夜
理樹(今日は流れ星が見れる日らしい。小毬さんに誘われて屋上へ上がってみた)
小毬「こうして夜に屋上へ来るのも二回目だね」
理樹「うん…」
理樹(と言っても実際に足を踏み入れたのは今日が初めてという事になるけど)
理樹「小毬さんは…次はどんなお願いごとをするつもり?」
小毬「私は、皆ともっとたくさんお菓子を食べられますように、かな」
理樹「あはは…小毬さんらしいや」
小毬「うんっ。じゃあ理樹君は?」
理樹「僕?そうだな…」
キラッ
小毬「あっ、流れ星」
理樹「>>3!>>3!>>3!」
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小学生に戻りたい
理樹「小学生に戻りたい!小学生に戻りたい!小学生に戻りたい!……なんて」
小毬「わっ。凄い早口だねぇ!ちゃんと言えたかも」
理樹「だといいね。小学生…ちょうど3年生のその頃だったかな、恭介達と出会ったのは」
理樹(その時僕は知らなかった。この願いが後々僕にとって、とても大事な思い出となる事を……)
すまん、予想以上にスケールがデカい話になりそうだから今日はここまでにして話を練りたい。始まってばっかだけどto be continued
夜
理樹「それじゃあお休み」
真人「おう、お休み」
理樹(その夜僕は夢を見た。どんな内容だったか忘れたけれど微かに覚えているのは金色の髪の女の子がこちらを見ている景色だった)
理樹「ふぁああ……」
理樹「……?」
理樹(起きると知らない天井が広がっていた。昨日まで2段ベッドの下の方で寝ていたはずだったのにこれはいったい…)
理樹(とにかく起きてみようと身を乗り出して違和感に気付く)
理樹「……なんか小さくなってる!?」
理樹(僕の体は見える景色と照らし合わせると、とても小さくなっていた。腕や足が短いし今更ながら声も以前に比べ高くなっている様だ)
理樹「どうなってるんだ…なんで小さくなって……あっ!」
理樹(まさかとは思うけど思い当たる事といえば一つしかない)
理樹「もしかして昨日星に願ったのが本当になったりして…」
理樹(馬鹿げた考えだ。でも現に身体は小さいしこんなの恭介達のいたずらで出来る範囲じゃない、とにかく今は行動だ)
1.この部屋を出る
2.この部屋を調べる
(選択肢が出た場合常に一個下のレスの選択が採用される)
安価下
理樹「この部屋を調べよう、まだどういった状況に置かれているのか知らずに出歩くのはまずい気がする」
ゴソゴソ
理樹(なるほど、部屋をよく見るとここは僕が昔住んでいた家の様だ…懐かしいキーホルダーを付けたランドセルを見て気付いた)
理樹(何しろ事故に遭ってから僕はしばらく病院で過ごした後すぐに近くの叔父さんの所で移り住んだんだ、無理はない。机の上の時間割の所に2-6と書いてあった、つまり今の僕は2年生らしい)
理樹「…待てよ、つまり本当にこの頃の過去に戻っているということは…!」
「理樹、そろそろ起きなさーい?朝ご飯出来てるわよー」
ガラッ
理樹「……お、おはよう」
母「今日はあの子と遊ぶ日なんでしょう?女の子を待たせちゃ悪いわよ」
父「ほら、お駄賃だ。これで2人で疲れたらジュースでも買いなさい」
理樹(僕はこんな時どんな顔をすればいいんだろう。泣けばいいのか、笑えばいいのか。実際のところは信じられない事態のお陰で最愛の人達との再会を実感出来ず、当人達に悟られない程度は自然な態度を取れていた)
理樹(今日の僕は予定があるらしい、不審がられるのも怖いので両親と話せる喜びは後に取っておく。しかし『あの子』とはいったい誰の事だろう…さっぱり思い出せない)
父「ほらどうした?待ち合わせはいつもの公園なんだろう」
理樹「…そうだね、行ってきます」
「「行ってらっしゃい」」
理樹「……」
理樹(この街自体は叔父さんの家に近いし家の周りの地理にはまだまだ詳しい。ここに1番近い公園というと一つしか思い浮かばなかった)
公園
ガヤガヤ
理樹「着いたのはいいものの…困ったな」
理樹(僕と恭介達の交友関係はまだ無かったはずだ。だとすると以前は他に誰と遊んでいたのだろう、女の子なのは分かっているが今、この公園には沢山の子供達がいるのでどれが友達なのか分からない)
「…い…りき…ん!」
理樹「今誰か僕の事を…?」
「おーい!りきくーん!」
ギューッ
理樹「わっ!」
理樹(僕が完全に振り向く前に誰かから抱きしめられた)
理樹「い…息が……」
「あっ、ごめんね、りき君!」
理樹「いやぁ…」
理樹(どうやら目の前にいる金色の髪の子が僕の幼少の頃の友人らしい)
「じゃあ今日は何して遊ぶっ?」
理樹(どこかで見たことある様な…なかなか思い出せない。というよりも重要なことに気付いた、この子の名前を完全に忘れたということだ)
理樹「なんて言えば傷付かずに済むか…」
「……?」
理樹(しかし僕の悩みはすぐに杞憂で終わった)
「アヤっ!駄目だろう?今日は遊べないって…おや、君はよくアヤと遊んでくれているお友達かい?」
理樹「はい、そうですけど…」
理樹(彼女の親なのだろう。どうやら名前はアヤらしい……アヤだって?)
理樹「アヤ…アヤ……どこかで似たような名前を聞いたような……」
アヤ父「すまないね、せっかくここまで来てくれたというのに…」
理樹「いえおきになさらず」
アヤ父「へえ。なかなか礼儀正しい子だ!…では行こうかアヤ」
アヤ「うんっ。ばいばーいりき君!また明日ね」
沙耶『また明日ね』
理樹「そうだ…沙耶!」
理樹(かつての世界にいた一人の少女の名前を呼ぶ。そうだ、彼女も同じ色の髪をしていて似た髪飾りを使っていた。…でも気付けばあの親子は既に公園からいなかった)
家
理樹「ただいまー」
母「あら?さっき出て行ったんじゃ…」
父「それは残念だったな、それじゃあ今日は遊びに行こうか!」
理樹「いや…今日は家で3人で遊んでいたいな」
理樹(失った両親ともし再会できるなら…こんな事は今まで飽きるほど考えてきた。これまで色んなことを考えた物だけど結局最後に行き着くのは『家でゆっくり過ごす』だった)
父「そうか?まあ理樹がそうしたいと言うならば今日はそうするか」
母「外食代が浮いたかしらね」
理樹「ありがとう……お母さん、お父さん…っ」
母「どっ、どうしたの!?」
理樹(どうやらもう出ないと思っていた涙が今更流れてきた様だ。まだ色んな問題が山積みだけど、もしも本当に流れ星に願ったお陰で過去へ戻ったのだとするならば小毬さんには良く感謝しておかないといけない)
お休み
夜
理樹「おやすみなさーい」
カチッ
理樹(あれは確かに沙耶だった。特徴的な髪飾りと顔の面影…あれが偶然とはとても思い難い。でも、もしそうなら僕はあの冒険が始まる前に彼女と会っていた?沙耶はそれを覚えていたのかは定かでは無いけど謎は深まるばかりだ。そして1番の問題が残っている)
理樹「僕が事故に遭うのはいつなんだ…」
理樹(年は僕が3年に上がってすぐだった、まだ時間はあるだろう。それまでに思い出すか上手く事故を止める手立てを考えないとまた会えなくなってしまう。この時代にいつまで留まれるのか…もしかしたら戻れないのかもしれないが今はとにかく最善を尽くすのみだ)
朝
理樹「今日は日曜日か…」
理樹(カレンダーを見ると今は10月、昨日の夜から懸命に事故の日にちを思い出そうとしたがいつの間にか寝てしまった。やはりあの時代に戻らないと分からない)
理樹「でも僕は休みの日って何をしてたんだろうな…」
理樹(僕を取り巻く環境が特別過ぎるだけで過去に来たのならもっと他にやることだってあるはずなんだけど、どうしても暇を持て余す)
父「はっはっはっ」
理樹「懐かしいな…」
理樹(昔やっていたテレビが最新の物として見れるのは新鮮だ。だけど未来の画質を知っているせいで今のテレビは画質が悪く感じる)
父「なに、懐かしいだと?これは再放送では無かった様な…」
理樹「ああいや!何でもないよっ」
昼
理樹「……」キョロキョロ
理樹(手当たり次第に昔よく恭介達と遊んでいた所に行ってみたが何処にも見当たらない。もしかして僕が仲間に加わった事でこの辺りを散策していたということなのだろうか)
アヤ「りき君?」
理樹「あ…アヤ……ちゃん?」
アヤ「なにか様子が変ね?…所でりき君はこんな所でどうしたの?」
理樹(アヤちゃん、咄嗟に呼んでみたが呼称は合っている様だ)
理樹「暇だから散歩してたんだ」
アヤ「奇遇ね、私も丁度暇してた所なの。じゃあ今から2人で遊ばない?」
理樹「うん、そうだね…」
理樹(この子この年で『奇遇』なんて言葉を知っているのか…全体的に言葉もあの時とあまり変わってない様だし少し舌足らずな所に目をつむればかなり大人びているな。)
アヤ「じゃあ貴方を暇暇星人二号に名付けるわ!さあ、あそこの神社まで競争よ。ゲームスタート!」
理樹(とにかく今は一緒に遊んでいる内に素姓をなんとか聞き出さなければ…)
アヤ「いい天気ねー」
理樹「本当にねぇ。話は変わるけどアヤちゃんは…」
アヤ「さっ、休憩したし次は公園へレッツゴー!」
理樹「は、話を聞いてよっ」
理樹(こんな感じでなかなか聞けずじまいだった)
アヤ「じゃあばいばーい!」
理樹「それじゃあね沙耶さん……」
理樹(まあ時間はまだまだ沢山あるし汗らずゆっくり……)
アヤ「沙耶さん……?」
理樹「あっ」
理樹(しまった、つい口が滑ってしまった)
アヤ「どういう事よ…」
理樹(『沙耶』という名前を聞いた途端アヤちゃんは顔をみるみる内にこわばわせていく)
理樹「えっ…えっとその……」
アヤ「何故貴方がその名前を知ってるの…」
理樹(様子がおかしい。もしかしたら何か知っているのかもしれない)
理樹「後ろの穴は百戦錬磨」
アヤ「ああーーっっ!!なんでそれ覚えてるのよ!!」
理樹「………そんなまさか…」
続く
>>24
期待してます頑張ってください
>>25
ありがとう、ぜひ期待しておいてくれ!
今日は早めに再開予定
アヤ「ふっ、ふふ…っええそうよ!どうせ私は…」
理樹「い、今は自虐もストップ!それより君はもしかして中身は…」
アヤ「…お察しの通りだと思うわ。それで当然りき君も理樹君なんでしょ?」
理樹「こりゃ長い話になりそうだねえ」
アヤ「こうなったらお父さんに怒られても構わないわ、そこの公園で話し合いましょう」
夜
公園
理樹(僕らは誰も居ない公園でブランコに座りながら話した)
理樹「どこから話せばいいのか…そ、そうだ!沙耶さんは地下であの後どうなったのさ!?」
沙耶(アヤ)「いきなり呼び方変えられたら違和感バリバリ……ゴホン、私はそうね、あのあと昔の家で目を覚ましたわ。でも何故かはわかってる…」
理樹「タイムマシン…」
沙耶「そ、でもあの世界が世界だったから私はまだタイムマシンの存在なんか信じていなかったの。どうせこれも私か他の誰かが作った想像の世界の内だと思ってた。だから開き直って世界が続く限りまたやり直すのも悪くないかなーってね」
理樹(じゃあ僕がここに居るって事は…)
沙耶「ちなみに何故私がここにいるかというとあの時は言わなかったけど実は私達ずっと前に出会って友達だったからなのよ、理樹君は忘れてるでしょうけどね」
理樹「でもどうして僕はその事を覚えていないんだろう…」
沙耶「それは…私が理樹君の知らない所で離れ離れになってしまったからよ」
理樹「どういう事?」
沙耶「私は事故に遭ったの、急な土砂崩れでね」
沙耶「…って感じなんだけど……」
理樹「………」
沙耶「うわぁ…暗い雰囲気にしちゃったわね。大丈夫よ、現に私はこうして生きてるんだから理樹君が悩む必要はないってば!」
理樹(僕は彼女の事を分かっていたつもりで全く知らなかったのか…)
沙耶「さ、さあ次は理樹君の番よ!」
理樹(そうだ、僕には成さねばならぬ事があるんだ。落ち込むのは後にしなくちゃ)
理樹「うん…僕がここへ来た理由は本当に意味が分からないんだけど端的に言うと、流れ星にお願いしたらこうなったんだ」
沙耶「はあ?」
理樹「流れ星にお願いしたらこうなったんだ」
沙耶「いや聞き取れなかった訳じゃないわよっ」
理樹「君が動揺する気持ちも分かるけどこういうしかなくて…」
沙耶「それ冗談じゃないのね…」
理樹「僕も起きたらベッドの上にいたんだ、それが昨日の話。それと少しやっかいな状況になっててさ…」
沙耶「?」
理樹(僕は両親がこの頃に事故で亡くなったこと。そしてその日付を忘れたのでどう回避させようか悩んでいる事を打ち明けた)
沙耶「貴方も大変ね…」
理樹「沙耶さんは事故の日どうするの?」
沙耶「そうね、特にこれとは決めてないわ…勝手にほっつき歩かない様にすれば大丈夫だと思う」
理樹「随分とアバウトだね…」
沙耶「まー、たまたまあんな所に居ただけだからどーでもなるわよっ」
理樹「次こそ怪我しない様にね」
沙耶「ええ分かってるわ、理樹君」
理樹「沙耶…」
理樹(ゆっくりと顔を近付けた、そしてお互いの顔が重なりそうになった所で止められた)
沙耶「いや子供の姿でそれはなんか抵抗があるんだけど…」
理樹「や、やっぱり?」
沙耶「さっ、そろそろお父さんが捜索願い出す前に帰らなきゃ」
理樹「うん、また明日ね」
沙耶「ああ。言い忘れてたけど明日もう一度海外へ飛ぶわ、そして確か2ヶ月ぐらいしたら戻ってくるからそれまで再会はお預けね。私が土砂崩れに遭うのは戻ってから1週間後よ」
理樹「早く言ってよ!?」
沙耶「どうせ言う暇無かったじゃない」
沙耶「それじゃあ理樹君、元気でね」
理樹「うん。また会おう」
理樹(最後に自分は持ってないからと親の電話番号のメモを貰ってお別れになった)
部屋
パチッ
理樹(結局沙耶さんに相談しても事故回避の妙案は思いつかなかった。最終手段は事故の日まで外出しない事だけどそれは少し無理があるだろう。とにかく沙耶さんが生きてた事が分かっただけで今日は良しとする。そして夜は今日も更けていく……)
…………
……
…
続く
あと一日か二日で終わる
数週間後
理樹「はぁ…」
理樹(以前状況は変わらず。恭介達の捜索や事故の回避の案、どちらも上手くいかず焦りだけが積もる)
父「どうした理樹、何か悩んでいるのか?あっ、分かったぞ!あの子が外国へ行っちゃったからだろう」
理樹「そんなんじゃ…」
父「もしかして好きなのか?」
理樹「だから違うんだってば!」
父「じゃあなんだ」
理樹(いつの間にやら必ず答えなきゃならない様に誘導された…でも話す訳にもいかないしなあ)
理樹「じ、実は友達に女の子の格好をさせられたりして…」
父「ああなるほど」
理樹「納得しないでよっ」
父「ま、ともかく理樹にはまともな職に就いて正義の心さえ持ってくれれば充分だ」
理樹(……)
母「そろそろ出かけましょうか」
理樹「だ、ダメだよっ」
父「なんだ理樹…どうして最近出かけたがらないんだ?」
理樹「とにかく今はダメなんだ…お願い!」
母「いつならいいの?」
理樹「それは……分からないけど」
母「…まあいいわ、こういうのは家族皆で楽しまないと意味がないものね」
父「そうだな。じゃあ今日は麻雀するぞポ麻雀!」
母「だからそういうのは知らないってば」
更に一ヶ月後
朝
理樹「………」
父「おい理樹!キャッチボ……寝ていたか」
母「ね…今日は2人で出かけないかしら?起こすのも可哀想だし」
父「当分起きそうにないしなぁ。たまには良いかっ理樹の好きな物も買ってきて来よう」
母「それがいいわ。一応置き手紙も書きましょ」
理樹「……はあぁぁ…良く寝た…」
理樹「………」
理樹「……お母さん?」
父「やっぱ、起きたら文句言うと思うか?」
母「大丈夫よ、あの子が何に怯えてるのか知らないけど私が普通に帰ってきたら少しは安心するだろうし」
父「そういうものか…」
キィィィ
父「なっ!!」
母「キャアッ」
ガシャーンッ
『2人で出掛けて居ます、様があれば家の電話から携帯へかけて下さい。母より』
理樹「あ……ああっ!!」
理樹(まずいぞ、これでもし二人が死んでしまったりなんかしたら僕は間抜けだ。なんで呑気に寝てたりしたんだ、こうなる事も分かってるいたはずなのに!)
父「……」
母「……」
ポタ…ポタ……
「事故だー!誰か救急車を呼んでくれーぇ!!」
理樹「と、とにかく電話…!」
プルルル プルルル ガチャン
理樹(……出ない。最悪のシチュエーションが脳裏をよぎる)
プルルル
理樹「……!」
理樹(コールが鳴った、出てきたのは優しそうな男の人の声だった)
男「こちらは総合病院ですが直枝さんの御宅ですか?」
理樹「は…はい、そうです!」
男「君は…そうか彼らの子供……」
理樹「……」
理樹(聞きたくない。しかしそういう訳にもいかない)
男「君の他に大人の人はお家にいるかな?」
理樹(急に子供をあやす声になったが事情が分かっている僕はそれが更に不安を煽る材料になるのは当然の事だった)
理樹「いえ…いません……」
男「分かった。それじゃあ君にそのまま伝えるよ。実は…君のお父さんとお母さんが事故に遭ったんだ」
理樹(直接死を伝えないのは彼なりの優しさか、それとも声の幼さからそれをまだ自覚出来ないと判断してなのか)
男「今から言う事をやってほしい。いいね?」
理樹「はい…」
理樹(男の人はテキパキと要領良く僕に手順を説明した)
男「まず、今からその電話で誰でもいいから知り合いの人に事情を話して○○総合病院へ連れて行ってくれる様に話すんだ」
男「そして病院へ付いたら直ぐ手前に受け付けがあるからそこでお兄さんは待っているよ」
理樹「…分かりました」
男「……」
ガチャン
理樹(電話の向こうではさぞかし聞き分けの良さに驚いているだろう。電話を切った後、病院に着くまでのことはショックのあまり覚えていない)
病院
理樹「………」
叔父「お兄さんは!2人はどうなんですかっ!!」
男「直枝さんですね?……そして君が電話の子だ」
理樹(彼はしゃがんで僕の目を真っ直ぐ見つめた。一番に僕の心配をしてくれているらしい、次にその姿勢のまま叔父さんへ顔を向けた)
男「直枝さん、正直今の状態はかなり厳しいです…2人は今なんとか持ちこたえていますがこの先は2人の精神力に賭けるしか……」
叔父「そんな…た、助かる見込みは…」
理樹「ええっ!?」
男「?」
理樹(どういうことだ…確か僕が乗っていた時2人は『即死』だった。それがまだ生きてるだって?)
男「分かるよ君は…」
理樹「り、理樹です!」
男「理樹君。辛いのは分かるけどこれから2人が助かるのは情けないけどほぼ運が頼りだ、君もお父さんとお母さんのためにお願いするんだ」
手術室前
理樹「………っ!」
理樹(お父さんとお母さんが少なくとも今は生きてる!もし失敗すると最後に会えるチャンスかもしれない…でも医者の彼らの邪魔もしたくはない。それから色々考えたこど今は祈る事しか出来なかった)
叔父「理樹君…」
理樹(叔父さんが僕を優しく抱擁してくれた。背中越しにどくどくと早い心臓の音が聞こえる、彼もまた僕と同じ様に心の底から心配しているのだ)
理樹「…………はっ!」
理樹(ピークに達した緊張のせいでいつの間にか寝ていたらしい…誰かが毛布を取ってきてくれたらしい。)
男「起きた様だね」
理樹(後ろから男の人の声が聞こえた。叔父さんは居なかった)
理樹「あの…」
理樹(僕が最も気になる質問をぶつけようとしたが言う前に彼の穏やかな顔で小さく安堵した)
男「うん、成功したよ」
理樹(その時の僕の喜びようといったら!例えるなら罪人が処刑台に立たされた瞬間に無罪放免されたのに等しい気持ちだった。知っている限りの神様に感謝の祈りを捧げたい気分だ)
理樹(しかし喜びと同時に新たな問題も浮き彫りになった)
理樹(僕が今回行動したのが周りに回って親が死なずにすんだ、未来は変わったのである。しかしあれ程僕が止めても2人は車で出かけ、事故にあったということは僕がこの時代に来る前の世界とある程度結果が収束するという事だ。そうなると彼女は……)
理樹「沙耶は本当に無事に事故を回避出来るのか!?」
理樹(日付を見ると丁度沙耶は日本に帰ってきているはずだ。なんとかしてそちらへ向かわないと!)
理樹「その前に…僕の両親は今どこへ?」
男「ああ、もちろんまだ数週間は様子をみたいからここにいるよ。場所は3Fの106号室だよ」
理樹「ありがとうございますっ」
病室
理樹「お父さん……お母さん…」
父「………」
母「………」
理樹(2人はまだ寝ているらしかったがその方がありがたかった。何故なら今の顔はみっともなさすぎてとても人様に見せるものではなかったからだ)
理樹「……行ってくる、好きな子を今度こそ助ける為に」
ガチャン
父「………ふふっ」
母「………貴方も起きてたの?」
外
理樹(外はもう朝だった。あの男の人からはおにぎりとペットボトルのお茶を渡された。あんなに優しい人に出会えたのは幸運だった)
理樹「はぁ…でも困ったな……伯父さんに沙耶の事を説明なんて出来ないしそもそも何処かさえ…」
「なー、見ろよ。あそこにいかにも『なかまになりたそうにこちらを見ている』って顔のやつがいるぜ!」
「いや…まず顔すらこっちから見えないだろ……なんだ、また人見知りか?そろそろ治さないとこれから先どうなるか」
「……っ」
「まあみんな、今はそこの男の子へむかうのが先だ!」
理樹(どこからか懐かしい声が聞こえる。そうか、どこまで探しても見つからなかったがやっと分かった。彼らとは昔もここで出会ったんだ!)
恭介「強敵があらわれたんだ、きみの力がひつようなんだ!」
理樹(そう彼らは訴え、僕の名前を訊いた)
恭介「きみの名前は?」
理樹「…直枝、理樹」
恭介「よし、いくぞ、りき!」
理樹(一方的に手を掴んで,僕を引きずるように走り出す)
「君たちは?」
理樹(転ばないように必死についていきながら、そう訊く)
恭介「おれたちか?悪をせいばいする正義の味方。ひとよんで…リトルバスターズさ」
理樹「ならさ…僕も助けてほしいんだ、今生きてる中で一番困ってるんだ!」
恭介「そんなにかっ。ならまずりきから助けよう!いいなみんな!」
真人「おーっ!!」
理樹(今の彼らは僕よりも幼く、世間に疎いが皆と力を合わせればどんな事でも解決してしまう自信があった)
続く
>>34は見なかったことにしよう、OK?
理樹(皆には『近々このままでは必ず遠くにいる友達が事故に遭う為助けに行きたい』という旨を伝えた)
恭介「そうだな…まずはその女の子がいる場所をどうにかしてみつけないといけない」
真人「なんかしゃべれる方法とかねーのかよ?」
理樹「うーん……あっ!」
電話ボックス
真人「よっと…高さは大丈夫か?」
理樹「うん、ありがとうっ」
理樹(そういえば以前沙耶さんから連絡先をもらっていたんだった。早速肩車してもらって公衆電話から番号を掛けてみた)
理樹(電話は3コール目で繋がった)
沙耶父「もしもし?」
理樹「あっ、あの…」
沙耶父「その声は……確かアヤのお友達かい?」
理樹「そうです!」
沙耶父「うんうん、アヤがこの番号を教えたんだろうね、所でどんな要件かな」
理樹「今日本に帰ってますよね」
沙耶父「その通り。よく分かったねぇ…」
理樹「今そこはどこですか?」
沙耶父「君のいる県と同じだよ。丁度○○の~~」
理樹「はい、ありがとうございました!」
理樹(なんとなく予想はしていたが沙耶さん達がいる場所は僕らが修学旅行のバスで事故を起こした所に近かった)
沙耶父「ごめんね、アヤに代わってあげたいんだが今生憎お風呂に入ってるから、もし良ければ家の番号さえ教えてもらえたら後でかけ直そうか?」
理樹「ごめんなさい。今は時間が無いんです…」
沙耶父「そうか、まあこれが終わったらまた会えるからね。その時また」
理樹「いや、多分今から会いに行きます」
沙耶父「何だって!?」
恭介「で、なんだって?」
理樹「○○って場所なんだけど…」
謙吾「知らないな…」
理樹「いや、大丈夫。僕が知ってるよ、ただ少し遠いけど」
真人「どんぐらい遠いんだ?」
理樹「歩いて行ったら一日が終わるぐらいかな」
真人「じゃあ走っていこうぜ!」
鈴「こいつばかだ!」
理樹(鈴が初めて口を開いた)
理樹「困ったな…あそこはバスも通ってなさそうだし……」
恭介「ふっ、まかせなりき。俺がいい方法を知っている」
理樹「ええっ?」
恭介「赤信号だ!今だ、行け真人っ!」
真人「よし来た!」
運転手「~~♪」
真人「あ、あぁ……」バタリ
運転手「ど、どうした!」
理樹(道路で赤信号を見計らって真人が車の前に倒れた。それを見た運転手はドアを開けて駆け寄る)
運転手「何があったっ」
恭介「さわらないで!こいつはもう長くない。だがあそこの病院で一生を終えるつもりもないから脱走して、せめて死ぬ前に恋人の元へ行きたいんだ!」
理樹(そう言って恭介はさっき僕が出てきた病院を指差す)
運転手「そ…そんなドラマチックな事があっただなんて……。よし!このおじさんがその場所まで連れて行ってやる!!」
真人「おお!そりゃマジか!」ガバッ
運転手「大マジだ!さあ乗れ!」
理樹(まさかこんなふざけた作戦が間かなり通るなんて…)
荷台の中
真人「こんな面白い事は生まれて初めてだぜ!」
謙吾「こんな冒険をするとはな」
恭介「何か物足りないな…」
鈴「…?」
恭介「そうだ!作戦名だっ!」
理樹「ミッションってこと?」
恭介「ミッション……そう、これはミッションだ!この作戦の名前を今考えた。作戦名オペレーション三千里!」
理樹「尋ねるのは母じゃないから!それと作戦名とオペレーションって意味が被ってるよっ」
恭介「ありゃ、そーなの?」
真人「期待のつっこみ役だなこりゃ」
恭介「まあいいお前ら……ミッションスタートだっ!!」
運転手「さっ、連れてってやんな坊主」
恭介「恩は忘れないぜおっちゃん!」
理樹(そしてしばらく見渡すと工事の看板が見えた。あそこに沙耶がいるはずだ)
恭介「行くか…」
理樹「うんっ」
saya
沙耶(今日を乗り切れば理樹君に会える…心配無いわ、ただ家に篭っていればいいんだもの。楽勝よ)
沙耶父「じゃあ行ってくるからね。…ああ、そういえばさっき理樹君から電話が来たよ」
沙耶「えっ、それ本当!?」
沙耶父「嘘を言ってどうするんだい?あの子は今は時間がないからかけ直せないと言ったがすぐまた会えるよ」
沙耶「それって…」
沙耶「ああ、次に住む所は昔と変わらず以前の町だよ。不動屋さんがいい所を探してくれたんだ、今度こそずっとそこで暮らせるから……普通の女の子には少し遅い話だけどね」
沙耶(お父さんは少し悲しそうな顔をしたので私はイスに立って頭を撫でてあげた)
沙耶「そんなことはないわよお父さん、私も色んな所に行けて楽しかったもの!そらにまた理樹君に会えるだけでもう充分だわ」
沙耶父「ふふ…もう充分だなんて子供に言わせてはいけないんだけどねぇ。自慢の娘を持ったよ」
沙耶「もー褒めたって何も出ないわよっそれより仕事に遅れちゃうわ」
沙耶父「おお、もうそんな時間か…」
沙耶(そう言ってお父さんはドアから出て行った)
沙耶「でもやる事がないと暇ねぇ…またスクレボでも読んで過ごそうかしら?もう見ずに音読出来るぐらいだけど無いよりマシでしょ」
沙耶「………」
沙耶「……」
沙耶「…」
沙耶「無い!」
沙耶(プレハブに無いって事は……そう、現場指揮の人とお父さんが話し合ってた部屋にあるに違いない。あの時は変な所をさまよってたけど5Mくらいしか距離は無いし大丈夫よ、事故に遭う心配はない)
現場
沙耶父「あっ…こんな所にアヤの雑誌が…」
指揮「ははあ、あの女の子ですな!あの子は将来綺麗な子に育ちそうだ。所でそれはお気に入りの本で?」
沙耶父「はい。いつも持ち歩いているんです。ただ内容が少年向きなのが気になりますが」
指揮「いいじゃないですか!でもあの子はそれじゃあ暇なのもあって取りにくるのでは…」
沙耶父「多分そうかもしれませんね……おっ、本当に来た」
指揮「賭けは私の勝ちですねっ」
沙耶父「した覚えは無いですよ…」
指揮「ジョークですよジョーク!」
沙耶「お父さんー!」
沙耶父「おおアヤ。探し物はこれだろう?」
沙耶「な、なんで分かったの!?」
指揮「大人はなんでもお見通しなんだよ」
沙耶「私だってもうすぐ大人よ…まあいいわ。とにかく帰るからっ」
沙耶父「うん、気を付けて。この天気だとどうなるか分からないからね」
沙耶「はーい!」
指揮「元気がいい」
沙耶父「……そういえば理樹君はここへ来ると言ったがあれはなんだったんだ……アヤに知らせておかなくても良かったのか」
ザァァァ
沙耶「うわぁ…急に天気がヤバくなって来たわ……これじゃ帰るまでに土砂降りね」
沙耶(濡れてグズグズになったらいけないから本を服の中に入れようとした所で突風が吹いた)
沙耶「キャッ!?」
バサバサッ
沙耶「あっ…!」
沙耶(スクレボが風に飛ばされてしまった。幸いページはバラバラにはなってない様だけどかなり遠くだった、でも方向は分かるので探してみる。それほどあの本は大切な物。だってあれが無ければ理樹君と出会えなかったかもしれないから)
沙耶「はぁ……はぁ…見つけた」
沙耶(草木を掻き分けてやっと辿り着いた。これで一安心、早く部屋に戻らないと…)
ドドドド
沙耶「なに…この音は……?」
沙耶「……っ!!」
沙耶(その時全てを悟った。今いる場所が前と同じ事故に遭った所だったこと、運命は避けようが無いこと、私は今度こそ終わりだということを)
沙耶(目の前に土砂が押し寄せてきた。そこからは一瞬だった、土は私を激しい力でぶつけ、私の気は遠くなり、もうどうすることも出来なかった。しばらく呼吸も出来ずただ流れに身を任せるしかなかった…)
沙耶(次に意識を取り戻すと私は横に倒れていた。容赦無く雨は降り風は吹いて徐々に熱を奪ってく。多分もし私が本を取りに行かなくてもこうなる事は必然だったんだと思う。これから私はどうなるんだろう…もしかしたらまた彼らの世界に入ったりして……なんて甘いかな)
「…さ……ん……!」
沙耶(私は既に目を閉じていた、助けが来る事はないと知っていたから。しばらくすると体が暖かくなった、どうしてだろう…これが死んじゃう前兆なのかな)
「…い……やさん!」
沙耶(誰かの声が聞こえる…すると体が一人でに持ち上げられた。誰だろう、怖かったけどゆっくりと目を開けてみた)
理樹「沙耶さん!!」
沙耶「理樹……君?」
理樹「沙耶さん!!」
沙耶「理樹……君?」
理樹(何度かの呼びかけでようやく目を開けてくれた。でも体は酷く衰弱し切ってるようだ)
沙耶「なんで私助かったの……なんで理樹君がここに?」
理樹「君のお父さんに場所を聞いたんだ!そして着いてから崩れそうな所を聞いてここまで来た、皆で手分けしてやっと見つけたんだ…っ」
沙耶「皆…?」
恭介「ふっ、礼はいらん」
真人「にひひ…」
沙耶「…なるほどね」
理樹「…自身の運命は変える事が出来ない…でも僕ら第三者が行動する事によってそれは止められたんだ」
沙耶「じゃ…感謝しなきゃね……」
理樹「……っ…」
沙耶「…なに泣いてるのよ…みっともないわ」
理樹「だって…ほっとしたら急に…っ!本当に良かった…良かった……!」
理樹(もう一度キツく抱きしめた。そうしないとまたふっと居なくなってしまう様な気がして。…もう僕の顔は何で濡れているのか分からない)
謙吾「ロマンチックだな……」
恭介「俺も恋をするならあんな感じがいいな…」
理樹(そろそろ僕達は沙耶を背負って帰ることにした)
沙耶「あ…スクレボ……」
理樹「えっ?」
沙耶「ううん、なんでもない。もういいわ」
理樹「?」
…………
……
…
病室
沙耶「まさか貴方の両親と同じ病院になるなんてね」
理樹「まあ総合病院だし峠さえ越せば家にちょうど近い所へ行く事になるよ」
真人「そういやお前の名前ってアヤじゃなかったか?なんでりきはサヤって読んでんだよ」
理樹「い、いやぁ…ははなんていうかその…コードネーム?」
真人「マジかよかっけぇぇ!!俺にも付けてくれよりきっ!」
謙吾「俺が付けてやろう。コードネーム【ばか】」
真人「ただの悪口じゃねえか!」
恭介「………」
理樹「あれっ…恭介何読んでるの?」
恭介「ん?ああこれか…実はアヤを助けた時に見つけてな、これがまた面白いんだ」
理樹(恭介の持っている本は水を吸って少しボロボロになった漫画だった)
沙耶「見つけた……?ああーーっ!!それスクレボじゃない!返してよっ!」
恭介「もしかしてお前の本だったのか?じゃあ俺に感謝しなくちゃな」
沙耶「するから返してってばっ」
恭介「まあ待て、今いい所なんだ。読み終わったら返してやるよ」
沙耶「このぉーっ!」
理樹「わっ、まだ大人しくしてなきゃ!」
理樹(この話はこれで終わりだ。このあと僕は元の世界に戻れたのか、はたまたこちらの世界で居続けたのかは皆の想像にお任せする。ただ僕はこの一連の体験によって奇跡という物を信じざるを得なかったのである)
終わり(∵)
既に依頼出しちゃってたぜ☆なのでせめて次回予告風に次に建てるスレを紹介
次回予告
ぺーぺぺぺーぺぺぺー
理樹「恭介が恋愛!?」
真人「相手はえーと…かーちゃん先輩らしい」
理樹「本当に誰なんだ…」
真人「まあ誰であろうと俺達は応援するのみだぜっ!」
理樹「次回、『真人「弟一回!恭介の恋を成就させてやろうぜ選手権っ!!」』ミッションスタートだっ」
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