広瀬康一と岸辺露伴 (163)

西暦2013年3月。
ぼくももうすぐ29歳になります。

ああ、すみません。申し遅れました。
ぼくの名前は『広瀬康一』


生まれてから今までの間、S市杜王町でずっと暮らしてきました。
今は妻の由花子と二人暮らしをしています。

この町は本当に素敵な町です。
一時期『殺人鬼』なんかもいて苦い時代もあったけれど、
ジョースター家の三人、
『仗助』くん、『承太郎』さん、『ジョセフ=ジョースター』さんの活躍もあって、
ここ十数年は本当に平和です。

そういえばこの三人と、承太郎さんの愛娘である『徐倫』さんが、
ちょうど杜王町に集まっています。

あの『ジョースター』の血筋がこんなに集まるなんて!



でも、楽しい話はできないかもしれません。
だってこの四人が数日前から、

『行方不明』なんですから——





※『ジョジョの奇妙な冒険』のifストーリーです。
徐倫と承太郎達がプッチを無事に『倒した』後の、想像のお話です。

※一名限定で既存のスタンドが『成長』し、
オリジナルスタンドとして登場します。


拙い文章ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。

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なんだ?

これはなんだ……?


『折り紙』


折り紙……か?

線が入っている。何度も『折り曲げた』のか?



ここは『夢』の中……なのか?

- 夜 広瀬家 -

由花子「おなか……すいたわよね、お待たせッ。
今日のメニューはね、エビのワイン蒸しに、ヒラメのムニエル。
おいしいそうでしょう?それとね……、康一?」

康一「……」

由花子「どうしたの?」

康一「あ、あぁ……ごめん。ちょっと気になることがあって……」

由花子「あたしで良ければ……聞こうか?」

康一「……」

由花子「……」

康一「……ありがとう。明日、聞いてもらえるかな」

ボフッ
康一は、ベッドの上に横たわった。

気が気じゃないよ。
仗助くんも含めたジョースター家の四人が、揃って『行方不明』だなんて……


承太郎さん達三人の泊まっている『杜王グランドホテル』
に連絡をしたら、三人共数日前から部屋に戻っていないと言う。

仗助くんの携帯に何度か連絡をしたけど、一度も電話にでない。
いつまでも折り返しがないから自宅に電話したら、仗助くんのお母さんがでた。
お母さんは、
「どうせどっかで遊んでんのよ。こっちが心配し始めた頃になって、
いつの間にか戻ってくるんだから」
と言っていた。

静は、仗助くんの家で今暮らしている。
彼女はどう思っているのだろうか?

お母さんの言うように『何事もなく』戻ってくればいい。
そうだといいけれど、『嫌な予感』が拭いきれない。
だって仗助くんだけじゃあなく、承太郎さん達までいないんだから。

そうだ。明日、『露伴先生』に相談しに行こう。
仕事も有給休暇をとってるし、ちょうどいい。

- 杜王グランドホテル -

ホテルマン「あッ!あれはミスタージョースター!」

ジョセフ「……ん?どうしたんじゃ?」

ホテルマン「4日間もどちらにいかれてたんですか!?
何度携帯に電話しても出ないし……。
一日以上外出する際は、事前に連絡をしてくださいよッ!」

ジョセフ「んん〜〜?わし、何日も外出してたかのう?」

ホテルマン「してましたよ!4日もッ!!
(はぁ…まぁ90歳を過ぎてるじいさんだ。ボケてるのか?しょうがない…)
ところで、空条承太郎さんと、その娘さんはどちらにいるかご存知ですかね?」

ジョセフ「いやあ、知らんのう〜〜〜」

ホテルの自室へ戻ってきたジョセフは、
バスルームでシャワーを浴びていた。

ジョセフ「はて……4日か。そういえばわしはどこにいたんだっけ?
なにか忘れている気がするのう……」

シャワーを浴び終えたジョセフは、体重計に足を乗せる。

ジョセフ「おおッ!一ヶ月でこんなに減量できたとはのう〜。
『一ヶ月で20kg痩せれます!』の謳い文句が本当だったとは。
日本の『ダイエット器具』は本物じゃなあ〜〜〜」

ゴゴゴゴゴゴ…

別に外見上は一ヶ月前と『変わっていない』。
そう、痩せた風には見えないのに……
ジョセフの体重は一ヶ月前と比べ、

『20kg』減っていた。

- 翌昼 露伴宅前 -

康一「そういえば、露伴先生は『ピンクダークの少年』の連載が終わってから、
この新しい豪邸に引っ越したんだよなァ〜〜。
前の家も大きかったけど、その比じゃないや。売れっ子漫画家はすごいなあ〜〜」

ピンポーン

「(来たか……康一くん。待ちくたびれたぞ……)」

ゴゴゴゴゴゴ…

康一「……?誰もいないのかな?
あれッ、でもよく見ると門の鍵は開いてる。部屋も明かりがついている……あっ!」

露伴「やあ、康一くんじゃあないか。久しぶりだね、どうしたんだい?」

康一「露伴先生ッ!お久しぶりです、髪の毛伸びました?
ちょっと相談事があって……」

露伴「相談かい?もちろん歓迎さ。それじゃあどうぞ、上がって……」

ゴゴゴゴゴゴ…

康一「うわああーーッ!内部もシックな感じで、かっこいい邸宅ですねッ!」

露伴「ありがとう。さあ、二階へどうぞ……」

康一「あの、今更ですが……連載お疲れ様でした。
今は次の作品の構想を練っているところなんですか?」

露伴「ああ、そうだよ。『おもしろいマンガ』を書きたいからね……」

ゴゴゴゴゴゴ…

露伴「着いたよ。この部屋だ」

露伴先生が扉を開けた。

部屋の中は広くて、家具もほとんどなかった。

だからそこに『人』がいるってすぐに気付いたんだ。

部屋の中にいたのは……



行方不明中の三人だった。

ゴゴゴゴゴゴ…

康一「え……?仗助くんに……承太郎さん!?それにその女の子は……」

承太郎「……この子は徐倫。わたしの娘だ。
康一くん、久しぶりだな。元気だったかい?」

康一「え…ええ。あ、あの承太郎さん達はなぜ露伴先生の家に……?」

承太郎「……」

仗助「……」

徐倫「……」

ゴゴゴゴゴゴ…

康一「(こ…この『空気感』は……普通じゃあないッ!?
ま…まずい。ここは逃げよう!この屋敷から早く……!)」

露伴「さて……康一くんには過去に一度話したことがあったな。
マンガ家というものは職業柄いつも、
あらゆる『状況の可能性』を考えるクセがある、ってね」

康一「……!」

露伴「ここでこのわたしの考える『康一くんの行動』の可能性は三つだ。
�この屋敷から逃げる
�話し合いをする」

ゴゴゴゴゴゴ…

露伴「そして三つ目は……
�三人は既に『ヘブンズドアー』で『操られている』と悟り、
このわたしに攻撃を仕掛けてくる、だ」

ゴゴゴゴゴゴ…

康一「ろ…露伴先生、い、今なんて……!?」

露伴「『承太郎達がなぜこの家にいるか?』
答えは……わたしがヘブンズドアーで『操っている』からだよ」

な…何を露伴先生は言っているんだ?
『操っている』?
よくわからないぞ…
だって、露伴先生はそんなことをする人じゃあない……
そうだ。一人称もいつもは『ぼく』だったのに、
今日は『わたし』になっている。
きっと別人だ!ここにいるのは露伴先生じゃあ……


露伴「康一くん」

露伴の声を聞き、康一はハッとした。

露伴「少し『混乱』しているようだから、
赤ん坊に教えるように、優しく話をしてあげよう……
まず結論から言うと、君をわたしの仲間にしたい」

康一「仲間……?ぼ、ぼくもヘブンズドアーで操るつもりですかッ!?」

露伴「違う違う。…話は最後まで聞けよ。
しょうがないな……徐倫。やれ」

徐倫「ストーンフリーッ!!」

康一「う、うわッ!?これは…『糸』!?」

ストーンフリーの糸が康一の体を縛り上げた。

露伴「いいかい康一くん、君に『黙秘権』をあげよう。
つまり『黙って聞け』と、いうことだ」

ゴゴゴゴゴゴ…

露伴「仲間という言葉が悪かったかな。
わたしはね、尊敬している君を服従させ、『僕(しもべ)』にしたいんだ」

康一「だ…誰かに操られているんですねッ!?
露伴先生や仗助くん達を、操っている奴がいるん……」

ドゴォッ!!
クレイジーダイヤモンドの拳が、康一の顔面を殴った。

康一「う…うあああっ……!!?」

康一の口と鼻から、血がしたたり落ちる。

ゴゴゴゴゴゴ…

露伴「『黙れ』と言っただろうが。次は……『殺すぞ』」

康一「うぅ……はぁ…はぁ……」

露伴「話の続きだ。ではなぜ君を僕(しもべ)にしたいか?
この杜王町は本当に美しい町だ。わたしも大好きだよ。
しかし、退屈な町でもある。
『吉良吉影』以降、ろくな『悪』が出てこない」

露伴「『おもしろいマンガ』を書く為には、『リアリティ』が必要だ。
『リアリティ』こそが作品に命を吹き込むエネルギーであり、
『リアリティ』こそがエンターテイメント。わかるかい?
悪がいなければヒーローは輝かない。
戦争がなければ英雄は生まれない。
ヒーローは君や、仗助、承太郎達がいる。
しかしこの町には『悪』のリアリティが不足しているんだ」

康一「……」

露伴「ではどうするか?結論だ。わたしが『悪』になる。作品の為に……な。
そして真の悪は、自身の尊敬する者を『屈服』させてこそ輝く。
だから康一くん。『君だけ』はヘブンズドアーじゃあなく、
心から……『服従』させたいんだよ。わたしはなああああァァァーーーーッッ!!!」

ドドドドドド…

康一「……それだけか?」

露伴「んん?」

ザワザワザワザワ…
康一の髪の毛が逆立ち始める。

康一「……それで話は終わりかと、聞いているんだ。露伴先生……いや『露伴』!
おまえはただそれだけの為に、仗助くん達を操っているというんだな!!」

露伴「わたしにとってはそれが『全て』だ。
『おもしろいマンガ』を書き『読んでもらう』。それが全て……」

ドドドドドド…

康一「許さない……許さないぞ!露伴ッ!!
『エコーズact2ッ!!』」

康一は『ドヒュウウウ』の文字を床に貼り付け、
それを踏んだ!

ドヒュウウウ!

徐倫「こ…この『パワー』!糸の捕縛を上回っている!?」

康一は『文字』の効力により背後に吹っ飛ばされ、
巻き付いていた徐倫の『糸』を振り切った!

露伴「フン。たかが『糸』から逃れただけ。
わたしたち四人から逃げ切れると思うのか?
そして次喋ったら……おまえを『殺す』と言っただろうがあああァァァーーーッ!!」

康一「その殺すって『声』……もらうよッ!!」

ガシィッ!

仗助「今のは……エコーズの『act1』!!」

康一「全員動くなッ!act1が露伴の『声』を『文字』にした!
そして屋敷の外に移動したぞ!いつでも文字を貼りつけることができる!
そういう新名所もいいかもなッ!!
町中の人間が知っている人気漫画家の、
『殺人衝動の声』が繰り返し聞こえる場所ってのもさァーーーッ!!
そうなれば露伴、おまえのマンガはもう『読まれなくなる』ぞッ!!」

仗助「……グレート。他人の声も『文字』にできるなんてよ」

露伴「しかし、文字を貼りつけたとして、
君をしこたまぶちのめせば、それも解除されてしまうんじゃあないのかな?」

康一「ああ、『解除されるかもしれない』。
しかし、『解除されないかもしれない』……」

ゴゴゴゴゴゴ…

康一「試してみるか?露伴……」

露伴「……」

康一「それが嫌なら……三人を『解放』するんだッ!!」

康一の怒号が部屋に響き渡る。

露伴「……フフ…フフフハハハハッ!……康一くん。
少し図に乗り過ぎなんじゃあないのかな?
わたしは『読者』を見捨てて君を攻撃することもできるんだぞ?
そうなると君は非常にヤバいと思うんだがねェ〜〜ッ?」

康一「……」

露伴「フフフ……とはいえ、だ。わたしも貴重な『地元読者』を失いたくはない。
それに、窮地に立ちながらもここまで道を切り拓いた君に『敬意』を表したい。
そこでだ康一くん。一つ『ゲーム』をしようじゃあないか」

康一「ゲーム……だと?」

露伴「そうだ。今から10日後に『再戦』をしよう。
場所はこの屋敷だ。わたしは『この部屋』にいる。
君は何人スタンド使いを連れてきてもいい。
それまでわたしはこの杜王町の人間に手は出さない。
10日の期間で、わたしも『行きたいところ』があるんでね」

康一「……10日後におまえを倒せば、三人を解放するというわけか」

露伴「ああ、そうだ。しかし『倒す』というのは少し違うな。
『倒す』ではなく……」

ゴゴゴゴゴゴ…

露伴はヘブンズドアーで仗助、承太郎、徐倫に新たな文面を書き加え始める。

「2013年の3月28日までに、
�広瀬康一が岸辺露伴に、心からの服従を誓う
�岸辺露伴を『殺す』
このどちらかを果たせなかった場合、わたしは自殺します」

康一「!?」

露伴「……『殺す』だ。このわたしを殺しに来いよ……康一くん」

康一「な……!?」

意味が……わからない。
10日後までに露伴を……殺す?
殺さないと、三人は自殺する……だって!?

露伴「そうそう、一つアドバイスだよ。
『ジョセフ=ジョースター』は戦力外と考えておいた方がいい。
この露伴には攻撃ができないよう既に『書き込んで』あるからな。
まあ、落し物を探すくらいはできるかもしれんが。アハハハハッ!」

康一「……」

露伴「では……『了承した』と、みていいね?……また10日後に会おう、康一くん。
たくさんスタンド使いを連れてくるといい。杜王町中から集めなよ。
わたしはその期間、杜王町の人間には、決して手を出さないと『約束』する。

君がわたしを『殺し』に来るのを、楽しみにしているよ……」





康一「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……!」


気がつくと、ぼくは住宅街を走っていた。夢中で屋敷から逃げ出したのだ。

「君がわたしを『殺し』に来るのを、楽しみにしているよ」

確かに、露伴はそう言っていた。


露伴の言う通り、『気絶』させるんじゃあダメだ。
気絶させても、三人は助けられない。
ぼくの目の前で、ヘブンズドアーで書き込んでいた。

『殺さなくては』、三人を助けることはできない。

まさか、こんなことになるなんて……
もうぼくの知っている『岸辺露伴』じゃあないのか。
……そう思っていた。



でも……偶然なのか?狙っていたのか?いや、きっと狙っていたんだ。
『憶えて』いたんだ。

10日後は……
10日後の3月28日は……



ぼくの『誕生日』だ。

康一は道の真ん中で足を止めた。
康一は何を信じればいいのか、わからなくなっていた。


もう1年近く会っていないのに、露伴はぼくの誕生日を『憶えていた』。
その露伴は、ぼくを『殺しに来い』と言った。
なぜ?なぜなんだ?どうしてこうなったんだ!?

「康一くん!特注のケーキを用意したんだッ!ぼくの家に遊びにおいでよ!」
こう言ってくれても良かったじゃあないか。

「君のスケジュールは既に書き込ませてもらった!ぼく主催の『バースデーパーティー』だ!」
こう言ってくれても良かったじゃあないか。


康一「うぅ……」


きっと…きっと、10日後にはこう言ってくれるんでしょう……?
「君を驚かす為のサプライズだよ!!康一くん!だって、ぼくと君は……『親友』じゃあないか!」


そうでしょう?露伴…『先生』……


「『殺し』に来るのを、楽しみにしているよ」

康一「うっ…うう…うわあああああああああーーーーッ!!!!!」



康一は泣いた——


辺りは住宅街、買い物に出かける主婦や子供の姿も見える。

しかし康一は、自身の感情を抑えることができなかった。

ここまでご覧頂き、ありがとうございました。
続きはまた日を改めて書かせて頂きます。

それでは。

これは……『夢』?


『折り紙』


…前と同じ折り紙か?

この折り紙は『破けて』いるが……



なんなんだ一体……

- 翌朝 広瀬家 -

由花子「(結局、康一は『話』をしてくれなかった。
『明日、聞いてもらえるかな』と、一昨日言っていたのに。
昨日昼過ぎに家に帰ってきたと思ったら、そこから部屋に籠ったきり……。
『玉美と賢』がせっかく訪ねてきてくれたのに、それでも出てこなかった。
なにかあったのね?こういう時に、あたしが支えてあげなきゃ……)」

康一「由花子、おはよう」

由花子「え?……康一!!
……ねえ、昨日なにかあったの?大丈夫?」

康一「ごめん、心配かけたみたいだね。もう『大丈夫』だよ」

由花子「……そう。それなら良かったわ。
ごめんね、すぐに朝食の用意をするから」

康一「ううん、朝食はいらない。由花子に少し話をしたら、行くところがあるんだ。
たぶん『一週間』くらいで戻れるとは思うけど……」

由花子「い、『一週間』ですって!?」

ガチャ

玉美「あッ、康一どのォーーーッ!」 シタ!

康一「え?た、玉美?それに…『ジャンケン小僧』の大柳賢くん?」

賢「康一さん、おはようございます」

康一「ああ……おはよう。そういえば昨日はごめんね。少し疲れちゃっててさ……」

玉美「とんでもねーッスよ。
まぁ、それが気になって今日は朝から訪ねてきたんスけどね」

康一「そうだったんだ……ありがとう。
ちょうど良かったよ、二人に話があるんだ」

玉美「え?あっしらにですかい?なんだろうなァ〜〜〜」





ゴゴゴゴゴゴ…

玉美「……ま、まさか露伴先生が!?」

賢「仗助さんや空条承太郎さんも、露伴先生の手先だなんて……」

康一「9日後に杜王町中のスタンド使いを集めることに関しては、
由花子に任せてきたんだけど、ぼくはもう一人『あるスタンド使い』に
協力をお願いしようと思っているんだ」

賢「あるスタンド使い?それって……誰なんですか?」

康一「ジョースターの意志を受け継ぐもう一人の人間。名前は……


『ジョルノ=ジョバァーナ』」

ぼくは今、玉美と賢くんと共に『杜王グランドホテル』に向かっている。
ジョルノが現在もイタリアにいるとは限らないから、
『念写』で場所の『特定』をしてもらうんだ。
露伴と直接関係のないジョルノの念写くらいなら、露伴への『攻撃』には含まれないはず。

それにしても、この二人がジョルノ探しに同行してくれることになって、
本当にうれしい。やっぱり持つべきは『友人』だね。
正直、言葉が喋れるイタリアならまだしも、
他の国だった場合はけっこう不安だから……。

そうそう。この二人、実は仲がとても良いんだ。
玉美の『ゆすり』のテクニックに、賢くんが興味を持ったのが
仲良くなったキッカケらしい。
波長が合うみたいで、しょっちゅう二人で会っている。

- 杜王グランドホテル 324号室 -

コンコン

康一「ジョースターさん、電話した『広瀬康一』です」

ジョセフ「おお〜〜〜待っておったよ。さあ中へ……ん?そちらの二人は?」

康一「仲間のスタンド使いの『小林玉美』と『大柳賢』くんです」

ジョセフ「いつも『静』が世話になっとるの〜〜」



康一「それで……早速なんですが、このカメラで『念写』を
お願いしたいんです。名前は『ジョルノ=ジョバァーナ』です」

ジョセフ「ああ、わかったよ。わしと同じ『ジョジョ』じゃな。
……『ハーミットパープル!』」


ジョルノ「まただ……今、何者かに『見られている』感触を味わった……」
 

ぼく、広瀬康一は…

古い歴史と経済危機の国『イタリア』に、12年ぶりに来ていた。


イタリアでは、欧州債務危機を機に『マフィア』が経済を牛耳る力を強めている。

反犯罪団体『SOS Impresa』によると、

イタリア・マフィアの近年の年間取引高はおよそ1400億ユーロ(日本円で約14兆円前後)、

利益は1000億ユーロを超えるらしい。

- 南イタリア ネアポリス空港 -

康一「念写してもらったいくつかの写真から、
イタリアの『ネアポリス』にいることがわかったのはいいけど、
細かい場所までは特定できなかった。ここからは、聞き込みをしていくしかないね」

賢「ねえェ〜、あの人に聞いてみません?なんかフレンドリーそうだしさァ〜〜」

玉美「あの『ヘソが見える短い丈のセーター』の男か。
確かに、なんか人が良さそうな気ィするなあ〜〜」

康一「そう?じゃあぼくが聞いてくるよ。二人はそこで待ってて」

康一は帽子を被った男に近づき、声をかけた。

康一「あのーすいません。今、お時間大丈夫ですか?
ちょっと『人』を探してるんですが……」

男性「ん?おまえ日本人か?言葉すげーペラペラだなァーーッ!
イタリア住んでた事あるのか?」

康一「いや…その、習ったというか……。
それで『写真』を見て欲しいんですが……」

男性「あぁ、そうだったな。いいぜ。どれどれ……」

ゴゴゴゴゴゴ…

男性「……」

康一「どうですか?見たことあります?」

男性「……おまえ。この写真の人物とはどういう『関係』なんだ?」

康一「関係ですかぁ〜?知り合いというか…いや、もう知り合いではないかも……」

男性「そうか……じゃあ死ね!覚悟はして来てんだろ?」

ガアァァンッ!

玉美「こ…康一どのォーーッ!!」

男性「……てめーッ!?『スタンド使い』か!」

ドドドドドド…

康一「あ…あぶなかったッ!『act3』で間一髪、銃弾を弾き返せた!」

男性「野郎…!こんな場所だが、やってやるぜ!
最近ジョジョは言っていた!『何者』かに見られている気がするとなッ!
貴様がその要因とみたぜ!
今度は弾き返せはしねええェェーーーッ!!セックスピストル……」


ズンッ!

『ACT 3 FREEZE!!』


男性「か…体が!?……お…重いッ!?」

玉美「(す…すげえ!これが噂に聞いていた『エコーズact3』!!
『成長』した新しいエコーズ……!)」

「ミスタ、なんだ今の『銃声』は……?
ん?君は……」

康一「ああ!?やったッ!着いたばかりでいきなり出会うなんて!」

ジョルノ「君はたしか……『広瀬康一』くん?」

- パッショーネの拠点 -

ジョルノ「……話はわかったよ。
君には12年前の『ポルポ』の件で恩がある」

康一「そ…それじゃあ!?」

ジョルノ「だが……ぼくも組織のトップとして、
そう簡単にこの街を離れるわけにはいかない。そこで、だ。ミスタ」

ミスタ「オ、オレかよおおお〜〜〜
予想はしていたが……」

ジョルノ「『グイード=ミスタ』を同行させよう。腕は確かだ」

ミスタ「まぁ、というわけだ。よろしく頼むぜェーッ」





康一「ところで、ミスタさんも日本語けっこう喋れるんですね」

ミスタ「ああ〜〜割と日本通なんだよ。オレは数字の『4』が嫌いなんだが、
日本の『忌み数』の文化に影響されているのもあるし(ちなみにイタリアの忌み数は『17』だ)、
『キャプテン翼』も好きだしな。そうだ。このCD、康一も聴いてみねーか?」

康一「曲名は……『恋する兵士』ですか。それじゃあ聴いてみますね」

- 杜王町 -

TV「……の荒野に、謎のクレーターができており……」

由花子「痛ッ!?……もう、こんな時に虫歯ができるなんて。
あと3日か。康一は今頃どうしてるかしら。そろそろ戻ってくる頃だと思うけど……
こっちのことはあたしに任せてね。みんな力になってくれるわ……」

未起隆くんも。
未起隆「『宇宙人』は礼儀を重んじます。
仗助さんには10年前の鉄塔を初め、いつも助けていただきました。彼を助けたい」

静も。
静「父さんが……仗助が!みんなが!!そんな目にあってたのかよォーーッ!!?
当然だッ!この静=ジョースターも喜んで協力するぜッ!!」

間田さんも。
間田「露伴先生との出会いはおれがキッカケなんだ。
そんな話聞いたら……責任感じるよ。ファンとして、露伴先生の目も覚ましてやりたいしね」

トニオさんも。
トニオ「ユルセないッ!杜王町はスバらしい所。
仲間もたくさんイマス。岸辺露伴は……調理場の『バイキン』のような男デスッ!」

噴上裕也も。
噴上「話はわかった。もちろん協力する。
『岸辺露伴』をこの町で生かしておくのは、カッコ悪い事だぜェーッ!」

音石明さんも。
音石「『ロック』ってのは音量機器と共に進化していった音楽だ。
だから他のジャンルに比べると、サウンドが非常に重要なんだ。
町の『ノイズ』の排除だろ?もちろん手伝うぜ……(承太郎とだけはやりたくねーがな)」

億泰も。
億泰「露伴……!あのダボがァ〜〜〜ッ!!
二度もおちょくんなよッ!この虹村億泰をッ!!」

由花子「億泰の家の『ストレイキャット』もいるわ。
それに『あたし』だって……」

ガチャ

康一「由花子……ただいま」

由花子「康一!!……おかえり。え…そ、その後ろの方は?」

ミスタ「おおォ〜〜〜奥さん美人じゃあねーかッ!
安心しな、挨拶だけだ。すぐにホテルに帰るからよオオォ〜〜〜ッ」

康一「(はぁ……ぼくってノーと言えない性格なのかなあ〜〜)」

- 数日前 ケープカナベラル -

露伴「ここでその『プッチ』とやらを倒したのか。中々の神秘性を感じるな」

徐倫「……」

承太郎「……」

仗助「……」

ゴゴゴゴゴゴ…

露伴「しかし、重要なのは『GDst刑務所』だ。あそこには、
今わたしが『最も』欲している『スタンド使い』がいるからなああァァ〜〜〜」



それぞれの陣営が新たな仲間を加え……

約束の『3月28日』を迎える。



≪to be continued≫

ここまでご覧頂き、ありがとうございました。
続きはまた日を改めて書かせて頂きます。

あと、僭越ながらトリをつけさせて頂きます。

それでは。

『登場キャラ一覧』

広瀬康一
広瀬由花子
大柳賢
音石明
小林玉美
静=ジョースター
トニオ=トラサルディー
猫草(ストレイキャット)
虹村億泰
間田敏和
支倉未起隆
噴上裕也
グイード=ミスタ


岸辺露伴
空条承太郎
空条徐倫
東方仗助
????
????
????

君のそういうところなんだよ、ぼくが君を尊敬するのは……

からかわれていると思うのは、無理もない。

でも、それでも戻って確かめに来てくれた……


やっぱり君は 『親友』 だった!!





康一「……ハッ!?」 ガバッ!

由花子「ん……どうしたの康一?まだ午前4時よ……」

康一「……い、いやなんでもない。起こしちゃってごめん……。
(『夢』……か。今の場面は『チープトリック』の時の……)」

- 3月28日昼 露伴宅、正門前 -

音石「億泰、久しぶりだな。
その……なんつーかよォ〜〜以前はすまなかったな。
おめーの『兄貴』を、よ……」

億泰「ン?音石先輩じゃあねーっスか。
もう10年以上前の話だろォ〜がよおお〜〜〜。
それに、オレもあの一件で色々『学ばせてもらった』んスからねェー。
あんたこそ、しっかり罪を償って、
今は音楽活動に精を出してるそうじゃあねーっスか〜〜」

音石「(オレはおまえにまた『殴られる』覚悟で来た……
それをこいつは、『学ばせてもらった』っつーのか?
肩すかしをくったというか、人間がよくできた奴というか……)」

康一「みんな集まったね。
ぼくがこんなこと言うのもなんだけど……本当にありがとう」

玉美「へへ、水くせえっスよォーーッ」

猫草「アギャッ!アギャ!」

億泰「ン?どうした〜ストレイキャット。
……お、おっとォ!?」

ミスタ「ん?おおッ!」

フワ……ガシッ!
猫草は空気の『ボート』を作り、億泰の手からミスタの手元に移った。

猫草「ンニャン♪」

ミスタ「な、なんだァ〜〜〜!?」

間田「……ミスタさんにすっかり『なついてる』ね」

噴上「(クンクン……猫が『ワキガの匂いが好き』という話は本当だったのか……)」

ミスタ「植物とはいえ、猫かァ〜。
ガキの頃の『4』匹の子ネコを思い出すから、あまり好きじゃあねーんだよな。
『寝てる時、ギターの練習をする隣人の学生』程じゃあねーけどよォ〜〜」

ピクッ

音石「……ああ!?てめー……今ギタリストを馬鹿にしたよなァーッ!!」

ミスタ「あ?おめー『ギタリスト』なわけ?」

未起隆「ム……!
ここはわたし『ギター』になった方が良さそうですね。『証明』しないと」

賢「未起隆さん、さすがにそれは空気読めてないよ……」

トニオ「『ケンカ』デスカ?こんな時にッ!
二人共、タダじゃあおきませんッ!!」

静「ちょっと、トニオさんも落ち着いて!」

康一「ぷっ…………」

静「……ん?康一サン?」

康一「…ハハ……アハハハハッ!
ごめんごめん……フフ。なんか…みんなを見てたら『ホッ』としたよ。
露伴を『殺す』とか、そういうことを考えてたから……少し、気持ちがほぐれた」

由花子「康一……」

ミスタ「(いや……康一は、おそらく露伴を『殺せない』。
躊躇するのはいい、友達なんだから当然だ。
しかし、その感情を持ってなお『殺すことを厭わない覚悟』。
目的を遂げる為の覚悟が……足りないように見える。
『漆黒の意志』だ。彼には、それが必要だ)」

康一「ミスタさん、ぼくの顔に何かついてますか?」

ミスタ「いや……なんでもない。
(場合によっては、オレが露伴を殺すしかないな……)」

音石「それじゃあ話していた通り、二手に別れて屋敷に侵入しよう。
康一、由花子、ミスタは正門から先行。
残りは三人の動向を見て続いて侵入。まずは一階の大広間まで進む」

康一「それじゃあみんな……行こうッ!!」





ミスタ「しっかし、敷地の広さもそうだが『門』もバカでかいな。
康一、右側を押してくれ。オレは左だ」

康一「わかりました。……いつでもいけますよ」

ミスタ「よし、開けるぜ。せーのッ…………ハッ!?」

康一「門のところに……『スタンド』!?」

ゴゴゴゴゴゴ…

ミューミュー「二人『さわった』な……『ジェイル・ハウス・ロック』」

由花子「康一!ミスタ!あそこに女が二人いるッ!銃を持っているわ!」

グェス「例えば今、ここから四発の銃弾を撃ったとする。
おまえらは残り一発の弾丸を認識できない」

ドバ!ドバドバ!ドバッ!

ボッゴォン!

康一「ぐ…う……ッ!? か…肩がッ!?」

由花子「なにィィイイイーーーッ!!?
(康一の『act3』なら弾丸程度弾き落とせるのにッ!一発くらった!?)」

ミスタ「�康一がやられたッ!? �いつの間にか女が二人いる!?
�離れた!�銃を構えたぞッ!�ピストルズで狙撃だ!
……って…『誰』をだ?誰を撃つんだ?オレは……? ハッ!?いつの間にか女が二人……」

由花子「な……ミスタ!?
いったいどうしたっていうのよッ!」

グェス「『ミスタ』というのか。露伴のデータにはなかったスタンド使い。
まぁ、何のスタンドかは知らないが……おまえも銃弾をくらえッ!!」

由花子「……させない、『ラブデラックスッ!!』」

ドッパアアァアアーーーッ

グェス「なッ!?銃弾が全て外れた!? こっ、これはッ!?
銃口に『髪の毛』が!銃弾は『髪に沿って』拡散されていたのか!?」

由花子「……うるせーぞ。あたしは今、康一の傷痕にしか興味がない。
『折れなッ!!』」

ギュバアアアァ!

グェス「か……髪の毛が体に巻き付く!? や、やめろッ!!?」

ボキボキ! バキィッ!!

グェス「……あ…ぐはッ!?……ほ……骨が……」 ドサッ…

ミューミュー「な……グェスッ!?ま…まずい!一旦距離を……!」


ズンッ!

ミューミュー「お…重いッ!?」

ドドドドドド…

康一「あれ?あなた誰です?まぁ……そういう『声』が繰り返し聞こえたんで、
とりあえず重くしますけど……」

由花子「『act1』の文字!『ちぢれ毛金髪女を重くしろ』
のつぶやきを文字にして、自分の体に貼りつけたのね!
そして……おまえも捉えたッ!」

ギュバアアアァ!

ミューミュー「か、髪が巻き付いてきた!?ま……待ってくれ!」

由花子「おまえも、露伴に操られているのよね?
どうせ情報は聞き出せない。ここで再起不能になってもらうッ!」

ボキボキ! バキィッ!!

ミューミュー「……うぐえッ!?……あ……が……」 ドサッ…

ミスタ「つ…強い!この『夫婦』はッ!
一般人と思ってナメていたぜ……!!」


由花子「康一……傷は大丈夫?」

康一「うん……痛みでへこたれてなんていられないよ」

バアアァァーン!



≪グェス、ミューミュー 再起不能≫

- 一階 大広間 -

音石「予想していたことだが……屋敷の敷地内には電気が一切通っていないな。
バッテリーを多めに持ってきていて良かったぜ」

ミスタ「露伴は二階の奥の部屋にいるんだったな。
階段を昇った先に『三つの部屋』が見えるが、どこが露伴の部屋に通じているんだ?」

康一「全ての部屋が通じています。
だから、もしそれぞれの部屋に敵が分かれていた場合は……」

音石「突入したはいいが、後ろからも攻撃される。
つまり、『ハサミ討ち』の形になるわけだな……。それは避けたい。
とはいえ、戦力はなるべく集中しておきたいな。
誰がどこの部屋にいるかわかれば、対策も立てやすいんだが……」

噴上「それなら、オレの出番だな」

噴上「静とジョースターさんに頼んで、三人の『荷物』を用意しておいた。
これらを拝借して……」

クンクン…

噴上「……わかったぜ。承太郎さんは『真ん中』の部屋、仗助は『右』の部屋、
そしておそらく……徐倫は『左』の部屋だ。
(左の部屋だけ、なぜか『石鹸』のような匂いもするんだよなァ〜〜?)」

音石「基本的には、一番の難敵である『承太郎』の部屋に戦力を集中するってとこかな。
オレは、仗助のところに行かせてもらうが……
(承太郎を避けるのもそうだが、仗助へのリベンジも果たしたいしな。この機会によォ〜〜)」

賢「ぼくも仗助さんの部屋に行く、少しでも長く足止めするよ。
(……『あのジャンケン』以来、露伴と戦っても勝てる自信がないからなあ〜〜)」

玉美「賢も行くのか?それならオレも一緒に行くぜェーッ」

由花子「それじゃああたしは、徐倫の部屋に行くわ。
女には、『女の世界』がある」

静「それならあたしも……と言いてーが、
『アクトンベイビー』は今回の作戦の『要』だからな。
あたしは行けない。由花子サン、どうか気を付けて……」

間田「それじゃあおれとトニオさんは、この大広間で待機してるよ」

トニオ「ワタシのスタンドは戦闘には不向きでス、スミマセン」

ミスタ「よし!決まったな。音石たちも、時間を稼いでくれればそれでいいんだ。
無理はするなよ。それじゃあ……行くぜッ!!」

- 露伴の部屋 -

ゴゴゴゴゴゴ…

露伴「いいか、他の奴らはできる限り『殺すな』。
再起不能にまで追い込めばいい。康一くんを『服従』させる為の、駒だからな……」

????「わかった。……『匂い』がまた近づいてきたな。
報告だ。一階の大広間まで、奴らが来たぞ」

露伴「……いよいよ来たか。
楽しみだよ、康一くん。
ファンタジー世界の『魔王』も、案外こういう気持ちなのかもしれないな。
『勇者』の到着を、焦がれるように待つ……フフフ…フフハハハッ!!」

広瀬由花子は思い出す。
屋敷に乗り込む前の、億泰との会話を。


由花子「……『意外』?」

億泰「ああ。なんつーかよォ、
今回露伴に操られたのが、もしも『康一』で、
『康一を守りたい』ってんなら、わかる。スゲーわかる。
おまえさんは康一のことをマジに愛してるもんなァ〜〜ッ。けど、さっきの台詞。
『杜王町を守りたい』ってのは、『意外』だぜェェ〜〜」

由花子「……つまり『同じ』ことよ。あたしにとっては、ね……」

億泰「グギギ…よくわかんねェーッ!」





徐倫「あなた一人なの?随分、自信があるのね。
あたしの名は『空条徐倫』。スタンドの名は『ストーンフリー』。
ねぇ、あなたの名前はなんていうの?」

由花子「……『知っている』でしょう?
露伴から、あたし達全員のデータを渡されているはずだもの」

徐倫「もちろん。でもね……『合図』は必要よ。
女同士。二人だけの戦い。つまり、これは『決闘』。始まりと終わりには合図がいる。
だから始まりの『合図』を……言いなよ、あなたの口から」

由花子「……そうね。あたしの名は…………ハッ!?」

シュルシュルシュル! ガシイィッ!!

徐倫「フフフ……『油断』したわね。
既にストーンフリーの『糸』は、這うように迫っていた。
汚いかしら?でも、勝てばよかろうって思わない?
あなたの頭部と、体の自由は奪わせてもらったわ。
……オラァッ!!」

ドゴォッ!!

由花子「が…かはッ……!?
(ま、まずい……!髪も体も……ほとんど動かせないッ!?)」

徐倫「そういえばあなた。夫の康一を高校生の時に、
『監禁』したことがあるんですってね?
どう監禁したのかしら?その髪の毛で縛り上げたのかしら?」

ドガ!ドゴッ!

由花子「う…く……ッ!?」

徐倫「今はどう?少しは……その時の夫の気持ちがわかる?
あたしは今、カキ氷をスプーンで潰してるくらいの気分だけどさあ〜〜」

ドカッ!ドゴォ!!

由花子「ぐ……がはッ!?はぁ…はぁ……。
か…勘違いすんなよこのビチグソが……!!
あたしは康一に、こんな拷問なんかしていないッ!」

ドゴォンッ!!

由花子「あ…が……ッ!?
(や…やばい、今のは『効いた』……だが、『口に入れた』わ。
『目にもの見せてやる』……ッ!!)」

徐倫「別に……どっちでもいいわ。拷問してようがしてまいがね。
ん?『髪の毛』?髪の毛で……今ッ!『何か』を口に運んだなッ!?
なんだ?何を口に入れたッ!?」

由花子「はぁ…はぁ……。『パスタ』よ。口に入れたのは……」

モグモグ…

徐倫「ぱ、『パスタ』だァ〜〜?
どういうこと?最後の晩餐ってこと?」

由花子「違う違う。
ここだ、この口の中。よく見てみなよ……」

徐倫「口の中……ですって?パスタでしょ?
なにがあるっていうのよ?」

ドドドドドド…

由花子「これから『虫歯』が……飛ぶからよ」

ボオォーン!!

徐倫「……ハッ!?」

ガッ!!

徐倫「う…うああああぁぁッ!!?目……目がッ!?
左目に『歯』があああァァーーーッ!?」

ドドドドドド…

由花子「はぁ…はぁ……。主婦としては悔しいけれど、美味しいわ……。
そしてようやく解いたわね、『糸』を。やれやれだわ」

徐倫「て、てめーッ!!人の家系の台詞をパクってんじゃあないわよッ!」

由花子「……一つ教えてあげる。
あなたには『足りないもの』がある」

徐倫「『足りないもの』……だと!?」

由花子「男は非効率的なものだったり、『遠くを見る』生き物。
対して女は、何か一つの物事を『深く見る』生き物」

徐倫「ず、ズタボロの体で何言ってんだァァーーッ!
歯で撫でた傷一つで、有利に立ったつもりか!?『深く見る』?
現実を全く『見えて』ねーのは……てめーだコラァァーーーッ!!」

ドドドドドド…

由花子「あなたに足りないもの、それはッ!
思想!理念!頭脳!気品!優雅さ!勤勉さ!
そしてなによりもォォォオオオオッ!!愛の……」

徐倫「『ストーンフリーィィィィーーーッッ!!』」

由花子「『深さ』が足りないッ!!!」

ギュバアアアァ!! シュルシュルシュル!!
ガシィッ! ガシィッ!

髪の毛が徐倫の体に巻き付く!
糸が由花子の体に巻き付き、両の拳が由花子に迫る!


由花子「うおおあああアアアァァァァーーーーッッ!!
ラブラブラブラブラブラブラブラブ……ッ!!」

徐倫「うおおおおおオオオォォォォーーーーッッ!!
オラオラオラオラオラオラオラオラ……ッ!!」


ボキボキ!ベキッ!ボキィッ!!

ドガドゴ!ドカッ!ドゴォッ!!


徐倫「オラァッ!!」

ドゴォォンッ!!


由花子「……!!『怯む』、と……!!…思う?これしきの……
これしきのことでよォォォオオオオ!!
あたしたちはね、何事もなく…みんなでこの杜王町で暮らしていくわ。
それじゃあね……『空条徐倫』」


バキィィッ!!!

徐倫「が……がふッ!?……み…見事よ『広瀬由花子』……
そし…て……」

由花子「……『ラブ・デラックス』。
これが、あたしのスタンドの……『名前』」

徐倫「そう……愛のある…『名前』……ね」

ドサッ…


由花子「はぁ…はぁ……はぁ……た、倒した……!
けど、あたしももう……
クソッ…!しこた…ま……殴りやがって……」

広瀬由花子は思い出す。


康一との出会いを。
ときめきを。
恋心を。
初めての口づけを。

そして、美しい町『杜王町』の中で育んだ、康一との『愛』を——


由花子「あたしが…『守る』…んだ。
『康一』を……。こ…の『町』…を……」

ドサッ…



≪広瀬由花子、空条徐倫 再起不能≫

ここまでご覧頂き、ありがとうございました。
続きはまた日を改めて書かせて頂きます。

それでは。

音石明は思い出す。
屋敷に乗り込む前の、億泰の言葉を。

「オレもあの一件で色々『学ばせてもらった』んスからねェー」


……億泰のことを『アホ』だとか言う奴がいるが、そうは思わない。
億泰は、賢く、豊かな人間だと……オレは思う。

誰が言ったか、『楽しい思い出を作り、嫌な思い出を忘れる。
記憶の構築と欠如がなければ、人生はこんなにも豊かなものにはならない』

その通りだと思う。だが嫌な思い出を忘れるどころか、
それどころかあいつは『学ばせてもらった』と言った。
嫌な思い出を、欠如するのではなく、むしろ自分の糧にしたのだ。
『反省』した人間は強い。
やはり億泰は、賢く、豊かな人間だと……オレは思う。


ではオレは……

音石「……ボロボロの状態から、ここまで成長したオレの『チリペッパー』。
オレと仗助の『成長』。どちらが上か、確かめてやるぜ……!」

大柳「音石さん?自信があるのか焦ってるのかわからないけど……
一人じゃあ、たぶん『仗助』には勝てない。仗助はちょっとした『百戦錬磨』だよ。
あのさ、ぼくに作戦があるんだけど……」





仗助「三人来たか。音石明に、玉美に、大柳賢か。んん〜〜〜?
おいおい、もう足に『きてる』んスかあ〜〜?音石先輩に玉美先輩よォ〜。
『お疲れ』ならよ、すぐに……寝かしつけてやるよ」

賢「待ちな。戦うのはぼくだよ。仗助ッ!」

仗助「小僧、おめーと『ジャンケン勝負』してる暇はねェーッてよ」

賢「じゃあさ『スタンド勝負』……しようよ!!」

ドドドドドド…

仗助「ああ〜〜?おめーの『ボーイ�マン』で、
オレの『クレイジーダイヤモンド』に勝てるわけが……
ンン!?……なんだその『スタンド』は?」

賢「二人のスタンドを吸収し、『ボーイ�マン』と『合成』した。
名付けて……『ロックボーイチリペッパー!!』」

音石「(だ、ださい……)」

玉美「(か、カッコイイ……!)」

仗助「なるほど……スタンドを吸収されたから、
あの二人は『足にきてた』ってわけか。
チリペッパーのスピードとパワーを持ち、攻撃されれば『錠前』をつける。
中々グレートだぜ。だが……『欠点』が二つある」

仗助「一つ。スタンドはその者の才能だ。
『チリペッパー』は確かに並外れたパワーとスピードを持っている。
しかし、てめーが『音石以上』に扱えるわけがねェー」

賢「……」

ゴゴゴゴゴゴ…

仗助「そしてもう一つ。これが『致命的』だな。
『ザ・ロック』は罪悪感の大きさに比例して効果が増していく。
だがオレはてめーらを血祭りにあげることに……

そもそも『罪悪感』なんか感じない」

賢「うおおおおッッ!!」

仗助「これは『自業自得』だ、小僧ッ!
おめーがイキがってなけりゃあなあああァァッッ!!
『クレイジーダイヤモンド』、ドララララァーーーーッ!!」

一瞬……
玉美は、何が起こったか理解できなかった。
勇んで挑んだ『大柳賢』が、自分の顔の横をものすごいスピードで通過していき、
壁に叩きつけられたのだ。

ドグァオンッ!!

賢「…あ…あぁ……う…うぅ……」

玉美「け……けええェェーーーーんッッ!!!」

仗助「よええぇぇーなァッ!!『一撃』だッ!
たかる蚊を振り払う程度の感触!
この弱さはたしかに『可哀そう』だぜええェ〜〜ハハハハハッ!!
……んん?合成は『解除』されたようだな……
じゃあ次は…おめーかい?音石……先輩よォ〜〜」

ドドドドドド…

音石「仗助……てめェーーーッ!!見せてやるぜ!本場のオレの……
『レッドホットチリペッパー』をォォーッッ!!」

仗助「ドララララララァァーーーーッ!!」

ドババッ! ドバババッ!!

ドガ!ドゴッ! ドグォンッ!!

音石「か…はッ……!?せ…競り……負けただ…と……!?」

ドサッ……
強烈なボディブローを受け、音石は地面に倒れ込んだ。

仗助「一度オレを競り負かしたスピードとパワー!
あれは『町中』の電気があって初めてできるようだな。
『ノロい』ぜええェェーーーッ!!
電気を『味方』にできないてめーのスピードじゃあ、
『クレイジーダイヤモンド』は捉えられんよのォ〜〜ッ!」

音石「こ、ここまで…力の差が……あるなん……て」

仗助「『反省』だらけの人生だなァーーッ!ハハハハッ!!
さァて……玉美ちゃんはどーすんだああァァ〜〜〜?」

ドドドドドド…

玉美「……てめーが罪悪感を感じるっつーのは、
『そうなればラッキー』くらいに思っていた。それは賢も同じだ。
賢は初めから、合成したスタンドじゃあ勝ち目がないとわかっていた。
なのになぜ、賢は最初に挑んだのか?
それは……てめーを少しでも『疲れさせる』為だ。
それだけのためによォ……!!自分を犠牲にしてえええェェーーーッ!!」

ダッ!
玉美が拳を握りしめ、仗助に向かって駆け出した!

玉美「賢はッ!後はオレ達に『任せた』って言ったんだよォォーーッ!!」

仗助「ああ〜〜?チンケな錠前しかないオメーが『殴り』に来てんのか?
ハハハハッ!こりゃケッサクだぜッ!
玉美ッ!!テメーのスタンドが一番なまっちょろいぜ!何もできねーんだからなァ!!
ドララララララァァーーーーッ!!」

バギ!ドゴォッ! ドゴォンッ!!

玉美「ぐ…お……か…はッ……!?」

仗助「玉美ちゃ〜〜〜ン。強烈だろ〜〜?」

玉美「はぁ……はぁ……あ、安心しろ……。安心…しろよ……!
オレがお前を……必ず『守る』ぜ、け…ん……!!」

仗助「ハハハハッ!もう息も絶え絶えだな。
ん?なんだ、玉美の体に……『錠前』がついている?
……ひょっとしてあれか?あまりに自分が弱過ぎて、
『自分への罪悪感』でも感じたのかーーッ!?
アヒャヒャヒャヒャーーーッ!!!」



ズンッ!!

仗助「か、体が……『重い』ッ!?」

ゴゴゴゴゴゴ…

仗助「こ…康一か!? 康一が近くにいるのかッ!?
……い、いや違う。これはまさか……」

ザワザワザワザワ…
玉美の髪の毛が逆立ち始める。

仗助「……康一が、以前言っていた。
自分でもよくわからないが『スタンドが成長する時』に、
ドラゴンボールのように『髪の毛が逆立つ』ことがあると!!」

ドドドドドド…

玉美「そう……これは『支配』という名の束縛だ。
この『錠前』がついた者を攻撃すると、そいつを束縛する。
『ザ・ロック』はオレの気持ちに呼応し、成長した。
『守りたい』。自分を…そして『賢』を……」

仗助「な、なに言ってやがる!……ハッ!? よ、よく見ると玉美だけじゃあねぇ。
小僧にも『錠前』がついている……!」

玉美「名づけるぜ、この成長した能力。
『ザ・ロック・ラブレイン(愛の支配)』!!」

仗助「そ、その…『錠前』を攻撃したから、
オレの体が……『重くなった』っつーのかよォォーーーッ!?」

ドドドドドド…

音石「はぁ…はぁ……よく…やったな玉美。
動けないモンを殴るなんてことは、普通なら感じるだろうが……
今のてめーには、全く感じねーぜ……仗助。
『罪悪感』……なんてなァーーーッ!!」

仗助「や…やめ……ッ!?」

ズドズドッ! ズドォオンッ!!

仗助「……ぐ…ばッ!?こ…この……オレが……」

ドサッ…

音石「……一つ勘違いしてるぜ、仗助。
オレの『味方』は、電気だけじゃあ……ねェんだぜ」

玉美「仗助は…倒したが……はぁ……はぁ……」

音石「オレたち三人も…ここで……脱落だな。
何ヶ所か骨が折れてやがる……急に痛みが出てきやがった。はぁ…はぁ……。
まぁ、これはヘブンズドアーが解除されたら、仗助に『治して』もらおうぜ」

玉美「そうだな……ん?賢、どこに行こうっつーんだ?」

賢「『思い出した』ことが……あるんだ。露伴を『殺す』必要なんてない……
はぁ…はぁ……。ぼくは…一人でも、露伴のところに…行…く……」 ドサッ…

玉美「け、賢ッ!?」

音石「……気絶しちまったみたいだ。
なんだ?……なにを『思い出した』んだ?」



≪大柳賢、東方仗助 気絶≫

オリジナルスタンド名『ザ・ロック・ラブレイン(愛の支配)』


玉美自身、もしくは玉美が守りたいと願った者に『錠前』をつけることができる。
その『錠前がついた者』を攻撃すると、ダメージ量に比例し行動の束縛を受ける(体が重くなる)。

愛とは、『ある物事を好み、大切に思う気持ち』であり、
『個人的な感情を超越した、幸せを願う深く温かい心』である。


名前の由来は、イギリスロックバンド『The Who』の
アルバム『Quadrophenia』内の楽曲『Love Reign o'er Me』に由来。

※ちなみに錠前の元ネタと思われる楽曲『The Rock』は同アルバムのディスク2の6曲目、
『Love Reign o'er Me』はその次の曲となっている。


なぜ、『重くする』能力になったのか?
それは康一への『憧れ』が影響したのかもしれない。

噴上裕也は、自分の『ハイウェイスター』を見る時いつも思い出す。
『レイコ』、『アケミ』、『ヨシエ』の三人を。
自分が入院した時に、献身的に尽くしてくれたあの三人の女性を……。


近所の住人「噴上さん。お宅の裕也くんは、彼女をいつも三人連れています。
特定の一人と会っているところを、見たことがありません」

母「それが…恥ずかしいことですが…
親であるわたしにも、なにが原因なのか……」


一生で真に気持ちが通い合う異性がいったい何人いるのだろうか…?
母には父がいる。父には母がいる。自分には……

杜王町で暮らしている三人のことを考えると、胸が熱くなる。
彼女たちを…彼女たちのいるこの町を……『守りたい』

ドドドドドド…

承太郎「……後ろにも一人いるようだが、まずはおまえが最初か。
噴上裕也、そして『ハイウェイスター』」

噴上「(康一たちの情報によると、承太郎の時間停止は『2秒程度』だ。
この間合いなら、ギリギリ攻撃は届かない……)」

承太郎「(この間合い……停止時間が『2秒』しかないと、勘違いしているな?)
ならば……味わいな。スタープラチナの真の能力は、
まさに『星の明滅を体感する』能力だということを!
『スタープラチナ・ザ・ワールド!!』」

ドオォーンッ!

承太郎「……オレは今『5秒』時を停止することができる。
残念だったな……噴上裕也。オラァッ!!」

ドッゴオァンッ!!

承太郎「……『星が瞬く』が如く、
貴様は次の瞬間には吹っ飛ばされる。時は動き始めた……」


ドッバアーーーッ
バグォンッ!!

ミスタ「こ…これはッ!? い…いきなり……
壁まで吹っ飛ばされている!!ば、ばかなッ!?承太郎は一歩も動いていない!
停止できる時間から考えても、奴はなにもしていない!
『他に』スタンド使いがいるのか!?」

噴上「い…いったい……何が起こったのだ…
やられてしまったのか……う…動けない……」

噴上裕也が気絶する前に思うこと……
それは最後に浮かんだ『奇妙な疑問』だった。

なぜ、承太郎は一歩も『動いていない』のだろう。
なぜ、承太郎から突然微量の『汗』の匂いを感じ始めたのだろう。
一歩も『動いていない』のに……、この汗のタイミングは、『動いた』としか思えない。
なぜ……?

わ…わかったぞ。それしか考えられない……
承太郎は、『5秒以上』時を止められるのだ……
5秒あれば、近づき、攻撃し、そして元の場所に戻ることも可能……!

噴上「ミ…ミスタッ!!他には誰もいない!……ゴフッ!?はぁ…はぁ……
ご、『5秒』だ!承太郎の停止できる…時……は!5秒…以…上!な……んだ……」

ドサッ…

ミスタ「ご…『5秒以上』だって!?」

ドオォーンッ!

承太郎「わかったところで……遅かったようだな。
『ミスタ』とやらまでは、十分近づける距離だぜ。
……時は動き出す」


ミスタ「うっ!?じょ、承太郎が……き、消えたッ!」

承太郎「……後ろだぜ。まずは、空気を操り防御するスタンド使い。
その手に抱えた『ストレイキャット』を奪わせてもらう。オラァッ!!」

ミスタ「し…しまっ……!?」

未起隆「させませんよッ!!」

ブオンッ!!

承太郎「な、なにッ!?間一髪、避けられただと!?」

ドドドドドド…

未起隆「『スニーカー』に変身していて良かったッ!
『ミスタさんの力』と『わたしの力』で、速さも跳躍力も2倍になってますからね!」

ミスタ「や…役に立つじゃあねーか……オメーッ!
承太郎!!これを食らいなッ!『セックスピストルズッ!!』」

ガーン!ガァン!ガアァーン!!

承太郎「どこに向かって撃……ハッ!?」

ミスタ「……狙いはバッチリだぜ、
ピストルズの跳弾はなァァーーーッ!!」

ピストルズ「キャモオオオーーーン!パスパスパース!
イイイーーーッ!ハァアアアーーーッ!!」

承太郎「『スタープラチナ!!』」

バシッ!バシ!バシィ!!

ミスタ「三発……全て弾かれたッ!?
クソッ!康一が『最強』というだけはある……!!」

承太郎「あの『スニーカー』は中々厄介だな、一瞬で距離をとられる。
しかし、2倍の速さで動く相手だろうが、リング上のボクサーと変わらない。
動く範囲は限られている。
『スタープラチナ・ザ・ワールド!!』」

ドオォーンッ!

承太郎「……おっとミスタ。そういえば空気弾でガードしているんだったな。
仗助の記憶によると、この『猫草』はそれが可能らしい。
だが猫草は今『奪い取って』やった。……そして時は動き出す」


ミスタ「ハッ!?
て、手元にいた『猫草』が奪われているッ!?
ミキタカッ!早く離れ……」

承太郎「遅いぜ。オラ……」


ズンッ!!

『ACT 3 FREEZE!!』
「射程距離5メートルに到達しました!S・H・I・T!!」

パッ パッ
康一と億泰のスタンド、
『エコーズ』と『ザ・ハンド』の姿が、突如部屋内に現れた。

ドドドドドド…

康一「『射程距離内』ですよ、承太郎さんッ!!」

承太郎「こ、これは『エコーズ』と『ザ・ハンド』!?
……アクトンベイビーは物体と生物の『透明化』ができる。
透明化した康一くんと億泰のところに……ミスタは『誘導』していたというわけか」

億泰「リタイア、してもらいますぜェェーーーッ!!
ウオオオオオ!ウダラァーーーッ!!」

ドカッ!ドゴ!バギ!!

ミスタ「続けてくらいなッ!!」

ガアァーンッ!
ボゴォッ!!

承太郎「う……」 ドサッ…

康一「弾丸は皮膚と頭蓋骨をちょっぴり削り取り、かすめていった!
承太郎さんは完全に気を失ったぞッ!!」

ミスタ「あとは……露伴の部屋だな」



≪噴上裕也、空条承太郎 再起不能≫





気絶している噴上裕也の姿を、康一は眺めている。

康一「あ、あの……ミスタさん!」

ミスタ「ん?どうした?」

康一「……なんでミスタさんたちが『先行』するんですか?
透明化をして全員で向かって、それで露伴を叩けばいいと思うんですけど……。
承太郎さんも透明化には気付かなかった、露伴もきっと気付かない」

ミスタ「……その方が、先行した『噴上裕也』のように、
犠牲を出さないと思うからか?」

康一「はい……そうです」

ミスタ「康一、その考えは間違いだ」

ミスタ「相手がもし透明化の能力を『知らなかった』場合だろうが、
『全員』で挑むことに、オレは賛成できない」

康一「……」

ミスタ「もしも、最初に戦った女二人のような『新手のスタンド使い』がいて、
そいつの能力が部屋全体に効果を及ぼすものだとしたら?
オレたちは全滅だ。『全滅』だけは避けなければならない。
だから、オレたちが『先行』するんだ。
戦力はできるだけ集中する。しかし、全滅の可能性も考慮する。
両方やらなくちゃあならないから、このミッションは大変なんだ。
操られている仲間を救うんだろう?」

康一「はい……」

ミスタ「ピストルズの跳弾を、『ヘブンズドアー』では防ぐことはできない。
新手がいなけりゃあ、オレがそのままケリをつけてやるぜ。安心しな」

康一「……わかりました。ミスタさんの言う通りだ。
ぼくらには『やらなければならない』ことがある」

ミスタ「よし、まずはオレと猫草、ミキタカで突入する。
その10秒後に、おまえらも突入してこい」

康一「はい、わかりました!」

未起隆「わたしも了解しました!また『スニーカー』になっておきますね」

猫草「アギャッ!」

静「パパッと、やっつけちゃっていいからねェ〜〜〜」

億泰「ミスタさん、頼りにしてんぜェーーーッ!」


『頼りにしてる』……か。ここまでの戦いぶりを見て、
オレはおまえを『頼り』にしているんだぜ、『康一』……


ミスタ「じゃあ……突入だッ!!」

10…9…8……

康一「(10秒……あっという間だ。
いよいよ……決着の時だぞ、露伴!!)」

「……てめーが『露伴』だな?一人だけか?」

「『見えない』かい?『ボディガード』もいるよ……ほら、そこにね」

メキャッ!!!ドゴァオオン!!!

「ニ…ニギャーーーッ!?」

「ぐ…ああアアァァーーーッ!!?」

「な!?ミスタさ……」

シュバ!シュバ!ズッバァ!!!

「う…うあああああーーーッ!!?」

康一「(な…な、なにが起こっているんだ!?……クソッ!!)」

ダッ!

ゴゴゴゴゴゴゴ…

露伴「康一くん。ついに辿り着いたね……」

康一「こ…これ…は……」



康一がそこで見たものは……

花(顔の部分)がねじ曲がり、呼吸のままならない猫草。

人間業とは思えない力で、壁に張り付けにされたミスタ。

そして鋭利な刃物で全身を切られ、気絶し変身の解除された未起隆。

だった。



康一「た……たった10秒の間に……
な…なにを……なにをしたんだッ!!ろはァァァーーーーんッッ!!!」

露伴「フフフ……『わたしは』何もしていない」

康一「この部屋にはおまえしかいない!!嘘をつくなッ!!」

露伴「おいおい、知っているだろう?
わたしのスタンドは『ヘブンズドアー』。
人間を壁に『張り付け』にしたり、『切り刻む』なんてことは、
『わたしには』できないよォォ〜〜〜」

康一「貴様……!!」


静「(いいぜ康一サン!そのまま引きつけといてくれ!
その間に、あたしと億泰が露伴を……)」



ズッバァッ!!!

静「え……?う…あ……ああああァァーーーッ!!?」

康一「あ…『脚』が……!!?」

そこには、切断され透明化の解除された、静=ジョースターの『脚』が転がっていた。

露伴「『女』の叫び声……。
そしてあの脚のサイズ、声の主は『静=ジョースター』か。
透明化でそろそろ接近してくる頃だと思っていたぞ。しかし残念だ。
この部屋には、『究極の』ボディガードがいるのでねェ〜〜〜ッ」

ジワアァーーッ…
叫び声がした方向の床に、血が滲みだしている。

ゴゴゴゴゴゴ…

康一「(そんな……透明化はすでに読まれていたなんて……!?)」

露伴「フン。アクトンベイビーを解除しないな。姿が見えん。
片脚を切断されたのに、まだスタンドを保ち続けるとは大した精神力だ」

億泰「(静おめー……そんな無茶を!!)」

静「(……だ、黙ってろよ!億泰サン。はぁ…はぁ……)

康一「クソッ…!誰だ!?誰がここにいるんだ!?」

露伴「静の脚を『切った奴』のことを言っているのかなァ〜〜?
んッン〜〜〜でも『人』ではないんだよなあ、これがああ〜〜〜」

康一「人じゃあない!?『動物』か!?動物がここにいるのか!?」

露伴「ハ ズ レだよ〜〜〜〜ン!アハハハハハッ!
『動物』でもないんだよなァ〜〜〜。答えを知りたいかい康一くゥゥ〜〜〜〜ン?」

康一「……クッ!」

露伴「フフフ……ハハハハッ!!冗談だよ、康一くん。教えてあげるよ。
わたしはな……



『究極の生命体(アルティメット・シイング)』を、我が僕(しもべ)としたのだ」

ここまでご覧頂き、ありがとうございました。
続きは日を改めて書かせて頂きます。

無理やりな展開が続きますが、最後までご覧頂ければ幸いです。

それでは。

〜お詫び〜

申し訳ありません。
原作で死亡しているであろう『ヴィヴィアーノ=ウエストウッド』が、
実は『生きていた』という前提で、話の続きを書かせて頂きます。

今の今まで、原作で『死んでいない』と勘違いしていました。
よくよく読み直してみたら、死んでるっぽいですね……

話の破綻から打ち切りも考えましたが、
ウエストウッドが存命していたというifのもと、最後まで書ききる方向で進めます。


本当に失礼いたしました。
それでは続きを書き込ませて頂きます。

- 回想 -

ペラ…ペラ…

露伴「ジョースターの記憶。中々興味深い。
『カーズ』という名の『柱の男』は地球を追放された……か。
『究極』の力を持とうとも、地球に降り立てないならば意味はないな。
……いや、待てよ。徐倫の記憶にあったあの『スタンド使い』」

ペラ…ペラ…

露伴「これだ……隕石を『引き寄せる』能力。
こいつの能力をヘブンズドアーで『書き換えれば』、何とかなるかもしれん。
場所は『GDst刑務所』か……」

- GDst刑務所 -

露伴「おい……そこの職員」

職員「ン?」

露伴「『ヘブンズドアーッ!』
……貴様に命令する、この『三人』を呼び出してこい」


「はい、そうです。あなたに用があるとのことです。『ミュッチャー=ミューラー主任看守』」

「……お前に面会だ、準備しろ。囚人番号FE18081『グェス』」

「ええ、何か話があるみたいですよ。『ヴィヴィアーノ=ウエストウッド看守』」


露伴「『ヘブンズドアー!!』
……これで三人は傀儡と化した。必要な権力者へのヘブンズドアーによる根回しも済んだ。
あとは場所だな。行くぞ……無人の荒野がいい」





- 荒野 -

露伴「……よし。
それでは能力を二つ書き換えさせてもらうぞ、ウエストウッド。
書き込む『文面』は……

�下記の『生物』だけは燃え尽きて塵に『ならない』。
�引き寄せるのは『隕石』ではなく……

 『究極生物カーズ』 だ」

えーっ 露伴ちゃんの能力でこんなことできるのォ?

ゴゴゴゴゴゴ…

ウエストウッド「……来た」


カッ——

ズドドドドオオオオオオオオォォォォォォーーーーーーーーンンンンンンッッ!!!!!!!!!


ミューミュー「……カーズがきたぞッ!!」

徐倫「これだけウエストウッドと離れたのに……すごい衝撃ね」

グェス「小規模ながら、『クレーター』ができている」

承太郎「ウエストウッドは衝撃で死んだようだな」

仗助「飛び散ったカーズの肉片が集まっていく……
あんな細切れになったのに、もう『再生』しやがった!」


カーズ「こ、ここは『地球』かッ!?フフフフフ…フフハハハハハハーーーッ!!!
ついに!ついに帰ってきたぞッ!!
最高に『ハイ!』な気分だアアアアアアハハハハハハハハハハーッ!!
ンッンン〜〜〜?なんだ?人間が六人いるなァ〜〜?」

>>139
できるとは言い切れないので、耳が痛いご指摘です……

仗助「カーズがオレたちに気付いたようだ。
傷は『治す』からよォー、それじゃあ頼むぜェ〜〜ッ」

徐倫「やれやれって感じだわ、引き寄せる為の『餌』にされるなんてね。
……おい『カーズ』ッ!!あたしは『ジョセフ=ジョースター』の子孫!
おまえを始末しに来たッ!!」


カーズ「……ほう?奴の『子孫』か。……面白い。
『波紋の一族』、今度こそ根絶やしにしてくれるッ!!」

ドシュンンッッ!!
ドスッ!!

徐倫「が…はッ……!?あ、あれだけの距離を…一瞬で……!?
は…速過ぎる……!?」

承太郎「『スタープラチナ・ザ・ワールドッ!!』」

ドオォーンッ!

承太郎「だが、止まった時の中なら速さは関係ない。
ダイヤの硬度すらへし折るラッシュだ……味わってみな。
オラオラオラオラオラオラオラオラーーーーッッ!!」

ドゴ!ドゴォッ!ドガ!ドゴォン!!

承太郎「そして時は動き出す……」


カーズ「ぐ……ムウッ!? なんだ?
何十発も『同時』に殴られた……だと?」

承太郎「!?
……やれやれだぜ。全く堪えねーとはな。
初めて出会ったぜ。こんなガンジョーな『生物』は」

ゴゴゴゴゴゴ…

露伴「しかし、それで十分だ承太郎。
『一手』……遅れたな。『ヘブンズドアーーーッッ!!』
フフフ…フフハハハハッ!!」

- 現在 -

ゴゴゴゴゴゴ…
ゴゴゴゴゴゴ…

カーズ「……ようやくお披露目か」

カメレオンやイシガレイのように、
『背景に同化』していたカーズが姿を現す。

康一「あ……あぁ……。き、聞いたことがあるッ!
ジョセフさんから昔!『カーズ』という名の究極生物がいたって……!
神のような、人間には決して倒し得ない敵がいたって……!!」

露伴「それが『こいつ』だよッ!!ハハハハッ!!
視力は天体望遠鏡並。
聴力はコウモリからクジラの鳴き声まで全てを聞き分けられる。
そして嗅覚もサメのそれと同様。1km先だろうと『匂い』で探知できる。
カーズ。そこに転がってるボロゾウキン以外でだ。
今この部屋に、わたしと康一くん以外には何人の匂いがある?」

カーズ「『2人』だ」

静「(……クソッ!億泰サンの透明化もばれてやがる!しょうがねぇ…
『自分だけ』だ!アクトンベイビーを一部だけ解除するッ!)」

スウゥゥゥー……

露伴「おッ!ようやくそのツラを拝見できたよ。静=ジョースタァァァ〜〜〜。
脚から流れ出る血の量も相当だな。
その状態でまだ一人分透明化しているとは、大した奴だよ君は」

静「このゲス野郎が……ッ!!」

露伴「ンッン〜〜〜。いいねぇ、その眼差し……
そうだカーズ。昔『ジョセフ=ジョースターの母親』にお前がやったことをやってみろよ。
『記憶』っていうのは、こういうことに生かさないとねェ〜〜〜」

静「な……なにをするつもりだてめーーッ!?」

ガシッ!
カーズは静の残った片脚を掴むと、そのまま空中に吊し上げた。
そして……

カーズ「ウィンウィンウィン、ウィンウィンウィン……」

露伴「アハハハハーーーッッ!!」

康一「ぐ……!!」

億泰「(あ……あの野郎……!!)」

カーズ「ん?人間の女のくせに、体重が少しばかり『重い』んじゃあないか?」

静「……ケッ!気色わりーな化け物。だが、む…胸だけは触るんじゃあねーぞ!」

露伴「……おやあ?『胸を触ってくれ』と聞こえたなァ〜〜。
フフフ……『ないもの』は触れんと思うが、
折角の『リクエスト』だ。応えてやれ……カーズ」

カーズの手が静の胸部に向かって伸びてくる。

静「(……もう少し、もう少し手を伸ばせ……よし!)」

プッツン!

億泰「うおおあああッ!!もう『我慢』するのは面倒くせェェーーーッ!
このダボがァァーーーッ!!くらえ『ザ・ハンド』ッ!!」

静「お、億泰サン!?」

ドドドドドド…

透明化していた億泰が『ザ・ハンド』を繰り出し、その『右手』がカーズに迫る!

カーズ「その『右手』のことは知っている。貴様の自慢の右手……。
しかし『受けよう』。ジョセフの娘よ、それが貴様の根性に対しての『サービス』だ」

ガオン!!

『ザ・ハンド』がカーズの頭部を『削り取った』。

億泰「頭だ…!削り取ってやったぜッ!!や、やったかッ!?」


カッ!!……ボンッ!!!



億泰の『左腕』が宙を舞った。
かつての『ジョセフ=ジョースター』のように……



億泰「う……うあああああぁぁぁぁっっ!!!?」

カーズ「ンンンン、いい声だ!実にいい響きだ。
その絶叫を……聞きたかったぞ!!」

億泰の透明化が解除されていく。

億泰「あ…あぁ……お、オレの左腕が……」

ゴゴゴゴゴゴ…

静「け…削り取ったカーズの頭部がもう……『再生』している……!!」

露伴「カーズはどんな傷も短時間で修復できる。頭部でさえも……な。
そして、『サービスタイム』はもう終わりだ。
カーズのスピードはスタープラチナやクレイジーダイヤモンドですら凌駕する。
貴様のザ・ハンドではもう二度と、攻撃を当てることはできん」

康一「し、しかし!いくらスピードがあろうと、
ぼく達のスタンドが『見えなければ』、まだわからないッ!!」

カーズ「……いや見えているぞ。『さっきから』な……」

康一「!?」

露伴「マヌケがあああッ!!
すでにカーズにはスタンドが見えるよう『書き込んで』いる。弱点はない。
そう、カーズは『神』になったのだ。
人間は『神』にだけは勝てない。『服従』しかないんだよ。

わ か る か い?康一くゥゥ〜〜〜〜〜ン」

ゴゴゴゴゴゴ…

康一「そ…そんなまさか……ッ!!」

ブオン!
康一はact2の拳をカーズに向け振るうが、カーズはそれをなんなく避ける。

露伴「ん?なんだい康一くん。『エコーズact2』?
両拳に『ガオン』の文字がついているが……まさか『削り取ろう』っていうのかい?」

康一「……クソッ!!」

露伴「まぁ、億泰と二人でなら、カーズの再生力を上回れるかもなあああ〜〜〜。
だがカーズはスタープラチナやクレイジーダイヤモンドを上回るスピードを持っている。
しかもスタンドも『見える』。さっき言っただろう?今のでわかっただろう?
君の亀が垂らすクソ程しかないスピードの『act2』の攻撃なぞ、かすりもせん……
この ダ ボ がァァァーーーッ!!アハハハハッ!!」

露伴「さて……康一くん。君たちはよく頑張った。
仲間を死なせたくないだろう?
今なら億泰の腕も、静の脚も、そこの帽子男たちも、みんな……
クレイジーダイヤモンドで『治す』ことができる。
君が、この岸辺露伴への『服従』を誓えば……な」

康一「……」

露伴「さあ最後の決断だよ。
『従う』か『死ぬ』か……『みんなの運命』を、君が決めるんだ。康一くん」

静「……『康一サン』!!」

ここまでご覧頂き、ありがとうございました。
続きは日を改めて書かせて頂きます。

次で最後まで書ききります。

それでは。

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