闘牌シーンは適当です。
…闘牌をしっかり書いたことがあるのかって?
あなたは取ったこともないノーベル賞の授賞式の記憶がありますか?
てなわけで脳内補完よろしくお願いします。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413778513
昨日の決勝は凄かったなー。特に大将戦のオーラス、ダブリー宣言牌を槓しての嶺上開花、からの四連続槓で四槓子…役満の責任払いで奇跡の大逆転。
宮永咲やったっけ、あの人外チャンピオンの妹だけあるわ。あれもヒトやないかもしれんなー。
明日からインターハイ個人戦が始まる。うちはその選手、北大阪代表(1位)、荒川憩。
この(1位)っての大事やで、園城寺さんとか江口さんとか清水谷さんより上やからな。北大阪の看板背負ってるのはうちや、三箇牧のみんなの期待も背負っとるから、無様な闘牌は出来んっちゅーわけや。
今日はうちの練習のために団体三位の阿知賀のみんなが付き合ってくれるちゅーんで、待ち合わせの場所に向かっとるわけ…なんやけど…
咲「うう…迷っちゃったよぉ…ここどこ…?」
…なんかおる。いやな、あの子が悪い子じゃなさそうなのは見ればわかんねん。セリフからしてただの迷子なのも分かる。それやったら助けてやればええんや。別にうちは人見知りでもないし。
けどな、ごっつ嫌な予感がするんや。あの子本人かもしれんし、周りかもしれんけど、絶対関わったらアカンって本能がビシビシ警告鳴らしとる。
咲「えっと…さっきあの宅急便の車のほうから来たから…あっち…あうっ!?」ドテッ
…転んだな。思いっきり膝こすりながら。てゆうか、宅急便の車を目印にすんな。
憩「本能は関わるなって言っとるけど、怪我人助けろってのもうちの本能みたいなもんなんよ…すまんな、うちの本能」
鞄の中に入っている救急箱を開き、消毒液と包帯を取り出す。
咲「あうう…痛いよぉ…」グスン
憩「大丈夫か?ちょっと見してな…うん、ただの擦り傷やな。すぐ済むで」
この程度の怪我なら慣れたもの。ちょちょっと消毒してパパッと包帯巻いて一丁上がりや。
憩「ほい、これで大丈夫や、気を付けてな」
咲「あ、ありがとうございます…えっと…」
憩「荒川憩やで、宮永さん」
咲「あ、ありがとうございます荒川さん…でも、どこかでお会いしましたっけ?」
憩「あんたのこと知らん奴なんかおらんよ、昨日の決勝ですっかり有名人やで」
さあ、手当が済んだらさっさと逃げるで。怪我人だから助けたものの、本能は最大音量で警報鳴らし続けとるからな。
咲「あ、あの…手当までして頂いた上でこんなお願いするのも厚かましいんですけど、私、道に迷ってしまっていて…」ウルウル
…いや、そんな目で見んといてや。うちそういうの弱いんやから。
咲「交番か、待ち合わせの場所まで案内してもらえませんか?」ウルウル
ダメや、関わったらアカン。てゆうか、これ、あの人外の妹やん。そりゃ本能も警報鳴らすわ。
憩「…待ち合わせってのは、どこや?」
おい、なに言い出すねん大ボケ!こいつはヤバいっていっとるやろ!
意志と行動がバラバラになってるうちをよそに、うちの言葉を聞いた宮永の泣きそうな顔がみるみる笑顔に変わっていく。可愛い。
咲「えっと…たしか荒川病院っていうところです。そこで、友達と待ち合わせしていて…」
…目的地まで同じかい、なんやこの偶然…あ、いや、そうか、穏乃ちゃん達の幼馴染ってのが清澄に居るって話やったなそういえば…
憩「それなら、うちもそこに行くとこや、ちょうどよかったな」ニコッ
咲「ほ、ほんとですか!?やったあ!」
憩「ほないこか。歩けるか?」
咲「あ、はい…いたた…」
多少は痛むみたいやけど、歩くのに問題はなさそうやな。
咲「あ、あの…人ごみではぐれたら怖いので、手、繋いで良いですか?」
憩「ええよ、ほれ」スッ
咲「えへへ、ありがとうございます。憩さんって優しいんですね」ギュ
…いきなり下の名前で呼ぶんかい。人懐っこい子やなあ…
憩「着いたで」
荒川病院。ここで働いてる親戚に泊めてもらう代わりに、診療やらなんやら手伝ったり、患者たちと麻雀打ったりしとる。
よく聞かれるけど、苗字がたまたま同じだけで、経営者とは全く関係ない。そもそもうちは北大阪代表やっちゅーねん。東京に親戚が経営しとる病院があるわけないやろ。
咲「ありがとうございました、本当に助かりました」
憩「さて、穏乃ちゃんたちはもう来とるはずなんやけど…」
咲「え?穏乃ちゃんって、高鴨穏乃ちゃんですか?」
憩「そうやで~。宮永さんと決勝で打ってた穏乃ちゃんやで~」
咲「ふえっ!?な、なんで穏乃ちゃんと憩さんが!?」
憩「奈良と大阪の代表が知り合いなんは珍しくないと思うで」
咲「ええっ!?憩さん、大阪の代表なんですか!?」
ホンマに知らんのやろな…うち、これでも去年は一年にして準優勝したそこそこの有名人のはずなんやけど。
憩「去年はお姉さんとも打ったで、ぼろ負けしたけどなー」
咲「うう…なんで最初に言ってくれないんですかあ…」
憩「自分から名乗るようなことでもないしな~。聞かれてもいないのに語り始めたら自慢してるみたいやん?」
咲「あ、そっか…」
さて、宮永さんは悪い子やなさそうやし、このままダラダラ会話するのも悪くないんやけど…うちにも用事があるからな
憩「で、穏乃ちゃんとの待ち合わせがあるから、そろそろ手え放してもらってええかな?」
そう、さっきから手を繋いだままで動けない。流石に病院の中に手を繋いで入っていくのは恥ずかしい。
『…かすかに咲さんの血の匂い…まさか、咲さんに危機が!?』ダダダダッ
…なんかえらい勢いで病院から出て来たな。なんか異様な雰囲気やけど、ここ、精神科はないで?
咲「あ、和ちゃん」
和「咲さん!?どこか怪我をしたんですか?誰にやられたんですか!?それよりなによりまずは手当を!」
憩「手当ならもう済ましたで。じゃ、あと任すわ」
…こいつや、うちの本能が鳴らしてた警報。関わったらアカン。ここでトンズラさせてもらうで。
咲「あ、憩さん…」
和「なるほど、それで、転んだところを助けて頂いて、偶然行き先が同じだったと?」
咲「うん、あと私のことも知ってるみたいだからどうしてかなって思ってたら、憩さん、大阪の代表だったんだよ!びっくりしちゃった!」
和(…咲さんのことを知っていた…だとすると話は早い。咲さんが転びやすい路地に迷い込むようなんらかの手段で気づかれぬうちに誘導し、転んだところを助けてお近づきになろうとしたに違いありません。咲さん可愛いですし。救急箱をあらかじめ持ち歩いていたのが何よりの証拠。行き先が同じというのも都合がよすぎます…ここに来たのは私が穏乃たちと別れるのがここの予定だったから、ゆえに偶然の一致は限りなく0に近い確率でしかありえません。病院であれば目印にもなりやすく、咲さんでも自力でたどり着けると判断したのが甘かった。悪意を持って咲さんを誘導する輩がいることを失念していました、次からは気をつけねば。なんにせよ、荒川憩、要注意です)
(この間3秒)
咲「憩さん、綺麗だし優しいし、麻雀も強いんだね。憧れちゃうなあ…」
和「」ブチッ
和(咲さんネットワークシステムにアクセスします)
照「淡、あれは仕方なかった。三連覇なんかよりも私は淡の方が大事だから、泣き止んでほしい」
淡「うう…でも、でもぉ…」グスグス
(咲さんネットワークシステムにアクセスします)
照・淡「「!?」」
照(何事だ、原村。咲ちゃんネットワークシステムは緊急用だぞ!)
淡(え?なにこれ、直接脳内に?え?)
(新規会員大星淡を確認しました…それはさておき、緊急です。この音声をお聞き下さい)
『憩さん、綺麗だし優しいし、麻雀も強いんだね。憧れちゃうなあ…』
照(…これは…)
淡(…サキーの声?)
(私の記憶の中の音声を再現しました。聞いてのとおり、緊急事態です。決起を求めます)
白望「個人戦ダルい…」
エイスリン「」カキカキ
白望「塞と胡桃を差し置いて出るんだから頑張らなきゃダメって言われても、ダルイものはダルイ…」
豊音「凄い人たちと一杯打てるよー!」
塞「いや、ホントに頑張ってよ?シロはほっとくと一回戦で負けた方が試合少なくてだるくないとか言い出すから」
胡桃「ほら、シャキッとする!」
白望「個人は明日からだから、それまでダレていたい…」
(咲さんネットワークシステムにアクセスします)
豊音「!?」
豊音(なんだろ?新規会員の承認とかなら対面でやるのが基本って言ってたし…緊急事態!?)
白望「…どうしたの、豊音?」
豊音「ごめん、少し、静かにしてて…」
塞「な、なんなの二人とも急に怖い顔して…」
白望「…私は、豊音の様子がおかしいから気になっただけ」
(新規会員大星淡を確認しました…それはさておき、緊急です。この音声をお聞き下さい)
豊音(新規会員はついで…やはり緊急?)
『憩さんって、綺麗だし優しいし、麻雀も強いんだね。憧れちゃうなあ…』
豊音「」ブチッ
(私の記憶の中の音声を再現しました。聞いてのとおり緊急事態です。決起を求めます)
豊音「」ゴゴゴゴゴゴゴ
エイスリン「ト、トヨネ…?」
豊音「…どうやら、負けられない理由が出来ちゃったみたいだよー。ちょーキレたよー」
白望「…ダルそうな予感がする…」
塞「豊音がこんな怒るなんて…何があったの?」
豊音「…ごめん、話せない。けど、私にとってちょー大事なことだよ」ゴゴゴゴ
まこ「いやー、やっと肩の荷が下りたわい」
久「こっちはまだ肩の荷背負ったまんまだっての。美穂子ったら辞退して私に個人戦の出場権を譲るなんて…そんなに私を魔物の中に放り込みたいのかしら?」
(咲さんネットワークシステムにアクセスします)
久(…和?確か今は咲と待ち合わせしてるはずだけど、緊急かしら?)
(新規会員大星淡を確認しました…それはさておき、緊急です。この音声をお聞き下さい)
『憩さん、綺麗だし優しいし、麻雀も強いんだね。憧れちゃうなあ…』
久(やっぱり咲の声は癒されるわね…最初の部分を私の名前に変えて永久保存したいわ)
久「それはさておき、負けられない理由が増えたわね」
まこ「は?」
(私の記憶の中の音声を再現しました。聞いてのとおり、緊急事態です。決起を求めます)
久(ええ、本来ならなかったはずの機会、巡って来たのは咲と私を結ぶ運命の糸の導きよ。荒川憩…潰すわ!)ゴッ
まこ「ひ、久…?わし、なんか不味いこと言ったかのう?」アセアセ
漫「爆発したけどあんなんどうしようもないですわ…」
洋榎「ま、宮永相手じゃしゃあないわ。うちが竹井に稼ぎ負けたんが敗因や、気にすんな」
恭子「いえ、主将は十分稼ぎました。どう考えても私が一年ども相手に何も出来へんかったのが敗因ですわ」
(咲さんネットワークシステムにアクセスします)
漫「うちのデコに落書きばっかするから罰が当たったんですわ」
恭子「…」ピクッ
(新規会員大星淡を確認しました…それはさておき、緊急です。この音声をお聞き下さい)
漫「あ、あの…末原先輩?なんか反応してくれんと…」
『憩さん、綺麗だし優しいし、麻雀も強いんだね。憧れちゃうなあ…』
恭子「…ええ度胸や…ぶち殺したる」ゴゴゴ
洋榎「きょ、恭子!?落ち着き!いくらなんでもそこまでキレんでもええやろ!?」
(私の記憶の中の音声を再現しました。聞いてのとおり、緊急事態です。決起を求めます)
恭子「ええで、前々から気に食わんかったんや。二年のガキが、徹底的に潰したる」ゴゴゴゴゴ
漫「ひ、ひいいいっ」ガタガタ
洋榎「き、絹!代行!由子!誰でもええから来てくれ!恭子が切れた!うちじゃ止められへん!」
衣「ふむ…昨年のMVPとして、欠員が出た場合は個人戦に特別枠で出場できるのか…」
(咲さんネットワークシステムにアクセスします)
衣(ノノカ?どうしたというのだ?)
(新規会員大星淡を確認しました…それはさておき、緊急です。この音声をお聞き下さい)
『憩さん、綺麗だし優しいし、麻雀も強いんだね。憧れちゃうなあ…』
衣「ほう…?」ゴゴゴゴ
(私の記憶の中の音声を再現しました。聞いてのとおり、緊急事態です。決起を求めます)
衣「言われるまでもない。衣に麻雀のなんたるかを教えてくれた咲。その貞操の危機だ。ここで立ち上がらずして何のための力か?」
和(…大星さんも、お義姉様が説得してくださるでしょう。ベストメンバーですね)
咲「えへへ、個人戦で打てるといいな~」ニコニコ
和「そうですね、個人戦で、打てるでしょう、きっと…」
和(我々SNSのメンバーにボコボコにされた無様な荒川憩を見て、咲さんの洗脳が解かれた後に、ですがね)
和(そうそう、衣さんが出場するためには欠員の発生が必要です…明日までに手を打たねば…)
咲「たのしみだなあ…あ、その時は改めて今日のお礼をしないと…」
?「う、うん、ここだよな。…だ、大丈夫、阿知賀に敗れた晩成のエースで奈良県個人一位たる私が、阿知賀の部長である鷺森に全国三位おめでとうって言いに来るのは自然なこと。…さ、鷺森なら、個人戦頑張ってって、言ってくれるよな?」
和(…咲さんは今、こちらを見ていない。二秒あれば十分ですね。幸い、ここは病院です、大事には至らないでしょう)ニヤリ
憩「おっしゃ、うちの三連勝やな~」
穏乃「やっぱり憩さんは強いですね」
憩「ふふん、もっと褒めてもええんやで~?」
宥「憩ちゃんの打ち方、あったかいよね」
玄「…私のドラが取られたのです」グスン
憩「ああ…ごめんな玄ちゃん。一個だけやから堪忍してな」
バタン
灼「…ただいま」
憧「命に別状はないけど、利き手が折れてて個人戦には出られそうにないって…」
憩「…そっか、小走さんと近畿大会の時の決着つけたかったんやけどな」
灼「誰があんなこと…許せな…」ギリッ
憩「監視カメラの死角やったみたいでな、カメラでとらえきれん速さで動く影が映っただけやった…」
穏乃「…憩さん、小走さんの分まで、頑張って下さい!」
憩「…せやな。負けられん理由が増えたわ。ただでさえ三位の高校全員で練習付き合ってもらっとるのに、荷が重いわー」
宥「こんなことするようなあったかくない人に負けないで。応援してるから」
憩「最善は尽くしますけど、結果までは保証できませんわ」
憧「ダメ、絶対勝つ、いいわね?」
憩「無茶言うなや…照さんとか出て来るんやで?」
玄「ひうっ!?てるさんこわいてるさんこわいてるさんこわい…」
宥「大丈夫だよ玄ちゃん、怖くない怖くない」ナデナデ
憩「…出来るだけのことはしますわ。相手が誰だろうと、負ける気はあらへんし。ただ、結果の保証までは出来んってだけや」
灼「お願い…私のボウリングパワーも貸す…」
穏乃「じゃあ、私のラーメン力を注入しますね!」
宥「私のあったかいパワーも」
玄「私のドラ力も」
憧「じゃ、あたしの…あれ?あたしなんかあったっけ?」
憩「あはは、これは心強いわ」
さて、阿知賀のみんなにはああいったけど、多分、犯人は龍門淵関係の人間やんな?
個人戦の代表に欠員が出れば、去年の成績を考慮して、一部の成績上位者に個人戦の補欠出場枠が与えられる。その最上位が天江衣。
あの子本人はそんなことしそうにあらへんけど、周りはどうやろな?
龍門淵と言えば長野。長野と言えば、今日会った、あの原村…
人を疑うのは良くないんやけど、場所、時間、動機、直感、色々かみ合いすぎとるんや…疑うなってのが無理やろ。
憩「…負けられんな、少なくとも、あいつにだけは」
必ず、勝つ。そう誓って、眠りについた。
咲「ふああ…おはよう和ちゃん」ゴシゴシ
和「おはようございます咲さん」
和(眼福眼福。これで今日の咲さん分…サキミンは補充完了です)
久「おはよう、よく眠れた?」
久(眼福だわ…サキミンは必須栄養素だからね)
咲「はい、ばっちりです!」
まこ「頑張ってきんさい。応援しちょるけえの」
優希「ぶちかますじぇ咲ちゃん!のどちゃん!」
久「あら?私は?」
優希「言わなくてもやってくれると信じてるじょ!」
京太郎「会場でのお守りは大変だろうけど、俺が行くわけにもいかねえからな。意地張らないですぐ道聞くんだぞ咲」
咲「大丈夫だよ!もう何回目だと思ってるの!?」プンプン
久「ま、私も和も居るから大丈夫よ。じゃ、準備出来たら出発ね」
和(むくれてる咲さんかわいい)
透華「あら?結局出ることにしたんですの?」
衣「うむ、思うところがあってな」
一「…そうだね、あんな事件で出場できなかったなんて小走さんも無念だろうし、代わりに出て活躍してあげるのも悪くないと思うよ」
純「気をつけろよ。奈良の『王者』が狙われたんだ、優勝候補全員を狙ってくる可能性もある」
智紀「あるいは、衣と打ちたいと願った何者かの犯行…」
衣「(ノノカめ、派手にやりすぎだ)衣は智紀の言う可能性が高いと思っている。もしそうならば、出ないわけには行くまい」
透華「気を付けてくださいまし」
衣「うむ、気をつけよう(犯人は分かっているが)」
淡「そっか…このサキーをペロペロしたいという気持ち、これがSNSへの鍵なんだね」
照「そう。淡はあの決勝で咲の対面に座って見つめることで咲の魅力の虜になってしまい、SNSに引き込まれた」
淡「サキーは可愛いとは思ってたけど…友達とかライバルとしての好きだと思ってた…」
照「SNSに繋がったということは、恋愛感情で間違いない。これからは同志だね、淡」
淡「そして、ライバルでもあるんだね」
照「背中を追いかけて来るだけだった淡が、対等な立場で私のライバルになった。私はそれも嬉しい」
淡「そして、同志としての初めての任務が…」
照「そう」
照・淡「「荒川憩の討伐!!」」
個人戦は大まかに二段階で選抜される。
一段階目は、ランダムで各対局者を対戦させ、順位点と素点によって決勝トーナメントへの進出者8名を選抜する予選ラウンド。
予選を勝ち抜いた8名は予選の成績に従って1・3・7・8位と2・4・5・6位の二組に分けて半荘一回を打ち、各卓の2位までが最後の決勝卓へ進む。
決勝ラウンドでは最初の選別以降は予選の結果は考慮されず、決勝卓の順位がそのまま最終順位となる。
洋榎「つまり、予選はとにかく稼ぐ、決勝ラウンドの一回目は二位までに入ればよし、最後はトップ目指してガチンコってわけや!」
由子「私は出てないから関係ないのよー、私の方見て言わないでほしいのよー」
漫「せやかて、本来説明するはずの末原先輩があれやから…」
恭子「…なるほど…と言うことはこういう打牌をした時はこれに警戒して…おや?こっちの牌譜は妙やな…なんの狙いがあるんや?」ブツブツ
絹恵「やる気ないよりはええんやろうけど…」
洋榎「はあ…昨日はいきなりキレたと思ったら結局何もせんかったし、どうしたんや恭子の奴…」
由子「やる気出してる以上、変に水を差すこともないのよー。洋榎、漫ちゃん、頑張るのよー」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
エイスリン「トヨネ、コワイ…」
白望「ダルイ…塞と胡桃は観客席に逃げるし…」
豊音「今日は最初から本気だよー」ゴゴゴ
エイスリン「シロ…」ギュッ
白望「…しかも、物騒な気配がここだけじゃなくそこかしこから漂ってる気がする…ダルい…」ナデナデ
憩「…最初は…うわ、マジなん?」
11番卓
天江衣
荒川憩
宇津木玉子
宮永咲
憩「天江さんと昼のうちにあたるのはまだ幸運なほうやろうけど…咲ちゃんか…」
?「うう…私の名前がないよお…」
…この子、狙っとるんやないか?なんでわざわざうちの前でそれ言うねん?
ま、この子自体は無害なもんやし、助けるか。
憩「目の前にあるやろ。うちと同じ11番卓や」
咲「ふえっ!?け、憩さん!」
憩「昨日ぶりやな。迷わず帰れたか?」
咲「あ、はい。大丈夫でした。昨日は本当にありがとうございました」ペコリ
視線を下げて昨日怪我していた膝の状態を観察する。
包帯は新しいものに替えてあるし、血も出ていないようだ。
憩「うん、怪我も大丈夫そうやな。包帯もかえたみたいやし」
咲「えへへ、和ちゃんがやってくれたんです。でも、憩さんの方が早くて上手でした」
憩「ま、うちは本職みたいなもんやし」
わざとらしく胸を張って言う。
実際、子供の頃から保健委員やら何やらで怪我の手当ばっかりしてきたから、擦り傷切り傷ぐらいならそこらの看護師より手際良く手当をしてみせる自信はある。
咲「あっ!?そういえば、対局!一緒なんですか?」
憩「そうやで。見てみ?」
壁に張ってある組み合わせ表の一つを指差す。咲の視線は自然とそちらに向き、紙に書かれた内容を読み取る。
咲「ほんとだ…えへへ、私たち、縁があるのかもしれませんね」
嫌な気分はしない。むしろ、咲に対しては好感を抱いている。ただ、昨日から引き続き、咲と親しくするべきでないと本能は警鐘を鳴らしている。
視界に赤いものが見えた。
血…ではない。これは…ウサギの耳?
衣「…咲、卓に来ないと思ったら、何をしている?」
咲「あ、衣ちゃん。…あれ?衣ちゃんって、個人戦出てたっけ?」
視線を下に下げたら金髪の小柄な女の子の姿があった。
当然、自分はその姿に見覚えがある。というか、この会場で彼女を知らない人間などいないだろう。
昨年度インターハイ団体戦最多獲得点数記録者、天江衣。『欠員が出たことによる特例』で個人戦に参加した、優勝候補の一人。
衣「欠員が出た場合の特例で出てみないかと打診があったから、せっかく来ているのだから衣も出てみることにしたのだ!」
憩「…」
『あう~、相手が来ないのである~!』
憩「とりあえず、卓についた方がええんちゃう?」
咲「あ、そうですね。行こう、衣ちゃん」
衣「そもそも、衣はお前たちが来ないから探しに来たんだぞ!」
衣(荒川憩…今も衣が間に入らなければ咲を口説きにかかっていたに違いない。容赦はいらんな、潰す)ゴッ
起家 天江衣
南家 荒川憩
西家 宇津木玉子
北家 宮永咲
衣(咲がラス親か…起家だからオーラスは動かずとも衣に海底が回るとはいえ、最後まで気を抜けない。だが、なによりもまずは、この荒川憩の実力を見定めねば)タン
憩(この手、傷だらけやなー。なおし甲斐があるわ)
12457p12s1288m北北 ツモ:4s
打:1s
憩(この面子では助けられるかわからんなー。ま、やるだけやりますわ)
玉子「」タン
咲「」タン
衣「」タン
ーー
12457p24s1288m北北 ツモ:6p
打:1p
24567p24s1288m北北 ツモ:4m
打:1m
24567p24s2488m北北 ツモ:3p
打:北
234567p24s2488m北 ツモ:3m
打:北
234567p24s23488m ツモ:3s
憩「ツモ。タンヤオ三色。2000、3900」
衣(…早い…だが、手順が妙だ。こやつも尋常ならぬ打ち手か…?)
咲(ムダヅモが一度もない…?どういうことだろう?私の槓みたいになにかの能力なのかな?)
玉子「幸先がよくないのである~」
憩「うげっ…」
衣「ん?」
憩「あ、いえ、なんでもないですわ」
咲「…?」
憩手牌
1356p3478s456m東東東
憩(あ~、せっかくの親やっちゅうんに…ま、常識的には悪くない手やし、普通に打つか)
打:4s
ーー
1356p378s456m東東東 ツモ:2p
打:3s
憩(ま、この形のイーシャンテンに文句があるって言うたら罰が当たるわな。うちは不満たらたらやけど)
ー四巡後
12356p78s456m東東東 ツモ:赤5p
憩「立直」
打:6p
衣(…6巡でリーチ、先ほども6巡で和了していた。これはなかなか手ごわいぞ)
咲(憩さん、ホントに強いんだ…じゃあ、私も本気でやらないと!)
ー三巡後
ツモ:9s
憩「ツモ。リーヅモダブ東ドラ1、4000オール」
衣(…ふむ、これ以上様子見と言うわけにもいかぬか。まだこやつの力の底が見えていないが、始めよう)
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
咲「っ!?」ビクッ
憩「うわわっ!?」ゾクッ
憩(マジでっか…チャンピオンでもこんなんなかったで?去年のMVPは伊達やないってか…いけるんかなこれ?)
東2局1本場 ドラ:南
憩(おっ、助かったわ。これでダメならお手上げやな)
憩手牌
3568p35s35m東南南北白 ツモ:4p
打:白
衣(…妙だ。なぜ笑顔を浮かべている?貴様の手からは、お世辞に良いとは言えない気配しか感じ取れないというのに)タン
ーー
34568p35s35m東南南北 ツモ:4s
打:東
34568p345s35m南南北 ツモ:7p
打:北
憩「ツモ。三色ドラドラ。4100オール」
345678p345s35m南南 ツモ:4m
衣「なっ…!?」
咲「うそ…衣ちゃんが本気を出してるのに、四巡目で…?」
玉子「である~…」
東二局2本場
衣(連荘すら止められん…このままでは…)
?(天江さん、天江さん、聞こえる?)
衣(むっ…照か?SNS個人用回線…急ぎの用件か?対局はどうした?)
照(今、神代さんが他の人に九連ぶちあてた。それより、天江さんは荒川と対局してるはず)
衣(うむ、その通りだ。情けないことに苦戦している)
照(だろうね。特に天江さんは相性が悪い)
衣(こやつの力が分かるのか?)
照(うん、荒川さんはーーーごめん、菫がお菓子持ってきたからまた後で)
衣(ちょっと待て!お菓子こそ後回しにするべきだぞ!照!照ーーー!)
咲「槓!ツモ、嶺上開花、西、白。2200、4200です!」
南4局 ドラ:3p
衣 16400
憩 43800
咲 39700
玉 100
咲(親番…逆転しなきゃ!)
咲手牌
33346p225s5677m北南
打:南
ー2巡後
33346p225s5677m北 ツモ:2s
打:北
次巡
33346p2225s5677m ツモ:4m
打:5s
咲(嶺上牌は2索…その後は赤5筒。あとは3筒さえ手に入れば…)
憩「ツモ」
咲(あ、先に和了られちゃった…そっか、やっぱり憩さんって本当に強いんだねーーーーー…え?)
憩「面前ツモタンヤオドラドラ。2000、4000やな」
24p34赤555s234678m ツモ:3p
咲「私の…3筒?」
憩「ん?」
咲「な、なんで?この手なら3筒は私のところに来るはずなのに…」
憩「ああ、咲ちゃんは槓することが多いんやったっけ?てことは、これラス牌か。あぶなー」
『うああああー!!!トビであるー!!!!』
憩「…あっちで話そか。ここはうるさくてかなわんわ」
咲「は、はいっ」
衣(…手が止まっている気配はあったのだが、どうやってもあやつはほどなく衣の力の影響下から抜け出して来た…あれは一体…)思案中
衣「ん?…あれ?咲は?」
『荒川と一緒にあっちに行ったのである!』
衣「…」タラリ
衣(SNSに接続するぞ!)
衣(咲がかどわかされた!相手は荒川憩!皆、早く探し出せ!)
和(どういうことですか!衣さんは同卓していたはずでは!?)
照(今はそれを言っている場合じゃない。咲の捜索を始めよう)
淡(テルーは迷子になるから外に出せないよー)
照(あ…)
豊音(咲ちゃんの貞操を守らないとねー)
恭子(あのガキ…ちょっと去年活躍したからって調子のりおってからに…)
久(とにかく、各自散開して咲の捜索よ。試合直後に連れ出すなんて、相当入れ込んでるわよ。咲が危ないわ)
衣(その通りだ。おそらく、トップを取れなかったから咲のほうも荒川憩に興味を示しているだろう。非常に由々しき事態だ)
和(発見次第SNSへの報告をお願いします!とりあえず対局場周辺から…)
咲「傷を治す…ですか?」
憩「そう。ペンチャンとかカンチャンとかの悪形をキズって言うことがあるみたいなんやけど、なんか知らんけど、うちの手牌にあるカンチャンペンチャンは必ず埋まっていくんよ」
荒川憩は去年の個人戦二位、当然、牌譜は全国の高校生が血眼になってチェックしている。
カンチャンが出来たら必ず次の巡目で埋まる、ペンチャンは必ずカンチャンに変化する。あれだけ特徴的な牌譜、一局二局ならともかく、半荘数回分の牌譜をチェックしたうえでそれに気づかない者もいないだろう。
というわけなので、荒川憩は自分の打ち方、能力について隠す気は全くない。
付け加えるなら、それらを知られた上でなお、荒川憩は全国二位の打ち手である。
咲「…でも、私の槓材を奪い取るっていうのはちょっと異常です」
憩「阿知賀のみんなもそんなこと言うとったな~。玄ちゃんの居る卓でドラをツモるなんてありえんって」
咲「松実さんのドラまで!?いやいや、異常すぎますよそれ!」
憩「そう言われてもなあ…カンチャンが出来たら絶対ツモってまうんよ。ペンチャンがカンチャンに変わる方が優先度は高いみたいやけど」
咲「…チャンカンとかはあったけど、まさか槓材を持っていかれるなんて信じられないよ」
憩「ごめんな~、これはうち自身にもどうにも出来んから堪忍してな」ナデナデ
咲「あうう…///と、ところで、カンチャンとかペンチャンがないときはどうなるんですか?」
憩「普通に手が進むで。あと、一つ飛びの対子二つとかもカンチャン二つとして認識されるみたいや。実戦やとこんな感じやな」
13p333555s688m北北 ツモ:2p
打:北
123p333555s688m北 ツモ:4s
打:北
123p3334555s688m ツモ:4s
打:6m
123p33344555s88m ツモ:4s
憩「これで三暗刻やな」
咲「酷いですねこれは。68のカンチャンより35が優先されてるのは、88が対子だからですか?」
憩「いつもそうなるわけやないけど、基本的にはそうやな。それだけやなくて、この場合みたいにどっちかを埋めた方が高い手になるような時は、結構な確率で高くなる方が埋まるで」
憩「あとは、135みたいなリャンカンチャンは片方しか埋まらん。面子は面子で固まって、余った片方は孤立牌扱いになるみたいや。この場合にどっちが埋まるかやけど、役に絡まなければランダムで、絶対ではないけど役がつくなら役が付く方が埋まることが多いわ」
咲「ついでに、怪我した人…カンチャンペンチャンがある手が配牌で来る傾向にある。えぐいですね、流石、全国二位」
憩「それを相手にして浮き二着取った人間に言われとうないわ」ペシン
咲「あうっ」
憩「っていうか、うちが全国二位やって知ってたんか?昨日は名前すら知らへんかったみたいやけど」
咲「えっと…それは…調べました」///
憩「そっか、ありがとな~」ナデナデ
和(…)チーン
久(和、しっかりしなさい和!)
和(はっ!?夢を見ていましたか…)
衣(現実だ…しかし、これは不味いぞ。咲がかなり手なずけられてしまっている)
和(…)ブクブク
照(ナンバー2原村和が使い物にならないので私が仕切る)
淡(ナンバー7大星淡、異議なしー)
久(ナンバー6竹井久、異議なし)
衣(ナンバー3天江衣、異議あり!衣も仕切りたいぞ!)
恭子(ナンバー5末原恭子、異議なし)
豊音(ナンバー4姉帯豊音、異議ないよー)
照(賛成多数によりナンバー1宮永照が本件の指揮を執る。参謀としてナンバー6を指名する)
久(了解)
照(まず状況を確認しよう。観測班)
恭子(音声観測担当より報告、現在は他愛ない日常会話に移行。会議に優先する重大な会話があれば送信します)
豊音(映像観測担当より報告、身体的接触は終了。変化があれば映像を送ります)
久(日常会話が出来る程度に新密度を上げてきているわけね。…やるわね)
照(参謀、意見は?)
久(先ほどの会話からして、主に敵の雀力への敬意から好感を抱いているものと推測されます。叩き潰すのが早いかと)
照(次に奴と対戦するSNSメンバーは?)
久(私よ。傾向は先ほどの咲との会話で理解したわ。対策の教授を要請します)
恭子(奴の能力は自己の手牌内のカンチャンを次巡で確実に埋めるというもので、成功率は記録にある範囲では100%や。阻害はほぼ不可能。能力が使えない場合は基本的に両面以上の好形。根本的な対策はあらへん)
照(聴牌速度は異常の一言に尽きる。ただ、リーチするとカンチャンを埋める効果が無くなるのでカンチャン待ちでもリーチをかけない。立直がかかった場合は通常の両面待ちかシャボと考えていい)
衣(手牌を読む際のポイントは19牌の出るタイミングだ。最序盤に出たなら、1なら234、9なら678の面子があると考えていい)
恭子(順子場は奴の独壇場、順子場においてはナンバー1以外では勝負にもならへん。意識的に行うのは難しいものの、対子場への誘導が有効や。おそらく、咲ちゃんもそれでええ勝負に持ち込んだんやな)
久(つまり、対子集める以外に対策なしってことね…大した化けもんだわ。あんたどうやって勝ったのよ?)
照(全力で早和了りして逃げ切った。あの時の決勝卓では私とターゲットしか和了ってないはず。振り込みが無かった辻垣内さんが三位)
久(…やるだけやるか。分の悪い賭けは嫌いじゃないの)
起家 荒川憩
南家 竹井久
西家 上田良子
北家 藤原利仙
ーー
憩「…」タン
打:1s
久(さて、この怪物をどう止めたものか…対策してなかったとはいえ、さっきの一戦目で本気の咲に勝ってるんでしょこの子?)
久手牌
22457p479s35m北北東
久(この手が向こうに入ってたら四巡で確実に和了るわけ?こんなの10巡で役あり聴牌出来たら御の字だっていうのに)
久(で、私のツモは…東か。なるべくターゲットのツモは飛ばしたいし、ポン材を抱えながら対子場に誘導していくべきでしょうね)
打:7p
利仙「」タン
打:2p
久「ポン」
久(少しでもツモ番削らないとね。幸い、この卓には藤原利仙が居る。目的はターゲットを凹ませて咲のターゲットに対する好感度を下げること、勝つのは私以外でもいい)
三巡後
憩「ツモ、1000オール」
久(…まあ、そう簡単には止まらないわよね。下手すると誰かがトブまで和了り続けるような化け物だし)
利仙「」タン
久「ポン」
久(さっきから、私の鳴けるところを切って来るわね。藤原利仙ほどの打ち手が私の手を全く読めてないというわけではないでしょうし…期待していいの?)
利仙「」タン
久「ポン」
久(まあ、そうよね、私にどうにも出来ない化け物なら藤原利仙にもどうにもならないでしょう。オーケー、目的は違うけどやることは同じよ。共闘させてもらうわ)
憩「ツモ、2100オール」
久(二対一でも手が付けられない化け物ってか。キツイわねー)
久(張った…三暗刻確定の場に二枚切れのカン3筒待ち)
124p333666s999m西 ツモ:西
久(一回だけ、試してみたいわね。おそらくオナ聴、最悪も最悪の待ち。けど、ここ一番で私が選ぶのはいつだってーーー)
久「リーチ!」
打:1p
久(ーー待ちの悪い方よ!ま、今回は選ぶ余地ないけどね)
ーー
憩(なんかしてきたか?なんやろ?今回は西と東の対子が動かんかったから手が遅かったとはいえ、ここまで来たらうちはほぼ確実にツモるで?)
4567p789s6m西西東東東 ツモ:2p
憩(カン3筒待ちで聴牌や。すぐにその怪我治したるからなー)
打:6m
久(…ツモれない、か。まあ、私は一発でツモれないことの方が多いけど、ここはツモって見せたかったわね)
憩「ツモ!面前ツモとダブ東、二本付けで2200オール!」
憩(…これは普通の手が来てもうたな)
35p34678s56m東東西南白
打:西
憩(とりあえず4筒はツモれるとして、あとは普通に進めるしかないわな。3萬あたりツモると化けるんやけど)
ーー3巡後
345p34678s56m東東南 ツモ:5s
憩(ま、四巡目リーチなら誰も突っ張らんやろ。両面やし行けるはず)
憩「リーチ」
打:南
久(…来た。荒川憩の唯一の隙、リーチ)
久(そりゃ、普通なら隙でもなんでもないわよ?両面以上でのリーチ、しかも巡目が早い。普通ならこれがメインの攻撃、切り札だわ。だけど、荒川憩に限って言えば、「必ず和了る」手段が用意されているのに、リーチをかけたらそれが無くなる)
久(常識的に考えたら状況は最悪だけど、荒川憩相手なら、これでようやくスタート地点よ!一発ぶちあててやるわ!)
ーー六巡後
憩(ツモれんなあ…そろそろツモってほしいんやけど)
久「リーチ」
憩(あー、追いつかれてもうた。勘弁してほしいわホンマ。利仙さんは危険牌通してサポートするし、竹井さんはガンガン押してくるし…)
利仙「…」
1588p6s44777m西発中
憩(利仙さん、あれ絶対残り手牌バラバラやろ。ホンマ酷いわー、うちのこと嫌いなん?一緒に阿知賀と練習した仲やん?)
憩(なんてな、うちのことを認めてるからこそ、ここまで徹底してマークするんやんな?正しいでー、それでもうちは負ける気あらへんけどな)
憩(しかし、ホンマにツモれんなー、分のいい勝負やと思うんやけど…)
ピーン
バシン!
卓・牌((痛いっす))
久「ツモ」
111222333p赤55s東東 ツモ:5s
久「リーチ一発ツモ、対対、三暗刻、ドラ1。4300、8300!」
憩「あははは、マジですかー?ラス牌やんそれー!東が持ち持ちなこと分かってましたよね?」
久「…もうちょいショック受けるなりなんなりしてほしいんだけど。こっちは必死であんたの連荘止めてんだから」
憩「んなもん、チャンピオンに何回も止められてますから。いやー、竹井さん凄いわー」キラキラ
久「調子狂うわね…化け物なら化け物らしく、『今まで負けたことありません、こんな打ち方されたの初めて…』みたいなリアクションしなさいよ」
憩「さっきの咲ちゃんがそんな感じやったなー。残念ながらうちはチャンピオンに一回ボコボコにされてますから」
久「…変なやつね、あんた」クスクス
憩「そっちの悪待ちも十分変ですよー。度胆抜かれましたわー」
荒川憩 68000
竹井久 23000
上田良子 ー3000
藤原利仙 12000
ーー
久(結果を報告しなくちゃね。SNSにアクセス…あれ?出来ない?)
和「…部長、どういうことですか?」
久「…和?どうしたの?わざわざ来るなんて」
和「質問しているのは私です。どういうつもりですか?咲さんがたぶらかされようとしているこの緊急事態下において、いきなりSNSを退会するなんて!?」
久「…私が、抜けた?SNSを?」
和「はい、ナンバー7の大星さんがナンバー6に繰り上がっています。管理者の私が確認したのですから間違いありません」
久「…そっか、これは一本取られたわね」
和「どういうことですか?」
久「あんたらも気をつけなさい、あの子、本当に厄介なのは麻雀じゃないわよ。私でも一矢報いることが出来るんだから、麻雀の方はあんたらならどうにでもなるわ」
和「何を言っているのか分かりません!」
久「咲があの子になびいたのも、必然かもしれないわね。かつての同志として応援してるけど、多分、分が悪いわよ」
和「待って下さい!何を言ってるんですか!?部長、部長ーーーーー!!!!!」
憩「いやー、咲ちゃんとこの部長さん凄いなー。あんなん初めて見たわ」
咲「あはは、悪待ちですか?マナーの悪いツモですか?」
憩「両方や。あんな人もおるんやなー」
?「ちょっと、マナーが悪いってどういうことかしら、咲?」
咲「ひうっ!?」
久「まったく、陰口を言うような子に育てた覚えはないわよ?」
憩「あ、さっきはどうもー」
久「こちらこそどうも、楽しかったわよ。また打ちましょう」
憩「はい、是非ともお願いしますー」
照(おい、観測班、この映像はなんだ?)
豊音(しらないよー)
恭子(ターゲットとの接触を妨害するナンバー6の作戦やないんですか?)
淡(私、作戦とかそういうの苦手だよー)
恭子(あれ?ナンバーが…どういうことや?)
和(残念ですが、元ナンバー6は敵の手に落ちました。直接話してきましたが、間違いないようです)
衣(ふん、あれだけ長い時間咲のそばに居ながら最近になってようやく咲の魅力に気づくような愚物だ、居なくても問題ない)
恭子(奴の咲に対する愛はSNS最弱、SNSの面汚しや)
豊音(次は私が出るよー、ターゲットに真の恐怖と絶望を味あわせてやるからねー)
淡(私も出るよー!)
照(次の試合はナンバー456が共闘できる、万が一はないと確信している)
和(負けフラグにしか聞こえないセリフを吐いていなければ私もそう思うのですが…)
東家 荒川憩
南家 姉帯豊音
西家 大星淡
北家 末原恭子
ーー
恭子(最高の席順やな。我々の中で最強の淡が自由に打てて、豊音の友引で標的のツモを飛ばしながら攻められる。私は標的に対して牌を絞りながら、豊音へのサポートとSNSを通した指揮に専念できる)
恭子(これで負けたらどうしようもないわ!覚悟せえ、荒川憩!)
ーー
憩「ツモ、4000オール」
恭子「あれ?」
豊音「ぼっちじゃないよー」
憩「ツモ、4100オール」
豊音「え?あれ?二枚切れだよ?私の友引は…?」
恭子(な、何がどうなっとるんや?)
ーー
淡「ダ、ダブリー!」
ー5巡後
豊音「追っかけるけどー」
恭子(淡のダブリーで豊音の先負をアシスト…これなら…)
憩「ほい、2200オール」
豊音「嘘っ!?ラス牌のはずなのに私の和了り牌…?」
恭子(先負でもダメ…やと?化け物めっ!こうなったら!)
ーー
恭子(よっしゃ、賽の目オッケー!角が近い、かましたれ淡!)
淡「いっくよー!ダブリー!」
ー角の手前
淡「…へ?」
淡:ツモ切り
恭子(…は?)
憩「ツモ、1300オール」
淡「そ、それ…私の槓材…」カタカタ
恭子(なんなんや…なんなんやこいつ!?)カタカタ
ーー
東一局9本場
憩「4900オール。全員トビやな」
恭子「(レイプ目)」カタカタ
淡「すごいすごい!ケイ、あなたサイコーだよ!」キラキラ
豊音「憩さんちょーすごいよー!こんなすごいの初めてだよー!サインちょーだい!」
憩「あー…まあ、サインぐらいやったらええけど」
久「憩、お疲れ様…って、なにそれ?」
咲「淡ちゃんに…豊音さん?」
憩「なんか、さっきの対局で懐かれてしもたんよ」
淡「あ、サキー!ケイって凄いね!私、槓材取られたの初めてだよー!」
咲「淡ちゃんも?私もびっくりしたよ、ホントにすごいよね、憩さん」
豊音「友引も先負も無効化されたよー、こんなの初めて、ちょーすごいよー」
憩「うちにとっては普通なんやけどなあ…」
久「その『普通』がすごいから、みんなが凄いって褒めてるのよ」クスクス
憩「そんなもんかあ…」
照「ナンバー2、あれはどういうことだ?」
和「彼女たちもSNSから退会が確認されました。原因はおそらく…」
衣「ふん、大見得を切っておきながら情けないやつらだ」
恭子「」カタカタ
和「また、ご覧のとおり、暫定ナンバー4も使い物になりません。精神状態が思わしくないため、アクセス権の残存の確認もとれません」
照「観測のために本隊が来ている時点で分かっている」
衣「…しかし、まずいな。すでに戦力比では逆転している。夜になれば咲と標的以外は衣がまとめて殲滅できるにしろ、大会の開催時間内では分が悪いぞ」
和「問題ありません。どれだけ人数に差があろうと卓につけるのは四人。咲さんには優勝していただきたいので決勝に押し上げるとして、標的を落とせない場合でも我々三人のうち二人は決勝卓に入れます」
照「私に敗北はない」ドヤ
衣「ふん、期待しているぞ、ナンバー1」
咲(…なんで和ちゃん柱の陰でこそこそしてるんだろ?エトペン見えてるから和ちゃんだよね?)
憩「いやいや、豊音さん何枚色紙持っとんねん!?」
豊音「何枚でもあるよー!」シャシャッ
憩「手品かい!?どこに隠しとんねん!?」
久(和が観測するとエトペン隠し損ねてすぐ見つかるから観測班を分けたのよねえ…衣ですら耳が柱から出ないように気を付けてるのに)
予選順位
1 宮永照
2 荒川憩
3 宮永咲
4 原村和
5 天江衣
6 竹井久
7 姉帯豊音
8 大星淡
ーー
和「ナンバー1をはじめとした上位陣と当りませんでしたね。幸運でした」
淡「ケイに飛ばされた後で裏切りものへの制裁とか言ってテルーにボコられるとかホント最悪だったよー」
小蒔「昨日良く寝たので、午後からはずっと起きてました」
爽「ちなみに、私は出てない設定だ。書いてる時点では能力分かってないから許せ」
照(…咲を落とすわけにはいかない)
豊音(SNSを抜けたとはいえ、咲ちゃん泣かすのはちょっと…)
淡(さっき凹られたぐらいだし、テルーには勝てないなー。ケイともう一度打ちたいんだけど…やるだけやるかー)
咲(よーし、決勝に行って憩さんと、もう一度本気で打つんだ!)ゴッ
ーー
優希「うちから三人、長野から四人、全員決勝ラウンドだじぇ」
京太郎「照さんも長野出身だろ?ホントに魔境だよな」
まこ「頑張れー、咲ー!」
染谷先輩の応援の結果、キンクリされました
決勝ラウンド第一試合A
照 65800
咲 42000
淡 8400
豊 ー16200
部長と和も染谷先輩に応援されたためキンクリされました。
決勝ラウンド第一試合B
憩 47000
和 24000
衣 22000
久 7000
久「イチかバチかで色々やってみたけどダメだったわねー」
衣「凄いぞケイ!もう日も落ちて来たというのに衣が本気を出しても歯牙にもかけぬとは!痛快特快この上ない!」
和「夜とか昼とか、そんなオカルトありえません!部長も、なぜ普通に打たないんですか!?」
憩「あー、また魔物に懐かれてもうたか…」
利仙「私や蘭子さん、あの気難しいもこさんまで手なずけた方が今更なにをおっしゃいますか」クスクス
憩「あ、利仙さん、応援に来てくれたんでっか?おおきに」
久「あらあら、妬けるわね」
染谷先輩はじいちゃんにインハイ優勝の報告をするために一足先に帰りました。
憩「いやー、決勝やなー」
咲「また打てますね!今度は負けませんから!」
衣「うう…咲と憩が居る卓に入れないとは…残念至極」
豊音「咲ちゃんも憩さんも頑張って、ちょー応援してるよー」
久「応援って、良いこととは限らないのよねえ…豊音ならだいじょうぶだろうけど」
咲「?」
久「知らなくていいわ。けど、これだけは言わせて。向こうの世界に見えないだけで、確かに私たちの闘牌はあったのよ」トオイメ
咲「は、はあ…」
恭子「憩!私のことカタカタさせてくれ!私は自分をカタカタさせてくれる人が好きなんや!」
久「…衣」
衣「言われるまでもない。ふんっ!」ゴッ!
恭子「ひ…ああ…」カタカタ
照「おい、ナンバー2。どうなっている?」
和「…まさか、あのナンバー3まで…」
照「…まあいい、咲をめぐるライバルが減っただけだ。もはや同志でもない。すべて薙ぎ払うのに遠慮が要らなくなった」
和「そのとおりです。いつか着けなければいけない決着が早まっただけのこと…まあ、私は咲さんによるハーレムでも構いせんでしたが」
照「ふむ、それはいい。やはりナンバー2は天才」
和「ナンバー1こそ、頼りにしていますよ」
決勝戦
東家 宮永照
南家 原村和
西家 宮永咲
北家 荒川憩
ーー
照(咲ちゃん可愛い)
和(ふむ、ナンバー1が咲さんの正面に配置され、咲さんエナジー、通称サキナジーを得て大幅に強化されています。荒川憩のオカルトなど恐るるに足らず!)
咲(今度こそ負けない!行くよ、憩さん!)
憩(あー、宮永姉妹が二人とも全力やん。きっついわー)
東一局 ドラ:3s
憩(さーて、好配牌やな)
1346p3368s357m北西
憩(照さんが様子見に入る東一局、ここは確実に取りたいわ)
ーー二巡後
憩(聴牌。しかも赤5筒が入った)
1346p33678s3457m ツモ:赤5p
打:7m
憩(この局は頂きやろな)
照「ツモ、1000オール」
パタ
134赤56p33678s345m ツモ:2p
憩(…は?ちょいちょい、それは流石にびっくりやで?しかもそれ…)
咲(…様子見を、してない?)
和(当然ですね。咲さんのことは常に見ていますから、今更改めて見る必要はない。私はSNSで繋がっている。標的は…能力は把握していますし、一年前に見たはずですから、ただ潰すだけです)
照(サキナジーを得た私は無敵。荒川憩、ここで沈んでもらう)
東一局一本場 ドラ:東
照「」タン
打:1m
憩(さっきの照さんの最終形、ちょっとおかしいやんな?)
2346p457s1278m東東 ツモ:4m
憩(普段はこんな打ち方せんけど、試してみるか?)
打:東
照「…」
咲「お姉ちゃん?鳴くの?ツモるの?」
和(これは…荒川憩、なんという人外…まさか、一局で気づいたとでも言うのですか!?)
照「…」タン
打:4s
憩(止まった…てことは、東を鳴くかどうか迷ったってことやろ?決まりやな、さっきの和了りは偶然とちゃう。となると、今回はとりあえずオリや)
照「」タン
打:7m
照「リーチ」タン
打:8m
憩(間違いない、このひともつくづく人外やな。反則やろそれ)
照「…ツモ、リーチ一発ツモドラドラ、裏一枚で6100オール」
照(…バレたところで問題ない。サキナジーを得た時の親番でだけ使える私の真の奥の手、反射鏡。場で最善の手を自分の手に反射し、親番の利で常に一歩先を行く。これを破る手段はない)
和(しかし、一局で見破るとは驚きました。警戒が必要です)
照(む…反射鏡が発動しない…と言うことは、この局は…)
咲「槓、槓。嶺上開花。2200、4200」
和(なるほど、咲さんの手は槓子が集まる…反射など出来るはずもないですね。おそらく、これが照さんが咲さんに心奪われたきっかけ…)
照(私の反射鏡を無効化出来るのは咲ちゃんだけ。咲ちゃんかわいいペロペロ)
和(ナンバー1、対局中ですからね?)
憩「ツモ。2000、4000」
ーー
憩「ツモ、1000、2000」
ーー
東4局 ドラ:8m
憩「さーて、親番やな」
照(この親を全力で流す。さっきは咲ちゃんにやられたけど、手数的に基本的には標的が和了る。それなら親番で標的の手を反射していれば負けない。咲ちゃんに負けるのは甘受)
憩(…どないしよかなー?)
2356p126s258m北北南東
憩(ここから、確実に4索と4筒と3索をツモる。これはほぼ確実や。1索捨てへんかったら5索もツモってこの形)
23456p123456s???
憩(さて、何を残したらええやろか?)
ー次巡
照「ツモ。300、500」
憩(考えるだけ無駄やったな…怪我、治してやれんかった。堪忍してな、このひと、ヒトやないねん)
咲(…憩さん?落ち込んでる?)
憩(うち以外が和了る時でも、基本的にうちの手牌のペンチャンカンチャンは全て埋まっとる。怪我が治る前に和了るんはこのひとだけや。ホンマ、えげつないわ)
照(…去年もそうだったけど、早く和了ると睨まれる。心外)
和(いい感じですよナンバー1。このまま押し切りましょう)
南1局 ドラ:3s
照(ふむ、…ナンバー2、あるいは標的の手か。能力を使う余地はないが、この配牌に文句は言えない)
2367p2345s345789m
打:5s
照(とりあえず普通に打つか)
和「」タン
咲「」タン
憩「」タン
打:9m
照「!?」
和(どういうことですか?面子を崩してまでタンヤオに向かう?)
照「…そうか、そういうことか…」
和「…照さん?」
咲「」タン
打:6m
憩「チー」
打:2p
咲「ポン」
打:5p
憩「チー」
打:3p
咲「…ポン」
打:北
憩「ツモ。500、1000」パタ
2345s345m チー:678m 567p ツモ:2s
照「…」
咲「お姉ちゃん、私が居るって、忘れてない?」ゴゴゴ
和「照さんの反射鏡が…破られた?」
憩「そりゃ、二人がかりなら余裕で破れるわな」
和「し、しかし、何故咲さんが…!?」
咲「家族麻雀で何度も打ったもん、知ってるに決まってるよ。親で憩さんを反射されたら辛いから、お姉ちゃんが反射鏡を使う気なら当然流すし。東一局で様子見しなかった時点で気づくべきだったよ」
照「…ま、まだ前半の貯金がある…わが軍はまだやれる…」
和「ナンバー1、負け犬っぽい台詞はやめて下さい」
憩「ほな、次いくでー」
まこさんが、流石に後輩の応援ぐらいするべきだと気付いて戻ってきました
照「…勝った」
憩「あー、また二位やー」
咲「また負けた…」
和「うう…四位は別に良いのですが、またしても荒川憩が咲さんに勝ってしまいました…」
照「ふふふ…これで勝利した私に対する咲の好感度もうなぎ上り…」
咲「やっぱり、憩さんって凄いですよね!」
照「え?」
咲「え?だって、お姉ちゃん、憩さんを反射した18000が無かったら私にも負けてるよね?実質憩さんのぶっちぎり優勝だよね?」
照「…あ」
憩「いやいや、結果が全てやって。照さん、三連覇おめでとうございます。完敗ですわ」
照「あ、ありがとう…」
咲「でも…」
憩「使える力は使ってええねん。うちだって咲ちゃんの槓材取ったりしてるやろ?照さんはいろんな人から期待もされて責任もあるから、勝たなアカン責任があったんや。責めたらダメやで咲ちゃん」
咲「…そう、ですね。お姉ちゃんにだって、考えがあったんだよね…ごめん…」
照「あ、荒川さん…ありがとう」ジーン
憩「ええって、妹に嫌われるのは嫌やろ?」
照「う、うん…」
和「…あれ?」
和(ナンバー1…原村和を確認しました…)
和「…そんな…照さんまで…」
咲「どうしたの、和ちゃん?」
和「いえ、なんでもないんですよ、咲さん」ニコッ
『30分後に表彰式を始めます。出場者はホールに集合してください。繰り返します、30分後に…』
和「くくくく…」
和「ふふふふふふ…」
和「あははははははは!やりました!ついにやりましたよ!」
和「目の上のたんこぶだったお義姉様がSNSを去り、咲さん争奪戦の参加者は私だけ!完全勝利です!」
和「荒川憩は多少邪魔ですが、なに、私の愛にいつか咲さんは答えてくれます!つまり、これで咲さんと結ばれたも同然!」
和「笑いが止まらないとはこのことです!あはははははははは!」
ガチャン
和「へ?」
警察「警察だ。小走やえへの傷害の疑いで貴様を逮捕する」
和「な…しょ、証拠は残していないはずです!」ジタバタ
警察「荒川病院のセキュリティを舐めるな!貴様の姿が防犯カメラと別の高性能カメラに映っていたんだよ!1000分の一秒の瞬間までとれる最新式だこらああ!」
和「100分の一秒程度しかカメラには映らなかったはずなのに!何たる失態…」ガクッ
照「あ、荒川さん…この後予定はある…?」モジモジ
憩「ん~、特にないな。もう遅いから一日泊まって、明日帰るだけや」
恭子(よっしゃ、そしたら一番近いのは私や!てゆうか、姫松の団体行動から抜け出して一緒に帰ったる!)
照「な、なら、うちの祝勝会に参加しない…かな?」
憩「ええんでっか?部外者ですよ?」
照「そ、その方が盛り上がるだろうし…」
咲「…そういえば、龍門淵でも私たちのお祝いをしてくれるんじゃなかったっけ、衣ちゃん?」アイコンタクト
衣「うむ、こちらは元々他校を招いてのものだ。憩が参加しても全く問題ないぞ」アイコンタクト
豊音「私も行っていいのー?」
衣「無論だ」
憩「そんならそっち行った方がええかな。せっかく誘ってくれたのにごめんな照さん」
照「ま、待った!私もそっちに参加する!」
淡「じゃあ私もー!」
久「ダメに決まってるでしょ、淡はまだしも、あんた抜きで白糸台は何を祝うのよ?」
照「えっと…咲-Saki-の新刊の発売祈願?」
恭子「アホか。とりあえず、日程変更を打診するのが筋やな。本人がつかれたとか言って日程変更を頼めば何とかなるやろ」
照「おお、流石ナンバー5」
咲「ナンバー…?」
恭子「何でもあらへん。淡も、こっちに参加するのはそれで許可取ってからやで」
淡「はーい!んじゃ、スミレのとこ行って来るよー!テルー!」
照「うん、善は急げ。出発」
利仙「憩さん、病院の皆様と私どもでサプライズパーティーを企画していたのですが…」
もこ「…」ブツブツ
憩「マジでっか?…それはいかなアカンな…てなわけで、堪忍なみんな」
咲「」アイコンタクト
衣「」リョウカイ
衣「…宴は皆で行う方が楽しい。衣たちもそちらに合流するとしよう」
さきひさとよすえ「「「「賛成」」」」
利仙(くっ…なんというフットワークの軽さ…仕方ありません、拒む理由も作れそうにないですし、受け入れましょう)
もこ(…)ブツブツ
祝勝会
憩「…うちの周りもにぎやかになったもんやなー」
咲「元々にぎやかだったんじゃないですか?」
憩「去年の個人戦までは静かなもんやったわ…そういえば、咲ちゃんへの警報、もう鳴らんな」
咲「警報?」
憩「うちの本能が咲ちゃんを警戒しとったんよ、こいつはヤバい、逃げろ、ってな」
咲「酷くないですかそれ?麻雀だったら憩さんの方が化け物ですし」
憩「大して変わらんやろ自分。ま、今はもうなんの警戒もしとらんよ」
咲「だからなんかよそよそしかったんですね…ショックです」
憩「悪かったって。ごめんな」ナデナデ
咲「むう…子ども扱いして…」
やえ「…大会は無事に終わったか。参加者のうちの誰かの犯行だと思ったが、普通に終わったとなると、私は何のために骨折させられたんだろうな?」
灼「しらな…そんなこともうどうでもい…」
やえ「ま、そうだな。そのおかげでこんなにかわいい恋人に看病してもらえるんだし」
灼「…はい、あーん」
やえ「」パクッ
灼「うう…はずかし…」
やえ「恥ずかしがる灼も可愛いぞ」
灼「ば、ばか…もうしらな…」///
和「出しなさい!私は咲さんと結ばれなければならないのです!!!出してーーー!!!」
警察?「暴れると拘留期限一杯までぶち込みますよー、未成年なんだからおとなしくするですー」
ー槓ー
違うんや…俺は憩さんハーレムじゃなくて咲憩エンドの予定で書いたんや…どこで間違った…?
てなわけで、憩さんの能力思いついて思いつきだけで書きました。染谷先輩のおかげで驚きの速さで書き上げることができました。
早速某まとめに載ってた…のはいいけど前書きキモイって言われた。確かにキモイわ。
書き上げてテンション上がってたんです許してください。
まとめ民は頭おかしいからしょうがない
あいつらと同じの見てると思っただけで気持ち悪くなるからまとめ見るのやめました
乙ー
>>35の部長の四暗刻に誰もツッコんでない件について
原作に糞を塗るようなむこうぶちスレも書いてたがアレもカスだな
>>83
牌が五枚あるのに気づいて直す前は四暗刻じゃなかったんです…五枚あるのとどっちがましなのか…
>>74
はい、ありがとうございます。そう思って精神の安定を保つことにします。
>>85
重ね重ね申し訳ありません。
うん、みなさんありがとうございます。なんかもう百合豚死ねですらの一言ですら安らぎます。
一応咲憩の予定だったのでやや消化不良気味ですから、枕に顔埋めてゴロゴロし終わったらオマケ程度に続き書きます。あんまり期待はしないでください。
オマケ書き終わったんで投下します。
投下が終わったらHTML化依頼出してきます。
咲「えへへ、憩さ~ん」ヒザマクラゴロゴロ
憩「こらこら、危ないからちゃんと座っとき。急に電車が止まることもあるんやで?」
咲「は~い」ゴロゴロ
憩「返事だけは一人前やな…ほら、起きて」
咲「は~い」ゴロゴロ
憩「動く気なしか、もうええわ」ナデナデ
咲「えへへ、憩さ~ん」ゴロゴロ
衣(…くっ、ケイの隣を賭けた大一番で負けるとは…)
透華「はい、衣。エビフライですわ」
衣「あーん」パクッ
透華「ああもう、ソースが口についてしまいましたわよ」フキフキ
衣「衣は自分で食べられるぞ!」フカレテル
透華「そうでしたわね。はい、あ~ん」
衣「あ~ん。もぐもぐ」
純「なあ、国広くん」
一「なにかな純くん?」
純「衣、なんか変わったよな?」
智紀「…身長、体重、スリーサイズに変化は見られない。今朝の測定の結果だから間違いない」
一「そうだね、少し、雰囲気が変わったかな」
純「…荒川憩のおかげ、か」
智紀「また、唾液の味や皮膚の味にも変化はなかった。臭いは言うに及ばず。よって、衣に変化はないと断言できる」
一「そうだろうね。荒川さんに負けたのは、宮永さんに負けたのとはまた違ったみたいだ」
智紀「内面的な変化については荒川憩への好感度の上昇と宮永咲への好感度の減少、特にSNSと呼称されていた謎の精神空間へのアクセス権の喪失はあったものの、お子様ころたんの本質に変化はなく、変わらず愛でることが可能。よって、内面的にも重大な変化はない」
純「うん、智紀、少し黙ってくれ。お前と会話してると思われたくない」
一「…よく首にならないよね」
智紀「ころたんを愛でるためにあらゆる努力をしている。また、欲望の解放はリスクを冒さない範囲にとどめている。原村のようなヘマはしない」
恭子「うう…あの字一色を和了りきれてれば…」
久「てゆうか、あんたカタカタさせてもらえるなら誰でもいいんじゃないの?憩じゃなくて衣とか咲でいいじゃない。厳しいにしても競争率は下がるわよ?」
恭子「咲はええけど、衣ちゃんのはなんか違うんや…ああいう物理的にカタカタさせるんじゃなくてもっとこう、精神的に…」
久「ごめん、全くわかんないわ」
恭子「うう…憩いいい~…」
?(うえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさん)
ーー
?「なあ、恭子どこ行ったかしらんか?」
?「末原先輩なら、東京に用事が出来たってゆーて単独行動やでお姉ちゃん。親戚の法事とかなんとか」
?「なんやそれ?うち聞いてないで?」
京太郎「おい、タコス娘」
優希「なんだじぇ、犬?」
京太郎「龍門淵と風越はまだ分かるとして、なんで荒川さんと末原さんが一緒なんだ?あと、三人掛けを一人で独占すんな、座らせろ」
優希「ここには、のどちゃんの魂がいるんだじぇ。お前はのどちゃんと私の座る席に割り込むのか?」
京太郎「和が実際に居たら座る勇気は全くないが、居ねえからいいだろ。そして質問に答えろ」
優希「のどちゃん、東京に用事があるとだけメールで伝えてきて音沙汰なしだじぇ…」
京太郎「いや、和が心配なのは分かったからホントに座らせてくれ。俺だって雑用でそれなりに疲れてんだから」
優希「仕方ない犬だな、特別に廊下側に座ることを許可するじぇ」
京太郎「はいはい、ありがとさん」
咲「うう…もうすぐ長野についちゃうよ」
憩「着いてええやん。むしろ着かなかったら大問題や」
咲「だって、着いたら憩さんとお別れじゃないですかぁ…」
憩「あはは、別に今生の別れってわけでもないやろ。またすぐ会えるわ」
咲「そう…ですか?」
憩「だって、咲ちゃんは個人戦で代表になるやろ?うちも負けんから大阪代表はうちや、代表同士なら大会で絶対会う」
咲「…そっか、そうですよね。よーし、頑張るぞー!」
衣「簡単に勝てると思うなよ、衣もこれからは個人戦に出るからな!」
憩「おや?衣ちゃんは個人戦には滅多に出んって聞いたけど?」
衣「今の話を聞いたら出るしかなかろう!ケイ、首を洗って待っていろ!」
憩「あははは、挑戦はいつでも受けるわ。じゃ、次はオータムやな」
咲「今度こそ勝ちますからね!絶対勝ちあがって来て下さいね、憩さん!」
憩「うちはそう簡単に負けんよ、なんせ、咲ちゃんに勝っとるからな」ナデナデ
咲「ひゃうっ!?い、いきなり頭撫でるの反則ですよー!」
久「オータムねえ…私は流石に引退しなきゃいけないわね」
美穂子「うえのさんうえのさんうえのさん」
久「美穂子、せめて声に出さないでもらえるかしら?」
美穂子(うえのさんうえのさんうえのさん)
久「上出来よ」
恭子「それ、言うこと聞くんやな…」
久「ある程度はね」
咲「じゃあ、私たちはここで。オータムで会いましょう」
憩「あ、咲ちゃん、ちょっとこっち来て」
咲「…はい?」テクテク
憩「なあ、咲ちゃん…」
咲「え…あ、あの、憩さん、顔が近いです!?」
憩「」チュッ
咲「!!!!???」
衣「」
恭子「」
憩「オータムでうちに勝てたら続きしたるから、頑張ってな」
咲「け、憩さん待って、い、今の!!!???」
憩「次はほっぺじゃなくて口と口やでー」
咲「ひゃううう!!!!?」プシュー
和母「よって、無罪を主張します」
裁判官「せやな」
和「助かりました。持つべきものは腕利きの母ですね」
和父「和、やはり麻雀はお前に悪影響しかない。約束を反故にして悪いが、東京に転校してもらう」
和「なっ!?」
和母「当たり前でしょう!傷害で告訴されるとか何やってるのあなた!?」
和「そんな…咲さん!咲さああああん!!!!!」
槓
前書きより叩かれたことをスレで報告してることの方が気持ち悪いぞ
慰めて欲しいのか?wwwwwwって思ってしまうな
ss自体は面白かったので今後も期待してます
>>102
落ち着いてから見ると確かにそうですね。
せっかく書いたものなので作者の言動でSSを潰すのは避けたいです、今後はもう少し落ち着きたいと思います。
ご指摘ありがとうございます。
そして、なんか直す前は大丈夫だったとか言ったけど直す前でも部長の四暗刻は四暗刻だった。ツモ対対なんだから当たり前だわ。穴掘って埋まってきます。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません