絵里「穂乃果、誰にでもそういうことを言うのはやめなさい」 (161)

――音ノ木坂学院前


海未「お父様もきっと疲れていたんですよ」

穂乃果「その後ね、お父さんがお風呂で寝ちゃってね」

ことり「それ危ないんだよぉ……あっ! 」

海未「どうかしましたか?」

ことり「あれ絵里ちゃんじゃない?」

穂乃果「えっ! どこどこ!」

ことり「ほら、あの信号のところで音楽聴いてる人」

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穂乃果「えっりちゃ~~~~~~んっっ!!!!」 ダッ

絵里「~♪」

ぎゅっ!

絵里「ぅわっとお! な、何……? ……って穂乃果じゃない!」

穂乃果「絵里ちゃん久しぶり~~?」ぐりぐり

絵里「よしよし……ふふっ、先月以来かしら?」

ことり「はぁっ、はぁっ、穂乃果ちゃん速い~っ」

海未「急に走ったら危ないですよ、穂乃果! 絵里、こんにちは」

絵里「ハイ海未、ことり、こんにちは。学校終わるの早いのね」

てすと
?

穂乃果「何言ってるの絵里ちゃん、明日は穂乃果たちの文化祭だよ」

海未「前日準備というわけです。ちょっと買い出しにと思いまして」

絵里「あら、もうそんな時期なのね! これはうっかりしてたわ……」ムム

穂乃果「絵里ちゃんこそこんな時間にどうしたの?」

絵里「大学生っていうのは平日にお休みがあったり、午前中だけだったりするのよ~」

穂乃果「ず、ずるい!」

ことり「穂乃果ちゃんだって来年なる予定でしょ」アハハ

絵里「でも海未、あなた達生徒会のお仕事もあるんじゃない?大丈夫なの?」

海未「ああ、絵里は経験者でしたね。そうなんですよ……」

絵里(これはチャンスかしら?)

絵里「ちょうど暇してたし、手伝おっか」

海未「いいんですか……? しかし私たちだけでやらないと申し訳ないというか」

絵里「だーいじょうぶ♪ 実は私たちの時も先輩に手伝ってもらってたのよ」

ことり「ほんと!? 助かるよ~絵里ちゃん!」

穂乃果「ありがとー、絵里ちゃん!」

海未「すいません、クラスと生徒会のお仕事が結構な負担で……では頼らせて頂きます」

絵里「うんうん、絵里お姉さんに任せなさいっと」

絵里「じゃあ分担は私と穂乃果が買い出し、海未とことりが校内見回りってことで」

ことり「(・8・) ?」

海未「……」 ジーッ

絵里「な、なによ……そういう仕事は穂乃果あんまり上手くないでしょ」

穂乃果「さりげなく酷いよ?」

海未「まあいいでしょう。お願いする側ですからね。穂乃果、お使いの紙持ってますね?」

穂乃果「うん!持ってるよ。じゃ絵里ちゃんいこっか」

絵里「ええ、行きましょ」

ナニカウノー? エットネー


ことり「……海未ちゃん良かったの?」

海未「決勝の後も卒業式の後もヘタれた絵里です。心配いりませんよ」

ことり「海未ちゃんもさりげなく酷いよね……」

――スーパーマーケット


絵里「紙コップの補充にシュガースティック、模造紙の追加…これでOKね」

穂乃果「……」ジーッ

絵里「な、なぁに穂乃果」

穂乃果「いやあ、絵里ちゃん綺麗だなあって」

絵里「クッ……あ、ありがとう?」

絵里(この娘はいつもいつもサラっと……!)

絵里「……それにしても穂乃果たちは喫茶店をやるのね。定番でいいじゃない」

穂乃果「でしょ? ことりちゃんとこのメイド喫茶が楽しかったよって提案したら、みんなも乗り気になってね~」

絵里「じゃあまたメイド喫茶?」

穂乃果「んーん!今度は流行りの執事喫茶!」

絵里(えっ行きたい)

絵里「ほ、穂乃果も執事やるのかしら」

穂乃果「もっちろん!それにお店の秘伝の茶葉も特別におすすわけして貰ってね~結構本格的なんだよ」

絵里「……」ゴクリ

穂乃果「あ、ちゃんとお金は払ってるよ?」

絵里「あ、いやそうじゃなくてね」

穂乃果「絵里ちゃんも来てよ!穂乃果サービスしちゃうよ~♪」

絵里「! 行くわ!」

穂乃果「ホント!? やったっ!」ぴょんぴょん

絵里「あ、暴れないの、もう」デレッ

絵里「でもしまったわ…土曜日は必修の語学の授業があるのよね」

絵里「ロシア語が土曜一限にしかないのよ?ちょっと酷いと思わない?」

穂乃果(去年まで土曜日に学校来てたんだから変わらない気もするけど……)

絵里「大学も山の上で遠いし……」

穂乃果「うーん、でも日曜日だけでも嬉しいよ。待ってるから来るときメールお願いね。穂乃果がお相手します!」

絵里「お相手!? ハラショー!」


オカイアゲ、アリガトウゴザイマシター

――音ノ木坂学院前


穂乃果「今日は荷物まで持って貰って、ホントありがとっ」

絵里「いいのよこれくらい///」

絵里「でも折角穂乃果に会えるのに日曜もちょっとしか話せないってのが残念」しょぼん

穂乃果「絵里ちゃん……」ぱああっ

穂乃果「えーっと、穂乃果午前中でシフト終わりなの。それでね」

穂乃果「絵里ちゃんさえ良かったら、だけど…ほ、穂乃果と一緒に午後まわりませんか!?」

絵里「穂乃果……」ぱああっ

絵里「まわるわっ!是非まわりましょう!」

絵里「去年は私も穂乃果も忙しくて一緒にまわれなかったのよね」

穂乃果「そうそう。穂乃果ね、絵里ちゃんといつか一緒に文化祭まわれたらなって思ってたんだ」

絵里「え……それって」どきっ

穂乃果「?」

絵里「な、なんでもないわ。た、楽しみにしてるわね。とっても」

穂乃果「うん!穂乃果も楽しみ!」

絵里「それじゃ、また明後日ね。お仕事頑張って」

穂乃果「はーい! 絵里ちゃんもロシア語頑張ってね~!」

エエ、ガンバルワ~!


穂乃果「えへっ……幸せ」ポソッ

>>2

穂乃果「えっりちゃ~~~~~~んっっ!!!!」 ダッ

絵里「~♪」

ぎゅっ!

絵里「ぅわっとお! な、何……? ……って穂乃果じゃない!」

穂乃果「絵里ちゃん久しぶり~~♡」ぐりぐり

絵里「よしよし……ふふっ、先月以来かしら?」

ことり「はぁっ、はぁっ、穂乃果ちゃん速い~っ」

海未「急に走ったら危ないですよ、穂乃果! 絵里、こんにちは」

絵里「ハイ海未、ことり、こんにちは。学校終わるの早いのね」

――絵里自室


亜里沙「お姉ちゃん、お風呂空いたよー」コンコン

絵里「わかったわー♪」

亜里沙「? お姉ちゃん、何かご機嫌だね」

絵里「わかる?

絵里「あのね、穂乃果に文化祭デートを誘われちゃったのよー!」

亜里沙「ほんと?!ハラショー…今度こそ告白出来るといいねっ」にこっ

絵里「……亜里沙もヘタレだって思ってるんでしょう」ずーん

亜里沙「!?」

絵里「わかってるわ……希やにこが散々そう言うもの……」ずずーん

亜里沙「あっ、そのっ、お姉ちゃん文化祭まわるなら亜里沙のお店にも来てね!亜里沙たちエンニチやるんだ!シャテキとか色々作るから穂乃果さんと来てよ!」

亜里沙「亜里沙も良い雰囲気のサポートするから元気出して?」

絵里「あ、ありさぁ……!」 グスッ ダキッ

亜里沙「きゃっ/// ふふ……お姉ちゃんが勇気を出せますように」なでなで

亜里沙「じゃあお風呂早く入ってね? ファイト!お姉ちゃん!」ガチャッ

絵里「うん……ありがと、亜里沙」


絵里「……ふう」ぼふっ ゴロン

言われなくてもわかっている。

ラブライブ決勝の後、卒業式の後
そうやって先延ばしにしてきたけど結局どれも土壇場で踏みとどまってしまった。

絵里「私に勇気が無いから。今の穂乃果の好意が心地良いから」

絵里「……それを失うのが、怖いから」

自分のことだからわかる。どれも正解
じゃあ、この幸福な関係のままでいいのか?……それも違う

絵里「穂乃果が高校を卒業したら……女子高じゃないもの、色んな人が穂乃果に声をかける。それこそ、男の人だけとは限らないわ」

私だって大学に行ってから何度か告白された。穂乃果がそうならないってどうして言えるんだろう?

絵里「穂乃果の魅力がみんなに知ってもらえるのは誇らしい。でも……もし穂乃果が恋に落ちて付き合うことにしたら」

絵里「……私に止めることはできない」

だって

絵里「穂乃果は私のものじゃないんだから」


絵里「……明日は早いしお風呂はいろ」

10/17 終わり

ありがとうございました。
もし良かったら明日もお願いします。

――リビング


絵里「……」むしゃむしゃ!

絵里「んっんっ……!っぷはあっ!」ごっくん!

亜里沙「お、お姉ちゃん……朝からハラショー」

ドンッ

絵里「よしっ!ごちそうさまっ」

亜里沙「気合い満々だねっ、お姉ちゃん」

絵里「ええ、過ぎたことは気にしたって仕方がないもの」

亜里沙「うんうん、その意気だよお姉ちゃん。それにデートに誘われたんでしょ?ミャク大有りだって」

絵里「そうなのよっ!」

亜里沙「わっ」 ビクッ

絵里「ちょっと落ち込んでたけど、デートってことは穂乃果も私のこともしかしたら……かは微妙だけど、少なくとも嫌われてないわ」ふっふっふっ

亜里沙「穂乃果さんも告白待ってたりしてね♪ ファイト!」

絵里「や、やめてよ……亜里沙も今日の文化祭頑張ってね」

亜里沙「うん♡」

――洗面所

絵里(よく考えたら穂乃果はまだ女子校にいる……これは時間があまり無いことも意味するけど、逆に言えばまだ猶予はあるってこと)

絵里(これに気が付いたことは大きい……!自分の冴えに助けられたわ)

絵里「それに亜里沙の言うとおり告白を待ってるのかも……前に絵里ちゃんになら何されてもいいとか言ってたし」

絵里「決戦は明日……決めてみせるっ!」 ヨシッ!

絵里「大学行ってきまーす!夕方には帰るからー」

ハーイ

――音ノ木坂学院前


絵里(さすがにちょっと疲れたわね)スタスタ

絵里「でも日曜にやる予定だった課題、ゼミ発表のパワーポイントに配布レジュメ……頑張った甲斐あってどれも片づけた」

絵里「これで明日は完全フリー。良い雰囲気になって夜ご飯食べに行くことも……いや、それどころか」


にこ「もー、やめなさいってば」


絵里「!!」 ビックぅ!

絵里「わ、私はまだなにも言っていないわ……!」


にこ「早くあんたはにこ離れしないとダメね~」


絵里「……?」

絵里「あれ、私のことじゃない……? あれは……」 ササッ

絵里「にこ、希まで……それに、穂乃果……?」


穂乃果「だってにこちゃんと会ったの久しぶりだったんだもん!」ぎゅー

にこ「暑苦しいって言ってんのよ!」

穂乃果「にこちゃんにこちゃん!」

希「穂乃果チャン、執事服めっちゃ格好良かったよ~」ぎゅーっ

穂乃果「ほんと!? 嬉しいな~」 キャッキャッ

にこ「ふん…まあまあ決まってたわよ」

希「ウチちょっとドキドキしちゃって一番高いパフェ注文しちゃったくらいやし♡」

穂乃果「ふ・ふ・ふ……穂乃果の売り上げが海未ちゃんに迫ったのは二人のおかげだよ~」

希「何気ににこっちもデラックスパフェ頼んでたし」

にこ「別に穂乃果のためじゃなくて食べたかったのよ!」

にこ「それより団子じゃないんだから三人で固まってどうすんのよ…/// みんな見てるじゃない!」

穂乃果「穂乃果、希ちゃんもにこちゃんも大好きだから、会えないと寂しくって……また遊ぼうね」


絵里「……」くるっ スタスタ

にこ「ふん……別に、毎週のようにメールだの送ってくるじゃない」

希「そうそう、去年ほど会えなくてもウチら繋がってるんよ」

穂乃果「……うんっ!そうだよね!」

穂乃果「じゃあまた今度!希ちゃん!にこちゃん!ばいばーい!!」 ブンブン

希「ほんならねー。明日はとうとう…やろ?」 ニヤリ

にこ「明日こそ頑張んなさいよ、全く」

穂乃果「うん! ファイトだよっ!」

にこ「あんたが頑張んのよ……わかってんでしょーね」

希「まぁまぁ、にこっち」

にこ「はいはい、またね、穂乃果」

――絵里自室


絵里「……何浮かれてたんだろ」

穂乃果にとって仲の良い子を誘うのは普通のことだって本当はわかっていた。

それでも文化祭をまわるのは特別だと思っていたけど、いや、特別なんだろうけど、希やにこと同じ、「μ‘sの仲間」っていう特別だったみたい。

絵里「何よ、勘違いさせる方だって良くないと思うわ……抱きついたり、無条件の信頼を寄せてきたり……」

絵里「好きって、簡単に言っちゃって」じわっ

絵里「……」ふー

絵里「明日に備えて寝ましょ、冷静になれて良かったのよ」

絵里「明日穂乃果にいっぱいご奉仕させてやるわ、こうなったら!」

10/18 終わり

今日もありがとうございました。
明日は学園祭(2日目)

――音乃木坂学院


絵里「なんで!こんな日に限って!寝坊するかなあ!」ゼーゼー

絵里「はぁーっ、寝癖とか付いてないわよね……?」

絵里(ホットパンツにタイツ、セーター。雑誌のコーデのまんまだけど、きちんと着こなせてると思う……よしっ!)

絵里「三年生の教室、久しぶりね……うん?」


ピガッピガッ 『執事喫茶~OTONOKI~』 ピガッピガッ


絵里「いかがわしい!!」

絵里(なにこのネオン看板)ガラッ

「「「お帰りなさいませ!お嬢様!」」」

絵里「は、はぃっ!」

「お嬢様、お待ちしておりました。執事HONOがすぐに参ります」

「お荷物お預かりしましょうか、お嬢様?」

絵里「い、いや結構です」 ヒヤアセ

絵里(にしても盛況じゃない。執事姿もサマになってる)

たったった

???「絵里お嬢様っ!お待たせしました!」

絵里「あら、来たわよほの、ほの……」

絵里「か……」ぽかーん

穂乃果「お帰りなさいっ、お嬢様!ご注文はいかがしましょう!」

絵里「……」

穂乃果「お嬢様?」

絵里「あの、どちら様でしょうか」

穂乃果「? 穂乃果は穂乃果だよ……あっ間違えちゃった」

穂乃果「穂乃果はHONOですよ、お嬢様」

絵里「ほ、穂乃果、なの?」

穂乃果「もー、さっきからどうしたの?」

絵里「いや、その、あんまりに格好良かったから……」

絵里「髪下したのね、それにお化粧まで」 ポーッ

穂乃果「ぅ…お嬢様恥ずかしいですよ」

絵里「ふふ、ごめんなさい。じゃあデラックスパフェと紅茶のセットで」

穂乃果「はーい。ちょっと待っててくださいね、お嬢様♡」

絵里「……ええ、待つわ」ニヘラ


海未「中々良いものでしょう」


絵里「!? い、いきなり話しかけてこないでよ海未ぃ!」

海未「今は絵里専属ですが、これが昨日から大人気でして」

絵里「あんなにカッコいいんだもの当然よ」

海未(なんで得意げなんでしょうか)

海未「親しかった私たちのような人は普段とのギャップにやられ、頼れる生徒会長としてのイメージが強い下級生たちには需要が合致……これがウケて大忙しですよ」

絵里「そういう海未も大人気なんでしょ。ポニーテール、素敵よ」

海未「もう、あんまり見ないでください…」いじいじ

絵里「あれ、というか…専属?」

海未「ええ、この前のお礼も兼ねて絵里専属です。存分にお楽しみください」

絵里「」ゴクリ

穂乃果「パフェ一丁お待たせしましたー♡」

絵里「あ、ありがとう」

穂乃果「あーん」

絵里「」

穂乃果「はい、お嬢様あーん♡」

絵里「あ、あーん?」ぱくっ

穂乃果「どう?美味しい?このパフェあんこも入れてるんだよ~」

絵里「え、ええ斬新ね」

穂乃果「ふふ~」にこっ

穂乃果「はい、あーん」

絵里(どうしよ…味がわかんないくらい幸せ)もぐもぐ

穂乃果「お嬢様、ここでは何でも穂乃果に命令していいんですよ?」

絵里「なんでも!?」

穂乃果「はい、穂乃果は執事ですから。なんでもどうぞ」ずいっ

絵里「そ、その顔で迫らないで……///」ぐいっ

絵里「なんでも…じゃ、じゃあ私があーんしてもいいかしら」

絵里「はいっ、あーん!」

穂乃果「で、でも穂乃果執事だし……」

絵里「いいの!/// はいっあーんっ」

穂乃果「あーん……うんっ美味しいねっ///」

絵里「良かった……はっ!」

絵里(か、間接キッスだこれ…恥ずかしい……っ)

穂乃果「あっお嬢様口にクリームが」

絵里「え、どこかしら」あせっ

すっ

絵里「あっ///」

絵里(穂乃果の指がクチビルに触れて……っ)

穂乃果「……。はい、とれましたよ」ぺろっ

絵里「~~~~っ!!!///」カーッ

穂乃果「お嬢様?顔が赤いですが大丈夫ですか?」

オデコピトッ

絵里「あ、ああっ、お!お手洗いどこかしらー!?」 バッ

穂乃果「お手洗いならこっちです。さ、お嬢様」

絵里「あ、ありがとう」

絵里「ってちょっと!女子トイレに入ってくる執事がどこにいるのよ!」

穂乃果「あ、ごめーんつい」えへっ


海未「……見ていてこっちまでむず痒くなるんですが」

――廊下


穂乃果「それじゃ絵里ちゃん、もう少しでシフト終わりだからそれまで待っててね~」

絵里「わかったわ、校門で待ち合わせね」 ゲッソリ

絵里(そうだった……穂乃果ってば役になりきると歯止めが効かないんだった)

穂乃果「……穂乃果、絵里ちゃんみたいなお嬢様にお仕えする人生も良かったなって思ったよ♪」こしょっ

絵里「!?」

穂乃果「本日はありがとうございました♡」ちゅっ

絵里「」

穂乃果「またねっ!」

絵里「」ほっぺサスサス

――校門前


絵里(時間どうやって潰そうか考えてたけど……見知った後輩たちとお喋りしてたらあっという間にお昼過ぎになっちゃった)

絵里(あの頃の壁を作っていた私からしたら考えられないわね、ホント)くすっ

絵里(あの子に会って、μ‘sに入って)

絵里「本当に良かった……さて、穂乃果はどこかなっと、ん?」

絵里「……」


お姉さんA「ねえ、穂乃果ちゃんいいでしょ?!」 キャッキャ

お姉さんB「やだ~超かっこいいじゃない~」 ウフフ~

穂乃果「も、もう穂乃果照れちゃうよ……」えへっ

お姉さんA「もう上がりか~執事さんにご奉仕されたかっかな、うりうり~」ぎゅっ

お姉さんB「せめて写真とろ~はいっ、チーズ!」

ぱしゃっ ブイッ!

お姉さんA「……ねっ、最後にもう一回アレやってよ!」

穂乃果「えー……約束あるから本当に最後ですよ。……お嬢様、いってらっしゃいませ」 キリッ アゴクイッ

「「きゃ~~~~~~っ!!!!!!」


絵里「……なにやってんのよ、あなたたち」じとっ

お姉さんA「おっ絢瀬じゃん!ははーん、ふぅ~ん」 ニヤニヤ

お姉さんB「待ち人って絵里だったのね~」 ウフフ

絵里「ぐっ……/// 行くわよ穂乃果!」 スタスタ

穂乃果「あっ学園祭楽しんでくださいね~っ!それじゃ……まってよ絵里ちゃ~ん!」

――屋台エリア


穂乃果「雪穂たちの縁日面白かったね、絵里ちゃん」

絵里「……そうね」じとっ

穂乃果「はい、景品の駄菓子どうぞ♪」

絵里「……ありがと」むっすう

穂乃果「ダメだよ絵里ちゃん、イライラ棒クリアできなかったからって怒っちゃ」

絵里「違うわよっ!」

絵里(お昼の穂乃果、ナンパされて嬉しそうだった気がするわ、ええ絶対)

穂乃果「あ、焼きそば売ってるから食べようよ」

穂乃果「お財布出すからちょっとスマホ持ってて」 ゴソゴソ

絵里「確かにちょっとお腹すいたわね…そういえば朝バタバタしてて朝食べてないのよね」

絵里「お昼食べるのも忘れてたし」

穂乃果「ええっ!先に言ってよ!穂乃果向こうで他のも買ってくるから!」 ダッ

絵里「まあ穂乃果のとこでパフェ食べたけど、って穂乃果ぁっ!……行っちゃったし」

絵里「携帯忘れてるじゃない、あの子ったら……あら、コレは」

絵里「ストラップ……」じーん

絵里(これ、穂乃果の進級祝いにあげた私の手作りの……今も使ってるんだ)

絵里「しかもこの待ち受け……!」

絵里「わ、わ、私だ……!」

絵里「や、やだ、もう穂乃果ったら他の人に見られたら……!」

絵里(嬉しいっ!嬉しいっ!嬉しいっ!なんで!?なんで待ち受け!?)


穂乃果「お待たせーっ!チュロスと飲み物買ってきたよ~」

絵里「あ、穂乃果」 デヘ

穂乃果「な、なにその顔……あーっ穂乃果の携帯勝手に見ないでーっ!///」

絵里「ぅえ!? ご、ごめん……でも画面最初からこうだったのよ」

穂乃果「恥ずかしいって、もーっ!」ぽかぽか

絵里「いたっ」

絵里「ご、ごめんってば」 ニ、ニヤ…

穂乃果「!? その顔やめてーっ///」

絵里「……なんで私が待ち受け?」

穂乃果「うっ/// 絵里ちゃん綺麗だし、それに……」

絵里「それに?///」わくわく

穂乃果「もうっ、いいでしょこの話は!チュロス食べよ!」ぷいっ

絵里(かわいいぃ!ほのかわいいぃ!)

穂乃果「あ、そういえばチュロス買う時にね」

絵里(どうしよう……私の待ち受けも見せちゃおうかしら、ほの待ち受け)

絵里(お揃いねって…♡)

穂乃果「執事さんカッコいいからってオマケで増量してくれたんだ~♪」ホメテ?

絵里「……」

穂乃果「すごいでしょ~?」

絵里「……なにデレデレしてるのよ」ボソッ

穂乃果「絵里ちゃん?」

絵里「ふんっ! ほら、もう買う順番よ」ぷりぷり

穂乃果「う、うん」

絵里(全く!穂乃果は!すーぐ餌貰ってところ構わず尻尾振るんだから!)

絵里(縁日の時だって!オマケで貰ったうまい棒ぐらいではしゃいじゃって!)

――ベンチ


穂乃果「絵里ちゃんなに怒ってるのー?」モソモソ

絵里「別に怒ってなんかいません」モグモグ

穂乃果「怒ってるよー」 シュン

穂乃果「……でも今年は去年よりも人が増えてる気がして嬉しいな」

絵里「そうね、μ‘sが少しでも貢献した結果だと思うとやっぱり誇らしいわ」

穂乃果「穂乃果ね、生徒会長としていっぱい人がいるのも嬉しいよ。でもそれ以前に音ノ木坂が好きだから、嬉しいんだ……」

絵里「……」なでなで

穂乃果「くぅーん♡」

絵里「でも頑張ったわね、本当に。生徒会もそうだけど、生徒みんなが」

穂乃果「ねー。一年生なんてみんなで縁日だよ?射的にヨーヨー、ピンボールにクジ引き、イライラ棒……」

穂乃果「他にもたくさん。今年のMVPは一年生で決まりかな」

絵里「あら、真姫たちの演劇も本当に良く出来ていたもの、まだわからないわ」

穂乃果「執事喫茶だって負けてないよ!各部の屋台エリアだって!」

絵里「もちろんよ。……ねえ穂乃果、今年も学園祭楽しかったかしら?」なでなで

穂乃果「うん!」

穂乃果「お店でいっぱい指名されちゃってね~」

穂乃果「海未ちゃんには流石に勝てなかったけど堂々の二位だったんだよ!穂乃果大人気だったんだから」ふふん

絵里「……へー」 ピタッ

穂乃果「高坂先輩のことこれから穂乃果先輩って呼んでいいですか?とか、これ貰ってください、とかプレゼントまで貰ってねえ」 フフー

絵里「…………それは良かったわね」 ベキョッ

穂乃果「あとはーって絵里ちゃんペットボトル潰れてるよ」

絵里「知らないっ」

絵里「……」 グスッ

絵里(イライラしてもいいことないってわかってるわ……でも)

絵里(デートで喜んでたらにこと希も誘われてた、来てみれば相変わらず穂乃果は誰彼かまわず懐いてる……こんなのってないわ)

絵里(……今の私といても穂乃果は楽しくないでしょうし、用事があるって言って帰ろうかな)ハア

穂乃果「あとは……絵里ちゃんと一緒に遊べたのが一番嬉しかったな」

絵里「えっ……」 クルッ

穂乃果「えへ……ほら、穂乃果と絵里ちゃんが知り合ったの去年でしょ?仲良くなれたのも遅かったし」

穂乃果「絵里ちゃんにご奉仕して、可愛いかっこいい絵里ちゃんと学園祭まわって……出会う前を埋められたみたいで楽しかったんだ。来てくれてありがとっ!絵里ちゃん」

絵里「……穂乃果ぁあ」ぎゅっ

穂乃果「おっと!……うふ、絵里お嬢様は甘えん坊だねえ」ぎゅっ

絵里「……うるさいわよ」ぎゅーっ!

穂乃果「穂乃果ね、こんな素敵な人といつまでも一緒にいられたらなって思ったよ」

絵里「!?」きゅん♡

穂乃果「こんな人と結婚できたら幸せだなって」

絵里「あ……」

絵里「わ、わたしもっ、今日は」 ガバッ!

穂乃果「なんてね!さ、あとちょっとだけ見てまわろ!」にぱっ

絵里「あ、え、ええそうね」どきどき♡

絵里(もしかしてこれ脈あるんじゃない…!)

穂乃果「穂乃果最後に弓道体験コーナー行きたいなあ」


絵里(行くわ……この後、告白、しよう)

――弓道場前


穂乃果「ふーっ、絵里ちゃん弓道も筋あるんだね」

絵里「穂乃果だってあの格好で結構ズバズバ当ててたじゃない」

絵里(かっこよかったわ!)

穂乃果「穂乃果はたまに海未ちゃんから教わってたからね」

絵里「なんだかんだで全部まわったのかしら」

穂乃果「クラスと部活自体はあんまり数ないからね」

絵里「どこも楽しそうにやってて良かったわ…」ボーッ

絵里(よし、もう告白から逃げない……っ)ドックンドックンドックン

絵里(心臓……うるさいくらい)ドキドキドキドキ

穂乃果「そろそろ穂乃果、終わりの挨拶しにいかなきゃ」

穂乃果「今日はありがとっ!一番高いパフェまで注文してくれて!」

穂乃果「穂乃果の売り上げにとっても貢献してくれました!」

絵里「どこのホストよ、あなたは……」

絵里(うっ……なんだか普通にイメージできて怖い)

穂乃果「えー」キャッキャ

絵里(それにパフェなら私じゃなくてもいいじゃない……ってネガティブ思考はダメ)

穂乃果「でも穂乃果は穂むらの看板娘だから、売上は大事なんだよー」

絵里(よしっ……!)ドックンドックンドックンドックン!!

絵里「穂乃果、あのねっ!今日は私穂乃「あっそうだ絵里ちゃん!」


穂乃果「絵里ちゃんの大学共学でしょ?付き合ってる人とか出来た?」

絵里「ぇ…………」

穂乃果「ほ、ほら絵里ちゃん女子高でもモッテモテだったでしょ?」

穂乃果「だから絵里ちゃんならきっと大学でもお付き合いしてる人いるんだろうなーって」

絵里「…………」

穂乃果「ねっ、どうどう?絵里ちゃん羨ましいな~」 ズイッ

絵里「……なによ、それ」

穂乃果「ど、どうしたの?」


絵里「……!」じわっ

絵里(脈があれば……こんなこと気軽に聞かれない)

絵里(私がもし、いるって言っても普通に穂乃果は)

絵里(さすがは絵里ちゃんだね、とか言うんだろうな)

絵里「うっ…」 ポロッ


どうしてこうなるんだろ、いっつも


穂乃果「え、絵里ちゃん…!?どこか痛いの?」おろおろ

穂乃果「あの、保健室はあっちだからはやく……!」 ぎゅっ

ぱしっ

穂乃果「えっ……」

絵里「大丈夫、大丈夫だから、穂乃果」

穂乃果「でもっ」

絵里「……ねえ、穂乃果」

絵里「穂乃果は私のこと、好きかしら」

穂乃果「……!」

穂乃果「……うん、穂乃果は絵里ちゃんのこと好きだよ」

絵里「そう……」

わかりきってる答えだったけど、でも

絵里「でもその好きは、私の好きとは違うわね」

穂乃果「……それって」

絵里「ごめんなさい、穂乃果。ちょっとこの後仕上げなきゃいけない課題があったの」

絵里「今日は本当にありがとう。エスコートとってもスマートだったわよ」

穂乃果「う、うん……」

絵里「閉幕の挨拶しっかりね、また今度良かったら遊びましょ」

穂乃果「え、絵里ちゃんっあのっ」

絵里「μ‘sのみんなも誘えばきっともっと楽しいわ……それじゃ」 ダッ




絵里「…………」グスッ

絵里「ぅ……うう……」ぽろぽろ

絵里「消えて、無くなりたい……」ぽろぽろ

・・・


亜里沙「お姉ちゃーん」コンコン


亜里沙「ご飯、食べないと……」ガチャ

絵里「………ごめん、ちょっと食欲ないの」

亜里沙「……わかった」

亜里沙「冷蔵庫入れとくね?」 パタン


絵里(……明日は大学、休もう)

絵里「…………ヒッ、ヒグッ……ぅ、えぇぇ……」ぽろぽろ

10/19 終わり

今日もありがとうございました。
ただでさえごちゃっとしてるのに明日はより量があります、すいません。
付き合って貰えると嬉しいです。

――絵里自室


亜里沙「お姉ちゃん、もう朝だけど……起きてる?」

亜里沙「亜里沙は今日振替休日でお休みなんだ」

絵里「……ごめんなさい、体調が悪いから休むわ」

亜里沙「…………」

亜里沙「朝ごはんも、ラップして冷蔵庫入れておくよ?」

絵里「……ありがとう」

パタン

絵里「……眠れなかったな」

絵里(亜里沙……何も聞いてこないのね)

絵里(告白するって言っちゃってたし……気を使ってくれたのね)

絵里(実際は告白すら、出来なかったんだけど)

絵里「…………ぅうっ」グスッ

絵里(告白する前に終わるって本当にあるんだ)

絵里(これでいいのよ……玉砕が決まってるのに告白したら、もう二度とあの笑顔が見れなくなるかもしれない。あの心から笑う、私が好きだった穂乃果を)

穂乃果には悪いことをした。

些細なことでイライラしちゃったり、忙しかった穂乃果に専属で相手して貰ったり
どれもこれも、特に深い意味の無い好意のサインを私が舞い上がったのが原因なんだろう

人に信頼されたかったら、まずは人を信用しなきゃいけない
簡単なようでとても難しいことを意識せずにやってのけるあの子は、多くの人に愛されている。

そんなあの子を、「みんなの」穂乃果を、独り占めにしようと思うことがまず間違いだったのか

誰にでも簡単に好きって言う穂乃果を見ると胸がチクチクして
だけども私が心から憧れて好きになったのはそういう穂乃果で

絵里「ほんと、上手くいかないわ……ひぐっ」ぽろぽろ

明日からは普通に穂乃果と喋れるように


絵里「……今日はもう一日寝よう」

>>77
ミス送信


穂乃果には悪いことをした。

些細なことでイライラしちゃったり、忙しかった穂乃果に専属で相手して貰ったり
どれもこれも、特に深い意味の無い好意のサインに私が舞い上がったのが原因なんだろう

人に信頼されたかったら、まずは人を信用しなきゃいけない
簡単なようでとても難しいことを意識せずにやってのけるあの子は、多くの人に愛された。

そんなあの子を、「みんなの」穂乃果を、独り占めにしようと思うことがまず間違いだったのか

誰にでも簡単に好きって言う穂乃果を見ると胸がチクチクして
だけども私が心から憧れて好きになったのはそういう穂乃果で

絵里「ほんと、上手くいかないわ……ひぐっ」ぽろぽろ

明日からは普通に穂乃果と喋れるように


絵里「……今日はもう一日寝よう」

――絵里自室


げしっ げしっ

絵里「んっ…?」ふぁーあ

絵里「……もうこんな時間?」 ボケー

絵里「……さすがにお腹すいたわね」

にこ「なーにがお腹すいたわね~よ、アンタ!」げしっ

絵里「ぁだっ!……!? な、なにするのよにこ!」

絵里「え、にこ?……なんで?ここ私の部屋なんだけど……」

にこ「亜里沙ちゃんに聞いたら、お姉ちゃんをお願いしますって通してくれたのよ」

にこ「電話しても出ないからわざわざ来たのよ、感謝しなさい」ふんっ

絵里「で、電話?何か用があったの?」ごしごし

にこ「絵里が大学サボったって聞いてね、ちょっと言ってやろうって思ったの」

絵里「……サボってないわ、ちょっと風邪引いたのよ、心配かけて悪かヘプウッ!」

げしっ

にこ「そーいうのいいから」じとっ

絵里「……すいません」

にこ「で、何よ絵里、穂乃果と喧嘩でもしたの?」

絵里「な、なんでそこで穂乃果が出てくるのよ」 ズキッ

にこ「別に、ただ土曜日に会った穂乃果が、明日絵里ちゃんと遊ぶんだーとか嬉しそうに話してたのに、次の日になって相談してきたから」

絵里「相談?」

にこ「ええ、穂乃果が無神経なこと言ったから絵里ちゃんのこと怒らせちゃったって」

絵里「!」

絵里「そんなわけないわ!あり得ない!ぁだぁっ」

げしっ

にこ「にこに言ってどーすんのよ、ったく本人に言いなさいよ」

絵里「ぅぐっ」

にこ「はあ……で、穂乃果と何があったのよ」

絵里「にこには関係ないでしょ」ぷいっ

にこ「……」 ギロッ

絵里「ひっ!?蹴らないで!」

にこ「あのねぇ、絵里の恋愛相談に何回希と付き合ってやったと思ってんのよ。本当に蹴り飛ばすわよ」

絵里「う……ごめん……」

にこ「わかればいいの」

絵里「……その、日曜日に学園祭に行って……」


・・・

・・・


にこ「あんた、ほんっっっとうに馬鹿ね!!」

絵里「な、なによ!そんな言い方はないでしょう!」うるっ

にこ「ウダウダ泣き言抜かした割に、要は今回も告白し損ないました、じゃない!」

絵里「!?ち、ちがっ、いや、あってるけど今回は違くて!」

にこ「それもう聞いたわよ」

にこ「つまり、告白前に穂乃果が絵里のことを恋愛的に好きじゃないってわかってしまったからやめたんでしょ」

絵里「……そうよ」

にこ「本気? だから馬鹿だって言ってんのよ」 ハー

絵里「なん、で?」

にこ「なんで?呆れた、告白するのに成功するかどうかって二の次でしょ」

絵里「……へ?」

にこ「……あのね、絵里」

にこ「自分の胸に手を当てる。そこには抑えきれない想いが溢れてる」

にこ「そんな溢れた想いが急かすのでしょう?愛してると伝えたいと」

にこ「自分の想いを伝いたいから、相手に伝えるのでしょう?だって」

にこ「想いは言葉にしないと相手に届かないんだもの」


絵里「……」 ジワッ


絵里「でも、でもそれは身勝手だわ」ぽろぽろ

絵里「相手を困らせるのがわかりきっているのに告白するのは、それは」

絵里「わ、我が侭でしょう」エグッ

にこ「絵里、あのね」

絵里「穂乃果はそんなの気にしない、でしょ? それでも私は」

にこ「違うわ。しっかりしなさいよ、絢瀬絵里。あなたはμ‘sに入る前、どんな生き方をしていたの?」

にこ「そして、穂乃果に出会って、μ’sに入ってどう変わったの?」

絵里「どうって……」


にこ「『やりたいからです』」


絵里「あ……」

にこ「やりたいからやる、そう穂乃果が絵里に言ったんじゃないの?」

絵里「……」ぽろぽろ


『こんな気持ち、初めてなんです。やってよかったって、本気で思えたんです。今はこの気持ちを信じたい。このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない。応援なんて全然もらえないかもしれない。でも、一生懸命頑張って、私たちがとにかく頑張って届けたい。いま、私たちがここにいる、この思いを!』

絵里(そうだ……あの時に私は……)

にこ「理事長が絵里には活動を認めなくて、穂乃果たちには許可した理由、わかるでしょ」

にこ「娘とその友達だからなわけがない。その真っ直ぐな想いは同じだったけど、穂乃果たちは自分に嘘をつかなかった、やりたいと思ったことをやっていた。それがただ一つの理由よ」

にこ「絵里、あなたは自分を殺して学校に尽くそうとしていた。理事長がそれを許すはずがなかったのよ」

絵里「……うん…ヒグッ……うん……」

絵里(そう、あの人はとっくに見抜いていたんだって、後でわかった)

にこ「穂乃果はそんなあなたのやりたいことがわかったから、そしてこの後が大事よ、いい?『絵里と一緒に活動したい』と思ったからあの子は諦めずに絵里と向き合ったのよ」

にこ「それこそ、絵里が本当に『迷惑』に感じていたとしてもね」

絵里「ええ……知ってる。誰よりも知ってるわ」

にこ「絵里を臆病とにこは思わない。優しすぎるのよ、絵里は」

にこ「その優しさをもう少し絢瀬絵里に向けてあげて」

にこ「告白したいという気持ちを大事にしてあげて。結果なんて、穂乃果の迷惑なんて、そんなの二の次なんだから」

にこ「そうよ、穂乃果は迷惑だなんて思う子では絶対にないわ。だって高坂穂乃果はきっと誰よりも絢瀬絵里が自分を殺すことを悲しむ人間だもの」

絵里「ぅえ……ヒッ…う、ん」ぼろぼろ

絵里「そ…うね、私は、ほんと……ヒッグ、ほんとうに」ぼろぼろ

にこ「ほら、にこの胸を貸したげる。そんでまた明日頑張んなさいよ」ヨシヨシ

絵里「ぅえぇえええんん」

にこ「思いっきり泣けばスッキリするわ」

絵里「ないでない……ひっく!」

にこ「……あんた何言ってんのよ」

絵里「ないでないっでば!……ぐきゅっ!」


亜里沙「お゛ね゛え゛ぢゃ゛ん゛」ぼろぼろぼろぼろぼろぼろ

にこ「なんで亜里沙ちゃんまで泣いてんのよ!しかも号泣!」

――リビング


にこ「ご馳走様、ご飯美味しかったわよ」

絵里「お粗末さまでした」

亜里沙「亜里沙も手伝ったんですよ♪」

にこ「さっきまで泣いてた子がなんとやらね……そろそろ帰るわ」

亜里沙「泊まっていってもいいんですよ~」

絵里「にこ、今日は本当にありがとう」ぺこっ

にこ「別に、ちょっと複雑な立場上にこが動くしかなかったの」

絵里「立場?」

にこ「なんでもない。それより、絵里。良いことを教えてあげる」

絵里「?」

にこ「これから先、穂乃果に彼氏なり彼女なり、いや、それ以前に好きな人が出来たとして」

絵里「う゛ぐう゛う゛」 フギギ

にこ「なんつー顔してんのよ!!」

にこ(怖いわ!)

ゴホン

にこ「そんな風に悔しがる権利がある人間は告白した人間だけなのよ」

絵里「……」ゴクッ

絵里「逃げずに戦った人間だけがその権利を得るのよ。そうでしょ?挑戦すらしなかった人のそれはただの嫉みよ」

絵里「……うん」

にこ「もっと言えば最初に告白した人だけが本命と戦える資格があるのよ」

にこ「お邪魔したわね、おやすみなさい。絵里、亜里沙ちゃん」

亜里沙「おやすみなさいです!」

絵里「おやすみなさい、にこ。肝に銘じるわ」


ガチャッ……パタン


亜里沙「にこさん、オトコマエだったね」キラキラ

絵里「ええ、あれで友情に厚い子なのよ」 グスッ



にこ(ま、ぜんぶ少女漫画の受け売りなんだけどね)

10/20 終わり
3時間ほどしたら再開します。残りは書き終わっています。

――リビング


絵里「でも本当に泣いたらスッキリするのね」ズビーッ

絵里「……明日の放課後、すぐに音ノ木坂に行かなきゃ」

絵里「……溢れる想いか」

穂乃果と付き合いたい。
穂乃果を誰にも渡したくない。
どれも私の願望だ。

でも、それよりずっと前、心にこんこんと湧き続けていたのはソレじゃない

私の愛する人に自分の大切な気持ちを聞いて欲しい。
私の愛する人に自分の心を偽ったままでいたくない。

絵里(身勝手でも、我が侭でも、伝えたいから伝える)

絵里「よしっ!やるったらやるっ!私はやるっ!」

ぴんぽーん


絵里「あら? もう日付も変わってるのに誰かしら」

絵里「……強盗とか」

絵里「……」 ゾクッ


ぴんぽーん


絵里「ま、まあチャイムなんて一々押さないわよね……」

絵里(それにインターホンで顔見ればいいだけだし)

絵里「はーい、何のご用件でしょうか?」

「あの、夜分遅くにすいません!私っ高坂穂乃果と申します!」

絵里「へっ」

「本当にごめんなさい!どうしても絵里さんにお話したいことがありまして!」

絵里「ちょっ穂乃果!?」

「あ……絵里ちゃんなの?」

絵里「こんな遅くになにやってるのよ……! と、とにかく早く入って!」


・・・

絵里「もう!お馬鹿なんだから!」

穂乃果「ご、ごめんね。こんな夜遅くに……」おどおど

ぐいっ

穂乃果「あうっ」

絵里「ち・が・う・わ」

絵里「もう秋なのよ!夜は寒いんだから風邪ひいちゃうじゃない!」

穂乃果「えっ」

穂乃果(そこなの!?)

絵里「それにこんな真夜中に……穂乃果は女の子なのよ!?」

絵里「襲われたら穂乃果が大変じゃな゛いっ」 グスッ

穂乃果「は、反省してます」

絵里「もう穂乃果なんて知らないわ!」

コトッ

穂乃果(もう知らないのに蜂蜜ホットミルク出してくれる絵里ちゃんって)

穂乃果「……」 ズズッ

絵里「……」

絵里(気まずい、というか)

絵里(もしかして絶好のタイミングかしらね)

絵里(そっか、私、今から告白するんだ……)

穂乃果「美味しかったよ、ミルク。ご馳走様」

絵里(なんでだろ。緊張、全然してない)

絵里「そ、ちゃんと温まった?」なでなで

穂乃果「……う、うん。おかげさまで」えへ

絵里(むしろ清々しい、のかな)

絵里「良かった……」なでなで

穂乃果「ぅう」

穂乃果「あ、あのねっどうしても絵里ちゃんに伝えなきゃいけないことがあって」

絵里「あら、奇遇ね。私もよ」くすっ

絵里「私から話してもいいかしら」

穂乃果「え、っと……先に、謝らせてください」じわっ

絵里「? 穂乃果が私に?」

穂乃果「うん、もういっこ大事な話もあったけど……これは絵里ちゃんの後にする」ぐしっ

絵里「もう。目をこすらないの」なでなで

穂乃果「ぅ……グス……あの、ね……学園祭の時にね」

絵里「うん」

穂乃果「穂乃果、絵里ちゃんに無神経なこと言っちゃってね、そ、それでっ」

絵里「……うん」

穂乃果「え、絵里ちゃんに謝りたくて……嫌われたくなくて……ぇぐっ」

絵里「……うん」

穂乃果「穂乃果、絵里ちゃんのこと好きだから……ひぅっ…き、嫌いにならないでくださいぃ……っ」

絵里「っ……! ほんと、お馬鹿なんだからぁっ!」ぎゅっ

穂乃果「っ…ふーっ……ヒッ……ぅぇ、絵里ちゃぁああん」ぎゅーっ

絵里「やめてよ穂乃果……!」

絵里「……嫌いになんてなるわけがないし、怒ってなんかいないわ。アレは私が勝手に自爆しただけなのよ」

絵里「こっちが謝ることなのよ。嘘ついて帰ったりして、本当にごめんなさい」

穂乃果「じ、自爆……?」ぽろぽろ

絵里「ええ……そのこと、きちんと今から話すわ。あと、」

絵里「好きなんて誰にでも簡単に言っちゃダメよ」なで

穂乃果「……穂乃果、誰にでもなんて言ってないよ?」

絵里「ええ、わかっているわ。穂乃果は素直に好意を感じた人に言っているのよね」

絵里「でもそれで勘違いする人がいたら大変でしょう?」

穂乃果「ぅ、ん?」


絵里「……私みたいにね」


穂乃果「ぇ……」

絵里「穂乃果、どうしてもあなたに伝えたいことがあるの。あなたは困るかもしれない、いえ、きっと悩むでしょう」

絵里「それでも、私は伝えたいの。許してくれる……?」

穂乃果「……」 コクッ

穂乃果「当たり前だよ、絵里ちゃんがしたいことを穂乃果は全力で応援する」

絵里「……ありがとう」ぎゅっ

穂乃果「絵里ちゃんが頼ってくれるのは、穂乃果にはとっても嬉しい」

絵里「……」 スーッ


絵里「……穂乃果、あなたの笑顔が大好き」

穂乃果「! わ、私も絵里ちゃんの」


絵里「……あなたの頑張る姿が大好き」

絵里「……あなたの甘える声が大好き」

絵里「……あなたの優しい心が大好き」


絵里「救う、なんで上から目線の言葉かもしれないけれど」

絵里「私はあなたの心に救われた。あなたの心が曇る時、あなたを救いたいと心から思う。他の誰でもない私が、そう、私が救いたいと思う。あなたのことを、私が、幸せにしたい」

絵里「……穂乃果、私は穂乃果を愛しているわ……もちろん、一人の女性としてよ」

穂乃果「……」 ピタッ

穂乃果「あ、あれっ…?」

絵里「混乱、してるわよね……ごめんなさい」

絵里「でも穂乃果、私どうしてもあなたに伝えたかったの」

絵里「私じゃ……ダメかな」うるっ

穂乃果「ちょ、ちょっと待って、あれれ?」

絵里「えと、穂乃果?」

穂乃果「絵里ちゃん、私の好きと穂乃果の好きは違うって昨日」

絵里「ええ」

穂乃果「……?」

絵里「……?」

穂乃果「でも、穂乃果も好きだよ、絵里ちゃんのこと」

絵里「うん、だからそれとは違う好きなのよ」

穂乃果「えっと、ちょっとこんがらがってきちゃった」

絵里「……無理ないわよ」よしよし

絵里「返事、今すぐじゃなくていいわ。ううん、返事は無くてもいい。私はただ」

穂乃果「……ので、穂乃果の大事なお話をしたいと思います」ぐしぐしっ

絵里「あっ、だから目をこすっちゃダメよ、後で辛いわよ」

穂乃果「ほ、穂乃果の目のことはいいからっ」

穂乃果「絵里ちゃん、その、あの……」スー…ハー…

穂乃果「こ、これっ! 受け取ってください!」バッ

絵里「あ、はいっ!」

穂乃果「……」どきどき

絵里「えと。開けて、いいのかしら?」

穂乃果「……」 コクッ

しゅっ シュルッ


絵里「わぁ……!」

絵里「ハラショー……ピンクがとっても綺麗な花ね……」

穂乃果「う、うん」

絵里「……穂乃果っ! ありがとっ」だきっ

穂乃果「ゎぷっ」もぎゅ

絵里「どうしたのよ、こんな素敵なもの!もしかしてお詫びで持ってきたの?」

穂乃果「……お詫び? あの、さっきのごめんとは違うもので」

穂乃果「その花、胡蝶蘭っていうんだよ」

絵里「胡蝶蘭? あの高くて有名な花!?」

穂乃果「多分……あとそれ、プリザーブドフラワーなんだ、枯れないお花」

絵里「プリザーブドフラワー!……いつまでも、穂乃果の贈り物を鑑賞できる……」

絵里「やだ……」スンッ

絵里「高かったでしょうに……本当にありがとうね、穂乃果……でもなんでまた急に」グスッ

穂乃果「……絵里ちゃん、胡蝶蘭の花言葉は『幸せが飛んでくる』」

穂乃果「絵里ちゃんが、いつまでも幸せでいますようにって」

絵里「穂乃果……」

穂乃果「その中でもピンクの胡蝶蘭の花言葉は特別で……」


『あなたを愛しています』

絵里「ぇ……」

穂乃果「絵里ちゃん、穂乃果ね、諦め悪いから……」ぽろぽろ

絵里(穂乃果……また泣いてる……)ボーッ

絵里(あれ、でも今大事な言葉を聞いたような……)

穂乃果「もう、ふ、フラれちゃったけど……ひぐっ……きちんと、伝えたかったの」グスグス

穂乃果「絵里ちゃん、19歳のお誕生日おめでとう。あなたのことが、好きです!」

……絵里ちゃんさえ良かったら


穂乃果「穂乃果と、付き合ってください……!」 ペコッ


絵里「……」

絵里「はい……喜んで……」ボーッ

絵里「……ん? あれ!?」はっ

穂乃果「う、うそっ……」 ボーゼン

絵里「んん!?」

穂乃果「ほんとに、穂乃果は絵里ちゃんとお付き合いしてもいいの?」ポロポロ

絵里「え、ええ、それは勿論願ってもないというか」

穂乃果「絵里ち゛ゃぁあぁぁあぁぁぁ!!!」ぎゅっ

絵里「よ、よしよし泣かないのよー」なでなで

穂乃果「すんっ……ふぇっ……」 グスッ

絵里(な、なにが起こっているの……?? 私明日死ぬのかしら……??)

穂乃果「ほ、穂乃果ね……ヒック!……おとといフラれたからね……伝えられればそれでいいやってね、それでね」

絵里「さ、さっきも言ってたけどフラれたってなんのことでしょうか……?」

穂乃果「?」

穂乃果「穂乃果が、学園祭の時に告白しようと思ってたら絵里ちゃんに見抜かれて……」


穂乃果「……穂乃果の好きと私の好きは違うって絵里ちゃんが」


絵里「……えっ?」

穂乃果「……?」

絵里「……」チッ チッ チッ


絵里「……あっ」ポーン

絵里「あっそういう……」

穂乃果「絵里ちゃん?どうしたの?」 きょと?

絵里「ぁ、あー、なるほど……あーはいはい……」 ダラダラダラダラ

穂乃果「絵里ちゃん?汗すっごいよ?それに顔色も」

絵里「一つ聞いていいかしらっ!」 バッ

絵里「穂乃果さん私に付き合ってる人いるか聞きましたよね!?あれどういう意味ですか!?」

穂乃果(なんで敬語……)

穂乃果「え、えと。絵里ちゃんに付き合ってる人いたら告白するのはさすがにアレだし」

絵里「……」シロメ

穂乃果「深刻にならないように、なるべく軽く聞き出そうと思って、それで」

絵里「で、ですよね」

穂乃果「でも無神経に聞いちゃったから絵里ちゃん怒らせちゃって、どうしようって」

絵里「……大丈夫、ぜんぶ分かったから。穂乃果は悪くないから」

穂乃果「? なんで? 穂乃果が考えなしだから、それで」

絵里「や、やめて! これ以上心を抉らないでください!」ウウッ

絵里「あぁ……」

絵里「……本当に、ほんっとうにごめんなさい」

穂乃果(土下座!?)

穂乃果「や、やめてよ!どうしたの急に!」

絵里「つまり、穂乃果はこう考えているんでしょう。穂乃果は告白する前に私に交際の有無を聞いた。そしたら私に告白することがバレた。私に、穂乃果の恋愛的に好きと、私の友人的な好きは違うと拒絶された。それでもこ、告白したくて私の家に来た」

穂乃果「うん……違うの?」

絵里「……違うのよ。事実はこう。穂乃果が私に告白する前に交際の有無を聞いた。軽く聞くってことは脈は無いと私が勘違いして帰った。穂乃果に、私の恋愛的な好きと、穂乃果の友人的に好きは違うと告げた。それでも告白したくて穂乃果に告白した」

絵里「こうなんです……」

穂乃果「そうなの!?」 ガーン

穂乃果「えっ、でも絵里ちゃんに告白されてないよ?」

絵里「さっきしたじゃない///! 一人の女性として好きって!」

穂乃果「あれそういう意味!? ど、どうしよ……穂乃果フラれたと思ってたから、アレ後輩として好きとかそんな感じなのだとばかり」アワワワ

絵里「」

絵里(私の、一世一代の告白が、不発……不発だった……)ズーン

穂乃果「どうしよ、告白だったんだ……///」 カーッ

穂乃果「今さら、恥ずかしくなってきちゃった……///」

絵里「おっ、思い出さなくていいからっ///」 ガバッ

ピリッ

絵里(足っ……痺れて……) ズルッ

どてっ

絵里「あたた……」

ふわ…っ

絵里(んっ……いい香り……?)

穂乃果「……っ///」じっ

絵里(穂乃果の顔、こんなに近くに……)ぼんやり

絵里「あっ、お、押し倒しちゃってごめんっ/// すぐ退くからっ」

穂乃果「……」 グイッ

絵里「んっ、……? あれ」

絵里(体、動かない……なんで……?)

ぎゅっ

穂乃果「……」

絵里「……ほ、穂乃果」

絵里「足、どかさないと、私、動けないわ……」

絵里「私の背中で足組んじゃ、立てないわよ……」トクン…トクントクン…

絵里(心臓、うるさいっ、聞かれちゃう…っ!)

穂乃果「……」

ぎゅっ

絵里「―――!」

絵里「だ、抱きついちゃ、ダメじゃない……っ」 ゴク

穂乃果「ぇりちゃん」ポソッ


絵里(むせかえるような、穂乃果の匂い……)


穂乃果「あのね///」


絵里(お互いの胸と胸が、押しつぶされて……)


穂乃果「穂乃果に」スッ


絵里(ねえ、なんで目を閉じるのよ……っ)


穂乃果「……シて」


絵里「~~~~~~~ッ!!」

・・・


絵里「んっ…ちゅっ……はっ」

穂乃果「っ…は、ぁ」

絵里「レロ……んんっ、…っぷはぁ」

穂乃果「ぇ、りちゃん。穂乃果の唇どう?」

絵里「…………最高よ」

穂乃果「良かった……穂乃果初めてだから、へたっぴで、んっ」

絵里「……」チュー

穂乃果「へひひゃん……♡」チュー

・・・


絵里「う……成り行きでファーストキッスを奪ってしまった……」

穂乃果「奪われちゃった……♡」

穂乃果「……絵里ちゃん、穂乃果の目を手で覆ってキスするのは逆にエッチだと思うんだ」

絵里「!? は、恥ずかしかったのよ!」

穂乃果「なんか奪われてるって感じがすごくて……舌、入れるし」

絵里「!? い、入れてないわよ!気のせいよ!」

絵里(覚えてない……)

絵里「でも本当にごめんね、勘違いで振り回して……」ぎゅっ

穂乃果「んーん、穂乃果も勘違いしたんだもん、お互い様だよっ」えへー

絵里「……いつぞやのやりとりみたいね」くすっ

穂乃果「それに絵里ちゃん誕生日なんだから、もっと偉そうにしていいんだよ」

絵里「どんな理屈よ、それ」ウフ

絵里「……え、誕生日?」

穂乃果「違うの?だから穂乃果、誕生日プレゼント買ってきたんだけど……」

絵里「あ、そういえばさっきそんなこと……」

絵里「……」ばたっ

穂乃果「絵里ちゃん、重いー!」

絵里(どれだけ余裕無かったのよ、私……)はーっ

絵里「……お花、ありがとう。一生大事にする」

穂乃果「……うん」

穂乃果「じゃあ改めてお誕生日、おめでとう。大好きだよ、絵里ちゃん……もちろん愛してるの意味で」

ぎゅっ

絵里「祝ってくれてありがとう。私も大好きよ、穂乃果。もちろん愛してるの意味でね」

おわり!

これより後日談

『出歯亀』


亜里沙「…………///」じーっ

亜里沙「お姉ちゃんと穂乃果さん……きっす……ハラショー……」

亜里沙「邪魔者は、タイサンしますっ」

そーっ、そーっ、そーっ、ガゴッ

どてっ

亜里沙「あいた゛ぁっ!」

絵里「……!」クルッ!

穂乃果「……!」バッ!

亜里沙「……」


亜里沙「……邪魔してごめんねっ!!!」 ダッ!


絵里「亜里沙ぁぁぁぁあああああああ!!!!!」 ドドドドドドッ!

『にこパイセン』


絵里「あ……にこ?こんな時間にごめんね」

にこ『起きてたからいいわよ、で、どうだったの?』

絵里「オッケーもらっちゃった……///」

にこ『ふーん、そ。良かったわね』

絵里「……あんまり驚かないのね」

にこ『そりゃ穂乃果から相談も受けていたもの』

絵里「……は?」

にこ『明日学校で絵里ちゃんに告白するー、その後、どうしよー絵里ちゃんにフラれちゃったーって感じにね』

絵里「……ま、待って、じゃあ私がにこに学園祭の話をしたとき」

にこ『絵里ちゃんのー、グフッ、自爆勘違い…っ 今思い出すだけでも』ブハッ

絵里「……あ…ああ……」 プルプル

にこ『にこにーは絵里ちゃんよりぃ、後輩に慕われてるからぁ、相談とかよく受けちゃってぇ、あー先輩って楽じゃないわねー』 ヤレヤレ

にこ『ま、いいじゃない。勘違いしてなかったら、告白し損ねてるうちに告白されたっていうヘタレの汚名を一生背負う事態になってたわよ』 ハッ

絵里「ヘタ……っ!」

にこ『それにしても早とちり乙女の絵里ちゃん、かーわーぃーいー!ププッ じゃ、おやすみにこー☆』ブツッ

ツーッ ツーッ ツーッ ツーッ

絵里「……」


絵里「なんなの」

『朝帰り』


穂乃果「絵里ちゃんシャワー浴びたよー、どうもありがとっ」

穂乃果「朝しゃん~」

絵里「はーい。ところで朝ごはんどうするの? 穂乃果のお家で穂乃果の分用意してたら申し訳ないわ」

穂乃果「んー、わかんない」

絵里「?」

穂乃果「聞いてないからわかんないや」

絵里「……でも泊まるってお母様に言った時、ごはんのこと決めなかった?」

穂乃果「……あっ、泊まるって言ってないや」

絵里「……へ」

穂乃果「さ、朝ごはん食べよー♪」

絵里「待ちなさい」 ガシッ

絵里「……参考までに何て言って家を出たの?」

穂乃果「絵里ちゃんに告白してくるっ!」

絵里「ちょちょちょっと待って」 ダラダラ

絵里(大事な娘が告白しに行って連絡もせずに朝帰り?)

絵里「い、印象最悪じゃない!後でご挨拶しに行くときどうするの!」

亜里沙「さすがに気が早いよ」もふもふ

絵里「で、電話っ!穂乃果電話貸してっ!」

穂乃果「はい、どうほ」もきゅもきゅ

プルルルル プルルルルルルルル

ガチャッ

ほの母「はーい、穂乃果?どうしたの?」

絵里「……すいません私穂乃果さんと去年まで同じ学校だった絢瀬と申しますが」

ほの母「あら絵里ちゃん?どうしたの、そんなにかしこまっちゃって」

絵里「あの、この度は娘さんを無断で泊めちゃって大変反省しているというか、特に何もなかったので心配はいらないといいますか」


穂乃果「!? 酷い!絵里ちゃんあんなことしたのに無かったことに!?」


絵里「穂乃果は黙っていてお願いだからぁっ!」

ほの母「……うぅっ、娘がアタックすると宣言したその日に朝帰り……お相手の方は相当手が早いのね」グスッ

絵里「い、いや、普通に泊まっただけです!誓って!(ほとんど)何もありませんでしたから!」

ほの母「うう……娘に……代わっていただけますか?」

絵里「もちろんです!」

絵里「ほ、穂乃果っ、変なこと言わないでよっ!」こそっ

ほの母「……穂乃果、何もなかったの?」ニヤニヤ

穂乃果「それがね、聞いてよお母さん!絵里ちゃんったら初めてなのに舌を」ニヤニヤ

絵里(ちょっとぉぉぉお!!!!)

ほの母「気をつけなさい、その方きっと手馴れているのよ」ヒソヒソ

穂乃果「そうだね、穂乃果は悲しいよ」オヨヨ

絵里「終わった……これはダメね……駆け落ち……国外逃亡……」ブツブツ

ほの母「ま、馬鹿なことはここまでにして、ご迷惑かけるんじゃないのよー?」

穂乃果「はーい。今から家帰るね」

ほの母「あ、絢瀬さんに代わってくれる?」

絵里「はい……絢瀬です、この度は誠に申し訳なく……」

ほの母「もう、冗談よ、真面目なんだから!あの娘、お馬鹿だから色々迷惑かけると思うけど、それでも良かったらこれからもお願いね」

絵里「え……それって」

ほの母「また今度お店にいらっしゃい。夫も喜ぶわ」

絵里「は、はいっ喜んでっ!」

絵里「はい……はい!ええ、それでは失礼します」

ガチャ

絵里「……ふぅ」 ホッ


穂乃果「絵里ちゃん良かったねぇ」よしよし

絵里「……」

むにゅ

絵里「あら穂乃果じゃない、変なこと言わないでって言ったよねー?聞いてなかったのかしらねーこの耳は」 ギュッ

穂乃果「ご、ごめっ、ごめんね絵里ちゃんいたいいたい!」

亜里沙「ごはん冷めちゃうよー、お姉ちゃんたち」もきゅもきゅ

亜里沙(一応雪穂に連絡したからムダンガイハクではないんだけどね)

亜里沙(先に言いなさい!って怒られそうだしやめておこう……)

『胡蝶蘭』


穂乃果「絵里ちゃんまでウチに来てくれなくても良かったのに」

絵里「今日は一限ないし……」

絵里「それに、私がそうしたかったからいいの」 チラッ

穂乃果「……!うんっ」ニコッ

絵里「そういえば穂乃果、胡蝶蘭の名前の由来知ってる?」

穂乃果「あ、お花屋さんに聞いてきたよ。花びらが蝶々みたいな形してるからだよね」

絵里「ええ、和名はそうよ。でも学名や英語名の由来はちょっと違うの」 ニヤリ

穂乃果「学名?ほんとの名前は蝶々じゃないの?」

絵里「実は蝶じゃなくてね、蛾なのよ。あの夏によく見かける……」

穂乃果「えっ……」

穂乃果「なんか、イメージが急に……!」 ブルッ

絵里「ふふっ、蛾は嫌われてるものね」

絵里「でも私、蛾って嫌いじゃないのよ?」

穂乃果「……か、変わってるね」

穂乃果「でも蝶々のイメージは良いのに、蛾の方は嫌われてるって何か可哀そうだし……よしっ!穂乃果はもう少し嫌わない努力をする!」

絵里「努力ってなによ」ふふっ

絵里(確かに蛾のイメージは良くない。……でも、蛾は光に惹かれて愚直に飛ぶ。例えその身を焼かれようと火の中に飛び込んでいく)

絵里(よそから見れば愚かしい行動でしょう。思考以前の生まれ持った習性に囚われぐるぐる飛んで、やがて焼かれて死ぬか、堕ちて死ぬ)


絵里(……そう、光に魅入られたように惹かれるその姿に、ひたむきに光を目指して進むその生き方に、私は――)

絵里「……穂乃果のおかげで蛾も少しは浮かばれるわね」よしよし

穂乃果「だといいな~」


絵里「ま、私も近くに飛んできたら全力で逃げるくらいには生理的に嫌いだけどね」


穂乃果「だ、台無しっ!」

絵里「蝶々もよく見ると気持ち悪いのよね……」 ゴクリ…

絵里「でも花は好きよ、改めてありがとっ、穂乃果♡」

穂乃果「うん……どういたしまして」ゲッソリ

10/21 おわりっ!

入力ミス

>>111
穂乃果「! わ、私も絵里ちゃんの」


絵里「……あなたの頑張る姿が大好き」

絵里「……あなたの甘える声が大好き」

絵里「……あなたの優しい心が大好き」


絵里「救う、なんて上から目線の言葉かもしれないけれど」

絵里「私はあなたの心に救われた。あなたの心が曇る時、あなたを救いたいと心から思う。他の誰でもない私が、そう、私が救いたいと思う。あなたのことを、私が、幸せにしたい」

絵里「……穂乃果、私は穂乃果を愛しているわ……もちろん、一人の女性としてよ」

入力ミス

>>20
――絵里自室


亜里沙「お姉ちゃん、お風呂空いたよー」コンコン

絵里「わかったわー♪」

亜里沙「? お姉ちゃん、何かご機嫌だね」

絵里「わかる?」

絵里「あのね、穂乃果に文化祭デートを誘われちゃったのよー!」

亜里沙「ほんと?!ハラショー…今度こそ告白出来るといいねっ」にこっ

絵里「……亜里沙もヘタレだって思ってるんでしょう」ずーん

亜里沙「!?」

絵里「わかってるわ……希やにこが散々そう言うもの……」ずずーん

補足し忘れましたが、生徒会移行のタイミングはSid準拠(冬頃)です

乙コメありがとう、依頼出してきます

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