透華「純の里帰りですわ!」 (60)

本編からだいたい1年くらい前
透華「わたくし達の麻雀部をつくりますわ!!」の後日談みたいなものでー


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409976464

~秋・フランクフルト空港~

港内アナウンス『12:00発ヒースロー行き、まもなく搭乗手続き並びに荷物のお預かりを終了します。まだ手続きのお済みでないお客様は…』


ザッ


純「一年ぶりのドイツ…か。まあこれくらいじゃ、やっぱ大して変わってやしねーな」

一「いやー、でもボクは懐かしいよ。あれから一年近く経ったんだねえ」ヒョイッ

透華「オーッホッホッホ!JAPANのアイドル、家族を伴い久方ぶりのドイツ推参ですわ!」ババーン

智紀「位置情報を取得…出口までの最短経路を検索…」ピッピッピ

衣「独逸だ、獨乙だ、輭紅塵中!外つ国人がいっぱいだー」ピョンコピョンコ

純「………ハァ…」ガックリ

~一週間前・龍門渕邸~


純「透華ー」

透華「なんですの?」

純「ワリーけどオレ、しばらくここ留守にするわ」

透華「それは構いませんが…どこかに用事でもありまして?」

純「実家(ギーセン)。インハイ終わって麻雀部の活動も一区切り着いたことだし、一度顔見せに帰ろうかってな」

透華「あら、そうですわね。一度ご両親の元に戻るにはいい頃合いかもしれませんわ」

透華「しっかり報告して安心させておあげなさいな」

衣「純の故里か!衣も行きたい!」

純「あのな、近所のデパートの屋上に遊びに行くんじゃねーんだぞ」

智紀「今は寒くもなく暑くもない。歴史ある街並みを歩くにはいい時期…」

一「そうだねー。あのときはバタバタしててほとんど観光も出来なかったし」

純「いや、だからオレは連休中にちょっと寄ってすぐ帰ろうと…」

透華「そういうことでしたら、話はカンタンですわ!!ハギヨシ!」パチンッ

ハギヨシ「お呼びでしょうか、透華お嬢様」シュタッ

透華「5名分のドイツ行き航空チケットの手配を!それと念のため連休前後の一日を休校申請しておきなさい!」

ハギヨシ「承知致しました、透華お嬢様」

純「…おーい、誰かオレの話聞いてっかー?」

透華「ロンオブモチ!出発は来週金曜、オヤツは300円まで。ただし現地調達は自由!ですわ!!」

智紀・一・衣「「ハーイ!」」


・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

純「………ハァ…」

一「どうしたのさ、さっきから溜息なんかついたりして?」

純「国広くんと智紀、絶対わかってて話に乗ってただろ…」

一「ボクはただ、みんなで出かけたら楽しいだろうなって思っただけだよ」フフ

智紀「泣く子と衣には勝てない…」ニヤリ

一「まあ気持ちは分からなくもないけどさ。ここまで来ちゃったんだし、もう諦めなよ」

純「諦めならついてるよ。去年金髪の妙なネーちゃんがオレを訪ねてきた日に、とっくにな」

一「アハハ、それもそうだね」

純「しゃーねえ、こうなったらお上りさんどもの案内人になってやるか」

純「つってもギーセンにゃ特にめぼしいもん無いから、周りのデカい街メインになると思うけどよ」

一「うん、それでいいと思うよ」

智紀「どこに行くかより、誰と周るかが旅行は大事…」

透華「あなたたち、何をしていますの!!早く行きますわよ!」

衣「巧遅は拙速に如かず!衣はあの赤い電車に乗りたい!」

純「はいはいっと」

一「うん、今行くよー透華ー」

~9:00 フランクフルト中央駅~
http://i.imgur.com/FXHhtmV.jpg


透華「着きましたわ!」

一「うーん、さすがに趣のある建物が多いねー」

純「向こうに流れてるでかい河がマイン河、まあこの辺りから東側にかけてが街の中心だな」

純「女神ユスティシアの噴水がシンボルになってるレーマーベルク(旧市庁舎広場)は、特に観光のメッカになってる」

純「ちなみに空港から、ここまで乗ってきたのはSバーンっていう郊外列車だ」

純「空港~市内有効の一日乗車券が5.05ユーロで便利なんで今回は人数分買っといた」

透華「空港から電車で15分というのはラクチンでいいですわね」

一「行きは信州まつもと空港からだと乗り継ぎが面倒すぎて、愛知のセントレアから乗って来たくらいだしねえ」

智紀「お屋敷から空港までの所要時間、3時間20分…」

衣「衣も一寸眠かったぞ」

透華「これはそろそろ我が龍門渕もプライベートジェットを導入するべきかもしれませんわね」

透華「お父様に掛けあってみようかしら」

純「お前が言うと冗談に聞こえねーんだよ…。つーか衣はどこでも寝てるだろうが」

http://i.imgur.com/EkqYs7G.jpg

透華「あら、向こうの建物も観光客らしき方たちが大勢いますわね」

純「ああ、なんつったっけ。有名な作家の家とその博物館だよ」

智紀「ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ…」

智紀「当時のヨーロッパを代表する作家、科学者、政治家、法律家」

智紀「18世紀後半にドイツで起きた文化運動シュトゥルム・ウント・ドラングの旗手となった…」

衣「父君が蒐集していた明治時代の蔵書にあったから、衣も『ゑるてる』は読んだことあるぞ」

衣「その筆致、まさに疾風怒濤!」

純「あー、そいつそいつ。主人公がウジウジしてムカついたんで、オレは最初の10ページで寝ちまったけどな」

純「じゃあ、次はビル街いってみるか。誰かさんの好きな高い建物がわんさか建ってるぜ」

衣「うむ、大廈の高楼はいつ見ても胸踊るものだ!」

一「っていうか、さっきからずっと見えてるけどね。あれだけ高いビルが並んでると夏に行った新宿を思い出すなあ」

~11:00カイザー通り・ユーロタワー前~
http://i.imgur.com/yzDKsX1.jpg


セーラ「デッケー!めっちゃ高いな、通天閣1.5本分くらいやろか」

竜華「ガイドブックによると、これでもこの街で15番目くらいの高さのビルらしいで」パラパラ

竜華「中にECB(欧州中央銀行)っていうのが入ってるんやって」

怜「見上げるだけでムチ打ちになりそうや。竜華のムチムチのフトモモで癒されんと…」ゴソゴソ

竜華「ちょっ、怜。ここじゃアカンって///」

警備員「……………………」ジーッ

セーラ「向こうから武器装備したオッチャンがゴッツこっち見てんで。俺ら不審者扱いされてるのと違うか」

怜「そらアカンな。次目が覚めたら病院やなしに留置場の中っていうのはカンベンや…って、あれ?」

竜華「ん、どないしたん?」

怜「あれ、龍門渕の人らやない?」

セーラ「龍門渕って、あの龍門渕高校か」

怜「うん、向こうから歩いてくる5人組。特に真ん中のちっこい女の子…」

竜華「ホンマや!天江衣ちゃん!」ダダダッ

竜華「うわーっ、間近で見ると余計に可愛らしいなあ」タカイタカーイ

衣「?????」

純「なんだなんだ」

智紀「衣が浮いた…」

透華「人さらい?新手の人さらいですの!?」

一「いやいや、さすがにそれは無いと思うけど…。っていうか、この人達…」

セーラ「ええかげんに帰ってこんかい」ズビシ

竜華「アイタっ!」

怜「お騒がせして、スンマセン。うちの相方、可愛いモン見るとたまにネジ外れますねん」

透華「まあうちの衣は可愛いから仕方ありませんわね。あら、あなた方…どこかで見たような…」

一「…千里山女子高校麻雀部、の方ですよね?」

純「ああ、インハイでオレらと逆ブロックだった…。確かにあんたら二人決勝のテレビで見た覚えあるわ」

セーラ「知っとってくれたんなら話は早いな」

セーラ「俺は江口セーラ、あっちでおたくの大将抱えあげてる残念なんがうちの新部長の清水谷竜華や」

セーラ「そんで、こっちが…」

怜「園城寺怜いいます、よろしゅう」ペコ

透華「龍門渕透華ですわ、こちらこそよろしくお願い致します」

透華「園城寺さんも麻雀部の方ですの?」

セーラ「せや!今はまだそんな有名でも無いけどな。近い将来全国にその名を轟かすで!」

怜「そら大変やなあ、無名の今のうちにゴロゴロしとこ」ダルーン

竜華「もうー、あんたのことやねんで」テクテク

セーラ「おう、色んな意味でお帰り竜華」

智紀「園城寺怜…個人戦の出場記録、無し。2年夏次までの団体戦の出場記録、無し」ピッピッピ

竜華「…!」

智紀「今秋の地区大会から団体戦に出場、ポジションは先鋒」

智紀「大会での総得点は荒川憩、江口セーラに次ぐ北大阪3位。特記事項、全63局通じての放銃率0% 立直一発率92%」

竜華「メッチャ詳しいな。新聞や雑誌でもまだそないに詳細には紹介されてへんかったはずやのに」

セーラ「これ自作のツールなん?フナQが見たら舌なめずりして欲しがりそうやな!」

智紀「…………」

一「衣の次は、ともきーがモテモテだ。大阪の人たちは見る目があるねえ」

純「ああ、ありゃ微妙に嬉しい時の顔だな。年近い連中に褒められ慣れてないもんだから、照れてるぜ」クックック

竜華「ハッ!アカンアカン!せっかくのバケーションで麻雀モードになってる!」

怜「名門のサガやなー、せやからウチはその為に無理してゴロゴロしてるんやで。見習って」ダルダルーン

セーラ「ホンマかどうかは置いといて一理ある。こっからは観光モード100%中の100%や!」

セーラ「俺らは修学旅行でこっち来てん。あんたらもそうなん?」

透華「いいえ、何を隠そう純の里帰りですわ!」

衣「なのだ!」エッヘン

純「なんでお前らが誇らしげになる…」

竜華「へー、こっちに実家があるんや。なんやカッコええなあ」

セーラ「この分やとウチらの他にも別の学校が来とるかもしれへんな」

透華「そうですわ、ここでお会いしたのも何かの縁。よろしければ、お昼をご一緒しませんこと?」

怜「ええの?」

セーラ「おー!二人に遠慮して黙っとったけど、実は腹ペコだったんや!」

怜「ガイドブック、さっきからレストランのページばっか見てたけどな」

セーラ「おう、怜と一緒にな!」

竜華「地元の人おってくれたら心強いわ~。喜んでご一緒させてもらいます」

純「んじゃ、せっかくだからちょい歩いてザクセンハウゼンに行くか。あそこは伝統的なドイツ料理の店多いからな」

~12:00 ザクセンハウゼン地区・レストラン街~


竜華「へー、日本語のメニューも出してくれるんやね。微妙なカタカナ多めやけどありがたいわー」

純「まあ店にもよるけどな。アメリカやアジア圏からの観光客も多いからわりと外国語に対応してくれるとこは多いぜ」


メニュー

アップルワイン・炭酸割り/無し(1.8ユーロ)

ブラッドソーセージ入りじゃがいもクリームスープ(3.6ユーロ)

クレープ入りコンソメスープ(3.6ユーロ)

スペアリブス,ザワークラウトとパン(8.0ユーロ)

アイスバイン(塩漬け豚肉煮込み),ザワークラウトとパン(8.5ユーロ)

豚すね肉のロースト,ザワークラウトとパン

塩ゆで牛胸肉グリューネゾーセがけ,塩ゆでジャガイモ(9.5ユーロ)

豚の肩ロースのグリル,キャベツサラダとフライドポテト(14ユーロ)

etc…

http://i.imgur.com/3KHt45b.jpg

一「お肉料理の種類多いなあ」

純「まあ概ね肉とジャガイモだ。あと基本的に量が多い」

智紀「このザワークラウトというのは…」

純「日本風にいえば千切りキャベツの漬物だな。肉料理の付け合せなんかに使われる」

純「ちょいとクセあるけど、衣大丈夫か?」

衣「むう~。衣おねーさんを見縊るなよ」

セーラ「しっかし表のズラッと並んだテラス、どこの店も昼間から大勢飲んでるな」

純「まあ今日は土曜だし天気もいいからな。ビールか名物のアップルワインで陽気に呑んだくれてるオッサンだらけだよ」

怜「そら夢のある国やなー。老後はここに住もか」

竜華「若くして真理に到達するのはもう少し先にしとき」

セーラ「ふぃー、食った食った」シーシー

竜華「お行儀悪いで、セーラ。でもホンマ美味しかったです、ありがとうございました」

透華「こちらこそ、楽しい時間が過ごせましたわ」

透華「ですが、もし試合で当たれば容赦はしませんわよ!」

セーラ「おう!あったり前田のクラッカーや!お互い全力を尽くそうで!」

衣「トーカの言や可し!嚮後を見透すその眼が海の先を汲取ること能うか…」

衣「全き打ち手との邂逅、衣は想望しているぞ!」

怜「…お手柔らかに」

一「旅先での出会いも、いいものだね。それじゃあボクたちも行こうか」

智紀「次の目的地は、駅…」

純「またちょい人通り多いとこ行くからな。迷子になるなよー衣」

衣「だから衣はこどもじゃっ……!」ピクッ

透華「…?衣、どうかしましたの?」

衣「……心做し、か…」



照「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ポツーン

とりあえずここまででー
時間あったら今日中にもう少し投下しようと思います
結構前の話なのに前作知ってる人いてくれて嬉しい
ころたんイェイ~

~30分前・ザクセンハウゼン屋台通り~
http://i.imgur.com/WdPH60R.jpg

照「……」ジーッ

屋台のオッサン『そこの東洋人のネーちゃん、観光かい?うちの菓子はアツアツで、どれも美味いよ!』

照「……」ジーッ

屋台のオッサン『ん?どうした、ひょっとして金持って無えのか?』

照「……」ジーッ

屋台のオッサン『い、いや…オッチャンもこれ商売だからタダってわけには…』

照「……」ジーッ

屋台のオッサン『わーった!オッチャンの負けだ。焼いたバウムクーヘンの余り、これ持ってきな!』

照「…………」コクン

※以下4軒ほど繰り返し

照「ドイツはいいところ…」モグモグモグ

照「…あれ?みんながいない。どこかで迷子になってるのかな」キョロキョロ

照「やれやれ、まったく菫はしょうがないな。と言って、私は冷静に電話を取り出した」スチャ ピッピッピ


『ツー・ツー・ツー・・・・』


照「…………」

~13:30 聖バルトロメウス大聖堂~


『ツー・ツー・ツー・・・・』


菫「…………」

菫「ダメだ、通じない。あいつのキッズケータイ、海外仕様になって無かったのか…」

菫「こんなことなら、せめてスマートフォンジュニアに変えさせておくべきだった…」

クラスメイトA「アルテ橋渡る前までくらいは確実にいたよね?」

クラスメイトB「お菓子の屋台が並んでる通りがあったけど、もしかしてまだそこかも」

菫「あのバカ…」

~再びザクセンハウゼン~


照「ま、まだ慌てる時間じゃない…確か困ったときは、電話の先に付いているヒモを引っ張ると言われたような…」グイッ


ビー!ビー!ビー!


警官『どうしました!?』ダダダ

照「あわわわわわわ!ダ、ダンケグート(はい、元気です)!!」オロオロオロ アタフタアタフタ


ワーワー


美幸「梢ちゃん、なんだか向こうの方が騒がしいね」

梢「そのようですね。というか、日本語らしき悲鳴が上がっているような…」

美幸「行ってみようよ、もー」

照「グーテンターク(こんにちは)!ビスモルゲン(また明日)!ヴァスコステット(これいくら)!」

警官『まいったな、東洋のパフォーマーか何かだろうか…』

梢『すみません、少しよろしいでしょうか』←英語

警官『ん、どうかしたかね?』←英語

梢『彼女は私たちの友人です、はぐれてしまっていました。手違いでお騒がせして申し訳ありません』

警官『ああ、そうなんですか。気をつけるように注意してくださいよ』

梢『はい、お仕事お疲れ様です』フカブカ

梢「…………さて…」クルッ

梢「白糸台高校の宮永照さんとお見受けしましたが、何かお困りでしょうか?」

美幸「良かったら私たちに話して欲しいのよ、もー」

照「か、神様…」ウルウル

梢「…はい、それではよろしくお願い致します」ピッ

梢「日本の白糸台学舎経由で連絡をつけていただきました」

梢「幸い近くに探しに来ているとのことなので、迎えの方がすぐにいらっしゃるそうです」

照「ありがとう、ものすごく助かった…」

美幸「それじゃあ、近くのカフェで待ってようか?」

美幸「それにしても、なんだか意外だね」

美幸「こうして一緒にお茶してると、テレビで観たのとはイメージが全然違うよー」

照「たまに言われる。自分ではあまりわからないけど…」

梢「チャンピオンも私たちと同じ高校生ということでしょうか」フフ

菫「照!こんなところにいたのか!!」

照「あ、菫」

美幸「どうやらお迎えが来たみたいだねー」

照「うん、二人はこれからどうするの」

梢「洋菓子店巡りですね」

美幸「私たち茶道をやってるんだよ」

美幸「だからドイツのスイーツがお茶菓子の参考になるか興味あったんだー」

梢「濃茶と薄茶それぞれに合う洋菓子があるか、色々見て回ろうかと」

照「それは素晴らしい。旅は道連れ、これから私も…

菫「 い い か ら 行 く ぞ 」

照「はい」クルッ

菫「お二人にはお世話になった、私からも礼を言わせていただく。次は全国で会えたらいいな」

照「?」

菫「お前はいい。迷子にならないようにだけ気をつけていろ」

照「よくわからないけど、改めましてどうもありがとう。このご恩は忘れません」ペッコリン

菫「それでは失礼する」


美幸「…行っちゃった。私たちのこと、知ってたみたいだねー。なんだかやる気が出てきたよ」

梢「はい、我々も負けてはいられませんね。次は近畿大会です、帰ったら出来る事から始めていきましょう」

美幸「うん。頑張ろうね、もー!」

今日はここまででー
次回更新は来週土曜の予定です

皆さんどうも!今回紹介するオススメのSSはこちらです!!


闇条さんとフレンダさん☆3巻再構成
闇条さんとフレンダさん☆3巻再構成 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409244833/)

文句がありましたら上記のスレの>>1へどうぞ!!
皆さんのこと、お待ちしております!!

闇条「待ってるぜ!」

フレンダ「待ってるって訳よ!」

それではまた会いましょう!

~16:00 ハノーヴァー中央駅~


衣「ZZZZZzzzzzzz…………」スースー

一「フランクフルトから直通の電車で2時間半、やっと着いたね。ここはどんなところなの?」

純「それは…

智紀「ハノーヴァーは世界最大のコンピュータ見本市であるCeBITが開かれる場所!」

智紀「それはまさしくあらゆる情報・通信・デジタル機器&システムの統合見本市!」

智紀「同分野の世界中のメインプレイヤーが出展し、その最新技術を展示している!!」

智紀「ビジターの質が高く、購入決定者、または決定に関与するビジターの割合が高いのも特徴で…

一「そ、そうなんだ。ありがとう、ともきー…」

純「今年の分は春にもう開催済みだけどな。まあ教育機関が色々揃ってる学術都市なのは確かだ」

透華「そう!そして、ここにはCERMがあるのです!!」

衣「せるん…?その唐繰仕掛けの街で如何な用向きだ?」ムニャムニャ

一「おはよう、衣…と言ってるあいだにまた寝ちゃった」

一「まあ起こすのはそこに着いてからでいいかな。それでセルンっていうのは…」

純「Consulting European for Research Mahjong」

純「意訳すると欧州麻雀研究理事会ってとこだな」

純「世界中から研究者集めてオカルト・デジタル,プロ・アマ問わずあらゆる方向から、麻雀の解析をしようって機関だ」

純「一度顔出してみねーかって、オレにも何度か誘いが来てた」

透華「こちらの施設は、お祖父様も出資者の一人に名を連ねておいでなのです」

透華「今日わたくしたちが訪れる旨の話は通してありますの」

透華「ここからタクシーで20分程らしいですわ!早速まいりましょう!!」

透華「Taxi! Bitte bringen Sie mich zum CERM!」バッ!

純「ったく、長旅から着いて今日は移動しっぱなしだっつーのに…」

純「あいつの辞書には疲れるって文字は無いのかよ。付き合う方の身にもなって欲しいぜ」

一「…でもホント、元気が出て良かったよ」

智紀「インターハイ後しばらくは抜け殻のようだった…」

純「なんでもかんでも抱え込み過ぎなんだよ。準決で敗けたのは、あいつだけのせいじゃねーのに」

一「衣に戦わせてあげたかったんだよ、あの先の相手の人たちと…」

純「まあ大丈夫だろ。本人は認めたがらねーだろうけど、透華は負けて強くなるタイプだからな」

純「立ち直ったらあとはすぐだ。その直接のきっかけがネトマってのが笑えるけどよ」

一「…ボクは、ちょっと悔しかったかな。あの人を見つけた時の透華の目の輝きようは…」

智紀「最強ネット雀士のどっち…」

純「ああ、オレも一度リアルタイム観戦で見たがありゃ見事だった」

純「どんなときでも絶対に切り間違えない打牌選択、それも毎回思考時間なんて無いかのように瞬時にだ」

純「強えー奴なら99%正しく打つことは出来る、99.9%だってやれなくは無いだろうさ」

純「でも、100パーは無理だ。普通ならな」

純「ヤツは普通じゃない。運営のプログラムなんて言われてるのも分かる気がするぜ」

純「それに透華が憧れるのもな。けど…」

智紀「けど…?」

純「どうも、それだけじゃねー気がするんだよ」

ちょっと短いですけどとりあえずここまでで
今日中にもう少し更新できれば

一「それってどういうこと?」

純「例えばある状況で牌を切った時、次に有効牌を引く確率が20%だったとする」

純「だが、のどっちが切った場合にだけ30%に上がるとしたら?」

一「あ、ありえないよ!それこそ誰かの操作でも入ってない限りネット麻雀でそんなこと!」

純「例えばだって言ったろ。ただそれに近いことが起きてるんじゃないかってな」

智紀「のどっちのレーティングは2300。確かにこれはデジタルだけで通常たどり着ける域を超えている…」

智紀「数千局の牌譜の総計で同じことが起きるなら有意差といえるかもしれない…」

純「そうだな、デジタル的な最適解を最速で選択し続けることで確率が応えるっつーか」

智紀「確率が確率を超える?」

純「ああ、そんな感じだ」

一「うーん、純くんっぽいようならしくないような…」

純「オレも考えがまとまってるわけじゃねーしな」

純「それにどっちにしろネット対戦の話だ。実際の試合で当たるわけじゃねえ」

一「もし…実際の対戦で同じようなことをしてくる相手がいたとして、純くんは勝てると思う?」

純「正直、わかんねー。流れを変えてもお構いなしって相手がいるのは嫌ってほど思い知らされたしな」

一「おっ、経験者は語るねえ」

純「衣もそうだけど、ノッてるときのあいつらは反則みたいなもんだからなあ」

智紀「そのわりには楽しそうだったと聞いた…」

純「…まあ悪くない気分じゃ、あったさ」

純「だからその時は、あそこで張り切ってるオレらの部長に倒してもらおうぜ」

透華「あなたたち何を話し込んでいますの!?タイム・イズ・点棒ですわよ!!」

~16:30 CERM・ゲストフロア~


所長「遠路はるばる、ようこそ日本のお嬢さんたち」

透華「龍門渕透華です!依頼を快諾していただき感謝いたしますわ!」

所長「いえ、あなたの祖父上・父上には多大な貢献をしていただいているしね」

所長「それにどのようなことであれ麻雀の発展は我々の目指すところと合致する」

所長「今日は、この機関の一通りのレクチャーと今後の協力体制の構築確認ということで良かったんだったかな?」

透華「ええ、お願いいたします」

所長「時間があまり無いようで残念だよ。本当はゆっくり滞在してもらって、色々調べてみたいんだけどねえ」

所長「君たちみんな面白そうだ…」キラーン

純「…おいおい、なんかあのオッサン目が座ってるぜ。大丈夫なんだろうな、ここ」ヒソヒソ

一「うーん、悪い人じゃ無いんだろうけど…」

智紀「あれはマッドのオーラ…」

純「本格的にヤバそうだったらダッシュで逃げよう。おい、衣。そろそろ起きろ」ペチペチ

衣「にゅ?夕餉の時刻か…?」

所長「どうしたんだい、何か分かりにくいことでもあったかな?」

一「い、いえ。それにしても、日本語お上手ですね!」

所長「ボクは大体の国の言葉は話せるよ。ここには世界中から研究者が集まっているからね」

所長「ドイツ・アメリカ・フランス・イギリス・インド・中国・ブラジル・それに日本」

所長「様々な国の人間が広大な敷地で日夜研究に励んでいる」

所長「今日、君たち以外の学生もどこかに来ているかもしれないな」

~同時刻・環境エネルギー研究棟~


研究員A『はい、お疲れ様。楽にしていいわよ』ピッ

明華『お疲れ様でした』フゥ

研究員A『さすがソフィア・アンティポリスが生んだ最高傑作。興味深いデータが取れたわ』

明華『そうですか、私としても久しぶりに思う存分歌えたのはありがたかったです』

研究員A『それで?これからフランスに戻るの?』

明華『いいえ、日本に行くことになりました。東京のリセ(高等学校)からお誘いをいただいたので』

研究員A『へー、日本か。あそこもスコヤ・コカジはじめ、面白い選手多いからね。私も行きたいくらいだわ』

明華『ええ、楽しみです。あ、キャビアお替わりください。クラッカーは2枚でいいです』モグモグモグ

研究員A『…あなた、日本に行ったら新しい好物見つけた方がいいわよ…』

~18:00~


透華「あら、もうこんな時間ですか」

透華「わたくしたちは、もう少ししてからホテルに向かいますが、純はそろそろ出た方が良さそうですわね」

純「ん?お前らも来るんじゃねーの?」

純「龍門渕の屋敷に比べりゃ大したことねーけど、4人くらい余分に寝られるスペースはあるぜ」

透華「いくらわたくしでも、久々の親子水入らずを最初からおジャマするほど野暮ではありませんわ」

透華「明日、改めて訪ねさせていただきます」

一「行っておいでよ、純くん。きっと喜ばれると思うな」

智紀「ここからギーセンまでの所要時間約100分…」

衣「廿四孝も遑あらず。父君、母君に尽くすのは良いことだぞ、ジュン」

純「…わかったよ、じゃあまた明日な」

~21:00 ギーセン郊外の一軒家~


純「たでーまー」ガチャ

純ママ「おかえりなさい。お父さん、純が来たわよ」パタパタパタ

純パパ「聞こえている。次に帰ってくる時は世界チャンピオンじゃなかったかな?」

純「ぐっ、このクソ親父…帰ってきた娘への第一声がそれかよ」

純ママ「でも一年生だけで県大会優勝、全国でもベスト8でしょ?凄いじゃない」

純「まあ団体戦だしな、うちのチームは変わったのが多いんだよ。いや、つーか全員か…」

純ママ「あなたたちの特集記事見たけど、ずいぶんかわいい子がいるのよね」

純「そうそう!こいつがほんとケッサクな奴でさー……」

純パパ「…………」

翌日~8:30~


純「ふわ~ぁ、はよ」トントントン

純ママ「おはよう、純。よく眠れた?」

純「ああ、まあね。オレの部屋が出てく前そのままだったのはびっくりしたけどさ」

純ママ「ちょっとは片付けた方がとは思ったんだけどね」

純ママ「お父さんがそのままにしておけっていうもんだから」

純「…………あっそ」

純パパ「どうせそのうち戻ってきた日に汚されるんだから同じことだと言っただけだ」スタスタスタ

純ママ「あら、お早うございます」

純ママ「ああ見えてあなたの様子、なんだかんだで気にしてるのよ」コソッ

純ママ「試合の結果をインターネットでチェックしたり…」

純ママ「日本の同僚の方に麻雀雑誌を送ってもらってるのも、お父さんなんだから」

純パパ「余計なことは言わなくていい」

純「あれ?朝から随分豪勢なメシだな」

純ママ「そりゃあそうよ。16歳の誕生日おめでとー、純!」

純「…あ、そういえば今日か。時差もあったから日付覚えてなかったわ」

純(ってことは昨日のも…あいつら、余計な気回しやがって…)

純ママ「何言ってるの、ここ数年自分の誕生日なんて気にしたことなんか無かったくせに」

純ママ「ああ、こんな娘でも小学校に入るくらいまでは、お母さんの作るケーキを隣で目をキラキラさせて見てたものだけどねえ」ハァ

純ママ「名前の通りあんな純真だった子が、一体どこで道を間違えたのやら…」

純「わーったよ!今年はありがたく味わって食うから!」

純パパ「純」

純「ん?」

純パパ「お前は今やりがいをもって日々を過ごしているか?」

純「…ああ、それは間違いない」

純パパ「ならばいい。…コーヒーを淹れてくれ」

純「はいよ」トポトポトポ

ピンポーン


衣「ジュンー、来たぞー」

透華「来ましたわ!!」

純「げっ、あいつらもう来たのかよ。一体何時にホテル出てきたんだ…」

純ママ「あら、ちょうどいいわ。純、ご飯食べてってもらいなさいな。お母さん張り切って作りすぎちゃった」

純「ったく、どいつもこいつも…」ガシガシガシ

純「どうぞ」ガチャ

一「おじゃまします。あれ?純くん、どうしたのさ。朝から何かいいことでもあったの?」

純「なんでもねーよ。………ようこそ、オレんちへ」

~翌々日17:00 長野・龍門渕邸~


透華「ただいま戻りましたわ!」

衣「只今帰着!」

ハギヨシ「お帰りなさいませ。皆様お元気なご様子、何よりでございます」

智紀「留守にしていたあいだのランキングと遠征報酬を確認…」カタカタカタ

純「ふー着いた着いた。ギーセンじゃ、しかめっ面のオッサンがいてくつろげなかったからなー」

一「もー、またそういうこと言うー」

一「でも確かにやっぱりここが一番落ち着くね、しばらくはゆっくりしてようか」

透華「得るものの多い、なかなか有意義な旅でしたわね!」

透華「さあ!次は智紀の実家か一のお父上のところに行きますわよ!」

衣「衣は”ろまんすかー”というものに乗ってみたい!」

透華「それでは予定を建てましょう!ハギヨシ、時刻表最新号と全国駅弁ガイドの用意を!」パチンッ

ハギヨシ「承知致しました、透華お嬢様」

純「はぁーやれやれ。帰って早々、忙しないことで」

智紀「透華と衣には勝てない…」

一「まあボクらもついていくだけだよ」フフ

透華「おやつは300円まで!ただし、現地調達は自由!ですわ!!」

純・智紀・一・衣「「ハーイ」」



積(カン)!

以上です。ここまで読んでくれた人、ありがとうございました!

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