P「菊地真襲撃事件」 (81)


※このSSは一部が時刻表に沿って進みます。出てくる路線の時刻表や路線図があるとわかりやすいかもしれません。

P「……」ピラッ

P「……」ピラッ

小鳥「熱心に時刻表を見てますけど、またどこか行くんですか?」

P「行きたいですね。まあ今は忙しいので空想旅行といったところでしょうか…」

小鳥「ふふ、最近みんな頑張ってますもんね」

P「そうですね。自分も見習わないといけません」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1412343493


小鳥「それにしても、プロデューサーさんが休憩時間に時刻表を読んでるのもすっかり自然になりましたね」

P「元々は家で読んでいたのですが、会社での気分転換にと思ったんです。それに、出張が決まった時にあると便利ですし」

小鳥「結局まともに読めるのはプロデューサーさんだけですけどね」

P「ははは、それはそれで重要な役割が出来て嬉しいですけどね」


P「でも確かに学生の頃は歩く時刻表なんて呼ばれてたりしましたね。まさか今も似たような役になるとは思いませんでしたよ」

小鳥「昔から電車が好きだったんですね」

P「ええ、物心ついた時からでした」


春香「ただいま戻りましたー」

真「戻りました!」

P「おう、お疲れさま。そうだ、二人とも明日の営業だが、向こう行く前に一度事務所に来るか?」

春香「はい、一度来るつもりです。えっと、営業先はどこでしたっけ?」


P「明日は久里浜にあるくりはま花の国だな」

春香「久里浜ってどこですか?」

P「三浦半島の先のほうだ」

真「三浦半島…… 今まで行ったことがないですね」

P「そうか。俺は同伴出来そうにないから自力で行ってもらう形になると思うが、大丈夫か?」


春香「えっと、メンバーは誰でしたっけ?」

P「春香と真、あとは美希と雪歩だ」

真「何だかバラバラに現地に行くことになりそうだな……」

P「まあ12:30までに現地に着けば問題はない。道中の移動は任せる」


春香「どう行けば一番いいですか?」

P「品川から京急の快特に乗って京急久里浜へ行くのが一番無難だと思うぞ。JR横須賀線もあるが、京急に比べると本数も少ないし遅いからな」

真「それって何か利点あるんですか?」

P「空いてる。いや、細かいことを言えば他にもあるが」

真「そ、そうですか…… まあボクは京急でいいかな」

春香「私も京急で行こうかな」


美希「今帰ったの」

雪歩「お疲れさまですぅ」

P「おう、お疲れさま。そうだ、明日のことなんだが……」


 説明中 

P「ということだ。どうする?」

雪歩「わ、私は人が少なそうな横須賀線で行こうかなって思います。美希ちゃんは?」

美希「あふぅ、ミキは適当に行くの」

P「ははは、お前らしいな。まあ遅刻だけはしないでくれよ」

P「そうだ、雪歩。横須賀線なら15両か11両で来るが、どちらにしても後3両にボックス席があるぞ」

雪歩「そうなんですか? じゃあそこで行ってみます」


 翌日・品川駅 10:16

雪歩「春香ちゃん、お茶買ってたら電車に乗り遅れたって……」

真「春香らしいや。でもそうすると一人かぁ。 ……雪歩、一緒に来ない?」

雪歩「わ、私はもう切符買っちゃったから……」

真「そっかー、じゃあそろそろ時間だから行こうかな」

雪歩「じゃあ真ちゃん。また後でね」

真「うん」


真「えっと……」

メモ『快特三崎口行きか京急久里浜行きに乗る。羽田空港行きは乗らない』

真「快特三崎口行き…… この1本後の電車だな。よし、間違いない」

『まもなく快特三崎口行きが到着します。京急蒲田、京急川崎、横浜の順に停車します』

真「よし、乗ろう」


真「けっこう乗る人いるんだな。座れるかな?」

 プシュー

真「……よっと、座れて良かったー」



「…………」スッ


 10:21

『ドアが閉まります。ご注意ください』

駅員「快特三崎口行き発車します。ドアを閉めます」プシュー

 ファソラシドレミファソー

真「面白い音だなー、歌ってるみたい」


車掌『ご乗車ありがとうございます、快特品川行きです。京急蒲田、京急川崎、横浜、上大岡、金沢文庫、金沢八景、堀之内、堀之内からの各駅に止まります』

真「京急久里浜までは…… 1時間程度か、やっぱり雪歩連れて来れば良かったな」


 京急久里浜駅 11:15

真「やっと着いたー。えっとくりはま花の国は……」ピッ

真「……こっちだな」スタスタ



「…………」スタスタ


 くりはま花の国 11:35

真「えっと、どこで待ってようかな……」キョロキョロ


「…………」サッ

真「ん?」チラッ

「…………」

真「……気のせいか」


真「あ、プロデューサーに電話でもしておこうかな」ガサゴソ



「…………」ダッ

真「っ!?」


真「うっ、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 765プロ事務所 12:00

ピピピッ

P「お、春香から電話だ」

P「春香、どうかしたか?」


P「えっ、真がどうしたって?」


P「わかった、すぐに行く。そこで待ってろ」

小鳥「どうかしたんですか?」

P「ちょっと久里浜行ってきます」


 くりはま花の国 13:30

P「お前ら、真は!?」

真「プロデューサー……」

P「何があったんだ?」


真「う、後から……」

P「後から?」

真「だ、誰かに後から抱きつかれたんです!」

P「……え?」


真「だから、知らない誰かに後から思いっきり抱きつかれたんです!」

P「な、何だと? それは大事件だ。犯人を見ているか?」

真「いえ、コートにマスクとサングラスをしていてよく見えませんでした…… でも体格からして犯人は女の子なんじゃないかと思うんです」

P「え? それって同性の間なら別に……」


真「大事件なんです! 本当にビックリしたんですから!」

P「そ、そうか。ふむ…」チラッ

春香「あ、あの、プロデューサーさん。まさか私たちを…」

P「可能性の話だ。しかし目撃者も何もないならお前らからも話を聞かねばなるまい」


P「とりあえずお前らの行動を一人ずつ聞こう。まずは春香、ちょっと来てくれ」

春香「は、はい」

P「じゃあ春香は今日どの時間の電車でどうやって現地へ行ったか教えてくれ」


春香「はい、真と同じ電車に乗ろうとしたんですけど、コンビニでお茶を買ってたら乗り遅れちゃって…… それで、一本後の品川10:31発の三崎口行きで向かいました」

P「なるほど、そのお茶を買った時のレシートはあるか?」

春香「えっと… あ、これです」

P「ふむ、乗っていた場所は覚えているか?」

春香「真ん中辺りでした。号車は書いてなかったのでわかりません」


P「確かに京急は書いていないな。……そして真の第一発見者は春香。これで間違いないな?」

春香「はい…… あの、私、やってないんです!」

P「それを聞くのは後にする」

P「じゃあ次は雪歩だ。ちょっと呼んできてくれ」


雪歩「は、はい」

P「雪歩は今日どの時間の電車でどうやって現地へ行ったか教えてくれ」

雪歩「私は品川駅で真ちゃんと別れて、プロデューサーから空いてると聞いた横須賀線に乗りました。確か品川駅を10:19発車の久里浜行きでした」

P「ふむ、自分が何号車に乗っていたかは覚えているか?」


雪歩「はい、プロデューサーから教わった通りボックス席の車両に乗ったので、13号車でした」

P「そうか。号車はちゃんと確認したんだよな?」

雪歩「はい、書いてありました」

P「その列車だということは、久里浜についたのは真の20分後…… なるほど、わかった」


P「品川で真と別れたということは、最後に真を見たのは雪歩なんだな?」

雪歩「はい、そうだと思います」

P「そうか、よし、最後に美希だな」


P「それじゃあ美希は今日どの時間の電車でどうやって現地へ行ったか教えてくれ」

美希「ミキあんまり覚えてないんだけど、渋谷のカフェでスコーンを食べてそこから横須賀線直通って書いてあったオレンジと緑の電車に乗ったの」

P「ほう、その経路で来たか。よくわかったな」

美希「検索サイトに載ってたの」


P「なるほど。それで、何号車に乗っていたか覚えているか?」

美希「号車とか気にしなかったの。あ、でも一番後だったっけ、……やっぱり覚えてないの」

P「まあ渋谷のホーム構造を考えるなら大体後側だろうな。その後は?」

美希「寝てたら終点で起こされたの。それで久里浜ってところに行きたいって言ったら、ホーム向かい側の短い電車に乗ってくれって言われたの」

P「逗子駅か」

美希「そうそう! そう書いてあったよ」


P「それで、その列車の時間は覚えているか?」

美希「えっと…… 久里浜に着いたのがちょうどお昼頃だったの」

P「……恐らく11:55久里浜着、だな。そうすると渋谷10:21の湘南新宿ラインに乗って、逗子に11:19到着。そして11:35発の久里浜行きで現地入り、か」パラパラ

美希「あはっ ハニー流石なの」


P「ふむ……」

真「みんなアリバイがあるんですね。やはり犯人は外部でしょうか?」

P「……俺は犯人がわかった」

真「ええ!? だ、誰なんですか!!?」


P「……言っていいのか?」

真「そ、それって……」

P「ああ、これは……」


P「あの三人のいずれかが犯人だ」


真「ど、どうして……」

P「そこまではわからないよ。……本人に聞かないとな」

真「……聞きましょう、真相を」

P「わかった」



雪歩「プロデューサー、どうかしたんですか?」

P「三人の最終的な確認をしたいんだ」


P「まず現地入りした順番を確認する」


P「ここには真が最初に着いた」

真「はい」

P「真と同じ電車に乗り遅れて、10分後の電車で春香が久里浜に着いた」

春香「はい」


P「真が到着した20分後、雪歩がJRで到着した」

雪歩「はい」

P「そしてさらに20分後、つまり真が到着した40分後に美希が同じくJRで到着した」

美希「うん」


P「もう一つ確認しておく、お前ら自分の発言に嘘はないな?」

真「はい」
春香「はい」
雪歩「はい」
美希「うん」


P「OK、俺の中で犯人は確定した」

春香「え? ほ、本当ですか!?」

P「ああ、確実に嘘をついてるのが一人いる」

P「アイバイがあるように見せかけて、ありもしない嘘をついているのは、それは……」ツカツカ

 ピタッ


P「雪歩、お前だ」

雪歩「な、なんでですか!?」

P「到着順で言うなら、まず春香が怪しい」

P「そして証言の曖昧さから言えば、美希が怪しい」

P「だが違うんだ。俺にはお前がついた嘘はハッキリとわかる」


雪歩「ほ、本当です! 私横須賀線で久里浜まで行きましたよ!」

P「……雪歩」

雪歩「プロデューサーから聞いた通りボックス席のある13号車に乗っていったんですよ!」

P「あのな、雪歩」




P「品川を通る横須賀線に13号車は存在しないんだ」

雪歩「え……」

P「俺は確かに品川を発着する横須賀線のボックス席は後3両と言った。そして確かに雪歩が乗ったという横須賀線は15両だ」

雪歩「だ、だったら……」


P「他の路線の15両はみんな1号車から15号車で15両だ」

P「だが、品川を通る横須賀線、それと直通している総武快速線系統だけは1号車から11号車、そして1号車の前に増1号車から増4号車をくっつけて15両なんだ」

P「つまり本当に乗っていたら、お前が乗った車両は9号車なんだよ」

雪歩「え? そ、そんな……」


P「お前言ったよな? 号車はちゃんと書いてあったと」

雪歩「あ、え……」

P「肝心なところを教えていなかったと思ったが、まさかそれが解決のカギになるとは思わなかった」

雪歩「……」


P「お前は真と別れた後、真の後を追いかけて同じ列車に乗った。そして久里浜に着いたら再び真の後を追いかけ、犯行に及んだ。違うか?」

雪歩「……」

P「……」

雪歩「……私がやりました」


春香「雪歩、どうして……?」

雪歩「真ちゃんが、かっこ良くて、憧れてたけど……」

雪歩「でも、面と向かってそんなことは出来なかったから……!」

P「……詳しい話は後で、だな。行くぞ」

雪歩「……」


真「待ってください!」

雪歩「真ちゃん?」

真「確かにボクは襲撃されましたけど、ボクは犯人が事務所のメンバーでも……」

真「それを許そうと思っていたんです」


春香「真……」

真「その時はすごく驚きました。だけど、ボクはどこ怪我をしていないんです」

真「だから……」


雪歩「真ちゃん!」ダッ

真「わぁっ!? 雪歩……」

雪歩「ごめんなさい、ごめんなさい」ポロポロ

真「いいんだよ、雪歩。また明日から頑張ろう?」ナデナデ

雪歩「うん!」


美希「真くんかっこいいの!」ダッ

真「うわっ み、美希?」

美希「そんな真くん大好きなの!」

真「あはは。ありがとう、美希」ナデナデ


P「春香、お前も行ってきたらどうだ?」

春香「わ、私は……」

真「春香」チョイチョイ

春香「ま、真ー!」ダッ

 ワイワイ、キャッキャッ


P「……」テクテク

P「……」

P「……何が役に立つかわからないもんだな」パラパラ


 夕方・東京湾フェリー

P「……」

P「……」ブンッ

カモメ「……」キャッチ


真「プロデューサー、ボクもやっていいですか?」

P「ああ、残りは好きに投げていいぞ」

真「へへっ じゃあいきますよ! えいっ」ヒュッ

カモメ「……」キャッチ


真「もう一回、えいっ!」ヒュッ

カモメ「……」キャッチ

真「ははっ お腹すいてるのかな?」

P「まあ夕方だしな。いや、鳥に時間は関係ないか」


真「船旅もいいものですね。すごく遠回りですけど」

P「だからお前達は普通に帰れば良かったのに」

真「だって、面白そうじゃないですか。でもなんで突然船で帰ろうと思ったんですか?」

P「……昔を思いだして、かな?」


真「昔、ですか?」

P「今日行ったくりはま花の国は昔一度だけ行ったことがあるんだ。その時にこのフェリーにも乗ったんだ」

真「へぇ、そうだったんですか」

P「その時とは変わったがな。前はこんなカモメ用のおやつなんかなかったしな」


真「でも、それでいいんじゃないですか?」

真「事務所のみんなだって頑張って変わろうとしている。そういうのも必要だとボクは思いますよ」

P「……そうだな、俺も変わらないとな」スッ

真「プロデューサー?」


P「真、戻るぞ。もう10分もすれば金谷港だ」

真「はい!」

P「金谷港に着いたらそこから東京まで電車で2時間だからな。覚悟しとけよ」

真「大丈夫です! だって……」

真「プロデューサーやみんながいますから!」

 おわり

この話の事の発端は時刻表で推理物を作ろう、つまりアイマスの世界で十津○警部のようなことをやったらどうだろうということからでした。
最初は身近でわかりにくいものからやってみようと思って、昔からよく使っていた総武快速・横須賀線の号車の数え方にスポットを当てました。
しかし最終的に時刻表がほとんど関係なくなってしまいましたし、逆に普段から使っている人からすればこれのどこがトリックなんだと感じると思います。逆に遠方に住んで見たことないという方は、もし見る機会があったらそんなこと言ってたなくらいに覚えていただければ嬉しいです。
来月になる予定ですが、次回はもう少し凝った内容に出来ればと思います。

ここまで見ていただいて本当にありがとうございました。

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