衣「ころもは大人だから一人で買い物にだって行けるんだぞ!!」 (183)

  龍門渕家にて

衣「ごっはん~ごっはん~♪まだかまだか~♪」カッチンカッチン

透華「こら衣!そんなお行儀の悪いことはするんじゃありませんの!」

衣「しょうがないだろ!衣はひもじくて死にそうなんだ!」

国広「そんなフォークをかちゃかちゃさせちゃ子供みたいだよ」

衣「こ、ころもはこどもじゃない!何度言えば分かるんだ!」

国広「ごめんごめん」

衣「ふんっ!まぁ衣は大人で寛容だから許してやる!」

智紀「……」カチカチ

透華「ともきも食事のときぐらいパソコンはやめなさい!」クワッ

智紀「私は子供だから良いの……」カチャカチャ

  ガチャガチャ

純「遅れてすまねェな」

衣「うわーい!夕餉の時間だァ!!」

国広「今日はご飯は何なの純くん」

純「今日も衣の好きなカレーだ」パカッ

衣「やったー!カレーだカレーだ!」

智紀「子供……」ボソッ

衣「ん?なにか言ったかともき」

智紀「いいえ……」カチカチ

透華「しかしこう1カ月カレーが続くとさすがに飽きますわね……」

衣「カレーは何度食べても飽きないの!」

純「一応毎回飽きないように趣向を変えてるんだけどなぁ」

国広「おとついはカツカレー、昨日はチーズカレーだったね」

衣「今日はなんだ!温玉か!ウィンナーか!」チラッ

衣「な……!」

純「今日は野菜たっぷりグリーンカレーだ、栄養満点だぞ」

国広「へぇグリーンカレーか~、ヘルシーだねェ」

透華「健康に良さそうですわね、しかし……」チラッ

衣「……」プルプルッ

衣「純よ……なんだこのルーの海に浮いてるこの塵芥の軍勢はっ……!」プルプルッ

純「なにって野菜だろ、ブロッコリーにかぼちゃにニンジンにゴーヤに……」

衣「愚か者!!なぜこのような者達をカレーに入れるのか!これはカレーに対する冒涜だっ!!」

純「なに言ってるんだよ、俺はお前に野菜を食べてもらおうと思って……」

衣「黙れっ!野菜なんぞわたしには必要無い!お前のことをカレーの国の王子と認めていたのに失望したぞ!」

純「俺は男じゃねェーっつうの、てか野菜だけ避けて食えばいいじゃねェか」

衣「無理に決まっているだろ!貴様がじっくりコトコトカレーを煮込んだせいで野菜の味がルーに沁み込んじゃったじゃないか!」

国広「美味しそう」

衣「はじめっ!」キッ

透華「衣は大の野菜嫌いですのよ、以前から口酸っぱく言ってるハズですわ!」

純「俺は衣のことを考えて野菜カレーを作ったんだぜ!もう17にもなってこんな好き嫌いばっかり言うのは恥ずかしいぞ!」

衣「ころもはこどもじゃない!」

純「大人は好き嫌いしないぜ」

衣「す、するぞ!テレビで見たが和服を着た爺さんが出された料理を投げ捨ててたぞ!至高だ究極だと騒いでたぞ!」

国広「あの人たちは好き嫌いとかの次元じゃないからね……」

純「ああもう面倒くせェ、そんなに言うなら俺もう衣の分の料理作るのやめるわ」

衣「え……」

透華「純っ!あなたそれでも龍門渕家のメイドですの!」

純「しょうがないだろ衣が嫌がるんだからよ、大人なら自分で料理ぐらい作れるだろ」

衣「ざ、残念だったな!お前がいなくとも私にはハギヨシがいる!
  ハギヨシならわたしの嗜好にあった料理を作ってくれるハズだ!」

純「ふん、あの人ならいまパラグアイへ研修に行ってるぜ」

衣「な……!で、でも奴なら衣が呼べば一瞬で……!」

国広「さすがの萩原さんでもパラグアイから一瞬で帰ってくるのは無理だよ、日本の裏側だよ」

衣「う、う、う……ころもはこどもじゃない……」

純「いやお前は子供だよ、買い物ひとつ出来ないじゃん」

衣「!!」

透華「いい加減にしなさい純!」

純「す、すまん、俺もちょっと熱くなっちまったよ……」

衣「か、買い物出来ないってそんなダメなことかとーか……」

透華「そ、それは……」

智紀「うんダメ」

透華「とーもーきー!!」キッ

衣「ハァ……」フラフラ

透華「衣!どこ行くんですの!」

衣「食欲が失せた……もう布団に入る……」

透華「だ、だったら……!」

衣「絵本いらない!ころもはこどもじゃない!!」

  ガチャン

透華「あ……」

智紀「相当落ち込んでる……」カチカチ

国広「純くん」チラッ

純「なんだよ俺のせいかよ!……まぁ俺のせいかもしれないけどよ……」

    廊下にて

衣「……」フラフラ

衣「ハァ……」フラフラ

衣「……」フラフラ

衣「ううう……」ブワッ

杉乃「衣様!どうなされたんですか!元気が無いじゃないですか!」

衣「なぁちょっといいか……」

杉乃「はいなんでしょうか」

衣「ころもはこどもに見えるか?」

杉乃「え……それは……」

衣「……」ジーッ

杉乃「み、見えません!どこをどう見ても立派な大人の女性です!!」

衣「見え透いた嘘を吐くな!!それぐらい衣でもわかるぞ!!」

杉乃「ひぃ!!すいませんすいませんすいません!」

衣「ハァ……」

  衣の部屋にて

衣「……」ジャラジャラ

衣(麻雀やろうにも一人ではつまらぬ……かといってとーかたちを呼ぶわけには……)

衣「……」チラッ

時計【PM6:58】

衣「あ!もうドラえもんが始まるではないか!」スクッ

衣「忘れるところであった!早くテレビを!」カチッ

テレビ『アンアンアン~とっても大好き~ドラえもん~♪』

衣「わーい!ドラえもんだドラえもんだァ!」

スネ夫『実は来週ジャンアンたちと自然薯を掘りに行くんだ』

のび太『ほんと!?僕も連れてってよ!』

スネ夫『悪いなのび太、自然薯の乱獲を防ぐために3人しか行けないんだよ』

衣「むぅ!なんてスネ夫は意地悪なんだ!のび太を除け者にするのは万死に値する!」

ドラえもん『テケテケ!自然薯センサー!!これで自然薯がどこあるかが一発でわかるよのび太くぅん!』

衣「ころもも自然薯センサー欲しい!透華に頼んで作ってもらおう!」

のび太パパ『実は会社の金に手を出してるのがバレてね……』

のび太ママ『はぁ?!』

ドラえもん『ありゃありゃ、パパが自白味噌を食べちゃったみたいだよ』

のび太『ンモー!』

衣「こ、今度から味噌汁を食べるときは気をつけよう……」ガクガクブルブル

テレビ『ホンワカパッパ~ホンワカパッパ~ドラえもん~♪』

衣「終わってしまった……あと1週間もドラえもんに会えぬのか……」

衣「でも次はしんのすけがあるぞ!わーい!わー……」

衣「は!ドラえもん見て喜ぶなんてこどものすることではないか!ころもはこどもじゃない!」

衣「チャンネルを変える!」ピッ!

芸人『ちょっとアンタ!なに言ってるんですか!アンタ!』

衣「つまらん、低俗なバラエティなどころもは興味無い」ピッ

衣「……」

衣「もう寝るか……」トボトボ

衣「……」

衣「……」

衣「……」

衣「……」

衣「……」

衣「……」

衣「……」

衣「寝れない……」

衣「やっぱとーか呼んで物語を……」

衣「いや!ころもはこどもじゃない!そんなの必要無い!寝るぞ!」

衣「ふん!」

衣「……」

衣「……」

衣「……」

衣「寝れない……」ウルウル

  それから数時間後……

衣「ううう……」

衣「うん……」

衣「……」

衣「はっ!」ガバッ

衣「いつの間にか寝むっていたようだ」

衣「えーっと……」チラッ

時計【AM6:45】

衣「どうやら早起きしてしまったみたいだな……」

衣「もう眠くないし起きるとするか」トテトテ

 ガチャン

衣「早起きは三文の得だ!!みんなも起こそう!!」トテトテ

  広間にて

衣「誰かいるかな」チラッ

智紀「……」カチカチ

衣「ともきがいる……あいつも早起きだったんだな」

智紀「……」カチカチ

衣「ともきおはよう」

智紀「おはよう……」

衣「意外とともきは朝が早いんだな、こんな規則正しい生活してるとは知らなかったぞ」

智紀「ううん、今から寝るところ……」

衣「!!まだ寝てなかったのか!」

智紀「うん、パソコンやってたから……」

衣「そんなにパソコンとやらは寝るのが惜しいほど愉快なもののか?」

智紀「別に……」

衣「とーかたちはまだ寝てるのか?」

智紀「うん、まだ夢の中……へっくし!!」

智紀「……」ズズッ

衣「袖で洟を拭くのは汚いぞともき!それはこどものやることだ!」

智紀「わたしは子供だから……」カチカチ

衣「ちり紙で拭けばいいじゃないか」

智紀「ティッシュ無い……」カチカチ

衣「無いのか?」

智紀「うん、あとで透華が買いに行くって……」

衣「そうなのか」

智紀「寒い……もう寝る……」スクッ

衣「そ、そうか、お休み」

智紀「おやすみ……」トコトコ

衣「……」

衣「そうかちり紙無いのか……」

衣「……」

衣「買い物か……」

純≪衣は買い物も出来ない子供だからなぁ≫

衣「む!出来る!ころもは大人なんだから買い物ぐらい朝飯前だ!」ムッ

衣(そうだ!とーかの代わりにころもがちり紙を買いにいけばいいのだ!)

衣「みんなも喜ぶしころもが大人だということを証明できるしとーかに褒められる!まーさーに一石三鳥!」

衣「よし!ではさっそく買い物に行くとしよう!」トテトテ

衣「でもどこに行けばちり紙が買えるんだろう」

衣「そういえばこのまえともきが……」

智紀≪アマゾンでならなんでも買える……あそこは神……≫カチカチ

衣「そうかアマゾンだな!アマゾンまで買い物しに参るぞ!」

  衣の部屋にて

衣「どれを着ていこう」ガサゴソ

衣「ん?なんだこれは?ゴミがついてるではないか!」ポイ

衣「よし着るのはこれに決めた!」

衣「とーかに着せてもらおう」トテトテ

衣「は!服を着せてもらうなんてこどものすることだった!危ない危ない」

衣「うんしょうんしょ……」スチャッスチャッ

衣「よしこれで良いな!」トテトテ

 ガチャン

衣(ころもだって一人で買い物ぐらい出来るんだから!純を見返してやる!)

衣「行ってきまーす!」

こうして衣はみんなに黙って屋敷を出て行ったのだ……

それから1時間後

衣「う……う……」

衣は迷子になっていた……!

衣「ここはどこだ……アマゾンはどこだ……」ウルウル

衣は屋敷の外に一人で出たことがほとんど無いのだ
迷子になってしまうのは必然なのだった……

衣「とーかぁ……はじめェ……じゅん……ともきぃ……」

 トテトテ・・・・・・

衣「アマゾンとやらは本当にあるのか……ともきの妄想の産物じゃないのか……」

 トテトテ・・・・・・

衣「もう疲労困憊だ……ううう……」

衣「うわああああああああああああああああああああん!!」ポロポロ

???「どうしたんだいお嬢ちゃん……」

一方そのころ

智紀「寝るのやめた……」カチカチ

智紀「……」カチカチ

透華「ふぁ~……」トコトコ

智紀「……」カチカチ

透華「あらともき、今日は早いじゃないですの」

智紀「うん……」カチカチ

透華「朝っぱらからゲームなんて体に毒ですわよ!」

智紀「大丈夫……」カチカチ

透華「相変わらずゲーム中毒ですわね」ヤレヤレ

智紀「……」カチカチ

透華「さぁてころもを起こしに……」

国広「と、と、と、とーか大変だよ!!」スタタタタタッ!

透華「ど、どうしたんですのはじめ!そんなに慌てて!」

国広「じ、実は……!」ハァハァ

智紀「とうとう露出のしすぎで逮捕状が来た……」

国広「そんなんじゃないよ!大変だよ!部屋にころもが居ないんだよ!!」

透華「なんですって!それはホントですの!」

国広「いま様子見に行ったら居ないんだよ!念のためトイレを覗いてみたけどいないし……」

透華「でも服に発信器を付けてるから……」

国広「ううん、見てよこれ」サッ

国広一は手にしていたものを透華に見せた

国広「どうやら発信器ハズしちゃったみたいなんだよ……」

透華「そ、そんな……ころもの身になにかあったらわたしは……」クラクラ

国広「と、透華しっかしして……!」ガシッ

智紀「……」カチカチ

純「えぇーっ!!衣が家出した?!」

国広「うん、そうみたいなんだよね……」

純「マジかよヤバイじゃねェか!あいつまともに出歩いたことないだろ!」

透華「全部純が悪いんですのよ!純が昨日ころもを傷つけたから……!」プンスコ

純「俺のせいかよ!まぁたしかに俺もちょっとキツく言い過ぎたけどよぉ……」

国広「ともきーによれば1時間前にはまだ屋敷の中に居たらしいんだ、だからそうは遠くには行ってないハズだよ」

純「急いで探しに行こうぜ!なにかある前に見つけるんだ!」

透華「なにかってなんですのなにかって!」

国広「大丈夫だよ透華、ころもは絶対に僕たちが見つけるから」

透華「はじめ……」

純「国広くん早く行こうぜ!」スタタタタッ!

透華「わ、わたしも行きますわ!」

国広「透華はここに待機してて、もしかしたらころもが帰ってくるかもしれないし」

透華「わかりましたわ……」

国広「それじゃ行ってくるよ!」スタタタタタッ!

透華「ハァ……こんなときにハギヨシさえいれば……」

智紀「……」カチカチ

透華「今度からはじめでは無くころもに鎖をつけるべきですわね!帰ってきたら思いっきり叱ってやりますわ!」プンスコ

智紀「……」カチカチ

透華「ホントにころもは大丈夫なのかしら……無事でいてくれたらいいけど……」

智紀「……」カチカチ

透華「……」

智紀「……」カチカチ

透華「ともきは探しにいきませんの」

智紀「わたしも自宅待機……」カチカチ

透華「そう……」

智紀「……」カチカチ

透華「……」

智紀「……」カチカチ

一方そのころ衣は……

???「どうしたのかぁ~もしかして迷子なのかなぁ~」ハァハァ

衣「こ、ころもは迷い子じゃない!散歩してるだけだ!」

???「そうかぁ散歩してるところなんだぁ~」

衣(なんだこいつは……)

衣のまえにあらわれたのはボサボサ髪でメガネをしている学生風の男だった……!

衣「誰だ貴様は!!」

内木「僕かい?僕は内木一太だよ」

衣「ナイキ?」

内木「ねぇそんなことよりお兄さんと遊ばない?お兄さん楽しいおもちゃいっぱい持ってるんだぁ」ハァハァ

衣「玩具?それはどういうのだ?」

内木「来てみたらわかるよ、すっごい楽しいよぉ」ハァハァ

衣「ホントか!うわーい!!ころももその玩具で遊ぶぞ!!」

内木「それがいいよ、じゃあお兄さんのお家においで」ハァハァ

衣「うん!」トテトテ

内木「こっちだよ……」ニコニコ

衣「玩具!玩具!……ハ!!」

透華≪良いですのころも、万が一外に出て知らない人に声を掛けられても絶対についていってはいけませんわ!≫

衣(そういえばとーかに注意されてたではないか!知らぬ人間は信用するなと!)

内木「ディンドーンディンドーン♪僕のベル~♪」

衣「や、やっぱお前についていくのはやめた!玩具なんていらない!」

内木「えぇ~、急にどうしたのかなぁ、んん?」

衣「し、知らぬ人間にはついて行かぬ主義なんだ!失礼する!」

内木「おもちゃだけじゃなくてケーキもあるよぉ」

衣「ケ、ケーキもあるのか!」

内木「そうだよぉ、しかも苺が乗ってるケーキだよぉ」

衣「ケーキ……苺……」

衣「やっぱいらない!ころもはうちに帰る!!」

内木「なんだとぉ……!!」

その瞬間、男の態度が急変した……!

内木「いいから俺について来いっつってんだよ!」ガシィ!

衣「や、やめろぉ!!」

内木「やめろ言われてやめるバカはいないんだよぉ!ひとつまた勉強になったねぇ!」ガシィ!

衣「は、離せェ!離せェ!!」

内木「ダァメ!離さないよぉ!僕たちは一緒になる運命なんだよぉ!えへへへへ……」キョロキョロ

衣「助けてェ!!とーかァ!はじめェ!じゅんっ!ともき!!」ポロポロ

内木「シーッ!!誰かに見つかるでしょうがっ!!」

衣「びええええええええええええええええええん!!!!!」ボロボロ

内木「ああもう泣くなよ!ほら早く俺の家に……!!」

まこ「わりゃあはなにやっとるんじゃ」

内木「な……!」

衣「お、お前は清澄のグリーンピース!」

まこ「誰がグリーンピースじゃ!ワシは染谷まこじゃ!ちゃんと覚えとかんかい!」

内木「……」ソーッ

まこ「またんかいこら」

内木「ひ!」

まこ「わりゃあうちの生徒会副会長じゃろ、なにしとるんじゃいったい」

内木「ええっと小さい子とちょっとした交流を……」

まこ「どう見たってって小さな女の子に悪戯しようとしてるにしか見えんのじゃがのう……」ジロリ

内木「ギクッ!!」

衣「そ、そうだぞ!こいつはころもを拐かすつもりなんだ!」

内木「ハハハ!なに言ってるんだ君は!僕がそんな変態みたいな真似するわけ……」

まこ「じゃかわしいわ!このペド野郎っ!!」シュッ!

内木「レ!!」

染谷まこの拳が内木の喉元を鋭く抉る……!

まこ「おらァっ!」バキィ!

内木「コン!!」

そしてすかさず今度は内木のみぞおちにひざ蹴りを放つ……!

まこ「とどめじゃ!」ドゴム!

内木「ビンっ!!!」

そして前のめりに倒れ掛かった内木の顔に思いっきり蹴りをお見舞いしたのだった……

内木「う……」バタン…

まこ「わりゃみたいのがおるからワシらが安心して暮らせんのじゃ」

衣「ううう……」ガクガクブルブル

まこ「もう安心じゃ、変態クソ野郎はワシが始末したけぇ……」

衣「ご、ごめんなさい!これからは良い子にするから命だけは!」ポロポロ

まこ「ワシを怖がってどうするんじゃ!」

衣「こ、ころもを助けてくれたのか……?」

まこ「そうじゃ、こいつは以前からロリコン疑惑があったがまさかホンマモンじゃったとはのう……」

衣「でかしたぞ!よくぞ衣を悪党の手から救ってくれたな!褒めて使わすぞ!」

まこ「助けてやったのになんじゃその上から目線は……」

衣「まさかお主が喧嘩の国の王子様とは知らなかったぞ!凄かったなさっきのは!」

まこ「喧嘩の国ってなんじゃいったい……まぁあれぐらい普通じゃ普通」

内木「ううう……」

まこ「ていっ!」

内木「ギニヤ!!」ガクッ

まこ「さっさとここから離れたほうがええな」トコトコ

衣「あ、待って!!」トテトテ

  トコトコトコ・・・・・・

まこ「しかしなんであんたがこんなトコにおるんじゃ?この近くに住んでるわけじゃないじゃろ」

衣「アマゾンに行きたいんだがどこにあるのかがわからないんだ……」ショボーン

まこ「アマゾン?そんなん南米に行かなきゃいけんじゃろ」

衣「そうなのか!?アマゾンは日本には無いのか?!」

まこ「無いのう」

衣「そうなのか……」シュン

  トコトコトコ・・・・・・

まこ「ひょっとしてアマゾンに行こうとして迷子になったんか?」

衣「ち、違う!ころもは迷い子なんかじゃない!!」

まこ「じゃあ何でこんなトコにおるんじゃ、アマゾンに行こうとしたらこんなトコ通らんけど」

衣「遠回りして行こうとしたんだ!ちょっとここらへんを闊歩したかったんだ!」

まこ「ほうか」

まこ「そいじゃワシは用事があるし帰らしてもらうけぇのう」

衣「え……」

まこ「ほいじゃあのう」

衣「ちょ、ちょっと待て!ころもを置いて行くか!」

まこ「だってあれじゃろ?迷子じゃないなら一人で家まで帰れるハズじゃろ」

衣「そ、それは……」

まこ「もしかして帰れないんか?」

衣「一人で帰れるぞ!ころもはこどもじゃないからな!」

まこ「それなら良かったのう、じゃあの」トコトコ

衣「あ……」

まこ「~~~♪」

衣「……」

まこ「麦わらぼうしは~もう消えた~♪」トコトコ

衣「……」

まこ「この悲しみはどうすりゃいいの~♪誰が僕を救ってくれるの~♪」

衣「……」

まこ「カープ♪カープ♪カープ広島~広島カ~プ~♪」

衣「……」

まこ「ふふふんふふ~ん♪」チラッ

衣「ううう……」ブワッ

まこ「!!」

衣「うわあああああああああああああああああん!!置いてかないでええええええ!!」ビエエエエエエエン

まこ「な、泣くこたないじゃろうが泣くこたぁ!」スタタタタタッ!

衣「ううう……」グジュ

まこ「やっぱ迷子じゃったんか……」

衣「こ、ころもはこどもじゃ……」

まこ「はいはいわかったわかった!しょうがないのう……」

衣「ころもはどうすればいいんだ……」

まこ「取りあえずワシの家にでも来んか?こんなトコにいてもしょうがないじゃろ」

衣「うん……」

  トコトコトコ・・・・・・

衣「まこの家はなにを生業にしてるんだ?」

まこ「ワシの家か?ワシの家は雀荘じゃ」

衣「雀荘?!行きたい!まこと麻雀したいぞ!」

まこ「あんたと麻雀か……」

衣「ころもと麻雀したくないのか?わたしのこと嫌いか?」ウルッ

まこ「嫌いとかそういうんじゃのうてあんたは強すぎるからのう……」

衣「三流に相応しいおめでたに脳みそだな!そうやって逃げてばかりの人生は楽しいか!」

まこ「あぁ?誰が逃げとるじゃと?」

衣「お前のことだまこよ、ふん、せいぜい雑魚たちと戯れるが良い、お前にはそれがお似合いかもしれないな」

まこ「なんじゃと!頭来た!ワシの恐ろしさを思いしらせてやる!」

衣「おうおうその意気だ、少しはわたしを楽しませてくれ」

まこ「なんであんたはさっきから上から目線なんじゃ……」

衣「実際ころものほうがまこより上だからな!わたしと対等に渡り合えるのは咲だけだ」

まこ「そんなんじゃから他に友達出来ないんじゃろ」ボソッ

衣「ん?なにか言ったか?」

まこ「何も言っとらん、ただの風じゃろ」

それから数分後

衣「ハァハァ……」

まこ「なんじゃもう疲れたんか」

衣「疲れてない!!ちょっと体が重くなってきただけ!」

まこ「それが疲れたって言うんじゃ……」

衣「もう歩くの嫌だ!おんぶして!」

まこ「なにを言うとるんじゃ……あんた高校生じゃろ……」

衣「う!そうだった!ころもはこどもじゃない!だから歩ける!」

まこ「ほうかい」トコトコ

衣「ま、待って!」トテトテ

まこ「……」トコトコ

衣「ハァハァ……」トテトテ

まこ「……」トコトコ

衣「ううう……」グジュグジュ

衣「ヒックヒック……」ポロポロ

まこ「なんで泣くんじゃ……」

衣「足が……足がすごく痛い……」

まこ「靴ずれしたんじゃろきっと」

衣「ううう……くるぶし大激痛……」

まこ「ああもうしょうがないのう!グズられると面倒じゃ!ほら!」

衣「え……」

まこ「早く背中に乗らんかい!」

衣「良いのか?おぶってくれるのか?」

まこ「かまわんよ」

衣「やったぁ!うわーい!」ドシン!

まこ「ちょ!そこは首じゃろうが!」

衣「やったぁ!肩車だ肩車だ!!」ユラユラ

まこ「こら暴れんな!こっちの身にもならんかい!」フラフラ

衣「うわーい!!」

まこ「意外と重いのう……」フラフラ

衣「すごい高いぞ!これが純が見てる世界か!」

まこ「あのおとこ女か……あいつは背が高いからのう……」

衣「ちょっとメガネ貸して!」ヒョイ!

まこ「うわぁなにするんじゃ!」

衣「なんだこれは!メガネかけたら全然前が見えないぞ!」

まこ「そりゃそうじゃろ、あんたは目が悪くないんじゃから」

衣「うううフラフラする……」

まこ「ああもうメガネ返さんかい!」

衣「あっ!蝶々だ!蝶々が飛んでるぞ!」ジタバタ

まこ「じゃからあまりジタバタするのはやめんかい!」

衣「蝶々!蝶々!」ジタバタ

まこ「あ!コラ!おい!あっ!!」グラーン!

衣「おい!フラフラするぞ!」

まこ「そりゃわりゃあが暴れるからじゃろ!」フラフラ

衣「うわっ!うわ!!」

まこ「やばい!」

バランスを崩したまこたちはそのまま近くの田んぼにダイブしてしまった

衣「うわあああああ!!!」バシャーン!

まこ「ギャレットッ!!」バシャーン!!

衣「なんてことをしてくれるのだ!衣の一張羅が泥だらけではないか!」

まこ「じゃからわりゃあがワシの上ではしゃぐからじゃろ!へっくし!!」

衣「衣は怒髪衝天だ!なんとかしろ!」

まこ「そろそろワシの家が近いな……」

  まこの家にて 風呂場

まこ「どうじゃ気持ちええじゃろ」ゴシゴシ

衣「か、体ぐらい自分で洗えるぞ!」

まこ「まあええじゃろワシが洗っちゃる」ゴシゴシ

衣「ま、まこが洗いたいなら勝手にすればいい……」

まこ「素直じゃないのう……」ゴシゴシ

衣「しかしちんまい風呂だな、これじゃゆっくり足を伸ばすことも出来ぬぞ」

まこ「これが一般家庭の標準的なサイズじゃ……」ゴシゴシ

衣「あああ!シャンプーが目に沁みる!痛い!痛い!」

まこ「大人じゃろ少しは我慢せんかい!」ゴシゴシっ!

衣「うわあああああん!!痛い!痛いぞ!」

  カポーン

衣「ふぅ、極楽極楽……」

まこ「わりゃあおっさんかい……」

衣「そういえばまこは何故そのような珍妙な喋り方をするんだ?とーかや咲と全然違うぞ」

まこ「ワシのじいちゃんが広島生まれだったからじゃのう」

衣「ひろしま?」

まこ「そうじゃ、広島はのう、世界有数の大都市なんじゃ」

衣「東京とどっちが凄いんだ?」

まこ「そりゃ広島じゃ、日本人が一番憧れる楽園じゃ」

衣「そんなに凄まじいのか……ころももいつか行ってみたいぞ……」

まこ「リューモンさんに連れて行ってもらえばええじゃろう」

衣「わかった!とーかに頼んで広島に別荘を建設してもらうぞ!」

まこ「言うことがデカイのう」

  カポーン

衣「……」

まこ「極楽じゃのう……」

衣「……」ジーッ

まこ「ワシは風呂に浸かってるときと布団に入ったときとメシ食ってるときが一番幸せなんじゃ……」

衣「……」ジーッ

まこ「ふぅ、気持良いのう……」

衣「……」ジーッ

まこ「……」

衣「……」ジーッ

まこ「……ほんでわりゃあはさっきからなにをじーっと見とるんじゃ?」

衣「まこってさ」

まこ「なんじゃい」

衣「胸……無いな……」

まこ「な……!」

衣「う~ん……」

まこ「わ、わりゃあに言われたないんじゃ!こ、これでもうちの部の中じゃ平均レベルなんじゃ!」

衣「とーかと同じぐらいじゃないか……」

まこ「やかましいんじゃ!」ピューッ!

衣「うわァ!おいお湯を飛ばすな!」

まこ「ほれ!ほれ!」ピューッ!ピューッ!

衣「やめろぉ!こらやめろぉ!ころもはジャミラじゃない!」

まこ「くくく……」

衣「うぐぐ……まさかまこがウルトラ水流の使い手だったとは……」

まこ「これぐらい水面で両の掌を合わせたら簡単に出来るじゃろ」

衣「ほ、ほんとか?!どれどれ……」ピューッ!

衣「うわァすごい!ウルトラ水流だ!ころももウルトラ水流が出来るぞ!うわーい!」ピューッ!ピューッ!

まこ(子供じゃのう)

   洗面所にて

衣「なんかクラクラするぞ……」クラクラ

まこ「のぼせたんじゃろ」

衣「もうウルトラ水流はしばらくいい……」クラクラ

まこ「しょうがないのう、これを飲んで頭をすっきりさせんかい」サッ

衣「ん?なんだこれは!哺乳瓶か!莫迦者!ころもを愚弄するのもいい加減に……!」

まこ「ちゃうちゃう!コーヒー牛乳じゃ!」

衣「コーヒー牛乳?!なんだその大人が飲みそうな飲みものは!」

まこ「風呂上がりにこれをキューっとやると最高なんじゃ」

衣「そ、そうなのか……」

まこ「こう手を腰に当てて一気に飲むんじゃ!こうじゃ!」ゴクゴクッ!

衣「お、美味しそう……」ゴクリ

まこ「プハァーッ!」

衣「ど、どうだ気分は!」

まこ「最高じゃのう、まさに極楽浄土に登った気分じゃ……」

衣「こ、ころももコーヒー乳牛飲むぞ!」

まこ「乳牛じゃのうて牛乳じゃ……はい」

衣「こ、この瓶の蓋はどうやって開ければいいんだ」

まこ「思いっきり押せばええんじゃ」

衣「こ、こうか?」

 プシュッ!

衣「うわァ!ミルクが飛び出した!」

まこ「ククク!開け方がへたくそじゃのう!」

衣「嗤うな!ンモー!」ゴクゴクゴク

まこ「どうじゃ?」

衣「ンマ~イ!なんだこの美味さは!凄いぞ!」

まこ「さてこれからどうするんじゃ?」

衣「ん?どういうことだ?」ングング!

まこ「わりゃあ買い物しに出かけたんじゃろうが、買い物行かなくてええんか?」

衣「は!そうだった!とーかのためにちり紙を買いに行くんだったぞ!」

まこ「ちり紙ぐらいワシの家に何箱もあるからそれをやるから持っていきんしゃい」

衣「本当か!まこは本当に親切な奴だな!こんなに気立てのよい奴だとは思わなかったぞ!」

まこ「もっと褒めんかい」

衣「これで麻雀が上手かったら言うこと無しなんだけどな!」

まこ「なんじゃと!」

衣「ふん!せめて咲ぐらい麻雀が出来れば対等だと言っているのだ!片腹大激痛!」

まこ「ぬかしよるのう!じゃったら今からワシの恐ろしさを味わわせてたる!こっちにこんかい!」

衣「うわーい!まこと麻雀だ麻雀だァ!うわーい!」ピョーン

まこ「っとその前にリューモンさん家に電話しとくかのう」ピッ

衣「ころもの家の電話番号知ってるのか?」

まこ「この前の合宿の時に電話番号を交換したんじゃ、あのちょっと変わってる人と……」

衣「とーかのことか?」

まこ「そう龍門渕透華じゃ、電話しとかんとあの人たちも心配するじゃろ」

衣「ころもが買い物に行ったぐらいで心配するわけないだろ、ころもはこどもじゃないぞ!」

まこ「コンビニにも一人で行ったことない奴がなに言うとるんじゃ……」ピッポッパ

衣「ころももその携帯電話とやらが欲しいぞ」

まこ「帰ったらお願いして買ってもらえばええ(子供用携帯じゃがのう)」トゥルルルルルルル

  ガチャン

透華『もしもし……』

まこ「ああもしもし……」

・・・

・・・・・・

   龍門渕家にて

透華「衣……衣……衣……!」ブツブツ ウロウロ…

智紀「……」カチカチ

透華「ああ衣あなたはいったいどこに……」ブツブツ ウロウロ…

智紀「……」カチカチ

透華「衣……ああ衣……あなたになにかあったらはわたくしは……」ブツブツ

智紀「……」カチカチ

透華「とーもーき!あなたはこんなときでもパソコンですの!もう怒りましたわ!もう金輪際パソコンは……!」

智紀「私も探してる……」カチカチ

透華「そのどこが探してる姿ですの!」くわっ! 智紀「ググッて衣の情報探してる……でも行方は分からない……」カチカチ

透華「そんなんでわかるハズないじゃないですの……もう……」クラクラ

  アナタノヌクモリガクレル ショオオオオオオオドウッ♪

透華「で、電話ですわ!携帯に電話がかかってきましたわ!」

智紀「……」カチカチ

透華「はじめなのか純なのか……し、知らない番号ですわ!!知らない番号からかかってきましたわ!!」

智紀「……」カチカチ

透華「も、もしかしてこれは……」アワアワ

国広「ただいま……透華ごめん衣見つからな……ってどうしたの透華!?」

純「おいなに震えてるんだよ衣になにか……!」

透華「電話ですわ!で、電話がかかってきましたわ!」

国広「いったい誰から……」

智紀「誘拐犯……」カチカチ

純「誘拐犯?!」

透華「見たことない番号から電話が来たんですの!こ、これは身代金の要求って奴ですわ……」

純「本当に誘拐なのかよ……」 智紀「99.9%の誘拐……」カチカチ

透華「そ、そんなことより誰か出てくださいまし!」 純「俺は嫌だよ!」

国広「自分で出たほうが良いよ、透華にかかってきたわけだし……」

透華「そ、そ、そうですわね……ええいいらっしゃいまし!」ピッ

まこ『もしもしワシじゃけど』

透華「!!あ、あの!こ、衣は無事ですの!」

まこ『ああ大丈夫じゃ、ちょっとは危ない目にも遭うたがいまはピンピンしとるけぇ』

透華「そ、そう無事ですの……」ホッ

まこ『いまはワシの家に居るけぇ、あ、ワシの家分かるんか?』

透華「わ、わかりませんわそんなの!!」

まこ『じゃあ言うぞ、雀荘『Roof-top』じゃ』

透華「雀荘……Roof-top……」

まこ『じゃあのう』

透華「ちょ、ちょっと待ってくださいまし!衣の!衣の声を聞かせ……!」

   ガチャン ツーツー

透華「切れましたわ……」

国広「ゆ、誘拐犯はなんて……!」

透華「雀荘『Roof-top』にて待てとの連絡でしたわ……」

純「雀荘……」

透華「あ、あの喋り方はヤクザですわ!衣はヤクザに連れ去られたんですわ!!」

純「ヤー公かよ!一番やばいパターンじゃねェか!」

透華「どうしましょう……いったいぜんたいどうしてヤクザなんかに衣が……」

国広「なにか龍門渕家と暴力団との間でトラブルを起こしたんじゃないの?だから報復として衣を……」

透華「我が龍門渕家はクリーンですわ!そんな危ない方々とトラブルなんて抱えてなんかいません!」

杉乃「そ、そんなことより早く警察に電話を……」

純「(歩居たのか……)そうだぜ透華、さっさと警察に電話しようぜ」

透華「そうですわね……そして……!」  国広「そして?」

透華「衣を泣かしたヤクザどもをめためたのぎったんぎったんにして差し上げますわ……!!」ボワッ!

杉乃「ひぃ!!」

純「あーあ怒らしちまったか……キレたときの透華はガルベス以上だからなぁ……」

透華「歩っ!倉庫に置いてある龍門渕家に代々伝わる草薙の剣を持ってきなさい!」

杉乃「は、はい!」スタタタタッ!

智紀「……」カチカチ

・・・

・・・・・・

    雀荘『Roof-top』にて

衣「ロンだ!」

おっさん「あちゃー!また嬢ちゃんに振り込んじまったかい!」

衣「ふん当然だ、ころもがお前のような平民なんかに負けるわけないであろう!」ニヤリ

おっさん「ガハハ!この嬢ちゃんは面白いなぁ!」

まこ「ホンマにすみませんのう、ちょっとおかしな子なんじゃ」

衣「お、おかしいとはなんだ!それとまこ!なぜ衣と麻雀してくれないんだ!
  ずっとメイドの格好して歩きまわってるだけじゃないか!」

まこ「働いてるんじゃ、ワシはここのマスターみたいなもんじゃからのう」

衣「働いてる……?」

おっさん「そうなんだよまこちゃんはここの看板娘なのさ」

衣「高校生なのに働いてるのか……」

まこ「そうじゃ」ニタァ

池田「……」ブルブル

衣「池田!次いくぞ!」

池田「なんで今日に限って天江衣がいるんだし……」

まこ「なして池田がおるんじゃ……」

池田「清澄の部長が雀荘やってると聞いて飛んできたんだし!ここでお前を倒してここの看板を頂こうと思ったんだし!でも……」カチャ

衣「ロン!」

池田「ギャーし!なんで天江衣に返り討ちにされなきゃいけないんだし!」

まこ「しょうがないじゃろ、ワシはいまちと手が離せんから相手をしてやっといてくれ」

衣「池田よ、相変わらず貴様はつまらん麻雀をするな!ここで衣が鍛え直してやる!」

池田「の、望むどころだし!華菜ちゃん負けないし!」

客「あのお会計」

まこ「ああちょっと待ってください、ああもう忙しいのう」

衣「ツモ!ハイテイ!」

池田「みはる~ん!!」

池田「ロ、ロンだし!三色ドラドラ!満貫だし!」

おっさん「おっと今度はそっちの嬢ちゃんかい」

池田「こ、これでなんとか2位だし……」

衣「……」

まこ「はいはいあつしぼです」キビキビ

衣「……」

まこ「はいこちらカツ丼です」キビキビ

衣「……」

まこ「2300円です」カチャーン

衣「……」ジーッ

まこ「ありがとうございましたー」ペッコリン

衣「……」ジーッ

池田「なにじーっと見てるんだし……」

衣「ころももまこみたいに働きたいぞ!」

池田「なにを言ってるんだ天江……」

衣「ころもはこどもじゃないからな!働いて大人だというのを証明してやる!」

池田「無理だし、絵本を読んでもらえないと寝れない天江が働くだなんて……」

衣「ころもを莫迦にするな!そしてなんで絵本のことを知ってるんだ!」バンッ!

まこ「やかましいんじゃ……いったいどないしたんじゃ……」

池田「実はかくかくしかじかで……」

まこ「なんじゃい、衣がワシの手伝いをしたいじゃと?」

衣「そうだ!ころもは大人だからな!働くことが出来る!」

池田「無理だと言ってるんだけど……」

まこ「(そうじゃ!)まぁたしかにワシもそろそろ打ちたいしかわりに衣に働いてもらうかのう」

衣「やったー!」

池田「ほ、ホントにいいの!?絶対上手くいかないし!」

まこ「ええんじゃええんじゃ、きっと面白いモノが見れるけぇ」ニヤリ

  しばらくして……

衣「に、似合うか……?」

まこ「似合う似合う!最高じゃのう」フムフム

衣「メ、メイドの格好なんて初めてだぞ!」

池田「プププーし!完全におこちゃまだし!!」

衣「笑うな池田!!」

おっさん「いやぁ可愛いねぇ、おじさんもモフモフしちゃうよぉ」

まこ「あんま変なことすると通報するけぇのうおっさん……」

衣「さっそく衣は労働に励むぞ!」

客1「すみませーん、熱いおしぼりくださーい」

衣「それぐらい自分で取ればいいじゃないか!ころもはお前の言うことを聞くほど暇じゃ……」

まこ「客に対してその態度はなんじゃ!」パチコン!

衣「ギニヤ!!」

衣「なぜ殴る!」

まこ「お客様に向かってああいう口を訊いてはいけないんじゃ!
   頼まれたらわりゃあがあつしぼを渡すんじゃ!」

衣「そ、そんなことまでころもがしなきゃいけないのか……」

客1「あのう……」

池田「客が呼んでるし!」

衣「た、ただいま!」トテトテ!

まこ「果たしてどうなるかいのう」ニヤニヤ

衣「はいおしぼり……って!うわぁ!」ドテーン!

池田「いきなりこけたし!」

客1「アジジ!!」

池田「そして客におしぼりをぶつけたし!」

客1「熱い熱い熱い!」

衣「ご、ごめんなさい!」オロオロ

客1「い、いいよ、ハハハ……」

衣「いきなり失敗してしまったぞ……」

客2「すみません、カツ丼もう一杯お願いします」

衣「は、はいただいま!」トテトテ

客3「すみませーん、会計を~」

衣「い、いま行く!急かすな!」

池田「ひっぱりだこだし」カチャ

まこ「ローン!中白ホンイツドラ!ハネ満じゃ!」

池田「ひぐぅ!こっちにもやられるのかし!」

その後も衣のてんやわんやは続いた……

客1「冷たっ!このおしぼり冷たいよ!」

衣「ご、ごめんなさい!」

客2「ちょっとこれソースかつ丼じゃん!邪道だよこんなの!」

衣「喧しい!!ソースかつ丼を莫迦にするな!」

客3「あのお会計はまだですか……」

衣「よ、54万7千4百……」

客3「お、おかしいだろその値段!!」

衣「レ、レジの使い方がわ、分からない……」ポロポロ

やることなすこと上手くいかないのであった

池田「プププーし!あの天江が青色吐息で涙目になってるし!」

まこ「冷やかすな!」パチコン!

池田「ギャーし!!」

衣「ううう……」ポロポロ

衣「……」

まこ「どうじゃ初めて働いた気分は?」

衣「最悪だ……なんだこれは……思ってたのと全然違うじゃないか……」プルプル

まこ「働くというのは大変なことなんじゃのう」フムフム

衣「お、大人は毎日こんな苦汁をなめるようなことをしているのか……」

まこ「そうじゃ、社会ではこういう辛いことをほぼ毎日せにゃならんのじゃ」

衣「ううう……」プルプル

まこ「それが大人になるっちゅうことじゃのう」

衣「こ、ころもはこどものままでいい!大人になんかならない!」

まこ「そうそう、あんたはそれがええわい」

池田「そんなことより天江も一緒に麻雀やろう」

まこ「そうじゃのう、大分空いてきたしな」

衣「まこと出来るのか?!うわーいまこと初めて麻雀が出来るぞー!」ピョーン!

   ウィーン

透華「……」

まこ「いらっしゃいませ……ってあんたはリューモンさん」

衣「とーか!!」

透華「助けにきましたわ衣……」カチャ

まこ「なんじゃ迎えにきてくれたんかいわざわざすま……」

透華「キエエエエエイ!!!!」シュッ!

まこ「な、な、な、なんじゃい!」ピュンッ!

まこが出迎えようと入口に向かった刹那……透華は隠し持っていた草薙の剣でまこに切りかかったのだ……!

透華「ちぃっ!仕留めそこないましたわ!」

まこ「いったいどないしたんじゃい!」

まこは透華を改めて見る……そこには鬼の形相をした透華と大勢の警察官が居たのだ……!

国広「まさか犯人が染谷さんだったとはね……」 純「見損なったぜ……」

まこ「イマイチ状況が飲み込めんのじゃけど……」

透華「ごたごたご託は訊きたくありませんわ!衣を傷つけた罰ですわ!」シュッ!

まこ「ひぃ!!危ない言うとるじゃろ!!」

透華「逃しません……ですわ!!」ビシュッ!

まこ「こんにゃろ!」

透華「猪口才な!!」シュッ!

まこ「なんのこれしき!」

透華「キエエエエエエイ!!!」

まこ「どりゃ!!」カシィ!

透華「離しなさい!!」ブンッ!

まこ「うわっ!!」ドテン!

透華「えい!えい!えい!」

まこ「こうじゃ!!」

透華「いやん!!」ドテン!

まこ「はぁはぁ……」

透華「なかなかやりますわね……」

まこ「あんたもな……」

国広「凄いあの人……剣に素手で渡り合ってるよ……」

衣「おいとーかなにやってるんだ!仕事の邪魔じゃないか!!」

透華「こ、衣?!わ、わたくしは衣を助けに来たのにあなた……」

まこ「助けに?いったいどういうことじゃ……」

国広「実はかくがくしかじかで……」

まこ「なんじゃと!ワシが誘拐!んなアホな!!」

透華「そうですわ!衣は誘拐されたのですわ!」

まこ「誘拐なんかしてないわ!池田!説明してやれ!」

池田「(なんであたしが……)実はかくがくしかじかで……」

透華「ごめんなさいですわ!」ペコン!

まこ「まぁわかりゃええんじゃがのう」

国広「まさか染谷さんの家で遊んでもらってたなんてね」

衣「違うぞ!ころもが遊んであげてたんだぞ!」

まこ「はいはい」

純「しっかし透華の勘違いもヒドイもんだよな」

透華「おだまり!わたくしだって好きで勘違いしたんじゃありませんわ!」

まこ「なしてワシが誘拐犯だと思ったんじゃ、ちゃんと電話したじゃろ」

透華「あなたの番号を登録していなかったの、ごめんなさいですわ……」

まこ「そうかいハハハ……(電話番号を変えたのを知らされないより悲しいのうこれは……)」

透華「あの……誘拐はわたくしの勘違いでしたわ……お騒がせしてすみません……」

警察1「いえいえ、そんなことより今から私たちは内木一太を逮捕しに行きますので」

警察2「ご協力ありがとうございます」

まこ「は、はぁ……」

池田(店の中で刀をぶん回すのはいいのかし……)

透華「衣と遊んでいただき本当にありがとうございますわ」

まこ「いやワシじゃって楽しかったし全然ええんじゃ」

透華「衣、もう帰りますわよ」

衣「嫌だ!まだころもはまこと麻雀打ってない!」

まこ「そういえばまだじゃったのう……」

透華「いけません衣!もう6時ですわよ!」

衣「まだ嫌だころもは帰りたくない!!」

純「おいおい子供じゃないんだから駄々こねるなよ……あ!」

国広「純くん……」

衣「そうだころもはこどもだ!だから駄々をこねたっていいんだ!」

純「え?」

透華「あらいいんですの?早く帰らないと7時から始まる男はつらいよが見れませんわよ」

衣「な、そうだった!寅さんが始まるではないか!」

池田「寅さん見てるとか渋すぎるし……」

衣「で、でもころもはまこと麻雀を打つ約束をしたし……」オロオロ

まこ「また今度来ればええ、いつだって相手にしちゃる」

透華「よかったわね衣、また来て良いって」

衣「ほ、本当か?そんなこと言って勝手に死んだりするんじゃないのか!」

まこ「死にゃあせんわい……ほんなら指きりで約束じゃ」

国広「衣がそんな子供っぽい真似するわけ……」

衣「嘘吐いたらハリセンボンのーます!指切った!」

国広「してる!」

純「いったいどうしたんだよ衣……」

衣「そうだまこ!今度ころもの部屋に来ないか!一緒に麻雀を打とう!」

まこ「ほう、ワシがおじゃましてもええんか?」

衣「勿論だ!ころもとまこは莫逆の友じゃないか!」

衣「ううう……」ジワッ

池田「別れるのが寂しくて泣いてるのかー」

衣「泣いてなんかない!あと池田も今度来い!めったんめったんにしてやる!」

池田「はははお手柔らかになー……」

透華「衣に友達が……」ウルウル

純「お前まで泣くなよ……」

透華「で、ではお邪魔しましたわ!」

国広ノシ「またね」

純「じゃあな」

衣ノシ「またなまこ!」

まこ「じゃあのう!」

こうして衣に新しい友達が増えたのであった……!

まこ「ふぅ……」

    シーン・・・・・・

まこ「行ってもうたか……」

池田「プ……」プルプル まこ「ど、どうしたんじゃ……」

池田「プププーし!染谷も思いっきり寂しがってるし!」 まこ「や、やかましい!やっとうるさいのが居なくなったとホッとしてるんじゃ!」

池田「大丈夫大丈夫笑ったりしないから……ププ……!」  まこ「思いっきり笑ろうてるじゃろ!ああそうじゃちり紙渡すの忘れてた!」

池田「今度渡せばいいし」 まこ「しょうがないのう今度持ってってやるかいのう……」

池田「それじゃあここからは華菜ちゃんと勝負だし!けちょんけちょんにしてやるし!」  まこ「望むところじゃ!かかってこんかい!」

  ウィーン

警察3「……」

池田「あ、警察だし」 まこ「なんじゃいまたかいな、あのすみません誘拐云々は誤解でして……」

警察3「ここの雀荘で小学生を接客させてるとの通報があり飛んできました」

まこ「え」

このあとまこは誤解を解くのに3時間掛かったのであった……

              衣「ころもは大人だから一人で買い物にだって行けるんだぞ!!」    カン

以上です
読んでくれた人ダンケシェーン
以前最後まで投下出来なかったネタをやり直しましたお

寝るお

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