P「貴音のことを考えると時々不安になるよ」 (26)

貴音「……それは、どういうことでしょう?」

P「何ていうか、俺の知らない間に消えていなくなるんじゃないかって」

貴音「ふむ、わたくしが、ですか」

P「そう」

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貴音「……もう少しお話ししていただけますか?」

P「そう、だな」

P「なんて言えばいいのか……」

P「俺さ、時々、貴音が一体何を考えてるのか分からなくなるんだよ」

貴音「……」

P「もちろん、嘘をついてるとも言わないけど……」

P「ちゃんと話せてる時もある、でも」

P「同じくらい、不安になることも多いんだ」

貴音「それは例えば、どのような……?」

P「うん、そうだな……」

P「貴音が不意に笑う時に、一体何が面白かったのか、とか」

P「顔が見たい時に、どこを探しても見つからないとか」

P「どうしても、探れないトップシークレットをいくつも抱えてるように見えるとかかな」

貴音「そうですか……」

P「そういうときに、とてつもなく不安になるんだ」

P「俺は、貴音のことをどれだけ知ってるんだろうって」

P「逆に、俺の知らない貴音がどれくらい存在するのかって」

P「すごく不安だよ」

貴音「ふむ……」

貴音「……あなた様」

P「何?」

貴音「あなた様の言わんとすることは分かっているつもりです」

貴音「……しかし、それでもなお、わたくしの全てをあなた様にお見せできないのもまた事実」

貴音「わたくしも心苦しいのですが、それでもしかし……」

P「……うん」

P「理解してるつもりだよ、ちゃんと受け入れてた」

P「でも、最近そういう気分になることが多くてさ」

P「……ちょっと、言ってみただけなんだ」

貴音「そうですか……」

貴音「あなた様」

P「……」

貴音「わたくしも、そうしてあなた様を苦しませる罪深い身」

貴音「ですが、これだけは信じていただきたいのです」

貴音「わたくしは嘘は申し上げません、裏切りもしません」

貴音「生涯、あなた様のお傍にいるつもりです」

貴音「……それではいけませんでしょうか?」

P「……」

P「……」

貴音「……」

P「……」

貴音「……」

P「……なあ、貴音」

貴音「はい」

P「そっち、隣に座っていいか?」

貴音「ええ、もちろん」

P「ありがとう」ストッ

貴音「……」

P「……」

貴音「……」

P「……」

貴音「……わたくしは」

P「……」

貴音「……わたくしは今、あなた様のことを思い浮かべております」

P「え?」

貴音「今日、朝目が覚めてから、少し言葉を交わしたのを覚えております」

貴音「天気の話、朝餉の話、そして、仕事の話でしたでしょうか」

P「……」

貴音「帰宅してからは、三度ほどあなた様に触れたでしょうか」

貴音「そのうちの一回は手と手が触れあいました」

貴音「それから夕餉の時にも談笑を……確か、響のことでしたでしょう、良く目が合ったような気がします」

貴音「そのあとは、食後にコーヒーを楽しむあなた様をソファから眺めておりました」

P「……」

貴音「しばらくして、あなた様もこちらに来て、何やら思いふけっているご様子でした」

貴音「それから、『不安だ』と仰った」

貴音「そうだったはずです」

P「……そうだな」

貴音「もちろん、これで何が分かるわけではありませんが」

P「……うん」

貴音「しかし、それでもお伝えしないわけには参りませんでした」

貴音「お嫌でしたか?」

P「まさか、嬉しかったよ」

P「……お礼に、今俺が思ってることも話そうか」

貴音「……ふふっ、ぜひお願いいたします」

P「うん」

P「まず、そうだな……」

P「貴音の顔が見えなくて良かったって思ってるよ」

P「それに、テレビも付けてなくて良かった」

貴音「……他には何かございますか?」

P「いいにおいがする」

P「あと、貴音のももにかかってる髪の毛が綺麗だな、とか……」

P「手を握りたい、とかかな」

P「どうかな」

貴音「……ええ、とても嬉しく思っております」

P「そっか」

貴音「……」スッ

P「……」

P「……ふふっ」

P「……」ギュ

貴音「……人の気持ちとは難しいものです」

P「……そうだな」

貴音「どれだけ言葉を交わしても、全てを分かり合うことなどありえません」

貴音「わたくしとて、あなた様の心のうち、知りたくもあり、知りたくもなし……」

貴音「何も知らなければあなた様を想うことなどできませぬ」

貴音「しかし、全てを知れば、それもまた想うことが敵いませぬゆえ」

貴音「それが色恋の興なのでございましょう」

P「……」

P「でも、こうやって手を握ってるだけで分かることもあるけどな」

貴音「ふふ、それは些か疑わしい話でございますね?」

P「そんなことないさ」

貴音「それならば、わたくしは今何を考えていますでしょうか?」

P「……手が、暖かいと思ってる」

貴音「……ふふ、いけずな方です」

P「……そういえば、今日は月の出ない夜だそうだ」

貴音「明日も雨が降るのでしょうね」

P「残念?」

貴音「いいえ、月のない夜もまた一興でございます」

P「どんなところが?」

貴音「時には月明かりでさえも、煩わしい時がございましょう」

貴音「時々には、見られたくない秘密もありますゆえ……」

P「秘密?」

貴音「ええ、秘密を」

貴音「そうした秘め事には、月のない夜が一番です」

P「秘め事か」

貴音「……はい」

貴音「夜闇の中であれば、何もわかりはいたしません」

貴音「そこで何があろうとも、わたくし達だけの秘密でございます」

P「はは、貴音はそうやって今まで秘密を増やしてきたのか?」

貴音「それはどうでしょうか」

貴音「……あなた様?」

P「何?」

貴音「先ほどから手のひらが少々落ち着きませんね?」

P「そうかな」

貴音「ふふ、やはりあなた様が正しかったですね」

貴音「手を握っているだけでも、分かることはあるものです」

P「……じゃあ、今俺が何を考えてるか、分かる?」

貴音「もう、そんないけずなことは言わないでくださいまし」

貴音「あなた様の心のうち、知りたくもあり、知りたくもなし……」

貴音「しかし、今は知りたい気分でございます」

P「……分かった、悪かったよ」

P「貴音、もっと傍に来てくれ」

貴音「……あなた様」ギュ

                  おわり

ワロタwwwwww何だこれwwwwwwww

寝まーす

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