比奈「送り狼」(23)
注意
名前つきプロデューサーがでます。
プロデューサー視点の地の文めっちゃあります。
俺の名前は大神優、CGプロダクションのプロデューサーをしてる。俺が担当してるアイドルは3人。荒木比奈、鷺沢文香、若林智香だ。比奈はオタク知識を活かしてバラエティ方面で、文香はビジュアルとか豊富な語彙によるアドリブ力を買ってドラマ方面で、智香は爽やかでチアをやっていたりするからスポーツドリンクやら制汗剤のCMやらの方面でそれぞれ売っている。
ここではアイドルの実績に応じて3ヶ月に一度プロデューサーランクなるものがつけられる。プロデューサーは総勢100に届かないくらいだったか。俺はその中で現在19位だ。そして今、命の危機に瀕している。
ちひろ「大神さん、送り狼になったって本当ですか!」
大神P「だから何度も否定しているだろ!」
ちひろ「じゃあこのフライデーされてるのは一体なんなんですか!」
そう言うと、黄緑の事務員、千川ちひろ(通称 守銭奴)は手に持っていた雑誌をコチラに向けた。そこに写っているのは最近はやりの壁ドンをしている一組みの男女のように見える。
しているのはそう、俺。そしてされてるのは俺の担当アイドル 荒木比奈だ。
ことの発端は昨日、その日は智香の出てる制汗剤CMのシリーズ化と比奈のバラエティ番組レギュラー入り決定を祝って俺と担当アイドル3人とで祝賀会をしていた。
文香「おめでとう…ございます。智香さん、比奈さん」
智香「えへへ、ありがとうございます☆」
比奈「ありがとうございまス、でも、それもこれもプロデューサーのおかげっス」
大神P「それもあるかもしれんが、この仕事が取れたのはお前たちが今まで努力してきたからだ、これから忙しいだろうがまた頑張ってくれ」
比奈「了解っスよ」
智香「フレーフレーッ、比・奈・さん☆」
大神P「智香、お前も頑張るんだぞ?」
智香「フ、フレーフレーッ、ア・タ・シ」
文香「……」クスッ
大神P「今日は俺の奢りだ、体重に影響が出ないうちでジャンジャン頼んでくれ」
比奈「もー、そう言ったらあんまり食べれないじゃないっスかぁ」
文香「女の子の前で体重の話をするのは……デリカシーに欠けますよ?」クスクス
大神P「悪い悪い、さ、どんどん頼め」
俺は大きな仕事とかが担当アイドルに入るとこうして祝賀会をよくする。一つは頑張ってくれてる3人へのご褒美に、二つ目はモチベーションを上げさせていい成果を残してもらって俺の順位を上げるためだ。
だから俺はーー
比奈「プロデューサー、ちょっと高いですけどこのお酒、頼んでみてもいいっスか?」
大神P「ん、どれどれ?あぁ、構わんぞ」
金に糸目は付けないし
文香「このピザ一緒に食べませんか?」
大神P「ありがとう」
文香「どうぞ、あ、あーん///」
大神P「あー、ん、んまいな」
要求にも応える。彼女たちのために、半分は自分のために
1時間後、お開きになり俺は智香と文香を寮に送り届けた。比奈がもう少し飲みたいと言うので、俺も付き合う事になった。俺も飲むので車は代行をよんだ。飲酒運転ダメ絶対。俺も比奈も酒にはあまり強くないからすぐに終わった。聞くところによると高垣や姫川と飲みに行く奴は最低2時間は覚悟しなければならんらしい。比奈で良かったとつくづく思う。
まぁそれでも少し酔ったから、比奈は歩いて送る事にした。夜風が涼しい。そんな呑気なことを考えていた。
比奈の家の玄関前、俺は不覚にも段差に気付かず躓いてしまい。
ドンッ
比奈「ひゃっ///ぷ、ぷろりゅーさぁ?///」ドキドキ
そう、やっちまった。すぐに退けば済む話だったのだが、酒による思考力低下とあまりにも突然の出来事に俺は動けなかった。
* *カシャ!カシャカシャ!
突如として鳴り響くシャッター音
大神P(!!しまった!)
その音で思考力の回復した俺は遅ればせながらカメラの奪取を試みようとした、しかし、走り出そうとした矢先に酒による頭痛。俺は夜の闇に逃げていく男の後姿をただ見ているしかなかった。今朝方できたらしいこの記事には熱い抱擁を交わしてディープキスなどと事実無根な事が書かれていて、今この状況だ。
大神P「それは躓いたのを偶然撮られたんだ、記事の内容のようなことは一切してない!」
ちひろ「そうですか……分かりました。大神さんはそうゆうことする人じゃありませんもんね、すみません疑って」
大神P「とりあえず俺はこれからその記事の出処をつぶ、説得してくる。それまで電話対応は頼んだ。俺が躓いたばっかりにすまない」
ちひろ「分かりました、ではいってらっしゃい」
メディア、特にゴシップというのは怖いものだ、人のプライバシーをあることないこと書いて売り出す、読者もその記事の真偽よりも面白味を求めているから今回の俺の件はそいつらにとっては最高の娯楽だろう。腹が立つ。
大神P(にしても不味い、このままではせっかくのレギュラーがパァだ、15位以内もいけると思ったがこれでは逆に数十位落とされちまう)
大神P(不本意だが、仕方無い猫のチカラを借りるか、その前に)ピポパ
プルルル ガチャ
比奈「もしもし荒木っス」
大神P「おう比奈、俺だ。そっちは大丈夫か?」
比奈「まぁ、取材陣に囲まれたっスけど、なんとか」
大神P「そうか。いいか比奈、今日の生の終わり辺りに時間を貰え、そして毅然とした態度でこう言うんだ『今朝の記事で驚いてる方も多いと思いますが、あの記事はほぼ全て嘘です。私とプロデューサーはそれ以上でもそれ以下の関係でもありません。良識のあるファンの皆様はあんな根も葉もない情報に躍らされないで下さい』分かったか?」
比奈「……ちょっと、長めっスね、でも伝えるべき事は分かったっス。任せてほしいっス」
大神P「あ、それと俺はホモって伝えといてくれ」
比奈「えぇ!プロデューサーホモだったんスか!?え?てゆうかそもそも」
大神P「いいから!まぁ頼んだぞ」ピッ
猫を利用するのは嫌だ。しかしやつを使わないと今回の件を俺にとって有益な感じで切り抜けられる気がしない。ついでに猫というのは俺と同じプロデューサーの猫野 良(通称*猫)、にゃんにゃんにゃんを担当してる現在8位のプロデューサーだ。あいつもホモじゃないが俺に貸しを作るのはあいつにとって悪いことじゃない、故に協力してくれるだろう。胸糞だが仕方無い。俺は早速やつに連絡した。ピッピッパッ プルルル
ガチャ
猫野P「はーい、こちら猫野でーす」
大神P「俺だ、大神だ」
猫野P「あれ?オオカミさんなんて珍しいね?あ、今朝の送り狼プロデューサーのやつ?ホントなの?」
大神P「分かってて聞いてるだろ?」
猫野P「にゃはっ、ごめんなさーい。で、そんなオオカミさんがボクに何を頼むの?」
大神P「あぁ、俺がお前のことが好きで何度か告白したってことにしてくれればいい、まぁ、俺がホモだったことにすればいい」
猫野P「はぁっ!!?」
猫野P「……あー、なるほど。その方がいろいろ手早く済むしメリットが多いね。でもこれは貸しだからね?」
大神P「分かってる。借りは返す。じゃあな」ピッ
全まで言わずとも察してくれるところはあんなやつでも評価に値するだろう。少なくとも俺はあいつが切れ者だと認めている。
ほどなくして俺は出版社についた。そして本当の事と俺がホモだと言う嘘をついた。出版社の奴等は俺がホモだと言う嘘の方を根掘り葉掘り聞いてきやがった。まぁもちろん予め回答は用意させてもらってたがな。明日には今日のは脚色が過ぎた事への謝罪と渦中のプロデューサーが実はホモだったと言う新たなネタが書かれるだろう。
そう言えばそろそろ比奈が言う時間か、俺は公園のベンチに腰掛けスマホをワンセグにし比奈の言葉を見守った。
比奈『皆さん聞いて欲しい事があるっスーー』
比奈はしっかり言いつけ通り言ってくれた、後日情報とメディアの危険性について毅然とした態度で言った比奈は有識者として知名度、ファン人数ともに上がりレギュラーの話も消えずにすんだ。
ホモプロデューサーとなった俺はファンからはアイドルに手を出す心配がなくて安心。風当たりの強い同性愛者も働けるプロダクションとしていい評価を得た。もちろん俺のランクは上がりなんと10位となった。協力してくれた猫野も評価され6位となっていた。
これで「送り狼事件」は終了だ。
今回の事件、本当に嘘をついて良かった。比奈の評価も上がったし、俺のランクも上がった。全く、『俺が男だって嘘をついて』本当に得した。
END
読みずらくて、かつ短くてすみません!
愉しんで頂けたら幸いです!
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