周子「左利きってなかなか不便なこと多いよね」 (76)

モバP「日本一になるって言っただろ? お前昔を思い出せよ!」
の続きのお話みたいなものですが、一部キャラが続投してるくらいなので前のやつは読まなくても大丈夫です。

また、 ありす「Pさんに認められた方が」 桃華「大人、ですわね?」
から続くシリーズの番外編みたいなものですが、特にそれらは読まなくても本編上ではあんまり関係無いです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409967063

周子「あっついー……」

周子「夏ってさ、どうしてこんな暑いんだろうね」

周子「南半球だと、季節が逆だって。オーストラリアだと今は冬みたいでさ」

周子「ってことは……今オーストラリアに行って雪を満喫して、春先に日本に戻れば、ちょうど秋真っ只中の涼しい時期になるね」

周子「そんで雪が降り始めたらまたオーストラリアに行くと、暖かな春先」

周子「これは良いかもしれない。今後の目標にしよーっと」

幸子「何一人で妙な事言っているんですか?」

周子「おや、幸子ちゃん。おっはー」

幸子「おっはー……って今昼ですし。というかずっといましたけどね!」

周子「マジ? ごめーん、カワイイから全然気が付かなかったー」

幸子「そ、そうですか? ふふん、それなら仕方ないですね! ボクはカワイイですから許してあげましょう!」

周子「せんきゅー」


塩見周子(18) http://i.imgur.com/C9Xhyok.jpg

輿水幸子(14) http://i.imgur.com/ar09hgB.jpg

幸子「あっ! 一人でアイス二本も食べるとかずるくないですか!」

周子「えっ? いやほら、あたし和菓子屋の娘だし」

幸子「関係なくないですか?」

周子「和菓子屋の娘は甘いアイスクリームを数本食べられるという、そんな星の下に生まれているからね」

幸子「なんですかそれ……」

周子「しょうがないから、このバニラ味を幸子ちゃんにあげよう。んまいよー」

幸子「あ、ありがとうございます」

周子「あれ、そういや何で幸子ちゃんここにいるんだっけ?」

幸子「周子さんが! 呼んだんでしょう! ボクを!!」

周子「あー、あー」

幸子「わざわざ社長もPさんもいない土日でしかもオフの日なのに、事務所に来てって言うから何事かと思ったのに」

周子「涼しいでしょう?」

幸子「そりゃ事務所のクーラーをガンガンにしてアイス食べれば涼しいでしょうね」

幸子「というか、よく鍵借りれましたね」

周子「借りてないよ。社長が合鍵をとある場所にしまっていてさ、それ使った」

幸子「それマズイんじゃ……」

周子「幸子ちゃんが秘密にしとけば、問題無いから大丈夫」

幸子「えー」

周子「ふっふっふー」

周子「幸子ちゃんは鍵のこと知らなかった?」

幸子「普通知らないですよ、事務所の合鍵の隠し場所なんて」

周子「そっか、ここに所属している人は大体みんな知ってたりするんだけどねー」

幸子「本当ですか?」

周子「知ってても知らないふりというか暗黙の了解というか。アイドル達の秘密だね」

周子「静かな事務所で一人ぼーっとしていたい人だっているのよ」

周子「そーだよねー、ぼののちゃーん」

乃々「!」


森久保乃々(14) http://i.imgur.com/FprbApb.jpg

幸子「あれ、乃々さん? いたんですか!?」

乃々「ず、ずっといたんですけど……」

幸子「あぁ、机の下が定位置ですもんね……」

乃々「なんで周子さんは……私がここにいると……」

周子「和菓子屋の娘は隠れている人も見つけられるという、そういう特殊能力持っているから」

乃々「関係あるんですか……?」

幸子「さぁ?」

周子「んっふっふー」

周子「マジな話をするとねー」

周子「Pさんって几帳面だから、席を外す時にはかならずピシっとイスを戻すの」

周子「今日みたいな休みの日だと机の上とかもばっちり整理して帰るから、イスだけ乱雑に席から離れてたら、乃々ちゃんが来てるのかなぁって」

幸子「乃々さんも鍵の場所を?」

乃々「たまに来てますけど……」

周子「わざと気付かないふりして、いつ出てくるのかなーって観察してた」

乃々「い、いぢめですか……? もりくぼいぢめ、ダメゼッタイ、です」

周子「いいかね二人とも。他人って、意外と細かぁいところを見てんだよー」

周子「特に幸子ちゃんとかCDデビューしているんだから、気が付かないところでみんなに見られているよ」

幸子「ボクはカワイイですからね! みんなが見ちゃうのも仕方ないですね!」

周子「そういうことじゃないけど、そういうことでいいや」

乃々「ポジティブすぎる……」

周子「これくらい豪快なほうが良いのかもねー」

周子「ぼののちゃん、相方は今日来てないの?」

乃々「相方って……今日は来てませんけど……」

周子「輝子ちゃん不在かー。家でキノコの面倒見ているのかな」

幸子「休日だから休んでいるんですよ。事務所は別荘じゃないんですから」

周子「あたしはヒマな時にフラ~っと来るんだけどなー」

幸子「周子さんだけですよそれは」

周子「ぼののちゃん来てるやん?」

乃々「私は……静かなところで、その、一人でいたいだけなんですけど……」

幸子「あの、一つ良いですか?」

周子「どうしたん?」

幸子「さっきから言っているその『ぼののちゃん』って何ですか?」

周子「乃々ちゃんの真名」

乃々「違いますけど……」

周子「恥ずかしがっちゃってー」

乃々「違うんですけど……」

周子「この間デビューした佐久間まゆちゃんって知ってる? シンデレラガールズプロダクションの子」

幸子「知ってます。まぁ、ボクのほうが断然カワイイですけどね!!」

周子「あの子のファンからの愛称が『ままゆ』らしくてね」

周子「佐久間まゆ……さくままゆ……ままゆ……なーんて由来だとか」

周子「だから、乃々ちゃんの愛称も、森久保乃々……もりくぼのの……ぼのの……」

周子「ぼのの!」

乃々「響きがラッコの漫画みたいなんですけど……」

周子「愛称が付くと余計に愛されるよー」


http://i.imgur.com/S7FVe66.jpg

スーパーやっつけクソコラ
でも、ぼののはどちらかといえばシマリスくんのほうだと思う

幸子「周子さんの愛称……『しおみー』とかカワイイんじゃないでしょうかね!」

周子「しおみー! いいねぇ、それ! 超カワイイ!」

幸子「カワイイボクが考えたから当然ですよ! ふふーん!」

周子「やるねー。はい、じゃあ次はぼののちゃん」

乃々「え、な、何で私が……?」

周子「あたしがぼののちゃんの、幸子ちゃんがあたしの愛称考えたから、順番的にぼののちゃんが幸子ちゃんのを考えてみて」

乃々「えぇー……」

幸子「カワイイのをお願いしますね!」

乃々「いきなり言われても難しいんですけど……それじゃあ……」

乃々「幸子EX」


http://i.imgur.com/LvWPHOq.jpg

幸子「大御所さんとのネタ被りはマズイですよ!」

乃々「……ふと頭に出てきたのが、これなんですけど」

周子「幸子って名前だと、どうしてもこれ出ちゃうよねー」

幸子「たしかに字も同じですけど! もうちょっと何か無いですかね?」

乃々「ほ、他?」

周子「サッチー!」

幸子「それも、ある意味大御所さんなのでちょっと」

周子「難しいなぁ。さっちゃんは?」

幸子「さっちゃん……小さいときはそう呼ばれてたりはしましたね」

周子「さっちゃんはねぇぇぇ……幸子って言うんだ本当はねぇぇぇ……」

周子「さっちゃんの噂話って、みなさん知っていますか……?」

周子「この噂話を聞いてしまうと……さっちゃんに手足をちょん斬られてしまうという、とても怖ぁいものなのです……」

幸子「急に何ですか!? 低いトーンで何言い始めているんですか!?」

周子「元ネタを知らない子もビビらせる。『学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!』は偉大だね」

乃々「も、もりくぼはもう帰りますから、手足斬らないでください……」

幸子「斬りません! おびえないでください!」

周子「ちなみに、手足を斬られないためにはバナナの絵を枕元に置けば良いんだよ。バナナそのものでも可」

乃々「ちょっとスーパー行ってきます……」

幸子「だから斬りませんってば!!」

周子「おっ? おおっ!」

幸子「どうしたんですか一体……」

周子「今気づいた。ここにいる三人には思いがけない共通点があります。さて、何でしょうか?」

幸子「共通点? それはもう、全員カワイイ! これですね! その中で一番カワイイのはボクですね!」

周子「ん~、正解にしちゃいたいけど、ちょっと違うんだよねー」

乃々「個性が強いとか……」

周子「うーん、まぁ強いよね。強いわ」

幸子「何でボクを見るんですか」

周子「正解は……ほら、ここ」

乃々「左手……?」

周子「この三人、全員左利きじゃん?」

幸子「あぁ、そういえば……」

周子「すんごいよねー。クラスに一人か二人かそれくらいの割合だってのにさ、ここに同性で三人も集まっているなんて」

乃々「言われてみれば、たしかにそうですけど……」

周子「あと左利きって誰がいるかな」

幸子「今ここにいない輝子さんと小梅さんも左利きですね」

乃々「け、結構多くないですか……?」

周子「小さいところだってのに五人も六人も左利きの子がいるとか、何なんだろうねこの事務所」

周子「さすがに全員左利きってことではないよね?」

幸子「ボンバー茜さんは右利きですね」

乃々「その呼び方だと、芸人みたいですけど……」


星輝子(15) http://i.imgur.com/PA8Ot4M.jpg

白坂小梅(13) http://i.imgur.com/bHhsnPH.jpg

日野茜(17) http://i.imgur.com/drj7gvs.jpg

※いずれも今回未登場

周子「全員がPさんのスカウトで来たわけじゃないけどさ、それにしてもPさんの連れてくる左利き率は高いよね」

幸子「ボクと周子さんはスカウト。乃々さんは?」

乃々「私は、親戚が勝手に応募して……」

周子「まさか……Pさんは左利きを寄せ集める特殊能力が?」

幸子「そんなまさか」

周子「でも偶然じゃあこんなに集まらないでしょー」

乃々「不思議といえば、不思議とは思いますけど……」

周子「Pさんは、左利きにしか性欲を感じない人間なんじゃない?」

幸子「ただの変態じゃないですか!」

周子「幸子ちゃんも左利きだから、そうだとしたらPさんの直球ド真ん中かもしれないよ?」

幸子「えっ……」

周子「想像してごらん。イマジンだよ、イマジン」

幸子「想像ってそんな……」

――――――――――――――――――――――――――――


モバP「幸子はカワイイな。とてもカワイイ」

幸子「カワイイボクですから、カワイイのは当然ですよ!」

モバP「本当にカワイイぞ。髪もカワイイしプロポーションだってもうさ……」

モバP「綺麗だよね……。輝いてるよね……」

幸子「そ、そんなにですか?」

モバP「そうだよ!」

モバP「自分の心に聞いてごらん? 心の声を聞け!」

幸子「聞かなくてもわかりますよ。カワイイことはわかっています!」

モバP「特に俺は、幸子のこの手が一番好きだ!」

幸子「えぇっ、手ですか?」

モバP「強い心を持つ。そのためには、心の根……しっかりとした根を作り上げることだ!」

幸子「ふふーん! 白くてすべすべなボクの手に、Pさんもメロメロなんですね?」

モバP「その左利きなところが何よりカワイイ!」

幸子「そこですか!?」

モバP「果物で一番好きなのはスイカ!」

モバP「でも、担当している子の中で一番好きなのは幸子!」

モバP「熱く気持ちを伝えようと思ったってさ、お前熱すぎるって言われんだ」

モバP「でも大丈夫、分かってくれる人はいる!」

モバP「そう! 俺について来い!!!」

幸子「いや、あんまり意味が……えっ、ちょ、Pさん……ダメですよ……こんな場所でそんな……」

幸子「あっ……」


――――――――――――――――――――――――――――

幸子「ま、まぁ悪い気はしませんね! Pさんが変な趣味を持っていても、ボクはカワイイから受け入れます! カワイイって罪ですね! ふふーん!」

乃々「ちょろい……」

周子「幸子ちゃんって悪い男に引っかかりそうだよねー」

幸子「全部聞こえてますからね!?」

周子「だってよ、ぼののちゃん」

乃々「え、えぇ……そこで振るんですか……」

周子「せっかくだし、この左利きオンリーの空間でぶっちゃけてみない?」

幸子「何をですか?」

周子「世の中、左利きには色々と不便にできているよねー」

幸子「たしかに」

乃々「そう思いますけど……」

周子「ならさ、発散しちゃおうよ。ここで。左利きのガールズトーク!」

周子「同意や納得はできると思うよ。これ面倒だな、これやりにくいな、って思うことは間違いなくあたし達全員同じ体験してるよ」

周子「三人ともずっと左利きで生きてきたわけなんだし」

幸子「一理ありますね。多少の不便さはボクも味わってますから」

乃々「私は、別に……」

周子「ホントにぃ?」

乃々「その、す、少しくらいは……」

周子「他に誰もいないしさ、右利きにはわからない気持ち、言っちゃおうよー」

周子「あと、そうでもしないとヒマなんだよね」

幸子「本音はそっちなんですか」

周子「『第1回 チキチキ左利きアイドルガールズトークバトル』! イェーイ」

乃々「い、いぇーい……」

周子「さぁ始まりました、事務所内トークバトル。ここでは左利きにまつわる、一種のあるあるネタを語ってもらいまーす」

周子「司会兼参加者の塩見周子です。よろしくお願いしまーす」

幸子「司会役うまいですね」

周子「そうかな? フツーだよフツー」

周子「まず最初に、当事務所きってのひな壇芸人枠、幸子ちゃんお願いします!」

幸子「何ですかその紹介!?」

周子「テレビとかラジオで紹介する時、こう言おうかなって思ってた」

幸子「アイドルです! 芸人じゃないですよ!」

周子「乃々ちゃんどう思う?」

乃々「あんまり、違和感無いと思いますけど……」

幸子「えぇっー!?」

周子「いいから幸子ちゃん。ほれほれ、はやくー」

幸子「はぁ……」

幸子「ごほん。ボクは何をしてもカワイイですし、左利きであるという点ももちろんカワイイ要素の一つです」

幸子「あと、カワイイボクは基本的に寛容なので、大抵のことは気にしません」

周子「さっき芸人って言われて反応してたやん」

幸子「気にしません!」

幸子「でも、どうしても気になってしまうものがあります」

幸子「毛筆。お習字です」

幸子「二人も習字の時に、先生から右手で書けって言われませんでしたか?」

乃々「あぁ……」

周子「あー、言われた言われた!」

幸子「ボクの通っている学校はそこそこのお嬢様学校ですが、習字は当然ありまして」

幸子「左利きだから左手で書こうとしたら、『左の人も右で書いてください』って」

幸子「先生も頭固いんだから、ホントにもう!」

幸子「何年も右手で書いてきた生徒達と、字はおろか右手ろくにを使ったことの無いボク」

幸子「これ勝ち目内でしょう。どう転んでも」

周子「経験値の差が大きくてねー」

乃々「無茶ですよね……」

幸子「結果、毎回ミミズが悶絶したような字が完成します……」

周子「あるあるすぎて涙出てくる」

周子「あっ、もしかして……勉強ノートの清書って趣味は」

幸子「そうです!!」

乃々「いっ……」

幸子「あ、すいません。大声出しちゃって」

幸子「せめて習字以外では負けまいと、ペンの字はうまくなろうと始めました」

幸子「今はもうクラスで一番の、カワイイどころかキレイな文字を書けますよ! どうですか! ふふーん!」

周子「すごいねー。まさにハングリー精神だねー」

乃々「私には……ちょっと真似できないんですけど……」

幸子「はい、ボクの番は終わりです! 次は乃々さん? 周子さん?」

乃々「私は……その、えっと……」

周子「あーい、そんじゃあたしが先に言うねー」

乃々「ど、どうぞ」

幸子「周子さんお願いします」

周子「まかせときなさいって」

周子「色々あるんだけど、どれにしようかな~、よし決めた」

周子「和菓子屋の娘ってのもあるんだけど、あたし食べるの結構好きなんだよねー」

周子「お菓子でしょ、コンビニに売ってるおでんや空揚げもだし、お祭りの時の出店とかもう天国だね」

周子「見かけちゃうともうダメ。ついつい食べちゃってさー」

幸子「外ロケの時にいつも何か食べてますよね……弁当以外にも」

周子「ガマンは体の毒だよ、毒」

乃々「その、太ったりとかは……?」

周子「毎日食べ歩いているわけじゃないからね。ほどほどにしてる」

周子「で、たまにファミレスで期間限定の珍しいメニューとかが登場すると、即行で足を運ぶんだけど……」

周子「そのファミレスが曲者なんよ」

周子「ファミレスって大抵どこもスープバーあるじゃん?」

周子「あのスープバーのレードルが……」

乃々「レードル……?」

周子「おたまのことだよ。おたま」

幸子「レードルとおたまの違いって何でしょうね?」

周子「違いかぁ、どうだろう? あたしもわかんないや」

周子「スープバーにあるおたまって、片方がとがっていて涙マークみたいな形になってるでしょ?」

乃々「あぁ、なるほど……」

幸子「ボクも周子さんが何言いたいのかわかりました!」


ファミレスによくあるタイプのおたま http://i.imgur.com/kwjt5pZ.jpg

周子「さすがは二人とも。同じ左利きなだけあるね」

周子「右利きは入れ物を左手に、おたまを右手に持つから、あの片側が注ぎやすいおたまだと入れやすいんだろうけど……」

周子「左利きって、その逆でしょ? 入れ物右手、おたま左手」

周子「必然的におたまの注ぎにくい丸い部分で入れる感じになっちゃうから」

周子「すくった分がちゃんと入れられない! 入れ物がコンソメやコーンスープでびっちゃびちゃになる!」

乃々「もしくは、あれですよね……手にスープがクリーンヒット……」

幸子「注ぎにくいですよね」

周子「こぼさず、手にかけることもなくキレイにスープ入れたこと一回も無いね。あたしは」

手フェチのP……
もしかして髑髏柄のネクタイとかしてないか?

>>49
ここのPは炎のような熱血漢ですが、爆弾を爆発させるほどでは無いですね



周子「あたしの中では今のが一番ひどいことかな」

周子「でも、不便ってわかっていてもファミレスに行くとスープバー頼んじゃうんだよねー」

乃々「食欲のほうが……」

周子「勝っちゃうんだよねー。シューコも乙女だから」

幸子「乙女と食欲に何か関係が?」

周子「好きな物は別腹に突っ込む! そして突っ込んだ分、ガマンすると時はガマンする!」

周子「これがね、乙女ってもんだと思うよ」

乃々「そうですか……?」

周子「以上! 順番的に次は……」

乃々「えっ」

乃々「や、やっぱり私……ですか? もりくぼな感じですか?」

周子「ぼののちゃんも左利きな以上、無いとは言わせないよー」

乃々「それは、あるにはありますけど……」

幸子「ちなみに今までの話はどうでした?」

乃々「どれも感じたこと、あります……」

周子「そっか。それなら、ぼののちゃんも準備OKだね!」

乃々「え、えぇー……」

乃々「私は、ですね……一応その、あるか無いかで言うなら……はい……」

乃々「塩見さんが行ったみたいに、左利きの人って、右利きの人と動作が逆になりますよね……?」

乃々「ペンの持ち方とか……あとはハサミとかも……」

乃々「鏡みたいに逆だから、小さい頃に友達にからかわれたりして……」

乃々「『なんでお前全部逆にやってんの?』『普通は右だろ』みたいな」

乃々「何回も、何回もそう言われて……言われ続けて……」

乃々「そのうち……人と話したりあったりするのが嫌になっちゃって……」

乃々「机の下とか、押し入れの中って……静かで良いですよね……。なんか、一人の空間って、とっても心が休まるんです……」

乃々「もりくぼは、それ……くらい……あれ?」

周子「うぅっ……そうだったんだね……」

幸子「グスッ、ひっく……ののさぁん……」

乃々「うえ!? あ、え、あの、何ですかこの状況!?」

幸子「机の下が好きだったり、あまり人との会話が好きじゃないのはそんな過去があったからなんて……」

周子「ぼののちゃんってあだ名は、仲良くなろうと思って呼んでたの。バカにしたわけじゃないんだよ。ごめんね……」

乃々「あ、あわわわわ……!」

周子「まさにラジオスターの悲劇。じゃなかった左利きの悲劇だね」

幸子「好きで左利きになったわけじゃないのに、色々と言われるのは癪に障りますよね!」

乃々「その辺はまぁ、慣れですけど……」

周子「わかるわ。あたしもバカにされたことあるし」

幸子「ボクも同じく」

乃々「あぁ、はい……」

乃々「まぁ……でも……」

乃々「良かったな、って思えることもありますけど……」

周子「ホントに?」

幸子「どんなことか教えてください!」

乃々「それは、えっと、うぅ……」

乃々「塩見さんとか、輿水さんとか、あ、あとは、Pさんや事務所のみなさんに出会えたこと……!」

乃々「……ですけど」

幸子「乃々さん……」

乃々「塩見さんが最初に言いましたけど、この事務所……やたら左利きが多いですよね……」

乃々「普通は同じ場所に、こんな揃わないですし……」

乃々「で、でも、同じ左利き同士で、似たような壁に当たったことがあって」

乃々「それを、今みたいに気軽にお互い話し合えるのは、すごく……楽しい……」

乃々「Pさんとかファンも人達も……左利きについてとやかく言わなくて……」

乃々「最初はお仕事も……やりたくなくて辞めたかった。でも、最近は……まぁ、ちょっとは良いかな……なんて思い始めまして」

周子「そっか……そういう考え方もあるんだね」

周子「今不在の輝子ちゃんと小梅ちゃん、あとは幸子ちゃんもか」

幸子「何がですか?」

周子「この三人は似たようなタイミングでCDデビュー。全員左利き。全員身長が142cm。全員同じ事務所に所属」

乃々「おぉ……」

周子「ここまで完璧に揃っているとさ、ホントに偶然? って思っちゃうよね」

幸子「たしかに、左利きなだけでも珍しいのに……」

周子「あっ、あとキャラに癖があるってのもそうか」

幸子「そこは余計ですよ!!」

周子「大なり小なり悩みがあって……」

周子「出身も境遇も違うけど、今はみんな事務所で楽しくやってる」

周子「もしかしたら、あたし達をここに集めるために神様が左利きにしてくれたんじゃないかなー」

周子「なーんつってー♪」

周子「うん。あたし今超良いこと言った。よね?」

乃々「あ、はい」

周子「あたしは自分が左利きで良かったな」

周子「やりにくいことも多いけど、みんなに会えたし、アイドルにもなれたから」

周子「幸子ちゃんはどう?」

幸子「ボクは……」

幸子「ええ! 良かったですよ! おかげさまで字もうまくなりましたからね!」

幸子「でも、ボクの場合は右利きでも左利きでも、どちらにせよカワイイんですけどね! ふふーん!」

乃々「あ、あはは……」

周子「らしいと言えばらしいよね。幸子ちゃんの場合」

周子「これで一周したけど」

幸子「一周くらいじゃ左利きあるあるは尽きませんね」

乃々「えぇっ、ま、まだやるんですか……」

周子「ぼののちゃんも不便に思ったこと、まだまだあるはずだよー」

乃々「それは……ありますけど……」

周子「でしょ? はい決定!」

周子「単にしゃべるだけだと、のどが渇くよね。ぼののちゃんもアイス食べる?」

乃々「あるなら、いただきたいですけど……」

周子「それじゃあ幸子ちゃん、ちょっとそこのコンビニでアイス買ってきて」

幸子「えっ、ボクが行くんですか?」

乃々「うっそーん。冷凍庫にまだあるよー」

幸子「何だったんですか今の茶番!」

周子「まあまあ、アイス食べながら続きやろうよ」

幸子「まったく……。ボクからで良いですかね? 清書もそうですけど、左利きだと手が汚れちゃって――――」




――fin――

今回も読んでくれた兄貴達ありがとう!
生まれてこのかた左利き、俺です!
自分も左利きなので、これを読んでくれた左利きの人、たぶんあるあるなんじゃないでしょうか?
やっぱり左利きにはファミレスのおたま使いにくいわ……。

こんな感じの本シリーズ番外編的なのも挟んで行くかもしれませんが
とりあえず次回は、いつものありす&ちゃまシリーズに戻りマッスル!

関係無い話だけど、これ書き終わってクソコラも作り終わったのが8月中旬で
そこから2週間くらい経って、シマリスくんみたいなSRリス久保が登場したから
タイミング良すぎて何かあるんじゃないか? って思った。

言われて気づいた!

「うっそーん。冷凍庫にまだあるよー」は乃々じゃないわ周子だわ!
森久保ォ!! 罰としてNHKの収録行って来い!!!

誤:乃々「うっそーん。冷凍庫にまだあるよー」

正:周子「うっそーん。冷凍庫にまだあるよー」

乙乙、箸とかフォークとか右利き前提で置かれるの面倒くさいよね
ただ大抵の話は共感出来たがペン類持つのはいつの間にか右になってたんだよな…

俺も字なんかは右手だけどそれ以外の事(細かい部品を扱うような精密作業含む)は大抵両手で出来るしな(精度がいらないような自分の作業補助程度ならば足でも出来る)

左で書くと手で擦れてまともに見れない場合もあるから字だけは仕方ない

良い雰囲気のSSでした
普段なかなか組まないアイドル同士のかけあいが見れるっていうのも嬉しいです

自分も左だけどスポーツなんかはスイッチだなぁ

>>71
マニュアル通りだから仕方ないってのはわかっているんだけどね。
結局方向直すんだけど。

>>72
左手が汚れるし書いた字が見えなくなるし……。
唯一の利点は、ノート縦置きで左向きに書き進める古文の授業で手が汚れないことくらいかな。

>>73
シューコちゃんはキャラ的に動かしやすくてイイネ!
どうも自分のSSだとさっちゃんがツッコミになっちゃうのが謎なんだけど。

>>74
自分はスポーツはすべて左ですな。やっぱり利き腕のほうが力入る。

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