P「いいじゃないか、減るもんじゃあるまいし」
時子「減るわよ、命がね」
P「おっぱい揉まれただけで死ぬなんて、時子はデリケートだなぁ」
時子「減るのはあんたの命よ」
P「おっぱい揉んだら快楽で死ぬのか、それもありかな」
時子「ないわよ」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1410558272
P「時子的には俺に死んでほしくないってことか」
時子「あんたが存在してほしくない的な感じよ」
P「時子は手厳しいなあ」
時子「豚が調子こくからよ。おとなしく従順になるんだったら可愛がってあげるわ、たっぷりとね」
P「いやー、もうお腹いっぱいです。あれで」
時子「まだまだ、あんなもんじゃないわよ。きっとあなたも気に入るわ、あの世界に。だから私に委ねなさい。そして、堕ちなさい」
P「時子は分かりやすいなあ。そんな言いまわししないではっきり言えばいいのに、よこせって」
時子「……」
P「ま、時子が俺を思い通りに操れるようなるか、時子が諦めて俺に従順になったら時子にあげることにするよ」
P「それはさておき今日も大きな仕事をとってきたんだ。時子の大好きな三浦あずささんと豊川風花さんと大沼くるみちゃんとの夢の共演だぞー」
時子「……」プルプル
P「ん?嬉しくないのか? まあ、いいか、さっさと向かおう」
時子(この男…いつか[ピーーー]…!)
~約1か月前~
時子「豚がぁ~、何度言ったらわかるの? このあたしをあんな馬鹿みたいな番組に出すなって言ってるでしょうが」
P「すいません、時子様。ですが、時子様があの手のバラエティに出た時の視聴率は大変良くてですね…」
時子「お黙りなさい!」ビシィ!
P「ぶひぃっ!」
時子「豚は豚らしく豚のように私の命令を忠実にこなしていればいいのよ。あんたの意見なんて求めてないわ。分かったら、さっさと私に相応しい仕事をとってきなさい」
P「……」
時子「なあに?その目は? 私に不満があるの?」
時子「それなら…罰を与えなきゃ…ねえ!」ヒュン!
ガシッ
時子「なっ…!」
P「…ま、こんなところか。あー、痛かった」
時子「…何? どういうつもりよ?」
P「いや、痛かったから」
時子「まだ躾が足りなかったかしら」
P「いいや、もう十分だよ。俺にとっても時子にとってもな」
時子「あんたにとって? それはつまり私への従順を誓う、という解釈でいいのかしら?」
P「いいや、材料は十分集めたって意味だよ」
時子「…材料? …くっくっく、あんたまさか」
P「ああ、そうだ。そのまさかだよ」
時子「アーッハッハッハ!! このあたしを脅そうっていうの? 全く傑作ね!」
P「そーだなー、でも、これからもっと面白い生活が始まるんだぞー」
時子「くっくっ、あんたの目論見なんて全てお見通しよ。どうせ、そのテレビの横にあるぬいぐるみの中にあるCCDカメラが頼りなんでしょう?」
時子「だけど残念。あたし見ちゃったのよね、あんたがぬいぐるみの中のカメラをいじって映像確認してるところを」
P「さーて、今日も綺麗に取れてるかなー」
時子「豚が小さい脳みそを使って頑張ったみたいだけど、そのカメラのデータはあんたが帰る前に毎回消去し…ちょっと」
P「なんだ?」
時子「あんたが持ってるの何?」
P「何ってCCDカメラだけど?」
時子「どこから持ってきたの?」
P「社訓のポスターの裏から」
時子「ぬいぐるみの中にあるじゃない」
P「え、あれはダミーだけど」
時子「え」
P「え」
時子「……」
P「え、まさか時子様ともあろうものが、カメラがあれ一台だけだと思ってたんですか!?」
時子「……」
P「そんでもって、あの時わざと時子様に気付かれるようにカメラを確認、というか取り出してただけですけど、それにも気づいてなかったんですか!?」
時子「……ふん!」ビシィ!!「ふん!」バキィ!
P「ああっ! カメラが!」
時子「豚が、立場をわきまえなさい。この私はあんたごときが図に乗っていい相手じゃ」
P「しゃーねえ、もう一つのよく取れてる方を取ってくるか」
時子「」
あずさ「私はですね~、お散歩するのが好きでして」
くるみ「ふぇぇっ…一人でお散歩なんてしたらくるみ…」
風花「いいですねえ、私もお散歩はよくしますよ~」
時子「……」イライラ
時子(ほんっっっっっっといらいらするわ、この会話! さっきから似たような会話をいつまで続けてんのよ! これだから、脳に行く栄養が胸に行ってる馬鹿どもは…!)
くるみ「あ、あの…と、時子しゃんは…」
時子「ああん!?」
くるみ「ふぇぇぇぇっ!!! な、なんで怒ってるんでしゅか!」
時子「別に怒ってないけどぉ…?」ニヤリ
くるみ「ひぃぃぃん! やっぱり、おこってましゅ!」
P「さすがにくるみが可哀想だったから謝ってきた」
時子「あっそ」
P「まあ、CuPのやつも、こうなることを想定して取ってきた仕事だし、くるみもそこまでダメージを負ってないからいいって言ってたよ」
P「まあ、番組のディレクターさんがかなり喜んでたからそれもあるんだろうけど」
時子「だからなに?」
P「なーに、怒ってるんだよう時子。今回もかなり評判良かったってのに」
時子「別に怒ってないわよ」
P「ならもう一仕事いけるな、さぁグラビア撮影の時間だぞー」
~~~
P「お、良く撮れてるなー。うわ、俺こんなん喰らってたのか、痛そー」
時子「…豚、その映像をどうするつもりよ」
P「んー、豚って誰のことだ? ちゃんと、名前で呼んでくれないと」
時子「ふん、そんなもの一つで舞い上がるような豚だったとわね。あんたには豚なりに光るものがあったから可愛がってきたのに」
時子「私を訴えるならお好きにどうぞ。でも脅されながらアイドルを続けるつもりはないわ。今日でこの事務所からいなくなることにするから」
時子「短い間だったけど、それなりに退屈はしなかったわ。じゃあね、哀れな豚君」
P「なにを言ってるんだ? 俺が時子を辞めさせるわけがないだろう」
時子「豚が何を一丁前のことをほざいてるのかしら。そんなのあたしの自由であって、あんたに決められることじゃないわ」
P「まあ、その通りだが、俺は時子を辞めさせるわけにはいかないんだ。トップアイドルにするまではな」
時子「あっそ、だからなに? それはあんたの勝手な妄想であって、私が一個人の考えで事務所を辞めることに何の関係もないはずよ」
P「誰も関係があるとは言ってないだろう。ただ、時子を辞めさせる気は無いってだけで」
時子「そ、なら、せいぜいそう思ってなさい。じゃ、社長に話をしてくるから」
P「……二日前の10時頃」
時子「……ああ?」
P「ちょうど一週間前の16時半、その二日前の正午過ぎもそうだったかな?」
時子「…何のことよ?」
P「またまた、頭の回転が早い時子様なら分かってるくせに」
時子「……」
P「この事務所に誰もいなかった時間だ。時子なら分かるだろう?」
P「だって、なあ、丁寧に記録まで…」ヒュン!
時子「それ以上喋ったら[ピーーー]わよ?」
P「ウェイウェイ、俺も怪我は作りたくない。ギブアンドテイクといこうじゃないか」
P「ま、内容は言わなくてもわかるだろ?」
時子(それからというもの、この豚は調子に乗って私を小馬鹿にしたような仕事ばかりを取ってきた)
時子(財前時子、一生の不覚ね。こんな豚になめられるなんて…まあ、いつか殺してやるわけだけど)
時子「それはそうと…」
P「ん?どうかしたか?」
時子「何で衣装が全部きぐるみなのよ!」
P「いや、その方が可愛いだろうなーって。わざわざ仁菜に時子に似合うきぐるみをリストアップしてもらったんだぞ? 今度お礼言っておけよ?」
時子「そう、じゃあ、あんたにも今度お礼参りしなきゃねえ」ギリギリ
P「よせやい、照れるぜ」
時子「場所はどこがいい? 薄暗いコンクリート打ちっぱなしの地下室とかどうかしら?」
P「できれば事務所がいいかな。人目につかないとはいえ、勘違いされるのは困る」
時子「あんた…まじで○すからね…?」
P「はいはい、そう言ってるけど、お前が俺をどうにかできた試しがあるか?」
P「それにな、俺は何も時子のことを面白がってこんな仕事を取ってきたわけじゃないんだ」
P「この仕事が時子にとって必ず良い方向に転がるはずだ! そう直感してこの仕事を選んだんだ」
時子「……」
P「だから、な? 安心して俺を楽しませてくれ(ゲス顔)」
時子「本音が口と顔からダダ漏れなんだよぉ!」ブチィ!
P「きゃー、時子さん怖い。あ、俺撮影者の方とかに挨拶してくるから、時間になったら着替えて来いよー」スタコラサッサ
時子「」ゲッソリ
P「さて、俺はそろそろ帰ろうかな。じゃー、お疲れっす、ちひろさん。自分、今日は早めに上がりたいんで」
ちひろ「はい、お疲れさまでした。事務処理はやっておくので、気をつけて帰ってくださいね」
P「ヒャッホウ!今日のちひろさんはまるで天使だ!サンキューチッヒ!」
ちひろ「何がチッヒよ…」
P「じゃーな、時子! また明日!」
時子「……」
時子「……」
ちひろ「さーて、Pさんが置いていったこの手土産片づけなきゃ」
時子「…ねえ」
ちひろ「なに? 時子ちゃん」
時子「ちゃんづけはやめてよ」
ちひろ「なら、Pさんの情報はあげられないわねー」
時子「! し、知ってるの?」
ちひろ「いつものキャラがぶれてるわよ。そんなに慌てなくても」
時子「はっ…、コホン、失礼。で、どこまで知ってるの?」
ちひろ「時子ちゃんがPさんをいじめていて、その様子をビデオカメラで撮ってたら偶然時子ちゃんの弱みを握って、Pさんが時子ちゃんを馬車馬のように働かせてるってとこまでは」
時子「…さてはあの豚」
ちひろ「あー、大丈夫よ。時子ちゃんの弱みを握ったのは知ってるけど、それが何なのかは知らないから」
時子「そう、ならいいわ」
ちひろ「そもそも、これはPさんに教えてもらったんじゃなく私が勝手に調べたことだからね」
時子「何で知ってるのよ…というか、所属アイドルが馬車馬のように働かされてるのを知ってるならどうにかしなさいよ」
ちひろ「あらあら、またも時子ちゃんらしからぬ発言。よっぽど弱ってるのね~」
時子「あなたに頼ってる時点で察しなさい。あなたはこの事務所で二番目に頼りたくない人物なんだから」
ちひろ「えー、ひどいなー。そんなこと言うとぷんぷん、ですよ」
時子「…あんたからはあいつと同じ匂いがするのよね」
ちひろ「私、匂いには気を使ってるんだけどなぁ」
時子「それは本性を現さない、って意味合いの解釈でいいのよね?」
ちひろ「うふふー、なんのことかしらー」
時子「…まあ、いいわ。とにかく、あいつのこと教えてよ。タダでとは言わないわ」
ちひろ「ん~、そうねえ、教えたら…」
時子「ドリンク1000本」
ちひろ「えー、私、別にそんなこと時子ちゃんに望ん…」
時子「毎月あいつに買わせる。誓約書を書かせるわ」
ちひろ「…うーん、そおねえ、ちょーっと弱いけど…」
ちひろ「まあいっか、妥協してあげましょう。もちろん、色をつけてもらうけど」
時子「色?」
ちひろ「簡単なオプションよお、さっき言ってた対価を私に与えられなかった場合のペナルティを私が決めさせてもらう。それが条件」
時子「内容を聞かせてもらおうかしら。まあ、しくじることは無いだろうけど」
ちひろ「それはね、『時子ちゃんの一番大事なものを私にくれる』でいいかしら?」
時子「いいわよ、別に」
ちひろ「あら、割とすんなり受け入れるのね」
時子「現時点で今一番大事にしてるものは、また手に入れることが出来るからね。むしろ、あなたにプレゼントするようなものよ」
ちひろ「契約成立、ではPさんのことを少しお話させていただきましょうか」
ちひろ「あの人はね、人の弱みは喜んで探す癖に自分の弱みはとことん見せない人なのよ」
ちひろ「ここに来る前は探偵やってたって言ってたわ。あまり良い思い出じゃないらしいけど」
ちひろ「ま、そこらへんの事情は私も詳しくは知らない。でも、探偵なんて名ばかりのハイエナに過ぎないとも言ってたわ」
ちひろ「依頼されるのは大体浮気調査か身辺調査。人それぞれの大義名分はあるのだけれど、Pさんはそんなことに興味無かった」
ちひろ「だから、依頼者がどうなろうが調査の対象がどうなろうが知ったことではない、と」
ちひろ「依頼された相手の弱みをネタに新しい仕事をとる、そんな日々を過ごしていた、って言ってたわ」
時子「それって…」
ちひろ「あ、もちろん法に触れるような真似はしてないって言ってた。あくまで次の商売を打診する、ビジネスしかしてないって」
ちひろ「まあ、でも、人の道からは大きく外れていたらしいわね。弱った相手につけこんだペテン師だった、と」
ちひろ「事務所に入りたての頃はその雰囲気を隠してはいたけど、完全に消し去れてはいなかったわ。まあ、気付いてたのは私だけだけど」
時子「類は友を呼ぶってやつね」
ちひろ「残念、私は人の道からは外れたことは一度もありませんから」
時子「あいつにあんな商売をしておいてよく言うわ」
ちひろ「Pさんは人間じゃなくて獣なのよ。隙を見せたらこちらがやられるわ」
時子「あんたは一体何と戦ってるのよ…」
ちひろ「そんなPさんも今やすっかり丸くなっちゃって、あの頃からは考えられないわ~」
時子「……」
ちひろ「本当よ。今のPさんはあの頃に比べたら、比較にならないほど澄んだ眼をしてる」
ちひろ「昔のあの人は猜疑心の塊みたいな人だったから」
ちひろ「表面では取り繕っていても、考えてることは想像もつかない。何か心の奥に悪しきものを秘めている、そんな印象を受けてたわ」
ちひろ「…きっと今も、少しは残ってるのかもね。たまに冷たい目をしてることがあるもの」
時子「…そんなこと気付きもしなかったわ」
ちひろ「そりゃそうよ、だって時子ちゃんの前ではPさんは本当に楽しんでるもの」
時子「そうね、死ぬほど楽しんでるわ」
ちひろ「そういう意味合いじゃないわよ。Pさんの目、時子ちゃんの話する時すっごく輝いているんだから」
ちひろ「他のアイドルでもそう。今のPさんは人生を楽しんでいるわ、きっと」
時子「…あんたには随分気を許してるのね、あいつは」
ちひろ「最初からそうだったわけではないわ。むしろ、警戒されていると言っていいほどにね」
時子「そりゃあ、あなただもの。あの手の人間が警戒しない方がおかしいわ」
ちひろ「そんなひどいこと言うんだったら、情報提供はこれで打ち止めかなー」
時子「悪かったわ、続けて」
ちひろ「まあ、Pさんのことを知るために払った代償も大きかったわ。相手の領域に踏み込もうとするんだから、私もデリケートなことを話したし」
時子「なんでそこまでするの? あなたは事務員であいつは同僚、それだけの関係じゃない」
ちひろ「Pさんがアイドルのメンタルケアをするのと同じよ。私も事務員なりに、あの人に気持ちよく働いてもらいたいだけです」
時子「…そう、とんだおせっかいなのね、あなたは」
ちひろ「Pさんにも言われたわ、その言葉。私は効率性を求めてるだけなのに」
時子「あいつに商売をけしかけるための?」
ちひろ「そ♪ よくわかってるじゃない」
時子「あほらし、聞いて損したわ。今の会話に得るものなんて何もないじゃない」
ちひろ「そうかしら? 私は大サービスしてあげたつもりなんだけど」
時子「……」
ちひろ「じゃあ、もう一言だけ。あのね、あの人はペテン師で悪知恵が働いてて性格はお世辞にも良いとは言えないけど」
ちひろ「人の弱みを見つけるのと同じくらい、人の良いところを見つけるのが上手なのよ」
P「みくー、頼むよー」
みく「い・や・にゃ! みくはCuPちゃんの管轄にゃ! これ以上みくのキャラをぶれさせるような仕事はきついのにゃ!」
P「もういいじゃん、みくのキャラはどう考えてもパッションだろ」
みく「だから、そういうこと言うからみくのキャラがぶれるのにゃー! そんなに言われてもみくは自分を曲げ…」
P「前川ぁ!」
みく「にゃにゃぁ! にゃ、にゃに…?」
P「…よしわかった、みくがそういう態度を取るんだっていうなら…」
みく「な、何をするというのにゃ…?」
P「みくが学校で標準語ぺらぺらどころか、こってこての関西弁で友達との会話にノリノリでツッコミ入れてることをカミングアウトする」
みく「」
みく「すいませんでした、ごめんなさい。どんな仕事でも受けますから許して下さい」
P「僕はみくにゃんを信じてました、だからみくにゃんのファンを辞めます」
みく「何で辞めるのにゃあ! それにそのことを誰から聞いたのにゃあ!」
P「さあ! 楽しい楽しい日本全国津々浦々七泊八日新鮮魚介類食べ放題のツアー番組の打ち合わせに向かうぞー!」ズルズル
みく「いやにゃあー!! CuPちゃん、助けてにゃあー!!!」バタン
時子「…あれ見逃がしていいの? 担当アイドルでしょ?」
CuP「大丈夫だよ、俺の了承は得てる。あんなこと言ってるけど、あいつはみくのことをしっかり考えた仕事しかとってきてないからな」
CuP「少なくとも、担当アイドル…ではないが、所属アイドルを泣かすような真似はする奴じゃない」
時子「割と号泣してたけど…」
CuP「それにしても時子ちゃんは雰囲気が変わったね。あいつのおかげかな?」
時子「…嫌でも変わるわよ、あんなやつと一緒にいれば」
CuP「そうやって、すぐ認めるところも。前だったら鞭が飛んできてたよ」
時子「お望みであれば飛ばしていいのよ?」
CuP「遠慮しておこう。それにしてもあいつの扱いに困ってるようだね。何か弱みを握られたのかい?」
時子「……」
CuP「あれれ、図星か。まあ、しょうがない、あいつに弱みを見せてないのは今のところいないだろうからな」
CuP「いや、ちひろさんは無事か」
時子「あんたも弱みを握られてるの?」
CuP「握られてるというのかは分からんがな。だが、あいつにその気があるなら俺を恐喝する武器にはなるよ」
時子「あいつがその気にならないだけ、ってわけね」
CuP「曲がりなりにも旧友だからな、あいつとは」
時子「そうなの?」
CuP「ああ、この世界に入ったのもあいつに誘われたのが理由さ」
時子「付き合いはいつから?」
CuP「おいおい、どうして俺があいつとの昔話を話さなきゃいけないんだ?」
時子「あんたが始めたからよ」
CuP「恥ずかしいから勘弁してくれ。それに俺にだって話したくないことの一つや二つはある」
時子「…じゃあ、どうしてあいつの誘いに乗ったのかを教えて」
CuP「んー…まあ、それぐらいならいいか。時子ちゃんはあいつの性格の悪さを知っているだろう?」
時子「ええ、存分に心得ているわ」
CuP「あいつは今まで人に嫌われることを生業にしてきた部分があるからな。憎まれることを屁とも思っちゃいない」
CuP「だから、あいつはどんなやつにどんな意見でもぶつけることが出来る。顔色をうかがう必要が無いからな。もちろん、時と場合にもよるが」
CuP「正直、その話を切り出された時、事情もあってかなり取り乱したよ。罵声もたくさん浴びせた」
CuP「でもな、あいつはそんな俺を見て大笑いしながら言ってきたんだよ」
CuP「『絶対、お前に向いてる仕事だから』って」
CuP「なんかもうな、その笑顔を見たら力が抜けちまって。こいつはただ単純に俺に儲け話をしに来たように感じてさ」
CuP「あいつは自分が良いと思うことは必ず万人にとっても良いことだと思ってる節がある。まあ、一般的にはこの考え方をしている人は地雷が多いけど」
CuP「あいつが言うことはいつも正しいんだ。というか正しいことしか口に出すことは無い」
CuP「時子ちゃんも身に覚えが無いか? あいつが提案してきてことに納得は出来ないけど正論だなって思ったことは」
時子「…ノーコメントよ」
CuP「つまりイエスだな。なあ、時子ちゃん、確かにあいつは性格が悪くて人が弱ってるところを見るのが大好きなクソ野郎だが」
CuP「それはあいつが不器用なだけなんだ、だから大目に見てやってほしい」
CuP「何より、今回の件に関しては時子ちゃんにも比はあるだろ? 俺から見てもあれはキツいぞ。あいつはその後が楽しみすぎてそこまで苦にしてなかったが」
時子「そんなことあんたに言われる筋合いないわ」
CuP「とにかく今回は引いておけ。あいつは時子ちゃんの手に負える相手じゃない」
時子「うるっさいわね! そんなのあたしの勝手でしょ!」
CuP「あっ、おい…ったく」
時子「……」
時子(何よ、どいつもこいつも! あんなにあのクソ野郎が好きなわけ!?)
時子(気に入らない…ますますあいつを堕としたくなったわ)
時子(壊し、治してまた壊す…そうしてあいつを私なしでは生きられない体に…)
P「おーう、時子。ここにいたか。この後のスケジュール分かってるよな?」
時子「……」
P「…おい、時子、何シカトしてんだよ」
時子「……」
P「おい」
時子「…うるさ」バァン!!
時子「!…」
P「どうしてイラついてるかは知らないが、いい加減にしておけよ」
P「これから仕事だ。お前が裏でどんな態度してようが知らないがな」
P「お前はアイドルだ。それを肝に銘じとけよ」
時子「っ……」
ちひろ『表面では取り繕っていても、考えてることは想像もつかない。何か心の奥に悪しきものを秘めている、そんな印象を受けてたわ』
ちひろ『…きっと今も、少しは残ってるのかもね。たまに冷たい目をしてることがあるもの』
P「……」
時子「…っは、どの口が言ってるのよ」
P「…だな、俺も人のこと言えねえわ。担当アイドルにこんな面見せておいて」
時子「まったくよ。他のアイドルが今のあんたの目を見たら人間不信になるレベルよ」
P「どうにかしたいんだけどな」
時子「でも、今のあんたの方があたしは好きよ?」
P「お、愛の告白か? 残念だが俺は担当アイド」
時子「それでこそ、堕としがいがあるってもんでしょ」
P「……」
時子「…なによ、急に黙り込んで」
P「いや、時子は俺と似てるなと思ってな」
時子「いまさら何よ、あんたも私も他人の苦しむ姿を見て喜ぶサド野郎でしょ?」
P「俺はサドじゃないよ」
時子「頭沸いてるの? 誰がどう見たってあんたはサドよ」
P「…俺はな、時子」
~~~
スタッフ「もうすぐ撮影始まりますんで、今しばらくお待ちください」
時子「のろい豚どもね。このあたしが足を運んであげてるんだから、ぐずってんじゃないわよ」
スタッフ「ああ…時子様の罵倒…」ハァハァ
時子「……」
時子(何よあの沈黙は…黙ってどっか行ったかと思うと、道中の車の中ではいつもの調子に戻るし)
番組P「いやー、時子ちゃん、よく来てくれたねー」
時子「…!」
時子(こいつか…あいつが言ってたセクハラ野郎は)
~~~
P「時子、この後の仕事だけどな、俺はあまり取ってきたくなかった仕事だ」
時子「ああん? 何よ、だったら取ってこなければいいでしょうが」
P「でも、あそこの局の仕事は今取っておきたい。それが多少リスクを背負っていてもな」
時子「で、何が問題なのよ」
P「番組のプロデューサーがセクハラおやじだ」
時子「そんな男、私が玉を握りつぶしてやるわ」
P「できればそうしてもらいたい。なにより俺も二度と顔を合わせたくないからな。一生ベッドから起きられなくなる程度のコースで頼みたいところだが」
P「残念ながら、こいつのご機嫌はとっておかないと、後々面倒くさいことになる」
時子「何が起こるのよ?」
P「まず主要テレビ局のほとんどには出禁喰らうだろうな」
時子「まあ、とんでもないエロ親父だこと」
P「現にあいつの夜の誘いを断った女子アナはことごとく依願退職してるからな。文字通り穴としてしか見てないってわけだ」
時子「ドヤ顔で言ってんじゃねーよ、うまくねーわよ」
番組P「どうやらドSキャラで売ってるみたいなんだが、それは素なのかね?」
時子「…ええ、そうよ。キャラを作ってまでやるほどのものではありませんから」
番組P「やるほどのものではない、とは何のことかね?」
時子「アイドルに決まっているでしょう」
番組P「…ほうほう、なるほどねえ。アイドルにそこまで思い入れは無いと」
時子「ええ、そうです。単なる暇つぶしにすぎません」
番組P「暇つぶし…か、くっくっく」
時子「お話はそれだけでしょうか? でしたら、私スタッフと打ち合わせが」
番組P「私はね、強い女性が大好きなんだよ。何故だかわかるかい?」
時子「…見当もつきません」
番組P「馬鹿みたいな女の鼻っ柱を折る瞬間が爽快でね。やめられないんだ」
時子「……」
オチが決まってないんで一旦止めます
番組P「収録の後、私の泊まっているホテルに訪ねなさい。事務所には話を通しておくから」
時子「暇ではない、と断った場合は」
番組P「愚問だねえ、答えるのも馬鹿馬鹿しくなるが」
番組P「そうだね、君の事務所の社長が首をつって死んでしまうだろう」
時子「……」
番組P「あとは、そうだね、それまで泳がせてる間に君の事務所のアイドルはこちらで使わせてもらおう。主に接待の為にね」
番組P「わかっているだろう、君に選択権などないんだよ」
時子「…ゲスが」
番組P「褒め言葉さ」
時子「おあいにく様、私は別にあの事務所がどうなろうが知ったことではないし、誰がどうなろうが自分で自分の身も守れない愚図はこの世で3番目に嫌いだから別にどうでもいいの」
番組「…ほお」
時子「これだけ言っとくわ、私はあんたの言いなりにはならない」
番組P「後悔しても知らんぞ? 俺は本気でや」
時子「そんでもって、あんたに好き勝手な真似もさせないわ」
番組P「…あ?」
番組P「…あ?」
時子「今すぐ私の目の前から消えなさい、豚が」
番組P「……ふっ」
番組P「はっはっは!!! 馬鹿な女だお前は! 何が出来るって言うんだ!」
番組P「ちょっと、こっちにこい。礼儀ってもんを教えてやる」グイッ
時子「な、この豚! 何勝手に触ってんのよ!」
番組P「豚はお前だ。雌豚が」
時子「な、雌ですって! このっ…!」ヒュッ!
P「はいはい、ストーップ」ガシッ
時子「なっ! プロデューサー…!」
番組P「…貴様は」
モバP「とりあえず、その振り上げている物しまえ。つーか、どこに隠してたんだ一体」
時子「……」
スタッフ「ザワザワ」
モバP『場所を考えろ。中東の笛もびっくりの完全アウェーだぞ、ここ』ヒソヒソ
時子「……」
モバP「いやー、うちのアイドルが無礼を働いたみたいで! ほんとーに申し訳ございません!」
モバP「こいつには後できつーく言っておきますんで、どうかこの場は見逃してもらえませんかねえ?」
ほんとすんません、野暮用で2時間ほど空けます
残ってたら続き書きます
まじすんまっせん
番組P「私が何者かわかってるだろう?」
P「ええ、そりゃあ。この業界で働いてるものなら、知らない方がおかしいくらいです」
番組P「だったら、何も言わずとも分かるはずだ。この手をどけろ」
P「説教するなら通路脇とか大道具の倉庫なんかでいかがでしょう? もちろん同伴させてもらいますが」
番組P「…いいだろう、人気のいないところへ場所を移すぞ」
モバP「今回は本当にすみませんね。こちらの教育不足です」
時子「頭下げてんじゃないわよ、みっともない」
モバP「こらこら、お前のためにやってんだから」
時子「頼んでないわよ」
番組P「CGプロと聞き、まさかとは思っていたが君がプロデューサーだとはね」
モバP「私をご存じで?」
番組P「私は顔が広いし鼻が利くのだよ。色んな意味でね」
モバP「それはそれは、まさか自分みたいな単なる1プロデューサーを覚えていらっしゃるとは感服いたします」
番組P「ふん、なあに。私だってただのプロデューサーの名前をいちいち覚えてなんかいられないさ」
番組P「君は名前を覚えられるべくして覚えられているのだよ。プロデューサーとしてだけではなく、ね」
モバP「……」
時子(……探偵時代のことかしら)
P「心当たりがありませんね」
番組P「ここまできて隠すこともないだろう。担当アイドルもいることだし、せっかくの機会だ、ここらで明かした方がいいんじゃないのか?」
番組P「君が人殺しだということを」
時子「……は?」
モバP「……」
番組P「もちろんあれは事故だ、君に刑事的責任は何もないだろう。だがね、当事者はそう思わないだろう?」
番組P「彼の家族、親族だって私は知っている。それが何を意味するかわかるかね?」
モバP「……」
時子「…あんた何黙ってんのよ」
モバP「……」
時子「まさか、ここでこんな馬鹿な話を認めるわけじゃないでしょうね…!」
時子「この大嘘つきのクズが言ってることになんか言いなさいよ!!」
モバP「……」
時子「…あんた、まさかほんとに」
番組P「認めるしかないだろう? まぎれもない事実なのだから」
番組P「はっはっは! 新進気鋭のアイドルが…いや、今や一大勢力と言ってもいいCGプロダクションが人殺しをプロデューサーを雇っているなんてことが知れたらどうなると思うかね?」
番組P「まあ、ゴシップは放っておかないだろうなあ、残された家族や親族だって黙っちゃいないはずだ。下手すれば警察の介入だって…」
番組P「おおっと、違うんだ! 別に君が犯罪者だって言ってるわけではない!」
番組P「…ただね、もしかしたら、もしかするかもしれないだろう?」
番組P「昔からよく言うことさ、人の話は伝えていくうちに尾ひれがついていくと」
番組P「何もそれは自然につくとは言っていない」
番組P「人が意図的に尾ひれをつけることだって出来るんだよ」
時子「あんた、まさか…」
番組P「これで分かったろう? 君たちに選択権など存在しない」
番組P「従うか、潰されるか、だ」
モバP「……」
番組P「何か言うことがあるかね? 何もなければ、私は用事があるので席をはずしたいのだが…」
番組P「あ、時子ちゃん、先ほどの無礼については水に流してあげるよ」
番組P「今夜、たっぷりサービスしてくれれば、ね?」
番組P「はーっはっは! では、失礼させて貰うよ!」
時子「……ま、待ちなさっ」
モバP「お待ちください」
時子「いっ…! …え」
番組P「…何かね? 私は忙しいんだが」
モバP「ほんとはね、もうちょっとだけお話したかったんですよ、あなたと」
番組P「なに?」
モバP「あなたにもっとボロを出していただきたかったんですよ」
番組P「は?」
モバP「今までの話、業界の裏話としてはすごく面白い題材だと思いませんか?」
モバP「『業界人でしか知りえない、超大物番組プロデューサーの裏の顔!!』みたいな感じで」
モバP「きっとこれを週刊誌の人に渡したらとても喜ばれるんじゃないかなあ」
番組P「はっ! 何の話をしているんだか、私には見当がつかない!」
時子「あ、あんた、今自分で言ったこと…!」
番組P「覚えていないねえ! 最近物忘れがひどくて参っているんだ!」
モバP「なら、思い出させてあげましょうか、これで」
番組P「……なんだそれは」
モバP「ボイスレコーダーですよ。いや、何もこの場の為だけに用意したわけではないんです。ただ、この業界ってほんと忘れっぽい人が多くて」
モバP「自分の言った言葉に責任を持っていただく為に持ち歩いているんです。あなたみたいな人の為にね」
番組P「ぐ…」
モバP「ま、あくまで最終手段ですよ。会話を録音してるなんて、それだけで相手にお前の言葉は信用してないって言ってるのと同じことですから」
番組P「何を勝ち誇った顔をしている! 貴様、自分が人殺しだということを忘れていないか! これ以上無礼なまねをしたら…」
モバP「そこなんですよ」
番組P「どうなるか…なにぃ?」
「どうして俺が人殺しだと決めるつけているんですか? 裁判にかけられた過去があるわけでもないのに」
時子「え?」
番組P「…は?」
時子「はああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?ちょ、ちょっと待ってよ! あんた別に人殺しでもなんでもないの!?」
モバP「俺がいつそんなこと言ったよ。ずっと黙ってただけだろーが」
番組P「ま、待て! そんなはずはないはずだ! 貴様は間違いなく…」
モバP「だーかーらー、どうしてそんなに俺を人殺しにしたがるんですか。意味分かんないですよ」
番組P「き、貴様、まさかしらばっくれるつもりか! そうはいかんぞ! 調べればすぐに…」
モバP「家族、親族を知っていると言っていましたね? でしたら無くなってしまった方の名前を教えていただけるとありがたいのですが」
番組P「な、なに?」
モバP「だから、お亡くなりになった方の名前ですよ。縁者の方々を知っているんですからもちろん知らないわけがないですよね?」
番組P「あ、ああ。確か○川×子とかいう…」
モバP「え、まさか、茨城県の△市□町に住んでいる○川さんですか!?」
番組「は? え、いや、その通りだが…」
モバP「いやぁ~すごい『偶然』だなあ~。その人とは私面識あるんですよ」
番組P「そ、それはそうだろう! なんて言ったって君が殺し…」
モバP「だって、探偵時代に浮気調査依頼されましたもん」
番組P「そ、そうだ! それで夫の浮気がばれて嫁は…」
モバP「いや~、確か嫁方の両親に依頼されたんですよね~。で、浮気はしてなかったんだけど夫のキャバクラ通いがばれて、もう大喧嘩」
番組P「きゃ、キャバクラ!?」
モバP「ええ」
番組P「し、しかし、その影響で二人は別れたんだよな!?」
モバP「まさか。むしろあれがあったおかげで二人の絆は一層強くなったって感謝されましたよ」
番組P「な、なにぃ!」
モバP「あ、写真見ます? わざわざ送ってきてくれたんですよ、結婚の知らせ」
モバP「こういう知らせは本当に嬉しくてですね。鞄の中に入れてあるんですよ。ふとした時にそれ見たら頑張れるんで。はい、どうぞ」
番組P「結婚しました…○川×恵。い、いや、これは名前が違う! 俺が言ってたのは○川×子だ!」
モバP「あれ、ほんとだ。名前が違う」
番組P「こ、これは別人だ! 貴様が殺した相手は他に…」
モバP「あ、思い出した、結婚式が終わったすぐ後にぽっくり逝った夫方のばーちゃんのことだ」
番組P「…な、なにいいいいい!」
バP「ほら、ここに書いてあるでしょう? 『天国で×子ばーちゃんも私達を見守っている事でしょう』って」
モバP「いやー、孫息子の晴れ着姿を着るまで死なん!って豪語してたからなー。ほんと無事に見れて良かったよ」
番組P「ま、まさか、そんな…あいつらは確かに…」
モバP「あいつらって誰ですか?」
番組P「き、貴様の身辺調査を頼んだ者どもだ! 貴様は確かに依頼人を死ぬまで追い込んだと…」
モバP「なるほど、間違った情報を蔵井組の人達に提供されてしまったわけですか?」
番組P「そうだ、蔵井の…って何故それををおおおおおお!」
モバP「まあ、この辺で俺のしっぽを捕まえられるやつはそういませんからね」
モバP「ちなみに、あなた敵対してる萩原組にも出入りしてますよね?」
番組P「なっ! いや、そんなことはない!」
モバP「なるほど、間違った情報を蔵井組の人達に提供されてしまったわけですか?」
番組P「そうだ、蔵井組の…って何故それををおおおおおお!」
モバP「まあ、この辺で俺のしっぽを捕まえられるやつはそういませんからね」
モバP「ちなみに、あなた敵対してる萩原組にも出入りしてますよね?」
番組P「なっ! いや、そんなことはない!」
モバP「またまた~、知ってるんですよ~。で、敵対している萩原組で何を?」
番組P「わ、私は何も…」ゴマエ~♪
モバP「あ、すいません、俺の電話です。ちょっと失礼します」
番組P(い、今のうちに…)コソコソ
時子「おい」
ゴッ!!!!!
番組P「はうあ!!!!!」
時子「逃げてんじゃねーよ豚野郎」
番組P(あ、足が……)
モバP「あー、すいません、今終わりました~、って時子のヒールが足に突き刺さってるけど大丈夫ですか?」
時子「うっかり転んだわ、ごめんなさい」
モバP「そうか、転んだならちかたないね。で、実は一人紹介したい人が居るんですけど大丈夫ですか?」
番組P「な、なに…?」
モバP「お、きたきた、おーい765P!」
番組P「765P…?」
765P「あ、おはようございます! あなたがかの有名な!」
モバP「あ、この方765プロのプロデューサーです。ご存じないですか?」
番組P「い、いや、もちろんプロダクションの名前は知ってるが…」
765P「765Pと申します! 実は先ほどモバPからこのスタジオで番組の監修をしていると知らされまして。一度ご挨拶にと伺った次第であります! これ、名刺です!」
番組P「あ、ああ…ところで君…」
765P「はい? なんでしょう?」
番組P「君の担当するアイドルというのは…」
765P「ああ、はい! 現在我がプロダクションには13名のアイドルが在籍していまして」
765P「今日はこの局の別のスタジオで仕事があるアイドルを一人連れてきています。お呼びしますか?」
番組P「い、いや、名前だけ教えてくれないかな…?」
765P「萩原雪歩と言います!」
モバP「(ニヤリ」
番組P「……」
モバP「あれ? 顔色がすごく悪くなりましたけど大丈夫ですか?」
765P「あ、ほんとだ、大丈夫ですか?」
時子(今、もんのすごい悪い顔してたわね)
モバP「あ、ところで例の写真持ってきてくれたか?」
番組P「…写真?」
765P「え、今ここで渡すの? さすがに失礼だろ…」
モバP「バーロー、目の前にいる方を誰だと思ってんだ。そんなことでいちいち目くじらを立てるほど器が小さい人じゃねえよ」
モバP「ですよね?」(ニッコリ
番組「……ああ」
時子(目が笑ってないわね)
765P「そ、そうなのか。そういうことなら…まあ、急に言われてびっくりしたが何とか用意できた! ほらこれだ!」
モバP「いや~、助かる。必ずそれなり礼を…」
765P「よせやい、気にするんじゃねえ。それに…」
765P「この方に会えたことが一番の収穫だからな!」
番組P「(ビクゥ!」
765P「あ、もう時間ないんで戻らないと…、あ、今日は大変貴重なお時間を割いて会っていただき大変失礼いたしました!」
番組P「あ……ああ、いや、構わないんだ…」
765P「このことはウチ(の事務所の社長)に報告させていただきますね!」
番組「」
モバP「おつかれさん、また後でな」
765P「また後で連絡する!」
番組P「……」
モバP「いやー、騒がしくてすいません。で、何の話でしたっけ?」
番組「……なあ、その写真は」
モバP「トップシークレットです」(ニッコリ
番組P「用事を思い出した! 失礼させていただく!」
モバP「あ、ちょっと待って下さい!」
番組P「ま、まだ何か…!」
モバP「一番大事なことを忘れていましたよ」
モバP「うちのアイドル、財前時子を侮辱したことを謝罪していただきたい」
時子「……!」
番組P「……」
モバP「聞くまでは帰しませんよ」
番組P「……ぐ」
番組P「……すっ」
番組P「すまな……」
モバP「なあ」
時子「なによ」
モバP「よかったのか?」
時子「セクハラ豚野郎のこと?」
モバP「ああ、いきなり追い返しちまったから」
時子「あんなクズに何言われたところで聴覚の無駄遣いでしかないわ。本番前にあんなやつの顔で不機嫌にされたくないし」
モバP「そうか、まあ、時子がそう言うならいいんだけどさ」
時子「それよりもあんたよ」
モバP「なにが?」
時子「よくもまあ、しらじらしい顔してられるわね。あんた俳優目指せるんじゃない?」
モバP「そうゆうのもありか」
時子「ないわよ馬鹿。で、どこまでが仕込みなの?」
モバP「どこまでって…」
時子「○川とかいう胡散臭い家族は」
モバP「住所だけは存在する架空の家族。ちなみに夫婦は偽装結婚だ。ま、やつにばれる心配は無いな」
時子「あいつが萩原組に出入りしてるっていうのは」
モバP「有名な話さ。一部でね」
時子「あの写真は…」
モバP「見るか? ほら」
時子「……なによこれ」
モバP「可愛い可愛い765プロアイドルのブロマイドさ。今では非売品の初期のやつ」
時子「なんでこんなもの…」
モバP「俺はCGプロが好きだが765プロの大ファンでもあるんだ」
時子「そうじゃなくて、こんなもので何故あいつがうろたえてたのよ」
モバP「さあな。血相を変えて逃げたってことはそういうことなんだろう」
時子「あんたまさか、あの765Pとかいうやつとも…」
モバP「打ち合わせてたよ。あくまで知り合いのPに呼び出されて紹介されるだけっていう態に過ぎないが」
モバP「それを勝手にあっちが深読みしてくれた。まあ、無理もないがな」
時子「だけど、765Pとかいう男は…」
モバP「ああ、もちろん、萩原さんところとつながってるよ。よくわかったな」
時子「あんたの最悪な性格を考えたら自然とそう感じたのよ。全部知った上で芝居をさせてるってね。その方が不測の事態にも対応できそうだし」
モバP「まあ、俺が最悪な性格かはともかく、その判断は正しい」
時子「あえて、つながっているような素振りを見せなかったのは」
モバP「今をときめくアイドルやそのプロデューサーにそんな噂が立ってみろ。えらいことになるぞ」
時子「…そう、そこまでは納得できるのよ」
時子「でも、まさかあの情報が出回ってたのは偶然なの?」
モバP「…まさか。じゃないと、あんな偽装結婚まで使った意味がない」
モバP「あの嘘の情報を流したのは俺さ。少し昔の探偵時代にな」
時子「なんで? 必要ないじゃない、そんなこと」
時子「あんたは人殺しじゃないんでしょ?」
モバP「…なあ、人に嘘を信じさせることで何が大事か知ってるか?」
時子「なによそれ…」
モバP「真実を混ぜることさ」
時子「……」
モバP「俺はな、一人の女性を殺してしまったことがある」
モバP「ま、正確には殺しかけてしまった、かな」
モバP「でも、彼女の人生を人格を女性としての未来を壊してしまったのはある意味そう言えるだろうな」
時子「…どうゆうことよ」
モバP「探偵をやってた時にな、ある男から結婚予定の妻を調べてくれって依頼が来たんだ」
モバP「結果は全くの白、浮気のうの字も見当たらなかった。だけどそれ以上に男がきな臭く感じてな」
モバP「調べてみたら出るわ出るわ。そいつ、その嫁さん以外にも二人と婚姻の約束をしてやがった」
モバP「で、その嫁さんの実家にビジネスをしにいったわけだ。あくまで調査すること自体を目的としてな」
モバP「俺が余計なことをしなければ、嫁さんの両親が義理の息子を信じていれば、結果は変わっていただろう」
モバP「入水自殺しちまったんだよ、その嫁さん」
モバP「命に別条はなかったがな、風のうわさで子供が産めなくなったことを知った」
モバP「その時気付いたよ、自分がいかに醜く汚く生きてるかってことにな」
時子「……」
モバP「時子、お前は俺に似てるって言ったよな」
モバP「それはお前が決して人に弱い部分を見せないからだ」
モバP「どんな時でも他の誰よりも優位に立ち、強い自分を見せつける。そうしてお前は自分を高めてきたんだろう」
モバP「だが、俺は逆だ」
モバP「いつだって、今だって、自分を弱く見せないことで必死だった。だから、人の弱い部分を見つけ、それを食い物に生きてきた」
モバP「他の誰かの弱い部分を見つけて安心する。そんな自分が誰よりも大切な臆病者さ」
時子「……」
モバP「まさか、弱い自分が大嫌いな俺がこんな話をするとはな、もしかして既に時子に調教されてたのかもしれないな」
モバP「おめでとう、見事時子は俺を従順に飼いならすことが出来たってわけだ」
モバP「すでにあの映像はきれいさっぱり消去してる。安心してくれていい」
時子「…あんたはこれからどうすんのよ?」
モバP「さあな、ただCGプロにはいられないな。死んでもさらけ出したくなかった自分の弱さを見せちまったんだ」
時子「……」
モバP「時子、アイドルは皆可愛かったが、俺は特にお前を気に入ってたよ」
モバP「多分、俺はお前に憧れていたんだ。時子のように強く気高く生きたかったんだろう」
モバP「お前は俺の自慢のアイドルであり」
モバP「俺が世界で一番大好きなアイドルだ」
時子「……っ」
モバP「じゃあな、時子。できれば、もうしばらくアイドルは続くけてくれ」
モバP「ステージで強く輝くお前をもう少し見ていたいからな」
時子「……」
時子「……まっ」
時子「待ちなさいよ、コラァァァァァァァァ「!!!」ビッシィィィィィィィ!!!
P「ぐああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
時子「はぁっ…はぁっ…」
モバP「いててててて…今までで一番いてえ…皮膚裂けたんじゃないの?」
時子「…こ、これが肌に傷つかないぎりぎりの強さ、それは検証済みよ」
モバP「…ああ、あの時やってた検証はこれだったのね」
時子「…許さないわよ」
モバP「ん?」
時子「あたしのそばを勝手に離れることを許さないって言ってんの!!」
モバP「お、おいおい、何言ってんだと…「あんたは!!!」
時子「あんたは調教済みの豚だから、勝手に主人のもとを離れちゃいけないって言ってんのよ!!!」
モバP「なっ…」
時子「さっき自分で言ってたでしょ! だから映像を消したんでしょ! 違うの!?」
モバP「い、いや、そうは言ったが…」
時子「あんたはあたしが居ないと生きていけなくなる体なの!」
時子「あたしがそうする予定なの!」
時子「あたしがあんたをそう開発するのよおお!!!!!」
P「( ゚д゚)ポカーン」
時子「はぁっ…! はぁっ…!」
モバP「……」
時子「(ハッ」
モバP「……と」
時子「何も言うな、言ったらぶん殴るわよ」
モバP「……」
モバP「……ぷっ」
モバP「はっはっはっはっは!!!」
モバP「そっかあ~、俺はもう調教されちまったんだな~」
モバP「なら、プロデューサーをやめるわけにはいかなくなったなあ」
時子「! ほ、本当に!?」
モバP「ああ、だって時子様が言うんだ、従うしかねえだろ」
モバP「随分、長居しちまったな。さ、帰ろうか」
時子「…ええ。あ、あの…」
モバP「ん? どうした?」
時子「その…えっと…」
時子「い、痛く…なかった…?」
P「さっきの?」
時子「え、ええ…」
P「ああ、もちろん。むちゃくちゃ痛かったよ」
時子「う…そうよね…」
P「でも、すっげえ気持ちよかったよ。生まれ変わった気分だ」
時子「え……」
P「ありがとな、時子。俺を生まれ変わらせてくれて」
時子「……」
時子「……うん」
~エピローグ的な何か~
時子「だからなんで、ユニットの相手がよりにもよってあいつなのよ!」
モバP「いいじゃないか、ぴったりだぞ」
時子「ふっざっけんじゃないわよ! あたしがあの手のタイプ一番嫌いなのわかってるでしょうが!」
モバP「大丈夫大丈夫、時子様も十分大きいから」
時子「豚が、一体何のこと言ってんだコラァ!」
時子「百歩譲ってユニットはいいわ! いや、ほんとは譲れないけど!」
時子「だけど、あのユニット名どうにかしなさいよ!」
モバP「えー、ぴったしじゃん。個人的にはすげえオサレだと思ったんだけど」
時子「カウガール&“牛”って何よ! せめて統一しなさいよ!」
モバP「最近思うんだけどさ…」
時子「ああん?」
モバP「時子様ってレイナに似てきたよな」
時子「はああああああああああああああああああん!?」
モバP「ほら、そうやってすぐに大声出すところも」
モバP「なんか、前の時子様ってもっと静かにブチ切れるイメージがあったんだけど」
時子「このあたしとあんな子供を同列に語るなんて、よほどお仕置きされたいようねえ…」
モバP「あと、こうゆう時に一通りいじめた後、ちょっと静かになるところとか」
モバP「ぶっちゃけ、優しくされると鳥肌立つし」
時子「とりっ…」
モバP「気味悪くてしゃーないんだよね。まるでDVを受け…ヘブゥッ!」ビシィィィ!!!
時子「」ビシィ!ビシィ!ビシィ!
モバP「ちょ、え、無言で鞭打つのやめて、マジ怖いから」
ちひろ「はいはーい、鞭打ったままでいいから聞いてもらえるー?」
時子「なに?」ビシィ!ビシィ!ビシィ!
モバP「鞭は止めろよ!」
ちひろ「時子ちゃん、例の件だけど今日が締め切りなのよねえ」
時子「あ、そーだっけ? で、サインしてくれるの豚君」
モバP「え? あの月にドリンク1000本ちひろさんから買えって誓約書のこと?」
時子「そうよ」
モバP「嫌に決まってんじゃん」
時子「だってさ」
ちひろ「あらら~、残念ですね~。では、ペナルティ発生ということで」
時子「一番大切にしているものね、はい、あげる」
ちひろ「これは…」
時子「鞭よ。そんじょそこらのSMショップに売ってるものじゃないわ。布から止め具まで完全オーダーの特注品よ」
ちひろ「うーん…」
時子「なに?」
ちひろ「時子ちゃんはこれが一番大切なものって認めるのね?」
時子「ええ」
ちひろ「…うん、なら行動に移した方が早いか」
時子「は?」
ちひろ「モバPさん♪」ダキッ
P「おうふ」
時子「な…な…な…」
時子「な、何やってんのよ! 離れなさい!」
ちひろ「時子ちゃんが意地を張るからよ~。素直に認めちゃえば引いたのに」
P「背中の2か所から生命の神秘的な何かを強く感じる」
時子「豚ぁ! 早く離れろぉ!」
ちひろ「というわけで、時子ちゃんが今一番大切のにしているだろうペットの豚を貰うことにします」
モバP「あれ? ちひろさんも豚って呼ぶの?」
時子「わ、わかったわよ! ドリンク1000本毎月買うから!」
ちひろ「だからあ、私時子ちゃんにそんなの望んで無いんだってば~」
時子「な、なんでよ!」
ちひろ「私はモバPさんから搾取したいだけなんで♪」
モバP「やっぱチッヒって悪魔だわ」
おしまい
駄文失礼いたしました
正直途中でずっとモバPのターン!ってなったり最後の方に時子のキャラがぶれまくったり
自分の文章力、構成力の無さを痛感しました
まあ、ぶっちゃけオール明けのテンションで書いたんで完結できただけでもよしとしましょう
まあ、投げっぱなしジャーマンになってるところどころの伏線(ではないか)の回収については番外編でやろうかなって思ってたけど、ぶっちゃけ腰の方が限界なんで、未定です
もしリクエストがあればやると思うけどとりあえず休憩欲しいんで一旦席をはずします
番外編その1
モバP「じゃー、おつかれさんです、ということで」
ちひろ「かんぱーい!」
モバP「……ぷはー、久々だな~、ちひろさんと飲むの」
ちひろ「そうですね~。私は定期的に飲むんですけど、モバPさんは滅多に飲みませんからねえ」
モバP「お酒入っちゃうと、いらんこと喋るかも知れなくてね。人前で飲むのは極力避けてきたんですよ」
モバP「…ま、そんな用心することも必要なくなったんだけど」
ちひろ「そうですか~、ところでモバPさん」
モバP「なんです?」
時子「……」
ちひろ「なんで時子ちゃんが?」
モバP「なんでですかね?」
時子「決まってるでしょ、飼い豚がどこぞの悪魔にそそのかされないよう御主人様として監視してる。それだけ」
ちひろ「モバPさん、あたしは二人で飲みたいって言ってましたよね?」(ジト
モバP「いや、そうなんですけど、最近時子様の束縛半端なくて」
時子「束縛じゃないわ、監視してるのよ」
モバP「だからって、家に押しかけて鞭振るうのはどうなの?」
ちひろ「それは付きまとってるって言うのよ、モバPさん」
モバP「いや、まあ、事前にアポとって許可してるんですけどね」
ちひろ「自宅に担当アイドル招いてる時点でプロデューサーとしてはどうなんですか」
モバP「俺を誰だと思ってるんです? そんな初歩的なミスはおかしませんよ」
ちひろ「いや、プロデューサーの心構え的な意味で…」
モバP「俺が時子をどうにかするって? じゃあ、見ててくださいね」
モバP「時子、おっぱい揉んで…ヘヴゥ!」バチィィィン!!!
時子「豚が」
モバP「ほらね」
ちひろ「ほらね、と言われても…」
モバP「まあ、肝心の俺が時子をどうにかするってことがまずな…ヘヴゥ!」バチィィィィィィン!!!!!
時子「……」
モバP「え、なんで」
ちひろ「なんで、と言われても…」
時子「あんたこそ何よ? うちの豚君を勝手に連れ回してくれちゃって」
ちひろ「だって、モバPさんは私のものだもーん」
時子「あ、あれは、違うって言ったでしょ! 大切にしてるっていうか、ただ主人としての役目を…」
ちひろ「聞き空きましたよ、そのセリフ。要はモバPさんのことが…「ぐああああああああああああああああああああああ!!!!!」ビシィィィィィィィィ!!!!
モバP「背中がああああああああああああああああああああ!!!」
時子「駄目っ…それ以上言わないで…!」
ちひろ「…うふふ、かーわいい♪」
モバP「…なんで俺が叩かれんの?」
~~~
時子「う~ん…ムニャムニャ」
ちひろ「案外弱いのねえ、時子ちゃん」
モバP「まあ、時子みたいなやつが多いのかもしれないね。時子みたいなやつだからこそ、そういう一面があるっていうか」
ちひろ「ふふ、可愛い寝顔。随分気を許してるのね」
モバP「まあ、事務所で頼れるのは俺らぐらいでしょうからねえ」
ちひろ「違います、時子ちゃんが気を許せるのはあなたがいるからですよ、モバPさん」
モバP「……」
ちひろ「気付いてるんでしょう? 時子ちゃんの気持ち」
モバP「まあ、そりゃ、ね。俺はある意味人間観察することで生きてきたんだし」
モバP「どこぞの朴念仁のように、鈍感なわけじゃない」
~~~
765P「はっくしゅん!!」
765P「グスッ、誰か噂してるのかな…?」
ちひろ「それで、モバPさんは」
モバP「別に、いつも通り過ごしますよ。今までと同じ、主人と豚の関係で」
ちひろ「時子ちゃんかわいそー」
モバP「…俺は人の考えてることを感じ取ることは大得意なんですけどね」
モバP「自分の気持ちを感じ取ることは本当に苦手なんですよ。でも、まあ…」
モバP「待ってもらいますよ、自分の気持ちに整理がつくまでは、たっぷりとね」
ちひろ「……やっぱり、モバPさんってSよねえ」
おしまい
次はレイナサマ観察編かなあ
番外編その2
時子「……」
モバP「レイナー、この後の予定だけど…」
麗奈「だから、サマをつけなさい! このレイナサマに相応しい仕事でしょうね?」
モバP「まあ、文句は言うかもな」
麗奈「ハッ! まさかあんた光の馬鹿と同じ仕事を組んだんじゃ…」
モバP「俺直々にボーカルレッスンだ」
麗奈「仕事ですらないのかよ!」
モバP「百年早いわ。まずは基礎を上げなさい」
時子「……」
時子「……」
モバP「なんでそんなことしたんだ!」
麗奈「だ、だから、ただの好奇心で…は、反省してるわよ…」
モバP「なにが好奇心だ!」
瑞樹「い、いいのよ、モバP君…そこら辺で許してあげて」
モバP「駄目ですよ、川島さん。こういう時はガツンと言わないと!」
麗奈「う…」
モバP「なんで、川島さんのアンチエイジングクリームをネットで2番目に評判の悪いものと差し替えたんだ!」
瑞樹(モバP君、私のことを思ってこんなに真剣に…)
モバP「そんなことしたら川島さんが川島さんじゃなくなるだろう!」
麗奈「はい…」
瑞樹「え」
モバP「なんて凶悪な…今まで長い間築いてきた川島さんのアンチエイジングバランスが崩れてしまうだろ!」
麗奈「はい…」
瑞樹「アンチエイジングバランスってなに!?」
モバP「川島さんは…川島さんはなあ」
モバP「アンチエイジングに命かけてきたんだよぉ!」
瑞樹「かけてないわよ!? それに、始めたのもほんの数年前からよ!」
時子「……」
時子「……」
モバP「レイナー、新しい仕事が入ったぞー。お前が前から熱望してた悪の女王様役だ」
麗奈「ほ、ほんとに!?」
モバP「ま、ドラマでもなければ遊園地でもない、近くのデパートの屋上のヒーローショーだけどな」
麗奈「ふっ、そんなの関係ないわ。ついにこのレイナサマの悪としての才能が脚光を浴びるようね…」
麗奈「そうと決まったらモタモタしてられないわ! この私の演技を見るのよモバP! レイナサマはこと悪に関しては完璧主義なんだから!」
麗奈「本番が楽しみねモバP! ゥアーッハッハッハガッ…ゲホゲホ……ッ!」
モバP「むせるレイナ可愛い」
時子「……!」
麗奈「な、なでるんじゃないわよ! レイナサマよ!」
時子「……」
時子「……」
時子「プロデューサー、ちょっといいかしら」
モバP「ん? 珍しいな、お前がプロデューサーと呼ぶなんて」
時子「……」
モバP「どうした? 用があるんじゃないのか?」
時子「…アーッハッハッハッハ!!!」
モバP「(ビクゥ!」
時子「ハーッハッハッハッハガッ…ゲホッ! ゲホッ!…」
モバP「……」
時子「ゴホッ!…ケホッ!…」
時子「……」
モバP「……」
時子「(カァァァ」///
モバP「……と」
時子「何も言うなぁ! 何も言うんじゃなあい!」ドドドド!!
モバP「…行っちゃったよ」
モバP「……」
モバP「気にしてたんだなあ、レイナに似てるって言ったこと」
モバP「あのむせ芸は…あ、そうか、それでレイナのこと撫でたんだっけ」
モバP「……」
モバP「かわいい」
おしまい
番外編その3
男「モバP、何の用だ」
モバP「そう、構えるなよ。とりあえず座ってくれ」
男「……」
モバP「俺は飲まないけど、飲むか?」
男「…いや、遠慮しとく」
モバP「そうか、じゃあ、単刀直入に言おう」
モバP「お前、アイドルのプロデューサーにならないか?」
男「……」
モバP「今の職場、つらいだろう? なんたって元嫁の親父が経営してる会社だ」
男「…ああ、近々やめる予定さ」
モバP「そんなお前に職を斡旋してやってるんだ、悪い話じゃないだろう?」
男「そうだな、何も知らない人がこの場を見たらお前のことを恩人に感じるだろうよ」
男「だが、俺はそうじゃないだろう?」
モバP「だろうな」
男「お前、俺のことなめてんのか?」
モバP「……」
男「あの女は! 俺から全てを奪っていきやがった!」
男「金も! 信頼も! 子供さえも!」
男「俺は何もしてない! それどころか浮気してたのはあいつだ! なのに悪いのは全部俺のせいさ!」
男「ありもしない証拠を突きつけられ! 実家からも軽蔑された! 何より俺の心に爪痕を残していきやがった!」
男「女に近づくことさえ不可能になるほどにな!」
モバP「……」
男「アイドルのプロデューサー? 頭おかしいんじゃねえのか!? 女性恐怖症がどうやって女の世話するっていうんだ!」
男「騙された俺を笑いに来たのか!? 笑えよ! そうさ! お前の忠告も聞かずに結婚したらこのザマさ!」
男「笑えよ! なあ!」
男「……笑ってくれよ」
モバP「……」
モバP「…はっはっはっは!」
男「……ほんとに笑ってんじゃねえよ」
モバP「言いたいことはそれだけか?」
男「…あ?」
モバP「じゃあ、俺も言いたいことだけを言おう」
モバP「アイドルのプロデューサーになれ」
モバP「絶対、お前に向いてる仕事だから」
男「……」
モバP「俺が保証するよ」
~~~
まゆ「Pさぁん、どうしたんですか?」
CuP「ん? 何がだ?」
まゆ「何だか遠くを見てぼーっとしてたので」
CuP「あー、ちょっと昔のことをな」
まゆ「Pさんの昔話ですかあ? まゆも気になります~」
CuP「そんな面白い話じゃないさ」
まゆ「…つらい過去をお持ちなんですねえ」
CuP「まあ、な」
まゆ「そんなPさんはまゆが癒してあげます♪」
CuP「なあ、まゆ、ちょっといいか?」
まゆ「なんですか、きゃっ」
CuP「……」
まゆ「あの、どうしたんですか? まゆのほっぺた撫でたりして…」///
CuP(…もう、治ったのかな)
まゆ「Pさん…」///
CuP「ありがとう、悪かったな。びっくりしただろう」
まゆ「い、いえ…びっくりしましたけど…その…嬉しかったですから」
CuP「……」
CuP(治ってる、治ってるが…)
CuP(でも、多分、この先女性を好きになることはないだろうな)
まゆ「…Pさん?」
CuP「さて、そろそろ行くか。仕事の時間だ」
まゆ「は、はぁい!」
CuP(でも、まあ、いいさ)
CuP「別に女しか好きになってはいけない決まりなんてない」
おしまい
くぅ疲
CuPはホモ
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