朝
チノ「うん……もう朝ですか」
チノ「布団が膨れて……ココアさん、また潜り込んでいたんですか」
チノ「子供じゃないんですから、いい加減にしてくだs……」
幼ココア「ふにゅー……ふにゅー……」
チノ「」
チノ「」ゴシゴシ
チノ「睡眠が足りなかったでしょうか……」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422186199
ホッペムニッムニッ
チノ「痛いです。……いえ、現実逃避している場合ではありません。これは一体」
チノ「……ま、まさか」
チノ「ココアさんの、子供!?」
チノ「どう見ても四、五歳……こっそり実家からこっちへ連れてきたとかでしょうか……」
チノ「もしそうなら、ココアさんが小学生の頃に生まれた子供ということになりますね」
チノ「い、今の世の中にはそういうのもあるんでしょうか……」ブルブル
チノ「ココアさんが……そんな……」ガタガタ
幼ココア「ぅん……」
チノ「!?」
幼ココア「……」キョロキョロ
幼ココア「お姉ちゃん、だあれー?」
チノ「わ、私はチノです。あなたは……?」
幼ココア「私? 私ね、ココア! 保登ココアだよー!」
チノ「えっ……ココア、さん?」
幼ココア「お姉ちゃんなのにさんなんて変なのー」キャッキャ
チノ(ココアさん本人というのはあまりにファンタジー過ぎます……でも……)
チノ(ココアさんが自分の名前を娘につけてココアⅡ世を名乗らせるような人とは思いたくないです)
チノ(うちにもファンタジーなおじいちゃんがいますし、とりあえず本人と思っておきましょう……)
幼ココア「ねえチノお姉ちゃん、ここどこー? お母さんとお姉ちゃんはー?」
チノ(チノお姉ちゃん……)キュン
チノ「ここはラビットハウスという喫茶店の二階です。ココアさんのお母さんとお姉さんは……す、すぐに帰ってきますよ」
幼ココア「そっかー。良かったー」ニパー
チノ(ココアさんの笑顔が眩しい!)
グウゥー
幼ココア「お腹すいたー」
チノ「ああ、朝ごはんですね。待っててください、今作りますから」
幼ココア「お姉ちゃんが作るの? すごいねー」
チノ「そ、そうですか」
幼ココア「私のお姉ちゃんはね、パン以外まともに作れないんだよ」ショボーン
チノ(ココアさんもそうですが……)
チノ「おはようございます、お父さん、おじいちゃん」
タカヒロ「おはよう」
ティッピー「おはようチノ……」
幼ココア「……」ジーッ
ティッピー「……えっ」
幼ココア「お姉ちゃん! このもふもふ喋った!!!」モフモフグイグイ
ティッピー「ノオォオオォオ!! 動物を触る力に躊躇いが無いいぃぃ!!」ジタバタ
チノ「ココアさん、その声は私が出しているだけです。嫌がってますから離してあげてください」
幼ココア「えー、やだ。モフモフだし、お姉ちゃんがそんな声出せるわけ無いもん!」モフモフ
タカヒロ(それはそうだな)
ティッピー(それはそうじゃの)
チノ「……じゃあ、せめて優しくしてあげてください。その子も生きているんです。引っ張られたら痛いです」
幼ココア「わかったー! 優しくもふもふするね」モフモフ
タカヒロ「……チノ、この子は一体」
チノ「全くわかりません……ココアさんの子供なのか……あるいは、ココアさん本人なのか」
タカヒロ「さすがに本人ってことは」
ティッピー「ヌウゥオオオォォ」ヘヴン状態
幼ココア「ここかー、ここがええのんかー」モフモフ
ティッピー「アヒン」
タカヒロ「……まあ、その可能性も捨てきれないな」
チノ「ですよね」
幼ココア「ごちそうさまでしたー! ねえねえお姉ちゃん、一緒に遊ぼ?」
チノ「すいません。私は今日は仕事が……父とティッピーに遊んでもらってください」
幼ココア「えー……ダメ?」キュルン
チノ「ぐっ!! ……で、でも……」
タカヒロ「お店のことはいいから、ココアくんと遊んでくると良い」
幼ココア「だって! 遊ぼう、お姉ちゃん!」
チノ「わ、わかりました……それならしょうがないですね……」キュン
チノ「どこに行きましょうか。美味しい和菓子でも食べに行きますか?」
幼ココア「わがし! 食べる食べる!」
―
――
―――
千夜「いらっしゃいませー。あら、チノちゃんに…………ココアちゃん?」
幼ココア「ココアだよ! お姉ちゃんなんで知ってるの?」
千夜「あらあら、こんなに可愛くなっちゃって」ナデナデ
幼ココア「えへへぇ~」
チノ「あの、千夜さん。これには訳が……」
チノ「……あるとは思うんですが、私にもよくわからないんです」
チノ「ただ、恐らくは私達の知っているココアさんなのではないかと」
千夜「ココアちゃんの子供にしては大きいものね。不思議なこともあるのねー」モニモニ
千夜(柔らかいわ…!)
幼ココア「ほっぺむにむにされたー、もへへへ」
チノ「とりあえず、何か食べさせていただいてもいいですか」
千夜「勿論よ。じゃあ、あちらの席へどうぞ」
幼ココア「おぉー……おぉー?」
チノ「ココアさん、どれにしますか……って、どれがなんだかわかりませんよね」
幼ココア「これ、これがいい! なんか強そう」
チノ「黄金の鯱スペシャルですか。……ひょっとして元のココアさんもそんな理由で選んだんでしょうか…」
幼ココア「もとの?」
チノ「いえ、なんでもありません。では私は、花の都三つ子の宝石にします。すいませーん」
千夜「はいはーい」
チノ「……」
幼ココア「……」ジーッ
チノ(……一挙一動を見られている気がします)
チノ「……」モニモニ
チノ(柔らかい…!)
幼ココア「ほっぺ触るのはやってるの? 私にも触らせて~」フニフニ
チノ「ココアさんの手は温かいですね」
幼ココア「チノお姉ちゃんの手も温かいよー」ニコッ
チノ(もうしばらくこのままでもいいかもしれません…)
幼ココア「おいしかったー!」ポンポン
チノ「そうですか、それは良かったです。……次は紅茶を飲みにでも行きましょうか」
幼ココア「紅茶? 大人っぽーい」
チノ「大人っぽいですか?」
幼ココア「うん。コーヒーの次くらいに大人っぽいよ」
チノ「帰ったら一緒にコーヒーも飲みましょうか」
幼ココア「大人の階段駆け上がっちゃうね!」
シャロ「いらっしゃいませー……って、あら、チノちゃん」
チノ「こんにちは、シャロさん」
幼ココア「うさみみのお姉ちゃん……?」ジーッ
シャロ「? この子は誰? ココアの親戚の子か何か?」
チノ「この子は」
幼ココア「私知ってる! 大人のお店ってやつ! 夜になると女の人がもがむぐ」
チノ「……ココアさんっぽい人です」
シャロ「よくわかんないけど、とりあえず席に案内するわね」
チノ「……というわけでして」
シャロ「ふぅん……ココア本人はどこにもいないのよね」
チノ「朝から見てないです」
幼ココア「私いるよ?」
シャロ「……手の込んだどっきりか何かなのかしら。ところでチノちゃん、ご注文は?」
チノ「では……私にはカモミールと、ココアさんには甘くて飲みやすいものを。あとクッキーください」
シャロ「かしこまりました。ちょっと待っててね」
チノ「何時ごろ家に帰りましょうか……」
幼ココア「帰ったらお姉ちゃん、お迎えに来てるかなー?」
チノ「そ、それは……」
チノ「……も、もしかしたら、しばらく来ないかもしれません。その時は、ちゃんと待っていられますか?」
幼ココア「えー! ……来ないの?」ウルウル
チノ「来ます来ます! ただ今日来るかわからないだけで……」
チノ「……明日! 明日まで待っていればお迎え来ますから」
幼ココア「……さっきのうさぎモフモフさせてくれたら、待ってる」
チノ「どうぞ、いくらでもモフモフしてあげてください」
ティッピー「なんかワシ今売られた気がする」
タカヒロ「どんな気だよ」
シャロ「お待たせしましたー」
幼ココア「待ってましたー! クッキー美味しい!」モグモグ
チノ「ああ、ほらココアさん。口元についてますよ」スッ
幼ココア「チノお姉ちゃんにもついてるよ。とってあげる!」ペロッ
チノ「!! そ、そういうの、外ではしないでくださいって」
幼ココア「?」
チノ「……ああ。そうでした、今は覚えていないんでした」
シャロ(家ではアリなの……!?)
シャロ「ありがとうございましたー」
幼ココア「さあ、えねるぎーも全開だよ! これからどこ行くの?」
チノ「そうですね……近くのお店を見て回りましょうか。今のココアさんになら、どれも新鮮に見えるでしょうし」
幼ココア「よーし、いっくよー!」ダダッ
チノ「え、ちょっ、走らないで! 待ってください!」
リゼ「フリフリ……ふわふわ……私にはちょっと可愛すぎるか……? で、でも、ちょっとくらいなら…」
幼ココア「チノお姉ちゃーん! こっちだよー!」
リゼ「ん? ココア……ってあれ、いない」
幼ココア「ココアだよ」
リゼ「え……ココア? なんか小さくないかお前」
幼ココア「ちっちゃくないもん!」
幼ココア「ところでおばさん、なんで私のこと知ってるの?」
リゼ「」
チノ「ココアさん、待ってください……なんでそんな……体力が」ハァハァ
チノ「あ、リゼさん。こんにちは」
リゼ「」
チノ「……?」
幼ココア「チノお姉ちゃーん! なんか私のこと知ってるおばさんがいた」
チノ「あぁ……それで固まっていたんですか……」
チノ「ココアさん、この人はまだそんな歳じゃないです。お姉さんって呼んであげてください」
幼ココア「えぇ……」
リゼ「なんでそんな不服そうなんだ! うぅ……」
チノ「すいませんリゼさん。実は……」
カクカクシカジカ
チノ「というわけなんです」
リゼ「つまりココアは私のことをおばさんと……」
チノ「話聞いてましたか。幼い頃以降の記憶は無いのでそんなことはないですって。……これくらいの子から見たら、みんなそんなものですよ」
チノ(他の人はみんなお姉ちゃん呼びだったことは伏せておきましょう……)
リゼ「そうかな……でも、この服を諦める決心はついたかな」
幼ココア「あ、この服可愛い!」
リゼ「ああ、でも私には多分、似合わないから……」
幼ココア「そんなことないよ! お姉ちゃんにはきっと似合うよ!」
リゼ「……そ、そうかな?」
幼ココア「うん! ちゃんとわか……わか……若作りしてるように見える!」
リゼ「」
チノ「すいませんリゼさん! もうココアさん連れて行きますね!」
幼ココア「ばいばーい、お姉ちゃーん」
リゼ「」
―
――
―――
夜
幼ココア「今日は楽しかったねー」
チノ「ココアさんは知らない街で容赦なく走りすぎです。もうちょっと落ち着いてください」
幼ココア「心のビートは止められないよ!」
チノ「止めてください。迷子になったらどうするんですか」
幼ココア「えへへー」
チノ「もう……」
幼ココア「……ねえ、チノお姉ちゃん」
チノ「はい?」
幼ココア「お姉ちゃんたち、まだ来ないのかな?」
チノ「……明日には来ますよ。心配はいりません」
チノ(どうにか明日、ご家族を呼ばないといけませんね……)
幼ココア「……ふぅん」
チノ「そうだ、コーヒー淹れてきます。ココアさんも飲みますか?」
幼ココア「コーヒー? 飲むー!」
チノ「…………」コポコポ
チノ(……もし、もしも)
チノ(ココアさんが、このまま元に戻らなかったら。そもそも、彼女がココアさんじゃなかったら)
チノ(あの子は明日からどうすれば……それ以前に私の知ってるココアさんはどこに……)
チノ(ココアさん……こういうとき、ココアさんなら……)
幼ココア「チノお姉ちゃん?」
チノ「! ……ああ、どうしたんですか、ココアさん。コーヒーならもう少し待ってください」
幼ココア「お姉ちゃん、ちょっとしゃがんで」
チノ「?」
幼ココア「えいっ、モフモフー!」モフモフ
チノ「!」
幼ココア「あのね、よくお姉ちゃんがこうしてくれるの」
幼ココア「元気の無いときにこうしてもらうと、元気が出るんだって」
幼ココア「だから、チノお姉ちゃんも暗い顔しないで、元気になって!」
チノ「……ココアさん」
チノ(私より、ココアさんのほうがずっと、不安でいっぱいなはずなのに)
チノ「……ココアさんは、小さくなってもお姉ちゃんなんですね」
幼ココア「ほぇ? 私お姉ちゃんじゃないよ?」
チノ「元気が出ました。ありがとうございます……大好きですよ、ココアお姉ちゃん」
チノ「私からも、元気のおすそ分けです」モフモフ
幼ココア「? えへへぇ、私もチノお姉ちゃん大好き!」モフモフ
チノ「ココアさん、コーヒーできましたよ」
幼ココア「ふにゅう……」スヤスヤ
チノ「……寝ちゃいましたか。まあ、あれだけ走り回りましたからね」
チノ「お休みなさい、ココアさん」
幼ココア「うにゅ……えへへ、チノお姉ちゃん……」
翌朝
チノ「ん……」パチッ
チノ「あ、そうだ! ココアさんは」
ココア「チノちゃん~……えへへぇ」
チノ「……なんで私の布団にいるんですか」
翌朝
チノ「ん……」パチッ
チノ「あ、そうだ! ココアさんは」
ココア「チノちゃん~……えへへぇ」
チノ「……なんで私の布団にいるんですか」
チノ「ココアさん、昨日のこと覚えてます?」
ココア「昨日? 何かあったっけ?」
チノ「覚えていないならいいです」
ココア「? あ、ねえねえ聞いて。私今日面白い夢見たんだ」
チノ「夢ですか?」
ココア「うん! 私が小さくなってね、チノちゃんの後ろをついてまわるの」
ココア「みんなのお店を回って、リゼちゃんをおばさんって呼んで落ち込ませちゃって」
ココア「最後は、チノちゃんが『ココアお姉ちゃん大好き! お姉ちゃんと結婚する!』って言ってくれる」
チノ「そんなこと言ってません! もう……」
ココア「えへへー」
チノ「…………け、結婚する、とまでは、言ってませんからね」
おしまい
第二十作目です。
たまにしか書かないと書き方が全然わからなくなる。けどまだ思いついたら書きたいです。
本当はもっともっとシリアスな話になるはずが、書くの面倒すぎてほのぼのになりました。もうちょっとぴょんぴょんさせられた気がする…。
それと、本当はもっと早く投稿するはずだったんですが、これ作ってて遅れました。お許しください。そしてみんなごちうさSS書こう。
ニコニコ動画:http://www.nicovideo.jp/watch/nm25425542
Pixiv:http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=48372200
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません