花陽「海未…お姉さま」海未「!?」 (133)

海未「設定はごちゃまぜです」

花陽「えっと、百合展開があるので苦手な人はご注意下さい……ってユリテンカイガアルノォオオオ!?」

うみぱな「では、本編をどうぞ」

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皆さんこんにちは、小泉花陽です
今日は私のとっても素敵な先輩を紹介しようと思います


園田海未ちゃん、音ノ木坂学院の二年生

μ'sでは作詞や全体的な練習の指揮を担当していて、絵里ちゃんと一緒にμ'sを引っ張ってくれています

言い忘れていました(汗

途中まで書き溜めているのでその分はサクサク投下したいと思います

海未「凛、そこのステップがワンテンポ早い! いつも言っているでしょう!」

海未「にこ、オリジナルの振り付けを入れるのは構いませんが多すぎです! 他の人の動きと重なっています!」

海未「穂乃果、また遅刻ですか! 弛みすぎです!」

凛&にこ&穂乃果「は、はいぃ!!」

海未ちゃんは真面目な性格のため、練習はとても厳しいです
凛ちゃん曰く、作詞のイメージ作りとして山頂アタックとかいうこともしたそうです

海未「花陽、この前指摘したところがちゃんと改善できていましたね、流石です」

花陽「あ、ありがとう海未ちゃん……」

ですがその反面、とても優しい所もあります
飴と鞭を上手く使い分けているんだなぁと思います


海未「真姫、ここの歌詞と曲をうまく合わせるためには――」

海未「絵里、次の土曜日の練習の件ですが、私は午前弓道部に顔を出さなければならないので指導はお願いします。練習内容は――」

海未ちゃんは弓道部にも所属しています
弓道部にも大会などがあって忙しいはずなのに、妥協はせず、μ'sと弓道部どちらにも全力で打ち込んでいます

無理をしているんじゃないかと心配したこともありましたけど、海未ちゃん曰く「穂乃果とは違って後先を考えていますから」と軽く返されました
ちなみにその時の穂乃果ちゃんはなんとも言えないといったような苦笑いを浮かべていました

海未「皆のハート、撃ち抜くぞ~っ♪」

海未「ラブアローシュート! ばぁん♪」

花陽(はわわわ……)

希(またやってるね……誰かに見られてるとか考えんのかな?)

ことり(本人は隠れてやっているつもりなんだよ。う~ん、やっぱり海未ちゃん可愛いっ♪ 今度あの振りが似合う衣装作っちゃおうっと)

海未ちゃんは恥ずかしがりやで、あまり露出が多い衣装は来たがりません。どんな衣装も似合うんだけどな……

でも、アイドルとかには憧れを抱いているらしく、時折こっそり可愛いポーズを練習したりもしています
そしてそれが見られていると気づいたときには、「ちち、違うんです! これは――」顔を真っ赤にして言い訳をしてきます。とっても可愛いです

このように、海未ちゃんは可愛いだけじゃなくて、厳しく、優しく、真面目で、お茶目さんなところもある人なんです

μ'sに入る前、あのファーストライブの時から海未ちゃんのことは綺麗な人だなぁ……と思っていました

μ'sに入って海未ちゃんのことを色々と知ってからは、より一層海未ちゃんへの尊敬は高まりました

私と一緒で恥ずかしがりやなのに、皆を引っ張ってくれて、μ'sにとって重要な役割を果たしてくれている

海未ちゃんは私にとって憧れの先輩です

ですが最近、海未ちゃんへの感情が少しだけ変化してきました

もちろん尊敬する素敵な先輩という感情は変わりません

けど……

海未「なので、ここをこのように動いて――」

花陽「…………」ボーッ

海未「……花陽、聞いていますか?」

花陽「ぴゃあっ! な、なに!?」

海未「もう……しっかりしてくださいね?」クスッ

花陽「はうっ……」カァァッ

最近、海未ちゃんの顔を無意識のうちに目で追ってしまいます

海未ちゃんの笑顔を見るだけで、胸の奥がぎゅうって締まる感じがして……

でもそれが苦しいわけじゃなくて、むしろ心地よくて……

凛ちゃんや真姫ちゃんと一緒にいる時とは違う気持ちが、胸のなかに渦巻くのです

この感情の正体が、まだ私には分かりませんでした


そしてある日のこと――

放課後、私は部室へと廊下を走っていました

花陽(アルパカさんのお世話をしていたら遅くなっちゃった……!)

花陽(もう皆屋上に行っちゃってるかな)ガチャ

花陽「あっ……」

ドアを開けた先にいたのは、海未ちゃんとことりちゃん

海未「おや、花陽ですか。遅かったですね」

花陽「う、うん。アルパカさんの世話をしていたら遅くなっちゃって……。海未ちゃんたちは?」

海未「私たちは生徒会の仕事をしていました。穂乃果がサボって先に行ってしまいましたからね。まったく穂乃果は……!」

ことり「まあまあ海未ちゃん……」

海未「ことりは穂乃果に甘すぎるのです!」

花陽「あはは……」

そこで私は気づきました。海ちゃんが着替えかけで、制服のボタンが半分ほど外れており、中に海未ちゃんの白くて綺麗な肌が見えることに

花陽「あぅ……」カァァッ

海未「? どうかしましたか花陽」

花陽「いや、別に……」

海未「顔が赤いですが……熱でもあるのですか?」

花陽「い、いや、ナンデモナイノヨナンデモ!」

ことり「(・8・)チュン!?」

海未「ふざけてる場合ですか……失礼します」

花陽「ぴゃあっ……!」

そういって海未ちゃんは近寄ってきて、私とおでこをくっ付けてきました

海未ちゃんの顔が目の前にあって、海未ちゃんのいい匂いがして……心臓バクバクと張り裂けそうなほど鳴っています

海未「うーん、少し熱いですね。具合が悪いなら無理をせずに今日は休んでも…………花陽?」

花陽「あわわわ…………」

顔中がかああっと熱くなります
何も考えきれなくなった私は、次の瞬間……

花陽「わ、私、今日は帰るね!!」ダッ

ことり「あ、花陽ちゃん!?」

恥ずかしくて堪らなくなって、私は思わず逃げだしてしまいました

海未「花陽……大丈夫でしょうか」

ことり「…………」

帰り道の商店街――

花陽「はぁ……」

初めて部活をサボってしまいました
顔の熱は引いたけど、胸はまだドキドキしています

花陽「海未ちゃん……」

頭の中は海未ちゃんのことでいっぱいです
この気持ちは、きっと…………

ドンッ

花陽「きゃっ…!」

不良A「…っとと」

花陽「ご、ごめんなさい!」

ぼーっとしていたせいで、誰かにぶつかってしまったようです
いつもどんくさい私ですが、今日は余計にひどいみたいです
運が悪いことにぶつかった人は少し怖いお兄さんでした。しかも、連れが複数いる……

不良A「いってぇなー、 ぼーっとすんなよ!」

花陽「す、すいません……」ペコペコ

不良A「ん……君可愛いねぇ」

不良A「学校帰りでしょ? 俺たちと遊んでいこーよ。お詫び代わりに、さ」ニヤッ

花陽「あ……えっ……」

不良B「いいねいいねぇ」

不良C「大丈夫だって、別に乱暴なことしないから」

不良C「抵抗しなければ……ね」ニヤリ

花陽「ひっ……」

不良B「気持ちよくなることしてやるよ。最初は痛いかもだけど」

不良A「そんじゃあ行きますかぁ」

花陽「あ、あの…私急いでるので……」

不良A「へぇ……じゃあさ」

ドンッ!


不良A「どう責任取ってくれるわけ?」

花陽「……っ!」

不良たちに囲まれ、迫られ、恐怖のあまり体が震えます

回りを見渡しても、皆見てみぬふり
助けてくれる人はいそうにありません

花陽「あ……う……」

不良A「心配しなくても誰も来ないって」ケラケラ

不良B「君はただおとなしくしていればいいの」

花陽「誰か……助けて…………」

目からこぼれ落ちそうになる涙
ぎゅっと瞳を閉じ、私は祈りました

私が一番頼りにしている人が来ることを

花陽「助けて……海未ちゃん……!」

不良C「だから誰も来ないって――「待ちなさい!」

一人が私の腕を掴もうとした次の瞬間、凛とした声が辺りに響きました

海未「その子を離しなさい」

花陽「海未……ちゃん……」

不良A「あ?」

不良B「あの制服……この子と同じ学校だな」

不良C「ちょうどいいじゃん、お友達も一緒に楽しいことさせてあげようぜ」ニヤニヤ

不良たちが海未ちゃんの方に向かっていきます
一対三、しかも男と女。圧倒的不利な状況のはずなのに、海未ちゃんは落ち着いているように見えました

海未「しばらくお借りします。あとで弁償しますので」

海未ちゃんは傍らの雑貨屋さんから傘を数本抜き出すと、その内の一本を不良に向けました

不良A「ちょ、傘とかwww」

不良B「女子高生がそんなもので俺らに勝てると思ってんの?」

海未「さあ、どうでしょうね」

不良C「はいはい、危ないから早く降ろしましょうねー」

不良が海未ちゃんへと手を伸ばした、次の瞬間、

海未「……やっ!」

不良C「あべし!」

スパーン!という小気味の良い音と共に、海未ちゃんの繰り出した傘での一撃が不良の頭にクリーンヒット!
その不良はそのまま泡を吹いて倒れてしまいました

不良A「!?」

海未「たぁっ!」

不良B「ひでぶっ!」

そして瞬く間にもう一人の不良もノックアウト
海未ちゃんが現れてわずか一分足らずのことでした

残ったのは最初私とぶつかった不良一人
愕然としている不良へと、海未ちゃんが冷たい視線を送ります

海未「……あなたも、やりますか?」

不良A「ひいっ……!」

ガクガクと震えた不良は、仲間を置いて一目散に逃げて行きました

竹刀がわりにできる雑貨が何一つ思いつかなかった私の想像力の無さを呪いたい

最初は鉄パイプのつもりでしたが、さすがに今の時代町中に鉄パイプは中々落ちてませんからね……


あと、武術をやっている人は一般人に暴力をふるってはいけないみたいな法律があったような気がしましたが、ここでは無視して下さると幸いです

「ふぅ……」と一息ついた後、海未ちゃんは私の方へと駆けてきました

海未「花陽、大丈夫ですか!? 怪我は!?」

花陽「う、うん……」

さっきまでとはうって変わって取り乱した表情の海未ちゃん

私も、助かったという安心感から堪えきれなくなって…………

花陽「うっ……ぐすっ……」

海未「?」

花陽「海未ちゃあああん!!」ブワッ

海未「は、花陽!?」アセアセ

無我夢中で海未ちゃんに抱きつき、その胸に顔を埋めて泣きじゃくりました

花陽「私、怖くて…ぐすっ……でもきっと海未ちゃんが来てくれるって信じて……」

花陽「うわぁあああん!!」

海未「…………」

制服が私の涙と鼻水で濡れてくしゃくしゃになっているのに、それに構わず優しく背中を撫でてくれる海未ちゃん
時折「もう大丈夫ですよ」「よく頑張りましたね」と労ってくれて、私が泣き止むまでなすがままにさせてくれました

~~~~~

海未「落ち着きましたか、花陽」

花陽「うん……ごめんね海未ちゃん、家まで送ってもらっちゃって」

あの後、私は海未ちゃんに家まで付き添ってもらいました
海未ちゃん曰く、私が帰ってすぐに、ことりちゃんが海未ちゃんへと私を追うように言ったようです

海未「ことりはただ具合が悪いなら付き添って上げた方がいいと言っていましたが、結果的に花陽を救うことが出来ました。ことりに感謝しないといけませんね」

花陽「…………」

ことりちゃん、もしかして気づいていたのかな。私が海未ちゃんに特別な感情を抱いているってこと
……きっとそうなんだろうな。あのことりちゃんだもん

それなら、これは多分ことりちゃんが私の背中を押してくれたんだと思う。海未ちゃんと二人きりになるチャンスを作って、私に気持ちを伝えさせようとしてくれたんだね

……私、その気持ちに応えなくちゃ

海未「では花陽、今日はゆっくり休んで下さい。私はこれから学校に――」

花陽「海未ちゃん……いや……」



花陽「海未お姉さま……」

海未「…………は?」



海未「はあああああっ!?」

花陽「待って、ください。海未お姉さま」

海未「ちょ、花陽? どうしたのです!?」

花陽「実を言うと、具合なんて悪くないの」

花陽「私が帰ったのは、海未ちゃんのことで頭がいっぱいになっちゃったから」

海未「え……」

花陽「私、ずっと前から海未ちゃんの事が気になっていたの」

花陽「同じμ'sとしてだけじゃない、先輩後輩としてだけじゃない」

花陽「もっと『トクベツ』な気持ちを抱いていたの」

海未「は、はぁ……」

花陽「私、その気持ちの正体が分からなかった」

花陽「でも今日の一件で気づけたの。私の気持ちが何なのか」

花陽「私…………」

花陽「海未ちゃんのことが好きなの!」

花陽「友達としてではなくて、恋愛的な意味で好きなの!」



花陽「だから……私の『お姉さま』になって下さい!」

海未「は、花陽……」

ついに言い切ってしまいました
海未ちゃんの答えがどうであろうと後悔はしません 。私は私の想いを伝えたかっただけだから


海未(正直、なぜ『お姉さま』に繋がるかはよくわかりませんが……)

海未(花陽の表情……真剣なようですね)


海未「わ、私は…………」

海未「私は、恥ずかしながら今まで一度も恋愛というものをしたことがなく、ましてや告白なんてされたこともありませんでした」

海未「花陽のことも、そういう目で見たことはありませんた」

花陽「……うん、そうだよね」

海未「ですが……」

海未「花陽のような素直で優しい女の子が妹だったら楽しいだろうな、と考えてしまう私もいます」

海未「これが恋愛感情かどうかは分かりませんが……」

海未「姉妹という関係なら、むしろ喜んで…」

花陽「……いいの? 私、海未ちゃんの妹になっていいの!?」

海未「は、花陽こそいいんですか? こんな中途半端な答えしかだせない人間の…その、妹で……」

花陽「もちろんだよ! ありがとうございます、海未お姉さま!」ダキッ

嬉しくて嬉くて、思わず海未ちゃ――いや、海未お姉さまに抱きついてしまいました
海未お姉さまは顔を真っ赤にしながらも、振りほどこうとはしません

海未「ちょ、花陽! その『お姉さま』という呼び方はどうにかならないんですか!? 恥ずかしすぎます……」
花陽「……だめ、かな……?」ウルウル

海未「うっ……」ドキューン

海未(可愛いすぎます……反則級の可愛さです)

海未「もう……花陽はズルいです」

海未「その…せめて、二人きりにの時だけなら、そう呼んでも……」

花陽「やったぁ! 海未お姉さま♪海未お姉さま♪」ギュウッ

海未「ううっ……」カァァッ

海未(花陽ってこんなに積極的だったのですね……以外です)

海未(でも、そんな花陽も可愛いと思っている私もいます。……私ったら、もう姉バカになっているのかもしれませんね、ふふ)

花陽(海未お姉さまの体……暖かい……)

花陽(恋人になることは出来なかったけど、妹になることは出来た)

花陽(ちゃんと気持ちを伝えて良かった……)

花陽(大好きだよ、海未お姉さま)



こうして、私にとって憧れだった素敵な先輩は、

大好きな大好きなお姉さまになりました♪

第一部こと書き溜めていた分は以上です

うーん後半のごり押し感

ここからは基本的にうみぱなのいちゃつきを書けたらなーと思いますが、万が一希望シチュなどがありましたら、書けるものならば書きたいと思います(ただしエロやグロ(ヤンデレ等含む)はなしで)

では遅めの昼食をとってきます

叩かれ過ぎワロタ

寒すぎたか……猛反省致します

内容については……うん

では少しだけ投下していきます

ある日の昼休み――

ガチャ

花陽「待たせてごめんね海未ちゃ……お姉さま」

海未「いえ、私も今来たところです」

今日はお姉さまと昼休みに部室で待ち合わせをしていました
当然ながら、部室には私たち二人しかいません

海未「しかし……未だにその呼び方はなれませんね」

花陽「えへへ……二人っきりの時ならいいって言ってたもん」

私たちが姉妹になって2週間近く経ちました
私もお姉さまと呼ぶのはまだ少しだけ恥ずかしいけど、お姉さまの照れた顔が見れるのでよしとします

私たちの関係はまだ他の人には話していません
一部の人は感づいているかもしれないけれど、特に何かを言ってくることはありません
さすがに私がお姉さまって呼んでいることまではバレていないと思うけど……

花陽「じ、じゃあ海未お姉さま……」

海未「ええ、いいですよ」

もじもじしながら私が言うと、お姉さまは正座になります
そして私は、横になって頭をお姉さまの膝に。いわゆる膝枕です
それだけでなく、お姉さまは私の髪をすいてくれもします

海未「さすがに何回かすると慣れましたが……」

海未「最初花陽が膝枕をしてほしいと言って来たときは驚きましたよ」

花陽「だ、だって、してほしかったから……」

海未「家で親御さんにしてもらわないのですか?」

花陽「もう高校生だし、頼みにくいよぉ。それに……」

海未「……?」

花陽「お姉さまに…してほしかったから……」

海未「っ!」カァァッ

海未(まったく、二人きりになったときの花陽の積極さには度肝を抜かれるときがあります)

海未(本人にその気はないのでしょうし……これは将来が危ないかもですね)

海未(まあ、私が守りますけれど)

海未「それにしても、花陽の髪はいいですね。綺麗で柔らかい」

花陽「そ、そうかな……?」

海未「ええ、そうですよ。同じ女である私が言うんですから間違いありません」

海未「なにか特別な手入れとかしていませんか?」

花陽「別に大したことはしていないよ? 」

花陽「それに、髪なら海未お姉さまだって艶があって綺麗だと思うけど」

海未「私は毎朝丁寧に手入れをしていますからね。そうしないとすぐ傷んでしまいますから」

海未「天然でこれだけの髪質があるのは羨ましいですよ」

花陽「あ、ありがとう……」

花陽「なら、この髪は私のたった一つの取り柄だね、えへへ」

海未「……たった一つ?」

花陽「うん。私、どんくさいし、運動音痴だし、皆と違って可愛くもないし、歌だって……」

海未「そんなことありません」

いつの間にか、髪をすいていたお姉さまの手は止まっていました
顔を上に向けてお姉さまと目を合わせると、お姉さまは真剣な眼差しをして、

海未「花陽は可愛いですよ」

花陽「ふえっ!?」

花陽「あなたは可愛いし、運動だって少なくともμ'sに入って以降はかなり出来るようにやっていますし、声も綺麗です」

海未「素直で優しいし……取り柄だらけです。むしろ欠点の方が少ないですよ。今みたいに自虐的になるところくらいですかね」


海未「それに……私なんかのことを姉と慕ってくれる一途さもあります」

花陽「海未お姉さま……」

海未「だからもっと自信を持ってくださいね。あなたが自虐的にだと、私も悲しいです 」

そう言って、優しく私おでこをなでてくれます
お姉さまのおかけで、私の心の中はぽかぽかと暖かくなりました

キーンコーンカーンコーン

昼休み終了のチャイム。お楽しみの時間も、これでおしまいです
昼休みに頻繁に教室を抜け出していたら怪しまれるので、この秘密の会合は数日に一度しか行えません。次はいつになるのかと思うと、寂しい気持ちになります
たとえ練習で毎日会うとしても、二人っきりで甘えられないのは辛いです

海未「昼休みも終わってしまいましたね。授業に遅れないように、私たちもそろそろ出ましょう」

花陽「うん、でもその前に一つだけ……」

起き上がり、きょとんとしている海未お姉さまへと、はじめてのお願いをします

花陽「一回だけ、ぎゅ~って、抱き締めてほしいな……」


海未「だ、抱き締める!?」

案の定、お姉さまは顔を真っ赤にして口をパクパクさせます
あの告白の日以来抱きついたことは無かったので、海未お姉さまの温もりが恋しかったのです


海未「……もう。仕方ないですね」

花陽「ん……」

しばらく狼狽えていたお姉さまでしたが、やがて私を優しく抱き締めてくれました

たった数秒間だけだったけど、私にとっては数時間にも感じられた幸せな時間でした、えへへ

現時点では以上です

もう少しで終わりとなりますので、最後までお付き合い頂けると幸いです

では、ここまでのご閲覧ありがとうございました

皆様の批評と激励が執筆の支えとなっておりますありがとうございます(Mではない)
何かアドバイス等ありましたら宜しくお願いします

では続きを投下しますが、が……
もうすぐ終わるみたいなこと書いていましたが、少しネタに詰まってしまい別の話を書いてしまいました、すいません
幕間的な話をだと思って読んで頂けると幸いです

前置きが長ったらしくなってしまいました。では、投下します

今日は学校もμ'sの練習もお休みの日
そして……海未お姉さまと姉妹になって初めてのお出掛けの日です♪


海未「花陽、遅れて申し訳ありません」

花陽「私も今来たところだよ、お姉さま♪」

待ち合わせを時間の30分近く前に来たのに私より遅かったという理由で謝るお姉さま。やっぱり真面目です
ちなみに私はこの日が楽しみで仕方がなかったのでお姉さまよりもさらに一時間前に来ていたことは内緒です

海未「花陽、そ、その……」

海未「ここでは『お姉さま』と呼ぶのは止めてくれませんか……?」

花陽「えー……? 二人っきりなのに?」

海未「二人っきりではないと思いますが……普通に人通り多いですし」

顔を赤らめて周りを見渡すお姉さま
私にはお姉さましか見えていなかったけど、お姉さまとしてはどうやら気になるみたいです

海未「それにですね、あの……」

海未「あなたには、私だけの妹であってほしいのです。他の人に、妹としてのあなたを見せたくないのです……」

花陽「ぴゃあっ……」カァァッ

その発言には私もびっくりしてしまいました
初めてお姉さまが私におねだりしてきたような気がします

お姉さまの頼みとあれば断れず、いったん海未お姉さまと呼ぶのはお預けにします


花陽「じゃあおね……海未ちゃん、どこに行こっか?」

海未「花陽が行きたいところならどこでも良いですよ」

花陽「いいの? なら最初は――」

スクールアイドルショップ前――

花陽「やっぱりここかな!」

海未「まあ確かに花陽らしいですね」

やって来たのはμ'sの皆で来たこともあるスクールアイドルのお店
凛ちゃんたちとも度々くるお気に入りの場所です

花陽「あっ、このグッズこの前来たときは置いてなかったやつだ!」

花陽「……わぁ、A―RISEの新曲のCD予約開始かぁ。絶対手に入れないと……!」

ここでは常に最新のスクールアイドル情報が手に入るので、飽きることがありません

海未「ふふっ……花陽は本当にアイドルが大好きなんですね」

海未「何かのために全力を注ぐ。その熱意には感心せざるを得ませんね」

花陽「うん! アイドルにはずっと昔から憧れてて、大好きだったから!」


花陽「…………あ、でも」

花陽「今は海未ちゃんのこともそれ以上に大好き、だよ……?」テレテレ

海未「は、花陽……」カァァッ

海未(べ、別にそんな言葉を期待したわけではないのですが……)

海未(不意打ちな分破壊力も倍増。なんと恐ろしい子なのでしょう)


定員&客(リア充爆発しろ)

花陽「次は映画を見ましょう!」

次にやって来たのは映画館
この日のために上映される映画は調査済みです

海未「いいですね。何をみるのです?」

花陽「えっと、私はこれが見たいなーって……」

海未「なになに……『聖母様がみてる』?」

海未「…って、パンフレットを見る限りこの内容は……」

海未(恐らくこれは女性同士の恋愛、百合と呼ばれるジャンル……)

海未(普通の恋愛ものでさえ見れないというのに、なんとレベルの高い……!)

花陽「うん。けど海未ちゃんはこういうの苦手なんだよね」シュン

海未「……」

花陽「だから私、こっちの映画を――」

海未「見ましょう、この映画を」

花陽「えっ……いいの? これって恋愛ものだよ?」アセアセ

海未「花陽は見たいのでしょう? なら私が否定する理由はありません」

海未「さあ行きましょう! やるったらやる、です!! 」

花陽「あ、海未ちゃん! チョットマッテー」

やけになったのか穂乃果ちゃんばりのテンションになってしまった海未ちゃんがズンズン先へと行ってしまいます
大丈夫かなぁ……


数時間後――


海未「」プシュー

あわわ……海未ちゃんが完全にパンクしています。予想どおりというかなんというか……
ものすごくドキドキする映画だったけど、海未ちゃんには刺激が強すぎたみたいです

私に合わせてなれないことをさせてしまったようで、申し訳ない気分になりました

海未「女の子同士で……あんなこと……」ウゥ…

花陽「海未ちゃん帰ってきてー!」

↑の元ネタは大抵の方分かるかと思いますが、私自身は見たことがありません。ただタイトルがそれっぽいので使っただけなので(汗
故にイメージで語っておりますのでご了承ください

映画も見終わったことで、ちょっと遅めのお昼です
場所は映画館近くのカフェです

海未「うぅ……」

花陽「だ、大丈夫? 海未ちゃん」

海未「……ええ。大分落ち着いてはきました」

海未「しかしまあ……観客がたくさんいましたね」

花陽「あの映画はもともと人気小説が原作で、そこからアニメや映画になっていったの。今日見たのは昔あった映画のリメイク版なんだ。だから人も多かったのかな」

海未「そうなのですか。しかし、私の言いたい観客というのは普通の観客ではなく……」

海未「私たちのような女の子二人組の観客、ということなのです……」

花陽「た、確かに多かったね……」

花陽「姉妹みたいな用語もあるし、そういうのが好きな人には受けがいいのかもしれないね」

海未「はぁ」

その後、運ばれて来た料理を、ありきたりな話をしながらいただきます
一通り食べ終えた後、海未ちゃんが尋ねきました

海未「さて、次はどこに行きましょうか」

花陽「そろそろ海未ちゃんの行きたいところにでも……」

海未「あなたの行きたいところが私の行きたいところなのですよ」

花陽「そ、そう……?」

なんてやり取りをしているうちに――


店員「御待たせしましたー。カップル用のダブルパフェでございまーす」

花陽「あ、きたきた」

海未「」

店員「ごゆっくり~♪」

海未「花陽」

花陽「?」

海未「これはどういうことですか?」

パフェ「」ドンッ

花陽「カップル用のダブルパフェだよ?」

海未「商品名を聞いているのではありません!」

海未「なぜのこれを、というかいつの間にこれを注文したのかと聞いているのです!」

花陽「実は最初から注文していたんだ。海未ちゃんは上の空だったから気づかなかったと思うけど」

海未「なんと……私としたことが、不覚です」


花陽「……いや、かな?


海未「え」

花陽「私、海未ちゃんとこれを食べたかったんだけど……嫌だった?」ウルウル

海未「くっ……」


海未「嫌だなんて……だ、誰もそんなこと言ってないでしょう?」

花陽「海未ちゃん……」パァァ

海未「折角花陽が頼んでくれたのです。頂きましょう」

花陽「うん! ありがとう海未ちゃん!」

花陽「はい、あーん」

海未「」


その後、顔を真っ赤にして涙を浮かべた海未ちゃんの顔はとっても可愛くて、何度も写真に撮りたいという衝動にかられました

それから私たちはお洋服屋さんに行き、海未ちゃんに色々なお洋服を来てもらった後、最後にお洒落なアクセサリー店に入りました


海未「何か欲しいものでもあるのですか?」

花陽「……うん。どうしても欲しいものが一つだけあるんだ」

海未「なんでしょうか。よければ私が払いますが」

花陽「あ、いや、 それは駄目!」

花陽「私が欲しいのはね? ……その、何でもいいから、二人でお揃いのアクセサリーなんだ……」 テレテレ

海未「そ、それは……」

海未(モジモジしながら両手で頬を覆う花陽、とても可愛いです……)

海未(これは花陽の思い出に残るようなものでなくては……)

海未(これはどうでしょうか)

海未「……花陽。月並みですが、このブレスレットはどうでしょう」

そういって海未ちゃんが指差したのは、エメラルドとサファイアを模した石の埋め込まれたブレスレットでした
値段も手頃で、なにより、私のイメージカラーである緑と海未ちゃんのイメージカラーである青の二色が揃っているという点が、私を惹き付けました

花陽「うん、これがいいと思う。さすが海未ちゃんだね!」

思い立ったが吉日。すぐにそれを購入します

そして、店を出たあとにお互いに買ったものを交換。中身は同じだけど、気持ちだけはプレゼント感覚です

花陽「えへへ、海未ちゃんとお揃いだ」

海未「喜んでくれて嬉しいです。私もこれからプライベートの時はこれをつけて外出するとしましょう」

花陽「わぁ、約束だよ!」

指切りをして約束を交わす私たち

そして、とうとうお別れの時間が近づいてきました

海未「大分日も沈みかけて来ましたね……」

花陽「うん……明日は学校だし、そろそろ帰らないといけないんだね……」

海未「家まで送りましょうか? この前のようなことがあっては大変です」

海未ちゃんと少しでも長くいたい
その気持ちは強かったですが、ここは我慢です
私も少しは成長しないといけません

花陽「いや、大丈夫だよ。それに、ここから私の家まで送ってもらったら海未ちゃんが帰るのがかなり遅くなっちゃう」

海未「ですが…………いえ、あまり過保護すぎてもいけませんか」


海未「それはそうと花陽。今日は楽しめましたか?」

花陽「もちろんだよ! 海未ちゃんのことも沢山知れたし、すごく楽しかったよ」

海未「そうですか、よかったです」

花陽「その……海未ちゃんこそ楽しめたの? ずっと私のわがままに付き合わせちゃって、退屈じゃなかった?」

花陽「特にほら、映画とか……」

海未「もちろん、楽しかったに決まっています」

海未「映画はまあ、少々キツかったですが……」

海未「花陽の幸せそうな顔を見ることができたら、それが私にとっての幸せですから」

花陽「海未ちゃん……」


花陽「…でも、やっぱり申し訳ないかも……」

海未「ふむ……」

海未「では花陽、最後に一つだけお願いがあるのですが」

花陽「ん、なに?」

海未ちゃんからの二度目のお願い
これはかなり貴重です

海未「この分かれ道でお別れですが……最後に、『お姉さま』と呼んでくれませんか?」

花陽「!?」

海未「不思議ですね。前までは恥ずかしかったのに……」

海未「今ではあなたに『お姉さま』と呼んでもらわないと落ち着かなくなってしまいました」クスッ


あ、あの海未ちゃんが、自分からお姉さまって呼んで欲しいって……
予想だにしなかったおねだりに仰天しましたが、同時に嬉しさも込み上げて来ました
ああ、私って海未ちゃんに妹だって認めてもらっていたんだなぁ、って。私の一方通行な想いじゃないんだなぁ、って

花陽「うん、喜んで!」



そして、分かれ道。海未ちゃんとお別れする場所

海未「では花陽、また明日」

花陽「うん……」

花陽「さようなら、お姉さま♪」ギュッ

海未「!?」


さすがに抱きつかれるとは思っていなかったのでしょう
呆然となる海未ちゃん……お姉さまを置いて、私は逃げるように家へと駆け出しました





余談ですが、翌日お姉さまにはたっぷり怒られちゃいました

ですが、この日の出来事を、私はずっと忘れることはないと思います♪

今回は以上です
イチャイチャってこんな感じなのでしょうか……よく分かりません

出来れば次の投下分で終わりにするつもりですが、またその分が詰まって他のネタが思い付いたらそれを投下するかもしれません

では、ご読了ありがとうございました
次回も読んでいただけたら幸いです

皆様の叱咤激励が(ry

今回の投下分で本編は終了となります

では、少しでもお楽しみにいただければ幸いです

※急展開、ご都合主義注意

数日後、二年生教室――

先生「じゃあ今日はここまで」

生徒「ありがとうございましたー」

ガヤガヤ……

海未「さて、練習に行きましょうか。って……」

穂乃果「ん~……」グースカピー

海未「はぁ……まだ寝ているのですか」

ことり「あはは……最後の授業から掃除時間、HR。ずっと寝てばかりだね」

海未「まったくもう……穂乃果ー?」グイグイ

穂乃果「むにゃ……あと五分~」

海未「何があと五分ですか! 起きなさい!」グイグイ

ことり「……」

ことり「ねぇ、海未ちゃん」

海未「はい?」

ことり「この前の休みの日、花陽ちゃんと遊びに行っていなかった?」

海未「!!」

海未「な、なぜそれを……」

ことり「私、その日の午後衣装の参考にしようと思ってお気に入りのお洋服やさんに行ったんだけど」

ことり「そこで海未ちゃんと花陽ちゃんっぽい人たちを見たから、確かめたかったの。やっぱりそうだったんだ~」

海未(そういえばあの店はことりともよく行く店でしたね……)

海未(しかし、まさか見られていたとは。周りが見えていなかったようですね)

海未(それほど私が花陽と過ごす時間に夢中になっていた、ということでしょうか)


ことり「…………」

ことり「一つ聞きたいんだけど……」

ことり「海未ちゃんと花陽ちゃんって、付き合ってるの?」

海未「ぶっ!!」

海未「ななななな、何を……!」

海未「私と花陽が、その、付き合っているなんて……!!」

ことり「え~違うの? 二人とも、すっごく楽しそうに見えたけど」

海未「それは……」


海未(……ことりになら、私たちの関係を話していいかもしれませんね)

海未「実は――」


カクカクシカジカ


海未「――というわけなのです」

ことり「へぇ~、姉妹かぁ……」

海未「え、えぇ、ただの姉妹関係です。ですので、別に付き合っているという訳では――」

ことり「それだけ?」

海未「えっ?」

ことり「『ただの姉妹』っていうけど、いくら仲が良くたって、普通姉妹みたいな関係になるかなぁ?」

海未「うっ……」

ことり「それに、練習中も花陽ちゃんはよく海未ちゃんの姿を目で追っているよ」

ことり「少なくとも、花陽ちゃんは今でも海未ちゃんのことをただのお姉さん以上の存在として見ていると思うけど」

海未「……ことり、あなたは何を言いたいのですか?」

ことり「海未ちゃんは、花陽ちゃんのことをどう思っているの?」

海未「どうって、それは……花陽は私の大切な妹で……」

ことり「本当にそれだけ?」

ことり「海未ちゃんは花陽ちゃんに対して恋愛感情は抱いていないの?」

海未「…………」

ことり「花陽ちゃんは、海未ちゃんのことを好きだって前にはっきり言ったんだよね」

ことり「そして海未ちゃんは、まだ気持ちがはっきりしないという理由で姉妹になった、そうなんでしょ?」

海未「……はい」

ことり「それから今まで花陽ちゃんと過ごしてきて、花陽ちゃんへの気持ちに少しも変化はなかったの?」

ことり「いつまでも可愛い妹みたいな感覚? それとも、それ以上?」

ことり「もしただの妹として以上の気持ちだったら、その気持ちを伝えてあげるべきだと思うな」

ことり「じゃないと花陽ちゃんにとっても辛いことになると思うの」

海未「花陽にとって辛い、ですか」

ことり「うん。花陽ちゃんは今の状況に満足しているかもしれないけれど」

ことり「…ずっと想っているのに報われないのは、とっても辛いんだよ?」

海未「ことり……」

海未(まるで経験があるかのような言い方ですね……)

海未(ですが、詮索するのはやめておきましょう)

海未「……そうですね」

海未「少し真剣に考えてみます。私の、花陽への感情を」

ことり「うん、それがいいと思う♪」


ことり「さぁ、練習に行こっ?」

海未「え、ええ」

ことり「穂乃果ちゃーん、起きて~? 練習に遅れちゃうよぉ~」ユッサユッサ

穂乃果「う~ん……よく寝たぁ……」ムクリ

海未「って、なんでことりが声をかけるとすぐに起きるのですか!!」

その夜、海未宅――


海未(花陽への気持ち、ですか)

海未(最初あの子からの告白を受けたときは、まだただのμ'sの仲間、可愛い後輩としか思っていませんでした)

海未(しかし、花陽のような女の子が妹だったら楽しそうだと思ったのも事実です)

海未(そして、花陽が妹になってからもう1ヶ月近く……)

海未(昼休みの会合や、ケータイでのやり取り、そして先日のお出かけ。花陽とはかなり多くの時間を共有してきました)

海未(普段はひたむきに頑張っているのに、二人きりになると途端に甘えてくる。そして、時折無意識のうちにこちらを驚かせるような大胆な発言もする)

海未(傍にいてくれるだけで心が和む。守ってあげたくなる。挙動一つ一つに癒される。そんな気持ちでいっぱいになります)

海未(穂乃果やことりと一緒にいる時も楽しいですが、また違う暖かい気持ちです)

海未(これは、花陽と姉妹になった当初にはなかった感情……)



海未「……ふふっ」


海未「考える必要なんて、ありませんでしたね」

翌日――

~~~♪

花陽「わっ!」

朝学校に着くと、メールの着信音が鳴りました
どうやらマナーモードに設定し忘れていたようです。授業中じゃなくて良かったぁ

送り主はお姉さま
えっと……タイトルは『花陽へ』、本文が、『突然ですいませんが、本日昼休みに一人で部室に来てください』
今日は昼休みに待ち合わせをする予定ではなかったのですが、一体どうしたのでしょうか……

そして昼休み

凛「やっと昼休みだにゃー! かよちん、真姫ちゃん!お昼ご飯食べよーよ!」

花陽「あ、あのね二人とも、今日は私――」

真姫「なに? またアルパカの世話? 昼休みにまで大変ね」

凛「えーまたなのー?」

花陽「ご、ごめんね二人とも! じゃあ、私急がないといけないから……」


お姉さまと会いに行くのに都合のいい言い訳の思い付かない私は、アルパカさんの世話をするという名目でいつも教室を抜け出しています
正直苦しいかなと思っていたけど、凛ちゃんも、それに真姫ちゃんまで意外にも信じてくれているのでビックリです
お姉さまなら生徒会や弓道部みたいな言い訳ができるんでしょうけど……

って、今はそんなことより早く部室に行かなくちゃ!

凛「……行っちゃったね」

真姫「何が『アルパカの世話があるからー』よ。そんなことに昼休み中使うわけないじゃない」

凛「いくら凛でもさすがに嘘だってわかるにゃ」


真姫「……いいの? 凛」

凛「……真姫ちゃんこそ」

真姫「抜け駆けは無し、って私と凛との間に協定を結んでいたけど、まさか思わぬ人物が現れるとはね」

凛「でもしょうがないよ、海未ちゃんだもん。海未ちゃんは可愛いしかっこいいし……好きになっちゃうのも分かるにゃ」

真姫「そうね。海未な花陽を幸せにできるでしょうし……潔く諦められるわ」

凛「うん…………」


真姫「……涙ぐんでんじゃないわよ」

凛「……真姫ちゃんこそ」

同時刻、二年生教室――


穂乃果「昼休みだー! いや~、今日もパンが美味いっ!」

海未「あなたはずっと寝ていたではありませんか」ハァ


海未「……さて」

ことり「海未ちゃん、どこか行くの?」

海未「ええ、弓道部の昼練にでも」

ことり「……そっか♪」

穂乃果「いってらっしゃーい」

海未「はい、では」



ことり「……頑張ってね、海未ちゃん」ボソッ

穂乃果「どーせ海未ちゃん、花陽ちゃんのところに行くんでしょ?」

ことり「(・8・)ちゅん!?」

ことり「穂乃果ちゃん、気づいて……?」

穂乃果「うん、だって二人とも練習中に見つめあったりもしているしね」

穂乃果「私でも気づくんだもん、ほとんど皆気づいているんじゃないかなぁ」

ことり「気づかれている、って気づいていないのは二人だけなんだね……」

穂乃果「たぶんね。いや~アホの子を演じるのも大変だよ~」

ことり「あはは……海未ちゃんってああ見えて意外と鈍感さんだもんねぇ~」

ことり「…………」ハァ

穂乃果「…………」


穂乃果(ついでに言うと、ことりちゃんが海未ちゃんのことを好きだっていうことも、私知ってるんだよ)

穂乃果(それに、私からすれば、ことりちゃんだって海未ちゃんと同じくらい鈍感さんだよ……)

部室前――


花陽「あっ」
海未「おや」

部室の前までくると、ちょうどお姉さまと出会いました
どうやら今日は同じタイミングで来たようです

花陽「今日はどうしたの? お姉さま」

海未「少しお話が。中に入りましょう」

海未お姉さまに促されるままに部室の中へ。そして、扉を閉めたお姉さまと向き合います


いつもと何か違う雰囲気の表情のお姉さまに少し緊張してしまいます

花陽「それでお姉さま、話って……」

海未「ええ」

わざわざ呼び出すくらいなのだから、相当重要な話なのでしょう
不安と緊張で胸がドキドキしてしまいます


海未「私たちの関係についてです」

花陽「え……?」

私たちの……関係……

もしかして、姉妹としての関係を終わりにしよう、とか……?


海未「結論から言います」

終わる? 私とお姉さまの関係が……?

海未「花陽。私は――」

花陽「い、いやっ……」


嫌だ、聞きたくない
ずっと……
ずっとお姉さまと一緒にいたい
ずっとお姉さまの妹でいたいよ……!



海未「私は、あなたが好きです」

花陽「…………」


一瞬
私にとっては数分にも数時間にも感じられた一瞬
私は何を言われたのかが分かりませんでした


花陽「いま……なんて……?」

海未「好きです、花陽」

海未「友人としてだけではなく。妹としてだけではなく」


海未「一人の女性として、あなたが好きです、花陽」


す……き……?
お姉さまが私を、女性として好きっていってくれた……?

花陽「な、なんで……」

花陽「だってあの時は、そんな風に見たことはないって……」

海未「確かにあなたからの告白を受けたときはそうでした」

海未「ですが、この一か月ちかくあなたと過ごしてきた時間が、私を変えたのです」

海未「何事にも一生懸命に取り組むあなたの姿が、心から嬉しそうなあなたの笑顔が、私に向けてくれるあなたの言葉が」

海未「あなたの全てが、私を幸せにしてくれます」


海未「そして、私もあなたを幸せにしてあげたい」

海未「傍にいてあなたを守って、一緒に笑って、泣いて、泣いて、怒って、喜んでいたい」

海未「この気持ちを『好き 』と呼ばずになんと呼ぶのでしょう」

海未「あの時は曖昧な答えを出せず、姉妹という形になりましたが……」

海未「いまならばはっきりと言えます。私は、小泉花陽が大好きです」

海未「これからは、恋人としてあなたと共に生きていきたい」


花陽「海未……お姉さま……」

頬を伝う一筋の滴
やがて、眼からは涙が溢れだし、私の顔をくしゃくしゃに濡らしました


花陽「う、ううっ……」ボロボロ

花陽「私……ぐすっ、ずっとお姉さまのことを想ってた」

花陽「姉妹として。そして、ぐすっ……女性として」

花陽「お姉さまが私に恋愛感情を抱いてくれなくても、ううっ……姉妹として好きでいてくれるならそれで満足だって……」

花陽「だけど……まさかこんなことになるなんて……ぐすっ」


私が言葉に詰まっていると、お姉さまが私をそっと抱き締めてきました
久々に感じるお姉さまのぬくもり
私をあやすように、背中を撫でながらお姉さまは言います


海未「ごめんなさい、花陽。今まであなたの思いに答えてあげられなくて」

海未「でも、これからは」

海未「私たちは姉妹でもあり、恋人同士です」

海未「もう、あなたに寂しい思いはさせません。不満な気持ちにもさせませんよ」


花陽「うん……うん……!」

花陽「不束者ですが……これからもよろしくお願いします、海未お姉さま」

海未「こちらこそ」

再び抱き締めてくれるお姉さま


花陽「…………」

海未「…………」

少しの間、この幸せな余韻に浸る私たち


やがて、私たちは顔を向かい合わせ、どちらからともなく近づいていき、


そして、そのまま



そして――――






こうして、私の憧れだった素敵な先輩は大好きなお姉さまとなり、

大好きなお姉さまは、私の大切な恋人になったのでした


おわり

最後になにがあったのかはご想像にお任せします

終盤に 真姫&凛→花陽や、海未←ことり←穂乃果 を入れたのは私の血迷った結果です、ご了承ください

これにて本編は終了です(このssが終わりとは言ってない)
後日談的な小話を少しだけ思いついていますので、書き終え次第投下出来たらと思います

では、ここまでのご読了まことにありがとうございました

皆様ありがとうございます

三年生トリオは……忘れているわけではありませんが、完全に出る幕なしってとこですね(オイ

おまけ小話1『お弁当を作りました』


海未お姉さまと恋人同士になってしばらく経ちました
私たちの関係はいつの間にかμ'sの皆に知られていたらしく、凛ちゃんや真姫ちゃんも私たちの仲を応援してくれています


ガチャ

海未「こんにちは、花陽」

いつものように部室のドアを開けると、これまたいつものようにお姉さまが待っています
姉妹から恋人へと関係が変わっても、私たちの昼休みを過ごす場所は変わっていません


海未「さて、今日は……」

花陽「うん。じゃーん……えへへ」

視線を交わし、私たちが同時に取り出したのは弁当袋
今日はお互いに弁当持ってくることにしていたのです
もちろん手作り。普段あまり料理はしませんが、お姉さまのために頑張りました♪

海未「花陽のお弁当は……おにぎりが多いですね。ふふ、花陽らしいです」

花陽「あはは……私の得意なものってそれくらいだから」

花陽「それに、見た目はシンプルだけど、ちゃんと愛情はたっぷり込めているし……」テレテレ

海未「花陽……」カァァ


海未(相変わらず聞いてるこちらも恥ずかしくなることを……)

海未「で、では早速いただきましょうか」

モグモグ……

海未「……ん」

海未「さすがは花陽の握ったおにぎりですね。絶妙な米の柔らかさと塩加減」

海未「中に入っているのは……おかかですか。美味しいです」

海未「おにぎりだけじゃない。おかずも……これはウズラの卵をひよこ風にしたものですか。それにタコさんウインナーまで。見た目は可愛く、味もバッチリです」

花陽「えへへ……ありがとう」


自信はなかったけど、お姉さまが喜んでくれてよかったです
お母さんにアドバイスをもらって朝早くから作った甲斐がありました

海未「……それはそうと花陽、どうして花陽は私の作ったお弁当を食べないのですか?」

花陽「あ、ごめんね。どうしてもお姉さまの感想を聞きたくて。それに……」


花陽「お姉さまに食べさせてほしいな、って……」

海未「……まったく。花陽花陽は甘えん坊さんですね」フゥ

海未「花陽は愛情をたっぷり込めたと言いましたが、愛情の量では私も負けませんよ?」フフッ

お姉さまはそう言って弁当箱を開けると、おかずの一つ――卵焼きを箸でつまみ、私の方へと運んできます

海未「はい、花陽。あーん」

花陽「あーん……」

お姉さまに促されるまま、一口
ほんのりとした卵の甘味が口一杯に広がります

花陽「んん……おいしぃ」

海未「そうですか? 嬉しいです」

花陽「うん。……ねぇ、もっとちょうだい?」

私がおねだりすると、お姉さまはやれやれといった様子で、しかし嬉しそうに箸を運んでくれます


恋人になってからも練習ではいままで通り厳しく指導はされますが、その反面、二人きりになると今まで以上に甘やかせてくれるのです



そして、お互いに弁当を食べおわり……

花陽「ごちそうさまでした。はぁ~美味しかった」

海未「ふふ、そう言って貰えると作った甲斐がありますね」

花陽「これからは毎日お姉さまに作って貰おうかなぁ」

海未「私は構いませんよ?」

花陽「あ……でもそれだと食べ過ぎちゃう……」シュン

海未「その時はダイエットのメニューを考えてあげますよ」フフッ

花陽「えぇー…それは嫌だよぉ」


なんてことを話しながら、私はお姉さまの膝に頭のせて膝枕の体勢に。そして、お姉さまは私の髪を優しく撫でてくれます
もうすっかりお馴染みとなった習慣です

花陽「う~ん……気持ちいい……」


季節はもう冬。気温もどんどん下がってきていますが、今日のお昼はなぜかぽかぽかと過ごしやすい気候です
その適度な気温と、お姉さまの膝の上という安心感から、ついうとうとしてしまいます

そしてだんだん…意識が……まどろみの中に………


花陽「…………」

海未「……花陽?」

花陽「……すぅ…………」

海未「…眠ってしまいましたか」

海未「昼休みもあまり残っていませんが……起こすわけにもいきませんしね」


海未「……」

海未(ラブライブ!の最終予選まであと少し……)

海未(こんなにゆっくりとした時間を取れるのとそうそうないでしょう)

海未(なら、せめてこの時間だけは……)


海未「私の膝の上でよければ……少しの間でも休んでくださいね」ナデナデ

花陽「…むにゃ……」

海未「ふふ……」



海未(しかし、本当に気持ち良さそうな寝顔ですね……)

海未(それでいて、あまりにも無防備)

海未(……)


海未(花陽の唇の感触が、思い出されるような気がします)

海未(今なら、もう一度……)ゴクリ

海未(は、花陽が悪いんですよ? こんなにも無防備な花陽が……) スウッ…



花陽「ん……」パチ

花陽「ふあ……私、眠って……?」

海未「っ!?」バッ

花陽「……? お姉さま……?」


どうやらいつの間にか眠っていたようです
目を擦りながらお姉さまを見上げると、なぜか顔を真っ赤にして目をそらされてしまいました
いったい何があったんだろう……?

おまけ小話その1、終了です
基本的におまけ小話ではただうみぱながイチャイチャするだけです

タイトル詐欺なんて言わない。料理の描写なんてできんのです

生存証明

学生故に試験という厄介なものがあり、現在勉に追われている真っ最中にあります
暇を見つけて書ければいいのですが、最悪今週末まで投下はできません

万が一続きを期待している方がいらっしゃるのなら、申し訳ありませんが暫しお待ちください

久しぶりと投下となります
相変わらずのワンパターンですが、どうぞご覧ください

おまけ小話2『勉強日和、です!』



ピンポーン

ガラガラ

海未「花陽、いらっしゃい。中へどうぞ」

花陽「おじゃまします」

ある日のこと
私は、お姉さまのおうちへとおじゃましていました
その理由は……

海未母「あら、花陽さんですか。ゆっくりしていってください」

花陽「いつもお世話になっております、お母さま」ペコリ

顔を出したお母さまに挨拶をし、居間へ

海未「さて、ではさっそく始めましょうか」



海未「……花陽の受験勉強を」


そう、お勉強のためです

ラブライブを優勝したのも過去の思い出。あれからもう二年近くが経とうとしています
絵里ちゃんと希ちゃんは大学に進学し、にこちゃんは芸能科のある専門学校へ
穂乃果ちゃんは短大の経済学部に、ことりちゃんは以前断った海外留学のお誘いが再び来たようで、卒業後ヨーロッパへ。皆それぞれの道で頑張っています

そして、私たちも受験生。それぞれの進路に向けて日々勉強に励んでいます
私の目標は、この辺りでもかなり有名な国立のA大学。そして、そこはお姉さまが通っている大学でもあります

私の学力ではその大学に行くのはかなり難しいということで、週に一度のペースでお姉さまに勉強を見てもらっています
お姉さまは寮暮らしなのですが、勉強の日は私のために実家に帰ってきてくれているのです



花陽「……えっと、ここは」・

海未「そこはこの公式を応用して、前の問の答えを用いて計算してください」

花陽「なるほど……こうかな?」

海未「どれどれ……いいえ、計算を間違えていますね。よく見直してください」

花陽「うーん……難しいよぉ」

海未「しっかりしてください。私と同じ大学に来てくれるのでしょう?」

勉強中のお姉さまの指導は厳しく、μ'sにいたころを彷彿とさせます

花陽「うん……私、がんばります!」

海未「その意気です」

花陽「ふぅ……」

海未「基礎科目のうち、国語と数学はある程度おさえましたね。次は英語に移りましょう」

花陽「はい!」

海未「ですがその前に……」

キュウウウ~ッ

海未「お昼休みにしましょうか」クスッ

花陽「」カァァ


いつの間にかお昼になっていたようで、お腹がなってしまいました
は、恥ずかしいです……ちゃんと朝ご飯は食べてきたんだけどなぁ

海未「頭を使った分お腹が空いたのでしょうね」

海未「では簡単な昼食を作ってきますので、待っていてください」

花陽「あ、私も手伝うよ!」

海未「そうですか、ではお願いしますね」

勉強会を始めた当初はお昼は出前をとったりお母さまが作ってくれたりしましたが、ある時お姉さまの手作りのお料理が食べたいとおねだりして以降、お姉さまが作ってくれています


~~~~~


花陽「あの…お姉さま?」

海未「…はい」

炒飯「」ドンッ
麻婆豆腐「」ドドンッ
八宝菜「」ドドドンッ

花陽「これは簡単なとは言わない気が……」

海未「すみません。少し張り切りすぎてしまいました……」

テーブルの上はお姉さまと作った料理で埋め尽くされています
もちろん全部美味しくいただきました♪

海未「さて、お腹も満たされたことですし、勉強を再開しましょう」

花陽「はい!」

そう意気込んで、A大学の過去問集――いわゆる赤本を開きます
教科は英語。そこまで不得意というわけではありませんが、やはり有名な国立大学だけあって問題の難易度は高いです


花陽「えっと……傍線部のthatは何を表しているのか……」

花陽「んー……」

海未「ふむ……失礼します」

海未「どれどれ。ええと、このthatを含む文は前の行までの内容の説明となっていますから、そこを見れば――」

花陽「あっ……」

向かい合うかたちで座っていたお姉さまが、私の横へ来て問題を覗き込みます
お姉さまの長い髪が揺れ、シャンプーのいい香りが鼻をくすぐります
そして私はついつい、目の前にある、大学生となってやや大人びたお姉さまの横顔に魅入ってしまいました


海未「……花陽、聞いていますか?」

花陽「あっ……ご、ごめんなさい」

海未「まったく……勉強中にぼうっとしてはいけませんよ」

幸い、お姉さまにはじっと見つめていたことは気づかれていないみたいです。よかった……


~~~~~


海未「そういえば」

静寂のなかにシャーペンの音だけが流れる時間が暫く続いていた中、ふとお姉さまが話しかけてきました

海未「まだ聞いていませんでしたが、花陽はA大学の何学部に進む予定なのですか?」

花陽「えーと……今のところは教育学部、かな」・・

海未「教育学部ですか。というと、将来は先生に?」・・

花陽「うん。小学校の先生になりたいな、って」

普段凛ちゃんや真姫ちゃん達以外とはあまり将来の夢を話したりはしないので、口に出すのは少し照れてしまいます

海未「なるほど。花陽は優しいですからね、ぴったりだと思いますよ」

花陽「そうかなぁ。ありがとう、えへへ」

花陽「お姉さまは将来はどうするの?」

海未「私はお家元を継ぐ予定ですね」

花陽「へぇ。でも、だったらA大学に行く必要なんてなかったんじゃない?」

海未「資格や教養は多いに越したことはありませんから。それに、学ぶということはやはり楽しいですよ」

花陽「あはは、やっぱりお姉さまは真面目だね」

海未「そうでしょうか……度々言われますが、実感は湧きませんね」

そういう真面目な所も好きなんだけどな。そんなことを言ったらきっと顔を真っ赤にして「からかわないでください!」って怒りそうだけど
それはそれで面白そうですが、今回はやめておきます

数時間後――


花陽「これで終わり、っと! う~ん……疲れたぁ」

海未「お疲れ様です。今日はいつもよりも頑張りましたね」

時刻はもう夕方。お昼ご飯以外で休憩をとらずにここまで続けて勉強をしたのは初めてです
さすがにかなり疲れてしまいました

海未「マッサージでもしましょうか。肩も凝ったでしょう」

花陽「ん……じゃあお願いします」

うつ伏せになる私
お姉さまは私にまたがり、肩だけでなく腰や足も揉んでくれます

花陽「あ、気持ちいい……」

海未「ふふ、ありがとうございます」

花陽「こちらこそだよ」


花陽「……」ウトウト

お姉さまの適度な指圧が心地よく、睡魔が襲ってきます

海未「眠たいですか?」

花陽「いや……」

海未「眠ってもいいですよ。夜ご飯までには起こしますから」

海未「元々今日は泊まる予定だったのでしょう?」

お姉さまには内緒でお泊まり道具一式を持ってきていましたが(もちろんお母様の了承は予め得ています)、荷物を見られていたのかバレていたようです

花陽「じゃあ……」

そこで私は睡魔に抗うのを止めて、眼を閉じました


~~~~~


花陽「ん……」

目が覚めると、そこはお姉さまの部屋でした
と言うことは、今私が寝ているのは……お姉さまの布団?

花陽(って、お姉さまの布団!?)

そう考えると、急に頬が熱を帯びてきます
枕からは確かにお姉さまのにおいがして、なんだか変な気分になっちゃいそうで……

海未「花陽ー?」ガチャ

花陽「ぴゃあっ!?」ガバッ

海未「うわっ!・ど、どうしました?」

ドアが開き、我に帰って飛び上がりそうになる私
あと少しお姉さまが来るのが遅かったら何をしてしまっていたのかと思うと、ますます顔が熱くなってしまいます……

花陽「な、なんでもないよ!」

海未「そうですか、ならいいのですが。夜ご飯が出来たそうなので起こしに来ましたが、目は覚めていたようですね」

花陽「あ、うん・」

慌てて布団を出て、お姉さまと共に食卓へ向かいます



花陽「いただきます」

海未母「どうぞ召し上がれ」・

夜ご飯はお母さまが作ってくださったものです
お姉さまの料理も大好きですが、お母さまの料理もとても美味しいです

海未「花陽、ほっぺたにご飯粒がついていますよ」ヒョイ

花陽「あっ」

夢中で食べていたせいでその事には気づきませんでした
私たちのやり取りを見ていたお母さまは、くすりと微笑んで、

海未母「ふふ、相変わらず中睦まじいですね」

海未母「ところで、花陽さんはいつお嫁に来てくださるのですか?」

うみぱな「「ぶっ!!」」

これには二人とも盛大に吹き出してしまいました
お母さまは私たちの関係を認めてくださっていましたが、まさかこんな事を言うなんて……

海未「ちょ、お母様!」カァァ

花陽(さすがにこれはお姉さまも……)

海未「なんで私が婿側なんですか!」

花陽(え、そっち?)

海未母「花陽さんと海未さんとを比べると、やはり花陽さんの方がお嫁さんっぽいですし」

海未母「想像してみてくださいな、花陽さんのお嫁さん姿を」

海未「……」

海未「いいですね」

花陽(ええっ!?)・・

一体どんな想像をしたのでしょう
私もお姉さまのお婿さん姿を想像してみましたが……きっとすごく似合っていると思います

そんなやりとりをしつつ食事を終え、お風呂も入った私たち
も、もちろん二人別々に入りましたよ?

その後はお姉さまの部屋で暫く談笑に耽り、あっというまに夜の10時前に
園田家は朝が早いためによるの就寝も早く、午後10時・には消灯するそうです

海未「もうこんな時間ですか」

花陽「あっというまだねぇ」

海未「そうですね、楽しい時間ほど早く過ぎてしまうものです。では、そろそろ寝ることにしましょう」

花陽「ね、寝るって……一緒の布団で?」カァァ

食事前の事を思いだし、また顔が赤くなるのを感じます

海未「なっ……ち、違いますよ!?・予備の布団はありますから!!」アセアセ

首をブンブンと振って否定するお姉さま・
少しだけ残念ですが、お姉さまと一つの布団で寝るのはさすがに心臓に悪いので一安心――


海未母「あ、そういえば言い忘れていましたけど」ヒョコ

海未母「予備の布団はクリーニングに出していますので、今日は二人で一つの布団で寝てくださいね」クスクス

うみぱな「」



結局、その日は胸が高鳴り過ぎて一睡もできませんでした……

おまけ小話その2終了
今回はここまでです

あと少しで終わりとなります。もう暫くお付き合いください

感想があればとても励みになります

ありがとうございます

では、今作品最後の投下です

おまけ小話3『これからも、ずっと』



3月――
桜の花が開き始め、春の訪れを感じさせる時節
私、小泉花陽は、つい数日前に音ノ木坂学院を卒業しました

そして今日、高校生時代の余韻に浸る間もあまりないうちに、再び人生の大イベントに直面しています


……大学の、合格発表です


ザワザワザワ

花陽「……」ゴクッ

緊張して体が震えます
μ'sに入ったあの日や、ラブライブ本選でのラストライブの直前もとても緊張しましたが、あの時は私を支えてくれる皆がいてくれました
今ここにいるのは私一人

いや……

海未「……いよいよですね」

『私たち』二人、です
合格発表のある今日、大学はお休み。私はお姉さまと共に発表の場へと来ていました
手の中にあるのは受験番号の書かれた受験票。強く握りしめているせいで、くしゃくしゃになっちゃっています

花陽「……うん」

海未「大丈夫ですよ、花陽。あなたはひたすら努力してきました」

海未「必ず合格します。必ず」

花陽「……ありがとう、お姉さま」

上ずった声でお礼を言い、笑いかけたつもりですが、きっと表情も強張っていたと思います

周囲のざわめきが一際大きくなり、ふと気づいてみると、大学の教員であるだろう人が白い布を被せた大きな板を運んできていました
いよいよ発表のときです

ちらりと自分の番号を確認し、食い入るように見つめて幕が取り払われる瞬間を待ちます
他の受験生も固唾を飲み、静けさが会場を支配しました

花陽「……」

海未「……」チラ

ギュッ

花陽「っ」

お姉さまの柔らかくて、暖かい手が、私の手を包んでくれます
たったそれだけの行為が、私の胸が張り裂けそうなほどの緊張を緩和させてくれました



バッ!


そしていよいよ取り払われた幕
私は羅列している数字の群に眼を走らせ、そして……


花陽「……あっ、た…………」

海未「!!」

花陽「ほら、あそこ……」

私の指差す方向を見て、握っていた受験票を再度確認し、お姉さまはほっと安心したように顔を綻ばせました

海未「よかったですね、花陽」

花陽「私……合格したの?」

海未「ええ」

花陽「ホントに?」

海未「もちろんです。確かにあなたの番号です」

海未「あなたは合格したんですよ!!」

一瞬
目の前の光景が信じられなくて
思考が停止してしまっていて
周囲に歓喜と落胆の声が響き渡るなか、徐々に現実が飲み込めてきて

そして私は――


花陽「うっ……ぐすっ……」

花陽「……うわあぁぁぁん!!」

瞳から涙を溢れさせ、お姉さまに、思いっきり抱きつきました

海未「言ったでしょう?必ず合格できると」

花陽「ひぐっ……でも、そういう海未ちゃんだって……ぐすっ」ボロボロ

落ち着いているように振る舞うお姉さまですが、私は気づいていました

お姉さまも、頬に涙を伝わせていることに

海未「……あたりまえですよ」

海未「あなたが……花陽が大学に合格したんです。私と同じ大学に合格したんですよ?」

海未「嬉しいに……決まっているじゃないですか」

海未「……本当に、よく頑張りましたね」

そう言って、私を抱き締め返して背中を撫でてくれるお姉さま

まるであの日――私がお姉さまに告白し、私たちが姉妹となった日のように
お姉さまは、私が泣き止むまでずっと傍にいてくれました

にこ「こほん」

にこ「それじゃあ、真姫、凛、花陽の大学合格を祈って~~」

8人「「かんぱーい!!」」


その日の夜
元μ'sの8人は一堂に会し、私たち三人の合格祝いを行いました
会場は真姫ちゃんのお家を提供してもらっています

穂乃果「ほら、ことりちゃんも!」

ことり『うんっ、かんぱ~い♪』

ことり『花陽ちゃん、真姫ちゃん、凛ちゃん。三人とも合格おめでとうっ!』

花陽「えへへ、ありがとうっ」

厳密には、ことりちゃんもお祝い会には参加しているのです
まだヨーロッパの方にいるので、テレビ電話越しではありますけど

絵里「ことり、時間は大丈夫なの?確か6、7時間くらいの時差よね?」

ことり『今日はお休みだから平気だよ!』

海未「そちらでの勉強は順調に進んでいますか?」

ことり『うん、毎日新しいことを発見できてとっても楽しいよ♪日本に戻ってきたら、作ってみたお洋服たくさん見せるね!』

海未「ふふ、楽しみですね」


穂乃果「いやー、でもまさか凛ちゃんまで四年制の大学に受かるなんてびっくりだよー」

凛「むむ、それどういうこと?」

穂乃果「てっきり行くとしても私みたいに短大かと……」

凛「凛もやれば出来るんだにゃー!」フフン

真姫「私と一緒に勉強したんだから当然デッショー?」カミノケクルクル

ことり『真姫ちゃんも医大に合格するなんて凄いねっ』

真姫「べっ、別に……この私にかかれば当然っていうか?」

希「あ、真姫ちゃん照れてる~」

真姫「ちょ、希!照れてなんていないわよ!!」

希「はいはい。それにしても……これで日本にいるμ'sの中で大学に行ってないのはにこっちだけですな~」ニヤニヤ

にこ「う、うっさいわね!にこは本物のアイドルを目指しているんだから別にいいのよ!」

絵里「今度秋葉原で路上ライブをするんですって?頑張ってね」

花陽「本当!?絶対見に行きます!!」グイッ

にこ「ありがとね、花陽。高校時代より更に進化したにこにーを見せてあげるわ!」



真姫母「はい、お料理持ってきたわよー。好きなだけ召し上がってね」

凛「わぁ、美味しそ~!」

真姫「ママったら……張り切りすぎよ、初めてこんな大人数が家に来たからって」

穂乃果「ことりちゃん残念だね……こんなに美味しそうなのに」シュン

ことり『ありがとう穂乃果ちゃん。でも、私はマカロンをたっくさん準備しているから大丈夫!』ドンッ

絵里「ハラショー……」

花陽「さすが本場……」



ワイワイガヤガヤ……


絵里「しかし、もう花陽たちも大学生になるのね」

絵里「ちょっと前までは高校生になりたての子供たちだったのに……」シミジミ

希「えりちぃ、オッサンくさいよ~?」クスクス

絵里「失礼ね、まだピッチピチの20代よ!」

凛「ちょっと寒くないかにゃー?」

絵里「」

穂乃果「あはは……でも、これで一応3人も一段落ついたってことだよね」

海未「穂乃果、言うのですか?」

だいぶ賑やかになった頃、穂乃果ちゃんの言葉に何かを感じたらしく、お姉さまは穂乃果ちゃんの顔を伺います

穂乃果「うん、せっかくの機会だしね!」

ことり『私もそれがいいと思うっ』

6人「「……?」」

穂乃果「あのね、私去年から思っていたことがあるの」

穂乃果「いつかまた、μ'sを再結成したいなって!」

6人「「!!」」

にこ「ちょ、本気!?」

真姫「ナニソレ、イミワカンナイ!」

海未「驚くのも無理はありません。私も最初相談を受けたときはそれは驚きました」

海未「そして大反対しましたよ。そんなこと出来るわけない、って」

希「まあそうやね。うちらは進んでいる学校もほぼ別々やし」

希「一部を除いては」チラッ

花陽「~~~っ」カァァ

海未「コホン」


海未「ですが、穂乃果の性格は皆さんと知っている通りだと思います」

海未「やると決めたらとことんやりぬく。周囲の人を巻き込んで、自分のことを省みらずに」

穂乃果「ちょ、海未ちゃん、それじゃあ私が無鉄砲みたいじゃ――」

絵里「あながち間違ってもいないと思うわよ」

穂乃果「うぐっ……」グサッ

海未「……ですが、私たちの見たことのないステージへと連れていってくれる。そんな人です」

凛「……そうだね」

真姫「それには同意」

穂乃果「海未ちゃん……」ウルウル

海未「それに」

海未「皆さんの中にも、もう一度アイドルをやりたい、という気持ちはありませんか?」

海未「本物のアイドルの道を歩んでいるにこはともかく、少なくとも私にはあります」

海未「もう一度、この9人で大きな夢を見てみたい、そう思っています」

花陽「……」


以外です。確かにラストステージの時は、アイドル活動にももう慣れた、みたいな発言はしていましたが、大学に入った今でも、もう一度やりたいと思っていたなんて……

ことり『私も同じ気持ち』

絵里「ことり……?」

ことり『私がここに留学したのは、お洋服のことを学ぶため。色々お洋服のデザインを考えてはいるけれど、皆の……μ'sの事を考えながらの方が言いアイデアがたくさん浮かぶもん』

ことり『私はもうしばらくここでしないといけないことがあるけど、戻ってきたら、またμ'sとして活動したいって気持ちは強いよ』

穂乃果「本当はことりちゃんが戻って来たときにでも提案しようと思っていたんだけどね」

穂乃果「皆がそろうなんて滅多にないから、我慢できなくて……」

穂乃果「……どうかな?いつかもう一度、μ'sとして再び動き出すのは」

海未「もちろん無理にとは言いません。医大の真姫やアイドルの仕事もあるにこ、他の皆さんも大学が忙しいでしょう」

海未「私たちは9人で一つ。誰か一人でも出来ない場合は、それはμ'sではありません。私たちも素直に諦めます」

ことり『だからって無理はしないでね?皆の正直な気持ちが知りたいの』

6人「「……」」

訪れる沈黙
それもそのはずです。再びμ'sを結成しようと言われるだなんて誰が想像していたでしょうか
穂乃果ちゃんたちの次にお姉さま一緒にいた時間の長いであろう私も、今日この瞬間が初耳でした

もう一度、μ'sを
もう一度、みんなと共に、ずっと憧れだったアイドルへの道を――



花陽「……私は」

花陽「私は、やってみたい」

凛「かよちん……」

花陽「もうμ'sのみんなで歌いたい、踊りたいよ」

花陽「だってそれは、私がずっと憧れていた、アイドルだから」

絵里「……そうね」

希「確かに、否定はできんね」

凛「凛も。凛に勇気をくれたのは、このμ'sだから」

真姫「勉強しながらでも作曲はできるわ。もちろんダンスや歌だってね。この真姫ちゃんを見くびらないで」

穂乃果「みんな……!」

のぞえりまきりんぱな「「ジー……」」

にこ「な、なによその目は」

にこ「……ったく。あんたたちみたいにずっとアイドル活動から離れていた人間だけが集まっても上手くいくわけないでしょ?」

にこ「本物のアイドルの世界に生きようとしているこのにこにーが、あんたたちをもういっかい輝けるように叩き直してあげるわ!」

絵里「決まりね」クスッ

希「さすがは元部長、やね」

穂乃果「みんな……ありがとう!」

凛「凛たちはただやりたいことをやろうとしているだけだよ」

花陽「そして、そのやりたいことを気づかせてくれたのは穂乃果ちゃんたち。お礼を言うのは私たちなんだよ?」

海未「ふふ、では、μ's再結成が決まったことを祝って、もう一度に乾杯をしましょうか」

ことり『さんせ~い♪私は直接は参加できないけど……』



その後、お祝いの会はますます盛り上がり、結局夜遅くなったことでみんなで真姫ちゃんのお家にお泊まりをすることになりました
なんだかμ'sの合宿を思いだし、嬉しさと楽しさでいっぱいの一日でした

翌日――



穂乃果「じゃあ海未ちゃん、またね」

海未「はい、さようなら」

海未「……さて」

海未「私の家に来たいなんていったいどうしたのです?……花陽」

真姫ちゃんの家から帰るとき、私は海未お姉さまにお願いして、お家にお邪魔させてもらうことにしました
お姉さまは尋ねつつも、ドアを開けて私を招き入れてくれます

花陽「えと、特に用事はないんだけど……」

その先の言葉を言うのが少し恥ずかしくて一瞬口ごもりましたが、思いきって口に出します

花陽「久しぶりにお姉さまに甘えたいなぁ、なんて」

海未「……っ」カァァ

予想通り、顔を赤めるお姉さま。この反応も久しぶりに見ます
実は、入試の二週間ほど前から合格発表の日まで、お姉さまとは直接は会っていませんでした。私が甘えてしまうかもしれなかったからです
ケータイでの連絡はとっていましたので頑張れましたが、それでもとても辛い期間でした
なので、合格発表も終わった今日は思いっきり甘えようと思い、園田家へとお邪魔したのです


海未「ま、まあ、今回花陽とても頑張りましたからね」

海未「それに、私としても暫くあなたと会えなかったのはとても寂しかったですから」

海未「ですから今日は……その、いっぱい甘えても、いいですよ?」モジモジ

花陽「じ、じゃあ遠慮なく……♪」


居間だとお母さまに見られる可能性があるので、お姉さまの部屋へと
そこでさっそく、私はお姉さまに抱きつきました

花陽「うーん……お姉さまの感触、久しぶりだよぉ」モッギュー

海未「昨日も思いっきり抱きついてきたでしょう?」

花陽「あればまた別だよぉ。ああ、お姉さまのいいにおいが……」

海未「あ、あまりそういうことを言わないで下さい。恥ずかしいです……」カァァ



ひとしきりお姉さまを堪能したあとは、以前よくしてもらっていた膝枕の体勢に
二人とも高校生だったころはよくしてもらっていましたが、最近ではご無沙汰だったのでかなり久しぶりとなります

海未「こうしていると、高校生時代を思い出しますね」

花陽「うん……」

頭を撫でてくれるお姉さま。昔と変わらない手つきに、懐かしい心地よさを感じます


海未「……昨日のμ's再結成の葉梨ですが」

花陽「?」

海未「ごめんなさい、花陽に黙っていて」

花陽「……あれにはビックリしたよぉ」

海未「本当は話そうと思っていましたが、花陽は受験前だということもあり、邪魔になってはと思い切り出せませんでした。申し訳ありません」

花陽「あ、謝ることじゃないよ。私の事を考えてくれたんでしょ?」

海未「そ、そうですが……」

花陽「じゃあ謝っちゃだめだよ。どうしてもって言うなら、今日1日甘えさせることでおあいこね」

海未「……ふふ、そうしましょう」

海未「まったく。花陽は本当に甘えん坊さんですね。暫くこうしていなかったから尚更に」

花陽「しかたないよぉ、だってお姉さまだもん」

花陽「強くて、凛々しくて、格好よくて、綺麗で、たまに厳しいけど反面優しい面もあって……そんなお姉さまには甘えたくなっちゃうよ」

海未「べ、べた褒めですか……さすがに面と向かって言われると照れますね」


花陽(そして照れた顔も可愛い……っていうと怒られちゃうだろうからやめておこうっと)



花陽「……ねぇ、お姉さま」

膝枕をしてもらっているまま数十分が絶ったころ
心地よい沈黙を破り、私は尋ねます

花陽「私たち、いつまでこうしていられるのかな……」

海未「……というと?」

花陽「高校生のころは、まだお互い子供だったから、ずっと一緒にいることができた」

花陽「でも私たちはもう両方ともが大学生になる。もう、大人になり始めている」

花陽「大人が、それも女の子同士がいつまでも一緒にいるって、おかしいことなのかな、って」

海未「……花陽は、私と一緒にいたくないと?」

頭を撫でる手を止め、お姉さまが私を見下ろします

花陽「そんなことないよ!」

花陽「けど……これからもう一度μ'sとして動くことになったら、きっと二人でいられる時間は減ってしまう」

花陽「それに、いずれは二人とも大学を卒業して、お姉さまはお家元を継いで、私は教師を目指すことになる」

花陽「そうなったら、もう一緒にいれる時間なんて殆どなくなるんじゃないかな……」

海未「……」

暫く黙りこんでいたお姉さま

やがて、ポツリと一言


海未「……一緒にいればいいじゃないですか」

花陽「え?」

海未「私たちは姉妹です。そして、恋人です」

海未「お互いがお互いの事を想っているのなら、どうして別々になる必要があるのでしょう」

花陽「でも、私たちはもう大人に……」

海未「そんなこと関係ありませんよ」

海未「私はあなたが好きです。ずっと一緒にいたい。それだけで、私があなたと共に生きる理由には十分です」

海未「大人だなんて関係ないです。性別がなんですか。進む道が違うなんて知りませんよ。最悪花陽が我が家で暮らせばいい話ですしね。お母様も歓迎するでしょうし」

花陽「……」


海未「……以前、希に言われたことがあります。『一番大切なのは、本人の気持ち』だと」

海未「あなたの気持ちはどうなのですか?」


花陽「私は……」

花陽「私は、お姉さまと一緒にいたい」

花陽「たとえそれが社会一般的におかしいことでも、ずっと側にいたいよ」

花陽「だって私は……お姉さまのことが、大好きだから」



海未「……なら、問題はありませんね」

海未「ずっと一緒にいましょう、花陽」


海未「今までも。そして、これからも、ずっと……」

花陽「……うん…………」

花陽「……ありがとう、お姉さま」


本当は、そんなこととっくに分かっていたのかもしれません
でも私は臆病だから、きっと誰かに言ってほしかったんだと思います。そうすれば、自分の考えは間違ってない、って思えるから

お姉さまはいつも私を守ってくれて、助けてくれて、支えてくれます
そんなお姉さまだからこそ、私は好きになったんだと思います



午後、ぽかぽかとした暖かい日差しか窓から差し込み、私たちを照らしてくれます
お姉さまの膝に頭をのせ、髪を撫でられながら私はそっと呟きます


花陽「お姉さま……」

海未「はい」

花陽「私、幸せだよ。お姉さまと出会えて。お姉さまと、一緒にいれて」

海未「……私もですよ、花陽」





願わくば、この幸せが、いつまでも続きますように――



ほんとうにおわり

以上を持ちまして、本編および同程度の長さかもしれないおまけは終了です

需要は少ないだろうけどそれでも供給させて頂きたいという思いで投稿した今作でしたが、思いの外うみぱなを好む方が居られて嬉しい限りです

皆様のレスが励みになり、無事完結させることができました。感謝の言葉もございません

それでは、終始gdgdでしたが拙作を最後まで読んで頂き本当にありがとうございました

皆様ありがとうございます

のぞぱなか……いつか書かねば(使命感)

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月08日 (水) 21:47:59   ID: ZdOvbrwY

うみぱなキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

超期待

2 :  SS好きの774さん   2014年10月09日 (木) 11:13:56   ID: 7tPnR4C4

とても良かった!素晴らしい!!
りんまきとことりの設定は無くてもよかったんじゃと思ったけども…無駄に辛くなった
続き心待ちにしてます!!期待してます

3 :  SS好きの774さん   2014年10月09日 (木) 13:47:34   ID: Lef_Txnr

くぅ疲並に寒気した

4 :  SS好きの774さん   2014年10月09日 (木) 14:01:24   ID: u7emvw8i

聡いほのかって珍しいな
くっつくとこや後日談が良すぎてそこから前半の内容作ったのかと思ったw
前半の入りがもう少し練っていればもっと面白かったかも
作者の他の作品も面白そうだと思ったよ

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