白い。

何もかも白い風景しか浮かばない。


何もない。

その時理解した。


僕は死んだんだ。

…

モノクマ「苗木君のために！！！　スペシャルなオシオキを用意しました！！！」

馬鹿げてる。
なんでボクが死ぬはめになったんだ。

ボクは何もやってないのに。

カ
チ
ッ

そんなことを考えている暇もなく、そのスイッチは無情にもすぐに押された。

受け入れなきゃいけないと思うほど怖くなって。
縛り付けられた時点で考えるのをやめた。

ナエギ　クン　が　クロ　に　きまりました。
おしおき　を　かいしします。

「補修」

ｶﾞﾀﾝｯ、ガタン。
近づくその音にもはや恐怖など感じなかった。

さよなら、みんな。この学園の中でいい、生き残ってくれ。

ガタンッ、音は次第に近くなって、

そこでボクの意識は途切れた。

…

苗木「…んう…」

思い出し終えると、目には色の無い色が浮かんだ。
白でもない。黒でもない。
例えるなら、透明なものの先に色が無いような、不思議な感覚だった。

苗木「ここ、は…」

舞園「目が覚めたんですね」

瞬間、彼女の顔が浮かんだ。
コロシアイの末亡くなった、中学からの大切な友達。

苗木「舞園さん…っ！！！」

そう叫んで、縋ろうとする。
しかし、そんなことをしても掴めるものはなかった。

苗木「どこ、行っちゃったんだよ」

桑田「おい、なんでお前がここに来てるんだよ」

彼も、浮かんだ。彼女と一緒に散っていった、彼も。

しかし、そんなのも触れられるはずもなく。

その後も、不二咲クン大和田クン石丸クン山田クンセレスさん大神さん、まるで散っていった順に、ボクに語りかけていく影が生まれ、消えていった。

そして、。

そこに、彼女は居た。

？「…苗木、くん」

苗木「…」

ボクは疲れきっていた。
現れる人に反応する余裕なんて無かった。
でも、その時だった。

苗木「…今、全部思い出したよ…まあ、それも仕組まれたことなのかもしれないけど」

？「そう…」

苗木「さすがだね…ここまで仕込んでおくなんて」

苗木「そうでしょ？　戦刃さん」

戦刃「…」

彼女はずっと同じ表情のままだ。
やっぱり、そういうことだ。

苗木「正直、君たちが何をしたかなんて本当にわからないよ…まあ、僕らの記憶をいじったりでもするときに、モノクマは、江ノ島さんは皆に更に深い傷を植え込んで殺そうとでも思ったのかな」

戦刃「…」

苗木「死んでいった皆を死ぬ直前に映し出すなんてね…」

「でも、死んでもボクを、ぼくたちを、少しでも。救おうとしてくれたんだね」

戦刃「…ごめんね」

苗木「？」

戦刃「本当は、もっと幼いうちに、幼児のうちに、赤ちゃんのうちに、止めておくべきだった」

「それを分かってて、私は…傭兵部隊の意向にも、盾子にも、ずっと、言うとおりにしてきた。いつの間にか、それを正義だと思って」

「遅くなってごめんね、苗木君」

「私は君のことが、皆のことが、好きなの」


「だから苗木君、」

【死なないで、生きて。】

彼女も、消えていった。

この走馬灯はきっと感情を読み取って発動するものだろう。それも発汗とかでも分かる嘘発見器みたいなものを応用し尽くした、そんな感じかな。

死ぬ直前の絶望を読み取って発動するものならボクはまだ生きていることになる。

戦刃さんはもしかしたら、自分が死ぬかもしれないのも分かっててそこにボクに伝えたいことを遺した…遺してくれたのかな。

ああ、わかったよ

苗木「僕は、君と巡りあうためにここで生きてたんだね」

そして、明ける。

ここでの意識が、途切れるーーーーー

ーーーー1瞬、目が眩んだ気がした。
何が起こったのか、覚えていない。

ただひとつ、覚えていることは。

苗木（絶対に…）

『死なないで、生きて』

苗木（生きるッ！！！！！！！）

上に、重い鉄が降りてくる。

苗木（何か、生きる方法は…！？）

辺りを見回しても、何もない。

苗木（…無理だっ…生きられない…ごめん、皆…）

そう、皆を見ると皆がみんな、一つの部分に目が行っていた。
どうせ死ぬんだ、土産に見ておこうと思い、顔をそちらに向ける。

アルターエゴ「…ッッ！！！！！」

鉄の動きが止まる。そして、後ろにある何かに放り込まれる。

それからは、みんな必死だった。

この世界で、生き切った。

ただひとつ、言えることは。

僕らは、絶望なんかに染まりたくなかったってことだ。

END

終わりです。見てくださった方々、ありがとうございました。
速攻で仕上げたものなので、突っ込みどころ、気になったところがあればお願いします。

乙ゥ
特に読みにくい所もなく内容もよかったので、一度別の長編スレ(安価スレでも可)で読んでみたいな〜なんて
[モノクマ]_･)ﾁﾗｯ