上条「へはははっ!! 殺してやるゥゥ!!」 (52)


多大なヘイト、バイオレンス要素あり

エロ、グロ注意

あなたの好きなキャラはほとんど酷い目に遭います




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とある路地裏


不良A「おい、いいから出すもん出せっての」

不良B「シカトこいてんじゃねえぞ。なあ?」

上条「す、すみません……離してください」

不良D「あ゙? ぶつかっといてそりゃねーだろ」ギロッ

上条「いや、あの……でも…っ」

不良C「さっさと財布出しゃ済むんだよっ!!」ドカッ

上条「ごふっ…」ズルズル

不良A「あーあー…そうやってチンタラしてっから痛い目見るんだよッ!!」

ドカッ ゴスッ ベコンッ

不良B「おらっ!! このっ!! クソがっ!!」ドスッ

パシッ

不良B「っ!?」


突如、芋虫のように体を丸めるだけだった少年の手が、不良の足を掴んだ。


不良B「なにしやがる…テメェ」


不良が足を振りほどこうにも、なぜか掴まれた足はビクともしない。

通常、腕よりもずっと力が強いはずの足なのに、だ。

不良の頭が無意識に描いていた『貧弱なガキ』というイメージが、足をつかむ少年と重ならなくなる。

さっきまでの弱々しい態度など、カケラも見当たらない。

空気が変わった。


不良A「おい、テメェ……っ」

上条「ふっ…あ゙ははははははははははふふふふははははははっ」

不良B「っ……」

上条「お前ら先に手を出しちまったぞ? なら俺がこれからどういう抵抗をしようと過剰防衛だ。俺は能力も持ってないことだしなあ!!」


スクッと、殴打されたことなんか覚えていないように少年は立ち上がった。

表情は不気味なほどケロリとしている。

自然さのカケラもない張り付くような笑みだった。


上条「その鉄パイプ、まさか俺を殺す気だったのか?」

不良C「ひっ……!!」

上条「殺人未遂だよな。OK。これで正当防衛のセンも見えてきたぜ」


上条は素早い動作で、鉄パイプを奪いにかかる。

奪われればどうなるか、不良も必死に抵抗して鉄パイプを固く握った。

上条は奪い合うことをやめ、代わりに強烈なストレートを不良の鼻筋めがけて放つ。

パンッ!! という音の後、ゴキュという気持ちの悪い感触が、たしかに上条の拳に伝わった。


不良C「ごべァッあああああああああああああああ」

上条「ストライーークッ!!」


不良の体がノーバンで吹っ飛んでいく。

上条はもう興味をなくしたように、次の相手に狙いを定めた。


不良A「あっ…ああああああああっ」

上条「なんだよ続けようぜ!! なあ!! おい!! どうしたっ!!」ゴシュッ ベコッ ガキッ ゴボッ

不良A「んんっ!!…げぼっ!!…ぐはっ!!」


殴られるたびに飛び散る鮮血が、上条の右手を綺麗に彩った。

不良Aの顔は、あっという間に誰だか特定できないモノに変わってしまう。もう声の一つも上がらない。

残る二人の不良は、息をするのも忘れてその光景に見入っていた。

そこにあるのは、常に危険と隣合わせにある彼らでも目にすることのないような、圧倒的な暴力。

殴られ続ける不良の顔が、頭の内側の水分を連想させるようなピューチュルルという音を立て始めた。


上条「はぁ…はぁ…っ。っあ゙ーーっ、疲れた」


息を荒げながら、上条はスクッと立ち上がる。

残った不良は、まるで金縛りにあったかのようにそこを動かないでいた。

けれど、ギョッとした顔のパーツのひとつひとつが、必死に恐怖から逃げようとしている。

荒い鼻息、吹き出す脂汗、焦点も合わないまま泳ぎ続ける目。

それらを目にしても、上条は笑ったまま、情けをかけることをしない。

倒れた不良の傍らから一本の鉄パイプを拾い上げると、ブンッという音と共に立ちすくんだ不良の顔を迷いなしに殴りつけた。


不良B「あっあっああああっああっ……っ!! あ゙あ゙あ゙あ゙あああああああああああああ―――ッ!?」


断末魔の叫びの後、ゴバンッ!! という頭部の弾ける音。

素手で殴った時とは比べ物にならないような血という血が吹き出した。


上条「へはははっ!! スゲースゲー!! 血の霧だこりゃ!!」


上条「んふふふんっくくくかがうふふふふひひひっ」


上条は、こらえきれないといった様子で腹を抱えて笑い始めた。

鉄パイプを真芯に浴びた不良Bの姿は、パっと見キノコのようだった。

顔のパーツが欠けたように血でぐしゃぐしゃになりながら、パンパンに膨れ上がっている。

残された不良Cは、人の頭がこんなに膨れ上がる光景を初めて目の当たりにした。

スピースピーと、かろうじて呼吸らしき音が聞こえてはいるが、生きているかと問われれば回答に困ってしまう有り様だ。

そして、次に不良Cが思ったことは、今度は誰の番なのかということだった。

恐怖が限界点を超えたように、彼の体が金縛りから覚醒する。

不良C「……っ!!」

汗か涙かわからない汁を流しながら、一目散に走った。

ツンツン頭の少年が追ってきていたら、間違いなく絶叫していただろう。

そうしなかったのは、後ろの少年の注意が、まだ死にかけの仲間に向いていたからだ。

>>10しまった不良Dだ


不良D(はぁ…はぁ…逃げろ逃げろ逃げろ!!)


不良は自らの四肢を鼓舞するように、心のなかで命令を繰り返した。

恐怖故か、体が全く思うように動かないのだ。

懸命に走っているのに、鉛のような足は前に進まない。歩くよりも遅いように感じられる。

一人逃げ出す自分が、後ろの仲間に引っ張られているような。

追ってくる少年に後ろから掴まれているような。

奇妙なほど、重苦しい感覚だった。

それでも、前に進む限り歩みを止める訳にはいかなかった。

止まれば、必ず殺される。

さっきまでの光景がトラウマとなって彼の脳裏にちらつ――――。


上条「捕まえたッ!!」


突然、彼の首根っこをものすごい力でつかむ腕が現れた。

腕には奇妙な水分がまとわりついていて、冷ややかな感触が不良の首筋に伝わる。

考えなくても、その正体がわかった。


不良D「ひっ…!! いやだああああああああああああああああああ」


不良は、もう訳もわからず腕をブンブンと振り回した。

パニックになった脳が、無意識に制御しているリミッターを外してしまったのかもしれない。

彼の腕は、本来の可動域を逸脱した動きでグルグルと回った。肩が横に割れ、嫌な音が響く。


不良D「離してええええええぐれぇぉぉ……っんん゙ん゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ」

早歩きより遅い速度で走っていた不良の体が、あっという間に力で地面にねじ伏せられる。

それから、上条は不良の右足を踏みつけた。


不良D「ああああああっああ……」


そして、カラカラと引きずってきた鉄パイプをクッと握り直した。

依然、不良の両腕は壊れたようにおかしな動きを続けている。


不良D「お願いじばふ!帰じてくあふあい!お願いじばっ!お願っ!!あっ!あっ!!帰じでっ」


上条は何も聞こえていませんとばかりに、一切手を緩めない。

握った鉄パイプを、槍投げのような握りで、高く振り上げる。


上条「もう逃げられんように、地面に足を縫いつけてやる」

不良「ごがき…?」


それから、クワッと目を見開き、思い切り不良のふくらはぎに突き立てる。

筋をいくつも突き破る感触がした。

鉄パイプの先端は平らだが、強度と振り下ろしのエネルギーによって楽々と突き刺さってしまう。


不良D「ごがァァあああぎぎぎっぎいいいいいいいいいッッ」


深々とパイプの刺さった不良のふくらはぎが、痙攣しているのがわかる。

まるで全速力で走った後のように、そのふくらはぎはガチガチに硬直し、足の指がもぞもぞと動いていた。

上条は、意識もなく震えるだけになった不良の頭を踏む。

何度もアスファルトに押し付けられ、グチャグチャの肉塊になっても、いつまでも踏みつづけた。

口の端を歪め、不気味な笑い声を響かせながら。







白井「通報を受けてやってまいりました。風紀委員ですの!」




通報の内容は、学生同士の喧嘩だった。

同僚の初春からそんな報告を受け、白井はうんざりしたようにここへ一人で急行した。

学園都市といえば、お世辞にも治安が良いとはいえない。現に、学生の喧嘩なんて事案は掃いて捨てるほどある。

けれど。

今回は、そういったレベルをはるかに凌駕していた。


白井「………ッ!!」


まず白井を襲ったのは強烈な血の匂いだった。

路地裏の地面から壁に至るまで、まるでスプレーで落書きされたかのように血が広がっていて、
それがとんでもない異臭を放っている。

思わず、息を止めたくなるほどに。

そして、それから目に飛び込んでくる凄惨な光景。

顔だけなら性別すら読み取れないような状態で転がる人体。

壁に寄りかかっている少年は、潰れた顔がパンパンにふくれあがっていた。

そして、足に鉄パイプを貫通させた男が、今まさに殺戮者の手によって葬られようとしていた。


白井「お待ち……なさいっ」


白井は、バクバクと警笛を鳴らし続ける心臓を無視して声を出した。

間違いなく、これは一介の風紀委員が関わっていい事件ではない。

警備員ですら、実弾の使用を検討するレベルかもしれない。

逃げ出したとして、褒められることはあっても責められることはないだろう。

けれど、白井は逃げ出さない。

彼女の中で滾る正義感が、目の前の少年に牙を向いていた。


上条「んあ…?誰だオマエ」

白井「風紀委員、ですの……」

白井「あなた、なにをやってますの…?」


少年は、ようやく倒れた不良の頭部から足をどけた。

どうやら完全に注意が白井へ逸れたらしい。

白井の問いに、上条は答えない。

彼は無表情で白井をジーっと見た後、ニヤッと口元を歪めた。

白井の全身に悪寒が走る。狂っていると、そう感じた。

理解のできないものとは、ヒトにとってそれだけで恐怖なのだ。


上条「くふふふふっんっくくくかがうふふふふ」

白井「何が可笑しいんですの…?」

上条「イヤ、悪ぃ、ついな。この世界ってやつは、出来損ないのクセによくできてる。お前もそう思わないか?」

白井「……問答に意味はなさそうですわね」

白井「この状況では、言い訳も聞けません」

白井「あなたを拘束します」

と、少女が言ったと同時、ふいに彼女の姿が消える。

忽然と、まるで空気に溶けたかのように。


上条「あぁ?…チッ。テレポーターか」


けれど、この程度では上条も動揺しない。

テレポート系の能力者とは、既に何度かの対戦経験があった。

突然消えたテレポーターというのは、大抵死角に現れようとするものだ―――ということを、上条は知っている。

サッと軸足を回転させて振り返る。すると、ちょうどドロップキックを放とうと現れた少女と目が合った。


白井「んな……ッ!?」

上条「見え見えなんだよバカがッ!! らァあああっ!!」パシッ


上条は再び飛ばれる前に、右手を伸ばして彼女の足首をつかみとる。

そのまま強靭な腕力で、彼女を逆さまにつまみ上げた。

ジタバタと暴れる少女のプリーツスカートの中身が惜しげもなく晒される。

露出度の高い黒のショーツは、とても中学生の下着とは思えない。


上条「おいおい、オマエ本当に中学生か…?」

白井「ッ!?///」


少女の顔が一気に羞恥に染まる。

そして、それ以上に彼女が驚いていたのは自身の能力が発動できないということだった。


白井(て、転移が―――ッ!?)


慌てて演算を続けようとする白井だが、なぜか一向に能力は発動しない。

空間移動の演算は複雑で、能力の行使には精神状態が深く関わる。

動揺や焦りで能力を発動できなかったことはこれまでいくらか白井にも経験はあった。

が、今回の場合はなにか少し違う。


上条「あーあー、本当に神様って奴はフザけてやがる。お前も今から、そう思うハメになるんだぜ」


上条は、右手で掴んだ少女の身体を乱雑に放った。

彼女の身体はアスファルトをズルズルと滑っていき、やがて5mほど先で止まる。

奇しくも、死体と呼べそうなスキルアウトの隣。血の上だった。


白井「ひっ……!! あああ…ああっ」

上条「ひひへははっ!! お前もこれからそうなんだよバーカ」


上条は、意識を飛ばしている不良の腿を踏みつけ、強引に鉄パイプを抜き取る。

二、三度振って感覚を確かめた後、風紀委員の少女に向き直った。


少女は、ジリジリと後退をはじめる。

目だけは上条を睨みつけたままだったが、彼女感じている恐怖は計り知れない。

上条もまた、一歩一歩丁寧に少女へ距離を詰める。

そして、空間移動系の弱点を的確に突く。


カーンッ!! という甲高い音がした。

上条が、握った鉄パイプをビルの壁に打ち付けた音だった。

少女の肩がビクリと震える。

空間移動系の能力者は、演算に神経を使う。驚かすことは、能力の行使を阻害するのにかなり有効な手段なのだ。


上条「ホラ逃げろ逃げろ。そのままじゃあと10歩で追いついちまう」カンッ!! カンッ!! カンッ!! カンッ!!


上条が距離を詰めるごとに、少女の方もジリジリと下がっていくのだが、距離は確実に詰まっていた。

白井は、風紀委員である前にただの中学生だ。

これだけの血を見た後、死が迫っていることを自覚すれば、動けないのは当たり前だった。


上条「お前不幸だよな」 カーンッ!!


捕食者が、追いついた。


上条「かわいそうに。どれだけ頑張って生きてきたって、最期はコレだ。神に見放されるってやつよ」


上条は、おもむろに鉄パイプを振り上げる。

対して彼女は、キッと目をつむって耐えるだけだった。

もしかしたら、どうにか転移をしようと演算を続けていたのかもしれない。

鉄パイプが振り下ろされる。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年11月11日 (火) 02:19:53   ID: 9cui_MYu

まだかな?

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