真人「弟一回!恭介の恋を成就させてやろうぜ選手権っ!!」 (45)

理樹部屋

葉留佳「なんで何回も間違えるかなー」

西園「今度は完全にわざとでしょう」

来ヶ谷「間違えた所で面白くもないがな」

理樹「やめてあげてよ皆!これも真人なりに何か深い意味があるんだよっ」

真人「つぁぁあ!!そこまで言うことないだろぉぉー!純粋に間違えただけだよっ!ごめんなさいでしたぁーっ!」

謙吾「茶番はそこまでにしておいて、内容自体は非常に興味深いな」

来ヶ谷「うむ。実に興味深い」

理樹「なんで言い直したのさ……」

クド「わふー!恭介さんが誰か好きなんですかーっ!?」

真人「ああ…といってもこいつは来ヶ谷から聞いた事だがな」

小毬「ゆいちゃんが?」

来ヶ谷「だからゆいちゃんはやめろと……ま、まあいい。これは昨日の夕方の事だった…」

……………
………


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廊下

来ヶ谷「……む?あれは恭介氏と…靴の色を見るに3年の女生徒か」



「~~」

恭介「~~!?」

「………」

恭介「~~っ!」


来ヶ谷「ほう…珍しいな。いつも冷静で状況把握に長けた恭介氏があんなに1人の女性に慌てるとは…これはなかなかどうして面白くなってきた」


「~~っ」


来ヶ谷「なんだ…もう帰ってしまうのか」


恭介「………」


来ヶ谷「!」



………
……………



来ヶ谷「その女性が帰っていった後の恭介氏の顔と言ったら…あれは完全に恋した童貞だ」

西園「確かに来ヶ谷さんの言う通り興味深いですね………その方が男子生徒なら良かったのに」

理樹(普段から人の心を見通す来ヶ谷さんがそう言うんだ。僕らをからかっていない限りまず間違いないだろう)

来ヶ谷「ちなみにその後彼女の後を付けて夜に及ぶ尾行を続けた結果なんと正体は女子寮の寮長だったのだよ」

鈴「何ィ!?」

理樹「ええーーっっ!?」

真人「なんだお前ら知り合いか?」

理樹「僕は一度先輩のお手伝いに行ったからね…」

理樹(それより問題は…)

鈴「あ…な…な…!」

理樹「実は鈴は先輩と猫仲間なんだ」

謙吾「ああ、そういえば度々猫好きの友人の話をしていたな…まさか3年の先輩だと思わなかったが」

葉留佳「てゆーか寮長なら姉御顔知ってたんじゃないですカ?」

来ヶ谷「はっはっはっ」

理樹(この人僕らのリアクションを見る為にわざと……)

西園「でもそれでしたら鈴さんは複雑なお気持ちでしょう。なにせ自分の兄が友達を好いているのですから」

鈴「……」

小毬「でもまだ決まった訳じゃないよ鈴ちゃんっ」

鈴「小毬ちゃん…」

理樹(すかさず小毬さんが鈴にフォローを入れる)

来ヶ谷「いや絶対だ」

小毬「そっか~!」

鈴「小毬ちゃん!?」

真人「いや、お前はそこで納得しちゃダメだろ…」

理樹(とにもかくにも議論は更に白熱する)

葉留佳「ハッ!」

理樹「どうしたの葉留佳さん?」

葉留佳「そういえば真人君に皆呼ばれて来たけど今恭介サンはいずこ!?まさか隣の部屋で壁にコップを当ててるなんてこた…」

来ヶ谷「安心したまえ。彼には今理樹君の『衣装』を買ってきてもらっているよ。ちなみにかなりウキウキしていた」

西園「ああ…例の」

理樹「ちょっと待って、聞いてないよそんなのっ」

まさかの寝落ち

再開

謙吾「そろそろ本題に入ろう。その寮長を好いているとすれば既に彼氏がいるのかどうかを確かめなくてはな」

葉留佳「なんだかんだで謙吾君も興味深々ですネ」

謙吾「当たり前だろう、恭介の色恋沙汰なんてそうそう聞かないからなぁ」

理樹「鈴は今までそんな話聞いたことある?」

鈴「ない」

クド「即答ですかー」

理樹(妹の鈴でさえこういう話が初めてとは…これは思った以上にレアな話だ)

来ヶ谷「謙吾少年の言う様な心配は無用だよ」

西園「というと」

来ヶ谷「ここへ来る前にあらかた調べておいたのだ。寮長にもそういう話はない、強いてありそうなのはよく喋っている佳奈多君ぐらいだな」

理樹「女の子同士じゃないかっ!」

来ヶ谷「そうだ理樹君と葉留佳君」

葉留佳「なんですかー?」

来ヶ谷「佳奈多君と仲がいいのは君達だろう?それとなしに更なる寮長の情報を彼女から聞き出しておいてくれないか?理樹君に至っては寮長とも親交がある様だし直接コンタクトもとっておいてくれ」

理樹「ええ…確かにそうだけどなんだかなぁ…」

理樹(皆ノリノリだ…僕も心踊ったのは間違いじゃないけど)

葉留佳「サーイエッサー!うひょー盛り上がってキターっ!」

西園「イエッサーは男の人に言う言葉です。女性に向けて言うときはイエスマムがよろしいかと」




真人「んが…」

理樹「……」

理樹(あのあと直ぐに解散となった。今は当人は放っておいて情報収集が先決だと来ヶ谷さんは言った、皆も異論はなかった)




食堂

恭介「それじゃあ、いただきます」

真人「……」

謙吾「……」

鈴「……」

理樹(皆で恭介をじっと見る)

恭介「な、なんだよ…俺なんかやったか…!?」



放課後

理樹「今日は練習お休みかな?」

真人「この雨なら仕方がねぇな」

葉留佳「へいガーイズ!」

真人「げぇっ三枝!」

理樹(教室を出てすぐ葉留佳さんの笑顔がお出迎えしてくれた)

葉留佳「もー、会うたびその反応は、はるちん傷つくな~まったく」

理樹「今日はどうしたの?西園さん達ならもう行っちゃったけど…」

葉留佳「いやいや、用があるのは理樹君だけですヨ」

理樹「僕?」

葉留佳「ささ、いいから来て来て!」

理樹(そう言って袖を引っ張ってくる)

理樹「ち、ちょっとー!?」

女子寮前

葉留佳「さー!入って入って…ってなんで動かないの?」

理樹「いやいやいや…流石にまずいでしょ」

葉留佳「でーじょーぶだって!理樹君は特別扱いっ」

理樹「葉留佳さんが勝手に言ってるだけじゃないか!」

葉留佳「でも周りの子も全然理樹君のこと気にしてませんヨ?」

理樹「そういう問題じゃないよ…それにどうして女子寮なんかに僕が入らなきゃならないのさ?」

葉留佳「やだなー昨日姉御が言ってたじゃんお姉ちゃん達から話聞いてこいって」

理樹「じゃあ葉留佳さんだけ行ってよ!」

葉留佳「なんでこんなまたとない女子寮に入れるチャンスを逃そうとするのだ君はー!」

理樹「いやいやいや…」

葉留佳「あっ、そうだ。もし来なかったら姉御に理樹君が協力しなかったって話そう」

理樹「脅しじゃないかっ!」

女子寮3F

理樹「は…入ってしまった……」

理樹(でも葉留佳さんの言う通り女生徒は女装もしていない僕のことをまったく気にもかけてない)

葉留佳「この部屋ですネ」

理樹(そしてノックをする)

ガチャ

佳奈多「どなたかしら……葉留佳?」

葉留佳「やーやーお姉ちゃんこんばんわー!ちょっと中に居れて~っ」

佳奈多「別にいいけどお茶とか無いわよ?……って…」

理樹「う……」

佳奈多「な、なんで貴方が…」

理樹(僕を指差す手と声が震えてる。今にも爆発しそうだ)

葉留佳「訳も中で話すからとにかく入っちゃえーっ!!」

理樹(葉留佳さんが僕らを強引に入れて壊れそうなほど勢いよくドアを閉めた)

理樹(入ってからは二木さんが怒って、僕がなだめて、葉留佳さんが油を注ぐ流れが小一時間続いてやっと本題に入ることが出来た)

葉留佳「てなわけであの恭介サンが寮長さんに恋しちゃってるかもしれない訳ですナ」

佳奈多「い、意外だわ…」

理樹「二木さんは先輩のそういう話知らない?」

佳奈多「それは大体あの来ヶ谷さんが調べちゃったんでしょ?なら私から言うことは何もないわ」

葉留佳「じゃー好きな物とか恋に役立ちそうな物は?」

佳奈多「いや、恥ずかしいけど私もそういうことはあんまり詳しくないのよね…ただ好きな物といえばやっぱり猫とかかしら?」

理樹「他には何かない?」

佳奈多「さあ?あの人プライベートのことあんまり喋らない方だから何とも言えないわね。一応家庭科部の部長だけどこれは特に役に立たないかしら」

葉留佳「ううん、そんなことないよ!ベリーありがと!」

佳奈多「ふふっ何を言ってるんだか…」

理樹(この2人が仲の良い姉妹である所を見るたびに顔がほころぶ。こんな事を口に出そう物ならたちまち僕にだけ不機嫌になるのは違いないけど)

葉留佳「いや~佳奈多先生の貴重なお話が聞けて良かった良かった」

理樹「また今度2人で遊びに行きなよ」

葉留佳「ナイスアイデア!理樹君も一緒に来る?」

理樹「怖いからやめておくよ」

葉留佳「ちぇーちぇーちぇー。なんで遊びのお誘いに『怖いから』が出てくるんだよー!いいから一緒に行こーよ理樹君!…あっ、見てっ」

理樹(一方的に捲し立てられて葉留佳さんの視線を辿ると例の寮長がやってきた)

あーちゃん先輩「あらっ、理樹君じゃなーい!それに隣の子は葉留佳さんね?お姉さんから話はよく聞いてるぞーまた相変わらず追いかけられてるんだってぇ~?」

葉留佳「やはは…な、なんのことやら…それじゃあ理樹君後は頼んだ!」

理樹(僕にウインクして逃げる様に去って行った…どこまで自由人なんだあの子は…)

あーちゃん「どうしたのかしら」

理樹「あ、あの…少し話があるんですけど」

あーちゃん「理樹君が私に?珍しいわねぇ!いいわ、私の部屋で話しましょ」

理樹(そこまで深い話にするつもりは無かったけど、具体的にどうやって聞けばいいんだ……そもそも本当に恭介の気持ちをそっちのけにしたまま話を進めてもいいのか?そんな事を思っていると先輩の部屋にたどり着いてしまった)

あーちゃん「さあ着いたわ。にゅふふ、さて理樹君はどんな話をしてくれるのかな~」

続く。相変わらずの亀進行で悪い(∵)

kanata

佳奈多「まさかあのあーちゃん先輩がねえ」

佳奈多(私と先輩の出会いはそう非凡な物では無かった。何の用だったか私が寮長室から出ようとしたところ、彼女に呼び止められたのだ)


あーちゃん『ねえねえ、あなた二木さんだったわよね?この時期は忙しいんだけど仕事手伝ってくれないかしら。やってくれるなら良いお茶とお菓子もご馳走しちゃうからさー!』

佳奈多『はあ…』


佳奈多(あの頃は葉留佳とも歪み合わなければいけなくてむしゃくしゃした気分がずっと続いていた。私はその思いが消える事はないと分かっていつつも仕事に精を出す事で少しは気分を紛らわそうとしたのだ)

佳奈多(手伝っているうちに彼女は『私のため』にわざと仕事を与えていたことを悟った。鋭い彼女は私の心を見透かして、でも決して心に土足で入り込む真似はせず、ただ私を気遣ってくれていた)

佳奈多(今思えば直枝と私が向かい合わせに仕事をする様になったのもーーもっともそれは曖昧でも確かにあった夢の世界での話だけどーー彼女の作戦だったのかもしれない)

佳奈多(話はそれてしまったけど、とにかく彼女はただおちゃらけた人では無く私以上に優れた人間だ。そんな破天荒な彼女があの棗先輩と付き合うとなるなら、何故か納得してしまう)

ドンッ

佳奈多「…っ…ごめんなさい、不注意だったわ」

恭介「へえ、風紀委員長が珍しいな」

佳奈多「棗先輩…」

佳奈多(この際聞きたいことは聞いてしまおうかしら。私も少しは気になるし)

佳奈多「棗先輩は付き合っている居ますか?」

恭介「………なん…だと…?」

佳奈多「もしも居ないなら私としても安心です、もちろん答える義務が無いのは分かっていますが」

恭介「いや…えっとだな……別に居ないが…」

佳奈多「それは良かったです」

佳奈多(なら葉留佳達が言っている事も嘘ではないかもしれない)

佳奈多「気になっている人は?」

恭介「ち、ちょっと待ってくれ!俺たちがそういうのは不味いんじゃないか!?」

佳奈多「……?」

佳奈多(いるか否かを聞いて何故その答えになるのだろう)

佳奈多「つまり居ないと」

恭介「悪いがな…それは言えん……」

佳奈多(もはやYESと答えた様なものだ。満足すると軽く会釈をして自分の部屋に戻った)

寮長部屋


あーちゃん「でー何を話してくれるの?」

理樹「あの…ずっと気になってたんですけど先輩は好きな人は居ますか!?」

あーちゃん「ぶっ!」

理樹(先輩は飲んでいたお茶が気孔に入ったのか激しく咳き込んだ)

あーちゃん「げほげほ…び、びっくりするなぁ!もう」

理樹(確かに急にデリケートな話を持ち出すのは悪かったかもしれない。でも答えてくれた)

あーちゃん「直枝君…貴方がそんなにアグレッシブな人だとは思わなかったわ。…でも特別に答えてあげる……実は気になっている人ならいるかな…って」

理樹「ほ、本当ですか……」

理樹(まだ可能性だけはある。それが恭介なら大円満なんだけど果たして事がそう上手く運ぶかな…)

あーちゃん「えっ、いやちょっとそんな落ち込まないでよ…まだ気になってるだけだから……いや直接君に言ったのも悪いけどさぁ。うーん困ったわねぇ…」

理樹(何に困っているんだろう)

理樹「じゃあまだチャンスはあるって事ですか!?」

あーちゃん「ま、まあね…いや…うん」

理樹「分かりました!話っていうのはそれだけです、どうもありがとうございました」

あーちゃん「えーと…き、気を付けて帰ってねー」

理樹(少し様子がおかしいけどこれで少しは希望はある訳だ。早くこのニュースを皆に言って聞かせよう)



理樹部屋

理樹「って言ってたんだ」

クド「わふー!それじゃあ恭介さんの恋も実る可能性はじゅーぶんですねっ」

小毬「彼氏さん居なくて良かったねえ」

来ヶ谷「いや理樹君…その言い方だと……」

バンッ

理樹(皆でまずは一安心していると急に僕らの部屋のドアが勝手に開いた)

佳奈多「葉留佳も皆居ないからもしかしてと思ったけど当たりだったようね。それにしてもちゃんと掃除してるのこの部屋?」

理樹「二木さん!」

真人「なんだテメー!俺達は今大事な作戦会議してんだよっ。話なら後で聞くから…」

理樹(真人の声を遮って言う)

佳奈多「その大事な作戦会議についての話を持ってきたんだけど?」

葉留佳「えっ、どーゆーこと?」

佳奈多「夕方に棗先輩と会ったのよ。そしてせっかくだから少し話をしたわ、それによると…」

理樹(二木さんは自分が聞いてきた事を簡潔に説明してくれた)



佳奈多「だから貴方達の推測も来ヶ谷さんの話も合わせると間違っては居ないらしいわね」

謙吾「ならこれで思う存分恭介の恋路を応援出来る訳だ」

来ヶ谷「だから佳奈多君…その言い方ではまるで…」

真人「よっしゃあーっ!そんじゃ、早速作戦考えよーぜ!……いや、待てよ。まずはかっこいいコードネームが先か…」

理樹(来ヶ谷さんは何か言おうとしたらしいが真人の大声に遮られた所為で言う気を失ったらしい)

明日からやっと話が動き出すはず。多分おそらくメイビー




謙吾「おっと…そろそろ恭介がここへ来る時間だ。いつもここへ来ている者以外は今のうちに解散しておいた方がいいだろう、この事が奴にバレると厄介なのでな」

西園「ちなみにまたこの時間ですか?」

真人「そいつがいいな!おい風紀委員長、お前もこの作戦に加われよっ」

佳奈多「言われなくてもそのつもりよ」

来ヶ谷「……いや…しかし逆に面白い事に…」

理樹(来ヶ谷さんはさっきからブツブツ言っているがまた良からぬ事でも企んでいるのだろうか。なんにせよ人を不幸にしようと考える人ではないから深い詮索はしないでおこう)

理樹(程なくして恭介が帰ってきた)

恭介「うーすっ……ん?今日は謙吾も鈴も早いな…」

理樹「どうしたの?元気ないね」

真人「もしかして恋の悩みじゃね?」

謙吾「馬鹿!」

理樹(ストレートに聞きすぎだよ真人!)

恭介「恋の悩み……まあ、ある意味そうかもな…」

理樹「って当たってた!?」

恭介「ん?」

理樹「あ、いや…」

謙吾「それが本当なら聞いておくがお前は誰かを好きなのか?」

恭介「なんでそんな事言わなくちゃならねえんだよっ!それに俺は逆に好かれた方だ」

真人「マジで?誰に」

恭介「名前は流石に伏せさせてもらうが俺に彼女が居るかどうか聞いてきて『居ない』って答えたら安心されたんだよ」

理樹「へえ!でも恭介って確か以前から何人もそんな事があったんじゃない?」

恭介「誇張表現だ、そりゃあるっちゃあるが今度のその女性は関係を持ったら色々ヤバいんだ…」

真人「じゃあ断ればいいじゃねーか」

恭介「いや…そうしてもかなり面倒臭い事になりそうなんだよ……」

真人「んだよ言ってくれよぉ~っ!!」

恭介「言ったら俺は死ぬぞ!」

理樹(恭介がここまで手を焼いている人というのがかなり気になったけど今日は遂に名前を言ってくれなかった)

コツコツ

佳奈多「……」

バッ

佳奈多「きゃっ!?」

あーちゃん「かなたーん!」

佳奈多「誰かと思えば…いきなり抱きついて来るのはやめてください。私にそちらの気はありませんよ」

あーちゃん「つれないなぁ~…」

佳奈多「…どうしたんですか?少し元気が無いみたいですけど」

あーちゃん「あぁ…やっぱり分かる?ちょっと相談に乗ってもらいたい事があってさぁ…」




寮長部屋

あーちゃん「そんでその子がどうも私の事が好きみたいで…」

佳奈多「後輩から告白ですか。でもあーちゃん先輩は2年で仲の良い男子が居ましたっけ?」

あーちゃん「……あなたもよく知る人なんだけどね…」

佳奈多「えっ?」

あーちゃん「ううん、なんでも~」

佳奈多「して相談という事はその男子の告白は受け止めないつもりですか?」

あーちゃん「うーん…仲も良いし私もこのまま押し切られたらどうなるか分からないけど……その…」

佳奈多「先輩にも好きな人がいると?」

あーちゃん「な、なんで分かったの…」

佳奈多「ごほん…とにかく私が言えることは、そんな年下の事など綺麗さっぱり断るべきだと思っていますが」

あーちゃん「くぅー!流石風紀委員長は言うことが違うね」

佳奈多「で、どうするんですか?」

あーちゃん「え、えーと…もうちょっとだけ考えようかな…いざ断る時に傷付かない言い方も考えておきたいし」

佳奈多「やれやれですね、あなたも直枝も似た様な人です」

あーちゃん「うっ…」

次の日

恭介「はぁぁぁ………」

あーちゃん「うぅぅぅ~~~……」

恭介・あーちゃん「「ん(えっ)?」」

恭介「…お前も悩みを抱えてる様だな」

あーちゃん「棗君も苦労してるみたいね…」

恭介「……ふっ。どうだ、俺達今までウマが合った試しがなかったがここらで腹を割って話し合うというのは!」

あーちゃん「えーショック!私は結構棗君と仲良かったつもりなんだけどなぁ~」

恭介・あーちゃん「…………」

恭介「ぷっ……」

恭介「はっはっは!」

あーちゃん「あはははっ!」

恭介「っはぁ…立ち話もなんだ、屋上で話そう」


あーちゃん「そうねっ」

屋上




恭介「そうか・・お前も後輩から告白を受けたのか・・で、お相手は?俺が知ってる奴か」

あーちゃん「言ったらどんな反応するか楽しみだね~じゃあ棗君が言ったら教えてあげる」

恭介「俺が言ったらか」

あーちゃん「うん」

恭介「いいんだな?」

あーちゃん「うん?」

恭介「後悔するぞ」

あーちゃん「もー!分かったから教えてよっ」

恭介「二木だ」

あーちゃん「・・・・うっそ」

恭介「マジだ」

あーちゃん「うっわ気まずくなっちゃうじゃない!」

恭介「だから言ったんだよっっ!」

恭介「とにかく約束は約束だ。お前の方は誰なんだよ」

あーちゃん「分かった・・・言うわ」

恭介「おう」

あーちゃん「後悔するわよ?」

恭介「すまん、やっぱり言わなくてもなんとなく・・」

あーちゃん「理樹君よ」

恭介「ぬわああぁぁーっ!!」

あーちゃん「お気持ちは察するわ。こんなおばさん臭い女に弟分が惚れてるんだもの」

恭介「いや、そんなことは無いぞ。お前もそこらの奴らよりかは綺麗だ」

あーちゃん「なっ・・・!?」

恭介「おっと話がずれたな・・ところでお前はどうする?okするのか?」

あーちゃん「・・・・・」

あーちゃん「棗君はさ・・私が付き合うって言ったらどうする?」

恭介「正直な所・・かなり嫌だ」

あーちゃん「あはは・・やっぱりそう簡単に許さないって?」

恭介「そういうんじゃない。もっと別の理由だ」

あーちゃん「どういうこと?」

恭介「鋭いお前なら他の理由と言ったらその・・わ、分かるだろ?」

あーちゃん「いや~全然分からないなぁ」

恭介「分かれ」

あーちゃん「にゅふふ~分からない」

恭介「お前、わざと俺に言わせようってか!」

あーちゃん「観念しなさい、この流れになった以上もう逃げられないわ」

恭介「くっ・・お、俺は・・」

あーちゃん「うんうん」

恭介「お前のことが好きだ!」

あーちゃん「うん・・・」

恭介「だから理樹の方へ行かないでくれ・・・っ俺はあいつよりも幸せに出来る自信がある。だから、断ってくれ」

あーちゃん「理樹君が傷つくかもしれないわ」

恭介「分かってる・・充分、分かってる。俺はあいつのために何でもしてやれるつもりだ。あいつや仲間のためなら命だって惜しくない・・だけど、恋だけは例え理樹でも譲れん」

恭介「その気持ちに嘘をついちまったら一番祝うべきである俺は心の中で愛している二人を憎んでしまうだろうからな」

あーちゃん「そっか」

恭介「そうだ」

あーちゃん「私も・・・あなたがかなちゃんと付き合うなら同じ事思っちゃったのかも」

恭介「ってことは・・・」

あーちゃん「私もあなたの事が好き」




恭介「・・・・」

あーちゃん「・・・・」

恭介「じゃあ、俺は今から二木に伝えてくる」

あーちゃん「じゃあ私は理樹君ね」

恭介「き、今日は夜メールしてもいいか?」

あーちゃん「いつでもどーぞっ」

ガチャン



寮長室

恭介「・・・ここじゃないか」



グラウンド

あーちゃん「あれぇ?」


コンコン

佳奈多部屋

恭介「よう」

クド「わふー!?な、なんで恭介さんがっ!?」

恭介「話はあとで・・言えるか分からんが二木はいるか?」

クド「いいえ、確かまだ作戦を練ってる途中なのでおそらくリキの所にいると思いますっ」

恭介「作戦だと?」

クド「はいっ・・あっ!やっぱり行っちゃダメですっ!」

恭介「なに?行っちゃいけないか」

クド「はい・・」

恭介「そうかそうか・・・」

クド「な、なんならここで私と待って・・」

恭介「あばよ」

クド「わふー!」





トコトコ

あーちゃん「やっぱりここしかないわよね」

恭介「ん?お前もここか」

あーちゃん「なんか嫌な予感・・・」

恭介「だが行かなければ何も始まらん。覚悟を決めろ!」

あーちゃん「う、うんっ」

ガチャ

理樹部屋

ガヤガヤ


理樹「いやいやいや・・それじゃ窒息するよ・・」

真人「そうかぁ?」

佳奈多「私としてはやっぱり吊り橋効果で・・・」

恭介「お前らいったい何を・・」

あーちゃん「あっ、見て棗君」

『弟一回恭介の恋を成就させてやろうぜ選手権』

恭介「ぶっ!」

謙吾「ここはやはり寮長を夜景につれていきそっと愛を呟いてだな」

来ヶ谷「諸君、後ろを振り向きたまえ」

理樹「えっ?」

恭介「お前ら・・・・なにやっとんじゃぁぁーーっっ!!」




終わり

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