円堂「サッカーやろうぜ!」のび太「え?」(16)

円堂「頼む!明日の試合で勝てなきゃ廃部にされちゃうんだ!」

のび太「む…無理だよぉ……ぼく、運動苦手だし……」

円堂「野球部の剛田から聞いたぜ、『いざって時にはこの上なく頼りになる奴だ』って」

のび太(うえぇ~ジャイアン、また質の悪い嘘を吐いてくれたなぁ……)

のび太「……分かったよ、そのかわり足手まといになっても責めないでね?」

円堂「本当か!?よっし!これで11人揃ったぞ!ありがとな!野比!」

のび太「ははっ…どういたしまして……」(暑苦しい奴だなぁ……)

野比家

のび太「ただいまぁ~」

ドラえもん「お帰りなさいのび太くん」

のび太「ドラえもん頼み事があるんだけど……」

ドラえもん「何だい?」

のび太「サッカーのルールを知りたいんだけど、もう図書館閉まってて……」

ドラえもん「へぇ~体育の授業でやるのかい?」

のび太「ううん、ぼくサッカー部に入部したんだ」

ドラえもん「へぇ~……えぇっ!?」

ドラえもん「なにを考えているんだ君は!?そんなの無理に決まってるじゃないか!?」

のび太「やるまえから決めつけるなよ」

ドラえもん「無理に決まってるよ!!中学に入ってから今までずっと帰宅部だった君にはスタミナの『ス』の字もないんだから!」

のび太「今から鍛えれば試合には間に合うさ」

ドラえもん「今からって……試合っていつなの?」

のび太「明日」

ドラえもん「無理に決まってるだろ!!人体をなめてるのか!?」

のび太「何のための秘密道具だい?」

ドラえもん「ぐっ……でもそんなインチキ……」

のび太「大丈夫、道具は補助にしか使わないよ」

のび太「中学生になったとき約束したろ?『道具に頼り切らない』って」

ドラえもん「…本当に道具に頼らないの?」

のび太「ああ、道具には時間的問題だけを解決してもらうよ、あとは全部努力でカバーする」

ドラえもん「本当に変わったね……のび太くん」ホロリッ

のび太「じゃあ早速特訓だ!」

ドラえもん「オォー!!」

その後のび太はタイムマシーンやタンマウォッチを使いスタミナと基本的技術を鍛えていった




のび太「48、49、50!」ポン ポン ポーン

ドラえもん「やったねのび太くん!ついにリフティング50回達成だよ!」

のび太「へへっ…ボールタッチにも慣れてきたかな?」

ドラえもん「う~ん…リフティングはトラップ練習になるけどお遊びの要素が大きいからね……」

のび太「人が盛り上がってるときに冷めたこと言うなよ」

ドラえもん「まあでも基本的な動きは叩き込んだし足手まといにはならないと思うよ」

のび太「何事も基本が大事って言うしね」

ドラえもん「そういえば聞いてなかったけどのび太くんポジションどこなの?」

のび太「確かfwって言ってたかな?」

ドラえもん「fwかー……ならこれからはシュート練習に力を入れよう、fwは点を決めてなんぼだからね」




のび太「うりゃ!」ボスッ ピュ~

ドラえもん「……」

のび太「また枠外だったか……もしかしてぼくシュートのセンスないんじゃないかしら」

ドラえもん「……のび太くん」

のび太「なんだい?」

ドラえもん「目をつぶってちゃ枠に飛んでかないと思うよ?」

のび太「あっ!!」

ドラえもん「ハァ…先が思いやられるよ……」




のび太「ドラえもん!ぼく必殺技が欲しいよ!」

ドラえもん「必殺技?」

のび太「例えばオーバーヘッドとかノートラップランニングボレーとか……とにかくなにか派手な技を身に付けたいよ!」

ドラえもん「そこらへんは小学生の時から成長してないよね、のび太くんは」

のび太「ほっとけ」

ドラえもん「う~ん必殺技かぁ……確かに今の時代、必殺技を持ってない選手のほうが少ないしなぁ…」

のび太「だろ!?ね!ね!いいでしょ!?」

ドラえもん「う~、それじゃあ一個だけだよ?必殺技より基礎のほうが初心者には大切なんだから」

ドラえもん「で、どんな技にするのか決まってるのかい?」

のび太「いいや、全く」

ドラえもん「いい加減な奴だなぁ」

のび太「なぁに心配することはない、スポーツマンガではこういう場合は大抵自分の長所を見つめ直して新しい技を閃くんだ」

ドラえもん「マンガって…まあ長所を活かすのはいいことだけど」

のび太「ということでぼくの長所を教えてくれ!」

ドラえもん「寝るのが早い」

のび太「……怒るよ?」

ドラえもん「は、ははっ…冗談だよ冗談…」

のび太「真面目にやってよね」

ドラえもん「のび太くんの長所ねぇ……シュートの威力、スピード共に人並みだしかと言って精度もそこまで抜きでているわけでもないしなあ」

のび太「酷い言われようだ」

ドラえもん「長所…長所……! そうだアレがあるじゃないか!」

のび太「え!?なになに!?」

ドラえもん「動きが遅いところ!」

のび太「……」ボゴッ

ドラえもん「痛いっ!ちょ、ちょっと!話しは最後まで聞いてよ!」

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