魔王「……」

勇者「……」

魔王「……」

勇者「……」

魔王「……」

勇者「……」

魔王「ねぇ」

勇者「？」

魔王「…何か言いなよ」

勇者「……」

魔王「……」

勇者「……」

魔王「……」

勇者「……」ｽﾀｽﾀ

魔王「…えっちょ」

勇者「……」ｷﾞｨｨｨｨｨ…

魔王「ええっ？！」

勇者「…何故ここに来るまで気づかなかったのか…」ｽﾀｽﾀ

勇者「ここまで、本当に魔王が指揮したと思われる魔物は居なかった…」ｽﾀｽﾀ


魔王「殺さない、か」

魔王「僕にどうしろと言うのさ…」


勇者「……どいつもこいつも、ゴロツキや知能のない獣ばかり…」ｽﾀｽﾀ

勇者「結局、王も何も知らなかった訳か」ｽﾀｽﾀ


魔王「うーん…」

魔王「そもそも勇者が来るようなことしてないしなあ…」

勇者「…あれ？」ﾋﾟﾀｯ　

勇者「帰っちゃ駄目だろうなあ」…

勇者「よし、戻ろう」ﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯ


魔王「うーん…謎…」

魔王「…ん」

ﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯ

魔王「あー…」

ﾀﾞｯﾀﾞｯダッダッ

ダッダッダッダッ

ｽﾄｯ

ｷﾞｨｨｨｨｨ

勇者「戻ったぞ」

魔王「おかえり…ん？」

勇者「ん？」

魔王「いや、"おかえり"って仮にも敵に使うことじゃないよね？」

勇者「…むむ？待て待て、貴様は敵じゃないだろう」

魔王「あ、うん、まあ、そうだよ、多分」

勇者「魔界という名の割には異様なのはせいぜい魔翌力濃度が濃い程度だしな」

魔王（普通の人ならそれに耐えられないけどね）

勇者「とてもとても上に居るような化物たちの根源とは思えなかった」

魔王「ん？」

勇者「む？」

魔王「なにそれ？」

勇者「む、知らぬのか？それはな、現在我が国を困らせているものでな」

魔王「それはもう分かってるから、何か見せてよ」

勇者「百聞は一見にしかず。ほれ」ｽｯ

魔王「……あーあー、こいつらか」

勇者「む、知っているのか」

魔王「知ってる知ってる、むしろ魔族とは真逆だね。天界の住人だよ」

勇者「なんと」

魔王「まあ、そいつらには僕も迷惑してる。援軍送るから王によろしくね」

勇者「うむ、承知した」

魔王「それじゃあ僕は仕事に…」

勇者「ちょっと待った」

魔王「…なにか？」

勇者「ならば、ここに来るまでの妨害はなんだったのだ？」

魔王「ああ、全部『天使』だよ。いくら殺しても誰も咎めないから安定して」

勇者「む、そうか」