男「釣りロマンを求めて」幼馴染「四投目です」(860)

4スレ目、よろしくお願いしますー
とりあえず立てるだけ


前スレでも言おうと思ってたけどしたらば鯖変わったから全部livedoor.jpじゃなくてshitaraba.netだぜ
まぁ自動で飛ばされるから関係ないが一応な


男「釣りロマンを求めて」幼馴染「夏のビーチ時々釣り編です」

~つづき~

.


………



幼友「おかえりー」

男「やれやれ、お騒がせしました」


弟「見てたけどまさか本当に境界ブイを越えるとはね」

幼馴染「ちゃんと壁にしておかないのが悪い」

幼友「どう考えても浮き輪に座って漂ってるのが悪いよね」


従妹「なんもなかったんやからええやん! はよ皆で海入ろう!」ソワソワ

男「はいはい、どうしますか? 普通に泳ぐ?」

幼馴染「そういうのはもう一方の選択肢を明らかにしてから問うものです、もったいぶるのはいけません」

男「うっ」


従妹「釣りするん?」

幼馴染「たぶん…」

弟「なんとなく『釣りと海水浴同時にできる』って話の流れからして」

幼友「もしかして『とったどー』なTVで観たことある気がする」


男「バレましたか、シュノーケリングしつつ見える底物を釣るつもりです」

幼友「めっちゃ面白そう」

弟「そういえば荷物にシュノーケルあったね」

従妹「うわ、とったどーしたい! 男っち、ウチそれがええ!」


男「じゃあシュノーケルと水中メガネを…これは俺のだから、こっちが弟の」ヒョイ

弟「あーい」

男「女性用サイズがふたつ…幼馴染と幼友ちゃん、どうぞ」ゴソゴソ

幼馴染「お借りします」

幼友「どもー」


男「ええと…従妹ちゃんはジュニアサイズのでいけると思うのですが」スッ

従妹「おおきに! よっ…と……あれ? サイズは合うけど、バンドが短いんかな…きつい」モゾモゾ

男「どれ、こっちへ」スッ…


従妹「う…っ…」ビクッ


幼馴染(むっ…)

男「あー、大丈夫だと思いますが…」ゴソゴソ

弟(兄ちゃん…全く意識してなさそうだけど、それ向きあって抱き寄せてるから)


従妹「あぅ…お、男っち…」モジモジ

男「なんとか調整ききそうです」シュルッ


幼友(ヤバイ、あの娘…お父さんと二人暮らしだったから年上趣味のはず…それに──)


従妹「ちょ…あのっ! う、後ろ向きになるさかいっ」クルッ…

男「おや?」

従妹「もぅ…」ドキドキ


幼友(──好みのタイプも、私と似てたような)

プチ安価釣り大会はじめまーす

>>3
ありがとう、次スレがあったら修正するよう気をつける


………



男「では、水中メガネやシュノーケルの装着はバッチリでしょうか」


幼友「大丈夫ー」

従妹「おっけーや!」

幼馴染「もごもご」

弟「幼馴染ちゃん、まだシュノーケル咥えなくていいと思うんだ」


男「エサは大粒のオキアミを使うので、従妹ちゃんも針付けは問題ないと思います」

従妹「エビやね、これなら怖ない」

男「でも困る事もあるでしょうから、一応できるだけ俺の傍で行動して下さい」

従妹「ん…わかった、傍におる」パァッ

幼友(男さん、天然ナンパしちゃだめー!)アセアセ


男「俺と弟は足首にスカリを結んでおきますので、釣れた魚は持ってきて下さい」

従妹「すかり?」

幼友「プカプカ浮かぶ網でできた生簀だよ」


男「女性陣は浮き輪を必ず装備して下さい。ただし針を刺さないように気をつけて」

幼馴染「了解しました……よっ…と」スポッ

幼友「はーい」ポイ

従妹「はいな」ポイ


弟「幼友ちゃん達は、浮き輪…砂に置いて足から通すんだ?」

幼友「んー、まあね」

従妹「デリカシーないなー、おっぱいあると上からじゃキツいんやで?」ポヨンッ

幼友「従妹ちゃんっ! しーっ!」


幼馴染「削ぎ落とすといいと思います」ニッコリ

従妹「はわ…はわわ…」ガクブル


プチ安価釣り大会要領

魚を見つけるキャラ安価、秒の位
0・5…男
1・6…幼馴染
2・7…弟
3・8…幼友
4・9…従妹

ファイト時安価、秒の位
0・2・4・6・8…1pt小物ゲット
1・9…2pt大物ゲット
3・5・7…逃げる・バラシ


男「それでは岩場に近いところで」

弟「おー、魚いそう」

幼馴染「波が穏やかなので心配なさそうです」


男「それでも岩に接触すると浮き輪が破れたりするかもしれません。貝殻も着いているでしょう、みんなスポーツサンダルは履きましたか?」

幼友「大丈夫でーす」

従妹「履いとるで、男っちの傍におるからヘーキや!」


男「まずは合計10匹を目標としてその時点で続行するか考えましょう。では…スタート!」


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2

夜から本格的に始められると思います


弟(んー、岩に海藻いっぱい)スーハー

弟(全然魚がどこにいるかわかんないや)スーハー


カチンッ…スルスルスル…

弟(まあ垂らしてみろってねー)スーハー

ユラッ…

弟(ん…? 砂底でなにか動いた──)スーハー


──バクンッ


弟(けっこう大きい…! たしかあれは、マゴチ…! フィッシュイーターだけど、エサを動かしてたから…!)ムハーッ

弟(おおおう…バラさないように…)ドキドキ


…ザバーッ!


弟「ぷはっ! マゴチ、採ったどー!」バシャバシャ

弟「…みんな顔浸けてるから、誰も反応してくれないや」チッ…

釣果累計1匹

男…0pt
幼馴染…0pt
弟…2pt
幼友…0pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


弟(ふぅ…いきなりのビギナーズラックだったな…)スーハー

弟(魚の姿見つけてなくても、垂らしてみればけっこういたりするものなのかも)スーハー

弟(例えば、あのオーバーハングした岩の裏とかね)スーハー


スルスルスル…

弟(なーんて、そんなにまぐれは続──)

…バクンッ!

弟(──いたあああああぁあぁぁっ!)ギャー


弟(大アイナメ…! 30cm超えてるかも!)ドキドキ…

弟(もう…ちょいっ…!)ザバァッ


弟「ぷっは! アイナメ、採ったどー!」ジャーン

弟「…解ってる、独り言だよね」ハア…ハア…


釣果累計2匹

男…0pt
幼馴染…0pt
弟…2→4pt
幼友…0pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼友(うわぁ…綺麗、こういうのやってみたかったー)スーハー

幼友(さて、魚は──)スーハー

──スルスルスル…チョンチョン……パクッ!

幼友(うわ、いきなり食べた!)

幼友(可愛いサイズだから、ファイトも楽ちん…)スーハー


バシャッ…!


幼友「弟君ー!」プハッ

弟「んー? 釣れたー?」バシャバシャ


幼友「ちょっと横向いて!」

弟「あい」クルッ

…チュッ

弟「へっ!?」ドキィッ

幼友「えへへ、キスを釣ったらこうするらしいよ?」テレテレ


釣果累計3匹

男…0pt
幼馴染…0pt
弟…2→4pt
幼友…0→1pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


弟(うへへ…思わぬシアワセに、ほっぺがとろけるよ)スーハー

スルスルスル…

弟(ん? …ということは)スーハー

…チョンチョン

弟(僕がキスを釣ったら、どうなるんだ──?)


──バクンッ


弟(うわっ!?)グググッ…

弟(ん…これは、カサゴ…じゃなくっ)スーハー


バシャッ…!


弟「アコウ、採ったどー!」プハーッ

弟「………」ハア…ハア…

弟「キスならなー」ボソッ


釣果累計4匹

男…0pt
幼馴染…0pt
弟…4→6pt
幼友…1pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


従妹(海の中て、キレーやなぁ…)スーハー

従妹(えーっと…魚…魚…)スーハー


ユラリ…ッ!


従妹(なんや、あれ…砂の中から薄べったいの出てきよった)スーハー

従妹(もしかしてカレイ…それともヒラメ?)スーハー


スルスルスル……コツンッ!

従妹(あ…!? オモリ当たってもうた!)ギャー

スゥーーーッ…


従妹(ああ…逃げたやん…そもそもこのエビみたいなエサ食うんかも判らへんけど)フゥ…

ザバァッ…プハァッ

従妹「はぁ…はぁっ…あかん…」

男(息も切れ切れに『あかん…』とか、凶暴だな…)クッ


釣果累計4匹

男…0pt
幼馴染…0pt
弟…6pt
幼友…1pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


弟(試しに落としてみた…じゃなくて、狙って釣りたいなぁ)スーハー

弟(ん…? あの岩の間にいるの、魚じゃない…?)スーハー


スルスルスル…


弟(ええと…あれだ、たぶんカワハギだ)スーハー

弟(エサとりが上手いらしいけど、オキアミで釣れ──)

カワハギ「ふん、あまいわ」シュッ…パクッ、スイーッ

弟(──絶対無理だあいつ)フルフルフル…


釣果累計4匹

男…0pt
幼馴染…0pt
弟…6pt
幼友…1pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


男(従妹ちゃんは…そばにいますね、幼馴染も……大丈夫)スーハー


男(………)スーハー

男(そんな事べつに狙ってなかったけど)スーハー

男(スレンダービキニとスク水ロリ巨乳……水中からの眺めってヤバイ)スーハー


男(……あ、ソイみっけ)スルスルスル…ビシィッ!

男(はいはい、スカリにイン)ゴソゴソ


男(そんな事より──)チラッ

男(──ヤバイ、二人とも心配で目が離せない!)プププッ


釣果累計5匹

男…0→1pt
幼馴染…0pt
弟…6pt
幼友…1pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼馴染(なにかいないでしょうか)スーハー

幼馴染(岩の間…表面……それとも──)スーハー

幼馴染(──砂底)チラッ


幼馴染(ん…? なにか砂にシルエットが……)スーハー

幼馴染(きっとカレイです! 狙ってみます!)スルスルスル…


ユラァ…ッ…


幼馴染(ひぎゃあああああああああ! エイだったああああああああ!!)ジタバタ

幼馴染(はぁ…はぁ…よかった、食いつかなくて…)ドキドキ


釣果累計5匹

男…1pt
幼馴染…0pt
弟…6pt
幼友…1pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼馴染(さて、気をとりなおして…)スーハー

幼馴染(…ん? よく見るとあの岩の表面…)スーハー

幼馴染(あれ、きっとカサゴです、しめしめ)ニヤリ


スルスルスル…

幼馴染(カサゴちゃん、美味しいオキアミが近づいてます。遠慮なくどうぞ──)

シュッ!

幼馴染(──うわ!? 何か横から…!)

…パクゥッ、ピチピチピチ


幼馴染「ぷはっ…男、釣れました」ザバッ

男「おお、それはおめでとうございます。何が釣れましたか」

幼馴染「……豆アジ」ウッ


釣果累計6匹

男…1pt
幼馴染…0→1pt
弟…6pt
幼友…1pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2

エイってそんな浅瀬にいるもんなの?
確かにぶつ森なら村の浜辺から釣れるけど……

>>66
防波堤から見える深さの砂底にいるとか、何度か経験が。あと波打ち際とかも>エイ


幼友(弟君、快調みたいだねー)スーハー

幼友(ここは私も幼馴染ちゃんに釣り勝っちゃえば、二人ともすごく悔しがるんじゃない?)クスクス

幼友(ん…? なんだろ、あの底の…海藻や石じゃなさそうだけど…)スルスルスル…


幼友(あ、やっぱり動いた!)スーハー

幼友(エサ抱いた…! あれは──)ググッ


幼友「とーうっ」ザバァッ

弟「お、幼友ちゃん何か釣った?」

幼友「イイダコ、とったどー! …けどっ」アワワワ…


幼友(なんで水着のトップスに脚絡めるのよ! わっ、やば…っ)シュルッ…

幼友「きゃ…!」ポロンッ…


弟「どしたの? 外しにいこうか?」

幼友「だめ! ゼッタイ!」イソイソ…


釣果累計7匹

男…1pt
幼馴染…1pt
弟…6pt
幼友…1→2pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2

…ですが、今夜はここまでにしますー


幼友(はわわ…水着直さないと…ってか、とりあえずイイダコ外さないと)イソイソ

幼友(よしよし、針は外れた…ちょっと糸は垂らしておいて)


弟「イイダコとれた? スカリ入れなきゃでしょ?」スイスイ

幼友「まだ来るなぁっ!!」


…ツンツン、グググッ

幼友「ふぇっ…!? なんかかかった!」アセアセ

幼友「とーう!」ピシッ

弟「すごい、連続じゃん」

幼友「あはは…サヨリだね、これ。可愛い」…ハッ


幼友( ト ッ プ ス が な い !! )


弟「行こうかー?」

幼友「来たら殺す」

弟「えっ」


釣果累計8匹

男…1pt
幼馴染…1pt
弟…6pt
幼友…2→3pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼馴染(エイは怖かった…)スーハー

幼馴染(今度は岩の間を狙います)スルスルスル…

幼馴染(………)スーハー

幼馴染(なにも出てきません)スーハー

幼馴染(動かした方がいいでしょうか)チョンチョン


ズルッ!ガブゥッ!

幼馴染(え?)


幼馴染「男ーーーっ!! 助け…ひぎゃあああああっ!」

男「はい?」

幼馴染「パス! とったどーでお馴染みの──」ヒョイ

男「渡されました…やれやれ、何を釣ったのか…」チャプッ


ウツボ「なにさらしてくれとんのじゃ、お?」


男(磯のギャングかよ…めんどくさ)ガックリ


釣果累計9匹

男…1pt
幼馴染…1→3pt
弟…6pt
幼友…3pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照…ですが
この10匹目に限りファイト安価が秒単位偶数(0を含む)ならスペシャルターゲット、奇数なら逃げ・バラシにします

キャラ安価↓1
ファイト安価↓2

従妹ちゃん、ボウズは切ないなー

釣れない!


時空がひん曲がってるけど、レス番による安価を優先しますー
>>83>>84採用


弟(なんか結局、獲物ふたつ抱えたまま幼友ちゃんあたふたしてるけど)スーハー

弟(来るなって言われちゃったしなー)スーハー


弟(ん…? あれはなんだ? 岩の隙間…明らかに岩や海草とは色が違うよ)スルスルスル…

弟(反応しないな…ええい、目の前に垂らしちゃえ)スイッ

弟(あれ? かかった? 食った?)スーハー

弟(巻いてみよっか)クルクル…


弟(なーんだ、魚じゃないや)チッ

弟(なんか布っぽい、針金入ってる…? だから沈んでたのか)パシッ


…ザバッ

弟「ぷはっ、なんだこれ──」ヒョイ

弟「あはは…なんか幼友ちゃんの水着に似た色」

弟(ってか水着だね、これ)クスッ

弟(落とした人、困っただろうなー。『来るなー!』って…感じ…に……?)…ハッ


釣果累計10匹?

現ポイント

男…1pt
幼馴染…3pt
弟…6pt
幼友…3pt
従妹…0pt

※10匹目はポイント無し


安価大会おかわり(続行)する?

1…5匹おかわり
2…10匹おかわり
3…おかわりしない

以下5レスでの多数決にします

倍プッシュだ!

>>92は番号がないので、最初に三票に達したコースにします


男「はいはい、ではそろそろ一度集まって下さい」

幼馴染「イマイチでした…」

従妹「ウチなんかまだ釣っとらへんねやで!」ムキーッ

男「おや? 弟と幼友ちゃんは…」


弟(どどどどうしよう…この水着、当たり前だけど返さなきゃ)ダラダラ

幼友「あぅ…参ったなぁ…」プカプカ


弟(早く言い出さないと、携帯の時の二の舞だ…返しにくくなっちゃうな)

幼友「弟君、私ちょっと動けないんだ。代わりに男さんの話、聞いてきてくれないかなー」タハハ…

弟(でも…でもっ…!)グッ…

幼友「弟君ー?」

弟(もうちょっと堪能したいっ!)


弟(んー、やっぱ大きいよねー)ウットリ

幼友「もう…なんで聞こえないかなぁ」

弟(すごいよね、着た状態じゃないただの布切れなのに大きいって判るって)ホゥ…

幼友「仕方ない…ちょっと近寄らなきゃ…」バシャバシャ


弟(香りはっ…!?)スンスン

弟(…潮の香りしかしないか)ガックシ

幼友「弟君、ちょっとこっち向かないで聞いてくれるー?」

弟(ううう裏地の感触は…)ドキドキ


幼友「もう、弟君ったらっ!!」

弟「はぅあっ!?」ビクゥッ


弟「ご、ごめん! 聞いてなかった──」クルッ

幼友「わっ…ばかっ!」タユンッ

弟「うわ、またまたごめんっ」プイッ


幼友「…って、なんで顔そむけるの?」


弟「えっ? だって幼友ちゃん、水着の上が無いでしょ…?」

幼友「なんで知ってるの…? その手に持ってるのって…!」


弟「か…返そうと思ってたんだ! さっき釣っちゃって!」アセアセッ

幼友「じゃあさっきから人の話を聞いてなかったのって…その水着を鑑賞してたんだね」フルフルフル…

弟「そ…それ…は…」ガクブル


幼友「弟君の変態っ! すけべっ!」

弟「うっ…」カチンッ

幼友「早く返してよっ!」ウルウル


弟「…変態じゃないよっ!!」

幼友「ふぇっ…!?」ビクッ


弟「好きな娘がさっきまで着けてた水着だもん! 見たって当たり前でしょ!?」

幼友「ひ、開き直らないでよっ」

弟「見つけたのだって偶然だよ! なにも僕が奪ったんじゃないんだ!」

幼友「それは解ってるよ、自分で落としたんだし…」アセッ


弟「じゃあ、人を変態とか罵る前に『ありがとう』でしょ!?」

幼友「あぅ…なんでそんな……」


弟(恥ずかしくて暴走してる、こんなに言って大丈夫か…!? でも──)

幼友「あ…ありがとう…」ボソッ

弟(──切り札は僕の手の中に!!)ドンッ


幼友「ねぇ、早く返してよぅ」ウルウル

弟「仕方ないな…」フッ…


弟「おっぱい触らせてくれるなら、返すよ」

幼友「ちょ…!? 調子に乗らないでよっ!」

弟「あれ…? そっか…僕なにもしてないのに変態とか罵られて、それだけなんだ…」

幼友「うっ」

弟「はい、どうぞ」スッ

幼友「ぁ…ありがと…」パッ

弟「…はぁ」

幼友「今、弟君…釣果は一位だよね」ボソッ

弟「うん?」

幼友「男さんに釣り勝負の延長をお願いするから…最後、一位をキープしてたら…いいよ」モジモジ

弟「…いいって」ドキドキ

幼友「10秒! 10秒だけ…触らせてあげる」

弟「水着の上から?」

幼友「う…解ってるよ……直接がいいんでしょ?」ジトー

弟(…兄ちゃんを沈めてでも勝つっ!!)

………



男「──ええと、なぜか勝ち逃げのはずの弟と幼友ちゃんから釣り大会延長の希望を受けました」

従妹「ウチも! 全然釣れへんなんか嫌やもん!」


幼馴染「まあ、私と幼友は同率ですので、決着をつけたいのでしょう」フフリ

男「お遊びの泳ぎ釣りでそんなに真剣になられましても…」

弟「聞き捨てならないね、兄ちゃん」チッチッチ…

男「なにその面倒臭いノリ」


弟「確かに今でも僕は勝ってる…でも、更なる戦いの向こうに目指す約束の地があるなら、僕は生き残るっ!」

男「うわぁ…」

幼友「…ばーか」


弟「さあ…始めようか兄ちゃん、おかわり10匹…そして──」ジャリッ

…ザンッ!

弟「──お触り10秒だ」

今夜はここまでー


男「では俺はこれから魚を探す事に専念します」

幼馴染「探すとは」

男「やはり従妹ちゃんにも釣って欲しいですし、俺が魚を見つけたら…自分を除くその時点の最下位の人に知らせる事にしましょう」

従妹「もしあとで最下位が同点で何人もおったらどーするんや?」

男「それは…その時、考えます」


男(…と言いつつ、若干のえこひいきをするでしょう)

男(最下位同率の場合の優先順位は幼馴染従妹ちゃん幼友ちゃん……弟に教えるくらいなら、俺が釣る!)キッ

弟(なんか今、兄ちゃんの視線に悪意を感じた)


男「それでは延長戦おかわり10匹、スタート!」


釣果累計10匹(残り10匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…3pt
弟…6pt
幼友…3pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼友(お触り回避のために私ができること…)スーハー

幼友(私自身が弟君のポイントを超えればいいんだよねっ!)スーハー

幼友(今度は水着もよりしっかり結んだし、よーし…見てろー)スイーッ


幼友(あの岩の隙間とか、なにかいるでしょ!)スルスルスル…

幼友(ちょいちょい…っと探って)チョンチョン

…グッ…グググッ

幼友(ほらきたっ!)ビシッ!


幼友「ぷはっ、とったどー!」ザバァッ!

弟「げ、早い!」

幼友「ふふーん、手の平サイズだけどマダイだよ。1ptにはなるよね?」ニヤリ

弟「くっ…神よ、我に力を…」


釣果累計11匹(残り9匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…3pt
弟…6pt
幼友…3→4pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼馴染(うーん…見つかりません)スーハー

幼馴染(あんまり男から離れたらいけませんが、もうちょっと移動してみましょう)ザバッ

…スイーッ…スイーッ

幼馴染「あ、そういえば」ハッ

幼馴染(いけないいけない、ラインを垂らしたまま…しかもベイルも倒しっぱなしでした)カチャッ

ググググィッ…!

幼馴染「…おや?」


幼馴染「男ー!男ー!」

男「はい?」クルッ

幼馴染「浮き輪が引っ張られて楽しいです!」キャッキャッ…スーーーッ

男「お前、なに釣った」

幼馴染「えーと…」バシャッ、ブクブク…

幼馴染「ぷぁ…チヌっぽいです。40cmくらい」

男「まじかよ」


釣果累計12匹(残り8匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…3→5pt
弟…6pt
幼友…4pt
従妹…0pt


ルールは>>22を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼馴染(今度は偶然でなく、狙って釣りたいものです)スーハー


幼馴染(…ん? あの砂地…?)ピクッ

ヒラメ(なんもおらんで)


幼馴染(………)ジーッ

ヒラメ(ただの砂の模様やて)


幼馴染(…気のせいです)ヤレヤレ

ヒラメ(ふぅ)


幼馴染(んっ?)ジトー

ヒラメ(…薄いもの同士、仲間やろ? な?)


幼馴染(…他を探しますか)スーハー


釣果累計12匹(残り8匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…5pt
弟…6pt
幼友…4pt
従妹…0pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


男(さて、従妹ちゃんのためにもがんばって探さなければ)スーハー

男(…おっ! カサゴ…!)ザバッ!

男「ぷはっ…従妹ちゃん! こっちに!」フリフリ


従妹「えっ、なんかおったん!?」バシャバシャ

男「バタ足らめええぇえぇぇ!! 平泳ぎで静かにっ!」ギャー


従妹「あぅ…しもた…。まだ魚おる?」シュン…

男「ええと…」ザブン

男「…ぷは」ザバッ

従妹「どんなやった…!?」

男「いませんでした…」


従妹「ごめん…」

男「まあ気を落とさずに、俺もどんどん探します」ポンッ

従妹「…ん!」パァッ


釣果累計12匹(残り8匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…5pt
弟…6pt
幼友…4pt
従妹…0pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


従妹「…♪」プカプカ

男「あの…探しにいかないのでしょうか」

従妹「男っちの傍で探すで? その方が男っちが見つけた時、すぐに教えてもらえるやん」ニコッ


男「ええと、顔を水に浸けないと見つからないと思います」

従妹「あ、せやな」ザブン

従妹(ん…? なんか仕掛けの先についとらへん?)マキマキ…


従妹「…ぷはっ、男っち!」ザバッ

男「はいはい?」

従妹「なんか底に垂らしとったら、変なのついてきたんやけど…」プラーン


シャコ「パンチしたろか」シュッシュッ


男「おお…シャコです、立派にスカリ入りサイズです」

従妹「やた! 初の獲物や!」フンスフンス

男「しかし初ヒットが魚類でないとは…」クスクス


釣果累計13匹(残り7匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…5pt
弟…6pt
幼友…4pt
従妹…0→1pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼馴染「………」ジトー

幼馴染(従妹ちゃん、ずっと男の傍にいます)チッ

幼馴染(男も甘いです、自分が見つけた魚まで最下位の人にあげるとか…)ハァ…


オトコッチ ミツケター?

イヤ、マダデス イトコチャン モ ヨク サガシテ…


幼馴染(なんだか、バス釣りの時にもこんな思いをした気がします)

幼馴染(幼友は二日目が初日で釣り方とかよく解らずに、私は前日に練習してたから放置されてましたっけ)ムスッ

幼馴染(そうです、あの時は自分も釣れないふりをして男の気を惹こうとしましたが、今も見つけられないふりをすれば──)ザブンッ


スーハー…スーハー……ザバァッ


幼馴染「──ええいっ! 大カサゴ、ゲットだぜ!」ビチビチビチ

男「さすが幼馴染、ほっといても安心です」パチパチ

幼馴染「そいつぁありがとうよ」ケッ…


釣果累計14匹(残り6匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…5→7pt
弟…6pt
幼友…4pt
従妹…1pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼馴染(…なんだか上手くいきません)スーハー

幼馴染(釣れないふりをして気を惹こうとすれば、大物を見つけて)スーハー

幼馴染(…もうそれならいっそ、漁師モードで!)

幼馴染(男が褒め称えるくらいの釣果をあげてみせます!)フンス!


幼馴染(おっ!)キュピーン

ヒラメ(おっ)

幼馴染(やっぱり! あれは魚のシルエット…!)スルスルスル…


幼馴染(ほら、目の前です! 食べるといいです!)フンスフンス

ヒラメ(なんやオキアミかいな)ユラリ…

幼馴染(えっ)

ヒラメ(動かんオキアミなんかワシが食うかいな、あばよ)ヒラヒラ…


幼馴染(……なにもかも上手くいきません)ザバッ……グスン…


釣果累計14匹(残り6匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…7pt
弟…6pt
幼友…4pt
従妹…1pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2

(ちょっと間があきます)


幼友(まだ…! 今はまだ弟君の累計ptには及んでないっ!)

幼友(幼馴染ちゃん達の釣果がどうなってるかは解らないけど、いいよ…自分でなんとかしなきゃ!)スーハー

幼友(じゃないとお触り…)モヤモヤ

幼友(…別にどうしても嫌ってわけじゃないんだけど)スーハー


幼友(過去に付き合ったヒトの事も、ちゃんとその時は好きだった…それでもハジメテは渡さずにきたんだよ)ウンウン

幼友(そしたらいつの間にか成人も過ぎて、学生とはいえ大人になっちゃった)


幼友(…もう十代の子供じゃない)

幼友(たぶん本当にお付き合いを始めたら、そういう関係になるのは時間の問題だと思うんだ…)ドキドキ

幼友(だから──)


──スルスルスル………ピシィッ!

幼友(豆アジかぁ、これじゃまだ届かないよ)マキマキ…

幼友(……んっ?)


ヒラメ(ふぅ…)ヒラヒラ


幼友(──ごめんね、豆アジちゃん)プスッ

幼友(さあ…食いつきなよ、大物さん。ご馳走だよ──?)スルスルスル…


…ザバァッ!


幼友「ぷはっ……ヒラメーっ! とったどー!」ビチビチ

弟「嘘ぉっ! オキアミでっ!?」ガーン

幼友「ふふん…並んだよ、弟君…!」ニヤリッ


釣果累計15匹(残り5匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…7pt
弟…6pt
幼友…4→6pt
従妹…1pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼馴染(んっ! 手のひらよりは大きめなマダイ…!)キュピーン

幼馴染(ほーら、オキアミです)スルスルスル…


幼馴染(くっ…! 無視された…)スイーッ

幼馴染(ボーッと泳いでるだけみたいなので、ゆっくり追いかけて…)スイスイーッ

幼馴染(再トライです)スルスルスル…


幼馴染(むぅ…また無視…)チッ

幼馴染(まだまだっ──!)スイーッ


幼馴染(──結局逃げられました…)スーハー

幼馴染「ぷぁっ……えっと、男は…」ザバァッ

幼馴染(…おや? なにやら岩場の…裏…? どっちから来たのでしょう…)

幼馴染「男ーーーっ!?」

幼馴染「……しまった、迷子に」ハァ…


釣果累計15匹(残り5匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…7pt
弟…6pt
幼友…6pt
従妹…1pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2

(すんません、続きは明日)


男「ぷはっ…従妹ちゃん、この下!」ザバッ

従妹「えっ、どこ!?」ザブン


男(ほら、あそこあそこ…)スーハー

従妹(どこやろ…判れへん…)

男(ああ、もう! もうちょっと顔寄せて、視線揃えて!)グイッ

従妹(わわっ…顔近いてっ!)アセッ

男(指の先を追ってくれれば判るはず!)ピシッ

従妹(うーん……)

男(ああ、逃げる…!)

従妹(だめや、判らん…)ザバッ


男「ぷはっ……やっぱり岩に張りついた根魚じゃ判りにくいでしょうか」ザバッ

従妹「…どんくさくてごめんな、男っち」シュン…

男「まあまあ、次は砂底やサスペンドしてる獲物を中心に探しましょう」

従妹「うんっ」ニコッ


釣果累計15匹(残り5匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…7pt
弟…6pt
幼友…6pt
従妹…1pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


従妹(…男っち、ウチに釣らそう思うて頑張ってくれとる)スーハー

従妹(応えんとオンナが廃るで!)フンス!


従妹(さっきの男っちの言い方やと、砂底の魚なら見つけやすいんや)スーハー

従妹(砂底で…動いとるもの…………あれ? なんかあんまし大きくないけど、白っぽいのが泳いどる…!?)スルスルスル…

従妹(寄ってきた…! 食うたっ!!)マキマキ


従妹「ぷぁっ…男っち! 釣った! 今度は魚やっ!」ザバッ

男「おお! やりました、自分で見つけるとは!」ニコッ


従妹「へへっ! これはなんて魚なんや?」

男「その魚を釣った場合、名前に……いやいやいやいや」ブンブン

従妹「?」

男(いかん…キスだったから、つい…)


釣果累計16匹(残り4匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…7pt
弟…6pt
幼友…6pt
従妹…1→2pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


男(まだまだ、ptじゃ従妹ちゃんは追いついていません)スーハー…キョロキョロ

男(おっ…浮いてるベラ発見!)

男(従妹ちゃんは…ああ、すぐ後ろに──)


男「──ぷはっ…従妹ちゃんっ」ザバッ

従妹「………」スイーッ

男(…ああ、顔を浸けて探してるのか)


男「ん?」

男(幼馴染…?)キョロキョロ


従妹「ぷぁっ…男っち、おった?」ザバッ

男「えっ……あ、ああ…すみません見失いました」

従妹「ふーん…?」キョトン


男(おかしい、幼馴染…どこ行った──!?)


釣果累計16匹(残り4匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…7pt
弟…6pt
幼友…6pt
従妹…2pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


男「従妹ちゃん、すみません。少し移動します」ザバッ

従妹「え? う、うん…?」ザバッ


男(幼馴染…)スイスイ

男(砂浜に戻ってる様子も、岩場に上がってる姿も無かった)キョロキョロ

男(従妹ちゃんの世話を焼いてあいつを放っとき過ぎるなんて)

男(さっきの水上バイクのエリアに迷い込んだ時といい──)


『──慣れたからって油断しすぎは♂失格だけどな』


男(くそっ…どの口が言った!)


男(ん…? イサキ…)

男(ごめん、従妹ちゃん…今は幼馴染探すのを優先させて下さい──)


釣果累計16匹(残り4匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…7pt
弟…6pt
幼友…6pt
従妹…2pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2

(ちょっと間が空きます)


男「ぷはっ…はぁ…はぁ……ちょっと岩場に上がります」ザバァッ…ハァ…ハァ…

従妹「男っち…どーしたんや、息切らすくらい泳いで」パシャパシャ


男(ここからも見えません。もしかしてあの背の高い岩場の裏…)フゥ…

男(それとも…浮き輪が破れて……)

男(…そんなことない!)フルフルフル…!


従妹「なんかあったん…? 顔が険しいで?」

男(…せっかく行きたがってた海に来てるのに、従妹ちゃんにまで心配させては)

男「いや…なんでも。今、従妹ちゃんがいる辺り…さっき泳いでた時は豆アジの群れがいました」ニコッ

従妹「ほんまに!?」ザブンッ…


従妹「……ぷあっ! ほんまや、釣れたでー!」ピチピチ…

男(よし…あの岩の裏へ行ってみるか)

従妹「……男っち…」


釣果累計17匹(残り3匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…7pt
弟…6pt
幼友…6pt
従妹…2→3pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼友(おっ! あれってシーバスだよね!)スーハー

幼友(それっ…とーう!)スルスルスル…

シーバス(ケッ…)プイッ

幼友(うわ、完全無視! やっぱ動かないオキアミじゃ食べないかぁ…)ガックシ


幼友「ぷはぁっ!」ザバッ

弟「むむ…釣れた?」

幼友「残念ながら、逆転できるかと思ったのになー」クスッ

弟「危ねぇ…」ホッ…


幼友「安心はできないんじゃない? 男さんが従妹ちゃんに味方してるんだから、どうなってるか解らないよー?」

幼友(…ん? でも男さん達、どこ行ったんだろ)

幼友(幼馴染ちゃんの姿も無いなぁ)

幼友(…ま、従妹ちゃんも幼馴染ちゃんも男さんの近くだろうから、心配はないよね)


釣果累計17匹(残り3匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…7pt
弟…6pt
幼友…6pt
従妹…3pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼馴染「男ーーーっ」パシャパシャ

幼馴染(だめです…すごく岩場が入り組んでいて、でたらめに泳いでも遠ざかっているような…)ハァ…

幼馴染(あ…いけません、また糸を垂らしっぱなしにしていました)マキマキ

幼馴染(回収…っと)パシャッ


ピチピチピチ…

幼馴染「…豆アジ」チッ


幼馴染「ええと…まあ、でもキープです」

…ハッ!

幼馴染「スカリ持ってない…」


釣果累計18匹(残り2匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…7→8pt
弟…6pt
幼友…6pt
従妹…3pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼馴染「まあ…とりあえず針につけたままで垂らしておけばいいでしょう…」

幼馴染「豆アジくらい、逃げたら逃げたで…まずは男を探さないと」パシャパシャ


…ツンツンツン

幼馴染「はいはい、分かってます…そう暴れずに…」パシャパシャ


…ツンツンツン

幼馴染「男と会えたらすぐに外してあげますので、しばしお待ちを」パシャパシャ


…ツンッ!ツツツンッ!グイグイ…

幼馴染「ああ、もう…やけに引きます」マキマキ…


ピチピチピチピチ…

幼馴染「豆アジが二匹に増えてました…」ハァ…


釣果累計19匹(残り1匹)

男…1pt(戦線離脱中)
幼馴染…8→9pt
弟…6pt
幼友…6pt
従妹…3pt


ルールは>>22(補足>>125)を参照
キャラ安価↓1
ファイト安価↓2


幼馴染「ひいぃ…二匹がすごく暴れます…」ビチビチ

幼馴染「早く男と合流しないと…」バシャバシャ

幼馴染(…でもせめて食いついたのが豆アジでよかったです)ヤレヤレ

幼馴染(これでもっと大物だったら──)


──ガツンッ!グググッ…!

幼馴染「えっ…!?」ビシィッ!

幼馴染(なんでしょう!? すごく引っ張られてます!)グググイーッ


幼馴染(水中で確認…!)ザブン

マゴチ「おぅ」

幼馴染(ぎゃーーー! 大物マゴチが豆アジ食ってます!)


幼馴染(あそこ…岩の小島に上がれそうです)

幼馴染(仕方ありません…マゴチをバラすのは惜しいし、そこへ上陸しましょう──)バシャバシャ…


釣果累計20匹(残り0匹)

男…1pt
幼馴染…9→11pt
弟…6pt
幼友…6pt
従妹…3pt

安価終了、ありがとうでしたー


【結果発表】

釣果20匹(内ひとつは幼友の水着)

ランキング
1位:幼馴染…11pt
2位:弟…6pt
3位:幼友…6pt
4位:従妹…3pt
5位:男…1pt

今日はここまでですー

栗拾いなんかに行ったら幼馴染は松茸取ってくるだろうな

>>233
とーう( ゚∀゚)=◯)`Д゚)・;'
たーあ( ゚∀゚)=◯)`Д゚)・;'
てーい(#゚Д゚)=○)`Д゚)・;'

いつもの http://i.mjmj.be/file/plane/92YvasZpH5.jpg?tyoku=1

男「>>240を見て下さい」

幼馴染「可愛いリスちゃんですね」

男「予想はついてました」

すんません
ちょっと忙しいのと季節モノ書いてまして
遅くとも11月になったら本気出す

幼友「男の松茸美味しそうです」ジュルリ

弟「松茸狩りに来ました」カマkiller

幼馴染「これは私のものだから渡さない」ウフフ

アーーッ


こんな感じですか?

うぃ、ハッピーヘロイン

ちょっと本編と関係無い閑話挟みますー


【ハロウィン閑話】


男(──黒マント、白ワイシャツにリボンタイ)テクテク

男(ルアーの素材を加工した、つけキバ)テクテク

男(ヴァンパイアに見えなくはないと思います…思いますが)


ご近所さん「あら、男さん。こんばん…は……ぷふっ!」クスクス…

男「こんばんは…でもどうか人違いということに」ガックリ

ご近所さん「いえいえ、似合ってるわよ…くくっ…」


男(いい歳こいてこんな格好で町内歩くとか、どんな羞恥プレイでしょうか…)クッ…


………



幼馴染『お菓子はしっかり作っておくので、ちゃんと仮装して私の家に集合です』

男『弟がサーフで幼友ちゃんと従妹ちゃんのアパートを回ってから、駅前で少年君達も拾うと言っていました』

幼馴染『なるほど』

男『俺はコペンで行きます』

幼馴染『だめです、ウチの駐車スペースには一台分しか余裕はありません』


男『…じゃあどうやって』

幼馴染『お互いの家は徒歩でも10分ですが、なにか』

男『仮装して?』

幼馴染『もちろん』


男『…では俺の仮装はドッペルゲンガーということで、普段の自分のそっくりさんとして伺います』ニッコリ

幼馴染『それは仮装とは言いません』ニッコリ

男『貴様、鬼だな』

幼馴染『男がするなら鬼の仮装でも構いませんが、虎柄パンツ一丁は時期的に寒そうです』

男『くっ…』


幼馴染『ちゃんと仮装してこないと、お菓子はあげませんのでそのつもりで』

男『では悪戯をする方で結構です』

幼馴染『仮装もせず夜に訪ねてきて悪戯するとか、通報ものです』


男『血も涙もないのか』

幼馴染『それは吸血鬼にでもなって確かめてみては』フフリ

男『…だれうま』チッ


………



少年「──弟さん、遅いね」

少女「うん」


少年「…ぽつぽつ仮装してる人いるけど、やっぱりちょっと恥ずかしいね」

少女「少年は顔に縫い目描いたりボルトの飾りつけとるだけのフランケンじゃから、まだマシじゃもん!」プンス

少年「し…少女だって幽霊だから白布すっぽりじゃない、それなら顔とか分からないよ?」


少女「じゃけど、目立つし!」

少年「仕方ないよ…それを選んだのは少女でしょ」

少女「むぅ…」


少年「あ、あれかな…車」

少女「…違うよ、弟さん家のサーフは青じゃもん」

少年「そっか…」


少女「……もっと、女の子らしい仮装にした方が良かった?」

少年「え?」


少女「魔法使い…とか」

少年「うーん…そんなのも見てみたくはあるけど」

少女「…けど?」


少年「この人通りの中でさ、僕だけが…」

少女「うん」

少年「…その布の中には、こんな可愛い女の子がいるんだって知ってるの、嬉しいよ?」テレテレ

少女「……っ…!」


少年「…少女?」

少女(布…被っとって良かった……耳まで熱くなっとるけん…)


…ギュッ


少年「…ん」

少女「ま…前、あんまり見えんけん…車来たら手を引いてーな?」

少年「…布越しに手を繋ぐのも、なんか変だね──」クスッ


………


…ブロロロロロッ


幼友「──早くはやくっ、少年君たち待ってるってば」タユーン

弟「ちょっと待って、そんな飛ばせないし!」ドキドキ


従妹「運転トロくさいなぁ…弟っちは」ポヨーン

弟「いいから、頼むから大人しくしててっ!」ドキドキ


弟(ほんとお願いだから運転に集中させてよ…)チラッ

幼友「んー、混んでるなぁ…」

弟(ミニスカ魔女…胸元ぱっくりで谷間にシートベルト喰い込みとか、雑誌のグラビア顔負けだって…)ハァハァ


従妹「あー! 弟っち、また幼友ちゃんのおっぱいチラ見したやろ!」

弟「仕方ないでしょ、こんなのっ! 運転してなきゃガン見してるよ!」

従妹「うわ、開き直りよった! このエロ狼男ー!」ケラケラ


幼友「従妹ちゃん、いいからちゃんと毛布にくるまっとかなきゃ風邪ひくよ?」

弟(はぁ…従妹ちゃんも、いつぞやのスク水ベースでロリサキュバスとか…僕の理性を過信しすぎだってば!)ムラムラ


幼友「従妹ちゃん、頭につけた蝙蝠羽の飾りズレてるよ」ヒョイッ…ポヨン

弟(危ない危ない危ない! 胸元にシートベルト引っかかって、そっちがズレるって!)ムハーッ


従妹「あかんて、弟っち! 振り向くばっかするさかい、また狼の犬っ鼻が下がっとるで!」プルン

弟「いいから、座っといてっ! ああ、もう…なんで運転中までこんなの着けとかないといけないの」

幼友(だって可愛いんだもん)フンス


従妹「あー、また赤信号やん。何時に幼馴染ちゃん家やったっけ?」

幼友「19時半だよ。それっ、信号が青になる魔法! …ほら変わった、すごーい!」フフン

弟「…今の絶対、横の歩行者用信号見てたでしょ」

幼友「とーう」ゴスッ


………



幼馴染(──パンプキンパイ…焼き上がりまであと15分)

幼馴染(プリンも冷蔵庫で冷えてます、問題なし)

幼馴染(…クッキーは夕方に焼いておいたので、もう冷めていますが)

幼馴染(市販品よりは美味しい…はず……ちょっと再度の味見)パクッ


…モグモグ

幼馴染(……うーん……カントリーマァムの勝ちかもしれません)チッ


幼馴染(もう料理は服が汚れるような工程は過ぎました)

幼馴染(そろそろ、着替えておくとしましょう)


幼馴染(女ヴァンパイア衣装、がんばって作りました)フンス

幼馴染(ちょっと露出度高めです)テレテレ

幼馴染(……みんなが来たら、上のクロークまで着るつもりですが)


幼馴染(…………)チラッ

幼馴染(みんな、ちゃんと伝えた時間通りに来ますように──)


………



男(──ふぅ、着いたついた)

男(しかし幼馴染は何に仮装しているのでしょうか)

男(……ぬりかべとか)クスッ


ピーンポーン…


男(…まだ弟達は来てないようです)

男(今で言われた時間ぴったりくらいのはずなのですが──)


男(──ほら、18時半)


【ハロウィン閑話おわり】

次は本編更新しまーす

男「いらっしゃい」ツヤツヤ
幼馴染「いらっしゃい」ツヤツヤ


幼馴染「──やれやれ、上がりやすい岩場で助かりました」

幼馴染(砂浜の方は……あっちなのでしょうが、他の岩の陰になってちょうど見えません)ハァ…

幼馴染(ん、潮溜まりのプールが出来てます。ちょうどいいのでマゴチはここに)チャプン


幼馴染(…男、心配してるでしょうか)


『──さすが幼馴染、ほっといても安心です』


幼馴染(……してないか)ムッ

幼馴染(浮き輪もありますし、マゴチを逃がすとしたら帰れなくはありません)

幼馴染(…別に心配される必要もないし)


『──困る事もあるでしょうから、一応できるだけ俺の傍で行動して下さい』


幼馴染(男が気にかけてるのは、従妹ちゃんの方です)モヤモヤ

幼馴染「私は…別に平気だし」…ギュッ


幼馴染(でも、幼友は心配してるかもしれません)

幼馴染(…岩場、簡単に登れそうです。上までいったら砂浜見えるんじゃ…?)キョロキョロ


幼馴染「ここからいけそうですね」ガシッ

幼馴染(よっ…と、テトラを渡ることを思えば余裕です)ヒョイッ…パシッ


…ザザーン、ザアァーッ


幼馴染「……?」

幼馴染(なんとなく、岩の中から波音がするような…?)

幼馴染(…まさか、反射してるだけでしょう)


幼馴染(もうちょっとで一番上……おぉ、下を見るとちょっと怖い)ブルブルッ

幼馴染「あっ…」

幼馴染(幼友の姿が見えました、弟君もいます)フリフリフリ

幼馴染(…やっぱり男と従妹ちゃんの姿はないみたいです。探してもないのでしょうか)キョロキョロ


幼馴染(……ん?)

幼馴染(岩のてっぺん、穴が穿いて──?)


……………
………



男「──幼友ちゃん、どれのことですか!」

幼友「そこの一番背の高い岩! 今は見えないけど、さっきてっぺんに幼馴染ちゃんの姿が見えたの!」

弟(ここで『油断しすぎは♂失格なんだって』とか言ったらブン殴られるだろーなー)


従妹「あ、今は岩のふもとに座ってはるやん」

幼友「なんだ…手を振ってるじゃない。よかった、何事もなくて」フリフリフリ


弟「うわ、地続きかと思ったら離れ小島じゃん! 高っかいし!」ゾッ

幼友「あっちから降りられそう」


男「いや、ここからでも降りられます」バッ!

従妹「へ?」

男「アイキャンフラーイ…って、怖ええええぇえぇっ!!」ヒューーー


…ドッポーーーン!


弟「あー、痛いな…今の…」

幼友「とてもじゃないけど、スムーズな着水じゃなかったね」


………



幼友「もうっ! 心配したじゃない!」ギュー、ムニュー

幼馴染「ご、ごめんなさい…気づいたらみんな見えなくなっていました。…っていうか、なんでしょうこの屈辱的な弾力」

弟(いいなー…)チッ


従妹「男っち、大丈夫?」

男「着水体勢を若干ミスりました…痛てて」サスサス

幼友「結局、岩場に上がるの男さんが最後だったし」

弟「ビミョーにお腹を打ったっぽいね、赤くなってる」ププッ

男「面目ない…」


幼馴染「でも、私のところに早く来ようとしてくれたのは嬉しかったです」クスッ

男「…すみません、俺が目を離したから」

弟「空回る漢気を見た」

幼友「よっぽど心配だったんだよー? ねー?」


幼馴染「ちょっと拗ねてましたが──」

男「ん?」

幼馴染「──さっきのダイブで、帳消しにします」ナデナデ


従妹「………」


幼友「それはそうと、幼馴染ちゃんが持ってるの何?」

幼馴染「ああ…これは、岩の中で見つけました」


男「貸してみて下さい。何かの牙…にしては長いです、30センチくらいもある。ツノ…?」

幼友「なんかツヤがあって少し青みがかってて、ちょっと綺麗かも。でも岩の中って、どういうこと?」

幼馴染「岩の一番上に穴が穿いていて、中を覗き込むと広い部屋のようになってました」

弟「へぇ…なんかすごいね」


従妹「男っち、その牙よー見して」

男「牙かどうか判りませんが」ヒョイ

従妹「おおきに──」パシッ


…キイィィィン…ドクンッ


弟「兄ちゃん、なんかあれ…従妹ちゃんが持つとなんとなーく光ってない?」

男「ん、そうか?」

従妹「──兄…ちゃん…?」ピクッ


幼友「従妹ちゃん…どしたの?」

従妹「兄ちゃん…兄ぃに…」ボソッ


従妹「…なぁ、このツノ…ウチが持っとっても構へん…?」トローン…

男「ん? それは…幼馴染、構いませんか?」

幼馴染「はい」

従妹「ありがと…兄ぃに…」ニコッ


幼馴染(…兄ぃに…?)


弟「でも幼馴染ちゃん、そのてっぺんで見つけた穴から降りたの? 勇気あるなー」

幼馴染「まさか…中が妙に明るかったので、よく見てみると空洞の側面にも縦長な隙間があって、そこからです」

幼友「その隙間、どこにあるの? 入ってみたいかも」

幼馴染「そこです、見えてます」ピッ


幼友「えっ」

弟「……これって、通れそうにないんだけど」

幼友「うん、無理」

幼馴染「ご冗談を、身体を横にすれば──」ハッ


男「──だ、大丈夫だいじょうぶ! 無理すれば通れます!」ハハハ…

弟「ほんとほんと! めっちゃ頑張ればいけそう!」

幼馴染「…私は余裕でした」フルフル…


………



男「さて、無事タープのところまで戻りまして」

幼友「まさか幼馴染ちゃんがこんな大っきいマゴチ釣ってたとはね」

弟「くっ…完全敗北…」フルフル


幼馴染「でも勝負に勝ったからどうなると決めたりはしていませんでした」

男「まあ余興です、余興。なんならあとで海の家で何か奢るくらいしましょうか」

幼友「うんうん、そのくらいの景品が後腐れなくていいよね。…ねっ、弟くん?」ニヤリ

弟「うっ」ギクッ


男「じゃあ、今釣った魚もコンロで一緒に焼くとしましょう。俺は魚を捌きます」

弟「僕は?」

男「じゃあ、あそこの調理場で炭を起こしてもらおうか。アツアツのコンロ運ぶのは一人じゃ辛い、幼友ちゃんも一緒に行ってやって下さい」

幼友「はーい」


幼馴染「では私はテーブルセットを引き受けます」

男「はい、頼みました。従妹ちゃんもそこでなにか手伝うことがあったらしてあげて下さい」


従妹「ウチ、兄ぃにと一緒がいい」


幼友「従妹ちゃん…?」

弟(兄ぃに…って、兄ちゃんのことだよね…)


男「…魚を捌くのは見ていて気持ち良くはないかもしれませんが」

従妹「大丈夫」ニコーッ


男「うーん…」チラッ

幼馴染「お気遣いなく」

幼友(…幼馴染ちゃん、平気?)ヒソヒソ

幼馴染(平気です。…中学生相手に妬いてばかりいても仕方ありません)ヒソヒソ


男「じゃあ、従妹ちゃんも行きましょう。気持ち悪かったら戻っておけばいいです」

従妹「うんっ」ニパッ


………



幼馴染(クーラーボックスの配置は…ここでいいですね)ドサッ

幼馴染(紙皿は…まだ重ねたままの方がいいでしょう、そんなに風はないけど飛んでしまいそうです)

幼馴染(お肉は先に脂っぽいものから出せるように)ゴソゴソ


幼馴染(…じゃあ、あとは野菜を切って準備しておきましょう)

幼馴染「ええと…キャベツ」ガサガサ


幼馴染(包丁、アウトドア用の小さいやつか…力が要りそうです。とりあえず二つに)グッ

幼馴染「ふんっ」グググッ…

幼馴染(くっ…固い!)

幼馴染(こ…これは切れないかも──)


『──ウチ、兄ぃにと一緒がいい』


幼馴染「おらああああぁあぁぁっ!!!」ズドーーーンッ!

幼馴染「誰を兄ぃになんて呼んでますかこのっ!」ザクッザクッザクッ!

幼馴染「……はぁ、はぁ、キャベツいっちょあがり」


………



幼友「はい! あおいであおいで!」

弟「おりゃああああっ!」パタパタパタ

幼友「いい感じに火がおこってるよ、今度こっち側ー」

弟「ふんっ」パタパタパタ


幼友「よーし、ちょっとひっくり返すよ」ガサッ…


…パチンッ

幼友「きゃっ…!」


弟「だ、大丈夫!? 火の粉が…」

幼友「あはは、平気へいき…ちょっと熱かった」


弟「火傷とかなってない?」

幼友「もうどこに当たったのかも判んないよ」クスクス

弟「そっか…」ホッ


幼友「…ありがと、心配してくれて」ニコッ

弟「ど、どーいたしまして」ドキッ


幼友「………」ガサガサ

弟「………」パタパタ

幼友&弟「「…あのね」」


幼友「お、お先にどうぞ」アセアセ

弟「いえいえ、幼友ちゃんお先にどうぞ」アワワワ


幼友「………」ガサガサ

弟「………」パタパタ

幼友&弟「「…あのね」」


幼友「ぷっ…また被った」クスクス

弟「あはは…じゃあ、僕が先に言うよ」

幼友「うん」


弟「…さっき、釣りの勝負の時は変な要求してごめん。調子に乗っちゃった」

幼友「なんだ…やっぱり同じ話題か」

弟「そうだったんだ?」


幼友「うん…水着を拾ってくれたのに、恥ずかしくて怒るみたいになっちゃってごめんね」

弟「すぐ返さなかったのは事実だしね…」

幼友「……それは弟くんの言う通り、仕方ないところもあるよね」

弟「うん?」


幼友「当たり前なんだけど、そりゃ…その…弟くんだってHぃ事はしたいでしょ…?」ドキドキ

弟「ちょ、ちょっとくらいはね!!」アセッ


幼友「ちょっとってどのくらい?」

弟「えっと…このっくらい」ガバーッ

幼友「両手広げちゃうんだ…」


………



男「よ……っと」ザリザリザリ

従妹「兄ぃに、手伝うことあらへん?」

男「うーん…手伝うと言っても、どれも手が魚臭くなってしまいますが」ゴリゴリ


従妹「今やってはるウロコ取りくらい、ウチでもできるで」

男「そうですね…じゃあ、包丁を一本は幼馴染のところに置いているので……ええと」キョロキョロ

従妹「?」

男「ああ、あそこに。従妹ちゃん、あそこの屑カゴに見えているペットボトルからキャップをひとつ外して持ってきて下さい」

従妹「…キャップ? うん、わかった」テクテク


従妹「取ってきたで」

男「では水で濯いで……はい、これでウロコ取りをお願いします」


従妹「このキャップで?」

男「はい、面白いくらい上手く取れると思います」ニコッ

従妹「ふーん……おぉ、ほんまや」ゾリゾリゾリ


男「……本当に抵抗なさそうですね」

従妹「へっちゃらやで? でも…なんやろ、なんか…」ジャーッ

男「なんか?」


従妹「兄ぃにが魚を捌いて、ウチが手伝って…なんとなく懐かしい気がするんや…」ポーーッ

男「懐かしいって、今日初めて会ったわけですが」

従妹「うん…そうなんやけど──」


『──兄ぃに、今日はいっぱい獲れたんだね!』

『ああ、手伝ってもらうぞ』

『わぁ…鯛もいる、鰆も! ご馳走だね!』ポヨンッ

『おぉう、文字通り胸が踊ってるな』

『また兄ぃにったら、もうっ…本当におっぱいが大好きなんだから──』


男「──従妹ちゃん? どうかしましたか、ボーッとして…」

従妹「ん…なんやろ、今の…」

男「……?」

本編の更新が滞ってて申し訳ない
…が、ちょっと番外投下


幼馴染(一羽まるまるのチキンはもう火が通ってます。あとはロースターで温めなおすだけ)テキパキ

幼馴染(サラダも盛り付けて、パルメザンチーズとドレッシングをかければOK)パタパタ…トンッ

幼馴染(こないだ男が釣ってきたスズキはカルパッチョにしました)コトッ

幼馴染(餃子の皮を生地にしたミニピザもオーブンの中)

幼馴染(あとは主食……大皿にチキンライスをドーナツ状に盛り付けて、その中にレタスを敷いて…ローストチキンが真ん中)


幼馴染「ではチキンライス、私の細腕には似合わない大きなフライパンですが」カチッチッチッ・・・ボッ

幼馴染「ご飯を炒めるのは力よりコツ!」ジューー…


幼馴染「We…」グッ…

幼馴染「Wish!!」ガバッ!

幼馴染「You a Merry X'mas♪ We…」ジュージュー

幼馴染「Wish!!」ガバッ!

幼馴染「You a Merry X'mas♪ We…」ジャーー

幼馴染「Wish!!」ガバッ!

幼馴染「You a Merry X'mas♪ And a Happy New Year~♪」ジュージュー


…ガチャッ


男「ご機嫌のようで」フー

幼馴染「おお、早かったです。いらっしゃいませ」ニコッ


幼馴染「料理の準備も順調です。男は上着を脱いで、部屋の飾りつけやテーブルをお願いします」ジュージュー

男(ミニスカサンタで料理ですかそうですか)


幼馴染「幼友は弟君と駅前で会ったようです、17時過ぎにLINEが」ガバッ

男「せっかくだからイルミネーションの街並を流したり、少しドライブしてくると言っていました」

幼馴染「一応19時を目安に来て下さいと伝えています」

男「今度は本当に?」

幼馴染「なんのことやら」シレッ


男(……今が17時半…か──)チラッ


……………
………


ガコッ、ブロロロロロロ…


弟「今日は従妹ちゃん来られなくて残念だったなぁ」

幼友「まあね、でもせっかく中学校で仲良くなってきた友達の家のパーティだもん、そっちが大事だよ」

弟「そうだね」


幼友「おー! 点いてるついてる、イルミネーション」

弟「一番背が高いのはユリノキの並木かな」

幼友「うーん、でも電飾を木に玉ねぎ状につけるのはどうだろう。なんかケチくさいなー」

弟「やっぱりちゃんと枝に添ってつけて欲しいよね」


幼友「あ、でもあっちの緑道沿いは綺麗! 通っていける?」

弟「いえっさー」カッチ、カッチ…

幼友「幼馴染ちゃんの家には19時って聞いてる。まだ17時半だし回り道しても間に合うでしょ」


幼友「見てみて! 緑道のイルミネーション、川面に映ってすごくいい感じ!」

弟「ちょっと待って、けっこう車も人も多いからよそ見できないや」

幼友「このへんが一番綺麗なのにー」

弟「だいじょうぶ、すぐ信号の列に……あ、青になった」ガーン

幼友「むぅ、残念…」


弟「うーん、じゃあせっかくだし」

幼友「ん?」


弟「そこの路上パーキング停めてちょっと歩こっか」

幼友「え、いいよ…? そんなわざわざ」

弟「ううん、僕がそうしたいんだ」カッチ、カッチ…

幼友「そ…そっか…」ドキッ


………



弟「パーキングチケット、窓の内側から貼って…っと」ペタリ


幼友「ごめんね、そんなに長居しないのに駐車代かかっちゃって」

弟「平気だよ、一緒にクリスマスの街を散歩できるなら」

幼友「ん…ありがと」

弟(……車の小銭ポッケに入ってた100円玉だとは言わないでおこっと)


幼友「よしっ、行こ──」

弟「──幼友ちゃん。ほら、手」スッ

幼友「あぅ」

弟「けっこう車いるし、危ないからね」ギュッ


弟「おー、本当だ…すごく綺麗」

幼友「………」


弟「このイルミネーションの下でも、川の中には魚が泳いでるんだろうねー」

幼友「…うん」


弟「街中を流れる細い川だけど、近年で随分水は綺麗になったんだ…って、兄ちゃん言ってた」

幼友「………」


弟「でも、いなくなった種類の魚達はなかなか帰ってこないんだって」

幼友「そっか…」


弟「昔はこのへんでもアユが泳いだりしてたらしいよ。僕らが生まれるよりもずっと前だけど」


弟「ちょっと寒いけど、歩こっか。あんまり車から離れても大変だけどね」

幼友「うん」


弟「あ、イルミネーションの色が変わったよ」

幼友(……なんだろ)

弟「図書館の前の広場もライトアップされてるんだね」

幼友(なんか…今日の弟君、オトコらしいぞ)ドキドキ

弟「あー…電飾のイルミネーションも綺麗だけど、白熱灯のレンガ道もいいな」

幼友(どうしたの、なにこの雰囲気……)


弟「こんなに寒いんだから、これでホワイトクリスマスだったら最高なのに」

幼友(もし今…弟君に『付き合って』って言われたら……)

弟「でもそれじゃ渋滞がもっと激しくなって、幼馴染ちゃん家に間に合わないか」

幼友(たぶん…私…)


弟「だけど今日の様子ならもう少しは時間、大丈夫かな──」


弟「──幼友ちゃん、付き合ってくれる?」

幼友「ふぇっ!?」ビクゥッ

弟「?」


幼友「ちょ…言い方、軽くない!? その、あの…!」アタフタ

弟「軽かったかな……ごめん?」キョトン


幼友「いや…えっと……あの…うぅ……ぃ…いい…ょ……」コクン

弟「…うん」ニコッ

幼友(はー…、とうとうOKしちゃった…ぜんぜん嫌じゃないけど、いや嬉しいけど──)ドキドキドキドキ


弟「──じゃあ少し先まで歩くけど、付き合ってね」

幼友「へっ?」

弟「たしか歩いてもそんなに無かったと思うよ──」


………



幼友(ちょ、ここ、だんだんホテルあったりするとこに近づいてんだけど……!)アワワワ…

弟「もう一本向こうの通りだったかな」テクテク

幼友(どこか目星つけてるホテルでもあるのかな……さすがに利用した事はないんだろうけど…)

弟「あ、ここだ」ピタッ

幼友「あの…や、やっぱり急過ぎない──?」モジモジ…


弟「──ここだよね? 幼友ちゃんが兄ちゃんに会ったとこ」


幼友「……えっ」キョロキョロ

弟「前に用事で、兄ちゃんと二人で街中を通りがてら話してくれたんだ」


幼友(男さんと会った…?)

弟「幼馴染ちゃんのハタチ祝いだっけ?」


幼友(繁華街…)

弟「兄ちゃんが幼馴染ちゃん迎えにきて、でも幼馴染ちゃんは酔っ払ってタクシーで帰ってて」


幼友(緑道公園……川…)

弟「この橋の近くで、幼友ちゃんがサラリーマンに絡まれてて──」


『──幼友ちゃん、お待たせしました』

『ほら、これ俺の免許です。合ってますよね? なので諦めて下さい』

『しつけーな、お前ら』

『急に話をフッてすみません』

『じゃあ良かったら幼友ちゃんを送りましょうか──』


弟「──もしかして、幼友ちゃんが兄ちゃんを好きになったのは、その時なのかな…って思ったんだ」

幼友「……弟くん」


弟「僕は兄ちゃんみたいに体育会系じゃないし、そんな奴らに絡まれてる幼友ちゃんを自分の腕っぷしで助けてあげるのは難しいかもしれない」

弟「でも、もし今度そんな事があったら、例えどんな手を使っても僕は幼友ちゃんを守るよ」

弟「格好よくはないかもしれないけど、それでも、なんとしても」

弟「…なんとなく、この場所で誓いたかったんだ。ごめんね、急に付き合ってもらって」


幼友「うん……うん…うん? 付き合ってもらって?」

弟「へ? さっき言ったでしょ?」


『──幼友ちゃん、付き合ってくれる?』


……………
………



幼馴染「──モール、そっちを引っ張って…はいそのへんでピンを」

男「よっ…と」プスッ

幼馴染「じゃあ弛みはこのくらいで…こっちをとめます……くっ、力が入らない!」プルプル…


男(くっ……ミニスカ生足で椅子に立つか)

幼馴染「よい…しょっ…!」ググッ…プスッ

男(む、艶あり白)ジーーッ


幼馴染「……どこを見ていますか」クスッ

男「そんな格好で高いところに上がるのが悪い、ちょっとミニ過ぎませんか」


幼馴染「ご心配なく、幼友達が来る時にはスパッツとタイツを着用します」トンッ

男「なぜ今から着ておかないのでしょう」

幼馴染「そんな事を言わせますか」ジロッ


男(……まだ18時過ぎ…か)チラッ

幼馴染「あとの料理は全て直前に火を通すだけ、ツリーも出したし飾りつけもできました」


男「……家の人は?」

幼馴染「いません」

男「自分の部屋は?」

幼馴染「片付け済みです」

男「…これはまた嵌められました」

幼馴染「サンタ服は嫌いでしょうか──?」ニヤリ


………



弟「──ねえ、幼友ちゃん…さっきから怒ってる?」

幼友「別にっ」フンス


弟「もーぅ…もうちょっとゆっくりしてもよかったのに」

幼友(むうぅ…めっちゃドキドキしたんだから)

弟「まだ18時過ぎなのに幼馴染ちゃんの家に着いちゃうな、まあいっか」

幼友(…言ってくれた事はすごく嬉しかったけど、でもでもっ!)


弟「あれ? 一階の電気消えてる…? あ、でも幼馴染ちゃんの部屋は灯りが着いてるね。呼び鈴押してみよっかな──」


…ピーンポーン


【クリスマス閑話おわり】

すまぬ…本編もがんばる

弟「メリー…」
幼友「‥‥」
男「い、いらっしゃい」(ヨレヨレ)
幼馴染「い、いらっしゃい」(ツヤツヤ)


……………
………



男「テーブルセットもコンロの火もバッチリ」

幼馴染「ちょうど夕日が綺麗な時間帯、雰囲気も素晴らしいです」


弟「焼こう焼こう、お腹減ったよ」

幼友「開けよう開けよう! 喉渇いたー!」

従妹「ウチ、ファンタなー」

男「ではそれぞれ飲み物を手にもって…」


…プシッ、パキュッ


一同「「かんぱーい!!」」


幼馴染「塩ダレのものから焼いていきます」ジューー…

従妹「ええ音やなー」


幼友「…ぷっはー! 堪りませんなぁ! 次もビールでっ」

弟「はやっ! ひと口じゃん!」

男「はい次つぎ、二本目」ヒョイ

幼友「どもー」パシッ

弟(そのおっぱいってアルコールでできてるのかなー…)


従妹「兄ぃに、真ん中らへんもう焼けてんで、お皿貸して」

男「ありがとうございます」

従妹「はい、どーぞ」ニコッ

幼馴染(むっ…)ジトー


茶髪「──ばんわーっす」

金髪「ちょっといい?」


幼馴染「ん?」

従妹(ガラ悪そうなタイプやな…)

弟「こんばんは」スッ…

男「はい、こんばんは」ススッ…

幼馴染(おお…)

幼友(ちゃんと二人とも、私達三人を庇うように体勢とるんだ)


金髪「…やだなー、そんな警戒した感じやめてくれよ」

茶髪「そーそー、せっかく隣でバーベキューやってんだし?」


弟(隣か…向こうは向こうで女の子連れだな……心配はないか)チラッ

男「…で、隣の方々が何か用でも?」

茶髪「ぜんぜん警戒解いてねーし」

金髪「まーまー、仕方ねーべ。俺らが用があんのは…」


幼友&従妹「ん?」


茶髪「そこのたゆんたゆん」

金髪「じゃなくて──」


幼馴染「はい?」


茶髪「やっぱそーだな」

金髪「ああ、このつるっとした方の女の子、間違いないわ」


男「…あいにく、その壁…じゃなかったその娘は俺の相方ですが」

幼馴染「実にわざとらしい言い直しです」イラッ

従妹「………」ムスッ


金髪「あー、別にナンパとかじゃねーから」

茶髪「ただ渡したいモンがな──」


──ドチャッ


幼友「これ…!」

幼馴染「おぉ、アワビやサザエ…」

弟「うわ、すごい」

男「……もしかして?」


金髪「昼間はホント、悪かった」

茶髪「俺達が水上バイクで水浴びせて、その娘の浮き輪ひっくり返しちゃったんだ…」

男「なるほど、やはりあの時の」


金髪「起こしに行こうかと思ったんだけど、彼氏さんすぐに来たからさ」

茶髪「ちょっとバツが悪くて…逃げちゃって」

従妹「まあ、そっちのエリア入っとったけどな」

幼馴染「あれは私も不注意でした」


茶髪「でもここの海水浴場、ブイとロープしかないからよくあるんだ。子供とかも入ってきたり」

金髪「境の辺りでは気をつけてるつもりだったんだけどさ、お詫びにそれ食っちゃってよ」


男「……しかし、これは密漁にあたるのでは?」

茶髪「いや、そこは大丈夫」

金髪「俺の親父、地元の漁師だから。それもここで採ったんじゃなくて親父に分けてもらった」


幼友「ひゃっほう、焼こう焼こう!」

幼馴染「では遠慮なく、頂きます」

男「これは高級品です」

弟「すごいなー、こんなのいるんだ…」

茶髪「アワビは滅多といないけど、このへんウニは禁漁対象になってないから潜って採るといーぜ」

金髪「そーそー、俺らもよく採るんだ。ゴロゴロいるからさ」


『──兄ぃに、私アワビ食べたい!』

『わかった、探してくるよ。今のウニを割っといてくれ』

『うん、サザエは火にかけといたらいい──?』


従妹「アワビ……ウニ…」ボーーッ

幼友「…従妹ちゃん?」

茶髪「ん?」

金髪「その子がパーカーのポケットに入れてるのって…」


…キイイィィン


弟「ああ、従妹ちゃんそのキバ持ったまんまだったんだ?」

従妹「うん…」


茶髪「──それ、もしかして人魚のツノじゃね?」


男「人魚?」

幼馴染「キバじゃなくツノですか」


茶髪「地元の昔話なんだわ。昔、この辺に人魚の兄妹が暮らしてたって」

金髪「でも兄が死んで、帰りを待つ妹も後を追うように死んじまったっていう悲しい話なんだけどさ」

従妹「……っ…」ドクンッ


幼友「人魚にツノがあるのかー」

男「本当にこれがそうなら、すごい発見です」

幼馴染「それほどでも」フフリ

弟「あの隙間を通れる人じゃなきゃ見つけられなかったね!」

幼馴染「てーい」ゴスッ

男「痛っ! なんで俺…!?」

幼馴染「弟君を殴るのも気が引けます」

年内はとりあえずここまで
よいお年をー

ごめん、またしても閑話だ


……………
………


…数年前


男(──大晦日かぁ)

男「………」チラッ

男(今夜は幼馴染、遅いな)

男(そろそろ窓が開いて──)


カラカラカラッ……
…トンッ


幼馴染「お邪魔するよー」フゥ

男「お邪魔する前に言えないのか」クスッ


幼馴染「大晦日だね」

男「うん」


幼馴染「今年も一年、お世話になりました」ペコッ

男「どんな風に?」

幼馴染「意地悪だなー、うーん…」


男「俺は…オカンがいない時のメシとか、寝坊しそうな朝の叩き起こしとかな、世話になったと思ってる」

幼馴染「お、嬉しいねぇ」

男「……正直、俺がお前を世話した記憶はあんまり無いんだよな」

幼馴染「そんなことないよ」


男「だから、どんな風に?」

幼馴染「うっ」

男「……困らせるくらいならいいけど」

幼馴染「そ、そんなことないよ。えっとね、ほら、その…」

男「………」ニヤニヤ


幼馴染「うん…なにより、この時間だよ」

男「時間?」


幼馴染「ここ、男の部屋で過ごす時間。すごくくだらないこといっぱい話して、ゲームしたり本読んだり気ままな時間を過ごして」

男「うん」

幼馴染「眠くなったらベッド借りて寝て、その間に男が宿題写したり」

男(こっそりパンツ見たり)

幼馴染「そういう何気ない毎日で、ずっとお世話になってるよ?」ニコッ


男「……くっ」プイッ

幼馴染「?」

男(ズルいって、その笑顔は)ドキドキ


幼馴染「……来年もよろしくね?」

男「おぅ」


幼馴染「ただ…」

男「…ただ?」

幼馴染「やっぱり中学も三年生になると、当たり前なのかな」

男「あー…」

幼馴染「小学校の頃はそれで誰も何も言わなかったのにね」


男「確かに……なんか、俺ら一緒にいすぎて冷やかされまくりだなー」

幼馴染「それが嫌なら、喋り方だけでもよそよそしくしてみる? …なーんて」

男「ははっ…面白いかも」


幼馴染「ね、ちょっとウケるでしょ?」

男「解りました、それでいってみましょう」

幼馴染「なんとなく、これはこれでくすぐったいです」

男「けっこう幼馴染のキャラに合っている気がします」

幼馴染「ご冗談を」


男「あ…ちょうど、12時」

幼馴染「明けましておめでとう、男」

男「おめでとう……でも、ついさっき決めただろ?」

幼馴染「あ、そっか」


男「明けましておめでとうございます、今年もよろしく」

幼馴染「いえいえ、こちらこそ」


男「もうちょっとしたら、初詣でもいきますか」

幼馴染「はい、喜んで」

男「……変なの」プププッ

幼馴染「ひっど」クスクス


男「よし、これから徹底しましょう」

幼馴染「解りました、よろしくお願いします」

男「いえいえ、こちらこそ」

幼馴染「………」クスッ

男「………」ププッ


幼馴染(よそよそしく見せるため……かぁ)

男(逆だよな、こんな約束…こんな変な決まりごと、幼馴染とじゃなきゃできっこない)

幼馴染(……これが私達の特別)

男(いっそ、俺らの関係の形になれば──)


幼馴染「男、初詣で何か願う事は決めているのでしょうか?」

男「いいえ、これから考えます」

幼馴染「なるほど」


男(……願わくば)

幼馴染(男が、私だけを見てくれたら──)

まじかよ、最後1レスが投下できねえ

………


男「──幼馴染、はぐれないように」

幼馴染「手を繋がないのが悪い、保護監督不足です」

男「はいはい、手を出して…」スッ

幼馴染「…ん」ギュッ


男「………」ペコッ…

幼馴染「………」…パンッパンッ

男(今年も、幼馴染と変わらぬ時間を過ごせますように──)

幼馴染(今年も、男と……)


男(……いや)

幼馴染(弟君も幼友も、少女ちゃんも少年君も、従妹ちゃんも──)

男&幼馴染(楽しく、釣りに興じる事ができますように)

男(──そして幼馴染が)

幼馴染(豊かな膨らみを得られますように──)

うわ、やっと最後1レスが投下できた
あけましてーい、おめでとーう

>>391
幼馴染「お邪魔するよー」

男「お邪魔する前に言えないのか」

幼馴染「だって男が変なDVDとか観てたらいけないし」

ではないのか

この>>1は釣りに詳しいのかな?
どれくらい釣りするのか気になる

>>413
胸を張って「まずまず詳しいよ」と言えるのは最近ではヘラ釣りくらいかな。あとはひと昔前のバス釣り

ヘラ>バス>船マダイ・シーバス・メバル・海のお手軽釣り(チョイ投げ・ウキ・チヌボンボンなど)>渓流ミャク釣り>その他もろもろ

話に出した釣りはフライ以外は下手の横好き程度の経験はある感じ


本編>>383からの続きです


従妹「………」ボーーッ

幼馴染「従妹ちゃん?」

従妹「…ツノ……兄ぃに……」ブツブツ

男「ん、呼ばれましたか?」


弟「すっかり兄ぃに気取りだね」

幼友「茶化さないことーう」ゴスッ

弟「うぐっ」


幼馴染「どうもツノを手にしてから従妹ちゃんの様子がおかしい気がします」

幼友「そんな感じだね…」

弟「従妹ちゃん、それ渡してくれる?」

従妹「…嫌」フルフルフル

四人「………」


……………
………


…夜、テントの中


男「ZZZzzz…」グーー

幼馴染「ZZZzzz…」スヤスヤ

弟「ZZZzzz…」スー…ピー…

幼友「ZZZzzz…」ゴロン、タユーン


従妹「………」ムクッ

従妹「兄ぃに…どこ…」ゴソゴソ

従妹「いた、兄ぃに……」モゾモゾ…

従妹「ん…?」ポフッ


幼馴染「む…男ったら……そこばかり…」ムニャムニャ

従妹「………」


従妹「兄ぃに…返して」ユサユサ

幼馴染「…次…は…挟んであげま…」ニヘラ

従妹「返して」ボフボフ

幼馴染「ほんと…おっぱい好き…なんだ…から……」スヤァ…

従妹「……っ!」ムカッ


ドンッ──!

幼馴染「──痛っ…!?」ガバッ


従妹「兄ぃにが好きなのはそんな壁じゃないっ!」キッ…

幼馴染「従妹ちゃん…? なにを──」

従妹「──兄ぃには私の! このおっぱいが好きなの! だから貴女の身体には入らなかったのにっ!」

幼馴染(身体に入る…? 似非関西弁じゃない…?)


弟「ふわ…どしたの…?」ムクッ

幼友「うるさいぞー…もぅ…」

幼馴染「従妹ちゃんがおかしいです」


従妹「早く兄ぃにから離れて!」ギロッ

幼友「その喋り方…どうしちゃったの、従妹ちゃん…」

幼馴染「わかりません」

弟「何か乗り移ったみたいだなー」


男「うぅ…騒々しい…どうしましたか──」ゴソッ

従妹「──兄ぃに!」パァッ

男「はい…?」

従妹「行こう! 兄ぃに!」パシッ


男「へ? どこに…」キョトン

従妹「帰ろうよ、早くっ!」グイグイ

幼友「帰る…?」

弟「地元に帰りたいのかな」

幼馴染(……身体に入る…憑依……幽霊…?)ハッ──


『──それ、もしかして人魚のツノじゃね?』

『地元の昔話なんだわ。昔、この辺に人魚の兄妹が暮らしてたって』

『でも兄が死んで、帰りを待つ妹も後を追うように死んじまったって──』


男「ちょ…従妹ちゃん、どこへ行こうというので──」

従妹「──海! 私達の岩場だよ!」

男「わわ、引っ張らないで…」フラフラ


幼馴染「岩場…『私達』…もしかして」

幼友「どしたの?」

幼馴染「あの人魚のツノ…従妹ちゃんに人魚の妹が乗り移っているのでは」

弟「えー? そんなオカルトあるかなぁ…」


幼友「どうすんの、テント出てっちゃったよ!?」

幼馴染「とりあえず追うしかないです」ザッ…!

弟(そうだったとして、妹のおっぱいが好きな人魚の兄かぁ…)

幼友「弟くん、置いてくよ!」

弟「あーい」


………


ザアアァァ…サラサラサラ…


男「従妹ちゃん、目を覚ましましょう! こんな夜中にどうするんです…」ザッザッ

従妹「穏やかな海…あの日もこんなならよかったのに」


男「やれやれ…浜辺まで来て気が済みましたか」フゥ

従妹「まさか、早く行こう! ほら!」グイッ

男「うわっ!?」フラッ…ドボーン!


従妹「もう…人間の身体って泳ぎにくいな…」バシャバシャ

男「従妹ちゃん…いい加減に…っ!」ザバァッ

従妹「あ…!? 兄ぃに、なんで…早く沖にいかなきゃ追ってくるよ!」フリフリポヨンポヨン

男(くっ…! 薄パーカー濡れ透けノーブラ巨乳JC…!? シチュ盛りすぎです!)


幼馴染「男っ!?」ザッ

幼友「わっ、海に入ってる!」

男「みんな…!」


幼馴染「岩場が近いから心配しました、怪我はなさそうです」ホッ…

幼友「どうしちゃったの、従妹ちゃん…早く着替えようよ」


従妹「くっ…来ないでっ!」ムギュッ


男「はぅあ、若さ故の弾力」ズキューン

幼馴染「殺す」

弟「大丈夫、僕は少しだらしないくらいも好きだよ」フンス

幼友「殺す」


従妹「ほら、兄ぃにっ!」グイッ!

男「わっ」ドンッ


…ポロッ…チャポンッ

従妹(しまった! ツノが…っ)フラッ…


男「どうしたんです、しっかり」

従妹「兄ぃ…に…」カクン…ザブンッ

幼友「従妹ちゃんっ!」


男「大丈夫、膝をついただけです。ふぅ…びしょびしょになりました」

幼馴染「さっき男がぶつかった時、ツノがポケットから落ちたようでした」

幼友「だから落ち着いたのかな」

男「どういう事でしょう?」


幼馴染「…従妹ちゃんには、そのツノに宿る人魚の妹の魂が乗り移っていたのではないかと」

男「人魚の妹…」

弟「信じ難いけど、ツノが離れたから魂が抜けたとか?」


幼友「どうしよう、そのツノ捨てちゃう?」

男「人魚の妹だというなら、男性が持っていれば大丈夫なのではないでしょうか」ザブッ

弟「……どう? 拾い上げて平気?」

男「なんともないな」フゥ…

幼友「よかったー」


男「弟、従妹ちゃんを抱えるの手伝ってくれ」

弟「僕がおんぶしようか?」ハアハア

男「動機が不純だから却下だな。とにかくこのツノ、女性陣は触らないように」


幼友「あれ? でも、最初に触ったのは幼馴染ちゃんだったのにね」

幼馴染「そういえば」ハッ──


『──兄ぃにが好きなのはそんな壁じゃないっ!』

『だから貴女の身体には入らなかったのにっ──』


幼馴染「……たぶん私は触っても平気だと思います」フルフルフル…

幼友「?」


ここまで、できるだけペース上げます


………



『──妹、もう少しこっちで…雨があたってしまう』


『兄…ぃに……ごめん…ね…』ハァ…ハァ…

『いいから、今は休んで。身体をよくする事だけ考えるんだ』ナデナデ


『寒い…よ…』ガタガタガタ

『待ってろ、焚き火を強くする』パチンッ…メラメラ

『ありがと…』ハァ…ハァ…


『ほら暖まって、ぬるま湯かけるぞ』パシャッ…

『兄ぃにも…鱗…渇いちゃうよ…』ゲホッ…コンコンッ…

『俺は大丈夫だから』


ビュウウウゥウゥゥ…ザアアァァァ…


『……時化、おさまらない…ね…』ハァ…ハァ…

『くそっ…もう六日だぞ』


『うっ…!!』ピキッ

『……っ…!!!』


『はぁ…はぁっ……ツノ…ヒビが入っちゃった……私、もう…』

『ちくしょう、せめて熱がひけば…っ!』ガンッ


『………』ハァ…ハァ…

『妹…待っててくれ』ザッ

『兄ぃに…?』


『…薬を買ってくる』

『だめ…だよ……この姿のままじゃ、人の里には…』

『浜辺に着いたら人に化ける。遅くなるが心配はするな、秘術が切れたら戻る──』


──ドボーン


『兄ぃに…』

『……明日の晩まで…独りかな…』ハァ…ハァ…

『寂しい…な…』ゲホッゲホッ


『でも…待たなきゃ……』ハァ…

『人の姿じゃ…こんな時化た海……』

『……兄ぃ…に……無理…しない…で──』


ザアアァァァ…ザザーン…サアァァ──

……………
………


…翌朝


幼馴染「………」シャコシャコ


幼友「おはよー」フワワ…

幼馴染「おふぁおぅおふぁいふぁふ」シャカシャカシャカ


幼友「…昨夜はびっくりしたね」パカッ

幼馴染「ふぁい」ゴシゴシゴシ

幼友「人魚のツノってのが本当なのかは解んないけど……私、変な夢みたんだ」ニュー…

幼馴染「わふぁひもぇふ」カシュカシュカシュ


幼友「病気…? 弱った人魚の妹と、それを看病したり薬を買いに行こうとする兄の夢だった」カプッ

幼馴染「おぁひえふ」シャカシャカ…

幼友「やっはひほぉあんふぁ」ゴシゴシタユタユ


幼馴染「あうぇあうぃんよおふぃおふ…?」ガシガシガシ

幼友「ふぉうあもひえふぁいえ」クシュクシュプルプル

幼馴染「ふぁあひいあぁひえふ……」シャコシャコ……ベーッ


男「なぜ意思の疎通ができるのでしょう」

幼馴染「ん、ん……んぁおー」ゴロゴロゴロ…ベッ

男「うがい終わってからでいいです、おはようございます」


幼馴染「おはようございます、男は何か夢をみましたか?」フキフキ

男「病床に伏せた人魚の妹と、それを世話する兄の夢なら」


弟「ふぁ…おはよー、僕もみたよ」

幼馴染「やはり」

幼友「うぃんあおぁいあんぁ…」カシュカシュタユタユ


男「なんと言ってるのかは判りませんが、どうぞごゆっくり」

弟「なんならもっと大振りな動作で磨いてみよっか」ハアハア

幼友「ふぁ、まうぁゔ


幼馴染「おはようございます、男は何か夢をみましたか?」フキフキ

男「病床に伏せた人魚の妹と、それを世話する兄の夢なら」


弟「ふぁ…おはよー、僕もみたよ」

幼馴染「やはり」

幼友「うぃんあおぁいあんぁ…」カシュカシュタユタユ


男「なんと言ってるのかは判りませんが、どうぞごゆっくり」

弟「なんならもっと大振りな動作で磨いてみよっか」ハアハア

幼友「ふぁ、まうぁうあひふぇあふぁっは!」タユーン


幼馴染「私もまだですが」

男「………」

弟「………」

幼馴染「なにが? くらい訊けよ」

すんません、>>451は無しで


幼馴染「みんなが同じ夢をみるとか……」

幼友「やっぱりあのツノの影響としか思えないね」

弟「本当に人魚のツノなのかぁ」


男「……おや?」

従妹「あ…あの……おはよう…」


幼友「従妹ちゃん!」

幼馴染「調子は? なんともないでしょうか」

従妹「うん、平気やで」

幼友「似非関西弁……よかった、いつもの従妹ちゃんだ」ホッ…


弟「昨夜のことは覚えてるの?」

従妹「うん…なんかぼんやり覚えとる。その後みんながみたんも、人魚の兄やんが薬買いにいきはる夢?」

幼馴染「そうです、時化た海に人魚の兄が飛び込むところまで」


従妹「……ウチ、たぶんみんなより鮮明にその夢みとると思う。人魚の妹ちゃんの記憶、ちょっとだけ残っとると思うん」

男「ほう?」

従妹「二人はほんまの兄妹ちゃう。子供の頃から一緒やったろうけど、ええ仲なんや」

幼馴染(実の妹の胸が大好物なわけではないと)


従妹「人魚の兄やんは結局、妹ちゃんのとこへ戻られへんかったんやと思う」

男「夢の記憶からして、恐らくは急ぐ余り人間の姿のまま……」

幼友「荒れた海を戻ろうとした…?」

弟「いたたまれない話だね」


従妹「妹ちゃん、兄やんを探しとんねん。ずっと…今でも」


幼馴染「……では私達も探しましょう」

幼友「え?」

男「うん、俺もそう考えていました」


弟「探す? なにを…?」

幼馴染「兄のツノです。帰る際、荒れた海で命を落としたならこの海岸にあるかも」

幼友「うーん……見つかるかなぁ」

男「難しいとは思います。でも……」チラッ

従妹「ん?」


男「従妹ちゃんに人魚の悲しい記憶が残っているというなら、なにもせずにはいられません」ニコッ

従妹「……おおきに!」パァッ


男「おそらく夢でみた洞穴のようなところは、幼馴染だけが入れた岩の小島の中でしょう」

幼馴染「間違いありません、ツノを見つけたところそのものでした」


幼友「人魚のお兄さん、どのへんまで戻れてたんだろう」

従妹「もしかしたら、あと一歩のところやったかもしれへんで」

男「うん、あの岩を中心に海岸側を探すべきでしょう」


弟「………」

幼友「どしたの、弟君…?」

弟「うん、ちょっと……探す範囲を狭める方法をね、考えてた」

幼馴染「ほほう」


男「俺によく似て品性はありませんが」

弟「ちぇっ」

男「でも、この中の誰より頭の出来はいいはずだ。しっかり考えて教えてくれ」トンッ

弟「……OK、期待してて。昨日分析した、幼友ちゃんのおっぱい等高線データくらいオマケにつけるよ──」ニッ


………



幼馴染(──とはいったものの、そう簡単に見つかるわけありません)スー…ハー…

幼馴染(浮き輪で漂い、シュノーケルを使って呼吸しているだけ、楽なものではありますが)

幼馴染(背中だけ日に焼けそうです)スー…ハー…


幼馴染「ぷはっ…」ザバッ

幼馴染(今度は水上バイクのエリアからも離れてます、迷い込む心配もないでしょう)

幼馴染(よっ…と)ザブン

幼馴染(……ツノ、砂に埋まったりしていなければいいのですが)スー…ハー…


幼友(このへん深いな、底が見えないや)スー…ハー…

幼友(うぅ…深い青へのグラデーションってめっちゃ怖い)ゾクッ

幼友(こんな時、手の届くところに…って)スー…ハー…

幼友(うん……前は、その対象として男さんを思い浮かべてたりしたっけ)


幼友(いつの間にかだよ、驚きだよ)スー…ハー…

幼友(私、今すごく自然に、弟君がいたらな…って思った)

幼友(ええい、なんてこった! あのおっぱい星人二号に惚れてるじゃないか!)ブフォッ

幼友「ぷっは! けほっ…けほっ」ザバァッ


幼友(自分で吹き出して水飲んじゃうとか、格好わる…)フゥ…

幼友(……よし、底が見えないとこ泳いでてもダメだよね。向こう行ってみよ)ザブンッ


従妹(待っててや…人魚の妹ちゃん、兄やんのツノ見つけるさかいな)スー…ハー…

従妹(岩場で独り、身体もしんどいのに彼の帰りを待っとったんやな)

従妹(寂しかったやろ……もう大丈夫やからな、必ず見つけたる)スー…ハー…


『ウチ、兄ぃにと一緒がいい』


従妹(なんや少しだけ覚えとるけど、昨日はえらい恥ずかしい事しとったし言っとったなぁ…)スー…ハー…

従妹(せーでも…)


『従妹ちゃんに人魚の悲しい記憶が残っているというなら、なにもせずにはいられません』


従妹(兄ぃに……か──)


男(──あれは…揺れてる、海藻か)スー…ハー…

男(なにもせずにはいられない……そうは言いましたが、見つかる可能性は低いな)


男(もし人魚の兄が人の姿で溺死したなら、流されてしまっているかも)スー…ハー…

男(でも、ここら辺を探す以外にできる事もないし)

男(三人は…?)ザバッ


男「ふぅ……ちゃんと三人共いるでしょうか?」キョロキョロ

男(……あのスク水のお尻が従妹ちゃん、あっちの魅惑的なお尻が幼友ちゃん、あのちっこい尻が幼馴染…)

男(みんな真面目に探してます。あると信じて頑張るしかないか──)クスッ


………



弟(さて…大見得を切ったはいいものの、全然考えは纏まってないんだよね)テクテク


弟(今向かってる岬の奥に覗いてるのが、幼馴染ちゃんがツノを見つけた岩の小島)

弟(人魚の兄が泳ぎ難い人間の姿で戻ろうとしたなら、最短距離をとるために岬から海に入った可能性はある…)

弟(その場合、探すべきは小島の周囲から岬の向こう側あたり)


弟「よっと」ヒョイ…スタッ


弟(そんな事は解りきってるんだ。ほら、今も四人はそこを探してる)ザッ…ザッ…


弟(ただ、この岬……幼馴染ちゃんを探して焦る兄ちゃんはそこから飛び込んだけど、小島に近い先端は相当な高さだった)

弟(もし海が激しく荒れてたら、岩に砕ける波は東映映画のオープニングばりの迫力だろうなー)

弟(そして岬は先に行くほど高くなってて──)


ザザーン……サアアァアァァ…ザブーン…


弟(──逆に根元の方、小島のある側は急なカケ上がりのゴロタ浜になってる)

弟(波の高い日にここから入ろうとしても、押し戻されて打ち上げられるばっかだろうな)


弟(じゃあ、小島があるのと反対側? つまり昨日、僕らが釣りをしながら漂ってた側は……)クルッ

弟(……岬の角度からして波の裏になる。比較的安全に海に入れて小島までの最短距離なのは、ここからのルートだ)

弟(次に兄ちゃん達が上がってきたら、こっち側を探すように言ってみよう)


弟(ただ、当然だけど確信はない……まして人魚の兄が亡くなった後、その場で沈んでるって可能性はどのくらいあるんだろう)

弟(その亡骸は海を漂って──)


弟「──亡骸…?」ハッ


弟(亡くなった後、人間の姿から人魚に戻るのかは解らないけど…人魚にしたって上半身は人間に近い姿なんだろう)

弟(つまり骨格だって、その骨の質だってそうなんじゃないか?)

弟(だとしたら小島に人魚の妹の骨が無かったのはなぜだ? 幼馴染ちゃんはなにも言ってなかった)


弟(海岸のはずれにある孤島…その洞穴の中で骸骨なんか見つけたら、幼馴染ちゃんはチビるはずだよね)

弟(それをツノを持って出てきたって事は、骨は無かったんだ。どうして…?)

弟(人魚……伝説上の生き物だけど、世界各地に話は残ってる。その形態も様々だろうけど)


弟「………」スッ…

ポチッ、スススッ…スーッ

『検索:人魚_○○県_日本海_伝説』

…トントンッ、サッ…スーッ


弟(あった…!)

弟(『○○県○○地方に伝わる人魚の話』…これだ)スッ

弟(大正時代くらいからの言い伝えなのか……そこまで古くはないんだな。なになに…)


弟(『病に倒れた妹を救おうとした人魚の兄は人間に化け、漁村【現在の○○町】で魚との物々交換で薬を買った』)

弟(『しかし気が急くあまり人間の姿のまま大時化の海へ入った兄は、溺れて死んでしまう』)

弟(『この地方では人魚は死ぬと額の角だけを遺して灰になると言われ、また人魚の角は石ほども重いという』)

弟(『故に現在でも兄妹の角は流されず、海岸のどこかにあると伝えられている──』)


弟「……これが本当なら、やっぱりツノは探せばあるんだ」


弟(もちろん幼馴染ちゃんが見つけた、あれが本物のツノだって保証はない……けど…?)

弟(……じゃあ、なんでだ? そりゃ、それっぽいと思っただけかもだけど)

弟(アワビをくれた人達は……あれを一目で『人魚のツノだ』と言い当てた──)


………



幼友「ふわぁ…疲れたぁ」ザバァッ

男「いくら浮き輪で漂うだけでも体力は消耗します。少し岬に上がって休みましょう」

幼馴染「お腹が減りました。昨日の釣り大会の景品を所望します」

男「くっ……覚えてやがりましたか」チッ


従妹「あ、弟っち」

弟「お疲れ様、待ってたよ」

男「……いい顔してるな」クスッ

弟「ふふん、期待しといてって言ったよ」ニヤリ

従妹「ほな…!」パァッ


弟「ほぼ解ったよ、ツノの在処は。それを完全に絞り込むために──」チラッ

幼友「ん?」

弟「──幼友ちゃん、協力してくれる?」


………



幼友「なんで私だけなの? シュノーケルも要らないとか」チャプチャプ

弟「うん、僕が幼友ちゃんの浮き輪引っ張りながらこのへん泳ぐだけでいいんだ」バシャバシャ

幼友「ふーん…?」


『──ああ、実は見た事あんだよね。あれに似たツノ』


弟「んー、もっちょいこっちだったかな…?」バシャバシャ

幼友「そんなに細かい見当がついてるの?」


『ちょうどアンタらが釣りして泳いでた辺りでさ、ウニ採ってたんだわ』


弟「昨日、プチ釣り大会をおかわりする前に釣ってた辺り」バシャバシャ

幼友「ああ…恥ずかしい思い出が…」クッ…


『そしたら見つけて、しかもすげえ事まで解ったんだよね』


弟「うーん、ハッキリは覚えてないもんだなー」バシャバシャ

幼友「そりゃ、あの時は探し物する事になるとか思ってなかったもん」


『そのツノ、オトコが持つと頭がボーッとするから怖かったし、親父に怒られたから元の辺りに返したんだけどさ』


弟「ん…? ぷぇっ! ぺっ! 浮き藻が…」バシャッ

幼友「うわ、やだっ! アマモ…?浮き輪に纏わりついてるじゃない」


『すごかったんだぜ? 女の子が持ったり近くにいたりするだけでも、なんでか原因は様々でも──』


弟「藻、とるよ」グッ

幼友「うん……って、わっ!? えっ、ちょ…待ってっ! なんでこの藻──」ジタバタ


『──必ず、おっぱいポロリするんだよね』

幼友「だめっ! 水着の紐に絡まってるからぁっ!」シュルッ


プルッ、タユーン…


幼友「ふわ…やっ…ぁ…」フルフル

弟「くそっ! 目を逸らしたいのに言う事をきかない!」ジーーーッ

幼友「見るなぁっ! あっち向け! もうっ!」ガバッ

弟(くっ…浮き輪で隠されたか、もっと目に焼き付けたかった…)クッ


男「弟ー、なにかあったかー」

弟「兄ちゃん、この下みたいだ! たぶんツノがある!」

男「深さはー!?」

弟「ちょっと待って、一度潜ってみる!」ザブンッ


弟(うわー、けっこう深いなー…)ブクブク

弟(ん…? あの岩の隙間に落ちてるの、ツノっぽいぞ…!)

弟(いけるかな…いったん息継ぎに浮上するか──)クルッ


弟(──なにィッ!?)ゴハッ


弟(なんと……浮き輪に隠された果実…下からはノーガードじゃないかっ!)

弟(必死に水着を結ぼうとしてるけど、まだまだかかりそう)

弟(あっ、あっ……手を後ろに回したらもっと強調されて……!)

弟(僕、もうこのまま溺れてもいいや──)ブクブクブク…


幼友「はうぅ…やっと直せた……」グスッ

幼友「…って、あれ? 弟くんまだ上がってきてないの?」キョロキョロ

幼友「嘘、まさか…溺れて…」ゾッ…

幼友(どうしよう、ゴーグルしてくれば水中を確かめられたのに…)


幼友(弟くん…大丈夫なの? ツノ見つけたのかな…)ドキドキ

幼友(でも人魚の妹のツノを女の子が持つと従妹ちゃんみたいになっちゃうんだから)

幼友(お兄さんのツノを男の人が持ったら──)


──ブクブクブク、ザバァッ


弟「ぷっは……!」ゲホッ、ゲホッ


幼友「弟くん!」

弟「けほっ、けほっ…!」ハァ…ハァ…

幼友(ツノ持ってる…!)

弟「はぁ…はぁ…」フゥ…


幼馴染「弟君、ツノを手に持っているようです」

従妹「すごいやん!」

男「弟…あいつ、無理しやがって」

幼馴染「昨夜の従妹ちゃんのようにならなければいいのですが…」


幼友(どっちなの……人魚のお兄さんに意識を乗っ取られて…?)ドキドキ

弟「ごめん、心配させたかな……大丈夫だよ」ニコッ

幼友「弟くん…! よかった……」ホッ…


弟「水着、直せた? 早く陸に上がろう」チャプチャプ

幼友「ツノを手に持ってても平気なの…?」

弟「うん、なんか力みたいなのが伝わってくる感じはするけどね」

幼友「私が持とうか?」

弟「僕なら大丈夫、意識を乗っ取られたりはしないよ」

幼友「そっか…」


弟「むしろ今は、すごく理性が働いてる──」ニコッ

幼友「な、なんかスッキリした顔してるね?」

弟(──なぜなら、賢者タイムだからね)フッ…


………



男「お疲れさん、よく見つけたな」

弟「へへ…幼友ちゃんのおかげだけどね」

幼馴染「なにもしていなかったような」

幼友「訊くな」ハァ…


従妹「で、弟っちそれ持ってはるけど平気なん?」

弟「うん、今のところ」

幼友「でも早めに手放した方がいいんじゃない? 男さんは立ち直りも早いって聞いたよ……ね、幼馴染ちゃん?」

幼馴染「はい?」


弟「そうだな……誰に渡すべきだろう」

男「それもだし、二本揃ったところでどうするって話だな」


従妹「二度と離れんように結んどいたらどないやろ?」

幼友「それでどうするの?」

幼馴染「……海に投げ込むくらいでしょうか」


男「あまり浅いところでは、また誰かに拾われてバラバラになる可能性も」

弟「沖の方まで浮き輪で行って沈める?」

従妹「遊泳範囲のブイから出たら怒られるで?」

男「それにあまり沖だと底引き網にかかるかもしれません」


幼馴染「私達の地元に持って帰って……」

幼友「でもやっぱりこの海で二人一緒っていうのが理想じゃない?」


男「人魚の兄妹が生まれ育ったこの海岸で」

弟「浅いところじゃなく、沖の方過ぎもせず?」

従妹「誰にも見つからへんところ…」


幼友「あ、わかった」

弟「うん、僕も思いついた」

従妹「ウチもー」

男「それなら持っていける人は、ちょうどツノを二つとも持てる人しかいません」


幼馴染「はい──?」


………


…岩の小島


男「──では、幼馴染…頼みました」

幼馴染「あ…あの……洞窟の中で人魚の妹が亡くなったとか知ると怖いのですが…」フルフル


幼友「心配ないよ! 私達ずっとここにいるから!」ニコッ

従妹「せやせや、なんやったら歌っといたるで?」フンスフンス

弟「なにかあったら大声出してね」ウンウン

幼馴染「入っても来られない癖に……」ハァ…


幼馴染「ではいってきます…」

男「化けて出ても『破あぁぁーーっ!!』と叫べば大丈夫です」


幼馴染(よっ……と、私でも相当ギリギリなわけですが)ズリズリ

幼馴染(岩肌にフジツボとか貝が無くてよかったです)

幼馴染(でもけっこう岩はゴツゴツ)ズリズリ

幼馴染(うぅ…怖い、でももう少し……そこの出っ張ったところを抜ければ──)


──ピッ…グイッ、ハラリ

幼馴染「ひゃ…!水着が引っ掛かって──」ペターン


兄ツノ「………」シーン

幼馴染「もしかして人魚兄の仕業…!?」

兄ツノ「………」シーン

幼馴染「化けて出てでも何か言え」チッ


…ピチョーン、ピチョーン
ザアアアァァァ…


幼馴染(うう…昨日は午後の日差しが上の穴から注いでいましたが、午前中は割と暗いです)

幼馴染(でも奥の方に光が射して…なるほど、洞窟の中の入江も水中で海と繋がっていたのですね)

幼馴染(……ええと、たしかこっちの突き当たり)ヒタヒタ

幼馴染(そこの高台のようになっているところだったはず)


幼馴染(よく見ると上面はとても滑らかです、ここに人魚の妹が寝ていたのかも)


『──明日の晩まで…独りかな…』

『寂しい…な…でも…待たなきゃ──』


幼馴染(……辛かったでしょう)

幼馴染(せめてもう二度と離れずに、ずっと一緒に休めますように)


幼馴染「よっ……と」ギュッ


幼馴染(大丈夫、しっかり結べています)

幼馴染(ではそこへ置いて──)コトッ


──フワッ…キラキラ、パアアアァァァァ…

幼馴染「ふわ…!?」


人魚兄《──おはよおっぱい》

人魚妹《ありがとうございます、細身の人》タユーン


幼馴染「えっ!? うわ、幽霊…! 破あああぁぁぁっ!!」ナームー

人魚妹《やめて浄化しないで!》

人魚兄《なにもしないから、お礼が言いたいだけだから!》


幼馴染(これが人魚の兄妹……確かにお兄さんの方、どことなく男に似ています)


人魚兄《俺も妹も互いの最期が気がかりで、ずっと成仏さえできなかった》

人魚妹《ほんの近くにそれぞれのツノがあるのに会う事もできず、長い時間待ち続けたんです》


幼馴染「これで成仏できるのでしょうか」

人魚兄《おそらくは、そしていつかは転生できるだろうと思います》

人魚妹《私達人魚はそもそも希少な生き物、それが数少ない仲間や伴侶を探すのです》


幼馴染「…だったらきっと生まれ変わっても二人はまた会えます」

人魚妹《ふふ…そうだといいなあ》

人魚兄《そのためにも、やはり別々の時に成仏してしまうのが怖かった。それでずっと留まっていたんです》

幼馴染「なるほど……」


人魚兄《だから胸の豊かな女性が近くに来ると、もしかしたら妹が乗り移っているかもしれない…と》

幼馴染「ポロリさせていた…と、しかし宿主の胸を見て判るものでしょうか」

人魚妹《いえ、判らないと思います》


人魚兄《……妹と暮らしていた時の癖でしょうか、無意識に確認していたのです。ええ、完全に無意識でした》

幼馴染「違う理由に言い直しやがりました」

人魚妹《嘘臭い……》


幼馴染「それでも妹さんは私の身体には入りませんでした」

人魚妹《それは…やはり兄ぃには胸が無い人だと意識しないと思って……》テヘ


人魚兄《こ、こら、失礼だろう。無いんじゃない、限りなく薄いだけだ》

人魚妹《ごめんなさい、成長期はこれからですものね?》

幼馴染「……成人しています」フルフルフル


人魚兄《とにかく、ありがとう。貴女達のおかげだ》

人魚妹《はい、本当に》

幼馴染「よかったです、もうはぐれないように」ニコッ


人魚兄《貴女達も元気で、あの二度も拝ませて頂いた素晴らしい胸の持ち主によろしく》

幼馴染「どう言えと」

人魚妹《私からは、あの身体をお借りした若い方に──》ゴニョゴニョ

幼馴染「──えっ」


人魚兄《では、さようなら…》キラキラキラ…

人魚妹《ありがとう……細身の人…》フワアァァッ──


──キュピーン……フッ…


幼馴染「…細身の人」チッ


……………
………


…夕暮れ時、地元の街


ブロロロロロ……

男「──もう少しで幼友ちゃんのアパートに着くぞ。後ろのみんなは?」

弟「寝てるー」ヒソヒソ


男「可哀想だけど起こそう、起きろーーー」

従妹「うぅ…なんや、着いたんか…?」


幼友「んー…おはよ…」ハッ

弟「おはよおっぱい」

幼友「わわ、ごめんっ、肩借りてた…!」アワワ

弟「ずっと貸してたかったけどねー」ニヘラ


幼馴染「ふぁ…私はまだ寝てても大丈…夫…」スピー


…ガチャッ、バタム


幼友「なんかいろいろあったねー」

従妹「でもむっちゃ楽しかったで! 来年も行こな!」

男「それは何よりでした」

弟「幼馴染ちゃん、ぐっすりだね」


ウィーーーン、フリフリフリ…


男「窓から手だけ振りやがった」

幼友「精神的に疲れたんじゃない? やっぱりあの洞窟に独りで入るのは怖かったでしょ」

従妹「何も言うてなかったけど、けっこう長く中にいはったで」


弟「じゃあ幼友ちゃん、また」

幼友「ん、また週末ね」

弟「うん……あ、あと木曜日…」

幼友「解ってる、早く家出るんでしょ? 六時半に電話したげる」ニコ

弟「あーい」


従妹「………」


男「それでは、お疲れ様でした」

幼友「はーい、ありがとうでしたー」フリフリ

従妹「………」

男「……?」


幼友「従妹ちゃん、どしたの?」

従妹「えと…その…」モジモジ


幼友「……弟くん、ちょっと」

弟「あい?」

幼友「いーから」グイッ


従妹「……あ、あのな」

男「何でしょう?」

従妹「海…連れてってくれておおきに」

男「お安い御用です、俺も楽しかったです」


従妹「それでな…えっと……これから──」モジモジ

男「…はい」


従妹「──兄ぃに…って呼んでも構へん…?」

男「え…」

従妹「ご、ごめん、男っちの親戚でもあらへんのに…変な事言うて!」アセアセ


男「…いいでしょう」ポンッ

従妹「ふぇ」ビクッ

男「この歳になって妹ができるとは、ちょっと緊張しますが」ナデナデ

従妹「……おおきに! また遊んでな、兄ぃに!」パァッ


………



男「──結局、幼馴染はずっと寝てるし」

弟「仕方ないよ、家に着くまで寝かしといてあげたら?」


幼馴染「………」


《──私からは、あの身体をお借りした若い方に、伝言を》

『…えっ?』

《私の影響だけでなく、あの時に兄代わりをして頂いた方を頼りにしているようでしたから》

『それは、どういう…』

《さあ…もともと兄が欲しかったのか、それとも……とにかく『がんばって』とお伝え下さい──》


幼馴染(……おのれ、中学生め)

幼馴染(がんばらなくていいです、ふーんだ──)


男「釣りロマンを求めて」幼馴染「夏のビーチ時々釣り編です」

【おわり】

不思議なのは、昔ゎ人魚妹や人魚兄者は出入りしていた筈なのに今は細い人ぢゃないと出入り出来ない事だよね。

てか、得手してソノ手の洞窟ゎフナムシが“ワサワサ”住んでるモンですが(^_^;)

>>523

>幼馴染(でも奥の方に光が射して…なるほど、洞窟の中の入江も水中で海と繋がっていたのですね)

>>506のこの描写で勘弁願えまいか
フナムシは…いるよね

次はもうちょっと本腰入れて釣りさせなきゃとは自分でも思ってる
でも今少し待ってやって下さい…


幼友「──お邪魔さまー」

幼馴染「いらっしゃいませ」モグモグ


幼友「わ、すごいイチゴの山」

幼馴染「よかったらどうぞ、パイナップルもあります」モグモグ

幼友「イチゴは時季が過ぎかけで、ちょっと安くなってるもんね」

幼馴染「まさに旬と比べると酸っぱいですが、美味しいです」モグモグ


幼友「……?」

幼馴染「お茶でも淹れましょう。……よっ…こらしょ…っと」


幼友「幼馴染ちゃん…気のせいかもだけど、怒らないでね?」

幼馴染「はい?」


幼友「ちょびーーーっと…おっぱい育った…?」


幼馴染「…そうかもしれません」

幼友「てゆーか…お腹も」

幼馴染「うっ…」


幼友「あの…ね? もしかして…だけどさ」

幼馴染「…やはり隠せませんか」

幼友「そう…なんだよね、やっぱり。あの…それ…男さんは?」

幼馴染「……まだ、言ってないです──」グスッ


男「嘘ロマンを求めて」幼馴染「マタニティライフ編です」

.

すんません
もうちょい…もうちょい待って…


幼友「──じゃあ男さん、今日はお願いしますね」

男「はい、確かに預かりました」

幼馴染「帰りの時間はLINEでもします」


従妹「ほな行ってくるわー」フリフリ

幼友「いってらっしゃい、あんまり二人に面倒かけちゃだめよ」

男「従妹ちゃん、後ろでいいですか?」

従妹「後席一人占め、広々上々やで」


…ガチャッ、バタムッ


幼馴染「……幼友、グッドラック」グッ

幼友「いえっさー」ビシッ


……………
………


…一昨日夜、幼馴染の部屋


幼馴染(──寝ましょう寝ましょう、お布団が私を呼んでいます)フワワ…


…テテテテーイ、ピコーン!


幼馴染(スマホにメッセージ? こんな時間に…?)スッ…サササッ、トントンッ

幼馴染(…幼友、どうかしたのでしょうか)


幼友:『明後日の土曜日、男さんと幼馴染ちゃん暇じゃないかな?』

幼馴染(『特に予定はありませんが、会うと思います』…っと)ササッ…スッ、トンッ

幼友:『従妹ちゃんを釣りにでも連れて行ったげてくれない? 報酬は三人のお昼ご飯代で』


幼馴染(『そんな、三田屋のステーキなんて申し訳ないです』)トントンッ

幼友:『予算五千円と言おうと思ってたけど、ほっともっとにしようかな』

幼馴染(『私が悪うございました、壁に手をついて反省します』)フニフニ


幼友:『じゃあ、男さんにも訊いてみてくれる?』

幼馴染(『ぶらじゃー』)ササッ…スッ


幼馴染(えっと、トーク…男…っと)スイスイッ…トンッ

幼馴染(『明後日、JCを拉致ります。犯行に使う車を用意されたし』)ササッ…スッ


…テテテテーイ、ピコーン!

男:『通報した』


幼馴染(『では朝六時半にホットのミルクティーをドリンクホルダーにセットして来て下さい、朝ご飯はその後で』…っと、OKです)スッ、サササッ…トントンッ


男:『その日は弟がコペンを出すと言っていたので、サーフを使えるか確認します』

幼馴染(『弟君には何か予定が?』)ススッ

男:『解りませんが、奴は誕生日です』

幼馴染(『謎は全て解けた』)サッ…スッ、ススッ


幼馴染(……なるほど、これは──)フフリ


男「釣りロマンを求めて」幼馴染「たまには本気でルアー釣り編です」

.


……………
………


ブロロロロロ…カコッ、ブロロロロ…


幼馴染「今日はどのような釣りをするのでしょうか」

従妹「マグロ! マグロ!」

男「マグロはちょっと無理ですが、もしかしたらそこそこ大物は出るかもしれません」フフリ

幼馴染「ほほう」


従妹「どの辺で釣るんや?」

男「船を出してあちこちです。今回は餌は買いません」

幼馴染「…という事はルアーで?」

男「そういう事です、ルアーで釣れる魚をアレコレと狙っていくとしましょう」


従妹「アレコレゆうて、何が釣れるか解らへんの?」

男「色んなポイントへ行って、色んなルアーを使ってみるという事です」

幼馴染「ルアーで五目釣りですか」

男「五目釣りとは通常同じところで多様な魚を釣る事を言いますが、そんなところです」


従妹「十種類達成するまで帰れま10!」

幼馴染「受けてたちましょう」

男「リリース対象の外道はともかくとして、それでは規定の十種を目指す事にしますか」

従妹「言ってみただけなんやけど、面白そうやな」


幼馴染「規定とは?」

男「シーバスはもちろんとして、他にメバルやサワラなど。あとでリストでも作っておきます」


幼馴染「私のシーバス記録は、まだ60cm台です」

従妹「60cmって大きいやん」

幼馴染「まだまだ、せめて80cmを超さないと大物とは呼べません」ニヤリ

男(ナナマル釣ってから言えよ)


従妹「ええなー、でっかい魚釣ってみたいで」フンスフンス

男「期待しています」ニコッ

幼馴染「メバルのメーター超えを目指します」

男「……まあ、期待しときます」フッ…


従妹「兄ぃには何を目指すんや?」

男「船釣りですので、無事に二人を連れ帰る事です──」


………


…釣具屋


男「──では必要なルアーを補充するので、お二人は好きなように」

幼馴染「従妹ちゃん、見せたいものがあります。こっちこっち」

従妹「エサの水槽コーナー? なにがあるんや?」

男「察しはつきました」


男(さてさて、まあシーバス用からかな)

男(ima…高いな)ウーン…

男(二人に使わせるんだから安っすいワゴンセールのルアーで上等か)ゴソゴソ

男(お、ラパラが安い。カウントダウン買っとこう…)ポイポイ

男(メタルジグと…エギと…)キョロキョロ


男(メバル用ワームもジグヘッドもあるし、こんなもんかな)

男(ええと、二人は…ああ、いたいた)

男「おーい、二人とも──」


「ウワ!ユムシ ッテ ナンヤコレ!?キモッ!」
「フフフ…ナニカ ニ ニテマス ナニカ ニ」
「アハハハハ!チンチン ヤ チンチン!カワイイー!」
「ダレカサン ト チガッテ サイショ カラ コンニチハ シテマス プププ」


客A「なんか女の子がエサ見て騒いでんぞ」

客B「可愛いけど、彼氏とんでもない事バラされてんな…気の毒に」

客A「さっきあの人が声かけてたな」ヒソヒソ

客B「こんにちはしてない感じかぁ…」ヒソヒソ


男(なにこの辱め…)ウッ…


……………
………


…幼友のアパート


幼友(──掃除おっけい、片付けおっけい!)ピシッ

幼友(冷蔵庫の中、ぼちぼちなんでもストックあり!)バタムッ

幼友「ぬかりは無いかな…」フゥ


幼友(一緒に観るような映画も借りたし、茶菓子もあるし)

幼友(茶葉も…あるね、電気ケトルは水入れた)


幼友(髪型、いつも通りでいいかなぁ)

幼友(服はちょっと清潔感ある感じに纏めたけど…おかしくないよね)

幼友(そうだ、あんまり鳴ったら鬱陶しいから携帯をサイレントに…)

幼友(いやいやいや、それは弟君が来てからじゃないと何か連絡あるかもしれないし)


幼友(大丈夫…全部おっけい)

幼友(…あとは、不自然じゃないようにしなきゃ)

幼友(深呼吸を──)スウウウゥゥ…


──ピーンポーン


幼友「ぶはっ! げほっ…は、早いってば!」ケホケホ


パタパタパタ…ガチャッ


幼友「いらっしゃい」

弟「おはよおっぱい……って」ジーーーッ


幼友「な、なに…?」

弟「…今日は午前中、部屋でゆっくりするんでしょ?」

幼友「うん、そのつもり」


弟「…なんか、服の感じ違うね? お出かけ着みたい」

幼友「うっ」ギクッ


弟「しかも白のブラウスなんてちょっと珍しい気がするよ」

幼友「……変かなぁ」

弟「ううん、すっごく捗る」

幼友「捗る言うな」


弟「可愛いよ…っていうより、なんか綺麗なお姉さんって感じ」

幼友「もうっ、恥ずかしいから…とりあえず入ろうよ」

弟「うん、お邪魔します。従妹ちゃんは?」


幼友「…聞いてないの?」

弟「なにを?」

幼友「今日は従妹ちゃん、男さんと幼馴染ちゃんに釣りに連れてってもらってるんだよ」


弟「そうなの? 兄ちゃん何も言ってなかったな……よかったの? 幼友ちゃんは」

幼友「ん? なにが?」

弟「幼友ちゃんも行きたかったんじゃない?」


幼友(……そっか、弟君がその件を聞いたら今日の予定がそっちに流れるかもしれないから、幼馴染ちゃんが気を利かせてくれたんだ)


弟「いいよ? 僕、車で来てるんだから追いかけて合流──」

幼友「──やだ」


弟「へ…? 嫌なの?」キョトン

幼友「ん」フンス

弟「遠慮とかしてるんじゃなくて?」

幼友「ん」フルフル

弟「…じゃあいいか」

幼友「ん」ニコ


……………
………


…いつもの港


従妹「──船! テンション上がるでー!」ムフー


幼馴染「そこはあまり期待しない方が良いかと、なにしろ小舟…」

男「いいえ、今日はいつもと違う船を手配しています」

幼馴染「なんですと」

従妹「どれや?」

男「…これです」フフリ


幼馴染「おお…! ちょっと大きい!」

従妹「しかも格好ええやん! 兄ぃにの船なんか!?」


男「まさか、ウェイクボードをやっている友人のSRVを借りました。…よいしょっと、順番に荷物を渡して下さい」ストッ…

幼馴染「随分お金持ちな友人がいるのですね。…従妹ちゃんは軽い荷物をお願いします」

従妹「よっしゃー」

男「厳密には叔父の店の常連さんで、よく船頭をさせてもらう人です」ゴソゴソ


従妹「自分で船持ってはるのに船頭頼むんやなー」

男「基本的に船頭をしていると自分の釣りは出来ないものです。特に沖に出ればなおさら、周囲に注意を払わねばなりません」


幼馴染「では男は今日は船頭に徹するつもりで?」

男「余裕のあるポイントでは時に竿も出しますが、主には二人で規定十種を釣ってもらおうと思います」

従妹「がんばるでー! はい、これで最後や…届く?」


男「もうちょい下げて…もうちょい」

従妹「んー…」プルプル

男「はい、受け取りまし……ぶはっ」

従妹「?」


男「な、なんでもありません」アセアセ

幼馴染(前に屈んだ従妹ちゃんの胸元を見たな…)チッ

男(そのサイズでスポーツブラって凶悪すぎるだろ!)フルフル


幼馴染「はい、これ従妹ちゃんの分です」ヒョイ

従妹「ん? コレ着たらええんか?」

男「船遊びの時はライフジャケットは絶対です」


従妹「うぅ…きつい…」

男「はいはい、幼友ちゃんと同じ要領で着ましょう」ムニュ

従妹「うわ、なんかおっぱい強調されて恥ずかしいやん」モジモジ

男(ブラが薄いからくっそ艶かしい)クッ


幼馴染「………」チッ


………


ヴァイイィィィィィン…タパーンタパーン


従妹「──めっちゃ気持ちええで!」タユーンポヨーン

幼馴染「いつもの船よりずっと速ーい」


男「その言い回し、某ゲームを思い出すのでやめて下さい」

幼馴染「知ってて言っています」

従妹「なんかトラウマでもあるんか?」

男(ヒロインに幼馴染の名をつけて寝取られた経験が…)ウッ


幼馴染「まずは何を釣りますか」

男「もちろん幼馴染は経験済みの釣りですが、コレを使うポイントへ行きます」


従妹「なんやこれ、タコの形? けっこう重いやん」

幼馴染「手作り鯛ラバーですか、では十種の内ひとつはマダイで間違いありません」

男「その通りです。今日は70gヘッドを中心に使います」

従妹「めで鯛!」

幼馴染「食べ鯛!」


男「はいはい、刺身醤油と包丁は持ってきています。がんばって下さい」

従妹「まな板は?」

幼馴染「おっとそこまでだ」


男「ポイント到着です。パラシュートアンカーを打ちましょう、従妹ちゃんお願いします」

従妹「あいあいさー」

幼馴染「これは何のために投入するのでしょう」

男「船の向きを安定させるためと、潮と同じ速さで流し底をとりやすくするためです。はい、少しバックさせます」ババババババ…プスンッ


従妹「エンジン止めるんやな」

幼馴染「潮に任せて漂いながら釣るのです」

男「底に着いたらすぐに巻き始めて、糸の色を見ながら…7mくらいでまた落としてを繰り返して下さい」

従妹「船が流れとるからずっと違うとこを探れるっちゅーこっちゃな」

幼馴染「着底後すばやく巻き始めないと根がかる事がありますので気をつけて」


男「安定したな……よし、ではどうぞ」

幼馴染「てーい」トポーン

従妹「やーあ」ポチョーン

WiiのVCでFF4・5・6とプレイした流れで予備知識なくバハラグやって被災した人もいるようですよっと


従妹「するする糸が出ていくで」

幼馴染「フッ…油断するな小娘、着底と同時に巻き始めないと根がかるばかりか──」


──ストンッ


従妹「お、着いた。巻くでー」マキマキ

幼馴染「喋ってたらバックラッシュしました……」クッ…


男「従妹ちゃん、巻くのをもう少しゆっくり…そうそう」

従妹「4m…5m………7m、やーあ」カチッ、シュルシュル…

幼馴染「アタッてくる時は竿にゴツゴツ感が伝わります」マキマキ


従妹「そしたらアワセればええんか?」カチャッ、マキマキ

男「いいえ、これは完全に向こうアワセを待つ釣りです」


幼馴染「ゴツゴツしている間はまだラバーのリボンを噛んで追っている状態、アワセてもノリません」カチッ、シュルシュル

男(幼馴染、成長したな…)ジーン

従妹「ふーん…やり方はシンプルな釣りなんやなー」マキマキ


幼馴染「それはそうとマダイは十種の内ひとつなのでしょうが、サイズについては規定はないのですか」マキマキ

男「勝手に決めた事ですが、一応『ルアーを使って』『この近海での各魚種平均サイズ程度以上』を釣れば達成とします」

従妹「マダイの場合はどんくらいなんや?」カチッ、シュルシュル

男「まあ加減して…40cmとしておきましょう」


幼馴染「…ん?」コツコツッ

男「お? アタッてますね」

従妹「アワセたらアカンねんで!」マキマキ


幼馴染「まだまだ…もっと、強く…深く……そう…っ」ドキドキ、ハァハァ

男(なんか言い方エロい)


グイッ──!


従妹「──竿曲がった!」

幼馴染「アワセは要りませんが、てーい!」グググッ…!

男「見事、針掛かりしたようです……が、ちょっと軽そうでしょうか」


従妹「あと20mやで、がんばれー」

男「従妹ちゃん、万一を考えていったん竿を上げておいて下さい」

従妹「はいなー」クルクルクル…


幼馴染「残り10m…やっぱり軽い、マダイっぽくありません」マキマキ

男「見えてきました、白っぽいです」

従妹「マダイやったらピンクやもんな」


男「タモが要りますか?」

幼馴染「この位なら引っこ抜きます……てーい!」バシャッ!


ビチビチッ…!


従妹「銀色でなんか気の抜けた顔。この魚、なんていうんや?」


男「これは──」

幼馴染「──静かに」

従妹「?」


幼馴染「………」

男「………」


魚「グゥ」


男「鳴いた!」

幼馴染「間違いありません、グチです!」

従妹「なんやこのノリ…?」

男「儀式です、お気になさらず」


従妹「ほな、次いくでー。やーあ」ポチョーン

幼馴染「てーい」チャプーン

男「もう数分流したら舟を潮上に回します」


従妹「んん…? なんか沈める毎に深さが違うで?」カチャッ、マキマキ…

男「底の地形が複雑だという事です。魚探でも底のシルエットが…おっと、それらしい反応が底から5mラインです!」

幼馴染「食べるといいです、きっと美味しいです」マキマキ

従妹「鉄とゴムやけどな」マキマキ


男(魚探からは反応が消えて…でも降りたラインの角度的には今が丁度──)

従妹「──お? これって…」ゴツッ…ゴッゴツゴツ…!


幼馴染「まだまだ、巻く手を止めずに」

男「決してアワセないように…」

従妹「な、なんやこの釣り…向こう任せやから尚更ドキドキするで…」ドキドキ…ゴツッ、ゴツゴツッ──


──ゴツッ………グイッ!ググググッ…!


従妹「や、やーあ!」ガツンッ、タユーン…ポヨポヨ

男「アワセは要りませんが、いい感じに揺れたからよしとしましょう!」

幼馴染「ちょっと何言ってるのかわからない」


従妹「うわっ、重っ…! これマダイ!?」グググ…ゴンッゴゴンッ!

男「実にそれっぽくはあります」


幼馴染「こちらの竿は上げておきます、しっかり時間をかけていきましょう」

従妹「兄ぃに、スマホでムービー撮って! 学校の友達に見せるさかい!」

男「はいはい、スマホはどこにありますか」

従妹「ライフジャケットの胸ポケットや!」ポヨーン


男「くっ…!! 俺はっ! どうしたらッ!」ガンッ!


従妹「兄ぃに?」

幼馴染「貴女が中学生ゆえに葛藤しているだけです、お気になさらず」ヤレヤレ

男「……俺のスマホで撮って送ります…」ゼェゼェ…

幼馴染「お、理性が勝った」


従妹「うぅ…腕がしんどい、手首が疲れてきた…!」グググッ…マキマキ

幼馴染「ロッドのエンドを脇でしっかり固定して、手首じゃなく肘の力で支えるつもりで」


従妹「こ、こう…?」ギュッ、ハァ…ハァッ…

男「ハイ、イイ画ダヨー。モット動イテー」

従妹「うんしょ、よいしょ」タユタユポヨポヨ


男(揺れるおっぱいと脇で竿を挟んでハァハァ言う女子中学生…! この動画は売れるっ!)

幼馴染「水面側を撮れよ」


幼馴染「見えてきました、まずまずの大きさのようですが…ピンクじゃない…?」

従妹「えーっ! こんな一生懸命やっとるのにターゲットちゃうのんか!?」ガビーン

男「まあまあ、まだ解りません。丁寧に丁寧に」


ダバッ!ダババッ!


従妹「水面出たで! 確かにマダイとは違うみたいやけど…あ、また潜った!」グググ…

男「落ち着いて、ゆっくり疲れさせていきましょう。幼馴染、タモを」

幼馴染「誰が言ったか知らないが、言われてみれば確かに聴こえる」

男「いいから、伝わらないから」

従妹「お相手はこちらのお方でーす」

男「伝わるのかよ」


幼馴染「はい、もうちょっと寄せて下さい。胸は寄せなくていいです」

従妹「や、やーあ…!」


バシャッ!ビチチッ…!


男「ナイスランディング。おめでとう、十種の内ひとつをクリアです」

従妹「へ…? マダイちゃうで?」

男「幼馴染、この魚は?」

幼馴染「黒銀の体躯、薄っすらとした太い縦縞模様…これはチヌ、クロダイです」


従妹「チヌ…それ、ターゲットなんか」

男「本来あとでチヌボンボンを投げようと考えていましたが、鯛ラバーに食ってくる事も多いのです。大きさも40cmは超えているようで文句無し」

従妹「やったぁ!」


幼馴染「さて、しかしこの釣りの本命を釣らなければ十種は達成できません」

男「その通り、他のルアーを使用してはマダイはなかなか出るものではありませんので」


従妹「よっしゃ、次もウチが釣るで!」フンスフンス

幼馴染「ほう? 小娘が粋がりましたね」フフリ

男「しっかり競い合って、大物を釣って下さい。船を潮上に回します、竿をホルダーに」ブルルンッ、ドッドッドッドッ


幼馴染「この隙を使って燃料補給します」ガサガサ

従妹「船の?」

幼馴染「いいえ、私のです。カントリーマァム食べますか?」ピリッ


男「一枚下さい」アーン

幼馴染「どうぞ」スッ

男「ん」カプッ、モグモグ

従妹(……自然に『あーん』しよってからに)チッ


……………
………


…幼友宅


弟「──ちゃんとアパートにアルバム持ってきてるんだねー」ペラッ…パタッ

幼友「てゆーか、実家に置いといて親戚で回し見されたりする方が嫌だと思ってさ」エヘヘ


弟「あ、幼友ちゃんコレだよね?」

幼友「正解…って高校の時の写真だもん、そんなに変わってないでしょ?」

弟「うん、やっぱりちょっと子供っぽいけど大きくは変わってないね。おっぱいは1カップ小さい感じだけど」

幼友「なんで冬服でそれを見抜くかなぁ…」


弟「隣り、幼馴染ちゃんだよね」

幼友「そうだよ、あの娘も変わってないでしょ?」

弟「うん、こっちはほんとに何も変わんない」


弟「おっ…こっちは夏服、ブラ線透けてる。この写真貰っていい?」ハァハァ

幼友「余計な一言が無ければ考えてたかな」

弟「……この体操着のやつは?」

幼友「あげなーい」ベーッ

弟「ちぇーっ」


幼友「ちょっとお茶淹れてくるよ、待ってて」

弟「うん」ペラッ


弟(……修学旅行かな? 沖縄行ったんだ。いいなぁ…ちゅら海水族館だよね、ここ)

弟(やっぱり幼馴染ちゃんと写ってる写真多いなぁ)クスッ

弟(夜はキャンプファイアでバーベキューか、いい笑顔…さすがにお酒は飲んでないだろうけど)ペラッ──


弟「──ん?」

弟(これ…写真、このポケットだけ二枚入ってる)

弟(……だめだ、わざと見えないように隠してるんだから。見ちゃ…だめだよね)トクン…トクン…


『──高校の頃、二人とお付き合いをしました』


弟(関係ない、だって知り合うよりも前の事だし)グッ…


『でも、その頃は妙に相手が子供っぽく感じられて、長続きしませんでした』


弟「………」ゴクリ


『二人目の人にファーストキスだけはあげちゃった──』


弟「ちくしょ」ポツリ


幼友「お待たせ、お菓子も持ってきたよ」パタムッ

弟「ん、ありがとう」

幼友「ああ、修学旅行の頃のページだね……あっ」ハッ…

弟「………」


幼友「…見た?」モジモジ

弟「見てないよ」

幼友「嘘、見たでしょ?」ジーッ


弟「本当に見てない。……見たら、その人なにも悪くないのに恨んじゃいそうだから」プイッ

幼友「恨む…? あれ、なにか勘違いしてる?」

弟「へ?」


幼友「もしかして元彼と写ってる写真だと思ったりしてない?」クスクス

弟「違うの? じゃあ見る」スッ

幼友「わっ!? ダメだってば…!」アセッ


弟「……普通にさとうきび畑の前で女の子グループで写ってるだけ? 前の列でしゃがんでるのが幼友ちゃんでしょ?」

幼友「そ…そうだから、もういいでしょっ? ほらっ!」

弟「いや、絶対なにかあるはず……うーん………あっ! パンチラしてる!」ムハーッ

幼友「やだっ、気づかないでよ! もーっ!」ビシビシ


弟「痛たたた…この写真──」

幼友「──あげるわけないでしょ! とーうっ!」ゴスッ!

遅くなってすまなんだ


………



幼友「──お待たせ、ちょっと作り過ぎちゃったかも」

弟「いい匂いで死にそうだったよ」

幼友「トマトスープのパスタとコールスロー。こっちの生野菜とパストラミはこのパンでオープンサンドにしてね」


弟「すげー、幼友ちゃんこんなに料理できたっけ」

幼友「失礼ですなー、そんなに出来ないイメージだった?」

弟「少なくともチョコケーキは焦がすイメージだった」

幼友「まあ幼馴染ちゃんにレシピ貰ったんだけどね、あはは…」


弟「うん、すごく美味しい」モグモグ

幼友「ふふーん、いい奥さんになりそうでしょ」

弟「それは前から解ってるよ」

幼友「おっと、調子のいい事言うね」

弟「ふふーん、いい旦那さんになりそうでしょ」


幼友「……そうだね」

弟「うっ」ゲホッ


幼友「どしたの?」

弟「いや…まさか肯定されると思ってなくて」ケホケホ


『──付き合って下さい』


幼友(…最近、言わないなー)ジーッ

弟「コールスローサラダも美味しーい」シャクシャク

幼友(別に必ずしもそれを待ってるわけじゃないんだけど)

弟「パン、もうひと切れ貰っちゃお」ヒョイ

幼友(なんとなく、その…きっかけが…)フゥ…


弟「幼友ちゃん、食べないの?」

幼友「うっ、や…食べるよ、食べるともさ」アセッ

弟「…?」


……………
………


…船上


男「──今回のひと流しはダメでした」

幼馴染「うぐぐ…この釣りはつれないと本当に苦行です」


従妹「あかーん、ずっと下ばっかり向いとったらなんか気持ち悪くなるわ…」

男「揺れる波間を見ていると酔いやすいそうですので」

幼馴染「周りに船の影もありません、ちょっと男が交代しては」


男「ふむ…従妹ちゃん、酔い覚ましのためにも周囲の遠くに気を配っていてくれますか?」

従妹「うん、少し休みたいで」

幼馴染「私も巻き上げている間は周囲を見回すようにします」


男「じゃあ…いっちょやりますか」ウズウズ

従妹「兄ぃに、イキイキしてはるなー」クスッ


男「ドラグ、自分で使うならちょい締めときます」チキチキ

幼馴染「男相手でも負けません」フンス

男「お手柔らかに」


従妹「周り、近い船はおらへんで」

幼馴染「こっちも大丈夫です」


男「では、てーい…っと」ポチョーン


従妹「『やーあ』にするとええで」

幼馴染「それは許さん」


男「するするーっと落として…っと、着底しました」カチャッ、マキマキ


男(潮はあまり速くは無いな…でも魚探で測る深さと糸の出具合がちょっと一致してない)

男(これは…もしかしたら中層を境に二段潮になってるかも)カチンッ、スルスル…

男(……下層の潮が舟とズレた方向に向いてるとしたら、糸は途中で屈折したフケ具合になってる)


男「幼馴染、少し巻くスピードを上げていきましょう」

幼馴染「解りました、どのくらい…?」

男「これくらい──」カチャッ、マキマキ…


──ゴッ、ゴゴゴッ
ガツンッ…!


男「ビンゴ…!」グググ…ッ!


従妹「すごい、一撃必殺やん!」

幼馴染「むぅ…やはり年季が違います」


男「これは結構デカい、幼馴染すみませんが」

幼馴染「もう回収しています」

男「さすがです…とととっ!」グググッ!

従妹「周りの船は大丈夫やでー」


幼馴染「糸を巻いてはドラグが逃げての繰り返し、確かに大きそうです」

従妹「楽しみやなー」ポヨンポヨン

幼馴染「それはアレですか、期待に胸弾むとか言う気ですか」チッ


男「くっ、まだ絞り込むかよ…!」グイッ!

幼馴染(ポヨンポヨンに反応しない…本当に精一杯のようです)


従妹「糸、緑まできたで!」

幼馴染「もう少し、タモはスタンバイOKですので」

男「こ、このトリビアは五分咲きで…」マキマキ

幼馴染「いいから、そんな余裕無さそうだから」


ドバッ!
バシャバシャッ…!


従妹「うわ、ほんま大きい…!」

幼馴染「もうちょい寄せて下さい…てーいっ! 入りました!」ビタンビタンッ!


男「ふぅ…黒みを帯びた立派な魚体です」

従妹「おでこが出っ張っとるで」

幼馴染「オスのマダイは大型になるとこの特徴が現れるのです」


男「これはメジャーをあてる大きさ…どれどれ」

従妹「おお…70cm超えとる!」

幼馴染「73cmでしょうか」

男「このポイントでは自己最高記録、感無量です」ヒューゥ


従妹「これで2種類目達成やな!」

男「俺が釣ってすみません」

幼馴染「マダイ、とったどー!」

やめてないっす

本編停滞しててすみません
閑話ひとつ落とします


『──ハロウィンパーティーは後でやるとして、たまには正しく「トリック・オア・トリート」を演出してみてはどうでしょう』

『ほほう、どういう手法で』

『男性陣は交代で家にいて、そこを仮装した私達が訪ねればいいんじゃない?』

『ほなウチらのアパートがちょうどええな、他の家族おらへんし』

『面白そうだね──』


……………
………


…幼友のアパート


弟(誰から来るのかなぁ)ソワソワ

弟(順番で兄ちゃんは従妹ちゃんの部屋待機、出てこない事になってるし)

弟(…幼友ちゃんの部屋、貸切かー)チラッ

弟(あのラタンの引き出しあたりにはフリルやレースのお花畑が…!)プププッ


弟(見るくらいバレっこないんじゃね──?)

──ピーンポーン

弟「はぅあぁっ!?」ドキィッ


弟(くっ…! 思い立つのが遅かったかっ!)チッ

弟「す、すぐ開けるよー!」ドタドタドタ…


…ガチャッ


雪女「トリック・オア・トリートやで!」ジャーン!

弟「いらっしゃい、白い着物なんてよくあったね」

雪女「にひひー、これ切売りの安っすい不織布やで。紙みたいなもんや、幼馴染ちゃんに簡単に縫ってもろた!」


弟「可愛いよ、胸はけしからんけど。はい、お菓子」

雪女「お! ヤンヤンつけボー! 懐かしいやん、コレ好きやで!」

弟「良かったよ。じゃあ寒いし、早く車に」

雪女「うん、おおきになー!」フリフリフリ


パタンッ…


弟(…よし! 今度こそお花畑でダイブ!)トタタタ…

弟(嗅ぐくらいバレっこないんじゃね──?)ムフフ

──ピーンポーン

弟「はぅああぁっ!?」ビクゥッ!


…ガチャッ


マミー「トリック・オア・トリートです」

弟「わあすごい! 男の子みたい!」

マミー「今どこ見て言った」フルフル…

弟「いや…包帯ぐるぐる巻きがあまりにも平滑で…」


マミー「まあいいです。お菓子下さい、早く」

弟「はい、ヤンヤンつけボー」

マミー「おお…駄菓子好きの心を鷲掴みにしてきました」

弟「ご冗談を、どこに掴むところが」

マミー「…ゾンビの仮装でもしてみますか?」ニッコリ

弟「すみません、調子こきました」


パタンッ…


弟(…ふぅ、よし急いでっ…と)シュタタタ…

弟(一枚ポケットINしてもバレっこないんじゃね──?)グヘヘ

──ピーンポーン

弟「はぅああぁぁっ!?」ビクゥッ!


…ガチャッ


魔女「トリック・オア・トリーとーう!!」ゲシッ!

弟「ぐふっ!」

魔女「ふははは。甘いね、ネタを読み切らないと」クスクス

弟「ちぇっ」

魔女「ふはははは」


弟「だけど魔女衣装かわいいよ」

魔女「ふはははははは」


弟「めっちゃセクシーでもあるし」

魔女「ふはははははははは」


弟「でも、あんまり他の人に見せたくはないな」

魔女「ふは……照れてるんだから、いい加減にしろっ」トーウ!


弟「あはは…はい、お菓子。ヤンヤンつけボー」

魔女「ありがとー」

弟「ごめんね、安いやつで」

魔女「ううん、いいんだよ。でも…」

弟「?」


魔女「悪戯もしちゃおっかな──?」クスッ


………


…コンコン、ガチャッ


男「お、交代か」

弟「ふへ…ふへへへ…」デレデレ

男「どうした? 気持ち悪いな」

弟「ほっぺた溶けた…ぐへへへ──」


……………
………



男(恋人でもない女性の部屋に独りというのも)

男(なかなか緊張するもので)

男(なにか気が紛れる事でもないか…)チラッ


男「………」

男(如何にも下着が入っていそうな、ラタンの引き出し)

男(いかん! 何を考えてるんだ、俺!)

男(幼友ちゃんは恋人の親友、そして弟の想い人!)

男(俺の迷いによって何人の人が悲しむと思ってるんだっ!!)


男「………」

男(バレなきゃ悲しみようがないか──)ププッ

──ピーンポーン

男「はぅあぁっ!?」ドキィッ


男「い、いま開けます!」ドタドタドタ…

男(神様って見てるんだな…)フッ


…ガチャッ


雪女「トリック・オア・トリートやでー!」

男「おお、これは我儘な一部を除き可愛い雪女です」


雪女「弟っちにも言うたけど、これ幼馴染ちゃんに縫ってもろたん」

男「ほうほう、昨日忙しそうにしてたのはその為でしたか」

雪女「そうなん? 悪かったやろか…」

男「あいつはお裁縫も好きなので、嬉しい忙しさだったでしょう。お気になさらず」

雪女「そっか、なら良かった」


男「ではお菓子を、どうぞ」

雪女「おお、マネケンのワッフル! これ美味いんよなー!」

男「一つだけですみません。でもこの後のパーティーではパンプキンパイがあるそうなので」


雪女「ええんやで! ありがと兄ぃに、ハグしたる!」ギュッ、ムニッ

男「はぅあ」

雪女「ほな、交代してくるさかいー!」

男(……あの位は赦される…か?)ドキドキ


パタンッ…


男(さて、今度は変な気の迷いはおこさずに…)クルッ

男(部屋へ…っと。あ、違う、ここは洗面所──)

洗濯カゴ「ハロー」

男(──着用後…だと…)ゴゴゴゴゴゴ


男「………」フルフルフル

男「………」チラッ

男「………」ププッ


男(おーっと部屋と間違えちゃった──)コソコソ

──ピーンポーン

男「はぅああぁっ!?」ビクゥッ!


…ガチャッ


魔女「トリック・オア・トリーとーう!!」シュッ!

男「はっ!」パシィッ!


魔女「…なかなかやるな」グググ

男「お前もな」フッ…

魔女「さすが、弟君みたいに隙が無いですね」

男(最初に迫る拳に目がいって良かった…魔女衣装の谷間にいってたら死んでたな)


魔女「さて、どうします?」

男「どうするとは」

魔女「お菓子にします? それとも…悪戯しましょうか?」クスッ


男「……ご冗談を」

魔女「はい、冗談です。……そういう冗談が…ね」

男「はい?」

魔女「言えるくらい、吹っ切れたんですよーだ」ベーッ

男「……なによりです」


魔女「じゃあ、お菓子下さい」

男「はいどうぞ」

魔女「おー、ワッフル美味しいやつだ」


男「それと幼友ちゃんには特別にこちらも」スッ

魔女「ローストピスタチオ! これは捗る…!」

男「パーティーの〆にこれでチビチビと」クックックッ

魔女「解ってますなぁ…」クックックッ


パタンッ…


男(……吹っ切れた、か)

男(本当に良かった)

男(残念な想いなんて無い、あるわけない)

男(…あっちゃいけない)


男「………」チラッ

男(従妹ちゃんの部屋で聞き耳たててたかな?)

男(聞こえないか、さっき俺がいた時も話し声は聞こえなかったし)


男(残念な想いは無いけど、ちょっとだけお前に妬けるぞ…弟)

男(俺だってあんなたゆんたゆん──)


──ピーンポーン

男「はぅああぁぁっ!? なんでもないですうぅっ!!」ビクゥッ!


…ガチャッ


マミー「トリック・オア・トリートです」ペターン

男「い…いらっしゃいませ」ドキドキドキ…


マミー「なぜ若干キョドっていますか」

男「滅相も無い膨らみもない」

マミー「兄弟揃って他にコメントは無いのでしょうか」


男「なかなか本格的な仮装で驚きました。ぐるぐる巻きです」

マミー「けっこうな手間でした」


男「この下が裸なら『あーれー』っていうクルクル回しをやりたくなるところです」

マミー「裸です」

男「なんですと」

マミー「裸です」


男「……という事は、この辺をずらすと」

マミー「ずらしてみたいのでしょうか」

男「やってみたくないと言えば嘘になります」フンス

マミー「…試してみても」クスッ


男「幼馴染…」スッ…

マミー「男──」


ガチャッ!


魔女「──はい、そこまでっとーう!」ゲシゲシッ

男&マミー「はぅあっ」

魔女「人ん家の玄関でツヤツヤはさせないよーだ」ケラケラ

男「面目ない…」


弟「みんな終わったー?」ガチャッ

魔女「うん、もういいよー」

男「幼馴染、これお菓子です」

マミー(これも貰いますが、あとで悪戯もします)フンス


雪女「入るでー」ガチャッ

マミー「幼友、脱衣所を借ります。さすがにこのままパーティーには臨めません」

魔女「うん、順番に着替えよ」

雪女「ウチもー、さすがにちょっと寒くなってきたで」


男(…という事は)

弟(この後、脱衣所は宝の山か──)



【ハロウィン閑話おわり】


………



男「さて…そろそろ鯛ラバから次の釣りへ切り替えるとしましょう」

従妹「へへーん、ウチもマダイ釣ったで」

幼馴染「私も釣りました」

従妹「そないに大きくはあらへんかったけど、色も綺麗やったし楽しかった」

男「なによりでした、では少し移動します」ブロロロロンッ!ドッドッドッドッ…


幼馴染「今度はどんな釣りをするのでしょう」

男「初めての釣りにチャレンジしてもらいます。ちょっと体力いるかもしれませんが、未知の引きが楽しめます」

従妹「さっきのマダイでも結構な引きやったで?」

幼馴染「全くです」

男「引きの強さもさることながら、何よりその速さに驚くと思います。動きますから座って──」ブロロロロロロッ!


……………
………


…幼友のアパート


弟「──映画、面白かったね」

幼友「うん…」

弟「…どうかした?」

幼友(なんで途中のラブシーンで『女優さんナイスおっぱい!』って反応になるかなぁ…)ハァ…


弟「さて、どうしよっか」

幼友「今が…午後二時半だね」チラッ


弟「時間気になるの?」

幼友「んー、ちょっと」


弟「僕はなんでもいいよ? 幼友ちゃんと一緒なら」

幼友「うっ」テレテレ


弟「どこか出かける?」

幼友「え…と、街へ……」モジモジ

弟「うん」


幼友(だめだ、なんかペースがおかしい)

幼友(こういう時はいっそ、どっちかがはっきりリードした方がいいよね)ゴクリ


『──幼友、グッドラック』


幼友(…よしっ)グッ


幼友「弟君…あのね? 晩になってから言おうと思ってたんだけどっ」

弟「うん?」


幼友「お…誕生日、おめでとーうっ」

弟「あ…」


幼友「そ…それで晩ごはんね、知ってるお店を予約してるの」

弟「………」

幼友「その…プレゼント代わりにご馳走させて欲しいんだ」

弟「うん」


幼友「ご、ごめんね…半端なタイミングで」

弟「…ありがとう、すごく嬉しいよ」


幼友「よかった! じゃ、街出よう!」アタフタ

弟「幼友ちゃん、あのね」

幼友「うん?」


弟「その晩ごはんの後でいいんだけど」

幼友「うっ…うん」ドキッ

弟「僕からも言いたい事あるんだ──」

了解です、申しわけない

がらくたのエロい方のパスワードって何?


……………
………


…沖合の海原


男「──ではこちらのロッドをどうぞ」

幼馴染「硬い…」ポッ

男「はいはい」


従妹「ルアー、めっちゃ重い。こんなん投げられるんかいな」

男「そう遠くに投げる必要はありません」

幼馴染「ほほう」


従妹「じゃあ、さっきの鯛ラバーみたいに落とすだけなんか?」

男「それでも大丈夫ですが、ライン同士が絡みにくいように別々の方向へ軽くキャストしましょう」


従妹「まさに鉄の塊っちゅう感じのルアーやな」

男「その名もメタルジグといいます。今回はフォール中のバイトも期待してセンターバランスのものを使います」

幼馴染「日本語でお願いします」

男「沈んでいってる最中にも食ってきやすいように、水平状態で比較的ゆっくり沈むタイプのジグを使いましょう。

OK?」

従妹「あーはー」


幼馴染「それで何が釣れるのでしょう?」

男「この辺りで主に狙うのはサワラです。運が良ければ他の青物もいるかも…?」

従妹「マグロ!」

幼馴染「カジキ!」


男「ルアーが重いので軽いキャストで、お互い後ろに釣り人がいる事を意識してサイドハンドキャストでお願いし

ます」

幼馴染「では私はこちら向きに」

従妹「ほなウチはこっちなー」


男「さっきも言いましたがフォール中に食ってくる事もあります」

従妹「その場合はどんな風に解るんや?」

男「底に達していないのにフォールが止まったり、まあたまにそのまま横に引かれたりもしますが」

幼馴染「それはよく見極めなければ」


男「1投目では解り難いでしょうが、底に着いた時ラインが何色で止まったかを意識して下さい」

幼馴染「鯛ラバと同じく、底をとったらすかさず巻き上げる感じでしょうか」

男「そうです。ただ、鯛ラバと違ってだだ巻きではありません」

従妹「なんか工夫するんか? ウチにできるやろか…」


男「ちょっと先に練習をしましょう。そこから真下で構わないので、ルアーを10mくらいでも水に沈めて下さい」

幼馴染「てーい」チャポーン

従妹「やーあ」ポチョーン


男「ではロッドのエンドを腋に、リールフットの軸は薬指と小指の間に挟むように持って下さい」

幼馴染「薬指と小指ですか」

男「重さのあるルアーを連続的にアクションさせるので、少しでも支点から先を握った方が負担が軽くなります」


従妹「そんで? どんな風に動かしたらええんや?」

男「上下に往復運動をさせましょう。下は力を抜いてアバウトに、上は力を籠めて節度ある止め方をすると良い

です」

幼馴染「こんな感じでしょうか」シュッシュッ

従妹「止めとかも入れた方がええんかな…?」ポヨンポヨン…ピタッ


男「止めるより竿を持ち上げるスピードを速めたり遅めたりという緩急がイイかもしれません。でも基本は一定の

リズムで……そうそう、いい感じです」ホゥ…

幼馴染「これは腕が疲れます」シュッシュッ

従妹「はぁ…はぁ…」ポヨンポヨン

男「二人とも上手です、がんばって」ウットリ


幼馴染「ん? これ、練習中の会話だけ切り取ると…」

従妹「なんや?」

幼馴染「……な、なんでもないです。なにも考えていません」ゴニョゴニョ

男(気づいたか)チッ

たいへん遅くなってすんませんでした
これからサクサクいきます

>>714
すんません、そっちは閉鎖予定なんです


男「では本番いきましょう」

幼馴染(本番という単語も怪しく聞こえる…)

従妹「がんばるでー」フンスフンス


男「アクションを開始したら俺が歌をうたいます。そのリズムで先ほどの手コk……ジャークアクションを行って下さい」

幼馴染「歌?」

従妹「ゆず希望」

男「テンポが大事です、リクエストにはそえないかもしれません。では、どうぞ」


幼馴染「改めて、てーい」フワッ

従妹「やーあ」チョポーン


従妹「どんどん沈むで!」シュルシュルシュル

幼馴染「20………30………40……」シュルシュル…ピタッ

男「はい、ここから! ハンドルはジャーク1回で1回転のつもりで!」


幼馴染「よっ…と!」カチンッ

従妹「いくで!」マキマキマキ


男「与作ぅは木ぃ~を切るぅ~♪」

幼馴染「へいへいほーぅ♪」シュッ、シュッ

従妹「へいへいほーぅ♪」タユン、タユン


男「与作ぅは木ぃ~を切るぅ~♪」

幼馴染&従妹「同じとこループかい」

男「だってあんまり知らない…」


男「今は表層に魚影はありません、緑の糸が水面に出たら落とし直しましょう」

幼馴染「いえっさー」カチッ…シュルシュル…

従妹「…着底っ!」シュルシュル…カチンッ


男「与作ぅは~♪」

幼馴染「違う曲を希望します」


従妹「しゃあないな、ウチが歌ったるわ。ごほん、駐車場のー猫はー欠伸をしながらー♪ 今日も一日をー過ごしてーゆくー♪」

男「その曲テンポ速い!」アワワワ

幼馴染「う、腕が死ぬーーー!」シュシュシュシュシュシュ


従妹「何もー変わらなっあぁっあーい♪ 穏やーかーなー街並みぃー♪」ポヨンポヨン

男「しかも自分はテンポ関係無し!」


幼馴染「従妹ちゃん! キツいです、ストップストッ──」シュシュシュシュシュ


──ガツンッ!
ギュウウウゥウゥゥンッ…!


幼馴染「!!」グイッ!

男(来た…!)

従妹「この長いー長い下り坂をー♪」ポヨンポヨン

幼馴染「なにこれ…! はわ…はわわっ!?」ギュンギュンギューーーン!


男「従妹ちゃん、幼馴染がヒットしました! 慣れない内はもう一人は竿を上げ──」

従妹「──君を自転車のー後ろに……うわっ!?」ガツンッ!ギュンッ…!

男「こっちも来た!」


従妹「えっ!? なんやめっちゃ速い!」ギュギュギューーーン!

幼馴染「男、ヤバいです! 切れる! 切れる!」ズキューーン!


男「太っといリーダーつけてるので大丈夫、そうそう切れません。ガンガン巻いていきましょう」

幼馴染「巻くよりドラグが出る方が速いです!」アワワワワ…

従妹「あと20m…!」ググググ…!

男「はい頑張ってー」


幼馴染「こっちもあと20……うわわ、また糸が出ます」ギューーーン!

男(こりゃ幼馴染の方はちょっと大きいな…)


従妹「兄ぃに、出る! タモ…!」グイグイ

男「はいはい、準備しています」ヨイショ


従妹「や…やーあ!!」バシャッ!

男「よっ…と、おっけー。お疲れ様でした」ビチビチビチ…!

従妹「おお…! この魚、スーパーで見た事あるで!」フンスフンス


幼馴染「男! こっちもあとちょっとです!」ヒィヒィ

男「了解、すぐいきます」

従妹「針、外しとったらええん?」

男「歯がとても鋭いので気をつけて。左手でタオルを持って、魚体を床に押しつけながらペンチで外して下さい」


幼馴染「……見えました!」ググググ…!

男「もうちょい…もうちょい、これは立派な『サワラ』と呼べるサイズです」

従妹「魚へんに春!」

幼馴染「てーい!」バシャッ!ビチビチッ!

男「ばっちりキャッチ、お疲れさまでした」


従妹「幼馴染ちゃんのがサワラサイズ言うてはったけど、ウチの位やったらなんて呼ぶんや?」

男「従妹ちゃんのは40cmちょっとですので、サゴシと呼ばれるのが普通です。だいたい60cmくらいからがサワラと呼ばれます」

幼馴染「サゴシという表記も魚屋さんで見かけます」

男「サワラ手前の50cm台サイズをナギと呼ぶ事もあるようですが、ここらへんではだいたいサゴシからいきなりサワラの呼び名になります」


幼馴染「ところでこれは…」

男「もちろん十種の対象魚のひとつ、これで三種目です」

従妹「やったで!」グッ!


……………
………


…河口部沖合


男「──さて、ではこれから夕暮れまではここで釣りましょう」

幼馴染「先ほどまでの場所を思うと、ずいぶん陸地に近いです」


従妹「こんなとこで大きいの釣れるんか?」

男「もちろんここでもある程度大きなシーバスなどは狙えますが、それは夜の方が有利です」

幼馴染「では小さな魚を?」


従妹「マダイやらサワラやら釣った後やから、なんか張り合い無さそうやなー」

男「それが意外と……まあ、釣ってみてのお楽しみです。はい、どうぞ」ヒョイ


従妹「割と短いし柔らかめな竿やな」

幼馴染「これは…もしかして、以前淡水で使ったような」

男「お察しの通り、ライトアクションのバスロッドです」


従妹「バスって、あのバス?」

男「ブラックバス用の竿という事です。もちろん汽水が混じるとはいえ、ここらへんにバスはいませんが」


幼馴染「ラインが細いフロロという事は、ルアーも小さめなのでしょうか」

男「こちらから好きなものをどうぞ」

従妹「なんや、おもちゃみたいなルアーやな」


幼馴染「ルアーまでバス用……ナチュラルカラーが中心ですが、多いのはトップ系?」

男「幼馴染の成長ぶりに涙を禁じ得ません」ウルウル

幼馴染「ふふん」フンス


男「細身なポッパーなら無難で楽しいです。後は…」

従妹「ウチ、この可愛いやつがええな、これはどんな種類なんや?」ヒョイ


幼馴染「そのタイプはミニバイb……はっ、中学生に言うには際どい」ゴニョゴニョ

男「なにを想像した」

従妹「?」

幼馴染「それは『ぶるぶる』です、それでいいです」

男「サスペンドのものなので海水なら表層近くを攻められるでしょう、いいかもしれません」


従妹「先につけたで、スナップあるから簡単やな」

男「ではキャスト時には後ろに気をつけて、あそこに見える潮の境目の向こうを狙いましょう」


従妹「いくでー、やーあ!」ビュンッ、タユーン

幼馴染「ノンノン、こういう軽めなルアーを投げる場合はロッドのしなりを活かさなければなりません」チッチッ

男「先ほどから若干調子こいてます」


幼馴染「こうです……てーい!」ギュンッ…シュピッ!ペターン

男「お見事」

従妹「そんなん無理やん! ウチやったらどうしても揺れてまうもん!」ムキー

幼馴染「中学生ェ……死にたいらしいな」ゴゴゴゴゴゴ


従妹「それで? このルアーはどんな風に動かしたらええんや?」

幼馴染「基本、ただ巻きです」

男「はい、速さはどのくらいがいいか探りながら、いろんな方向をただ巻きで攻めてみて下さい」

従妹「いえっさー」マキマキ


幼馴染「ポッパーもバスと同じ要領でいいのでしょうか」

男「それでも構わないのですが、この釣りでは俺ならストップを入れません」

幼馴染「ではリーリングしながら時々しゃくってポップアクションを?」

男「そうです。あるいはペンシルベイトの要領で動かしてもいいと思います」

幼馴染「いえっさー」マキマキシュピッ…マキマキ


従妹(ぐぬぬ……話についていけへん…)チッ


従妹「……んっ…!?」クッ…クイッ!

男「お、さっそくきました」

従妹「重たくはあらへんけど、けっこう引くで!」マキマキマキ

男「針掛かりした場所によっては口切れしやすいので、あまり急がずに」


幼馴染「てーい!」ピシィッ!

男「こっちもきましたか。どうやらまあまあの数入っていそうです、楽しんで数釣りしていきましょう」

従妹「釣れたでー! なんやギンギラで綺麗やな!」ピチピチ


幼馴染「こちらも取り込み完了です。……おや? 従妹ちゃんのと少し違うような」

男「よく気づきました、確かに別種です」


従妹「もったいぶらんと、なんて魚なんや?」

男「共通して一般には『メッキ』と呼ばれる大型アジの子供です」

幼馴染「確かにめっき色です」


従妹「ウチが釣ったのは尻尾が黄色いけど、幼馴染ちゃんのは胸鰭が黄色やな」

男「従妹ちゃんのは……うん、顔つきからしてギンガメアジでしょう。幼馴染のはカスミアジで間違いありません」


幼馴染「……なんとなく男の部屋の雑誌で見た名のような」

従妹「それ、えっちぃやつ?」ニヤニヤ

男「失敬な、持ってないとは言いませんが。たぶん先々月くらいの刊に載っていたトカラ列島でのルアー釣り特集でしょう」


幼馴染「でもその記事で、こんなお手軽な釣りはしていなかったと思うのですが」

従妹「さっき『大型アジの子供』言うてへんかった?」

男「そういう事です。これらのアジはもっと南方に多く分布しますが、幼魚の内に黒潮に乗りこうしてはぐれて来る者がいるのです」

従妹「かわいそうやな…迷子かいな」

幼馴染「なんとなく釣るに気がひけるような」


男「この本来の生息地からはぐれ遠く回遊してくる事を『死滅回遊』と言い、この迷子達は『死滅回遊魚』と呼ばれます」

従妹「死滅って…やけに物騒やな」


幼馴染「……もしかして、この子たちは」

男「お察しの通り、日本近海での冬を越せず死滅する運命です」

従妹「じゃあ、釣るのを遠慮してもあかんっちゅう事なんか」

男「そうとも言えます。それにアジらしく、実に美味しいのです」


幼馴染「ガンガン釣るぞおおおおおお!!!」

従妹「食って供養じゃああああああ!!」


男「数種が入り混じって釣れると思いますが、これらはひっくるめてターゲットの内ひとつとさせてもらいます」

従妹「4種目ゲットやな!」


幼馴染「数種ということは、今のギンガメアジやカスミアジ以外にも?」

男「他によく釣れるのは『ロウニンアジ』の子供です。あと時に『オニヒラアジ』が混じる事も」

従妹「浪人した挙句に迷子になって死ぬとか」

幼馴染「いたたたたた」


男「たぶん雑誌ではその種が中心に語られていたと思います。南方で巨大化したメッキは1mを超え、特にロウニンアジはジャイアント・トレバリーと呼ばれます」

幼馴染「それは……もしかして──」

従妹「?」


男「──そう、その頭文字を取って略し『GT』…と」


幼馴染「…なるほど、釣具店でやけに大きなルアーを見た事があります」

従妹「そのでっかいのもルアーで釣るんか」

男「はい、だからこのメッキ達も手軽ながら楽しいルアー対象魚なのです」


幼馴染「確かに…今日の今までの釣りよりは気楽で、でもゲーム性が高い気がします」

従妹「しかも美味いんやったら、ばんばん釣るしかあれへんな!」

男「潮目伝いに船を流します、遠慮なく次々に攻めて下さい」ドルルッ!ドッドッドッ…


幼馴染「てーい」シュピッ!ペターン

従妹「やーあ」シュッ!タユーン


男(本物のGT、いつか釣ってみたいものです──)グッ…

次は弟達のシーンです


……………
………


…午後7時、駅前


弟「──幼友ちゃん、ほんとご馳走様だよ。ありがとう」

幼友「ふっふーん、いい店だったでしょ」

弟「うん、雰囲気も良かったし。火鍋とか初めてだったけど、すごく美味しかった」

幼友「いろんな薬味とか入ってて身体にもいいみたいだしね」


弟「滋養強壮効果の配合だってね。精力ついちゃった」

幼友「うっ」タジッ

弟「精力ついちゃった!」フンスフンス

幼友「二回言うなっ」ポカッ


幼友「これからどうする?」

弟「うん、ちょっと歩こっか」

幼友「散歩にもいい季節だよね」


弟「……はい、手」スッ

幼友「ん」キュッ


弟「………」テクテク

幼友「………」テクテク


弟「幼友ちゃん、あんなお店だったのにお酒少ししか飲まなかったね?」

幼友「今日の主役は弟くんですから」

弟「えへへ、次の誕生日には一緒に飲めるといいな」

幼友「ふふ…そうだね、楽しみにしてるよ」


弟「幼友ちゃんの家族って、みんなお酒に強いの?」

幼友「お母さんが強いんだよね。お父さんは嗜むくらいなの」

弟「そうなんだ、お兄さんは?」

幼友「お兄は普通、でも実家に帰った時たまたまいたら一緒に飲むよ」

弟「仲良いんだね」

幼友「割とね、何でも話すかな」


幼友「……弟くんの話とかもするよ?」

弟「ぐっ」ドキィッ

幼友「よく遊びにいく人なんだーって」


弟「……心配されない?」

幼友「もうこの歳ですから。それに『こないだは釣りに行った』とか『動物園行った』とか話したら『良い奴っぽいじゃん』って」

弟「おおぉ…よかった……」

幼友「いいヒトなんだよーって、答えたよ」クスクス


弟「お父さんやお兄さん、何してる人だっけ?」

幼友「お父さんは普通の会社員、お兄は長距離のドライバーだね」

弟(運ちゃん怖そう…)


弟「こっちいこう」テクテク

幼友「ん」テクテク

弟「街中でも川沿いは風がひんやりするね」


幼友「…弟くんは、将来の夢とかあるのかな?」

弟「うーん……情けない言い方なんだけど、あるような…まだぼんやりしてるような」ウーン

幼友「まあまだ十代だしね」


弟「……兄ちゃんは叔父さんの釣具店に勤めると思うんだ」

幼友「うん、ちらっと聞いた事ある」

弟「それで、たぶん…なんだけど。いずれその店を任されるか、別店舗を持つかするだろうと思う」

幼友「ふんふん」


弟「兄ちゃん、普段の釣り具の買い物とかその店には行かないでしょ?」

幼友「そういえばそうだね」

弟「あれは他の店の営業形態や価格設定、従業員の接客なんかを下調べしてる側面があるんだと思う」


弟「叔父さんの店は何人か人を雇ってるくらいに大きくやってるんだけど、その経営スタンス自体はすごく個人商店染みててね」

幼友「うん」


弟「例えば兄ちゃんが納品するルアーなんかも、ほんとに兄ちゃんに払う原価と手間代を除いたら、少しの利益しか無いくらいの価格で売ってるんだ」

幼友「お客さんの味方だね」

弟「うん、それ自体はぜんぜん悪い事じゃないんだよ。だからこそたくさんの常連さんもついてるみたい」

幼友「商売繁盛でなによりですなー」


弟「客にとっては釣具店って、美容院やバイク屋さんみたいに『なんでも相談できる馴染みの店』が一番だと思うんだ」

幼友「うん、それは解る。お財布事情もある程度わかってて、見合う価格帯の製品を勧めてくれなきゃ相談もし難いよね」


弟「今の常連さんが『青物のジギングがしたい』と言えば知り合いの船頭さんを斡旋したり、時には兄ちゃんが船頭役になったり……それはいいんだよ」

幼友「ふんふん?」


弟「じゃあ、もしそのお客さんが『GTフィッシングに挑戦したい』と言ったら…?」

幼友「GTって…なんかすごい大きい魚だよね?」

弟「うん、でもそれもまだいい。国内でも釣れるらしいし、兄ちゃんが勤めてればプラン組んであげる事もできるかもしれない」

幼友「………」

弟「もし『オーストラリアでバラマンディを釣りたい』とか『五大湖でスチールヘッド狙いのフライフィッシングをしたい』とかって希望されたら?」

幼友「おおぅ…それは大掛かりだね」


弟「『ベトナムでアオザイ美人とお近づきになりたい』とか『ロシア美女っていいよね』って言われたら?」

幼友「それは釣具店で相談する事じゃなくないかな」


弟「ナイルパーチ、ドラド、マーレーコッド……もちろん有名なところではクロカジキやバショウカジキなんかも、釣り人が夢物語として憧れる魚はいっぱいいるんだって」


『──憧れを挙げればキリがありません』

『おそらく一生かかっても、まだ見ぬ大物はたくさん残す事になるでしょう──』


幼友「…うん」

弟「だけどもしそれが夢物語じゃなく、ひとつでも手が届く日がきたら…いいでしょ?」

幼友「すごく感動するだろうね」


弟「もちろんそういった憧れの魚や怪魚を釣るツアーなんかもあるんだけど、やっぱり参加するにはかなりの勇気と費用が必要だろうし、自分でプランを立てるならもっと大変だよ」

幼友「でもツアーとなると自由も効かないかもだしなあ」

弟「自由なプランを組むためには言語の違いや現地でのガイド手配…いくつもの大きな壁を越えなきゃいけない」

幼友「壁は小さいのに大きいんだね」

弟「それ幼馴染ちゃんに言っていい?」

幼友「ううん、だめ」ニコッ


弟「……兄ちゃんは、もちろん自分が釣るのも大好きだけど、釣りに興味を持ってる人にその楽しみを伝える事が好きなんだ」

幼友「私はなんか流れで引き込まれたけどね」

弟「そんな夢の釣りを現実に挑みやすい釣りにできないかなーって、兄ちゃんがポロッと言ってた事あるんだよ」

幼友「………」


弟「ねえ、もし馴染みの釣り具屋さんのよく知ったスタッフさんが通訳も現地のガイドもできる…って言ったら、どうかな?」

幼友「それはすごく心強いだろうね、お金の面以外はハードルクリアしそう」

弟「うん、そうだよね」


テクテク…


幼友(あれ? いつの間にか、ここって──)


『──ここだよね? 幼友ちゃんが兄ちゃんに会ったとこ』


幼友(緑道公園の……あの橋の近く…)


弟「幼友ちゃん」


『なんとなく、この場所で誓いたかったんだ──』


弟「──なんとなく、この場所で伝えたかったんだ」

幼友「え…?」


弟「Te quiero」

幼友「ん? なんて…」

弟「Ich liebe dich」

幼友「弟くん、何を」

弟「Seni seviyorum」

幼友「もう、わかんないってば」


弟「ぜんぶ、I love youだよ」

幼友「わかんな…………えっ?」


弟「好きだよ、幼友ちゃん」

幼友「弟くん…」

弟「だから、僕と付き合って下さい」


幼友「ねえ、さっきの外国語って…」

幼友「ううん、違うね…先に返事しなきゃ」フルフル

幼友「………」スゥ…

幼友「………」…ハァ

弟「………」ゴクリ



幼友「喜んで、お受け致します」ペコリ



弟「よっしゃああああああああああああああ!!!!」グッ!

幼友「大きい! 声が大きいからっ!!」ゴスッ

弟「くっ…我が人生に一片の悔いなし…」


幼友「弟くん、それで…さっきのは」

弟「うん、多国語を学んで通訳になろうと思う。それもあって──」

幼友「…それもあって?」


弟「──再来月、僕…留学する事にしたんだ」

幼友「!!」


弟「カナダの大学にね、もう申請もしたよ」

弟「カナダは英語とフランス語、両方が公用語でね」

弟「英語はだいぶ身についてきたんだ。だからそれを固めて、さらにフランス語も──」


幼友「──歯、食いしばって」

弟「え?」


幼友「とーーーう!!!」ボゴォッ

弟「ぐはっ…なぜに今の流れでボディ…」ピヨピヨ


幼友「なによ! それ!?」ムキーーーッ!

弟「えっ……えっ…?」


幼友「さっきはすっごい嬉しかったのに! 再来月には私、寂しくて死んじゃうじゃないっ!!」プンスカ

弟「幼友ちゃん…」

幼友「しかもしっかり未来のビジョンとか語っちゃってさ! 反対もできないよ、こんなのっ!」グスッ

弟「…ごめん」


幼友「謝んなくていい! でもなんか嬉しいのと寂しいのがいっぺんにきちゃって…わけわかんないんだよ。だって、もうすぐ弟くんとずっと会えなく──」

弟「あ、うん、一ヶ月ちょいの間だけどね」

幼友「──は?」


弟「6週間だったと思う」

幼友「………」

弟「付き合い始めたばっかでそんな長く会えないなんて、僕だって寂しくて死んじゃうよー」ケラケラ


幼友「…歯、食いしばって」ユラァ…

弟「えっ! また…!?」


幼友「とーう──」

弟「!?」



──チュッ


幼友「………」

弟「………」

幼友「う、後から恥ずかしくなった」モジモジ

弟「………」

幼友「……弟くん?」チラッ

弟「………」プシュー


幼友「とーう」ツンツン

弟「はっ…旅立ってた…!」

幼友「どこに」


弟「ヤバイ、これからどうすればいいのか解らない」

幼友「さっきまで通りでいいんじゃない?」クスクス

弟「じゃ、じゃあ散歩の続きだ! はい、手っ!」スッ

幼友「ん…じゃあ、これはさっきまで通り…とは違うけど」

弟「?」


幼友「えいっ」グイッ!

弟「わっ…!?」

幼友「今度は腕でも組んで歩こっか、ねっ?」スリスリ

弟「……これは夢か」ウットリ


幼友(でも、この橋の辺りって事は──)チラッ


【休憩2時間4,500円~】

【フリータイム最大11時間!6,800円~】

【宿泊7,000円~(朝食付!)】


幼友(──ホテル街にも近いんだよね)ドキドキ…

弟「どしたの?」

幼友「うっ…な、なんでもない」アセッ


弟「……そろそろ、送ろっか?」

幼友「え?」

弟「もう日も暮れるし、今日はおっぱ…いっぱい遊んだよ」


幼友「……いいの?」

弟「ん?」

幼友「う……その、あの」アタフタ


弟「ああ……大丈夫、ここから帰るなら幼友ちゃんのアパートも僕んちも変わらないし、ウチまで付き合ってくれたら車で送るよ」

幼友「いや、そうじゃなくて」

弟「そうじゃなくないよ」

幼友「?」


弟「…せっかくここまで時間をかけたんだもの、なんにも焦らないよ。ゆっくり、楽しく付き合っていこうね」

幼友「弟くん…」


弟「ここがホテル街に近くなかったら、どう考えても今日はこれで楽しく終わって別れてたでしょ?」

幼友「うん」

弟「幼友ちゃんの全部を貰うなら、そんな『たまたまの条件』に便乗したくないんだ」ニコッ

幼友「おぉ…」キラキラ


弟「…かっこよかった?」

幼友「それを言わなければ」


弟「あはは……それに付き合い始めてその日にホテルに連れ込むなんて、そんな人いないでしょ──」ケラケラ


………



男「──ぶえっくし!」エーイ チキショー

従妹「お、兄ぃに風邪ひいたんか?」

幼馴染「日暮れて少し海風が冷たくなりました、お気をつけて」

男「あい」ズズ…


………


…幼友のアパート前


弟「──今日はほんと、楽しかったし嬉しかった」ホクホク

幼友「うん、私も」ホクホク

弟「まだ従妹ちゃんは戻ってないみたいだね、もうそろそろかな?」

幼友「そうだね……あ、LINE入ってる。幼馴染ちゃんからだ」ピコッ


幼馴染:『夜釣り突入、女子中学生は預かった』

幼友(『遅くまで釣るの?』)スッ…サササッ、トントンッ


弟「…なんて?」

幼友「夜釣り続行だって」


…ピコーン♪

幼馴染:『早くとも日付が変わってから、もしかしたら少女ちゃんの島に泊まるかもしれません』


幼友「……今日の内には帰らないって」

弟「………」

幼友「………」


弟「えーと…」

幼友(これ…『部屋に上がってく?』って訊くとこだよね…)ドキドキ


…ピコーン♪

幼馴染:『幼友、グッドラック( ゚∀゚)b』


幼友「うぐっ」

弟「どしたの?」

幼友「なんでもないっ!」アタフタ


弟「…幼友ちゃん、明日の予定は?」

幼友「明日は日曜だし、特に無いよ。従妹ちゃんと買い物行こうかって話してたけど、どうなるかわかんないし」

弟「そっか……うん」ゴソゴソ

幼友「?」


…ピッ、ススッ…トントンッ

弟「…………………あ、兄ちゃん? ごめん、操船してた? 大丈夫…あのね」

弟「うん、今どのへんの海? うん…うん……そう、二人」

弟「…………ん、いいんだ。うん、じゃあどこ? ……わかった、たぶん一時間くらいかな」……ピッ


幼友「弟くん…?」

弟「行こ、幼友ちゃん」


弟「ほら着替えとか、早く」

幼友「う、うん」

弟「少女ちゃんの島へ渡る港へ、ついでに従妹ちゃんの上着も追加持ってこいって」


幼友「……弟くん」

弟「ん?」

幼友「じゃ、今の内に言っとくよ」

弟「なにを?」


幼友「……私も弟くんの事、とっくに大好きだったよ」

弟「ぐはっ…!」ズキューーン


幼友「くあー! 恥ずかしっ! じゃ、じゃあ着替えてくるからっ!」タタタッ


弟(……よかった、なんとか理性保てた)ハァ


弟(もちろん欲しいんだよ、当たり前じゃん)

弟(でも手が届きそうになったら、今度は勿体無くなっちゃったりして)

弟(やっぱこう…いっぺんに食べちゃうのは惜しい)

弟(それに…)


…ピコーン♪

男:『てめえ、もうツヤツヤしてんのか』


弟(…なにより先に、兄ちゃんに自慢したくなったんだ)クスッ

弟(『兄ちゃんが逃した大物、僕が射止めたよ』って──)


……………
………


…港の船着場


従妹「──あ、来とる。手振ってるで」フリフリ

男「ブレーキかけます、座っていて下さい」ドルンッ!ダババババ…

幼馴染「あと2m…1m……」


弟「ロープもらおうかー?」

男「波が大人しいから平気だろ、気をつけて降りて来い」


弟「幼友ちゃん、いける?」

幼友「平気だよー」

弟「じゃあ、先に降りて。万一に備えて手を握っとくよ」

幼友「ん」ギュッ


従妹「なんや見せつけるんやなー?」ニヤニヤ

幼馴染「感無量」ウンウン

幼友「そ、そんなつもりじゃないし」プイ

弟(そんなつもりだし)プププ


男「降りたなー? 弟、岸壁蹴ってくれー」ドッドッドッ…

弟「あいあーい」ドスッ


………


ヴァイイィィィィィン…タパーンタパーン


幼友「すごーい、今日の船きれい!」タユーンタユーン

従妹「借りもんらしいけどな」ポヨーンポヨーン

幼馴染「いいから大人しく胸おさえて座っとけ」フルフル


弟「あ、三人に紹介するね。この子、僕の彼女で幼友ちゃんっていうんだ!」

幼友「とーうっ」ビシッ

男「そのやりとり、もう4回目だから」

従妹「どんだけ言いたかったんや」

幼馴染「許すの今夜だけな」


幼友「このまま少女ちゃんの島へ渡るの?」

男「泊めてもらう以上、連絡してあるとはいえあまりに遅い時間に戸を叩くわけにもいきません……が」

従妹「が?」

男「せっかく少しだけ道を逸れたらコンビナート。時刻もいい頃合です、ちょっとルアーを放っていきましょう」


幼馴染「コンビナート……桟橋周りなどは私有地なのでは?」

男「はい、マナーとしてそういうエリアでは釣りません」

従妹「なんかそういう場所、いかにも釣れそうやけどなー」

男「コンビナートの中や周囲にも、一般漁港や私有地でない小河川はあります」


弟「そこが私有地かどうかはどうやって見極めるんだろう」

幼友「そういえば、そんなの地図に載ってないよね」

幼馴染「男、その心は?」


男「コンビナートの港湾施設には、やはり見張りをする守衛さんがいます」

幼友「ふんふん?」

男「近付くとだいたい懐中電灯を向けられます」

従妹「なんや怖い」

男「一定の距離を保ったまま目指すポイントに移動し、懐中電灯が他所を向いたらOKゾーンです」

幼馴染「なんとなく信用なりません」


弟「それ、OKじゃなくてグレーゾーンじゃ」

男「てーい」ドスゥッ!!!!

弟「ふぐぉっ!? 威力段違…い……」ピクピク…


………



幼友「おー、海から見るコンビナートの夜景も綺麗ですなー」

弟「キミの方が綺麗だよハニー」

幼馴染「ちょっとウザさが過ぎるかな」

弟「あい」


男「あそこの河口岸壁を叩きましょう。みんな竿の準備を」

従妹「いえっさー」チャキッ

幼友「シーバスロッドだね、ルアーはミノー?」

幼馴染「私のにはメタルジグがついています」

男「せっかく人数がいるので、色んな層を攻めてみましょう」


弟「人数いる…って、僕の分のロッド無いんだけど」

男「だって今日は3本しか持ってないし、3人いればシャロー・ディープ・ボトム攻められるし」

弟「そんな……じゃあ僕、2人の揺れるおっぱい見てるしかできないじゃん」

幼馴染「なぜ2人なのか」


従妹「もう投げてもええかー?」ウズウズ

男「もう届くかな……では、どうぞ」ドルンッ…


幼馴染「てーい」シュピッ

幼友「とーう」ヒュッ

従妹「やーあ」ビュンッ


幼馴染「岸壁すれすれキャスト成功」フフン

従妹「ようあんなとこ狙えるなぁ」


男「これはエグイ、いれば食ってくるでしょう。とりあえず底をとるまでフォーリング──」

幼馴染「──違和感っ!! てーい!」ビシィッ!!グググッ…!


男「一投目のフォール中バイトを取る…だと…」

弟「かっけえ」

幼友「どこを目指してんの幼馴染ちゃん…」


男「お察しと思いますが相手はシーバスです、エラ洗いに気をつけて下さい」

幼馴染「水面には出させません……はい、つっこみ過ぎです上向いて」グググイ

従妹「なんやその余裕」


幼友「従妹ちゃんバイブレーションついてたでしょ、ボーッとしてちゃだめよ」

従妹「あそっか、これ沈むルアーやったっけ」マキマキ

男「スローシンキングのものをチョイスしていますので、そう焦らなくても大丈夫です。ゆっくり巻いて中層を探りましょう」


幼馴染「取り込みます」ダババッ

男「タモいりますか?」

幼馴染「50cmないくらいです。PEは1.0?」

男「1.5です」

幼馴染「それなら抜き上げます。よっ…と」バシャッ…ビタンビタンッ


弟「幼馴染ちゃん、進化し過ぎじゃね?」

従妹「兄ぃに見とるみたいや…」


幼馴染「シーバスはターゲットの内なのでしょうか」

男「無論です。これで5種目達成という事に」


幼友「私達もサクッと釣って、早く少女ちゃんの島へ渡らないとね」マキマキ

男「フォール中にジグを食ってきたという事は、少なくとも中層の活性はあると思います。従妹ちゃん、気を抜かずに」

従妹「気なんか抜くかいな! はよ釣るでー!」フンスフンス


幼友「表層はどうかな……ん? あれ?」フッ……スルスルスル

弟「どうしたの?」

幼友「なんで…いや、まさか……んんん?」マキマキスルスル

幼馴染「やけに軽そうです」


幼友「うわ、やっぱりだ……ルアーがない。男さん、ごめんなさい」

男「ワゴンセールの安物です、お気になさらず。どうしても気にするならカラダで」

幼馴染「てーい」ゴスッ

男「はぅあ」


従妹「兄ぃにの結びが甘かったんちゃうかー?」

幼友「リーダーの先が縮れてないし、解けたんじゃないよ。キャストする時、何かミスったかなぁ…」ショボーン


従妹「でも、最初は普通に巻けとったやん……あれ? えっ?」フッ…スルスルスル

弟「え? まさか従妹ちゃんのも?」


従妹「あかーん、やっぱ切れとる!」ムキー

男「お気になさらず」

従妹「うぅ…兄ぃに、カラダで払え言う?」ウルウル

男「言わない言わない言わない!」


弟「……ん?」


幼馴染「なにか鋭い物でも沈んでいるのでしょうか」

男「もしかして……ですが、これは違う魚がいるかもしれません」

幼友「違う魚?」


弟(なんだろ、これ? 常夜灯に照らされた水面下に何か立ってる…)


男「鋭い歯を持つ魚です。また歯だけでなく、その姿が刀身に似ている事から名がついたもの…と言ったら解りますか?」

幼馴染「刀身……」


弟(なんかギラギラしてるぞ? 鋼材とかが沈んでるなら、船が寄ったら危ないな)


男「しかもその名の読みにかけたかのように、その魚は時々水中で立っているのです」

従妹「立つ魚かいな」

幼友「たつ……魚…ウオ?」


弟「兄ちゃん、ここになんかあるよ」

4人「ん?」


タチウオ「グッドイブイング」


幼友「なんかいた!」

幼馴染「貴様の仕業か、覚悟するがいい」スチャッ

男「待った、そのままではルアーをロストし海を汚すばかりです」


弟「タチウオ用の仕掛けとかあるの?」

男「いいえ、特別変わったものは持ってきていません」

幼馴染「ではタチウオは今回のターゲット十種には含まれないと」

男「時期的に可能性は考えましたが、確実に群れが入っているとは言い切れませんでしたので」


従妹「ほな単純に切れんくらい太い糸を使うんか?」

男「既にリーダーは4号フロロ、このタックルではこれ以上は太くしません」

幼友「じゃあ打つ手無しなの?」

弟「そんなー、タチウオ美味しいのに」


幼馴染「ふふん、それでみすみすチャンスを逃す男ではないはず。もったいぶるのはやめて下さい」

男「これは失礼。なーに、タチウオの歯が糸に届かなければいいのです」ニヤリ


ガサゴソ……エート、アッタアッタ


男「名づけて『タチウオブッササール』ゥー」テッテレー

幼馴染「某製薬会社が釣具に手を出したかのようなネーミング」


幼友「ブラックバスの時に使ったソフトルアー用のジグヘッドじゃない?」

幼馴染「オフセットタイプです」


男「オフセットフックに細身なソフトルアーを着ける方法は覚えていますか?」

幼友「シャッドテール……という事は上下があるから…」

幼馴染「頭にチョン掛けして、クルッと返して腹から背にてーい」プスッ


弟「でもこれじゃ普通のルアーと変わらなくない?」

従妹「安いルアーなら切れてもええとか、それじゃエコやないで」

男「ノンノン、このブッササールはここからトランスフォームするのです」フッフッフッ


男「まずはこちら、ダブルフック。これをジグヘッドの軸部分に下向きセット」テッテレー

幼馴染「ウィードが茂った場所でのトップウォーターで使った事があります……が、下向き?」

弟「あー、上向きだとルアーに刺さっちゃうからか」


男「そしてこのウキゴムをジグヘッドの針先にチョイ刺し」

幼友「カエシのところまでカバーしてるね」


幼馴染「これは…ようするに後ろよりなアシストフックです」

男「その通り、簡易なものなのでファイト中にはテンションを抜き過ぎないよう注意が必要ですが、これでイケるはず」


従妹「なんや呪文みたいのいっぱい出てきてよう解らへん」ブーブー

男「もうこれで出来上がり、こんな感じです」


【タチウオブッササール】


男「じゃあ、これでいってみましょう」

幼馴染「ぶらじゃ」

弟(幼馴染ちゃんは絆創膏でいい気がする)

幼馴染「なにか考えたか」

弟「滅相も無い」


従妹「ルアーロストの恨み」ユラァ…

幼友「覚悟しなさい、タチウオ」ユサァ…


男「存分に晴らして、どうぞ」


幼馴染「てーい!」ペターン!

幼友「とーう!」タユーン!

従妹「やーあ!」ポヨーン!

今書いてるクリスマス短編終わったら必ず更新します、ごめんなさい


幼友「まだまだ初心者の私だけど、ルアーロストは屈辱的なのよ」マキマキ

従妹「来ぃや、タチウオ…今度こそ獲ったる!」マキマキ

幼馴染「タチウオとネコウオ……」ププッ


男「ブッササール効果により、タチウオの牙はラインに届き難いはずです」

弟「だいぶ後ろの方でフッキングするもんね」

男「それでも100%ロストしないとは言い切れませんが」


幼馴染「……!! きたっ…てーい!」ビシィッ!

従妹「こっちもや! やーあ!」ググッ!

幼友「生体反応無し!」ウッ…

男「タチウオはかなり群れる性質が強いです。幼友ちゃんも二人が取り込んだら、そっちへ投げた方がいいかもしれません」


従妹「うおおぉ……けっこう引くで…」グググイ…ギュンッ!

幼馴染「……ん? バレたっぽいです、軽い」チェッ

男「いや、たぶんバレてません」

幼馴染「ご冗談を…おおおおぉっ!?」ググググッ!


男「タチウオはファイト中、時々休んだかのように引かなくなります」

弟「まあ、動き止めて真っ直ぐに伸びてたら、水の抵抗無さそうだよね」


幼馴染「PEの緑部分に入りました!」マキマキ

男「タモが要るサイズでしょうか?」


…ギラッ


幼馴染「見えました、本当に刃のような銀色です!」

男「んー、指4本くらいか……抜き上げていいと思います」


従妹「こっちも見えたでー!」

男「同じくらいです。抜き上げて、ただし絶対手で触らないように」


幼馴染「てーい!」バシャァッ

従妹「やーあ!」ビタンッビタタッ…


男「へいパス、従妹ちゃんの方頼んだ」ヒョイ

弟「あい? 魚グリップ用のハサミ?」

男「引っ掛けただけでPEラインをすっぱり切る歯の持ち主だ、それ使わないとヤバイぞ」

弟「なるほど」


幼友「へへーん、じゃあこの隙に私もこっちで釣っちゃうよ。……とーう!」ピシュッ!


幼馴染「さっきの指4本というのは何の事なのでしょう」

男「あれはタチウオの身の幅の事。男性の指で人差し指から小指まで、4本分ほどの幅だという表現です。……よく刺さってるな、よっ…と」ブチッ

タチウオ「イテッ」


幼馴染「でも指4本は、そう大物ではないような言いぶりでした」

男「この辺りで釣るならアベレージでしょう、5本あれば喜べるサイズです。……針は曲がってないな」ンー…

幼馴染「……この辺りでなければ?」

男「比較的近いスポットなら松山沖などが良型が出るところです。指8本、時には両手サイズも出るとか」

幼馴染「指10本の身幅とは驚きです」


男「幼馴染は指2本でキツ……何でもありません」

幼馴染「ん?」

男「何でもありません」

幼馴染「んん?」


幼友「二人がシモい会話してる内に、ヒットおぉぉっ!」ビッシィーッ!

弟「がんば」

幼友「いえっさー」マキマキ


従妹「弟っち、上手いこと針とれそう?」

弟「割とガッツリ刺さってて……うーん」

男「替わろうか?」

弟「あ、でも取れそう……取れたっ!」ブチッ


幼友「へいへーい! あと10m!」グググッ…マキマキ


男「幼馴染のは……うん、まだソフトルアーも大きく裂けていません。このままいけそうです」

幼馴染「りょ」


幼友「へいへーい! 誰か構えー!」チキショー

幼馴染(普段の私の気持ちが解ったか)クックックッ


【本文外】


男「今夜はストロベリームーンだとか」

幼馴染「ほほう、美味しそうな名です」

男「相変わらず見境のない食欲、それでこそ幼馴染です」

幼馴染「しゃらっぷ」


男「今日は雨上がりで雲も無し、空を見上げるには絶好の夕べです」

幼馴染「なるほど?」

男「いかがでしょう、アナゴでも釣りがてら初夏の月見など」

幼馴染「せめて『がてら』の優先順位を逆にして欲しいところです」

男「いかがでしょう、初夏の月見を兼ねてアナゴ釣りでも」

幼馴染「なぜ変えた」


男「これは失礼、気が利きませんでした」

幼馴染「まったく、私の『美味しそう』発言など可愛いものです」

男「面目も膨らみも無い」

幼馴染「そこまでだ」

男「イエスボス」


幼馴染「ではベタながら、あの台詞を言ってくれれば水に流しましょう」

男「あの台詞とは」

幼馴染「がんばれ漱石」


男「月が──」

幼馴染「その調子です」

男「──満月という事は大潮、これは釣果に期待がもt」

幼馴染「てーい」ドゴォッ

ごめんなさい、ただいま

生存

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年03月28日 (月) 22:27:49   ID: ni3M3wjt

ぐぅおおおお……‼︎
早く続きが読みたい…
超期待して待っておこう。。。

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