【安価】ほとんど安価でss (49)
タイトル >>2
起>>4
承>>6
転>>8
結>10
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妹が不思議と俺になついてくる件について
学校を終えて家路へ向かう妹。 子供を庇って、不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。子供をかばい命を失った妹に対し、 地獄の主、閻魔大王に言い渡された蘇生の条件とは・・・。
主人公、優しくて穏やかな同級生と付き合い始める
ハバネロスープ
カッコいい…?
世界征服を企む悪の科学者
フリーザ様
上
この世で最も強いと言われる男
ksk
ハゲ
兄貴を嫌悪してる
とにかく糞ビッチレズ
顔は美少女、身体はキン肉マン
よしそろそろ書いていく
今まで出たレスのなかで安価取れなかったものも積極的に取り入れていく
〇妹〇
────────────
うな垂れている。
時刻は八時だった。昼間は薄暗いこの住宅街は夜になると、こうこうとした街路灯が眩しい。三方向に伸びる電柱の影を踏み越えると、角がある。そこを右折。すると大通りにでる。彼女の帰路はきまってこの順だった。
今日はいつもより月が見えない。朧の満月が空には完成していた。晩夏の風、爽爽として草木を揺らし、時折鈴虫の声が聞こえては秋の…………いや、もうよそう。
彼女は夜道をひとりだった。彼女は頭を垂れていて───朧月夜も鈴虫も彼女の虚ろな心には届いていなかった。
彼女が考えていたこと、それは学校でのことのみだった。
思春期になり、両性とも性への目覚めを経ると、その嗜好に異常が現れるものも少なからずいるもの。だが彼女は異常な自分が認められなかった。
あるいは彼女は自分のことをよく知っていたのかもしれない。
学校ではビッチと蔑まれ、そんなストレスの捌け口として自分と同じ嗜好───つまり女色の女生徒をつかまえては行為に及んだりした。
うら若き彼女がそんな自分を正面から捉えられるほど熟した精神を持っていないのは明白だった。彼女は悩んでいたのだ。
そういうわけで、彼女───つまり俺の妹は、最近いつもこんなかんじである。
妹「もう、なんなの!!」
妹が急に大声をあげた。チッと舌打ちをする。
妹「お兄ちゃんさあ!!その気取ったらナレーションやめてくれない?」
なるほど舌打ちは俺に対してのものだったのか。
妹「いきなり長すぎなのよ!!てか私今ひとりなのにどっから見てるワケ?」
妹は怒りを露にした。これも日々の不満によるものであるのは明白だった。
妹「私の質問は無視!?ていうか、お兄ちゃんが私の何を知ってるワケ?」
妹は声を張り上げた。余談だが、そんな妹の兄は妹のことなら何でも知っているような、そんな男だった。そんな兄のことを妹も愛していたのだ。
妹「勝手に事実をねじ曲げるなこのシスコンバカ兄貴!!…………ってか、今ひとつ不満ができたわ……まさかお兄ちゃんが私の性癖まで知ってるなんて!」
愛らしい顔を覆う妹は、自らの兄の悪態をついた。妹はまたツンデレでもあったのだ。威勢のいい侮蔑は愛情の裏返しだということは妹自身が一番よく知っていることだった。
妹「……」
そして妹はもう口を開かなくなってしまい、再び帰路を一歩踏みしめた。明朗に響く鈴虫の声が秋を告げる唯一の……
妹「いやもういいよ!!」
車道の上で立ち往生している子供を見つけたのは、妹が自分の家のカレーの匂いをかぎ分けられるほどまで帰ってきたときのことであった。
妹「どんな嗅覚だよ!」
よく見るとその子供は近所の共働きの家の子で、妹もよく頼まれてその子の面倒をみたりしていた。少年のほうも知った顔を見つけ、妹に向かって手を振った。
妹「こんな遅くにどうしたの?」
妹は歩道から口に手を添えて叫んだ。
妹「そんなところにいたら車が来てあぶな───
声がピタリと止んだ。表情が刹那にして固まる。何かに気付いた。
妹の視線の先には少年に高速で迫る黒いベンツがあった。
妹「避けt───
声にならない声を絞り出した。しかし少年は自分に猛進する黒い鉄の塊に恐怖し、身動きがとれなくなっていた。妹の眼窩に腰を据えた絶望の闇がベンツの発するハイビームを吸収した。
妹「っ!!」
気が付いた時には体が動いていた。ガードレールの夜を飛び越え、無心で少年のもとへ突進する。
そして、衝突。衝突は二回あった。妹が少年を両の手で突き飛ばし、黒のベンツが妹をはね飛ばした。
妹の頭は揺れた。脳が震盪し、目の前が暗くなってゆく。ぶつかる寸前に響いたブレーキ音とクラクションが妹の頭のなかに鮮紅をもたらした。
妹は幼い時のことを思い出す。飼い犬と散歩していた時の記憶が蘇る。その日一度、妹は車に跳ねられていたのだった。
コンビニにアイスを買った帰りのことを思い出す。その日も暴走してきた軽に跳ねられたのだった。
妹は既に数度車に跳ねられてる。高いところから不慮に落下している。金属バットで殴られたりしている。
しかし、妹は今まで生きてきた。なぜか。妹が超人だからだ。並大抵のことでは死ぬことはないと、自他ともに認めていた。だから、今日も死ぬことはないと思っていた。
妹「」
地面に臥している妹を見て、運転手の男は青ざめた。目を泳がせながら、しきりに左の袖から覗く虎の刺青をなで回していた。男は一度停止したはずの車のアクセルを再び踏み、動転して逃げていった。夜の闇に消えていくベンツのサイドミラーには震えた手でタバコを吸う男の姿が映っていた。
妹「もうマジ無理……」
妹「何回目よ、私が車に轢かれるの!!」
妹はゆっくり起き上がって制服のスカートの乱れを整えると、走り去る車の後部に向かって呪詛の言葉を吐いた。
妹はやはり生きていた。元来、体が丈夫なのだ。
妹「いやもうちょっと心配してくれてもよかったでしょ!? 淡々と私が轢かれるシーンをナレーションするな!!」
かわいそうなのは妹に命を助けられた少年のほうだった。彼は8mも妹に吹っ飛ばされ、眼を剥いて気絶している。彼も死んではいなかった。彼も案外丈夫なのだろうと妹は思った。
妹「言ってる場合じゃないよ!! だ、大丈夫?」
慌てて少年のもとに駆け寄り、抱き起こした。
寝る
続きは明日
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