女「さぁ私を踏んで!」(8)
男「ここが高校....」
男「(今年から....、俺も高校生...)」
男「(春休みの間にどれほど甘酸っぱい青春というものを妄....、いや想像しただろう)」
男「(高校ってのはやっぱりラブコメとかの物語でよく舞台になっているし、それほど期待しちゃうんだよな)」
男「(もしかして、初登校早々可愛い女の子に話かけられたりして....ふふっ)」
男「(今年こそは、今まで女の子と全然話せなかったという黒い青春を打ち砕いてやるぜ!)」
女「ちょっとそこの人」
男「(うわ、早速話しかけられちゃった!かわいい声だな、どんな女の子なんだろうか)」
男「(あれ、どこ見回してもいないぞ、もしかして女の子に話かけられたいという過剰なまでの欲望が生み出した幻聴....)」
女「下!」
男「え?」
男「(.....女の子が玄関で仰向けで寝転んでる)」
男「(なんだろう、予想外すぎて思考が追い付かない)」
男「あ、あのえっと」
男「ここでなにしてるのかな」
女「いや....べつに」
男「(ん、この子の制服に靴跡が....!)」
男「(まさかいじめ!?そんな....)」
女「玄関のマットをしてるだけよ、通称肉マット」
男「(.....どういうことだ、よくわからんがやっぱり虐めでこんなことをさせられているのか?)」
女「あなたは駐輪場へ行かずここに真っ直ぐ向かったんでしょ?」
男「あ、ああそうだよ?僕家結構ここから近いから徒歩なんだ」
女「そう、じゃあ靴は汚れてるでしょ?この卑しい肉マットで土を払い落としなさい」
男「えぇっ!?そんなことできるわけないじゃないか!」
女「なんで?私を踏むだけの簡単な作業よ?」
男「いや...、罪悪感が、というかなんでこんなことしてるのさ!....虐められてるとか?」
女「虐め?私は進んでこの肉マットになっているのよ」
男「え....そんな」
男「(....いや、なんだこの目は悲しみがまったく感じられない....)」
男「(なんかさっきからこの子の息づかいが荒い気が....)」
女「焦らしプレイね?初対面でそんなことしてくるなんて中々やるじゃない」ハァハァ
女「でも、もう我慢できない、その靴....たしか圧倒的踏まれ心地がキャッチフレーズのあのスニーカーね!いいわー踏んで!」
男「いや、キャッチフレーズは圧倒的踏み心地だよ!」
女「踏み心地も良いなら踏まれ心地もいいはずよ!さあ踏んで!しっかり踏みしめて!」
男「(な、なんなんだこの子!気味が悪いよ....)」
男「し、失礼します!!」ダッ
女「あ....、行っちゃった」
男「ふう、なんとか教室についた」
男「(なんだよ...あれ、ただの変態じゃないか....)」
友「よう、お前受験受かってたのな」
男「入学式で一緒にしゃべってたじゃん」
友「ん、そうだっけ?」
男「はぁ....まったく」
友「ん、なんか元気ないな、どしたよ」
男「いや....、なんかものすごい子がいてさ」
友「なんだ?女の子にもう目をつけたんかい?そんなに可愛いかったのか」
男「いや、なんか....、今まで出会ったことのないタイプの....まあたしかにかわいかったけどなんか」
男「お前玄関で見かけなかったか?」
友「さあ?」
友「にしても玄関といえばの肉マットいいなー、この学校であんないいものがあるとは思わなかったよ」
友「あの踏み心地....くぅ、忘れられねえ!」
男「え、それだよそれ!」
友「?」
男「その子だよ!肉マットって自分で言ってる子のことを俺は言ってるんだよ!」
友「はぁ?たしかに美少女のデザインだなあのマットは」
男「お前捉え方おかしいよ!非常識すぎてついていけない!」
友「は?みんな言ってるじゃんほら」
jk1「あははーあのマットいいよね!癖になるわー」
jk2「しかもなんか声出るしね、アヒンって!」
jk1「あはは!似てるからやめて!」
jk1「放課後、あのマットの上往復しよ!」
jk2「私もー」キャハハ
男「.....」
友「大丈夫か?顔色悪いぞ?」
男「いや!大丈夫か心配なのはお前らのほうだよ....」
友「あ、ああなんかすまん....」
男「いや....べつに」
男「(意味がわからん、なんでみんなあの子のこと本当の良質なマットのように扱ってるんだよ....意味わからん本当に)」
男「(それとも....俺がおかしいのだろうか)」
男「(女の子に話しかけられたけど、こんな気味が悪い光景を次々に見ることになるとは思いもしなかった....)」
男「(俺の高校生活は....どうなってしまうんだろうか)」
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