赤城「気分転換、ですか?」 (10)
「はあ…」
入渠を終え自室に戻るなり出たのはため息だった。
私、赤城は正規空母としてこの鎮守府に着任した後数々の作戦に主力として参加してきた。
慢心するつもりはないが、一航戦の名に恥じない活躍はしてきたはずだ。
…が、ここ最近は思うような結果が残せていない。
敵の攻撃を回避するどころか逆に重い一撃をもらってしまい、すぐに艦載機の飛ばせない置物と化してしまう。
加えて入渠が嵩むものだから必然的に大量の資材を消費し、鎮守府に大きな負担をかけてしまっているのが現実だ。
でも、提督はこんな私をいやな顔一つせずに使ってくれている。
その期待に応えるべく奮起しようとした矢先、部屋の扉を叩く音によって思考は中断され我に返った。
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「赤城、いるか」
「ええ、いますよ。今開けますね」
「うむ、失礼する」
訪ねてきたのは提督だった。
幾重にもわたる難関な海域を制圧してきた猛者で、若年ながら国からの信頼も厚い。
聞くところによると、上の人たちは早く中央に引き抜きたいそうだが、提督としてはある程度は融通の効くこの鎮守府を指揮している方が性に合っているらしく、頑なに拒み続けているそうだ。
暫く世間話をしたところで、提督から私の現状についての話が始まった。
「さて赤城よ、そろそろ本題に入ろうか。こうして部屋を訪ねたのはこんな話をするためではない」
「はい、重々承知しています。私の戦果についての話ですよね」
「ああ、その通りだ。赤城、お前の今月の大破、入渠数は我が隊の中でも圧倒的に多い。にも関わらず、撃沈数は最低クラスだ」
「…はい」
「きつい言い方になるが、それだけ仲間に迷惑をかけ、且つ危険にさらしたというわけだ。そこのところ、どう考えている?」
「…返す言葉もございません。全て私が招いた結果で、どれだけの負担をかけたのかもよくわかっているつもりです」
「そうか、なら」
「しかし!こんな不甲斐ない今の私にできるのもまた、我が艦隊に勝利をもたらすことのみ。一航戦赤城、その名に恥じることのないようにより一層鍛錬に励み、今まで以上に提督の力になりたいと考えている所存です」
「…よく言ったな。赤城よ、私がお前を買っているのはそこだ。反省するだけじゃなく、そこから何を考えどう活かすのか。それが一番大切なことだと私は考えている」
「………」
「お前はしっかりとそれができる娘だ。だからこそ着任してから今日までの実績があるのだろう。赤城、これからの活躍に大いに期待しておくぞ」
「…はい!おまかせ下さい!」
「うむ、頼もしい限りだな。さて、これでこの話は終わりだ。ところで赤城よ、お前もう晩飯は済ませたか?」
「いえ、これから向かおうと思っていたところです」
「そうかそうか!ならいい時に来たみたいだな」
「どうかしましたか?」
「私はなにもお前に説教するためだけに来たわけじゃないんだ」
「と、いいますと?」
「どうだ赤城、気分転換にこれから私のとっておきの店に飯を食べに行かないか?」
短いですがここまで
時間を見つけて少しずつではありますが更新していこうと思ってます
誤字・脱字等なにかありましたら遠慮なく指摘して下さい
それではよいイベントライフを…
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