男「釣りロマンを求めて」幼馴染「三投目です」(1000)


1スレ目
男「釣りロマンを求めて」幼馴染「仕方ないから付き合います」
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2スレ目
男「釣りロマンを求めて」幼馴染「二投目です」
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ごめん、とりあえず立てるだけ
近日新章開始します


男「大学、どうだ?」

弟「まだまだ、講義も味利きくらいのもんだし穏やかだよ」

男「そうか」


弟「…兄ちゃん、家で僕と二人の時は割と素で喋るよね」

男「まあ…別に敬語遣いするのも慣れてはいるけど、わざわざお前相手になあ」

弟「いいけどね」


男「じゃあ、楽な内にまた釣りに行くか?」

弟「たぶんいつになっても、息抜きにかこつけて行くだろうけどね」


男「…幼友ちゃんが来るなら、なおさら?」ニヤッ

弟「理由の半分以上はね」

男「正直だな」


弟「だってこないだみたいな特別でもない限り、デートなんてなかなかできないし。そうじゃなきゃ接点薄いよ?」

男「そりゃそうだ。…よし、誘ってみるか」

弟「ひゃっほーう」


男「海と淡水なら、どっちがいい?」

弟「こだわりは無いけど、こないだから海釣りは何度かやったからなぁ」


男「じゃあ今回は淡水で。…といっても釣りだけにこだわらず、小旅行的にいくか」

弟「なんですと」

男「また夜はキャンプ場でバンガロー借りるのもいいかな」


弟「泊りがけ? しかもバンガローって事は…」

男「もちろん、男女同室」

弟「一生ついていきます、お兄様」キラキラ


男「ばかやろ、ついてくんな。…じゃあ、幼友ちゃんはお前がしっかり誘えよ?」

弟「いえっさー!」ビシッ!




弟「釣りロマンを求めて」幼友「春の淡水釣り編だよー」


.


……………
………



男「おはようございます」

幼馴染「お待ちしておりました」

男「……なぜ寝ていないのでしょう」

幼馴染「事前にガッツリ打ち合わせ済みで寝ているわけがありません」


男「いいですか、貴女はオサナナジミです」

幼馴染「何を改まって」


男「オサナナジミというのは寝ているところを起こしに来るものです」

幼馴染「通常、男女が逆ですが」


男「しゃらっぷ、貴女にとっては俺がオサナナジミなのだから、そこはいいのです」

幼馴染「ちなみにどのようなタイプのオサナナジミなのでしょう」


男「こっそり布団に潜り込むもよし」

幼馴染「男女逆だとなぜかイメージ最悪です」


男「布団を引っぺがす男勝りタイプ」

幼馴染「そもそも貴方は男性です」


男「……暴力系?」

幼馴染「もしもし、DV相談室でしょうか」


男「では、俺はどうすれば」

幼馴染「優しくキスとかの選択肢は無いのでしょうか」

男「それはこっ恥ずかしい」

幼馴染「何をいまさら」


男「じゃあ…もう起きてるけど」

幼馴染「はい」スッ…


弟「──ねえ、まだ?」ガチャッ

男&幼馴染「はぅあっ!?」ビクゥッ

ここまで
今スレもまったりいきます


……………
………


…幼友のアパート前


男「まだ出て来てないようです」

弟「おおぉ…ここが幼友ちゃんの生息地…」

幼馴染「あ、降りてきました」


…ガチャッ


幼友「おはよーございまーす」

男&弟「おはよおっぱい」

幼馴染「打ち合わせがあったかのようなハモり具合」


幼馴染「ん? その手荷物はなんでしょうか」

幼友「えへへー、みんな朝ごはん食べてる?」


弟「僕と兄ちゃんは食べずに出たよ」

幼馴染「私は軽く、ハムエッグと味噌汁とご飯を」

男「軽くねえ」


幼友「おにぎりいっぱい作ってきたんだ、良かったら食べて?」

弟「兄ちゃん…生きてると良い事ってあるんだね」

男「すみません、ご馳走になります」


幼友「よかったー。なんか特に料理とかの面では、女子力で幼馴染ちゃんに大きく負けてるように思われてそうだから、ちょっとね」

幼馴染「事実です」

幼友「とーう」シュッ

幼馴染「てーい」パシィッ

幼友「…なかなかやるな」グググ…

幼馴染「フッ…お前もな」ニヤリ


弟「そんな小芝居いいから、早く食べたい」

幼友「おっ、そうやって急かしてくれると嬉しいね。どうぞどうぞ、具は色々だよ」


男「幼馴染、どれでもいいから取って下さい」

幼馴染「では、これを」

弟「じゃあ、僕はこれ」


幼友「そんな変なものは入ってないから、心配なくね」

幼馴染「安心しました。では、私はこれを」


男「幼馴染、まだ食べる気とは」

弟「太るよ?」

幼友「幼馴染ちゃんって、食べても太らないんだよね」


男「そうそう、あらゆるところに脂肪がつきにく──」
幼馴染「──そこまでだ」チャキッ

男「ややややめて、運転手のこめかみに家のカギ刺さないで」ガクブル


幼友「ちなみに一個だけ当たりがあるよ」

幼馴染「当たり?」


幼友「うん。それ以外は鮭も高菜も海苔の佃煮も、出来合いの瓶詰めやスーパーの漬物なんだ」

男「ほほう、では当たりは?」

幼友「へへーん、私手作りの卵焼きが入ってるんですよ」


幼馴染「おお…幼友の手料理はなかなか貴重かもしれません」

幼友「ま、昨日の晩の残りなんだけどね」テヘッ

弟「絶対当てる、なんとしても僕が食べる」


男「そうは言っても、もう各自選んでいます」

幼友「さあ、誰が当たったかなー? それともまだタッパーの中…?」

幼馴染「じゃあ、私から食べてみます」

幼友「召し上がれー」


…パクッ


男「何だったでしょう」

幼馴染「…卵焼き」モグモグ…

幼友「あ、いきなり当たったんだ」

弟「ちきしょおおおぉおぉぉぉ!!!」

幼馴染「何この気まずさ」


弟「…鮭フレークがしょっぱいぜ…」グスッ、モグモグ…

幼馴染「ごめんなさい」

男「謝る事ないない。運です、運」


幼友「しょうがないなぁ、今度朝ご飯に作ってあげるから」

弟「そそそれはお泊りのお誘いと捉えていいのかな」ププッ

幼馴染「あ、そんな事言ったら」


幼友「やっぱ無し、絶対やーめた」

弟「えっ!?」

男(…我が弟ながら、勉強できてもアホだなー)


幼友「………」ゴキュゴキュ…

弟(はっ…幼友ちゃんがペットボトルのお茶を!)キュピーン

幼友「…ぷはっ」クルクル…キュッ


弟「んっ…うぅ…喉に詰まっ…た…」プルプル

幼友「もう、焦って食べないでよ。しょうがないなぁ…」

弟(くっくっくっ…さあ、その綾鷹『幼友フレーバー』を渡すがいいっ──!)


男「幼友ちゃん、クーラーボックスに凍らせた麦茶あるので、とってやって下さい。少しは溶けてるでしょう」

幼友「あ、はーい」ゴソゴソ

弟(──この糞兄貴があああぁぁあぁ!)


………



幼馴染「それで淡水とは聞きましたが、まずは何を釣るのでしょう」

弟「幼友ちゃんをマイ竿で」

幼友「黙れ坊主」


男「最初は前も行った渓流の少し手前、川幅がまだ広いところでアマゴを狙いたいと思います」

幼馴染「どうりで、なんとなく通った事がある道だと思いました」

男「ほほう、ほとんど寝ていた気がしますが覚えていたとは」

幼馴染「貴様らがイチャついて睡眠を妨げたくせに何を」


弟「ちょっと待って、イチャついてたってどういう事」

幼友「ちょっと幼馴染ちゃんをからかっただけだよ」

男「他意はないです」シレッ

弟「本当かなぁ…」


幼友「今回はからかう相手も多くて楽しそう、またイチャついてみます? 男さん」クスッ

男「やめときな、お嬢ちゃん。引き返せなくなるぜ…」


幼馴染「Wall1からBro2。ロックオン完了、いつでもてーい可能です」

弟「フォックス2!」

幼馴染「てーい!」ゲシッ

男「痛てっ! 運転中、運転中!」

幼友「Mount1よりWall1。Bro1の撃墜を確認した!」


幼友「前とポイントが違うのは何か理由があるんですか?」

男「ちょっと広いところで試したい釣りがありまして」

幼馴染「そんなところでもアマゴが?」

男「広いといっても川の中流域というわけではなく、ダム湖のすぐ上あたり。渓流の入り口というべきエリアです」


弟「ふーん、どんな釣りなんだろ」

男「実は俺もやった事がありません」

幼友「えっ」


幼馴染「男にした事が無い釣りがあったとは」

男「俺を何だと思っていますか、未経験の釣りなら山ほどあります」

幼友「楽しみー」

男「悪いですが、そのタックルは2セットしかありません。普通の渓流竿を使ったミャク釣りと交代でいきましょう」

ちょこっとずつの投下で申し訳ない


……………
………



男「おっけー、ポイントに到着です」

幼馴染「相変わらず、水が綺麗です」

幼友「日本の名水百選に認定されてるくらいだからね」


弟「どれどれ」ゴクゴク

幼友「嘘だけどね。ごめんね、飲む上流で足浸してて」

弟「なおさら美味しいれす」プハー


男「俺も浸してますが」

弟「兄ちゃん、さっきからなんか僕に恨みでもある?」


男「さて、まずは女性二人には経験のあるミャク釣りをしてもらいましょう。二人とも、延べ竿をどうぞ」

幼友「先が細くて扱いに緊張するんだよねー」


幼馴染「また15尺の竿でしょうか」

男「今回は前より広々としたポイントなので、18尺を使ってもらいます」


幼友「エサは?」

幼馴染「もうバッタは嫌です」

男「ご安心を。この時期は頻繁に放流が繰り返されているので、養殖時に与えられていたエサが最も無難です」


弟「どんなものを食べさせられてるものなの?」

男「これです」パカッ


幼友「これは…寿司ネタじゃないですか」

幼馴染「イクラとはイクラなんでもご冗談を。養殖のエサには贅沢過ぎます」

男「冗談じゃないです」


弟「じゃあ、これ本当のイクラなの?」

男「はい、まさに鮭の卵…普通のイクラです──」


幼馴染「どれどれ」ヒョイ、パクッ


男「──ただし、人間が食べるには鮮度が落ち過ぎててお腹を壊しかねませんが」

幼馴染「………」エレエレエレ…

新スレたてた
よかったらよろしく頼むです

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鮭卵(けいらん)じゃね?

幼友「幼馴染ちゃんは淫乱(いんらん)だけどねー」
幼馴染「くっ」
男「いや否定してくださいよ」



幼友「また岸から釣ればいいんですか?」

男「それで構いません、18尺あればかなり広範囲を探れるはずです」


幼馴染「ちなみに私は車にスポーツサンダルを置いています」

男「知っています。というより、去年から常に載っています」

幼馴染「男がやっていたように、流れの中に立ち込んでみても良いでしょうか」


男「それならウェーダーの予備がありますが」

幼馴染「魚河岸は嫌です」


男「…しかし上流部の水温は低いです、かなり冷えると思います」

幼馴染「冷えたら車で冬眠します」

男「もう一度言いますがウェーダーの予備が」
幼馴染「魚河岸は嫌です」


幼馴染「おおおお…確かに冷たい、でも楽しいです」ザブザブ

幼友「いいなー、あとでサンダル貸して」

幼馴染「わかりました」


男「転んでも知りません。…まあ、流されたら一応助けます」ヤレヤレ

幼馴染「そういえば今日は白系のシャツなので、びしょ濡れになるとかなりセクシーです」

弟「ははっ、ご冗談を」

幼馴染「むっ」


男「ちなみに俺は濡れ透けフェチです」

幼友「そんな告白いらない」


幼馴染「では気をつけつつ、一投目をいきます」

幼友「エサがイクラだから針付けも気が楽だねー」

男「せっかくだから、幼馴染は瀬落ちになっているところを。幼友ちゃんは岸から流れが巻いている淵を攻めて下さい」


幼馴染「てーい」ヒュッ

幼友「とーう」フワッ


弟「…意外とサマになってる」

男「あの二人はスジがいいです、お前も頑張れ」

弟「いえっさー」


男「では、俺たちはこれに挑戦します」

弟「なんか変なところにリールが着いてる。もしかしてこれ、フライ…?」

男「ご名答、以前から興味をもちつつ、なかなかチャレンジできなかった釣りです」


弟「難しそうだなぁ」

男「簡単な釣りでは無いでしょう、それにフライは『ビギナーズラックが無い』とも言われます」

弟「まず投げられるようにならなきゃ、釣れるもなにも無いもんね」


男「今日の内にマスターするなど不可能かもしれませんが、ぎこちなくでもキャストできるようになって…」

弟「うん?」

男「…幼友ちゃんに、手取り足取り教えてやれ」ヒソヒソ

弟「よっしゃ、任せろ」グッ


幼友「とーうっ!」ピシッ

幼馴染「何ィッ!?」

幼友「あちゃー、カワムツかぁ」


男「…さすが、もうほっといても釣りができています」

弟「僕のヨメだからね」フフン

男「付き合ってもないのにそう言える事に感心するわ」


弟「それで、このロッドをどうすればいいの?」

男「まあ、最初は見てろ」フワッ…


男「まず数メートル引き出したラインを前に垂らし、ロッドを後方に加速度をつけてラインをピックアップ…!」スイッ…

弟「ふむふむ」


男「時計の文字盤に見たてて、後方およそ1時位置で節度をもってロッドを停止! ラインは後ろに伸びる…!」ビタッ、ヒュルッ…

弟「おお…」


男「ラインが伸びきったところで今度は前方に、弧を描くのではなく竿先を水平移動するイメージで…!」シュッ…!

弟「なんかそれっぽい!」


男「10時位置でストップ、ラインが前方に伸びきるリズムに従って、また後方に…」シュッ、フワッ…

弟「ちょっと格好いいかも…!」


男「少しずつラインを伸ばしながら、これを繰り返しうわあああ!?」カシャーン、クルクルクル…


弟「…ロッドに絡まったね」

男「久しぶりだぜ…このキャストにすら手間取る感覚…」フルフルフル…


弟「えーと、とりあえず離れたところでやってみていい?」

男「いいけど、頼むから木の枝とかにラインを絡ませないで下さい。フライラインはクソ高いです」

弟「あーい」


男(部屋や庭先で毛糸を使ったトレーニングをしてみた俺ですらこの有様……実際、弟には難しいでしょう)


弟「兄ちゃーん! なんか結構ラインが出たー!」ヒュンッ、フワッ…

男「なんでお前、最初から5~6mもライン伸ばせてんだ」イラッ

弟「な、なんかジタバタしてたら…! あわわわわ…」


男(…不格好だけど、弟は全身を使って動作してる)

男(そうだ、フライ入門のサイトで何度も見た……俺は癖でキャストに手首を使い過ぎなんだ)


男(思い出せ、毛糸での練習でラインを真っ直ぐに伸ばすには、竿先の直線運動のために腕や上半身の動きを大きくとったはず)フワッ…

男(…あの動きを、ロッドで増幅させるんだ──!)シュルッ…ヒュンッ…シュッ


──カシャーン、クルクルクル…


男「…俺、才能ないのかな」グスッ


幼馴染「てーいっ!」ピシィッ

幼友「やりますな」

幼馴染「…よっ…と、これは…確かアブラハヤ。美味しかったはずです」

幼友「そこの砂利浜の水際に生簀の網浸してるよ」

幼馴染「第一号、イン!」ゴソゴソ、ポイッ


幼友「餌がイクラだからやりやすいねー」

幼馴染「針付けする時にすぐ潰れてしまいますが」

幼友「でも少なくとも気持ち悪くはないし」


幼友「でも狙いのアマゴはなかなか釣れないね」

幼馴染「真昼間ですので」

幼友「確か薄暗いような時間帯や、雨の日によく釣れるんだっけ」


幼馴染「ところでそろそろ足が冷たくなりました。よかったらサンダルを貸します」

幼友「おっ、待ってました」


幼馴染「あの岩の向こうから急に深くなっているようです」

幼友「いえっさー」ザブザブ

幼馴染「気をつけて。転んでズブ濡れになったら、あの二人に視姦されます」

幼友「はっはっ、この私がそんなドジを──」


──ツルッ


幼友「はっ…!?」フラッ…

幼馴染「幼友っ!」

幼友「わあああぁぁあぁぁっ!?」タユーン


ドボーンッ!
…バシャバシャッ


幼友「しまっ…げほっ!」ジタバタ

幼馴染「言わんこっちゃない、早く立って下さい」

幼友「…くっ……深…ぃっ…!」

幼馴染「……幼友…?」


幼友(服が…突っ張って泳げない! 流れが速い…!)バシャバシャッ

幼馴染「まさか…溺れて…!? お、男っ! 幼友がっ…!」


男「てりゃーっ! うおおぉおぉぉ!?」カシャーン、クルクル…

弟「あははは…兄ちゃん、それ好きだね」シュッ…ヒュンッ…

男「てめえ」


オトコー!タイヘンデスー!


弟「ん…なんか喚いてない?」

男「変なものでも釣ったでしょうか」

弟「……いや、なんか雰囲気が──」

男「やれやれ、行ってみますか…」


弟(──幼友ちゃんの姿が見えない…?)ピーン


弟「兄ちゃん、竿頼む!」バッ

男「お…おい!? 水の中で走るな! 転ぶぞ…!」


弟(まさか…!)バシャバシャバシャッ!


幼馴染「弟君っ!」

弟「幼馴染ちゃん! 幼友ちゃんはっ!?」

幼馴染「流れの中で転んで…!」

弟「…流された!?」


…バッ!ポイ、ポイッ!


弟「幼馴染ちゃん、脱いだウェーダーを岸に上げといて!」

幼馴染「弟君…!?」


弟(…この辺から流されたのかな)

弟(同じ流れに入れば…!)


バシャッ!ザバァッ……!


弟(…くそっ、水はクリアだけど…流れで泡がたっててよく見えない…!)ブクブク

弟(流されるとしたら…こっちか…!?)

弟(けっこう深いな…どこだ、幼友ちゃん…!)

弟(さっきは水面に姿は見えなかった…まさか、まさか深みに沈んだり──)


──キラッ


弟(…あれ…は…!)


男「幼馴染!」

幼馴染「男…! 幼友が…弟君がっ!」ハアハア…


男「弟が飛び込むのを見たから、およそ事態は解ってる」

幼馴染「二人とも水面に出てこない…どうしよう…!」

男「くそっ…そのまま流されてりゃ、この辺りに来てるだろうけどな…」


…フワッ


幼馴染「…男、あれは…!?」

男「ボールが二個…流されて…?」


プカー、フヨフヨ…
…ザバーッ


幼友「ぷっはー! げほげほっ…びっくりした…やっと足が着いたよ」ゼエゼエ

男「おはよおっぱい!」

幼馴染「おはよおっぱい!」


幼友「いやー、ごめんね…心配かけちゃって」テヘッ

幼馴染「私こそごめんなさい、サンダルで立ち込むのは危険でした…」

男「やはり滑りにくいフェルト底になったウェーダーを着るべきです」

幼友「本当、すみません…」


幼馴染「でも良かったです。幼友の釣竿は…どこか沈んだのでしょうか」

男「人が無事なら道具なんかどうでもいいです」

幼友「あっ、でもあそこの岩に引っ掛かってる」

男「やれやれ、じゃあウェーダー履いてる俺が行きましょう」

幼馴染「あっ…そうそう、それと弟君のウェーダーはあそこの岸に置きましたので──」ハッ…


幼友「…あれ、そういえば?」

男「………」ダラダラ

幼馴染「………」ダラダラ


幼馴染「…あっ、あそこ…!」

幼友「弟君っ!」


…プカーッ、フヨフヨ


幼馴染「仰向けに浮いてます…大丈夫でしょうか」


フヨフヨ…チラッ…


男「今、こっちをチラ見したな」

幼友「大丈夫っぽいね」

幼馴染「弟君ー、幼友は無事だったので戻って下さいー!」


フヨフヨ…


幼友「…聞こえてない?」

男「いや、あれは自分が飛び込んだのが無駄足だった事に不貞腐れてるな」

幼馴染「あるいは気恥ずかしいのかもしれません」


男「弟ー、大丈夫だってー! お前、がんばったよー」

幼友「あー、えーと…ありがとう…ね…?」

幼馴染「幼友、もう少し心をこめて」


…プカーッ、フヨフヨ


幼馴染「弟君、格好良かったです!」パチパチ

幼友「そうそう格好良かったよー! 見てないけど!」

男「おーい、いつまでも流れてたら釣るぞー?」


…プカーッ、フヨフヨ


男「…強情だな」

幼友「仕方ないね」ハァ…

幼馴染「幼友…?」


幼友「男さん、服がずぶ濡れだから車で乾かしてもいいですかー?」

男「うわー、当たり前だけどズブ濡れだわー、透っけ透けだわー」


ピクッ…フヨフヨ…


幼馴染「幼友、着替えはあるのでしょうか」

幼友「一応あるんだけど、下はこのキュロットしか無いんだー」

男「じゃあ、下は荷物のバスタオルでも巻いて車内で温まって下さいー」

幼友「やーん、恥ずかしいー」


男「弟ー、お前もそんな幼友ちゃんと二人で車に行ったらどうだー?」


ザバァッ…!


弟「はい、喜んでー!」ピョーン


幼友「…アホだ、あいつアホだ」

神奈川県にお住まいのペンネーム「テー伊藤さん」からのお便りです。

こんにちは、いつも楽しく拝読しています。
幼馴染ちゃんがブラジャー要らずのAAAカップということは分かるのですが、
巨乳の幼友ちゃんのカップサイズはどれくらいあるのでしょうか。
ピザ巨乳だと嫌なので、スリーサイズと合わせて教えてください。
よろしくお願いします。


………



男「さて…幼友ちゃんと弟は車に行ったので、せっかくだからフライやってみますか?」

幼馴染「是非」

男「では、このタックルを。この辺りなら掛かる木の枝も無いので、思い切って練習しましょう」


… … …


男「──さっき説明した要領で、後ろ1時の角度でピタッ」

幼馴染「てーい」ピタッ、ヒュルッ…


男「伸びきったタイミングで、前10時位置…」

幼馴染「てーい」シュッ…ピタッ、フワッ…


男「もう一度、1時!」

幼馴染「てーい」ヒュッ…


男「…10時!」

幼馴染「てーい」シュルッ

男「いい感じです、繰り返して──」


幼馴染「てーい……てーい……」シュルッ…ヒュッ…

男(上手い…というより、たぶん俺の指示が上手い)

男(…少し離れてロッドとラインの動きを全体的に見てるから、タイミングが掴みやすい)


男「ラインを送り出して…!」

幼馴染「てーい………てーい………」シュルルッ…ヒュンッ


男(そして俺より釣り歴の浅い幼馴染は、手首を使ったルアーキャストの癖がついていないから)

男(…これは案外、この方法が二人共に上達しやすいかもしれない)


幼馴染「てーい……あっ…!?」カシャーン、クルクル…

男「惜しい、随分ラインを伸ばせましたが」

幼馴染「これは難しいです」シュン…

男「上出来過ぎるくらいです。解いて再開しましょう──」


… … …


幼馴染「てーい…てーい……てーい………てーい…」シュルルッ…ヒュルッ…

男「………」

幼馴染「てーい………てーい………てーい…あっ、また…」カシャーン


男「手が疲れたでしょう、少し休みますか」

幼馴染「はい」


男「…まさか、フライフィッシングに挑む幼馴染の姿を見る事になるとは」

幼馴染「連れてきた癖に何を言いますか」

男「1年前までは思いもしなかった…という事です」


幼馴染「似合いませんか」

男「見とれて惚れなおします」

幼馴染「てっ…てーいっ!」ビシビシッ


男「痛てて、やめて下さい。…でも本当の事です」

幼馴染「死ぬほど照れます」プスプス…

>>135
この春の淡水釣り編の中で答えさせるので、少々お待ちくれさい


………



弟(──今、僕は試練に立ち向かっている)

弟(そう…これは過酷な試練、己を制する意志の強さを問われてるんだ)


弟(僕は心の弱い人間だ)

弟(だけど自らに誓え、決して屈さない…衝動に流されたりしないと!)


弟(あの車の向こうで着替えてるのは、ただの縫いぐるみだ!)

弟(見たくなんかない! 例えすべすべ肌のゆるふわ内巻き髪のお姉さん的な姿をしていようと!)

弟(そう…例え、どんなにナイスバディでも!)

弟(ただの縫いぐるみだ!)


弟「………」


弟(……縫いぐるみなら、見てもいっか)ププッ


弟(まず、さりげなく立ち位置を変える!)スサササッ

弟(車の中央、前から後ろにかけての中心線を基準に縫いぐるみの位置と線対称になるように──!)


弟(くっくっ…知ってるぜ。縫いぐるみは今、助手席とその後部席のドアを開けて、できた隠れスペースで着替えてる…!)

弟(つまり助手席のドアが解放されている以上、ルームミラーにはその桃源郷が映し出されているはずなんだっ!)ニヤリッ

弟(今の僕の立ち位置からなら、小さくともそれを垣間見られるはず…)


弟(だが…本当にいいのか? 『絶対に覗かないでよ』と言った彼女を裏切る事になるんだぞ…!)


弟(……いい!)キラーン

弟(だってどうせその内、僕のモノにするつもりだもんなっ!)

弟(これは下見だっ! ご拝見…っ!)


幼友「もういいよー」バタンッ

弟「はぅあぁっ!? 出たな縫いぐるみ…!」ビクゥッ!

幼友「誰が縫いぐるみだって…? とーうっ!」ドゴォッ!


………


…車内


幼友「──で、何をしようとしてた?」

弟「ル…ルームミラーで覗こうとしまひた…」ピク…ピク…

幼友「油断も隙も無いってやつだね、まったく」ヤレヤレ


弟(…でも着替えてても、この見た目はヤバイよ)チラッ

弟(濡れた髪、Tシャツに薄手のパーカー、たぶんその下はノーブラ…)

弟(そして下半身は白いバスタオル巻きで、うっすらパンツの線が透けてるし)


幼友「…目のやり場に困るかな?」クスッ

弟「全然、穴があくほどガン見固定だからね」ニコッ

幼友「トランク室、行きたいのかな?」


幼友「はあ…最悪、携帯も川の中に落としちゃうし。エッチな目で見られるし」

弟「携帯…」

幼友「うん、流された時にね」

弟「………」

幼友「大事にしてたんだけどなぁ」


弟「…怪我が無かっただけ良かったじゃない」

幼友「まあね、でもショック………は……くしゅんっ!」ポヨーン

弟「ナイスくしゃみ。…でも風邪ひいたらいけないし、車の鍵借りてるからエンジンかけるね」

幼友「もう、またヤラシイ目で見たでしょ」


弟「そうは言うけど、幼友ちゃん。見るなってのは無理だよ?」

幼友「開き直りやがった」

弟「…僕、幼友ちゃんの全てが好きだから」

幼友「うっ」


弟「まだそんなに知り合って長く無くとも、幼友ちゃんは良い人だってのは解る」

幼友「弟君…」


弟「サバサバしたその性格も、それでいて意外と乙女なところも、小悪魔的な意地悪さも」

弟「もちろん可愛いし、髪型もよく似合ってる。全部好き」


幼友「さ…さすがに照れる…」ポリポリ…

弟「そんな風に異性として魅力を感じて、惹かれてるんだ。…どうしたって目がいくよ」


弟「それでも当たり前だけど、知らない部分はまだまだ残されてるんだ」

幼友「…そりゃそうだよ」

弟「知りたいんだ」


幼友(ストレートだなぁ…)

幼友(ふざけて軽くエッチな事をはばからずに口にしたり、わざとエロ視線を送ってみたり)

幼友(普段はとても真面目とは思えない態度を、きっと…わざと見せてるくせに)


幼友「…ずるいよ」ボソッ


幼友(こういう時だけ、ちゃんと真剣になるんだから)

幼友(…そっくりだよ)ズキン


弟「幼友ちゃん」

幼友「…なーに?」

弟「付き合って下さい」


幼友「会う度に聞いてるよ」

弟「下手な鉄砲ってやつだよ、なりふりなんか構わない」


幼友「恋は押して、でも時には引かなきゃ」

弟「引かない。押して押して、押しまくるつもりだよ」

幼友「…肉食系だね」

弟「美味しそうだしね、幼友ちゃん」

幼友「どのへんが?」

弟「そりゃもう…………全部だよ」

幼友「何、今の間?」

弟「そこは察してよ」


幼友「…まだまだ、ボンネットに干してるキュロットも乾かないしね」

弟「うん?」

幼友「質問、受け付けるよ」クスッ


弟「……質問…」

幼友「知りたいんでしょ? 私の事…そう言ってたし。教えられる事なら、答えてあげよう」


弟「…じゃあ、僕の事好き?」

幼友「あははっ、本当…ストレートな質問だね」

弟「なりふり構わないんだってば」

幼友「好きだよ」

弟「それ、幼馴染ちゃんに言うのと同じ『好き』だよね──?」





幼友「──違うよ」


弟「えっ」

幼友「そんな仲良しこよしな、お友達の『好き』じゃないよ」


幼友「ちゃんと…」

幼友「一人の異性として」

幼友「……私、弟君の事…好きだよ」


弟「……からかってる?」

幼友「もう、失礼だなぁ。余裕ぶってるけど、そんなでもないんだよ?」

弟「じゃあ」

幼友「でも、もう少し待って」

弟「………」

幼友「ごめん…もしかしたら、少しじゃないかもしれないけど」

弟「…うん」


幼友「前に話したよね。私…高校の時と大学に入ってから、あわせて二人のヒトと健全にお付き合いをしたの」

幼友「そのどっちのヒトもね、ちゃんと好きだった……最初はね」

幼友「その時と同じくらいには間違いなく弟君の事、好き」

幼友「でも…なんでかな、その時みたいに『好きなんだから付き合ってみればいいや』とは思えないの」


弟「恋に恋する歳じゃなくなったから?」

幼友「酷いなぁ、まだ若いぞ? 君よりはトシだけどね」ムスッ

弟「…ごめん」


幼友「たぶんだけどね…その時の相手よりも、もうちょっと強く…好きなんだよ」

弟「僕を?」

幼友「当たり前でしょ。だから、試しに付き合ってみよう…とは思えないんだ」

弟「……それでフラれてばっかりなんだね、僕」

幼友「そ、好きだからフッてるの。あははっ…変な話だね」


幼友「だからね、弟君。もし私が『付き合ってもいいよ』って言った時は、きっともうベタ惚れだよ」

弟「想像できない」

幼友「そりゃもう、すぐにでも結婚迫るくらいだったりして。もし弟君が浮気なんかしたら病んじゃうかもね?」クスクス…


弟「…解った、待つよ」

幼友「ん、待ってて」

弟「でも待つだけじゃない」

幼友「…肉食系だもんね」

弟「うん、一刻も早くベタ惚れさせるように、がんばる。そんで会う度に告白する」

幼友「……うん」


弟「まだ質問、いい?」

幼友「いいよ」


弟「じゃあ、好きな食べ物は?」

幼友「グラタンとかドリアかな」

弟「いいね、作って欲しい」

幼友「作って欲しいねー」


弟「好きなアーティスト」

幼友「スピッツとSuperfly、最近はback numberとか」

弟「back numberは僕も好きだな。…行ってみたい国は?」

幼友「スペイン、料理も美味しそうだしね」

弟「新婚旅行先、決まりだね」

幼友「すっ飛ばすねぇ」ケラケラ


弟「好きな映画」

幼友「オーロラの彼方に」


弟「彼氏に乗って欲しい車は?」

幼友「………」

弟「…サーフだね」

幼友「まだ答えてないよ」

弟「最初はジムニーくらいで勘弁してね」

幼友「ん、楽しみにしてる」


弟「好きな花は?」

幼友「ガーベラと桜」

弟「桜の方は…」

幼友「ごめん、好きなのは花見です」テヘッ


弟「スリーサイズは?」

幼友「B88W58H89」

弟「カップは?」

幼友「Fだね」


弟「…答えるんだ」ドキドキ

幼友「大サービスだぞ」

弟「ありがたや」


幼友「オカズになりそう?」

弟「僕が干物になりそう」


すまん、頭身を伸ばすとあまりロリっぽさがなくなった
あくまでイメージの一例であり、実物とは異なる場合があります

http://blog-imgs-65.fc2.com/g/a/r/garakutasyobunjo/osa-tomo.jpg

幼のも欲しいな

>>166

うい、幼馴染描いて合成してみた

http://blog-imgs-65.fc2.com/g/a/r/garakutasyobunjo/tei_and_tou.jpg

じゃあわたしは男を貰うことにするよ

>>181
てーい!!!(#゚Д゚)=○)`Д゚).・;'∴

>>181
てー
い!!!(#゚Д゚)=○)`Д゚).・;'∴

連投すまぬ

??「とーーう」(*゚∀゚)=○)`Д゚).・;'∴

今の幼友と弟の関係って、ゴンの成長を待っているヒソカみたいな感じ?
本当はすぐ戦い(付き合い)たいけど、成長して自分の理想に近づくまで壊さないみたいな?



幼友「ふわ…車内が暖かくなって眠くなっちゃった」

弟「けっこう朝早かったもんね」


幼友「…寝ちゃったら、ヘンな事する?」

弟「誓ってしない」

幼友「さっき着替え覗こうとしたの、だーれだ?」

弟「そんな奴がいたの!? 許せない!」

幼友「いい性格してるね。…ま、信用したげよう」


弟「ところで幼友ちゃんって、寝たら何かあっても起きないタイプ?」

幼友「それ、なんで訊いた?」ニッコリ


………



幼友「………」スゥ…

弟(…寝ちゃったのかな)

弟(なんか普通に肩に寄りかかられてるし)


『ちゃんと一人の異性として…私、弟君の事…好きだよ』


弟(…耳から離れないよ)

弟(例えまだ、幼友ちゃんの気持ちに踏ん切りがつくほどじゃなくても)

弟(少なくとも今、幼友ちゃんの心を一番大きく占めてるのが自分ならいいな)



弟(…寝顔も可愛い)

弟(写メ撮ったら、起きちゃうかな──)


──ハッ


弟(そういえば…川底で拾った携帯、渡してない)


『大事にしてたんだけどなぁ』


弟(女々しいよな…幼友ちゃんがストラップの事について触れてくれなかったから、言い出せなかった)

弟(…いや、言い出さなかったんだ)


弟(残念だけど、壊れてるのは間違いない)

弟(つまり僕は、自分が買ったお揃いのストラップを拾っただけ)

弟(今更、どう言って渡すんだ? 『新しく買う携帯にも着けてね』って、携帯が壊れてショック受けてる幼友ちゃんに?)

弟(せめて川から上がってすぐに渡すべきだった……完全に機を逃したなぁ)ハァ…


……………
………



男「ご馳走さまでした」ツヤツヤ

幼馴染「お粗末さまでした」ツヤツヤ


男「さて、気をとりなおしてフライの特訓を続けたいと思います」

幼馴染「切り替えが早いです。…あっちと一緒」ププッ

男「まじで凹むからやめて」


男「…幼馴染、悪いですがある程度距離をとって横並びになってもらっていいでしょうか」

幼馴染「了解です」

男「では、同時にピックアップしましょう」スッ…


幼馴染「よっ…と」フワッ、ピタッ

男(…1時)ピタッ

幼馴染「てーい」シュルルッ

男(上半身全体を使うつもりでラインを伸ばす…10時)ヒュルッ…ピタッ


幼馴染「……てーいっ」シュルッ…

男(ここだ…! そうか、俺は前方にラインが伸びきるのを待てていなかったんだ)ヒュルルッ…!


幼馴染「てーい……あっ!?」カシャーン

男「………」シュッ…ヒュルルッ


幼馴染「…よかったです、そんなに絡まりませんでした」

男「………」ヒュルルッ…ヒュンッ


幼馴染「男…」

男「………」シュルルルッ…スゥッ…

幼馴染(目つき…変わりました)クスッ


男(いいぞ…だいぶ伸びた! 次の一振りであの岩の脇に届かせる…!)フワッ…

幼馴染「男、声が足りません」

男(…よし、渾身の…でもリラックスした動作で…!)シュルッ…!

幼馴染「せーの…」


男「てーいっ!」ヒュンッ


…フワッ

ピチャッ……スゥゥッ──


男(フケたラインを回収しながら…どうだ…?)


──バシャッ!


男「…!!」ピシィッ!

幼馴染「出た…!」

男「おっけー! ノッた!」グググッ…


バシャッ…パシャパシャ…


男「…っと、もうちょい…よし……キャッチ!」ピチピチッ

幼馴染「やりました、おめでとうございます」パチパチ

男「ふう…たかがウグイを釣ってこんなに嬉しいのは子供の頃以来です…」


幼馴染「やはり水面でヒットする釣りは見てても楽しいです」

男「しかしフライにも水中に沈めるタイプのものはあります」

幼馴染「…この軽そうなフライ針が沈むものでしょうか」

男「もちろん毛バリの種類が違います。今使っている浮くタイプの針を使う釣りはドライと呼ばれます」


幼馴染「…ああ、そう」フッ

男「ドライな態度と言いたいのでしょうか」イラッ


幼馴染「では沈むタイプは?」

男「カゲロウの幼虫などを模した重めの毛針を使い、ニンフと呼ばれます」

幼馴染「私、産むわ」

男「妊婦じゃないです」

幼馴染「あっ…動いた」キャッ

男「やめい。だいたい妊婦ならもうちょっと発達──」

幼馴染「なんでもかんでも結びつけるな」


男「せっかくコツを掴み始めているので、どんどんいきます」

幼馴染「私も早く釣りたいです」


男「これは最初はあまり長く伸ばそうとしない方がいいです。近場でも雑魚は釣れるようなので」

幼馴染「先ほどのウグイも雑魚の内ですか」

男「雑魚と呼ぶには大ぶりですが、リリース対象の外道です」


幼馴染「ではがんばります」

男「幼馴染」

幼馴染「…なんでしょう?」

男「俺より上流に入って下さい」


幼馴染「でもそれじゃ男の動作を見られません」

男「お前はスジがいい、あとは今のやり方のまま慣れるだけです。…頼むから俺の視界に入っていて下さい」

幼馴染「男の視界に…?」


男「正直、さっきの幼友ちゃんの一件…怖かったです」

幼馴染「…男」

男「幼友ちゃんに…弟に万一の事があったら、そう思うとゾッとしました」


幼馴染「でも私は今、魚河岸は履いていません。流れに立ち込んでもないです」

男「それでもです。…二人に怒られてしまいそうですが、俺は何よりも幼馴染を失うのが一番怖いです」

幼馴染「まあ素敵」


男「茶化さないで下さい」

幼馴染「…照れ隠しの内です」

男「この場より上流にダムはありませんし、ここのところ大雨も降っていません。だから川が増水する事は無い…それでも心配です」

幼馴染「………」


男「…ここのところ休みの度に釣りに出ていますし、平日も2日に一度はどちらかの家に行っています」

幼馴染「確かに」

男「なんとなく自分でも意外です」


幼馴染「…意外? 何がでしょう」

男「俺は自分が思っていた以上に、相手を束縛する性質だったらしい」


幼馴染「……男」

男「窮屈じゃありませんか」

幼馴染「………」スッ…


…ギュッ


男「幼馴染…?」

幼馴染「潰れるくらい抱き締め返して、束縛して下さい。…私は平気です」

男「…良かった」ギュ…


弟「兄ちゃーん、僕も釣り復帰するよー」

男&幼馴染「はぅあぁあぁっ!?」ビクゥッ!…バッ!


弟「どうかした?」

男「な、何でもねえ! 幼友ちゃんは…!?」アハハハ

弟「車で寝てる。最初は肩を貸してたけど、かなり寝入っちゃったみたいだからそーっと横にしてきた」

幼馴染「………」チッ


男「そうか…溺れたら必死になるだろうから、疲れたんでしょう」

弟「フライでもミャク釣りでもいいから、魚釣りたいんだ」

男「…ずいぶんやる気だな」

弟「ん…ちょっと、気晴らしにね」

男「気晴らし…? 何のだ?」


弟「……ごめん、なんでもない。竿ある?」

男「ああ、悪いけど幼馴染もフライのコツを掴んできたところだから、とりあえずミャクで探って下さい」

弟「うん」

>>273

ただし男限定


………



弟「えっと…流れの上手に向かって……フワッと」フワリ

弟(目印のトンボ糸を見ながら、流れに乗せて──)


スーーーッ……ピタッ…
…ツンッ!


弟「…っと!」ピシィッ


パシャパシャ…パチャッ


弟(…すごい、言う通りにしてたら釣れちゃった)

弟(なんて魚だろ、綺麗だな)

弟(どう見ても食べられそうだし、キープしとこ)ゴソゴソ…


弟(よし…次だ、せーの…)

弟「とーう」ボソッ


スゥッ…ポチャッ…


弟(…何が『気晴らし』だよ)

弟(気の曇りの原因は、自分が蒔いた種だってのにさ)

弟(本当…女々しいなぁ、僕)


『押して押して、押しまくるつもりだよ──』


弟(──威勢がいいのはクチばっかじゃん)


…ツンッ!
ピシィッ!…パシャパシャッ!


弟(また同じ魚だな…スカリに入れとこ)ゴソゴソ…


弟「…よっ」スゥッ


弟(ポケットの携帯、いっそまた川に投げ込んじゃおうかな)

弟(…ってバカな事考えちゃだめだ、僕)

弟(なんとかタイミングをみて返してあげないと)


弟(代わりの携帯を買うにしても、前の本体があった方が安く買えるんじゃなかったかな…水濡れ交換とかで)スゥゥ…

弟(そう…だからこの携帯を渡すのは、なにもストラップだけを押しつけようってんじゃない!)

弟(…あとは、なんですぐに渡さなかったのかってだけだな…)ピチョン


弟(今度は釣れなかったな…もうちょい上流に進んでみよっか)ザッ…ザッ…

弟(あの辺、どうかな──)


………



幼馴染「てーい、てーい、てーーーいっ」シュルルルッ、ピチョン…

男「お見事、距離は短くともそれなら何か釣れるかもしれません」


スゥゥ…


幼馴染「……ああ、残念。今回はだめでした」ピチョッ

男「ドンマイ、もうすぐです」

幼馴染「しかしさっきから弟君が好調に釣っているようです」

男「なんか無心で釣りしてるな…背景に溶け込みすぎです、どこの達人だ」


幼馴染「あ、また釣りました」

男「…でもだんだん上流に向かってます。やれやれ…あまり離れて欲しくないのですが──」


………



幼友「…ん……」パチッ

幼友「あ…ごめん…弟君、横になってシートとっちゃってたね──」ムクッ


幼友「──あれ?」キョロキョロ…

幼友(なんだ、いないんだ。また釣りに行ったのかな)


幼友「…ちぇっ」


幼友(……あれ…?)

幼友(私、今…たぶん…)

幼友(寂しい…って、思った…)


幼友「…はぁ」

幼友(ストラップ無くした事、弟君なにも言わないなぁ)

幼友(いい気はしないよね…)


幼友「…大事にしてたんだけどな」ボソッ


幼友(本体なんか、水没したらそれまでだもん)

幼友(そんなの…どうでもいい)


幼友「気に入ってたんだよ…お揃いのストラップ」

幼友「ごめんね…弟君」


幼友(諦めるしかないかなぁ)

幼友(…でも、きっと目の前に…すぐそこの川底にあるんだよ──)


………



弟「…よいしょっ」ピシィッ!


パシャッ…バシャバシャ…


男「いい調子だな」

弟「兄ちゃん」


男「でもお前、あんまり離れたところへ行くなよ。何かあっても助けられない」

弟「あ…僕、こんなとこまで進んでたんだ…」

男「夢中で釣ってたって? そんなに熱心だったか…?」

弟「……」


男「それとも、何か考え事でもしてたか」

弟「…なんでもない、ほっといて」


男「お前な──」

弟「──あ、幼友ちゃん…起きたんだ」

男「ん…?」


弟「幼馴染ちゃんと話してる」

男「はぁ…向こうへ戻ろう。またフライを交代するから」

弟「…うん」


………



幼馴染「幼友、どうしてその格好で…着替えたのでは?」

幼友「着替えたんだけどね、また濡れた服に戻したの」

幼馴染「えっ」


幼友「…ん、どうせまた濡れるから」

幼馴染「ちょ…どういう…」

幼友「川、入る」


幼馴染「ば…馬鹿な事言わないで下さい」

幼友「入るの、探さなきゃいけないものがあるから」ザッザッ…


幼馴染「行かせません。男はさっきの一件、とても心配していました」

幼友「悪かったと思うけど、どうしても探したいの。どいて、幼馴染ちゃん」

幼馴染「嫌です」


幼友「それでも通るって言ったら?」

幼馴染「止めます、何としても」

幼友「あははっ…漫画みたいだね」

幼馴染「……」


幼友「…ごめん、幼馴染ちゃん──」ザッ…!


幼友「──隙ありっ!」ザザッ!

幼馴染「通さないと言ったでしょう!」ガシッ

幼友「ちっ…放してっ!」

幼馴染「絶対、放しません!」

幼友「もうっ…しつこいなぁっ」


幼馴染(仕方ありません──)ザッ…!

幼友(──しょうがない…か)グッ!


幼馴染「てええぇぇぇいっ!」

幼友「とおおぉぉぉうっ!」


幼馴染「くっ…!!」フラッ

幼友「うぅっ…」ヨロッ

幼馴染「…殴られるなんて、久しぶりです」

幼友「いてて…顔は殴らないけどね」


幼馴染「でも、この程度じゃ…怯みません!」ドンッ

幼友「くっそ…! 細いクセに力あるんだからっ!」ググッ…

幼馴染「てーいっ!」ギュッ…グイッ!

幼友「とーうっ!」ガシッ!


男「ちょ…あいつら、なにやってんだ!?」

弟「えっ、喧嘩してる…!」

男「急げ! 止めるぞ!」ダッ…


チョッ…ミズヲ カケナイデ クダサイ!
フク ガ スケスケ ニ ナリマス!

コラーッ!シャツ ヒッパルナー!
イマ ブラジャー シテナインダカラッ!


男「………」ピタッ

弟「………」ピタッ


アッ…ダメ!ヤブレチャイマス!

ワワッ!ハナセッ!ポロリ シチャウ ジャナイッ!


男「…もう少し様子をみるか──」

弟「──賢明だね」


幼馴染「何を探す気か知りませんが、諦めて下さい!」ギュッ、ビヨーン

幼友「うわ!? 引っ張らないでってば! 携帯…川に落としちゃったんだよっ!」アワワ…


男「くっ…! あと少しなのにっ!」チキショー

弟(…探す? 何を……)


幼馴染「貴女の携帯は防水タイプじゃなかったはずです! 危険をおかしてまで探さなくても──」

幼友「違うっ! 大事なのは携帯じゃないの!」バシャッ!

幼馴染「ひゃっ…!? 冷た…!」グッショリ


幼友「弟君とお揃いのストラップ…! 無くしたくないんだ…解ってよ!」ドンッ

幼馴染「うっ…!?」フラッ…


弟「幼友ちゃん…」


幼友「弟君は私の気を惹こうと頑張ってくれてるの! 私は…すぐに応える事はできなくても、その気持ちは大事にしたい!」

幼馴染「…幼友…」

幼友「だからあのストラップは私の小さな宝物なんだよ……携帯はどうでもいいけど、あれは絶対に無くしたくない! だから──」バッ


男「…いかん! 弟、さすがに止めるぞ!」

弟「宝物…ストラップが…?」


幼友「──邪魔…しないでっ! とーーーうっ!!!」ドォッ!

幼馴染「うっ…!?」ヨロヨロッ…!


…フラッ
ドッボォーン!!


男「ふ…二人とも…っ!?」


幼馴染「ぷはっ…!」バシャッ

幼友「けほっ…けほっ…」ザァッ…

男「よかった…浅瀬か…」ホッ


弟(幼友ちゃん…)

弟(『大事にしてた』って言ってくれたのは、ストラップの事だったんだね)

弟(今、ごめんなさいって…『実は持ってました』って出すのが一番だけど──)


弟「幼友ちゃんっ…!」

幼友「えっ…! 弟君…き、聞いてた…!?」ドキッ


弟「ストラップ、僕が探すからっ!」

男「おい…まさかっ!?」ガシッ

弟「行ってきます! とーうっ!」ピョーン

男「うわっ!? ばかやろ…!」フラッ──


──ドッボォーン!!


幼友「二人も落ちちゃった…!?」

幼馴染「大丈夫だとは思いますが…」


ブクブクブク…
……ザバアァッ!

男「…ぷっは! くっそ…引っ張り込みやがって…」ケホケホ

幼馴染「男っ…!」ホッ…

幼友「弟君は…」ハラハラ


ブクブク……ザバッ!


弟「ふぁ…! 携帯、あったよ…!」

幼友「えっ!?」

弟「ストラップもついてるからね!」

幼馴染「はぁ…良かったです」

男「………」


弟「はい…幼友ちゃん」

幼友「良かった…弟君、ありがと…」


男「ストラップ、渡したか」

弟「え? うん、渡したよ…?」

男「そうか」ブンッ…!


バキィッ──!!

弟「ぐっ…!?」ヨロッ…

──ドッバーン!


幼友「お、男さん…!?」

幼馴染「男…どうして…!?」

男「ざけんなっ! ここは幼友ちゃんが溺れたところより上流だぞ!」


弟「う…痛ってぇ…」ザァッ…


男「お前、最初から携帯持ってやがったな…幼友ちゃんを助けに飛び込んだ時、もう拾ってたんだろ」

幼友「男さんっ…! そうなのかもしれないけど、弟君が見つけてくれたのは本当なんだから…!」アセアセ


男「すぐに渡さなかった理由が何なのかは知りません…まあ大方タイミングを逸したくらいの事なんでしょうが」

弟「…お見通しだね」

男「そこはどうでもいいんだよ。でもお前が携帯を返さなかった、持ってる事を言わなかったから…幼友ちゃんはまた危ない目にあうところだったんだ!」

幼馴染「男…」


男「しかもお前まで…! ふざけんなってんだよ! 幼友ちゃんは大事な友達だ、お前は俺のたった一人の弟だぞ!」

弟「……兄ちゃん」

男「もしもの事があったら…どうするんだよ……馬鹿野郎」


弟「兄ちゃん、ごめん。僕…本当に馬鹿だったよ」シュン…


男「もういいです、怪我も無いんだし…それに──」

幼友「ん?」

幼馴染「…はい?」

男「──濡れ透けフェチとしては、堪らない光景にもありつけました」ププッ


幼馴染「幼友…ノーブラで透けてます!」アワワ…

幼友「幼馴染ちゃんだって、シャツが白いから…!」ギャー!


男「…よきかな」

弟「…イエス」


男「でも、あとでしっかり幼友ちゃんには謝っとけよな」

弟「あい…」ショボーン


男「…殴って悪かったよ」

弟「ううん、仕方ないんだ。…口の中、切れたけど」

男「加減する気はなかったからな」


弟「何年ぶりだろうね、兄ちゃんにブン殴られるなんて」

男「…10年近いか」

弟「なんとなく、懐かしかったよ」


幼馴染(…兄弟モノでBLちっくです)フンス

幼友(趣味は無いけど、悪くもないな…)フンス


男「それから、幼友ちゃん」

幼友「はい?」ギクッ

男「…貴女にも話す事があります」


弟「兄ちゃん、幼友ちゃんが川に入ろうとしたのは…」

男「ああ、ひいてはお前のせいだ。でも幼友ちゃんは自発的に身を危険に晒そうとしたからな」

幼友「…ごめんなさい」


男「さっき言った通り、幼友ちゃんは俺にとっても大事な友達です」

男「それに幼馴染にとって、かけがえのない親友であり…」

男「…しかも、大事な弟が惚れた相手です」


男「釣りはただでさえ一歩間違えれば危険な遊び、せめて自ら危険を招くような事はしないで下さい」

幼馴染「初釣行の私にテトラの穴釣りをさせようとした人の台詞とは思えません」ボソッ

男「しゃらっぷ」


幼友「…気をつけます」

男「じゃあ、弟はブン殴ったから…幼友ちゃんにはデコピンです」

幼友「えっ」


男「うりゃ」ビシィッ

幼友「いてっ…」


男「それから…幼馴染」ニコッ

幼馴染(幼友を止めようとした私は、きっと褒められるはずです──)ププッ


男「──うりゃっ」ビシィッ!

幼馴染「痛っ!? なぜでしょう…」ウルウル…


男「あれ…? なんで幼馴染までデコピンしたんだろう…褒めようと思ったのですが」

幼友「ソフトな壁ドンだね」

幼馴染「ひどい…」

>>234
安価は果たした、今夜はここまで


幼馴染「ふぇ…っくし!」

男「あかん。濡れ透けはいつまででも眺めてたいけど、このままじゃ風邪をひきます」


弟「じゃあ記念に集合写真だけ撮ろう!」

男「よし! みんな胸を張って!」

幼馴染「てーい」ゲシッ

幼友「とーう」ゴスッ


男「ふふふ…ツッコミを入れるために片腕を上げたな」ゴフッ

弟「今の透け透けのたゆんたゆん、目に焼きつけたぞ…」ガクッ

幼友「めげない奴らめ…」


男「冗談はさておき。午後三時半…ちょっと早いけど、バンガローのあるキャンプ場に向かいますか」

幼馴染「賛成です、露天風呂もあったはず」

弟「混浴!?」

幼友「違いまーす」


男「とりあえず、男女交代で車に行って着替えましょう」

幼友「うぅ…結局、下半身はバスタオル巻きでキャンプ場に入るのかぁ…」

弟「僕のハーフパンツで良かったら、替えあるから使う?」

幼友「あ、そうだね。洗濯して返すから」

弟「お気になさらず、是非そのままで」


……………
………


…午後四時、キャンプ場の露天風呂


男「くあぁあぁ…あったまる…」フゥ…

弟「ホッとするねー」


男「たまには明るい内から温泉に浸かるってのもいいもんだな」

弟「ごめん、兄ちゃん…本当は夕まずめを釣りたかったよね」

男「…いいよ、別に。最初から今回は『釣りだけにこだわらず、小旅行的にいく』って話したろ」

弟「うん」

男「キャンプ場だから朝メシはついてないし、明日は早起きしてマズメ時から朝の内だけ釣りをして…その後はどこか観光しに行くか」


弟「痛てて…」サスサス

男「殴ったところ、痛むか」

弟「…あれは効いたね」


男「全く…最初から携帯を返しておけば良かったのに」

弟「自分でも情けないよ。…幼友ちゃんが『携帯を無くしてショック』としか言わなかったから、拗ねちゃったんだ」

男「…うーん」


弟「どうせ携帯は壊れてたから、なんとなくストラップを押しつけるだけのような気がして」

男「押しつけりゃいいじゃねえか、『大事に持っとけ、もう落とすな』って」

弟「そんなの言えたら苦労しないよ」


男「まだまだ餓鬼だな」

弟「…今日は言い返せないね」

男「ま…恋は盲目。周りが見えなくなるだけじゃなく、自分も見失うもんだ」


弟「兄ちゃんはどうだった?」

男「…俺の事はいいだろ」


弟「ずるいよ、経験談でも聞きたいね」

男「そんな事言ってもな…何しろ相手が幼馴染だから、昔から変わらないよ」

弟「本当に?」


男「ああ、ずっと昔から好きだったからな。それこそ物心ついた頃から、絶対に他の奴に渡す気なんか無かったよ──」


──ブフォッ!

ウワッ!?オ…オサナナジミチャン、シッカリ!

ヤバイ…ニヤニヤ ガ トマリマセン…
ウヘヘヘ…


男「…やっぱり聞いてやがったな! 後で覚えてろ!」

弟「うわ、じゃあさっきの僕の情けない台詞も…」


キイテナイ、キイテナイ
スネテタ ナンテ シラナイヨー!


弟「ひっでえ、穴があったら入りたい」

男「入った事ないだろうからな」

一応スタート時点で三人ともB3、男と幼友は21才で幼馴染はハタチ
弟はもちろん高3の18才

就活は
男→おじの釣具店に雇われる見込み、数年内に既に存在する二号店を任される可能性が高いので、経理・簿記等の資格取得を(のんびり)目指している
幼友・幼馴染→かなり呑気に構えている

男と幼馴染は相互に好意をもちつつ、よくある幼馴染モノ的流れでなあなあに過ごしていた
ただ男の中で「釣りがしたい」でも「幼馴染とも遊びたい」という想いが競り合い、ある日1スレ目の>>1の考えに達し犯行に及ぶ

男と幼馴染は高校は別々
幼友は幼馴染の高校時代からの友人で、その頃も数度は男と会っている

1スレ目の>>1より半年ほど前(二月くらい、三人はB2)幼馴染のハタチ祝いを兼ねた女子会が催され、男が街まで迎えに行く
しかし幼馴染は泥酔して友人の呼んだタクシーで帰宅していた
そこで久しぶりに会った幼友を送る事に(春の気配編の回想シーン参照)
幼友が男にほのかな好意を抱くようになったのはそのあたりから

…そもそも最初の海釣り編しか考えてなかったし、その後もバス釣り編で終わるくらいのつもりだったから全て後づけ
矛盾は多々あるかもしれない

男と幼馴染の中学や高校の時のエピソードとかも妄想中です

すでに前スレ224で年齢触れてたんだな
「歳」「才」で検索はしたが「ハタチ」表記は想定外だった
あと高校で一旦離れる幼馴染ってなんか新鮮だな

回答サンクス&変な質問してスマソ 過去編もいつか読みたい

>>294
いえいえ
ある程度考えてても訊いてもらわなきゃベラベラ答えられないし、良かったくらいです

ちなみに男の就職予定先の事は年始頃の『男の作業部屋編(仮称)』で触れてます

もし矛盾点とかに気づいた場合、優しく教えてくれさい


………



男「──風呂も上がりまして」

幼馴染「温もりまして」

幼友「着替えまして」

弟「夕方になりまして」


男「キャンプと言えば!?」

幼馴染「B!」

幼友「B!」

弟「Q!」


幼馴染「焼きましょう、早く焼きましょう」ウキウキ

幼友「飲みましょう、とっとと乾杯しましょう」ソワソワ

男「まあまあ、炭ももう少しというところです。弟、しっかり空気送れよ」

弟「ラジャー」フーッ、フーッ


男「火加減、どのくらいかな…試しにひと切れ」ヒョイ

ジュウウウゥゥゥ…

幼馴染「良い音です…」ジュルル

幼友「いんじゃない? もう載せちゃおうよ」グウゥ…

男「ふむ…どれどれ──」


──パクッ、ハフハフッ!
パキュッ、グビグビグビッ!


男「ぷっはあぁぁあぁ! ノドが幸せで死にます!」

幼馴染「ずるい! フライングです!」

幼友「とーう! とーう!」


男「ではでは、どんどん焼いていきましょう」

幼馴染「肉、並べます」ジュウウウゥゥゥ

幼友「キャベツはワイルドに手で千切っちゃう」ベキベキ

弟「タレ、注いどくね」


幼友「私、やっぱりスターターはビールだな」

幼馴染「私もちょっとだけ、梅チューハイを頂きます。飲みきれなかったら男が飲んで下さい」

男「関節キッスか…」

幼友「なんで今更そこを気にする」

弟「僕、コーラ貰うね」パキュッ


男「じゃあ、四人での初キャンプの夜に」

全員「乾杯ーーー!」


幼馴染「ああ…美味しい、夕焼けが綺麗だからなおさら格別です」モキュモキュ…

男「………ぷっは! 次だ、次っ!」パキュッ

弟「お肉、このひとパック以外は豚だからね」

幼友「豚をフチがカリカリになるくらいまで焼くのも美味いんだー」


男「釣った魚も捌いてあるから、焼いていきましょう」

弟「僕が釣ったアマゴだよ」


幼友「おー、拗ねたり不貞たりはしてても、釣果は竿頭じゃん!」

男「途中、嫌な事を忘れるために一心不乱に竿を振っていたようなので」

弟「まあね…勘弁してよ」

最初から読み直してきたんだが男も最初は僕って言ってたんだな

>>321
シーッ


幼馴染「…ふぅ」コトッ

男「お? 珍しい、幼馴染が梅とはいえチューハイ1本飲み切るとは」

幼馴染「雰囲気も手伝って美味しかったです。まだあるなら欲しいくらい」


幼友「あるよー、レモンだけど」ヒョイ

幼馴染「ありがとうございます」プシッ

男「調子に乗らないように」


幼友「今夜は幼馴染ちゃんが酔ってエッチな気分になっても応えられないもんねー?」

幼馴染「そこはお気遣いなく」

男「グループでキャンプの夜にまで発情しなくてもいいです」

幼友(…なんだ、このいつもを思えば不自然な余裕)ジトー


幼友「それにしても弟君、最初から素直に『渡しそびれたけど』って言えば良かったのに」クスクス

弟「馬鹿だったよ、本当」シュン…

幼馴染「………」ゴキュゴキュ


男「ま、記念の品に忘れ難い思い出がついたと考えましょう」

弟「忘れさせてくれー」

幼馴染「………」グビグビ


幼友「だーめ、一生言ってやるんだから」

男「…お? 深読みできる言葉です」

幼馴染「………」プハ


幼友「あ、幼馴染ちゃん…今度こそ無理しちゃだめよ?」

男「そうです、そのチューハイはさっきの梅と違って──」

幼馴染「………」コトッ

幼友「──ストロング系だから、度数が高い…」


弟「空だよ、これ」

男「えっ」

幼友「えっ」


幼馴染「…酔った」


三人「えっ」


男「き、気持ち悪くはないでしょうか」

幼馴染「あ? テメー、自分ろカノジョが気持ひ悪いっれゆーんれすか、んん?」ヒック

男「言ってない言ってない!」


弟「幼馴染ちゃん、ちょっとお茶か水でも飲んだ方が」

幼友「クーラーボックスから出すね!」ヨイショ、タユーン

幼馴染「ケッ…わざとらひく揺らすんじゃねーれすよ」

男「なにこいつヤバイ」


幼馴染「そもそも壁らとかまな板らとか、ろいつもこいつも…そんな脂肪、子育ての時以外役にたたねーれしょうに」

弟「ちょ、落ち着いて」


幼友「もう…前はこんな絡み酒じゃなかったけどなぁ。はい、お茶…零さないでよ?」

幼馴染「どーせ私には零れ落ちるものなんか無いれすー。お前が零しとけ、あはははは」グイッ──

幼友「きゃっ…!?」

──ポロッ、プルンッ


男「」ブーーーッ

弟「」ブーーーッ


幼友「うわあああぁぁあぁ!?」イソイソ

幼馴染「隠すくらいなら最初からサラシれも巻いとけれす、この乳牛」ケタケタケタ


幼友「ふ…二人とも見た…?」フルフル…

男「見テマセン」ハアハア

弟「」ポックリ


幼馴染「おー、ろーした? 男、ホルスタイン見て興奮したんれすか」

男「シテナイシテナイ」


幼馴染「そーれすよね、男は貧乳が好きなんれすから。ほーら、こっちれしょ?」ヌギッ…

男「スタアアアァァアァップ!!」ガバッ


幼馴染「ふっふーん、男ったら大胆れす。んー」チュウウウウゥウゥッ

男「んんんんんっ!?」ジタバタ

幼友「ちょ…!?」


男「ぷはっ…幼友ちゃん、手伝って下さい! バンガローに連れていきます!」

幼友「いえっさー!」ガシッ

幼馴染「放せー! てーい、てーい!」ビシビシ

幼友「痛たたた! 足の方持ちました!」


幼馴染「放せと言うにー!」ゲシッ

男「うぐっ…仕方ねえ! おらっ!」カミッ、モゾモゾサワサワ…

幼馴染「ふわっ!? あ、や、やめっ…ああああぁあぁぁっ…!」ビクビクッ

男「フッ…こいつの弱点は耳たぶ両側同時責めだ」


幼馴染「…うぅ……もうらめぇ…」ガクッ

幼友「まさか友達のイキ様を見せらつけられるとは…」


男「弟、バンガローのドアを開けて下さい」

幼友「…あれ? 弟君がいない?」


男「チッ…幼友ちゃん、開けられるでしょうか」

幼友「うーん、なん…とか……よっ…と」ガチャッ

男「一度おろして休みますか?」

幼友「幼馴染ちゃん軽いから、大丈夫ですよ」

男「よし、じゃあベッドまで──」


………



男「ふう…参った参った」

幼友「幼馴染ちゃん、お酒飲まない方がいいなぁ」

男「本当です。今後、俺の目の届かない飲み会ではくれぐれも頼みます」

幼友「あれは心配しちゃいますよね」


男「弟は…まだいないな、お手洗いでしょうか」

幼友「わっ…! お肉焦げてる!」

男「げっ、勿体無い。仕方ありません、久しぶりにサシで飲みますか」

幼友「そーですね、前のバンガロー泊で幼馴染ちゃんが先に寝ちゃって以来かな」


男「じゃあ、改めて」

幼友「かんぱーい」コツンッ


男「………」ゴキュゴキュ

幼友「………」ゴクンッ

男「………」

幼友「………」


男(早く弟、帰ってこないかな)

幼友(こういうのって、私が男さんの事好きだったのがバレてから初だよね…)


二人(気 ま ず い)


幼友「あ、あはは…やっぱり焦げ気味のお肉は苦いですねー」アハハハ

男「身体に良くなさそうなので、無理に食べなくても……なるほど、苦い」

幼友「まあ食べられなくはないかなー」


男「そ…そういえばいつぞや、チョコケーキが苦いとかいう話がありました」

幼友「チョコケーキ…バレンタインの時の?」

男「ああ、そうでした。俺は食べていませんが──」


──ハッ


男(バレンタインってXデーじゃん、俺よ死ね!!)

幼友「………」

男「………」ダラダラ


幼友(…でも、いい機会なのかも)


『僕、幼友ちゃんの全てが好きだから』


幼友(今のままじゃ、私…あんなにも真っ直ぐな弟君の気持ちに、ちゃんと向き合えない)

幼友(私が迷わず前を向くためには)

幼友(振り返るものを無くさなきゃいけないんだ)


幼友「男…さん」

男「はい…?」ドキッ

幼友「あの日に言えなかった、言わなかった事…話していいですか──?」


………



弟「ふぅ…」

弟(何も言わずに場を離れちゃって悪かったかな)

弟(…でも、仕方なかった)


弟(しっかし幼馴染ちゃん、酔うとタチ悪かったなー)

弟(ん…? もうコンロのところにいるのは、兄ちゃんと幼友ちゃんだけか)

弟(幼馴染ちゃん、バンガローに強制収容されたんだろーな)


弟(まだあんまり食べてないし、僕もまたバーベキューに参加しよう)

弟(二人ともなんか真剣な顔して、何を話してるんだろ…?)


幼友「…男さん、あのね」

男「幼友ちゃん、この肉焼けてます」


幼友「男さん」

男「飲み物、空いてませんか? ビールまだあったと思いますが」


幼友「………」

男「塊ベーコン、厚めにスライスして焼きましょう。お酒がすすむはずです」


幼友「男さんっ」

男「……っ…」

幼友「…どうして遮るんですか」


弟(これはまさか…)


幼友「聞いて…下さいよ」

男「……はい…」ポリポリ


幼友「初めに言っておきます」

男「はい」

幼友「私、貴方の事…好きでした」


弟(…やっぱり、こういう話か)ズキン


幼友「今は」

男「………」ゴクリ

幼友「…今でも、好きじゃないって言ったら…嘘です」


男「それはしつこい風邪が残ってるようなものだと」

幼友「男さん」

男「うっ……は、はい…」


幼友「一時の風邪に例えられるような、いい加減で意味の無いものだったって言いたいですか?」

男「…すみません」

幼友「そんな軽いものだったら、幼馴染ちゃんの存在を知りながら募らせるわけないじゃないですか」


弟(………)ギリッ…


幼友「男さん、私…そのくらい好きでした」

男「答えようが無い…です」

幼友「解ってます」

男「………」

幼友「こんな話…しても仕方ないかもしれない。困らせるだけなのも解ってる」


幼友「でも、話して終わらせたい。あの日…私は男さんへの気持ちを認めながら『幼馴染ちゃんを選んだだけ』だった」

男「………」

幼友「貴方への気持ちに終止符を打ち忘れたの。そして貴方にフッてもらう事もしなかった」


男「わざわざ傷つくような事をしなくても」

幼友「お願い、ちゃんと失恋させて欲しいんです」


弟(兄ちゃん──)


幼友「私の質問…『はい』か『いいえ』だけでもいいから、正直に答えてくれますか?」

男「………」

幼友「男さん」


弟(──逃げるなよっ)グッ…


男「…わかりました」


幼友「男さん、もし幼馴染ちゃんがいなかったら…私、貴方の恋愛対象になってましたか」

男「……はい」

幼友「本当に…?」

男「はい」


幼友「じゃあ、もし幼馴染ちゃんがいるのに私が諦めなかったら…勝機はあった?」

男「………」

幼友「男さん、答えて下さい」


男「…いいえ」

幼友「ですよ…ね」

男「………」

幼友「……あは…解ってても、ちょっと…くるなぁ…」


幼友「男さん、いつから私の気持ち…気づいてました?」

男「………」

幼友「幼馴染ちゃんのハタチ祝いの夜、送ってもらった時?」

男「…いいえ」


幼友「最初の海釣りの時」

男「いいえ」


幼友「じゃあ、このキャンプ場での夜。…私がおやすみのキスを求めた時」

男「いいえ」

幼友「あははっ…じゃ、あの時は本当に悪ふざけだと思ってたんだ」

男「…はい」


幼友「…バス釣りの時は?」

男「いいえ…気づいてなかったです」


幼友「クリスマス」

男「…いいえ」

幼友「そっか…本当に年越しの時まで、気づかれてもなかったのか…」


幼友「覚えてます? …寒い中、幼馴染ちゃんは竿の様子を見に車を出て。私達だけが車内で──」


………



『──何が、どうなるとも…思って無いですよ?』

『むしろ、どうもならない方がいいんです』

『今まで通り、ずっと三人で仲良くしたいの』

『だからね……だけどね』

『私は…ね、悔しいんです』

『なんで私が、貴方のオサナナジミじゃなかったんだろう』

『どうして私は貴方のオサナナジミと親友なんだろう…って──』



………



幼友「──あれは、ほとんど告白でしたよね」

男「そう…でした」


幼友「さすがにあの時には解ってくれたでしょ?」

男「……はい」

幼友「でも年が変わって、私が『去年の話なんかしないで』って言っちゃいましたもんね。…臆病だったなぁ」


男「あの後、迷いました」

幼友「えっ…?」

男「幼友ちゃんへの接し方を変えるべきか…誘うのを控えるべきか否かを」


幼友「男さん、最後にあとひとつだけ質問します」

男「…はい」

幼友「できれば、これにだけは『はい』や『いいえ』じゃない返事を貰えたら嬉しいな」


弟(幼友…ちゃん…)


幼友「男さん、私と──」


男「………」


幼友「──付き合って下さい」


男「………」

男「………」

男「…無理…です」

幼友「うん…」ポロッ


男「俺には…甲斐性が無いから」

幼友「………」ポロポロポロ…

男「女性は一人幸せにするので精一杯…です」

幼友「う…んっ……知ってる…っ……知ってた…よぅ…っ」グスンッ…ボロボロ…


………



幼友「うー、ごめんなさい。もう落ち着きました…」ハァ…グスン…

男「…顔、洗ってきては」

幼友「うん…そうします。それと男さん、さっきの話」

男「はい」


幼友「年明けから後、接し方や釣りのお誘い…変えずにいてくれてありがとう」

男「それで良かったのでしょうか」


幼友「うん、だって…」

男「?」

幼友「えへへ…そうじゃないと、弟君に会えなかったからね──」


………



男(幼友ちゃん、行ったな…)

男(…さて)


男「…弟、いるんだろ?」

弟「おっと」

男「出て来いよ」


弟「……バレてたか」

男「バレてたってより、ただの予想だけどな」


男「話…聞いてたか?」

弟「うん、ごめん」

男「こっちこそすまん、さすがに気分悪かったろ」


弟「…平気だよ」

男「昼間につまらん事で拗ねてた癖に、やけに今は大人なんだな」

弟「幼友ちゃんが自分の気持ちにケリをつけようとしたのは、どうやら僕のためでもあったみたいだからね」

男「その余裕。一皮剥けたな、お前も…」ウンウン


弟(普段なら、心穏やかでいられるわけないさ……だけど)

弟(今の僕は、賢者タイムだからね──)フッ…

さて、この隙に俺は幼の胸枕、もとい壁枕で眠るとするか…

>>365
お前寝てるドッスンに近付いたら潰されるぞ

>>366
バッタンじゃないかな

ぺったんだろ

うつ伏せの幼が上から降ってくる


シュッ( ゚∀゚)つ}ー=

>>365 =( ゚Д゚)→ コスッ…
>>366 =( ゚Д゚)→ コスッ…
>>368 =( ゚Д゚)→ コスッ…
>>369 =( ゚Д゚)→ コスッ…


………



幼友「ただいまー」

男「おかえりなさい」

弟「おかえりおっぱい」


幼友「弟君、どこ行ってたの?」

弟「う、うん…ちょっとトイレに。幼友ちゃんは?」

幼友「あれー? 私もお手洗い行ったけど、すれ違わなかったね」

男「まあまあ…せっかく動ける3人が揃ったんだから、炭火が弱くならない内に堪能しましょう」


幼友(…男さん、私の目赤くないですか?)ヒソヒソ

男(大丈夫、暗いからそんなにわかりません)ヒソヒソ


弟「お肉、次のパックいくよー」ジュウウウゥゥ…

男「今度は塩コショウふってタレ無しでいきます」サラサラ

幼友「いいですなー」ジュルル


弟「もうそろそろ焼けたかなー」ヒョイ、パクッ

幼友「どう? どう?」

弟「んー、ちょっと早いかも」モグモグ

幼友「豚だからしっかり火を通さないとねー」

男「今後も弟が毒見するのでご安心を」

弟(『まだまだ』って言いながら全部食べちゃおうかな…)


………



幼友「ふー、食べた食べた」

弟「若干くるしい…」ゲフー


男「ちょっと俺は幼馴染の様子を見てきます」

幼友「あ、そうですね。ちゃんと寝てるならいいけど」

弟「ごゆっくり、僕は幼友ちゃんと愛を語ってるから」

男「へいへい」


…カチャッ、パタンッ


幼友「えーと、語るのはペットに対する愛とかでいいのかな?」

弟「…飼われるってのも悪くないね」


………



男(幼馴染…寝てるか)

男(よかった、そう苦しそうじゃないです)

男(それならそれで、そっとしとけばいいんだ…けど)

男(…ちょっと隣、座らせてくれよな)


…ポフッ

男「………」ナデナデ


幼馴染「…くすぐったいです」

男「げ、起きてましたか」

幼馴染「ドアの音で目が覚めました」フワワ…


男「…気分はどうでしょう」

幼馴染「だいぶ楽です。…なんとなく覚えていますが、先ほどは失礼しました」


男「全くです。…もう、このまま寝ますか?」

幼馴染「せっかくのキャンプの夜に、それも勿体無い気がします」ムクッ…

男「…じゃあ、二人のところへ戻るとしますか」ヤレヤレ

幼馴染「いいえ、もう少し後にします」

男「?」

幼馴染「弟君に少し二人きりの時間をあげましょう。…それと──」


…ギュッ


幼馴染「──どうやら男も、少し疲れているようなので」ナデナデ

男「……ありがたい…です」


………



幼友「………」

弟「…なんか、物静かだね?」

幼友「私はもともと物静かでお淑やかなオンナだからね」クスッ

弟「それは僕が好きになったヒトとは、ちょっと違うかな」

幼友「あ、ひっどーい」


弟「…ほら、いつもの『とーう』がこないもん」

幼友「あはは…そうだね、普段ならやってるかな」


弟「……飲み物、おかわりは?」ゴソゴソ

幼友「ん…缶のハイボールあったよね」

弟「ウイスキィィィィ…が♪」ヒョイ

幼友「お好きでしょっ♪ …トリスだけどね」プシッ


幼友「弟君…私の事、好き?」ゴキュゴキュ

弟「大好き」

幼友「…いいねぇ、いい返事だよ」プハ

弟「お褒めにあずかり光栄です」


幼友「……ね、もっかい言ってくれる?」

弟「どうしたの?」

幼友「愛を語らうんでしょ?」


弟「…好きだよ」

幼友「もう一度っ」

弟「大好きです」

幼友「……もっと」

弟「愛してる」


幼友「もう…いっかい」

弟「…何回でも言えるよ」

幼友「う…ん…」


弟「でも今は…幼友ちゃん、辛そうに見えるから」

幼友「………」

弟「だから、今日はもう言わない」


幼友「うん、ごめん…」

弟「じゃあ……頭、撫でていい?」

幼友「お願い…します」グスッ

弟「…いい子いい子」ナデナデ


……………
………


…翌朝


幼友「おっはよーう」

幼馴染「おはようございます」

男「おはようございます」

弟「おはよおっぱい」


幼友「…男さん、なんか違いません?」

男「はい?」ドキ

幼友「いつも通りでお願いします」ニヤリ


男「……おはよおっぱい」ニコ

こんにちワカサギ

ありがとウグイ

こんばんワラサ

さよなライギョ

おはよウナギ

いただきマス

>>386
ワラサが惜しい
淡水の対象魚に絞られていればパーフェクトだった
ワタカとか

弟「一人で降ります」

幼馴染「やらないか?」


………


…移動中


男「まだ時間は六時前。今日は今から10時くらいまで釣りをして、あとは観光をして過ごそうと思います」

幼友「いぇーい」パチパチ


幼馴染「この近くには何か観光地があるのでしょうか」

弟「スマホで調べたけど、なんか自然公園があるとか」

男「けっこう時間はあるので、そこだけでなく帰りの道中に寄れるところは見て周りましょう」


幼友「じゃあ古民家の町並みが綺麗っていう、蕎麦処にも行ってみたいな」

幼馴染「蕎麦、全力で賛成」

男「了解、でもとりあえず釣りに集中します」


幼友「朝もやの山並み、綺麗だねー」

弟「もやの切れ間から覗く山のチラリズム」

幼馴染「台無しとはこのことか」


男(アカン、昨日の思い出してしまう)

弟「あ、兄ちゃんがエロい顔した」

男「ばっ…違わい!」アセッ


幼馴染「失礼な、男は釣りの時以外はエロい顔をしています」

幼友「全くフォローになってない」

男「置いて帰ろうかな…」


幼友「ところでバンガローの宿泊代、いくらでした?」

幼馴染「今回はさすがに弟君もいるので、男の負担が大き過ぎます」


男「ご心配なく、宿泊代は無料にしてもらいました」

幼馴染「えっ」

幼友「いくら管理人とおじさんと釣り仲間だからって、気前が良すぎない?」

男「…その代わり、今度おっちゃんが海に出る時はタダで船頭をする約束になっています」

弟「なるほど」


男「なのでバーベキューの材料代だけ、一人あたり二千円くらいです」

幼友「あとで出しまーす」

幼馴染「ご馳走さまでした」シレッ


弟「えーと…?」

男「こないだのデートの貸しと合わせて、今3万ちょっとな。就職したら返せよ」

弟「…あーい」

しばらく新作の書き溜め中だとよ

読み返して今更だけど、チーム桜桃(オウトウ)のネーミングセンス半端ないな
・弟の読み「オトウト」の“ウ”と“ト”を入れ替えると「オウトウ」
・幼友の読みを2文字変えると「オウトウ」
   ※本命「オサトモ」/対抗「ヨウユウ」/大穴「オサユウ」・「ヨウトモ」のいずれでも成り立つ
・弟のチェリー+幼友の双桃を連想
・幼友(及び弟)の口癖の「とーう」を意識
・春大会にして2種類の春の花。2人に“春”の訪れの予感
……もうこいつらくっついていいと思うわ

すまぬ、今投下中のは明後日には終わる予定だから今少し時間をくれさい
さすがにシリアスもの過ぎてこれと並行しにくい…


………



男「…というわけで、昨日よりも少しだけ上流のポイントに着きました」

弟「昨日のところよりは少し川幅狭いね」

幼友「両側の木もちょっと近いし、昨日のところの方がフライには向いてたんじゃない?」

幼馴染「なぜここにしたのでしょう」


男「誰かさん達のせいでポイントが荒れたからですが、なにか文句が?」ニッコリ


弟「いいところだね! ここ!」

幼友「ホント! 絶対こっちの方がいいよ!」

幼馴染「自覚はあるらしい」


男「まずは誰と誰がフライにチャレンジしますか」

幼馴染「せっかくコツを掴んできたところだったので、できれば希望したいです」

弟「僕はミャク釣りでもいいよ」

幼友「じゃあ、私も弟君と一緒にミャク釣りしてます」


男「わかりました。では俺よりも少し上流で、視界の範囲にいるように──」

弟「──兄ちゃん」


男「…なんだ?」

弟「もう馬鹿な真似はしないから…あまり過保護にしないで」

男「でも、見える範囲にいる方が」

弟「解ってる……大丈夫だよ、できるだけそうする。でも兄ちゃんは幼馴染ちゃんだけ見ててあげて」


男「お前…生意気な事を」

弟「ごめん、兄ちゃん。だけど…幼友ちゃんは僕が守る」


幼馴染(おぉ…)フンスフンス

幼友(おぉ…)ドキドキ


男「解った…頼んだぞ」

弟「うん、任せてよ。……幼友ちゃん」

幼友「は…はい」ドキッ


弟「…格好よかった?」テヘッ

幼友「それが無ければ」イラッ

ただいま

とりあえずちょっとですまん
これからこっちを集中して書くよー


………



幼馴染「──てーいっ」ヒュルルッ…ピチャッ

男「いい感じです、きっと釣れます」


…パシャッ!


幼馴染「!! て、てーい!」ピシィッ

男「さすが」

幼馴染「やりました! フライで初ヒット!」バシャバシャ…

男「残念ながらリリースサイズですが、ちゃんとアマゴです。よくできました」パチパチ

幼馴染「どんどんいきます」フンス


幼馴染「よっ…と、ちょっと近すぎました」フワリ…ピチョッ

男「………」


幼馴染「…男?」

男「ん?」

幼馴染「なぜ男は釣らないのでしょう」

男「……いや、釣ります」アセッ


幼馴染「いつもよりボーッとしているように思います」

男「大丈夫、そんな事はありません」

幼馴染「ではいつもボーッとしているという事で」

男「壁ドンしたろか」


男「………」フワッ…シュルッ


ヒュンッ…シュルルルッ…ヒュンッ…フワァッ………ピチョンッ

…パシャッ!


男「………」

幼馴染「男っ?」

男「ん? ああ…しまった、アワセ損ねましたか」クルクル…ピチョッ…


幼馴染「それでボーッとしてないと?」

男「面目ない」

幼馴染「………」


幼馴染「……訊かない方が良いでしょうか」

男「はい?」

幼馴染「昨夜、何があったか」

男「……別になにも」


幼馴染「男」

男「…はい」

幼馴染「訊くなというなら訊きません、でも…」

男「………」


幼馴染「私は…やっぱり気になります」


幼馴染「幼友の事は信じています」

男「………」

幼馴染「キャンプ場ではデリヘルは呼べないので、男の事も信じます」ヤレヤレ

男「おい」


幼馴染「だから心配は無い、そう思っていても…どうしても胸がもやもやします」

男「………」


幼馴染「昨日、男は私に『自分は束縛が強い』と言いました」

男「はい」

幼馴染「私だって同じです」

男「…そうでしょうか」

幼馴染「そうです」


幼馴染「たぶん、幼友と何かあったんだと思います。それは彼女の為にも訊かない方が良い…とも」

男「………」


幼馴染「男、ひとつだけお願いしていいでしょうか」

男「はい」

幼馴染「弟君は幼友の事は自分が守ると言いました。幼友も、弟君の事を意識し始めていると思います」

男「…そうだと思います」


幼馴染「だから──」


…ギュッ


幼馴染「──もう、私の事以外は考えないで下さい」


………



幼友「とーうっ!」バシャバシャ

弟「あ、そのアマゴけっこう大きい」


幼友「へっへーん……あれ? 男さん達、いないね」

弟「ホントだ、どこ行ったんだろう」

幼友「置いてかれてたりして、なんちゃって」

弟「あはは、それは無いでしょ。サーフならあそこに停まってるよ」


幼友「……ん?」

弟「…んん?」

幼友(なんかビミョーに…)ジトー

弟(…車が揺れてるような)ジトー

壁丼タベタイナー

──三ヵ月後


幼馴染「責任とってよね」

男「あい」



【End】

なんの作品だろうねー(白目


幼友「…ま、見なかった事にしよう」

弟「イエス、マスター」


幼友「それにしても、さっきから弟君釣れてないみたいだけど」

弟「ちょっと気が散って」

幼友「何に?」

弟「振り込んだりアワセたりする動作に」


幼友「もしかして私、視姦されてる?」

弟「とんでもない。兄ちゃんにああ言った手前、しっかり見守らなきゃいけないからね」

幼友「調子いい事言って…」


幼友「よし、弟君ちょっと真面目に釣ってみなよ。私、携帯で写真撮ってあげる」

弟「そんな、待ち受けにされるなんて照れるな」

幼友「曲解ってやつだね。えーと……」ゴソゴソ


弟「……あ」

幼友「そっか…ごめん、携帯無いんだった」

弟「そうだったね」


幼友「うーん…なんか、無い事をハッキリ意識すると気になるなぁ」

弟「何が?」


幼友「うん、休みの日って結構フラッとお兄が部屋に寄ったりするんだ。それで私がいなかったら大抵、携帯鳴らすんだけど…」

弟「あー、それで繋がらない時間が長かったら心配されそうだね」

幼友「そうなんだよね…」


弟「僕の使う? 家の番号くらい覚えてるでしょ?」

幼友「うん……いいかな?」


弟「もちろん、今日はウェーディングしてないからポケットに入れたはず…」ゴソゴソ

幼友「それで無かったら、抜き打ちで車に取りに行ってみたいね」

弟「あははは、焦るだろうねー。…っと、でもあった」ヒョイ

幼友「ありがと、借りるね」


弟「あ、データフォルダは開けないでね」

幼友「言われなきゃそんなの気にもしないけど、何が入ってるのかな」

弟「昨日や今日、それから前の動物園の時の写真とか」

幼友「それ、普通なら見られても困らないよね」

弟「そろそろ黙秘してもいいかな」


………



幼友「──うん、そう…壊れてるんだ。……え? …うん、また週明けにでもお兄に連れてってもらう」

幼友「うん、全然身体は大丈夫。心配しないで……うん、幼馴染ちゃんも一緒だから」


幼友「……えっ? どういう事?」

幼友「なんで? 私の部屋なの? そんなの責任持てないよ……えぇぇ…そりゃ、仲は良かったけどさ」

幼友「……うーん、まあその話は帰ってしよう。今、これ借り物の電話だから」

幼友「……えっ? いや…幼馴染ちゃんのじゃないけど……ちょっ! ち、違うよー! もうっ! じゃあね、切るからねっ!」


弟(…途中が解らなかったけど、最後あたりの話は内容見えたな)

幼友「弟君、ありがと」

弟「どういたしまして、大丈夫だった?」

幼友「う、うん…」

弟「『彼氏に借りた』って言ってもいいのに」ボソッ

幼友「何か言った!?」アセッ

さーんくす


弟「幼友ちゃん、さっき冗談で『写真撮って待ち受け』に…とか言ったけどさ」

幼友「うん?」


弟「僕、本当に幼友ちゃんの写真撮りたいんだけど…だめ?」


幼友「おおぅ…照れるね、でも動物園の時とかも結構撮ったんじゃないの?」

弟「うん、自然な感じの写真とかは。でもできればちゃんとカメラ目線の、記念写真的なのが欲しいなって」

幼友「まさか本当に待ち受けにしたりする?」

弟「嫌ならしないけど、ライブラリには欲しいな」


幼友「うーん…待ち受けにされるのは照れ臭過ぎるけど、別に写真撮るのは構わないよ」

弟「やった、せっかくここ背景もいいしね。ポーズとって、ポーズ」


幼友「ぽ…ポーズかぁ…こう?」エッヘン

弟「あはは…なんで腰に手をあてて威張ってんの。可愛いけど」カシャッ


幼友「じゃあ釣竿構えたポーズとか」ピシッ

弟「うん、格好いい」カシャッ


幼友「普通にピースサイン」ピッ

弟「いいね、記念写真らしいよ」カシャッ

幼友「他には…ええと?」


弟「よーし、そろそろ上を脱いでみようか」

幼友「ばーか」ケラケラ

弟(あ、いい笑顔…)カシャッ


幼友「じゃあ、ちょっとだけサービスだ。前屈みで…どうかな?」チラッ

弟「はぅあっ! たた…谷間がっ!」カシャシャシャシャシャシャッ

幼友「ちょ、連写すんな!」


弟「これで暫くオカズには困らないな…」ニヘラ

幼友「もう…絶対、人には見せないでよ?」

弟「それは人に見せられないような姿でも僕には見せてあげるって意味に捉えていいのかな」

幼友「出たなポジティブシンキン……でも」

弟「ん?」


幼友「あはっ…そういう意味かもね?」ニコッ

弟「うっ」ズキューン


………



男「ご馳走さまでした」ツヤツヤ

幼馴染「お粗末さまでした」ツヤツヤ


男「車のカーテン、開けて良いでしょうか」

幼馴染「ちょっと待って……はい、大丈夫です」ゴソゴソ

男「おや、髪…?」

幼馴染「髪留めのゴムが片方落ちてしまいました。とりあえずポニテで」テレッ

男「……よきかな」


幼馴染「では、気をとりなおして。残り少ない時間、釣りを満喫しましょう」

男「周りに弟達は…いないな」ガチャッ


幼馴染「よいしょ……あっ…」フラッ

男「おっと」ギュッ

幼馴染「すみません、ちょっとフラつきました…」


男「どうしましたか、心配になります」

幼馴染「……なんでもありません」


男「幼馴染…どこか具合が? 風邪気味だったりしますか?」

幼馴染「大丈夫です」


男「風邪でもないのにフラつく方が心配です」

幼馴染「…大丈夫ですっ!」プイッ

男「まさかお前…何か隠して」

幼馴染「………」


男「幼馴染、正直に言ってくれ。どこか悪いのか」

幼馴染「…よ」

男「よ…?」


幼馴染「…余韻で足に力が入りません…」ボソッ

男「そいつぁ訊いて悪かった」

はよ釣りさせな…

みんな容赦ねえな


………



男「貴重な早朝の時合い、残す時間は大事に共有しなければなりません」

幼馴染「さすがに二日連続だと長持ちでした」キャッ

男「だまらっしゃい」


… … …


幼馴染「てーい…てーい……てーい………てーい…」シュルルッ…ヒュルッ…

男「よっ……」シュッ…ヒュルルッ

幼馴染「…てーいっ」ヒュルッ…フワッ

男「そりゃっ」シュンッ


…フワァッ………ピチョンッ


男(そこは…出ないか……いや、あの岩の脇──)クルクルッ

幼馴染(アマゴさん、パクッといきましょう。パクッと…は、さっき私が…いやいや──)クルクル


──ピシャッ!


男「おっ!」ピシィッ!

幼馴染「てーい!」ビシッ!

男「…まずまずの引き! 尺には及ばないだろうけど…!」

幼馴染「うわわ、走ります…!」


男「ランディングネットで大事に……よっ…と、おっけーい」

幼馴染「男、こっちもネットが欲しいです!」アタフタ

男「おお、すぐいきます」

幼馴染「次はすぐにイッちゃだめだからね…?」ポッ

男「余裕ありそうなのでゆっくりいきます」チッ

幼馴染「嘘、嘘! 早くっ!」アワワワ…


男「うーん…これは幼馴染の方が少し大きいかな」

幼馴染「そんなに変わらない気がしますが」

男「はい、どちらも軽く20cm超えの良型アマゴなのは間違いありません」


幼馴染「フライフィッシング、難しいけど面白いです」

男(…付き合ってる相手からこんな言葉が聞けるなんて、幸せな事です)


幼馴染「でも、そろそろ弟君達にフライを交代してあげるべきでは」

男「確かに…では、あと5投をラストにしましょう」

幼馴染「気合入れていきます」フンス

男「この時期では特に望みは薄くとも、願わくば尺超えを」


………



幼馴染「ああ…だめでした、最後がカワムツとは」

男「俺はこれが最後のキャストになります」

幼馴染「しかと見届けましょう」

男「うっ…あまりプレッシャーをかけないようにして下さい」


──フワッ


男(気合は入れるけど、自然な…流れるような動作を意識して)ヒュッ…

男(竿先を水平移動…!)シュルルッ…ヒュンッ…

男(ロッドの弾性は『飛ばす』ためじゃなく、ラインが伸びきる際の『衝撃を緩和させる』ように利用して──)ヒュルルルッ…!


男「出ろ…! 大型…っ!」ヒュンッ…!

幼馴染「てーいっ」


──フワァッ……ピチョン…スウゥゥゥ…


男「どうだ…その淵で……来いっ!」

幼馴染「………」ドキドキ

男(ダメ…か…?)


…ズバッ!


男「しゃあっ!」ビシィッ!

幼馴染「なんだか大きそうです!」

男「お…おおおっ…!?」グググッ…


男「くっ…ラインを送らなきゃ、かなり強い…!」ググイッ…!

幼馴染「男、がんばって!」

男「まじか…本当に尺超えアマゴ…?」

幼馴染「あ…跳ねますっ!」


──バシャッ!ザババッ!


男「ニジマス…!! ダム湖の管理釣り場から逃げて大型化したか…!」ググッ

幼馴染「すごい…40cmは軽く超えてます!」

男「うおぉ! ぜってー逃がさねえぇえぇぇっ──!」


………



幼馴染「弟君、幼友…お待たせしました。フライを交代します」

弟「あ、幼馴染ちゃん」

幼友「よーし、フライ初挑戦かー! …って、男さんは?」


幼馴染「あっちでめげてます」テクテク

弟「めげてる?」テクテク

幼友「おーい、男さーん?」


男「……でかかったなぁ…」グスッ

幼馴染「いつまでもしょげてないで、幼友にもフライを教えてあげて下さい」

男「弟…頼む、俺が教えてもバラすしさ…」フッ…

幼馴染「もう…情けないです」

幼友「珍しいなぁ、こんな男さん」

弟「逃がした魚は大きいとはいうけど、よっぽどみたいだね」


弟「んじゃ、解らないなりに教えてくよ?」

幼友「お願いしまーす」


弟「…手とり腰とり」ボソッ

幼友「もっかい言ってみ」

弟「手とり腰とり!」

幼友「本当に言うか」


弟「じゃあ、まずは前に垂らして」タラーン

幼友「ふむふむ」ピッ


弟「フワリとピックアップ」フワッ

幼友「とーう」フワリ…

弟「竿先を水平移動させる感じで、後ろ1時でピタッ」ピタッ


幼友「よっ…」ポヨーン

弟「加速度をもって前へ、10時位置」ヒュッ…ピタッ

幼友「んしょっ」ポヨヨーン

弟「それを繰り返しながらラインを伸ばしていくんだ」ヒュルッ

幼友「とーう…とーう…」ポヨーン…タユーン…


弟「………」ジーッ

幼友「…弟君、動き止まってんだけど」

弟「うん、いい事考えた。僕は幼友ちゃんの動作をチェックしてるからがんばって揺らして」

幼友「うっかり言わなくていい事まで言ったな」


幼馴染「さて、私達はミャク釣りに励みましょう。見てても気分が悪いです」

幼友「感じ悪るっ!」

男「…弟に任せるとは言いましたが、少しだけ様子を見ます。変な癖がついてはいけないので」

幼馴染「………」チッ


弟「大体こんな感じでいい?」

幼友「とーう…とーう…」ポヨーン…ポヨヨーン

男「いや、もうちょっとアクションが大きくてもいいかもしれない」


幼友「よっ…! とーうっ…!」プルンッ…タユンッ…

弟「…いい感じじゃない?」ハアハア

男「いやいや、ホックが外れるくらいいってみようか」ハアハア

幼馴染「貴様ら」


幼友「ふわぁ…けっこう疲れる。ちょっと休憩」フゥ…

幼馴染「じゃあその間に私が一投」ヒョイ


男「…なあ、弟」

弟「うん?」


幼馴染「てーい…てーい…」ヒュルッ…フワッ…


男「そろそろまずいかな…とは思ってるんだけどさ」

弟「何が?」


幼馴染「てーいっ……てーーいっ!」ヒュッ…シュルルッ


男「どうしたって目がいくわけよ、本能的に」

弟「…ああ、そりゃ…ね」


男「お前にとっては気分もよくないだろうけどさ、ありゃ相当な引力もってるから」

弟「まあね、無理もないよ」


幼馴染「てーーーーいっ!」ブンッ


男「仕方ないと思ってくれるか?」

弟「うん、見るだけなら。減るもんじゃなし」


幼馴染「………」ハア…ハア…


男「……弟…」スッ

弟「兄ちゃん…」ガシッ


幼馴染「ちっとも揺れません……」グスッ

幼友「揺れてもいい事ないよ? なんか勝手に協定結ばれてるし」ジトー


………



幼馴染「いい加減、ミャク釣りをしましょう」ムスッ

男「今回は釣りをしている時間が短いので、釣果が芳しくありません。数釣っていきましょう」


幼馴染「たゆんたゆん鑑賞に時間を割いておいて何を」ジトー

男「そこで違う釣りを試してみます」アセアセ

幼馴染(…流しやがりました)チッ


男「専用の竿では無いので、少し難しいかもしれませんが…」

幼馴染「これは…ヘラ竿?」


男「その通り、硬調・先調子のヘラ竿11尺です」

幼馴染「それにしてはやけに太い糸を結んであります。それに竿より仕掛けの方が長い…」

男「フロロ4号をレベルラインとして竿分とり、その先をナイロン1号のリーダーとしています」

幼馴染「ほほう」


男「そして使う針はこちら」パカッ

幼馴染「えっ…これは毛針、フライ用の?」

男「はい、日本古来のフライフィッシング…テンカラ釣りにチャレンジします。仕掛けはインスタントですが」


幼馴染「日本にもフライフィッシングがあったとは」

男「餌を換える事なく魚を数釣るための、漁師的な釣法です。フライとはまた違う難しさがありますが…」

幼馴染「…?」


男「俺の一番弟子、幼馴染ならできます」ニコッ

幼馴染「…調子がいいです」

男「くっ」


幼馴染「…でも、がんばります」ニヘラ

男(…よし、機嫌はとれたな)…ヒューゥ


男「ではやってみま──」
幼馴染「てーい」

男「その説明も聞かずにキャストするノリ、久々な気がします」

幼馴染「お久しぶりで」


男「オモリもついていない毛針を、ヘラと同じ要領で振り込むなど片腹痛いわこのタコです」

幼馴染「さっさと教えやがれこのタコです」

男「それも久々」

幼馴染「はよーっ!」


男「はいはい、まずは前上方に竿を延べて、毛針を水面につけます」スイッ

幼馴染「ほほう」ピッ

男「そこから水を切るイメージで真上に振り上げ、およそ垂直でピタッ」シュッ…ピタッ

幼馴染「ていっ」ピタッ


男「竿先が少し後方にしなった、その反動をのせつつ狙う方向へ!」ヒュンッ!

幼馴染「てーい」シュピッ!

男「毛針を水面に落として流します…が、この時太いレベルラインは水面につけないように!」

幼馴染「おお…難しい…」プルプル…


男「そして毛針を水面で小刻みに跳ねさせる風にして誘います──」

幼馴染「てい…ていていっ…」ピチョンッ…チョンッ…

男「──竿の懐に毛針が流れたら、繰り返しましょう」ピッ…ピタッ…シュルッ!

幼馴染「よっ! …とっ……てーい!」ヒュルッ!


男「はい、繰り返す!」シュッ!チョンチョンッ…

幼馴染「て、てーい!」ヒュンッ!

男「少しずつ、穏やかに進みながらっ!」スイッ…!

幼馴染「てーい!」シュピッ!


男「繰り返して!」チョン…チョンッ

幼馴染「て…てぇ…ぇぃ…」チョピッ…


男「前に!」

幼馴染「ちょ…ちょっと…疲れました…」ハァハァ…

男「それじゃ漁師にはなれんぞ!」

幼馴染「そ…そんな話だったでしょうか…」ヒィヒィ…シュルッ!ピチョンッ…

絶望的に伝わらない説明
http://blog-imgs-65.fc2.com/g/a/r/garakutasyobunjo/tenkaraimage.jpg


幼馴染「…ていっ…ていていっ」チョコチョコッ…

男「いいぞ! 水を求めて川面に触れる羽虫のイメージだ!」

幼馴染「てっ…ていっ」ピチョンッ


男「時に水面ギリギリを飛びまわるように!」

幼馴染「ふえぇ…」フワッ…


男「はい、繰り返して!」

幼馴染「てーいっ…」ハアハア…

男「毛針が沈んでるぞ! 水の切りようが足りないから空気を纏えてないんだ!」

幼馴染「す…少し休憩…もうだめです」ヒィヒィ…


男「ちょっとまって、今・・・何て言った? おい幼馴染! 今何ていった!? 『もうだめ!?』」

幼馴染「えっ…」ビクッ

男「もうダメとか言ってる間はずっとダメなんだよ! 考えろよ! もっと考えろよ!」


幼馴染「でも…もう腕が疲れて振れない…」プルプル

男「そんな事無い、振れないなんて事は無い! もっとチョンチョンできるはず、がんばろうよ!」

幼馴染「左…腕…」

男「ほらあるじゃない! ほらみろ! あるじゃないか!」


幼馴染「チョンチョン…する…」

男「そうだ、振れ!」

幼馴染「振る…!!」

男「もっと!」

幼馴染「左腕で毛針チョンチョンする!!!!」

男(はい死んだ! 幼馴染の両腕、明日筋肉痛で死んだ!)


………



幼友「とーうっ」シュルッ…フワッ…

弟「いい感じだね、けっこうライン伸びてる」

幼友「やっぱフライは難しいな……よっ…と」シュピッ、ポヨンッ

弟(あぁ…いい…)ホクホク

幼友「とーーーうっ」シュッ!プルンッ──


──プチッ


幼友「ふぁ…っ!?」ポヨヨーン

弟(ブラが外れた…!)

男ってこんなキャラだっけ? と思ったら敬語が消えてた
これが素なんだろうか


幼友「やだもうっ! 見るなっ、汗かいてるから透けちゃう!」アセアセ

弟「…あっ!」


…バシャッ!


幼友「うわっ、ヒットした…!?」ビシィッ!

弟「すげえ、完璧にアワセた」

幼友「うわあああん、反射的にアワセちゃった…! ブラ直せない…!」グググッ…プルンッ…タユンッ

弟(薄っすら透けて揺れて…なんという暴力的な)ハアハア


幼友「やだ、かなり大きいよ!」ポヨヨーン

弟「うん、大きいね…知ってる知ってる」ピピッ…カシャッ、カシャッ

幼友「こ、こらっ! 撮るなぁっ!」

弟「そのままそのままー、今度はムービーね」ピコッ

幼友「やーん!」バシャバシャッ

>>543
ごめん、思いつきでやった修造コピペです

(正直タイトル見ただけで「あ、やっぱり書いたんだ」と思ってた おつ)

>>557
よくぞ見破った!


ええと、単一魚種の釣りで引っ張るのが限界っぽいので
そろそろ観光シーンに移行します

これから書く


……………
………


…午前10時


男「お疲れさまでした」

幼馴染「う…腕が……っ」プルプル

男「今日も帰りがけには温泉でも寄るとしましょう」


弟「そんなに数は釣れなかったけど、幼友ちゃんがいいの出したよ」

幼友(恥辱と引き換えにね…)クッ

男「これは立派です、尺には僅かに及びませんが」

弟「でしょ? おかげで僕のフォルダも潤ったよ」

男「?」


…バタムッ、バタンッ
ズキュキュキュッ…ブオオォォォン


男「では車で移動です。そこそこ長距離になるので、眠たかったら寝ていて下さい」

幼馴染「任せておけ」


幼友「ん…?」

弟「どうしたの?」

幼友「なんだこれ──」


──ヒョイッ

幼友「ゴム、落ちてた」


男&幼馴染「!!?」ブフォッ!


幼馴染「男、どうしてちゃんと始末しませんか! てーい! てーい!」ビシビシ

男「そんなわけない! 俺はちゃんと…!」

幼馴染「幼友! こ、これ…ゴミ袋! 入れて下さい、早く!」

男「だめだめ! 触らせるわけにいきません、車停めるから…!」


幼友「大丈夫、汚くないよ」クスッ


男「いいから! 見るな、触るな!」

幼馴染「男、早く停めて下さい!」


幼友「…私、着けちゃおうかな」ニヤリ

弟「幼友ちゃん…」ププッ


幼馴染「バカな事言わないで下さい! 第一それは女性に…は…」

男「あった、待避所! 停まります!」


幼友「停まらなくて大丈夫ですよ。…どう、似合う? これで今日の幼馴染ちゃんとお揃い」キュッ

弟「うん、それもすっごく可愛い」

幼友「落ちてたけど、幼馴染ちゃんのだよね? ちょっと『髪留めのゴム』借りるよ」クスクス


男&幼馴染「髪…留め…?」


幼友「うん、ゴム。…あれ? なんのゴムだと思ったのかな? あはははっ」

弟「ただのヘアゴムなのにねー?」ニヤニヤ

幼友「ねー?」ニコッ


幼馴染「だめです…恥ずかし過ぎて…死ぬ……」ガクッ、プシュー

男「俺も運転放棄して死んでいいでしょうか…」ゲッソリ


………



弟「気持ちいい田舎道だねー」

幼友「あ、滝! 滝!」

弟「窓から撮れるかな…」カシャ


男「幼馴染、クーラーボックスからコーヒー取って下さい」

幼馴染「………」スヤスヤ


幼友「ぐっすりですよ。…よっ…と、あった。はい、どーぞ」パキュッ、ヒョイ

男「ありがとうございます」

弟「幼馴染ちゃん、寝るのと食べるの大好きだよねー」

幼友「その割には育たないけどね」クスクス


幼友「…で、自然公園と古民家街とどっちから?」

男「位置関係的に先に古民家街に先に寄ります」


弟「着いたらじきに昼だね」

幼友「蕎麦処なんでしょ? 飲んだ翌日のお蕎麦って美味しいよね」

男「少し早めでもまずは昼食にして、それから街並をブラブラしましょう」


幼友「ちなみにそこの蕎麦は何割?」

男「二八から一九。ざるではなく小皿に盛られた蕎麦を何枚も注文して、生卵を溶いたお出汁で頂くそうです」


幼馴染「………」ピクッ


幼友「いいですなー。ボソッとした出雲系のお蕎麦も嫌いじゃないけど、やっぱり二八から十割の歯切れざっくりなお蕎麦が好き」

幼馴染「………」ピクピクッ


男「目当てにしている店では、鶏つくねのおろし和えも名物だとか。俺はノンアルでいいので、幼友ちゃんはご遠慮なく」

幼馴染「………」ジュル


幼友「そんなー、申し訳ないですよー」キラキラ

男「弟、早く免許取れよな」

弟「教習代、親に借りられるかなー」


幼友「観光地だから食べ歩きものとかもあるんでしょーね」

男「たぶんあるでしょう。黒豆の産地なので、それを使ったソフトクリームや甘味もあるようです」


幼馴染「…あとどの位で着きますか」ムクッ

幼友「あ、起きた」


幼友「なんて地名なんです?」

男「◯石です。広域にしてるから、もうナビにも表示されてるはず」


弟「◯石…?」

幼友「どしたの?」

弟「……いや、なんでもないよ」


幼馴染「到着予想あと20分、はよ!」

男「さっきまで寝てたくせに…」ガコッ


ブロロロロロッ──

ちょこちょこ更新で申し訳ない
こっから加速予定

(蕎麦食わせんのやめようかな…)

まあそうなるわな
なんで伏字にしたんだろ
お察しの通り、ロケーションは出石をモデルにしてます


……………
………



幼友「おおー、良い風情ー!」

幼馴染「立派な石垣があります。元はお城が…?」

男「いいえ、もともと天守閣は造られなかったそうです」


弟「なんかすごく年季の入った時計台があるよ」

幼友「辰鼓楼…だって」

男「最初は知らせの鼓を打つために造られた櫓だそうです。後から時計台となった、その年代は札幌時計台とまさに同時期。日本一古い時計台にあたるとか」


弟「へえ…それにしちゃあんまり有名でもないね」

幼友「男さん、よく知ってますねー」

幼馴染「多分るるぶ情報です」

男「………」チッ


幼馴染「男、黒豆ソフトが!」

男「先に食事です」

弟「ええと…なんて店?」


幼馴染「炭火で炙ったみたらし団子が!」

男「このページに…ほら、ここが良さそうです」

幼友「11時過ぎ、まだ待ち時間も無いかな」


幼馴染「黒豆パフェだって!」

男「やかましいわ」


幼友「あ、あの店かな?」

男「そのようです」

弟「朝が早かったからお腹減ったー」


…カラカラカラッ


店員「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」ニコッ…ポヨン

幼馴染(ぐっ…幼友に迫る無駄乳!)フルフル…

男&弟「おはよおっ──」

幼友「言わせるか! とーう!」ビシィッ
幼馴染「てーい!」ゲシッ


店員「……あの」タユン

幼友「あはは、気にしないで。四人です」

店員「あ、は…はい、ご案内します。四名様ご来店でーす!」


男「じゃあ、皿蕎麦を…とりあえず20枚」

幼友「に、二十枚!?」

弟「大丈夫なの、それ」

店員「大丈夫だと思いますよ。男性の方なら、だいたい十枚近くは召し上がられますので」クスッ


男「あと、つくね小鉢をふたつ。瓶ビールとノンアルコールビールを一本ずつ下さい」

幼友「本当にいいんですか?」テヘヘ

男「お気になさらず。…また追加すると思いますが、とりあえず」


店員「かしこまりました。お待ち下さい」プルンッ


男「ほう…」

弟「…イエス」

幼馴染&幼友「………」イラッ


店員「はーい、お先にお出汁と薬味をお持ちしました。大根と山葵はお好きな量をおろしてお使い下さいね」ニコッ

男「はーい」ニヘラ

弟「あーい」ニヘラ

幼馴染&幼友「………」イライラ


幼馴染「卵は一人ひとつずつ使えば良いのでしょうか」

幼友「鶏卵まる一個入れるとか、珍しいねー」

店員「はい、この街のお蕎麦の特徴のひとつですので」タユン


男「まる一個かー」ニヤニヤ

弟「まるいの二つとも欲しいねー」グヘヘ…

幼馴染&幼友「おい、そのへんにして大根でも擦れよ」

男&弟「あい」シャコシャコシャコ


………



店員「──お待たせしました! 皿蕎麦二十枚とつくね小鉢お二つです」ドチャッ

幼友「うわ、二十枚がグラスタワーみたいに重なってる!」

幼馴染「おおおぉぉ…この『いくらでも食べてね☆キャピ』感が素晴らしい…!」


男「ひと皿が三口分くらいでしょうか、どれどれ──」チュルッ

弟「あ、そのまま一本食べた」

男「んん…蕎麦の香りが素晴らしいです。これはお出汁をつけない方がよく分かる」


幼馴染「大根おろしをちょびっと、ネギをたっぷり…私は山葵は要りません」

幼友「私、山葵入れようっと」


弟「僕は大根おろしたっぷりがいいけど、お出汁薄くなっちゃうかな」

店員「お出汁はこの徳利に入ってますので、ご心配なく。いくらでもお使い下さいね」ニコッ

男「弟、それ真ん中に置いといてくれよ」

弟「うん」


店員「……弟…」ボソッ


幼友「…店員さん?」

店員「えっ? あ、いえ…すぐにお飲み物お持ちしますね!」ペコリ


男「箸にとった蕎麦の下、半分強程度にしかお出汁をつけないのが粋な食べ方です」

弟「え、でも全部つけた方が美味しいよ」ゾゾゾー

幼馴染「私はたっぷりつけます」ズズズー

男「……じゃあ俺もつける」ズゾー


幼友「………」

夜にもうちょい追加予てーい


男「美味い、本当に飲んだ翌日の蕎麦は堪りません」モグモグ

幼馴染「次、頂きます」ヒョイ

弟「うわ…幼馴染ちゃん、もう三枚目」ゾゾゾゾ

男「何ィ!?」ズズーッ


幼友(……店員さん、何か言いたそうだったな)


幼馴染「幼友は食べないようなので、次いきます」ヒョイ、ムグムグ

幼友「あ、こら! 食べるよっ!」


弟「なんだこのつくね団子、おろしポン酢ですっげえ美味い!」

幼馴染「おお…冷やっこいタレとおろし、温かいつくねのハーモニィ…」ウットリ


店員「お待たせしました、瓶ビールとノンアルコールビールです」コトッ、コトッ

男「どうも」

幼馴染「ではノンアルですが、お酌しましょう」トットットッ…


店員「………」

幼友(…やっぱり)


弟「ノンアルなら僕も飲んでみようかなー」

男「お? いいぞ、グラスは人数分あるし」

幼馴染「お蕎麦5枚目頂きます」ゾゾゾ


幼友「…店員さん、もしかしてこの中の誰か…知ってたりします?」

店員「えっ…」

男「ん?」


店員「……ええと…もしかして、なんですけど」モジモジ

幼友(そしてそれは…)


弟「あ…苦いけど、けっこう美味しいかも」

男「じゃあノンアルもう1本頼むか」


店員「…違ったらごめんなさい」

幼友(なんとなくだけど──)


弟「早くハタチになって本物飲んでみたいなー」


店員「…弟…くん…じゃない?」

弟「えっ」


幼友(──そう…だよね)


店員「久しぶり過ぎて解らないかな…」クスッ

弟「え…?」

幼友(…解らないふりなんかしなくていいのに)ジロッ


弟「うーん…僕は確かに『弟』だけど、こんな黒髪ロングの美人さんに知り合いはいないよ…?」

店員「ああ、そっか…」スッ…

男(髪を手で束ねて…まさか彼女は──)


店員「ポニテにしてみせたら…どう?」


弟「………」

弟「………」

弟「…もしか…して……弟幼ちゃん…?」

店員→弟幼「やっぱり、弟くんだ! うわぁ、久しぶり…懐かしいねっ!」ニコッ


幼友「………」


弟幼「じゃあ、隣にいるのはお兄さんなんだよね? お久しぶりです!」

男「本当、久しぶりです。驚きました、こんなところで」


幼友(弟君のオサナナジミ…)


幼馴染「私の事も覚えているでしょうか、何度か会っているはず」

弟幼「もちろん、幼馴染さんですよね? ああ…嬉しいなぁ、また会えるなんて」


幼友(動物園で、話…聞いたっけ)


『五年生の時に引っ越しちゃったんだ』

『それから暫くは年賀状なんかは交換してたけど』

『それも途絶えちゃった』


弟「確か、宛名にこの街の地名を書いた覚えはあったんだ」

弟幼「手紙…途絶えちゃったのに、よく覚えてたね」


『小学校の同級生で、生意気言うけど多分──』


弟「うん、なんとなく…ね。覚えてたよ」

弟幼「私も…手紙こそ絶えても、弟君の事はずっと忘れなかったよ?」


『──お互い好きだったと思う』


弟「また会えて、嬉しいよ」

弟幼「うんっ」ニコッ


幼友「………」ズキン

すまぬ、とーう下予告しておいて睡魔に負けてしまった


………



男「ふう…俺が今、七枚食べました」

弟「僕は五枚」

幼馴染「今、七枚です。おかわり」モグモグ

幼友「………」ズズッ


男「ん…? という事は、幼友ちゃんはその一枚しか…」

弟「僕ももう少し食べたいから、おかわりしようよ」

幼馴染「全力で賛成」

弟「僕はあと三枚あれば充分かな」

男「俺もその位です」


弟「幼友ちゃんは? ほとんど食べてないでしょ、五枚くらい──」

幼友「──ビール」

男「な、何か腹の足しになるものも…」

幼友「ビールがあればいいです」ゴキュゴキュ


弟「じゃあ…ビール一本と、僕らで蕎麦が六枚。幼馴染ちゃんは…」

幼馴染「五枚」

男「ちょ」

幼馴染「遠慮して五枚」


幼友「………」グビッ


………



弟幼「──お待たせ、皿蕎麦の追加12枚とビールでーす」タユンッ

弟「待ってました」

弟幼「それとこれ、オマケ。ビールと一緒にどうぞ」コトッ


男「おお…黒枝豆ですか」

弟「はい、幼友ちゃん」スッ


幼友「あ…ありがと…」

弟幼「いいえ」ニッコリ


弟幼「ね、弟くん。今日はどれくらいここに居られる?」

弟「どのくらいまで…かな」チラッ


男「三時には発たないと、ちょっと遅くなりそうです」

弟幼「そっか…私、今日は二時までなんだ。少しでもお話できたらいいね」

弟「じゃあまた二時くらいに寄るよ」

弟幼「うんっ」


幼友「………」ゴキュゴキュ

幼馴染(……幼友…)


………



カラカラカラッ…


弟幼「じゃあ、できるだけ早く上がらせてもらうからね!」ニコッ

弟「うん」


男「ご馳走さまでした」

幼馴染「ご馳走さまです」

弟幼「ありがとうございました!」ペコッ

幼友「………」プイッ


男「さて、今が十二時半。ブラブラと周りましょう」

弟「なんかちょっと雲が多くなってきたね」


幼馴染「だいぶモヤモヤしているようです」

男「確かに、雨雲っぽいのが近づいています」

弟「雨になるかもねー」


幼馴染「いや、そうでなく」

弟「?」


幼友「………」モヤモヤ


男「じゃあ、まずは城跡に行ってみますか」

幼馴染「酷い! ご飯の後は黒豆ソフトと言ったはず!」

男「『先に食事』と言っただけでそこまで捏造されるとは」ヤレヤレ…


弟「幼友ちゃんも食べる?」

幼友「………」ムスッ

弟「…幼友ちゃん?」


幼友「……ん」スッ

弟「ん?」

幼友「手…繋ぐ」ボソッ

弟「え、いいの?」ドキッ

幼友「いいの」ギュッ

ちょっと今夜は投下できないので、とりあえずここまで


………



男「天守閣は無くとも、やはり城下の町並に風情があるだけに石垣上からの眺めは素晴らしいです」

幼馴染「歩いている人達の服装こそ今のものですが、昔からこんな景色だったのかもしれません」

弟「お侍さん歩いてても違和感無さそうだね」


幼友「写真撮ろうよ」

男「じゃあその辺の人に……すみません、シャッターお願いできませんか」

通行人「イッスヨー」


男「あとは押すだけなので、はい…お願いします」

通行人「トルッスヨー ハイ チクビー」パシャ


男「では、次は明治館とやらに行ってみましょう」

弟「あーい」


幼馴染「幼友?」

幼友「もう一枚、撮る」グイッ

弟「ん?」


幼友「男さん、シャッター押して下さい」ギュッ

弟「はぅ」

幼馴染(腕組んだ…!)

男「わ、解りました…撮ります。はい、チーズ…」パシャ


幼友「ども」

弟「………」プシュー


………



幼馴染「明治館…なんて事はない建物のようですが、江戸から明治への時代の移り変わりを感じさせます」

男「中にはその記録を集めた資料が展示してあるそうです。入館料も安いので、入っていきましょう」


弟「年表あるよ。へー、さっきの時計台の機械時計は三代目なんだ」

幼友「………」ギュッ

弟「お…幼友ちゃん?」アセアセ

幼馴染(どう考えてもさっきの弟幼さんの存在が影響しているのでしょうが、これは見ものです)クスッ


弟「幼友ちゃん、あっちの展示見よう」アタフタ

幼友「……ん」クイッ

弟(歩く時にシャツの裾を握られるの、夢だったんだよねー)ジーン…


幼友「はぁ…」

弟「どしたの、溜息なんて」


幼友(意識し過ぎだと思うんだけどね…)

幼友(だって、小五の時から会ってないんでしょ?)

幼友(今さら何がある事も無いだろうし、今日はそんなに長く滞在するわけでも無いし)

幼友(あの娘がいる事が解ったって、弟君ひとりで来られるわけでも──)


『──教習代、親に借りられるかなー』


幼友「だめ」ギュッ

弟「ファッ!?」ドキィッ


………



男「では、次は──」


──ポツッ、ポツポツッ


幼馴染「ちょっと降り始めました、どうしますか」

男「仕方ありません、土産物屋で傘を買うしかないでしょう」ヤレヤレ


弟「そこの店、急に傘を表に出したよ」

幼馴染「なんだかすごく買いたくなくなります」チッ…

男「さっきの弟幼ちゃんのお店、あそこも入り口に少しお土産ものを置いていました」

弟「だったね、せっかくならあそこで買ってあげようか」


幼馴染「ええと、確かこの角を…」

男「あれ? もう一本向こうだったでしょうか」

弟「幼友ちゃん、早くー! 雨が強くなってきたよ!」


…ポツポツッ、サアアアァァァ


幼友(…急ぐ時だって、手を放さなくていいのに)ムスッ

幼友(っていうか、そりゃ…せっかくならあの店の売り上げに貢献してあげればいいとは思うけどさ)

幼友(だめだな…変な事、考えてる)モヤモヤ


男「あったあった、この通りでした」

弟「あれ…? 弟幼ちゃんが出てきてる」

幼友「………」


弟幼「弟くんっ、ちょうどよかった!」

弟「どしたの、それ…傘?」

弟幼「うん、お店で食事してくれた人には貸出してるの」

男「それはありがたい、雰囲気のある番傘です」


弟幼「余裕が三本しか無いんですけど…はい、どうぞ」

男「俺と幼馴染は一緒でいいので」バサッ

弟幼「よかった、じゃあ…はいっ」スッ


幼友「あ…ありがと」…バサッ

弟幼「いいえ」ニコッ


弟幼「それと『懐かしい友達が来てる』って言ったら、女将さんが特別に一時過ぎたら上がっていいって──」バサッ


男「ん?」

幼馴染「…あ」

幼友「!!」


弟幼「──というわけで、ご一緒していいですか?」

弟「あ、あの…弟幼ちゃん…傘、僕らで一緒なの…?」

弟幼「あれ、だめだった?」タユン


幼友「…いいんじゃない? 数年ぶりだもの、話も尽きないでしょ」

幼馴染(幼友…)アワワ…

幼友「私、自分で行きたいとこ行くから。三時にこの店の前でいいよね?」


幼友「じゃあ、ごゆっくり」クルッ、スタスタスタ…

幼馴染「幼友っ!」


男「…幼馴染、幼友ちゃんを追って下さい」

幼馴染「男は?」

男「俺も追うから、早く。見失います」

幼馴染「わ…解りました」


弟「……幼友ちゃん」

男「ま、仕方ないよ。久しぶりだもんな…ただ、謝っとけよ?」ヒソヒソ

弟「…うん」

弟幼「?」

男「なんかあったら電話しろ。じゃあ後でな──」


………



幼馴染「幼友…!」タッタッタッ

幼馴染(歩く人がみんな傘を差してるから見つけ難いです…)

幼馴染(あっ…あれでしょうか)


幼友(幼馴染ちゃん、追ってきたな…どうしよ)

幼友(今はどうしたってみっともない事しか言えそうにない…ごめん、ほっといて欲しいんだ)


幼馴染「幼友ー!」


幼友「…ちょっと腕、貸して!」グイッ

通行人「オゥフ」

幼友「静かに、振り向かないで」

通行人「マジカヨ サッキノ ワンショットガ コイノ ハジマリ?」

幼友「静かにってば」


幼馴染「あれ…?」

幼馴染(服…似てるけど、相方がいるようです。違う人でしたか…)

幼馴染(いけない、このままじゃ本当にはぐれてしまいます。探さないと…!)タッタッタッ…


通行人「オーケー、コンドハ フタリノ ココロノ ファインダーニ ヤキツケヨウゼ ベイベー」

幼友「行ったみたいだな…どーもね、バイバイ」スッ…タッタッ…

通行人「oh、キャッチ&リリース」


サアアアアァァァ…ピチョッ、ピチョンッ


幼友(…バカみたい)

幼友(なんで逃げるような事しちゃったんだろ)

幼友(弟君は私に気があるんだから…とか、言えば良かったのかな)

幼友(……だから、だよね)

幼友(私がいつまでも関係をハッキリさせないから『彼氏だ』って主張もできないし)

幼友(弟君だって、私の事を何とも紹介しようがないんだ)

幼友(…付き合ってもないし、何度も告白されてるのにはぐらかしておいて)

幼友(他の娘には愛想をふるな…って、どんな理屈だろ)


幼友「はぁ…」

幼友(せっかく観光地に来てるのに、男さんや幼馴染ちゃんにも気を遣わせちゃったなぁ…)

幼友(でも携帯あるし、心配までされる事は…ないよね)

幼友(ごめんね…幼馴染ちゃん)


『──傍にいるのが当たり前? そんなの境遇に甘えて尻込みしてるだけの言い訳でしょ!?』

『「告白が釣りのついで」だった…!? それでも向こうから言ってくれただけマシだったんじゃないのっ!』

『好きなヒトに…「好き」って言えないのが、一番…辛いんだからっ──』


幼友「…あはっ」

幼友(どの口が言ったんだろ…)グスン

しまったああぁあぁ!
幼友の心情の中で『携帯あるし』の行は無かった事にしてくれ…携帯無かった…

>>659差し替え】

幼友「はぁ…」

幼友(せっかく観光地に来てるのに、男さんや幼馴染ちゃんにも気を遣わせちゃったなぁ…)

幼友(携帯も無いし、心配させちゃうだろうな…)

幼友(ごめんね…幼馴染ちゃん)


『──傍にいるのが当たり前? そんなの境遇に甘えて尻込みしてるだけの言い訳でしょ!?』

『「告白が釣りのついで」だった…!? それでも向こうから言ってくれただけマシだったんじゃないのっ!』

『好きなヒトに…「好き」って言えないのが、一番…辛いんだからっ──』


幼友「…あはっ」

幼友(どの口が言ったんだろ…)グスン


………



幼馴染(はぁ…完全に見失っちゃった…)フゥ…

幼馴染(携帯も無いし、連絡のとりようがありません…)

幼馴染(三時にはあの店に来るのでしょうけど…それでも心配です)


幼馴染(…もしかしたら男が見つけてるかも)

幼馴染(電話してみましょう)


タッタッタッ…


幼馴染「…………………あ、もしもし。こっちは幼友を見失ってしまいました」

幼馴染「え? はい、はい…わかりました、合流しましょう」

幼馴染「ええと私は今……ああ、ちょうどみたらし団子屋さんの前です」


………



幼馴染「──あっ、男! ここです!」

男「幼馴染! ……見失ったって?」ハァ

幼馴染「面目ない」

男「まあ、子供じゃあるまいし。集合の時間には戻るでしょうが」

幼馴染「せっかくなので私達でブラブラしましょう。その内に見つけるかもしれません」

男「よし、じゃあ行きますか──」


団子屋「はいっ、焼きたて二本お待ちどうさまー」

幼馴染「どうも。男、一本どうぞ」スッ

男「は?…ああ、頂きま…す…?」

団子屋「360円です」

幼馴染「よろしく」

男「えっ」


………



弟幼「──懐かしい、本当にいっつも遊んでたよね」

弟「うん」


弟幼「引越しが決まった時は泣いたなぁ…」

弟「僕はなんとなくピンときてなかったよ。弟幼ちゃんと会えなくなるとか、あまりに突然でさ」

弟幼「…そっか」

弟「引越しの日、さよならを言いにきたのにずっと泣いてた弟幼ちゃんを見て、ようやく実感が湧いたんだ」

弟幼「あはは…覚えてるんだ」


弟「結局、引越した理由はなんだっけ?」

弟幼「ウチのお父さんが勤めてる会社の支店がこの街にできる事になってね」

弟「ああ…」

弟幼「田舎に飛ばされるような、支店長としてだったから栄転のような…って、辞令を受けるかどうか悩んでたみたいだったけど」


弟「…仕方ない事だね」

弟幼「うん、小学生には運命に抗う術は無かったな」

弟「引き止める術もね」


弟幼「ここのお寺、入ろうよ。雨の日の庭は綺麗なんだよー」

弟「…うん」


………



幼友(この辺、静かだなー)

幼友(すごい土壁の古い建物……江戸時代の酒蔵かぁ)


幼友「……はぁ」

幼友(一緒に歩いてたら『酒蔵とか、幼友ちゃんの好きそうな所だね』とか)

幼友(『江戸時代にも幼友ちゃんみたいな酒豪の女性いたのかな』とか)

幼友(…そんな事、話してたんだろうなぁ)


幼友「………」グゥ

幼友(やだ、お腹でグチが鳴いた)

幼友(食べなかったもんなぁ…)


幼友「ん?」

幼友(…ここもお蕎麦屋さんかぁ)

幼友(女の人が一人で来る事とかあるのかな)クスッ


カラカラカラッ


店員「はい、いらっしゃい。お一人?」

幼友「あ…は、はい」

店員「カウンター席でいいかしらねぇ」

幼友「…どこでもいいです」

店員「じゃあどうぞ、空いてますよ」


幼友「ええと…皿蕎麦を…」

幼友(五枚くらいかな…あと、ビール…)


『それとこれ、オマケ。ビールと一緒にどうぞ』

『あ…ありがと…』

『いいえ』


幼友「………」イラッ

幼友(なーにが『いいえ』よ)

幼友(どうせ『なに、この酒飲み女?』とか思ってたくせに)イライラ


店員「お蕎麦、何枚にされますー?」

幼友「………」チラッ

… … … … …

皿蕎麦チャレンジ!
三十分以内に男性は50皿、女性は30皿食べたら無料!
挑戦の際は店員に宣言し、一度にご注文下さい

… … … … …

幼友「…30皿」

店員「えっ」

幼友「挑戦…します」


店員「お、お嬢ちゃん…30皿っていったら普通のザルで10枚近くあるけど…」

幼友(やけ食いとか、男さんへの想いに悩んでた時にさえしなかったけど──)

店員「あの…」

幼友「──挑戦します」

幼友「食べても胸にいくんだよね」

幼馴染「・・・・・」

~一ヶ月後~

男「幼馴染ちょと肥りましたか?」

幼馴染「てーい」 

男「な、なぜ・・・」ピクピク


………


サアアアァァァ…


弟幼「──少し明るくなったのに、雨…やまないね」

弟「うん、でも雨の町並みも風情があっていいよ」


弟幼「…田舎だけど、いい街でしょ」

弟「本当だね」

弟幼「古民家も石垣も、庭も木々も…弟くんの言う通り雨の日が一番趣きがあるかも」

弟「番傘が似合う町並みだし」


弟幼「ふふっ…それも相合傘なら、尚更かな」

弟「…昔は学校の帰りとかにも、よくしたよ」

弟幼「そうだったねー」


弟幼「あれ…もう二時過ぎかぁ、あっという間」

弟「うん、いくらでも話す事あるからだろうね」


弟幼「そうだね…でも」

弟「?」

弟幼「弟くん、ちょっと心ここに在らずな時が多いよね」クスクス


弟「…そんな事ないよ」

弟幼「そうかなー?」


弟幼「じゃあ、さっきの庭で私が『満開で綺麗』って言った木はなんだったでしょう?」

弟「……うっ…」


弟幼「エゴノキ…」ボソッ

弟「あっ、そうそう…エゴノキだったね。綺麗だった──」

弟幼「──残念、ヤマボウシでしたー。ほらね、覚えてないでしょ」

弟「うわ、ずるい」


弟幼「…ごめんね」

弟「え?」


弟幼「気になってるんだよね? さっき、別行動をとったヒトの事」

弟「…弟幼ちゃん」

弟幼「男女四人で行動してる時点で察するべきだったんだけど、久しぶりに会った嬉しさで気がまわらなかったんだ」

弟「………」


弟幼「あのヒト、弟くんの彼女さん?」

弟「そうだったら、そういう風に紹介してるよ」

弟幼「でも…きっとそれに近い人でしょ?」

弟「……そうならいいな」


弟幼「おー、そっか…弟くんが押してる側かぁ」ニヤニヤ

弟「まあね」

弟幼「…ちょっとだけ、妬けるかな」


弟「からかわないでよ」

弟幼「からかってないよ。私、昔…弟くんのこと好きだったよ?」

弟「それは…僕もそうだったよ」

弟幼「うん」

弟「…よかった、僕だけの思い込みじゃなくて」

弟幼「うん、私も」


弟「弟幼ちゃん、変な事を訊くんだけどさ。昔、仕方なくでも引っ越しちゃった事…悔やんだりする?」

弟幼「悔やむ…?」

弟「…僕は、弟幼ちゃんと離ればなれになった事……ごめん、悔やんでないんだ」

弟幼「あっ、乙女心を傷つけたな! …なーんて」クスッ


弟「そうならなかったとして、じゃあ今がどうなってたのか…なんて解らないんだけどね」

弟幼「うん」

弟「でも僕は今こうして、あのヒトを好きになれて良かったと思ってる」

弟幼「…もっと妬けるなぁ」


弟「だから…ね」

弟幼「うん、解った」

弟「…解ったの?」

弟幼「行くんでしょ? あのヒトのところ」


弟「…ごめん」

弟幼「謝る事なんて無いよ」

弟「うん、ごめん」

弟幼「ほら…ここ、お店の前だよ」

弟「あれ? …ほんとだ」


弟幼「最初、気が利かなかったからね。…弟くんの様子を察して、こうなるように歩いたんだよ」

弟「そっか」

弟幼「じゃあ、これでお終い。最後の相合傘も…私達の幼い恋も──」

さらっと新しい言葉が生まれてる

(新キャラでは『た行』縛り解こうと思ってるなんて言い出せない…)

幼馴染「てーい」=男「てーい」

少女 「たーあ」=少年「たーあ」

弟「ッッッツェアアアーイ」 
とういことは弟幼は・・・

>>1に頼みがある
俺の余命はあと3日らしい最後にこの作品を見たい頼む・・・・


………



幼友「──うぅ…」ゾゾゾッ、ムグムグ…

店員「…お嬢ちゃん、そんなにがんばらなくても。どっちにしても、もう五分しか…」


幼友(くっ、まだ十三皿…やっぱ無謀だったかぁ…)ズズズズッ

幼友(なんとなくせっかくの観光地で気分がモヤモヤしたから)

幼友(それ以外にインパクトの強い思い出が欲しかった)


幼友「お出汁、下さい」ゴクンッ

店員「…無理はしないようにねぇ──」カチャッ


………



ポツポツッ…ポツッ…


男「──少し小雨になってきましたか」

幼馴染「せっかく相合傘だったのですが」


男「人に持たせた傘の下で、その人の払った金で味わう豆大福はいかがでしょうか」

幼馴染「けっこうなお味で」モグモグ

男「そうかよ」


幼馴染「しかし幼友の姿がありません」

男「もう二時を回っています。探すより店の前で待った方が確実かも…」


幼馴染「あっ」

男「はい?」

幼馴染「…男、あっちは『酒蔵跡』だそうです」

男「ほほう」


幼馴染「なんとなく幼友が行きそうじゃないでしょうか」

男「うん…まあ、そうかもしれません」

幼馴染「そしてその向こうのお蕎麦屋さん、表に『焼きたて蕎麦饅頭』の幟が」

男「…貴様」


幼馴染「おお、なんだか面白い事を書いています」


男「皿蕎麦チャレンジ……三十分以内に男性は50皿、女性は30皿? …幼馴染、まさか」

幼馴染「さすがにそれは挑戦しません」

男「そうですか」ホッ


幼馴染「だから蕎麦饅頭」

男「何が『だから』なのでしょう」


幼馴染「『店内で申しつけ下さい』…だそうです」カラカラカラッ

男「ちょ」

幼馴染「すみません、蕎麦饅頭を──」


幼友「──あ」ゾゾゾッ

幼馴染「えっ!?」


幼馴染「ちょ…幼友、そのお皿の数…まさか?」

幼友「あーあ、見つかっちゃった…チャレンジ中なんだよ、笑う?」


幼馴染「幼友…普段なら貴女はそんな事に挑戦しないはずです」

幼友「ん…やけ食い…かな」

幼馴染「…幼友が、やけ食い…」ププッ

幼友「ちぇ、やっぱり笑われちゃった」

幼馴染「だって、そんなにヘソを曲げるなんて子供みたいです」

幼友「ふーんだ」プイッ


幼馴染「…制限時間は?」

幼友「もう五分も無いよ、まだ十四皿目なのに」ハァ…

幼馴染「がんばりましょう、食べきったらきっと良い思い出になります」ニコッ


男「幼馴染…あんまり無理をさせては」

幼馴染「いいのです、女性だって恋に悩んで自棄になる事くらいあります」

幼友「幼馴染ちゃん…」


幼馴染「せっかくなら、胸のつかえを吐き出しながら。そうすればお蕎麦ももっと入ります」

幼友「…うん」

幼馴染「さあ、お出汁に浸けて。息を吐くついでに恨み言も零して!」


幼友「む…昔のオンナなんかにヘラヘラすんなーっ!」


幼馴染「そうです、それで一気に啜って!」

幼友「おうっ」ズゾゾゾッ!モグモグ…

幼馴染「次!」

幼友「おっぱい大きかったら誰でもいいのかーっ!」

幼馴染「うっ」グサッ


男(…なんだこの光景…)


………



弟「──幼友ちゃーん!」キョロキョロ

弟(そう簡単に見つからないか…)


弟(兄ちゃん達、幼友ちゃんと会えたのかな)

弟(そうだったらメッセージくらい寄越しそうだけど)

弟(……まあ、電話してみよっか)ピッ


《…ツリ ニ イコウ ツリ ニ イコウ アメ ガ ヤンダラ ムカエ ニ ユクネ♪──プツッ》


弟「あ……兄ちゃん、どう…?」

弟「え…? 酒蔵跡の方? ええと…パンフレット…」チラッ

弟「…うん、それならすぐそこみたい──」


………



男「──もしもし? ああ…早く来いと言うべきのような、来ない方がいいような」

男「うん、そうだな…まあお前のせいだし、来いよ」

男「……え? 怒ってるか…って、そりゃ自分の目で確かめろ」


幼馴染「次です! あと三分切りました!」

幼友「うぅ…」

幼馴染「はい、恨み言!」

幼友「口だけじゃなく、強引に迫ってみろーっ!」ゾゾゾゾッ


男(…幼友ちゃん的には見られたくないかもしれませんが)ハァ…


幼馴染「あと八皿!」

幼友「さ…さすがにもう…無理…」

幼馴染「…どうしても?」

幼友「ほんと、このお皿でいっぱいおっぱいだよ…」


幼馴染「あと二分半です。ではその一枚だけでも、最後に押し込みましょう」

幼友「う、うん」

幼馴染「そして、一番吐き出してしまいたい言葉を」


幼友「………」スウウゥ…

幼馴染「さあ、どうぞ」ニコッ


幼友「弟くん……好きっ──!」ズゾゾゾッ


幼馴染「──よく言えました、幼友」

幼友「うええ…でも七皿も残っちゃった…」


幼馴染「時間は残り二分、皿は七枚。一枚あたり20秒もありません」スッ…

幼友「お…幼馴染ちゃん…?」

幼馴染「不可能…? ……否! 我は壁神…食えど食えど満たされぬ、このブラの隙間──」ユラリ…


──カチャッ、コトッ


幼馴染「たかが七枚の皿蕎麦、一枚10秒もあれば充分…! 幼友の無念、晴らしてくれるっ!」ズゾゾゾゾーーッ

幼友「幼馴染ちゃん…!」

男(……なんで太らないんだろ、こいつ)


…カラカラカラッ


弟「兄ちゃん!」

男「おう、ちょっと遅いな。一番見たかったであろうシーンは過ぎたよ」

弟「…どんな?」

男「それは言えねえな」


幼友「──はい、恨み言!」

幼馴染「騎乗位の時、ボソッと『揺れない』とか言うなーっ!」ゾゾゾーッ


弟「…これ、どういう状況?」

男「お前のせいで、なぜか俺が恨み言ブチ撒けられてる感じ」


幼友「ラストォーッ!」

幼馴染「てーーーいっ!!」ズズズズーッ


男「本当に完食しやがりました」


幼友「…ありがとう、幼馴染ちゃんっ」グスッ

幼馴染「いいのです、間に合ってよかった」ニコッ…ゲプッ

幼友「時間、まだ20秒くらい残ってたよ」

幼馴染「ふふん」


店員「あの…」

幼友「はい?」

店員「お二人で食べたら、チャレンジ失敗になるからねぇ…3600円です」

幼馴染「えっ」

男「そりゃそうだ」


店員「でも15皿食べたらお渡しする記念品は、お二人ともに差し上げましょうね」

幼馴染「…巾着袋?」

幼友「『よう食べんちゃった』だって、あはは…可愛い…のかな?」クスッ


弟「幼友ちゃん」

幼友「ふぇ!? お、弟君…いたの!?」アセアセッ

幼馴染「いつから…?」


幼友「まさ…か…私の最後のひと言の時…!」カタカタカタ

男「ギリセーフです」

幼馴染&幼友「よかったあああぁぁあぁ…」プシュー

弟「?」


幼馴染「はい、弟君…どうぞ」スッ

弟「記念品の巾着? なんで…?」

幼馴染「そもそも幼友のやけ食いは弟君のせいですので」

弟「僕の…」


幼馴染「こんないい女を自棄にさせた戒めに、忘れないために持っておいて下さい」クスッ

幼友「あぅ…」

弟「…うん」


男「よし、弟幼ちゃんのところに傘を返しに行って、そろそろ発ちましょう──」


……………
………


…車で移動中


ブロロロオオォォッ…


男「──短い時間しか居られなくて残念でしたが、まあ…お前も免許を取れば自分で来られるだろ」

弟「うん」

幼馴染「一人ではだめです」

弟「うん、解ってる」

幼友「………」


幼馴染「ところで、もうひとつ話に挙がっていた自然公園とやらには寄るのでしょうか」

男「ゆっくり散策するような時間はもうありませんが、そこにある施設にだけ立ち寄りましょう」


幼馴染「そこには何が?」

男「標高1000m近い山腹に建てられた展望塔があります」

幼馴染「ほほう」

男「その展望塔には日本一の大きさのベルが……まあ、行けば解るでしょう」


幼馴染「もう午後4時が迫っていますが、近いのでしょうか」

男「もう30分とかからないでしょう──」

キキィー!ガシャン!

>>757
男「釣り浪漫を求めて」
幽霊「仕方ないから付き合います」

こうですか?わかりません


……………
………


…自然公園、展望塔施設


幼馴染「──ベル、でかっ! ふたつもあります」

男「塔の下からでも判るこの大きさ」

弟「大きいほうは2m、重さ6tだって。音階は低い『ソ』って書いてある」

男「では、まずは小さい方の塔から」


幼馴染「石階段、中にハート型の石が埋められているらしいです」

弟「見つけると幸せになれる…かぁ」


男「幼馴染…」チョイチョイ

幼馴染「なんでしょう?」


男(ここは『愛』をテーマにした自然公園施設の一施設で、思いっきり恋人向けのスポットです)ヒソヒソ

幼馴染「なるほど」ニヤリ

男(そのへんを頭に置いて、二人との距離を…)ヒソヒソ

幼馴染(ええい、皆まで言うな)ヒソヒソ


弟「うーん、ハートの石…無いなぁ。幼友ちゃん、あった?」キョロキョロ

幼友(……もしかして、これかな)チラッ

幼馴染(幼友、足元にあります! よく見て!)


幼友「無い…よ」プイッ

弟「そっかー」


幼馴染(あああああぁあぁぁ、もうっ!)ジタバタ

男(幼馴染、落ち着いて)ヒソヒソ


………



弟「小さい方のベルでも、近くで見るとすごいね」

男「高さ1.2m、3t近い重さらしい」


幼馴染「なになに…『鐘の名前は【緑のリボン】鳴らす二人の心を繋ぐ、愛の鐘』…だそうです」クックックッ

幼友「えっ」

男「大小ふたつのベルを鳴らせば、二人は結ばれる…などと言われています」

幼馴染「実際にここで結婚式も挙げられるとか」


幼友「ちょ…あの…えっ?」

弟「………」


幼馴染「とりあえず、男と私は鳴らします」

男「振り子のロープを持って下さい」

幼友「お、幼馴染ちゃん…!」


幼馴染「振り子、重っ!」ズシッ

男「いきます、音も大きいでしょうから身構えて」グッ…

幼馴染「しょっ…もうひと振りっ」グイッ

男「せーの…」フワッ


男&幼馴染「てーーーい」


ガラーーン!!ゴローーーン!!!


弟「うわ…本当にすごい音、こっちは低い『ド』の音階だって」キーン

幼友「………」

男「…よし、それでは」クルッ

幼馴染「私達は大きい方のベルの塔に登ります」クルッ


弟&幼友「えっ」


男「かなり重いから、身体もっていかれるなよー」

幼馴染「幼友、弟君に任せて手を添えるくらいで大丈夫です」


弟「ちょっと、一緒に! …行っちゃった」

幼友「……もう」


弟「…どうする? 幼友ちゃん」ドキドキ

幼友「……どうするって」


弟「だってこのベル…僕と鳴らしていいの?」

幼友「…そっちこそ」

弟「ぼ、僕は他に一緒に鳴らしたい人なんかいないよ!」

幼友「どうだか」


弟「幼友ちゃん…」

幼友(…ばーか)


弟「幼友ちゃん、さっきの街では本当ごめんなさい」

幼友「…久しぶりだったんでしょ、謝る事じゃないよ」プイッ

弟「うん…それでも、あまりに気が利かなかったよ」


幼友「……昔」

弟「うん?」


幼友「昔、好きだった娘…なんでしょ」

弟「…うん、そうだった」

幼友「今は?」

弟「幼友ちゃんが言った通り『昔、好きだった娘』だよ」


幼友「どんな事、話したの」

弟「引っ越した時の事とか、近所にいた頃の思い出話とか」


幼友「『好きだった』って事は話してないの?」

弟「……話したよ」

幼友「……っ…」


弟「それで『今、好きなヒト』の事も話した」

幼友「それって」

弟「うん、幼友ちゃんの事」


幼友「…良かったの?」

弟「良かったよ、話せて」


幼友「……弟君はそうかもしれないけど」

弟「本当は再会してできるだけ早く話せば良かったんだ。『君と離ればなれになった事、悔やんでない』って」


幼友「あの娘は、それを聞いてどう思ったのかな」

弟「『ちょっと妬ける』って言ってたよ」

幼友「せっかくの再会だったのに…悪かったんじゃない?」


弟「うん、でもね…彼女も悔やんでないんだって」

幼友「そうなの?」

弟「だから僕も…ごめん、ちょっとだけ『妬いた』んだ」

幼友「え…?」


弟「…彼女、来年には結婚するんだって」


弟「ふたつ年上、高校の時の先輩と…って言ってた」

幼友「そう…なんだ」

弟「ごめんね、今になって妬く理由なんて無いはずなんだけど。どうしても胸がチクッとしたよ」

幼友「……それは仕方ないよ」


弟「そんな僕でよかったら…この小さい方のベル、一緒に鳴らして下さい」

幼友「小さい方だけでいいの? ふたつともを鳴らせば結ばれる…って」

弟「大きい方は、いつか二人でここを訪れて鳴らしたいよ」

幼友「………」

弟「できればその時には、今日とは違う関係の僕らで」


幼友「………」モジモジ

幼友「………」スゥ…

幼友「………」…ハァ


幼友「……はい」


テーーーイ!
ガラーーン!!ゴローーーン!!!


幼友「あ…男さん達、大きい方を鳴らしたね」

弟「…だね」


幼友「お揃いのストラップ…」

弟「ん?」

幼友「それから、お蕎麦の記念の巾着袋」

弟「うん」


幼友「なんだかどっちも、ちょっと恥ずかしい思い出がついちゃったね」

弟「…その思い出までお揃いだから、いいよ」


弟「じゃあ、ベル…いいかな──?」

幼友「──この予約は双方の同意のもと成立します」


弟「は?」


幼友「双方ともに心情の変化があれば、その旨を申し出た上で予約をキャンセルする事ができます」

幼友「ただし、予約を破棄せずに違う物件に手を出す事は規約違反となり、罰せられます」

幼友「また予約した件について正式な契約を交わすタイミングは、熟考の上お申し出下さい」

幼友「一定の条件を満たせばお受け致します。そうでない場合、通常は予約期間を更新します」

幼友「以上の規約に同意できる方のみ、ただいまから先着一名だけ──」


弟「幼友ちゃん…」


幼友「──私を恋人にする権利の予約を受け付けます。ご応募の方は挙手して下さい」

弟「はい!」ピッ


幼友「…受け付けを締め切ります」ニコッ


幼友「それじゃ、契約書に判を押しとくよ」

弟「…うん?」

幼友「まだ仮契約だから、ほっぺただけね──」


ガラーーン!!ゴローーーン!!!


… … … … …


弟「釣りロマンを求めて」幼友「春の淡水釣り編だよー」

【おわり】

春の~なのに梅雨明けまで引っ張ってすまんかった



最後の2レスで幼友株ストップ安、お赤飯窓からぶん投げるレベル
なんで弟に対してこんな上から目線なんだろ
いつの間にか性格悪くなりすぎじゃね
…それとも性格悪いのは俺の方か?

しまった、ひとつ回収し忘れた
>>772>>773の間に次のレスを挿入補完お願いします

>>781 すまんな、くっつけようかどうしようか悩んだ挙句の先延ばし措置なんだ
性格が悪いのはこれで良しと思った俺かもしれない


幼友「ひとつ教えて」

弟「なに?」


幼友「釣りの後、私がこの髪型にした時…褒めてくれたよね」

弟「うん」

幼友「その時…弟幼さんがポニーテールだった事、思い出した? もしかしてそれでこの髪型、好きだったりする?」


弟「…ううん、全然」

幼友「本当かなー?」ジッ

弟「いつもと違う幼友ちゃんに見惚れるので精一杯だったよ」

幼友「…だったら、よし」プイッ


弟「実は僕が好きなのは、肩下くらいの長さのゆるふわ内巻きヘアをおろした髪型なんだ」

幼友「あははっ、調子いいんだから」クスクス

弟幼は釣りに連れて行かない方向なの?

>>786
今のところ、再出演させるつもりはないかな


……………
………


…7月、男・弟の自宅


弟「──おかえり、いろいろ買っといたよ」

男「おう、飲み物重かったろ。悪いな」


少年「お邪魔します」ペコッ

弟「久しぶり、雨降って大変だったね」

少年「駅前でちょっと走っただけですよ。あとは車に乗せてもらいましたし」

男「あの時が一番降りようが強かったからなぁ」


男「週末の夜、たまには野郎三人だけで釣りでも行くか…と思ってたんだけど」

弟「これじゃあね」

男「…で、急遽お前にいろいろ買ってきてもらったわけだ」

弟「まあ、コンビニは近いし」


少年「釣りが無理なら、今夜はどうするんです?」

男「駄弁るくらいしかないでしょう」

弟「そのつもりでたくさん食べ物や飲み物仕入れたしね」


男「前に少女ちゃんの家では除け者にされたパジャマパーティー、野郎同士でやりますか」

弟「色気ないねー」ケラケラ

少年「あはは…」


男「…少年君、今は六年生でしたね」

少年「はい」

弟「どうしたの? 兄ちゃん」

男「来年には中学生…でも、少年君の事だから進学校へいくのでしょう」

少年「小中高と一貫教育なので、そうなります」


男「弟、お前も中学はそれなりにイイトコ行ったわけだけどさ……ちょっと耳貸せ」

弟「うん?」


ヒソヒソ、ゴニョゴニョ…


弟「うん…うん……そりゃそうだよ、下手したら普通の公立校より酷いかも」

男「そうなのか」

少年「……?」


男「あー、ごほんっ……少年君?」

少年「はい」

男「年齢以上に様々な知識を蓄えているであろう貴方は、その…女性の事は?」

少年「女性の…事?」


弟「兄ちゃん、本当に大丈夫だって。どうせ中学上がったら先輩からそういう話聞かされるし、聞きたいもんだから」

少年「それって」

男「ええ…まあ、興味があれば…ですが」ゴニョゴニョ


弟「まどろっこしいな、ストレートに訊くよ? 女の子のカラダ、エロい話…聞きたい?」

少年「今宵はお招き頂きありがとうございます」キリッ


………


…幼友のアパート


幼友「──雨、止まないねー」

幼馴染「参りました、これは帰れません」

幼友「原付で来たもんね」


幼馴染「うーん…幼友、申し訳ないのですが」

幼友「申し訳なくないよ、泊まってって。服とか、私のでよかったら貸すし」

幼馴染「助かります」


幼馴染「今夜は久しぶりに少年君が駅まで出て来ると言っていたので、釣りになるかと思っていたのですが」

幼友「さすがにこの天気で釣りは苦行だね」

幼馴染「携帯……あ、一度鳴っていました。気付かなかった…」


幼友「ちょっと待って、私の方にもなんかメッセージ来てる」ピッ

幼馴染「新しいスマホはもう慣れましたか」


幼友「慣れるもなにも同じ機種だしね……っと、弟君から………あはっ、なんだそれ」クスクス

幼馴染「どうしましたか」

幼友「今夜は男さんの家で、男同士のパジャマパーティーする事にしたんだって」


幼馴染「………」ポッ

幼友「幼馴染ちゃん、今ちょっと801な事考えたでしょ」


………


…弟の部屋


男「すまんな、お前の部屋で。俺の部屋、ルアー作りの道具でいっぱいだから」

弟「いいよ、僕まだ物が少ないしね」


少年「弟さん、ジュース注ぎますね」

弟「うん、ありがと」

男「俺はビールだな」プシッ

弟「少年君、紙コップ使ってね」

少年「はい」


男「おっ、からあげクンあるじゃん。俺、赤もらいー」ヒョイ

弟「普通の黄色もあるよー」


男「……で、少年君」グビグビ

少年「はい?」

男「少女ちゃんとはどこまで?」プハ

少年「!!」ブフォッ


弟「今時の小学生の恋愛事情、気になるねー」

男「オトナの話を聞きたいなら、まずは手の内明かしてもらないと」ニヤニヤ

少年「…キ、キス…まで…」テレテレ

弟「本当に?」ニヤニヤ


少年「………チョットダケ ムネ サワラセテ モライマシタ」ゴニョゴニョ

男&弟「うっひょおおおおおぉぉぉおぉ」


弟「ど、どんな風に?」

少年「えっと…少女が帰るのに渡船の待合所で…」モジモジ

男「ほうほう」


少年「誰もいなかったらそこで、その…キスするんですけど」

弟「それでそれで」

少年「その時、腕がちょっと当たってて…」

男「ふむふむ」


少年「意識がそこにいっちゃったの、少女も気付いてたみたいなんだけど…なにも言わなかったから」

弟「…から?」

少年「…撫でてみた」ボソッ

男(『撫でる』って表現に切ない親近感を覚えざるをえない)


弟「そしたらっ?」ワクワク

少年「なんかクスクス笑われたけど、嫌がりはしなくて」

男「ほほう」


少年「それで、シャツの中に手を入れようと…」

弟「やるねぇ」フンス

男「いくねぇ」ニヤニヤ


少年「でも、そこでさすがに『それはまだダメ』って止められちゃいました」テレッ

男&弟「甘酸っぺええぇえぇぇ!」ジタバタ


男「いやー、いい話を聞きました」

弟「素晴らしい開幕だね」

少年「すごく恥ずかしい…」


男「少年君。俺が貴方くらいの頃、幼馴染は隣りに住んでいたんです」

少年「そうだったんですか」

弟「高校の時、少し先に引越しちゃったんだよね」

男「そうそう…だから、昔は俺の部屋と窓向かいだった幼馴染の部屋にはベランダから渡ってました」

少年「オサナナジミ関係らしい思い出ですね」


男「どちらかというと、幼馴染が俺の部屋に来る事の方が多かったかなー」

弟「そうだった気がするね」

男「今でもそうだけど、昔っからよく寝るやつで──」


… … … … …


男『──幼馴染、算数の宿題終わった? 写させて…』


幼馴染『………』スヤスヤ

男『また寝てるじゃん、どうせ寝るんなら横になりなよー』ユサユサ

幼馴染『んん…この部屋、床が硬いもん…』


男『……だったら、僕のベッド使っていいよ』

幼馴染『んー、そう……なら借りる…』ムクッ……バフッ…スヤスヤ


男『………』

男『………』

男『………』チラッ


男『……(もう、ぐっすり寝たかな)』ドキドキ


男『………』ソーーーッ、…ピラッ

男『……(パンツ…水色かぁ…)』ドキドキ

男『……(うわぁ、お尻柔らかい)』サワサワ


幼馴染『ん…んん…』ゴロンッ

男『はぅあっ』ビクゥッ!


男『……(寝返りうっただけか…)』ドキドキ

男『……(仰向けになったな)』ソーーーッ

男『……(おっぱい、小っちぇえ…)』ナデナデ

男『……(でも、ちょっとだけ柔らかいかも──)』フニフニ


… … … … …


男「──そんな事もありましたっけ…」

弟「微笑ましいけど、犯罪だね」

少年(いいなぁ…)フンス


男「それに窓を渡って来る時や帰る時、無防備に覗くパンツをしっかり見ていたものです」

弟「それっていつ位まで?」

男「あいつが引っ越す、高校の時まで」

少年(いいなぁ…)フンスフンス


男「ただひとつ誤算だったのは」

弟「うん?」

男「…あの時『ちょっとだけ』と思った柔らかさが、今もさほど変わらない事です」フッ…

弟「oh…」

少年(そこはちょっと…)ウーン


男「…で、弟。お前は幼友ちゃんと、なにかネタになるような話は?」

弟「うーん…情けなくも、あんまり無いんだ」


少年「お二人はもう付き合ってるんですか?」

弟「いや、まだハッキリとはそうなってないよ」

男「でも最近、割と毎週出かけるよな」

弟「うん、教習所とかにもついてきてくれたり」


少年「教習所、通い始めたんですね」

弟「もうすぐ仮免許試験だよ。緊張するけど、そんなに難しくはないかな」


男「あの魅惑のカラダの持ち主だ、直接的なのは無くても何かエピソードあるんじゃ?」

弟「そうだなぁ…こないだ『新しい水着買った』ってメッセージがきて、部屋で着た写真を何カットか送ってくれたんだ」

男「なん…だと…」ワナワナ

少年(期待)ドキドキ


弟「…んで、その後のメッセージで『使っていいよ』って」デレデレ

男「活用してるのか」

弟「絶賛フル稼動中」キリッ


男「…弟」ニコッ

弟「見せないけど」

少年「えっ」

男「弟ォオオォォォッ!!!」ビキビキ


男「ちなみに幼馴染の水着もヤバイ」

少年「ほほう」

弟「どういう風に?」


男「スク水っぽいやつだと大丈夫なはずなんだけど、体型とあいまってあまりに幼く見えるから、あいつそういうの着ないんだ…」

少年「じゃあビキニタイプとか」

男「一昨年にプール行った時はそうでした」


少年「それで、どうヤバイんです?」

弟(少年君、食いつくなぁ)

男「細身で鎖骨がくっきりしてるから、前に屈むとトップスに思いっきり隙間が」

少年「おお…」

弟「それは気が気じゃない」


弟「少年君、島では夏によく泳いだんじゃない?」

少年「はい、しょっちゅうでした」


男「まあ小学生は学校の水着なのでしょう」

少年「いや、それが…」

男&弟「…それが?」ピクッ


少年「外で遊んだそのまま海に入ったりするから、Tシャツと短パンの事が多くて」

男&弟「ほほう」

少年「しかも、少女…まだブラジャーしてないから…」モジモジ


男「ぴったぴたの透っけ透けですか」ケラケラ

弟「そりゃ同年代ならガン見だね」

少年「ガン見はしないですよ、その…横目で…」アセアセッ


………



幼馴染「──ふぅ…お風呂、先にお借りしました」ゴシゴシ


幼友「あ、服は大丈夫だった?」

幼馴染「あの…もう少しタイトなシャツは無いでしょうか」モジモジ

幼友「うわ、ショック」ガーン

幼馴染「ご、ごめんなさい」


幼友「ん? 幼馴染ちゃん爪先のとこどうしたの?」

幼馴染「えっ、なにか…」ペコッ

幼友「あははっ、嘘だよー。ささやかなお胸が丸見えですなー!」

幼馴染「ちょ! ささやかとか言うなっ!!」バッ


………



弟「…で、兄ちゃん。もったいぶってないでさ」

男「お?」

弟「この中で唯一、女性を隅々まで知ってる…その体験談をはよ!」

少年(はよ!)


男「おう…でも、さすがにそれは少年君には…」

弟「ちなみに僕が小六の頃には、既に後背位と騎乗位とどっちが魅力的か考えてたよ?」

男「そりゃお前だからかもしれないし…少年君、そこらへんは?」


少年「相手のプロポーションにもよると思いますが、個人的にはやっぱり正常位が攻守共に優れている気がします」

男「俺、少年君の事を誤解してたかもしれません」

弟「立派な同類だね」


男「まず、情けない事を告白するのですが…俺、早撃ちには自信があるんだ…」フッ

少年「oh…」

弟「兄ちゃん、涙拭けよ」

男「だから、とりあえず──」


幼馴染『──今日はどっちでフライングしますか』

男『フライングとか言うな』

幼馴染『では、痛かったら言って下さい──』


男「──という感じの第一段階が」

弟&少年「おおぉおぉぉぉ…」ドキドキ

男「それをこなす事で、少し長持ちになります」


弟「それからそれから?」

少年(わっふるわっふる)

男「まあまあ、そう先を焦らずに。そこから、今度は攻守交代です──」


………



幼馴染「……っ…」ブルッ

幼友「どしたの?」


幼馴染「なんとなく今、ぞわっとしました」

幼友「なんだそれ」

幼馴染「耳たぶ噛まれた感じ…?」


幼友「幼馴染ちゃん、弱いんだってねー」クスクス

幼馴染「や、やかましいっ」


幼友「…こうやって部屋に幼馴染ちゃん呼ぶのも、今後はちょっと難しくなるかなー」

幼馴染「何故でしょうか」

幼友「んー、ちょっと…ね」


幼馴染「はっ…まさか!」

幼友「え?」

幼馴染「弟君と愉しむためのあんなものやこんなものを揃える予定とか…!?」フンスフンス


幼友「ええと、それゲーム機とかトランプとかって意味に捉えとくね」

幼馴染「それでは『楽しむ』になってしまいます」

幼友「話してるだけなのに字が頭に浮かんだよ」


幼友「実は近々、この部屋に親戚の娘が同居する事になっちゃったんだー」

幼馴染「親戚?」

幼友「うん。昔は近くに住んでたけど、親の転勤で大阪に行ってた従妹なの」


幼馴染「従妹ですか、初耳です」

幼友「幼馴染ちゃんと知り合った高校の時には、もう地元にいなかったからね。今度またお父さんが転勤で帰ってくるんだって」

幼馴染「なぜこの部屋に?」

幼友「その娘…『従妹ちゃん』っていうんだけど、小さい頃にお母さんを亡くしててね」

幼馴染「それはそれは…」


幼友「最初はウチの実家で従妹ちゃんを預かる事になりかけてたんだけど、ウチってお兄もいるしね」

幼馴染「お兄さんは社会人だった気がします」

幼友「うん、そうはいってもまだ二十代前半だし、さすがに中学二年の女の子が同居するとなると難しい面もあるし…」


幼馴染「それでこの部屋に?」

幼友「そうなの、昔は仲良かっただろう…って」


幼馴染「昔というのは、どのくらいの頃の話なのでしょう」

幼友「その娘が六つか七つくらいの頃かな」

幼馴染「それはまた遠い…中学生にもなると大きく変わっているかもしれません」


幼友「まあ、今でも年に一度くらいは会うし、そう抵抗は無いんだけどね…」

幼馴染「ちょっと大変そうです」

幼友「でもそうしてあげればお父さんが借りるのはワンルームですむし、仕方ないかなって」

幼馴染「なるほど…」


幼馴染「幼友、なにか手伝いが必要な時は声を掛けて下さい」

幼友「うん、ありがと……もつべきは親友だね」ウルッ

幼馴染「手伝い一日当たり、ケーキバイキング1回で手をうちましょう」

幼友「前言撤回、このエコ評価マイナスの軽自動車め」


幼馴染「ふわわ…眠くなってきました」

幼友「そろそろ灯り消そっか」

幼馴染「食パン買ってきてあるので、明日の朝はフレンチトーストでも焼きます」

幼友「見返りを求められないんだったら、頂きますよーだ」クスクス


幼馴染「では、おやすみなさい…」

幼友「おやすみー」


……………
………


…翌日、昼頃


男「うえぇ…眠い…」フラフラ

弟「寝たの何時くらいだっけ…」ヨロヨロ

少年「確か午前4時近かったような…」ボーッ


…ガチャッ


幼馴染「おはようございます」

男「うぉ、俺だけじゃないんだから勝手に開けないで下さい」

幼馴染「朝から雨もあがりましたし、幼友もバスで近くまで来る事になっています」


男「じゃあ、例によって釣りでも行きますか。少年君、少女ちゃんが渡船で出て来られるか訊いて下さい」

少年「はい」


弟「しかし…」

男「うん」

少年「…どうしても」


幼馴染「……どうかしましたか?」

三人「い、いや…別に」アセッ


男(幼友ちゃんの水着姿かぁ…)

弟(…少女ちゃん、いつ少年君に『その先』をOKするんだろ)

少年(この幼馴染さんが…)


三人(…たぶん、今日は釣りが手につかないな──)



【下ネタ談義閑話おわり】


幼馴染「おはようございます」

男「今はまだ五時です、昨夜ちょっと飲み過ぎたので俺はまだ眠いです」

幼馴染「そんなの知った事じゃありません、ふだん貴方は有無を言わせず私を起こします」


男「して、何用でしょうか」

幼馴染「未練がましくしがみついたタオルケットを離したら教えましょう」

男「嫌だと言ったら?」

幼馴染「実力行使あるのみ」


男「嫌だ」

幼馴染「いい度胸です」


………



幼馴染「改めておはようございます」ツヤツヤ

男「おはようございます」ツヤツヤ


幼馴染「実は昨夜、幼友から『海に連れていけ』とのメッセージが」

男「幼友ちゃん、そんな図々しく命令するでしょうか」

幼馴染「要約したまでです」


男「要約しない場合は?」

幼馴染「『従妹が夏休みの間に一度は海に行きたいと言ってるんだけど。もし都合が良ければ、来週あたりでも連れて行って貰えませんか? って、男さんに訊いてくれないかな。明日も土曜日だけど、いきなり過ぎるだろうから…』です」

男「相当ニュアンスが違います」

幼馴染「私も行きたいのです」

男「つまり『海に連れて行け』は、幼馴染の台詞ですね」


男「しかし従妹ちゃんが同居する話はチラッと聞きましたが、初対面という事になります」

幼馴染「私も会った事はありません」

男「まあそれは問題ではないでしょうが、俺は今朝まだちょっと酒が残っています」

幼馴染「それは困りました──」


──バァンッ!

弟「どうやら、僕の出番みたいだね!」


男「おお、そこに見えるは免許取得を果たしたマイブラザー」

幼馴染「随分とタイミングよく現れました」

弟「フッ、決して朝っぱらから二人がテイテイしてるのを盗み聞きしてたんじゃないぜ…」


男「釣りロマンを求めて」幼馴染「夏のビーチ時々釣り編です」

.


ブロロロロロロロ…


男「ちょっと心配だな、安全運転でいけよ」

弟「大丈夫、怖くてこれ以上飛ばせないから」

幼馴染「ぜんぜん大丈夫じゃありません」


弟「ちょびっと細いけど、ここを抜けた方が…」カッチ、コッチ、カッチ…

男「…裏道か、随分と幼友ちゃんのアパートに行き慣れたもんだな」

弟「ん、免許取ってからコペンで何度かね」ブロロロ…

幼馴染「順調に距離を縮めているようで何よりです」ニヤニヤ


男「じゃあ弟は、その従妹ちゃんとは面識が?」

弟「うん、何度か」

幼馴染「ほほう、ではすっかり仲良くなっているのでしょう」


弟「えーと…仲良くない事はないけど、割とズバッとものを言う娘だよ」

男「ふーん?」

弟「しかも変な関西弁で」

幼馴染「そういえば数年間は大阪に住んでいたとか」

弟「そうなんだ、だからこっちの喋り方と混ざっちゃってて」


男「お、アパート見えてきた。もう表にいるみたいです──」


ガチャッ…


幼友「おっはよーぅ! なんか早速お付き合い頂いてごめんなさい」ポヨーン

男&弟「おはよおっぱい!」

幼馴染「おはようございます、そちらが噂の従妹ちゃんですね」


従妹「おはよー、弟っち! ええ天気で良かったなぁ!」タユンッ


男「おはよおっぱ──」ハッ

弟「ごめん兄ちゃん、言い忘れてた。さすが幼友ちゃんのイトコなんだよね…」

男「くっ…さすがに中学生のおっぱいをガン見はできねぇ…! だがしかしっ!」

幼馴染「………」フルフルフル…

現在のレス数的にスレを跨ぐ事は必至と思われ
焦らずいきます

ポイッと


従妹「なんや、ウチのおっぱい気になるんかー?」ニヤニヤ

男「なりません、平常心ヘージョーシン」


幼友「もう…従妹ちゃん、男さんを困らせないの」

従妹「あはは、ごめんて。今日はおおきにな、海連れてってくれはるんやろ?」

男「あんまり大人をからかうようなら考え直しますが」

従妹「堪忍やて、ヨロシク頼むで! 男っち!」ニコッ


幼馴染「…確かに変な関西弁です」ボソッ

従妹「あ、なんかゆーた?」ジトー

弟「まあまあ、日本海側まで行くんでしょ? 早く出発するよー」ズキュキュキュッ…


………



従妹「弟っち、こない大きい車の運転大丈夫なんかー?」

弟「けっこう緊張してる」

男「ゆっくりでいいから本当に気をつけて、午後には交代するから」


幼友「ナビの画面は私見るから、運転に集中しててね」

弟「あーい」


従妹「にひひー、二人の共同作業ってやつやなー」クスクス

幼友「だからあんまり大人をからかわないのってば!」アセッ

弟「やめて、まじで運転を誤るから」ドキドキ


幼馴染「従妹ちゃんは実際どのくらい大阪で暮らしていたのでしょう」

従妹「えっとー、七年…かなー? 人生のちょうど半分ってとこやな」

男「逆に半分はこの地元にいたと思えば、言葉遣いがハーフになるのも無理ありません」


従妹「あんまり言わんといてよぅ、けっこう向こうじゃ馬鹿にされたんやで」ムスー

幼馴染「それはすみません」

男「ここでは似非関西弁もはっきりは判りませんので、ご心配なく」


従妹「……二人はなんで敬語遣いなん?」

男「昔ちょっとふざけて使い始めたのが癖になっただけです」

幼馴染「お気になさらず」


従妹「ふーん…なんか二人だけのヒミツみたいでやらしいなぁ、そん時の話とか聞かせてくれてもええのに」

男「…まあ」

幼馴染「それは次の機会に…という事で」


ブロロロロロロッ…


弟「田舎道に入って走りやすくなったよ」ホッ…

幼友「ここからなら私でも運転交代するからね」

幼馴染「そういえば幼友も普通車MT免許を持っていました」


従妹「弟っち、駐車場の広いコンビニあるで」

弟「寄れって事だね」ガコッ、ヴオオオォォォン…カッチ、コッチ…

幼馴染「まだまだ長旅なので、飲み物くらいは欲しいところ」

男「今日は俺に昨夜からの心づもりがなかったので、クーラーボックスも空っぽです」


幼友「店の前の駐車枠はいっぱいだね」

従妹「あっちの広い方、けっこう空いとるみたいやで」

弟「…前進駐車でいい?」

男「甘ったれるな」


………



幼馴染「私はミルクティーで」ヒョイ

男「はい」スッ

幼馴染「頂きます」


幼友「………」


従妹「弟っち、アイス食べたい!」

弟「えー、午前中から?」


幼馴染「おお、では私も便乗して」ウキウキ

男「ハーゲンのクラスは奢りません」

幼馴染「しろくまでいいです、しろくまがいいです」ゴソゴソ

男「まあ、いいでしょう…」


幼友「………」


弟「幼友ちゃんは?」

幼友「えっ、い…いいよ私は」ドキッ

弟「…アイスくらい、従妹ちゃんのと幼友ちゃんのは僕が出すよ」クスッ


幼友(あぅ…羨ましそうな顔しちゃったかな…)アセアセ

幼馴染「………」

弟「いいの?」

幼友「うん」


幼馴染「…幼友」チョイチョイ

幼友「ん、どしたの…?」

幼馴染(そのくらい、甘えてあげた方がいいです)ゴニョゴニョ

幼友(うっ…そ、そうかなぁ…)ボソボソ


幼友「じゃあ…あの…やっぱり私も…」モジモジ

弟「…うん、好きなの選んで」ニコッ


幼馴染「やれやれ、幼友も不器用です。オトコはちょっとくらい女性に奢ってあげたいものでしょう」フフン

男「……ちょっとくらいならな」ジロ

幼馴染「うっ」


弟「どのアイスにする?」

幼友「えっと…どうしよ」モジモジ

従妹「早くー、選んだのが溶けてまうやんかー」


幼友「うぅ…じゃあ、こっちの!」カランッ


幼馴染「…幼友、それって」

男「アイスと名はつきますが、スミノフアイスはお酒です」

幼友「だ…だめ…かな?」テヘッ

弟「いいけど、さっきの運転交代可能宣言はなんだったんだろう…」

すんません、幼友のつもりです

>>1新キャラでたみたいだけど掛け声は決まってるの?

水中釣りやって欲しいな
身餌でゴロタの上を泳ぎながらカサゴ狙い
この時期にはサイコーよ?

>>920
決まってます
すんませんが、無理をするより「た行」縛りを解いてシンプルにいきます

>>922
ビンゴ

>>923
好きな貧乳女優、好きな巨乳女優、自分に似ていると思う俳優、その俳優よりちょっとイケてないけど演技力のある俳優を、それぞれ挙げてください。
思い浮かんだ人が、あなたが理想とする壁馴染・乳友・男・弟のキャスティングです。

>>925
絵なんか描いといてアレだけど、キャラの容姿を人格をもつ三次元のタレントで
固定化しない方がいいかなーと思ってます
お好きなタレントさんやキャラクターを各自であてはめてどうぞ

あんなの書けないよ


………



従妹「結局、幼友ちゃんもしろくまにしたんやなー」

幼友「ん、お酒にしようとしたのはノリだよ」

弟「別に構わなかったけどね」

男「弟、次を左の国道側へ行ってくれ」

弟「ぶらじゃー」


ブロロロロロ…


幼馴染「たまには後席も良いものです」

男「全くです。弟がもう少し運転に慣れたら、遠出しながら後ろで酒も飲める」
クックックッ

従妹「男っちは真ん中で両手に花やから、なおさらやん?」クスクス

男「言いますね、中学生」


弟「そのうち幼友ちゃんも後ろに座って、車内宴会かな?」

幼友「…さっき、お酒を手にとったあと思ったんだ。私は弟君が運転してる時はやめとく事にする」


幼馴染「おや?」

幼友「やっぱり、ちゃんと運転交代できる体制でいたいしね」

幼馴染「おやおや?」


幼友「弟君がドライバーなら、ナビは私じゃなきゃ…でしょ?」

弟「ちょっと感動」ジーン…


幼馴染(幼友が乙女な事を言ってます)ヒソヒソ

男(いい傾向です)ヒソヒソ

従妹「いい傾向て…弟っちが部屋に来る日の朝なんか、こんなもんやないで?」

幼友「ちょ!?」ドキィッ


幼馴染「詳しく」

弟「詳しく」

男「悔しく」


従妹「えっとな、この間は──」


『従妹ちゃん、髪…後ろおかしくないかな』

『あー? いつも通りやでー?』


『服どう? これ初めて着るんだけど…』

『なんも出かけるわけやないのに、サラの服なんかおろさんでもええやん』


『ちょっと! どいて、従妹ちゃん!』ブイイィィィィン…

『もー、掃除機二回目やんか!』


幼友「やめて、従妹ちゃん! ストップ!」

幼馴染「まあまあ」ププッ

弟「ヤバイ、超ニヤけるんだけど」


従妹「せえからなー、来る直前にはシャワーの浴びて下g──」
幼友「うわああああああぁあぁぁぁっ!!! 追い出すっ! それ以上言ったら部屋に居させないから!!」


幼馴染(あとで続きを)ヒソヒソ

従妹(ええで)ヒソヒソ

幼友「作り話だからっ! 全部っ!」

弟「うん、わかったー」ニヤニヤ


幼馴染「ところで、今日は海へ遊びにいく事が目的ですが」

男「ですが?」

幼馴染「つまり海水浴と捉えて良いのでしょうか」

男「行く先の海は、砂浜半分その脇に岩場半分なマイナー海水浴場です」


幼友「多分に釣りの匂いがするね」

弟「どっちもできるってやつだね」

従妹「ウチ、釣りは初めてやで」


男「お察しの通り両方できます。そして同時にできます」

幼馴染「同時に…?」

男「お楽しみに」


……………
………



従妹「着いたー! うわ、日本海綺麗やん!」

幼友「ふふん…日本海は干満の潮位差が少なく、底の砂泥が海中に巻き上げられ難いから水が透明なのだよ」フンス

従妹「絶対受け売りやろ、それ」

幼友「うぐっ」


男「俺はキャンプ場のサイトを手続きしてくるので、みんな着替えを。弟は浮き輪なんかを膨らませて」

四人「はーい」


………



従妹「着替えたで! はよ海いこ、はよ!」プルーン、ポヨーン


男(くっ…サイドテールヘアのスク水JCがぷるんぷるんだとっ…!?)ヒソヒソ

弟(兄ちゃん、素直になろうよ…目がいくものはいくんだよ…)ヒソヒソ


従妹「あーあ、来年は水着買ってもらわんとなぁ…大阪じゃ海とか行かへんかったから」


男(違う! 俺は『スク水もいいじゃないか』なんて思ってねぇっ!)ヒソヒソ

弟(スク水でいいんじゃないかなー)ヒソヒソ


幼友「お待たせ、何か持つものありますか?」ユサッ


弟(やばい兄ちゃん。僕、このままだと直立し過ぎて直立できない)ヒソヒソ

男(海に浸かるまで目をやるな! オフクロの入浴シーンを考えるんだ!)ヒソヒソ


幼友「この水着、弟君には試着した時の写真見せたでしょ?」テレテレ


男(それが『使っていいよ』の写真か…)ヒソヒソ

弟(うん、そう。絶賛フル活用中)ヒソヒソ


幼馴染「お待たせしました」ペッターン


男「………」

弟「………」


幼馴染「何か言え」


弟「身軽そうだね」ニッコリ

男「じゃあ嵩張るけど軽い銀マットなんかを中心に荷物を持って下さい」

幼馴染「てーい」ドスドスッ

男&弟「ぐっ」


………



幼友「すごい、砂が細かくて気持ちいい!」タユーン

幼馴染「入り江だから波も穏やかです」


従妹「もう海いってええの?」

男「どうぞ、俺と弟はタープを張ったりしてからいきます」

弟「あんまり遠くにいかないようにね、浮き輪いる?」

従妹「まだ水浴びるだけやさかい、あとでええ! いってきます!」プルーン


男「幼馴染たちも、いってらっしゃい」

幼馴染「では遠慮なく、浮き輪をひとつ借ります」

男「深場でスポッと抜け落ちないように」

幼馴染「引っ掛かりがないとでもいいたいか」


弟「じゃあ、あとでね」

幼友「手伝わなくていい?」


弟「うん、すぐだから…ナンパされないようにね」

幼友「相手にしない、でもしつこかったら助けにきてね?」

弟「だいじょうぶ、絶対助けにいくよ」


幼友「相手がどんな強面でも?」

弟「任せて、怖そうだったら『誰かあああぁぁっ!』って叫ぶから」

幼友「あははっ、どんな方法でもいいよ」クスクス


男「弟、フレーム広げるぞ」カチャッ

弟「あーい」


男「はい、もうちょい……おっけー、脚をロックしてくれ」カチャッ、パチン

弟「………」ソワソワ

男「おーい? フレームの脚ロックしろってば」

弟「あっ、う…うん」スチャッ…パチンッ


男「よーし、それじゃ…」

弟「脚、伸ばすよ」シャコンッ

男「ばかやろ、脚延ばすのは幌張ってからだ。手が届かないだろ」

弟「あれ…そうだよね、ごめん」カチャカチャ


男「………」


弟「………」キョロキョロ


男「…お前、さっきは調子いいこと言ってたけど、幼友ちゃんがナンパされるの心配なんだろ」

弟「あぅ」

男「まあ解らないでもないけどな、どう考えても惹きつけるモノ持ってるし」

弟「正直、気が気じゃないね…初めてだよ、こんな心境」


男「つまりお前の意識の中じゃ、すっかり幼友ちゃんを自分の保護下に置いてるってことだ」

弟「そうなのかな」

男「だから手の届かないところにやるのが不安なんだろ、いっちょまえになりやがって」ニヤリ

弟「てへへ」ポリポリ


男「その感覚をもちはじめて日も浅いだろうしな、気持ちは解るよ」

弟「…そのうち慣れるのかな」

男「慣れたからって油断しすぎは♂失格だけどな」


弟「うん、でももうちょっとは兄ちゃんみたいな余裕が欲しいよ」

男「今は仕方ないって。心配なら、それこそ早く終わらせて行くのが一番だぞ」フフン

弟「そうだね、タープの幌張っちゃおう」バサッ


男「被せるぞ? そーっといけよ、角に引っ掛かったまま引っ張ったら破れる」シュルルッ

弟「あーい」シュルシュル

男「もうちょいズレてる……よし…こんなもんか、ヒモ結ぼう」ゴソゴソ…キュッ


弟(……それでも気になっちゃうんだよねー)キョロキョロ


弟(幼友ちゃん……あ、いた。よかった従妹ちゃんと二人だけだ)ホッ…


男「結べたかー?」ゴソゴソ、ギュッ

弟「もうちょい」ギュッ


弟(ん…? じゃあ幼馴染ちゃんは?)キョロキョロ

弟(ああ…浮き輪に座ってプカプカ漂ってるのか。…あれ? でも──)


弟「──兄ちゃん」

男「うん?」

弟「幼馴染ちゃん、後ろ向きで気づいてないっぽいけど…」

男「何が?」


弟「…あれ、水上バイクの航行エリアに近付いてない?」


男「!!」バッ!…ダダダッ


弟「兄ちゃーん、一応エリア区切りのマーカーブイはあるみたいだよー」

弟「……油断しすぎは♂失格だってさ」クスクス



男(あのバカ、絶対気づいてねえっ!)タッタッタッ

男(くっそ…水上バイクけっこういやがる…)ザブザブ


男「おーい! 幼馴染! こっち帰ってこいバカ!」フリフリフリ

男「………」ハア…ハア…

男「シット! 手を振り返してんじゃねえよっ!」ザブーン


………



幼馴染(うーん、じりじりと照る日差し…でも日焼け止めはばっちり)チャプチャプ

幼馴染(熱される上半身や膝まわりと、水に浸かってひんやりなお尻あたりのギャップが心地よいです)

幼馴染(空は真っ青、波は穏やか)


幼馴染「ふわわ…」


幼馴染(小さく波に揺られながら眠くなってきます…)

幼馴染(それにしても男、あんなに大きく手を振ってアピールするとか)


幼馴染「よっぽど私がナンパされるのが心配なようです」フフリ


幼馴染「…おや?」プカプカ


幼馴染(男がタープの用意そっちのけでこっちへ向かっています)

幼馴染(もう…心配症なんだからっ)テレテレ…

幼馴染(でもちょっと沖まで流されすぎたでしょうか)


男「~~~~!!」


幼馴染(何か言ってるようですが、ぜんぜん聞こえません──)

──ニュルンッ

幼馴染「ひゃっ!?」ビクゥッ

幼馴染(な…なにかお尻を撫でた…)


幼馴染「……ん? ロープ…でしょうか」


幼馴染(ロープが張られて、ところどころブイが浮かんでます)

幼馴染(いけない、浮き輪に座った格好で、下に足を降ろしてなかったから)

幼馴染(なにかの境界を越えてしまったようです)キョロキョロ


──ヴァオオオオオォォォンッ


幼馴染「ん…何の音…」クルッ

バッシャアアアァアァァッ…

幼馴染「ぷわあぁあぁっ!?」ザッパーン


幼馴染(う…水上バイクのエリアだったんだ…!)ブクブク

幼馴染(浮き輪、ひっくり返っちゃった…どこにあるのか見えない…!!)ゴボゴボ

幼馴染(早く…浮き上がらなきゃ…!)ジタバタ

幼馴染(…くっ…ひっくり返る時に大声出したから…息吸ってない…苦し…)ザバァッ


幼馴染「はあ…はぁ……浮き輪…っ!?」プハッ


幼馴染(遠い…! 弾きとんだんだ……)バシャバシャ

幼馴染(しまった…体力が……)ブクブク…


──ムギュッ

幼馴染「ひゃぁっ!?」ビクンッ!


幼馴染「やっ…!? 何…お尻掴まれ…!」ジタバタ

幼馴染「…あれ? 浮いてる?」


ザバァッ…!


男「ごるあああああぁあぁぁぁっ!!!」プハーッ

幼馴染「きゃあああぁぁっ!?」ドキィッ


男「周りも見ずに遠くまで行くんじゃねえっ!!」ポカッ

幼馴染「痛っ! …ごめんなさい」

男「まったく…肩をもっておいて下さい。浮き輪をとりにいきます」

幼馴染「…ぁぃ」


男「ほら、ちゃんと浮き輪の中に入って」ヒョイ

幼馴染「ん…」スポッ

男「よし、じゃあ俺は後ろにつかまってバタ足で押します。ゆっくり浜に戻りましょう」バシャバシャ


幼馴染「……男」

男「おー、幼友ちゃん達が戻って、タープ張りを手伝ってくれてるようです」バシャバシャバシャ

幼馴染「あの、男…」

男「よせやい、助けにきたからって惚れ直したか」フフン、バシャバシャ

幼馴染「男…船外機みたい」

男「どうやらこの板は水に沈んでみたいらしいな」ビキビキ

新スレ立てましたー
次もまったりよろしくです

男「釣りロマンを求めて」幼馴染「四投目です」
男「釣りロマンを求めて」幼馴染「四投目です」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1411043496/)


自ブログ内になりますが、ここまでのネタバレ含むキャラ設定覚書ページを作ってます
http://garakutasyobunjo.blog.fc2.com/blog-entry-41.html

そろそろ埋める

新スレで

ちょいと安価釣り大会を

やるので

よろしくー

従妹の

掛け声は

やーあ

にするよ

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