櫻子「船見先輩の家にお泊まりしたい!」 (121)

櫻子「よーし、明日船見先輩に聞いてみよっと!」

向日葵「そんなのだめに決まってますわ

櫻子「えっ、なんで?」

向日葵「だいたい櫻子の面倒を看るなんて、船見さんの身にもなったら分かるでしょうに。船見さんが災難でなりませんわ」


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櫻子「し、失敬な!私だって船見先輩の家に泊まる時くらいちゃんとしてるもん」

向日葵「信用できないですわ。とにかく、私は許しませんから」

櫻子「えー、なんでさぁー」

向日葵「でしたら、たまには私の家に泊まらせて差し上げてもいいですわよ」

櫻子「ほ、本当?」

向日葵「ええ、仕方ないですわね」

――――――――――――――――

次の日
~放課後~

廊下

櫻子「明日(金曜日)から冬休みかぁ~、遊べるぅーっ♪」

向日葵「櫻子の場合、今までの経験から宿題を先にやってしまうことが鉄則ですわ」

櫻子「宿題?ああ1月入ったら本気出すからいいよ~」

向日葵「あなたのことだから、結局いつまでも正月気分でだらけて何もやらないのは目に見えてるでしょうが!」

櫻子「あっ、歳納先輩と船見先輩だ!」

向日葵「あ、歳納先輩に船見先輩、おつかれさまです」

京子「おお、さくっちゃんにおっぱいちゃんじゃないか!」

向日葵「ちょっと歳納先輩…」

京子「ごめんごめん冗談だって、ひまっちゃん」

櫻子「船見先輩、ちょっとお尋ねしたいことがあるんですが、いいですか?」

結衣「な、何かな」

櫻子「明日でも先輩の家に泊まらせてもらうことはできますか…?」

結衣「えっ…ええと」

向日葵「ちょっと何言ってるんですの櫻子、昨日もあれほど船見先輩に迷惑かかるからやめておきなさいって言ったじゃないですの」

櫻子「船見先輩…私、船見先輩の家に泊まらせてもらうのが憧れだったんです!」

結衣「う―ん…」

櫻子「歳納先輩がよく泊まってるって聞いてたんで、私も船見先輩の家のお風呂入ったり船見先輩の手料理食べたりしたいです…」

京子「結衣いいんじゃない?結衣も週末一人じゃ寂しいでしょ」

結衣「いや、私はいいんだけどさ、私しか家にいないのに大室さんはいいのかなって…」

櫻子「全っ然いいですよ!それに船見先輩とたくさんお喋りしたいですし」

向日葵「ちょっと、櫻子は私の家に泊まるんじゃなかったですの?」

櫻子「ええー、向日葵の家ならいつでも泊まれるじゃん」

向日葵「そうですか」ムカッ

向日葵「と、歳納先輩は泊まらないんですの?」

京子「いやぁ~、ちょっと親戚のところに行く用事が出来てさ、二、三日遠出しなきゃならないんだ」

向日葵「そ、そうなんですの。船見先輩、えっと、もしよければ私もご一緒させては…あの、櫻子の面倒も私が看ますし…」

櫻子「はぁ、船見先輩の家でまで向日葵と一緒なんて嫌だよー」

向日葵「な、なんですの!私が監視してないとあなた何をしでかすか心配でなりませんわ」

向日葵「歳納先輩がいるんだったらまだしも、船見先輩しか家にいませんのに…」

櫻子「もしかして、向日葵さん妬いてるのでは?」デヘヘ

向日葵「そそそそ、そんなわけないでしょうが///」

向日葵「べっ、別にあなたが誰の家に泊まろうが私には関係ありませんわ!とにかく、人様に迷惑かけるんじゃないですわよ!」

櫻子「んなことわかってるって」ウルサイナー

京子・結衣(うん、わかりやすい二人だな…)

結衣「あ、あかりも用事があるって言ってたしな、ちなつちゃんはどうなんだろう」

櫻子「船見先輩の家に泊まれると思ったらなんだかワクワクしてきた~」イェイ

向日葵「…まったく、櫻子ったら…」プンスカプンスカ

――――――――――――――――

ごらく部部室

京子「結衣んちにさくっちゃんが泊まるわけだけど、ちなつちゃんも泊まりに来ない?って話」

結衣「大室さんも同じ一年生と一緒だったほうが心強いかなって」

あかり「櫻子ちゃんが結衣ちゃんの家に泊まるなんてめずらしいねぇ」

ちなつ「ムキーーーっ、本当は結衣先輩と二人きりで泊まりたかったですけど…櫻子ちゃん一人に結衣先輩を独占させるわけにはいかないんで!」

結衣「明日はちなつちゃんも泊まるってことで、大室さんに伝えておくよ」

ちなつ「はいっ!」

ちなつ(ともかく、結衣先輩の家に泊まる機会自体少ないからこれはチャンスよチーナ!)

ピロロロ ピロロロ

ちなつ「あれ、メールですかね」

ちなつ「…あっ、お姉ちゃんからだ」

ちなつ「えっと、明日…」

ちなつ「うぐぅ…」ガーン

あかり「ちなつちゃん…?」

結衣「ちなつちゃん、もしかして明日来れなくなった…?」

ちなつ「明日は家族で出かける日だって前々から予定してたんでした…私がうっかりしてたばっかりにごめんなさい…」

結衣「ちなつちゃん仕方ないよ、また今度泊まりに来てもいいから!」

ちなつ「本当ですか!?あっ、でも櫻子ちゃん二人きりってやっぱりずるいなぁ…」

京子「あ~私もさくっちゃんと一緒に泊まりたかったなぁ。あっ、ちなつちゃん泊まる時は私も!」

ちなつ「だめです」

京子「ちなちゅ、ひどいよー」

ちなつ「だからだめですってば!」

結衣「はぁ…」

結衣(どうしよう、ちなつちゃんが来れないのは想定外だったし…)

京子「綾乃と千歳と、あとりぼんちゃんにもメールで誘ってみたけどだめだった」

結衣「おい、かってに誘うな。私の記憶にはないんだけど、りぼんちゃんって?」

京子「同人サークルの友達」

結衣「おいコラ」

――――――――――――――――

~次の日~

結衣宅

ピーンポーン

結衣(あっ、来た)

櫻子「おっじゃまっしまーす!」

結衣「いらっしゃい。何もないけど、まあ上がって」

櫻子「おお~、船見先輩の家の中だぁ~~」

結衣「洗面所はあっちでトイレはそこ、あ、あとテレビとかゲームとかは自由にやっていいよ」

櫻子「ありがとうございます!二日間よろしくお願いしますね!!」

結衣「こちらこそ…って、二日?」

櫻子「はい、二泊三日って家族には伝えておいてきました!一泊だと全然ゆったりできないと思ったんで」

結衣「え…あ、そう」

櫻子「もしかしてだめでしたか……?」

結衣「いや、私はどうせ一人だから良かったんだけど」

櫻子「あと二日分の食料も調達して来ましたよ、お肉とかお野菜とか、あと…お菓子も!」

櫻子「うちのお母さんが、わざわざお世話になるんだから持っていけって」

結衣(まあ二日分の食費浮きそうだし…ってそういう問題なのか)

結衣「よろしく…」

櫻子「えへへ」ニコニコ

結衣「あはは…」

結衣(まさか本当に大室さんと二人きりになってしまうとは…大丈夫かな)

結衣(こういうとき、京子やあかりがいたら心強いんだけど仕方ない…)

櫻子「あの、ゲームしてもいいですかっ」

結衣「あっ、いいよ。ソフトならそこの棚に色々あるから」

櫻子「船見先輩は一緒にやらないんですか?」

結衣「ああ、えっと…私はべつにいいかな…」

櫻子「そう……ですか」

櫻子「……」

結衣「……」

結衣(なんか今、大室さんにすごく悪いこと言っちゃった気が…)

結衣(どうしよう、気まずい……)

結衣「と、とりあえずお菓子でも食べながら…ね」

櫻子「はい!」


ピーンポーン

結衣「あれ、誰だろう」

結衣「もしかして古谷さんかな…」

櫻子「げっ、向日葵?」

ポチ

結衣(あれ、可愛らしい女の子が玄関の前に立ってるけど…誰だろう…)

結衣「はい…」

……。

結衣「あのー、どちら様で…?」

……。


ガチャ

結衣「えっと…あなたは」

結衣「って、ええ、もしかして松本先輩?」

りせ「……」

結衣(私服だから全然気がつかなかった。それにしてもなんで私の家が分かったんだろう…)

結衣「まっ、松本先輩…、今日は一体何御用でして…」

りせ「………、…………。…………、……、…、…………」オドオド
※どうやら経緯を話しているらしい

結衣「と、とりあえず家の中に…」

りせ「…」ペコリ
シズシズ

櫻子「うわっ、会長さん?どどどど、どうしてここに!!?」

りせ「……」


結衣(えっと、全く状況が把握できないんだが……)

トゥルルルル

結衣(携帯…)

結衣(あっ、西垣先生?)


ガチャ
結衣「はい、もしもし」

西垣『おう、西垣奈々だ。松本はもうそっちに来てるか?』


櫻子「ねえ会長さん、ゲームの相手してよぉー」

りせ「……」ンン


結衣「はい…来てますけど…」

西垣『そうか。いや大したことはなくてな、松本に頼んで今回船見の助け船に回ってもらうことになった。ってなわけで、松本も船見の家に泊まることになった。爆友を頼むぞ』

結衣「ちょっ、ちょっと待っ」

ブツッ

ツー ツー

結衣「あの人は一体何を考えてるんだか…」

結衣(松本先輩となんて大室さんよりも会話したことないけど)

結衣(これってむしろ状況を悪化させてるような…)


りせ「……?」

結衣「ははは…なんでもないですよ」

結衣(それより食材がたくさんあるから早めに料理の下ごしらえもしておいた方がいいな)

―――――――――――――




結衣「大室さん、もうそろそろご飯出来るけど」

櫻子「あっ、すいません、今ちょうど手が離せないところなんでちょっと待ってくださいっ」カチカチカチ

結衣「そ、そう…」


結衣「大室さん、ご飯冷めちゃうけど…」

櫻子「スイマセン、あともうちょっとだけっ…あっ、くっそぉ…惜しいぃぃ、へへ」カチカチカチ カチャ

結衣「……」

結衣「えっと、松本先輩…」

りせ「……」

結衣(ははは、聞こえない…)


りせ(どうしよう、大室さんに注意てやめさせなきゃ…)アセアセ

りせ「……」トントン

櫻子「会長さん?すいません、今どうしても手が離せないんですっ!」

りせ「……」コマッタナ…


結衣(どうしたらいいんだろう…そうだね、私って本当一人じゃ何もできないんだな)

結衣(こんなことになるくらいなら、断ればよかったな…ぐすっ)

結衣「うぐっ……ぐすっ」ウルウル

結衣「もうどうしたらいいかわかんないよ、私にどうすれっていうんだよ…ぐすっ…ぐすっ」ウルウル

櫻子「船見…先輩?」


結衣「もういいよ…好きなだけ……ぐすっ…」ポロポロ

りせ(船見さん……)

結衣「大室さんごめんね、私…ぐすっ…強くないからさ……こんな惨めな姿見せちゃって…ぐすっ」ポロポロ

結衣「ぐすっ…ぐすっ……」

櫻子「ごめんなさい…うぅっ」ウリュウリュ

櫻子「私帰ります……」

櫻子「全部全部、私が悪かったです……ほんとに…ほんとに…船見先輩に迷惑掛けてしまってごめんなさい…」

結衣「ぐすっ……ぐず…」ポロポロ

櫻子「ご迷惑だけおかけしました…本当にゴメンナサイ…」グス

ガチャ

バタンッ

結衣「大室さんっ…」


結衣(荷物も置いて行ってるし、上着も着てない……急いで追いかけないと!)

結衣「大室さん、待って!」

ガチャンッ

ドタドタ


りせ「……」ポカン

―――――――――――

結衣(大室さん、どこに行ったんだろう…)

結衣(大室さん家に帰ったのかな……)

結衣(いやでもまだそんなには遠くに行っていないはず……)


結衣(私が情けないからいけなかったんだ、大室さんはあんなに私の家に泊まることを楽しみにしていたのに…)

結衣「あっ、大室さん」


櫻子「うぅ…っ」グスン

結衣「大室さん、上着も着ないで風邪引くよ…?」

櫻子「うぅ…っ…ひっく」グスン


結衣「櫻子…!!」



櫻子「ふぇ…?船見先輩……」

結衣「い、いや何でもない…よ。あはは…」


櫻子「船見先輩、今『櫻子』って……」


結衣「ごめん、私も悪かったよ…あんな急に泣いちゃったりして」

櫻子「えっ…でも私が、私が船見先輩に酷いことをしてしまったせいで」


結衣「ううん」ギュッ

櫻子「ふ、船見先輩っ///」


櫻子(船見先輩に抱き寄せられて背中と頭をさすられてる…)

櫻子(船見先輩とっても温かいな……)

櫻子(私なんて自分勝手で船見先輩の気持ちも考えないで…)


結衣「一緒に、帰ろ?今日は私の家が、大室さんの帰る場所だからさ」

櫻子「せ、先輩…」ウリュウリュ

結衣「ほら、もう泣くなって」サスサス

結衣「まあ私が言えることじゃないけどさ」


櫻子「船見先輩優しすぎますぅ…ぐすっ…本当にとってもいい先輩です…ぐすんっ」ポロポロ


結衣「家帰ったら二人で晩御飯食べよ?今日はカレー作ったんだ」

櫻子「うれしいです…」ジュルジュル

――――――――――――――
結衣宅

結衣「ただいま」

櫻子「ただいまー、お邪魔しまーす!」

結衣・櫻子「あっ…」

りせ「……」ヒョコ

結衣・櫻子(そういえば松本先輩……)

結衣「松本先輩、な…なんか慌ただしくなってしまってすいません。えっと、じゃあ三人で晩御飯にしましょうか?」

櫻子「うん、とってもお腹すいたー」

結衣「じゃあ今お皿に装うから待ってて……ってあれ、温かい」


結衣「松本先輩、カレー暖めておいてくれたんですか?」

りせ「……」コクリ

結衣「わざわざすいません、あの…助かりました」

りせ「……」ウウン


櫻子「いただきます!」

りせ「……マス…」ペコ

結衣「いただきます」

カチャ カチャ

櫻子「んんぅ…」モグモグ

櫻子「うおぉ、船見先輩の作ったカレーすごく美味しいです!」

結衣「大室さんが持ってきてくれた食材がいいものばかりだったってこともあるけどね、でも良かったよ。ありがと」

りせ「……」モグモグ

りせ「……」オイシィ…

結衣(とりあえず松本先輩の口にも合ったようで良かった……)

櫻子「よくよく考えてみたら、このメンバーで一緒に食事をするってめずらしすぎじゃないですか?」

結衣「たしかにそうだな…」

りせ「……」モグモグ

櫻子「ごちそうさまでした!」

りせ「……」ペコリ

結衣「お粗末さまです」



ガチャッ ガタガタ

結衣「ふぅ…」


りせ「……」トコトコ


結衣「あっ、松本先輩手伝って下さるんですか…?お気遣いなさらなくていいですよ」

りせ「……」ウウン テツダワセテ

結衣「あっ、ありがとうございます…」

櫻子「わわっ、私も手伝いますーーーとは言っても何からすればいいですかっ?」

結衣「えっと、じゃあ私と松本先輩で洗ったお皿を拭いてくれるかな?」

櫻子「この櫻子に任せてくださいっ!」

櫻子「えっと…」フキフキ

ツルッ

櫻子「あっ…」

ガシャン パリン

櫻子「すすす…すいません…ぐすっ」

結衣「大室さん大丈夫…?怪我してない?今は危ないからそこでじっとしていて」

櫻子「はぃ……」


結衣「怪我はないみたいでよかった。お皿滑りやすいから気を付けて」

櫻子「はぃ…」ショボン

結衣「そんな落ち込むことないよ、私がちゃんと泡を流してなかったのも悪いし」

結衣「ほら」サスサス

櫻子「えへ…ありがとうございますっ」グスン

10分後

結衣「ありがとう、二人が手伝ってくれたおかげで短い時間で終わったよ」

結衣「あっ…お風呂沸いたけど、誰から入ろうか」

櫻子「ここは先輩方がお先に…」

結衣「えっとじゃあ、松本先輩お先どうぞ…」

りせ「……」フルフル

櫻子「会長さん、遠慮しないでください」

結衣「先輩に私たちの残り湯に浸からせるなんて、とてもそんなことできません」

りせ「……」

結衣「お風呂はもちろん新湯ですから、えっと…あっ、お好きな入浴剤入れていいですよ」



りせ(そ、そんなに気を遣わなくていいのにな…)

お風呂場

ザバーン

りせ「……///」ウットリ

りせ「」ブクブクブクブク

りせ「」プハーッ

oooOOO0oooo ooOOOooOOOoo

――――――――――
――――――――

リビング

櫻子「歳納先輩が泊まった時はどんな感じなんですか?」

結衣「う…ん、まあ大室さんよりも自由だったりすることもあるな」

櫻子「そそ、そうなんですかっ」

櫻子「船見先輩は怒らないんですか?」

結衣「なんていうか…もうあいつの扱いには慣れたからね。小さい頃からずっとあいつのこと見てきてるし」

結衣「大室さんは古谷さんとはいつから一緒なの?」

櫻子「たしか幼稚園入る前から一緒だったような気がします…」

櫻子「小学校に入って最初の頃は向日葵のやつ、友達と遊ぶ時もいつも私にベッタリとくっついていたくせに、おっぱいがデカくなってからの私に対する仕打ちは酷いもんですよ!」


結衣「あはは、やっぱり昔とは変わっちゃうものだよね」

結衣「京子も、昔は全然あんなんじゃなかったんだよ」

櫻子「そうなんですか!?」


結衣「うん……たしかあれは公園で遊んでた時…」


――――――――――――――――

櫻子「うわぁ~、船見先輩のお話面白いです~」

結衣「そう?あとで大室さんの話も聞かせて」

櫻子「いいっすよ~」


りせ「……」トコトコ

りせ「……」


結衣「あっ、松本先輩お風呂上がったみたいだから、大室さん先入っていいよ」

櫻子「え~、私、船見先輩と一緒に入りたいです!」


結衣「そ、それは…ちょっと恥ずかしいかな///」

櫻子「入りたいです~~♪」

りせ「……」ポタ ポタ

結衣「ああ、ええっと…」

結衣「松本先輩、よかったら髪拭いてあげますよ?」


りせ「…っ///」

結衣「お気になさらないでください、お手伝いしてくださったお礼です」ワシャワシャワシャワシャ


りせ(船見さん拭き方ちょっと乱暴……)

りせ(けど、なんだか気持ちいい…それに安心する)ウットリ

結衣「京子が泊まりに来た時も、こうやってよく拭いてあげてるから慣れているんだ」

結衣「あっ、すいません、つい…。えっと、慣れているんです…」


りせ(本当はあまり敬語使ってほしくないんだけどな…)



結衣「あれ、大室さん結局一人でお風呂入ったんだ」

結衣(私のこと気遣ってくれたのかな…)

りせ「……」カキカキ

結衣「松本先輩、何を書いてるんですか?」

りせ「……」ウン

結衣「ふふっ、なるほどね」アハハ


ガラガラ

櫻子「あ~さっぱりした~」

櫻子「げっ、着替え置いておくの忘れたっ」


結衣「着替えってこの袋でいいのかな?」

櫻子「はい、それですっ。ありがとうございます!」

結衣「大室さんも着替えたらこっちおいでよ、髪の毛拭いてあげるから」

櫻子「わーい、やったぁー!」


結衣「どう…かな」ワシャワシャ

櫻子「船見先輩、豪快~~~きもちぃです~~」

結衣「そうかそうか」フフッ

櫻子「今頃、私がいなくて寂しがっているんじゃないですかね、とくに花子とか」ウシシ

結衣「大室さんの妹のこと?」

櫻子「はい、向日葵のやつだって、たぶん私がいないと寂しいからあれだけ引きとめようとするんでしょうね」

結衣「ははは、そうかもしれないね」

櫻子「そうそう、撫子姉ちゃんも私の存在の価値に今更になって気づくんだろうねぇ」



その頃、大室家

撫子「ではこれより、≪櫻子のグチ大会≫を開催しまーす」

ワァーーーーーーィ
パチパチパチパチパチパチ

撫子「それは同感。ノックなしに人の部屋のドア開けるなって何回も言ってるのに、未だに同じこと繰り返すしね ひま子はなんかある?」

向日葵「そうですわね、ちょっと褒めて差し上げたらすぐに図に乗ることですかね」

撫子「あ、それわかる」

花子「花子も分かるし。あと日曜日の夜になって宿題終わってないって泣きついて来るの、あれどう考えても櫻子の自業自得だし」

向日葵「で、ですわね、私が被害を被らなければならない理由がわかりませんわ。櫻子はもっと自分の行動を…」

ワイワイ ガヤガヤ

――――――――――――――――

櫻子「ん、なんだろうこのメモ書き…えっとなになに、古谷さんに伝える…」


≪古谷さんに伝えること≫

・大室さんがゲームをいつまでもやめなかった
・大室さんが突然家を飛び出して、船見さんが追いかけて連れ戻した
・船見さんの家の冷蔵庫をかってに開けていた
・船見さんに一緒にお風呂に入りたいとダダをこねた





櫻子「っておい!なんだこれ」

結衣「ああ、それ松本先輩が古谷さんがとても心配してるからって」

櫻子(あのおっぱいめ、余計なことを会長さんに頼みやがって)

結衣「でもお皿割っちゃったりしたことは仕方ないって言ってたから心配しないで」

櫻子(ともかく、これを向日葵に見られたらまずい、それに向日葵に見られるということは撫子姉さんにも告げ口されて……とっ、とにかく隠そう)エイッ

りせ「」バシッ

櫻子「会長―――」パシッ ヒョイッ

りせ「……」オロオロ オロオロ

結衣(あっ…松本先輩、身長が……)


結衣「ってこら!」バシ

櫻子「スイマセン…でもそれだけはマジで勘弁してくださいお願いします」


りせ「……」プイッ

結衣「えっと、松本先輩どうします…?なんか最初はお互いいろいろありましたし、いいんじゃないかなって気もしますが…」


りせ「……」プイッ

櫻子(哀願……)ウルウル


りせ「……」フゥ

りせ(船見さんが言うなら仕方ないわ…古谷さんには悪いけど)クシャクシャ


櫻子「やったぁ、ありがとうございます!」

櫻子「会長さん大好きぃぃ~~」


りせ「……」サッ

櫻子「…」ズテッ


結衣(あ、交わされた…)

結衣(京子を交わす時のちなつちゃんみたいだ)

――――――――――――――――
10時

結衣「歯も磨いたし、今日は疲れちゃったからもう布団敷いてもいいかな」

櫻子「ウトウト…」


結衣「今日は大室さんとの距離が一気に近づいた気がするな…」



結衣「松本先輩はどうしますか?」


りせ「………」ウン

結衣「そっか、松本先輩はお受験控えてるんでしたね…」

結衣「何かあったら遠慮なく起こしてくださいね、では受験勉強頑張ってください」

りせ「……」アリガト


結衣(私も来年受験かぁ…)



結衣「あっ、メールだ。京子から…」


≪歳納京子≫
22:13
さくっちゃんとは上手くいってる?

あまり無理すんなよー



愛しの京子ちゃんより

……………………………


結衣(ふふ、ありがとう、京子…)

結衣「大室さん、電気消すよ」

櫻子「ふぁい…」

カチ


櫻子「…」スー スー

結衣(ちょっかい出されるかなって思ってたけど、その心配もなさそうだな…)



結衣(えっと、布団は二枚しかないんだよな……あ)

ガバッ

結衣「そうだ、布団は二枚しかなかったんだ」

結衣(やっぱりここは後輩の私と大室さんが一枚の布団で寝るべきだよな…)


結衣(大室さんよりも先に起きればいいことだし、バレないよな…)サッ

櫻子「んーん…おっばい魔人ばーかばーか…」

結衣「」ギクッ


結衣(なんだ寝言か…びっくりした)

深夜2時

りせ(今日はこんなところでいいかしら…)

りせ(船見さんの家、何だか落ち着いて勉強出来た……)

りせ(私も寝ようかな…)


りせ「……」



りせ(大室さん……)


りせ(二枚の布団とも横切って寝ていて、とても私が寝るスペースはなさそうだわ……)

りせ(どうしたらいいものかしら……)

早朝4時


結衣「うぅーん…なんだ4時か」


結衣「あれ、松本先輩…いない」

結衣「まさか徹夜で勉強してるなんてこと…」

トタトタ


結衣(あれ…なんでソファーで寝ているんだろう)

結衣(風邪引いちゃいそうだから布団掛けてあげなきゃ)サササッ


りせ「……」スー スー

結衣「なんだかお人形さんみたいに白くて綺麗な肌だな…」

結衣(それにソファーにからだ全体がすっぽりと収まっちゃうくらい小柄でかわいい)


結衣(……)ナデナデ

結衣(か、かわいいすぎる) ///

結衣(まあ寝顔なら大室も可愛いんだけど)

結衣(いや、京子も負けじと可愛いんだけどな…)

結衣(うんうん、早朝だからか私の頭の中がおかしいことになってる)

結衣「寝床に戻るとするか……って」

結衣「お、大室さん寝相悪すぎ……」


結衣(もしかしてそれが原因で松本先輩…)

結衣(まあ私も人のこと言えないけど)クス


結衣(もうちょっとだけ寝るとするか…)

チュンチュン

りせ(朝…ん、なんか重い)


りせ(ふぇっ、船見さんが頭乗せて寝てる)

りせ(とっても気持ちよさそうだけど…)


りせ(そうだ、朝は私がご飯の用意しなくちゃ)

りせ(船見さんを起こさないようにゆっくり…)サッ


結衣「もう朝…?…」

りせ「………っ!」

結衣「あれ、なんで松本先輩……あっ」

結衣「す、すいません!」

結衣(わ、私は何を思ったんだか…松本先輩の身体に頭を乗せて寝ていたなんて)

結衣(そうだ、大室さんの寝相があまりにも悪いからどこに寝ようか困って)


結衣(気づいたらここで……)


りせ「……///」

結衣(絶対勘違いされちゃったよな……)

結衣「…」ゴホン

結衣「ええと、朝ごはん作りますので…」

りせ(え、ええと…わ、私も手伝おうかな)

結衣「あっ…松本先輩も手伝ってくれるんだ、あ、ありがとう、ございます…」


結衣(朝から少し気まずい状況に……)

りせ(船見さん気にすることないのに、一体どうしたらいいものか……)

台所

ジュウゥゥゥゥゥ

結衣「目玉焼き、松本先輩は半熟と固めどちらが好みですか…?」

りせ「……」カナ

結衣「半熟にしておきますね…あっ、大室さん起こしに行ってきますんで、目玉焼きを見張っておいてくれると助かります」

りせ「……」ウン

結衣「大室さん、朝だよ起きて」

櫻子「船見先輩ぃ…」フワァ~

櫻子「ムニャムニャ」ムクリ


櫻子「7時って…、休みだしもう少しゆっくりしてもいいんじゃないですか?」

結衣「それもそうだけど、午前中のうちに勉強済ましたいと思ってさ」

結衣「たしか大室さん、宿題も持って来たんだったよね?」

櫻子「はいっ、あっ、もしかして宿題手伝ってくれるんですかっ」ピカン

結衣「分からないところは私が分かる範囲で教えてあげてもいいよ」

櫻子「わーい、ありがとうございます!」




せーの

「いただきます」


櫻子「この目玉焼き美味しいです!」

結衣「そう、よかった…」

櫻子「あれ、そういえば私だけ半熟じゃないのはどうしてでしょうか…?」

結衣「大室さんの好みが分からないから、全部半熟だと困るかなって。なんだったら私のと交換する?」

櫻子「いいえ、大丈夫ですっ。何だか先輩方で二人仲良く半熟にして私を仲間外れにしたのかと思っちゃいましたよ」

結衣「どんな仕打ちだよ」ハハハ


櫻子「う…っ」コホン コホン

櫻子「せ…先輩、お、お水……くださ…い」コホン コホン

結衣「大室さん待ってて、いっ、今準備するからっ」


櫻子「ふう」プハー

櫻子「助かりました…」

結衣「急ぐんじゃないぞ」

櫻子「はぃ…」

りせ(なんだか微笑ましいわ…)


――――――――――――――――

今日はここまでです

――――三人は同じ机で勉強することになり…


櫻子「うーーん…」

結衣「」カツカツ カツカツ

りせ「」カツカツ カツカツ

櫻子「ううーーん…」


櫻子(先輩方すごい集中してる…)


櫻子(こうなったら私も……)

櫻子(だめだ…やっぱり分からない…)ガクリ

結衣「大室さん、分からない問題あるの?」

櫻子「あっ、はい!ここの問題がどうしても…」

結衣「これはえっと…」カキカキ

結衣「こうかな…」

櫻子「ほうほう…」

結衣「あれ…答え合わない」

櫻子「ううん…おかしいですねぇ…」

櫻子「松本先輩なら解けるんじゃないですかっ」

結衣「大室さん、松本先輩は受験が控えてるんだから邪魔したら悪いよ…」

櫻子「そ、そうでした…すいません」

りせ「……」ウウン

りせ「……」カキカキ

りせ「……」ヒョィ

結衣「松本先輩…っ」

結衣「い、いいんですか」

りせ(それくらいいいわよ…)

櫻子「こ…これは、細かいところまで途中計算が書いてあってわかりやすいです!」

結衣「えっと、じゃあ私も分からない問題があるので少し教えていただけませんか…?」

りせ「……」コクリ

結衣「こ、これは解りやすい。やっぱり受験生は違いますね、スラスラ解けちゃうなんて…」

櫻子「受験面倒くさそうだなぁ…ずーっと一年生のままでいいー」

結衣「大室さんも、少しずつは勉強しておいたほうがいいよ」

櫻子「まあ船見先輩に言われちゃ仕方ないですねぇ」

結衣「そういえば、松本先輩は受験近いのにこうやって私の家に居て大丈夫なんですか…?」

りせ「……」ビクッ

結衣「いや…えっと、全然悪い意味じゃなくて…」

結衣「私としては松本先輩が来て下さってとても助かっているのですが、ちょっと心配だなって」

りせ「……」ホッ

りせ「……ダイジョウブヨ」ウウン

結衣「それならよかったです…」

結衣(なんだか心なしか松本先輩の声が聞きとれてきているような……気のせいかな?)



結衣「えっと、飲み物でも飲む?」

櫻子「はいっ、私が持ってきたオレンジジュースがいいですっ」

結衣「はいはい」


りせ「……」

結衣「松本先輩は、えっと…烏龍茶ですね?」

りせ「……」!!

りせ「……」コクリ

結衣(よし、当てた)

櫻子「プハーッ、美味しいっ」

櫻子「先輩方のおかげで宿題もだいぶ進みましたよっ」

結衣「それは良かった、大室さん案外いい素質持ってると思うよ」

櫻子「ほ、本当ですか!」

櫻子「船見先輩に褒められたぁー!これは帰ったら向日葵に自慢してやらないとですねぇ」

櫻子「……」

結衣「どうしたの大室さん?」

櫻子「いいえ、大したことではないです。ただ、いずれ帰らなきゃいけないんだなって…」

結衣「そうだね、そろそろ家族も心配してきているんじゃないかな」

櫻子「そ、そうですよね!」

りせ「」ズズズズッ

りせ「プハッ」


櫻子「何だか私たち、姉妹みたいじゃないですか?」

結衣「姉妹?」

櫻子「はいっ、船見先輩がお姉ちゃんで、私と松本先輩が妹です!」

りせ「……」ケホケホッ

結衣「大室さんはともかく、松本先輩はさすがに……」

結衣「生徒会長も務める偉大な先輩だし、私の妹っていうのはちょっと…」ハハハ…


りせ(私は船見さんがお姉ちゃんでもべつにいいんだけどな…)

―――――――――――――――――――

櫻子「午前中はずっと勉強してましたね!普段こんなにやらないんでもうクタクタです」

結衣「そうだね、私も一人だとどうしてもゲームとか、誘惑に負けちゃうから」

櫻子「ですよねっ、私も同じです。でも松本先輩がいるから頑張んなきゃって思いました!」

結衣「そうだね」クス

結衣「松本先輩、分かりやすいご指導ありがとうございます…」ペコリ

櫻子「わ、私にも宿題教えて下さってありがとうございます」ペコリ

りせ「……」アタフタ

りせ(そ…そんな全然いいわ)アタフタ

ガタン

結衣「じゃあ今からお昼ごはんの用意するから、机の後片付けして置いてくれる?」

櫻子「はーいっ」

櫻子「」ガサゴソ ガサゴソ

櫻子「これくらいでいいかなぁ」


櫻子「後片付けも終わったし、テレビ付けよーっと」ポチ

櫻子「緊急速報?何ごとだろう」


「たった今入ってきた情報です。富山県七森市の住宅で、母親(62)を刃物で殺害した無職の男(36)が現地周辺を逃走中です。地域住民には避難を呼びかけるとともに……」

櫻子「船見先輩、あの…」ガタガタ

結衣「七森市で殺人事件があったのか…物騒だな………」


結衣「嘘…っ、テレビに映っている場所って、私が住んでいるアパートのすぐ近くの一軒家じゃん……」


「犯人はかなり不安定な精神状態とみられ、近づくのは大変危険な状態で……」


りせ「……」フルフル

櫻子「船見先輩……避難した方が…」

結衣「避難ってどこに!とりあえず落ち着いて」

トゥルルルルル

結衣(電話…)

結衣「大家さん?」

結衣「はい……はい……分かってます…はい…わかりましたっ」

ガチャ

結衣「私は全部の部屋のカーテンを閉めるから、大室さんはドアの鍵を閉めて!あとチェーンもお願い!」

櫻子「は、はい…」

結衣「できるだけ急いで!」

櫻子「はい……ぐすっ」ウルウル

櫻子「船見先輩…私たちどうなるんですか…」

結衣「心配しないで大室さん」ヨシヨシ

結衣「今犯人がこのアパートに逃げ込んだらしいから、何があっても絶対にドアを開けないことっ、あと出来るだけ声も出さないように、大丈夫、落ち着いて!」


櫻子「船見先輩ぃぃ…ぐすっ…」ウルウル

結衣「大丈夫、大丈夫だから…」


櫻子「私たち殺されちゃうんですか……ぐすんっ…」ウルウル

りせ「……」ポロポロ

結衣「」ギュッ

櫻子「船見先輩……」ポロポロ

りせ「……グスン」ポロポロ



―――結衣は怯える大室さんと松本さんを、力いっぱい胸に抱き寄せた…



櫻子「先輩怖いです…」ブルブル

りせ「……」ポタ ポタ


結衣「大丈夫、私が付いてるから……」


結衣(この家の中で、犯人が入ってきたとして戦えるのは私だけ……)

結衣(だから、私にはこの二人を守る責任がある……)


ダンダンダン

結衣(唸り声が近づいてきた……)

結衣(大丈夫…、私が……守って……)




―――あれからどのくらい経っただろう





チクタク チクタク チクタク チクタク…


結衣「あれ…もう夕方……」

結衣「犯人は!」バッ


「取り押さえられた○○容疑者(無職・30)は犯行を認めて……」



結衣「よ…よかった」

結衣「……っ」ウルウル

結衣(気が抜けたせいか急に涙腺が……)ウリュウリュ

櫻子「船見先輩…?」ムク

結衣「犯人逮捕されたよ」

櫻子「ふぇ…」


櫻子「本当ですか、やったー!」

櫻子「松本先輩も起きてください!殺人犯が無事逮捕されたそうですよ!!」

りせ「……」ヨカッタ…

結衣「みんな無事で何より」

櫻子「えへへ」

りせ「……」クス

結衣「ふふ、よかった」


結衣(あれ、京子からメール着てる…あっ、あかりにちなつちゃん、それにお母さんからも…)

結衣(みんな心配してくれたんだ……)

櫻子「あっ、撫子姉ちゃんから着信履歴が…どれどれ」プルルルルルルル

ガチャッ

撫子『おい櫻子なのか?大丈夫か、怪我は?』

櫻子「ぶふっ、なんでさー、いつもなら全然心配しないくせにー」

撫子『そりゃ連絡通じないんだから心配するだろうが!!』

櫻子「そ、そうですかい……えと、私は大丈夫」

撫子『とりあえず無事で安心した。明日の午前中には帰ってくるように。よかったら今日帰ってきてもいいんだからな』

ガチャッ



櫻子「……」

櫻子「……」ニシシ

櫻子(姉ちゃんありがとう……)



結衣「最後の晩餐だ、今日はフルコースだぞ」

櫻子「わーいわーい!」

りせ「……」パチパチパチ


櫻子「うおぉーカツだぁ」

結衣「デザートもあるぞ」

りせ「……」ヤッタ



夕食後

櫻子「今日は三人でお風呂に入りませんか?」

結衣「そ、それはいくらなんでもだめだからなっ」

櫻子「ゆ~い~先輩~~~」

結衣「だーめ、櫻子だーめ」

櫻子「じゃあここはりせ先輩に決めてもらいましょうよ!」

りせ「……」ソ、ソンナ…エト、ワタシハ……




お風呂場

櫻子「わっ、結衣先輩もなかなか」ムニュ

結衣「こ、こら、大室さん…いや櫻子やめろ!」

りせ「……ムゥ」ブクブクブクブク


櫻子「えへへってうわぁ」
ズテッ

櫻子「痛タタタタタタ…」オシリイタイ


結衣「ほら、言わんこっちゃない……」




書き溜めなくなったので一旦ここまでです

――――――――――――――――
結衣「じゃあ電気消すよ?」

櫻子「はーい、結衣先輩ー」

カチ


櫻子「今日は何だか特別な一日になりましたね、結衣先輩っ」

結衣「そうだな、正直私自身も余裕がなかった気がする…」

櫻子「結衣先輩とってもかっこ良かったです!あんなことされたら惚れちゃいますよ」

結衣「わ、私はただ大む…櫻子と松本先輩の身に何かあったらいけないと思って……」

結衣「わっ、松本先輩…?」

りせ「ダメ…カナ……」

結衣「もちろんいいですよ」ニコ

結衣(急にこっちの布団に入ってきたからびっくりした…)

結衣「ほら櫻子、松本りせ大先生もこっちの布団に来たから、もっと端の方に詰めな」

櫻子「ちぇ…それなら仕方ないですねー」

結衣「……」グイグイ

櫻子「って結衣先輩今わざと押し出しましたよね?」

結衣「えっ、べつに押してないけど?」

櫻子「ごまかしたって駄目です、松本先輩は小柄ですのでそんなに場所取りません」

結衣「ごめん、ちょっとからかってみた」

櫻子「もう結衣は悪い子ですねぇ」

結衣「おいこら」

櫻子「はい、スンマセン調子に乗りました」

櫻子「あれ、そういえば松本先輩の姿が…」

結衣「えっと…、さっきから私の背中にしがみついたままなんだよね」

櫻子「なぬ」


りせ「……」ウットリ///

櫻子「ああずるーい、私もー」ムギュ

結衣「ちょっ…そこくすぐったいからやめろ…くっあはは」

櫻子「さっきのお返しですよ…って痛っ」

櫻子「松本先輩にほっぺつねられた…」

櫻子「あの…もしよかったら、先輩方の間に入って寝てもいいですか…?」

結衣「ま、まあ今日は特別だぞ。松本先輩も大丈夫?」

りせ「……」コクリ

櫻子「えへへ…」

櫻子(頼もしい先輩方に囲まれて幸せだぁ……)




次の日

櫻子「船見先輩、この度はお世話になりました!本当に楽しかったです…」ウルッ

結衣「うん、また遊びに来なよ」

りせ「……」コクリ

結衣「松本先輩も、受験が終わりましたらいつでも遊びに来て下さい」

りせ「……」ニコ





結衣(今この家にも私一人か……)




結衣(今思うと、あっという間だったな……)




結衣(なんだろう……この胸にポッカリと穴が開いたような感覚…)



シーーン

ピーンポーン



結衣(誰だろう…)


京子「京子だよん」





その声はとても懐かしかった。


おわり

後日談


後から西垣先生に聞いた話によると、
松本先輩は家庭の何らかの事情でこの時期に引越しをすることになり(引越しとはいっても七森市内であるが)、
落ち着いて勉強出来る環境が欲しいとのことで、西垣先生の家にしばらくの間滞在することになっていたみたいだけど

西垣「実は屋根の修理中でな、家の中が大変なことになっているのだ。そんな状況で松本が落ち着いて勉強できるとも思えなくてな」

とのことで、私の家で預かることになったそうだ。最初からそう言ってくださいと言いたいところだが。


西垣「因みにだが松本の親には私の家に泊めたということで通しているから、今回のことは黙っておいてくれ」



いや、絶対バレると思う

とは言いつつ、私の家にはいつもの景色が戻ってきたようで


京子「結衣~」

結衣「はいはい、ラムレーズンか」

京子「おう、気が利く~~」


京子「あれっ、結衣どうしたの?」

結衣「疲れが溜まってるから寝る…」

京子「えー、折角京子ちゃんが来たって言うのに」

結衣「……」

京子「結衣、おつかれさん」ニコ

~向日葵宅~

櫻子「向日葵の感触が懐かしすぎる」ムニムニ

向日葵「ちょっといきなり何をするんですの///」

櫻子「それにしても、向日葵は会長さんを使って私を監視しようとするなんて卑怯なおっぱいめ」

向日葵「会長さん?会長さんがどうかしたんですの」

櫻子「あれ、知らないの?」

向日葵「ええ……」




りせ宅

りせ「……」ポー

りせ「……」ポー

りせ「……」ウフフ


りせ母(何か楽しいことでもあったのかしら)


りせ(私ったらだめね…今は胸の奥にそっとしまっておかなくちゃ)




おわり

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