勇者「フンッ! フンハッ! フンハァッ!」(17)

山賊「ひひひひ!」

山賊「男は殺せ! 女は捕らえろ!」

となる山奥の村。この農村は数刻前までは平和そのものであった。
しかし、突如として、凶悪、野蛮な賊の一団が現れたのである。

村長「やめろ……やめ、ぐはぁ!?」

血しぶきをあげて倒れる老人。
村の女たちは悲鳴をあげた。
妻や娘を守ろうと、男たちは鉈や鍬を手に抗った。
だが、賊の数が多過ぎた。

山賊頭「金品は奪い尽くせ。残りはいらん。火をつけろ」

村のあちこちから火の手が上がる。黒い煙が立ち上り、満月を覆い尽くす。
炎に追われ、家畜小屋から馬が逃げる。
馬は村の貴重な財産だった。
しかし、賊たちはにたにたと笑いながら、手にした刃物で逃げた家畜を切り殺していく。

山賊頭「……おい、馬は殺さず、残しておけ! 奪ったものを車に積んで、馬に引かせろ。車はどこだ。ここまで持ってこい」

山賊「へい」

賊の子分が頷き、奪った車に馬を繋いで鞭を振う。馬は嘶き、車輪が軋みを上げて前に転がった。
だがその瞬間、車が轟音を立てて跡形もなく木端微塵に消し飛ぶ!

勇者「――硝子の様に脆い車だな。少しつついただけでこれとは」

現れたのは一人の男。異様なのはその出で立ちだ。
男は半裸だった。全身の筋肉を惜しげもなく晒している。
片手には頭を鷲掴みにした男をぶら提げていた。
賊の頭にはわかる。あれは先ほど馬をこちらに誘導していたはずの部下だ。

勇者「賊などいらぬ!」グシャァ

山賊頭「え、ちょ」

勇者「私は勇者。そして彼らは私の仲間――」

村を襲っていた賊たちは見た。
真上だ。自分たちの頭上に。
――月を覆い隠していたのは、黒煙だけではなかったのだ!

マッチョ「フンハァ!」

マッチョ「フゥゥィィィッ!」

マッチョ「ハァ! オリャァァッ!」

光る汗。筋肉。
空から百を超える数のスキンヘッドのマッチョの大群が賊たちを目掛けて降ってくる!

勇者「――武闘家だ」




山賊頭「撤退ぃぃ! 撤退ぃい!」

マッチョ「フンッ。フンッ。フンッ」

マッチョ「ハァ! ハァアアァ!」

山賊「ああああああ! うわあああああ!」

火の手が回り赤々と燃えていた村は筋肉の肌と汗の色に塗りつぶさる。
マッチョたちは村中のあらゆる場所に降り立つと、尻を高く上げ、四足を巧みに使い地面を滑るように疾走し、賊たちに襲い掛かる。
賊一人に対し、マッチョはおよそ四、五人。
その物量は賊の集団を圧倒し、蹂躙する。

マッチョ「ハァァァアアアアッ! オリャァァアアアッ!」

マッチョ「フンスッ! フンヌッ!」

山賊「やだああああ! やめてえええええええ!」

山賊「嫌だ! 嫌だ――」

村の各所であがる悲鳴と懇願の声。
賊の頭は見た。背を向けて逃げ出した子分にマッチョが飛び掛かり、彼が地面に倒れ伏したところに数人のマッチョが群がりその姿を埋め尽くしていくところを。
泣き叫び暴れる子分だが、筋肉の塊があげる歓喜の声に何も聞こえなくなった。

山賊頭「ひっ……ひ!」

勇者「大人しく、抵抗の意思を持たず、我らに捕らえられれば、その罪は許されるであろう。さあ、言うのだ、『降伏する』と」

山賊頭「こ、降伏す」

勇者「ゼヤァァァッ!」バシーン!

勇者が固めた拳で賊の頭をぶん殴った。

勇者「フンッ! フンハッ! フンハァッ! 許さぬ!」バキッ! バキッ!

山賊頭「ぶっ――おごっ――ぐ、ぐはあああああ!」

曲がった鼻から血を流し、瞼を半開きにし、仰向けになった山賊の頭に、獲物をもとめて辺りを彷徨っていたマッチョたちの飢えた目が向けられる。
頭はそれに気が付き、短く悲鳴をあげて後退った。
だが、勇者に脚を掴まれ、動けなくなる。

勇者「怖がらなくていいんだよ」

尻を上げ、四足で地面を滑らかに走るマッチョたちが、舌を出し、涎を垂らしながら頭の周りを踊るように回り始めた。
頭を中心につくられる筋肉の環。
やがて村中のマッチョたちが集まった。

マッチョ「ホッホッー! ウーホッ!」

マッチョ「フンッフンッ」

マッチョ「アイヤアァァァァッ! ハァ!」

マッチョ「フンハァ! フンハァ!」

山賊頭「何を……何だああああああああああああああ!」

そして、環の中から、ひと際からだの大きいマッチョが躍り出て、頭に掴みかかった。

山賊頭「いやあああああああ! いやあああああああああ!」

マッチョ「ハァ。フスー」

マッチョが頭の顔を掴み、目の前に固定する。
そして、厚い唇をゆっくりと近づけ――
――頭はもがき抵抗するが、物凄い力で抑え込まれているために顔を動かせない!

マッチョ「ヌゥンッ!」

山賊頭「――っ!? ムグゥゥゥッ! ムグウウッ!」

ぬるっとした嫌な感触。硬くて厚い唇が押し当てられた。
熱い鼻息がかかる。
頭は泣いた。
マッチョが髭をすりすりしてくる。ちくちくして痛い。
泣いた。頬を舐められた。気持ち悪い。
やがてマッチョが頭を解放すると、筋肉質な尻をこちらに向けて輪の中へ戻って行く。

山賊頭「」

勇者「いいこだ。次、おいで」

山賊頭「――や、やめろおおおおおおおお!」

環の中から、今度は顔を鼻水でてかてかに濡らしたやつが、頭に向かって突進してくる。

マッチョ「ハァンッァ! ホァッ!」

山賊頭「やだ! 嫌だ! 嫌だ嫌だ――」

マッチョ「フンスッフンッフンッ」ブチュ

山賊頭「ぎゃああああああああ!」

マッチョは鼻水を塗りたくるように鼻をすりすりする。
頭は絶叫した。すると、開いた口にマッチョの舌がぬるりと侵入して来る。
全力で抵抗するが岩のようにびくともしない。
口内を蹂躙される。
嘔吐感。死にたい。

山賊頭「」

――事を終えると、マッチョは筋肉質な尻を頭に向けて輪の中に戻って行った。

勇者「さあ、次、おいで」

山賊頭「もうやめてくれ……もうやめて……」

マッチョ「ゼイハァッ!」ブチュ

山賊頭「――っ!? ――ッ!」

勇者「次」

――山賊とマッチョたちの宴は、夜通し続いた。月が地平線に沈むまで。

マッチョ「フンッフンッ」

山賊「ぎゃあああああああああああ!」

山賊頭「あ……ああああああああ!」

――賊たちは、百余りのマッチョたちを満足させるまで、熱き歓迎をその身に受け入れ続けたのである。

勇者「いいこだ。さあ、いっておいで」

山賊「嫌だ嫌だ来るな――」

マッチョ「ハァンッ!」

マッチョ「セイッハイッ!」

マッチョ「フゥ! フゥゥゥゥンッ!」

マッチョ「ハァアアァ! ホウッ! ホウッ!」

山賊「」




――そして、村に放たれた火が消える頃、山賊たちはマッチョに担がれて何処へ消えていったとさ。






くぅ~疲れましたw これにて完結です!
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、マッチョ達のみんなへのメッセジをどぞ
マッチョ「フンハッ! フンッ! ハァッ!」
マッチョ「ハァァァァッ! ゼヤァァァアッ!」
マッチョ「フンスッ、フスー」
マッチョ「ゼヤァッ! オラァッ!」
マッチョ「ハッッッ! フアッ!」ムキッ
では、
マッチョ、マッチョ、マッチョ、マッチョ、マッチョ、俺「フンッ! フンハッ! フンッ!」

マッチョ、マッチョ、マッチョ、マッチョ、マッチョ「ハァッ! フーッフウウウッ」
本当の本当に終わり

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