男「立ち向かう覚悟」(4)

一日の疲れを癒しにくるものが集う賑わいの場、酒場。
採掘を行う者、街を渡り歩く戦士、酒を一気に飲む大男。様々な人生を持つものが様々を語り合う場所である。ここで新たな出会いが始まることも少なくない。
当然、騒がしい。外が今夜に支配されていても喧騒のみは支配されない。人はもう恐れる必要はなくなったのだ。

そんな中、音が奏でられた。楽器の音である。
最初は音を気にせずいいように騒いでいたが皆興味を示したのかその音に耳を傾けるように喧騒は収まった。

楽器を奏でる主が乾いた唇をゆっくり動かす。

「この唄はは、今の繁栄のために犠牲になった者の物語と伝えられています。」

それだけを発すると、主は一度息を継いで唄い始めた。

♪「足掻いた所で...」


一日の疲れを癒しにくるものが集う賑わいの場、酒場。
採掘を行う者、街を渡り歩く戦士、酒を一気に飲む大男。様々な人生を持つものが様々を語り合う場所である。ここで新たな出会いが始まることも少なくない。
当然、騒がしい。外が夜に支配されていても喧騒のみは支配されない。人はもう恐れる必要はなくなったのだ。

そんな中、音が奏でられた。楽器の音である。
最初は音を気にせずいいように騒いでいたが皆興味を示したのかその音に耳を傾けるように喧騒は収まった。

楽器を奏でる主が乾いた唇をゆっくり動かす。

「この唄は、今の繁栄のために犠牲になった者の物語と伝えられています。」

それだけを発すると、主は一度息を継いで唄い始めた。

♪「足掻いた所で...」

鳴り響くのはうるさい音。
まるで腹のそこから猛獣が唸っているかのような五月蝿く気分の良いものではない音。その音を発しながら空を飛ぶ何かは走って行く。

高いビルが崩れかけている、荒廃とした街である。かつての繁栄を示すかのように荒れたビルは今も赤い空に向かって立っている。
街には誰もいない。人は誰もいない。あるのは奇妙な形をした生き物と巨大な土偶だけだった。巨大な土偶と奇妙な形をした生き物がこの街を支配していた。道路の所々には赤い色をした石が生えており、頃合いを見ては奇妙な生き物はそれを口に含み砕く。そして飲むと、満足げな顔をして腕を大きく広げ街を歩くのだった。

突然、空に何かが飛行する姿が見られた。
先程の唸りを上げながら何かが空を飛行していた。

奇妙な生き物は空を見上げ首を傾げる様な動作をした。彼が今まで見てきた生き物は二本足の服をきた生き物だ。その生き物は生き物としては美味しく彼は好みだった。だがあれは違った。その生き物は空を飛ぶことはない。それに轟音を発することもなく背と思われる部分より青い炎も出していない。すくなくとも我々の仲間ではないと彼は悟った。
空を飛んでいる何かはこちらに向かい、降りてこようとした。彼はすぐさま先程吸収した石を体内で熱に変換しそれを放った。ごうごうと燃える炎は真っ直ぐに何かに向かい、当たると同時に空中で舞うように散っていった。

彼はその結果に驚きながら接近してくる空飛ぶ何かが巨大だということを察し、逃げる暇もなく踏み潰され不愉快な音を発し、死んだ。

彼は最後に満腹になれて満足そうだった。

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