夏侯惇「この俺がアイドルのプロデューサーだと?!」 (49)

後漢末期・・・。


夏侯惇(くっ・・目が熱い!!)

曹性「夏侯惇!!覚悟!!」

夏侯惇「親からもらった光を失ってたまるか・・・うおおおお!!!」

ドシュ!!テキショウ、ウチトッタ!!

夏侯惇「はあ、はあ!!(ダメだ、目が・・・孟徳、淵。すまん・・覇道の半ばで俺は・・・。)」

??「その時空から、不思議な光が舞い降りてきたのです」

曹操「あれは誰だー!」

夏侯淵「誰なんだー!!」

??「それは・・・」

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菜々「菜々でーす!!」

夏侯惇「うわきつ・・・じゃなくて・・。」

菜々「ああーちょっと!!ひかないでください!あれ・・・?だ、誰ですか?あなたは!?」

夏侯惇「(そうか、俺はあのまま討ち取られて・・・。孟徳、覇道を歩め。淵、孟徳を頼んだ。)地獄でもどこでも行ってやる。好きにしろ。」

菜々「ちょっと、何言ってるんですか!左目に矢が刺さってますよ!今救急車呼びますから待っててくださいね!」

夏侯惇「(おかしいな・・。死んだはずなのに目が痛い。)医者を呼べ・・。」

菜々「今呼んでますから!待ってください!すいません、落ち武者みたいな方が1名!左目に矢が刺さってます!」

夏侯惇「(意識が・・・遠のく・・。血を流しすぎたか・・。)」

菜々「ああーちょっと!死んじゃだめですよ!菜々がメルヘンデビュー歌って殺したみたいになっちゃうじゃないですか!?」

夏侯惇「(しかしこの女はしたない恰好をしているな。孟徳の妾か?ダメだ、意識が・・・眠くなる・・・。)」

夏侯惇(ん・・なんだ?ここは?居心地がいいな。今度こそ死んだのか?)

菜々「あっ!?社長!目が覚めましたよ!」

??「おう、よかったよかった。」

夏侯惇「(目を開けても片方しか見えんか。左目は死んだな。親からもらった光だったんだがな。)ぐっ・・!」

菜々「ああー!まだ起きちゃだめですよ!安静にしてないとって、先生が。」

社長「君ぃ、大丈夫かね??心配したよ。安部君が救急車で搬送って聞いた時はついに限界が来たかと思ってしまって・・。」

夏侯惇「お前が助けてくれたのか。礼を言う。早く戦場に戻らねばな。淵や孟徳が待っている。」

菜々「せ、戦場?!」

社長「き、君ぃ・・。頭を強く打ってしまったのかね?今は戦争なんて・・。」

夏侯惇「ええい、うるさい!皆がまだ戦っている!相手はあの呂布だ!少しでも戦力が必要なのだぞ!」

社長「な、なにを行ってるのかさっぱり・・・安部君、わかるかね?」

菜々「な、何で社長が知らないことを菜々が知ってるんですか!?わかりませんよー!」

夏侯惇「くそ!もういい!一人で行く!どいてくれ!」

菜々「うわ・・・!!(気付かなかったけど大きい人だなぁ)」

社長「ま、待ちたまえ君ぃ!むぅ・・・・ティンときた!!何の使命を抱えているか分からないが、その情熱!我がシンデレラプロのプロデューサーにふさわしい!」

夏侯惇「何を言っているんだ?シンデレラ?プロデューサー?意味がわからんな。俺は孟徳と違い博学ではない。そのハ話は孟徳にしてくれ。世話になったな。」

この惇兄は無双の設定。
ただし蒼天航路の影響もあるのであしからず。








社長「も、孟徳?君は一体何を行っているのだね?私にはさっぱり。」

菜々「まだ歩いちゃだめですよ!目玉がなくなっちゃったんですから!」

夏侯惇「第一ここはどこなんだ?説明してくれ。」

社長「うむ、ここは都内の病院だ。君はレッスン場でメルヘンデビューを歌う安部君の前に突如血まみれで現れたのだぞ。」

夏侯惇「レッスン?メルヘン?すまん、俺にわかるように説明してくれ。孟徳や淵はどこへ行った?」

菜々「社長・・・この人もしかして!!」

社長「うーむ・・記憶喪失かもしれんなぁ。失礼だが、君の名前は?」

夏侯惇「夏侯元譲。歳は29だ。」

菜々「かこうげんじょう・・・?変わったお名前ですね?芸能人の方ですか?」

夏侯惇「ふざけるな。俺は芸者などではない。曹孟徳の覇道を支える者だ。」

社長「ふむ、自分のことが分かるということは記憶喪失ではない。となると、君は本当にあの夏侯惇殿で間違えないのかね?」

夏侯惇「今さら何を言っている。俺以外に俺がいてたまるか。」

社長「なるほど。これで君が鎧姿でいたことも目に矢が刺さっていたのも合点がいく。私は三国志ファンでね。」

菜々「三国志?あの昔の中国の・・?菜々は昔高校の漢文の授業で・・・」

社長「安部君、高校生活が昔に語られているんだが」

菜々「ああー!!ちょっと、あのですね!ウサミン星のの高校は10年制ですから!1年生のときにやったんですっ!赤壁の戦いとか有名ですよね!苦肉の策で曹操がやられちゃうやつ!」

夏侯惇「も、孟徳がやられただと!?貴様、それは本当か?」

社長「まあ、落ち着きたまえ夏侯惇君。さて、どこから説明したらよいものやら。」

夏侯惇「ここはどこだ?今戦況はどうなっている?あれから何日経過しているんだ?」

菜々「ええっと、ここは東京都内の病院です。戦況は分かりませんが、夏侯惇さんが倒れてからまだ5時間くらいしか経ってませんよ。今は2014年10月12日です!」

夏侯惇「(この女何を言っているんだ?)済まん、わかりやすく言ってもらえるか?」

社長「あー、つまり、ここは君がいた時代では倭国と呼ばれている国だが、わかるかね?」

夏侯惇「ああ。孟徳が海の向こうにそんな国があるなどと話していたな。」

社長「今では日本と呼ばれている。君がいたのはおそらく紀元後200年以前。今はそこから1800年が経過している。つまり君は何らかの影響で1800年後の倭国に来てしまったというわけだ。」

夏侯惇「ダニィ!?」

夏侯惇「ふ、ふざけるな!そんなことがあってたまるか!」

菜々「お、落ち着いてください!夏侯惇さん!」

社長「私も君と話してみるまで分からなかったが、君はどうやら本物の夏侯惇君らしいからなぁ。信じ難いだろうが、これは事実なのだ。」

夏侯惇「くっ、所詮呪術の一種に過ぎん!俺は孟徳のもとへ帰る。」

社長「どうやって帰るというのかね?時空までは飛び越えることができないだろう?」

夏侯惇「ふん、俺は今までいかなる戦場であれ生き延びてきた。孟徳が無理やり董卓を追撃して軍が壊滅したときでも生き延びていたのだ。こんなことでは死なんわ。」

菜々「もう菜々は何が何だか・・・も、もしかして!これがジェネレーションギャップなんでしょうか?」

社長「安部君、ちょっと黙っていてくれないか。これ以上墓穴を掘らないでくれ。」

夏侯惇「お前たちには世話になった。左目は痛むが、すぐに戦の熱で忘れるだろう。術者を殺して早くこの呪術を解かなくてはならん。」

社長「いいだろう。好きにしたまえ。だが君、ここの治療費はどうやって支払うのかね?」

夏侯惇「戦場で傷ついた将兵を治療して金を取るのか!?軍医ならば別に扶持をもらっているだろうが。」

社長「君を治療したのは君の軍の医者ではなく、この民間病院の医者だがね。まさかあの夏侯惇ともあろう人が治療費を踏み倒して逃げるのかね?」

夏侯惇「ぐっ・・・貴様、なかなか策士だな。よかろう。好きにしろ。この呪術が覚める時まで付き合ってやる。」

社長「ふふふ。そうこなくては面白くない。さて、まずはしっかりと左目を治療してくれ。また来るよ。」

菜々「(もう喋ってもいいんでしょうか?)」

数日後。








社長「夏侯惇君、準備はできたかね?」

夏侯惇「ああ。しかし俺の服や鎧をちゃんと洗濯してくれていたとはな。礼を言うぞ。」

社長「ふふふ、うちの事務所には世話焼きが好きなアイドルがたくさんいてね。」

夏侯惇「お前の言うプロデューサーとやらは俺のやっている武将と似たようなものなのだろう?」

社長「うむ。戦場に赴く前にしっかり訓練し、絆を深める。夏侯惇君も普段から兵を鍛え上げるだろ?」

夏侯惇「まあな。戦場で役に立たん兵がいてはこちらの身が危ういからな。俺は厳しく鍛え上げるぞ。」

社長「そして戦場では指揮をとり、状況に応じて指示を出しながら勝利へと導く。そうだろう?」

夏侯惇「俺は指揮するだけでは飽き足らず一緒に敵地へ飛び込むがな。だいたいあっている。」

社長「プロデューサーも同じことをすればいいのだよ。さあ、我がシンデレラプロへ急ごうじゃないか!」

夏侯惇「まて。そのシンデレラプロまでは遠いのか?」

社長「それなりに距離はあるが、病み上がりで歩いていくのかね?」

夏侯惇「いや、馬を用意してくれないか?」

社長「ふむ・・・夏侯惇君。ここは君のいた時代から1800年たっている。馬は競馬くらいでしか使っていないよ。さあ、車を用意したから行こう。」

夏侯惇「う、馬はもう乗っていないのか!?貴人でもない俺が車だと・・?」

社長「今はみんなほとんど車で移動だよ。さあ、乗りたまえ。」

夏侯惇「おい、この車は何に引かれて動くんだ?」

社長「燃料があるから馬や牛が引いて歩く必要なんてないさ。さ、シートベルトを締めるんだ。」

夏侯惇「ぬぅ・・・俺が遅れをとっているか・・・。これでいいのか?」

社長「うむ、では我がシンデレラプロへ向けて出発!!」

夏侯惇(この車はやたら低いところを走るのだな。馬と違って爽快感がない・・・。)

社長「さあ、ここが我がシンデレラプロだ。」

夏侯惇「ほお、ずいぶんと小さな兵舎だな。」

社長「はは、言ってくれるね。まだ弱小事務所だからね。君がこの兵舎をどんどん大きくしていってくれたまえ。」

夏侯惇「ふん、たやすいことだ。」

社長「今日はすでに何人かのアイドル達が来ているはずだ。たぶんこの前会った安部君もいるだろう。さあ、入りたまえ。」



ガチャ・・・!!



菜々「あー!社長と・・・夏侯惇さんじゃないですか!もう目は大丈夫なんですか?」

凛「菜々さん、この厳つい眼帯のおじさんは誰?」

奈緒「り、凛!さすがにいきなりそれは失礼だろ?!」

加蓮「でもちょっと中二病っぽくない?『うっ、左目が疼く!』とか言いそう。」

ちひろ「凛ちゃん、加蓮ちゃん!その人は!」

社長「千川君、いいからお茶を入れてもらえないかな?」

夏侯惇「(おじさんか・・曹昂や曹安民からしたら俺は叔父だしな。)おう、お前もそのアイドルとかいう兵士なのか?先日は世話になったな。」

菜々「はい!ウサミンパワーで夏侯惇さんをウサミン星人にしちゃいます!きゃはっ♪」

凛・奈緒・加蓮・夏侯惇「うわキツ!」

社長「いいかね、君たち。この彼、夏侯惇君は今日から君たちのプロデューサーになる。失礼のないようにな。」

夏侯惇「プロデューサーの夏侯惇です・・・よろしく。」 

社長「(事情説明中)・・・・・というわけで彼はもとの世界に戻るまでの間このシンデレラプロでプロデューサーをやってもらうことになった。」

凛「ウソくさ・・・。」

奈緒「さすがにタイムスリップってのは考えられねーだろぉ?もうちょっとマシな設定をだな・・」

加蓮「やっぱり中二病じゃん。こんな人がプロデューサーなんていやだよ、社長!」

夏侯惇「社長、俺はひどく嫌われているみたいだな。何か悪いことをしたのか?」

社長「いやぁ、君は何も悪くないんだがねぇ・・・。何せ初めてプロデューサーがつくもんだから。抵抗があるんじゃないかね?」

菜々「な、菜々は夏侯惇さんがプロデューサーなら大歓迎ですよ!」

夏侯惇「まあいい・・。いい加減アイドルという兵がどういうものなのか教えてもらおう。敵も己も分からなくては戦の勝利はあり得んからな。」

社長「ふむ、前向きでよろしいな。アイドルとは・・・そうだ、テレビをつけよう。」ピッ!






ヤレバデキルー、キットー、ゼッターイニー!ワタシナンバワーン!!♪




夏侯惇「ん?なんだこの遊女たちは?こんな恰好で踊るなんてまるで孟徳の趣味みたいだな。」

社長「ははは、曹操君はアイドルが好きかね。これはなおさら夏侯惇君に頑張ってもらわなくては。今テレビに映っているのがアイドルだよ。歌う、踊る、演じることで人々を魅了し笑顔にする。それが君の育てる兵士・アイドルだ!」

夏侯惇「意味がよくわからんな。女の兵士など俺の軍には・・・」

社長「シンデレラプロは全員女性アイドルだ。君は彼女たちが天下をとれるように訓練・指揮してほしい。どのように歌い・踊り・演じ・魅了することが最も良いのか導いて欲しいのだ。」

夏侯惇「くだらん・・・。だがここまで来たからにはやってやる!この夏侯元譲、お前の覇道を切り開いてやる!」

凛・奈緒・加蓮(あんな変な人がプロデューサーなんて嫌だ・・)

夏侯惇「さて、いざプロデューサーにはなってみたものの、今後俺はどうすればいいのやら。」

ちひろ「私がばっちりサポートしちゃいますよ。」

夏侯惇「よろしく頼むぞ。お前はプロデューサーではないのか?」

ちひろ「私は事務員ですから。夏侯惇さんの時代でいえば、文官ですね。夏侯惇さんがアイドル達を指揮して戦うのをサポポートします。資金の管理なんかもやってますよ。」

夏侯惇「なるほど。(さしずめこいつは荀彧や荀攸みたいな存在ということか。)俺はまずどうすればいいんだ?」

ちひろ「最終的には全アイドルを担当してもらうことになるとは思うんですが、まずは誰か一人担当アイドルを決めてその子を中心にプロデュースしていけばいいんじゃないでしょうか?」

夏侯惇「分かった。まずは徴兵を行うということだな。」

ちひろ「まあ、そんなところですね。菜々ちゃんなんてどうですか?一番基本が完成されてて手がかからない子ですよ。ただし絶対に年齢は聞かないであげてくださいね。」

夏侯惇「ふむ、こいつなら話したこともあるし取っ掛かりがいいかもな。よし、話をしてくる。」









菜々「うーむ・・・ウサミン星は電車で1時間ってのはちょっと現実味がありすぎるかも。あ、でも銀河鉄道で1時間ってことにすれば!」

夏侯惇「おい」

菜々「うわひゃああ!!か、夏侯惇さ・・・じゃなくてプロデューサーさん!な、なんですか!?」

夏侯惇「お前、俺のアイドルになれ。一緒に覇道を切り開くぞ。」

菜々「な、何を言っているんですか?!菜々は現役JKなんでまだ結婚なんて・・」

夏侯惇「誰が夫婦になるなどといった。お前をプロデュースして一流のアイドルにしてやる。」

菜々「えっ?!菜々のプロデュースしてくれるんですか?!ほ、本当ですよね!?」

夏侯惇「俺は冗談は好かん。少し話をしよう。お前のことが分からなくてはどうしようもないからな。」

夏侯惇「(こいつ、よくしゃべるな。それに所々で時事系列が滅茶苦茶だ。外交には使えんな。)分かった。ではこれからお前の実力を見せてもらおう。アイドルは歌って踊るのが仕事なんだろ?」

菜々「はい。じゃあレッスン場に行きましょう!」

ちひろ「じゃあ車で送りますね。」

夏侯惇「すまんな。俺も早く車を乗りこなせるよう訓練しなくれはな。」




――レッスン場――


菜々「到着です!ここが私たちのレッスン場ですよ!」

夏侯惇「ふむ、狭いな。多くの兵を訓練するにはもう少し大きな場所が必要だな。」

菜々「そんなこと言っても都内は建物が密集してて広い場所なんて体育館くらいですよぉ。」

夏侯惇「まあそんなことはちひろが考えるだろ。さて、ではここで踊るのだな。楽器はいらんのか?」

菜々「今の世の中ではラジカセがあるんですよ!音を録っておくことができるんです!ここにこのカセットテープを入れると・・ほら!」

ミミミン!ミミミン!ウーサミン!

夏侯惇「ほお、1800年も過ぎるとこのように発達したものができるのか。「ラジカセ」に「カセットテープ」を入れるんだな。」メモメモ・・・

菜々「じゃあ菜々がウサミンパワーで頑張っちゃいますよ!!レッツ、スタート♪」



――30分後――



菜々「ハアハア・・・ゼィゼィ・・ど、どうですかプロデューサーさん!菜々の・・ぐふぅ・・ダンスは!」

夏侯惇「まあ何と言うか、独創的でいいんじゃないか。しかしお前、まだほとんど時間は経っていないのにすごい息切れだな。」

菜々「な、菜々はまだ30分は動けますよ!!ゼェゼェ・・ぶふっ!!」

夏侯惇「曲にもよるんだが、俺はもう少し緩急をつけて踊るほうがいいと思うぞ。」

菜々「か、緩急ですか?でもメルヘンデビューには緩急なんて・・」

夏侯惇「導入部分から曲に入るとき、一気に空気が変わるだろう。あそこをもっと派手にしてもかまわんのだぞ。俺がやってみよう。」

菜々「えっ」


夏侯惇「俺の剣は剣舞用の剣ではないが、何とか舞ってみよう。」

菜々「ちょ・・・プロデューサーさん!?」

夏侯惇「いいから曲を始めろ。御託はあとだ。」

菜々「は、はいぃ!!」ポチッ!


ソノトキソラカラ、フシキナヒカリガマイオリテキタノデス・・・!!

夏侯惇(ここは導入部。しかも剣舞でいえばまだ舞う者が顔を隠しているところだ。ゆっくりと剣を顔の前で構えておく。)

菜々(プロデューサーさん、すごく似合ってないです。)

アレハダレダー!!ダレナンダー!!

夏侯惇(ここは曲入り直前。本来は鼓が低く鳴るだろう。少しだけ顔を見せ、完全に動きを止める・・・次で一気に!)

ソレハ・・・ナナデース!!

夏侯惇「(ここだ!!一気に剣を振り上げ軽やかに舞うのだ!)ふんっ!!」

菜々(うわ・・・!)

夏侯惇「命が惜しくば退けい!剣と弓を両手に、夏侯元譲!孟徳の覇道を照らす!」

菜々(すごい、セリフまで完璧です!)

ミミミン!ミミミン!ウーサミン!ミミミン!ミミミン!ウーサミン!

夏侯惇「と、まあこんな感じだな。幼少時より剣舞の教えを受けた孟徳ならばもう少し華麗に舞うだろうが俺はこれが限界だな。」

菜々「ぷ、プロデューサーさん!すごいですよ!すごくかっこよかったです!」

夏侯惇「そ、そうか?参考にしろ。最終的にはお前が采配を振るうのだからな。さあ、帰るぞ。」

菜々(意外と武将ってプロデューサーと似てるのかな?)

夏侯惇(あれから3週間か。確かに菜々は手がかからなくていい子だな。若干おかしなところはあるがそこに目を瞑れば十分な実力だ。そろそろ頃合いか。)

ちひろ「夏侯惇さん、そろそろ菜々ちゃんの売り出しを始めてもいいんじゃないですか?」

夏侯惇「ああ。俺もそう思っている。菜々が初陣を飾るにはどこがいいかと思ってな。あまりきつい戦場に放り込むとい討死しかねん。小さな戦場から馴らしていかんとな。」

ちひろ「そうですね。それには営業が一番ですよ!夏侯惇さん合宿で免許も取ったんだし車で菜々ちゃんを乗せて挨拶回りしてみたらどうです?ライブの会場は私が見繕っておきますよ。」

夏侯惇「うむ、頼んだ。早速予定を組んでみよう。」

ちひろ「あ、夏侯惇さん。こう言ってはなんなんですが、夏侯惇さんの服装は素敵なんですがイマイチ現代の仕事には向かない気がするんです・・・。」

夏侯惇「確かにな。道行く男たちは黒い羽織物を着ているな。」

ちひろ「あれはスーツです。仕事における正装ですね。」

夏侯惇「なるほど。ならば俺も現代に生きる者として現代の規範に従おう。于禁あたりがうるさく言いそうだ。」

ちひろ「わかりました。じゃあ今日はスーツを見に行ってください。」

夏侯惇「分かった。しかし俺はどこでそのスーツとやらは売っているのだ?」

ちひろ「紳士服店ですよ。私が御一緒してもいいんですが今日はお客様来るので。菜々ちゃんはレッスンだし・・・。」

凛・奈緒・加蓮(なんかちひろさんこっち見てる。)

ちひろ「あ!凛ちゃん、奈緒ちゃん、加蓮ちゃん!一緒に行ってあげてくれる?」

凛「お断りかな。」

奈緒「あたしもパス。こんなおっさんと歩いてたら悪い意味で有名になっちまうしな。」

加蓮「中二病が移ったら嫌だしね。」

ちひろ「ちょ・・・ちょっと!3人ともそんなこと言わなくても・・」

夏侯惇「構わん。忙しいのだろう。ちひろ、地図をもらえるか?一人で行ってくる。」

ちひろ「あ、すいません・・。あの子たちまだ夏侯惇さんのことプロデューサーとして見ていないみたいで。」

夏侯惇「いきなり1800年前の世界からやってきた者を受け入れられんのも無理はない。俺とて魏にお前たちが来たら受け入れられん。」

ちひろ「じゃあ、駅前にあるここなら。お金は持ってますよね?」

夏侯惇「世話をかけるな。では行ってくる。」

夏侯惇「無事にスーツを買うことができたな。靴や帯まで一緒に買ってしまった。俺の財が減っていくな。さて、帰るとするか。うん?あれは・・?」




凛「奈緒、加蓮。あたしらもう事務所辞めてもいいんじゃない?」

奈緒「そうだなー。前のプロデューサーはスカウトしてすぐ辞めちゃったしな。」

加蓮「次に来たのがあれだもんね。運悪過ぎって感じかな。」

凛「ほんとだよ。なんなのあれ。社長もよくあんなの採用したよね。」

夏侯惇「あんなのとは俺のことでいいのだな?」

奈緒「うわあっ!ぷ、プロデューサー!!いつからいたんだよ!!」

加蓮「盗み聞きなんて最低!」

夏侯惇「人の悪評を流すときは本人がいないか確認してからにするんだな。命を落としかねんぞ。」

凛「脅してんの?警察呼ぶよ?」

夏侯惇「ふん、まあ俺は構わんがな。帰るなら気をつけて帰れよ。ん??あれは・・!?」

奈緒「あ!?子供がヤンキーに絡まれて・・!」




幼女「な、なんでごせーますか!お金なんて持ってねーですよ!」

不良1「そんなことねーだろ?ちょっと自販機でおごってくれるだけでいいからさ。な?」

不良2「このモフモフした着ぐるみの中にお金隠してんでしょ?ちょっと貸してよ。」

幼女「や、やめるでごぜーます!大事な着ぐるみ・・!」

夏侯惇「おい、貴様ら。」

不良1「あ?なんだよおっさん。」

夏侯惇「他人から金品を巻き上げることは罪に値する。今すぐその手を退けろ。」

不良2「なんだと?もう一回言ってみろよ?」

夏侯惇「退けろと言いたんだ。聞こえんのか?」ギロリ・・・

不良「(や、やべえ・・殺される!!)に、逃げろ!」ダダダ!!

夏侯惇「逃げ足だけは速いな。劉備のような連中だ。おい、もう大丈夫だぞ。」

幼女「おおっ!ありがとうごぜーます!おじさん!」

夏侯惇「いつの時代もああいった連中は蔓延っているものなのだな。怪我はなかったか?」

幼女「大丈夫でごせーます。おじさんは強いでやがりますね!」

夏侯惇「ふふ、お前もそのうち強くなるだろう。おい、お前たち。」

凛「何?プロデューサー?」

夏侯惇「この子を家まで送って行ってやってくれ。」

奈緒「ちっ、仕方ねーな。」

加蓮「プロデューサー、意外とやさしいんだね。見直しそうになったかも。」

夏侯惇「好きにしろ。ちゃんと送りとどけるんだぞ。」


――翌日――


ちひろ「あ、夏侯惇さん。スーツ、決まってますね!」

夏侯惇「そうか?少し窮屈な気もするがな・・・。(無双6DLC)」

菜々「おはようございまーす!ってうわ!プロデューサーさんがスーツを着てる!」

夏侯惇「おう、菜々か。今日からはお前を実戦に放り込む準備をするぞ。」

菜々「は、はい。ライブやるんですか?」

夏侯惇「実際に人前で歌って踊って。あとはテレビとやらに出演するための売り込みだな。」

菜々「はい!菜々頑張っちゃいますよ!プロデューサーさんのスーツ姿、カッコいいですね♪」

ちひろ「菜々ちゃん、夏侯惇さんが来てから楽しそう。」

夏侯惇「これから実戦に放り込めば楽しいだけの毎日ではない。だが兵は実戦に出して鍛えなくてはならん部分もあるからな。今日は午前中は訓練、午後はお前を売り込みに行くぞ。」

菜々「わかりました!プロデューサーさん、レッスン場へ行きましょー!」

夏侯惇「すまんな。今日はお前一人で行ってくれ。俺は話をしたいやつらがいるからな。」

菜々「あ、わかりました。ウサミンパワー全開で行ってきます!」

夏侯惇「菜々、ずっと気になっていたんだがそのウサミンとは一体なんだ?」

菜々「え!?菜々は素敵なアイドル目指してウサミン星からやってきたんですよ!きゃはっ♪」

夏侯惇「ウサミン星・・・?東京にはそんな場所があるのか?」

菜々「東京じゃなくて千葉け・・・でもなくて違う星から来たんですよ!」

夏侯惇「違う星・・?菜々は天文読みが好きか。孟徳や子脩と気が合いそうだな。でもお前このあいだ電車に乗って帰ってなかったか?電車は空を飛べんぞ?」

菜々「あ、あのですね・・・空飛ぶカボチャが置いてある場所までは電車で・・・・!!い、行って来ます!!」ガチャ!バタン!!

夏侯惇「俺は何か悪いことを言ったのか?」

ちひろ「夏侯惇さん、菜々ちゃんには年齢の話だけじゃなく出身地・在住地の話も禁止です。」

夏侯惇「御意。」

画像支援サンクス。






夏侯惇「さて、お前らを呼んだ理由が何だかわかるか?」

凛「知らないよ。感謝されることした覚えないし。」

夏侯惇「昨日、あの子を連れて行ってくれたことの礼だ。」

奈緒「なんだよ、そんなことか。」

夏侯惇「なんだとはなんだ。俺はお前らを労っているだけだ。俺からも礼を言わせてもらう。」

加蓮「じゃあさ、なんかご褒美ちょうだいよ。あ、その眼帯ちょうだい♪」



グイッ!!ポロッ・・・



凛「!!」

奈緒「えええーー!?」

加蓮「う・・・・そ・・・・。」

夏侯惇「早く返せ。俺はこの醜い目を晒しておきたくないだけだ。」

凛「ぷ、プロデューサー。本当に目が・・・」

奈緒「お、おい加蓮!!中二病じゃなかったのかよ!?」

加蓮「ご、ごめん。まさか本当に目が・・。」

夏侯惇「戦の最中に不覚を衝かれてな。情けないものだ。死ななかっただけいいものだろう。」

凛「左目、完全に見えてないの?」

夏侯惇「ああ。医者の話では矢を引き抜いた時目玉が丸ごと飛び出したらしい。」

奈緒「や、やめろよ!気持ち悪いな!」

加蓮「あ、その・・・プロデューサー。ごめんなさい・・。」

夏侯惇「別に怒ってはいない。だがお前たちの軽率さには呆れたな。」

凛・奈緒(やったのは加蓮なのに・・・)

夏侯惇「そんな話はさておき、お前らもそろそろ初陣にむけて本格的な訓練を始めてもいい頃だ。」

凛・奈緒・加蓮「えっ!?」

夏侯惇「何を驚いている?」

凛「いや、だってプロデューサー」

奈緒「あたしたちは散々プロデューサーをバカにして・・」

夏侯惇「それが何か関係あるのか?」

加蓮「だ、だって!」

夏侯惇「お前らの俺に対する態度など微塵も気にせん。ただお前たちには才がある。だから俺が取り立ててやろうというだけの話だ。他意はない。」

凛「プロデューサーは嫌じゃないの?こんなに自分をバカにして露骨に避けたアイドルをプロデュースするの・・。」

夏侯惇「嫌だな。気に食わん。」

奈緒「だったら何で・・!!」

夏侯惇「言っただろう。お前たちには才がある。」

加蓮「どういうこと?」

夏侯惇「いいか、集団とは人が作り上げていくものだ。このシンデレラプロも社長を筆頭にちひろ、菜々、お前たち、そして俺がいて成り立っている。」

凛「でも私たちはまだ何も仕事らしい仕事なんて・・・」

奈緒「前のプロデューサーにはひどく嫌われてたしな。」

夏侯惇「いいかお前たち。俺の友は多くの領地を抱え、敵も多くいる男だ。仕事はまじめにやらずに詩や舞踊に勤しみ女の尻を追いかけ続ける最低の男だ。だがあいつは、才あるものであればどのようなものでも取り立てて使う。たとえ素行が悪くとも、自分に罵詈雑言を浴びせる者であってもな。だから俺もそうすることにしたのだ。」

加蓮「ふーん。プロデューサーの友達はすごいおおらかな人だね。」

夏侯惇「単なる人たらしなだけかも知れんがな。だがこれだけは覚えておけ。人は決して金で買うことのできない財になりうるということだ。有能な将とて、忠義を尽くしたいと思える大将に出会えなければ無駄に命を散らすことになる。お前たちが俺に忠義を尽くしてくれるかは分からんが、俺はお前たちの才が本物であると信じている。俺と一緒に社長の覇道を支えてくれんか?」

凛「プロデューサー・・ずっとそんな風に思ってくれてたんだ。」

奈緒「なんか、悪かったな。変な恰好してるだけで敬遠しちまって。」

加蓮「プロデューサー、スーツ似合ってるよ。カッコいいかな。」

夏侯惇「まあ、お前たちの気持ち次第だな。アイドルは強制ではない。無理強いはせんが・・」

凛「やるよ。プロデューサーと一緒なら、楽しくできそう。」

奈緒「そうだな。ちょっと変かもしれないけど悪い人じゃないしな。」

加蓮「プロデューサー、ネクタイ曲がってるよ?慣れてないからかな?」

夏侯惇「そうと決まれば、お前たちもすぐに訓練を始めるぞ。お前たちは一つの軍団として強化していくからな。」

凛「奈緒や加蓮が一緒なら大丈夫だね。」

夏侯惇「たいそうな自信だな。俺の訓練についてこれれば、立派な軍団になるだろう。覚悟を決めろよ!!」

奈緒「お、おう!やってやるぞ!」

加蓮「私は体力ないから、プロデューサーに付きっきりで指導してほしいな。」

凛「ちょっと待って加蓮、さっきからプロデューサーに色目使いすぎじゃないかな。」

加蓮「え?別に私はそんなことないと思うけど。」

奈緒「確かにおかしいよな。中二病が移るから近寄りたくないとか言ってたくせに。」

凛「そんなにすぐに手のひら返すのはちょっと卑怯だなって思うんだよね。」

加蓮「プロデューサー、凛と奈緒がいじめるよ。私なんか頭がくらくらして・・・」

奈緒「ああー!!プロデューサーに寄りかかんなよ!」





ギャーギャー!!コノビジネスビョウジャク!!ソッチハリンワンワンデショ!ダマレヨネライツンデレ!!




夏侯惇(女が面倒なのはいつどこでも変わらんな、孟徳。)

――3ヶ月後――


夏侯惇「おい菜々!!菜々はいるか!」

菜々「はーい!プロデューサーさん、なんですか?」

夏侯惇「お前のCDデビューが正式に決定したぞ!」

菜々「ええーっ!本当ですか!?ウサミンパワーのおかげなんでしょうか?」

夏侯惇「ウサミンパワーが何かは知らんが、お前の力で成し遂げたことだ。よくやった。」

菜々「じゃあ、ついにメルヘンデビューが全国デビューなんですね!キャハッ♪」

夏侯惇「うむ、お前はあのモリタの生放送音楽番組ミュージックエアポートに出演が決まった。」

菜々「え”え”っ?あのモリさんの、金曜日やってるやつですよね?!」

夏侯惇「ああ。お前のCD発売日は放送日の翌日にしてもらった。しかもその日はロシアからのスペシャルゲスト・IREZUMIが来るらしいぞ。」

菜々「あのロシアのJKユニットですか!?菜々一度会ってみたかったんですよ!」

夏侯惇「存分にお前の力をふるってこい。」

凛「菜々さんはCDデビューかぁ・・・」

奈緒「いいなぁ。あたしらも早くCDデビューしたいぞプロデューサー!」

夏侯惇「焦るな、奈緒。お前らと菜々とでは積んできた訓練が違う。お前らを焦って戦場に出し、討死されてはたまらんからな。今は雌伏の時。よく鍛え、食べ、眠り、時が来るのを待て。」

加蓮「じゃあプロデューサー、私を食b」

凛・奈緒「言わせねーよ!!」

夏侯惇「お前ら息が合っているな。軍団と鍛えてきた甲斐があったというものだ。その調子で3人の絆を強く持つのだ。決して、己の力を過信するなよ。」

凛「分かってるよ。じゃあ、レッスン言ってくるね。」

奈緒「加蓮、お前最近エグイ下ネタぶっこみ過ぎだからな!気をつけろよ!」

加蓮「奈緒はうるさいなぁ・・・。」




ダレガウルサイダ!アタシハオマエヲシンパイシテ・・・!アー、アタマイタイ。プロデユーサートビョウインニ・・・!イカセネーヨ!!




ちひろ「(凛ちゃんたち、だいぶ夏侯惇さんに懐いたみたい。安心安心♪)」

――伝説の金曜日――


夏侯惇「菜々、よくやったな。生放送は緊張したか?」

菜々「も、もう緊張なんてもんじゃないですよ!アクシデントは発生するし・・!!IREZUMIが出演拒否して一時はどうなるかと思ったんですよ!?」

夏侯惇「そうだな。お前にもう一度出番が回ってこないか期待したんだがな。」

菜々「無理ですよぉー!菜々はメルヘンデビュー以外にあんまり持ち曲ないんですから!急きょマシンガンエチケットさんがもう一曲やってくれたから良かったんですが・・モリさん困ってましたよ。」

夏侯惇「いい教訓になっただろう。戦況は刻一刻と変化する。いつも同じ戦術が通じるほど甘くはないということだ。」

菜々「分かってますよ!明日からもウサミンパワー全開で頑張っちゃいますよ!」

夏侯惇「その心意気やよし!明日は朝からCD販売イベントだからな。今日は帰ってゆっくり休むんだ。」

菜々「はい!じゃあ菜々は直接帰るんで、お疲れさまでした!」

夏侯惇「送らなくていいのか?千葉、じゃなくてウサミン星まで。」

菜々「う、ウサミン星は車両進入禁止ですから!!捕まっちゃいます!」

夏侯惇「ふん、まあ気をつけて帰れ。テレビに出る身になったのだ、気取られるなよ。」

菜々「菜々はメイドさんに変装して帰るので大丈夫です♪」

夏侯惇「(どの辺が大丈夫なんだ?)俺は事務所に帰るから、明日は8時に事務所に来いよ。」

菜々「はい!」



――事務所――

夏侯惇「戻ったぞ・・・誰もいないか。さて、凛たちのスケジュールも確認しなくてはな。作曲家との打ち合わせまでに曲も聞いておく必要があるしな。」カタカタ・・・カタカタ・・・

夏侯惇「しかしこのパソコンにもずいぶん慣れたもんだな。最初はちひろに教えられ、凛たちにからかわれながらだったが今ではタイピングも早くなった。将たるもの日々精進が大切ということだな。」

社長「仕事はずいぶん慣れたかね?」

夏侯惇「社長!いたのか。誰もいないかと思っていたぞ。」

社長「すまんね。社長室で安部君の歌を聴いてきたら君が帰ってきたことに気がつかなくて。」

夏侯惇「こんな時間まで一国の主が仕事とは感心せんな。俺に話があるのか?」

社長「君は本当にするどいなぁ。やはり私の目に狂いはなかった。君はプロデューサーとして実に有能だ。」

夏侯惇「買いかぶりすぎだ。あいつらはこれから本当の意味で戦場に出る。修羅場も経験することになる。そこでこそ俺の真価が問われるのだろう?

社長「ふふ、さすが天下の曹操孟徳の片腕だ。」

夏侯惇「孟徳、今頃呂布との決戦に臨んでいるかもしれんな・・・。」

社長「気になるかね?」

夏侯惇「当然だ。俺が唯一忠義を尽くすと決めた男だ。覇道の途中で死なれてはたまらんからな。」

社長「実は君のいた世界に戻る方法を見つけてしまったかも知れないのだよ。」

夏侯惇「ほ、本当か!?」

社長「私としては残念だが・・・。0時ちょうどに洗面所の鏡に話しかけてみてくれないか?」

夏侯惇「・・・鏡は好かん。」

社長「分かっている。それでも君が元の世界に戻るには鏡を見て話しかける必要があるのだ。」

夏侯惇「・・・分かった。」

社長「私はもう帰るよ。戸締りを頼むよ。」

夏侯惇(さて、0時になったか。社長の言うことが本当であれば鏡に話しかければ何かが起きるということか。)

夏侯惇「・・・おい。俺を孟徳の元へ戻す方法を知っているのか?」

鏡「」

夏侯惇「ふん、あほくさい。社長め、俺を弄んだな。」







??「待つのだ。社長は貴殿をだましてなどおらぬ。」

夏侯惇「貴様が俺をこの世界へ飛ばしたのか?名を名乗れ。」

??「小生は左慈。貴殿をこの世界へ導いた者である。」

夏侯惇「俺を孟徳の元へ戻せ!今すぐにだ!」

左慈「できぬ。」

夏侯惇「貴様・・!」

左慈「貴殿が本当にこの世界から脱したいと思っていればすぐに脱することができよう。」

夏侯惇「な、何を言っている!俺は孟徳の元へ戻りたいと心から・・!」

左慈「小生の前で戯言は通じん。貴殿が新の武人であるならば、このまま曹孟徳の元へ戻ることができようはずがない。」

夏侯惇「何が言いたい・・?」

左慈「それは小生の口からは言えん。もっとも、貴殿とて自分の本心に気がついているのだろう?」

夏侯惇「・・・余計な世話だ。つまりこの世界で俺自身が納得いく戦果をあげねばお前は俺を孟徳の元へ戻してはくれんということだな?」

左慈「さすがは夏侯元譲。曹孟徳を乱世の覇者に仕立て上げたいのであれば、この世界で覇者としてふさわしい者を育てあげてみよ。」

夏侯惇「ふん、周りくどくてやってられんが、鏡の中の貴様の首を飛ばしてやることが出来んのでは仕方ない。その契り、交わしてやるしよう。」

左慈「では、すべてが終わったとき、小生は再び貴殿の前に現れるとしよう。夏侯元譲、健闘を祈っている。」

夏侯惇「おい、孟徳に伝えておけ。お前の好きな女に囲まれて仕事をしているとな。」

左慈「承知仕った。」

――1週間後――


ちひろ「夏侯惇さん!菜々ちゃんのメルヘンデビューがオリコン10位ですよ!」

夏侯惇「まずまずの結果になったな。菜々、いい仕事をしたな。」

菜々「はい!菜々もうれしいです!キャハッ♪」

夏侯惇「各方面から問い合わせや出演依頼が多く来ている。忙しくなるから自愛しろよ。」

菜々「分かりました。あ、あのプロデューサーさん!」

夏侯惇「どうした?」

菜々「本当はデビューライブの前に言いたかったんですが・・・言えなくて。あの、ここまでプロデュースしてくださって本当にありがとうございました!」

夏侯惇「どうした、菜々。隠居でもするのか?」

菜々「現役JKの菜々が隠居するわけないじゃないですか!もう!プロデューサーさんにお礼が言いたかったんですよ!」

夏侯惇「礼?俺にか。」

菜々「はい。だってプロデューサーさんがいなかったら菜々はきっとCDデビューできませんでした。今だってお母さんにもいつ結婚するのかって急かされて・・・。」

夏侯惇「菜々、お前17歳の設定はどうした?」

菜々「ああーー!!き、聞かなかったことにしてくださぁい!!」

夏侯惇「事務所の外でうっかり口を滑らせるなよ。」

菜々「ううーー・・・ごめんなさい・・。」

ちひろ「それよりも夏侯惇さん!菜々ちゃんのテレビ出演を受けてアイドルになりたいって子からメールがたくさん来てますよ!」

夏侯惇「本当か。嬉しい話だが、今は菜々、凛、奈緒、加蓮の面倒で精一杯だ。いたずらに戦力を強化すると内部から瓦解することもある。プロデューサーをもう何人か雇って、それからアイドルを集めても遅くはないのではないか?」

ちひろ「そうですね。でもうちの会社はプロデューサーの給料すごく安いんですよ?しかも業務内容はきついのに。夏侯惇さんが来る前からプロデューサーの求人広告出しても全然応募がないんですよ。」

夏侯惇「そうか?俺は待遇に満足しているがな。事務所に住みながら仕事をすれば家を用意する必要もないしな。業務が苛烈といっても討たれるわけではない。」

ちひろ「夏侯惇さんは自給自足の世界で生きてきて、戦場を駆け巡ってきたからそう思うんでしょうが今の若人はそうはいかないですよ。」

夏侯惇「そんなものか。まあ志願した者すべてをアイドルにするわけではない。一度会って話を聞いてみるか。」

ちひろ「じゃあオーディションを開催しちゃいましょう!社長にも連絡しておきますね!」

菜々「(事務所にアイドルが増えたらプロデューサーさんといる時間も減っちゃうのかな?)」


――オーディション当日――

夏侯惇「さて、配置はこんなもんでいいか。」

ちひろ「すいません、夏侯惇さんにセッティングすべて任せてしまって。」

夏侯惇「俺がプロデュースするアイドルを決める審査だ。ならば俺が率先して準備をするのがあるべき姿だ。」

ちひろ「ふふ、そういうところは猛将・夏侯元譲って感じですね。」

夏侯惇「俺が後世でどう語られているかは知らんが猛将と呼ぶに相応しい戦果を上げたのだろうな。」

社長「夏侯惇君、ちょっといいかね。」

夏侯惇「社長、どうしたのだ?」

社長「あー、悪いが千川君。ちょっとはずしてくれんかね?」

ちひろ「あ、はい。控室のお茶菓子準備するんで・・・。」



ガチャ・・・バタン!



夏侯惇「人払いをしてまでのことか。」

社長「あまり君以外に聞こえないほうがいいだろうと思ってね。君は、あの鏡に何を見たのかね?」

夏侯惇「俺をこの世界に飛ばした本人と会った。戻りたければトップアイドルを輩出して自分の満足いくようにしろと言われた。」

社長「なるほど。ではどのようにして彼女達をトップアイドルへ導くつもりかね?」

夏侯惇「そうだな、やはり小さな局地戦で実力を伸ばし経験を積ませ、そこから大きな成果を求めるために戦うしかあるまい。」

社長「うむ。では質問を変えよう。トップアイドルとは一体何かね?」

夏侯惇「トップアイドルか。やはり一番多くの利益をもたらす者ではないか?」

社長「それでは君は利益のためなら汚い手を使うことも辞さないプロデューサーになってもいいかね?CDに握手券や投票権をつけて複数購入を触発するのも手だが。」

夏侯惇「それは好かんな。うーむ、そうだ。一番忙しく働く者ではないか?忙しいということは仕事も多く、人目につくことも多いであろう。アイドルたるもの多くの者から認知されなくてはならんのだろう?」

社長「では炎上商法でも使ってみるかね?悪事は千里を走る。地道な活動よりも手っ取り早く有名になることもできるし視聴率アップを狙うテレビ会社から出演依頼も殺到することだろう。」

夏侯惇「悪名高いのは孟徳だけで十分だな。一体トップアイドルとはなんなのだ?教えてくれ。」

社長「答えは私も知らないのだよ。君が彼女達と一緒に仕事をし、見つけ気付いていくしかないのではないかね?」

夏侯惇「・・・・」

社長「君は今まで曹操孟徳という男の進む覇道を切り開くために戦ってきた。それに対して今は君が描く覇道を進むための道を君が切り開かなくてはならないのではないかね?その覇道の先に、どのような理想を築き上げるのか分かって初めて覇道があるとは思わんかね?」

夏侯惇「なるほどな。社長、俺は孟徳のことを分かっているつもりで何も分かっていなかったのかもしれんな。」

社長「ふふ、それでは今日のオーディション頑張ってくれたまえ。これからの我がシンデレラプロダクションに欠かせない人材発掘だ。人材登用が如何に大切かは君も痛感しているはずだからね。」

夏侯惇「任せておけ。」

―――オーディション終了後―――


ちひろ「夏侯惇さん、お疲れさまでした。たくさんのアイドルが生まれそうでしたか?」

夏侯惇「分かんらんな。俺がどう導くかよりも本人達がどうしたいかが重要だろうからな。」

ちひろ「そう言えば、さっきは社長と何を話していたんですか?」

夏侯惇「・・・お前にとってアイドルとはなんだ?」

ちひろ「えっ?!アイドルですか?うーん・・・キラキラ輝いてて、一生懸命で思わず応援したくなったり、一緒に踊りたくなったりする存在ですね。」

夏侯惇「そうか・・・。ふと社長に、トップアイドルとは何かを聞かれてな。俺は答えることができなんだ。」

ちひろ「トップアイドルですか?オリコン1位とか取れればいいんじゃないでしょうか?」

夏侯惇「俺には売上だけがすべてとは思えん。それにさっきお前が言ったように、人を楽しませることにアイドルの神髄はあるのかもしれんな。」

ちひろ「夏侯惇さんは本当に真面目なんですね。」

夏侯惇「そうか?愚直に指示に従うのが武人のあるべき姿とは思えんからな。自分で考えて行動することが求められることもある。それはプロデューサーとて変わるまい。」

ちひろ「そうですね・・・。明日から新人アイドル達をビシビシ鍛えてくださいね!」

夏侯惇「俺が鍛えるわけではないがな・・・。」

――1ヶ月後――

夏侯惇「さて、お前たちも遂にデビューが決まったわけだ。これまで以上に気を引き締めてかかれよ。」

凛「うん。新しい子たちもようやく慣れてきたみたいだし、お手本にならなきゃね。」

奈緒「早く菜々さんみたいにテレビも出てみたいな。出してくれよ!」

夏侯惇「デビュー前のお前たちでは声などかからん。これから少しずつ出世するしか道はないぞ。」

加蓮「うん!菜々さんもそうだったしね。」



ガチャ!!


??「ただいまでごせーます!!」

??「・・・ただいま・・。」

??「只今帰りましたわ。」

夏侯惇「うっ・・。」

凛「プロデューサー、顔しかめすぎだよ。」

仁奈「あー!!元譲がいやがります!仁奈を抱っこするがいいですよ!」

雪美「・・・元譲、私も抱っこ・・してくれる・・?」

桃華「元譲ちゃま!わたくしも抱きしめていただけると嬉しいですわ。」

夏侯惇「3人とも俺に甘えてばかりでは困るぞ。少しはアイドルとして自立したほうが・・」

仁奈「やーです!仁奈は元譲と一緒がいいですよ!」ギュッ!

雪美「仁奈・・・ずるい・・私も・・」ギュ・・

桃華「抜け駆けなんて許しませんわ!」ギュッ

夏侯惇「ぬぐっ・・分かった!分かったから離れろ!」

奈緒「なんだよモテモテじゃねえか。よかったな、プロデューサー!」

加蓮「よし、私も抱きついていいよね?」

仁奈「加蓮おねーさんはダメでごぜーます!」

雪美「大人・・・だから・・」

桃華「元譲ちゃまに抱きつくのは中学生までですわ!」

加蓮「だいじょうぶだよ。かれん6さいだから。きゃはっ♪」

凛「加蓮、早くレッスン行くよ。時間は限られてるんだから。」

奈緒「幼児退行すんなよ、気持ち悪いだけだからな。」

加蓮「ちぇっ・・次は妊婦のふりでもしてやる・・・。」

夏侯惇「仁奈、雪美、桃華!離れろ!」

仁奈「元譲!今日は着ぐるみで遊ぶって約束しやがったですよ!」

雪美「ペロが・・・元譲と遊びたいって・・・」

桃華「今日はわたくしとお茶を楽しむって仰いましたわ!」

夏侯惇「ぬぬ・・!!仕方あるまい、着ぐるみを着ながらペロと遊んで茶を飲めば良いのだな・・。」

ちひろ「(夏侯惇さんが壊れていく・・・。恐るべし、年少組!)」




未央「お疲れ様で―す!」

卯月「ただいま帰りました―!」

夏侯惇「おう、未央に卯月。レッスン御苦労だったな。」

未央「プロデューサー、ふふっ・・!!何その格好?」

卯月「羊の着ぐるみですか?可愛いですね。」

夏侯惇「う、うるさい!仁奈が着ろとうるさいから着ているだけだ!おいペロ!お前も何とか言ってやっれ!」

ペロ「にゃふぅ」

雪美「ペロも元譲も・・・かわいい・・」

未央「なるほど。また年少組におもちゃにされてるわけですか♪」

卯月「プロデューサーさん優しいですからね。つい遊んで欲しくなっちゃうんじゃないですか?」

夏侯惇「ふん。構ってやらんで泣かれてはたまらんからな。」

仁奈「元譲は羊が似合うですよ!お髭のモフモフ感に似てやがります!」

桃華「元譲ちゃま!ロースヒップティーが入りましたわ!」

夏侯惇「茶は落ち着くな・・・。桃華。俺の時代では茶は超高級品なんだぞ。」

桃華「あら、そうですの?日常的にお茶を楽しめないなんて残念ですわね。」

かな子「プロデューサーさん、ケーキ焼いてきましたからお茶と一緒にどうぞ。」

みく「かな子ちゃん!みくにもちょうだいにゃ!」

夏侯惇(まーたうるさいのが来たか・・)

かな子「いいよ、みくちゃん。3ホールも焼いてきちゃったから一緒に食べよ♪みんなもちょっと一休みしませんか?」

夏侯惇「かな子、ケーキを焼いてきてくれるのは有難いのだが・・・俺は仕事が残っているのだ。」

かな子「ちゃんと食べないとお仕事できませんよ?私が焼いたお砂糖たっぷりケーキ食べてがんばりましょ?」

夏侯惇「わ、わかった。分かったからそんな目で見るな。」

みく「あー、元ちゃん照れてるにゃー!!」

夏侯惇「かな子のケーキが美味しいんでみくにゃんのファン辞めます。」

みく「ひどくない・・・・?」

未央「やれやれ、今日もにぎやかでいいね。」

卯月(プロデューサーさんって顔は怖いけど本当はすごく優しいんだなぁ・・。)

ちひろ「ふふ、みんな。プロデューサーさんをそろそろ解放してあげて?次のお仕事が待ってるから。」

仁奈「仕方ねーです。元譲、また一緒にモフモフしやがるがいいですよ!」

雪美「ペロ・・・お昼寝する・・?」

桃華「また一緒にお茶しましょう、元譲ちゃま。」

かな子「プロデューサーさん、ケーキ置いておくんでお夜食にどうぞ!」






夏侯惇「ちひろ、最近俺の疲れがひどいんだが・・・。」

ちひろ「オーディションで採用したのは夏侯惇さんですよ?」

――トライアドプリムスデビューライブ前日――


夏侯惇「いよいよ明日がデビューライブだな。万全の仕上がりなんだろうな?」

凛「もちろんだよ。明日はきっと最高のデビューになるはず。」

奈緒「プロデューサーをびっくりさせてやるぜ!みてろよ!」

加蓮「ねえプロデューサー、明日は私だけ見て欲しいな。」

夏侯惇「とりあえず体調は万全みたいだな。明日に備えて今日は・・・」



ガチャ・・!!

??「失礼します。」

凛・奈緒・加蓮・ちひろ「!!」

夏侯惇「ああ、客か。ん・・・お前らどうしたんだ??」

ちひろ「・・・帰ってください。」

??「随分な物言いだな。ちひろ。」

凛「帰って。あんたの面は二度と見たくない。」

夏侯惇「おい凛、ちひろ!客に対してそんなことを言っては・・」

奈緒「こんな奴客じゃねーよ。消えろ。」

加蓮「絶対にこっちに来ないで。」

夏侯惇「一体どうしたんだ・・?この人と何かあったのか・・・?」

??「お宅、シンデレラプロのプロデューサーさん?」

夏侯惇「ああ、プロデューサーの夏侯元譲ですが、俺に用事でも?」

??「そうか・・あんたが俺の・・。」

ちひろ「帰ってくださいって言ってるんです!」

凛「あんたはプロデューサーの足元にも及ばない。最低のクズだ。」

??「凛、奈緒、加蓮。相変わらず口が悪いな。だからいつまでたってもデビューできないままなんじゃないか?」

奈緒「ふざけんじゃねーぞ、てめぇ!!」

夏侯惇「よせ奈緒!おい、あんた一体何者なんだ??」

加蓮「プロデューサー、こいつは・・・」

??「あんたの前任のプロデューサーだよ。こいつらから聞いてないかい?」

夏侯惇「俺の前任がいたことは聞いていたが、お前が前任だったか。」

ちひろ「今さら何しに来たんですか!帰ってください!」

夏侯惇「ちひろ、用件も聞かずに帰れとは言えんだろう。」

社長「いや、お引き取り願おうか。」

夏侯惇「社長・・!」

前任P「これはこれは社長。お久しぶりです。」

社長「君にはもうここにいる資格はないのだ。お帰り願おうか。」

前任P「社長、私は今日仕事で来ているんですよ。スカウトマンとしての。」

凛「スカウト・・?誰を?」

前任P「もちろんお前たち3人に決まってるだろ?さあ、こんな弱小事務所は捨ててうちの事務所に来い。給料も弾むぞ?」

ちひろ「ふ・・ふざけないでください!!あなたのせいでこの子たちが一体どれだK・・プロデューサーさん??」

夏侯惇「事情はよくわからんが、温厚なちひろや社長がここまで怒るなんてお前に何かあるとしか考えられん。お引き取り願おうか。」

前任P「話も聞かずに帰れなんて横暴すぎやしないか?」

奈緒「お前と話すことなんてなにもない!!」

夏侯惇「だ、そうだ。お帰り願おうか。」

前任P「待て!俺はこいつよりもお前たちを高みへ・・」

夏侯惇「失せろ。二度は言わんぞ。」

前任P「くっ・・覚えてろよ!!後悔しても遅いからな!」



ガチャ・・・バタン!!!



ちひろ「ふぅ・・・凛ちゃん、奈緒ちゃん、加蓮ちゃん大丈夫??」

加蓮「大丈夫・・・。」

凛「何でこんな大事な時に来るの・・・。」

奈緒「絶対いやがらせだよな・・。」

夏侯惇「社長、ちひろ。俺が来る前何があったのか教えてもらおう。このままでは明日のデビューライブに集中出来ん。」

社長「では、ちょっと社長室に来たまえ。」

凛「ここでいいよ。私たちもプロデューサーに言いたいことがあるから。」

ちひろ「で、でも凛ちゃん!!」

奈緒「隠すことでもねえしな。プロデューサーにも知ってほしいっていうか・・。」

社長「では千川君、彼に説明をお願いできるかね・・?」

ちひろ「はい・・・。あの人夏侯惇さんの前任のプロデューサーってところまでは大丈夫ですよね?」

夏侯惇「ああ。分かっている。」

ちひろ「彼は最低のプロデューサーです。人間としても最低です。」

夏侯惇「どうしてだ・・?」

ちひろ「あの人は凛ちゃん達をデビューさせなかったんですよ。意図的に。」

夏侯惇「意図的に・・?時期尚早だと思ったからではないのか?」

ちひろ「違いますよ・・。腹いせです。自分がアイドルを想いどおりにできなかった腹いせに凛ちゃん達のデビューチャンスを踏みつぶしたんですよ!」

夏侯惇「腹いせ・・?」

ちひろ「あの人は、デビューの代わりに自分と肉体的な関係を持つことを要求したんです・・。もちろん凛ちゃんも奈緒ちゃんも加蓮ちゃんも断りました。彼はその腹いせに3人のデビューライブをドタキャンしたんです。3人が出たくないって我がまま言ってるっていうウソをついて・・。」

夏侯惇「本当か・・?」

凛「うん・・・。あいつはすぐに社長がクビにしたよ。でもそれ以来私たちはどこのイベント会社からも声かかんなくなっちゃって・・。」

社長「あの時は私も辛かった・・。あいつを切ることで彼女達は守られたが、失ったものはあまりにも大きすぎた。」

ちひろ「それ以来みんなへそ曲げちゃって・・・。そこに夏侯惇さんが突然やってきたっていう話ですよ。」

夏侯惇「なるほどな。あいつに対して敵意をむき出しにしていた理由はそれか・・。」

奈緒「なんか・・気分悪くなってきたな。」

加蓮「うん。モヤモヤする・・。」

夏侯惇「社長、ちひろ。ちょっと社長室でこいつらと話してくる。待っていてくれ。おい、行くぞ。」

――社長室――

凛「プロデューサー。さっきはありがとう。あいつのこと追い返してくれて。」

夏侯惇「ん?目の前で堂々と引き抜きの話なんかされたら俺も頭にくる。当然だろう。」

奈緒「プロデューサーと最初に会ったとき、ちょっときつく当ったのはあいつのせいなんだ。」

加蓮「ごめんね。あいつが最初のプロデューサーだったからプロデューサーってみんな身体目的なのかと思って・・。」

夏侯惇「俺は肉体関係よりもお前たちの体調に興味深々だがな。お前たちが俺を受け入れることができない理由はよくわかった。今でも心底から信用してくれているのかは分からん。」

凛「そんなことないよ、私たちはプロデューサーを心から信用してる。」

夏侯惇「そうか。たとえお前たちが俺を信用していようといまいと、お互いこれだけは約束しよう。」

加蓮「プロデューサー、私と永遠の愛を約束して欲S・・・」

凛・奈緒「黙れ。」

夏侯惇「俺は何があってもお前たちをこの業界の闇から守る。だからお前たちも何がってもこの業界の闇に心を染めるな。約束してくれるな?」

凛「うん・・・。約束するよ!」

奈緒「なあ、すでに加蓮が闇に染まりつつある気がするんだけどよ・・。」

加蓮「や、闇に飲まれよ!!」

夏侯惇「ふふ、なんだかよくわからんが明日のデビューライブは心配いらんようだな。何も気にする必要はない。存分に力を振るってこいよ。」

凛「うん・・・。ありがとう。」

奈緒「まあ、言われなくてもやってやるけどな!」

加蓮「明日は終わったら打ち上げしようよ!」





ちひろ「社長、凛ちゃん達大丈夫そうですね。」

社長「うむ。さすがわたしがティンと来ただけある。兵を率いてもアイドルを率いても立派なものだ。」

ちひろ(本当にありがとうございます。夏侯惇さん・・。)

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