって、クリス──あなただって、僕は守り切ってみせる」
クリス「え、えぇ?」
アムロ「僕の力が戦いに最適化されてる能力なんだっていうなら、今はそれに乗せられてやりますよ」
アムロ「僕が一番うまく、ガンダムを扱えるんだ」
グッ……
アムロ「やってやるさ」
──同刻
──チベ級ティベ型重巡洋艦『グラーフ・ツェッペリン』、艦橋
シャア「ララァ、受領した新モビルアーマーの調子はどうか」
ララァ「はい、大佐。すこぶる良好……ひとりでも十分扱えています」
コワル「すごいですよ、シャア大佐。もはや自分のアシストは必要ありません」
シャア「それほどか」
ヘルシング「よし、帰投したまえ。最終調整が済めば即時実戦投入となる」
ララァ「了解」
コワル「レーザー誘導受信。オートパイロットで着艦します」
シャア「しかし、ううん……私のゲルググ単機ではガンダムを倒せるか、正直わからん」
ヘルシング「うん、確かにな。だがイリーナ大尉らと編隊を組めば打倒も可能だろ。それかララァ少尉と」
シャア「それは考えたが──彼女らを無駄死にさせるのではないかと、正直不安なのだ」
イリーナ「おや、シャア大佐?」
シャア「大尉、聞いていたのか……」
イリーナ「失礼ながら、シャア大佐。私は大佐の悲願にこの身を捧げる覚悟です」
シャア「!! ……フフフ、私よりよっぽど君のほうが覚悟が決まっているらしい」
イリーナ「アポリー中尉やロベルト中尉だってそうです。大佐、私達は貴方を信じておりますから」
シャア「ハハハハッ、ありがとう大尉。このシャア・アズナブル、粉骨砕身の覚悟で臨もう!」
ヘルシング「へへへ、こういう時に覚悟を決めるのは女性の方が早いもんだ」
シャア「フフ、そういうことらしい」
シャア(アルテイシア、君だってそうなのだろうな)
──宇宙世紀0079年12月24日14:48
──宇宙要塞コンペイ島、宇宙ゲート
ワッケイン「ホワイトベース、出港準備よろしいか!」
ブライト「は! 第13独立機動部隊、これより作戦行動に入ります!」
ホワイトベースを係留していたアームが解除され、宇宙ゲート内にサイレンが響き渡る。
ブライト「フラウ!」
フラウ「オールOK、出ました! 管制許可出てます!」
ブライト「了解した! アダムス機関長!」
アダムス「あいよ、キャプテン! 機関最大出力! 間もなく!」
ブライト「ようし! ホワイトベース、発進!!」
ミライ「ホワイトベース、発進!」
ゴゴゴゴゴゴゴ……!
ワッケイン「頼むぞ、ブライト……!」
──チベ級チベ型重巡洋艦『グラーフ・ツェッペリン』
マリガン「前方にサラミス級1、レパント級2!機動パトロール艦隊です」
ヘルシング「新型を出すぞ」
副官「了解です! ララァ少尉、発進準備!」
ララァ「既に準備は整っています。いつでも」
シャア「私の準備が整えば出る。バーニィ、イリーナ、追従支援を任せる!」
バーニィ「はい!」
イリーナ「了解!」
シャア「アポリー、ロベルト!」
アポリー「何です!」
シャア「艦の直掩につけ!」
ロベルト「了解!」
シャア「ゲルググ出るぞ!」
バーニィ「ゲルググ、追従します!」
イリーナ「ゲルググ、発進!」
ララァ「『エルメス』、出ます!!」
ゴオッ!!
シャア「エルメスの攻撃の後、各機散開、個別攻撃に入る」
ララァ「了解。10秒後、ビット展開と同時に主砲を撃ち込みます」
シャア「うん。それを合図に、作戦開始といこう」
ララァ「3……2……1……。行け、ビット!」
ババババッ!!
ララァ「主砲、当たれ!」
バビーーッ!!!
エルメスに搭載されたメガ粒子砲が火を噴き、サラミス級が火球に変わる。
シャア「散れ!」
エルメスから放たれたビットが行動を始めると同時に、三機のゲルググがレパント級へと襲い掛かる。
しかし、ゲルググは囮だった。
連邦兵「なんだっ、敵機少数!?」
連邦艦長「迎撃しろ! 新型とはいえ、大した数じゃない!」
連邦兵「ジム出せ出せ出せ!!」
レパント級の甲板に強引に固定されたジムが動き出すと同時に、ビームがエンジンを貫く。
核融合炉を貫いた炎は推進剤や弾薬に引火し、大爆発を招いた。
その爆発エネルギーはレパント級の数多のミサイルに誘爆する。
連邦艦長「そ、そんな! 敵は4機だけじゃ──」
シャア「そんな旧式のフリゲートでグラナダを見張ろうなど!」
ビーム・ナギナタがもう一隻の艦橋を両断し、次いで殺到した複数本のビーム光線が残骸を塵と化した。
シャア「ハハハハッ、ハッハッハッハッハッ!!」
バーニィ「大佐、すごいですよララァ少尉!」
イリーナ「私達はただの支援機ですね」
シャア「これでいいのさ。これならガンダムを倒せる」
バーニィ「はい! これなら、ヤツを!」
ララァ「ふふふ、これが戦い。怨嗟の声が聞こえるわ」
シャア「戦いが嫌になったかい? だが──」
ララァ「嫌だわ、大佐。その為に私みたいな女を拾ってくださったんでしょ?」
シャア「ハハハ……ララァは賢いな。今はその賢さに甘えさせてもらおう」
ララァ「フフフ」
シャア「……ガンダム、次に会う時が貴様の死ぬ時だ」
ララァ「きっと大佐を勝たせてみせますわ」
シャア「ああ、頼りにしているよ……ララァ……!」
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
【次回予告】
新モビルアーマー・エルメスを受領し戦力を増した木馬追撃部隊。
一方アムロ達はグラナダへのプレッシャーをかける為に出港する。
見せつけられたエルメスの力にアムロは立ち向かうことになる。
機動戦士ガンダム、次回、『エルメスのララァ(前)』
君は、生き延びることが出来るか?
今回ここまで!
次話すでに完成してますので、21日(帰宅予定日)投下予定です。
また、いつもレス下さってる皆さんありがとうございます。
800超えてきましたが、終われそうになければ次スレ立てます。
レス控えるなどのご配慮は不要ですのでどうぞご感想頂ければ嬉しいです。
>>796
ありがとう、18m 白い悪魔見てきます。
モンシアは間違いなく絡むだろうと思いましてw
>>797,798
果たして、モンシアがデレる日はくるのだろうか……?
>>799
さり気なく昇進してますねw
セリフにはしてませんが気づいてもらえてよかった。
乙
東京はガンダム展やっているのか
良い旅を
乙
スレッガー……まあ生きているだけもうけものか
そしてシャア達の意気込みが怖い
乙
ワッケインいいな、スレッガーさん…
アムロの決意は如何に?シャア達も勢いづいてきたww
お久しぶりです。
疲れ果ててすっかり忘れてました申し訳ない。
ゲームショウとダイバーシティ行ってきました。
ガンダム展はこっちでもあるようなのでスルー。
今晩投下予定です。
レス返しは投下後。
──宇宙世紀0079年12月25日、06:26
──ホワイトベース級強襲揚陸艦『ホワイトベース』
アムロ「……何だ」
セイラ「ん……アムロ……?」
アムロ「セイラさん、感じませんか」
セイラ「え、えぇ? 急に何を──」
アムロ「プレッシャーです……空間が歪むような……?」
セイラ「? どういうことかしら、話が掴めないわ?」
アムロ「……あれ、消えた? ……ごめんなさい、何でもないです」
セイラ「そ、そう……? それならいいのだけれど……?」
アムロ(ラ・ラ……? いや、きっと気のせい……そうだろ)
『エルメスのララァ (前)』
──ホワイトベース、ブリッジ
バンマス「ブライト艦長、そろそろお休みになっては?」
ブライト「ああ、そうさせてもらうかな。副長がいないのがきついところだな、この艦は……」
バンマス「副長はミライさんみたいな感じですしね」
ブライト「そうだな。だが彼女も主操縦士だからそうもいかんしな」
バンマス「まあ、いざって時は指示を仰ぎますが精一杯務めさせていただきますよ」
ブライト「ははは、ありがとうバンマス曹長」
フムラウ「操舵代わります」
バンマス「了解、ではブライト艦長──」
ブライト「ああ、すまんが後は任せ──」
バロ「!! 本部より入電! 前方宙域でパトロール艦隊が全滅とのこと!」
ブライト「何!」
バロ「直近の連邦軍艦は本艦を含め4隊のみと!」
ブライト「くそ、休ませてはもらえそうにないな! 非番の奴を叩き起こせ! アムロはセイラの部屋にいるはずだ! アイツだけでも引っ張って来い!」
フムラウ「た、叩き起こしてきまあす!!」
ブライト「総員、第一種戦闘配置! 敵は何かわからん、全滅地点へ急行するぞ!」
バロ「了解!」
ブライト「嫌な予感がするな……」
バンマス「勘弁してくださいよ、もう!」
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
──チベ級ティベ型重巡洋艦『グラーフ・ツェッペリン』
ララァ「来ます」
シャア「ああ、私も感じた。ガンダムだ」
ヘルシング「どちらにせ、敵艦が殺到するぞ。モビルスーツ部隊スタンバイしろ!」
イリーナ「了解! 大佐、モビルスーツ部隊の指揮は私が」
シャア「ああ、頼む。私はララァと独立行動を取り、敵を駆逐する!」
イリーナ「はっ、各員出撃用意急げよ!」
アポリー「よーし、準備急ぐぞ!」
──ホワイトベース級強襲揚陸艦『ホワイトベース』
アムロ「ブライトさんっ、敵のプレッシャーがきつい!」
ブライト「覚えは!?」
アムロ「シャア! それと、あのモビルアーマーのパイロットだと思います!」
ブライト「ほんと、ニュータイプってのはよくわからんが──」
ミライ「信じちゃうほかないでしょ?」
ブライト「そういうことだ! 進路そのまま、モビルスーツ部隊スタンバっておけ!」
アムロ「了解!」
クリス「アムロは単独行動、私が部隊を率います。それでいいですね、艦長!」
ブライト「ああ、小隊指揮はクリスチーナ中尉に任せる!」
オスカー「! 敵影……データ照合! チベ級ティベ型『グラーフ・ツェッペリン』と確認! 以前交戦したシャアの隊に違いありません!」
マーカー「接近したパトロール艦隊、壊滅を観測! 残存の艦隊はこちらと合流を図っています」
ブライト「砲撃用意! 戦闘距離に入る前にかますぞ!」
マーカー「敵艦前方に敵戦闘機……いや、モビルアーマー! 新型です!」
オスカー「結構大きいです。前の『ジュウモンジ(十文字)』と同じくらい……?」
ブライト「どんな能力を持つかわからんからな……慎重にやるぞ!」
クリス「発進用意完了! 艦長、いつでも!」
ブライト「了解だ! 合図を待て!」
クリス「了解!」
アムロ「アレックスはノーマル装備で出ますっ」
ブライト「わかった。G兵器は準備させておく!」
アムロ「必要なら要請します、よろしく!」
ブライト「おう!」
フラウ「サラミス艦3隻とレパント艦4隻、トラファルガー艦が1隻合流します。先方からは、臨時とはいえ艦隊指揮を要請されてますっ」
ブライト「えぇっ!? 俺が!? いや、私が!?」
フラウ「はい、トラファルガー級イツクシマの艦長、マクドネル・ミラー少佐から通信が──」
ゴオッ!!
ブライト「な、なんだ!?」
マーカー「ト、トラファルガー級……イツクシマ……! 轟沈……!」
オスカー「熱源は……50kmほど遠方と思われます。探知引っかかりませんが、おそらく例のモビルアーマーかと……!」
ブライト「な、なんだって!? 戦艦並みの火力だったろ……!」
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ララァ「空母を1隻……ふふっ、なんて他愛もないのかしら」
シャア「いいぞ、ララァ」
ララァ「次射、木馬を狙います」
シャア「了解だ」
ララァ「フフフ……。当たって!」
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
アムロ「ああ……この、声」
セイラ「ううっ、何? プレッシャー……!」
クリス「何なの……歌!?」
カイ「くそっ、なんだ? 気持ちわりい……」
ハヤト「みんなは敏感に感じ取っているっていうのに! 僕は何も……!」
ジョブ・ジョン「重い雰囲気がある……!」
タカアキ「くそ~っ、発進はまだか!?」
アムロ「!! ミライさん、左12度!!」
ミライ「えっ!!? 左12度回頭ぉっ!」
ゴゴゴゴゴッ!!!!!!
フラウ「きゃあっ!」
ミライ「ううっ!」
ブライト「うおおっ! さっきの長距離ビームか……!」
マーカー「右翼、被弾! 損害軽微!」
オスカー「掠っただけですけど、すごい火力ですよ……!」
アムロ「敵のビームです! ララ……そう言ってる!」
セイラ「何者なの……!」
アムロ「きっと、僕たちは知ってるんだ……彼女を……!」
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
【次回予告】
圧倒的な攻撃の前に為す術もなく沈められていく連邦艦。
しかし、呼応するようにしてアムロ・レイの力は覚醒(めざ)めていく。
互角の戦いのさなか、新人類(ニュータイプ)が邂逅する。
機動戦士ガンダム、次回、『エルメスのララァ(後)』
君は、生き延びることが出来るか?
お待たせしました。
圧倒的「ラ・ラ……」でお送りいたしました。
ララァで文字数稼いでる……。
>>818-821
レスありがとうございまーす!
>>819
スレッガーさんはソロモンの病院に入院しました。すっかり書くの忘れてた……!
下半身付随になるか?と言われた中持ち直したってことで、時が未来に進めば復帰もありえそうですね(意味深)
>>821
シャアもアムロも肚は決まったようです。
乙
スレッガーさん、エゥーゴに入るのか(深読み)
乙
圧倒的ララ感
なんて冗談を言っていられないこの状況
こんなん普通に考えて勝てるわけが……
乙
ブライトさん、さらっと「アムロはセイラの部屋に……」とか言っちゃって
もう周知になってるのかな?
このスレのアムロは頼もしいな
精神的に安定してるからかな
──ホワイトベース級強襲揚陸艦『ホワイトベース』
オスカー「イツクシマから脱出したクルーが収容を求めています!」
ブライト「出来る限り拾い上げろ! 各艦に通達、まとまっても的になるだけだ、散開しろ!」
フラウ「伝えます! こちらホワイトベース、各艦散開してください! このままでは的になるだけです!」
ブライト「アムロ、先行してくれ! キャノン隊は甲板あがって狙撃体制!」
アムロ「了解! フラウ・ボゥ、いいかい!」
フラウ「進路クリアー、いつでもいいわ!」
アムロ「アムロ、行きます!」
『エルメスのララァ(後)』
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ララァ「白いモビルスーツが出たわ」
シャア「よし、ビットで狙撃してくれ」
ララァ「ええ、大佐」
シャア「私は前へ出る」
ララァ「大佐?」
シャア「囮だよ。私がやりあっているうちに奴を射抜け」
ララァ「危険です。私も前へ──」
シャア「駄目だ。さすがにこればかりは男の矜持というやつでな」
ララァ「……フフ、わかりました。私の想いが貴方を護るわ」
シャア「ありがとう。では、頼むぞ!」
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
アムロ「シャアを強く感じる! それに、この感覚……覚えてるぞ」
ラ・ラ……
少女『かわいそうな鳥……』
ラ・ラ……
少女『綺麗なものが、嫌いな人がいるかしら?』
ラ・ラ……
少女『……綺麗な目をしているのね』
ラ・ラ……
アムロ「僕はこの子を知っている……知ってたんだ」
ラ・ラ……
ラ・ラ……
少女『さようなら、アムロ』
ラ・ラ……
アムロ「ララァ」
ラ・ラ……
ララァ『私はララァ。ララァ・スン』
ラ・ラ……
アムロ「ララァ・スン」
キラッ……!
アムロ「!!」
脳裏に褐色の少女を思い浮かべながら体は自然に機体を操縦していた。
遠距離から迫るビームを鋭敏に感じ取り、何事もなかったように躱す。
アムロ「ララァか! 一発でも当たったらお釈迦だな」
AMBACを巧みに操り、踊るようにビームを避け続ける。
射撃の方向がそれぞれ違うことから、相手が遠隔操縦のビーム兵器を使っているであろうことは理解していた。
アムロ「前のジュウモンジみたいに、線で繋がってればいいのにさ!」
ビームの射撃位置を予測し、ライフルのトリガーを引く。
ドギュゥゥンッ!!
シャア「ンッ? ガンダムがビームを撃った?」
カッ!
シャア「何ッ……!? ビットを撃ち抜いたというのか!?」
遠距離から動き続けるビットを狙って墜とす。
そんな芸当、並みのエースパイロットでは出来やしない。
事実、このジオン公国軍随一のエースパイロットと自負する自分には出来なかった。
しかし、ガンダムのパイロットは違う。
スーパーエース……いや、ウルトラエースとでも言うべきか。
センス、技術、すべてが規格外なのだ。
やはり、何としても殺さなければならない。
奴は危険すぎる。
ギュンッ!!
シャア「ッ……!!」
しかし、相対したガンダム・アレックスを見た瞬間、悪寒が走った。
シャア・アズナブルは、このパイロットに恐怖していた。
ララァ「大佐!!」
シャア「はっ……!!」
ララァの呼び掛けに意識を呼び戻され、ゲルググの操縦桿を引く。
シャア「くっ、ガンダム……死んでもらおう!」
アムロ「シャア奴(め)……単機で来て勝てるつもりか!?」
ビーム・ライフルを左手に持ち替え、ビーム・サーベルを手に取る。
以前、二度も撃墜の好機を逃した。
今度こそはこの手で撃破してみせる。
アムロ「今日こそはその命、もらうぞ!」
憎いとは思わない。
ただ、自分の日常を破壊した要因で──なおかつ、自分の超えるべき壁であると認識しているのだ。
シャア・アズナブル。
赤い彗星を打ち破れば、自分は男になる。
アムロ「シャアッ!!」
ライフルを二連射。
ドギュゥンッ! ドギュゥゥンッ!!
キュバババッ、キュババババババババッ!!!
続いて、ゲルググが回避行動を取ったところへ頭部バルカン砲の雨を注ぐ。
アムロ「まだまだあっ!」
バルカン自体は60mmの小口径で対モビルスーツ火力も決して高くない。
しかし、それが雨霰のように降り注げば、たとえ重装甲の新モビルスーツでも堪らず怯むことをアムロは知っている。
アムロ「そこおっ!」
一気に距離を詰め、ビーム・サーベルを横一文字に薙ぐ。
それはゲルググの鼻先を掠め、さらに真後ろへ避けた相手に追撃の突きを見舞う。
これぞ必殺の一撃。
型としては定番ながら、完成された機動は相手に封じることを許さない。
シャア「ララァッ!! 殺れッ!!」
ヒュッ……!
アムロ「うわっ!?」
しかし、今度もまたシャアを屠るには足りなかった。
剣先はゲルググの胸部を抉ったが、両機の間をビットが横切って妨げたのである。
シャア「やれ……っ!」
そして機体が急制動で動けない中、ビットの砲口はアレックスのコクピットに狙いを定めた。
高速機動の中で小刻みな動きを織り込むのは不可能に近い。
一転、アムロは絶体絶命に陥った。
アムロ「や、やるしか……ないっ!!」
グイッ……!
アムロ「う……おおおおっ!!」
アムロ「アレックスは──伊達じゃない!!!」
グンッ!
ゴオオッ……!
バチッ、バチバチ……ッ!
機体各所に配されたスラスターが炎を噴き、フィールド・モーターが悲鳴を上げる。
ビーッ、ビーッ、ビーッ!
ギギギギッ、ギガガガッ!
各装甲材が不協和音を打ち鳴らし、コクピット内には警報音がけたたましく鳴り響いた。
ビギュゥーン!!
コクピットを狙った至近必殺の一撃を、アレックスの尋常ならざる出力で以て強引に躱した。
アムロの視界は真っ赤に染まり、身体の感覚は薄れている。
急激な加圧に肺は全ての空気を失い、心臓は今にも爆発せんばかりに脈動していた。
アムロ「──ゼッ……はっ……ぜっ……ぐっ……はあっ……はっ……うっ……」
ニヤリ
アムロ「……どうだ……これが、僕のガンダムだ……!」
ビーム・ライフルの砲口を、虚空に向ける。
ドギュゥゥゥゥンッ!
ララァ「……避けたと、いうの!?」
動揺が走った。
必殺必中の一撃を回避された。
実戦経験の少ないララァにとって、それは大きな衝撃だった。
思考回路が停止した瞬間、ガンダムのパイロットの思念が入り込んでくる。
「……どうだ……これが、僕のガンダムだ……!」
笑っていた。
アムロ・レイは、嗤っていた。
ドゴオォォッ!!
ララァ「あああっ!! 何っ!?」
ララァ「被弾したの!? な、何故……!」
ララァ「し、消火! ううっ、どうして……?」
ララァ「はっ……いけない! このままだとシャアが」
ララァ「シャアが──死ぬ!」
【次回予告】
アムロ・レイのニュータイプ能力は、ララァ・スンのそれを超越していた。
二人のニュータイプは互いを認識し、その思念は宇宙(そら)へ溶け合っていく。
機動戦士ガンダム、次回、『光る宇宙』
君は、生き延びることができるか?
今回はここまで。
>>839
深読みしすぎでしょw
でも続きを書くことになればそうなるかも。
>>840
今回も圧倒的ララ感でお送りしました。
ニュータイプは伊達じゃない。
>>841
「どうせセイラの部屋だ」みたいなニュアンスです。
>>532 でもブライトにバレてるし、みんなそれなりに察している感じを出したかったセリフでしたw
>>843
多分正統派の主人公になってます。
もう少し情緒不安定にしたいんですが機体が強すぎて……。
乙
よくバルカンの威力が軽視されるけど重装甲のリックドムをぶち抜いたりしてるし
もっと評価高くていいと思う
νガンダムに至って90mmと若干口径が大きくなった程度で
ギラドーガの頭とか関節部分を吹き飛ばしてるしな
実際90mmならHEAT弾とかAPDSFS弾とか使えるんじゃないの?
乙
このアムロはララァを殺しても引きずらなさそうだな
しかし戦いに楽しみを見出だしそうで別な意味で注意が必要そうだ……
>>856訂正
シャア「ララァッ!! 殺れッ!!」
ヒュンッ……!
アムロ「わっ!?」
しかし、今度もまたシャアを屠るには足りなかった。
剣先はゲルググの胸部を抉ったが、両機の間をビットが横切って妨げたのである。
眼前を何かが横切ることを察知して飛び退ったアムロは、敏感に殺意を感じ取った。
シャア「ははははっ……! これで終わりだっ!」
機体が急制動で動けない中、ビットの砲口はアレックスのコクピットに狙いを定めていたのだ。
中空でピタリと制動をかけ、装甲板を1枚挟んで敵意が存在している。
高速機動の中で小刻みな動きを織り込むのは不可能に近い。
どれだけ高機動な機体でも、加速は優れても小回りは利きにくいものである。
それはアレックスとて変わらず。
一転してアムロは絶体絶命の危機に陥った。
訂正ついでのレス返し
>>865
まぁ60っていうと小さく感じますけどね、6cmの機銃弾ってバカデカイですよね。
>>866
90mmっていうとジムのライフルと同口径……恐ろしいです
>>868
戦車の主砲クラスですよね。
>>869
それを止める為に立ち上がるシャア、とかアリそうですね。
でもこのアムロは、戦いは武器を持った者の義務・責務のように考えている風に描きたいです。
そろそろ続き書きます。
明日くらいかな?
なんかよくわからない書き込みでageられててワロッタ。
カガリの濡れたストライクルージュ。
明日とは一体…と思ったけど
よく見たら続きを書きますとは言ってるけど投下するとは言ってなかった
ララァ「いけない! このままだとシャアが──」
ララァ「シャアが、死ぬ!」
ララァ「あの人を死なせてはいけない……! 私を掬い取ってくれたあの人だけは」
キィィィン……
ララァ「ううっ、頭が痛い……! 誰かが私に入ってこようとしているの……!?」
『光る宇宙』
シャア「馬鹿な、あの必殺の連携攻撃をいなしたというのか!」
シャア「ちいっ、機体がダメージを負ったか? 胸部冷却装置が不調を訴えているな」
コクピット内には、先程アレックスに斬られた胸部のダメージを告げる警報音が鳴り響いている。
シャア「作戦行動時間が12%減少……システムに異常はないか」
シャア「つまり、早くガンダムを墜とせということだろ? やってやるさ」
アレックスをカメラに捉え、口角を釣り上げる。
先程の超機動でオーバーヒートを起こしているらしく、機体が動いていない。
サーマルセンサーでは異常熱源であると認識されている。
ブオォォンッ!
シャア「ガンダムのパイロットの能力は拡大しつつある、圧倒的に!」
ビーム・ナギナタを抜刀し、アレックスに接近する。
ゴオッ!!
シャア「死ねぇっ!」
シャア「ハッ!?」
ティキリリン!
ビシュンッ! ビシュンッ!
光線が空間を裂き、ゲルググの動きを制する。
セイラ「やらせるものですか!」
アムロ「セイラさんか! 今の内にシステムを──」
セイラ「アムロ、無事!?」
アムロ「ええ、助かりました。でも、これでっ」
ヴンッ!!
アムロ「システム回復! あとは各部の冷却さえできれば……っ」
ティキリリリン!!
ビシュン!
アムロ「ちっ、今度はララァか!」
虚空から放たれたビームを察知し、身を捩って躱す。
そのビームに付随するように、アムロの頭を鈍い痛みが襲った。
アムロ「ううっ、なんだ、この感覚は……!?」
ラ・ラ……
ラ・ラ……
ラ・ラ……
アムロ「ハッ……!」
ティキリリィーンッ!!
ララァ『やっぱり……、アムロなのね』
アムロ『……そういう君は、やっぱりララァだ……!』
ララァ『綺麗な瞳をした、アムロ』
アムロ『っ、ララァなら何故戦う! 僕の瞳を綺麗と言ってくれた君ならば、何故!』
ララァ『シャアを、傷つけるから』
アムロ『な、に?』
ララァ『シャアを傷つける、いけない人!』
ビシュンッ!
アムロ「うわあっ! ラ、ララァは僕を殺す気でいる……っ!!」
ララァ『あなたの力が示している。……あなたを殺さねば、シャアが死ぬ』
アムロ『そ、そんな? シャアの為……?』
ララァ『あなたが来るのが遅すぎたのよ……!』
アムロ『遅すぎた?』
ララァ『何故、今になって現れたの? どうして、どうしてそんなにまで戦えるの?』
ラ・ラ……
ラ・ラ……
セイラ「ううっ? い、いけないわ、アムロ……。それは、いけない……!」
シャア「な、なんだ? ララァはどうして動かない! 何が起きている!?」
ララァ『あなたには、守るべき人も守るべきものもないのに!!』
アムロ『守るべきものが、ない?』
ララァ『私には見える。あなたには家族だって故郷だって──』
アムロ『母さんとは離別したが、親父は違うっ! それにホワイトベースの皆を守る為に、僕は──』
ララァ『それは不自然なのよ! たとえお父さんが無事だって、故郷もなくしてただ寝食を共にしただけの人達の為にどうしてそこまで戦えるというの!?』
アムロ『では、ララァは何だというんだ!』
ララァ『私は、私を掬ってくれた人の為に戦っている!』
アムロ『掬ってくれた?』
ララァ『薄汚れた売春宿で落ちぶれていた私の様な女を、大佐は掬い上げてくださった。闇の中から救ってくださったわ!』
アムロ『シャアが、ララァを』
ララァ『それが人の生きる為の真理よ!』
アムロ『ならば、僕達のこの出会いは何だ!?』
ララァ『ああっ……これも、これも運命なの、アムロっ?』
アムロ『ああ、そうだ。僕はそう思う、これは運命だって』
ララァ『何故、何故なの? これが運命だなんて──』
アムロ『だが認めなくちゃならないんだ。ララァ、目を開いて──翡翠の瞳のララァ』
ララァ『そうなの、そうなのかしら? ああっ、アムロ──綺麗な瞳のアムロ』
ミライ「うう、アムロ……それ以上はいけない……」
セイラ「アムロ……!」
シャア「……ハッ、感応し合っているというのか!?」
セイラ「アムロ、駄目よ……!」
シャア「チイッ、冗談ではない! 貴様の相手をしている場合か!」
ビシュンッ!
セイラ「ああーっ!!」
シャア「どけっ!」
ララァ『でも、どうして……なんで今になって』
アムロ『それが、ヒトの背負った宿命なんだろうな』
ララァ『ああっ』
アムロ「──ムッ!?」
ティキリリィン!!
ビシュウンッ!!
シャア「ララァ、奴との戯言はやめろッ!!」
いつしか向き合って静止していたアレックスとエルメスの間を、ゲルググが放ったビームが貫く。
アムロ「くそ、シャア奴(め)……!」
そこに追い縋るようにセイラのジムがゲルググを牽制し続ける。
セイラ「くっ!! 兄さん、下がって……あなたもニュータイプなら私をわかるでしょうに!」
ゲルググの蹴りがジムの肩を衝く。
セイラ「ああっ……!」
アムロ「セイラさん、ここは危険だ……下がって!」
シャア「ええい、邪魔な! WB-006……? 貴様はソロモンにもいたな!」
二度に亘っての邪魔立てに、シャア・アズナブルは憤怒した。
シャア「そんな機動性で、この赤い彗星を止められると思ったのか!?」
デブリを蹴り跳躍、バランスの崩れたジムへと一瞬で接近する。
距離を詰め、ビーム・ナギナタを振りかぶり──
ララァ「大佐っ、いけない!!」
シャア「っ!?」
ビーム・ナギナタの切っ先はジムのコクピット・ハッチを掠める。
鋭利な刃はハッチを抉り、セイラの身を宇宙に露わとした。
シャア「なっ、アルテイシアか!?」
シャア(ならば、私は前にアルテイシアを殺しかけたという……そういうことなのか?)
シャア「ちっ、何故今更迷う……! 私は……!」
アムロ「シャアっ、覚悟おおっ!!」
アレックスがゲルググに突進する。
気の迷いを見せたシャアを敏感に感じ取り、これは好機と躍りかかった。
ビーム・サーベルの切っ先はゲルググに迫り、そして──
ララァ「シャアっ!!」
シャア「ララァっ!?」
アムロ「なにっ!?」
ララァ「きゃあぁぁ───────────ッ!!!!」
ゲルググを押しのけたエルメスに深々と突き刺さった。
先程まで感じていたララァの思念が一瞬にして宇宙(そら)へと溶け出す。
アムロ「あっ、ああ……ああああっ!!」
<BGM:ビギニング(Piano Ver.) https://youtu.be/1NDjKi4A-Jw >
ララァ『人は変わっていくものね。私達と同じように』
アムロ『ラ、ララァ……。そうさ、ララァの言う通りだよ』
ララァ『アムロは本当に信じて?』
アムロ『し、信じるさ……』
ララァ『ほんと?』
アムロ『本当だよ……き、君とだってこうして解り合えたんだから』
アムロ『ヒトはいつか時間だって支配することができるさ……』
ララァ『ああ、アムロ』
アムロ「ララァっ!」
ララァ『刻(とき)がみえる──』
アムロ「ううっ……俺は取り返しのつかないことを、してしまった……ララァ……!」
シャア「……アムロ、だと? ララァは、ガンダムのパイロットと……共鳴していた……?」
シャア「くそっ、だったら何だという!!」
イリーナ「大佐っ、ご無事か!?」
シャア「……ああ」
イリーナ「敵の攻撃が激しくなってきました。ララァ少尉は!?」
シャア「!! ……ララァは、ララァは死んだ」
イリーナ「何っ!? そ、そんな!」
シャア「撤退……撤退する!」
イリーナ「り、了解……!」
シャア(ララァっ……! 私を導いてくれ……!)
──ホワイトベース級強襲揚陸艦・ホワイトベース
フラウ「アレックス、着艦しました! ジム6番機は中破!」
ブライト「うむ……敵のモビルスーツ隊はこっちが押し返したが、ひどい損害だな。空母を1隻と巡洋艦を3隻も欠くとは」
ミライ「アムロがあのトンガリボウシを落としてくれなかったらと思うと……」
ブライト「ああ、ぞっとしないよ」
オスカー「ブライト艦長、周辺宙域の精査完了しました」
マーカー「クリアーです。敵影ナシ」
ブライト「ン、全艦第一種戦闘配置解除!」
フラウ「全艦、戦闘配置解除! 通常配置に戻ってください!」
フラウ「……あ、サラミス級スルガから通信です」
ヘンケン『こちらスルガ艦長、ヘンケン・ベッケナー少佐。貴艦の救援に第203哨戒中隊を代表して感謝する』
ブライト「ホワイトベース艦長ブライト・ノア少佐です。……我々はできることをやったまでです」
ヘンケン『ホワイトベースだから出来たことだろう。それはそれとして、作戦司令部から通達だ』
ブライト「司令部から?」
ヘンケン『ああ。第203哨戒中隊はホワイトベースと共にJ・A・レビル将軍率いる宇宙連合艦隊に合流せよ、と』
ブライト「フラウ、こちらには届いているか?」
フラウ「えーっと……はい、先程の戦闘中に受信していた模様です。第203哨戒中隊、第204哨戒中隊を伴い、J・A・レビル将軍率いる艦隊と合流せよとのこと」
ブライト「了解した。ではヘンケン少佐、ホワイトベースは針路を変更し、まずは第204哨戒中隊との合流を図ります。随行願います」
ヘンケン『了解した。203中隊、随行する』
ブライト(……実質のところはお守りだな、こりゃあ)
──数分後
──ホワイトベース、パイロット個室
アムロ「うっ……うう……」
ビビーッ
アムロ「……? はい……」
ブライト『寝てたか? すまない』
アムロ「いえ、大丈夫です」
ブライト『本艦はこれより、第203哨戒中隊・第204哨戒中隊と共にレビル将軍の連合艦隊との合流を図る。おそらくア・バオア・クー攻めだ』
アムロ「また、激しい戦いになるんですね」
ブライト『ああ、連日の激戦での疲労を癒す余裕もなくて、すまないと思っている……』
アムロ「大丈夫です、戦えますから」
ブライト『……無理はするなよ。お前、顔色悪いぞ』
アムロ「……はい、じゃあちょっと、休みます」
ブライト『ああ、邪魔した。また用事があれば連絡させてもらうよ』
アムロ「はい」
ハロ「アムロ、アムロ」
アムロ「ハロ」
ハロ「アムロ、ドウシタ」
アムロ「な、ハロ。大丈夫だろ、僕」
ハロ「アムロ、ノウハレベル、ユウリョウ、ユウリョウ」
アムロ「はは、ありがと……」
ハロ「…………」
アムロ「うう……ララァ……どうして……うぅ」
──ホワイトベース、居住区通路
セイラ「……アムロ……」
【次回予告】
遂に立場も人種も超え、ふたりのニュータイプは宇宙に溶け合った。
しかし突然訪れた別れにアムロはただ茫然とし、シャアもまた深い悲しみに暮れる。
所変わって月の裏側では、憎しみの光が蠢いていた。
機動戦士ガンダム、次回、『光と人の渦』
君は、生き延びることができるか?
以上ここまで!
途中で寝落ちしちゃいました。
>>877
実際投下するつもりだったのに1週間以上もかかってしまった
申し訳ないです……(土下座)
乙
圧倒的ララ感もここまでか……
>>904
ララァを活かすにはシャアが追い詰められない必要があったんですけど、シャアが追い詰められない絵が浮かばなくって……
今晩投下予定ですage
『アレックス、大地に立つ』を29話目と考えると、『光と人の渦』は55話目
SS1話区切りだとアニメを文章に起こすより短くなるとはいえ、大筋は変わってないのに原作より長く……ムムム
申し訳ない
いつもは3000文字~4000文字で収めるようにしているのですが、どうしても今回6000字を超えそうなので校正を行っていたら寝落ちの繰り返しで……。
ちゃんとご報告すべきでしたね。
今晩には間違いなく投下します。
──宇宙世紀0079年12月26日、標準時6時22分
──ホワイトベース、ブリッジ
ブライト「ううん……」
ミライ「どうしたの、ブライト?」
ブライト「本隊との合流時間に遅れそうだ。後ろのサラミスが付いてこれるかな?」
ミライ「確かに、このままだと今日中に合流ポイントへの到着は厳しそうね」
ブライト「作戦指令には同行しろとあるが、間に合わんか」
ミライ「でもこのままじゃ作戦への合流に支障が出るわ」
ブライト「うーむ。作戦指示通りにいきたいところだが、仕方ないか」
ミライ「無理ね。先行しましょう」
ブライト「しかし、大丈夫だろうか?」
ミライ「大丈夫よ、ジオンの勢力圏からは脱したわ。パトロール艦隊程度なら彼らでも片付けられるでしょうし」
ブライト「まぁ、敵の大艦隊は既にグラナダとア・バオア・クーに集まってる頃合いか」
ミライ「そういうこと。それにアムロに対抗できるニュータイプもいなくなったから」
ブライト「よしわかった、スルガに通信繋いでくれ」
バンマス「了解です。応答アリ、回線開きます」
ヘンケン『やあ、少佐。どういった用かな?』
『光と人の渦』
──同刻
──宇宙コロニー群・サイド3・1バンチコロニー『ズム・シティ』
ギレン「我がジオン本国にとって、月のグラナダとア・バオア・クー要塞は最終防衛線であります。連邦は三つのコースからの進攻が予想されましょう」
デギン「うむ」
手に持ったタブレット端末に映した情報をデギンに提示する。
そこには、地球圏の宇宙図に書き込まれた連邦軍の進攻ルートが記されていた。
ギレン「ここを突破されてしまえばサイド3は裸同然──。その前にソーラ・レイ・システムによって侵攻する連邦主力艦隊を掃討します」
デギン「ソーラ・レイ、か……」
ギレン「既に技術開発並びに『マハル』の住民疎開は完了しております」
デギン「うむ。しかしなギレン……千万の一般国民を疎開させるということ、これは軍人の無能を示すことぞ」
ギレン「私を前にしてそれを仰るか」
デギン「儂とて公王政を敷いた男。貴公の軍政こそ支持しておれ、全てを評価するわけではない」
ギレン「ふっ、それも良いでしょう。続いてこちらをご覧ください」
デギン「軍政は貴公にやらせると言った。細かいことはもういい」
ギレン「では、サインを頂戴したく。ああ、資金の心配はございません。コロニーを再利用する為、非常に安価に仕上がりますからな」
デギンがタッチペンでサインする。
もはや実権はギレンが握っており、デギンのサインに大きな意味はない。
デギン「──こうまでして、勝ってどうしようというのだ、ギレン」
ギレン「わかりきったことを」
デギン「…………」
ギレン「父上あってのジオン公国ですから、まずは本土の防衛に必死なだけです」
デギン「それで、その後のことを聞いている」
ギレン「どうするか、と? せっかく減った人口です、これ以上増やすことなくコントロールに努めます。我々優良種による優良種の為の優良種の恒久的平和を築く為、ザビ家独裁による世界平和です」
デギン「なるほどな、貴公はアドルフ・ヒトラーを知っておるか」
ギレン「んん、藪から棒に何を? ヒトラー? 中世期の人物ですか」
デギン「うむ、そのヒトラーで間違いない」
ギレン「確か世界大戦期の独裁者でしたな。そのヒトラーがどうか」
デギン「ああ。世界を読みきれなかった男だ。貴公はそのヒトラーの尻尾だな」
ギレン「私が?」
デギン「儂は同志ジオンが病死してから、急ぎ国を纏める為に公王制を敷いた。いずれジオンの理想を実現する為に必要なことだったと自認しておる」
ギレン「それをヒトラーの尻尾たる私が独裁制に持ち込んだ、と?」
デギン「貴公の妹も一緒にな」
ギレン「ふん、父上の娘でしょうに。絶対民主制は連邦のような軟弱な組織を生み、人類種全体の衰退を招きます。次第に食い合いになって──そう、此度の戦争のようにね」
デギン「そうだ、此度の大戦でどれだけの命が喪われたか。それでも続けるというのか」
ギレン「今更やめられますまい? ま、勝ってみせます。ヒトラーの尻尾の戦いぶり、とくとご覧あれ」
デギン「ヒトラーは、敗北し自害したのだぞ……!」
ギレン「解っておりますとも。ヒトラーの尻尾が本体を越えようと言っている。では、私はア・バオア・クーにて指揮を執りますのでこれにて」
デギン「できるものかよ……なぁ、ガルマ……」
──同日、8時25分
──グワジン級大型戦艦『グワジン』、総帥執務室
セシリア「閣下、デギン公王陛下のグレート・デギンが発進したと」
ギレン「うん、泳がせておけ」
セシリア「よろしいのですか?」
ギレン「構わん。今更何ができる」
セシリア「かしこまりました」
ギレン「老いたな、父上も。既に遅いというのだが」
ギレン(しかし、アドルフ・ヒトラーは娘ほどの年頃の女と恋仲にあったというが──)
ギレン「……ふむ、私も似たようなものか」
セシリア「──あの、閣下? どうかなさいましたか?」
ギレン「フフ、いや何でもない」
セシリア「?」
ギレン「セシリア、君は確かこの間誕生日を迎えていたと思うが……幾つになったのだったか」
セシリア「えぇ? 20歳になりました」
ギレン「そうか、20歳……若くして優秀、その上眉目秀麗とは、改めて君のような秘書官を得たことを幸せに思うよ」
セシリア「そ、そんな。閣下こそ、45歳とお若くして……」
ギレン「本当にいい……いい女だな、君は」
セシリア「い、いけませんわ、閣下……そ、そこはっ、はあっ……」
ギレン「たまにはいいものだろう、こんな部屋で、朝から……ん」
セシリア「ん、あぁっ……ギレン閣下ぁぁっ……」
──同日、17時12分
──ホワイトベース、船室
アムロ「はっ……寝てたのか?」
アムロ(ララァが死んで、それからずっと寝ていたのか)
ピキィィン!!
アムロ「な、なんだ? 敵意が渦巻いている?」
──同日、19時08分
──宇宙要塞ア・バオア・クー周辺宙域
──グワジン、総帥執務室
セシリア「……か、閣下」
ギレン「ん、なんだ」
セシリア「ぎ、技術部のアサクラ大佐からです」
ギレン「よし、繋げ」
アサクラ『報告します。ソーラ・レイ・システムは稼働体制に入りました』
ギレン「うむ」
アサクラ『ご命令あらば、二時間後には射撃用意が整います。……ただ──』
ギレン「なんだ、続けたまえ」
アサクラ『は、臨界透過膜と偏光ミラーが実用テスト用の1セットのみですので、ソーラ・レイ・システムの使用は一度しかできません』
ギレン「何? 能力は予定通り出るのか」
アサクラ『はい。3秒間の連続照射と、その間の12度の角度変更が可能です』
ギレン「よくわかった。準備は万全に頼むぞ」
アサクラ『は!』
──超グワジン級『グレート・デギン』、玉座
側近「陛下、ソーラ・レイ・システムの準備はあと2時間ほどで整うとか。同志から秘匿回線で連絡がありました」
デギン「早いな……最高速で急がせよ。ギレンは儂を消そうとするはずだ」
側近「ですが、たといギレン閣下といえど、実父である陛下を……」
デギン「グレイム・トトよ。ギレンはそういう男だ」
グレイム「……畏まりました。妨害工作も行うよう指示しておきます」
デギン「うむ、頼んだ」
──同日、20時19分
──ホワイトベース、ブリッジ
オスカー「このまま巡航速度でいけば、明日の早朝には主力艦隊と合流できそうです」
ブライト「そうか。ミライが戻ったらフムラウはジョブ・ジョンと交代、人が足りなくて悪いが、もう少しの辛抱だ」
フムラウ「了解です」
マーカー「あれ? こちらに接近する艦影。結構遠いですけど……大きいな」
オスカー「識別は?」
マーカー「敵味方識別信号、なし。こちらに通信を求めています」
ブライト「……民間船舶か?」
マーカー「艦籍番号照合……とれました。BB-37 超グワジン級大型戦艦『グレート・デギン』です……!」
ブライト「デ、デギン・ザビ……だと?」
バンマス「通信回線……どうしますか」
ブライト「……て、敵意があれば……こちらと話をしようとは思わんだろ……通信、開け」
バンマス「り、了解」
グレイム『おお、通じた! 私はデギン・ソド・ザビ公王陛下の従者、グレイム・トトでございます』
ブライト「……自分は、ホワイトベース艦長ブライト・ノア少佐であります」
グレイム『実は、公王陛下たってのお願いがあって、貴艦を探していたのです』
ブライト「そういう話は、通信回線を使ってするもんじゃないと理解していたのですが」
グレイム『おお、これはご無礼を……。こちらから出向かせていただきますので、着艦許可を頂きたい所存』
ブライト「武装解除してなけりゃ、撃ち落としますからね」
──ホワイトベース、甲板
オムル「オーライ、オーライ!」
カイ「っひゃー。あれが公王サマのお使いっていう?」
タカアキ「ああ、らしいぜ。どうなるんだろうなあ、俺達」
カイ「どうって?」
タカアキ「だって、敵軍の王サマと繋がっちまったんだぜ」
カイ「……俺達がやるこたぁ、変わんないんじゃないの」
タカアキ「……案外、そういうもんかね」
グレイム「武装の封印の確認をして頂きたく。こちらが資料、MS-17 ガルバルディであります」
オムル「了解しました。お前ら、客人を待たせちゃならねえぞ!」
ハワド「了解!」
カル「あいよ! 動け動け~!」
マクシミリアン「スラスターも封印しないといけないの、これぇ?」
オムル「当たり前だろ、マックス動け!」
マクシミリアン「へ、へぇ~い!」
オムル「チェック完了。後は中尉に引き継ぎます」
クリス「了解。……お待たせしました。私はクルーのクリスチーナ・マッケンジー中尉です」
ジョブ・ジョン「同じく、ジョブ・ジョン少尉であります」
グレイム「おお、なんと可憐な……。わたくしはデギン・ソド・ザビ公王親衛隊長官、グレイム・トト中佐であります。ご案内頂けますか」
クリス「ええ。一応、再三ですがボディチェックだけ」
グレアム「どうぞ」
ジョブ・ジョン「じゃあ、失礼しますよ、と……」
──艦長室
クリス「マッケンジー中尉、入ります」
ブライト「入って、どうぞ」
プシュ
クリス「どうぞ、こちらへ。では自分は外で待機します」
グレイム「えぇ、どうも」
ブライト「ご苦労様、中尉」
グレイム「先程はご無礼を。デギン・ザビ親衛隊長官、グレイム・トト中佐であります。以後、お見知りおきを」
ブライト「艦長のブライト・ノア少佐です。こちらこそ、どうぞよろしく」
グレイム「この艦は若い方が多いのですな。少佐もずいぶんとお若くていらっしゃる」
ブライト「ええ、まぁ……正規の士官はごく少数です。あれよあれよと自分も気が付けば」
グレイム「聞きしに勝るご活躍だと」
ブライト「そりゃあどうも。それで、お話とは?」
グレイム「はい、デギン陛下は憂いておられるのです。長子・ギレン様の暴走を」
ブライト「はあ、そりゃあ……はい……」
グレイム「今、新開発された大口径長距離レーザー砲が連邦軍の主力艦隊が結集する時を待っています」
ブライト「……そ、それは真ですか」
パサッ
グレイム「こちらの資料をご覧ください」
ブライト「コロニー・マハル……?」
グレイム「ええ。サイド3の3バンチ・コロニー『マハル』です。技術部は、これを巨大な砲身としてそのまま利用する『コロニー・レーザー』を発明したのです」
グレイム・トトが見せた資料には、アサクラ大佐がまとめたソーラ・レイ・システムの概要が記されていた。
グレイム「その名も『ソーラ・レイ・システム』。資料ではおよそ3秒間の連続照射と、その間の12度の角度変更が可能となっています。これで艦隊を薙ぎ払うつもりなのです」
ブライト「そ、それが本当なら大変だ……!」
グレイム「グレート・デギンはこれより月に向かいます。デギン公王にもしものことがあれば大変ですので」
ブライト「グレイム中佐は?」
グレアム「そこです。私をレビル将軍に引き合わせ願いたいのです」
ブライト「……努力、しましょう。それで、発射までどれほどの時間があるのですか」
グレアム「おそらく、1時間少々。同志が工作活動を行っていますが、それも多少の妨害にしかならないでしょう」
ブライト「間に合うのか……?」
ピピッ
ブライト「ブリッジ、聞こえるか」
オスカー『聞こえてます』
ブライト「レビル将軍と連絡を取りたい。長距離通信使えるか」
オスカー『うーん、ノイズ入りそうですけど、音声通信できそうです』
ブライト「よし、わかった。まずはグレート・デギンと通信開いてくれ。あと、ミライに最大戦速でレビル艦隊を目指せ、と」
オスカー『了解。通信、そっちに回します。ミライさぁん!──』
親衛隊『こちらグレート・デギン。如何なさいましたか、ブライト少佐』
ブライト「こちらで話は付きました。我々はこれよりレビル将軍の下へ急行します」
グレイム「グレート・デギンは予定通り月へ。なるべく戦闘にはならんよう厳重警戒で行けよ」
親衛隊『了解しました。……御無事で』
グレイム「ありがとう。公王陛下にもよろしく伝えて──」
デギン『ここにおる。……ブライト・ノア少佐でしたかな』
ブライト「!? は、はい」
デギン『どうか、どうか愚息の蛮行が果たされないよう、祈っております。レビル将軍に、よろしく』
ブライト「……ホワイトベースに、お任せください。きっとこの任務、果たして見せます」
デギン『心強い……ガルマも報われよう。では、グレイム・トトよ、そちらは任せた』
グレイム「はっ!」
ピポッ
ブライト「……ま、まさかデギン・ザビ本人が出てくるとは」
グレイム「お体を悪くしておられて、あまりブリッジには上がらないのですが……」
ブライト「だが……ああ言われたからにゃ、やり遂げないと。ブリッジに上がります、同行願います」
──同日20時36分
──ホワイトベース、ブリッジ
ブライト「こちらはホワイトベース。急ぎの用件で、レビル将軍にお話が」
スチュアート『ブライト少佐? 長距離通信とはまた……まずは私が聞こうか』
ブライト「……敵の新兵器についてです」
スチュアート『何? 例の、敵のエスパー部隊か?』
ブライト「いえ、もっと恐ろしい……」
スチュアート『何だ、要領を得ないな。レビル将軍は現在お休みになられている、話は私が伝える』
ブライト「……わかりました。ギレン・ザビはサイド3の3バンチ・コロニー『マハル』を改造した大口径長距離レーザー砲『ソーラ・レイ・システム』を開発したとのことです」
スチュアート『それは真か? そんな話はこちらには入っていないが』
ブライト「信頼できる情報筋からです。……将軍に直接お伝えしたい程の」
スチュアート『……ふむ。貴官が嘘をつくとは思わんが……レビル将軍の補佐である私には話せんか』
ブライト「信じて頂けますか」
スチュアート『話による』
ブライト「…………デギン・ザビ……です……」
スチュアート『…………は?』
──同日、21時18分
──グワジン級大型戦艦『グワジン』、総帥執務室
セシリア「閣下、アサクラ大佐から通信です」
ギレン「うん、繋げ」
アサクラ『閣下、現在何者かによる妨害活動が行われており……こちら側の技術者に何名か負傷者が』
ギレン「準備に遅れは?」
アサクラ『最終シークエンスが強制中断されましたので、1時間程頂きたく』
ギレン「ふむ……なるべく早く片付けろ。戦力は足りるか」
アサクラ『ええ、海兵隊がうまくやっております』
ギレン「海兵隊? シーマ少佐だったか」
アサクラ『は。準備が整い次第、またご連絡いたします』
ギレン「うむ、急げよ」
──先刻
──バーミンガム級戦艦一番艦『バーミンガム』、通常ブリッジ
スチュアート「今、何と」
ブライト『デギン・ソド・ザビ公王本人からの、直接の情報提供がありました』
ザワッ……
スチュアート「な、何……!?」
ブリッジ勤務の士官らがざわつく。
それもそうだろう、今目の前の大型ディスプレイに映し出されている若い少佐が語った突飛な話を、そう易々と信じるわけにもいくまい。
スチュアート「しょ、証拠は」
グレイム『ここに』
スチュアート「き、貴殿は」
ブライト『こちらはデギン・ザビ親衛隊長官、グレイム・トト中佐です』
グレイム『スチュアート・ローリンス中佐殿。急ぎ、ヨハン・エイブラムス・レビル将軍に取り次ぎ願いたいのです』
画面に映ったジオン軍服の壮年の男は厳しい顔で語る。
グレイム『ソーラ・レイ・システムによって貴殿ら地球連邦軍主力艦隊が狙われている。集結次第、狙撃されることでしょう』
スチュアート「…………!! お、おい! レビル将軍を起こしてこい!」
士官「え、ええ!?」
スチュアート「今ここで聞いた話は部外秘、口外を禁ずる! 第一作戦室にレビル将軍をお呼びしろ! 少佐、通信は切るなよ!」
ブライト『はっ』
スチュアート「通信回線を第一作戦室に回せ! こっちで盗聴しようもんなら宇宙に放り出すからな!」
士官「は、はっ!」
──同日、21時40分
──月軌道上
──チベ級ティベ型重巡洋艦『グラーフ・ツェッペリン』、ブリッジ
ヘルシング「ア・バオア・クーへはどれほどで着きそうか」
副官「まだ暫く、としか。1日はかかりそうです」
ヘルシング「艦は無傷とはいえ、部隊も傷んでいるからな……連邦を避けてとなるとそうもなる」
マリガン「ええ、モビルスーツも大佐のゲルググ以外はほぼ無事とは言え」
ヘルシング「うむ……奴にも困ったもんだ、あれほどまでにあの小娘に入れ込んでいたとは」
士官「大佐!」
ヘルシング「ん?」
士官「ア・バオア・クーのギレン総帥より特命であります!」
ヘルシング「何だ!」
士官「連邦軍主力艦隊はア・バオア・クーへ侵攻しつつあり、ソーラ・レイのルート上のシオン艦隊はすべて退避、作戦タイム2205」
ヘルシング「ソーラ・レイ? 何だい、そりゃ」
副官「それに急過ぎますなぁ」
士官「ま、まったく詳細は……ですが、ルートは提示されています。ゲル・ドルバ照準」
副官「照準ってことは、長距離砲撃ですかねえ? ──って、ゲル・ドルバ!?」
マリガン「ゲル・ドルバだって!? ……まずいですよ、ヘルシング大佐……!」
副官「ゲル・ドルバって……まっすぐこっちでしょ!」
ヘルシング「へ、へへへ……このままじゃあ、俺達ゃ宇宙の藻屑かね」
副官「面ォ舵ィー! 一杯でこの宙域を離脱、ソーラ・レイの射線から離脱しろ!」
──同日、21時59分
──ポイント『ゲル・ドルバ』
レビル将軍が指揮する地球連邦軍艦隊はア・バオア・クーへと向かう第三戦闘ライン上に集結しつつあった。ここに至って、レビル将軍は全軍に指令を発する。
レビル「全艦に通達する。攻撃目標、敵宇宙要塞ア・バオア・クー!」
そして付け加えて──
レビル「全艦、取り舵第一戦速! ア・バオア・クーに正対し、ア・バオア・クーへ侵攻する! 星一号作戦、開始!」
──ホワイトベース、ブリッジ
ブライト「取り舵ィ! やれることはやった、あとはなるようになれだ!」
ミライ「取り舵!」
──同刻、ア・バオア・クー司令室
ギレン「ア・バオア・クーのギレンである」
ギレン「ソーラ・レイ・システムの最終目標を伝える」
ギレン「敵のレビル艦隊の主力は三分されているものの、事前観測情報によれば、ソーラ・レイをゲル・ドルバ照準に合わせれば敵艦隊のおよそ3割を仕留められるはずである」
ギレン・ザビが左手を振り翳す。
ギレン「ソーラ・レイ・システム、スタンバイ!」
──ソーラ・レイ・システム、コントロール艦ブリッジ
アサクラ「ソーラ・レイ・システム、スタンバイ!」
技術士官A「発電システム異常なし!」
技術士官B「マイクロウェーブ送電良好!」
技術士官A「出力8500ギルガワット・パー・アワー!」
アサクラ「照射角調整! ダウン012、ライト0032」
技術士官A「基本ターゲット、ゲル・ドルバ」
アサクラ「825発電システムのムサイ、後退しろ! 影を落とすと出力が落ちる!」
技術士官A「照射用意、完了!」
アサクラ「総帥、用意が整いました」
ギレン『うむ。……ソーラ・レイ・システム、照射』
アサクラ「照射!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
かつての3バンチ・コロニー『マハル』が黄金の光線を吐き出し、虚空を明るく照らす。
太陽光をレーザーと転化した殺戮兵器が咆哮した。
──ホワイトベース、ブリッジ
フラウ「きゃああっ!!」
クリス「な、何なの、あれ!」
アムロ「ああっ、感じる! 光と人の渦が、と……溶けていく! あ、あれは、宇宙に散った人々の無念を呑んだ、憎しみの光だ……!」
セイラ「に、憎しみの光!?」
ビーッビーッ!
ブライト「ぐうう……! 被害状況知らせ!」
オスカー「ホワイトベースに大きな異常は出ていません! ただ電磁波により通信障害が出ている模様!」
マーカー「ミノフスキー粒子の立体構造に異常がある模様。レーザー通信もミノフスキー通信も届いてません!」
ブライト「何!? 機関部は大丈夫なのか、アダムス機関長!」
アダムス『おう、こちら機関部、異常ナァシ! どうやら中の粒子には影響していないようだ!』
ブライト「よ、よおし、航行やめるな!」
マーカー「主力艦隊に大きな被害は出ていませんが──」
オスカー「遅れていた203・204哨戒中隊を始めとして、いくつかの小艦隊が呑まれた模様! 安否確認できず!」
ブライト「くそ! ヘンケン少佐……!」
グレイム「レビル将軍は、無事なのですか!」
ブライト「まだ確認は、取れませんが……!」
レビル『バーミンガムから全艦! 今の攻撃は、ジオン軍の新兵器によるものだ! 戦いの火蓋は切って落とされた。ア・バオア・クーに侵攻せよ!!』
グレイム「お、おぉ……っ!」
ブライト「聞いての通りだ! 第一戦闘配置! モビルスーツパイロット、スタンバっておけ!」
クリス「り、了解! 行くわよ!」
ララァ『フフ……歴史が、変わったわ』
【次回予告】
ギレンの野望が宇宙を照らすが、神の悪戯か失敗する。
生き残った地球連邦軍はレビル将軍の下、最後の攻勢に打って出る。
シャアは再起し、アムロもまた、ララァを追って。
機動戦士ガンダム、次回、『宇宙要塞ア・バオア・クー(前編)』
君は、生き延びることができるか?
いつもの2.5倍ほどの量でお送りしました。
お待たせして申し訳ない。
もはや『アムロ「アレックスは伊達じゃない!」』というよりは
『ララァ「アムロを利用して歴史を変えたい」』みたいな感じになってきてますね……。
ブレてるなぁ、相変わらず。
グレイム・トト中佐は完全にオリキャラです。
名前でお気付きとはおもいますが、グレミー・トトの養父にあたります。
Glemy Toto→Gleym Toto
というほんのちょっとしたアナグラムみたいにしてみました。
また、スチュアート中佐はポケットの中の戦争と戦記0081に出てくる、グレイファントム、サラブレッドの艦長です。
ローレンスは適当に名付けました。
ではまた次回。
乙です。
そう言えば、サンダーボルトのアニメ化が決定しましたね。
乙
なんという歴史の転換点
黒幕がララァだとはこのリハクの目をもってしても気付けなかった……
もう2週間経ってしまった……いつもながら亀進行で申し訳ないです
ギレン閣下の演説の熱を自分なりに表現してます、今しばらくお待ちください
参考はヒトラー総統の演説
アレックスTSUEEEから趣旨が離れないよう(もう離れまくってるけど…)工夫しますので、どうぞもう暫くお付き合いください
>>938
サンボル楽しみですね!
あのMSデザインはフロントミッション的(作者の前作だけに)かっこよさでオツなものですなぁ
>>940
あくまでララァは歴史を愉しむ傍観者……
でも何かちょっとしたイタズラはしてるかもしれません
ララァの亡霊がこれほどとは!
宇宙世紀0079年12月26日22時17分。
ジオン公国軍宇宙要塞ア・バオア・クーを巡る、今大戦最大の戦いの火蓋が切って落とされた。
『宇宙要塞ア・バオア・クー(前編)』
大変お待たせいたしました。
今晩前編投下です。ジーク・ジオン。
──先刻
──バーミンガム級戦艦『バーミンガム』、第一作戦室
レビル「一体何だというのだね、スチュアート中佐」
スチュアート「将軍、こちらを」
レビル「それが急な会議を招集する程のものだと? 何事──こ、これは!」
液晶ディスプレイが埋め込まれた戦術卓に表示されたのは、ソーラ・レイ・システムの予想照射コース。
レビル「何だ、これは!」
ブライト『レビル将軍』
レビル「ん、ブライト少佐?」
ブライト『それについては、こちらの方から説明していただきます』
グレイム『お初にお目にかかります、ヨハン・エイブラムス・レビル将軍。わたくしは、グレイム・トト。ジオン公国軍公王庁親衛隊長官を務めております』
レビル「親衛隊長官? 何故そのような男がホワイトベースにいるか」
ブライト『こちらのグレイム中佐は、デギン公王たっての願いで我々に接触してきたのです』
グレイム『非常事態とはいえ、このような無礼をお許しください』
レビル「デギン公王だと? ……それで、グレミー・トト中佐だったか」
グレイム『グレイムであります』
レビル「失敬。グレイム中佐、詳しい話を聞かせてもらおう」
グレイム『はい。そちらの画面に表示されておりますのは、我が軍の最新兵器『ソーラ・レイ・システム』の予想照射コースであります』
レビル「これが真であれば、我が艦隊はこれで薙ぎ払われる……」
スチュアート「はい、将軍。このままでは……」
レビル「だが……」
ギロリ
グレイム『!』
レビル「貴官を信じる根拠はどこにある?」
グレイム『そ、それはっ』
ブライト『レビル将軍、グレイム中佐はこれを避ける為にどうしろ、と進言しているわけではありません』
レビル「ほう。罠ではない、と?」
グレイム『どうか、ご信用頂けませんか』
レビル「……スチュアート中佐、どう思う」
スチュアート「信用に値するかと……」
レビル「……うむ。ではブライト少佐、グレイム中佐、通信を切る。作戦予定については追って連絡する」
ブライト『はっ!』
──宇宙世紀0079年12月26日22時06分
フラウ「艦隊旗艦バーミンガムから暗号通信! 『作戦時間2215、ア・バオア・クー侵攻開始』と!」
ブライト「ちっ、早すぎる! 艦隊の再編も済んでないのに!」
ミライ「浮足立ってるわね……」
ブライト「全くだ。ヘンケン艦長の無事も確認できていないし、気が気でないよ」
アムロ「……でも、大丈夫だと思います。相手はこっちが壊滅したもんだとばかり思ってるはずですから」
ブライト「そうだといいがな……」
フラウ「ルザルから入電! ホワイトベースを基点に第二艦隊を集結、Sポイントから侵攻すると」
ブライト「Sポイント……いけるのか」
アムロ「ア・バオア・クーの狙い所は、十字砲火の来るところではありますけど確かに一番脆いところでもあります。やれますよ、作戦は成功します」
ブライト「ニュータイプのカンってヤツか?」
アムロ「え? ……はい、まぁ……」
ブライト「あやかりたいもんだ。よし、フラウ・ボゥ時計合わせ頼む!」
フラウ「はい!」
──同刻
──宇宙要塞ア・バオア・クー、大講堂
かつて演説の雄として知られたアドルフ・ヒトラーは、その天性のカリスマと魅力的な弁舌により絶大な支持を得た。
父デギンにヒトラーの尻尾と称されたギレン・ザビもまた、奇しくも弁論の天才として知られていた。
トワニング「閣下、お願いします」
ギレン「うむ」
トワニング准将に促され、ギレン・ザビが登壇する。
兵士達は直立不動で彼を見つめる。
ギレン「我が忠勇なるジオン軍兵士達よ」
講堂に集められたのはおよそ1000人程度の兵士達。
ギレンの背後には将軍クラスの高官がズラリと並び、ここにその多くが集っていることこそが最終局面を匂わせている。
多くの兵士は戦闘の準備に追われている為、機体のディスプレイやホログラム・ディスプレイで中継を視聴しており、この演説はア・バオア・クー宙域に居るジオン軍人全てに届いていた。
ギレン「今や地球連邦軍艦隊の多くが、我がソーラ・レイによって宇宙に消えた。この輝きこそ我等ジオンの正義の証である!」
どこかから、そうだ! と叫ぶ声が響いた。
ギレン「決定的打撃を受けた地球連邦軍に如何ほどの戦力が残っていようとも、それは既に形骸である」
バン、とギレンが卓を叩く。
ギレン「敢えて言おう、カスであるとっ!!」
再び兵士達がざわめいた。
最終防衛ラインを形成する要塞ア・バオア・クーまで攻め込まれている状況、どうしても彼らの心には迷いが生じている。
それを今、ギレン・ザビは消し飛ばした。
拳を強く振りかざし、身振りを交えて彼は演説する。
ギレン「それら軟弱の集団が、この堅牢なる宇宙要塞ア・バオア・クーを抜くことは出来ないと、私は断言する!」
最早、ここに集まった兵士達はそれまでの彼等とは違う。
目は爛々と輝き、戦意に昂っている。
ギレン・ザビは心の中で笑った。
父上、見ておられるか? 私はご覧の通り、ヒトラーの尻尾を演じてみせましょう。だが、最後に笑うのは私だ、と。
ギレン「人類は我等選ばれた優良種たるジオン国々民に管理運営されて、初めて永久に生き延びることが出来る。これ以上戦い続けては、人類そのものの存亡に関わるのだ」
兵士達は興奮して頷くばかり。
ギレン「諸君! 我等ジオン公国軍の戦争は何たる目的を以て始めたものだったか?」
ギレンの弁舌にも熱が入る。
ギレン「忘れてはならない、我等スペースノイドの心からの希求である自治権を獲得する為の闘争、正義の為の戦いである!」
コップを手に取り、水を一口含む。
一瞬の間が空き、兵士達は息を呑んだ。
ギレン「この戦争は多くを犠牲にした! だが、しかし! ここでこの戦いをやめるわけにはいかない!」
ギレンの一挙手一投足に兵士達は釘づけになり、呼吸をする音も聞こえない。
ギレン「今次の戦いこそは、我等ジオン公国の父祖ジオン・ズム・ダイクンの遺志に応える為ではなかったか!」
ギレン「今こそ、正義とは何たるか! 地球連邦の無能なる者どもに思い知らせ」
ギレン「明日の未来の為に、我等ジオン国々民は立たねばならんのであるっ!!」
トワニング「ジーク・ジオン!!」
兵士達「ジーク・ジオン! ジーク・ジオン! ジーク・ジオン! ジーク・ジオン!」
拍手喝采が鳴り響く中、ギレン・ザビが降壇する。
再び大きな拍手が沸き起こった時、彼は確信を持って呟いた。
ギレン「圧倒的じゃないか、我が軍は」
トワニング「閣下、お疲れ様でした」
ギレン「名案だったな、トワニング准将。このような場の用意をしてくれているとは」
トワニング「いえ、閣下のお言葉を兵士達に届ければ、戦意も向上しようと思いまして」
ギレン「よくやってくれた。さぁ、司令部へ戻ろうか」
トワニング「はっ」
──ホワイトベース、ブリッジ
フラウ「時間合わせ、120秒前から始めます」
ブライト「了解だ。総員、第一戦闘配置につけ!10分後にはFラインを突破するぞ」
アムロ「フラウ・ボゥ、どんなことがあってもあきらめちゃいけないよ。こんなとこで死んじゃつまらないから」
フラウ「ありがとう、アムロ。諦めないわ、絶対に」
アムロ「さすがフラウ・ボゥだ。じゃあ、またあとで」
フラウ「アムロも無茶しちゃ駄目よ!」
アムロ「ああ、わかってるさ」
ジョブ・ジョン「おい、降りるぞ!」
ハヤト「すぐ行きます、先に行ってて」
アムロ「ああ」
レツ「おれたちはEブロックで”タイキ”か~!」
キッカ「みんな、がんがってね~!」
寝落ち。
続きは今晩投下。
──艦内エレベーター
カイ「ハヤトちゃんは?」
ジョブ・ジョン「ん? あぁ……」
キッカ「お姉ちゃんとこに引っ掛かってる!」
カツ・レツ・キッカ「イヒヒヒヒ!」
カイ「そりゃ~結構。ニヒヒヒッ」
セイラ「いやらしい笑い方」
アムロ「いいじゃないですか」
セイラ「そうだけれど。カイ、子供達に変なこと吹き込まないのよ」
カイ「へいへい……っと、ついたぜ、Eブロックだガキンチョども」
カツ「じゃあ、頑張ってね!」
レツ「シンジてんだからね!」
カイ「へへ、どぉ~も。……ところで、アムロ」
アムロ「なんです?」
カイ「さっきのあれ、本当かよ?」
アムロ「あれって……」
カイ「作戦は成功するってやつヨ」
アムロ「嘘ですよ。ニュータイプになって未来のことがわかれば苦労しません」
ジョブ・ジョン「へへっ……お前がああでも言ってくれなきゃ、みんな逃げ出してただろうさ」
カイ「そりゃあそうだよな。逆立ちしたってニンゲンはカミサマにゃなれねえんだから・…」
──ア・バオア・クー、作戦司令室
ギレン「コンスコン少将」
コンスコン「は」
ギレン「状況をどう思うか」
コンスコン「おそらく敵は事前に何らかの情報を掴んでいたものかと。動きが早すぎます」
ギレン「で、あるな。よし。コンスコン少将のアサルム艦隊はSフィールドに展開せよ。ドロワも展開している、貴殿の指揮下に置け」
コンスコン「はっ。激戦区となるでしょうな、どうもワッケインの艦と木馬がおるようで」
ギレン「貴様の手腕を信ずるからこそ、Sフィールドを任せると言っておる」
コンスコン「心得ておりますとも。では、Sフィールドはお任せください」
ギレン「うむ。ドズルの仇、頼むぞ小父貴」
トワニング「……閣下、よろしいので」
ギレン「何か不満が?」
トワニング「……ええ、コンスコン少将は敗戦の将。ソロモンが落ちたのは彼奴の手腕のせいでは」
ギレン「黙れ。コンスコンは敗色濃厚の戦で、あれだけの兵をア・バオア・クーに戻してくれたのだぞ。貴公はもっと大局を見た方がいい」
トワニング「……これは、失礼いたしました。では私も持ち場に」
ギレン「うむ、キシリアの出迎え、任せたぞ」
トワニング(……大局を見られていないのはどちらか……だが、もう心中するしかあるまいな)
コンスコンは名将だからね!
国々民
いよいよレス数が少なくなってきたな。
作者さんには次スレの用意をお薦めします。
>>965 訂正
ギレン・ザビは心の中で笑った。
父上、見ておられるか? 私はご覧の通り、ヒトラーの尻尾を演じてみせましょう。だが、最後に笑うのは私だ、と。
ギレン「人類は我等選ばれた優良種たるジオン国国民に管理運営されて、初めて永久に生き延びることが出来る。これ以上戦い続けては、人類そのものの存亡に関わるのだ」
兵士達は興奮して頷くばかり。
ギレン「諸君! 我等ジオン公国軍の戦争は何たる目的を以て始めたものだったか?」
ギレンの弁舌にも熱が入る。
ギレン「忘れてはならない、我等スペースノイドの心からの希求である自治権を獲得する為の闘争、正義の為の戦いである!」
コップを手に取り、水を一口含む。
一瞬の間が空き、兵士達は息を呑んだ。
>>966 加筆訂正
ギレン「この戦争は多くを犠牲にした! だが、しかし! ここでこの戦いをやめるわけにはいかない!」
ギレンの一挙手一投足に兵士達は釘づけになり、呼吸をする音も聞こえない。
ギレン「今次の戦いこそは、我等ジオン公国の父祖ジオン・ズム・ダイクンの遺志に応える為ではなかったか!」
ギレン「今こそ、正義とは何たるか! 地球連邦の無能なる者どもに思い知らせっ」
ギレン「明日の未来の為に、我等ジオン国国民は立たねばならんのであぁるっっ!!」
トワニング「ジィーク・ジオンッ!!」
兵士達「ジーク・ジオン! ジーク・ジオン! ジーク・ジオン! ジーク・ジオン! ジーク・ジオン! ジーク・ジオン! ジーク・ジオン!」
拍手喝采が鳴り響く。
歓声が講堂を震わせる中、ギレン・ザビが降壇する。
再び大きな拍手が沸き起こった時、彼は確信を持って呟いた。
ギレン「圧倒的じゃないか、我が軍は」
アドルフ・ヒトラーの尻尾。
それがどうした。私はこの智慧を以てこの戦いを制してみせよう。
トワニング「閣下、お疲れ様でした」
ギレン「名案だったな、トワニング准将。このような場の用意をしてくれていたとは」
トワニング「いえ、閣下のお言葉を兵士達に届ければ、戦意も向上しようと思いまして」
ギレン「フフ、よくやってくれた。さぁ、司令部へ戻ろう」
トワニング「はっ」
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