仗助「そんなお前が嫌いだったよ」(64)
…ひとつ、頼み事を受けてもらえないだろうか。
はい、なんでしょうか。今のところ落ち着いていますから、大抵のことでしたら、お聞きしますよ。
ありがとう。しかしそう身構えなくてもいい、ただ…"手紙"を出して欲しいだけなんだ。
…悩みはしたがね。その内容が君にとって不適切だと判断するならば破棄しても構わない…。
………。
では、よろしく頼むよ。
………はい。
仗助「承太郎さんッスイマセン!遅くなって」
承太郎「…いや…気にするな。こっちも急に呼び出して悪かったな」
仗助「いやー正直戸惑いましたけど、連休は暇だったし、それにタダってーのが魅力的すぎて。そーそー億泰のヤツが土産買ってこいってスッゲー騒いでましたよ~、向こうの名物って何なんスかねーッ」
承太郎「…仗助…改めて言っておくが、まずは"目的"を済ませるのが先だ。観光はその後、だぜ…予定がスムーズに行かなければ、観光時間も減る。その辺キッチリ頭に入れておけよ」
仗助「わかってますってーッ!いや、実際のところはあんまりよくわかってねーんだけどよ…承太郎さん、説明が大雑把すぎっつーかァ~」
承太郎「………飛行機に乗ってから話す。行くぞ…」
仗助「…フー……しっかし予想外に暑ィなー上着着てきたのは失敗したぜ…向こうは涼しいかなァ…」
承太郎「ところで…"支度"はちゃんと整えてきたか?」
仗助「あーソレっスか…大変でしたけどね、使いたくもねーおべっか駆使して宥めすかしてよー。それでも聞きゃーしねェから、最終的にゃ康一に頼んで説得してもらいました。…それでも三時間はかかったけどよ」グッタリ
承太郎「………今回は…ただの旅行じゃあねーからな…"通訳"を挟むにゃ難しい場面にも出くわすだろう…お前自身が話せるようになった方が良い」
仗助「………」
承太郎「………どうした、急に静かになって」
仗助「…いや…説得が大変だったのもあるけど、なんつうかなーいくらこっちも腹立つムカつく~ッて思っていても、敵意っつーかなんつーか…そーいうのをブツけあうのって…疲れるなァ~って」
承太郎「………」
仗助「や、だからって仲良くしたいって気は粉微塵ほどもないッスけどね!別に!マジで!」
承太郎「………」
承太郎「………そう、だな」
承太郎「…本来は…俺とじじいで行くつもりだった。だがじじいがいくつかやらかしたせいで、代わりにお前に頼むことにしたんだ」
承太郎「お前はじじいの代理だ。だが、特に気張る必要はない。ただ、見届けてほしい。お前がすることはそれだけだ」
仗助「…?よくわからねーけど…つーか、じじいは何をやらかしたんです?」
承太郎「………」
承太郎「まず…最近やたらと元気になったとはいえ、じじいはあくまでも高齢者。長距離の移動はなるべく避けたい、まあ…今の状態なら、可能なんだろう…が」
承太郎「…やれ、静が立った歩いただの、喋っただのとで、ことあるごとに祝い酒を飲む癖ができてな。それも泥酔するほど。今頃ベッドと仲良くイチャついてんだろーよ」
仗助「なーにやってんだあのじじいは、しょーもないっスね~、年甲斐もなくはしゃいでよ」
承太郎「…それから…これが一番の理由なんだが…」
承太郎「じじいが飛行機に乗ると、必ずと言っていいほど、墜落する」
仗助「へっ」
承太郎「俺自身体験もした、飛行機が墜落する可能性は宝くじが当たるのと同じくらい、などと言うが…念のためにな」
仗助「……思ってたんですけど、じじいってかなりのトラブルメーカーっスよね」
承太郎「否定はしねェ」
仗助「にしても機内食って結構イケますねーッ。俺、飯を食いそびれたから有難ェ」
承太郎「…現地に着くまでは寝ていろ、暇なら雑誌や映画もある、ゆっくり休んでおけ」
仗助「つーか、結局何を見届けるんです?」
承太郎「………"遺産"、だな」
仗助「………まさかまた隠し子だなんだって話じゃあ」
承太郎「ある意味、そうとも言える」
仗助「よっし、じじい殴ろう」
承太郎「…これについては、じじいがやらかしたワケじゃあねェ。ただ…お前にも少なからず関係のあることだ」
承太郎「それに…"矢"も関わっているからな…」
仗助「………"矢"?」
承太郎「………」
仗助「矢って……あの矢ッスか!?あの"矢"のことッスか!?」ガタッ
承太郎「いきなり席を立つんじゃねーぜ、仗助」
仗助「ちょ、待ってください、承太郎さん…話が全然見えねーッスよ!」
承太郎「………」
仗助「承太郎さんッ」
承太郎「寝ていろ…静かにな」
仗助「(結局、それから承太郎さんは何にも話してくれなかった)」
仗助「(矢って…あの"弓と矢"のことだよな?なんだかキナくせー話になってきたような気がするぜ)」
・・・
承太郎「…さて。確か迎えが来るという話だが…」
仗助「…随分並んでますね、タクシー乗り場。まさか俺達もアレに並ばなきゃならねーのかな」
?「………あんたが"クージョー・ジョータロー"さん?」
承太郎「…そうだが」
?「どーも。言われて貴方達を案内しに来た者です、よろしく。ジョータロー、と…えーっと、そっちは」
仗助「(うわ、香水キッツー)」
承太郎「…こいつはジョセフ・ジョースターの代理として連れて来た者だ。東方仗助という」
仗助「………」ペコリ
ミスタ「よろしくな、えーっと…ヒガ…ヒガ……長ェな、ジョースケでいいか?俺はグイード・ミスタ、ミスタでいい」
ミスタ「そうそう、れっきとした案内人である証を出し忘れていたな。コイツでいいかい?」
仗助「なんスか?イヤリング…?」
承太郎「…充分だ。こっちの証拠はこれ…先日届いた"手紙"だ」
ミスタ「………本物だな。よし、じゃあ車に乗ってくれ。案内すっからよ」
仗助「(…話がさっぱり見えねえ)」
ミスタ「………」ジロジロ
仗助「……なんスか、人の事をジロジロ見て」
ミスタ「ああ、いやいや、悪ィ」
ミスタ「随分いかしたヘアースタイルなんだなーと思ってよ?なかなかキマってんじゃん、格好いいぜ。そっちじゃそういうのが流行ってんのか?」
仗助「誰の頭がサザエさんみてーだとォーッッ!?」
承太郎「えっ」
ミスタ「えっ」
仗助「………」
仗助「えっ?」
仗助「…ス…ストレートに褒められた……だと…?」
承太郎「………おめーはどれだけトラウマ持ってんだ」
仗助「…す、すんません」
ミスタ「ぎゃはははは!お前面白いヤツだなっジョースケ!」
仗助「………」
ミスタ「ま、ま、立ち話もなんだ、早く車に乗りな」
ミスタ「窓開けてもいいかい?悪ィな、まだ慣れてなくってよ、香水の付け方に」
承太郎「ああ…」
ミスタ「俺もおめーと同じようなもんだ、ジョースケ。人に指摘されてから、自分の匂いが気になって仕方なくなってよ~、普段は付けないんだが、初対面の相手にゃ一応気ィ使っとこーかと思ってさ?」
仗助「いや、俺のはそういうのじゃねーから!早とちりしただけで!」
ミスタ「いーっていーって!俺はわかるから、ジョースケの気持ち!」
仗助「いや、わかってねーだろ、ちっともよ~!」
承太郎「………やれやれだぜ」
ありがとうございます。
urlの貼り方がよくわからないので申し訳ないのですが、 ディオ「そんな貴様が嫌いだったよ」が前スレになります。
原作から恥パの前か後かは、どっちとも取れるように書きたいですが、難しいです。
どちらにしろ、気楽に読んで頂ければと思います。
ミスタ「…着いたぜ、長時間お疲れさん」
仗助「う、うぷ。やっべ~少し酔ったかも…ケツも痛ェしよォ~」
承太郎「………随分と町から離れたところに来たんだな、かなり迂回もしていたようだが…」
ミスタ「悪ィ悪ィ、けどよーお前らのとこじゃこう言うんだろ?『住めば都』なんてよー」ガチャガチャ
ミスタ「よし、開いた。さ、どーぞどーぞ入ってくれ」ガチャリ
仗助「…お邪魔しま~ッス」
承太郎「………」
ミスタ「二階に上がって一番奥の部屋に入ってくれ、何か飲み物でも出そうか。何にするよ?ワイン?それともブランデー?」
仗助「俺、酒飲めね~んスけど~?まだ一応」
ミスタ「へーっ、気合い入ってるワリにゃーお堅いのな。コーヒーでも持っていくぜ」
仗助「随分古めかしい家だな…今にも床を踏み抜いちまいそーだ」ギシギシ
承太郎「………」
仗助「…承太郎さん、ここにあるんですか?"矢"が」
承太郎「………」
仗助「承太郎さん、もうそろそろ話してくれてもいいんじゃあないんですかねーッ?モシモシーッ聞こえてますーッ!?」
承太郎「………"遺産"は…てめーの目で確かめろ。見聞きして、仗助、お前の感じるままに動くといい。任せるぜ」
仗助「だからッ何をどーすりゃいいんだってーの!」
ガチャッ
承太郎「………」
仗助「………ん、」
?「…遠くからはるばる、お疲れ様でした。道中大変でしたでしょう、快適なものを用意出来ずに申し訳ありません」
仗助「(話も理由もいまいちわからないまま、連れて来られた先には、俺と同年代…いや年下か?男が一人、椅子に座っていた。窓際には、大きな亀が居座っている)」
仗助「(そいつは俺達の姿を見るや否や、椅子から腰を上げて…深々と頭を下げながら、丁寧に出迎えてくれた)」
仗助「(よくはわからねーけど…気品っつーの?何か輝きが見えるような…ちょーっとばかり、いけすかない感じもしたが…)」
仗助「(にっこりと微笑む、爽やかなそいつは…"ジョルノ"。ジョルノ・ジョバァーナと名乗った)」
ジョルノ「承太郎さんと…仗助さんですね。よろしくお願いします」
ジョルノ「手紙は読んで頂けましたか」
承太郎「…読んだからこそ、ここにいるんだぜ」
ジョルノ「それもそうですね。では、どうぞ寛いでください。積もる話もあるでしょう」
仗助「ちょっ!すんません、俺、亀ってどうにも苦手なんですよねーッ!できれば近づけないでくれねーかな…こ、心の準備が」
承太郎「………」
ジョルノ「…それは失礼しました。では承太郎さんだけ」
承太郎「………亀を手渡されても、どうしろと?」
ジョルノ「…いえ、何も亀を抱いてくれと言うわけではありません。亀の甲羅に鍵のようなものがついていますよね?それに触れて頂ければいいんです」
ジョルノ「そうすればわかります。……貴方達は"スタンド使い"と聞いていますから。触ればわかります」
承太郎「!!」ボギュッ
仗助「――えっ!?」
ズギュンンッ!!
承太郎「こ…これは…!」ズブズブ
仗助「承太郎さんッ!?」
ジョルノ「…どうぞ、ごゆっくり」
ゴゴゴゴゴ
仗助「承太郎さんッ承太郎さん!?な…げ、幻覚か!?承太郎さんが…亀の甲羅に吸い込まれたぞ!?承太郎さんーっ!!」
ジョルノ「…心配しなくていいですよ、その亀はスタンド使いで、それが彼の能力なんです」
ジョルノ「亀の中は部屋になっています。その鍵についている宝石を覗き込んでみてください」
仗助「……!?じ、承太郎さんが…いる……それにもう一人…男…?」
ジョルノ「……あの、」
仗助「てめーッ何者だァァー!?いきなりこんな…スタンドの事も知っているし…一体、なんの目的があって!」
ジョルノ「…すみません、その前に尋ねたいのですが…大丈夫なんですか?」
仗助「ああんッ!?」
ジョルノ「…亀……苦手なんでしょう?しっかり抱えていますけど」
仗助「………」
仗助「………ぎゃあああああ!!」
ミスタ「コーヒー持ってきたぜーっ、……何やってんだ?ジョースケは」
ジョルノ「レベルアップ……ですかね」
ミスタ「?」
仗助「」ヒクヒク
・・・
承太郎「…これは……」
ポルナレフ「驚いたろ?この亀の能力なんだ。少し前から住み始めたんだが、なかなか快適だぜ。テレビも見られるしな」
承太郎「!!………」
ポルナレフ「…そんな顔をするなよ。これでもかなり悩んだんだがな、報告はしたくなって。しかし実際に訪ねてきてくれるとは思わなかったぜ」
承太郎「…手紙に書いていたじゃねーか。直に会って話がしたいと」
ポルナレフ「え?…すまねーがその手紙、ちょっと見せてもらえるか」
承太郎「………」
ポルナレフ「………ああ……ジョルノのヤツめ」
・・・
ミスタ「少しは落ち着いたか?ジョースケ。ほらよ、コーヒー」
仗助「…すんません、大丈夫っス…あざーッス……」グッタリ
ジョルノ「本当に苦手なんですね、亀が」
ミスタ「便利なのになー?俺達、あの亀にかなり助けられたしよ」
仗助「逆竜宮城っスかァ~、って!和んでいる場合じゃねーんだよ!早く承太郎さんを亀から出せっての!」
ジョルノ「だから大丈夫ですって…何度言わせる気ですか。あの亀は無害だし、僕達も貴方達に敵意を持ってはいません」
ジョルノ「とても世話になった方の頼みを叶えたかっただけなんで。少し、お節介を焼いてしまいましたが」
仗助「………」フーフー
ミスタ「頭冷やせってーの。ジェラートでも食うか?今、ここには無いから町に買いに行ってもらうが」
仗助「冗談じゃねーッスよ!あの距離をたかがアイスの為に引き返せるか!」
ミスタ「あと金もねーから奢ってくんない?」
仗助「どこのチンピラだッてめー!」
仗助「いい加減にしろよ、てめーらはよ~ッ!!いいから承太郎さんを亀から出せッ!」
ジョルノ「出入りは自由に出来ます、2人の話が終わったら出てくるでしょう」
仗助「………!」イライラ
仗助「スットロいこと言ってんじゃねーッスよ!大体てめーら、"矢"も持ってるって話じゃねーか!いつまでものらりくらりしてっと、……!」
仗助「(…あんまりにも頭にきて、ジョルノの胸倉を掴んだ…と同時、いやそれよりも早かったかもしれねー)」
仗助「(俺は、それまであれだけ友好的に、気さくに話していたミスタに銃口を突き付けられていた)」
仗助「(いつ抜いた?どこに隠し持っていた?早ェ…しかも、これは殺気ってヤツかよ…銃も、殺気も……全然わからなかったぜ…いつから出していたのか)」
ミスタ「…だからよーっ、落ち着けって言ってんのがわかんねーのか?風穴でも開ければ少しは冷えるかよ?そのカッコイイ頭によーッ」
仗助「(…グレート!マジでイカれてやがる、この凄味ッ)」
期待
ただ承太郎の仗助に対する口調がちょいちょいdioに対する口調みたいになってるのは気をつけてほしい
ありがとうございます。
>>26
言われて見ると確かに…お恥ずかしい、大変失礼しました。
口調についてはジョルノもすごく悩むのですが、丁寧口調で突っ走ります。
ジョルノ「僕は大丈夫です、ミスタ。ありがとう」
ミスタ「………」
ジョルノ「彼の非礼をお詫びします。ですが…これが最後ですから。どうか落ち着いて、そして承太郎さんに危害を加えるつもりはありません。…これが最後です、同じことを何度も言うのは好きじゃないんで。信じて頂きたい」
仗助「………」ブワッ
仗助「(ミスタが俺の頭から銃を下ろしたあと、思い出したように冷や汗が溢れ出た…)」
仗助「…んな事、言われてもよー…ハイそーですかと退けるかってーの」
仗助「てめーらがマジに"矢"を持っているんなら…それはかなりヤベーもんだから、回収するか破壊してーんだよ」
ジョルノ「………」
ジョルノ「それはできません」
仗助「スットロいこと言ってんじゃねーッスよ!コラァ!あの矢はマジにヘビーなモンなんだって!」
ジョルノ「お断りします。僕達がしっかり管理していますから」
仗助「んな事、信用できるかッ!」
ジョルノ「何故です?」
仗助「いいから矢を渡せ!!」
ジョルノ「いやです」
仗助「………ッ、この」ワナワナ
ミスタ「あーあー、わかったわかった、もうわかった、もうわかったって」
ジョルノ「………」
ミスタ「これ以上やってもラチがあかねー。さっさとケリつけちまおうぜ!な!」
仗助「………」
ミスタ「ジョースケよーっ、おめー、ゲームは好きか?」
仗助「…ゲーム?」
ミスタ「ああ、ゲームだ。ただし、テレビゲームとかそういうもんじゃねーよ、互いに何かしら賭け合う…ちょーっとばかりスリリングで簡単なゲーム」
ミスタ「……てめーがそこまで矢をよこせって騒ぐんならよーっ、こっちはそれを賭けてやる…」
ミスタ「そしてジョースケ、てめーが賭けるのは……命だ」バラバラ
仗助「!!?」
ジョルノ「………」
ミスタ「ロシアンルーレットって言えばわかるか?見せたように、この銃には一発だけ弾丸が入っている。普通のゲームと違う点は、"当たったら負け"…それだけだ」ジャキッ
仗助「………」
ミスタ「な?簡単だろ?」
ゴゴゴゴゴ
仗助「(…グレートですよ、こいつぁ…)」
ジョルノ「…ミスタ。そのゲームは僕にやらせてください」
ミスタ「いーよ、おめーはスッこんでな、ジョルノ。俺はジョースケを気に入ってんだ…まさかケツまくったりはしねーよなァーっ?あれだけ喚いておいてよーっ」
仗助「………」
ジョルノ「いえ、僕にやらせてください。大丈夫です、僕は負けませんから」
仗助「」ムカッ
仗助「上等だッコラァ!ロシアンルーレットだろーがなんだろーがやってやるよ!」
ミスタ「…ま、せいぜい頑張りな。救急箱は用意しといてやっから」
仗助「銃で撃たれて追いつくかッ!!いいからさっさと始めるぜ!」
ジョルノ「先攻は僕からいきましょう。ミスタ、銃を貸してください」
・・・
承太郎「………」
ポルナレフ「…と、いったところだ…これまでの経緯はな。この矢は…ジョルノ達のもの。ジョルノ達と俺がしっかりと守ると約束しよう」
ポルナレフ「この事を、spw財団に?」
承太郎「…存在は伝えた、他にあるだろうという可能性はな…。だが…今後、その矢についてだけは、"破壊された"と報告しておく」
承太郎「この手紙も、やたらと念入りに、遠回りに郵送されてきたしな…あいつらが何をして何を考えてんのかは知らない、として…そう言っておいた方が無難だろう」
ポルナレフ「俺としての個人的な手紙でもあったが…彼らの活動を妨げなければ、危害は加えないだろう。だが念のため、そうしてくれると助かる」
承太郎「………"ジョルノ"は…"俺達"のことを知っているのか?」
ポルナレフ「……さあな。ジョルノが個人的に調べたなら、知っているかもしれないが…」
承太郎「………」
ポルナレフ「これも運命と言うのかね、実に奇妙な…」
・・・
仗助「(成り行きで始まっちまったロシアンルーレットだが……これ、かなりピンチってヤツじゃねーかァ~っ?ま、まさか…マジで実弾が入っているワケじゃねー、よな…?)」ゴクリ
ミスタ「………」
仗助「(映画か何かじゃあるまいしよーッ!第一、俺は命であっちは矢って…もし、てめーの番で弾が出たらどーすんだよッ!死ぬだろーがよォォ~ッ)」
ジョルノ「………」
仗助「(弾が入ってない?ハッタリ?そんなもんじゃあねー、こいつら…"慣れ"てんだ……命のやり取りとか、そーいうの…たかがチップ扱い!もし負けちまっても、"あーらら"と軽く済ませられる程ッ!慣れてやがる!)」
ガチンッ!
ジョルノ「一発目は僕の勝ちですね。さ、次は仗助さん、貴方です」
仗助「(躊躇いもなく!さも当たり前とばかりに!テレビのスイッチを押すような気軽さが!!物語ってやがるッ!)」ドドドドド
仗助「………」
仗助「(…受け取って初めてわかったけどよー、銃って…"重い"ぜ……モデルガンなんか比べものにならねー重さだ…)」
仗助「(ズッシリと来る重さが…引き金を引くだけで簡単に命を奪える重さが…俺は慣れねェ。この先、絶対に慣れることはねェ、確信する)」
仗助「(手がぬるつく、震える……こんなのおかしい、絶対おかしい、てめーらはおかしい!!)」
ガチンッ!!
ジョルノ「………」
ミスタ「二発目、ジョースケの勝ち。良かったなぁーっ?ジョースケ。お前ツイてっかもなァ~」
仗助「………」ハァーハァー
仗助「………てめーらは…イカれてやがるぜ…」
ジョルノ「否定はしません」
ジョルノ「僕達と貴方達は、互いに"住む世界"が違うんです。…ああ、これは挑発でも嘲笑でもありませんから、誤解せず、言葉そのままに受け取ってくださいね」
仗助「………」
ジョルノ「貴方達の世界では、非道である事、それが僕達にとって普通なんです。決して相容れない、二つの世界のルール」
ジョルノ「…僕達は…貴方達をこの世界に入れたくない。そして僕達は貴方達の世界に帰れない。帰れない事が悲しくないと言ったら、嘘…になるかもしれません」
ジョルノ「………だが、このジョルノ・ジョバァーナには"夢"がある!!」
仗助「!!」
ガチンッ!!
ジョルノ「世界を捨てても、大切な仲間を失っても、叶えたい夢が…成し遂げたい目標が……それを達成するまで、僕は死なない!そう信じているから、仗助さん。僕は負けないと言ったのです」
仗助「………」ドッドッドッ
ジョルノ「さあ。次は貴方の番ですよ」
仗助「(心臓があり得ないくれー跳ねてやがる。このまま口から飛び出しそうな勢いだ)」ドッドッドッ
仗助「("住む世界が違う"?――フザケんなッ!!俺もてめーも同じ"人間"だろーがッ!!引き金引いたら終わり!弾が出たら終わり!!命はチップじゃねェッ、そんな簡単なもんじゃねェッッ!!)」
仗助「…ジョルノ。俺はてめーが嫌いだ。大ッ嫌いだ、今、強くそう思ったぜ」
ジョルノ「………」
仗助「住む世界が違う?ハッ!上等だコラァ!高見から眺めやがって、地の底から仰ぎ見やがって!!」
仗助「気に食わねーぜッ!てめーのその澄まし顔がよ~ッ!スッゲーイライラしやがる!!この仗助さんをナメてんじゃねーぞ!!」
仗助「ぶん殴ってやらァ、ジョルノ!!てめーが高見に居ようが地の底に居ようが!住む世界なんか関係ねー!どれだけ高い壁でも俺がそれをブッ壊して、その澄まし顔もブッ潰してやるよ!!」
―― ガチンッ!!
ジョルノ「!」
ミスタ「………」
仗助「………」ハァーハァーハァー
仗助「(弾は…出なかった……)」フゥーフゥー
ミスタ「……スゲーじゃねーか、ジョースケ。俺はてっきり、ここでお前の負けだと思っていたがな」
ミスタ「ジョルノ、ジョースケ、ジョルノ…と来て…お前は今"4"回目の引き金を引いただろ?4はダメなんだ、不吉の象徴だ、決して関わっちゃあいけねー」
ミスタ「俺の回りに存在しちゃならねー数字なんだ。ジョースケ、俺はお前を気に入ってっからよ…残念だなーと思っていたが…よくやった。これでゲームの流れは全く読めなくなったな」
仗助「……何…言ってやがる、てめーは…」ハァーハァー
ジョルノ「………」
ジョルノ「次は僕の番です」スッ
―― パァン!!
ミスタ「!!ジョルノッ!」
回復役が2人もいるって考えたらすごいチート
・・・
承太郎「…お前は、どう思ってんだ?ジョルノ達を…ジョルノの事を」
ポルナレフ「…複雑、と言えばそうだが…」
ポルナレフ「ジョースターさんの言葉を借りれば、俺は彼らにも"黄金の精神"を見た」
ポルナレフ「それは決して交わることのない輝きだが、だからこそ…大丈夫なんじゃないか、とも思う」
承太郎「………」
ポルナレフ「お前も複雑だ、俺も複雑だ、だがこれが真実ってヤツだろうよ」
ポルナレフ「ジョースターさんやお前、そして仗助と同じく…ジョルノはジョースター家の血統を受け継いでいるさ」
ポルナレフ「それはとても複雑で、奇妙なものだが…な」
承太郎「………」
ポルナレフ「俺は見てみたいよ。お前達と、そしてジョルノの生き方を」
ポルナレフ「継がれていく未来をな」
・・・
ミスタ「………」
仗助「………」フゥーフゥー
ゴゴゴゴゴ
ジョルノ「………」
ジョルノ「それが貴方のスタンドですか」
ミスタ「………スタンドで銃を弾き飛ばして、ゲームから下りるって意思か?そりゃあ」
ドドドドド
仗助「…もう、いい……もうたくさんだ。これ以上ゲームを続ける理由がわからねー」
仗助「矢を諦めたワケじゃねェ。だがもう…いい。もしかしたら、俺が死ぬ。もしかしたら、ジョルノが死ぬ。そう考えんのは…もうたくさんだ」
仗助「矢が絡む以上、てめーらと衝突するのは避けられねーだろうけどよ…だからって、何も死ぬこたァねー…生死を賭ける意味がわからねー」
仗助「…俺の負けでいい」
ジョルノ「………」
ミスタ「………」
ミスタ「…ジョースケよォ~、負けたって決めつけんのは、ちょっと早いんじゃねーか?」
仗助「………」
ドガッン!!
仗助「!!!」
ミスタ「…な?ゲームを続行してりゃーお前の勝ちだったのによーっ、惜しかったなァー?」
仗助「………!!!」バクバクバク
仗助「(グッ、グッ……グレート!!)」
仗助「(ちょっとの間に、俺の心臓は10年ぶんくれー働いたぞ!コラァ!!)」タラッ
仗助「(…血!血だ!頬から血!!ミスタが撃った弾が頬を掠めたんだ!グレートですよ、こいつぁ…!マジで実弾入れてやがったよ!!このプッツン香水野郎ッ!)」
ジョルノ「………いえ、厳密に言えば僕の負けでしょう」
ジョルノ「負けない、と言いましたが…すみません、あれ、嘘です」
仗助「ッはぁっ!!?」
ジョルノ「仗助さんが止めなければ、五回目の引き金を引く前にゲームをやめるつもりでしたから」
仗助「てめっ、ジョルノ…」
ジョルノ「僕自身を信じること、夢に対して嘘を吐いたわけじゃない。志半ばで倒れるわけにはいかない、それだけです」
ジョルノ「僕はね、仗助さん。貴方のことを信じていましたから。きっとゲームを止めてくれる、と」
ジョルノ「僕の"信頼"を裏切らなかった、心がとても優しい貴方を、僕は尊敬します。貴方は"いい人"だ。だから僕は貴方に負けたんです」
仗助「!?!?」
ジョルノ「…だからこそ、"こちらの世界"に立ち入ってほしくないんです」
ジョルノ「あの矢は僕のものです、僕達のものです。必ず"こちらの世界"で守り通してみせます。これは嘘ではない、だから…僕達を信じてください」
仗助「………」
仗助「…もーいいよ、腰も気も抜けたぜ」
仗助「信じてやんよ、ジョルノ…ミスタ。けどよ、この"信頼"、決して裏切るんじゃねーぞ。裏切ったら地の果てまでも追いかけてブッ飛ばしてやっからな」
ミスタ「………」ニッ
ジョルノ「………はい」ニコ
ギュゥンッ
ジョルノ「あ、お帰りなさい、承太郎さん」
承太郎「ああ…」
承太郎「………」
ジョルノ「すみません、こちらもちょっと盛り上がってしまいまして」
ギャーギャー!!
ミスタ「だからよーッ本っ当に何べん言えばわかるんだ、てめーはよォォ~ッ!?ジョルノがああ言ったんだから、てめーの勝ちだっつってんだろ、ボケッ!!」
仗助「っせーな!!横からチャチャ入れねーでくれますかァーッ!?もういいっつってんだろーがよ!俺の負け!ジョルノの勝ち!!てめーこそ何回言や気が済むんだよ、頑固野郎ッ!!」
ギャーギャーギャー!!
承太郎「………」
ジョルノ「落ち着くまで少しかかるでしょうから、コーヒー淹れてきますね」
承太郎「………やれやれだぜ」
読んで頂きありがとうございます。
仗助「(それから俺達は、ジョルノとミスタの案内のもと、朝から晩まで観光を楽しんだ)」
仗助「(つーか、矢について手を引くって決めたんなら、先に言ってくれりゃいいのによーッ!承太郎さんはよォォ~ッ)」
仗助「(寿命縮んだからなッマジで!!)」
仗助「(そんな、長いようで短い休暇は…終わりの日を迎えた)」
・・・
~空港付近~
ジョルノ「すみません、僕達はどうしても外せない用事があるので、送れるのはここまでです」
承太郎「いや…助かる。世話になったな」
ミスタ「達者でな、ジョースケ。次に会うときは酒飲めるようになっとけよ?可愛いおねーちゃんがいる店に行こうぜーっ」
仗助「いやっ俺、結構純愛タイプだから!そーいうのはァァ~…」
ミスタ「ひひひ、ニヤついた顔してちゃ説得力全然ないぜ~ッ?」
ミスタ「そうそう、こいつをおめーにやるよ、ジョースケ」ポイッ
仗助「?何スかこれ、金属?」
ミスタ「お前の頬を削った弾丸だよ」
仗助「…空港に持ち込めるんスか?これ」
ミスタ「ケツの穴にでも詰めりゃバレねーって!弾丸よりデケー物を詰めて密輸するヤツもいるくらいだぜ~っ?根性見せろよッジョースケ!」
仗助「冗ッッ談じゃねーっスよ!コラァ!!」
ミスタ「ぎゃっははははは!!」
ジョルノ「………」クスクス
承太郎「………」
ジョルノ「………仗助さん、承太郎さん」
仗助「あんっ?」
承太郎「………」
ジョルノ「貴方達に会えて良かったです」
ジョルノ「とくに仗助さん。貴方には厳しい態度を取ってしまって、すみませんでした」
仗助「……いーよ、もう。別によー」
ジョルノ「………」
ジョルノ「…僕達と貴方達は、住む世界が違う。守るルールも違えば、抱く正義も違います」
ジョルノ「それでも、仗助さん。僕は貴方と"友達"になれると思いますか?」
ジョルノ「住む世界の違う、…"血"を受け継いでいるにも関わらず、異質な存在同士…友達になれると思いますか?」
承太郎「………!…ジョルノ…お前」
ジョルノ「………」
ジョルノ「僕は何も知りません、貴方も何も知りません。ただの思いつき…それだけです。そうですよね」
承太郎「………」
仗助「………」
ジョルノ「どう思いますか、仗助さん」
ジョルノ「僕達は…友達になれると思いますか」
仗助「………」
仗助「…俺は…最初っからてめーが気に食わなかったぜ、ジョルノ」
ジョルノ「………」
仗助「何を考えてんだかわからねーし、お高くとまった感じとかよー、その澄まし顔も、全部気に食わねー」
仗助「俺達とてめーらの住む世界が違う、だなんつって突き放しておいてよー?それを棚上げして、今更友達になれますかなんて、ちょーっと都合が良すぎじゃねーッスかねェ~?」
ミスタ「………」
承太郎「…おい、仗助」
ジョルノ「…そう、ですね」
仗助「勘違いすんじゃねーぜっ、ジョルノ!俺はてめーが嫌いだ」
仗助「そう、…お前が、嫌い"だった"よ。……これも…勘違いすんな、言葉そのままに受け取れ」
仗助「…そーいう、ハズカシーことをサラッと言っちまうとことかよォ~、本っ当!苦手だぜ」
仗助「…ダチなんてよ、口に出してハイそーしましょ、ってもんじゃなくねェ?自然となってるもんだよ、だったら…てめーと俺は…もうすでにダチなんだろーよ」
ジョルノ「………!」
ミスタ「…言えてる」
仗助「~~ッ!あーッ!もう!!こっ恥ずかしいこと言わせてんじゃねーッスよ、てめーはよー!だから苦手なんだよ、ジョルノ!てめーが!!」
仗助「もう行きますよッ承太郎さん!飛行機出ちまうからよ!!」
承太郎「………」ニッ
ジョルノ「…ありがとうございました、承太郎さん、…仗助さん」
ミスタ「いつかそっちに遊びに行くからよ、その時はよろしくな」
仗助「――元気でなァ~、ジョルノ、ミスタ!!」
―― 空港に入るまでは、ジョルノ達の乗る車が見えたが、一歩踏んでから次に振り返った時には、もうその姿はなかった。
空港の扉が、互いの住む世界の"境界線"のように思えたのが…少しだけ、残念だった……
承太郎さんは、車を見ずに空ばかりを見上げて、満足気に笑ったあと、帽子を深く被り直した。
空港付近にも関わらず雲ひとつない、どこまでも続く真っ青で綺麗な空を、俺も仰ぎ見て……
なんとなく、誰かが喜んでいるような…そんな気がしたんだ。
【完】
【おまけ】
康一「仗助くん、お帰り!…どう、だった?楽しかった?」
仗助「よォ康一。あー、おかげさまで。充実した連休を過ごせたって感じかなァ~」
康一「そ、そうなんだ!良かったね!」
康一「(イタリアに行く、なんて言うから最初は焦ったけど、仗助くんは会わなかったのかな?彼に…)」
康一「("スタンド使いは引き合う"んじゃないかと…、…それも取り越し苦労だった、かな)」ホッ
仗助「?何か言ったか、康一」
康一「う、ううん!何も!?」
億泰「つーかよッ仗助!話はあとでたっぷり聞くからよ~ッ先に土産物をくれよォォ~ッ!」
仗助「うるせーなーっ億泰、てめーはよォォ~。ガッついてんじゃあねーぜッ」
億泰「お前、俺がイタ公のセンス好きだっての知ってるだろ!?勿体振らずに早くよこせよォーっ」
仗助「はいはい、わーったわーった……あ。(…やべぇ、億泰の土産だけが無ェ。どっかに忘れてきたッ!!)」
億泰「どーしたよ、仗助?」
仗助「………」ゴゴゴゴゴ
億泰「…てめー!まさかッ!!億泰サマへの土産を忘れたんじゃーねーだろうなッ!?」
仗助「ババババカ言えッッ!!ちゃんと買ってきたってーの!!」
仗助「……その…アッチで仲良くなったヤツから聞いた…、"お茶"をよーッ!」
億泰「お茶ァァ~?」
仗助「そうッ!お茶だ!!"アバ茶"っつって、歓迎する時に飲むってハナシだ!クラゲを添えて飲むんだと!!…さ、早速淹れてくっからよォ~、座って待っててくれや…」
億泰「へー、聞いた事ねーなーっ、そんな茶があるなんて」
康一「きっと現地の人しか知らないものなのかもね!楽しみだなぁ~」
仗助「(……流石に"一味加える"気はねーけどな…た、助かったァァ~)」
【おしまい】
読んでくださった方、ありがとうございました。相変わらず粗の目立つ代物で申し訳ありません。
それから、前スレを完結作をまとめるスレに貼ってくださった方、ありがとうございました。助かりました。
麻仁温子ちゃんをジョジョ世界に連れていって幸せにしてあげるssを読める日が来るといいな!
では、名無しに戻ります。
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