ジャック「まずは必要な物を買い揃えなければな」

遊矢「え？俺金なんて…」

ジャック「子供が無用な心配をするものではない」

ジャック「困った時は周りを頼ってよいのだ」

遊矢「でもさすがに今日初めて会った人に買ってもらうなんて悪いよ」

ジャック「ふむ…ではデュエルアカデミアに入る前にひとつ、基本的なことを教えておいてやろう…」

ジャック「欲しいものは全てデュエルで手に入れろ！！！」

遊矢「………え？」


ジャック「アブソリュートパワーフォース！！！」

ジャック「よし、これであとはデュエルディスクとブルーアイズマウンテンだけだな」

遊矢「ご、強盗だ…」

ジャック「強盗だと！？どこだ！ジャック・アトラスは非道な犯罪者を許しはしない！」

遊矢「悪い人ではないんだよな…きっと」ま

遊矢「これが俺のデュエルディスク……」

双六「うむ…カードを突然ペンデュラムカードに変える、いつの間にかエクストラデッキのカードが増える、絶体絶命のピンチに逆転のカードを引ける」

双六「まさしく、君にふさわしい決闘盤じゃ」

ジャック「そうしてデュエルディスクを構えているとまるでデュエリストだな、遊矢」

遊矢「まるでじゃない…俺はこれから本物のデュエリストになるんだ！」

ジャック「フッ…そうだったな…」

双六「さて、代金の話しなんじゃが……」

ジャック「遊矢、デュエリストはこういう時どうするんだ？」

遊矢「わかってるよ、ジャック」

遊矢「デュエルだ！！！」

遊矢「まさかデュエルに負けたら定価の3倍で買わされるなんて……」ｺﾞｰｸﾞﾙ

ジャック「デュエルの腕はまだまだだな」

柚子「あら、もしかしてあなたも新入生？」

遊矢「え、そうだけど…」

ジャック「明らかに新品のデュエルディスク…お前も新入生か」

柚子「ええ、柊柚子よ。よろしく」

遊矢「俺は榊遊矢。よろしく、柚子」

柚子「ねえ、遊矢はどの寮に入りたいか希望はあるの？」

遊矢「寮？」

柚子「知らないの？入学したら全員４つの寮のどれかに組分けられるのよ」

柚子「野心ある者が入るオベリスクブルー、知恵ある者が入るラーイエロー、勇気ある者が入るオシリスレッド、ユーモア溢れる者が入るオジャマブラック」

柚子「私はオシリスレッドがいいなー、って思ってるの」

遊矢「俺がエンタメデュエルを極めるならオジャマブラックってとこかな」

ジャック「入りたい所に入れる訳ではない。学園に伝わる伝説のアイテムがその者の本質を見定め寮を決めるのだ」

ジャック「だがこの俺をよりにもよってオジャマブラックに組分けしたのだからその伝説も眉唾物だ」

柚子「あ、アナタは学園の先輩なんですか？」

遊矢「そういえばジャックって何者なの？」

ジャック「フン、俺はもう退学している。先輩ではないし、敬語も不要だ」

遊矢「退学って……そんなにオジャマブラックに入れられたのが嫌だったの？」

ジャック「当然だ！！！俺は知恵も勇気もあるし、何より頂点に立つという野心に溢れていた！」

ジャック「ブラック以外の全ての寮の素養を持っていたのだ！…だというのに……！！」

遊矢（短い付き合いだけど、ジャックにユーモアが溢れているのはなんとなくわかる）

遊矢「まさかこんな孤島にあるなんて…そりゃ全寮制になるワケだ」

ゴーシュ「新入生のノリしてる奴はこっちだぜ！」

遊矢「あっちか…うわっ」ドン

暗黒寺「いてぇな」

遊矢「いてて…、すいません、よそ見してて…」

暗黒寺「詫びる気があるならレアカードよこしな」

遊矢「そんな……！！」ｺﾞｰｸﾞﾙ

権現坂「そこまでだ暗黒寺ゲン！」

暗黒寺「兄弟子を呼び捨てたぁ出世したじゃねえか権現坂！」

権現坂「アンタはもう兄弟子ではない！」

暗黒寺「……チッ、まぁいい。一応言っとくが入学したら兄弟子ではなくとも先輩だからな、俺」

権現坂「ならば先達として尊敬に値する姿を見せてほしいものだ」

権現坂「大丈夫だったか？」

遊矢「大丈夫、ありがとう」

権現坂「俺は権現坂昇だ。お前も新入生か？」

遊矢「ああ。俺は榊遊矢、よろしくな」

権現坂「入学式が始まってしまう、行くぞ遊矢」

クロノス「エー、それでは名前を呼ばれた生徒から前に出て、この組分け千年パズルを首にかけるノーネ」


オベリスクブルーテーブル

海馬「フン、少しは骨のあるデュエリストがいるんだろうな」

亮「野心ある者の集うオベリスクブルー。野心とは気高き誇りと飽くなき向上心だと捉えれば、このオベリスクブルーに組分けられた時点で『少しは骨のあるデュエリスト』と言えるんじゃないか？」

海馬「そんな言葉遊びではなくデュエルの腕のことを言っているんだ」

明日香「オベリスクブルーとしての矜持を持ってほしいわね」

カイト「オービタル、新入生の中にハルトがいないか調べろ！」

オービタル「カシコマリ」


ラーイエローテーブル

三沢「真面目な奴が来てくれるといいんだが…」

剣山「恐竜さん好きに来てほしいザウルス」

竜崎「そら歓迎やな」

城之内「気合いの入った根性ある奴に来てほしいぜ！」

竜崎「お前ホンマなんでオシリスレッドやなかったんやろな…」

城之内「だから組分けの千年パズルが俺のトンコツを見抜いたんだよ！俺の知的なトンコツを！」

剣山「トンコツ？」

竜崎「それを言うなら本質やアホ」


オシリスレッドテーブル

十代「どんな奴が来んのかな！？どんなデッキ使うのかな！？今からもうワクワクするぜ！」

翔「アニキはいつも通りッスね」

遊戯「なんだか凄そうな人ばっかりでこっちが緊張してきちゃったよ」

遊星「ライディングデュエルをやる者がいてくれると嬉しいのだが…」

アキ（遊星に近付く悪い虫には漆黒の華が開くわよ……）


オジャマブラックテーブル

万丈目「一、十、百、千………」

鬼柳「ウチは満足させてくれる奴以外お断りだぜ」

Ⅳ「早く新入生にファンサービスしてやりたいぜぇ」

羽蛾「ぴょーーーーー！！！」

黒咲「あの新入生たちからは鉄の意思も鋼の強さも感じられない！！！」

クロノス「次、権現坂昇」

権現坂「男、権現坂、不動の組分けを望む！」

千年パズル「……………」

千年パズル「AIBOOOOOOOO!!!」

十代「よっしゃ！あいつレッドだ！」

翔「なんかちょっと暑苦しそうな人ッスね…」

クロノス「次、榊遊矢」

遊矢（いよいよ俺か…）

千年パズル（んー、野心がある訳でもなく、知恵もいうほどなく、溢れるというほどユーモアもない…よし）

千年パズル「AIBOOOOOOOO!!!」

十代「おお！あのトマトみてえな頭の奴もウチだ！」

遊戯「そう言われてみると確かにトマトっぽいね」

遊星「とても地毛とは思えないが…」

クロノス「次、沢渡シンゴ」

千年パズル「HA☆GA!!!」

万丈目「む、ウチか」

取り巻き１「やっべー！！！」

取り巻き２「首にかける前に寮言われるとか」

取り巻き３「沢渡さんマジスゴすぎッスよー」

沢渡「俺、ブラックに選ばれすぎ！？」

遊矢「希望通りオシリスレッドになれたんだ、やったな柚子」

柚子「うん、これから一緒に頑張ろう遊矢」

権現坂「俺もこのオシリスレッドで不動のデュエルを極める！」

遊戯「ここがオシリスレッドの寮だよ」

十代「さあ、新入生の歓迎会だ！誰かデュエルしようぜ！」

翔「さっそくッスかアニキ…」


三沢「各寮の入口にはカードが１枚あって、そのカードに合い言葉を言わないと寮に入れないから合い言葉を忘れないように」

竜崎「よその寮には勝手に入られへんちゅうこっちゃ」

剣山「ちなみにウチのカードはこの『太った[ピザ]』のカードザウルス」

太った[ピザ]「痺れるぅううう」

海馬「ブルーアイズホワイトドラゴンを召喚！フハハハ！！スゴイぞーカッコいいぞー！！！」

明日香「海馬くん張り切ってるわね」

亮「フッ、俺たちも負けてられないな…。俺は手札からパワーボンドを発動！」

カイト「闇に輝く銀河よ、希望の光になりて我が僕に宿れ！光の化身、ここに降臨！！現れろ、銀河眼の光子竜！！！」

明日香「新入生のトラウマにならない程度にしなさいよ？」


万丈目「万丈目サンダー主催！新入生歓迎デュエル大会！初日で上下関係というものを理解させてやる！」

鬼柳「ヒャァッハァーーー！！！簡単には終わらせねえぜ！待ちに待った歓迎のデュエルなんだからなァ！」

Ⅳ「さあ俺のファンサービスを受けろ！」

羽蛾「ひょー、エクゾでも何でも持ってこいよ！」

黒咲「やはりお前達のデュエルからは鉄の意思も鋼の強さも感じない！！！」

取り巻き１「な、なんだかすげー寮に入っちまった……」

取り巻き２「もうやだ…帰りたい…」

沢渡「こんなド派手な歓迎パーティー開かれるとか、俺、期待されすぎぃ！」

取り巻き３（沢渡さんもう馴染んでる……）

大徳寺「それでは融合学の授業を始めますにゃー。担当は私、アムナ…大徳寺ですにゃー。レッド寮の寮長もやってますにゃ」

大徳寺「この授業はオシリスレッドとオベリスクブルーの共同で行われるので寮が違っても仲良くしてほしいにゃー」

遊矢（融合かぁ、まぁ知ってて損にはならないだろ）

柚子（融合かぁ、正直あんまり興味ないけど、大徳寺先生優しそうだしいっか）

権現坂（不動のデュエルにおいて魔法カードを使う融合はありえない、だが敵の使う戦術に対し全くの無知というのは危険！学ぶ価値はある）

北斗（いちいち『融合』使わないとダメとか、アド損じゃね？やっぱエクシーズのがいいわ）

刃（融合とか男らしくねーよな。やっぱこう、ババッとシンクロ召喚連発した方がカッコいいだろ）

真澄（融合……面白そうね）

大徳寺「んー、まだ融合に興味を持ってくれていない人も多いみたいだにゃー残念。それじゃ…」

大徳寺「ゆっくり時間をかけて学んでいこう、融合と…融合が持つ可能性について……」

タイタン「闇のデュエルに対する防衛術……担当のタイタンだ。ブラック寮の寮長も勤めている」

タイタン「この授業では、そもそも闇のデュエルとは何なのかから始まり、実際に闇のデュエルを行う場合の対処法などを学んでいく」

沢渡「闇のデュエルなら俺やったことあるよ」

取り巻き１「え！？マジすか沢渡さん！」

沢渡「ああ、昨日、夢の中でね…」

取り巻き２「夢の中で授業の予習してるとかマジレベル高すぎですよ！」

沢渡「古代エジプトだかなんだかの王が勝負しろって言うから、初手エクゾでぶっ飛ばしてやったよ」

取り巻き３「夢の中だからって初手エクゾとかさすが沢渡さん！」

遊矢（うるせぇ…なんでこいつらと合同なんだ…）

権現坂（例え闇のデュエルであろと己の不動を貫くために、これは学ぶべきだな！）

柚子（ていうか、これが必修科目になってる学校って…）

樺山「ラーイエローの寮長、樺山です。担当科目はこれから皆さんが行うこの授業、カレー学です」

遊矢（腹へったー…）

樺山「この授業はラーイエローとオシリスレッドの合同で行います」

ミエル（え、今この教室の中にミエルの運命の人が！？）

樺山「またこの授業には実習があり、実習では班ごとに分かれてカレーを作ってもらいます」

権現坂（たとえカレーの中であろうとも不動のデュエルを貫くために、学ぶ価値がある）

樺山「その際の班は折角ですから、寮の違う生徒と組んでもらいたいですね」

柚子（ふわぁ…どの学校にも一人はいるわよね、声聞くだけで眠くなる先生）

樺山「カレーに使うスパイスの種類は実に多岐に渡り、カレーは手間と時間をかけるほど美味しくなります」

茂古田「それじゃあ今日は簡単でお手軽なカレーのレシピを紹介しまーす」

樺山「…今日の授業はここまでにします……」

九庵堂「ではここで問題です！今日この授業を真面目に受けていた生徒は何人いたでしょうか？」

遊矢「いよいよデュエル実技か…。俺のエンタメデュエルはここでどれほど通用するんだろう……」

クロノス「それでは各自指定された相手とデュエルを始めるノーネ！」

遊矢「俺の相手は…沢渡シンゴ…？」

沢渡「榊遊矢ってのは君のことかい？残念だったねー、よりによって相手が俺だなんて」

遊矢（ああ……こいつか……）

遊矢「いいから始めるぞ。闘いの殿堂に集いしデュエリスト達が…」

沢渡「何言ってんだ？授業で行うのは、普通のスタンディングデュエルだよ」

遊矢「………え？」

クロノス「ちゃんと私の話しを聞いてなかったノーネ？」

遊矢「……そんな…アクションデュエルが……できないなんて………」ｺﾞｰｸﾞﾙ

遊矢「あー、やっと１週間が終わるー」

柚子「明日はお休みだけど、どうする？」

遊矢「ジャックのところに行こうと思ってるんだ」

柚子「ジャックってあの時一緒にいた、あの人？」

遊矢「うん、入学してからドタバタしてて、まだ挨拶もできてないから」

権現坂「休日を使って律儀に知人へ挨拶に行くとは……感動した！この男・権現坂も同行しよう」


――翌日

柚子「で、ジャックはどこにいるの？」

遊矢「たしか寮の近くのガレージによくいるって……」

権現坂「アレではないか？」

遊星「ん？キミ達はたしか……」

遊矢「あ、レッド寮の――」

権現坂「不動遊星殿」

遊星「こんなところにどうした？Ｄホイールに興味があるのか？」

遊矢「いえ、ここにジャックがいるって聞いて……」

遊星「ジャック、お客さんだ」

ジャック「客だと…？おお、遊矢！それとたしか…柊柚子ではないか」

遊星「この子達と知り合いなのか？」

ジャック「こいつが榊遊矢、校長に頼まれて俺が迎えに行ってやった奴だ」

ジャック「しかし俺に何か用か遊矢？」

遊矢「いや、そうじゃないんだけど…入学してからまだジャックに挨拶してなかったから」

ジャック「フ…、律儀な奴め。ならば歓迎せねばならんな。ブルーアイズマウンテンを淹れてやろう」

遊矢「あの…ここはいったい……？」

遊星「今は使わなくなった古い寮をＤホイール整備のためのガレージとして使わせてもらっている」

クロウ「なんだよ、ジャックの奴ずいぶん機嫌がよさそうだな」

柚子「きゃあ！」

遊矢「うわ、カードがしゃべった！」

遊星「こいつはクロウ、俺たちの仲間だ。もともとはブラック寮のセキュリティカードだったんだ」

クロウ「お前らの寮の入口にもあんだろ？合い言葉言わないと入れてくれないやつ…アレの同類だ」

遊矢「じゃあなんで今はここに…？」

遊星「あの寮はアウトローな奴が多くてな……。セキュリティカードなど不要だと捨てられていたところを俺が拾った」

クロウ「ま、今はここのセキュリティカードってとこだな」

遊星「なにせここは古い寮でセキュリティも旧式の物ばかりだからな、助かっている」