イケメン「ナイスガイへの道」(115)

僕の名前はイケメン。

192センチの身長。

端正な顔立ち。

はっきり言って、モテる!

しかし、この外見しか見ない、女達に色々されて、少しずつ、女性恐怖症になっている。

こんな性格を直すべく、僕はナイスガイを目指すことにした!

高校二年の春。

僕は転校することになった。

新しい街。新しい学校。新しい出会い。

僕のナイスガイへの道は正にここから始まる!

転校初日。正に地獄だった。

僕の姿を見た途端、女子共がキャーキャー騒ぎ始めた!

勘弁してくれ、恐怖症に拍車がかかりそうだ…。

休憩時間はもっと地獄だった。

転校生と言うこともあり。多数の生徒に取り囲まれ、質問攻めにあった。

僕はこの、囲まれるのは得意ではない。

ダメだ。気分が悪くなってきた…。

そんな時、素晴らしい出合いがあった。

颯爽と表れ、その地獄から僕を救いだしてくれた。

「大丈夫か?気分悪そうだったから、無理矢理連れてきた、スマン」

彼は、初対面の僕を気遣ってくれた。

彼の名は、男。

まさにナイスガイだった。

先に言っておく。

僕はノーマルだ。ホ○ではない。

女性が好きだから、恐怖症を克服したいのだ。


この日から、男君は、僕の目標になった。

転校初日の放課後。

屋上に呼び出された。

イヤな予感しかしない。

渋々、屋上に行くと、一人の女生徒が待っていた。

黒髪で、大人しそうな印象だった。

名前は、女というらしい。

なかなか、可愛らしい娘だ。

その可愛らしい娘は、上着の裾をくるくると触りながら、告白してきた。

ちょっとまて。合って数時間で告白されたのは始めてだ。

勿論、丁寧にお断りした。

彼女はショックを受けた様子もなく、さらっと帰って行った。

いかん、胃がキリキリと痛みだした。

次の日。僕が彼女をフッた事が噂になっていた。

あの時、誰かが見ていたらしい。

しかも、噂の内容は、女を誹謗するものだった。

確かに、初日に告白するのは、如何のものかと思うが、それを誹謗するのは、間違っている。

僕は抗議することにした。

しかし、先に、男君が一喝した。
クラスは静まり、その時から、噂はなくなった。

なんて素晴らしいんだ!男君は!

彼の事を、心のなかで、ナイスガイ男君と呼ぶことにした。

ナイスガイ男君とつるむようになって、もう一人と仲良くなった。

名前は友というらしい。

友はなかなか低音ボイスで渋い声をしている。

友の事はこれからイケボ友と呼ぼう。

目標とする人物と、愉快な友人を得て、面白い学生生活になりそうだ!

このままの勢いで、恐怖症を克服してしまおう!

そう思った翌日。

またしても、数人の女生徒に告白された。

付き合うつもりはないので、皆には申し訳ないが、丁寧にお断りした。

なかには号泣する娘もいて、正直、しんどい。

そんなとき、イケボ友がゲーセンに誘ってくれた。

その場には、ナイスガイ男君もいた。

その日は男三人で遊んだ。

ん?なにか、ナイスガイ男君の後にいたような気がするが、きのせいだろう。

ゲーセンから、家に帰って思い返す。

ナイスガイ男君の後は確かに何かいた。

仔犬のような印象はあったのだが、ナイスガイ男君の後に隠れて、良くは見えなかった。

けど、あれは、女の子だったような。

気のせいだろか。

次の日。

イケボ友に屋上に呼び出された。

ん?

今は、イケボ友の後に何かいる。

あれは、昨日の仔犬?

イケボ友から、紹介された。

彼女はナイスガイ男君の幼馴染みの女の子で、名前は幼と言うらしい。

仔犬ではなく、女の子だったのか。

しかし、幼と言う娘。

仔犬。まさにその例えが合う、小さくて、可愛らしい娘だ。

今もイケボ友の後でぷるぷると小さくふるえている。

そうだ、幼さんに見とれている場合ではない。

イケボ友に用事を聞く。

イケボ友は驚くべき内容をつげた。

何でも、この幼さんはナイスガイ男君の気を引きたいらしい。

その為、この僕に幼さんと仲良くしてもらい。ナイスガイ男君に見せつけたいらしい。

それで、今以上に仲良くなりたいらしい。

なんとも、この考えはイケボ友の思い付きらしい。

…大丈夫か、この考え。

肝心のナイスガイの男君はどうなのだろうか?

イケボ友の話によると、ナイスガイ男君も浅からず、幼さんの事を想っているらしい。

ならば、ナイスガイ男君の為に一肌脱ごうではないか!

これからは、イケボ友の事をフィクサー友と呼ぼう。

その日の内に、僕と幼さんはなるべく一緒にいるようにした。

特にナイスガイ男君がいるところでは、仲良く振る舞った。

…が、この幼さんは、僕が話しかけても、ふるふるとふるえて

「う、うん」

「そ、そうだにぇ///」

と小さく答えるのみ。

挙げ句には見事に噛む。

なんだ、この可愛い生物は!

反則ではないか!

僕と目が合うだけで、真っ赤になるし…。

今も俯き、恥ずかしそうに指をもぞもぞしている。

こっそりとこの幼さんの事をエンジェル幼さんと呼ぼう。

放課後。

今日は、エンジェル幼さんと帰ることになった。

その時、ふと、普段と違う雰囲気に気付いた。

普段なら、クラスの女生徒が囲ってくるんのだが。

今日は寄ってこない。

寧ろ、暖かい目で見られてる?

目線を追っていくと、エンジェル幼さんに行きつく。

あぁ、皆、このエンジェル幼さんが可愛いいんだなぁ。

いや、それだけじゃない。

ナイスガイ男君からも優しい目で見られてる?

あれ?

ナイスガイ男君に嫉妬させるのが目的なのでは?

けど、あの優しい目は?

一瞬だが、確かに優しい目だった。

そんな事を考えてると

「か、かえりょ///」

エンジェル幼さんが、噛んだ事に真っ赤になりながらも、僕の制服の裾を掴む。

あぁ、エンジェルだぁ!

帰り道。

二人で帰っていると改めて思う。

エンジェル幼さんは、小さい。 

視界の端で彼女のショートヘアが、ほよほよと泳いでいる。

恐怖症が治りつつある
支援

そんなエンジェル幼さんを見ていると、ふと、ある考えが頭をよぎる。

このまま、彼女を自分のものにしてまおう。

ハッ!

僕は何を考えているんだ!

この人は、ナイスガイ男君の大切な人。

なにより、そんなことをするのはナイスガイの道を外れる!

ナイスガイを目指す僕にそんなことはできない!

そんなことを考えていると、裾をくいくいと引っ張られらた。

「怖い顔してるよ?」

「わ、私と帰るの、そんなにイヤだった?」

エンジェルが、瞳を潤ませながら、僕の顔を見上げている。

こんなエンジェルと帰れることがイヤな訳あるか!!

僕は慌てて、イケメンスマイルを作り、エンジェル幼さんに答える。

その日はなんとか、自分の中の悪魔を押さえながら、エンジェル幼さんと帰った。

次の日。

ナイスガイ男君の態度が明らかにおかしい。

僕と目を合わさない。

挨拶をしても

「あぁ…」

としか、答えない。

エンジェル幼さんにも同じ態度だ。

エンジェル幼さんも、そんな態度に少なからずショックを受けてるようだ。

…もしかして、やり過ぎた?

しかし、昨日のあの優しい目はなんだったのだ?

授業中、その事だけを考えていた。

しかし、あの、ナイスガイ男君がここまで、変わるとは。

嫉妬とは恐ろしい。

昼休み。

いつもの用に男三人で食べようとしたら、フィクサー友から止められた。

なんでも、エンジェル幼さんが、お弁当を作ってくれているらしい。

おぉ、エンジェル幼さんも動いたようだ。

これで、ナイスガイ男君も疑いが晴れる!

…ちょっと、胸がいたいけど、ナイスガイになるためだ!

それに、友のため!

こういう時、ナイスガイはニヒルに笑うのだ!

僕もニヒルに笑おう!

…へ?

お弁当って、僕に?

イヤイヤ、そこはナイスガイ男君に渡す所だよ?

ここで、手作り弁当を渡されたら、大概の男は落ちるはず!

おい、フィクサー!

君も笑ってないで、止めないか!

「た、食べたくにゃい?」

あぁ、エンジェル!

喜んで頂きます!

何個でも頂きましょう!

取り合えず、後で爆笑しているフィクサーにはチョークスリーパーを極めてやった!

おかしい。

なぜ、僕はエンジェル幼さんと、彼女が作ってくれた、手作り弁当を食べているのだ?

しかも、二人で。

しかも、このお弁当。

うまい!

うまいと可愛いは正義とは、よく言ったものだ。

話がズレた。

なぜに二人?

フィクサーは何処行った?

ナイスガイ男君には先約があった事は聞いた。

それは、仕方ない。

しかし、なぜ、ここにフィクサーがいない!

こんな事を考えながらも、顔はによによしてしまう。

あぁ、エンジェルと二人で、エンジェルの創ったお弁当を食べている。

「お、おいしい?」

エンジェルが顔を真っ赤にしながら訪ねる。

勿論さ、エンジェル!

その日、自宅に帰り自己嫌悪に陥る。

僕はなにをしているのだ?

ナイスガイ男君とエンジェル幼さんをくっつけるために、エンジェル幼さんと仲良くしているはず。

今日も、エンジェル幼さんと一緒に帰った。

しかし、この気持ちはなんだろうか。

今も頭の中はエンジェル幼さんの事でいっぱいだ。

…まさか…、僕は…。

いや、それはない!あってはならない!

そうだ、ナイスガイ男君の為だから。

ナイスガイになるためにしている事だから、こうなるのだ!

僕は無理矢理、自分を納得させた。

心にもやもやを抱えたまま、半月が過ぎた。

その間、僕はエンジェル幼さんと仲良くなった。

ナイスガイ男君とはちょっと、ギクシャクしているけど、険悪ではない。

フィクサー友はなにやら、忙しそうにしている。

そういえば、最近、女さんをよく見るようになった。

ナイスガイ男君と一緒にいるようだ。

そんなある日。

ん?

あそこに見えるのは、エンジェル幼さん!

最近、エンジェル幼さんの姿を見つけると、心が踊る。

しかし、この時は、見つけるんじゃなかったと、後悔した。

エンジェル幼さんと、ナイスガイ男君が仲良さそうに話している。

あぁ、なんだ…。

うまくやってるんじゃないか…。

あんなに、楽しそうに、いや、幸せそうに話せてるじゃないか。

もぅ、僕の役目も終わりなんじゃないか。

僕の心のもやもやは晴れたけど、すごい、胸がいたい。

あれ?なんで、こんなに泣きそうになるんだろ…。

無性に叫びたい気分だ。

「おぅ、暇か?」

何処かのドラマのようなセリフを言いながら、フィクサー友が現れた。

僕の顔を見るなり、フィクサー友は僕の体を支えてくれた。

余程、ひどい顔をしていたらしい。

情けない、ナイスガイには程遠い…。

僕は慌てて、フィクサー友にイケメンスマイルを見せる。

…彼には通用しなかった。

事態を把握した、フィクサーは慌てて、1枚のチケットを渡してきた。

「このチケットを持って、この日曜に遊園地に行け!」

フィクサー友の剣幕に押されて、チケットを受け取ってしまった。

なんなんだ、このチケットは?

日曜日。

フィクサー友に言われるまま、遊園地に来てしまった。

あの日から数日間、脱け殻のように過ごした。

その間も、フィクサー友が忙しく声をかけてくれた。

エンジェル幼さんとは、挨拶ぐらいしか会話をしていない。

…辛い。

そもそも、なぜ、遊園地なんだ?

しかも、入口で待ち合わせとは。

まるで、デートじゃないか。

しかし、相手はどうせフィクサー友だろう。

男二人で、遊園地とは。

虚しい。

ん?向こうから来るのは。…ッ!

あの姿はエンジェル幼さん!

ヤバイ!顔が自然に笑顔になる!

あぁ、エンジェルだ!エンジェル幼さんが目の前にいる!

「お、おまたしぇ///」

例のごとく、見事に噛んで、真っ赤になる。

しかも、私服。

多少、ふりふりしているが、ものすごく、似合ってる!

はっきり言って、ものすごく、可愛い!

僕は浮かれたまま、遊園地に突入した!

この遊園地で、エンジェルの新しい一面を見つけた。

エンジェル幼さんは、心霊の類いが得意らしい。

さっきから、お化け屋敷を繰り返し入っている。

僕?

だ、だだだ大丈夫さ!

こ、こここ恐くないさ!

お化けなんてウソさ♪

ガタン!

ギャー!ごめんなさい!ウソつきましたぁ!

遊園地で楽しい時間を過ごした。

ナイスガイ男君とどう?

恐くて聞けなかった。

けど、エンジェル幼さんが傍にいる。

それだけで、僕は満足だった。

日も傾いてきた時、エンジェル幼さんが、観覧車に乗りたいと言い出した。

二人で観覧車に乗る事になった。

「きれいだねぇ」

こんな、幸せな時間があるとは。

どんどん、高くなる。

頂上に近付いた時、夕日が僕達が乗ったゴンドラを照らす。

「ふぁ~、きれいだねぇ」

エンジェル幼さんの顔を見つめながら、僕は覚悟を決めた。

「…どうかし…ふぁ!」

僕はエンジェル幼さんを抱き寄せた。

彼女の存在を確認するように、しばらく抱き締める。

幼さん、大好きです。

僕と、結婚を前提にお付き合いしてください。

僕はエンジェル幼さんに告白した。

彼女は僕の腕の中で小さく、けど、確実に頷いてくれた。

その日。

マイエンジェルと手を繋いで帰った。

幸せの頂点で、僕は、もうひとつの覚悟を決めた。

後日。

僕はナイスガイ男君を屋上に呼び出した。

屋上に行く途中。

とんでもない話を耳にした。

「男君って、女と付き合ってるんだって!」

「しかも、男君から告白したらしいよ!」


なんとな!?

しかし、なぜ?

あれ?

これ、なんかへんだぞ?

屋上に着くと、ナイスガイ男君が待っていた。

色々、考えたが、これしかない!

僕は土下座をした!

『すまない!』

あれ?

ナイスガイ男君も土下座をしている?

しかも、僕のより素晴らしい土下座だ!

流石はナイスガイ男君!

いやいや、違う!

なんだ、これ。

話が見えないぞ?

僕はどんでもない話を聞くことになる。

ナイスガイ男君が言うには、全て、フィクサー友の企みらしい。

そもそも、ナイスガイ男君とマイエンジェルは想い合うなかでも、男女のそれではなく。

兄妹の関係に近いらしい。

あぁ、だから、あの優しい目か。

納得。

あれ?

なら、あのマイエンジェルと仲良くってのは?

それは、僕に一目惚れした、マイエンジェルから、フィクサー友が相談を受けたらしい。

んで、考えたのがあれだったらしい。

因みに、女さんとナイスガイ男君との仲もフィクサーが取り持ったらしい。

そんな話をしていると、フィクサーがやってきた。

僕は、愛と怒りとかなし…違った。

ある意味、感謝を込めてのアルゼンチンバックブリーカーを極めてやった!

こうして、僕の一連の出来事は終わりを迎えた。

まさにハッピーエンドだ!

将来の妻のため!

僕はこれからもナイスガイへの道を邁進するつもりだ!

そうそう、今、ナイスガイ男君とフィクサー友への仕返しを考えている。

これは、また、別の機会に語りたいと思う。

マイエンジェルが呼んでるので、このへんで!




おわり

乙!!

なんだこのナイスガイなssは…!

保守

おつ

まさか、このスレが残っているとは!

ありがたいです!

少しだけ、感謝をこめて。



女「ナイスガイへの道2」

私の名前は女。

昔から人と話すのが苦手で、友達もいない。

ましてや、恋人などもってのほか。

そんな私でも人並みに、恋愛に憧れもあった。

周囲ではどこどこへデートに行ったとか。

彼とお揃いのペンダントを買ったなどと、盛り上がっている。

全く羨ましい!

私だって、素敵な殿方といちゃらぶしたい!


…どいてくれる?

…ありがとう。

…消しゴム落ちてた。


私の、殿方との今日の会話。


なんじゃぁこりゃあ!!

これじゃぁ、いちゃらぶできん!

しまった。

つい敬愛する、ゆーさくが出てしまった。

そんな私に転機が訪れた!

転校生だ。

後で、様子を見てみよう!

なんということだ!

かなりの美男子だった!

よっぽどのリア充に違いない!

こうなったら、告白するしかない!

そして、自分に自信をつけよう!

「ごめんなさい。僕は誰とも付き合うつもりはないんだ」

まぁ、予想通りフラれた。

けど、この美男子。

名前はイケメンって言ってた。

このイケメン君は、しっかりと私を見て答えてくれた。

私の告白をしっかりと受け止めてくれて、そして、フッてくれた。

なんだろう、気分が清々しい。

一歩前に進めたように感じる。

次の日。

私の事が噂になっていたらしい。

「無謀なやつ」

「身の程を弁えろ」

と、散々な噂だったらしい。

けど、私には聞こえなかった。

ある人が、怒ってくれたらしい。

隣のクラスの男という人らしい。

この日、私は恋に落ちた。

一言、お礼を言いたくて、男君に会いに行った。

「いいよ、お礼なんて。そんなことより、なんて言えばいいかな、その告白するとか、格好いいと思うよ」

そんな事を言ってくれる彼に、私は恋をした。

おぉ~
楽しみにしてるよ

前にも話したが、私に友達はいない。

が、友達「だった」のはいる。

名前は友という。

彼は私の所謂、幼馴染み…になる。

と、言っても小学生までだ。

それからは、疎遠になり。今に至る。

最近、彼も同じ学校だという事に気づいた。

男君。いや、これからは、ダーリンと呼ぼう。

うふふ、私の。私だけの秘密///

ダーリン///

ダメだ。顔がニヤける。

しかし、誰も私を見てなかった…。

…ごほん。話を戻そう。

友はダーリンと一緒にいることが多かった。

だから気づいた。

…友に相談してみよう。

友のケータイ番号は知らないが、幸い、家の電話番号は分かる。

奥手な私には、考えられない行動力だ。

これも恋の成せる業なのか!

スゴいぞ、これが恋か!

「もしもし?」

友か、私だ。

「…私私サギか?」

電話の向こうからからかうような、声がする。

からかってくれるな。…頼みがあるんだ。

私は勇気を出し、友に思いの丈をぶつけた。


行きなり電話して申し訳ない。

親しくないのにこんな事を頼むのは気が引けるが、頼めないか?

「おう!任せとけ!」

私からの無謀とも言える頼みを、友は引き受けてくれた。


その日、私は泣いた。感謝の涙だ。

次の日。

中庭で友と待ち合わせた。

これからの事の打ち合わせらしい。


「よ、久しぶり!」


友があらわれた。

…ん?後ろになにかいる?

子犬?

驚いた!

友から紹介された。

彼女の名前は幼。

ダーリンの幼馴染みとか。


おいおい、こんな可愛いのがライバルか!

勝ち目がない…!

へ?彼女はライバルじゃない?

なんか、安心したら涙が出てきた。

ダーリンに恋してから涙もろくなった…。

イケメンを花京院でイメージした

>>71俺のイメージを壊すな、そしてお前のせいでイケメンが花京院でしかイメージできなくなってしまったではないか

幼さんが教えてくれた。

ダーリンとは兄妹の関係に近いということ。

そして、幼さんには好きな相手がいること。

今から会いに行くそうだ。

告白はまだ出来ないけど、友から私の事を聞いて、私に会いたくなったそうだ。

「私と友達になっちぇ///」

幼さんが噛みながら、手を差し出してくれた。

私はまた、泣いた。幼さんの優しさに触れて。

幼さんが惚れる相手とは、誰だろうか。

なんにせよ、幸福者だ。


おっと、友から話があったのを忘れる所だった。

こらから、ダーリンと会うことが増える、らしい。

そこで、会話して仲良くなれ、らしい。

会話とな。

コミュ障な私に会話とな。

いいだろう!やったろう!

これもダーリンとの仲のためだ!

「や、やぁ。…女さんだったよね」

ふぉ!

いきなりダーリンに会って、変な声がでてしまった!


…はい。ダ…男君ですよね。


ダーリンは私を見ながら、少し照れたように話しかけてくれる。

あぁ、私は会話をしている。

愛しのダーリンと///


「それじゃあ、また、放課後で」


ダーリンが笑顔で手を振る。

どうやら、一緒に帰る約束をしたらしい。


…ふぁ!!


また、変な声が出た!

放課後。

校門前にダーリンがいる。

見間違いではない。

笑顔で手振っている。

ダーリンが。

私に。

あれ?私歩けてる?

おぉ?右手と右足が同時に出てる?


…待った?


「今、来たところだよ」


~///

恋人同士の待ち合わせではないか!

ここここ、これは放課後デートというのではないか!?


帰り道、商店街を歩く。

先程から、ダーリンと手を繋いでおる!

ダーリンの耳が赤くなってる///

私と手を繋いで、照れてる?

鼻血が出そう~///

その日、私は何を話したか覚えていない。

幸せだったのは覚えている。

ただ、別れ際にダーリンが

「また、明日の朝。ここで待ち合わせで」

ハニカミながら話す。


私は一緒に学校に行く約束をしたらしい。


私はそろそろ死ぬのかもしれない。

幸せすぎだ。

次の日の朝。

朝からダーリンと登校。

昨日の夜は、緊張とワクワクで寝られなかった。

遠足を楽しみしていた頃のようだ。


ダーリンと二人ならんで歩く。

ダーリンは笑顔だ。

私も笑顔。

多少、ひきつっているが笑顔は笑顔だ。

昼休み。

一人でいると、ダーリンが来た。

二人でご飯を食べた。

…あれ?

ダーリンと会うことが増えると聞いたけど。

これは、会うどころか、一緒にいる事が多くなるでは?


…しかも、勘違いでなければ、ダーリンは私を…好いている///


うん、私はそろそろ死んでしまうらしい。

じゃないと、ここまでうまい話はない!

もしくは、罰ゲーム?

…そう考えた方がしっくりくる。

そうだとしたら、…哀しいなぁ

放課後。

待ち合わせをして、ダーリンと一緒に帰る。

自然と手を繋ぐ。


離したくない。

例え、罰ゲームだとしても

今、このとき、この手は私の手と繋がっている。

自然と手に力が入る。

「どうしたの?」

ダーリンが私を覗きこむ。


はぅ!


顔が赤くなる。

な、なんでも、ない、よ


「そう?」

ダーリンは突然、真剣な顔つきになった。

どうしたのだろう。

まさか、本当に罰ゲームだった?

「女さん!君が好きだ!付き合ってほしい!」

告白だぁ!

スゴいぞ!生で見れた!

これが、告白かぁ。

いいなぁ、女さん。

告白されて…。

ん?

…女さんって、私だぁっ!

こ、答えなきゃ、告白のへ、返事を…。

な、なんて答えようか。

は、はい。

こ、ことらこそ、よろすく///


…噛んだぁ!

噛みすぎだろw

盛大に噛みはしたが、はれてダーリンと恋人同士になった。

これは、夢ではなかろうか!

家に帰り、頬をつねる。

痛い。

良かった!夢じゃない!

取り合えず、友に報告をしないと。


…私だ。


ケータイの向こうから声が響く。

「おめでとう!話は聞いた!」

どうやら、ダーリンが先に報告していたらしい。

しかも、ダーリンも、友に私との仲を取り持ってほしいと頼んでいたらしい。

相思相愛///

良い響き。

その日、幸せな気持ちで眠りについた。


ーー…おねぇちゃぁーん!

どうしたの、女?

友が向こうで泣いてるよ。

ごめんね、もう、私はダメなの。

なんで?友とあんなに仲良かった…

ダメなの!

おねぇちゃん?

…ごめんね、女。友のこと、よろしくね。

待って!待ってよ、おねぇちゃぁーん!

…ーー

夢をみた。

随分、昔の夢。

多分、私が小学生の頃の出来事。

当時、私と友は幼馴染みでよく一緒にいた。

もう一人、年上の女性と仲が良かった。

あの頃、中学生か高校生のおねぇちゃん。

名前は、先輩。

友の憧れの女性。

今、どうしてるのだろう。

このところ、昔の夢をよく見るようになった。

友といることも増えたからなのか?


ダーリンとはいちゃらぶしている。

まるで、夢のようだ。


ただ、夢の中のあの人が気になる。

なぜ、今になって思い出すのだろう?

友に聞いてみようか…。

友はあの人に好意を抱いてはず。

何か知っているかも。

学校で友に聞いてみた。

「…あの人の事は知らない」

友は、いつもの笑顔はなく、淡々と答えた。

これ以上は踏み込まない方がよい。

私の菜かで警報が鳴り響いた。

支援

ダーリンと付き合いはじめて半月がたった。

あの人の夢を見ることはない。

けど、夢の中で見た、哀しい顔が忘れられない。

そんなある日。

「私達、付き合ってるの」

「色々あったけど、真剣に交際しているんだ!」

幼さんとイケメン君が、私とダーリンに報告してきた。

ダーリンは先に知っていたので、正確には、私にだ。

!!

まさか、幼さんが惚れた相手はイケメン君だったとは!

なかなかお似合いの二人だ!

話を聞けば、二人の仲を取り持ったのは友らしい。

友のやつ、なかなかの腕前!

「フィクサーにお返しをしないと…」

イケメン君の呟きが聞こえた。


…フィクサー?


「いや、友になにか仕返しをしたいなと思ってね」

慌ててイケメン君が提案した。

フィクサーかぁ、なるほど。

私も友をそう呼ぼう。

話して良かったのか、後悔している。

ダーリンとイケメン君が、友に何かお返しをしたいと相談していた。

私はつい、夢の話をしてしまった。

二人はしばらく考え込んでいたが、イケメン君がなにか閃いたらしい。

二人は友の所へ行ってしまった。

これで良かったのだろうか。

その日の夜。

ダーリンから、連絡があった。

なんと、イケメン君が友から先輩の事を聞き出したらしい!

あの友が話すとは信じられない!

イケメン君から、初恋の話を赤裸々に語ったらしい。

イケメン君、なかなか侮れないヤツ!

そうだ、彼の事をナイスガイと呼ぼう!

外見は優男なのに、気持ちは熱いヤツ!

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一言、言わせてください!

メリークリスマス!!

もうちょびっと、続きますね。

ナイスガイが友から、先輩の話を聞き出してから、数日後。

私は一人、町を歩いていた。

欲しい本があったから買い物に来ていたのだ。

それは、突然だった。

人混みの中に、あの人を見つけた。


「…。先輩?」


間違いない!

あの姿は、あの笑顔は先輩だ!

私は駆けた!

生きてきた中で一番走った!


「先輩!」

私は追いかけ、声をかけた。

その人はゆっくりと振りかえる。

…あれ?先輩にアホ毛なんてあった?

えぇと…。

見事な、アホ毛…。


「あ、あの…」


「も、もしかして。女ちゃん?」

アホ毛の人は、目に涙をためている。

あぁ、この顔だ…。

間違いない。  先輩だ。

この人いつから、こんな哀しそうな顔をしているのだろう…。

私は先輩と喫茶店に入った。

そこで、話した。

今までのこと。そして、私に彼氏ができたこと。

先輩は自分の事の様に喜んでくれた。

少し淋しそうな眼をして。

この人はこんな眼をする人じゃなかった。


「おめでとう、女ちゃん!」

「…それに比べて、私はダメね」

先輩が俯き、瞳の色が一層暗くなる。


なにがあったのですか?


私はその一言が怖くて聞けなかった。

たった一言なのに。

それを言えば、この人を更に追い込む。そう感じられたから…。

その日は、ケータイ番号を交換してわかれた。

どうしよう、今の先輩は見ていられない。

私には直感があった。

昔の明るくて、皆を元気にしていたあの笑顔の先輩。

笑顔が、笑顔でなくなったのはあれからだ。

友と分かれてからだ。

私はダーリンに電話をした。

「もしもし、どうかした?」

電話口から優しい声がする。

とても安心する声だ。


「あのね、友の事なんだけど…」


私は自分の思いをダーリンに話した。

友と先輩の事。多分、二人は昔の出来事で、前に進めてない事。

多分、友は人の恋愛相談を受ける事で、自分の気持ちを隠している事。

そんな友を見ていられない事を…。

それから、しばらくダーリンは難しい顔をしていた。

「分かった。俺に任せてくれ!」

ダーリンは力強く言った。

迷いのない眼をしていた。


ダーリンは誰かと電話をしていた。

多分、あのナイスガイだ。

友の時間が動き出す…。その時が来た。

このスレまだあったのか…
支援

やっべ!

間違えてる!
電話して、会ってるって事にしてください!!

ダーリンと、ナイスガイの行動は早かった。

友と先輩の両方に話をしに行ったらしい。

ダーリンは友に。

ナイスガイは先輩に。

はてさて

僕の名はイケメン。

ナイスガイを目指している。

友が、自分の恋を諦めようとしている。

そんなこと許せるはずない!

お、久しぶり

男君と相談して、友のために何かできないか、考えた。

「悩んでても仕方ない!」

僕は、感情のまま走る事にした。

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