悪い言い方をすると根暗
内気だったチノの友達は少なく、最も親しい遊び相手は祖父
そして最大の最愛はどこの子供もよろしく母親であった
これを亡くしてから、チノはそれを加速させる
家族の前では見せていた子供らしい笑顔はぱったりと息を潜め、無邪気に喫茶店のお手伝いをせがむことも無くなった
代わりに、飼っている兎と独り言にも近いお喋りばかりするようになった
父親も祖父もチノに何かを強要することは無かった
何かをするより、させるより、そっとして置くのが一番だと考えた
頼ってきたら最大限力になってあげようと考えた
何よりかける言葉が見つからなかった
決意と心配と無力感は、ある日の祖父を動かした
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409762395
チノ「そうして、国家錬金術師である祖父と一緒に母を錬成したのですが…」
ココア「…」
チノ「…結果は、まぁ、分りますよね…」
ココア「駄目だったんだね…」
チノ「…はい」
その日、錬成された物は人の形をしていなかった
今でもチノはあの化け物のような肉塊を夢に見る
お爺ちゃんは持って行かれ、チノは右腕を失った
父親には謝られ、問いただされ、
甘兎庵のお婆さんにはあの化け物を埋めてもらった
当時空地だった、甘兎庵の右隣の土地に埋めたのだった
現在は小さな小屋が建っている
チノ「それから私は必死に勉強しました」
ココア「国家錬金術師を目指したんだね?」
チノ「ええ、まぁ資格はおまけですが…」
チノ「私はお爺ちゃんを取り戻したかったんです」
あれから数年
国家錬金術師となったチノは祖父を取り戻すべく、再び人体錬成という禁忌を犯す
結果は成功
チノは左足と引き換えにお爺ちゃんの魂をペットの兎の死体(訳あって死んだ)に定着させた
チノ「と、まぁこれがお爺ちゃんが兎になったことと」
チノ「私がオートメイルを着けている伏線の回収です」
ココア「そんな辛い過去があったんだね…」
チノは微笑む
痛みは人を強くする
「お爺ちゃん、お爺ちゃんの魂、私の足一本分の価値ですねww」
ブラック過ぎるジョークに今日もティッピーは苦笑う
ごちうさ秘話~完~
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