教官「これより配属先を言い渡す!!!」(24)

それが俺の災難第一歩だった……


大佐「えーっと…お前。誰だっけ」

目の前で鼻をほじっているだらしない男が俺の配属先の上官。アレックス・マンダー大佐
はっきり言って嫌いだ。昨日教えた俺の名前を覚えていない

レイ「レイチェル・ウィングマン大尉です。昨日言いましたよね?昨日もハナクソほじって聞きましたよね?」

アレックス「あーそうだったそうだったレイチェルレイチェル」

レイ「配属2日目にして離隊許可が欲しいですよ」

レイ「それより他の隊員の方々は何処です?昨日も見ませんでしたけど。自己紹介すらできていません」

アレックス「へ?あぁアイツら?知らね」

レイ「知らねって…あなたの部隊じゃないですか」(何なんだコイツ…ホントに大佐なのか?こんな奴が大佐とか軍の人事ちゃんと仕事しろよ)

アレックス「アイツらはホウレンソウができねぇんだよ。仕事の基本だろ?報告・連絡・相談」

レイ「そうですねハハハ」(新兵の俺でもアンタにホウレンソウはしたくねーな)

アレックス「まぁ今日はアレだ何だ。仕事もねーし酒でも飲みに行っか!歓迎会込めて!な?」

レイ「いや、仕事ありますから。あなた酒飲みたいだけでしょ」

アレックス「仕事なんて無かったことにすりゃいいだろ?」

レイ「ダメですね」(何で俺がこんなぐうたらの部隊に配属されたんだ……士官学校首席卒業の俺が…)

アレックス「その紙に書いてんだろ?なんて書いてあるんだ?」

レイ「えーっと……。……は?」

アレックス「ん?どうした?」

レイ「草毟り……廊下、階段の掃除?」

アレックス「そうか、頑張ってくれたまえよ!レイモンドくん」

レイ「レイチェルです…」(草毟り……士官学校では他の追随を許さずトップだった俺が…草毟りだと?)

アレックス「ふぅ……」つ酒瓶

レイ「何やってんだ?」

アレックス「へ?」

レイ「おめぇもやるんだよ草毟り…」(絶対辞めてやるこんな部隊!!俺はもっと上に行けるんだ!!)

アレックス「これ一杯飲んだら行くんで先行っててくれよ」

レイ「ダメだ…すぐ来い。すぐ!」

アレックス「なんなのこの怖い新兵は…」


兵舎 中庭

レイ「」ぶちっ ぶちっ

アレックス「草毟りダリーもういいだろ?帰ろうぜ?」

レイ「アンタまだ一本も抜いてねーだろ!!!」

アレックス「真面目だねぇ…俺はそういうの嫌いだな」

レイ「」(落ち着け俺……この道具は草を引き抜く物であって上官の脳天をブチ抜く物じゃない…)

2時間後

アレックス「ふぅ…レイモンドー休憩しようぜー」

レイ「レイチェルなんで…ていうかもう名前呼ぶな!大尉でいいんで!」

アレックス「じゃあ大尉、休憩」

レイ「わかりましたよ…」(これは何かの間違いだ…)

アレックス「アレか?大尉は士官学校でビリっけつだったのか?」

レイ「んなわけないですよ!新兵で大尉ですよ?首席卒業ですよ首席!」

アレックス「士官学校首席卒業が草毟りとか…ぷっ…」

レイ「アンタに言われっと普通より余計に腹立つな…」

アレックス「でも何でそんなヤツが俺の隊なんだろうなぁ」

レイ「俺が聞きたいですよ。早く出世してこの人事考えたヤツを僻地に飛ばしてやる…」

アレックス「首席ってことはよぉ。コレ、得意なんだろ?」つ剣

レイ「えぇ、俺…かなり強いですよ?」つ剣 チャキッ

アレックス「へへっ、楽しみだなぁ」

アレックス「ルールは簡単だ、相手の攻撃力を奪った方が勝ちだ…いいな?」つ剣

レイ「結構ですよ……」つ剣 スッ


アレックス「!?」ヒョイッ

レイ「よく避けれましたね?」つ剣

アレックス「………」(なんて速さだ…抜刀から振り切りまでが一瞬だった……)

レイ「俺はその剣を抜く瞬間を見逃さない。どうします?大佐」

アレックス「そうだなぁ……」

ガスッ!!!

レイ「……!?ぐはっ…」

アレックス「別に抜かなくても使えるしな」

レイ「ごほっ…ごほっ…」(何だ?今の…動きがめちゃくちゃ…剣の柄で鳩尾……を…なんて速さ…)

アレックス「お前…俺のことナメてたろ?」

レイ「………」

レイ「確かに…少し貴方を甘く見ていた…もう油断はしない…」

アレックス「」ニヤニヤ

レイ「………」(落ち着け……確かに動きは読めないが抜刀時は隙が生まれる…チャンバラになれば負けない)

アレックス「うぉぉぉぉぉ!!!!!!」

レイ「はぁ!?」

ガンっ!

レイ「鞘ごと剣振り回すとか聞いたことないんですが!?」つ剣

アレックス「そだな、俺も今初めてやったし。ていうかよくガードしたなぁ」つ剣

レイ「意表を突かれただけだ。ガードするぐらいわけない」

アレックス「そうじゃねぇよ。俺の勝ちだな」

レイ「は?」

レイ「!?」(しまった!!!ガードした刃が鞘に食い込んで……)

アレックス「大方抜刀に隙ができるとか思ってたんだろう?」スラッ

レイ「くっ……」

アレックス「まだまだ若いねぇ」つ剣

パシッ

アレックス「あっ…」

レイ「」←蹴りで剣を弾いた

レイ「そういえば…相手の攻撃力を奪った方が勝ち…でしたよね?」ニヤニヤ

アレックス「………」

レイ「俺は抜刀済みの剣。アンタは丸腰」つ剣

レイ「どうです?」ニヤニヤ

バキィィ!!!!

レイ「ほべぇぇぇ!!!!」どさっ

アレックス「バカやろう!まだ拳が残ってんじゃねぇか!」

レイ「いってぇ~……何しやがるコノヤロー!!!」 ドゴッ!!!

アレックス「ぐぇぇ!!!」

アレックス「やりやがったなクソガキ!!!」ベキっ!!!

レイ「痛え!!!くそっ!!アンタ相当負けず嫌いだろ!!!だらけきってるくせによぉ!!!」バキッ!

アレックス「うっせぇんだよガキ!!!上官にその口の聞き方はなんだぁ!!!」

レイ「今更!?そんなんだから部下になめられてホウレンソウもしてもらえねぇんだよ!!!」がしっ

アレックス「はぁ!?うっせぇんだよ!!!」がしっ

レイ「わかったら部下の名前くらい一回で覚えろなまくら上司!!!」バキッ!

アレックス「うっせぇんだよ!」バキッ!

レイ「アンタうっせぇんだよしか言えねぇのか!!!」バキッ!

アレックス「あ!」指差し

レイ「え?」チラッ

バキィィ!!!

レイ「ぶへぇぇぇ!!!!」どさっ

レイ「汚ぇぞ!!!」

アレックス「勝負に汚ぇも糞もあるかよ!!」←マウント

レイ「ガキガキ言ってっけどアンタのがよっぽどガキじゃねぇか!!!」

?「何やってんのアンタ達…」

アレックス「あ?」

レイ「?」

アレックス「エップスじゃねぇかよ…何だよ今いいとこなんだよ」

エップス「よくないわよ。何新兵に跨って言い合いしてんのよ大人気ない。恥ずかしいくらい大人気ない」

この人はエップス・バーン大佐。士官学首席卒業で史上最年少で大佐になった女性士官だ

エップス「とにかく降りなさい」

アレックス「ちっ……」

エップス「あなた大丈夫?」

レイ「はい、お陰様で……レイチェル・ウィングマン大尉です」

エップス「私はエップス・バーン大佐よ」

レイ「知ってます。士官学校時代に大佐とどっちが史上最優秀候補生かよく比べられましたからね」

エップス「そういえば今期のルーキーには凄い子が居るって聞いたけど貴方のことだったのね」

アレックス「おい、俺を無視して話を弾ませるな」

レイ「そうですよ。エップス大佐の舞台には

>>11
誤爆


エップス「そういえば今期のルーキーには凄い子が居るって聞いたけど貴方のことだったのね」

アレックス「おい、俺を無視して話を弾ませるな」

レイ「そうですよ。エップス大佐の部隊にはクレアが配属されたはずですが……」

エップス「そうね、中々見所のある子だったわ」

レイ「本来貴女の部隊には俺が配属されるべきだったんですよ」

エップス「どうして?」

レイ「大佐の部隊は王国親衛騎士団第1師団ですよね?軍の中で一番格式のある部隊です」

エップス「そう言われたら悪い気はしないわね」

レイ「そんな由緒正しい部隊に俺はよく似合う!!ところがどっこい!俺の配属先は部隊名もわからないグダグダ集団でおまけに上官はコイツ!!」指差し

アレックス「?」ほじほじ

レイ「超エリートの俺が!エリート街道を歩むはずだった俺が何でこんな目に……」

エップス「貴方相当エリートにこだわるわね……しかも結構ナルシストの入った」

レイ「だから俺をそっちの部隊に入れてもらえるようにしてもらえませんか!?」

エップス「ごめんなさい無理」

レイ「なんで!?」

エップス「貴方を部下にしたくないっていうのもあるんだけど……」

レイ「さらっと言いますね」

エップス「貴方をアレックスの部隊に配属したのは間違いじゃないと思うわ」

レイ「それはどういうことですか?」

エップス「そりゃあコイツは…

アレックス「おい」

エップス「?」

アレックス「エップス、余計な事は喋るな」

アレックス「レイチェル、草毟り再開だ」

エップス「だってさ」

レイチェル「ものすごい気になる所で話ぶった斬りましたね。今晩眠れる気がしないです」

エップス「私も軍の会議に出なければいけないのクレアも連れてね」

レイ「はぁ……」ぶちっ

レイ「大佐」

アレックス「ん?」ぶちっ ぶちっ

レイ「何で大佐になれたんですか?」

アレックス「んー、なんか知らん間になってたんだな」

レイ「」(この国の軍ってそんな階級いい加減なのか!?)

レイ「さっきエップス大佐が言ってたことなんですけど……」

アレックス「は?ありゃエップスの戯言だよ」

アレックス「アイツ三十路も近いってのに婚期逃して虚言癖が出ちゃってんだよw」

レイ「そ、そうなんですか…」

タッタッタッタッタ…

レイ「ん?」

どごぉぉぉ!!!!

アレックス「ぐはぁぁぁぁ!!!」

エップス「誰が婚期逃した三十路だぁ!!!???」←ドロップキック

エップス「ふぅ……」スタスタスタスタ

レイ「……………」

アレックス「」ピクピク

レイ「あの人に年齢の話は禁句だな」ぶちっ ぶちっ

アレックス「………うぅ」むくっ

レイ「あ、生きてた」

アレックス「あれくらいで死ぬかよ」つタバコ

アレックス「火ぃくれ火ぃ」

レイ「俺吸わない人間なんで」

アレックス「バカやろう!タバコも吸わない人間がこの軍でやってけると思うなよ?」

レイ「今軍はおろかどこもかしこも禁煙ブームですよ」

アレックス「ホント嫌な時代だよ。最近じゃ飲み屋まで禁煙だとかぬかしやがる」

レイ「俺的にはアンタみたいなのが大佐になれるような時代の方が嫌だわ」

レイ「大佐っていくつなんですか?」

アレックス「今年で26だ…ったと思う」

レイ「エップス大佐は?」

アレックス「なんでエップスに直接聞かなかったんだよ」

レイ「未来有望な命が惜しいので」

アレックス「アイツは満29歳で30まで秒読みなんだぞ?」

レイ「そ、そうなんですか」

ガンッ!!!

アレックス「いだっ………」

レイ「」(上からタライが……)

アレックス「嘘です。俺と同い年でピチピチの26歳です……」

レイ「ピチピチ…?26ってもう鮮度が落ち始めてるんじゃ…」

ガンッ!!

レイ「ぐぉぉぉ……上からバケツが……」

レイ「……」ぶちっ ぶちっ

アレックス「……」ぶちっ ぶちっ

クレア「うわっ……ホントに草毟りしてる…」

レイ「げっ!!!」

アレックス「ん?誰?この子」

クレア「王国親衛騎士団第1師団所属。クレア・アンダースン准尉です」

アレックス「俺はアレックス・マンダー大佐だ。よろしく」

クレア「はい!よろしくお願いします!」

クレア「あれれ~?何か首席卒業のエリート様のそっくりさんがいる~」

レイ「」イライライライラ

アレックス「レイチェルwお前そっくりさんだったのか?w」

クレア「すご~いw名前まで一緒なのぉ?私の同期の首席卒業の人もレイチェルっていうの~w」

アレックス「けけけwすんげぇ偶然だなぁレイチェルよぉwww」ばしばし

レイ「で?なに?王国親衛騎士団様が草毟り大尉に何の用だ?あぁ?」

クレア「ん?エップス大佐が首席卒業(笑)のルーキーと直属の上官が仲良く兵舎の草毟りしてるって言うから見に来たの」

アレックス「あはははははw」

レイ「笑ってっけどアンタもセットでバカにされてんだぞ」

レイ「あぁ、王国親衛騎士団のパシリ……じゃなかった!准尉殿?師団長にお伝えください「売れ残り」ってな」

アレックス「ついでに「万年処女」って言っといてw」

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