貴音「ちゃあしゅうの名月」響「中秋な」 (16)



―9月8日 夜


貴音「まこと、美しき名月です」ズルズル

響「うん」

貴音「月を眺め、心地よき風に包まれ、友と語らう……至福の時とはまさにこのことでしょうか」ズルズル

響「そうだね」

貴音「ジュルッ…この良き日を響と過ごせ……ハムッ…わひゃくしはズルルッひわあへハムッ」

響「……」




響「風情が色々とだいなしだよ!!!!」


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貴音「はて……?」

響「はて……じゃないよ! そもそもちゃあしゅうの名月ってなんなんさー!」

貴音「その名の通り、ちゃあしゅうめんを食しつつ中秋の名月を眺めるのです」

響「別にうまくないぞ!」

貴音「そう言わず、響も一口どうですか」スッ

響「こっちはうまいぞ!」ズルズルッ

貴音「そうでしょうそうでしょう」



響「でもそうじゃねーよ!!」


響「ゼェ……そもそもこういうのって普通は月見団子を食べるんじゃないのか?」

貴音「甘いですよ響。アイドルの私たちであるからこそ、普通という概念に縛られてはなりません」

響「ぐっ……なんかそれっぽいこと言っていいくるめられそうな気がするぞ」

貴音「それに、もちろんお団子も用意してあります」

響「なんだよもうー。あるならあるって言って欲しかったぞ」

貴音「こちらを」ススッ

響「それじゃあいただきまーす!」

貴音「どうぞ召し上がれ」

響「もぐっ……もぐっ……」

貴音「響、味の方は?」



響「これラーメンに入ってるタイプの肉団子だー!?」


貴音「ふふっ、これがボケ倒しという高等てくにっくですよ」

響「ドヤ顔禁止!」

貴音「いけずです……」

響「ゼーハー……これ以上ツッコミいれてたら自分のノドが潰れちゃうよ」

貴音「それは大変です……もし響にそのようなことがあれば私は……」オロオロ

響「いやいや、そんな真剣に狼狽しなくても冗談だから大丈夫だぞ」

貴音「ほっ」

響「まぁ、せっかくの名月なんだからゆっくりと楽しむさー」

貴音「ええ……それではこちらに月見団子の方を」スッ

響「あ、ちゃんとしたのもあったんだな」


貴音「お団子の味はどうですか響」

響「美味しいぞ!」モグモグ

貴音「喜んでいただけたようで何よりです」

響「たかねたかねっ」

貴音「どうしましたか?」



響「はい、あーん!」


貴音「あーん、ですか」

響「ほらほら口を開けてよ!」

貴音「では……あーん」

響「よっ」ヒョイッ

貴音「もぐっ……まこと、美味ですね」

響「それじゃあもっと食べさせるぞ!」

貴音「しかしこれは……なんとも面映い」

響「あははっ! 照れなくてもいいんだぞ貴音っ♪」グリグリ

貴音「およよ」


響「さぁ最後のひとつを……アレ?」

貴音「響?」

響「いや、なんかこの団子動いてないか?」

貴音「動く団子とは面妖な……」

響「んん~~?」





団子「……ヂュイ!」ヒョコッ

響「ってハム蔵!?」


貴音「なんと」

響「びっくりしたなぁもう……気づかなかったらハム蔵を貴音の口に入れちゃう所だったぞ」

貴音「ハム蔵……一体どのような味なのでしょう」ジッ

ハム蔵「ヂュ、ヂュイ…」

響「貴音……冗談だろうけどハム蔵が怯えてるからやめてほしいさー……」

貴音「ふふっ、貴方もわたくしの大切な友人です。左様な真似はしませんよ」

ハム蔵「ヂュイッ♪」ホッ

響「じゃあ、改めて皆で月を眺めようよ」



・・・・・・
・・・


貴音「響、水面に映る月がとても綺麗ですよ」

響「水面っていうかスープだけどな。というか貴音、またラーメンって食べすぎじゃないか?」

貴音「良いではありませんか。今宵は特別な一日なのですから」

響「あんまり食べすぎたらこのハム蔵みたいになっちゃうからなー」

ハム蔵「…zz」

貴音「気持ちよさそうに眠っておりますね」

響「まるまるしてハム蔵もお月様みたいだぞ!」


貴音「響、実は月の兎はらぁめんの生地を練っているのですよ」

響「な、なんだってー!?」

響「……ってそんなわけないだろー!」

貴音「ふふふ」

響「まったくもう……自分をからかいすぎだぞ貴音は」

貴音「響だからこそ私は言えるのです」

貴音「貴女だから、響だからこそ」

響「ふぅん」

貴音「響は嫌ですか?」



響「まっ……自分も貴音になら悪い気はしないかな!」


貴音「響」

響「んー?」

貴音「来年も、再来年も、その先も……共に同じ月を眺めましょう」

響「そうだな」

貴音「約束です」

響「うん、約束」






貴音「嘘ついたららぁめんのすぅぷ千杯のーます、ですよ」

響「いやそれはキツすぎるだろ」


おわり

一日遅れたし短いけどひびたか書きたかったんです
というわけでおしまい

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