八幡「人生」 (37)
由比ヶ浜(話してたらちょっと遅れちゃったなー。ゆきのん、待ってるかな?……ヒッキーも)
由比ヶ浜(つーいたっとーー)
「ーーも終わってしまったわけだが……して八幡よ、お主はあのおなごたちの中では誰が一番だと思う」
由比ヶ浜(……)ピタッ
八幡「そうだな」
由比ヶ浜(……ヒッキーと……中二?え、女の子の中で、誰がかわいい??)
雪ノ下(あら……)
雪ノ下(あれは由比ヶ浜さん……なのだけれど。彼女、部室の扉に張り付いて、何を……?)
雪ノ下「由比ヶ浜さん……?」
由比ヶ浜「ひっ」ビクッ
由比ヶ浜「あ、なんだゆきのんかー。びっくりしたよー」
雪ノ下「え、ええ。突然話しかけてごめんなさい。でもあなた、部室の前で何をしているのかしら」
由比ヶ浜「あ、そうだ、部室」ピタッ
雪ノ下(一度は現実へと引き戻されたはずの彼女の意識は、部室という単語に敏感に反応すると、また壁の耳へと戻っていった。いったい部室の中になにが……?最後の疑問は、そのまま言葉となった)
雪ノ下「中で何が……?」
由比ヶ浜「あ、うん、今ね。ヒッキーが中二と話してるみたいなんだけど」
雪ノ下「ええ。あなたが来ないうちにあのざい……在来線くんが来たから、彼の対応を比企谷くんに任せて私は退室したのだけれど」
由比ヶ浜「なんか、女子の中で誰が一番とか話してて」
雪ノ下「一番……?」ピクッ
雪ノ下(その単語に気が引かれ、私もまた彼女と同じような体勢で部室の中へと耳をそばだてた)
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材木座「我は芸術系ちゃんを推そう。あの独特の感性は我に通じるものがある」
八幡「独特すぎだろ。常にゴーイングマイウェイだしあの子」
材木座「そこが彼女の魅力よ。さらに彼女の画力!あれがあれば、我が産み出せし珠玉の作品は磐石のものとなろう!いや、ほんと挿し絵描いてほすぃ」
八幡「ああ、確かにあの子が挿し絵描いたらいっぱい売れそうだな、お前の文でも。イラストに騙された名無しさんたちが買ってくれるだろうよ」
八幡「つうか、お前も独特だけど、根本的に方向性が違うぞ。向こうは才能があるから人に認められるけど、お前は認められちゃったら終わり系だ」
雪ノ下「美術系ちゃん……?誰のことかしら」
由比ヶ浜「独特で、絵が上手?あと、中二と接点がありそうな女子……もしかして、姫菜、とか?」
雪ノ下「確かに、何度か海老名さんが材……なんとかくんに話しかけているところは目撃したことがあるけれど。彼女、絵が上手なの?」
由比ヶ浜「んー……上手いってゆーか、なんか男子がくっついてる絵とか描いてるのは見たことあるけど……」
雪ノ下「ではやはり海老名さんかしら。つまり、彼は彼女を……意外ね。話しかけている時は苦手そうに見えたのだけれど」
由比ヶ浜「でも中二ってヒッキー以外はみんな苦手そうじゃない?」
材木座「さあ、八幡よ!我は申したぞ!次は貴様の番よ。素直に白状せんか!」
八幡「おい、その好きな人トークで俺言ったからお前も言えよみたいな言い方やめろよ。で、実は聞いた奴がいった子は嘘で、俺だけ広められるのな」
材木座「あー、あるある……」
由比ヶ浜「す、好きな人!?」
雪ノ下「しっ、気づかれるわよ、由比ヶ浜さん」
由比ヶ浜「あ、ごめんねゆきのん」
八幡「……なんか今聞こえなかったか」
雪ノ下、由比ヶ浜「」ギクッ
材木座「いや、気のせいではないか。我は何も聞こえなかったぞ。この超感覚を持つ我がそう言うのだから間違いない」
八幡「……そうか」
由比ヶ浜「(ナイス中二!)」
雪ノ下「……」ホッー
材木座「で、どうなんだ八幡」
八幡「そうだな。俺は……」
由比ヶ浜「……」ドキドキ
雪ノ下「……」ドキドキ
八幡「文系ちゃんだな」
材木座「ほぅ……」
由比ヶ浜「ぶん……?」
雪ノ下「けい……ちゃん?」
由比ヶ浜、雪ノ下(……誰!?)
八幡「俺自身文系だし、一番話が合いそうだしな。あと、あの中だと一番性格良さそうだしな」
材木座「……八幡よ。正直に白状しろと我は言ったはずだ。我は哀しいぞ」
八幡「何がだよ」
材木座「我と貴様の仲だ。包み隠さず言えと言っているんだ。あの……たわわに実った乳がいいと!!」
由比ヶ浜「ちっ……!?」
雪ノ下「」ピキッ
由比ヶ浜「え、だ、誰のことかなー。ね、ゆきのん?」
雪ノ下「……」ジー
由比ヶ浜「ゆ、ゆきのん?」
雪ノ下「……」ジー
雪ノ下「由比ヶ浜さんって……文系を選ぶつもりなのよね?」
由比ヶ浜「え、あ、うん。一応……てゆうか、あたし理系はダメダメだし。あはは」
雪ノ下「そう、文系……そして胸」ジー
由比ヶ浜「え、い、今の?え、あたし?」
雪ノ下「比企谷くんの周りで今の彼らの話に当てはまる女子は、あなたしかいないと思うのだけれど。特に体型とか」
由比ヶ浜「え、えー?そうかなぁ?」テレテレ
雪ノ下「ええ……」ギリッ
材木座「我が美術系ちゃん、おっぱい魔人八幡は文系ちゃんか……」
八幡「おっぱい魔人やめろ。おい」
材木座「だが、八幡よ。聞くところによると、どこぞの界隈では理系ちゃんが一番人気とも聞く」
八幡「それな。まあ、分からなくもない。ヒロイン属性一番高そうだしな。ツンデレだし」
由比ヶ浜「今度は理系ちゃん……?」
雪ノ下「話の流れから行くと、その人物は……」
由比ヶ浜「ゆきのんのこと……かな?」
由比ヶ浜「ほ、ほら、ゆきのん人気あるし!物語のヒロインっぽさ一番じゃない?かっこいいし、頭もいいし」
雪ノ下「そうかしら……でも由比ヶ浜さん、私にデレはないわ。特にあの男に対しては」
由比ヶ浜「あはは……」
八幡「でも理系ってのがな。性格もめんどくさそうだし。まあ、ぼっちな所は通じるところがあるが」
雪ノ下「めんどくさい……ぼっち……」ギリギリ
由比ヶ浜「ゆ、ゆきのん、落ち着いて、落ち着いて」
雪ノ下「ふふふ、私は落ち着いているわ、由比ヶ浜さん。で、あの男を殺したらどう処分すれば一番発覚されにくいかしら」
由比ヶ浜「うわぁ」
八幡「だから、俺たちがあげなかったのだと、理系ちゃんよりは体育会系ちゃんのが良くないか」
由比ヶ浜「また出たぁ。体育会系ちゃんって誰だろ……」
雪ノ下「彼の知り合いに運動系の活発な女子なんていたかしら」
材木座「あの子も善い。小さいのに活発なところとかな」
八幡「元気なのはかわいいわな。小動物系のかわいさだが。活動的だから出番は一番多かったんじゃないか」
雪ノ下「出番が一番多いというのはよくわからないけれど……彼が言う小動物系のかわいさというと」
由比ヶ浜「彩ちゃん、なのかな。テニス部で部長だし、一応体育会系?」
雪ノ下「つまり私なんかより戸塚くんのほうがいいと……ふふふ」
由比ヶ浜「で、でもゆきのん、ヒッキー普段からそんなこと言うじゃん?深い意味とかないって」
雪ノ下「女子の一番を決める話で、男子の戸塚くんよりも私は下……」
由比ヶ浜「ゆきのーん、おーい」
いろは「……何してるんですか、お二人とも」
由比ヶ浜「あ、いろはちゃん。やっはろー」
雪ノ下「ああ、一色さん。なんのようかし。見ての通り奉仕部は取り込んでいるのだけれど」
いろは「いえ、見てわかりませんけど……生徒会の仕事で相談があったんですが」
由比ヶ浜「そうなんだぁ、でもごめんねえ。今はちょっと」
いろは「中で何かあるんですか?」
材木座「ではあの生徒会長はどうだろうか。我としては甘い汁が吸えるうえにあのような美少女が命令してくれるなら、余裕でかしずくのもありなのだが」
いろは「……へ?」
雪ノ下(……にはにほが入るのかしら)
八幡「生徒会長はな。なんかあれ、ものっそいちょろそうだよな。終わり付近のへたれ臭がすごい」
いろは「……今の。生徒会長って……私?」
由比ヶ浜「あ、え、えっとね!なんかヒッキーたち、女子の一番がどうとかって話をさっきからしててぇ」
いろは「それで私の評価が今のですか!?へたれって、先輩にだけは言われたくないですよ!ちょろそうって言うのも、落としたこと無いくせに!そういう言いぐさは本気で私を落としてから言うべきだと思いません!?」
由比ヶ浜「いろはちゃん、いろはちゃんもちょっと落ち着こ、ね?なんかすごいこと言ってるよ!?」
八幡「なんか、外がうっせーな」
材木座「ふん、世俗の喧騒など我らにはなんの意味も為さぬ。違うか八幡よ」
八幡「いや、気にした方が良さそうな気がする声なんだが……まあ、人生語ってるだけだしな俺ら」
材木座「左様。で、話を戻すが……八幡は生徒会長はカスだと?」
いろは「うっ……」
由比ヶ浜「い、いろはちゃん違うって、ヒッキーなにもそこまで……」
雪ノ下「そうよ、あなたは良くやっているわ」
いろは「で、でもぉ」ウルウル
八幡「や、そこまでは言わねーよ。いいもん持ってるとは思う。なにより……」
いろは「先輩……」
八幡「声がいいよな」
いろは「……声?」
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