Slash「素晴らしきパイロット人生」 (35)

地の文。短い。捏造マシマシ。

以上がOKで、お暇な方。お付き合いしていただければ。

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苛立つ。

いかなる時も理性的に、己を律する。
それを可能にせんと鍛え上げ、そして完璧でないにしろある程度はそう形成出来てきたはずの精神に、さざ波が立つ。

拳を固めて、アルミロッカーの板扉に押し付ける。
どれ程きつく握り締めても金属と同じ硬度にならない骨と肉の脆弱さに、なお自分の中の苛立ちが高まっていくのを、ひしひしと感じる。
全く、甚だしい八つ当たりだ。

ロッカー室、と言っても、着替えに使う更衣室とは別に設けられた、純粋にパイロット達の私物を置いておくための一室。
そこそこの広さがあるのだが、更衣室の方にも結構な収納スペースがあるためこちらを利用する者はあまりいない。
スペースの無駄ではないかと思う事もあったが、今のように一人になりたい時など、この好待遇は非常に有難い。

アドバンスド・オートメイテッド・アヴィエーション・プラントの恩恵による戦闘機飽和時代にあって、腕の立つ『エースパイロット』の存在は尚更貴重だ。
この数年、雨後の筍のようにあちこちで興業してきた民間軍事企業でも、擁するパイロットの質は直接的にしろ間接的にしろ企業力に影響する。
そのため、その腕前に見合った待遇をそれぞれで約束しているのが当たり前だ。

もっとも『この数年』とはいっても、ケイが物心つく頃に源流が出来、そして歳を重ねると共にその成長を目の当たりとしてきた、そして極め付けにその流れの中に身を晒している身であれば、そんな事は重々承知だ。

ともかくそのような理由で、幸いにして総合力で腕が立つ方のパイロットであると評価されているケイ達、所謂『国連軍』のパイロット達も、国連などと言う公的機関に所属する身でありながら、このような好待遇を享受できている。
が、今はそれが有りがたいと同時に、一層腹立たしい。

傭兵だとか、空賊だとか。そう呼ばれる彼等を、いや、正確にはその中の一機を嫌でも思い出してしまうからだ。

ジョン「いつまでそうやってるつもりだ?」

どれほどそうしていただろうか。ケイの右側、ロッカー室の入口側から声がかかる。

ロッカー室の利用率は確かに低い。
極力移動を渋ったり、純粋に物が少ない隊員は自分の更衣ロッカーだけで用を足らしている為、一応女性であるケイや、その他、少数の隊員が利用するのみだ。
だから、この場所を選んだのだが。

ナガセ「Slash……」

ジョン「空から降りてまでTACネームで呼ぶな。相当参ってるな、ナガセ」

声の方に向くと、金髪を短く刈り込んだ偉丈夫が一人、立っていた。
ケイが所属するリッジバックス隊の一番機であり同時に上司でもある、ジョン・ハーバード。

正直、彼がここにいるのは意外だ。
ケイが記憶している限り、彼は物が少ない方の隊員に属する。
確か車いじりが趣味と言っていて、この基地の何処かに秘密にガレージを設けているとの噂すら聞く。
が、仮にそれが本当であっても、それに使用する道具をロッカーに置いておくような愚を、彼は冒さないだろう。

とすれば。

ナガセ「私を探しに来たんですか」

わざわざ、と、要らない一言を付け加えそうになって、それはかろうじて飲み込む。
恐らくケイの考えはあっていて、ジョンは純粋にケイが心配でこうして探しに来てくれているのだろうから。

彼は、そういう人間だ。

ジョン「正確に言えば、探してはいない。お前がどこにいるのかなんてのは、大体わかる」

ナガセ「……そうですか」

確かに、そう短い付き合いではない。
彼なら、こういった時にケイがどこにいるか程度、難なく見当をつけるだろう。

ジョン「更に言えば、デブリーフィングが終わってから一回、心当たりを回ったんだ」

すぐに姿をくらませやがったからな、お前。と、ジョン。

なるほど、それなら、一番初めの言葉にも納得がいく。
確かにあの誰一人として積極的に口を開こうとしなかった通夜のようなデブリーフィングの後、一番に部屋を出てからというもの、ここに篭って以来、ずっとこうしている。

ジョン「で、いつまでそうしてるんだ」

言って、ジョンはロッカーとロッカーの間に置かれたベンチに腰を落とすと、手に持っていた紙コップに口を付けた。
匂いからしてコーヒーか。
傍らに置かれたもう一つのコップは、恐らくケイに買ってきてくれたものだろうが、生憎、今はそれを受け取るつもりにはなれない。

いつまでそうしてるんだ。
その問いへの返答は、己の気が落ち着くまで。
そしてそれは、いつになるかわからない。
一度、この固めた拳をここから離してしまえば、ケイはきっと腕を大きく振りかぶらずにはいられないだろうから。

ジョン「……何をそんなにイラついている」

ナガセ「貴方はイラついていないのですか」

ロッカーの扉を、変わらず睨みつけながら、質問に質問を返す。
無礼とは分かってる。上司に対する態度では無い事も、勿論。

それでもその冷静な物言いに、聞き返さずにはいられなかった。

ジョン「……イラついちゃ、いるさ。隊長機としてこんな不甲斐ない事は、そう無い」

再びコーヒーに口を付け、先ほどより多めに傾けてから、ジョンは続ける。

ジョン「だが、お前ほどじゃあない。だから聞いてるんだ、ナガセ」

お前、何をそんなにイラついている。

強く、長く、握り込み過ぎていたのだろう。
押し付けた拳の指先は痺れ、全体も心なしかうっ血してきているようにも見える。
激情に任せるがまま無意味に手を傷つけないようにこうしていたが、結局は同じことかと、自嘲の笑いがわずかに漏れる。
そんな感情の動きにすら、フラストレーションを感じた。

未熟。未熟だ。
こんなことでは、理想には遥かに程遠い。






 ― ― ―




今回のクーデター。
いや、厳密には支配階級内部での権力移動ではないためクーデターではないから、武装集団による武力独立、とでも言えばいいのか。
ともかく、この武装蜂起行為。

連中の行動は確かに迅速そのものだったが、防衛する側の動きも、そこまで遅滞したものではなかった。
ノウハウがあったからだ。

一国家か、それ以上の軍事力を振るう集団に対する、防衛、そしてそれに続く鎮圧要領。
キャスパー・コーエンはユリシーズの厄災を引き合いに出したが、20年間、混迷を深め続ける世界情勢の中でこういった武装蜂起行為は、決して多くはないものの、前例がないわけではない。

その数少ない前例の一つ。
ケイの現在を決定付け、そして今、国連を始めとするユージア連邦に抗戦しているほぼ全ての集団が、多かれ少なかれ参考にしているであろうノウハウ。
その下地になった事件がある。



作戦名を『Operation:Fighter's Honor』。

それにより編成された特殊戦術戦闘飛行隊に、ケイはいた。
ジョンとは、その頃からの付き合いだ。
そして、もう一人。

ナガセ「空賊に……負けました」

ジョン「負け、じゃない、共同作戦だ。勝負じゃない」

ナガセ「そんなのは言葉遊びです。突破口を開いたのは、あちらです」

加えて、戦果も。
これが負けでなくて、何だ。

負けたのだ。
国連正規軍たる、第19特殊飛行隊リッジバックス。
その一本線を背負って、負けた。

それが情けないのだ。
許せないのだ。

申し訳が立たないのだ、あの人に。

第一に、それ。

そして第二に、負けた相手。

ナガセ「……あの空賊のルーキー」

ボーンアローの一番機。
Viperと言うTACネームで呼ばれていた彼の事は、話で聞いた事はあった。
確かに噂通りの腕だったし、今回の作戦の成功は、彼の功績に因るところも大きい。

が、それ以上に、無線を聞いていた限りで新人扱いを受けていたあの機体。
気味が悪いほど出来の良い死神エンブレムの四番機。

彼が戦況を動かした。

ジョン「ああ、ヤツか。リーパーとか呼ばれてたな」

ナガセ「……良い腕でした。戦況も読めていた」

そして何より肝が据わっていた。

的確な時に必要な行動をとれる、適切な判断力。
そんなお綺麗なモンじゃない。

複雑に絡み合う戦況。
数瞬の間も迷うことが許されず、しかも目の前に提示されるのは、どれも正しいと言えないような酷薄な選択肢群。
そんな事態を己の力量のみを用いて鮮やかに、しかし力尽くで捻じ伏せる。
その実力はただ、圧倒的で。

そして、その手腕が、やり方が。

ナガセ「気に入りません」

拳を押し付けられた板扉が、ぎし、と悲鳴を上げた。
このまま更に腕力を込めてこれをブチ抜けば、多少はこの苛立ちも収まるだろうか。

ジョン「ふむ……」

そしてその馬鹿げた妄想をケイが実行に移す前に、ジョンが一言、呟く。

ジョン「それは、嫉妬か?」

ナガセ「違います」

即答。

したものの、完全に嫉妬がないとは言えない。

それを認めてしまうのは、更なる苛立ちの呼び水となるから、意図的、そして一時的に目を背けた。
ただ、その感情が一番先立っているわけでない事は、確信が持てる。

ナガセ「気に、入らないんです」

ジョン「ヤツに負けたことがか」

ナガセ「違います」

ジョン「もしかしたら、ヤツの方が腕が立つかも知れん、って事がか」

ナガセ「違います」

ジョン「じゃあ、何だ」

ケイよりも腕が立つから気に入らない訳ではない。
それは、間違いない。

そこまで子供じみてはいないつもりだし、群雄割拠のこの時世だ。
得手不得手はもちろんある上に、自分より腕が立つ人間などいくらでも見てきた。
こうして話を聞いてくれるジョンがそもそもそうなのだし、いちいちそんなことを気にしてなどいられない。
腕の良し悪しなど、ケイにとってはどうでもいい。

似ているのだ、あの飛び方が。
ケイが唯一エースだと認めた、エースだと憧れた一人のパイロットに。

駆る機体を飾る通りの、不死鳥のようだったあの人。
一般的に再生を想起させるような不死鳥ではなく、その身に纏う焔で目の前の敵を容赦なく焼き尽くす、しかし、味方にとってはその身が表す不死を約束してくれるような雄大な鳥。
いかなる時も揺らがない鉄の翼。
大きくて頼もしい、赤い鳥。

目に焼き付けた、そして今も憧れ続けるあの軌跡。
あの死神はその軌跡を、僅かだがなぞった。
ケイの瞼に鮮明に残る、未だ見果てぬ夢である、あの軌跡を。

それが一層、ケイの気持ちを逆撫でる。
あの人に似た飛び方をする、空賊。それが何より気に食わない。

空賊だ。
自分が振りまく破壊を成果とし、金に換える空賊だ。
それが、あの人と似た飛び方をする。
理想に、ケイはまだ遥かに届かないというのに。誇りを背負わなければ、速く飛べるとでもいうのか。

ジョン「……ハハッ、成程な」

一通り聞いた後、ジョンは手に持ったコップの中身を呷り、笑った。

ジョン「冷静、冷徹なEdge様も、一人の女の子だったって話か」

聞き違いかと思った。
冷静に考えればありえない、そんな長いセンテンスを聞き違うなど。

それでも、普段のジョンを知る身からすれば、彼の口から出るような言葉とは到底思えなかった。

己の耳を疑って、ジョンの方を向くと、彼は空になった紙コップを小さく握りつぶしながら、意地の悪そうな笑みを浮かべてこちらを見ており

ジョン「ワタシィ、昔のオトコが忘れられないのォン」

ナガセ「ハァ!?」

ジョン「新しいステキなカレがぁ、昔のカレに似てて困っちゃうゥ。どぉーしよォー」

あまつさえ、聞く者の背中に怖気が立つような猫撫で声で、そんなことを言い出した。
何を言っているんだこの筋肉男は、多少の悪ふざけなら許容するが、それでもせめて自分の風貌を顧みてから物を言え。

思わず尖った声が出る。
ついでに、この延々と硬度を高め続けたこの拳をその鼻面に叩っ込んでやろうかと言う衝動が、ケイの自制を短く灼いた。

ナガセ「そんな話、しましたか!?」

ちょっと離席します。
書き溜めは完了しているので、今夜中には100%終わります。

再開

ジョン「何だ、違うのか」

事実、ケイの脚は意志とは関係なく、ジョンとの距離を縮めんと二、三歩、彼の方に踏み出していた。
パイロットの肺活量から張り出される声は、相当な音圧であるはずだが、ジョンは涼しい顔でそれを受け流す。

にやりと、得意そうな笑みを浮かべて。

やられた。
ただ、そう思った。
やはり自分より、彼の方が上手だ。

ナガセ「……」

ケイの感情のガス抜きの加減を良くわかっている。
流石に、付き合いが短くないだけある。
やり方はともかく、任が終わってから不動の石像と化していたケイを、ジョンは上手く動かした。

ただ、繰り返すようだが、やり方、ってモンがあるだろう。
いくら男所帯とはいえ、一応こちらは女性なのだから。

腹の底に僅かに残った釈然としないものをどうしようかと、握ったままの拳に、しばし視線を落とす。

ナガセ「……顔、危ないですよ」

ジョン「おう」

妥協点は、この辺りか。
応じてジョンが顔の前に掲げた掌に、拳を、べち、とぶつける。

安心したような、いつも通りの不遜な笑顔に戻ったジョンは、隣に座ったケイに、紙コップを差し出した。

ナガセ「……ありがとうございます」

ジョン「おう」

いささかぬるくなってしまったものの、ミルクと砂糖がたっぷり混ざった、最早コーヒーではなくカフェオレと呼んだ方がいいソレは、長時間強張っていた体の緊張を解すのを大いに手伝ってくれた。

ジョン「戦場だ。たまに出るんだよ、ああいうヤツが。特異体ってやつだ」

アイツも、そうだった。

ナガセが落ち着いた頃、ジョンが口を開き、そう言った。
事もなげに、しかしどこか懐かしそうに。

ナガセ「あの人は」

ジョン「お前は怒るかもしれないが、同じさ。志願兵による編成ったって、アイツの稼業だって元は傭兵だ」

先回りして、言葉を潰される。

ジョン「たまたま義の心を持っている傭兵が、たまたま抜群の腕を持ってて、たまたま志願したってだけの話だ。何も難しい事じゃない」

確かに、そうかもしれない。
それでも。

ナガセ「彼は、あの人とは、違います」

ジョン「そりゃ、そうさ」

ジョンの、ケイよりも歴の長いパイロットであるジョンの言い分は、理屈が通っているし、確かに正しいと思える。

それでも自らに言い聞かせるように、一音、一音、ゆっくりとケイが口に出した言葉を、しかしジョンはあっさりと肯定した。

ナガセ「え」

ジョン「当たり前だろう。別人なんだぞ」

伏せていた視線を上げた先にあったジョンの顔には、何を馬鹿なこと言ってやがるんだこいつは、と、はっきり書いてあった。

ジョン「んで、それはお前もだ。アイツとは、違う」

その一言に、ケイは頭に軽い衝撃を覚えた。
そんな、当たり前の事なのに。

アイツになる事なんてそもそも不可能だし、その必要もない。
ジョンは、噛んで含めるようにゆっくりと言葉を継ぐ。

ジョン「憧れるのは良くわかるさ。俺だってそうだった」

戦場で生き残るには、ルールが要る。
どこかで誰かから聞いたようなことを、ジョンは続けた。

ジョン「だが、そのルールは自分のモンだ。アイツの、まして俺のルールをお前が守ったところで、何のお守りにもなりゃしない」

ジョンはそして、いつの間にか空になっていた紙コップをケイの手元から取って、立ち上がった。

ジョン「お互い臆病になるよなぁ、ナガセよ。あの頃の方がもっと、空が広かった気がする」

そう言い終えて、ジョンは扉の方に歩を向けた。
ケイは未だに、衝撃のショックから立ち直れないでいるが、結局、ケイ自身の答えはケイ自身が見つけろ、と、そういう事なのだろう。
尻もちをついた時には誰かが手を貸してはくれるだろうが、立ち上がるのはケイ自身の意志なのだ。

ナガセ「ジョン」

ジョン「あ?」

それでも、一つだけ。
あの作戦で、同じ戦士の誇りを背負い、あの人と共に飛んだ尊敬すべきこの男に、一つだけ聞きたい事がある。

ナガセ「ジョンは今、どんなルールで飛んでいるんですか?」

ジョン「俺か?」

先のジョンの言葉を借りるなら、ケイがそれを聞いたところであまり意味は無いと言える。
それでも、ジョンはこちらに向き直り、軽く首を捻った。

ジョン「今は隊長機だからな。お前らを連れて帰る責任があるから、自制を強く心がけちゃいるが、それは当たり前として」

つくづく面倒見のいい隊長だ。
多少過保護な面が無いとは言えず、常日頃から自分はリーダーには不向きだとぼやいているが、いい上司だと、ケイは思う。

ジョン「あの野郎どものせいで、今は随分と空が狭くなっちまった。俺らはあっちこっちに引っ張りだこで、どこもかしこもおおわらわだからな……」

顎を軽く摘まんで視線を斜め上に投げながら、ジョンは、ふむ、と考え込んで、やがて口を開いた。

ジョン「そうだな、差し詰め――」





 ― ― ―



ジョンがロッカーから出て行って少し経った。

ケイは未だにベンチに座り、しかしその顔は、幾分か晴れやかだ。

握り続けた拳の具合を確かめるように、開き、握り、また開く。
それに視線を落としつつ、作業的にその動作を繰り返しながら、繰り返し、何かを租借するように深く頷いている。

空賊ルーキーの彼は、あの人とは違う。
無論、自分も。

当たり前の事だが、今までその当たり前の事を倒錯して考えていたせいで、今は少々頭の中はごちゃごちゃしている。
ちょっとの間、冷静な飛行は難しそうだ。

だから暫くは、尊敬するリッジバックス隊隊長機のルールで飛んでみるのもいいだろう。

誇りは背負う。
いずれ、借りも返す。
勝ち負けを考える時点で若いんだ、とジョンは言うかもしれないが、これはこれで、ケイのルールだ。
闘争心は未だ、ケイの中で燃えているし、それ自体を変えるつもりはない。
エースたらんとするケイの意識。
それ自体をジョンは否定しなかった。
これはこれでいいと思う。

それでも。

何より響きが気に入った。
あの彼への対抗意識も、無論衰えてはないが、もし、地上で見える機会があったなら、彼にこれを話してみるのもいいかもしれない。

ジョンが話を聞いてくれたお蔭か、彼に対するネガティブイメージも大分軽くなった。
そのせいか、きっとこれに共感してくれるに違いない。
そんな気がする。

ロッカー室の南方に設えられた、空が良く見える大窓に歩み寄る。
長い間ここに篭っていたせいで、太陽はもうとっくに地平線の下に潜ってはしまったが、それでも雲一つない夜空が良く見えた。

ジョンの言うとおり、こんなに晴れていても今の空はどこか狭い。
これをまた、あの時のような空に。終わりなき自由を、取り戻すために。

そう心に決めて呟くケイの新しいルールは、ガラスをすり抜け、今は狭き、しかしどこまでも続く虚空に広がっていく。






全ての手に空を。




知ってた。

お粗末様でした。読んで下さった方。お目汚し、失礼しました。
久しぶりにクロスランブルで遊んでたら、そういえば、これのタイトルにも∞マークあるなと思って。
Infinityが04のリメイク的な位置づけなら、その前に2の流れがあってもいいじゃない、っていう捏造マシマシでお送りしました。
あと、ミッキーのF-14だけ出ません。誰か下さい。

ありがとうございました。HTML依頼出してきます。

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