北上「じゃあ私目をつぶって集中するから頼むね～」

提督「……よし、縛ったぞ。これでいいん「失礼します」だよ…な……」

大井「言われた通り資材を……」

提督「あっ……」

北上「………」

大井「……何、してるんですか？」

提督「いや、あの……な、なんか、縄抜け…？のマジックみたいなのをやる事になりましてですね…」

大井「…縄抜け？」

提督「北上が縄抜けマジックを見せたいって……」

大井「はぁ？」

提督「縛られ…たいと」

大井「そうなんですか？北上さん？」

提督「そうだよな北上？」

北上「………」

大井「提督？もしかして何かしようとしてました？」

提督「いやいやいや全然全然本当にただ縄抜けマジックをだな…」

大井「北上さん？」

北上「………」

提督「北上がギュッと縛ってくれって…」

大井「へえ……」

提督「………」

提督「あ、あの、自室ではやられてないですかね縄抜けマジックは？」

大井「やらないですね」

提督「………」

北上「………」

大井「取り敢えずこのロープは取らしてもらいますから」

提督「……はい」

大井「まあ、提督はたくさんいる娘の中から私を選んでくれましたし、提督限って、そんな事はないと思いますけど？」

提督「そうそうそう俺には大井しかいないから決してやましいことは……」

大井「…私を裏切ったら海に沈めるって言ったものね？」

提督「」

大井「それでは、引き続き作業に戻りますので。失礼します」

提督「ああ……」

提督「………」

北上「………」

提督「いやいやいやさっきのなに！？」

北上「え～？だって集中してたからさあ」

提督「そうだけど！一回集中切っていい時だっただろ！大井来てるから！」

北上「大井っちが来たくらいで集中止めちゃったらそれって集中じゃないよね～」

提督「だから！」

北上「集中じゃないじゃん」

提督「だから程度の問題なんだよ！どの程度集中するのか事前情報が無いと！あそこまで集中されちゃったら俺がただのヤバイやつになっちゃうって話！わかる！？」

北上「まあ多少は？」

提督「今後もこういう事があった時のためにも言ってんだよ！」

北上「あ～、それは大丈夫かな。もう二度とないと思うし」

提督「はあ？」

北上「実は私縄抜けなんて出来ないんだよね～」

提督「えっ……？出来ないの？」

北上「うん」

提督「…なんでだよ！？出来ない縄抜けに対してのあの集中力は凄すぎるだろ！？」

北上「信じれば出来ると思っちゃった」

提督「なんなんだよそのスタンス！？信じても出来ねえよ！ギュッって縛ってんだからさあ！」

北上「そういう事言わないでよ！夢を諦めろって言ってるのと一緒じゃん！」

提督「それとこれとは話が」

北上「信じたら絶対叶うんだよ！夢はね！わかる？」

提督「だから！」

北上「わかった！？どうなの！？大体私達だってやがて来るであろう国の平和を信じて戦ってるんじゃないの！？」

提督「……はい」

北上「ならさあ、どっちが悪いか提督ならわかるよねえ？」

提督「まあ、その、俺が悪い……けど」

北上「けど？な～んか不服そうだねえ」

提督「俺が悪い、です」

北上「そうそう。自分の非を素直に認められるのは大切なことだよね～」