男「へび」(29)
【蛇推】
男「今日もへびちゃんはかわいいなあ」
蛇「正直、へびちゃんって呼ばれるの恥ずかしいんだけど」
男「照れるへびちゃんもかわいい!」
蛇「話を聞いているのかしら?」
男「じゃあなんて呼ぶのさ?へび子ちゃん?」
蛇「私はボクっ娘でもドラゴンでもないのだけど」
男「へびちゃん!」
蛇「はあ、もう……」
男「このようにへびちゃんはかわいい」
【蛇誰】
男「じゃあへびちゃんって名前あるの?」
蛇「……そう言えば、ないわね」
男「そもそもへびちゃんって何なの?蛇?」
蛇「……ただの蛇ではないわよ」
男「そういう事を自分で言っちゃうへびちゃんカリスマ!」
蛇「これでも昔は土地神の端くれとして祀られていた時期もあったのよ?本当よ?」
男「でも今は喋る蛇としか言い様がないよね……」
蛇「……うん」
男「落ち込むへびちゃんもかわいいけどちょっといじりすぎたかなと思う」
【蛇粋】
男「……大丈夫、へびちゃんは最高にかわいいよ」
蛇「ありがと」
男「へびちゃんほどかわいい蛇は他にいないよ!間違いないよ!」
蛇「そう言って貴方、他の蛇って見た事あるの?」
男「…………」
男「なかった!」
蛇「でしょうね」
蛇(……うん、ちょっとだけ安心したわ)
男「別に他の蛇を見たいわけじゃないし!へびちゃんがいれば別にいいし!」
蛇(蛇と言うのは中々にしつこい生き物なのよ?気を付けなさいよ)
男「へびちゃんマジ蛇の中の蛇!」
【蛇垂】
男「へびちゃんおはよう!」
蛇「ああ、おはよう」ブラブラ
男「……何してるの?」
蛇「ぶら下がってるんだけど……もしかして洗濯物干しの邪魔だったかしら?」ユラユラ
男「いや、今日は天気が悪くなるらしいから部屋干しのつもりだよ」
蛇「……大丈夫、今日はよく晴れるわよ」ピタリ
男「さすがへびちゃん!それじゃあ早速……」
蛇「~♪」ブラーンブラーン
男「やっぱり今日は部屋干しにしておくよ」
蛇「あらそう?まあどっちでもいいけれど」ブンブン
男(かわいい)
男「かわいい」
【蛇衰】
男「やっぱり雨は降らなかったけれど」
蛇「うえー」グッタリ
男「へびちゃんが干しっぱなしの洗濯物みたいになってしまったよ」
蛇「ぶら下がるのが思ってたより楽しくて、つい……」
男「へびちゃんがあまりにも楽しそうだったから、つい……」
蛇「ちょっと休むわね……」
男「お大事にね」
男「ぐったりしている時のへびちゃんは波線みたいになります」~
【蛇炊】
男「うーんうまい!この食事を作ったのは誰だぁ!」
蛇「別に、いつも通りじゃないの」
男「こんなうまい食事を作れるのはさぞかし美しくてかわいくて器量の良いへびちゃんに違いない!」
蛇「答えが口から出てるわよ」
男「はいへびちゃん、あーん」
蛇「止めなさいよ、恥ずかしいんだから」
男「恥ずかしがるへびちゃんもかわいいからやめないよー」
蛇「なら、食べたら止めてくれるのかしら?」
男「かわいいからもう一回!」
蛇「もう、仕方ないわね……あむっ」
男「この後も滅茶苦茶あーんしました」
【蛇酔】
蛇「へびってのわねぇー、そんなに、いうほど?おさけによわいなんてね、そんなことはないの!」
蛇「むかしからー、むーかしからぁ、ささげものっていったらねぇ!おさけ!おさけおいしい!」
蛇「ほうさくのおかえしーだって、おこめのねぇ!まっしろの!わたしほどじゃあ、ないけど!」
蛇「あめがねぇ、ふるのよ!おいのりで、あめーあめーふれーって、するのよ!」
蛇「それをねぇ、わたしだってさげたくもないあたまをさげてね?おねがいするのよ、なにとぞなにとぞって」
蛇「かみさまだかなんだかしらないけどね、へびはおさけによわくないの!なにがうわばみよぅ!」
蛇「わたしならおさけをいーっぱいのみほして、ごはんもたべて、それからぼっこぼこにしてやるの」
蛇「それで、やっつけて、あめが、ふって、みんな……そうよぅ、すごいーって」
蛇「へびはつよいんだからぁ……ふみゅ」
【蛇錘】
男「やー、へびちゃんかわうぃ」
男「ん、ちょっと飲み過ぎたかなぁ」
男「……」
男「白くてすべすべだあ」
男「へびちゃんは相変わらず、すぐ酔っぱらうんだから」
男「…………」
男「しばらくは起きそうにないかなあ」
男(重くて動けない)
男「へびちゃんは細いんだけど全長が長いんだ。だから重なってると重いよ」
【蛇睡】
男「へびちゃんはすぐ寝ちゃうからね、おかげで健康的な生活ができるよ」
蛇「むみゅう……」
男「その分朝は早起きだし、案外寝起きも弱くないんだよね」
蛇「めめめ……」
男「さすがに冬場はしっかり保温しないとどうしようもないけど、それは仕方ないし」
蛇「うまよりぃー……はやーい……」
男「……寝顔はいくら見てても飽きないなー」
男「へびちゃんは眠りが浅いタイプなのか、寝言が多いんだよね」
【蛇水】
男「しかしまあ、このままだと」
男「……酒飲んで近くなったんだけどトイレに行けないなあ」
男「へびちゃんは大丈夫なのかな?」
蛇「……」
男「……」
蛇「……」
(男´Д`)……
/
/ でもへびちゃんのお水なら
∠ ちょっと見たいかも
∧_∧ \_____________
(男´Д`) _
/⌒ヽ/ / _)
/ \\//
/ /.\/
/ ∧_二つ
/ /
/ \
/ /~\ \
/ / > )
/ ノ / /
/ / . / ./
/ ./ ( ヽ、
( _) \__つ
蛇「」
男「」
蛇「正座」
男「はい!」
【蛇錐】
蛇「何か言い残す事は?」
男「へびちゃんの/かわいさ大正義/インガオホー」
蛇「私はガラガラヘビじゃないから尾の先は鋭く尖っているのよ?武器よ武器」
男「あひぃん!そんなのいれられたら裂けちゃうぅ!」
蛇「刺してもいいかしら?胸に七つくらい」
男「ありがとうございます!」(ありがとうございます!)
蛇「…………」
蛇「従ったら負けな気がしてきた」
男「そんな ひどい」
蛇(冗談なのだけど。本当に満更でもなさそうに見えるのは気のせいかしら?)
男「噛まれるのも捨てがたい」
【蛇彗】
男「こんな時間だけど目が冴えちゃったなあ」
蛇「そうね、たまには夜更かしも悪くないわ」
男「夜空の星を一緒に見るのもいいねえ」
蛇「私流れ星って見た事ないのよね、いつも早く眠るから」
男「別にいいんじゃない?必要ないよ」
蛇「どう言うことよ、」
男「だってへびちゃんは地上の流れ星のようなものだからね!」
蛇「だったら、私自身の願い事は貴方が全部叶えてくれるのかしら?」
男「出来るだけ頑張ります!」
蛇「身の程をわきまえた謙虚な答えね」
男「流れ星/願いは一つ/同じ時」
【蛇翠】
男「へびちゃんマジ宇宙にきらめくエメラルド!」
蛇「えっと……どう言うこと?」
男「地球の美しいもの全部ぐらい美しいってことだよ!」
蛇「でもその例えだと私の最後が来るのかしら?」
男「誰かが立つし、誰かがやるよ!誰でしょう?」
蛇「まあ、優しい心と戦う勇気を持った誰かさんでしょうね」
男「ふへへ」
蛇「うふふ」
男「僕の番!」
【邪推】
蛇「さてと、そろそろ寝ましょうか?」
男「流れ星は見えなかったね」
蛇「何もない時にそう見れるものじゃあないんでしょ?聞いたことくらいはあるわよ」
男「じゃあ今度は流星夜とかに夜更かししようね!」
蛇「ええ、是非そうしましょう」
蛇(時々、酷く不安になる)
蛇(こんな日々がいつまで続くのか、何かが壊れてしまわないか)
蛇(どちらかがどちらかを置いていってしまうのではないか)
蛇(心変わりを起こしたり、本当はそこに信頼なんて無いのかも、とか)
蛇(そんな事が無いと、言い張れない自分が嫌い)
蛇(弱い自分が、情けない自分が)
男「……蛇は再生の象徴、永遠の存在と信じられてきた」
男「世に変わらぬものなどはそうないけれど、いつまで経っても変わらない本質はあるよ」
男「蛇はいくら脱皮しても、蛇なんだからさ」
男「人はきっと、また、どんなに時が過ぎたとしても」
男「一度や二度、あなたの事を嫌いになってしまったとしても、忘れてしまったとしても」
男「それでもきっと、あなたの事が好きになるから」
男「自分みたいなのがきっとどこかにいるから」
男「……」
蛇「……」
蛇「それって喜ぶべきことなの?」
男「自分としてはフクザツだね。へびちゃんのかわいさを人に分けたくない気持ちもあるし」
蛇「あ、元に戻った」
【蛇好い】
男「へびちゃんかわいい!同じ空気を吸えてる事に感謝するレベルでかわいい!」
蛇「それなら【蛇吸い】じゃない?それにこれっていつも通りじゃないの」
男「そうだよ?最初から最後までへびちゃんがかわいいって話だからね!」
蛇「うーん、もうこの人は」
蛇「仕方ない人、本当に」
男「はっはっは」
【蛇遂】
男「成し遂げました」
蛇「何を?」
男「へびちゃんの語り尽くせぬかわいさを十全に表現する事は不可能なれど、その一端を感じて頂けたかと思います」
蛇「正直引く」
蛇「正直引くわ」
男「えっ」
蛇「あっごめんつい本音が」
男「あ……」
男「うん」
蛇「……えと」
蛇「おわり」
男「続くよ!この世にへびちゃんカワイイヤッターが一人でもいる限り!」
【蛇足】(蛇に足を付けても竜にはならない。)
男「へびちゃんに足が生える夢を見たんだ」
蛇「そうね、そう言うのも面白かったかもね」
男「えっ?ちょっと怖くない?」
蛇「え?色々便利じゃない、お出掛けとか出来るし」
男(蛇の体から足だけ生えてたらおたまじゃくしみたいで微妙な心境になるんだけど)
蛇(足が生えるって、つまり人間の体みたいになるって事よね?それなら人前か、外にも出れるし)
※変態的要素は一切ありません。
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