花娘「この花が…咲くときはね…」(94)


男「花姉ー!」

花娘「はーい」

男「ばあちゃんの注文のブーケ、もう出来てたっけ?」

花娘「出来てるよー!」

男「だってさ。ちょっと待っててな」

おばあちゃん「買い物のついでで、予定より早く来たのに悪いね」

男「いいさいいさ」

男「めでたい贈り物なんだから気にすんなよ」

花娘「おばあちゃん、お待たせ!」

花娘「はい!ご注文のブーケです」


おばあちゃん「まあ!綺麗なブーケ!」

おばあちゃん「さすが、花の民『アルラウネ』の技ってとこかね!」

花娘「ふふっ、ありがとう」

おばあちゃん「…亡くなったおじいさんの手際とも、すっかり遜色無くなったわねぇ」

花娘「ううん…」

花娘「私はブーケを作ったり、生けたりするのが得意なだけよ」

花娘「育てるのは男ちゃんの方が優秀よ」

男「そ。でも俺達二人でも、じいちゃんにはまだまだ遠く及ばないさ」

男「それだけじいちゃんが凄かったんだよな…」


おばあちゃん「ふふふっ、姉弟揃って謙遜しなくてもいいじゃない」

おばあちゃん「素敵なブーケをありがとう。孫も喜ぶわ」

花娘「うん。孫ちゃんにもよろしく言っておいてね!」

花娘「結婚おめでとうって!」

おばあちゃん「間違いなく伝えるよ」


おばあちゃん「ありがとうね」

男・花娘「ありがとうございましたー!」


おばあちゃん「あ、そうそう!」


おばあちゃん「花娘ちゃんに、また縁談が来てるんだけど…」

花娘「あー…その、ごめんなさい…」

男(またか…)

おばあちゃん「あら、また?」

おばあちゃん「アルラウネだからって気にしなくていいのよ?」

おばあちゃん「人間の中でも、これだけ美人で気立ても良い働き者、なかなか居ないからねぇ」

花娘「お、おばあちゃん…////」

おばあちゃん「おまけに純潔ときたもんだ」

花娘「おばあちゃんっ、恥ずかしいよぅ!」アタフタ

おばあちゃん「ふふっ、早く頭のその蕾が開くのを見てみたいんだけどねぇ」クスクス

花娘「はう////」


おばあちゃん「あちらさんは是非ともって言ってるんだけど」

花娘「うん…それだけ私のことを褒めてくれるのは嬉しいけど…」


花娘「私は人外のアルラウネ族だし、それに…」

花娘「今はこの花屋が一番だから。そんなんじゃ、相手の人に失礼だもの」

おばあちゃん「花娘ちゃんらしいね」

花娘「折角のお話だけど、ごめんね…おばあちゃん」

おばあちゃん「気にしなさんな。その芯の強さもあなたの魅力なんだし、気が変わったら、また言ってちょうだいね」

花娘「うん、ありがとう!」

おばあちゃん「こちらこそ、ブーケありがとう」

花娘「帰り道、気をつけてね」

おばあちゃん「ありがとう」


男「気をつけてな」

おばあちゃん「あんたもいい嫁さん、早く見つけなね?」

男「うーん…花や庭いじりが趣味の男になびく女の人なんか、なかなかいないわな…はははっ」

おばあちゃん「ホントにあんたたち姉弟は…、根っからの職人だね」

男「ああ。この仕事には誇りを持ってるよ」

おばあちゃん「あんた達の心意気が、このブーケにも出てるよ」

おばあちゃん「じゃあね」

男「気をつけて」

男「また、よろしくお願いしまーす!」フカブカ





花娘「さ、もうひとがんばりしましょうか!」


男「ああ」

―――
――





[CLOSE]パタン


男「んー」ノビー

花娘「お疲れさま」

男「花姉こそ、お疲れさま」



男「…」



花娘「男ちゃん、どうしたの?」


男「ん?ああ…」

男「じいちゃんと遜色ない…か」

花娘「ああ、昼間おばあちゃんに言われた…」

男「うん」

花娘「ようやく…ここまでこれたね」

男「…うん」


男「孤児だった俺達の育ての親になってくれて」

花娘「私なんて、人外のアルラウネ族だったのに…」


男「男手一つで大変だったろうな…」

花娘「だからこそ」

花娘「少しずつでも、恩返し…できてる…よね?」

男「この花屋を守ることで」

男「恩返しできてる…ハズだ」

花娘「だといいね」

男「じいちゃん、喜んでくれてるといいな」

花娘「うん」


花娘「でも、やっと二人で一人前だからねぇ…」

花娘「お互い、もっと成長しないと、ね?」

男「そうだな」



花娘「じゃあ、片付けお願い」

男「おう」

花娘「晩ごはんの用意してくるね」トタトタ

男「うん」





――
―――


男「よいっしょ、と」ドサッ

男「ふー」


男(花姉、また縁談断ってたな…)

男(特に最近はひっきりなしだ…)



男(…確かに、弟の俺から見ても)

男(よく気がついて)

男(淑やかで)

男(働き者で)

男(美人でスタイルもいい)

男(…嫁にしたいのは納得だ)



男(花屋のこともあるから、二の足を踏むのはわかるけど、花姉も年頃だし…)


男(話だけでもするように、勧めてみるか…)




花娘「片付け終わった?」ヒョコ

男「ああ、丁度今終わったところ」

花娘「ご飯の用意もできたところだから」

男「はーい」



――

花娘「ね、男ちゃん」

男「ん?」モグモグ

花娘「明日の業者市、やっぱり泊まり掛けにするの?」

男「うーん、明日のは業者の数が今までより多くて、規模がデカイらしいからな」

男「苗とか、場合によっちゃ新種、希少種なんかも多く出回ってるかも…」

男「肥料なんかも新商品とかあるだろうし…」

花娘「じゃあ、ゆっくり見るためにも泊まりにしておいでよ」

男「でも花屋…」

花娘「少しくらい大丈夫だよーぅ」


花娘「だから男ちゃんはしっかりいい品物、仕入れてきてね!」

男「じゃあ…そうするか」

花娘「うん!期待してるからね?」ニッコリ

男「ああ」



男「ところで花姉」

花娘「今度は私ね。で、何?」モグモグ

男「また縁談、断ってたな」

花娘「う…」ピタ

花娘「…うん」

男「他にもいくつか断ったんだってな」

花娘「えっ!?なんで知ってるの?」


男「八百屋のオヤジさんから聞いた」

花娘「な、なんで言うかな…」

男「みんな、結婚した後も花屋をしてても構わないっていう人達ばかりなんだろ?」

花娘「うん、まあ…」

男「花姉も年頃だし、女の幸せを求めるのもいいと思うけどな」

花娘「うーん…」

男「…もしかして、俺が居るから?」

花娘「え?」

男「ここは基本、花姉の作業場で、俺は外の花畑での作業が多いから、わざわざここに住まなくても大丈夫だし」

花娘「な、何言って…」


男「ここを新婚生活で使うなら、俺が出ていって、花屋に通えば…」

花娘「男ちゃん…」


男「はい?」

花娘「本気で言ってるの?」ジロリ

男「え」

花娘「本気で言ってるのかって聞いてるの!」ジロリジロジロ

男(縁談の話すると機嫌悪くなるんだよな、いつも…)

男「本気も何も花姉自身はどうなんだよ?」

花娘「私はまだまだ花屋として上を目指すの!」

花娘「それに!!二人でちゃんとおじいちゃんに恩返しするんでしょう!!?」

男「そ、そうだけど」


花娘「だったら!縁談の事には口をはさまないで!」

男「でも、幸せな結婚をするのもじいちゃんへの良い報告になるだろう?」

花娘「私には私のやり方があるの!」

花娘「だから余計な心配はしないで!」

男「でも…」

花娘「!」イラッ

花娘「お、男ちゃんこそ!」

男「え!?」

花娘「さっさと可愛いカノジョ見つけなさいよ!」

男「ええっ!?」

花娘「男ちゃんだって他人の事言えないでしょう!?」

花娘「男ちゃんの結婚だって、おじいちゃんへの良い報告になるじゃない!」

男「…う、まあ」


花娘「そうでしょう!?」

花娘「だから変なお節介しないで!」プン

男「なっ!お節介ってそんなつもりじゃ…」

男「俺は本当に花姉に幸せになってほしいから言っただけで…!」

花娘「ちゃんと自分が結婚したい人を見つけて、幸せになってからお説教して下さい!!」ツーン


男「説教ってそんな…」

花娘「ふん!」パクパクモグモグ

男「…」モグ…


―――
――



―翌日・夜―

男「ふぅ」

男(いい買い物ができた)ホクホク

男(しかし…)

男(余程、花姉は昨日の事が気に食わなかったらしい…)

男(今朝だって…)



……

男「じゃあ、行ってくる」

花娘「はい」ツーン

男(う…)

男「あの…花姉は欲しい花の苗とか種とか…」

花娘「別に無いよ」ツーン

花娘「しっかり花屋のためになる買い物してきて頂戴」ツツーン

男「…あ、あそ…」

男「い、いってきます」

花娘「はい」ツーンツーン


……



男(やっぱり、花姉とあのままじゃ、ゆっくり買い物なんてする気になれないや…)

男「はあ…」

男(つーわけで、予定を切り上げて早く帰ろうとしたけど…)

男(なんやかんやで夜になってしまった…)



ガチャ

男「ただいま」

シーーーーン

男「ありょ?」

男「ただいまー!」

シシシーーーーン


男(灯りも消えて…自分の部屋かな?)




コンコン

男「花姉?」

シーン

男「…」

男(普段、夜は出掛けたりしないし)

男(いつもなら寝るには早い時間だけど…寝てるのかな?)


男(やっぱり昨日の事、相当怒ってんのか)



男(俺も早く寝て、明日また、ちゃんと花姉に謝ろう)


男(花姉がいるから、この花屋もやっていけてるワケで…)



ガチャ

男「ふっ!?」

男(んう、なんだこの甘い匂いは?)クンクン



男(ん!?)

男(俺のベッドに誰か…いる!?)

?「すーすー」モゾ

ソー


男「え!!?」




?「すー」スヤスヤ



男「は、花姉ぇっ!?」

花娘「ん」スヤスヤ

男(おおお俺の服を抱いて)

男(俺のベッドで寝てる!!?)


花娘「すーすー」スヤスヤ


男(しかも、色んな所がはだけて…)ゴク

男(ほぼ裸じゃないか…)ゴクリ



男(イカンイカンイカンイカン!)フルフル

男(と、とととりあえず起こそう)



男「は、はな…姉?」

ユサユサ

花娘「んん」

男「花姉!」

ユサユサ

花娘「ん…」

花娘「男…ちゃん」ポヤー


男「花姉…何して 花娘「あは」ポヤポヤ

男「?」


ズイ

花娘「男ちゃん、私の夢に出てきてくれたんだぁ」ポヤポヤ

男「ちょちょ、はは花姉!?」

花娘「夢だもん」

男「寝ぼけてっ…」

花娘「少しくらい…良いよね?」

ギュウ

男「!?」

フワリ

男(すげっ…甘い…香り!)

花娘「男ちゃん」

花娘「うふふ…夢なのにすごく質感あるね…」ギュウ

男「はっ、花姉っ!花姉っ!」


花娘「んえ」ギュウ

花娘「ん?」ギュ

男「うーあー」

花娘「あ」ギュ…

男「えーと…その…」

花娘「あ、あ…あ…」

男「…ただ…いま…」

花娘「…っっっ!」

花娘「~~~~~~~~っっ!!!(声にならない声)」






――

男「…」

男「えーと…」

花娘「…////」チョコン

男「…ただいま」

花娘「泊まってくるって言ってたのに…」

男「その…ごめん」

男「花姉とギクシャクしたままじゃ、ゆっくり買い物する気になれなくてな」

花娘「…そか」

男(シーツにくるまる花姉…)

男(カワイイ…)




花娘「こっちこそ、ごめんね…」

男「え?」

花娘「変な事して」

男「あー、いやー」

花娘「ほら、今夜は新月でしょう?」

花娘「アルラウネの本能って言うのかな…、疼いちゃって////」



男「ああ、新月のときは種を撒くのに適してる、みたいな?」

花娘「…うん」

花娘「今日は男ちゃんが帰らないからと思って、つい…」

男「そか。まあ、生理現象だから仕方ないさ」


花娘「ううん…。こんな事しちゃって…」

花娘「幻滅した…よね?」

男「え?」

花娘「ごめんね、ダメな姉で…ひっく」ポロポロ


男「ちょっ、落ち着こう?な?」

花娘「軽蔑…した、でしょう?」ポロポロ

男「だ、大丈夫!気にしないよ!」


花娘「弟の…ひっく、部屋に忍び込んで」

花娘「えぐ、こんな、は、はしたない…」



男「本当に気にしてないから!」

花娘「ひぐっ…えぐっ…」

男「ホントに少し落ち着こうっ!」

男「コーヒーでも淹れてくるよ」スクッ



花娘「ま、待って!!!」

ガシッ



男「は、花姉?」

花娘「ホントに、幻滅したり軽蔑してない?」

男「うん、してないよ」


花娘「じゃ、じゃあ…ね////」モジモジ


花娘「この状況…わかる…でしょう?」



男「う、うん…」



花娘「部屋中の甘い匂いは…興奮すると出ちゃう、私の…アルラウネ特有の匂い」

花娘「男ちゃんの部屋で…」

花娘「男ちゃんの服を抱いて…」




花娘「これだけ匂いが満ちてれば…」



男「うん…」ゴク




花娘「男ちゃん…好き」

花娘「縁談をずっと断ってたのも」

花娘「花屋の事だけじゃなくて」

花娘「もちろん花屋も大事だけど」

花娘「男ちゃんの事が…大好きだから」



男「うん…」



花娘「でも、ずっと弟で…」

花娘「ずっと二人で頑張ってきたんだもの」

花娘「私の勝手な好意で」

花娘「二人の関係が壊れるかもしれないと思うと」


男「…うん」

花娘「怖かった…」



花娘「だから」

花娘「男ちゃんが好きな人を見つければって思って」

花娘「男ちゃんが結婚さえしてしまえば諦めが付くって」

花娘「そう思ってたけど…」

男「…うん」

花娘「色々、バレちゃったもんね」


花娘「…もう堪えられないよ」

ズイッ

男「!」

チュウ

花娘「んっ」

男「んんんっ!?」

チュウ

花娘「んぅっ」

男「んっ!!」

花娘「ふはぁっ…」


花娘「どう…かな…?」

花娘「私は、すごく甘いキスだったよ?」


男「俺も、その…甘い、よ」

花娘「ホントっ!?」

花娘「男ちゃんっ!」ダキッ

男「花姉…」


花娘「アルラウネ族のキスはね…」

花娘「お互いに気持ちが同じだと…愛し合ってると、甘く感じるの」

男「…知ってる」



花娘「どれくらい甘かった?」


男「そうだな、氷砂糖ぐらい甘かった」

花娘「こっ、氷砂糖ぅっ!?」

男「え!?」

花娘「もう」プン

花娘「ムードも何もあったもんじゃないなぁ…ふふふっ」クスクス

男「あ、ごめん」




男「ハチミツ、みたいな濃い甘さの」

男「キスだった」




花娘「男ちゃん…」

男「花姉」ギュウ

花娘「ふっあぅ」


男「俺も本当は、自分の気持ちわかってたんだ」

男「でも、血は繋がってないけど俺達は姉弟で」

男「花姉は人外のアルラウネで、俺は人間で」

男「結ばれるなんて夢だと思ってた」



花娘「私もそう思ってた」



男「お互い、気持ちは一緒だったのにな」


花娘「私達、バカだったね」クスクス



男「花姉…」


花娘「ううん…花姉はやめて」

男「?」

花娘「私はもう、あなたの『お姉ちゃん』じゃないよ?」



男「あ、ああ…」

花娘「しっかり私を見て、私を呼んで」




男「は、花…娘」

花娘「はい」

男「花娘っ!」ギュウッ

花娘「はいっ!」ギュウッ



花娘「ねぇ男ちゃん」

男「うん?」

花娘「私の花、あなたが咲かせて」



男「本当に…俺でいいんだな?」

花娘「うん…」

花娘「あなたじゃなきゃ、ダメなの」

花娘「長い間弟だったけど、私にとって今はもう…一人の男の人なの」

男「うん」



花娘「私の頭の蕾が…」


花娘「この花が…咲くときはね…」



花娘「愛する人に自らの純潔を捧げた時、なの」


花娘「アルラウネ族の女は愛する人に純潔を捧げると」

花娘「頭部の花を咲かせる」

花娘「そしてその花は、命尽きるまで枯れず、美しく咲き誇る」


男「ああ」



花娘「もし、お見合いで結婚しても、あなたに未練を残したままだと」

花娘「きっと花は咲かないわ…」

花娘「そんな事になったら、相手の人に失礼だもの…」



花娘「だから、お願い」

花娘「本当に、あなただからこそ、よ?」

男「わ、わかった…」

ギシッ…





――

花娘「たくましくなったね、いつの間にか」ヒタ

男「おおぅ…」ドッキドッキ

花娘「スゴイ鼓動」

男「そりゃ、これからを考えれば、な」ドッキドッキ

花娘「実は私もね」ソッ

フヨン

花娘「ね?」ドッキドッキ

男「ホントだ」

男「これだけボリュームがある胸でも、はっきりわかるくらいバクバクいってる」ムニュン



花娘「は、はぅ…////」

男「昔はぺったんこだったのに…」

花娘「い、いつの話をしてるのよ!?」

花娘「大人になったんだもの!大きくもなるわよ!////」フヨンフヨン

男「育ち過ぎ、かな」モミンモミン

花娘「ひあ、あん」

花娘「へ、変かな?////」

男「いや、スタイル良いよ、花姉は」

花娘「むー」

花娘「違うでしょう?」プー

男「あ、は、花娘な」

花娘「うん」


グイッポフ

花娘「えへー押し倒しちゃった////」

男「う、うん」

花娘「色々…シテ、あげようか?////」

男「え」

スルリ

男「ちょ、ちょ待っ…!」

花娘「男ちゃんだって、昔は小さかったのに、ふふふっ」

花娘「こんなに大きく固くしちゃって…」

花娘「はむ、ちゅ」

男「あ!?あうっ、花娘っ…」

男(花姉…花娘が俺のをくわえてる…)


花娘「ちゅぷん。ふふ、キモチイイ?」

男「あ、うん…。でも無理しなくてもいいんだぞ?」

花娘「ふふふ、無理なんてしてないよ」

花娘「好きな人を気持ちよくさせてあげたいの」ニッコリ

男(よっ、妖艶すぎる…!!)

男「…じゃあ、お願い…します」

花娘「ふふふっ、じゃあねぇ…」

シュルルル…

男「そのツル…」

男「久しぶりに見たな」

花娘「そうね」




……

花娘『こらーっ!待ちなさーい!』ドタバタ

男『やははー!花姉が怒ったー!』ドタバタ

花娘『ああっもうっ!』

花娘『よっ!』シュルル

男「?」

花娘『逃がさないわよ、っと!』

ギュルルン!

男『おわっ!』ドターン!


男『いたた…足首に何か…』

男『!!』

男『つっ、ツル!?花姉、こんなもの出せたの!?』

花娘『ふっふっふっ…最近出せるようになったのよ!』

男『さすが花の民、アルラウネ…』

花娘『さて。捕まえた事だし、おじいちゃんに叱ってもらいますからね!』

ズルズル

男『わあぁああぁ……!』ズルズル…


……





男「ははっ…子供の頃、よくそれで捕まえられたな」

花娘「イタズラする度にね、ふふふっ」クスクス


花娘「でも」

花娘「今は『逃がさない』よりも」

花娘「『離さない』って意味で使いますけどね////」

男「なっ…////」

男「つ、ツルを使わなくたって」

ガシッ


花娘「あ////」

男「俺が離すもんか」

花娘「男ちゃん…」

花娘「ひくっ」ポロロ

男「泣くなよぅ」

花娘「だって…ひっく」ポロポロ

花娘「その言葉が嬉しくて…ぐす」ポロポロ

男「よしよし」ナデナデ

花娘「んんっ…心地いいよぅ…」


花娘「ふふっ」

花娘「じゃ、私も応えなきゃね」

花娘「あむ」

ギュルギュル

男「口と…ツルでっ!?」

花娘「ふむ、ちゅぷ」ギュルル

花娘「ちゅむ、ぷは」ギュルギュル

男「くぅっ、はあっ…」

花娘「男ちゃん、そんなにイイの?」

男「あ、ああ…」

花娘「じゃあ次はねぇ…」




ポヨンポヨン

男「胸で!?」

花娘「はさめるくらい大きいのよ?」ムギュ

男「嬉しいんだけど、ちょっと積極的すぎやしませんか?////」

花娘「なんせ、新月の夜、ですから!」ムニュ
男「それにしたって…」

花娘「えいっ、ふふっ」ムニュンキュッ

男「くぁっ…」

花娘「気持ち良さそう、だね」

男「は、恥ずかしながら…////」

花娘「良かった…。じゃあ、動くね?」

男「…ああ」



花娘「ん、ふぅっ!ふぅっ!」ムニュンムニュン

男「ふぐっ…!」

花娘「ふあっ、んっ!ふぅん!」ムニュンムニュン

男「あっ、く…」

花娘「どう、かな?」ムニ

男「すげっ…いいよ、花娘っ!」

花娘「ふふっ。つらそう、だねぇ」クスクス

男「もう、ヤバいっ…」

花娘「ふっ、いいよ、出して。はあっ、受け止めて、ふぁ、あげるから!」ムニュン

男「花娘…」




花娘「ふっ、ふぅふ、はぅっ」ムニュンムニュン

男「くうっ!もうっ…」

花娘「い、いいよっ!男ちゃんっ!」

男「ごっ、ごめんっ、出るっ!」ビクビク

ビュルル!

花娘「わ!」

男「はあはあ…ごめん」

花娘「ふふふっ、いいよ」

花娘「私で気持ちよくなってイッてくれたんだね」

男「その…、うん、気持ちよかったよ」


花娘「んふふ、ぺろり」

男「わ、わざわざ舐めなくてもっ!」アセアセ

花娘「んくっ、苦いね。でも男ちゃんを強く感じるよ」

男「そうか////」

男「ホントに、積極的だな」

花娘「それだけあなたが好きだからよ」



花娘「舐めたあとだけど」



花娘「キス、いい?」

男「ああ」


花娘「ん」

チュウゥゥ

男「ぷは」

男「やっぱり甘いな」

花娘「さっきは苦かったんだけどね」クスクス

男「言うなよ…複雑な心境になるだろ」

花娘「ごめんね」クスクス



花娘「…ね」

花娘「そろそろ、咲かせたないな…花」

花娘「男ちゃんもしたい、でしょ?」

男「…うん」


花娘「じゃあ、おねがい」

男「それじゃ…」ソッ

ポフン

花娘「ひぅん」

男「花娘の初めて、貰うぞ?」

花娘「ええ////」

男「脚…広げて」

花娘「はい////」ソソソ…



男「ゆっくりいくからな?」ピタ

花娘「ひっ」ビクッ


男「怖いか?」

花娘「ううん、大丈夫」

花娘「でも手…握って」

男「ああ」ギュ

男「ふうっ…いくよ?」

花娘「はい」

男「つらかったら、すぐに言ってくれな?」

花娘「大丈夫。覚悟はできています」




花娘「私の純潔」




花娘「あなたに捧げます////」





男「花娘…」ゴクッ

ズズ…

花娘「あ、あ…」

男「ふぅっ」ズズズチュ

花娘「ふぅ、いぎぃっ」


ポン


花娘「あ、咲いた!」

男「え」



花娘「ぐぅっ、さ…咲いた、ね!////」

男「いやいやいや!」

男「あっけなさすぎ!」

花娘「わ、私も…初めてだもん」

花娘「くうっ、こんなに、ひ、一気に咲くなんて知ら、はっ、なかった…」

男「もっと、こう…、なんつーか幻想的にフワ~って咲くもんかと」

花娘「そう、ぐ、だね…」

花娘「いぅ」ポロポロ

男「そ、そんなに痛むか!?」

花娘「ん」フルフルフル

男「一度、抜…」

ギュルギュルギュル

ガシッ

男「お、おい!?」


花娘「違うの!大丈夫!」ポロポロ

男(ツルに身体中、巻き付かれて離れられない!)

男「無理しなくても!」

花娘「ううん。この涙は!」ポロポロ


花娘「ぐっうぅ、嬉し、涙だから!」ポロポロ



花娘「無事花も咲いて…」

花娘「あなたの事をっ」

花娘「愛しているのが、はあっ、証明できたからっ!」


男「花娘…」


花娘「今まで生きてきて!」

花娘「一番の幸せよ!!」ポロポロリ



男「花娘っ!」ズイッ

チュウゥッッ!

花娘「んんんっ!!」

花娘「はふっ、ふっ…痛みにも…だいぶ慣れてきたから…」



花娘「男ちゃんの…好きに…動い、てえっ!」


男「無理すんなよ」

花娘「え?」

男「少しずつゆっくり動くから、な?」


男「覚悟したって言われても」

男「欲に任せて、好きにするほど」

男「浅い人間じゃないよ」ニコ



花娘「ふふ、やさしいね…」

花娘「私ね、男ちゃんのそういうところを好きになったんだよ////」ニッコリ

男「それはどうも////」




花娘「ゆっくりでいいから…」

花娘「私を…愛して」



男「ああ」ズズ


花娘「はっあっ!」

男「ふうっ、花娘の中、柔らかくて温かくて…」ズ…ズ…

花娘「んっ!んやっ!」


男「すげー気持ちいいよ」



花娘「わ、私もっ!男ちゃんがすごくっ、うあ、感じ、られるよぅ!」


男「花娘っ」チュウ

花娘「はむんんっ」チュウ

花娘「男ちゃ、んんっ」






男「ふっ、はあ、ふぅっ」ズチュ

花娘「あんっ!はあっあっ!」

男「花娘…」ズズ

花娘「んっ、なぁに?」





男「大好きだ、花娘」

花娘「わたっあっ、しも、大好きっ!」

花娘「愛してる!男ちゃん!」

男「ああ!」




花娘「はあ、ああっ」

男「くっ」

男「ふっう、そろそろ…ヤバい、かも」

花娘「いいっよぉっ!そのままでっ!」

男「くっ、でも…!」

花娘「いい…の!」

花娘「私を離さないで!!」

花娘「最後まで…!」




花娘「私を愛して!!!」

ギュギュギュッ!

男(ツルが一層強く巻きついてっ!)


男「はははっ…このままじゃ…ふうっ…離せないもんな」


花娘「は、離さないもんっ!」

花娘「そのためのっ、ツル、だか、らぁ!!」


男「なんとまあ」



花娘「私は、もうっ、あなたのっ、ああっ!モノだか、ら!」

花娘「あなたからっ…!」

花娘「離れっ、たくないっ!!」

男「わかった。俺も、絶対…離さないから!」





花娘「はあっああっはあっ」

男「花娘っ…もうっ」

花娘「うんっ!うんっ!」ギュウ



男「花娘ぇっ!!」

花娘「男ちゃぁん!!」







花娘「…んは」

花娘「男ちゃん…大好き…」





――


男「よしよし」ナデナデ

花娘「んん~」ゴロゴロ


男「痛くなかった?大丈夫?」ナデナデ

花娘「痛かったけど…男ちゃんの優しさは充~分に感じられたから」


花娘「平気!」ニコッ!




男「花娘…」ナデナデ

花娘「んーなでなでいいよぅ」

男「そかそか、カワイイなぁ」ナデナデ

花娘「ふふふっ」

男「ん」チュウ

花娘「んんっ」



花娘「ぷあ!」

花娘「ところで私の花!どんなのが咲いた!?」



男「ああっとな…」



男「形はバラみたいな感じなんだけど」

男「色が…」

花娘「?どしたの?」


男「見る角度で色が変わるんだ」

花娘「え!?」

花娘「私が調べたのだと、花の形は色々だったけど、みーんな1色だったよ?」

男「花娘の花は、虹色のグラデーションがすごく綺麗だ」

花娘「何それ!?そんなの見たことも聞いたこともないし!」

男「いや、俺に言われても」

花娘「…種族を越えた愛の奇跡、かな?////」


男「…そうだな、きっと」

花娘「えへへー////」



男「でも、花が咲いたってだけで目立つのに」

男「これだけ綺麗だと、すぐに町のみんなに広まっちゃうな////」

男「どうしよう?」


花娘「どうしようも何も、私はハッキリ言うよ?」




花娘「この人が私の愛する人です!」ビシッ!




花娘「てね」ウイーンク!


男「お、おう////」

花娘「えへへー////」


花娘「末長く、よろしくお願いしますね」

男「あ、こちらこそ今後ともよろしく」



花娘・男「ふふふ」ニコニコ






―翌日―

おばあちゃん「あらあら、まあまあ」

花娘「えへー」ピト
男「くっつきすぎ!」


おばあちゃん「いいじゃないの、女の甘えは受け止めてやるのが男ってものよ」

男「へい」

花娘「おばあちゃん…色々お世話してくれたのに本心を黙っててごめんなさい」

おばあちゃん「気にしなさんな。今の貴女の顔と花を見れば、これが一番だったって納得できるよ」

花娘「おばあちゃん…」

おばあちゃん「それにしても、すごく綺麗な花ね」

花娘「うん!ありがとう!」

おばあちゃん「みんなも祝福してくれてるし、こうなるべきだったんだよ」


おばあちゃん「でも、花娘ちゃんとお見合いしたがってた連中はさぞかし残念だろうね」

花娘「おばあちゃん////」

おばあちゃん「これだけの女を惚れさせたあんたも大したもんだよ」

男「へへ////」

おばあちゃん「泣かせちゃ駄目よ!」

男「ああ、わかってる!」

おばあちゃん「じゃ、二人ともお幸せにね」

おばあちゃん「より一層、いい花が買えるのを楽しみにしてるよ」




花娘・男「はい!」

花娘・男「今後ともご贔屓に!」





男「さて」

花娘「どうしたの?」

男「じいちゃんにも報告に行かないと」

花娘「そだね」



男「じいちゃん喜んでくれてるといいな」

花娘「喜んでくれてるよ、きっと」






男「行こうか」ギュ

花娘「はいっ」

―――
――






それから、二人の花屋は仲の良い夫婦という事が有名になり、『夫婦円満』の花屋として大層繁盛したそうです




そして時は流れ…




――
―――


女「はやくはやく!」タタタッ

獣耳男「待ってってば!はしゃぎすぎだろ!」



女「わあ!」

女「スゴーイ!ほらっほらっ!」

獣耳男「ふう…」

獣耳男「ホントだ…一面、虹色の花だ」

獣耳男「僕、初めて見たよ」



女「通称『虹の丘』」ペラ

女「旅行ガイドブックによると」ペラリ

女「今から300年ほど昔、ふもとの町で人気の花屋がありました」

獣耳男「ふんふん」

女「夫婦で営んでいたその花屋は」

女「夫は人間、妻は花の民アルラウネ」

女「当時、まだまだ珍しかった異種間婚ではありましたが、とても仲の良い夫婦でした」

女「しかし、時は流れ、そんな夫婦にも永遠の別れは訪れてしまいます」

女「妻は夫との別れを大変悲しみました」

獣耳男「仕方ないとはいえ、悲しい話だな」


女「妻は『あなたには、いつまでも私を見守っていてほしい』と、小高いこの丘に夫を葬ります」

女「そして妻は皆にこう伝えました」

女「『私も逝くときが来たら、必ずこの人と共に葬って下さい』と」

女「それまで、我々の世界では個葬が常識でしたので周りは戸惑いました」

獣耳男「ふむふむ」

女「やがて、妻にもその時は訪れます」

女「残された人達は、その想いを無下にせず、最愛の夫と共に葬り」

女「妻は、安らかな永遠の眠りに就いたのです」

女「この時、墓標には夫の名に次いで、妻の名も刻まれました」


女「ひとつの墓標に夫婦二人の名前を刻んだ『合葬』は、これが世界で最初だったとされています」

獣耳男「へえ、今じゃ普通なのにな」

女「それともうひとつ、不思議な事が起きます」

女「アルラウネの女性は純潔を愛する人に捧げると頭の花が咲きますが」

女「この妻に咲いた花はなんとも珍しく、異種間による突然変異で、虹色の花が咲いていました」

女「そして、なんとその花が夫と共に埋葬されたあと、墓標周辺に咲き始めたのです」

獣耳男「なるほど。この虹色の花か」

女「その光景は、死して尚、夫に寄り添い、彼への至高の愛を一途に現しているとされました」


女「ひとつの墓標に夫婦二人の名前を刻んだ『合葬』は、これが世界で最初だったとされています」

獣耳男「へえ、今じゃ普通なのにな」

女「それともうひとつ、不思議な事が起きます」

女「アルラウネの女性は純潔を愛する人に捧げると頭の花が咲きますが」

女「この妻に咲いた花はなんとも珍しく、異種間による突然変異で、虹色の花が咲いていました」

女「そして、なんとその花が夫と共に埋葬されたあと、墓標周辺に咲き始めたのです」

獣耳男「なるほど。この虹色の花か」

女「その光景は、死して尚、夫に寄り添い、彼への至高の愛を一途に現しているとされました」


女「それから、少しずつ咲く花の数が増えていき」

女「丘一面を七色に染め上げるまでになりました」



女「以来この丘は、『夫婦円満のパワースポット』、また『異種間カップルの聖地』とされ、現在に至ります」



女「だ、そうです」

獣耳男「僕と来たかったってのはそういうことか」

女「ええ////」

女「私達もこの二人みたいに幸せになりたいね」

獣耳男「いや…」

女「え!?」


獣耳男「なりたい、じゃなく、してあげる!」

女「え…」

獣耳男「僕が幸せにしてあげる!」

女「…」ポカーン


獣耳男「ずっと、僕の側にいてほしい」



獣耳男「僕と…結婚してくれないか?」


女「!」

女「…はいっ!!」ニッコリ


――











男、最愛の妻、花娘と共にここに眠る

花娘、最愛の夫、男と共にここに眠る








おわり


最後まで読んでいただき、ありがとうございました

拙い内容だったとは思いますが、少しでも楽しんで頂けたなら幸いです

ありがとうございました

乙コメントありがとうございます

>>84投下ミス

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