結衣「ゆきのん助けて!」 (48)
“やはり俺の青春ラブコメは間違っている”のSSです
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雪乃「由比ヶ浜さん。部室に来ていきなり『助けて』、では”何”を”どう”助ければいいのかわからないわ。それに奉仕部というのは……」
結衣「実は現国の小テストがあったんだけど……その……あんまり点数がよくなくてさ」
雪乃「人の話は最後まで聞くものよ、由比ヶ浜さん。それに小テストというのは授業の理解度を図るものであって、小テストのために勉強するというのは本末転倒だと思うのだけれど」
結衣「それはわかってるんだけど……」チラッ
雪乃「言いたいことがあるなら口にしないと伝わらないわ」
結衣「平塚先生にゴールデンウィーク前のテストで平均を超えないと補習だって言われちゃって……」シュン
雪乃「……はぁ。本来勉強というものは一人でするものだというのはわかっているかしら?」
結衣「うん、それはわかってるんだけどね。補習の日がゆきのんとの映画デートとかぶっちゃったんだ……」
雪乃「べ、別にデートではないわ。デートというのは恋愛関係にある、もしくはそれに発展しうる関係にある男女が連れ立って外出するという意味よ」
雪乃「つまり女性同士である私と由比ヶ浜さんが休日に映画を見ることをデートというのは間違っているわ」
結衣「あたし、ゆきのん大好きだしデートだよっ」ギュッ
雪乃「い、いきなり抱きつくのは止めなさい」アセアセ
結衣「じゃあ今から抱きつくね!」
雪乃「抱きついてから言うセリフではないわ。……はぁ、約束を違えるというのはたとえ友人家族であっても褒められたことではないし、今回だけは特別に手助けしましょう」
結衣「ゆきのん大好きっ」
雪乃「気軽く"大好き”だなんて言うものではないわ。どこかの誰かが勘違いしてしまうから」チラッ
八幡「おい、なんでそう言って俺を見るんだよ」
雪乃「別にあなたのことを言ったつもりはないわ、カンチ谷くん」ニッコリ
八幡「言ってんじゃねーか」
結衣「ヒッキーマジでキモい」
八幡「謂れのない誹謗中傷は止めろ、アホの子」
結衣「あ、アホの子って言うなし!ちょっと勉強が苦手なだけだもん!」
八幡「勉強だけじゃねーだろ。全体的に頭のネジ緩んでんじゃねーか」
結衣「ヒッキーマジでキモい……」
八幡「トーン下げてキモいって言うの傷つくから止めてくれ。いやマジで」
雪乃「そうよ、由比ヶ浜さん。いくらキモ谷くんが気持ち悪いからといって本当のことを言ってはいけないわ。真実は残酷なのだから」
結衣「ごめんね、ヒッキー……」
八幡「おい雪ノ下やめろ。そして由比ヶ浜も謝るなよ。余計惨めになるだけだから」
雪乃「さっそく勉強に取り掛かりましょう。とりあえず問題の小テストを見せてくれるかしら」
結衣「えっ!?あっ、そうだよね……小テストを見せないとね。…………見せなきゃダメ?」ウルウル
雪乃「大丈夫よ、由比ヶ浜さん」
結衣「ゆ、ゆきのん!」
雪乃「私が勉強を見るのだから二度と情けない点数なんて取らせないわ」ニコリ
結衣「ゆ、ゆきのん……」シュン
雪乃「どうせテストを見せなければ勉強を教えることもできないわ。せめて散り様くらい潔く散りなさい」
結衣「あたし散っちゃうの確定なんだ……」
外出するので夜くらいにまた投下します
雪乃「さぁ由比ヶ浜さん、怒らないから小テストを私に見せなさい」ニッコリ
結衣「絶対うそだ!今のゆきのん怒ってるときのお母さんと同じ顔してるもん!」
雪乃「つまり親に見せると怒るような点数ということね」
結衣「ううぅ……。見ても怒らない?」ウルウル
雪乃「怒らないわ。厳しくはなるだけよ」
結衣「それって一緒だよね!?」
雪乃「早く見せなさい。時間は無限ではないわ。こうしている間にも刻一刻とあなたが補習になる確率は上がっていくのだから」
結衣「ううううぅ……」つテスト
雪乃「………………」ジー
結衣「………………」
雪乃「………………」チラッ
結衣「」ビクッ
雪乃「……由比ヶ浜さん」
結衣「ひゃ、ひゃいっ!」
雪乃「十点満点の小テストでよくがんばったわね」ニッコリ
結衣「ち、違うってわかってて言ってるよね、ゆきのん!」
雪乃「冗談よ。二十点満点のテストでこの点数なら映画には行けそうね」
結衣「ゆ、ゆきのん……」
雪乃「あら、どうしたの由比ヶ浜さん」ニッコリ
結衣「二十点満点じゃないの……」
雪乃「二十点満点ではないということは二五点満点?それとも三十点満点かしら?」
結衣「………………」フルフル
雪乃「由比ヶ浜さん?しゃべらなければ意思疎通はできないわ」
結衣「………………」ウルウル
雪乃「私はクラスが違うからこのテストを受けていないし、由比ヶ浜さんは話さない。一体どうしたものかしら」
八幡「おい」
雪乃「あら、ヒキガエルくん。大変申し訳ないのだけれど私は生き物係ではないのだからあなたの世話をすることはできないわ」
八幡「勉強を教えてやるんだろ。だったらあまり苛めてないで教えてやれよ。あと俺は比企谷な」
結衣「ヒッキー……」
雪乃「はぁ……どうしていつもあなたはそうなのかしら。満点がいくつなのか、教える気もないのに口だけ挟むのはやめてほしいわね」
八幡「いや、俺も由比ヶ浜と同じクラスで同じテストを受けたんだけど?」
雪乃「あらそうだったかしら。ごめんなさい、由比ヶ浜さんと同じクラスだとは思わなくて」ニコリ
八幡「お前これっぽっちも悪いと思ってないだろ。まぁ俺も由比ヶ浜の点数はどうかと思うけどな」
結衣「う…………っ」
雪乃「それで由比ヶ浜さんのストーカーをしているヒッツキ谷くんは何点だったのかしら」
八幡「95/100だったよ。まぁ所詮授業中にやった30分のテストだしそんなもんだろ」
結衣「ヒッキーホントに頭良かったんだね……」
八幡「まぁ俺は私立の文系志望だしそんなもんだろ。少なくともお前よりは文系教科はいい点取るぞ」
結衣「ううぅ……ヒッキーまでイジワルだ」
八幡「あれだ。良薬は口に苦し、ってやつだな」
雪乃「それにしても困ったわね」
八幡「何がだ?由比ヶ浜の点数か?」
結衣「ヒッキーひどっ」
八幡「お前の点数よりかは幾倍かマシだがな」
結衣「ううう」ショボン
八幡「で何が困ったんだ?」
雪乃「私はダブルスコアで勝たないと気が済まないのだけれど」
八幡「由比ヶ浜にならダブルスコアで勝ってるじゃねーか」
雪乃「もちろん由比ヶ浜さんには大差で勝てるから大丈夫だと思うのだけど、比企谷くんに大差をつけることができないのよね。四捨五入すれば引き分けになってしまうし本当に困ったものね」
八幡「ダブルスコアで勝ちたくて四捨五入とかどこのガハラさんだよ」
雪乃「何を言っているのかしら、この男は。戦争を、始めましょう」
八幡「やっぱりお前意識してやってるだろ?」
雪乃「さて、まずは長文問題ね」
結衣「よろしくおねがいします」ペコリ
八幡「ナチュラルにディスるのやめろよ」
雪乃「長文問題は最初から文章を読むのではなく、問題文を流し読みするのよ」
結衣「なんで?」
雪乃「長文をすべて読み終わってから問題文を見ると文脈を忘れやすいからよ」
結衣「ほうほう」
雪乃「それに長文とは言っても問題は漢字と意味・段落・総まとめの三種類で、段落→総まとめという流れで問題を解くのが一番効率がいいのよ」
結衣「なるほどなるほど」
雪乃「というわけで今回の小テストをもう一度解いてちょうだい」
結衣「え?あたし一度解いちゃってるけどいいの?」
雪乃「心配しなくても一割しか取れなかったテストは“解いた”とは言わないわ」ニッコリ
結衣「はい……」シュン
雪乃「習うよりも慣れろ、ということわざもあるくらいだしとりあえず解いてみなさい」
結衣「はーい」
明日全部投下します
本編がギスギスしてるからほのぼのしたの書きたかったのにこれじゃない感が激しくする
雪乃「………………」
結衣「………………」カリカリ
八幡「………………」ペラッ
雪乃「………………」カクン
結衣「…………うーん」
八幡「………………」チラッ
雪乃「………………」スヤスヤ
結衣「……これでいいのかな」カキカキ
八幡「………………」バサッ
雪乃「…………zzz」
結衣「できたよ!ゆきの、ん……?」
八幡「疲れて寝落ちしたみたいだな」
結衣「そっか……ゆきのんには悪いことしちゃったな……」シュン
八幡「別に由比ヶ浜は悪くねーだろ。雪ノ下が了承したんだから全うするのが当然だろうし本人もそう言うんじゃねーの」
結衣「ゆきのんに上着は被せてあげるのにそういうとこは冷たいんだね」プクー
八幡「どうせ俺が手伝っても『この私に恩を売って何をさせようというのかしら。汚らわしい』とか言うに決まってるから放置が一番いいんだよ」
結衣「あはは……ゆきのんなら本当に言っちゃいそうかも」
八幡「てわけで適当にほかの事勉強しとけよ」
結衣「何を勉強すればいいのかわかんない……」
八幡「はぁ……。漢字の書き取りでやっとけばいいじゃね。語彙は小まめ増やしていくしかねーし」
結衣「わかった。とりあえず漢字覚えながら待ってるね」カキカキ
八幡「………………」ペラッ
結衣「うーん……」
八幡「………………」チラッ
以下の漢字の読みを書き取りなさい。 問1: 鍬
結衣「あ……っ」
八幡「ん?」
結衣「な、なんでもないから……!」
八幡「あっそ……」
結衣(こ、これって農業に使う道具で音がアレなやつだよね)チラッ
八幡「ふわぁ……」
結衣「(よし!)……ね、ねぇヒッキーこれってなんて読むの?」ドキドキ
八幡「そんなの漢字辞典使えよ」
結衣「も、もってないもん……」
八幡「電子辞書は?」
結衣「もってない……(ホントは持ってるけど)」
八幡「はぁ……これはな」
結衣「これは……?」ゴクリ
八幡「鍬‐クワ‐って読むんだよ」
結衣「はえ……?」
八幡「だから‐クワ‐って読むんだよ。農耕具の鍬、な」
◎:鋤‐スキ‐ ×:鍬‐クワ‐
結衣「うそだ……」
八幡「そんなくだらないウソついてどうするんだよ」
結衣「ヒドいよ、ヒッキー……」ヨヨヨ
八幡「なんで答えてやった俺が酷い奴扱いなんだよ……」
雪乃「間違ってはいないと思うのだけれど」
結衣「ゆきのん起きたんだ」
八幡「どういう意味だよ」
雪乃「気を使わせてごめんなさい。性根も瞳も腐っているのだから酷いという形容は正しいと思うのだけれど」
八幡「由比ヶ浜そこまで言ってなかっただろ」
雪乃「ごめんなさい、つい本音が。」ニッコリ
雪乃「それと比企谷くん。申し訳ないのだけれどあなたはもう帰ってくれて結構よ。いいえむしろ帰りなさい」
八幡「いくらなんでもひどすぎだろ」
雪乃「由比ヶ浜さんはどうやら自分の置かれている状況を理解させるための時間が必要みたいだわ」
結衣「ゆ、ゆきのん!?」
八幡「まぁほどほどにな」
結衣「ヒッキー!?」
雪乃「現国だけなく他の教科もみっちり見てあげるから心配しなくていいわ、由比ヶ浜さん」ニコリ
結衣「助けてヒッキー!」
おわり
このSSまとめへのコメント
おつ。オチが良かった。