綺羅ツバサは静かに暮らしたい (226)

綺羅ツバサ主役

タイトルから分かるとおり設定はジョジョから借りてますが世界観はラブライブです

かなり淡々と進みます

たまにギャグもあるかも


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1415803412

カチャ・・・カチャ・・・

春の温かい日差しが降り注ぐ日の午前・・・

お気に入りの喫茶店で甘いコーヒーを飲み彼女はほっと一息をつく・・・

女子高生が来るお店にしてはやや古風で静かすぎるきらいはあると思う

しかし都会の喧騒の中とは思えないほどこの喫茶店は静かで何よりそれが彼女にとってお気に入りだったのだ

彼女の名前は綺羅ツバサ・・・UTX学院の2年生だ

彼女は今帽子を目深にかぶり眼鏡をかけ、灰色の服を着ている。
それが一番目立たないからだ

ツバサは出来ることならば植物のように静かな生活をしたいと望んでいた、誰とも争わず、戦わず、平穏な生活においてこれらのことはすべて面倒事の種でしかないと思っていた

コーヒーを堪能した彼女は支払いを済ませ街へ出かけていく・・・

彼女はあてどなく街を歩く・・・ただ人ごみに紛れ大勢の中の一人として息を潜める

ダンシン♪ダンシン♪ノンストップ♪マイダンシン♪

いつしか彼女の足は大きな電光掲示板の前に来ていた

画面に映っているのは『A-RISE』、彼女たちはUTX学院が誇る全国でトップクラスに人気のスクールアイドルだ

メンバーは3人で構成されており藤堂英玲奈、優木あんじゅ、・・・そして綺羅ツバサ・・・彼女本人だ

なぜ目立つことが嫌いな彼女がアイドルをやっているのか・・・それには理由がある

画面が切り替わり別のアイドルを映し出す

ツバサ(ドキン!!・・・か・・・かわいい!!)

ツバサ(あの衣装・・・大きめのリボンは一件邪魔なようでダンスを優雅に見せ、あのフリルも自己主張しない感じがキュートだわ////)

彼女は可愛いもの・・・特にアイドルが大好きだった

アイドルが好きなら自分もアイドルになりたいというのは当然である

矛盾しているようだが彼女は普段目立ちたくないと思っているがアイドルをやるのは大好きなのだ

アイドルを見ると可愛くてうらやましくなる、カッコイイ曲を聞けば歌いたくなるステージに立って大勢のお客さんを喜ばせたい!!・・・・・でもなるべく平穏に暮らしたい

そんな奇妙な性(サガ)を抱えている・・・それが綺羅ツバサという少女なのだ

ツバサ(新しく出来たアイドルなのかしら・・・もう一軒アイドルショップに寄って行こう・・・・)

そう思い彼女は踵を返す、その時

チャリン・・・

なにかが道に落ちる・・・ツバサはそれに気づかない

???「あっあの!これ落しましたよ!」

ツバサ「えっ!?」

振り返ると栗色の髪の毛に深い海のような青い瞳の少女がツバサの落としたペンダントを手にこちらを見つめている・・・

これが綺羅ツバサと高坂穂乃花との出会いだった

To Be Continued →

???「こいつ…果の字が間違えている…やはり気になる!カチャカチャ!高坂穂乃「果」」

???「フフフ…これで今夜も安心して熟睡ができる」

あんじゅ「今時ボーリングの爪切りってwwwwwwwwww」

ツバサ「……」ピクピクッ

あんじゅ「可愛いの貸してあげよっか?」

ツバサ「うん」

美しい瞳だと思った・・・

太陽のように暖かくそれでいて守ってあげたいと思うような雰囲気の少女だった

だからツバサは一瞬返事をするのを忘れ思わずその少女に見蕩れていた

穂乃果「あっ・・・・あの・・・・?」

ツバサ「ハッ!ごめんなさい・・・拾ってくれたのね?ありがとう」

落としたものはツバサが普段肌身離さず持ち歩いてる矢じりの形をしたペンダントだ・・・母から貰ったものでツバサにとってかけがえのないものでもある

ツバサはそれを受取ろうとする・・・・が

穂乃果「あっ・・・痛っ・・・」

ツバサ「どうしたの!?」

穂乃果「あっ・・・指怪我しちゃったみたいで・・・」

見ると指に小さな傷が出来ている

ツバサ(ペンダントに引っかけたのだろうか・・・尖っているとこはすべて削ってあったはずなのに・・・それにしても・・・ゴクリ・・・)

彼女の手・・・それにツバサの目は釘付けになった・・・決して美しいというわけではないが柔らかそうで優しく温かみのある手だと思った

だからツバサはその手を掴み、何のためらいもなく口に含んでいた

ジワリ・・・と血の味が口の中に広がる・・・そのまま何秒時間が経っただろうか

穂乃果「えっと・・・・あの・・・?」

ハッ!穂乃果の声でツバサは我に返る

ツバサ「ごめんなさいっ///あっ絆創膏があるから貼って!」

てきぱきと絆創膏を指に貼るツバサ

ツバサ「じゃあ!本当にごめんなさい!ペンダント拾ってくれてありがとう!」

逃げるようにその場を去るツバサ

ツバサ(何やってるのよ私ッ////いきなり初対面の人の手を舐めるなんて・・・)

タタタタタ・・・・

残された穂乃果はチラっと絆創膏を貼られた手を見て・・・かすかに微笑んだ・・・

穂乃果はその夜、少し寝苦しさを感じていた・・・風邪を引いた後のように体が熱を持っている・・・

しかしいつの間にか緩やかな微睡の中に落ち、朝になる頃には嘘のように熱が引いていた

そして不思議なことにケガをしたはずの指は綺麗に治っていた

今半分とラストが出来てます
中盤の展開は構想はありますが詰め込みたいネタが多くて・・・
まぁコーヒーでもジョロロロ~飲んで気長に・・・
時間はたっぷりあります

翌日、綺羅ツバサはいつもの格好でアイドルショップにいた

昨日はあのまま家に帰り、目的を思い出したのは夜の事だった

だからこうしてもう一度わざわざ秋葉原までやってきた・・・そして

ツバサ(もう一度・・・あの子に会えたら・・・なんてね・・・///あっ、このグッズ可愛い)

ツバサは手を伸ばす・・・と横から伸びてきた手と触れ合った

ツバサ「ごめんなさい!」
穂乃果「すいません!」

二人「あっ・・・」

昨日の少女が立っていた

―喫茶店―

ツバサ「高坂穂乃果さん・・・いい名前ね」

穂乃果「はいっ・・・それで・・・」

ツバサ「あぁ私の名前ね・・・」

ツバサ(私の事は綺羅ツバサだと知られたくないわ・・・そうね・・・)

ツバサはチラリと雑誌の棚に目をやり、適当な名前を探す

ツバサ「私は、ツバメよ・・・沢尻ツバメ」

穂乃果「ツバメさん・・・可愛い名前ですね、私の友達にもね鳥の・・・」

ツバサ(・・・友達・・・か)

綺羅ツバサに友人などいなかった

一番近しい人物の英玲奈とあんじゅでさえツバサは完全には心を許していなかった

彼女たちは友人というよりむしろ仕事上の同僚に近かった

ツバサ(まぁ・・・それ以外にも友達になれない理由はあるけどね・・・)

さん・・ツバ・さん・・・?

穂乃果「聞いてますか?ツバメさん?」

突然の呼びかけにツバサは驚く

ツバサ「えっ!?」

穂乃果「もぅ~ツバメさんったらボーってして全然穂乃果の話聞いてなかったぁ~」

穂乃果が膨れている

ツバサ「あっごめんなさい、何の話だったかしら?」

穂乃果「そうだっ!ツバメさん!」

穂乃果「穂乃果もねステキな喫茶店知ってるんだよ!一緒に行こう!?」

ツバサ「あっ・・・フフフ・・・そうね、連れて行ってもらえるかしら?」

穂乃果「うん!!」

ツバサ(彼女と居ると不思議と落ち着く・・・昔からの友人のように)

ツバサは穂乃果に連れられて街に出て行った

店を出てから数分の大通りにそのお店はあった

ことり「おかえりなさいませ!ご主人様~」

穂乃果「ことりちゃ~ん!ガシッ!」

ことり「あっ穂乃果ちゃん!いらっしゃい」

ツバサ「こんにちは」

穂乃果「紹介するね!穂乃果の友達で南ことりちゃん!」

ことり「初めまして南ことりです」

二人は握手を交わす

ツバサ「こちらこそ初めまして、沢尻ツバメです」

ことり「ツバメさん、・・・かわいいっ!ことりの名前とお揃いですねっ」

ツバサ「そうね、ことりさん・・・ふふっ」

穂乃果「ことりちゃん、海未ちゃんいる?」

ことり「うん!奥にいるよ!海未ちゃ~ん」

奥から黒髪の少女が顔を出す

海未「どうしたのですかことり・・・って穂乃果!」

穂乃果「やっほ~!」

海未「全く・・・バイトの時は恥かしいから来ないでと言ったのに!・・そちらの方は?」

穂乃果「この子はね!穂乃果の友達!昨日友達になったんだっ」

ツバサ「沢尻ツバメです」

海未「ツバメさんですか・・・穂乃果はこのとおり天真爛漫なので振り回されるかと思いますがよろしくお願いしますね」

ツバサ「えぇ、何となくわかるわ・・・ふふっ」

ツバサは微笑む

海未「ふふふ・・・」

穂乃果「もぅ~!二人だけで分かってるみたいでずるい~!」

全員で笑いあう

ことり「それではご注文はお決まりですか?」

穂乃果「そうだなぁ~前ことりちゃんが言ってたパフェがいいなぁ~ツバメちゃんは?」

ツバサ「そうね・・・私も同じものを」

ことり「かしこまりましたご主人様、こちらの席へどうぞっ」

海未「かっ・・・かちこ!かしこまりましたご主人様!・・・はぁ・・・全くこの台詞は慣れません・・・」

ツバサ(海未にことり・・・穂乃果と本当に仲が良さそうだわ・・・羨ましい・・・)

そして二人でパフェを食べる・・・

ツバサ(とっさに同じものにしちゃったけど、違うのにした方が良かったかしら・・・だって/////)

ツバサは穂乃果をチラリと見る・・・すると穂乃果もこちらを見てきた

穂乃果「ねぇっツバメさん」

ツバサ「はっはぃっ!・・・なにかしら・・・?」

穂乃果「食べ比べしない?」

ツバサ「えっ・・・でも同じものよ?」

穂乃果「ううん!ツバメさんのと食べ比べがしたいの、はいっ穂乃果のもあげるっ」

差し出されるスプーン・・・それをツバサは一口食べる

ツバサ「これはっ・・・」

同じパフェなのに味が全く違う・・・いや・・・味そのものは同じだ・・・しかしパフェの混ざり具合で全く食感や味が違う

ツバサ(この特殊な形のグラスのせいなの・・・かしら?なんにせよこのグラスを考えた主は厨房の奥でドヤ顔しているでしょうね)

ふたりはパフェを食べ終える・・・

ツバサ(最後まで味が変わり続けるパフェだなんて・・・本当に恐れ入ったわ)

穂乃果「おいしかったね~」

ツバサ「えぇ、本当においしかったわ」

ことり「喜んでもらえたみたいでよかった!」

穂乃果「じゃあまた学校でね、ことりちゃん!海未ちゃん!」

海未「えぇ、ではまた学校で」

ことり「いってらっしゃいませご主人様!」

ふたりは再び街に出る

ツバサ「穂乃果は本当に良い友達を持っているわね・・・」

穂乃果「うん、みんないい人たちだよ」

ツバサ「ふふっ・・・羨ましいわ」

穂乃果「ツバメさんもだよっ」

ツバサ「えっ・・・・?」

穂乃果「ツバメさんも穂乃果の友達なんだもん!だから海未ちゃんとことりちゃんとも友達なんだよっ」

ツバサ「!?・・・・そう・・・そうよねっありがとう・・・ハハッ」

穂乃果「うん!穂乃果の友達もっと紹介してあげるねっ」

ツバサはまたも穂乃果に連れられ街を走り抜ける

ツバサ(たまにはこういうのも・・・悪くないかしら?)

穂乃果に連れられやってきたのは秋葉原にある神社『神田明神』

穂乃果「希ちゃん!絵里ちゃん!やっほ~」

希「あら、穂乃果ちゃんやん!」

絵里「いらっしゃい穂乃果、遊びに来たの?」

穂乃果「うん!」

希「そっちの方は?」

穂乃果「穂乃果の友達でね!沢尻ツバメちゃんっていうの」

絵里「ツバメさん?可愛い名前ね、私は絵里、絢瀬絵里よ」

希「ウチは東條希、ここで巫女さんのバイトやっとるんや、よろしくなツバ・・・メちゃん」

ツバメ「えぇ・・・よろしくお願いします」

穂乃果「にこちゃんたちは来てないの?」

絵里「にこたちならいつもの公園じゃないかしら?」

穂乃果「そうなんだ・・・じゃあ参拝してから行ってみるね」

希「そうそう、それより穂乃果ちゃんもどうや~?ウチらと巫女のバイトのしてみいへん?」

穂乃果「えへへ・・・また考えてみるね」

希「期待して待ってるで」

穂乃果「それじゃあいこっか、ツバメちゃん」

ツバサ「うん、では失礼します」

希「うん、またね穂乃果ちゃん」

ふたりは参拝を済ませ公園へ向かう

ふたりは参拝を済ませ公園へ向かう

にこ「はいっそこでもう一回、そしてポーズ!」

凛「疲れたにゃ~」

にこ「そうね、じゃあ10分休憩」

花陽「ふぅ~疲れました」

公園の一角で3人が何やら練習をしている

穂乃果「にこちゃんやっほ~!」

にこ「ぴゃっ・・・って穂乃果じゃない」

凛「穂乃果ちゃんだにゃ~」

花陽「穂乃果さん!どうしてここに?」

穂乃果「希ちゃんと絵里ちゃんがね、ここじゃないかってっ」

凛「大正解だにゃ~」

花陽「そっ・・・それより穂乃果さん、あちらの方はどなたでしょう?」

穂乃果「あっ紹介するね、私の友達の沢尻ツバメさんっ」

ツバサ「ツバメよ、よろしくね」

穂乃果「にこちゃんたちはね音ノ木坂学院のアイドル部なんだよ」

ツバサ「アイドル!?」

わたしも、と言いかけてツバサは口を閉じる

今ツバサはアイドルであることを隠しているのだ

穂乃果「うんっみんな可愛いでしょ?」

穂乃果たちが話しているともう一人女の子が公園にやって来た

真姫「にこちゃ~んや仕入れもってきたわよ~」

穂乃果「あっ真姫ちゃん!」

真姫「うぇぇ!?ナンデ穂乃果が!?」

穂乃果「紹介するね!穂乃果の友達でにこりんぱなの作曲担当の西木野真姫ちゃん」

にこ「近い将来にこまきりんぱなになる予定よ」

真姫「私はメンバーじゃないってばぁ~!」

にこ「いえ、真姫ちゃんはいずれ必ずメンバーに入れて見せるわ、それと穂乃果」

穂乃果「うぇ・・・またその話?」

にこ「そうよ、穂乃果・・・悔しいけどあなたには私やどのメンバーにもないアイドルとしての素質があると思うわ、だから私といっしょにアイドルやりなさい」

にこの嘘のないまっすぐなまなざし・・・・しかし・・・

穂乃果「うぅん・・・考えとくね・・・・」

穂乃果は悲しそうにうつむく

穂乃果たちはにこと別れさらに街を歩く

途中ツバサは穂乃果に聞いてみる

ツバサ「穂乃果はアイドルにならないの・・・?」

穂乃果「うぅん・・・だって穂乃果にはそんな魅力あると思えないよ・・・あんなキラキラして可愛い服も・・・可愛い衣装も穂乃果には似合わないよ・・」

ツバサ「そんなことないわ!!」

穂乃果「えぇっ!?」

ツバサ「あぁ!ごめんなさい・・・本当にそう思ったから・・・」

穂乃果「ふふっ・・ツバメさんったらおかしな人」

ツバサ「もぅ~穂乃果ってば馬鹿にしてるでしょ?」

穂乃果「ははっ・・・」

いやだからよぉ~~~教えてくれればいいんだよ!

途中公園の近くを通るとガラの悪い高校生と小学生らしき男の子が話している

不良A「だからよぉ~・・・きいてんだろぉ???」

小学生くらいの男子「じゃんけんしようよ・・・じゃ~んけ~ん」

不良B「もう、諦めろって・・・・」

ツバサ(不良かしら・・・無視するに限るわ・・・)

しかし・・・

穂乃果「お兄さんたち高校生でしょ!?小学生相手に恥かしくないの!?」

ツバサ「穂乃果!?」

穂乃果が二人の高校生の前に立っている

穂乃果「高校生が小学生いじめるなんて最低だよ!?」

ツバサ(なっ!?何してるの穂乃果!?)

ツバサは慌てて駆け出す

ツバサ「穂乃果!だめよっ不良と関わったら!」

そういって腕を引っ張る・・・

穂乃果「でもほっとけないよ!小さい子が絡まれてるのに」

不良B「いやまってくれよ、俺らはなりはこんなんだが不良じゃないぜ!」

ツバサ(不良じゃない…ですって?)

ツバサ「不良以外でこんな頭してるなんて見たことないわ」

不良B「あぁ~~~~?」

不良B「この頭がなんだってぇ~~~?」

そうとうぷっつん来ているようだ

ツバサ「全く・・・面倒だわ・・・キラークイーン」

ツバサの横に白い人影が現れる

綺羅ツバサには物心ついたときから特別な力があった―

初めはツバサが自分の身の危険を感じたときにだけ現れる守護霊のようなものだと思っていた

そのせいでおかしな言動をしては周りから変な子だと思われたりいじめられたりもした

そんな彼女の味方だったのは母親一人だった・・・

母親がこの力について何を知っていたか今となっては知る由もない・・・・

そしてツバサはある日を境にその守護霊にこう名前を付ける・・・キラークイーンと

キラークイーン「しばっ!!!」

そしてツバサのキラークイーンにはちょっとした能力があった

ツバサ「第一の爆弾・・・・」

ボンッ!

不良A「おうっ!?」

不良の踏んだ落ち葉がはじけ不良が前のめりに転ぶ

不良B「なっどうしたんだ!?」

ツバサ「第二の爆弾」

ミニカーサイズの爆弾がキラークイーンから射出される・・・これが第二の爆弾シアーハートアタック

シアーハートアタック「コッチヲミロォォォ~~」

シアーハートアタックが不良の目の前まで迫る

不良B「なにいぃィィィィィ」

ボン!

不良B「~・・・・」

かなり威力を抑え小さくしたシアーハートアタック・・・それでも目の前で破裂したら気絶くらいするだろう

ツバサ「走るよ!穂乃果!」

穂乃果「えっ!?うん!」

息が切れるまで穂乃果とツバサは走る

お互いもう走れないところまで来てやっと足を止める・・・・

穂乃果「ハァ・・・ハァ・・・ありがとう・・・ツバメちゃん・・・////」

ツバサ「はぁ・・・ふぅ・・・全く・・・あなたには驚かされてばかりだわ/////」

全力で走ったせいで体中が熱い・・・眼鏡に汗が垂れる・・・あぁっ・・・帽子も暑い

無意識にツバサは帽子を取り眼鏡についた汗をぬぐう

穂乃果「あっ・・・」

ツバサ(あっ・・・しまった・・・つい帽子を取っちゃった・・・)

ツバサは慌てて帽子と眼鏡をかける・・・が、

穂乃果「もしかして・・・綺羅・・・ツバサ・・・さん?」

ツバサ(正体がバレた・・・どうする・・・どうしよう・・・キラークイーンで軽く気絶させて・・・)

ゆらり、キラークイーンが姿を現す

穂乃果「ひっ・・・」

ツバサ「・・・・・・・・・」

―夜―

ふぅ

ツバサはシャワーを浴び昼間かいた汗を流す

ツバサは結局穂乃果に何もしなかった・・・いや、何もできなかった・・・

穂乃果の一瞬でも怯えた顔を見た瞬間彼女を傷つけようとした気持ちなど吹き飛んでいた

ツバサ「ごめんなさい!私っ・・・ツバサだってあなたに隠してた!知られたら友達になってくれないと思って・・・」

ツバサはただ素顔を晒し穂乃果に謝罪する、普段ならありえないことだがなぜかツバサは穂乃果にだけは嫌われたくはないと心から思った

穂乃果「・・・すごい・・・」

ツバサ「えっ・・・?」

穂乃果「すごいよ!私の友達が綺羅ツバサだったなんて!」

ツバサ「????」

穂乃果「にこちゃんいつも言ってたもん!アイドルたるものプライベートでの変装は基本だって」

ツバサ「えっ?・・えぇ・・・・・・・それじゃあ・・・許してくれるの?」

ツバサはおずおずと尋ねる

穂乃果「許すも何もツバサちゃんは穂乃果の友達だもん!何も悪いことなんてしてないよ」

こうしてツバサと穂乃果はお互いに隠し事なく友達になった

そのことを思い出し微笑むツバサ

ツバサ(穂乃果・・・やはり私はあなたを失いたくないみたいだわ・・・・)

お湯から上がると穂乃果からメールが来ていた


穂乃果

ツバサさん今日はありがとうございました

すごく楽しかったです

また穂乃果と遊んでください!



ツバサは文面をみて微笑む

ツバサ(ツバサさん・・・だなんてちょっとカタイぞっ穂乃果)



穂乃果へ

今日は私も楽しかったよっ(^_^)/~

また遊ぼうね!穂乃果の友達も一緒に!(^u^)


柄にもなく絵文字なんか入れたりして

ツバサ(騒がしいのは嫌いだけど・・・案外こういうのも『幸せ』かもね・・・)

ツバサ「ふぅ~~~~ねよっ!」

ツバサはそのままベッドにもぐり・・・朝までぐっすり熟睡した

その夜の出来事のこと・・・・

ことり「ううう・・・」

海未「あぁぁ・・・」

凛「にゃあああ・・・・」

花陽「米えええ」

真姫「う゛ぇぇぇ・・・」

にこ「ううう~~~ん」

絵里「はらしょ~~~」

それぞれが寝苦しい夜を過ごしている・・・

みな体に風邪を引いたときのような熱を感じていた・・・・がそれも朝にはすっかり引いていた

更にその夜・・・・すっかり日の落ちた街・・・

そこに一人の人影が現れる

???「ここが秋葉原か・・・臭う・・・・アイドルの匂いが・・・フヒヒヒヒ・・・・」

そして再び闇にまぎれる・・・

この男の正体は一体・・・・?

To Be Continued →

承太郎「おい・・・次回作の主人公はにこになるか真姫になるか当ててみな」

テレンス「に・・・にこっち?」

承太郎「NO!NO!NO!」

テレンス「ま・・・真姫ちゃん?」

承太郎「NO!NO!NO!」

テレンス「もしかして両方ですかアアアアアアアア!?」

承太郎「YES!YES!YES!」

テレンス「もしかして!にこまきですかアアアアアアアアアアア!?」

承太郎YES!!YES!!YES!!!OH!MY GOD」

という冗談はおいといて

遠出することになったんで終末にまとめて投下します

九時くらいから始めもす

―UTX学院芸能学科アイドル部部室―

教師「ハイッ!それでは今日はここまでです!」

3人「ありがとうございました!!!」

3人が放課後の練習を終える

ツバサ「二人ともお疲れ様~」

あんじゅ「ふぅ~今日も疲れたわ~」

英玲奈「ソウダナ、ライブが近いとあって先生たちも気合いが入っている」

この二人は優木あんじゅと統堂英玲奈。

言わずと知れたA-RISEのメンバーである

あんじゅ「それはそうと」

あんじゅ「今日はツバサやけに楽しそうに踊ってたわね」

英玲奈「あぁ、ダンスのキレの冴えていた、ナニカイイコトデモアッタノカ?」

ツバサ「そう?ふふっそうかしら?」

ツバサは曖昧に答える

あんじゅ「えぇ、こんなに楽しそうなあなたを見るのは初めてかしらね?」

ツバサ「ライブが近いからな?気持ちが高ぶっているのかもしれない」

英玲奈「頼もしいなリーダー、私も次のライブは楽しみにしている」

ツバサ「ええ私も楽しみよ、それじゃあまた明日!」

あんじゅ「えぇ、また明日」

英玲奈「サヨウナラ、ツバサ」

そんなたわいもない話をしつつツバサは着替えを終え帰路につく

ツバサは学校から出て街にでる・・・

ツバサは街の空気を吸い昨日のことを思い出す

ツバサ(穂乃果…)

ツバサ(穂乃果は放課後何をしているのかしら・・・流石に今日は街で会うなんて偶然はないと思うし…今更呼び出すのも気が引けるわ)

ふとツバサは昨日食べたパフェの事を思い出し少しお腹が空いていることに気づいた

ツバサ「今日は甘いものでも食べて行こうかしら?」

ツバサは前から行きたかった和菓子屋に入ってみる、普段なら通り過ぎてしまうが穴場だと聞いたからだ

表の大きな道を外れ少し路地に入ると都会とは思えないような趣のある路地に出る

ツバサ「ここ・・・・よね?」

目の前にあるのは伝統的な日本家屋のお店だった・・・ツバサが聞いていた名前の看板もある

ツバサ(クラスの子は穴場の甘味処と言っていたけれど・・・アンティークの喫茶店好きな私が言うのもなんだけど、とても女子高生が入り浸れるような軽い感じではないわね・・・)

ツバサは意を決して古びた引き戸に手をかける

ガラガラ~

穂乃果「いらっしゃいませ~・・・あっ!ツバサさん!」

ツバサ「穂乃果!?」

カウンターの奥で店番をしていたのは穂乃果だった

ツバサ「しかし驚いたわ・・・ここがあなたの家だなんて」

穂乃果「えへっへ…」

ツバサ「私はたまたまここに来たのだけれど、ここの和菓子が学校で評判がいいものだから私も食べたくなって」

穂乃果「そうなんだ!じゃあ今から用意するね!あっここすわって!」

しばらくして・・・

穂乃果「おまたせ!穂むら最新作ゴマ蜜団子!」

ツバサ「ゴマ蜜…?団子?」

穂乃果「うん!食べて食べて!お父さんの自信作だよ」

ツバサ「では、いただきます」

ツバサはゆっくりとその団子を噛む・・・・

プシャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

口の中にゴマ蜜?がはじける…絶妙な甘さのお餅がそれを引き立てる

ツバサ「なっ!?なにこれ!!ゴマ蜜が口の中ではじけて…でもすごく美味しい!」

穂乃果「へへっ!ありがとう////」

穂乃果が照れた様子で答える

ツバサ「そういえば…穂乃果は…いつも放課後店番してるの?」

穂乃果「うん・・・」

ツバサ「部活とかはやってないの?」

穂乃果「うん・・・何やればいいのかなって・・・」

ツバサ「・・・・・・・・」

穂乃果「ことりちゃんたちは穂乃果にもバイトしないかって誘ってくれるし、にこちゃんはアイドル部に入らないかって言うし、絵里ちゃんと希ちゃんはいっしょに生徒会やらないかって言ってくれるの・・・でも・・・」

穂乃果「穂乃果には何が向いてるのか・・・分からないんだ」・・・

ふたりの間に流れる気まずい沈黙…

ツバサ「さっそうだ!穂乃果、今度アイドルのライブを観に行かない?」

穂乃果「えっ!?」

ツバサ「いやっ!?いやならいいんだけど…」

穂乃果「うん・・・・・・・・・いいよっ!!穂乃果行きたい」

ツバサ「ほんと!?じゃあ来週の土曜ね」

穂乃果「うん!へへ楽しみだなぁ~」

ツバサ(フフン・・・こんなに喜んじゃって・・・)

穂乃果「うん!さっ食べよっかっ」

がぶり!ぴゅうううう!

ツバサ「あぁ!ゴマ蜜が!」

穂乃果「フフフ・・・」

ツバサ「えへへへ///」

ツバサ(彼女の笑顔を見ているだけで癒される…)

ツバサ「それじゃあ…私は帰るわ…」

ツバサは席を立つ

穂乃果「うん、また来てねツバササン」

ツバサ「穂乃果?」

穂乃果「ん?」

ツバサがいたずらっぽく微笑む

ツバサ「ツバサ…さん?」

穂乃果「あっ…ツバサ…ちゃん////」

ツバサ「うん///じゃあね、穂乃果」

穂乃果「また来てねツバサちゃん・・・ライブ楽しみにしてるね」

穂乃果もまた照れたように微笑む

ツバサは穂むらを後にする

ツバサは人込みを避け人通りのない道を選ぶ…

ザッ―

ツバサ「全く…せっかくいい気分で帰るとこだったのに…出て来なさいっ!」

ゆらり…暗がりから男が二人現れる…昨日の不良の二人

ツバサ(さっきから気配を感じると思ったら・・・面倒ね…)

ツバサ「昨日の仕返しってわけ…?キラー…」

しかし

不良A「ちょっと待ってくれ!?」

不良B「俺たちは君に危害を加えるつもりはねェ!!」

ツバサ「えっ!?」

不良「それにっ」

シュ!二人の背後に人影が現れる

ツバサ「なっ?守護霊?」

不良A「守護霊…か、まぁ間違っちゃいないがこれは守護霊じゃねぇぜ!」

不良B「俺たちはスタンドと呼んでいる」

そしてふたりは名乗った

不良B「俺は東方仗助」

不良A「俺は虹村億安だ」

そのころアイドル研究部・・・

凛「にゃ~~~!!今日の練習も頑張るにゃ~~~」

凛は今日も元気に練習を始めようとする

凛「とうっ!!」

バック転と側転宙返りを披露し見事に着地する凛…しかし

にこ「あぶない!!」

足元がぬかるんで凛の足が滑る

凛「にゃあああああああ~~~~」

その時、ぽわん!…体を打ち付けるはずが凛は直前で何かに抱きとめられるようにゆっくり地面に落ちる

凛「にゃ?怪我してないにゃ!」

にこ「凛!怪我はない!?・・・まったく・・・ヒヤヒヤさせないでよ…」

凛「ごめんなさいにこちゃん・・・」

凛(ま・・・まるで・・・見えない空気に抱きとめられたみたいだったにゃ~)

―音楽室―

ポーン

真姫「なんか…イマイチ響かないわ・・・」

ピアノの前で真姫は考え込む

真姫「もっとこう・・・染みわたるような響きが欲しいのよ」

真姫は鍵盤をたたく

ポーン

真姫「う~ん、古いピアノだからかしら…メンテナンス頼もうかしら」

真姫はもう一度鍵盤を叩く

ポーン……ポーン…ポーン…ポーンポーン!!

真姫「う゛ぇぇ!?なんか今物凄くピアノの響きが良くなったような…?」

真姫はもう一度鍵盤を叩く

ポーン……ポーン…ポーン…ポーンポーンポーン……ポーン…ポーン…ポーンポーン

ポーン……ポーン…ポーンポン♪…ポーンポーン♪

真姫「えっナニコレ楽しい!!!」

真姫は夢中でピアノを弾きはじめる!

ポーン♪ポロロン♪タタタン♪ポーン♪

音楽室に音楽が響き渡る


???「にゃ~お」

―花陽の家―

花陽「ふふふふ~ん今日は美味しいお米でごはんごは~ん」

花陽は鼻歌混じりでお米を掬う、それもそのはず、かねてより取り寄せていたブランド米が今日花陽の家に届いたのだ

彼女が上機嫌になるのも無理はない

そしてテーブルの上にお米を置き炊飯器を取りに行く…が…

ガッシャーン!!パラパラパラ…!!

花陽「あぁ!!オゴメガアアアアア!!」

見ると机の上のお米の容器が床に転がっている…そしてお米も

花陽「ナンデナノオオオオオ!?ウワアアアアアアアアア!!!」

アイドルらしからぬ悲鳴を上げ床に這いつくばる花陽

花陽「お米サンが一粒・・・2粒・・・」

そしてお米を一粒一粒拾い始める花陽・・・

花陽「ああああ…厳しい夏を超えて・・・収穫に到ったお米が・・・・うぅぅ・・・」

泣きながらいつしか悔しさのあまり花陽は眠りについていた…

???「なよ…花陽…?何してんだ…」

何処からか声が聞こえる…

花陽「…え?お兄ちゃん?」

花陽兄「何してんだお前…?風邪ひくぞ?」

花陽「うん…ちょっと悲しい出来事があって…」

花陽兄「あぁ…でもパンツ見せながらキッチンで寝るのは止めた方がいい」

花陽「うわああ!!もうあっちいって!おにいちゃん!」

花陽兄「へいへい…」

そして花陽はお米を片付ける最中だったことを思い出した

花陽「そうだ…お米サン片づけないと…」

花陽はお米を片付けようとする…が…みると目の前にこんもりお米の山が出来ていた

ミツケタゾ…モウヒトツブ…ミツケタゾ…タタタタ…

今日はこの辺で・・・リーガルハイ面白かった

再びツバササイド

仗助「まぁ信用しろって言うつもりはねェ」

億安「まっこんななりだからな~」

仗助「今日アンタに会いに来たのは警告のためだ」

ツバサ「警告?」

ツバサが一歩後ずさる

億安「お嬢ちゃんアイドルなんだろ?A-RISEってののよぉ~」

ツバサ(私の事を調べてる・・・?)

ツバサ「それがどうしたの?サインでも貰おう・・・だなんて言わないわよね?」

仗助「いや・・・このところアイドルばかりを狙ってるスタンド使いがいるらしい、だからアンタも気をつけな…今日はそれだけを言いに来た…じゃあな」

そう言って二人は道を引き返す・・・・

ツバサ「スタンド使い…」

一人残されたツバサが呟く・・・

ツバサ(私のほかにもこの能力を持ってる人間がいる・・・ううん、まだ情報が少なすぎるわ)

ツバサも帰路を急ぐ・・・

やがて逢魔が刻の太陽が沈みあたりを闇に染める・・・

ツバサ「ただいま…」

静まり返った家からは誰の返事もこない・・・

ツバサは奥の和室に行き、その前に座り話しかける・・・

ツバサ「ただいまお母さん、あのね…今日は友達の家に遊びに行ったの・・・」

12年前のことだ

当時まだ5歳だったツバサは遊ぶ相手もおらずただ母親について出かけるのが好きだった

優しい母親だった…友達なんていなくてもツバサには母親がいればよかったし母親はツバサの世界そのものだった

その日ツバサは母親に連れられて公園に来ていた

ツバサのほかに3人の同い年くらいの子供が公園で遊んでいる

ボールを投げ合って遊んでいる3人はとても楽しそうで、友達なんていらないと思っていたツバサが羨ましく思うほど仲が良さそうだった

あっ…

一人の子がボールを取り損ね、ボールを取りに行こうと走る…ボールは道路に転がっていく…

少し離れたところから見ていたツバサは、それを見て戦慄する

転がるボール…その先からやってくる大きな車…

考える間もなくツバサは走り出していた、小さな自分に何かできるとは思えない、でもツバサはそれをただって見ていることなどできなかった

ドンッ!!追いついたツバサはその子を思い切り押して道路の隅に押しやる…

だがツバサは…

ツバサ「あぁ…」

もうだめだと思った…その時

ツバサ!!!

キキキキキッ―――――!!!

ツバサは地面を転がる…

ツバサ「お…おかさ…さん」

ツバサを守ったのは彼女の母親だった…

母親「大丈夫…ツバサ…ケガはない?…」

ツバサ「う…うん…でも…お母さん…血が…」

血まみれになった母親に駆け寄るツバサ…血を止めようと傷口を押さえる…がぬるりとした血がツバサの小さな手のひらを染める

母親「いい…ツバサ…よく聞いて…あなたが…もし…これから先誰かを助けたいと思ったら…」

ツバサの母親はペンダントを取り出す、いつも母が大事にしていた矢じりの形をしたペンダント…

ツバサはそれを受け取る

母親「行きなさい…ツバサ」

周りに大人たちが集まり始めている…

爆発するぞー!離れろ!!

大声で叫ぶ大人たち

母親「…さぁ!行って!ツバサ!」

ツバサ「いやだ…おかあさんも…」

母親「ツバサ!お願い…行って!!」

ツバサは手に食い込むほどにペンダントを握りしめる…

そして、次の瞬間あたりを轟音と灼熱の炎が包み込んだ

爆発に巻き込まれたにもかかわらずツバサは軽いかすり傷で済んだ

ツバサに守護霊が見えるようになったのは、それからすぐのことだった

私のそばに、白い女の人がいる…

そう周りに行って回るツバサを大人たちは同情のまなざしで見つめ、子供たちは疑いと嫌悪のまなざしで見た

ツバサ(本当に見えるのに…どうしてみんな分かってもらえないの…)

ある日、ツバサは父に話してみた

ツバサ「ねぇ、お父さん?お父さんには見えたりしないの……おかあさん・・・」

父親「ツバサ…」

ツバサ(……?)

破裂するような音がして、左の頬が熱くなる

頬をはたかれたと気づくのにツバサは少し放心していた…

父親「いい加減しろツバサ、母さんが亡くなったのは不幸なことだった…だがそれを何年も引きずるな…おかしなことをまわりに触れ回るのもやめるんだ…」

ツバサは思う・・・

ツバサ(・・・あぁ…そうか…お父さんにも分かってもらえないんだ…私・・・)

ツバサは家を飛び出した

あてどなく街を歩くと…大きな電光掲示板の前に立っていた

そこから流れる明るい音楽

ツバサ(何この曲・・・私の今の気分とは正反対・・・)

何の曲かは知らないけど本当にバカみたいに明るくて

ツバサにとっては甘すぎて…歌詞だってどうしようもなく軽い…はずなのに

それでいて太陽のようにとても暖かい曲…

それがツバサとアイドルとの出会いだった

それからツバサは何度も何度もそのCDを聴く…

聴くだけでは飽き足らず歌いたくなる…体を動かしたくなる

歌を聞いた人が笑顔になってくれるのが嬉しかった

学校も芸能学科に進んだ

そして今は一緒に歌ってくれる仲間がいる

そうやって走り続けたから今の綺羅ツバサがある

そして…

ツバサ「キラークイーン…」

この守護霊の正体がなんなのかは分からないけど、ツバサにとってこれは事故の記憶であり

爆発という能力はトラウマでもありそれでいて母が自分を守るためにくれた力だとも思う

静かな暮らしを望みながらアイドルとして表に立たずにはいられない

矛盾した二面性はつくづく自分と同じだなとツバサは自嘲気味に笑う…

ふとケータイを見ると穂乃果からメールが来ている

ツバサはその内容を見て自然とほほ笑む

なんだかんだで今日も熟睡できそうだと思いながらツバサはベッドにもぐりこんだ

また書き溜めが無くなったのでしばらく更新ないです

土曜日

ツバサは予定よりだいぶ早く待ち合わせ場所にたどり着いた

普段なら遅すぎず早すぎずちょうどいい時間で待ち合わせ場所にたどり着くのが常の彼女だったが

穂乃果と待ち合わせには余裕をもって着かないと彼女自身が落ち着かないのだ

穂乃果「お待たせー!ツバサちゃんっ」

ツバサの心臓が高鳴る・・・

振り向くといつもと変わらぬ笑顔の穂乃果がそこにいる

ツバサ「おはよう穂乃果、今日も可愛いわね」

穂乃果「えぇっ!?あ・・・ありがとう」

ツバサ(ちょっとストレートすぎたかしら?でも本当の事だもの)

穂乃果「ツバサちゃんもすごく可愛いよっ、写真送ってくれなかったら分からなかったかも」

ツバサ「ふふ・・・イメチェンってやつかしら」

この日の為にツバサはなるべくおしゃれを損なわず綺羅ツバサであることを隠すファッションを研究していた

穂乃果との二人きりの時にいつもの地味な衣装は絶対に嫌、でも周りにツバサとバレては穂乃果とのデートに支障が出る

そうならないように、なるべくいつもの綺羅ツバサと違うイメージで・・・

クールで大人っぽいイメージを消すために服は可愛い系で、ブーツは止めてそのままの身長で、でも帽子でちょっとの自己アピール

最後にウイッグで前髪を少し長くすれば完璧だ

穂乃果「そういえばライブの予定は午後からだよね?随分早いけど・・・」

ツバサ「そうね、だって穂乃果ともっと一緒に遊びたかったんだもの・・・ダメ?」

ツバサはちいさく舌を出して穂乃果を上目で見る

穂乃果「へへっ、穂乃果も一緒だよっ!ツバサさんといろんなとこ行きたいもん」

ツバサ「よかったわ、今日はたくさん遊びましょう」

ツバサは穂乃果の手を取る

ツバサ「それでは参りましょうか?『穂乃果姫?』」

穂乃果「うん・・・エスコートはお願いね?ツバサさん」

ふたり「ふふっ・・・」

二人は街に歩き出した

穂乃果「最初は何処にいこっか?」

ツバサ「そうね・・・実は私行きたいところがるのだけれど・・・?」

穂乃果「奇遇だね、穂乃果もいきたいところあるんだ・・・」

ツバサ・穂乃果「アイドルショップ!!」

―アイドルショップ―

穂乃果「ツバサさんは良くここ来るの?」

ツバサ「えぇ…色々お気に入りのお店はあるけれど流行りってのもあるじゃない?同業者としても気になるってのもあるから、かなりの頻度で来るわね…あっこれ今日見に行くアイドルよ」

穂乃果「ほんとだっ…へへ」

屈託なく笑う穂乃果を見て綺羅ツバサは想う…こんな時間がもっと長く続けばいいと

しかし同時に何か違和感を感じていた、普段の穂乃果はこんなにも明るいのにどこか影を持っている…と思うことがあった

だがそれの意味は今は分からない、これから知れればいい…そんなことを考えていたツバ

サだったが…

穂乃果「ツバサさん?」

えっ…?

ツバサ「えっ?あっ何?穂乃果」

穂乃果「もうそろそろいった方がいいかなぁって…?」

ツバサ「あっ…そうね、うんじゃあ…いこっか…」

穂乃果「うん!」

ツバサ(穂乃果のことをもっと知りたい…いや、これから知っていけばいい)

そう思いつつツバサはお店を後にした

お店を出てしばらく経った頃・・・

ポツ・・・・ポツ・・・・

ツバサ「あっ・・・・」

穂乃果「雨?・・・」

小雨だが糸のような雨粒が降り注ぐ・・・

ツバサ(よりによってこんな日に・・・)

穂乃果「降ってきちゃったね・・・傘は持ってるけど・・・」

ツバサ「そうね・・・傘・・・あっあれ・・」

バッグを探るも折り畳み傘が見つからない

そういえば玄関に置いたまま傘を入れた覚えがない・・・

ツバサ「ごめんなさい・・・私傘もってないわ・・・」

ツバサは申し訳なさそうに言う・・・が

穂乃果「大丈夫だよ!」

ツバサ「えっ?」

穂乃果「いっしょにはいろっ!」

穂乃果の折り畳み傘は小さなものだった

だからお互い身を寄せないとどちらかが濡れてしまう

ツバサと穂乃果はお互い無言のままその小さな六角形に収まって歩く

しばらくすると

穂乃果「あ・・・・あれは?」

ツバサ「?」

コンビニの軒下に見覚えのある影がある

穂乃果「やっぱり!絵里ちゃん?お~~~い!!絵里ちゃ~~~ん!」

絵里「穂乃果?!とツバメさん!?」

穂乃果は絵里に抱きつく

穂乃果「絵里ちゃんと会えるなんて偶然だねっ」

絵里「そうね穂乃果、穂乃果は今日はデートかしら?」

ツバサ「//////」

穂乃果「えへへ」



テレテレテ~ン

コンビニの自動ドアが開く

希「エリチ~傘買ってきたで」

穂乃果「あっ希ちゃん!?」

希「あれ?穂乃果ちゃんどうしたん?」

絵里「さっき偶然会ったのよ、ところで穂乃果たちはこれからどこへ行くのかしら?」

穂乃果「この先のライブ会場でアイドルのライブがやるんだよっ」

絵里「アイドルのライブ・・・?それは誰でも入れるものなのかしら?」

ツバサ「野外だから誰でも入れますよ」

希「ええやんアイドル、ウチらも観に行こうやん」

絵里「ちょうど雨で予定が崩れていたとこだったから私たちも一緒に行っていいかしら?穂乃果、ツバメさん?」

穂乃果「うん!」

ツバサ「えぇ・・大丈夫ですよ・・・それと・・・・」

ツバサは帽子と眼鏡を取り髪を少し上げる

ツバサ「私の事はこれから『ツバサ』と呼んでくださいね」

絵里・希「えぇっ!!?」







一行は雨の中ライブ会場に向かう・・・

絵里「雨・・・やまないわね・・・」

希「天気予報ではそんなに降らないゆうてたやんな・・・」

穂乃果「もうすぐのはずだけど・・・?」

しかし一向に目的地には付かない・・・それどころか

絵里「何かしらこれ・・・?霧?」

視界が白くぼやける

大雨の中の霧で視界が封じられ満足に動けない・・・

ツバサ「せめて雨さえ止めば・・・」

その時

穂乃果「すぅ~~~雨止めえええええええええええええええ!!!!!」

穂乃果が思いっきり叫ぶ

絵里「穂乃果!?」

希「どうしたん?」

穂乃果「えへへ~こういえば晴れるかなって・・・」

ツバサ「全く穂乃果ってば・・・」

すると

希「あ・・・ホントに雨止んでる・・・」

あんなに降っていた雨が嘘のように止んでいた

しかし雨は止んだものの依然として視界は晴れない・・・・

ツバサ(この霧は普通じゃないわ・・・もしかして)

そのとき黒い影が穂乃果に近づく

ツバサ「穂乃果っ!」

穂乃果「えっ!?」

???「やっぱり穂乃果じゃない」

さらに黒い影が増える

穂乃果「えっ?にこちゃん?」

凛「凛たちもいるよっ!」

花陽「あわわっ!穂乃果ちゃん!」

絵里「凛、花陽まで」

真姫「はぁはぁ・・・全く、急に走り出さないでよね」

希「真姫ちゃんもいるやん」

穂乃果、ツバサ、絵里、希、にこ、凛、花陽、真姫の7人が集まる

しかし依然として状況は変わっていない

にこ「穂乃果の声がしたから来てみたけど・・・結局動けそうにないわね・・・」

希「ケータイは繋がらないん?」

穂乃果「それだ!」

穂乃果はケータイ電話を取りだしどこかに電話をかける

穂乃果「あっ海未ちゃん?今どこ?・・・うんちょうどバイト終わったところ!?ことりちゃんも?うん・・・うんじゃあ近くだね!待ってる」

穂乃果「海未ちゃんたちバイト終わって近くにいるって」

にこ「それにしたってどうやってここまで来るのよ!」

穂乃果「うぇ~・・・だって来れるっていうから・・・」

海未「穂乃果!!」

全員「うわっ!」

ことり「海未ちゃ~ん待って・・・」

遅れてことりがやってくる

にこ「びっくりさせないで・・・てか早いわよ!」

しかし海未は涼しげな顔で言う

海未「何年住んでると思ってるんですか?これくらいの道なら目をつぶってでも歩けますよ」

ことり「えっへんっ」

さて

海未「ではどうしますか?駅にまで着ければ皆さん帰れると思いますが」

花陽「えぇ~アイドルは・・・・」

希「たぶんこの霧の中じゃ無理やん・・・・」

凛「残念だにゃ~」

海未「確かにこの霧ではライブ自体が中止になる可能性がありますね」

にこ「我がアイドル研究部の為にどうしても見たかったけど、仕方ないわね・・・はぁ~」

真姫「私は別にどうでもいいけど・・・」

にこ「真姫ちゃんだって楽しみにしてたくせに~~」

真姫「ソ・・・ソンナコトナイワヨ!!」

絵里「まぁまぁ・・・とりあいず皆で駅まで行きましょう?話はそれから」

海未「ではみなさん参りますよ」

一同「はーい」

海未の案内で霧の中を歩きだす一向

全員が黙って歩く中・・・ふと希がいう・・・

希「そういえばウチ映画で観なことあるんやけど・・・」

にこ「な・・・なによ」

希「その映画の中でな・・・主人公たちの住む町が突然霧に覆われるんや・・・」

絵里「やっ・・・やめてよ希・・・」

希「それでな・・・主人公たちはあるお店に隠れるんやけど・・・閉じ込められた人の中で外に出て行こうとする人が出てくるんや・・・」

花陽「あっそれ知ってます・・・その後出て行こうとする男の人がシャッターを開けると・・・」

凛「開けると・・・?」

花陽「中から・・・・」

真姫「なっ・・・中から???」

花陽「黒い物体が・・・」

ことり「物体が・・・?」

花陽「にゅーっと・・・」

その時!目の前に真っ黒い塊が現れる

ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

花陽「いやああああああああ!!!」

ことり「いやあああああああああ!!穂乃果ちゃああああああん」

絵里「hだういふshしjhdhhbdjhんjskljvkmsjぎゅ」

しかし

???「おぉ!?なんだなんだ?」

???「どうしたんだ!?」

ツバサ「あら?」

目の前に現れたのは

仗助と億安だった

穂乃果「あっ!いつかの不良さん」

海未「知り合いなのですか?」

穂乃果「知り合いってほどでもないけど」

ツバサ「仗助さんと億安さん」

億安「よぉ!おひさっ」

穂乃果「知り合いなの?」

ツバサ「ついこの間また会ったのよ、不良ではないらしいわ?よく知らないけど」

仗助「道聞いてただけだしな」

穂乃果「そうなんだ!疑っちゃってゴメンナサイ・・・」

仗助「いいってことよ」





ツバサ「それで何してるんですか?」

仗助「あぁ・・・ツバサちゃんも感じるだろ?この霧は普通じゃない・・・しかもこの近くでアイドルのライブがあるらしい・・つーことは」

ツバサ「スタンド使い・・・ですか?」

仗助「たぶんな・・・」

にこ「ちょっとちょっと!何話し込んでるのよ」

にこがたまらず話に割り込む

にこ「スタンドとかなんとかちょっと意味わからないんですけど!?それにツバサって・・・」

ツバサ「あっ・・・そういえばまだ私の事言ってなかったわね・・・矢澤にこさん」

ツバサはもう一度帽子と眼鏡を取り素顔を晒す

にこ「・・・・・・・・・・・・・・・」

ツバサ「A-RISEの綺羅ツバサです、初めまして・・・・?じゃないか」








にこ「・・・・・・・・・・・・・・」

花陽「えぇ!ツバササンダッタノオ!!」

凛「それよりにこちゃんが気絶してるにゃっ!!」

真姫「帰ってきてにこちゃん!」

にこ「あら・・・あら・・・ツバサ・・・」

海未「完全に気絶していますね・・・それで・・・この状況・・・説明していただけますか・・・」

ツバサ「そうね・・・でも・・・」

ツバサは口ごもる・・・説明したところでスタンドの事を信じてもらえるとはとても思えない・・・ツバサはそれを嫌というほどよく知っている

彼女たちは見えないのだから・・・見えないものを人は決して信じようとしない

仗助「俺から説明しよう」

仗助は今までの経緯とスタンド使いのこと

自分たちがアイドルばかりを狙うスタンド使いを追ってこの街に来たことを明かす

海未「なるほど・・・お話は分かりました・・・が・・・・とても信じられませんね・・・・」

ツバサ「まっ・・・当然ね・・・」

その時

凛「ねぇ!そのスタンドって凛達には見えないの?!」

ツバサ「普通わね」

凛「じゃあそこの筋肉のある人は誰にゃ!?」

??????????????????

ツバサ「なっ!!!もしかして・・・見えてるの?」

凛「この強そうな人の事にゃ?ペシペシ」

凛は確かに仗助のスタンドに触れている・・・・

ツバサ「私のは!?凛見える?」

凛「うん!耳が猫さんだにゃ~」

億安「俺のは分かるか!?」

凛「顔がロボットみたいだにゃ~」

ツバサ「凛にはスタンドが見えている・・・ということは凛はスタンドが出せるの・・・かしら?」

凛「???」

ツバサ「試しに出してくれないかしら・・・?」

凛「えっでもどうしていいか分からないにゃ・・・」

仗助「攻撃したり守ったりとかそういう強い意志で動かすんだ」

凛「んん・・・凛わかんないにゃ・・・」

ツバサは少し考え込む・・・

ツバサ「見えてる原因は分からないけど・・・もしかしたらまだ使いこなしていないのかも」

仗助「ここで話しても埒が明かない、とりあいず移動しよう」

海未「そうですね・・・行きますよ皆さん・・・あれ?穂乃果はどうしたのですか?」

海未「穂乃果!?穂乃果が居ません!」

ざわつく一向

絵里「さっきまでいたはずよ」

希「いつの間にはぐれたんやろ」

ツバサ「とりあいず探さないと!」

しかしこの霧でどこにいるのか見当もつかない・・・

億?「そういう時は!オラァ!」

億?のスタンドが空を一掻きする・・・と

霧が少しだけ取り払われる

億?「こうすればちっとは視界が開けるだろ」

仗助『グレートだぜ億?」

オラァオラァオラァ

しかしいくら霧を取り除いても穂乃果の姿は見当たらない・・・

ツバサ(本当にどこに行ってしまったの・・・穂乃果)

穂乃果サイド

穂乃果「おーい!絵里ちゃ~ん・・・・ツバサさ~ん・・・海未ちゃ~ん」

しかし・・・返事は帰ってこない

穂乃果「みんな迷子になっちゃったのかなぁ・・・・」

その時・・・

ぐいっ

穂乃果は不意に大きな手につかまれる

穂乃果「きゃぁ!なにっ!?」

穂乃果は抵抗する・・・が・・・・

???「ミツケタ・・・・ミツケタ・・・・」

穂乃果(うっ・・・・苦しい・・・絵里ちゃん・・・海未ちゃん・・・ツバサさん・・・)

ガクッ・・・穂乃果が地面に転がる・・・・

穂乃果を襲った人物はそのまま穂乃果を抱え闇に消える・・・・

海未「穂乃果!いったいどこへ・・・あぁ・・・」

ことり「落ち着いて海未ちゃん」

絵里「とりあいず・・・そう!電話よ!電話で連絡してみて!」

希「もうかけてる・・・でも…穂乃果ちゃん電話でぇへん・・・」

仗助「せめてエコーズみてぇな・・・遠距離タイプのスタンドが居れば・・・・」

ツバサ(本体から離れて索敵するタイプのスタンドがいるとは聞いていたけど、多分見た感じ3人とも近距離タイプ・・・凛に到っては出すこともままならない・・・どうすれば)

万事休す・・・か

しかし

真姫「待って!」

一同「???」

真姫「その・・・スタンドって言うのは守りたいという意思や攻撃の意思で動くのよね・・・?」

仗助「そうだ」

真姫(なら・・・・・)

真姫は目をつぶり・・・穂乃果の事を思う

すると・・・・

スッ・・・真姫の横に小さな動物の影が現れる・・・・

真姫「これが・・・・私の・・・スタンド?・・・なのかしら?」

ツバサ「なっ・・・・真姫あなたスタンド使いだったの?」

仗助「驚いたぜ・・・こんなはっきり像を出せるとは・・・」

真姫「・・・・たまたまよ・・・今だって動かすのが精いっぱい」

ツバサは驚きながらも冷静に尋ねる

ツバサ「能力は・・・?」

真姫「そうね・・・希!穂乃果のケータイは鳴らし続けてる?」

希「えっ?う、うんっかけてるよ」

真姫「穂乃果の着信音は私が覚えてる・・・そしてこの音を、この子に覚えさせる!!!」

真姫は自身のケータイから出した音をスタンドに聞かせる

ピクン!とスタンドが震え走り出す構えをとる

真姫「行って!穂乃果のケータイの音を追うのよ」

スタッ!目にもとまらぬ速さで真姫のスタンドが走り出す

真姫「音の形を覚え・・・追跡する能力・・・これで今穂乃果のケータイの音を追跡しているはずよ」

仗助「遠距離追跡タイプのスタンドか・・・・名前は?」

真姫「名前・・・?そう名前を付けるものなの・・・」

真姫は少し考え込む

真姫「決めたわ!!猫・・・というのは少し非力すぎるから、パンサー・・・・そう私のスタンドの名前はキューティー・パンサー!!!」

真姫「見つけた!穂乃果のケータイの音・・・ちょっとそこの人!」

億?「俺っすか!?」

真姫「今から私のいう方向の霧を払い続けて!」

億?「う~~~~なんかわからんが分かったぜ!ザ・ハンド!」

シュッ!!!前方の霧が取り払われる

真姫「そのまま進むわよ!!」

ツバサ「私も行くわ!あなたたちはここにいて!絶対離れ離れになっちゃだめよ!」

凛「分かったにゃ!」

真姫「走るわよ!」



真姫・ツバサ・仗助・億?が走る

真姫「そこの角を左!」

ツバサ(穂乃果!どうか無事でいて・・・)

~~~♪

真姫「あそこ!」

真姫が指さした場所にスマートフォンが一台落ちている

音はそこから鳴っている

しかし周囲に穂乃果の姿はない

真姫「そんな・・・・」

ツバサ「穂乃果・・・」

落胆するツバサ・・・

だが

仗助「いや…まだ策はある!!」

仗助はスマホを持ち上げある部分を指さす

仗助「ここよぉ~紐が千切れてるだろ?」

よく見ると穂乃果のスマホのストラップの先が千切れ、紐だけががぶら下がっている

ツバサ「あっ!これ最近穂乃果と一緒に買ったものだわ!」

仗助「と、言うことは切れたのはごく最近だよなぁ~~?!そこまで分かればっ!クレイジーダイアモンド!!」

シュ!!!人型のスタンドクレイジーダイアモンドが現れる

仗助「ストラップを直す!そしてスマホは彼女を追跡する!」

ドララララ!ストラップに引っ張られスマホが移動していく!

仗助「追うんだ!その先に彼女はいる」

スタンド名「キューティー・パンサー」

本体「西木野真姫」

破壊力-E スピード-A 射程距離-A

持続力-A(追跡対象の音が鳴り続ける限り) 精密動作-A 成長性-A

全身に音符の形を模した模様を持つヒョウのスタンド
姿は大きめの猫並みだがパワーのない反面、音を覚え何処までも追跡することが可能

記憶する音の音色により全身の模様と毛並みが変化する

発現したばかりのスタンドなので今後大いに成長する可能性あり

ツバサはいの一番に駆けだした

穂乃果がその先にいる

ツバサ「ハァハァ・・・見つけたわよ・・・・」

ツバサの前に穂乃果がいる・・・ずっとストラップを握っていた手に確かにスマホがぶら下がっている

そして穂乃果を担いでいる・・・影

ツバサ「穂乃果から離れなさい!!」

ツバサが言うが早いか、真姫のキューティーパンサーが影の腕に食らいつく!!

???「!?スタンド使い!?」

フン!!影はQ・パンサーを振りほどき地面にたたきつける

???「この女は必要だっ・・・離さない!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・周囲に霧が変化している

ツバサ「くっ!」

ツバサはスタンドを出して応戦しようとする・・・が

仗助「おっとそこのおっさん!その子を離してもらおうか!」

遅れてきた仗助が言う

億?「変なことは考えんじゃねぇぞ」

億?が指をぽきぽき鳴らす

億?「3対1じゃどっちが不利かは俺でもわかるぜ!!」

真姫「3対1??」

真姫「違うわね・・・4対1よ・・・」

さらに真姫も加わる

仗助「さぁ・・・どうするんだ」

・・・・・・・・・・

静寂が辺りを支配する・・・・

ゴオオッ!!!

不意に霧が渦巻き視界が一気に奪われる!

ツバサ「なっ!!!穂乃果アアアアアア!!!」

ツバサは叫ぶ・・・

そして・・・霧が晴れると男の居た場所には穂乃果だけが倒れていた・・・・

ツバサ「穂乃果!」

ツバサは穂乃果に駆けよりその体を抱き上げる・・・・

仗助「大丈夫か!?怪我ならいくらでも治せるぜ!!」

真姫「私に診せて・・・どこにも怪我をしている様子もない・・・気絶してるだけみたいね・・・」

ホッ・・・・

一同は胸をなでおろす

しかし、肝心の犯人を逃がしてしまった・・・・

犯人はなぜ穂乃果をさらったのか・・・・

謎は深まるばかりだ・・・

穂乃果「う~~~ん今日もパンがうまい!」

真姫「穂乃果ってばホント呑気!全く・・・自分がさらわれたって自覚あるのかしら?」

凛「凛は呑気な穂乃果ちゃんも好きだにゃ~」

花陽「だっ・・・ダメだよ凛ちゃんっ、しっかり穂乃果ちゃんを守らないとっ」

あの霧が渦巻いた土曜日から数日が経った

穂乃果はその後大事を取って搬送された真姫の家の病院で目を覚ました

検査の結果特に異状もなく状態は至って良好だったため翌日には退院した

そして土曜日の翌日

穂乃果を除いたあの場にいた全員が海未とことりの働いているメイド喫茶にあつまる

海未「では、話していただきましょうか・・・あなたたちの知っていること全部」

ツバサ「そうね・・・昨日話したこともあるから説明は同じになっちゃうけど・・・」

ツバサは自分の知っている範囲のことを話す

スタンド・・・能力・・・この街に来ているというアイドルばかりを狙う謎のスタンド使い・・・・

仗助が時々補足をし大体の話は終わった

一同「・・・・・・」

最初に口を開いたのは・・・・

真姫「まっ・・・大体の話は分かったわ・・・・要するに超能力者になったんでしょ?私」

凛「真姫ちゃん冷静すぎるにゃ~!!」

真姫「しょうがないでしょ・・・実際自分の身で体験してるわけだし・・・」

真姫はふっと手をかざし自身のスタンド『キューティーパンサー』を呼ぶ

凛はさも当然のようにそのスタンドに触れ頭をなでる

凛「にゃんにゃん・・・この猫さん可愛いにゃ・・・・凛の咳も出ないし・・・真姫ちゃんさえよければ凛の家に・・・」

真姫「うぇぇ??あげないわよ・・・!そっ・・・そんな事より私が知りたいのは昨日の客観的な事実と状況よ」

絵里「そうね・・・実際私には何も見えないわけだし・・・かといってあなたたちの話を否定もできない・・・なら私たちは実際に起こったことから真実を推察するしかないわね」」

仗助「一応そういうと思って一通りのことは調べてきたぜ」

そういって取り出したのは新聞の切り抜きだった

見出しには『アイドルのライブ、霧発生で騒然』と書かれている

土曜日に発生した霧は会場の周りを覆い現場は一時騒然

ライブは延期になった・・・と書かれている

そして関係者によると原因はライブのスモークに使うドライアイスが漏れたことだとされていた

仗助「まぁ、表向きはこんなもんだろうな」

凛「じゃあ昨日のあの霧はただのドライアイスだったの?」

真姫「そんなわけないわ、あの動きは明らかに不自然な動きをしてたわ」

凛「じゃあ霧の形をしたスタンド?」

真姫「それは・・・分からないけど」

いや、と仗助が遮る

仗助「俺もそう思ってな、ある人に聞いたんだ・・・霧の形をしたスタンドはあるのかって・・・」

一同「ゴクリ・・・・」

仗助「その人はちょっと驚いて教えてくれたぜ・・・存在している・・・と」

全員に緊張が走る・・・

真姫「じゃあもうそれ決定じゃない?その人が犯人よ」

仗助「いや、存在していたという方が正しいか・・・その人はこうも教えてくれたぜ、『そのスタンド使いは既に死亡している』・・・と」

凛「じゃあ・・・・」

仗助「まぁ同じ能力が全くないとは言い切れねぇし、似たような能力なだけかもしれねェ・・・それ以上の事は分からなかったよ」

一同「ウーン・・・・」

真姫「結局振り出しってわけね」

・・・・・・・・・・

一同が沈黙するなか

あのよぉ~????

億泰「オレ、前から気になってたんだけどよぉそのぉ~凛ちゃん?だっけか?なんでスタンド見えてんのかなって?」

一同「????」


それまで黙っていたツバサが口を開く

ツバサ「それは、やはり最近能力を身に着けたから・・・・と考えるべきかしら、私も小さいころに発現したけど最初は能力が不安定だったわ」

しかし

億泰「う~~~んそういうのじゃなくてだな~~~?」

ツバサ「?・・・」

仗助「億泰よぉ~おれはおめーの言いたいこと何となくわかるぜ」

仗助が口をはさむ

仗助「俺も疑問だったんだぜ・・・凛ちゃんたちはなぜスタンド使いになったのか・・・ってな」

億泰「おおっ!それだぜ!俺が疑問だったのは」

仗助「全くおめ~は語彙がすくねェんだよなぁ」

億泰「全くだぜ!」

ガハハハハハハハ!!!!

真姫「それは私も知りたいわよ、なんでこんなことになっちゃったの?」

仗助「スタンドについては謎が多くてな、生まれつきだったり、周りから影響を受けたり、ある分野において極限まで極めた末に発現することもある」

億泰「それかぁ~あとは矢・・・・」

ツバサ「矢?」

仗助「あ~!!!!いやそれはだな・・・何でもないんだ」

億泰「おおお!何でもねェよなぁ!やー!今日もパフェがうまい!ってな!」

ツバサ「じー」

二人「・・・・・・・・・・・・・」

真姫「ま・・・私はどうでもいいけど・・・・それより私は他に確かめたいことがあるの」

一同「?」

真姫「単刀直入に言わせてもらうわ、花陽」

花陽「えぇ!?あたし?」

いきなり名前を呼ばれてむせる花陽

真姫「視えてるんでしょ?あなたも」

真姫「隠したって無駄よ、私のQ・パンサーのことあなたは目で追っていたもの」

花陽「わっわたすはっ!!あっ」

慌てた花陽の手からパフェが滑って倒れる

花陽「あああっ!」

その時

わらわらわらわら

何処からともなく小人サイズの人間が湧き出て倒れる寸前でパフェをキャッチする

そしてこぼれたお菓子をせっせと袋に詰める

花陽「あぁ!出て来ちゃダメええええ~」

花陽が慌てて止めようとするがだが時すでに遅し

凛「かわいいにゃ~」

凛が一人をつまんで捕獲する

真姫「やっぱり・・・花陽もスタンド使いになってたのね」

花陽「うううう・・・はい・・・」

仗助「『群体型』か・・・・」

億泰「あぁ・・・珍しいタイプだな」

何故か二人はしんみりしている

ツバサ「どうしたの・・・・?」

仗助「いや・・・昔を思い出したんだ」

ツバサ「・・・・」

どうやら二人はこのタイプのスタンドに思い入れがあるらしい・・・

パンっ!

億泰「そうだ!このスタンドにも名前を付けようぜっ!」

億泰が無駄に明るくいう

花陽「なっ・・・名前ですか?」

仗助「普通自分のスタンドには名前を付けるもんだぜ、俺はクレイジーダイヤモンド、こいつならザ・ハンドって具合にな」

億泰「本体の性格にちなんだり、能力にちなんだり由来はいろいろだけどなっ!!」

花陽「うぅ~~~」

真姫「言いたいことがあるなら言った方がいいわよ」

凛「かよちん何て名前にするの?」

花陽は少し悩む・・・そして

花陽「キメマシタ!!」

ドン!

花陽「私のスタンドの名前は『Printemps プランタン(ズ)』です!」

スタンド名 Printemps プランタン(ズ)

本体 小泉花陽

破壊力‐E スピード‐B 射程距離‐A 持続力‐A 精密動作‐E 成長性‐C

小人のような形をした群体型のスタンド

花陽にも全体の数がわからず湧き出るように増殖する

お菓子が大好物でよく聞くと小さな声でしゃべったりもする

一人一人に特徴があり一人として同じ形の者はいない

特殊能力は特にないが群体型特有の数での攻撃とダメージフィードバックの少なさがウリ

虹村形兆のバッドカンパニーと重ちーのハーヴェストの能力を合わせたようなスタンドで

星空凛いわく「妖精さん」のようなスタンド


今夜もこれで安心して熟睡ができる・・・・

パンッ!

突然手の鳴る音がする

絵里「スタンドの事はそのくらいにして、これからどうするかを考えましょう」

希「エリチ・・・・」

海未「そうですよ、穂乃果がさらわれかけた件もありますし、犯人は早く捕まえてもらわないと」

ツバサ「そのことだけど・・・」

ツバサはそう前置きする

ツバサ「相手が普通の人間じゃないのはもう分かったでしょ?だから今後穂乃果の学校生活には最低でも一人は傍に見える人間を置いておいた方がいいわね」

海未「1年生のうちの誰か・・・ということですか?」

ツバサ「えぇ・・・できれば一番使いこなしている真姫さんにお願いしたいところだけど・・・」

真姫「私のスタンドは戦う力なんてないわよ?」

ツバサ「それでもいいわ、登下校は私が付くし、遠くから仗助さんと億泰さんも見てくれるから、あなたはもし何か異常があったら連絡してほしいの」

海未「で・・・でもっ・・・では穂乃果の家はどうするんですか?家では穂乃果を守れる人がいませんよ!?」

ツバサ「あぁ、それね?それなら心配ないわ・・・・」

ツバサはお茶を一口飲む

ツバサ「穂乃果は当分の間、『私の家』で暮らすんだから」

えー!!!???

海未「どういうことですか!?」

絵里「聞いてないわよ!?」

ツバサ「昨日、病院に行って穂乃果と話してきたのよ・・・その時に穂乃果に事情を話して来たわ、そしたら二つ返事でOKしてくれたわ、もちろんお母様の許可もとってあるわ」

ことり「ほのかちゃんお泊り好きだもんねっ」

海未「でっ!でもっ・・・」

ツバサ「そういうことだから、穂乃果の学校外での警護は私に任せてね」

海未「くっ・・・・・分かりました・・・でもいつまでですか?まさかずっと続けるわけではないでしょう?」

ツバサ「本題はそこよ・・・・」

一同「・・・・・?」

ツバサ「今月末に『ラブライブ』が開催されるわ」

海未「ラブライブ・・・?なんですかそれは?」

花陽「知らないんですか!?」

花陽が突然大声を出す

花陽「ラブライブと言えばスクールアイドルの祭典にして全てのスクールアイドルの最高の晴れ舞台!」

にこ「ようするにスクールアイドルの甲子園みたいなものよ」

凛「凛たちは予選敗退だったけどね」

海未「はぁ・・・・それがどうしたのですか・・・?」

真姫「わからないの?たぶんツバサさんはその時を狙って犯人がまた現れるのかも・・・って踏んでいるんでしょ?」

皆がツバサを見る・・・

ツバサ「えぇ、私には確信がある、犯人はこの時に必ずライブを妨害しにくるわ」

仗助「それを俺たちが捕まえるってわけだ」

億泰「そーゆーこと!」

海未「分かりました・・・それが最善だというなら・・・」

絵里「じゃあ現在の状況をまとめるわね」

・今この街にアイドルばかりを狙う謎のスタンド使いがいる(人数、名前、素性不明)

・仗助、億泰はそのスタンド使いを捕まえるために来た

・現在なぜか穂乃果が狙われている・・・らしい

・穂乃果の身辺はツバサ、仗助、億泰が護衛・・・学校内はスタンド使いまたはスタンドが見える1年生組が担当」

・ラブライブ本選開催に伴って犯人が現れる可能性があるためその時点で捕獲

絵里「まぁざっとこんな感じかしら」

仗助「グレートだぜ」

真姫「方針は決まったわね」

凛「了解にゃ!」

花陽「ふえぇ・・・ガンバリマス!」

仗助「そんなに緊張しなくてもいい、いざとなったらやりあうのは俺らだ」

海未「そのことなんですが・・・?」

海未「あなたがたの知り合いか誰かに応援を頼むことは出来ないんですか?ほら先ほども話を聞いたとかおっしゃっていたじゃないですか」

仗助「あー・・・・」

億泰「それがなぁ・・・・」

仗助「俺たちもあの人に来てくれれば心配はないくらいだ・・・だけど無理だな」

億泰「あと一人頼りになる仲間もいるけどよぉ~あいつは今遠くにいるんだよなぁ」

海未「そうですか・・・ではこの人数だけで対処しなければならないんですね・・・」

仗助「というわけでもない・・・詳しいことは言えないが非スタンド使いの人員ならかなり協力してもらえる、だがスタンド使いは数が少ないうえに使える能力となるとかなり限られてくる・・・いわば才能なんだ」

海未「才能・・・・ですか」

億泰「あとは露伴先生くらいしか・・・・」

仗助「・・・・・」

億泰「・・・・・」

二人「ははははは!!ないないっ!!あの人はない」



仗助「まぁざっとこんな感じだな」

ツバサ「ありがとうございます仗助さん、億泰さん」

億泰「いいってことだ!目的が一致してるなら協力し合うべきだぜ!」

仗助「正直現地で優秀なスタンド使いに合えたのは幸運だったぜ!」

億泰「本当だぜ!」

絵里「じゃあ話はまとまったかしら?」

ツバサ「えぇ、みんなも今日は集まってくれてありがとう」

絵里「そう・・・じゃあ私はこれで・・・」

絵里が席を立つ

希「あっ!まって~エリチ~~」

希も一礼して絵里を追いかける

にこ「話はよくわからないけど・・・アライズのツバサさんが言うなら・・・」

にこが席を立つ・・・

花陽「でっ・・・では!」

凛「また学校でにゃ」

真姫「じゃあね」

一年生組も帰り支度をする

海未「私たちは・・・」

ことり「仕事にもどろっか・・・?」

仗助「んじゃ俺たちも・・・」

億泰「ホテルに帰るとスッかぁ~」

仗助たちも店から出ていく・・・

ツバサ(穂乃果・・・絶対守って見せる・・・)

一人残ったツバサは決意を新たにする

それぞれがさまざまな思いを抱えひと時の家路につく・・・

彼らはまだ知らない・・・これから起こる事と・・・その結末を

→ to be continued

UTX学院

教師「では教師のレッスンはココまでっ!」

三人「ありがとうございました!」

英玲奈「そういえば…」

英玲奈が話す…しかし

ツバサ「それじゃあまた明日!バイバーイ!」

言うが早いか階段を降りていくツバサ

英玲奈「おや?今日は随分早いな」

あんじゅ「ふふっ…なーんか怪しいわね…まさか彼氏?」

英玲奈「まさか、ツバサに限ってそれは無いんじゃないか?」

あんじゅ「それじゃ彼女?」

英玲奈「全く、あんじゅは私をからかっているのか?」

あんじゅ「ふふふ…じょーだんよじょーだん」

英玲奈「君の冗談は時々笑えないよ…」

あんじゅ「えへっ」

あんじゅは小さく舌をだして上目遣いに英玲奈を見つめた

ツバサ「お待たせ~穂乃果」

ツバサは校門の穂乃果に手を振る

ツバサ「もしかして待たせちゃった?」

穂乃果「ううん!さっきまで海未ちゃん達といたから大丈夫だよっ」

穂乃果は無邪気に笑う

ツバサ「そう、じゃあ早速家に帰りましょう、案内するわ」

穂乃果「ツバサちゃんの家かぁ~穂乃果楽しみだな」

穂乃果の目が輝く

ツバサ「着いてからのお楽しみだよっ穂乃果っ」

2人で並んであるく

歩きながらツバサは穂乃果と他愛のない会話をする・・・・

学校のこと・・・好きなアイドルのこと・・・友達のこと・・・

その一つ一つが彼女にとっては新鮮そのものだった

クラスメイトはツバサをA-RISEのツバサとして意識をしているし

メンバー内でもこんなに楽しくおしゃべりしたことなんてなかった・・・

家族は・・・

ツバサ(・・・・あ・・・あれ・・・?)

穂乃果「ツバサちゃん・・・・?」

ツバサ「ハッ!・・・ごめん穂乃果っ・・・ちょっとボーっとしてた・・・」

穂乃果「ツバサちゃんでもボーっとしちゃうんだ、穂乃果と同じだねっ」

ツバサ「穂乃果のはボーっとじゃなくて居眠りでしょっ?」

穂乃果「いやぁ~今の言い方海未ちゃんみたいだよ~」

ツバサ「フフッ、しっかりしてください穂乃果」

穂乃果「うぇ~ん!ツバサちゃんがいじめる~」

ツバサ「フフっ」

ツバサ(明日から連休だし・・・穂乃果とどこかに出かけてみようかしら・・・?)

そんなことを思いながらツバサは家に帰る・・・・穂乃果と一緒に・・・

仗助はツバサと穂乃果が家に入ったのを確認し持っていたケータイに話しかける

仗助「オーケー帰宅を確認した」

電話の億泰「こっちも大丈夫だな、今からそっちに行くぜ」

仗助「りょーかい」

ピッ

仗助はとりあえず無事に二人が帰宅したことに安堵をする

しかし犯人はいつ現れるか分からない…

油断は禁物だ

その時

パキッ…小枝の折れる音がして仗助は振り返る

仗助「誰だ?!」

億泰がこんなに早く来るはずはない…

ならば敵か?!

しかし立っていたのは意外な人物だった

仗助「アンタは…」

園田海未は悩んでいた

悩みに悩み抜き一つの結論に達した海未は行動を開始する

そして…

仗助「アンタは…」

海未は頭を下げて懇願する

海未「お願いします…スタンドを私に教えて下さい…」

仗助「なっ…本気か?」

海未「はい…」

海未は話す

海未「私はずっと穂乃果に出会った時から穂乃果を守って来たんです…穂乃果は引っ込み思案で恥ずかしがり屋だった私に優しくしてくれて…」

海未「穂乃果を守るために力がいるんです…」

仗助「そうか…」

しかし返ってきた答えは

仗助「残念だがスタンドを教える…なんてのは無理だな…」

その答えにうなだれる海未

仗助「だが戦う術が無いわけじゃ無い」

海未「えっ?」

仗助「スタンドは個々の才能だから発現する確率や性能が予想できない」

仗助「だが努力によってその才能に近づくことは出来る、とりあえず見てな」

仗助は足元の水たまりに指を少し触れ息を吸い込む

コオオオォォォォォ!

すると不思議なことに水たまりに仗助の指を中心に円のようなそれでいてお互いに交差し合うような波が現れる

指は微動だにしていない…水だけが波を立てている

海未「これはっ…!?」

仗助「これがスタンドに対抗するための努力、東洋では仙術と呼ばれてるが俺達はこう呼ぶ『波紋』と」



海未「波紋!それが私にも使える戦うための力なんですね」

仗助「もちろんスタンド使いになるわけじゃ無いから万能じゃないぜ?だが応用がきくし、今の君にはこれが一番だと思う」

海未「はいっ!では早速教えて頂けますか?」

仗助「あーそれなんだがな…」

穂乃果「お…おじゃましまーす」

穂乃果は恐る恐る玄関をくぐる

ツバサ「そんなに緊張しなくても平気よ穂乃果」

穂乃果「うっうん…そうだよね…それにしても」

ツバサの家はなんというか一目で高級だと思える家だった

前に真姫ちゃんの家がすごかったと花陽に聞いたことを穂乃果は思い出した

そして穂乃果はツバサの家もまたそのすごい家なんだと少しばかり圧倒されてしまった

ツバサ「しばらくは親も帰って来ないし、自分の家だと思ってゆっくりくつろいでくれていいのよ」

穂乃果「もしここが穂乃果の家だったら穂乃果はお姫様だねっ」

穂乃果は無邪気に笑う

ツバサ「では穂乃果姫にはツバサ王子がついてなきゃね」

ツバサもまた無邪気に笑った

ツバサ「じゃあまず部屋から案内するね穂乃果」

ツバサは穂乃果の手を握って歩いていく

ツバサ「まぁざっと部屋はこんな感じかしら?」

穂乃果「すごい!どの部屋も凄すぎるよ!」

ツバサ「驚いた?」

穂乃果「うん!穂乃果の家は古いから寒くて狭くて…」

ツバサ「伝統的で良い家じゃない」

ツバサ(それに…家族もいる…)

ツバサは父親とあの日以来余り話さなくなった

元からそこまで喋るほうでは無かったが、やはり気まずい空気はどうにもできなかった

ツバサ(だけど…)

ツバサがUTXに入りたいと言った日…ツバサはきっと反対されると思った

しかし、意外な事に父親は少し驚いたような顔をしたものの反対することなくツバサをUTXに入学させてくれた

高い学費を払ってくれているのもありがたいし、ラブライブにスポンサーで入っていると知った時は流石に驚いた

ツバサ「そ・ん・な・こ・と・よ・り」

ツバサは穂乃果にぐいっと近づく

ツバサ「ご飯にする?お風呂にする?」

穂乃果「?!」

ツバサ「やっぱりご飯が先かしら?」

穂乃果「えっ…うん!」

ツバサ「決まりね、今から作るからちょっと待っててね」

ツバサはそう言ってキッチンに降りて行った

穂乃果「すっご~い!ツバサちゃん料理上手だね~」

ツバサ「うふふ…喜んでくれて嬉しいわ穂乃果」

テーブルには色とりどりの料理が並べられている

その美味しさに穂乃果は感激を隠せなかった

ツバサ「最近は忙しくって中々作れないんだけど」

穂乃果「ほうなの?」

ツバサ「穂乃果ったら頬張りすぎ、ほっぺに付いてるわよ」

ツバサは笑いながら穂乃果の頬を拭う

穂乃果「だってぇ~お料理すっごく美味しいんだもん!」

ツバサ「料理は逃げないから安心して、食事が済んだらお風呂にしましょう、沸かしてくるわ」

穂乃果「はひがとう~ツバサちやん」

ツバサ「ごゆっくりどうぞ、穂乃果」

穂乃果「ふぅう~食べた食べた~」

ツバサ「お粗末様でした」

穂乃果「ううん!とっても美味しかったよ!」

ツバサ「穂乃果に喜んでもらえると嬉しいわ」

ツバサはそう言いながら自分の爪を整える

穂乃果「何してるの?」

ツバサ「ああ、爪を整えているのよ…最近伸びるのが早いから」

穂乃果「そっかぁ~穂乃果もお店お手伝いする時はちゃんと短くするよ」

ツバサ「流石和菓子屋の娘ね…」

穂乃果「うん!それにしても変わった爪切りだねぇ…ボーリング…のやつ?」

ツバサ「あぁ、これ?昔から家にある爪切りでね、愛着があって中々別のには変えられないの」

穂乃果「穂乃果は可愛いと思うなぁ」

ツバサ「ふふっ…ありがとっ穂乃果っ」

ツバサは立ち上がる

ツバサ

ツバサ「さてっ、そろそろお風呂が沸いたかしら?」

穂乃果「ふぅわぁ~」

穂乃果はなみなみと湯が入った湯船に体を浸す

疲れた体を湯が優しくほぐしていく

穂乃果「それにしても…ツバサちゃんちのお風呂すごいなぁ~」

穂乃果がそんな事を思っていると

ツバサ「湯加減はどうかしら?穂乃果」

ツバサが湯船に入ってくる

穂乃果「最高だよ~広いし温泉みたい」

ツバサ「ありがと穂乃果」

ツバサ「…」

穂乃果「…」

良く考えるとこの状況…ツバサにとってはかなり緊張感のある状況だ

ツバサには兄妹も居なければ同じ風呂に入る友達も居なかった

ツバサ「あっ…私体洗うわねっ!」

ツバサは隅に行き自分の体を洗う

ツバサ(何を緊張してるのあたしっ…いくら穂乃果と一緒だっていったって自分の家なの…)

ふわっ…

ツバサは不意に背中に柔らかさを感じる

ツバサ「穂乃果…?」

振り返ると穂乃果がスポンジを持って立っている

穂乃果「穂乃果と洗いっこしよ?ツバサちゃん」

コシュ…コシュッ

穂乃果が慣れた手つきでツバサの体に泡を纏わせる

ツバサ「上手いのね…穂乃果、ちょっと意外だわ…姉妹かだれかにやってあげてるのかしら?」

穂乃果「うーん…一応妹が居るけど、雪穂はもう体洗わせてくれないんだぁ~」

ツバサ「そう、妹さんがいるのね」

ツバサは何故かちょっと安心した

穂乃果「あっ!でも海未ちゃんとことりちゃんとよく洗いっこするよっ」

ツバサ「海未ちゃん…ことりちゃん…」

ツバサ(穂乃果の友達…か)

3人はとても仲が良さそうだったし幼なじみと言っていたから当然だとツバサは思った…そう思った…

穂乃果「でもね…」

ツバサ「?…」

穂乃果「こうしてツバサちゃんと出会って…ご飯一緒に食べて…お風呂も入って…穂乃果は今、すごく嬉しいよ…」

ツバサ「穂乃果……」

サーッ…

穂乃果がツバサの体に着いた泡を優しく洗い流していく…

穂乃果「じゃあ次は頭洗うねっ」

ツバサ「とう…」

穂乃果「?…」

ツバサ「ありがとう…穂乃果」

穂乃果「…えへへ…どういたしまして」

穂乃果はまたも慣れた手つきでツバサの髪を泡立てていく

穂乃果「そういえば…ツバサちゃんって変わった身体してるね」

ツバサ「そう?ちょっと身長は低いけどおおむね平均だと思うけれど…」

穂乃果「あぁっ!違うよそうじゃなくて、ツバサちゃん見た目は柔らかそうなのに触るとしっかり筋肉付いてるなぁ…って」

ツバサ「あぁ…成る程ね」

穂乃果「海未ちゃんはね触るとちょっと硬いんだよ、でもことりちゃんは触るとぷにぷにしてて、ツバサちゃんはちょうど中間って感じで」

ツバサ「そうね…やはりアイドルである以上、ライブでの歌と踊りに耐えうる筋肉と身体を鍛える事は大事なことよ…でもそれだけじゃダメなの、女の子らしく適度に柔らかさを残さなきゃいけないから、自然とこうなるのよ」

穂乃果「ヘぇ~やっぱりスゴイね…アライズって」


そうこうするうちに穂乃果がツバサの髪を洗い終わる

ツバサ「じゃあ次は穂乃果のが洗われる番ね」

穂乃果「うん、ツバサちゃんに洗ってもらえるなんて夢みたい」

ツバサ「ふふ…痒いところはないですか?お客様」

穂乃果「うん…とっても気持ちいいよ…」

ツバサはなるべく優しく穂乃果の髪に指を這わせていく

ツバサ(穂乃果の髪ってすごく綺麗ね…指がするする入って…)

そういえ穂乃果に髪を洗われている間も穂乃果の指をずっと感じでたかしら

ツバサが穂乃果の泡を洗い流す

ツバサ「終わったわ…穂乃果」

穂乃果「ありがとうツバサちゃん…」

2人は再び湯船につかり身体を温める

しかし改まってしまうとどうも穂乃果と上手く話せない

でも…

穂乃果「ツバサちゃん…?」

ツバサ「どうしたの…穂乃果?」

穂乃果「そっちに寄っていい」

ツバサ「………」

穂乃果「ツバサちゃん?」




ツバサ「ええ…わたしもそっちに行くわ」

穂乃果「うん」

ツバサ「あたたかいわね…穂乃果」

穂乃果「うんあたたかいね…」

お風呂から上がった2人は体を乾かした後部屋に戻る

ツバサ「さて…こんなところかしら?」

ツバサは穂乃果の為にベットを用意する

ツバサ「じゃあね穂乃果、お休みなさい…」

ツバサはそのまま部屋から出ようとすると

穂乃果「ツバサちゃん…」

不意に手を引っ張られる

ぽすんっ…ツバサがベットに倒れこむ

穂乃果「ツバサちゃん…穂乃果と…いっしょに寝てくれない?」

ツバサ「えぇ?!あっ…でもいいの?」

穂乃果「うん…穂乃果…ツバサちゃんといっしょに寝たいな…」

そうお願いされてはツバサは断れない

2人は一つのベットに寝転がる

ツバサ「じゃあ電気消すわね…」

穂乃果「うん…」

2人は何も話さないままどれくらいの時間が経っただろうか…

ツバサ(誰かと一緒に寝るなんて何年ぶりかしら…)

ツバサは遠い記憶を探る

ツバサ(そういえば…昔お母さんがこんな風にいっしょに寝てくれたっけ…)

ツバサはそんな昔の事を思い出していた

ツバサ(お母さんが死んでからあの日の事を思い出しては悪夢にうなされてたわ…)

ツバサ「穂乃果…もう寝ちゃった?」

ツバサは穂乃果に話しかける

穂乃果「……」

ツバサ「穂乃果…私ね…お母さんが居ないの…」

穂乃果「…」

ツバサ「ずっと前にこんな風に寝た記憶もあるけどそれも昔のことよ…」

穂乃果「…」

ツバサ「ごめんね穂乃果…意味わかんないよね…だけどね穂乃果…」

ありがとう

と言いかけた言葉が口に出ることはなかった

穂乃果がツバサの体を優しく抱きしめていた

ツバサ「穂乃果…?」

穂乃果はツバサの耳元で囁く

穂乃果「ツバサちゃん…わたしもツバサちゃんのこともっともっと知りたいな…」

ツバサ「…うん…私も…穂乃果の
ことが知りたい…」

ツバサは穂乃果の胸に顔を埋めて深呼吸をする

ツバサ(あぁ…穂乃果の匂いがする…私と同じ匂い…だけど穂乃果だけの匂い…)

ツバサはそのまま眠りに落ち、夢を見る事もなく朝まで深く深く眠った…



ー翌日ー

海未「さて…駅前に来たは良いですが、どうしましょうか」

昨日、仗助に会い波紋について教えられた海未だったが、仗助自身は波紋を教えることは出来ないと言う

ー回想ー

仗助「一人だけ教えることが出来る人物がいる」

海未「誰ですかその方は!?」

仗助「その人物は俺たちと一緒にこの町に来たんだが、初日にふらっと消えて中々捕まらないんだ…」

海未「消えた?大丈夫なんですか?」

仗助「時々、一方的に連絡が来るから大丈夫なのは確かだ、だが俺たちにもアイツは捕まえるのが難しい」

海未「わかりました、それでは私が探して連れてこれば良いんですね」

仗助「そうして貰えると助かる」

海未「では教えてください…その人の特徴を…」

海未「まず、第一の特徴・・・・」

日本のサブカルチャーが好き

海未「ということはやはり秋葉でしょうね・・・」

しかし、文化が発達しているということはそれだけそこにいる人間が多いということ

闇雲に探し回っても見つけるにはかなり時間がかかる

現に今も何かのイベントだろうか?人が大勢集まっている

海未「第二の特徴・・・」

―回想―

仗助「2番目の特徴はだな・・・女の子なんだ」

海未「女の子・・・ですか?」

仗助「あぁ、こんくらいで見た目小学校高学年くらいだ」

仗助は手で高さを示す

海未「女の子とは意外ですね・・・しかし東京の街に小学生の女の子一人では目立ちそうなものですが・・・」

仗助「その通りだ、だが見つからない理由がもう一つある、それは・・・」

―回想終了―

海未「何やら今日は人が多いですね・・・大道芸でもやっているのでしょうか?」

それどころではない海未だったがふと聞こえた声に足が止まる

???「さぁさぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!これからお見せするのは奇跡のパワー!どんなものでも消してみせる世紀の超能力をお見せするよ!」

少しカタコトではあるが確かに女の子の声がする

海未「ちょっとすいません…」

海未は人混みをかき分け列の先頭に顔をだす

そこにはちょうど小学生くらいの女の子がマジックを披露している

少女「さぁ!まずは定番!このコインを・・・ハッ!!」

手のひらのコインが一瞬にして消える

パチパチ…まばらな拍手が起こる

少女「まだまだこれはこれは小手調べ!それはそうと皆さん私はすごく平和主義なタイプなんです、つまり平和の使者!だからこんなこともできるんですよ」

女の子がパンッ!と手を叩く…すると

バサバサ!!!バサバサ!!!

10羽ほどのハトが一斉に現れ空に飛び立つ!

観客「おおおおお!!!」

これには観客も驚いている、普通のハト出現マジックは帽子や箱から一羽のハトを出すのに対し彼女は何もない空間から一斉に大量のハトを出した

これは超能力以外の何物でもない…

海未「これは…もしかしたらかも知れませんね…」

マジックは続く

少女「それじゃあ次の超能力…」

???「ちょっと待った!」

突然観客の一人が声を上げる

中年のおじさんが列をかき分け前に出る

おじさん「お嬢ちゃんの超能力恐れ入ったよ、でもどんなものでも消せるんだろ?仕込みじゃないなら…そうだな…試しにこれを消して見せてくれ」

おじさんは手に巻いていた高級そうな時計を示す

観客「アレおじさんテレビで見たことある…確か超能力懐疑派の…」

おじさん(この時計はGPSが仕込んである…消えててもこのスマートフォンで追跡可能…さて本当に超能力か…はたまたペテンか見極めて…)

少女「いいよ!」

おじさん「えっ!」

少女「というかもう消えてるよ」

おじさん「えっ…?」

確かに、腕に巻いていた時計が消えている!

おじさん「そんな馬鹿な!」

そして焦った様子で上着のポケットを漁り始める

少女「おじさん!スマートフォンを探してるならあんたの上着のポケットにはないよ!ズボンの後ろのポケットに入っている」

おじさん「えっ!?」

確かにズボンのポケットにはスマートフォンが入っている!!

少女「次のおじさんの台詞は、『なんでスマートフォンのことが分かったんだ!』だ」

おじさん「なんでスマートフォンのことが分かったんだ!ハッ!」

少女「またまたやらせていただきましたぁん!!」

観客「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

万雷の拍手が少女に贈られる

海未「決まりです、彼女に間違いないですね・・・」

海未は前に出て少女の肩に手を乗せる

海未「探しましたよ…あなたが『静・ジョースター』ですね?」

これで今夜も安心して熟睡できる・・・

静・ジョースター「ん…私の名前なんで知ってるの?」

海未「あなたを探していたんですよ」

静・ジョースター「あぁ…ジョースケのやつ」

そしてにっこり笑う

海未は仗助が言った3つ目の特徴を思い出していた

静・ジョースター「それではみなさん!最後に飛びっきりのイリュージョンを!」

瞬間、目の前の静・ジョースターが忽然と姿を消す

3つ目の特徴は、よく消えていなくなる!

ざわめく人混みを掻き分け海未は走り出す

姿を消していても静・ジョースターが人にぶつかる時の反応で大体の逃走方向は理解できる

海未は素早い動きで静・ジョースターに迫る…が

不意に人の列が消え、開けた道路にでる

静・ジョースター「ふう…人混みを抜けたら流石に追っては来れないでしょ…」

しかし

海未は迷わず静・ジョースターに向かってくる

静・ジョースター「?!」

仕方なく静・ジョースターは逃走を再開する

その間も海未は静・ジョースターを追う速度を緩めない

相手は小学生だが波紋使いである
走るペース、呼吸は全く乱れていない

しかし海未も日々鍛錬を積んでいる身である

追いつかれるのは時間の問題だった

海未「?!」

アスファルトの道路を抜けた先には公園があった

昨日の雨のせいだろうか、ぬかるんだ砂場に足跡が点々…と付いている

そして、一歩…二歩…三歩…新たに足跡がつく

その場所に海未も一歩一歩近づいていく

海未「観念してください、私はあなたを連れ戻す気は無いんですよ?」

静・ジョースター「…」

海未「ただ貴方の力を貸して欲しいんです」

静・ジョースター「…」

海未「どうしても出てきてくれないのなら」

海未は足跡の先に手を伸ばす…

がっ…そこには何もない…空間だけが存在している

静・ジョースター(勝ったッ!)

しかし

海未「そこですっ」

海未が素早い身のこなしで掴んだのは全く方向違いのジャングルジムの方角

しかし海未は確実に何かを掴んでいる

静・ジョースター(なっ!?…)

驚愕する静

海未「あなたが姿を消せることは知っていました、だからあなたにはコレを付けさせていただきました」

海未が取り出したのはスマートフォン、その画面には地図と光る点が示されている

GPS装置だ

海未「でも察しのいいあなたはこんな小細工は通用しないでしょう」

静(確かに…でも)

海未「それでも、この装置を外すにはあなたは一度透明化を解除して体のどこかについた発信機を探さなくてはいけない…それでは私に追いつかれてしまう…だからあえてここに入った」

海未は点々と続く足跡を見ていう

海未「そしてあなたはこの公園に入りあえて足跡をつけ…また足跡を踏んでバックしたんです…そしてこのジャングルジムに飛び移った」

バックトラック…ネズミやウサギなどが逃げる際に行なう逃走テクニック

自分でつけた足跡をたどりある程度戻ったところで茂みなどに飛び込み足跡を消えたように見せかける

海未「ですが、ウサギやネズミと違い人間がバックトラックをするには一つ問題があります」

海未は足跡の一つを指していう

海未「この足跡、体の重みで他より凹んでいます、コレを見ればどこに飛んだかは一目で分かりますよ」

海未「チェックメイトです…」

くくくく…

海未「降参してくれましたか?協力してくれるなら腕を離し…」

静「いや!腕は離さなくても結構」

サッ

静・ジョースターが姿を現す

海未「なっ…」

海未が驚いたのは姿を現したことではなく自分が掴んでいたもの

腕だと思っていたのは何と足首

静は既にジャングルジムの上のあたりまで上り詰めていたのだ

海未「もしかしてこんな長い間ずっとぶら下がっていたのですか?」

静「握ってたわけじゃないからね、こうすれば落ちない」

静が手のひらを鉄に触れさせると不思議なことに手のひらがくっついたままジャングルジムから離れない

海未「これも波紋の力ですか…?」

静「まぁね」

やっと見つけた波紋を教えられる人物

海未ははやる心を抑えきれない

海未「お願いがあります!私に波紋を…」

静「おっと!」

海未「えっ!?」

静「まぁ大体の事情は察したよ…ジョースケからメールも来てたしね、でもその前に」

海未「その前に?」

静「お腹すいちゃった!」

そう言って彼女は笑った

にこ「・・・・・・・」

凛、真姫、花陽が穂乃果の護衛についてから数日後、にこだけが一人帰路についていた

3人が居なくなってしまっては、にこはアイドル部としての活動は続けられない

しかし、だからと言って穂乃果から目を離すわけにもいかない

今の状況が仕方ないことぐらいにこにも分かっている・・・が

にこ(それにしても一人の放課後がこんなにも暇だったなんて…忘れてたわ…)

アイドル部を初めて…一人になって…そしてまた仲間が増えて

憧れのラブライブには届かなかったけどそれでも後輩たちには今後もアイドルを続けて欲しい

にこはそう思いずっと練習を続けてきたのだ

でも今のにこは何もすることが出来ずただいたずらに時を過ごしている

自分には何の力もない、進むべき道が見えない…そんな思いを抱えてにこは街を歩く

そんな思いがここへ足を運ばせたのか、気が付くとにこは神田明神の前に来ていた

しかし、そこには誰もいるはずがなかった…

にこ(そうよね…こんな遅い時間だもの…希だってとっくに家に帰ってるわ…)

にこは自分のポケットから5円玉を取りだし苛立ち混じりに賽銭箱へと投げ入れる

勢いよく投げられた賽銭は箱の淵に弾かれ、地面を転がり…回転していく

にこ「あっ…」

チャリン…倒れた賽銭を誰かが拾う

???「このお金、お嬢ちゃんのかい?」

そういってその男はニョホッと笑った

???「謝る必要はないぜ、このコインはあの箱に入りたがってるみたいだ」

男がお金を地面に置く…すると不思議なことに

先ほどとは逆にコインがするすると転がっていき賽銭箱をかけのぼり

チャリン…箱に収まった

にこ「!?」

謎の男「よかったな、神様がちゃんと受け取ってくれたみたいでな」

にこ「ちょっと!あんた一体何者なのよ!?」

謎の男「別に何者というわけじゃない、俺はただ会いに来たんだここの神社の巫女にな…ただ時間が遅すぎたようだ、出直そう…」

男は来た道を引き返そうとする

にこ「巫女?…希のこと?」

謎の男「なんだ?知り合いか?」

にこ「さぁどうかしら?」

にこはいたずらっぽく笑う

にこ「さっきの手品のタネを教えてくれたら教えてあげてもいいわ」

謎の男「手品ぁ?これは手品じゃないし種も仕掛けもないぜ?」

そう言って男は腰につけている物を取り出した。

にこ「これは…?鉄球?」

謎の男「そうだ…良く見てろよ」

にこは目を凝らして鉄球を見つめる

シルシルシル…少し振動してる様に感じる…いや違う!すでに回転している

目には見えないほどのスピードで!

にこはずっと鉄球を見ていたはずだった、こんな一瞬で鉄球を回転させられるはずはない

謎の男「そらよ」

男が鉄球を放るとまるで意思を持つかのように鉄球は動き回り、男の足元に帰る

男「なっ?手品じゃないだろ?」

にこ「んんんんんんん!!!おかしいわよ!絶対何かタネがあるはず!!」

にこは鉄球に手を触れようとする

謎の男「触るな!まだ回転してる!」

にこ「ッーーーーー!!!」

瞬間…にこが鉄球に触れた瞬間

声にならない感覚がにこを襲う…例えるなら痛みのない雷に打たれたような

全身に制御の効かない信号を流し込まれたような衝撃

にこはその場にへたり込んでしまった

男「おいおい大丈夫かよ・・・?」

にこ「・・・・・・・・・・」

にこ(見つけた・・・この力なら!これを使えば私でもみんなと戦えるかもしれない)

にこ「ちょっとあんた!これ一体どうやってやるのよ!?」

男「はぁ?何に使うか分からんがあんたには無理だ」

にこ「嘘ね、教えてくれるまでまで離さないから」

男「困ったな・・・・」

そう言って男は鉄球を渡す・・・

男「もう一回だ・・・よーく見てろよ・・・」

にこは目を凝らして観察する

シルシルシル・・・・しかし何度見ても不思議な回転だ・・・・

鉄球そのものが回転するのがさも当然であるかのように回り続ける

地球が自転しているかのように・・・

にこ「これだけじゃわかんないわ・・・ねぇアンタ・・・」

男「じゃあなお嬢ちゃん」

男はさっさと荷物をまとめ立ち去ろうとする

にこ「ちょ・・!」

にこは立ち上がろうとする・・・が

にこ「えっ・・・?」

足が動かない・・・まるで感覚が消え去ったのように足を動かせない

にこ「ちょっと!待ちなさいよ!」

男「回転が止めればじき動くようになる・・・ぞれまでじっとしてな・・・それじゃあ・・・元気でな」

にこ「ねぇ!」

男「・・・・?」

にこ「また、いつかまたどこかでアンタと会える?」

男「・・・・・」

にこ「・・・・・」

男「・・・・物事は回転・・・・巡れば・・・・な」

そうして男は名も名乗らず立ち去り・・・にこの手の中に鉄球だけが残された・・・・

翌日

にこ「・・・・ってなことがあったのよ」

希「・・・・・・・・」

にこ「って聞いてるの?!」

希「えっ・・・あぁうんもちろん聞いてたで」

にこ「で?どうなの・・・心当たりない?」

希は少し考え込むと

希「にこっち・・・・ちょっと・・・ついてきてくれる」

にこ「えっ?ちょっと希!」

希「ええから・・・」

神社の中を希に言われるがまま進む・・・・

にこ「ねぇ・・・どこに進んでるの?」

希「これから案内するのはウチの神社の本尊や・・・関係者はおろか、ごく限られた人しか見れないんやで」

にこ「そんなところになんであたしが・・・」

希「ここやで」

希は廊下の奥の古びた扉の前に立つ

希「にこっち・・・・この扉の先に入ったら・・・ウチは何が起こるか分からへん・・・」

にこ「希・・・」

希「にこっちにはまだよくわかって無いと思うけど・・・それでも」

にこ「希」

希「!?」

にこ「希が何を考えてるのか確かにわからないし、なんでここに連れてこられたのかも私には分からない」

にこ「でも・・・・大事な事なんでしょ?」

希「・・・・・・・・・そうや・・・」

にこ「入るわよ・・・」

にこは扉を開け中に入る


ゴゴゴゴゴゴ

扉を開けた先にはロウソクだけが灯った部屋

その先にあるのは人1人ぐらいの大きさの塊

にこ「ゴクリ…」

にこは恐る恐る近くに寄る

にこは最初、人位の大きさの何かだと思った…

しかしそれは、ある意味間違いではなかった

にこ「ひっ…し…死体…?」

即身仏…そんな言葉は知らないにこだったがこの死体がタダモノでは無いのは確かだと感じた

にこ「ああああ…」

にこはじりじりと後ずさる・・・・

にこ「えっ・・・?」

背後に人の気配を感じる・・・

しかし金縛りにあったようににこは振り返ることができない

「・・・・・・・・・・・」

にこ(何・・・・何をはなしているの・・・?)

グググッ・・・・

振り向くと死体が動いている・・・・

こちらに向かって・・・ズルズルズルズル・・・・

にこ「ううううううう・・・・・」

にこの顔に何かがボトリと落ち・・・にこの意識はそこで消えた

にこっ・・・・にこっち・・・・

誰かがにこを呼んでいる・・・・

にこ「うぅ・・・・」

希「大丈夫?にこっち・・・・」

にこ「希・・・・?」

にこは体を起こす

ここは神社の違う部屋のようだ

にこ「いったたたぁ・・・まったくなんののよあの部屋は・・・・」

希「ごめんなにこっち・・・・ごめん・・・な」

にこ「希のせいじゃないわよ・・・・」

希「送ってくでにこっち」

にこ「大丈夫よ・・・」

にこはそういって軽く微笑んだ

少しだるさを感じながらもにこは自宅に着く

にこ「ただいまー」

おりゃ~

リビングではこたろうがなにやら新しい遊びに興じている

こたろー「ねーちゃんおかえりー」

にこ「なにしてんの?」

こたろー「こまー」

こたろうの手のひらには最近のはやりだろうか小さな駒が握られている

にこ「へー色々あるのね」

こたろー「くるくる」

にこはクルクル回るコマを見つめる・・・・

そして・・・・徐々に力を失い倒れそうになるコマを見て

思わずにこは手を伸ばす・・・・

にこは思い出す

にこ(物事は回転・・・・回転を頭にイメージする・・・その概念)

こたろー「おーねーたんすごい~!」

にこ「ゴクリ・・・・・」

にこの掌の上でコマが力強くまわり続けていた

「あぁ・・・・?順調か・・・」

「えぇ・・・全て滞りなく・・・・」

「そうか・・・・・・・・・・・」

「それでは・・・・約束の日に・・・・」

ツーツーツー

ここは生徒会室…

希と絵里が生徒会の仕事をこなしている

カシャ…カサ…

希「ええの…エリチは?」

絵里「何が…?」

希「穂乃果ちゃんが心配じゃないん…?」

絵里「そりゃ心配よ…可愛い後輩だもの…でも」

希「目の前で起きてる事が理解出来ない?」

絵里「まぁ…そんな所かしら?何度も言うけどスタンド?だったかしら?見えないのよ…だからイマイチ信じられないし、と言うより希はなんで平気なの?」

希「ウチは元々超能力とか疑ってなかったし、そういうスピリチュアルなことは好きやで?」

絵里「希らしいわね・・・」

絵里(それにしても・・・何も力のない・・・無力な私・・・私にできることはないのかしら)

ガタ・・・・

希「エリチどこいくん?」

絵里「トイレよ・・・すぐ帰ってくるから・・・」

希「うん、待ってる」

・・・・

そのまま作業を続けようとした希だったが・・・・・ふと机の上に生徒手帳が拡げられているのが目に入った

希「ん?なになに」

スタンド名 ゴールド・E(エリチカ)

本体 絢瀬絵里

破壊力‐A スピード‐A 射程距離‐E 持続力‐A 精密動作‐A 成長性‐A

能力

生物を・・・

バン!!!

突然扉があいて絵里が素早く希の手から手帳を毟り取る

絵里「ぜぇ・・・ぜぇ・・・・・・・・・・・見たの・・・・?希」

真っ赤な顔で言う・・・・

希「なんのことやろ・・・・?ウチは知らんな?」

絵里「ホントに?」

希「ホントや」

絵里「ほんとにほんとに?見てない?」

希「疑り深いなぁ~エリチは・・・ホンマに見てへんから」

絵里「ならよかったわ・・・・ごめんなさい希」

希「えぇんよえぇんよ、ゴッホゴッゴ・・・ゴールド・・・エリチ?」

絵里「やっぱ読んだんじゃない!!のぞみのバカぁああああ・・・・もうおうち帰る・・・」

希「一緒にかえろか?・・・」

絵里「・・・・うん・・・」

こうして二人は生徒会を後にした・・・・

静「それじゃあ…最後の修業を開始するわよ…」

海未「はい…」

あれから海未は毎日の稽古に加え、静と波紋の修業を行っていた

元々武術の修業を積んでいた海未は静の修業美難なくついて行くことができた

そして…

静「今日まで良く修行についてきたわね…海未」

海未「はいっ!」

静「そして、これが最後の修業よ…自分の中の恐怖を乗り越えなさい」

海未「はい」

静「そして、もし最後の試練をクリアできなかった場合・・・今後波紋を使うことを禁じます」

海未「はい…覚悟はできています」

静「では、私の手を…」

海未は静の手を握る…

お互いの波紋が流れ…混じり…交差し…

海未は深い深い意識の中に落ちていく…

これは海未の遠い遠い記憶

昔、海未がまだ穂乃果と初めて出会った頃だった

海未、ことり、穂乃果は良く公園で遊んでいた

いつも、活発な穂乃果が遊びを提案し、無茶や危険な冒険をするときもあった

だけど海未は穂乃果について行くのが好きだった、穂乃果は海未一人ではとても見ることのできない景色をいつも見せてくれたからだ

その日は、珍しく三人はボールで遊んでいた。

いつもなら、また穂乃果の無茶に付き合わされるところだけれど、穂乃果が毎日生傷を作って家に帰るのでとうとう怒られてしまったらしい

穂乃果「うみちゃんぱーす!」

海未「ひぇ…」

海未はボールをうまく取ることが出来ず足元に転がる

ことり「うみちゃんだいじょうぶ?」

海未「はい…」

海未は足元のボールを恐る恐る拾う

穂乃果「うみちゃんちゃんととってよ~」

海未(ムっ…)

穂乃果はいつもボールをうまく取ってしまう、海未はいつも怖がって落してしまうのに…

穂乃果はケガをしようが顔にあたろうがどんなボールでも取りに行ってしまう

海未にいつも剣道の稽古で怖がって怒られる記憶がよみがえる…

ブンッ!

海未は渾身の力でボールを投げる…

穂乃果が届かないほど、高く高く…あの太陽に届くほど…高く

ぽーんと穂乃果の頭上を高く飛び越えた

穂乃果「うみちゃんひどーい!」

穂乃果は口をとがらせながらボールを追いかける

ボールは転がる…公園の出口へ…道路へ…その先の曲がり角へ…

ことり「ほのかちゃん!危ない!!」

海未(えっ・・・・?)

キイイイイイイイ!!そして轟音が辺りに響く…

海未「あ…あ…あ…)

海未の頭が真っ白になる…

海未「ほのかあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

海未「ハァッ…ハァッ…ハァ…」

海未は息を荒げる

呼吸が乱れ…波紋も乱れる

静(やはり…自身の恐怖心は簡単には乗り越えられないか…)

海未(あの時…穂乃果にけがはなかった…でも事故で人が死んだと聞いた…そしてあの日以来穂乃果は変わってしまった…ことりは以前と変わりないというけど、穂乃果はいつも笑顔の裏に陰りを隠して…もうあの時と同じように私の手を引いて…一緒に見たことのない景色を見ることもなくなった)

海未の手が震え…手がほどけそうになる…

静(やはり…ダメ…か…)

グッ…

静(!?)

海未「違う…違うんです!ずっと穂乃果に元に戻ってほしいと思ってました…またあの時のように私の手を引いて見たことのない景色を見せてほしいと思ってました…でも」

海未は手に力を込める

海未「今度は私が穂乃果の手を引きます…今度は私が!穂乃果に見たことのない景色を見せる番なんです!」

バチバチバチィ!!

海未の手はしっかりと握られ、力強い波紋が流れ出す

その息は・・・もう少しも乱れてはいなかった

カフェに着くとテーブルにはすでに仗助、絵里、希、海未、ことり、真姫、がいた

仗助「忙しい所呼び出して悪かったなツバサちゃん」

ツバサ「大丈夫よ、今は本番に向けて体調を整えてるから練習はほとんどないの」

仗助「そうか、んじゃ始めますか」

仗助「今回集まって貰ったのは他でもない、ラブライブ本戦でのみんなのポジションを決めたいからだ、ツバサちゃんはステージに立たなきゃならないから省くとして大体こんな感じだな」

仗助は見取り図を取り出す、紙にはそれぞれの役割と持ち場が記してある

仗助、億安はステージに近くで待機
凛、真姫、花陽は穂乃果の警護
絵里と希は放送室でモニターの監視

仗助「そして海未ちゃんなんだが…」

海未は無言でコップを掴み呼吸をする

コップの中の水に波紋の波が交差する

それを見た仗助は

仗助「それじゃあ海未ちゃんもステージの警護を頼む」

海未「はい…了解しました」

ちょっとまったー!

突然場違いなほどの大声が店内に響く

にこ「私を省こうったってそうはいかないわよ!」

真姫「にこちゃん!?」

ツバサ「良くここがわかったわね」

にこ「凛たちに聞いたわよ!ここでこそこそ打ち合わせしてるって」

希「なんでにこっちだけ呼ばなかったん?」

仗助「それはだな・・・」

ガタッ

真姫「私が呼ばないでって言ったのよ」

にこ「あんたねぇ・・・そんなに私を蚊帳の外にしたいの?!」

真姫「だってにこちゃん弱いじゃない!!」

真姫「にこちゃんはスタンド使えないし見えないし戦う力もない・・・そんなにこちゃんが首を突っ込んだら怪我じゃすまないわ」

にこ「言ったわね真姫ちゃん・・・出しなさいよ・・・アンタのキューティーパンサーを・・・」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・

ことり「や・・・やめてください!」

ことり「他の人が見てますから・・・」

にこ・真姫「・・・・」

しぶしぶ席に座る二人

にこ「でもどのみち私は参加するわよ」

真姫「でも・・・」

にこ「大丈夫よ、どんな敵が来たって手玉に取ってやるわよあんたのそのスタンドみたいに」

真姫「えっ・・・」

真姫が目をやると、キューティーパンサーが何やら玉のようなものでじゃれている

シルシルシル…

真姫「これ…なに?」

にこ「これが私の戦い方よ」

真姫「なによ、こんな子供騙し…」

にこ「まだ回転してるわ、触らないほうがいいわよ?」

真姫「?」

ビリりリリリッ!

真姫「うわぁぁあ!」

にこ「言わんこっちゃない」

真姫「な…なんなよこれ…」

にこ「だから言ったでしょ?これが私の戦う力、鉄球の回転よ!」

絵里「それだけじゃない…にこ、もしかしてあなた…」

にこ「そうよ…私にはスタンドが見えてる…信じられないけど、真姫ちゃんのキューティーパンサーがこの猫だとしたら私はスタンドを見える体質になったということね」

希「…」


にこ「まっ私は呼ばれなくても勝手にするけど、それよりスタンド使いなのに像も出せない凛のこと心配しなさいよ」

にこはそれだけ言うと早々に去っていった

絵里「なんだったのかしら…」

真姫「知らないわよ!大方ちょっと強くなったから自慢しに来たんでしょ!?」

海未「そうなのでしょうか…」

真姫「そうに決まってるわ、ライブの日に会ったら私の本当の力を見せてあげるんだから!」

ツバサ「とにかくこれで戦力は揃ったわ」

海未「あとは犯人が現れるか…ですね」

仗助「未だに犯人の能力は不明だが最近起きたライブでの不審な事故、事件についてはまとめておいたぜ」

海未「それ、私にも見せていただけますか」

ツバサ「私も見せて」

海未「主な手口はセットや衣装の破壊…しかし…」

仗助「あぁ…どうもやり方が普通じゃない」

ツバサ「どうやったらこんなに細かく破壊出来るのかしら」

海未「やはり普通の人間の仕業ではなさそうですね…」

仗助「まぁとにかく当日は特に警戒して欲しい、危ないと思ったらすぐ俺たちを呼ぶこと、以上」

こうして作戦会議は終了した

絵里「今回もなんだかよく分からなかったわ…なりゆきで見張りやりますなんて言っちゃったけど…実際…って希?」

希「え?!どうしたんエリチ?」

絵里「どうしたのじゃないわよ?駅はあっちよ?」

希「ああ…そうやね…」

絵里「希?…」

希「エリチごめん!やっぱ先帰ってて!ウチ用事思い出したわ!」

絵里「え!?ちょっと希!?…全く…希まで変になっちゃったわ…」




にこ「はぁ…はぁ…」

カサっ

にこ「ハッ!?」

にこ「やっぱり…追いかけてくると思ったわ…希」

希「…」

にこ「なによ…希まで私に力がないっていうつもり?」

希「…そうや」

にこ「フッ…やっぱりね…それでも私は辞めないわよ?ラブライブにでる子たちはね敵だけど私と同じ志でステージに上がるのよ!それを邪魔する輩がいるなんて見逃せるわけないじゃない!」

希「せやけど!にこっちの力じゃ!」

にこ「力が何よ!?戦う力なら今ここで見せてあげるわ!」バッ!

……

にこ「ふぅ…やっぱりダメね…ここじゃなんでか暴れる気がしない…希のいう通り神社ってのはスピリチュアルな場所なのかもね…なんでか心が落ち着いちゃう…」

希「にこっち…ちょっと変な話するで…?」

にこ「?」

希「この建物が人を落ち着かせるのは一番自然的にバランスの良い比率で建ててるからや…昔の人はきっと数学なんて学ばなくてもきっとそのことを知ってたんや」

にこ「それがどうしたのよ…」

希「その最もバランスの良い自然的な比率を人は黄金比って言う…」

にこ「…」

希「にこっち…黄金比を探すんや…」

希はそれだけを言って帰って行った

にこ「黄金比?なにそれ…」

にこ「わかんないけどなんか大事なキーワードなのね?よしっ真姫ちゃんにでも聞いて…って真姫ちゃんとは喧嘩中だったわ…」

にこ「結局ダメか…何したって才能には敵わない…スタンドという才能…アイドルとしての才能…」


にこ「いやっ!ダメよ…まだ方法はあるはず…そうだ!」

にこ「真姫ちゃんに聞けなくても直接これに聞けばいいんだわ」

ポチッ

スマホ「ハイナンデショウカ」

にこ「黄金比について調べて」

スマホ「ワカリマシタ」

にこ「なになに…なんか難しいのは飛ばして…えぇっと…簡単に言うと黄金比って言うのはもっとも美しく見える安定した比率で自然界に多く見られる…か」

にこ「ううん…これが私の回転と何の関係があるのかしら…」

にこはページをスクロールし、ある項目に目を止めた

にこ「黄金長方形…」

黄金比で作られた長方形の中に正方形を作ると隣にできる長方形は黄金長方形になる
それを繰り返し行うと無数の正方形と黄金長方形が出来る

にこ「なるほど…」

そしてこの時に出来る曲線は無限の軌跡を描いて回っていく

にこ「?!…もしかして…これが」

にこはさらにページをめくる

この時の曲線はオウムガイなどの巻貝に酷似して見られる

にこ「分かったわ…希…アンタの言いたいこと…これが私の次に学ぶべき力…黄金の回転!」

にこ「でもここに貝なんてあるわけないわよね…」

ポツ…ポツリ…

にこ「あっ…雨…」

にこ「そうよね…もうすぐ雨の季節だものね」

夕暮れ時の神社を静かに雨が濡らしていく

建物も地面もそしてにこ自身を…

にこ「嫌ね…雨ってなんでも濡らして…染めて」

にこ「雨を喜ぶなんてそれこそ植物くらいよ」

にこは境内の紫陽花に目をやる…そして

にこ「あ…カタツムリ…」

にこはそのゆっくりとした動きを目で追う

2つの目玉…波打つ足…そして、背中に背負うは…

にこ「貝殻ッ!」

その背中の貝殻は黄金の螺旋を描いていた

先生「あいった…た…」

ツバサ「どうしたんですか?!先生…」

先生「んーちょっとね…探し物をね」

部室の奥の部屋は資料室として使っている

しかし実態はアイドルグッズが雑多に詰まれた物置きになっており

誰がどこに何を置いたのかすら分からない状態だ

先生はそんな所で何を探していたのか…

先生「あー!あったあった…探してたんだよねコレ」

そういって彼女は1枚の古びたCDを取り出す

先生「なんかね…妙に聴きたくなっちゃったんだ~」

古いCDだった…プラスチックの表面は曇りジャケットは煤けて見えにくくなっているが…

そのCDのジャケットに写っている人物にツバサは見覚えがあった

ツバサ「これ…お母さんだ…」

かなり若い頃で印象はだいぶ違うもののその面影は間違いなく母のものだった

CDの名前も姓は恐らく旧姓だろう…しかし名前はツバサの母のものだ…

先生「えー!彼女ツバサさんのお母さんなの?うーんそう言われればなんか面影あるような」

ツバサ「先生…母は…アイドルだったんですか…?」

先生「うん、そうだね…凄くカッコよくて…先生のアイドルだった…彼女のライブは何故か雨になることが多くてね…雨の中ずぶ濡れでも凛々しく歌う姿がカッコよくてね…ずぶ濡れの天使rainyangel…って呼ばれてたっけ…」

ツバサ「…」

先生「昨日の雨を見てたらね…なんか急に懐かしくなっちゃったんだ…」

ツバサ「お母さんが…アイドルだった…」

先生「しかしあの彼女の娘さんがツバサさんでしかもUTXでアイドルやってるなんてね…血は争えないというか…私も年を取るわけだ…」

ラブライブ本戦前日

海未「ここが…」

目の前に広がるのは特大のステージ

そしてさらに巨大な観客席

明日はこの会場が超満員になる…

「あれ?海未先輩じゃないですか」

声をしたほうを振り返ると…

海未「あなた達は…アイドル研究部の…」

真姫「はい、海未先輩も警備の下見ですか?」

海未「ええ…そうですが」

凛「本当なら凛達もステージに立つハズだったのにね」

花陽「ええー!こんな大きなステージに立つなんて恥ずかしいよぉ…」

真姫「花陽は相変わらず恥ずかしがり屋ねね」

凛「来年は真姫ちゃんも一緒に立つんだからねっ!」

真姫「ヴエッ?!まだ分からないわよ!」

海未「微笑ましいですね、所で今日は部長さんはいらっしゃらないのですか?」

凛「そうなんです、海未先輩にこちゃん見なかったですか?」

真姫「にこちゃんってばあの日以来全然姿見せないんだもの…」

花陽「当日は来るって言ってたらしいんですけど…」

海未「にこ先輩…」

海未は自分の波紋の修行を思い出す…恐らくにこも同じように今強くなろうともがいているのだろうか…

真姫「まぁ別に、にこちゃんが来なくても心配無いけど…秘策だってあるし」

凛「凛は少し不安だにゃ…スタンド今だにだせないし」

花陽「大丈夫だよ凛ちゃん…花陽と花陽のプランタンズが必ず守るから…」

凛「かよちん…」

海未「そうですね…にこ先輩がいないのは不安ですがにこ先輩はきっとあなた達のピンチに駆けつけてくれると思います」

3人「はい!」

カチャカチャ…部屋に食器の音だけが響く

ツバサ「穂乃果…?」

穂乃果「えっ?何ツバサちゃん?」

ツバサ「…あっ!今日のご飯は美味しい?」

穂乃果「うん!今日もとっても美味しいよ!」

ツバサ「そう、それは良かった」

思えば穂乃果とこうして同じ家で暮らすのも今日で最後だ…

なるべく考えないようにしてたのに…

ツバサは少しばかり暗い気持ちで食事を終え、風呂に入り寝る支度をする…と

穂乃果「ツバサちゃん…」

ツバサ「どうしたの…穂乃果」

穂乃果「こっちに来て…」

ツバサの手を引いて何処かへ向かう穂乃果



穂乃果が連れて行った先はベランダ…

ツバサ「どうしたの穂乃果?」

穂乃果「ねぇツバサちゃん…目をつぶって…」

ツバサ「全く…変な穂乃果」

そう言いながらツバサは目を瞑る…

穂乃果「うん…そろそろ開けて…」

ツバサが言われるがまま目を開けると…

そこには満点の星空が広がっていた…

ツバサ「これ…は…」

穂乃果「すごいでしょ?都会でも今日だけは星がすごく綺麗に見えるんだよ…」

ツバサ「なるほど…今夜は新月だったのぬ…」

いつからだろう…いつも前ばかり見て星を見上げるなんてこと…何時の間にか忘れてたわ…

穂乃果「どうしてもこの空をツバサちゃんと見たかったんだ…だってツバサちゃんは穂乃果の太陽だもん…私はツバサちゃんの光を受けてる月なんだ…」

ツバサ(えっ…)

ツバサ「それは違うわ!だって穂乃果の方が私の太陽…いつもあなたに光を貰っていたのは私…」

しかしその言葉がツバサの口から出ることはなかった

その代わりにツバサはこう言っていた…

ツバサ「ねぇ穂乃果…踊らない?」

穂乃果「えっ…でも…穂乃果踊ったこと無いよ?」

ツバサ「良いのよ、私が踊りたいの…」

そう言ってツバサは穂乃果の手をとる…

2人は感情の赴くままに狭いベランダでダンスをする

その最中ツバサは本当に穂乃果と自分が同じステージで踊っているような錯覚に陥っていた

ツバサ「ねぇ穂乃果…」

穂乃果「何?」

ツバサ「ううん…何でもない」

こうして2人は最後の夜を疲れるまで踊りながら過ごしたのだった…

凛「ここが会場かにゃ~?!」

花陽「大きい…」

真姫「まっこんなもんでしょ」

いよいよラブライブ当日

凛達は少し早く会場の下見に来ていた

海未「おや?あなたたちも来ていたのですね?」

凛「海未先輩?!海未先輩も下見に?」

海未「えぇ犯人がどこから襲ってくるかわかりませんから、念入りに下見をしておかないと」

花陽「ふぇぇ…花陽…自信無い…です」

真姫「大丈夫よ、いざとなったら私のスタンドで戦うわ」

海未「私も戦闘要員ですからね、気を引き締めていかないと…」

海未「それより先輩の姿が見えませんが…」

真姫「希先輩と絵里先輩はモニタールームで待機してるわ…にこちゃんは…」

海未「…?」

真姫「大丈夫よ…にこちゃんは来る…絶対に…」

海未「そうですね…では私はやることがあるので」

凛「まだ下見に行くんですか?」

海未「いえ…ちょっとした小細工をしようかと思いまして…」

3人「?…」

海未「なんてことはありませんちょっとした仕掛けですよ…」ふふ…

真姫「じゃあ私たちもざっと見て回りましょうか」

凛「賛成にゃ!」

花陽「何事もなく終わりますように…」

真姫「へぇ…ステージの隣はスタジオになってるのね」

凛「すぐ近くで練習出来るから便利にゃ~」

花陽「アイドルのライブだけじゃなく以前はバンドのライブが盛んだったそうです」

真姫「へぇ…バンドねー」

スピーカー「もしかしてそこに居るのは真姫かしら?」

花陽「え!?」

凛「なんで分かったにゃ!?」

真姫「その声は絵里先輩?」

希「ウチもおるで!」

凛「希先輩まで」

絵里「ちょうど良かったわみんなで集まって打ち合わせがしたいからちよっと裏まで来てくれる」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月21日 (土) 13:08:01   ID: HHm0zHzh

ナンジョルノ・ジョバァーナですね、分かりますwww

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