モバP「フードに隠れた想い」 (23)

モバマスSSです。

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事務所

P「お疲れ様です」

ちひろ「はい。お疲れ様です」

P「皆は…レッスンか」

美玲「皆の中にウチは入ってないのかよー」ムー

P「お、なんだ。いたのか美玲」

美玲「オマエが来る前からここで本読んでたよッ」

P「そうか悪い悪い」

美玲「次、ウチを無視したら引っ掻いてやるからな…もう」ブツブツ

P「悪かったって」

美玲「そ、そこまで言うなら許してやらなくもないけどなっ!」

ちひろ(なんだかんだで優しいですよね美玲ちゃん)

美玲「ん?どうかしたか?」

ちひろ「いえいえ、何でもないですよ」

美玲「そっか」

P「そういや、さっきまでなんの本読んでたんだ?」

美玲「ん?ウチか? 普通の雑誌だぞ」

P「ファッション雑誌か」

美玲「うん。なんか文句あるか?」

P「いや、いいんじゃないか?そういう年頃だし」

美玲「なんだかおっさん臭いなプロデューサー…」

P「美玲よりは年食ってるからな」

美玲「そうだ。いいこと思いついた」ヒョイ

P「ん?」

美玲「この雑誌でプロデューサーはどんな服がいいと思う?」

P「俺が選ぶのか?」

美玲「もちろん」

美玲「か、勘違いするなよッ!ウチはたまには年上の人の意見も参考にしなくもなくもないだけだッ!」

P「どっちなんだ」

美玲「き、聞くだけ聞いてやる…」

P「ふむ。あんまりこういう雑誌見ないからなぁ…」

美玲「熟読してたら流石のウチでもちょっと…」

P「でも、案外こういう雑誌ってアイドルがモデルやってたりするから目を通してるんだけどな」

美玲「あ、確かに」

P「という訳で、俺はこのスカートがいいと思うな」

美玲「……」

P「美玲?」

美玲「プロデューサーはウチにこのスカートが似合うって言ってるのか?」

P「そう言ったつもりだけど…」

美玲「ふ、ふーん。そうなのか」

ちひろ「あ、それってさっきから美玲ちゃんがジッと見てた奴ですね」

P「そうなんですか?」

美玲「なっ…!」

ちひろ「でも、高いなぁ…とかずっと悩んでましたよ」

美玲「う、うるさいっ!」

美玲「そ、そんなことないからなっ!」

P「まぁ、いい値段するよな」

美玲「うん、結構高いかな…ってだからウチは!」

P「俺は似合うと思うぞ」

美玲「う……。そ、そうかな?」

P「あぁ」

美玲「…そうか。オマエのセンス褒めてやる!」

P「お、ありがとな」

ちひろ(微笑ましいですねぇ)

P「そういや、結構フリフリみたいな服が好きだよな」

美玲「ウチがか?」

P「そうそう」

美玲「そんなことないと思うけど…まぁ、派手なのは嫌いじゃないけど」

P「だよな」

美玲「うん。ツメとかフードとかも好きだぞ」

P「それは派手というのか何と言うのか…」

美玲「ウチのセンスだっ!」

P「眼帯も?」

美玲「勿論!」ドヤ

夕方
事務所

P「そう言えば思い出したんだが」

美玲「どうしたー?」

P「美玲って今日仕事なかったよな」

美玲「今日はお休みだったな」

P「わざわざ事務所に来ることなかったのに…」

美玲「まぁ、そうだけどなー。こっちにいた方が皆に遭えるからなー」

P「確かに寮にいるよりは」

美玲「だろー。ウチだってそこらへんは考えてるんだ。ヘヘッ」

P「一匹狼じゃなかったか?」

美玲「た、たまには、仲間も欲しくなるタイプの一匹狼だし…」

P「そっかそっか」

美玲「む…。なんか今の顔ムカつく。ひっかくぞ!」

P(信じられる仲間がいるっていいことだと思うんだけど…)

P「今、ツメ無いけどどうするんだ?」

美玲「あっ、えっと、そっか…さ、触るぞッ!」

P「それくらいならいいぞ」

美玲「え?」

P「ほれ」

美玲「う、ううう、そんな簡単に触ってやるかッ!」プィ

P「からかって悪かったって。代わりにメロンソーダあげるから」

美玲「ホントか?」

P「あぁ、冷蔵庫に入ってるから飲んでいいぞ」

美玲「さっすがプロデューサーだなっ!」

美玲「あっ、勘違いするなよ。べ、別にプロデューサーを認めたわけじゃないからなっ!」

美玲「でも…ありがと」

P「あぁ」

美玲「持ってくるなー」トテトテ

美玲「ぷは」

P「たまに飲むと美味しいな」

美玲「ウチは毎日飲みたいけどね」

P「たまにだから美味しいんだよ」

美玲「そうなのか?」

P「あぁ、大人はそうなんだ」

美玲「ウチを子供扱いしてるのか?」

P「いや、俺がおっさんなだけだ」

美玲「ならいいけど…いや、よくないな」

P「なにがだ?」

美玲「ウチのプロデューサーがそんなに老け込んでちゃダメってことだッ!」

P「さっき、美玲が言ったんじゃないか」

美玲「そうだけど…」

美玲「もしかして…気にしてたりするのか?」

P「実はちょっとな…」ハァ

美玲「あ、えっと…その、ごめん」ペコリ

P「冗談だ。こっちもごめん」

美玲「う、ウチをからかったのか!?」

P「ちょっとだけな」

美玲「う、ウチの後悔を返せー!」グルル


事務所

ちひろ「それじゃ、お先に失礼しますねー」

P「お疲れ様でしたー」

美玲「おつかれー」

P「凄く当たり前のようにいるけど美玲は時間大丈夫なのか?」

美玲「もう、皆と話しつくしたしウチも帰ろうかなー」

P「あと20分待ってくれたら送ってやるけどどうする」

美玲「ウチは一人でも帰れると思うけど」

P「その恰好で帰る気か?」

美玲「フードとツメがポイントだからなっ!」

P「…やっぱり送るから待ってろ」

美玲「えー」

P「そんな格好して夜道なんて歩かせられないからな」

美玲「そんなことないと思うけど」

P「美玲はもうアイドルなんだ。自覚を持て」

美玲「はーい」

美玲「なぁなぁ」

P「どうした?あと少し待ってくれ」

美玲「さっきの話だけどさ」

P「さっきの?」

美玲「ほら、アイドルとしての、自覚を持てってやつ」

P「あぁ、どうした?」

美玲「もしかして、ウチのこと心配してくれたのか?」

P「当たり前だろ。大切なアイドルだ」

美玲「大切……そっか」

P「どうかしたか?」

美玲「べ、別にどうもしてないぞッ!」

P「顔赤いみたいだけど熱でもあるのか?」

美玲「ない!ないから今は近寄るなっ!」ブンブン

P「分かった分かった」

P「この間のライブ良かったな」

美玲「ん?」

P「ライブの話だよ。評判が良かった」

美玲「ウチがやってるから当然だなっ!」

P「美玲もノリノリだったな。衣装も似合ってたし」

美玲「ウチ的にはもっとダークな感じが似合うと思ってたんだけどな!」

P「色々似合うって凄いよな」

美玲「も、もっと褒めてもいいぞ!」

美玲「ウチはか、カワイイからなっ!」ドヤ

P「あぁ、可愛い可愛い」

美玲「……」

P「どうかしたか?」

美玲「う、ウチがカワイイって言ってれば喜ぶとでも思ってるだろ!」ジー

P「単純に感想を言っただけだよ」

美玲「プロデューサーの癖にそんな感想なのか。カワイイ…可愛いってだけじゃ…」カァァ

P「どうした」

美玲「自分で言ってて恥ずかしくなってきた…あう」

P「らぶりー☆」

美玲「…なにしてるんだ?」

P「こんな感じだっけか?美玲のポーズって」

美玲「プロデューサーは甘いな!」

美玲「こうやるんだぞ。…ラブリー☆」

パシャ

美玲「…へ?」

P「よし、いい写真が撮れた」

美玲「なにしてるんだっ!引っ掻く…じゃなくて触るぞ!」

P「別にいいけど」

美玲「えっと…ウチがよくない!」

P「電話帳に登録して美玲から連絡が来たら分かるようにしようかと」

美玲「…待ち受け」

P「ん?」

美玲「待ち受けなら、今の写真を使ってもいいぞッ!」

P「そうか。なら、そっちにしておくよ」

美玲「え、あ、うん」

美玲(待ち受けにするんだ…)

車内

P「寮に行くぞ」

美玲「うん」

P「明日からまた仕事だな」

美玲「うん」

P「頑張ろう」

美玲「当たり前だろッ!」

P「美玲らしいな」

美玲「プロデューサーって本当に変わってるよなー」

P「いきなりどうした」

美玲「だって、ウチをアイドルにしようと思うか普通?」

P「思ったからスカウトしたんだよ」

美玲「ま、結果的にはそうだけど…」

P「俺は美玲がステージの上で輝く姿が見えたんだ」

美玲「ふ、ふーん…」

美玲(そんな風に思ってたんだ…)

P「しかし、なんでまたそんな昔話を?」

美玲「久々にこんなにプロデューサーと話したからなッ」

P「そうか」

美玲「プロデューサーが、ウチのことを認めてくれてるの同じように、ウチもプロデューサーのことは認めてやるッ!」

美玲「だから、だからだな…」

美玲「これからもウチのことプロデュースしてもいいぞ!」

P「分かった。ありがとな」

美玲「と、特別、特別なんだからなっ!」

美玲「こんなこと、他の誰にも言わないんだからな…」ボソボソ

P「そりゃそうだろうよ」

美玲「き、聞くなー!」

美玲「がおー♪ひっかくぞー♪」

P「いや、ちょっと、運転中は洒落にならないから止めてくれ」

美玲「あ…うん。分かった」

P「今度の仕事の話なんだけどな」

美玲「おっ、なんだなんだ?」

P「メイド服を着て貰うことになった」

美玲「ウチが?」

P「俺が着る訳ないだろ」

美玲「まぁ、確かに…」

美玲「むー…」

P「不服か?」

美玲「だってさ、メイドの恰好なんてヒラヒラして落ち着かないじゃんッ」

美玲「それにお茶だしとかウチのキャラじゃないと思うんだけど…」

P「やってみなきゃ分からないじゃないか」

美玲「そうだけど…」

P「ちなみに、俺の予想だと美玲は案外気に入って着てくれると思うんだけどどうだ?」

美玲「……聞こえなーい」

P「一般的にイメージするメイド服じゃなくて美玲仕様のメイド服だからな」

美玲「ウチ仕様…?」

P「あぁ、俺と衣装さんが話して決めてる最中だ」

美玲「ふーん」

P「だから安心してくれ」

美玲「…たら」

P「ん?」

美玲「もし、ウチがその服を着た時に褒めてくれるなら、考えてもやらなくないぞッ!」

P「勿論褒めてやるさ。頭も撫でてやる」

美玲「そ、それじゃ、一回。一回だけその恰好してやらなくもない…」

美玲「勘違いするなよっ!別にPに褒めて貰いたいだけじゃないんだからなッ!」

P「あぁ、最初のファンである俺に褒めて欲しいんだろ?」

美玲「…ぷくーっ」

P「どうした?」

美玲「なんだが、ウチの考えが読まれてるみたいで癪なのッ!」

P「そう言えば、狼と言えばな」

美玲「がおー♪」

P「群れで行動するが、つがいは一番上の一組だけらしいぞ」

美玲「へー。そうなのか」

P「トップしか好きな狼と一緒になれないって過酷な世界だよな」

美玲「狼も大変なんだなッ」

美玲「あ、プロデューサーに聞きたいんだけど」

P「どうした?」

美玲「もし、ウチがトップアイドルになったら、狼みたく好きな人と一緒になれたりするのかな?」

P「寧ろトップになったら周りが許してくれないんじゃないかな…」

美玲「むーッ。中々難しいなぁ…」

P「それより、美玲、好きな人がいるのか?」

美玲「あ、あくまで仮定の話だッ!」カァァ

P「そうか。なら良かった。今スキャンダルとかあると困るしな」

美玲(良かったの!? あ、これ、プロデューサー気づいてない感じカモ…もうッ!)

P「でも、過去にそういう例もないわけじゃないから、何とも言えないってのが正直なところだ」

美玲「…そっか」

P「いきなりどうしたんだ?」

美玲「秘密だッ!ヘヘッ!」

美玲「ウチをトップアイドルまでしてくれたら、プロデューサーに今の質問の意味を教えてやるからなッ…!」

美玲「だから、それまで、隣にいなきゃだめだから」

美玲「約束だぞッ!」ニコ

終わりです。

頭空っぽにして読めるSSっていいですよね。

それでは失礼いたしました。

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