蒲原「ワハハ、紅葉を見に行くぞ」衣「わーい!」 (13)

蒲原「なぁ、衣今週の土曜日に紅葉を見に行こうか?」

衣「ホントか!」

蒲原「ああ、今週は天気もいいらしいし今回行くのは初心者でも簡単な山だからな」ワハハ

蒲原「しかもそれが長野にあるんだ!」

衣「でも智美は受験があるんじゃ…」

蒲原「たかが一日、全然大丈夫だぞ」ワハハ

衣「そうか、ならいいが」

衣「それで登るのはどこの山なんだ?」ワクテカ



蒲原「御嶽山だ!」

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9月27日


蒲原「御嶽山に着いたぞ」

衣「ここが御嶽山か…!」

蒲原「標高が3067mある国内でもかなり高い方の山なんだぞ」

衣「それだったら今日中に登れないのではないか!?」

蒲原「初心者でも安心の山だと言っただろう、ある程度までは歩かなくても大丈夫なんだ」

蒲原「一番早いコースなら3時間ほどで登れるから小学生なんかも登りに来るくらいなんだ」ワハハ

衣「衣は子どもじゃないぞ!」

蒲原「ワハハ、そうだな。でも言うほど時間はないぞ!なんてったって…」

蒲原「昼ぐらいには山頂でお昼を食べなきゃならないからな!」

--午前11時50分、御嶽山山頂付近

蒲原「もうそろそろ山頂だぞ」

衣「智美~…衣はもうヘトヘトだぞー!」

蒲原「後少しだぞ、衣。山頂に着いたら美味しいお弁当があるからなー」ワハハ

衣「それは本当か!もちろんエビフライは…」

蒲原「もちろん!タルタルソースもいっぱいあるぞ!」ワハハ

衣「智美!早く山頂にいくぞ!タルタルソースだーー!」ワクワク

蒲原「昼ごはんの話をしたら途端に速くなったな…」

蒲原「今日は予報通りのいい天気だし、紅葉だってすごく綺麗に広がってる…」

蒲原「今日は本当に来て良かったぞ!」ワハハ

--ゴゴゴゴゴゴ……!!

衣「ど、どうなってるんだ!智美ー!」

蒲原「もしかして…噴火か!?」

登山客「噴火だー!逃げろ!」バタバタ

衣「智美!早く逃げるぞ…うわぁ!」

蒲原「衣!どうしたんだ!」

衣「うぅ…どうやら足をくじいてしまったようだ…」

蒲原「歩けそうか?」

衣「ああ、なんとか…イタッ!」ズキズキ

蒲原「これはだいぶ腫れてるな…」

衣「大丈夫だ、このくらいどうってことはない!」

蒲原「いや…そこに山小屋があるからそこで足に巻く布を探してくるよ、衣はそこで口を塞いでまってるんだ」

衣「…わかった、待ってるぞ」

蒲原「ああ…」タッタッタ

--山小屋

蒲原「もう人はいないか…さっきまではあんなにいっぱい人がいたのに…」

蒲原「あった…これを衣のところに持っていけば…」

蒲原「二人で一緒に絶対帰るんだ!」

蒲原「衣ー!布あったぞー……」

ドカーン!

蒲原「こ、衣…」

蒲原「ど、どういうことなんだ…衣の上に岩がぶつかって衣がぐちゃぐちゃに…」

蒲原「オッ…ウゲェェ…」ゲロロロロロ

蒲原「そこから先のことはよく覚えていない」

蒲原「気付いたら自衛隊のヘリの中にいて降りてきたらカメラがいっぱいあって」

蒲原「御嶽山から離れるとき山を見てみると紅葉が綺麗だった山はもうなくて」

蒲原「灰色の薄気味悪い山があるだけだった」


蒲原「…一体私の何が悪かったんだ?」

蒲原「ただ衣と紅葉を見てお弁当を食べようとしただけなのに…」


カヒュ

おわり

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