―電気屋―
カイジ「…デジアナ変換のテレビもそろそろ終了か…買わなくては…デジタルテレビっ…!」
店員「地デジ対応のテレビの購入をご検討ですか?」
カイジ「ああ…一番小さいのでいい」(ボソッ)
店員「お客さ~ん、もったいないッスよ~!」
店員「やっぱり大画面で見なきゃねっ?ねっ?」
カイジ「くだらねえ…しつこいなら他を当たるぜ…」
店員「そうですか…データ放送も大画面のほうが絶対いいのに…」
カイジ「データ 放送 !?」
店員「懸賞とかに応募出来るんですよっめざましジャンケンとか…」
カイジ「めざましジャンケン…? はっ!?」
その時、カイジに電流が走るっ…! 一筋の金儲けの道がっ…!
カイジ(めざましテレビのジャンケンコーナー…あれはデジタルテレビを手にしたものだけが…参加できるのか…)
カイジ(ジャンケンに勝てばっ…懸賞っ…懸賞を売れば…)
カイジ「一番でかいテレビをくれっ…!」
店員「ええっ!?本当に!?」
カイジ「とっとと持ってこい! 送料も無料だろうな?」
―――カイジには理由があった…大型テレビにした理由が…
―家― 朝
カイジ「まずは…様子見…」
カトパン「つづいてはめざましジャンケン♪ 2戦目は小野彩香ちゃんがお台場新大陸からじゃんけんをしてくれます!」
カイジ(…)
―――「めざましジャンケン」
フジテレビの朝の番組、めざましテレビでやっているコーナーである
5時半から8時までの間…3度繰り広げられるジャンケンのチャンス…
勝てば20ポイント 引き分けは10ポイント 負けても5ポイントが手に入る…
平日5日×3回… さらに土曜日の2回… 一週間のうちに17回のジャンケンチャンス…
そしてなにより驚くべきなのが…懸賞応募条件っ…!
その点数 なんと 100点っ…!100点以上で懸賞に応募できるのだ…
17回中、5回勝てば100点っ!引き分けでも10回…
しかし一見、ハードルが低い様なこの点数設定…全国の視聴者をふるいに落とすには十分っ…
カイジはまず、勝たなければならない…17回のじゃんけんで…100点を…取らなければならないっ…!
カイジ(必勝法さえあれば…)
―――カイジには勝てる自信があった…
カイジ(まいにちのジャンケン…2戦目、大抵はこの女…)
めざましジャンケン2戦目は…天気予報の関係でお天気おねえさん・小野彩香がじゃんけんをすることが多い…
往年のめざまし視聴者であるカイジ…既にそれを知っていたっ…!
カイジ「俺が大画面テレビを購入した理由…それは…」
カイジ「小野彩香のジャンケン習性を知ることっ…!」
カイジ「人間は機械じゃねえ…あるはずだ…グーのクセ…チョキの動き…パーの予兆…」
カイジ「まずは…それを見極めるっ…」
カイジ!録画を試みる… テレビとともに買ったHDDレコーダで!
小野彩香「じゃんけんポンっ!」
小野彩香「…私はパーを出したので、チョキを出した人が勝ちですよ~♪」
カイジ「はっ!」
ここで気付く・・・・!カイジ! このじゃんけんの落とし穴を!
カイジ「なんてミスっ…凡ミスっ…クソクソッ!!!!!」
カイジ「俺は…じゃんけんの瞬間…その習性を見抜こうとしていた…していたんだ…」
カイジ「いや、見抜こうと思えば見抜ける…何日もかけて…小野彩香を見るっ…」
カイジ「そして見抜くはず、見抜けるはずだった…小野彩香の手の動き…腕の振る角度…すべて…」
しかし!カイジ!圧倒的凡ミス!
めざましジャンケンのジャンケンは、ジャンケンが行われる30秒ほど前には抽選が終わるのだ!
つまり、視聴者は先だし! 小野彩香は後だしでじゃんけんをするのだっ…
つまり…カイジがいくら小野彩香のジャンケンの瞬間の習性を知ったところで…
30秒前に決めたじゃんけんのGCPを変更することが出来ないのだっ…!
カイジ「…気付かなかった…データ放送…ジャンケンのタイミングっ…」
カイジ「…いや…まだあるはずだ…このジャンケンの必勝法っ…」
―公園―
カイジ「何か必勝法はないのか…」スパーーー
カイジ「…17回負けるなんてことが本当にありえるのか…?」
カイジ「しかし、必ず勝たなければ意味が無い…勝ち続け、懸賞を得る…」
子ども「妖怪ウォッチ2買う~?」
子ども「もう買ったよ!元祖!」
子ども「なら、ボクは本家を買うね!」
カイジ(ノンキなもんだぜ…ガキはっ…将来の事も考えず…妖怪ウォッチって…)
カイジ(…はっ!)
カイジが煙草を吸い終えたその瞬間!走る!電流!脳みそに与えられる刺激!
必勝法っ…!
カイジ「これなら勝てる…いや、負けるわけがないんだ…いや、負けても勝つ方法…」
カイジ「見つけたっ…!必勝法っ…!妖怪ウォッチッチっ・・・・!!!!」
―電気屋―
店員「いらっしゃいま…あっ」
カイジ「おい、この前の店員」
店員「はっ!はい?なんでしょう…」
ざわざわざわざわ…
店員「ええっ!?」
カイジ「この方法でっ…勝つんだっ…」
カイジ「時間はどれぐらいかかる…?」
店員「来週の月曜までには…」
カイジ「遅いっ…!めざましジャンケンは月曜朝からの勝負…3回のチャンスをみすみす逃せっていうのかよっ!」
店員「でも…」
カイジ「他を当たるぜ…」
店員「頑張りますっ…日曜の夜までにはっ…!」
カイジ「そうこなくっちゃ…期待してるぜっ…!店員さんっ…!」
―日曜の夜―
カイジ「まだかっ…」
カイジ「待つんだ…耐えることなくして勝利は無い…」
ピンポーーン
カイジ「来たっ…」ダッ
店員「お持ちしましたよっ…!カイジさんっ…!」
カイジが玄関を開けると…
そこには巨大な段ボールが2箱っ…!
おもむろに部屋に持ち込む店員…それを食らいつくように開封するカイジっ…
そう!それはテレビっ…!同じテレビが2台っ…!
つまり、カイジの部屋には3台っ…!テレビが3台っ…!
その3台という数…!明白であるっ!グーチョキパーっ…!
カイジ「…ジャンケン…17回負け続けたら100点には届かない…」
カイジ「何かの選択肢に迷って、選んだ道が失敗だった時っ…必ずこう思うだろう…」
違うほうを選んでいればよかった! と…
店員「はあ…」
カイジ「もし俺がジャンケンで負けの選択肢を選び続けていた場合…」
カイジ「もうひとりの俺が違う選択肢…勝ちの手を選んでいれば…」
カイジ「負けることは無いっ…!」
店員「ああああああっ!本当だっ!」
カイジ「仮に17回の勝負…それに負け続けた場合…17回のチャンス×5回で…85点っ…」
カイジ「別の俺が、引き分けを続けた場合…それは17×10で170点っ…勝利っ…」
カイジ「17回勝ち続けた場合も…分かるな?」
店員「さ…340点……!」
カイジ「そうさ…そう…これはむしろ負けたことが勝ちを証明する必勝法…」
カイジ「負けた俺がっ!勝ちを証明するっ…!」
店員「うおおおおおおお!」
カイジ「それぞれのテレビを…グーのテレビ…チョキのテレビ…パーのテレビと位置付け…」
カイジ「毎回その手だけをっ…選択し続けるっ…!負けるわけがないんだっ!」
カイジ「小野彩香が1つの手でジャンケンを挑むのに対し…俺は3つの手で応戦っ…!負けるわけがないっ…」
店員「さすがだっ…!なんというひらめきだっ…!」
店員「でも…3台とも大型テレビなんて…無駄じゃないですか…?」
カイジ「バカ野郎っ…!勝利の前祝いだっ…こういう時に大きく出ない奴は負けるっ…」
店員(必勝法なのに…)
店員「さすがカイジさんっ…!」
…しかし、この大型テレビ3台という選択肢…
カイジはこれが意味する…不都合に気付かないでいたっ…
カイジ「めざまし…セットだ…寝るっ…お前も早く帰れっ…!」
狭い部屋の大型テレビに囲まれて寝るカイジっ…!
カイジ(地震がきたら大変だな…) スヤスヤ
―月曜日―
カトパン「めざましジャンケン…1戦目は今夜9時放送のHEROから木村拓哉さんです♪」
カイジ「来たなっ…キムタクっ…お前は何を出す…」
カイジ、1台目のテレビに向け、チョキの赤ボタンを押すっ…
カイジ「チョキっ…!パーっ…!グーっ…!右のテレビから順に…ボタンを押すっ…!」
カイジ「俺は崩すっ…この1週間で…お台場……フジテレビの牙城をっ…!」
カイジっ!プッシュっ…!赤いボタンをプッシュっ…!
ピコッ ピコッ ピコッ
カイジ「えっ…?」
ざわ… ざわっ… ざわっ…
カイジ「え…?どうして…?どうして…?」
示された1台目のテレビ画面…確かにチョキを示していたっ…!
が、しかしっ!!!!!!!
カイジ「どうしてっ…!あっ!」
カイジ「ああああああああっ~~~~」
カイジの目に映る光景…それは…
1台目のテレビのみならず…3台のテレビがチョキを示していたっ…!
カイジ「し、しまったっ…!」
カイジ「巨大なテレビがもたらす限定的な部屋のテレビ配置っ…」
そう!カイジの部屋には大きすぎるテレビ…これが原因でテレビ同士は隣り合っていたっ…
故にカイジの押したリモコンのボタンは…すべてのテレビに反応してしまったのだっ…!
カイジ「盲点だった…そんな仕打ち…大型テレビにしてしまったばかりに…ううう…」
カイジここで見出す…手でリモコンを覆い隠し、丁寧に1台1台テレビに向けボタンを押す方法…
カイジ「これで完璧だっ…!」
カイジの必勝法は功を奏した…
100以上のポイントっ…!
しかし、応募した懸賞はなかなか当たらないっ…!
絶対勝利で手にしたのは…応募資格っ…そこからは運否天賦っ…
耐える!あくる日もボタンを押し…じゃんけんをしたカイジ…
そしてついに当選っ…!
カイジ「缶コーヒーっ…3ケースっ…!」
完
??? パチパチ…パチパチ
「congratulations!」
カイジ「誰だ!?」
黒服「当選おめでとう。これでカイジ君もスペランツァへの乗船券を手にしたというわけだ」
カイジ「スペランツァ?乗船券?なんのことだ?」
黒服「君にはこの缶コーヒー3ケース26本を掛けて戦ってもらう。」
カイジ「フッ。興味ないね。どうせ負けるようになってるデキレース。搾取されるだけの畜生になるのは明白!」
黒服「そうか。しかし勝てば2000000本の缶コーヒーも夢ではないのだぞ?」
カイジ「うっ。2000000本!?」
(くっ。落ち着くんだ。どうせ勝てないに決まってる。しかし…しかし勝てば…食後に1本飲むとして毎日3本飲んだとしても1826年分。夜食も含め日に4本としても1369年は持つ…)
黒服 プルルル プルルル
「おっと電話だ。もしもし・・・あぁ。そうだ。よしわかった。最後の席だったぞ。良かったな。」ガチャ
黒服「カイジ君。今回の話はすまないがなかったことにしてくれ」
カイジ「ちょっ!ちょっと待てよ・・・。出るよ。出してくれぇぇ!」
黒服「ちっ。めんどくせえやつだな。今かけあってみるが期待するなよ」
黒服「あぁ、俺だ。すまんが1名ねじ込んでやってくれねぇか?あぁ。悪いが近藤からの指名ってことですまんが。あぁ。よろしく。」
黒服「いけたよ」
カイジ「ッッ!!」
黒服「○月×日0時きっかりに△△までこい。荷物はコーヒー3ケースだけ持ってきな」
このSSまとめへのコメント
落ちが読めたw
さては賞味期限だな?w