美琴「この間、卵が一パック300円で売ってるのを見たのよ」
当麻「ふーん」
美琴(あれ、思ったよりも食いついてこない……?)
当麻「いや、別に普通だろ。むしろ高い方だよなー」
美琴「あ、違った。えっと、30円で売ってるのみたのよ」
当麻「先に教えてくれよ! どこでやってたんだ!」
美琴「もう終わっちゃったわよ」
当麻「そう、だよな……」ショボーン
美琴「でも、こ、今度見かけたら、教えてあげるわよ」
美琴「だから、だから……!」
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美琴(結局、いつものように寮に帰って来てしまった……)
美琴(一言、番号を教えてって言うだけなのに……)
美琴(私に、もう少し勇気があれば……)
黒子(お、お姉さまが落ち込んでいらっしゃる!)カシャッ
美琴(! そうだ……いいこと思いついた)
美琴「黒子、ちょっと手伝って」
黒子「はい?」
美琴「待ってって! あんた、あんたよ!」
当麻「お、ビリビリ中学生じゃないか」
美琴「くっ……」
美琴(落ち着きなさい、私)
美琴(作戦Dを実行するのよ)
――回想
美琴「ちょっと劇の練習やるから、手伝いなさいよ」
黒子「はぁ。それはいいですが、私は何をすればいいんですの?」
黒子(劇って、文化祭……ではないですよね?)
美琴「とりあえず、アドリブで喋ってくれればいいわ」
黒子「台本とかもないんですの?」
美琴「まだ出来上がってないみたいなのよ。とりあえずやるわよ」
美琴「スタート」
美琴「えいっ」
ドン
黒子「いたたっ……ん、何か落とされましたよ?」
美琴「あ、その紙は! 私のプライベートが書いてある紙! 絶対に開かないで!」
ピラ
黒子(数字……?)
美琴「知ったわね、私の電話場号を」
黒子「え、ええ」
美琴「不公平だから! あ、あんたの電話番号も教えなさいよ」
美琴(いける! この方法なら、絶対、番号をゲット出来る!)
美琴(私は勇気がない。そうよ、臆病なのよ)
美琴(でも、この方法なら、勇気がなくても、自然な形で電話番号を知ることが出来る)
当麻「?」
美琴「いくわよ……ていっ」
ヒョイ
当麻「……」
当麻(猛獣にでも転職したのか?)
美琴「な、何で避けるのよ!」
美琴(作戦が台無しじゃないっ)
当麻「いや、何でも何も、避けるに決まっているでしょう」
当麻「というか、何で突進してきたんですか?」
美琴「そ、それは……」
美琴(結局、何も言えず寮に帰ってきてしまった……)
美琴(作戦Dは穴がありすぎたわ)
美琴(まず、最初の……)
黒子(お姉さまが、また落ち込んでいらっしゃる!)カシャッ カシャッ
美琴(そうだわ! こうすればいいんだ!)
美琴「黒子、劇の練習をするわよ」
当麻「またビリビリか、こんなところで何をやってるんだ?」
美琴「んースマホ」
当麻「こらこら、歩きスマホはやめなさい。人にぶつかると危ないでしょう」
美琴(また私を子供扱いして!)
美琴(って、待つのよ、私。落ち着きなさい)
美琴(プランEを実行するのよ)
――回想
美琴「見てみて、私スマホ新しいのに替えたのよ。見る?」
黒子「見たいです、ぜひぜひ」
美琴「まーこんな感じなんだけどね」
黒子「これ、テレビのCMとかでも見かける、最新機種じゃないですか!」
美琴「あーそうなんだっけ? まあとりあえず、変えたばかりだから、アドレス帳に何も登録されてなくてね」
美琴「そうだ、あんたの携帯貸しなさいよ」ニヤリ
美琴(なるべく自然な流れで行くのよ、私)
美琴(決してコイツの番号が、特別ってわけじゃない)
美琴(ただ単に、アドレス帳に何もないから入れたいだけ!)
美琴(そう、そう思い込むのよ、私)
当麻「ん? お前、スマホ変えた?」
美琴「! いいところに気付いたわね」
当麻「どれ、貸してみ?」
美琴「はい」
当麻「こ、この重量感といいデザイン性といい、凄いな」
美琴「まあ、最新機種みたいだからね」
当麻「デスクトップ三輪さんかよ、ははっ」
美琴(なんか興味深々ね……チャンスよ!)
美琴「ただ私、か、変えたばかりだから、かか、家族以外はアドレス帳に何も登録されてないのよね」
当麻「うん? そうなのか?」
美琴「そ、そうなのよ! だから……」
美琴「だだからね、あんたの、け、けけけ……」
当麻「大丈夫か? 顔赤いけど、熱でもあるんじゃないのか?」
美琴「っ!」
美琴(み、右手が私の額に……)
当麻「熱は、ないみたいだな。それで、何だって?」
美琴「いや、あの……何でもないです……」
美琴(また、気づいたら、寮に帰ってきてしまった……)
美琴(うう、私のバカー!)
黒子(うーん)
黒子「お姉さま、ここ最近落ち込んでばかりですね」
美琴「うっ、そ、そんなことないわよ」
黒子「……それと、こんなこと言いたくありませんが、劇というのは嘘ですよね?」
美琴「うっ」
黒子「これはあくまで私の推測ですが、もしかして、あの猿人から電話番号を聞こうとしているんですか?」
美琴「うぐっ」
美琴(す、鋭い……ってか、何で分かるのよー!)
美琴「はー。その通りよ。あいつから電話番号を聞き出そうとしているんだけど、どうにも上手くいかなくてね」
黒子「あの猿人野郎、今からぶちのめしに……」
美琴「いや、そういうのはいいから。ねえ黒子」
美琴「どうすれば、電話番号を聞けると思う?」
黒子(えっ、もしかして……今、私って)
黒子(頼りにされているー!?)
黒子「そ、そうですね、こういうことは直球で聞くのが一番ですわ」
美琴「ちょ、直球?」
美琴(それが出来れば苦労しないわよ!)
黒子(怖い怖い、お姉さまの視線怖い……)
黒子「え、ええ。下手に変化球で責めるより、直球で行く方がいいと思いますわ」
黒子「思えば私も、お姉さまと出会う前は……」
美琴(直球で、責める方がいいのか……)
美琴(凄いなぁ、黒子は)
――回想、だいぶ前の夏
ミーン、ミーン
美琴「ねえあんたさ、携帯電話持ってる?」
当麻「何を言い出すかと思えば」
当麻「いくら貧乏な上条さんだって、男子高校生の三種の神器」
当麻「携帯ぐらいもってますよ」
美琴「そうよねー」
当麻「ビリビリは持ってるのか?」
美琴「うん。もちろん」
当麻「そうなのか。じゃあ……」
美琴「じゃあさ! あ、あんたの……」
美琴(ちょっと待って、本当に聞くのか、私よ)
美琴(だって、もし……いやいや、コイツのことだから、そんなことはしないと思うけど……)
美琴(もし、もしも、もしもしも断られたりしたら、これからどうしようもなくなってしまう)
美琴(そんなの……生きていけない!)
美琴「あ……あんたの携帯って、ド〇モ? 〇ーユー?」
当麻「……いや、ソフ〇バンクだけど……」
美琴「ソフ〇バンクぅ? ははっ、何それ、訳分かんない!」
シェミシェミシェミシェミ――
黒子「思えば私も、お姉さまの携帯番号を聞くまで、ものすごく緊張しました」
美琴「あんたが? ……へえー、意外と繊細なところがあるのね。私の同僚、追い出してまで同じ部屋に乗り込んできたのに」
黒子「意外って酷いですわ……これでも、毎晩悩み続けていましたわ」
黒子「朝起きたら、電話番号聞きたいと思い、もし断られたらどうしよう、と考えました。一日が終わって、明日こそ聞こうって決意して、でも断れたら……」
黒子「ずっとずっと、そんなことを考えていましたわ」
美琴「ふーん。でも、最後はあっさり聞いてきたわよね?」
黒子「そうですわ。変化球勝負が、全部無駄に終わってしまいましたからね」
美琴「あんたが変化球を?」
黒子「そりゃもう、お姉さまの学年の人に、片っ端から番号を聞き出そうとしたり、こっそり部屋に入ったり……」
美琴「いたいた、あの……」
――回想
黒子「でも、初春が教えてくれたんですの」
黒子「友達を作るときも、先輩と仲良くなりたい時も、素直になればいいんだよと」
黒子「全く、生意気な……友達です」
美琴「クスッ、いい友達じゃない」
黒子「……まあ、そうですわね、とにかく、今はお姉さまですわ」
黒子「あの猿人と会える日も、多いわけではありませんし……」
黒子「直球勝負で言ってみてはどうですか?」
美琴「でも、もしも断れたら……」
黒子「お姉さまを断る人なんて、この世界に存在しません」
黒子「もしもいたら、私がぶちのめします!」
――
美琴「上条当麻!」
当麻(えっビリビリ? って、なんか様子がおかしい?)
当麻「……と、とりあえず落ち着け。みんな見てるぞ」
美琴「大丈夫、私は落ち着いているわ」
美琴「すー、はー」
美琴(黒子、背中を押してくれてありがとう)
美琴(私に勇気をくれて、ありがとう)
美琴「ねえ、私に、その……」
美琴「携帯のば、番号を教えて!」
後日
当麻の父「お前、携帯の使用料金見たか?」
当麻「はい、はい」
当麻の父「通話料金が膨大な額に膨れ上がってたぞ。一体誰と電話しているんだ?」
当麻「誰ってそんなの……」
プルルルル プルルルル
当麻「ごめん。友達から電話かかってきた」
当麻の父「あ、切るな。話はまだ……」
当麻「よう、美琴」
美琴「よう、じゃないわよ……当麻、ちょっと出るの遅くなかった?」
当麻「父親と電話しててな。で、用事ってなんだ?」
美琴「うん? ああ、新しい電話料金のプラン考えたんだけど……なんかさ、離れている気がしないね。当麻との距離」
当麻「俺も、目をつぶっていても分かるよ、美琴の表情」
美琴「電話があるから」
――fin
最後まで読んで下さった方(いれば)ありがとうございます。
至らぬ点ばかりだったと思いますが、ご指摘があれば、なんでも伺います。
ありがとうございました!!
最後で!?ってなった
>>19 オチがないということでしょうか?
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